(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127851
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】アンカ爪及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240912BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034573
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】63/450711
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/592702
(32)【優先日】2024-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ダブリュー バウリーズ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス エル.オヴロム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン リリッグ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL34
(57)【要約】
【課題】損傷又は劣化した脊椎骨の人工インプラントによる置換の成功は、脊椎に対する固有の応力、並びにデバイスに応答する身体の生物学的特性の考慮及び理解を伴うことができる。
【解決手段】様々な実装形態は、本開示に記載されるアンカ爪、固定装置、脊椎固定システム、及び関連する方法を含む。いくつかの実装形態は、椎体間融合処置のための固定爪を含み、固定爪は、遠位端から近位端まで延在する弓状の主軸を有する本体と、を含み、本体は、ねじ係合なしに椎体間への固定爪の完全な挿入及び除去を可能にする外面を有し、本体は、本体の長さの大部分に広がる細長い凹部を更に含み、細長い凹部は、患者へ挿入する間に組織又は骨のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むようにサイズ決めされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体間融合処置のための固定爪であって、
遠位端から近位端まで延在する弓状の主軸を有する本体を備え、
前記本体は、ねじ係合なしに椎体間への前記固定爪の完全な挿入及び除去を可能にする外面を有し、
前記本体は、前記本体の長さの大部分に広がる細長い凹部を含み、前記細長い凹部は、患者へ挿入する間に組織又は骨のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むようにサイズ決めされる、
固定爪。
【請求項2】
前記外面にはねじ山がない、請求項1に記載の固定爪。
【請求項3】
前記細長い凹部は、前記本体の前記弓状の主軸に沿って延在する、請求項1に記載の固定爪。
【請求項4】
前記本体は、前記細長い凹部に沿って減少した厚さを有する、請求項1に記載の固定爪。
【請求項5】
前記細長い凹部は、前記本体の別個の壁部分の間に広がる、請求項1に記載の固定爪。
【請求項6】
前記別個の壁部分は、前記弓状の主軸を横切って測定された合計幅を有し、前記細長い凹部は、前記弓状の主軸を横切って測定された幅を有し、前記細長い凹部の前記幅に対する前記別個の壁部分の前記合計幅の比は、約0.5:1~約2:1である、請求項5に記載の固定爪。
【請求項7】
前記本体は、前記患者への前記固定爪の挿入を促進するために、前記遠位端の近くに三点ヘッドを含む、請求項1に記載の固定爪。
【請求項8】
前記三点ヘッドの少なくとも1つの点は、前記三点ヘッドの別の他の点に対して遠位にある、請求項7に記載の固定爪。
【請求項9】
前記三点ヘッドの2つの点は、遠位-近位方向にほぼ整列される、請求項7に記載の固定爪。
【請求項10】
前記三点ヘッドは、前記患者へ前記固定爪を挿入する間に切断面を提供する、請求項7に記載の固定爪。
【請求項11】
前記固定爪は、前記患者に挿入される前に爪ガイドに事前装填されるように構成されている、請求項1に記載の固定爪。
【請求項12】
前記本体は、前記椎体間で前記固定爪を安定させるために、前記弓状の主軸に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在するフィンを含む、請求項1に記載の固定爪。
【請求項13】
前記本体の前記近位端は、前記固定爪を前記椎体間から除去するための除去ツールを受け入れるようにサイズ決めされたスロットを含む、請求項1に記載の固定爪。
【請求項14】
前記本体は、前記椎体間上の付勢機構に係合するための、前記スロットに近接した少なくとも1つのほぼ平坦な部分を含む、請求項13に記載の固定爪。
【請求項15】
前記スロットは、キー付き形状を有する、請求項13に記載の固定爪。
【請求項16】
前記キー付き形状は、前記椎体間からの前記固定爪の選択的な装填又は取り外しを可能にする、請求項15に記載の固定爪。
【請求項17】
前記本体は、付加製造される、請求項1に記載の固定爪。
【請求項18】
前記固定爪は、異なるサイズの複数の固定爪のうちの1つであり、前記本体は、前記固定爪のサイズの少なくとも1つのインジケータを含む、請求項1に記載の固定爪。
【請求項19】
前記固定爪は、仰臥位前方側方椎体間融合(ALIF)処置及び側方ALIF処置に適合する、請求項1に記載の固定爪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2023年3月8日に出願された仮出願第63/450,711号の優先権を主張する非仮出願であり、当該仮出願の全体は、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、医療デバイスに関する。より詳細には、本開示は、脊椎手術及び脊椎固定デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎は、人間の生理機能において、可動性、支持、及びバランスにとって重要である。脊椎損傷は、患者にとって消耗的又は致命的であり得る。脊椎における小さな不規則性でさえも、壊滅的な疼痛及び協調の喪失を引き起こし得る。
【0004】
外科的処置は、一般に、変位した、損傷した、又は変性した椎間板の問題を矯正するために行われる。一般に、脊椎融合処置は、罹患又は損傷した椎間板の一部又は全部を除去し、得られた椎間板空間に1つ以上の椎間インプラントを挿入することを含む。損傷又は劣化した脊椎骨の人工インプラントによる置換の成功は、脊椎に対する固有の応力、並びにデバイスに応答する身体の生物学的特性の考慮及び理解を伴うことができる。
【発明の概要】
【0005】
上記の必要性及び他の必要性は、本開示に記載されるアンカ(又は固定)爪(アンカ又は固定「ブレード」とも呼ばれる)、固定装置、脊椎固定システム、及び関連する方法の実施形態によって対処される。下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0006】
いくつかの実装形態は、椎体間融合処置(interbody fusion procedure)のための固定爪を含み、爪は、遠位端から近位端まで延在する弓状の主軸を有する本体と、を有し、本体は、ねじ係合なしに椎体間への固定爪の完全な挿入及び除去を可能にする外面を有し、本体は、本体の長さの大部分に広がる細長い凹部を含み、細長い凹部は、患者へ挿入する間に組織又は骨のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むようにサイズ決めされる。
【0007】
特定の態様では、システムは、患者の脊柱内に配置するための椎体間であって、少なくとも1つの貫通孔を含む椎体間と、少なくとも1つの貫通孔内に配置するようにサイズ決めされた爪と、椎体間内の少なくとも1つの貫通孔に爪を配備するように構成された爪ガイドであって、爪ガイドは、椎体間へのねじ接続なしに爪を配備するための少なくとも1つの付勢機構を含む、爪ガイドとを含む。
【0008】
追加の特定の態様では、患者の脊柱内に椎体間を配置する方法は、患者の脊柱内の椎間板の間に椎体間を挿入することと、椎体間及び患者の脊柱に係合するように配置された爪を爪ガイドに事前装填することと、椎体間を患者の脊柱に固定するために爪を爪ガイドから配備することとを含み、爪は、本体の長さの大部分に広がる細長い凹部を有する本体を有し、細長い凹部は、爪を患者の脊柱内に配備する間に組織又は骨のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むようにサイズ決めされる。
【0009】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0010】
特定の例では、本体の外面にはねじ山がない。場合によっては、本体のねじ山のない外面は、椎体間と、患者の椎体及び/又は椎骨とのねじ山のない係合を可能にする。
【0011】
特定の態様では、細長い凹部は、本体の弓状の主軸に沿って延在する。特定の態様では、細長い凹部は、患者の脊柱内への爪の配備中に、患者の組織及び/又は骨の一部を包み込み、捕捉し、及び/又は収容する。特定の実施例において、凹部は、組織及び/又は骨の一部を収容するように作用することができる。更なる実施例では、凹部は、骨の塑性変位を防止するように、例えば、骨のポケットを捕捉するようにサイズ決めされる。
【0012】
場合によっては、本体は、細長い凹部に沿って減少した厚さを有する。
【0013】
特定の実装形態では、細長い凹部は、本体の別個の壁部分の間に広がる。
【0014】
いくつかの態様では、別個の壁部分は、弓状の主軸を横切って測定された合計幅を有し、細長い凹部は、弓状の主軸を横切って測定された幅を有し、細長い凹部の幅に対する別個の壁部分の合計幅の比は、約0.5:1~約2:1である。
【0015】
特定の実装形態では、本体は、患者への固定爪の挿入を促進するために、近位端の近くに三点ヘッドを含む。
【0016】
ある場合には、三点ヘッドの少なくとも1つの点は、三点ヘッドの別の他の点に対して近位にある。
【0017】
いくつかの態様では、三点ヘッドの2つの点は、遠位-近位方向にほぼ整列される。
【0018】
特定の態様では、三点ヘッドは、患者へ固定爪を挿入する間に切断面を提供する。
【0019】
いくつかの実装形態では、固定爪は、患者に挿入される前に爪ガイドに事前装填されるように構成される。
【0020】
ある場合には、本体は、椎体間で固定爪を安定させるために、弓状の主軸に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在するフィンを含む。
【0021】
いくつかの実装形態では、本体の近位端は、固定爪を爪ガイドから除去するための除去ツールを受け入れるようにサイズ決めされたスロットを含む。
【0022】
特定の態様では、本体は、椎体間上の付勢機構に係合するための、スロットに近接した少なくとも1つのほぼ平坦な部分を含む。
【0023】
場合によっては、スロットはキー付き形状を有する。
【0024】
特定の態様では、キー付き形状は、爪ガイドからの固定爪の選択的な装填又は取り外しを可能にする。
【0025】
特定の実装形態では、本体は付加製造される。
【0026】
いくつかの態様では、固定爪は、異なるサイズの複数の固定爪のうちの1つであり、本体は、固定爪のサイズの少なくとも1つのインジケータを含む。
【0027】
ある場合には、固定爪は、仰臥位前方側方椎体間融合(ALIF)処置及び側方ALIF処置に適合する。
【0028】
特定の態様では、少なくとも1つの付勢機構は、少なくとも1つの貫通孔への爪の配備を制御する第1の付勢機構を含む。
【0029】
場合によっては、少なくとも1つの付勢機構は、爪ガイドからの爪の意図しない放出を防止する第2の付勢機構を更に含む。
【0030】
特定の実装形態では、少なくとも1つの付勢機構は、爪が爪ガイド内に固定されているという可聴フィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供する。
【0031】
いくつかの態様では、システムは、爪ガイドに係合するための挿入器と、爪を椎体間内に配備するために挿入器に結合されたインパクタとを更に含む。
【0032】
特定の場合には、爪ガイドは、挿入器上の相補的ロック機構と係合するためのロック機構を更に含む。
【0033】
ある態様では、ロック機構は、マルチセグメントスロットを含み、相補的ロック機構は、マルチセグメントスロットの一部を相補するタブを含む。
【0034】
特定の実装形態では、配備中、インパクタは、爪ガイド内のスロットを通して爪を駆動する。
【0035】
場合によっては、インパクタは、爪の主軸に対して軸外である主軸を有する。
【0036】
ある場合には、爪ガイドは、爪の配備中に椎体間の位置を制御するための深さ止めを含む。いくつかの例では、深さ止めは、面一構成又はさら穴構成のために除去可能、及び/又は可逆的である。
【0037】
場合によっては、システムは、非ねじ機構を介して爪の近位端に係合するための除去ツールを更に含む。
【0038】
いくつかの態様では、除去ツールは、第1の配向で爪の近位端のキー付きスロットと係合し、第2の配向で爪の近位端のキー付きスロットと係合解除するようにサイズ決めされた突起を含む。
【0039】
特定の実装形態では、椎体間は保持特徴を含み、除去ツールは更に、椎体間から爪を除去することを可能にするために保持特徴に係合するためのリッジを含む。
【0040】
場合によっては、爪は、患者に挿入される前に爪ガイドに事前装填されるように構成される。
【0041】
ある実装形態では、本体は、椎体間で爪を安定させるために、弓状の主軸に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在するフィンを含む。
【0042】
場合によっては、システムは、患者の脊柱内に椎体間を固定する方法において使用される。
【0043】
特定の実装形態では、爪ガイドに爪を事前装填することは、爪ガイド内の貫通孔に爪を挿入することを含み、爪ガイドは、爪を保持するための少なくとも1つの非ねじ付勢機構を有する。ある場合には、貫通孔への爪の挿入は、手で行われる。
【0044】
場合によっては、爪ガイド内の少なくとも1つの貫通孔を通して爪を配備することは、インパクタを用いて行われ、インパクタは、挿入中に爪の主軸の軸外にある主軸を有する。
【0045】
本概要の項に記載される特徴を含む、本開示に記載される2つ以上の特徴は、本明細書に具体的に記載されていない実装形態を形成するために組み合わされ得る。
【0046】
上記は、特許請求される主題のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概観ではない。主要な又は重要な要素を特定すること、又は特許請求される主題の範囲を線引きすることは意図されていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【0047】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において記載される。他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び図面から、並びに「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】様々な実装形態による固定爪の斜視図である。
【0049】
【
図2】様々な実装形態による異なるサイズの固定爪を示す。
【0050】
【
図3】様々な実装形態による固定爪と結合された椎体間の第1の斜視図を示す。
【0051】
【
図4】
図3の椎体間及び固定爪の第2の斜視図を示す。
【0052】
【
図5】患者から除去された後の固定爪及び椎体間を示す。
【0053】
【
図6】種々の実装形態による、2つの位置における除去ツール及び爪の端部分を図示する。
【0054】
【
図7】様々な実装形態による除去ツールの斜視図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【
図10】様々な実装形態による爪ガイド及び爪の部分断面図を示す。
【
図11】様々な実装形態による爪ガイド及び爪の部分断面図を示す。
【
図12】様々な実装形態による爪ガイド及び爪の部分断面図を示す。
【0058】
【
図13】様々な実装形態による深さ止めを示す爪ガイドの斜視図である。
【0059】
【0060】
【
図16】異なる配向にある深さ止めを示す爪ガイドの側面図である。
【0061】
【
図17】様々な実装形態による、挿入器を爪ガイドに結合するプロセスを示す。
【0062】
【
図18】様々な実装形態による方法におけるプロセスを示す流れ図である。
【0063】
様々な実装形態の図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図するものであり、したがって、実装形態の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
椎体間融合処置(interbody fusion procedures)のためのデバイス及び技術の種々の例示的実施形態が、本明細書に説明される。明確にするために、実際の実装形態の全ての特徴が必ずしも本明細書で説明されるわけではない。当然のことながら、あらゆるこのような実際の実施形態の開発において、実装形態ごとに変動し得るシステム関連及びビジネス関連の制約への準拠などの開発者の具体的な目標を達成するために、実装形態に特有の多数の決定がなされなければならないことを理解されたい。また、このような開発努力は、複雑であり得時間がかかり得るが、本開示の利益を有する当業者にとっては、慣例的な仕事であることを理解されたい。本明細書で説明されるデバイス、関連システム、及び方法は、個別にも、組み合わせても、特許保護を保証する様々な発明的特徴及び構成要素を有する。
【0065】
本発明の開示された実施形態の任意の所与の要素は、単一の構造、単一のステップ、単一の物質などで具現化され得ることを理解されたい。同様に、開示された実施形態の所与の要素は、複数の構造、ステップ、物質などにおいて具現化され得る。
【0066】
本開示は、少なくとも部分的に、患者への挿入中に組織及び/又は骨を少なくとも部分的に取り囲む細長い凹部を有する爪(nail)を有益に組み込む、椎体間融合処置のための固定爪、関連する固定(又はアンカ)システム、方法、及び装置を提供する。本開示は、爪を椎体間内の少なくとも1つの貫通孔に配備するように構成され、爪を椎体間へのねじ接続なしに配備するための少なくとも1つの付勢機構を含む爪ガイドを更に提供する。爪ガイドには、爪(単数又は複数)を事前装填することができる。開示される様々な実装形態は、従来の融合処置と比較したときに患者の転帰を改善することができる。例えば、開示された態様は、プロセスステップを低減することによって、従来の融合処置に対して手術室効率を改善することができる。開示される態様はまた、従来のデバイス及びシステムと比較して、融合処置のための切開部サイズを低減することができる。更に、開示された態様は、器具の機能性を統合することによって、従来の融合処置と比較して処置の安全性を改善することができる。
【0067】
図中の共通にラベル付けされた構成要素は、例示目的のために実質的に同等の構成要素であるとみなされ、それらの構成要素の重複する説明は、明確化のために省略する。
【0068】
図1は、椎体間融合処置で使用するための固定爪10(「ブレード(blade)」又は単に「爪」とも呼ばれる)の斜視図である。固定爪10は、本体30の近位端40から遠位端50まで延在する弓状の主軸(a
p)を有する本体30を含むことができる。いくつかの非限定的な例では、本体30は付加製造される。様々な実装形態において、本体30は、ねじ係合なしに椎体間70(
図3及び
図4)への爪10の完全な挿入及び除去を可能にする外面60を有する。すなわち、外面60は、様々な実装形態においてねじ山がない。
【0069】
図1は、第1のサイズの固定爪10を示しており、
図2は、様々な追加のサイズの固定爪10を示しており、その各々は、特定の融合処置に利用可能な任意の実用的な数のサイズの例である。いくつかの実施形態では、インジケータ20は、それぞれの固定爪10の異なるサイズに関する情報、例えば、表示されたサイズなどの視覚インジケータ及び/又はサイズの触覚インジケータを提供することができる。ある場合には、固定爪10の色又はパターンは、例えば、互いに及び
図1の爪10と比較して
図2の爪10に示される様々な色(タイプ(a)、(b)、(c))に示されるように、サイズのインジケータである。
【0070】
図3及び
図4は、固定爪10を受け入れて保持するための1セットの貫通孔80を含む椎体間70の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。本明細書で説明するように、爪10は、ねじ係合なしに椎体間70内に完全に挿入(及び保持)することができる。椎体間融合処置において、爪10はまた、例えば、椎体と係合するために、患者に挿入され得ることが理解される。椎体間融合処置の更なる詳細は、例えば、PCT出願第US2022/023224号(Spinal Implant with Flexible Screw Lock Mechanism、2022年4月3日出願)に説明されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
図1に戻ると、爪10の本体30は、本体30の長さ(L)に広がる細長い凹部90を含む。いくつかの実施形態では、細長い凹部は、Lの大部分に広がる。いくつかの例では、細長い凹部90は、Lの50パーセントにわたって広がり、追加の場合では、Lの60パーセント超、更に別の場合には、Lの70パーセント超、追加の場合には、Lの80パーセント超にわたって広がる。様々な実装形態において、細長い凹部90は、本体30の弓状の主軸(a
pn)に沿って延在する。細長い凹部90は、患者への挿入中に組織及び/又は骨を少なくとも部分的に取り囲むようにサイズ決めされてもよい。例えば、細長い凹部90は、組織及び/又は骨を包み込み、捕捉し、及び/又は収容するように、組織及び/又は骨を貫通するようにサイズ決めされてもよい。
図5の患者から除去された爪10及び椎体間70の画像に示されるような特定の例では、細長い凹部90は、骨及び/又は組織(示される組織)100を包み込み、捕捉し、及び/又は収容することができる。特定の場合において、爪10は、組織100を変位させることなく、その組織を捕捉するか、又はさもなければ包み込むことができ、例えば、組織100及び/又は骨を塑性変位させることなく係合することができる。細長い凹部90は、組織及び/又は骨の塑性変位を防止又は別様に軽減するように、例えば、それが椎体の中に挿入されると、その組織及び/又は骨のポケットを捕捉するようにサイズ決めされることができる。ある場合には、本体30は、細長い凹部90に沿って減少した厚さを有する。例えば、細長い凹部90は、本体30(
図1)の別個の壁部分110、120の間に広がることができる。これらの場合において、壁部分110、120は、例えば、弓状の主軸(a
p)に対して垂直な方向に測定されるように、本体30のベース部分132より小さい厚さを有することができる。換言すれば、細長い凹部90は、弓状の主軸(a
pn)を横切って測定される幅(w
er)を有し、細長い凹部90の幅(w
er)に対する別個の壁部分110、120の合計幅の比は、約0.5:1~約2:1である。
【0072】
特定の例では、本体30は、患者への(例えば、骨及び/又は組織100への)固定爪10の挿入を促進するために、遠位端50の近くに三点ヘッド130を有する。ある場合には、三点ヘッド130の少なくとも1つの点140は、三点ヘッド130の別の点150に対して遠位にある。一実施例では、三点ヘッド130は、1つの遠位点140と、2つの相対的に近位の点150A、150Bとを含み、例えば、2つの点150A、150Bは、遠位-近位方向に(軸(apn)に沿って)ほぼ整列される。様々な実装形態において、三点ヘッド130は、爪10を患者に挿入する間に切断面を提供する。
【0073】
本明細書に記載されるように、ある場合には、本体30はまた、椎体間70内で爪10を安定させるために、弓状の主軸(a
p)に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在するフィン160を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、フィン160は、ベース132から遠位方向に延在し、凹部90から本体30の反対側に形成される。更に、
図1、
図6及び
図7に示すように、本体30の近位端40は、爪ガイド230(
図8)から爪10を除去するように構成された除去ツール180を受け入れるようにサイズ決めされたスロット170を含むことができる。スロット170は、除去ツール180、例えば、除去ツール180の端部190を受け入れるようにサイズ決めされることができる。
図6は、除去ツール180の端部190とスロット170との相互作用を示す本体30の近位端40の断面を示す。ある場合には、スロット170は、爪ガイド230からの爪10の選択的な装填又は取り外しを可能にするキー付き形状を有する。例えば、キー付き形状は、除去ツール180の端部190を受け入れ、端部190の挿入及び除去を可能にするようにサイズ決めされる第1のスロット200と、第1のスロット200に隣接し、例えば、爪ガイド230から除去するために、端部190を爪10と結合するように端部190に係合するようにサイズ決めされる第2のスロット210とを含むことができる。これらの場合、第1のスロット200は、第1の配向における爪に対する端部190の移動を可能にし(ロック解除)、第2のスロット210は、第2の配向における爪10に対する端部190の移動を制限する(ロック)。いくつかの例では、第1の配向及び第2の配向は、互いにほぼ垂直であり、言い換えれば、互いに対して約90度ずれている。
【0074】
図8は、1つ以上の爪10を椎体間70内に配備するための爪ガイド230と共に挿入器220を含むシステムを示す。様々な実装形態において、挿入器220は、爪ガイド230上の対応するスロット234を通過し、椎体間70の対応するスロット236に係合するためのプローブ232(又は内側シャフト)を含む。例えば、
図14及び
図15に示すように、挿入器220をスロット234に通すとき、挿入器220のシャフト(例えば、外側シャフト)238は、爪ガイド230に係合するように構成される。したがって、係合されると、椎体間70、爪ガイド230、及び挿入器220は、互いに対して固定される。
図8はまた、爪ガイドのスロット242に係合し、(事前装填された)爪(単数又は複数)10を爪ガイド230から椎体間70に配備するための1セットの(例えば、2つの)インパクタ240を示す。
図9は、爪ガイド230及び挿入器220の本体の拡大図を示す。本明細書で述べるように、爪(単数又は複数)10は、患者に挿入する前に爪ガイド230の爪スロット(単数又は複数)250に事前装填されるように構成されている。特定の例では、爪ガイド230は、爪ガイド本体の上部及び底部の各々に1つずつ、2つの爪スロット250を含む。ある場合には、融合処置中に、椎体間70は、爪(単数又は複数)10を配備して椎体間70を脊柱内の定位置に保持する前に、椎骨空間内に配置される(
図3、4)。ある場合には、爪(単数又は複数)10は、爪ガイド230内の爪スロット(単数又は複数)250内に装填され、次いで、爪ガイド230は、椎体間70への爪(単数又は複数)10の送達を促進するように、患者の切開部内に挿入される。本明細書に記載されるように、特定の場合において、爪(単数又は複数)10は、椎体間70を椎骨空間内に配置する前に、爪ガイド230内に(例えば、手によって)装填される。
図10は、爪スロット250内の第1の位置における1つの爪10の配置の詳細を示す爪ガイド230の断面を示す。様々な実装形態において、
図9に示すように、爪ガイド230は、複数の爪10、例えば、椎体間70に配備するための対応する爪スロット250内の2つ以上の爪10を収容するように構成される。
【0075】
図10に戻り、
図11の爪ガイド230内の第1の位置にある爪10(単数又は複数)の斜視図を参照すると、少なくとも1つの付勢機構260は、椎体間70内の貫通孔(単数又は複数)80への爪10の配備を制御する。場合によっては、付勢機構(単数又は複数)260は、爪10が爪ガイド230内に固定されているという可聴及び/又は触覚フィードバック、例えば、爪10が付勢機構(複数可)260によって固定されていることを示す力-放出(force-and-release)機構及び/又は可聴クリック音を提供する。特定の例では、第1の付勢機構260Aは、貫通孔80(
図9)への爪10の配備を制御する。更なる例では、第2の付勢機構260Bは、爪ガイド230からの爪10の意図しない放出、例えば、爪10を爪スロット250から後退させる意図しない放出を防止する。いくつかの例では、付勢機構(単数又は複数)260のうちの少なくとも1つは、爪10の表面に係合するためのバネ又は後退可能な突起を含む。他の例では、付勢機構(単数又は複数)260は、例えば、十分な垂直力が付勢機構260に加えられたときに爪10が通過することを可能にする、形状に戻るバネ様の性質を有する任意の変形可能な構成要素を含む。
図10~
図12に示すようなある場合には、各付勢機構260は、係合時に爪10の一部に接触して爪スロット250内での移動を制限するが、十分な力が加えられると(例えば、インパクタを介して)爪10が付勢機構260を通過することを可能にするように構成された弓状接触面262を含む。特定の例では、
図9に示すように、爪10は、例えば手で爪スロット250に装填することができ、付勢機構260Bは、意図しない後退(スロット250の後方(近位)端部からの放出)を防止し、付勢機構260Aは、スロット250の前方(遠位)端部からの意図しない放出を防止する。2つの付勢機構260A、Bは、協働して爪10をスロット250内に固定し、がたつき及び/又は放出を防止することができる。様々な実装形態では、
図11及び
図12に示すように、付勢機構260Bは、インパクタ240が爪10に係合して爪10をスロット10の遠位端を通して配備することができるように、爪10をスロット250内の十分な深さに保持する。特定の場合には、配備中に、爪10に対するインパクタ240の力は、付勢機構260Aに打ち勝って爪10がスロット250の遠位端から椎体間70内のスロット80内に配備されることを可能にするのに十分である。
【0076】
図12は、爪10が第2の位置にある、すなわち爪ガイド230から椎体間70(図示せず)内への配備中の爪ガイド230の断面を示す。ある場合には、配備中に、インパクタ240は、爪10を爪スロット250を通して椎体間70内の貫通孔80へと駆動する。いくつかの例では、例えば、
図11及び
図12に示されるように、インパクタ240は、爪10の主軸(a
pn)に対して軸外である主軸(a
pi)を有する。すなわち、インパクタ240の主軸(a
pi)は、ほぼ線形又は直線であるが、爪10の主軸(a
pn)は、例えば爪スロット250の弓状形状を補完するように弓状である。更に換言すれば、インパクタ240がスロット170に対して中心を外れて(例えば、軸方向に中心を外れて)スロット170に近接する本体30のほぼ平坦な部分270に接触するように、インパクタ240の主軸(a
pi)はまた、本体30の近位端40に対してオフセットされる。ある場合には、本体30のほぼ平坦な部分270は、付勢機構260の少なくとも1つ、例えば、第2の付勢機構260Bと係合することによって、爪10を爪スロット250内に保持するのを助けるように構成される。特定の場合において、本体30のほぼ平坦な部分270は、爪ガイド230への初期装填後に第2の付勢機構260Bに係合し、ほぼ平坦な部分270上の表面280は、スロット250の遠位端からの爪250の配備中に第1の付勢機構260Aに係合するように配置される。
【0077】
特定の実装形態では、例えば
図13~
図16に示すように、爪ガイド230は、爪10を椎体間70内に配備する間に椎体間70の位置を制御するように構成された深さ止め290を更に含むことができる。ある場合には、
図15に示されるように、深さ止め290は、例えば、深さ止め290の遠位表面が椎体に接触して椎体間70の移動を制限する場合に、椎体間70の過剰配備を防止するように位置付けられる。深さ止め290は、挿入器220が干渉なしに通過することを可能にするようにサイズ決めされた内部スロット292を含むことができる。特定の場合、例えば、
図16に示すように、深さ止め290は、面一構成及び/又はさら穴構成のために除去可能及び/又は可逆的である。これらの場合、深さ止め290は、少なくとも2つの配向で爪ガイド230内の深さ止めスロット300に嵌合するようにサイズ決めされる。第1の配向(a)において、深さ止め290は、椎体間70の挿入を第1の深さ(爪ガイドの近位-遠位深さに沿って測定される)に制限し、第2の配向(b)において、深さ止め290は、椎体間70の挿入を第2の別個の深さに制限する。更なる例では、システムは、異なるサイズの異なる爪ガイド230を収容するように構成することができ、各々が対応するサイズの深さ止め290を有する。いくつかの実装形態によれば、別個のサイズの深さ止め290(すなわち、インサート)の各々は、そのサイズの深さ止め290に対応しない爪ガイド230への装填を防止する嵌合特徴を含む。例えば、各深さ止め290は、1つのみのサイズのスロット300への深さ止め290の装填のみを可能にすることができる、配向依存嵌合特徴などの「誤り防止」又は「ポカヨケ」特徴を含むことができる。特定の例では、深さ止め290は、椎体間70を椎体内に装填することができる深さを制限するように構成された非対称突起310を含むことができる。
【0078】
様々な実装形態によれば、例えば、
図17の爪ガイド230の部分透視図に示すように、爪ガイド230はまた、挿入器220上の相補的ロック機構330に係合するように構成されたロック機構320を含む。特に、
図17は、プロセス(i)~(iv)において、挿入器220を爪ガイド230に挿入して係合させるプロセスを示す。様々な実装形態において、挿入器220上のロック機構330は、マルチセグメントスロット340を含み、爪ガイド230上の相補的ロック機構320は、マルチセグメントスロット340の一部を相補するタブ350を含む(例えば、
図9、
図14、及び
図15に示される2つのスロット340及び2つのタブ350)。様々な実装形態において、マルチセグメントスロット340は、異なる配向を有する少なくとも2つの部分、例えば、ほぼ垂直な配向を有する2つの部分を含む。
【0079】
図18は、様々な実装形態による、患者の脊柱内に椎体間70を配置する方法におけるプロセスを示す流れ図である。ある場合には、本方法は、前方側方椎体間融合(ALIF)処置又は側方ALIF処置の一部である。これらの処置は、他の外科的処置に適用可能であり得る、開示される方法及び装置を限定するものではない。
図18及び
図8~
図12の装置を参照すると、本方法の第1のプロセス(P1)は、椎体間70及び患者の脊柱に係合するように配置された爪10を爪ガイド230に事前装填することを含むことができる。本明細書に説明されるように、複数の爪10(例えば、2つ以上)は、単一のプロセスで、例えば、手によって、爪ガイド230内に事前装填されることができる。第2のプロセス(P2)は、患者の脊柱内の椎間板の間に椎体間70を挿入することを含むことができる。椎体間70を患者の脊柱に挿入する態様及び関連する処置は、PCT出願第US2022/023224号(Spinal Implant with Flexible Screw Lock Mechanism、2022年4月3日出願)に説明されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。様々な実装形態では、プロセスP1及びP2は、同時に、又は異なる順序で(例えば、P2がP1の前に)実行され得る。本明細書に記載されるように、爪ガイド230は、爪ガイド230を患者の脊柱に近接した切開部に挿入する前に、爪(単数又は複数)10を装填することができる。
【0080】
様々な実装形態において、例えば、
図8~
図12に示すように、爪ガイド230に爪(単数又は複数)10を事前装填することは、爪10を爪ガイド230の爪スロット250に挿入することを含む。爪10が爪スロット250内に挿入されると、爪10は、第1の付勢機構260Aと係合し、その後、第2の機構260Bと係合して、爪10を爪スロット250内に保持する。本明細書に記載されるように、ユーザは、例えば手で、爪ガイド230の各爪スロット250を通して爪10を挿入することができる。爪(単数又は複数)10を爪スロット250に挿入する前に、その挿入と同時に、又はその後に、挿入器220を爪ガイド230に固定することができ、その結果、インパクタ240の主軸(a
pi)は、挿入中に爪10の主軸(a
pn)と軸外になる。一例では、挿入器220は、爪10を爪スロット250に挿入する前に爪ガイド240と結合される。ある場合には、挿入器220は、爪ガイド230内のスロット234に係合して、挿入器220を爪ガイド230に固定することができる(
図17)。様々な実装形態において、挿入器220上のハンドル360は、プローブ(又は内側シャフト232)を椎体間70内のスロット236と係合させるように作動させることができる。
【0081】
挿入器220が爪ガイド230に固定された後、第3のプロセス(P3)において、インパクタ(単数又は複数)240を使用して爪ガイド230から爪(単数又は複数)10を配備し、椎体間70を患者の脊柱に固定する(
図12)。そのような場合、インパクタ(単数又は複数)240は、爪10を爪ガイド230内の爪スロット250から椎体間70内の貫通孔80内に駆動し、患者に係合するように作動される(例えば、マレット等のドライバツールを介して手動で)。本明細書に記載されるように、細長い凹部90は、組織を実質的に変位させることなく、例えば、組織及び/又は骨を塑性変位させることなく、爪10が患者の組織及び/又は骨を係合することを可能にする。様々な実装形態において、爪10上のフィン160及び平坦な部分270は、例えば
図3及び
図4に示すように、椎体間70に近接する患者の組織及び/又は骨に係合しながら、爪10を椎体間70内に保持するために、椎体間70内の貫通孔80上の保持特徴370に係合することができる。
図3及び
図4に示すような特定の例では、椎体間70への貫通孔80は、開口部80内に配備されると爪10のフィン160及び/又はほぼ平坦な部分270の一部に係合するように構成された保持特徴370、例えば、リップ、偏向可能なラッチ、後退可能なタブ又はバネ要素を含むことができる。例示的な保持特徴370(例えば、リップ)の更なる説明は、参照により本明細書に既に組み込まれているPCT出願第US2022/023224号に開示されている椎体間に関連して説明されている。様々な実装形態において、椎体間70は、爪10と係合し、爪10を患者の組織及び/又は骨と接触した状態でねじ接続なしに保持するように構成される。
【0082】
様々な実装形態において、
図6及び
図7に戻って参照すると、除去ツール180は、非ねじ機構を介して爪ガイド230から爪10を除去するために爪10の近位端40に係合するために使用され得る。例えば、爪10が爪ガイド230に挿入された後、(例えば、異なるサイズの爪と交換するために)その爪10を除去することが望ましい場合がある。爪10の近位端40のキー付きスロット200は、最初に端部190を1つの配向に挿入し、次に端部190を回転させるか又は別の方法で異なる配向に再配向して爪10をキー付きスロット200に係合させることによって、除去ツール180上の端部190と係合させることができる。係合されると、除去ツール180は、爪10を椎体間70から引き抜くために使用され得る。椎体間がラッチロックなどの保持特徴370を含む場合などの様々な実装形態では、除去ツール180は、ラッチロックに係合して爪ガイド230から爪10を除去することを可能にするためのリッジ380を含む。そのような場合、除去ツール180が第2の配向(
図6)に配置されると、リッジ380は、ラッチロック(例えば、保持特徴370)に係合し、除去ツール180によって爪10を椎体間70から引き戻すことを可能にする。
【0083】
本明細書に記載されるように、様々な実装形態に従って開示される固定爪(又はブレード)、システム、及び関連するアプローチは、従来の固定デバイス及びシステムに対して多くの利点を提供する。例えば、開示された固定爪、固定システム、及び方法は、脊椎処置の有効性を高めることができると共に、そのような処置を行う際の操作者(例えば、外科医)の誤りを軽減することができる。開示される固定爪、システム、及びアプローチは、仰臥位前方側方椎体間融合(ALIF)処置及び側方ALIF処置の両方に有益であり得る。様々な開示された実装形態は、U形ジョイントマウント又は骨錐を作動させるための器具、椎体への多段階アクセスを必要とするねじ回しなどの複雑な及び/又は扱いにくい外科用器具の使用を軽減又は回避することができる。例えば、本明細書に開示されるようなねじ結合部を含まない固定爪は、椎体間を患者の骨及び/又は組織に結合する際のねじ回しの使用を軽減又は回避することができる。更に、本明細書に開示されるような凹部を有する固定爪は、椎体間を通して爪を装填するときに、骨及び/又は組織からの抵抗を軽減することができる。更に、本明細書に開示されるものなどの爪の事前装填を可能にする爪ガイドは、外科医又は他の外科専門家が、外科手術アクセスポイント内又はその周囲で行われる外科手術時間及びプロセスを低減することを可能にすることができる。従来のアプローチと比較して、固定爪、爪ガイド、システム及び方法はまた、椎体へのアクセスのための患者へのより侵襲性の低い(例えば、より小さい)切開部を可能にすることができる。
【0084】
様々な実装形態では、互いに「連結」されているとして説明される構成要素は、1つ以上のインターフェースに沿って接合することができる。いくつかの実装形態では、これらのインターフェースは、異なる構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらのインターフェースは、強固に及び/又は一体的に形成された相互接続部を含み得る。すなわち、場合によっては、互いに「連結された」構成要素は同時に形成されて、単一の連続部材を画定することができる。しかしながら、他の実装形態では、これらの連結された構成要素は、別個の部材として形成され得、その後、既知のプロセス(例えば、はんだ付け、締結、超音波溶接、接合)によって接合され得る。様々な実装形態では、「連結された」と記載される電子構成要素は、これらの電子構成要素が互いにデータを通信することができるように、従来の有線及び/又は無線手段を介してリンクさせることができる。更に、所与の構成要素内の下位構成要素は、従来の経路を介してリンクされていると考えることができるが、必ずしも図示されない。
【0085】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書における「又は」への任意の言及は、別段の記載がない限り、「及び/又は」を包含することが意図される。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、特に明記しない限り、「約」、「およそ」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、実施形態に応じて、+/-1%、+/-2%、+/-3%、+/-4%、+/-5%、+/-6%、+/-7%、+/-8%、+/-9%、+/-10%、+/-11%、+/-12%、+/-14%、+/-15%、+/-16%、+/-17%、+/-18%、+/-19%、又は+/-20%以下の変動を指す。更なる非限定的な例として、約100ミリメートルは、実施形態に応じて、95ミリメートル~105ミリメートル、90ミリメートル~110ミリメートル、又は85ミリメートル~115ミリメートルの範囲を表す。
【0086】
本明細書に記載される本発明の特徴は、目的を達成するための好ましい実施形態に関して記載されているが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、これらの教示を考慮して変形が達成され得ることが当業者によって理解される。また、本発明を脊椎用途における好ましい使用に従って説明してきたが、本発明は、外科的固定を所望する様々な他の用途、例えば、長骨の固定に適用することができることが理解されよう。
【0087】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく、追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も、以下の特許請求の範囲内にあることが理解される。
【外国語明細書】