(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127850
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】経皮的後方固定
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034570
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】63/450710
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/584474
(32)【優先日】2024-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデン エイチ.チュン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー トビアス ジェイコブス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL42
4C160LL62
(57)【要約】
【課題】脊椎構造体のためのチューリップロッドコネクタを提供する。
【解決手段】特定の実装形態のチューリップロッドコネクタは、第1の係合方向を有する脊椎ロッドスロットと、第1の係合方向とは異なる第2の係合方向を有するクロスバースロットと、クロスバースロットに隣接したロックねじスロットと、を含み、チューリップロッドコネクタが、単一のロックねじアクションによって、脊椎ロッドスロット内の脊椎ロッド及びクロスバースロット内のクロスバー両方をロックすることを可能にする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューリップロッドコネクタであって、
第1の係合方向を有する脊椎ロッドスロットと、
前記第1の係合方向とは異なる第2の係合方向を有するクロスバースロットと、
前記クロスバースロットに隣接したロックねじスロットと、を備え、
前記チューリップロッドコネクタが、単一のロックねじアクションによって、前記脊椎ロッドスロット内の脊椎ロッドと、前記クロスバースロット内のクロスバーと、の両方をロックすることを可能にする、チューリップロッドコネクタ。
【請求項2】
前記クロスバースロットが、前記クロスバーの軸外の位置決め、又は異なる外形寸法を有する複数の異なるクロスバーとの係合、のうちの少なくとも1つを可能にするために、前記クロスバーに対して大きくサイズ設定されている、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項3】
前記脊椎ロッドスロットが、前記チューリップロッドコネクタと前記脊椎ロッドとの間の圧力嵌合接続を可能にする、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項4】
前記脊椎ロッドスロットが、一組のスナップ嵌合部材によって画定されている、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項5】
前記クロスバースロットが、前記チューリップロッドコネクタの頂部に露出している、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項6】
前記クロスバースロット内の前記クロスバーに係合するためのロックフランジを更に備える、請求項5に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項7】
前記クロスバースロットが、前記チューリップロッドコネクタの頂部で閉じられている、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項8】
前記脊椎ロッドスロット及び前記クロスバースロットに隣接した順応性屈曲ゾーンを更に備える、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項9】
前記順応性屈曲ゾーンが、前記ロックねじスロットにおける前記単一のロックねじアクションによる下向きの力の少なくとも一部分を前記ロッドスロットへのクランプ力に変換する、請求項8に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項10】
前記順応性屈曲ゾーンが、開口又は薄化セクションのうちの少なくとも1つによって画定されている、請求項8に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項11】
前記第2の係合方向が、前記第1の係合方向に対してほぼ垂直である、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項12】
前記チューリップロッドコネクタが、モノリシック材料片である、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項13】
前記チューリップロッドコネクタの本体が、本体と、前記脊椎ロッドスロットを少なくとも部分的に画定するコレットと、を含む、複数の異なる構成要素を含む、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項14】
前記脊椎ロッドスロットの幅が、前記クロスバースロットの幅よりも広い、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項15】
前記クロスバースロットが、非円形である、請求項1に記載のチューリップロッドコネクタ。
【請求項16】
前記クロスバースロットが、前記第2の係合方向に対して垂直な方向に、丸みを帯びた長方形断面形状を有する、請求項15に記載のチューリップロッドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、非仮出願であり、2023年3月8日に出願された仮出願第63/450,710号に対する優先権を主張するものであり、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、医療デバイスに関するものである。より具体的には、本開示は、脊椎手術及び脊椎固定デバイスの分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
経皮的後方脊椎固定処置は、様々な脊椎の奇形に苦しむ患者に対して有意な健康上の利点及び/又は救済を提供することができる。しかしながら、特定の従来の手法は、過度に侵襲性であり、かつ/又は複雑である。
【発明の概要】
【0004】
上記の並びに他の必要性は、本開示において説明される脊椎ロッドコネクタ(チューリップロッドコネクタとも呼ばれる)、装置、脊椎固定システム、及び関連する方法の実施形態によって対処される。下で述べる全ての実施例及び特徴は、あらゆる技術的に可能な方法で組み合わせることができる。
【0005】
特定の実装形態は、脊椎構造体のためのチューリップロッドコネクタであって、第1の係合方向を有する脊椎ロッドスロットと、第1の係合方向とは異なる第2の係合方向を有するクロスバースロットと、クロスバースロットに隣接したロックねじスロットと、を含み、チューリップロッドコネクタが、単一のロックねじアクションによって、脊椎ロッドスロット内の脊椎ロッド及びクロスバースロット内のクロスバー両方をロックすることを可能にする、チューリップロッドコネクタを含む。
【0006】
特定の態様では、患者への経皮的後方固定方法は、脊椎正中線の両側を切開することによって、患者の脊椎正中線を横断するクロスバーを挿入して接続することを含む。
【0007】
追加の特定の態様は、経皮的後方固定処置のためのクロスバーであって、当該クロスバーが、患者の脊椎正中線を横断して架かるようにサイズ設定され、当該クロスバーが、本体であって、固定セクションと、固定セクションと除去可能に結合された装填セクションと、を有する、本体を有し、装填セクションが、固定セクションが患者の脊椎正中線の両側の一組のチューリップロッドコネクタに係合した後に除去可能である、クロスバーを含む。
【0008】
実装形態は、以下の特徴又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含み得る。
【0009】
特定の実施例では、クロスバースロットは、クロスバーの軸外の位置決め、又は異なる外形寸法を有する複数の異なるクロスバーとの係合、のうちの少なくとも1つを可能にするために、クロスバーに対して大きくサイズ設定されている。
【0010】
特定の実施例では、脊椎ロッドスロットは、チューリップロッドコネクタと脊椎ロッドとの間の圧力嵌合接続を可能にする。
【0011】
いくつかの態様では、脊椎ロッドスロットは、一組のスナップ嵌合部材によって画定されている。
【0012】
特定の場合では、クロスバースロットは、チューリップロッドコネクタの頂部に露出している。
【0013】
特定の態様では、チューリップロッドコネクタは、クロスバースロット内のクロスバーに係合するためのロックフランジを更に含む。
【0014】
いくつかの実装形態では、クロスバースロットは、チューリップロッドコネクタの頂部で閉じられている。
【0015】
特定の場合では、チューリップロッドコネクタは、脊椎ロッドスロット及びクロスバースロットに隣接した順応性屈曲ゾーンを更に含む。
【0016】
いくつかの態様では、順応性屈曲ゾーンは、ロックねじスロットにおける単一のロックねじアクションによる下向きの力の少なくとも一部分をロッドスロットへのクランプ力に変換する。
【0017】
いくつかの実装形態では、順応性屈曲ゾーンは、開口又は薄化セクションのうちの少なくとも1つによって画定されている。
【0018】
特定の態様では、第2の係合方向は、第1の係合方向に対してほぼ垂直である。
【0019】
特定の場合では、チューリップロッドコネクタの本体は、モノリシック材料片である。モノリシック材料片は、単一の金属片又は複合材料片を含み得る。
【0020】
いくつかの実装形態では、チューリップロッドコネクタの本体は、本体と、脊椎ロッドスロットを少なくとも部分的に画定するコレットと、を含む、複数の異なる構成要素を含む。
【0021】
特定の態様では、脊椎ロッドスロットの幅は、クロスバースロットの幅よりも広い。
【0022】
特定の場合では、クロスバースロットは、非円形である。
【0023】
いくつかの実装形態では、クロスバースロットは、第2の係合方向に対して垂直な方向に、丸みを帯びた長方形断面形状を有する。
【0024】
特定の場合では、クロスバーを挿入して接続することは、患者の脊椎正中線を通したいかなる切開(例えば、外部切開)も伴わずに行われる。
【0025】
特定の態様では、クロスバーを挿入して接続することは、脊椎正中線の各側に1つの、2つの切開だけによって行われる。
【0026】
特定の実装形態では、クロスバーを挿入して接続することは、脊椎正中線を横断する横方向の皮下挿入によって行われる。
【0027】
場合によっては、本方法は、第1のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第1の側の第1の脊椎ロッドに結合することと、第2のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第2の側の第2の脊椎ロッドに結合することと、クロスバーを第1のチューリップロッドコネクタの第1のクロスバースロットに挿入することと、クロスバーを第2のチューリップロッドコネクタの第2のクロスバースロットに挿入することと、第1のロックねじによってクロスバーを第1のチューリップロッドコネクタに固設すること(securing)と、第2のロックねじによってクロスバーを第2のチューリップロッドコネクタに固設することと、を更に含む。
【0028】
いくつかの態様では、本方法は、第1のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第1の側の第1の脊椎ロッドに結合することであって、第1のチューリップロッドコネクタが、第1のクロスバースロットを含む、結合することと、クロスバーを患者の脊椎正中線の第2の側の第2のチューリップロッドコネクタの第2のクロスバースロットに挿入することと、第2のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第2の側の第2の脊椎ロッドに結合することと、クロスバーを第1のチューリップロッドコネクタの第1のクロスバースロットに挿入することと、第1のロックねじによってクロスバーを第1のチューリップロッドコネクタに固設することと、第2のロックねじによってクロスバーを第2のチューリップロッドコネクタに固設することと、を更に含む。
【0029】
特定の場合では、本方法は、第1のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第1の側の第1の脊椎ロッドに結合することと、クロスバーを第1のチューリップロッドコネクタの第1のクロスバースロットに結合することと、第1のロックねじによってクロスバーを第1のチューリップロッドコネクタに固設することと、第2のチューリップロッドコネクタを患者の脊椎正中線の第2の側の第2の脊椎ロッドに結合することと、クロスバーを第2のチューリップコネクタの第2のクロスバースロットに結合することと、第2のロックねじによってクロスバーを第2のチューリップロッドコネクタに固設することと、を更に含む。
【0030】
特定の実装形態では、クロスバーを第1のチューリップロッドコネクタに固設することは、第2のチューリップロッドコネクタを脊椎正中線の第2の側の第2の脊椎ロッドに結合する前に行われる。
【0031】
いくつかの態様では、第1のチューリップロッドコネクタを第1の脊椎ロッドに結合すること、及び第1のクロスバースロットのクロスバーを結合することは、レデューサツールによって行われる。
【0032】
特定の場合では、レデューサツールは、第1の脊椎ロッドの方向に対して垂直な方向において、第1のチューリップロッドコネクタ及びクロスバーに係合するように構成されている。
【0033】
特定の実施例では、レデューサツールは、クロスバーを脊椎正中線の第1の側から脊椎正中線の第2の側に通すように構成されている。いくつかの実施例では、レデューサツールは、レデューサタワーを含む。
【0034】
いくつかの場合では、本方法は、脊椎正中線の第1の側の第1のチューリップロッドコネクタ及び脊椎正中線の第2の側の第2のチューリップロッドコネクタを使用して行われる。
【0035】
特定の実施例では、各チューリップロッドコネクタの脊椎ロッドスロットは、挿入及び接続プロセス中に、それぞれのチューリップロッドコネクタと脊椎ロッドとの間の圧力嵌合接続を可能にする。
【0036】
いくつかの場合では、本方法は、初期脊椎構築術において使用することができる。
【0037】
特定の場合では、本方法は、脊椎修正術において使用することができる。
【0038】
特定の態様では、クロスバーは、患者の脊椎正中線を横断する挿入方向と位置合わせされた長手方向軸を有する固定セクションを有する。
【0039】
いくつかの場合では、クロスバーは、固定セクションと装填セクションとの間に、装填セクションの除去を可能にするための破断ゾーンを含む。
【0040】
特定の実施例では、固定セクションは、円筒形断面形状を有する。
【0041】
特定の態様では、固定セクションは、楕円形、丸みを帯びた長方形、又はテーパ付き長方形、のうちの少なくとも1つを含む、非円筒形の断面形状を有する。
【0042】
いくつかの場合では、固定セクションは、X方向、Y方向、又はZ方向、のうちの少なくとも1つにおいて位置ずれされているチューリップロッドコネクタの間で結合することを可能にする隙間を伴って、チューリップロッドコネクタの各々のクロスバースロットに嵌合するようにサイズ設定されている。
【0043】
特定の実施例では、固定セクションの先端部は、テーパ付きであるか、又は尖形状である。
【0044】
いくつかの態様では、固定セクションは、屈曲可能かつ回転可能である。
【0045】
特定の実施例では、固定セクションは、屈曲又は回転のうちの少なくとも1つを支援するために、低減させた断面寸法(例えば、屈曲ゾーン)を有するセクションを含む。
【0046】
この概要のセクションにおいて説明されるものを含む、本開示において説明される2つ以上の特徴を組み合わせて、本明細書に具体的に説明されていない実装形態が形成され得る。
【0047】
上記は、特許請求される主題のいくつかの態様に関する基本的な理解を提供するために、簡素化された概要を提示している。この概要は、広範囲にわたる概説ではない。本発明の主要な又は重要な要素を特定することも、特許請求される主題の範囲を描写することも意図されていない。その唯一の目的は、下で提示されるより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0048】
1つ以上の実装形態の詳細は、添付図面及び下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利益は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】様々な実装形態による、チューリップロッドコネクタの正面図を示す。
【
図2】
図1のチューリップロッドコネクタの側面図を示す。
【
図3】
図1及び
図2のチューリップロッドコネクタの斜視図を示す。
【
図4】クロスバー、脊椎ロッド、及びレデューサツールを有する
図1~
図3のチューリップロッドコネクタの部分断面図を示す。
【
図5】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの正面図を示す。
【
図6】
図5のチューリップロッドコネクタの側面図を示す。
【
図7】
図5及び
図6のチューリップロッドコネクタの斜視図を示す。
【
図8】クロスバー、脊椎ロッド、及びレデューサツールを有する
図5~
図7のチューリップロッドコネクタの部分断面図を示す。
【
図9】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの側面図、上面図、斜視図、及び切断図を例解する。
【
図10】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの側面図、上面図、斜視図、及び切断図を例解する。
【
図11】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの側面図、上面図、斜視図、及び切断図を例解する。
【
図12】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの側面図、上面図、斜視図、及び切断図を例解する。
【
図13】様々な追加の実装形態による、チューリップロッドコネクタの側面図、上面図、斜視図、及び切断図を例解する。
【
図14】様々な実装形態による、クロスバーの斜視図、側面図、上面図、及び端面図を例解する。
【
図15】様々な実装形態による、クロスバーの斜視図、側面図、上面図、及び端面図を例解する。
【
図16】様々な実装形態による、クロスバーの斜視図、側面図、上面図、及び端面図を例解する。
【
図17】様々な実装形態による、クロスバーの斜視図、側面図、上面図、及び端面図を例解する。
【
図18】様々な実装形態による、患者の脊椎正中線の一部分の描写を含む、脊椎固定構造体を組み立てるためのシステムの斜視図である。
【
図19】様々な実装形態による、患者の脊椎正中線に架かっている、部分的に完成した脊椎固定構造体の拡大斜視図である。
【
図20】様々な実装形態による、方法におけるプロセスを例解するフロー図である。
【
図21】様々な追加の実装形態による、方法におけるプロセスを例解するフロー図である。
【
図22】様々な実装形態による、方法におけるプロセスを例解するフロー図である。
【0050】
様々な実装形態の図面は、必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、典型的な本開示の態様だけを描写することが意図されており、したがって、実装形態の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
様々な実装形態は、脊椎固定構成要素及び関連する方法を含む。特定の実装形態は、モジュール式の経皮的後方固定システムのためのシステム、デバイス、及び方法を含む。システムの1つの実施形態は、接合クロスバー及びロックねじロック機構を通した一方のロッドからもう一方のロッドへの接続及び/又は延長を提供する、チューリップヘッドコネクタインプラントを利用する。1つの手法は、現場でインプラントを組み立てるための延長チューブタワー器具及びロッド挿入器の組み合わせを利用したインプラント構成要素の経皮的送達を含む、最小侵襲性の経皮的手法を後方脊椎手術に利用する。
【0052】
明確にするために、必ずしも実際の実装形態の全ての特徴が本明細書において説明されているわけではない。当然ながら、任意のかかる実際の実施形態の開発では、実装形態ごとに異なるシステム関連の及び事業関連の制約の順守などの、開発者の固有の目的を達成するために、多数の実装形態固有の決定を下さなければならないことが認識されるであろう。更に、かかる開発の労力は、複雑で時間がかかり得るが、それでもなお、本開示の利益を有する当業者にとっては日常的に行われることが認識されるであろう。本明細書において説明されるデバイス、関連するシステム、及び方法は、個別及び組み合わせの両方において、特許保護の根拠となる様々な発明的特徴及び構成要素を有する。開示された本発明の実施形態の任意の所与の要素は、単一の構造体、単一の工程、単一の物質、などで具現化され得ることを理解されたい。同様に、開示された実施形態の所与の要素は、複数の構造体、工程、物質、などで具現化され得る。
【0053】
本開示は、少なくとも部分的に、脊椎固定システムのためのチューリップロッドコネクタを提供する。当該チューリップロッドコネクタは、第1の係合方向を有する脊椎ロッドスロットと、第1の係合方向とは異なる第2の係合方向を有するクロスバースロットと、クロスバースロットに隣接したロックねじスロットと、を含むことができ、チューリップロッドコネクタが、単一のロックねじアクションによって、脊椎ロッドスロット内の脊椎ロッド及びクロスバースロット内のクロスバー両方をロックすることを可能にする。更なる実装形態は、脊椎正中線の両側を切開することによって、患者の脊椎正中線を横断するクロスバーを挿入して接続することによる、患者への経皮的後方固定の方法を含む。追加の実装形態は、チューリップロッドコネクタに係合するようにサイズ設定された、経皮的後方固定処置のためのクロスバーを含む。
【0054】
様々な開示された実装形態は、最小侵襲性の経皮的脊椎固定処置を可能にすることができる。特定の開示された実装形態は、正中線の両側を切開することによって、患者の脊椎正中線を横断するクロスバーを挿入して接続することを可能にする。特定の開示された実装形態は、患者の脊椎正中線を通したいかなる切開(例えば、外部切開)も伴わずに、脊椎正中線を横断してクロスバーを挿入して接続することを可能にする。他の開示された実装形態は、脊椎正中線の各側の1つの、2つの切開だけによってクロスバーを挿入して接続することを可能にする。更に開示された実装形態は、脊椎正中線を横断する横方向の皮下挿入によってクロスバーを挿入して接続することを可能にする。
【0055】
図面において共通にラベル付けされた構成要素は、例解目的で実質的に同等の構成要素であるものとみなされ、それらの構成要素の重複する考察は、明確にするために省略される。
【0056】
図1~
図3は、脊椎固定処置において使用するためのチューリップロッドコネクタ10(「コネクタ」とも呼ばれる)を例解する。
図1、
図2、及び
図3は、それぞれ、コネクタ10の正面図、側面図、及び斜視図を例解する。
図4は、脊椎ロッド20、クロスバー30、及びロックねじ40と相互作用するコネクタ10を例解する。
図4に関して本明細書で更に説明されるように、チューリップロッドコネクタ10は、脊椎固定構造体の一部として、脊椎ロッド20及びクロスバー30と結合するように構成されている。当該技術分野で既知であるように、脊椎ロッド20は、概して、患者の脊椎に沿って、例えば患者の脊椎正中線の一方の側に沿って延在する。
図18及び
図19は、チューリップロッドコネクタ10を使用して脊椎固定処置を行うための装置500を例解し、患者の脊椎正中線50、及び2つのコネクタ10の間に脊椎正中線50を横断して架かっているクロスバー30を示す。
【0057】
図1~
図3に戻ると、コネクタ10は、第1の係合方向(D
e1)を有する脊椎ロッドスロット60と、第2の異なる係合方向(D
e2)を有するクロスバースロット70と、を含むことができる。様々な実装形態では、D
e1は、D
e2に対してほぼ垂直である。脊椎ロッドスロット60は、脊椎ロッド20を受容するように構成され、クロスバースロット70は、クロスバー30(
図4)を受容するように構成されている。様々な実装形態では、ロックねじスロット80は、クロスバースロット70に隣接して位置決めされ、ロックねじ40を受容するように構成されている(
図4)。本明細書において説明され、
図4において少なくとも部分的に例解されるように、コネクタ10は、単一のロックねじアクションによって、例えばロックねじ40を締め付けてコネクタ10の相補的ねじ山に係合させることによって、脊椎ロッドスロット60内の脊椎ロッド20及びクロスバースロット70内のクロスバー30両方をロックすることを可能にするように構成され得る。
【0058】
様々な実装形態では、脊椎ロッドスロット60は、コネクタ10と脊椎ロッドとの間の圧力嵌合接続を可能にする(
図4)。特定の場合では、脊椎ロッドスロット60は、一組のスナップ嵌合部材90によって、例えば、脊椎ロッド20に係合又は係合解除するための撓みを可能にするようにサイズ設定する及び/又は分離させることができる2つの対向するスナップ嵌合部材90A、90Bによって画定される。特定の場合では、スナップ嵌合部材90A、90Bは、脊椎ロッド20の円弧状の外面の一部分を補完するように構成された、部分的に円弧状の内面100を含む。いくつかの場合では、各スナップ嵌合部材90Aは、脊椎ロッド20がスロット60にスナップ留めされた後に脊椎ロッドを保持するように構成されたリップ110を含む。追加の実装形態では、脊椎ロッドスロット60は、一組の部材、例えば、別個の部材によって画定することができ、それらの部材のうちの少なくとも1つは、剛性であるか、又は固定され、当該部材のうちの少なくとも1つは、順応性(例えば、スナップ嵌合部材)である。一例では、脊椎ロッドスロット60は、1つのスナップ嵌合部材(例えば、スナップ嵌合部材90A)及び対向する剛性(又は固定)部材によって画定される。
【0059】
いくつかの場合では、クロスバースロット70は、クロスバー30を軸外に位置決めすること、及び/又は異なる外形寸法を有する複数の異なるクロスバーと係合することを可能にするように、クロスバー30に対して大きくサイズ設定されている。すなわち、クロスバースロット70は、(De2に対して垂直に測定したときに)クロスバー30の外形寸法よりも大きい内寸法を有することができる。かかる場合、クロスバースロット70は、クロスバー30を、例えば最大5度、10度、又は15度だけ、第2の係合方向(De2)から逸脱させた角度に位置決めすることを可能にする。更に、いくつかの態様では、クロスバースロット70は、様々なサイズ(例えば、外形寸法又は幅)のクロスバーを受容するようにサイズ設定され、コネクタ10を異なる構造体サイズの患者への脊椎固定処置に適合可能にする。特定の場合では、クロスバースロット70の幅(wcbs)は、脊椎ロッドスロット60の幅(wsrs)よりも狭い。
【0060】
特定の態様では、コネクタ10は、脊椎ロッドスロット60及びクロスバースロット70と隣接した順応性屈曲ゾーン120を更に含む。順応性屈曲ゾーン120は、コネクタ10の開口130及び/又は薄化セクション140(例えば、側壁の切り欠き)によって画定する(近傍のセクションに対して薄化させる)ことができる。様々な実装形態では、例えば、
図4に例解されるように、順応性屈曲ゾーン120は、ロックねじスロット80における単一のロックねじアクションによって、下向きの力の少なくとも一部分を脊椎ロッドスロット60へのクランプ力に変換する。すなわち、順応性屈曲ゾーン120は、ロックねじスロット80のロックねじ40の作動によって脊椎ロッド20及びクロスバー30両方を係止することを可能にする。
図4は、コネクタ10のこの機能を例解するのを支援する。ロックねじ40が(例えば、ねじ山の相互作用を介して)ロックねじスロット80内に締め付けられると、ロックねじ40は、クロスバースロット70内に位置決めされたクロスバー30に下向きの力を印加する。順応性屈曲ゾーン120がクロスバースロット70と脊椎ロッドスロット60との間に位置しているので、クロスバー30が下向きに押し付けられると、クロスバー30が、スナップ嵌合部材90A、90Bに力を印加し、脊椎ロッドスロット60内の脊椎ロッド20を内向きにクランプする。様々な実装形態では、開口130及び/又は薄化セクション140は、コネクタ10の他のセクションよりも大きい、順応性屈曲ゾーン120の撓みを可能にする。したがって、ロックねじのアクションによって力が印加されると、順応性屈曲ゾーン120が撓んで(又は屈曲して)、ロックねじ40からの下向きの力を脊椎ロッドスロット60におけるクランプ力に変換する。
【0061】
図1~
図4に例解される実装形態などの特定の実装形態では、クロスバースロット70は、コネクタ10の頂部150に露出している。かかる場合、クロスバースロット70は、互いに対向して、コネクタ10の頂部150において接続されていない異なる壁(又はウイング)160によって画定される。壁160A、160Bは、(クロスバースロット70の上に)ロックねじスロット80を画定する雌ねじを含むことができる。これらの場合、クロスバー30は、第2の係合方向(D
e2)において、(例えば、ロックねじスロット80を通して)コネクタ10の頂部150からクロスバースロット70内に装填することができる。これらの実装形態のうちのいくつかでは、コネクタ10は、クロスバースロット70内にクロスバー30を係合させるための少なくとも1つのロックフランジ170をロックねじスロット80に含むことができる。様々な実装形態では、ロックねじスロット80の複数のねじ山は、壁160の間が広がること、及びクロスバースロット70が対応して屈曲することを防止するのを補助するロックフランジ170、例えば、螺旋状フランジのねじ山を含む。すなわち、ロックフランジ170は、ロックねじのねじ山172がロックねじ40に係合して(
図4)、ロックねじ40に対して壁160が広がる(又は半径方向に傾斜する)ことを防止することができる。特定の場合では、ロックフランジ170及びロックねじのねじ山172は、例えば、相補的多面隆起部のように、2つの表面にわたって抵抗を提供するように構成された相補的隆起部又はフックを含む。ロックフランジ170とロックねじのねじ山172との間の相互作用は、(ロックねじの軸方向運動に対する)壁160の半径方向位置を、
図1~
図4及び
図9~
図13に例解されるような、開いた(又は露出した)クロスバースロット構成に維持するのを支援することができる。
【0062】
図5~
図8に例解される例示的なコネクタ10Aなどの追加の実装形態では、クロスバースロット70は、コネクタ10Aの頂部150で閉じられている。これらの場合、環状部材180は、スロット開口190のうちの1つからクロスバー30がスロット80の中又は外にだけ装填することができるように、ロックねじスロット80を画定することができる。特定の実施例では、クロスバースロット70は、非円形である。例えば、
図5及び
図7において特に明確に例解されるように、クロスバースロット70は、第2の係合方向(D
e2)に対して垂直な方向に、丸みを帯びた長方形断面形状を有することができる。いくつかの場合では、クロスバースロット70は、断面形状が非円形、例えば丸みを帯びた長方形又は細長い断面形状である、クロスバー30を収容するように形状設定される。かかるクロスバー30の特定の実施例は、
図14~
図17に例解されている。
【0063】
いくつかの実装形態では、コネクタ10(及び/又は10A)の本体は、モノリシック材料片である。かかる実施例では、コネクタ10の本体は、単一の金属片又は複合材料片を含むことができる。他の場合では、コネクタ10(及び/又は10A)は、複数の異なる構成要素を含む本体を有する。
図9~
図13に例解されるような1つの実施例では、コネクタ10Bは、複数の異なる構成要素を含む。例えば、コネクタ10Aに関して説明されるように、コネクタ10Bは、脊椎ロッドスロット60、クロスバースロット70、及びロックねじスロット80を画定する本体200を含むことができる。これらの実装形態では、脊椎ロッドスロット60は、スナップ嵌合部材90A、90Bと結合するように構成されたインサート210によって更に画定される。インサート210は、球状コレットなどのコレットを含むことができる。特定の実装形態では、インサート210は、コネクタ10Bがロックされたときにクロスバー30がインサート210に接触するように、クロスバースロット70の下部分から脊椎ロッドスロット60内へ延在し、例えば、それによって、クロスバー30がインサート210にロック力を印加する。他の実装形態では、インサート210は、挿入されたときにクロスバー30がインサート210に接触しないように、全体的にクロスバースロット70の下方に(スナップ嵌合部材90A、90Bの間に)位置している。これらの場合、インサート210は、スナップ嵌合部材90A、90Bのクランプ力によって脊椎ロッドスロット60内で保持される。様々な実装形態では、インサート210は、スナップ嵌合部材90A、90B内を枢動及び回転するように構成された球状外面220を有する円弧状部材を含む。インサート210は、例えば、コネクタ10Bがロック解除されたときに、異なる脊椎ロッドの角度に対応するための1以上の自由度を可能にするように構成され得る。様々な実装形態では、インサート210は、例えば、第1の係合方向(D
e1)を第2の係合方向(D
e2)に対して修正することによって、コネクタ10Bを脊椎ロッド20に対して軸外に位置決めすることを可能にする。いくつかの場合では、スナップ嵌合部材90A、90Bは、インサート210の球状外面220と相互作用して、インサート210の移動を制限するように構成された少なくとも1つの平面(又は平面セクション)230を含むことができる。特定の場合では、インサート210は、スナップ嵌合部材90A、90Bに対するインサート210の移動を制限するように構成された少なくとも1つの平面(又は平面セクション232)を更に含む。様々な実装形態では、インサート210は、例えばスナップ嵌合接続で、脊椎ロッド20を保持するように構成された、アーム250上の少なくとも1つのリップ240を含む。コネクタ10及び10Aと同様に、コネクタ10Bは、単一のロックねじアクションによって、脊椎ロッドスロット60内の(例えば、インサート210内の)脊椎ロッド20及びクロスバースロット70内のクロスバー30両方を同時にロックすることを可能にするように構成され得る。
【0064】
図14~
図17は、特定の実装形態による、クロスバー30の図を例解する。これらの実施例では、クロスバー30は、患者の脊椎正中線50を横断して架かるようにサイズ設定され(
図18、
図19)、固定セクション270及び固定セクション270と除去可能に結合された装填セクション280を有する本体260を含む。特定の場合では、装填セクション280は、固定セクションが脊椎正中線50の両側の一組のチューリップロッドコネクタ10(又は10A、10B)に係合した後に除去可能である。他の場合では、装填セクション280は、クロスバー30をコネクタ10に固設した後に固定セクション270とともに残る。様々な実装形態では、クロスバー30は、脊椎正中線50の両側に位置決めされた異なる脊椎ロッド20間に架かる一組の(例えば、2つ以上の)クロスバーのうちの1つである。いくつかの場合では、本体260は、固定セクション270と装填セクション280との間に、装填セクション280の除去(例えば、スナップオフ除去又はツイストオフ除去)を可能にするための破断ゾーン290を含むことができる。
【0065】
図14~
図17に例解されるように、固定セクション270は、脊椎正中線50を横断する挿入方向(例えば、第1の係合方向D
e1)と位置合わせされている長手方向軸(A
lf)を有する。いくつかの場合では、固定セクション270は、円筒形断面形状を有し得る。他の場合では、固定セクション270は、例えば
図14~
図17に例解されるように、非円筒形の断面形状300を有する。いくつかの実施例では、非円筒形の断面形状300は、楕円形、丸みを帯びた長方形、又はテーパ付き長方形、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの場合では、固定セクション270は、X方向、Y方向、又はZ方向、のうちの少なくとも1つにおいて位置ずれされているチューリップロッドコネクタ10の間で結合することを可能にする隙間を伴って、チューリップロッドコネクタ10(又は10A、10B)の各々のクロスバースロット70に嵌合するようにサイズ設定されている。すなわち、固定セクション270の外形寸法は、スロット70内に配置されたときのクロスバー30の位置合わせ調節を可能にするように、クロスバースロット70の内寸法に対して小さくすることができる。特定の実施例では、固定セクション270の先端部310は、テーパ付きであるか、又は尖形状である。
【0066】
更なる実施例において、固定セクション270は、屈曲可能かつ/又は回転可能である。特定の実施例では、固定セクション270は、屈曲又は回転のうちの少なくとも1つを支援するために、低減させた断面寸法を有するセクション320(「屈曲ゾーン」とも呼ばれる)を含む。固定セクション270はまた、現場で(例えば、セクション320で)屈曲及び回転させるように構成することもできる。特定の実装形態によれば、装填セクション280は、レデューサツール332に係合するための凹部330を含む(
図18)。特定の場合では、凹部330は、固定セクション270の長手方向軸(A
lf)に対して垂直である主軸(A
pr)を有する(
図16)。特定の実施例では、装填セクション280の外形寸法は、少なくとも1つの方向において(例えば、A
prに対して垂直な方向において)、固定セクション270の外形寸法よりも大きい。
【0067】
様々な実装形態は、患者への経皮的後方固定のためのデバイス、システム、及び関連する手法を含む。例えば、
図18及び
図19の状況に見られる手法は、脊椎正中線50の両側を切開することによって、脊椎正中線50を横断するクロスバー(例えば、クロスバー30)を挿入して接続することを含むことができる。いくつかの場合では、本手法は、クロスバー30を脊椎正中線50の第1の側の第1のチューリップロッドコネクタ10及び脊椎正中線50の第2の側の第2のチューリップロッドコネクタ10に接続することを含む。特定の実施例では、クロスバー30を挿入して接続することは、患者の脊椎正中線50を通したいかなる切開(例えば、外部切開)も伴わずに行われる。更なる特定の場合では、クロスバー30を挿入して接続することは、患者の脊椎正中線50の各側に1つの、2つの切開だけによって行われる。これらの場合のうちのいくつかでは、クロスバー30を挿入して接続することは、脊椎正中線50を横断する横方向の皮下挿入によって行われる。本明細書において説明されるように、クロスバー30及び対応する脊椎ロッド20は、単一のロックねじアクションによって、例えばロックねじ40を締め付けてロックねじスロット80のねじ山に完全に係合させることによって、コネクタ10内に固設することができる。コネクタ10は、患者への経皮的後方固定のための手法に対する多数の変形形態を可能にし、それらのうちの特定の実施例が本明細書において説明されている。
図18及び
図19を参照すると、特定の実装形態では、コネクタ10を脊椎ロッド20に結合するために、レデューサツール332(例えば、レデューサタワー)を使用することができる。様々な実装形態では、ロッド挿入器334を使用して、脊椎正中線50を横断するクロスバー30を挿入して、例えば、正中線50の両側のチューリップロッドコネクタ10と接続することができる。追加の実装形態では、又は相補的シナリオでは、パイルドライバレデューサ336を使用して、ロックねじ40をロックねじスロット80内に固設するのを支援すること、例えば、クロスバー30及び脊椎ロッド20をコネクタ10内に固設することができる。追加の任意選択的な実装形態では、患者の脊椎突起及び/又は内部有棘靭帯を通してクロスバー30を導くのを支援するように、鉗子を使用することができる。
【0068】
図20~
図22は、経皮的後方固定の方法におけるプロセスを例解するフロー図である。
【0069】
図20は、いくつかの実装形態による、患者への経皮的後方固定の方法におけるプロセスを例解するフロー図である。引き続き
図18及び
図19を参照すると、本方法は、
P1:第1のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第1の側の第1の脊椎ロッド20に結合するプロセスと、
P2:第2のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第2の側の第2の脊椎ロッド20に結合するプロセスと、
P3:クロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10の第1のクロスバースロット70に挿入するプロセスと、
P4:クロスバー30を第2のチューリップロッドコネクタ10の第2のクロスバースロット70に挿入するプロセスと、
P5:第1のロックねじ40によってクロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、
P6:第2のロックねじ40によってクロスバー30を第2のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、を含むことができる。
【0070】
図21は、いくつかの実装形態による、患者への経皮的後方固定の方法におけるプロセスを例解するフロー図である。引き続き
図18及び
図19を参照すると、本方法は、
P101:第1のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第1の側の第1の脊椎ロッド20に結合するプロセスであって、第1のチューリップロッドコネクタ10が、第1のクロスバースロット70を含む、結合するプロセスと、
P102:クロスバー30を患者の脊椎正中線50の第2の側の第2のチューリップロッドコネクタ10の第2のクロスバースロット70に挿入するプロセスと、
P103:第2のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第2の側の第2の脊椎ロッド20に結合するプロセスと、
P104:クロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10の第1のクロスバースロット70に挿入するプロセスと、
P105:第1のロックねじ40によってクロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、
P106:第2のロックねじ40によってクロスバー30を第2のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、を含むことができる。
【0071】
図22は、いくつかの実装形態による、患者への経皮的後方固定の方法におけるプロセスを例解するフロー図である。引き続き
図18及び
図19を参照すると、本方法は、
P201:第1のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第1の側の第1の脊椎ロッド20に結合するプロセスと、
P202:第1のチューリップロッドコネクタ10の第1のクロスバースロット70のクロスバー30を結合するプロセスと、
P203:第1のロックねじ40によって、クロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、
P204:第2のチューリップロッドコネクタ10を患者の脊椎正中線50の第2の側の第2の脊椎ロッド20に結合するプロセスと、
P205:クロスバー30を第2のチューリップロッドコネクタ10の第2のクロスバースロット70に結合するプロセスと、
P206:第2のロックねじ40によってクロスバー30を第2のチューリップロッドコネクタ10に固設するプロセスと、を含むことができる。
【0072】
これらの実施例のうちのいくつかでは、クロスバー30を第1のチューリップロッドコネクタ10に固設することは、第2のチューリップロッドコネクタ10を脊椎正中線50の第2の側の第2の脊椎ロッド20に結合する前に行われる。様々な実装形態では、第1のチューリップロッドコネクタ10を第1の脊椎ロッド20に結合すること、及び第1のクロスバースロット70のクロスバー30を結合することは、レデューサタワー(
図18)などのレデューサツール332によって行われる。レデューサツール332は、第1の脊椎ロッド20の方向に対して垂直な方向において、第1のチューリップロッドコネクタ10及びクロスバー30に係合するように構成することができる。特定の実施例では、別のレデューサツール(例えば、ロッド挿入器334)は、クロスバー30を脊椎正中線50の第1の側から脊椎正中線50の第2の側に通すように構成されている。
【0073】
本明細書で述べられるように、最小侵襲性の経皮的後方固定処置は、慣習的に、医療専門家に課題を提示してきた。例えば、最小侵襲性の様式でクロスバー又はクロスコネクタを脊椎ロッドコネクタの間に(例えば、脊椎正中線を横断して)配置することは困難である。特に経皮的処置で利用可能な限られた視界で、軟組織及び脊椎構造体を通してクロスバーをナビゲートすることは困難であり得る。したがって、多くの従来の手法は、軟組織及び脊椎構造体の視覚化を改善するために、患者の正中線を横断した1つ以上の切開を使用する。これらの課題のうちの特定のものは、米国特許第9,610,104号(’104号特許)に説明されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。’104号特許に説明される修正システム及び拡張具構造体とは対照的に、様々な開示された実装形態は、当初の構築処置(並びに修正処置)において有益に展開することができる。更に、開示された実装形態は、単一のロックねじアクションによって、脊椎ロッド及びクロスバーを固設することを可能にし、正中線を横断した接続の効率を有意に改善する。本明細書で述べられるように、様々な開示された実装形態は、最小侵襲性の経皮的脊椎固定処置を可能にすることができる。開示された実装形態は、最小侵襲性の経皮的脊椎固定処置を可能にすることに加えて、固定構造体の現場での組み立てを可能にすることができ、処置の効率を改善し、その結果、外科の時間及び関連するリスクを低減する。
【0074】
様々な実装形態では、互いに「結合される」ものとして説明される構成要素は、1つ以上の境界面に沿って接合することができる。いくつかの実装形態では、これらの境界面は、異なる構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合では、これらの境界面は、堅固に及び/又は一体的に形成された相互接続を含むことができる。すなわち、いくつかの場合では、互いに「結合された」構成要素を同時に形成して、単一の連続した部材を画定することができる。しかしながら、他の実装形態では、これらの結合された構成要素は、別個の部材として形成することができ、その後に、既知のプロセス(例えば、はんだ付け、締結、超音波溶接、接着)を通して接合することができる。様々な実装形態では、「結合される」ものとして説明される電子構成要素は、これらの電子構成要素が互いにデータを通信することができるように、従来の有線及び/又は無線手段を介して連結することができる。追加的に、所与の構成要素内の副構成要素は、必ずしも例解され得るわけではない従来の経路を介して連結されているとみなすことができる。
【0075】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書における「又は」というあらゆる記述は、別途記載のない限り、「及び/又は」を包含することが意図されている。本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、別途記載のない限り、「約」、「ほぼ」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、実施形態に応じて、±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、±10%、±11%、±12%、±14%、±15%、±16%、±17%、±18%、±19%、又は±20%以下の変動を指す。更なる非限定的な例として、約100ミリメートルは、実施形態に応じて、95ミリメートル~105ミリメートル、90ミリメートル~110ミリメートル、又は85ミリメートル~115ミリメートルの範囲を表す。
【0076】
本明細書において説明される発明的特徴は、目的を達成するための好適な実施形態に関して説明されているが、当業者は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、これらの教示の観点から変形形態が達成され得ることが認識されるであろう。また、本発明は、脊椎用途における好ましい使用に従って説明されているが、外科的固定、例えば、長骨の固定が望まれる様々な他の用途に適用され得ることが認識されるであろう。
【0077】
いくつかの実装形態を説明してきた。それでもなお、本明細書において説明される発明概念の範囲から逸脱することなく追加の修正が行われ、したがって、他の実装形態が以下の特許請求の範囲の範囲内であることが理解されるであろう。
【外国語明細書】