(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127864
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】荷電粒子ビームの較正装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/30 541K
H01L21/30 541W
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024035082
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】23160722.7
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509316578
【氏名又は名称】アイエムエス ナノファブリケーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】エルマー プラッツグマー
【テーマコード(参考)】
5F056
【Fターム(参考)】
5F056AA07
5F056AA33
5F056BA08
5F056BB01
5F056BB02
5F056BB03
5F056BD03
5F056BD04
5F056BD06
5F056CC01
5F056CC02
5F056CC04
5F056EA02
5F056EA03
5F056EA04
5F056EA05
5F056EA06
5F056EA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ターゲットにおける1以上の所望位置に関し荷電粒子ビームの正確な位置を決定する。
【解決手段】ターゲットに関するビームの位置に関し、ビーム較正装置が提供される。ビーム較正装置140は当該装置の位置合わせ構造143に到達する荷電粒子のための検出器145を含む。ビームは、横方向初期偏向によって、該装置の方へ偏向され、位置合わせ構造の少なくとも1つに衝突する。ビームはビーム較正装置にわたってスキャンされ、位置合わせ構造を含む所定の領域をカバーし、検出器を用いてカレント信号として測定され、ビーム較正装置の表面に規定された最適位置に関するビームの中心相対位置を決定する。この最適位置を用いることにより、ビームは偏向補正と組み合わされた初期偏向の反転である反転横方向偏向によって指定ターゲット位置へと戻るよう偏向される。偏向補正は中心相対位置を補償する横方向ビーム位置の補正を表す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子処理装置における荷電粒子のビームを、前記処理装置のターゲット面に対する前記ビームの位置について較正するための方法であって、
前記方法は以下のステップ:
ビーム較正装置を提供し、但し前記ビーム較正装置は前記ビーム較正装置に衝突しかつ前記ビーム較正装置の表面に設けられた少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子のための検出器を含む、そして、前記処理装置のターゲット面に実質的に前記表面を有するよう前記ビーム較正装置を位置決めすること;
前記処理装置において荷電粒子のビームを生成し、但し前記ビームは所定の形状を有する、そして、前記ビームを前記ターゲット面の指定ターゲット位置に結像すること;
所定の横方向初期偏向によって、前記ビームを前記指定ターゲット位置から前記ビーム較正装置へ偏向すること、但し前記横方向初期偏向はビーム方向に対する横方向である、かくして、前記ビームを前記位置合わせ構造の少なくとも1つに衝突させること;
前記ビーム較正装置における前記ビームのスキャンを実行し、かくして、前記少なくとも1つの位置合わせ構造を含む前記ビーム較正装置の所定の領域をカバーすること;
前記スキャン中に前記ビームによって生成される電気カレントを、前記検出器を用いて、測定し、前記領域における位置の関数としてのカレント信号を取得すること;
そのようにして測定された前記カレント信号を評価し、該信号から、前記ビーム較正装置の表面において予め規定された最適位置に対する前記ビームの中心相対位置を決定すること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、同じターゲットにおいて同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置において使用されること、
複数のビーム較正装置が設けられ、かつ、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に位置決めされること、
複数の前記粒子光学カラムの各ビームについて、及び、前記複数のビーム較正装置の夫々に関連付けられた1つのビーム較正装置に関し、前記方法の下記ステップ:ビームを偏向するステップ、スキャンを実行するステップ、及び前記ビームによって生成される電気カレントを測定するステップ、は、夫々に関連付けられたビーム較正装置を用いて実行されること
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズより小さいグリッドピッチを有すること
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズに等しいグリッドピッチを有すること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、
前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記位置のグリッドの互いに異なる複数のサブセットへの所定の区分に基づいて、前記複数のサブセットの1つのサブセットが使用され、かくして、前記ビームは当該1つのサブセットに対応するスキャン位置のみを通るよう偏向されること、
前記スキャンを実行するステップが当該ステップの後続回において繰り返される場合、前記スキャンを実行するステップの後続回は夫々異なる複数のサブセットを使用し、前記複数のサブセットを繰り返すこと
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のサブセットは、実質的に同等であるサブグリッドを表すこと
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、異なるグリッドピッチを有する少なくとも2つのグリッドエリアから構成されること、
より大きいグリッドピッチを有するグリッドエリアは、中心相対位置の決定の質のために重要性がより小さい領域において定められること
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記ビームの互いに異なる複数のビーム部分は、後に実行される対応する複数の較正のために使用されること、
前記複数の較正からそのように決定される夫々の中心相対位置の結果は、歪みマップを導出するために使用されること、前記歪みマップは前記指定ターゲット位置における前記ビームの異なる部分が互いに対しどのように位置付けられるかについて記述すること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のビーム部分を使用した後に実行される前記複数の較正について、ビーム較正装置上の夫々予め定められた位置に配置されている複数の位置合わせ構造が使用されること、
前記複数の位置合わせ構造は、前記複数の位置合わせ構造に投影される際の前記複数の互いに異なるビーム部分の位置と実質的に整列すること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、前記指定ターゲット位置に提供された基板に対する描画プロセス中又はその直前に実行されること
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、前記荷電粒子処理装置のビーム偏向装置によって、前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること
を特徴とする、方法。
【請求項12】
所定のタイプの荷電粒子ビームを較正するためのビーム較正装置であって、
前記ビーム較正装置は、前記所定のタイプの荷電粒子ビームを使用する荷電粒子処理装置において使用されるものであること、
前記ビーム較正装置は、
少なくとも1つの位置合わせ構造(143)が配されている位置合わせ表面(144)、但し前記位置合わせ表面は、前記ビーム較正装置へ放射されるべき前記ビームが沿う軸方向に対し実質的に直角に配向されている、及び、
前記ビームによって照射されたときに出力信号(s1)として前記少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子の量を測定するよう構成された検出器(145)
を含むこと、
前記ビーム較正装置は、前記出力信号(s1)を評価させるために、前記出力信号(s1)を前記ビーム較正装置に接続可能な較正コントローラ(59)へ送信するよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面は、少なくとも1つの位置合わせ構造(143)を備えた自立型(free-standing)膜部材(144)として構成されること、
前記位置合わせ構造は前記位置合わせ表面に衝突する前記荷電粒子に対して透過性であるが、それ以外では前記荷電粒子に対して非透過性であること、
前記検出器(145)は、前記少なくとも1つの位置合わせ構造の下流側に位置付けられており、かつ、前記位置合わせ表面を通り抜ける荷電粒子の量を測定するよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項12に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面には、前記軸方向に沿って見た場合に同じ形状を有する複数の位置合わせ構造が設けられていること
を特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項1~11の何れかに記載の方法において、前記ビーム較正装置は請求項12~14の何れかに記載のビーム較正装置として構成されていること
を特徴とする、方法。
【請求項16】
荷電粒子光学装置内においてターゲット面に位置付けられた同じターゲットに対し同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置であって、
前記荷電粒子光学装置は、更に、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に夫々位置決めされる請求項12~14の何れかに記載の複数のビーム較正装置を含み、
前記複数のビーム較正装置の各々は、前記複数の粒子光学カラムの夫々1つ又は複数の互いに分離した(disjunct)グループの粒子光学カラムの夫々1つと関連付けられていること
を特徴とする、荷電粒子光学装置。
【請求項17】
請求項16に記載の荷電粒子光学装置において、
前記複数のビーム較正装置(90)の各々は夫々の可動ステージ(91)に配されていること
を特徴とする、荷電粒子光学装置。
【請求項18】
請求項16に記載の荷電粒子光学装置において、
前記マルチカラムシステムは、更に、前記ビーム較正装置に接続されかつ前記粒子光学カラムの荷電粒子ビームを較正するために設けられた較正コントローラを含むこと
を特徴とする、荷電粒子光学装置。
【請求項19】
請求項12~14の何れかに記載のビーム較正装置を含む荷電粒子処理装置であって、
前記ビーム較正装置は、前記処理装置においてターゲットの面に又はその近くにおいてかつ前記処理装置によって処理されるべきターゲットのために意図された位置から横方向にずれた位置において縦方向に位置決めされていること、
前記荷電粒子処理装置は、更に、前記ビーム較正装置が接続可能な較正コントローラ(59)を含むこと、
前記較正コントローラは、前記ビーム較正装置に衝突する前記ビームの相対位置に関する位置信号(s2)を受信し、前記出力信号(s1)を前記相対位置の関数として記録し、前記相対位置の関数としての前記出力信号(s1)から前記ビームの最適相対位置を決定するよう構成されていること
を特徴とする、荷電粒子処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2023年3月8日に出願された欧州特許出願第23160722.7号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、マルチビーム荷電粒子処理装置における処理パラメータ(複数)の制御における特定の改善(複数)に関する。より詳しくは、本発明は、荷電粒子の構造化ビームによってターゲットを露光するよう構成された荷電粒子処理装置ないし荷電粒子マルチビーム処理装置において、荷電粒子ビーム、とりわけ電子ビームを較正する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
荷電粒子マルチビーム処理装置においては、粒子ビームは、荷電粒子源において生成され、粒子ビームが貫通通過する多数のブランキングアパーチャからなるアパーチャアレイを含むパターン規定(画定)装置へ指向されかつこれを照射し、そして、ターゲットのビームフィールドの内部においてターゲットに衝突する粒子ビームによって多数のピクセルを露光(曝露)することによってターゲットに所望のパターンを描画するために、投影光学システムによってターゲットへ結像(画像化)される。
【0004】
本出願人は、上記のタイプの荷電粒子マルチビームツールを実現し、かつ、対応する荷電粒子光学系、パターン規定(PD:pattern definition)装置、及びマルチビーム描画方法を、とりわけ、最先端の、193nm液浸リソグラフィのための複合フォトマスク、EUVリソグラフィのためのマスク及びインプリントリソグラフィのためのテンプレート(1×マスク)を実現するための50keV電子マルチビーム描画機を開発した。該システムは、6”(インチ)マスクブランク基板を露光するための、eMET(electron Mask Exposure Tool:電子マスク露光ツール)又はMBMW(multi-beam mask writer:マルチビームマスク描画機)と称される。マルチビームシステムは、シリコンウェハ基板に対し適用される電子ビーム直接描画機(EBDW:electron beam direct writer)のための、PML2(Projection Mask-Less Lithography:投影マスクレスリソグラフィ)と称されている。マルチビームカラム及び描画方法は、マルチビーム検査への適用のためにも使用可能である。
【0005】
図1には、マルチビーム描画機の例示的概略構造が示されている。そのようなリソグラフィ装置は、US6,768,125、EP2 187 427 A1(=US8,222,621)及びEP2 363 875 A1(=US8,378,320)のような、従来技術において周知である。以下において、それらの詳細は、本発明の開示に必要である限りにおいてのみ与えられる。構成要素(複数)は、明確性のために、
図1においては縮尺通りには示されていない。リソグラフィ装置1の主要構成要素は-この例では
図1の紙面の上から下へ進行するリソグラフィビームlb、pbの方向に対応して-荷電粒子源を含む照射システム3、パターン規定(PD)システム4、投影システム5、及びターゲットとして役立つ(使用される)基板16を備えるターゲットステーション6である。装置1全体は、装置の光軸cwに沿ってビームlb、pbの妨げの無い伝搬を確保するために高真空に維持される真空ハウジング2内に収容される。荷電粒子光学システム3、5は静電及び/又は磁気レンズを用いて実現される。
【0006】
照射システム3は、例えば、電子銃7、抽出システム8及びコンデンサレンズシステム9を含む。尤も、電子の代わりに、一般的に、他の荷電粒子も使用可能であることに注意すべきである。荷電粒子は、電子に加えて、例えば、水素イオン又は他のより重いイオン、荷電原子クラスタ、又は荷電分子とすることができる。
【0007】
抽出システム8は、粒子を典型的には数keVの、例えば5keVの定められた(defined)エネルギへと加速する。コンデンサレンズシステム9によって、荷電粒子源7から放出された粒子は、リソグラフィビームlbとして役立つ(使用される)幅広の実質的にテレセントリックな粒子ビーム50へと形成される。リソグラフィビームlbは、次いで、複数の孔ないしアパーチャ24(
図2)を有する複数のプレートを含むPDシステム4を照射する。PDシステム4は、リソグラフィビームlbの経路の特定の位置に保持され、該ビームは複数のアパーチャを照射し、複数のビームレットへ分割される。
【0008】
図2によれば、PDシステム4の複数のアパーチャ24の幾つかは、入射ビームの部分(ビームレット51)がそれらを通過してターゲットへ到達することを可能にするという意味で入射ビームに対して透過性(透明)であるように、「スイッチオン」ないし「オープン」されている;他のアパーチャは「スイッチオフ」ないし「クローズ」されている、即ち、対応するビームレット52はターゲットへ到達することはできず、従って、実質的に、これらのアパーチャ及び/又は孔はビームに対して非透過性(不透明)である。従って、リソグラフィビームlbはパターン化ビームpbへと構造化され、PDシステム4から出射する。スイッチオンされたアパーチャのパターン―リソグラフィビームlbに対して透過性であるPDシステム4の部分のみ―は、ターゲット16に露光されるべきパターンに応じて選択される。なお、ビームレットの「スイッチオン/オフ」は、通常、PDシステム4の複数のプレートの1つに設けられる或る種の偏向手段によって実現されることに注意すべきである:「スイッチオフ」ビームレットは(非常に小さな角度で)それらの経路から逸らされるため、ターゲットへ到達することはできず、リソグラフィ装置のどこかで、例えば吸収プレート11によって、吸収されるだけである。
【0009】
パターン化ビームpbによって表されるようなパターンは、次いで、電磁光学(electro-magneto-optical)投影システム5によって基板16へ投影され、そこで、「スイッチオン」アパーチャ及び/又は孔の画像を形成する。投影システム5は、2つのクロスオーバーc1及びc2を有する、例えば、200:1の縮小を実行する。ターゲットとして使用される基板16は、例えば、6”マスクブランク又は粒子感応性レジスト層17で被覆されたシリコンウェハである。ターゲットはチャック15によって保持され、ターゲットステーション6の基板ステージ14によって位置決めされる。以下において、用語「基板(substrate)」と「ターゲット(target)」は同義に使用され、処理装置におけるターゲット位置に配置された任意の基板を指すものとする。
【0010】
露光されるべきパターンに関する情報は、電子パターン情報処理システム18によって実現されるデータパスによってPDシステム4へ供給される(後述するデータパスの説明も参照)。
【0011】
図1に示した態様では、投影システム5は、静電及び/又は磁気レンズ及び他の偏向手段からなる順次的に配置された複数の電磁光学投影ステージ10a、10b、10cから構成され、例えば、専用の制御コンピュータ又は装置1全体の光学系コントローラ(不図示)の部分である投影コントローラ56によって制御される。これらのレンズ及び手段は、それらの適用は従来技術において周知であるため、模式的形状でのみ示されている。投影システム5は、クロスオーバーc1、c2を介した縮小イメージングを採用する。両ステージに対する縮小率は、数百の全体的縮小、例えば200:1を達成するよう選択される。このオーダーの縮小は、PD装置における小型化の問題を改善するために、リソグラフィ構成について格別に好適である。
【0012】
投影システム5全体には、色及び幾何収差を大幅に補償する措置がされている。画像を全体として横方向に、即ち光軸cwに対し直角をなす方向に沿ってシフトする手段として、偏向手段12a、12b、12cがコンデンサ[照射システム]3及び投影システム5に設けられている。偏向手段は、例えば、ソース抽出システムの近くに(12a)、
図1に偏向手段12bによって示されているような、第1のクロスオーバーの近くに、及び/又は、
図1のステージ偏向手段12cを用いる場合のような、夫々の投影装置の最終レンズ10cの後方(下流側)に位置付けられるマルチポール電極システムとして実現されることができる。この装置では、マルチポール電極構造体は、ステージ運動に対する画像のシフト及び荷電粒子光学系アラインメントシステムと連携するイメージングシステムの補正の両方のための偏向手段として使用される。これらの偏向手段12a、12b、12cは、ストッププレート11と連携して、パターン化ビームpbの選択されたビームレットを「オン」又は「オフ」に切り換えるために使用されるPDシステム4の偏向アレイ手段と混同されるべきではない。なぜなら、前者は粒子ビームを全体としてのみ取り扱うものであるからである。軸方向(アキシャル)磁界を提供するソレノイド13(「エアコイル(air-coil)」)を使用するプログラマブルビーム(複数)の集合体を回転させる可能性も存在する。
【0013】
図2の詳細(縦)断面図において見出すことができるように、PDシステム4は、好ましくは、順次配置構成で積重ねられる3つのプレート:「アパーチャアレイプレート(Aperture Array Plate)」(AAP)20、「偏向アレイプレート(Deflection Array Plate)」(DAP)30及び「フィールド境界アレイプレート(Field-boundary Array Plate)」(FAP)40を含む。用語「プレート(plate)」は夫々の装置の全体的な形状を指し、(1つの)プレートが単一のプレート部品として実現されることを、たとえ後者は通常は具現化の好ましい態様であっても、必ずしも意味しないことに注意することは有益である;尤も、ある態様では、アパーチャアレイプレートのような「プレート」は、複数のサブプレート、例えば、ビームレットのサイズをインサイチュ(in-situ)でスイッチ可能にする2つの可動サブプレート(本出願人のUS 8,546,767参照)から構成されることも可能である。プレート(複数)は、Z方向に沿って所定の相互間距離をなして、互いに対し平行に配置されることが好ましい。
【0014】
AAP20のフラットな上面は、コンデンサ光学系/照射システム11[3]に対する定められた(defined)ポテンシャルインタフェイスを形成する。AAPは、例えば、肉薄の中央部22を有するシリコンウェハの方形又は矩形片(凡そ1mm厚)21から形成され得る。プレートは、水素又はヘリウムイオンを用いる場合にとりわけ有利である導電性保護膜23によって被覆され得る(US 6,858,118参照)。電子又は重イオン(例えばアルゴン又はキセノン)を使用する場合、膜23は21及び22の表面部分によって夫々提供されるシリコンであり得るが、その場合、膜23とバルク部分21、22の夫々との間にはインタフェイスは存在しない。
【0015】
AAP20は、肉薄部22を縦断する孔(複数)として実現される複数のアパーチャ24を備える。図示の態様では、アパーチャ24は、孔(複数)の下方の出口部分25がアパーチャ24の主要部分よりもより幅広となるよう、AP20の膜23に形成される直状の(ストレートな)輪郭形状部とバルク層の「下方拡開(retrograde)」輪郭形状部とを有するよう構成されている。直状輪郭形状部と下方拡開輪郭形状部は両方とも、反応性イオンエッチングのような従来技術の構造化技術によって形成可能である。下方拡開輪郭形状部は、その孔を通り抜けるビームのミラー帯電効果(mirror charging effects)を著しく減じる。
【0016】
DAP30は、それぞれの位置がAAP20のアパーチャ(複数)24の位置に対応する複数の孔33を備えるプレートである。これらの孔33は、当該孔33を通り抜ける個別のサブビームを選択的に夫々の経路から逸らすよう構成された電極35、38を備える。DAP30は、例えば、ASIC回路を備えたCMOSウェハの後処理によって製造されることができる。DAP30は、例えば、方形又は矩形形状を有する一個のCMOSウェハから作られると共に、薄葉化された(但し22の厚みと比べてより厚いことが適切であり得る)中央部32を保持するフレームを形成する肉厚部31を含む。中央部32におけるアパーチャ孔33はアパーチャ24と比べて(例えば各側部において凡そ2μmだけ)より幅が広い。CMOS電子回路34は、MEMS技術によって提供される電極35、38を制御するために使用される。各孔33の近くに、「アース」電極35と偏向電極38が設けられる。アース電極(複数)35は、電気的に相互に接続され、共通のアース電位に接続され、及び、帯電を阻止するための下方拡開(径大)部36とCMOS回路への不所望のショートカットを阻止するための絶縁部37を含む。アース電極35は、シリコンバルク部31及び32と同じ電位にあるCMOS回路34の部分にも接続され得る。
【0017】
偏向電極38は、静電電位(ポテンシャル)が選択的に印加されるよう構成されている;そのような静電電位が電極38に印加されると、この電極は、対応するサブビームに対し偏向を引き起こし、該サブビームをその公称経路から逸らす電界を生成する。電極38も、帯電を回避するために下方拡開(径大)部39を有してもよい。電極38の各々は、その基部において、CMOS回路34の内部の夫々のコンタクト部に接続される。
【0018】
アース電極35の高さ(長さ)は、ビーム間のクロストーク効果を抑制するために、偏向電極38の高さ(長さ)よりも高い(長い)。
【0019】
図2に示されているような下流側へ配向されている電極(複数)を有するDAP30を備えるPDシステム12の配置(構成)は幾つかの可能性の1つに過ぎない。更なるDAP構成、例えば包埋型アース及び偏向電極を備えるもの、は当業者によって容易に案出可能である(US 8,198,601のような本出願人の名義の他の特許(複数)参照)。
【0020】
FAPとして役立つ(使用される)第3プレート40は、下流側の荷電粒子縮小投影光学系の第1レンズ部を指向し(に面し)、従って該投影光学系の第1レンズ16aに対する定義された電位界面(インタフェイス)を提供するフラットな表面を有する。FAP40の肉厚部41は、シリコンウェハの一部からなり、薄葉(肉薄)化中央部42を有する、方形又は矩形フレームである。FAP40は、AAP20及びDAP30の孔24、33に対応するが、これらと比べて幅がより広い複数の孔43を備えている。
【0021】
PDシステム4は、とりわけその第1のプレートであるAAP20は、幅広の荷電粒子ビーム50(ここで「幅広(broad)」のビームは、ビームがAAP20に形成されたアパーチャアレイのエリア全体をカバーするために十分に幅が広いことを意味する。)によって照射され、かくして、ビーム50は、アパーチャ(複数)24を通って送出されると、分割されて、何千本もの(極めて多数の)マイクロメートルサイズ(径)のビーム51となる。ビームレット51及び52は、妨げられることなく、DAP及びFAPを横断する(通過する)ことになる。
【0022】
既述のとおり、偏向電極38がCMOS電子回路によって電力供給されると、偏向電極と対応するアース電極との間に電界が生成され、これにより、その都度通過するビーム52の小さいが十分な偏向が生じる(
図2)。偏向されたビームはDAP及びFAPを妨げられることなく横断する(通り抜ける)ことができる。なぜなら、夫々の孔33及び34は十分に広い幅で形成されているからである。しかしながら、偏向されたビーム52は、サブカラムの遮断プレート15(
図1)において除去される。従って、DAPによって影響を受けないビームのみがターゲットに到達する。
【0023】
荷電粒子縮小光学系5の縮小率は、PD装置4におけるビームの寸法及びその相互間距離及びターゲットにおける構造(複数)の所望の寸法の観点から適切に選択される。これにより、PDシステムにおいてマイクロメートルサイズのビームが可能になる一方で、ナノメートルサイズのビームがターゲットに投影される。
【0024】
AAPによって形成される(影響を受けていない)ビーム51の束は、荷電粒子投影光学系の予め設定された縮小率Rでターゲットに投影される。
【0025】
図2に示された個別ビーム51、52は2次元X-Yアレイに配される極めて多数のサブビーム、典型的には何千本ものサブビームを代表していることに注意することは有益である。
【0026】
MBMWの典型的な一具現化例として、本出願人は、アパーチャアレイプレート(AAP)の4μm×4μmの孔サイズに対応する、ターゲットにおける81.92μm×81.92μmのビームフィールドの内部に20nmビームサイズの512×512(262,144)プログラマブルビームレットについてR=200の縮小率を提供する荷電粒子光学系を有する50keV電子MBMWを既に実現している。実現された描画機システムでは、ターゲットは、例えば、電子ビーム感応性レジストで被覆された6”マスクブランク(面積:6”×6”=152.4mm×152.4mm、厚み:1”/4=6.35mm)で具現化される基板である。更に、本出願人の実現されたシステムでは、マルチビーム描画はレジスト被覆150mmSiウェハにおいて可能である。
【0027】
第一世代MBMW製造ツールは262,144本のプログラマブルビームを全て「オン」にするために凡そ1μAの電流を提供する20nm及び10nmビームの使用を目標としている。それ以降の世代のMBMW製造ツールについては、例えば8nmという一層より小さいビームサイズを使用すると共に、例えば、ターゲットにおいて81.92μm×81.92μmビームフィールドの内部に640×640=409,600本のビームレットを提供する計画がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】US6,768,125
【特許文献2】EP2 187 427 A1
【特許文献3】US8,222,621
【特許文献4】EP2 363 875 A1
【特許文献5】US8,378,320
【特許文献6】US8,546,767
【特許文献7】US6,858,118
【特許文献8】US8,198,601
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明者は、結像エラーの適切な制御は、夫々の描画機システム(荷電粒子処理装置)においてターゲットが位置決めされるべき面(「ターゲット面」)に対するビームの正確な位置を測定するための専用のインサイチュ(in-situ)装置によって改善可能であることを見出した。
【0030】
それ故、本発明の目的は、ターゲットにおける1以上の所望の位置に対する荷電粒子(電子)ビームの正確な位置(positioning)を決定する(求める)ためのアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1の視点において、荷電粒子処理装置における荷電粒子のビームを、前記処理装置のターゲット面に対する前記ビームの位置(positioning)について較正するための方法が提供される。
前記方法は以下のステップを含む:
ビーム較正装置を提供し、但し前記ビーム較正装置は前記ビーム較正装置に衝突しかつ前記ビーム較正装置の表面に設けられた少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子のための検出器を含む、そして、前記処理装置のターゲット面に実質的に前記表面を有するよう前記ビーム較正装置を位置決めすること;
前記処理装置において荷電粒子のビームを生成し、但し前記ビームは所定の形状を有する、そして、前記ビームを前記ターゲット面の指定ターゲット位置に結像すること;
所定の横方向初期偏向によって、前記ビームを前記指定ターゲット位置から前記ビーム較正装置へ偏向すること、但し前記横方向(初期)偏向はビーム方向に対する横方向である、かくして、前記ビームを前記(少なくとも1つの)位置合わせ構造の少なくとも1つに衝突させること;
前記ビーム較正装置における前記ビームのスキャンを実行し、かくして、前記少なくとも1つの位置合わせ構造を含む前記ビーム較正装置の所定の領域をカバーすること;
前記スキャン中に前記ビームによって生成される電気カレント(電流)を、前記検出器を用いて、測定し、前記領域における位置の関数としてのカレント信号を取得すること;
そのようにして測定された前記カレント信号を評価し、該信号から、前記ビーム較正装置の表面において予め規定された最適位置に対する前記ビームの中心相対位置を決定する(求める)こと。
本発明の第2の視点において、所定のタイプの荷電粒子ビームを較正するためのビーム較正装置が提供される。
前記ビーム較正装置は、前記所定のタイプの荷電粒子ビームを使用する荷電粒子処理装置において使用されることが意図されている。
前記ビーム較正装置は、
少なくとも1つの位置合わせ構造が配されている位置合わせ表面、但し前記位置合わせ表面は、前記ビーム較正装置へ放射されるべき前記ビームが沿う軸方向に対し実質的に直角に配向されている、及び、
前記ビームによって照射されたときに出力信号として前記少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子の量を測定するよう構成された検出器
を含む;
前記ビーム較正装置は、前記出力信号を評価させるために、前記出力信号を前記ビーム較正装置に接続可能な較正コントローラへ送信するよう構成されている。
本発明の第3の視点において、荷電粒子光学装置内においてターゲット面に位置付けられた同じターゲットに対し同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置が提供される。
前記荷電粒子光学装置は、更に、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に夫々位置決めされる本発明に応じた複数のビーム較正装置を含み、
前記複数のビーム較正装置の各々は、前記複数の粒子光学カラムの夫々1つ又は複数の互いに分離した(即ち、共通の要素(この場合、粒子光学カラム)を有しない:disjunct)グループの粒子光学カラム(複数)の夫々1つと関連付けられている。
本発明の第4の視点において、本発明に応じたビーム較正装置を含む荷電粒子処理装置が提供される。
前記ビーム較正装置は、前記処理装置においてターゲットの面に又はその近くにおいてかつ前記処理装置によって処理されるべきターゲットのために意図された位置から横方向にずれた位置において縦方向に位置決めされており、
前記荷電粒子処理装置は、更に、前記ビーム較正装置が接続可能な較正コントローラを含み、
前記較正コントローラは、前記ビーム較正装置に衝突する前記ビームの相対位置に関する位置信号を受信し、前記出力信号を前記相対位置の関数として記録し、前記相対位置の関数としての前記出力信号から前記ビームの最適相対位置を決定するよう構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の方法において、
前記方法は、同じターゲットにおいて同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置において使用されること、
複数のビーム較正装置が設けられ、かつ、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に位置決めされること、
複数の前記粒子光学カラムの各ビームについて、及び、前記複数のビーム較正装置の夫々に関連付けられた1つのビーム較正装置に関し、前記方法の下記ステップ:ビームを偏向するステップ、スキャンを実行するステップ、及び前記ビームによって生成される電気カレントを測定するステップ、は、夫々に関連付けられたビーム較正装置を用いて実行されること
が好ましい。
(形態3)形態1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズより小さいグリッドピッチを有すること
が好ましい。
(形態4)形態1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズに等しいグリッドピッチを有すること
が好ましい。
(形態5)形態1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること、
前記スキャンを実行するステップにおいて、
前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記位置のグリッドの互いに異なる(distinct)複数のサブセットへの所定の区分に基づいて、前記複数のサブセットの1つ(のサブセット)が使用され、かくして、前記ビームは当該(1つの)サブセットに対応するスキャン位置のみを通るよう偏向されること、
前記スキャンを実行するステップが当該ステップの後続回(複数)において繰り返される場合、前記スキャンを実行するステップの後続回(複数)は夫々異なる複数のサブセットを使用し、前記複数のサブセットを繰り返すこと
が好ましい。
(形態6)形態5に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のサブセットは、実質的に同等であるサブグリッド(複数)を表すこと
が好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること、
前記グリッドは、異なるグリッドピッチを有する少なくとも2つのグリッドエリアから構成されること、
より大きいグリッドピッチを有するグリッドエリアは、中心相対位置の決定の質のために重要性がより小さい領域において定められること
が好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記ビームの互いに異なる複数のビーム部分は、後に実行される対応する複数の較正のために使用されること、
前記複数の較正からそのように決定される夫々の中心相対位置の結果は、歪みマップ(distortion map)を導出するために使用されること、前記歪みマップは前記指定ターゲット位置における前記ビームの異なる部分が互いに対しどのように位置付けられるかについて記述すること
が好ましい。
(形態9)形態8に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のビーム部分を使用した後に実行される前記複数の較正について、ビーム較正装置上の夫々予め定められた位置に配置されている複数の位置合わせ構造が使用されること、
前記複数の位置合わせ構造は、前記複数の位置合わせ構造に投影される際の前記複数の互いに異なるビーム部分の位置と実質的に整列すること
が好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記方法は、前記指定ターゲット位置に提供された基板に対する描画プロセス中又はその直前に実行されること
が好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、前記荷電粒子処理装置のビーム偏向装置によって、前記位置合わせ構造を横切るよう偏向されること
が好ましい。
(形態12)上記本発明の第2の視点参照。
(形態13)形態12に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面は、少なくとも1つの位置合わせ構造を備えた自立型(free-standing)膜部材として構成されること、
前記位置合わせ構造は前記位置合わせ表面に衝突する前記荷電粒子に対して透過性(透明)であるが、それ以外では前記荷電粒子に対して非透過性であること、
前記検出器は、前記少なくとも1つの位置合わせ構造の下流側に位置付けられており、かつ、前記位置合わせ表面を通り抜ける荷電粒子の量を測定するよう構成されていること
が好ましい。
(形態14)形態12又は13に記載の、とりわけ形態12に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面には、前記軸方向に沿って見た場合に同じ形状を有する複数の位置合わせ構造が設けられていること
が好ましい。
(形態15)形態1~11の何れかに記載の方法において、前記ビーム較正装置は形態12~14の何れかに記載のビーム較正装置として構成されていること
が好ましい。
(形態16)上記本発明の第3の視点参照。
(形態17)形態16に記載の荷電粒子光学装置において、
前記複数のビーム較正装置の各々は夫々の可動ステージに配されていること
が好ましい。
(形態18)形態16又は17に記載の、とりわけ形態16に記載の荷電粒子光学装置において、
前記マルチカラムシステムは、更に、前記ビーム較正装置(複数)に接続されかつ前記粒子光学カラム(複数)の荷電粒子ビーム(複数)を較正するために設けられた較正コントローラを含むこと
が好ましい。
(形態19)上記本発明の第4の視点参照。
【0033】
上記の目的は、荷電粒子処理装置のターゲット面に対する荷電粒子ビームの位置(positioning)に関し、荷電粒子処理装置において荷電粒子ビームを較正するための方法によって達成される。該方法は以下のステップを含む:
ビーム較正装置を提供し、但し前記ビーム較正装置は前記ビーム較正装置に衝突しかつ前記ビーム較正装置の表面に設けられた少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子のための検出器を含む、そして、前記処理装置のターゲット面に実質的に前記装置の表面を有するよう前記ビーム較正装置を位置決めする(位置付ける)こと;
前記処理装置において荷電粒子のビームを生成し、但し前記ビームは所定の形状を有する、そして、前記ビームを前記ターゲット面の指定ターゲット位置に結像すること;
所定の横方向初期偏向によって、前記ビームを前記指定ターゲット位置から前記ビーム較正装置へ偏向すること、但し前記横方向(初期)偏向はビーム方向に対する横方向である、かくして、前記ビームを前記(少なくとも1つの)位置合わせ構造の少なくとも1つに衝突させること;
前記ビーム較正装置における前記ビームのスキャンを実行し、かくして、前記少なくとも1つの位置合わせ構造を含む前記ビーム較正装置の所定の領域をカバーすること;
前記スキャン中に前記ビームによって生成される電気カレント(電流)を、前記検出器を用いて、測定し、前記領域における位置の関数としてのカレント信号(電流信号)を取得すること;
そのようにして測定された前記カレント信号を評価し、該信号から、前記ビーム較正装置の表面において予め規定された最適位置に対する前記ビームの中心相対位置を決定する(求める)こと。
【0034】
更に、有利には、上記の最後のステップで得られる中心相対位置は、偏向補正と組み合わされた初期偏向の反転(inverse)を含む横方向反転偏向(reverse lateral deflection)を用い、ビームを指定ターゲット位置へ戻す偏向のために使用可能であり、ここで、該偏向補正は中心相対位置を補償するための横方向ビーム位置の補正を表す。これは、とりわけ、ビームの横方向位置のドリフトの補償に役立つ。
【0035】
この方法は、ビームの較正位置を決定及び/又は具体化するための効果的なアプローチを提供し、これもまた、荷電粒子処理装置内におけるドリフトの補償を可能にする。ここで、「(位置合わせ構造に)到達する粒子(particles arriving (at the registering structure))」とは、これらの粒子が、測定の信号に寄与する(反映される)よう、夫々の位置合わせ構造の形状に衝突することを意味する。典型的な一特別例では、荷電粒子は電子であることが可能であり、この場合、ビーム較正装置は電子を検出するよう構成される。本発明に応じた方法は、ターゲット位置におけるビームの「歪み(distortion)」を決定するために使用されることも可能である。ここで、「歪み(distortion)」は、ビーム(ビームを構成する異なるビームレット)の領域にわたるフォーカス(合焦)の性質の変化を意味し、従って、ターゲット上にビームによって生成されるイメージフィールドの結像欠陥の存在及び量(程度)をより良好に検出することに貢献することができる。
【0036】
本発明は、とりわけ本発明に応じた方法は、とりわけ以下の発展形態の1つ以上を含むこともできる。
【0037】
有利には、評価を行うステップは、測定された(測定:measured)カレント(電流)信号に対する予め選択された関数のフィッティングを行うこと、最適フィッティングパラメータ(複数)を取得し、それらから(信号強度を位置の関数として表す)信号曲線の中心位置を決定することを含むことができる。
【0038】
多くの形態では、ビームを偏向するステップ及びスキャンを実行するステップは荷電粒子処理装置のビーム偏向装置を用いて実現され(このビーム偏向装置は、典型的には、ターゲット面の上流側に位置付けられる(配置される))、スキャンを実行するステップでは、ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように位置合わせ構造を横切るよう偏向される。このグリッドは、好ましくは、ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズより小さいグリッドピッチ(メッシュ幅)を有するか(例えば、1/2
n倍だけより小さい、ここでnは整数であり、或いは、本出願人のUS 10,651,010の
図8Cに示されているようなダブルセンタ型(double-centered)グリッドラスタの場合は半整数)、又は、そのようなビームレットスポットの公称サイズに等しいグリッドピッチ(メッシュ幅)を有することができる。他の形態(複数)では、グリッドピッチは、ビームレットスポットの公称サイズより大きいことも、例えば2倍のサイズ又は便宜な倍数(例えば2
n倍、nは整数又はダブルセンタ型グリッドラスタの場合は半整数)であることも可能である。
【0039】
更に、とりわけスキャンを実行するステップが複数回のスキャンステップを有するよう繰り返される場合、位置(複数)のグリッドの互いに異なる(distinct)複数のサブセット、但し該複数のサブセットは好ましくは実質的に同等であるサブグリッド(複数)を表す、への所定の(概念的)区分(区分け)に基づき、スキャンを実行するステップの各回において、これらのサブグリッドの1つが使用される;これは、ビームが(1つの回における)夫々のサブセットに対応するスキャン位置を介してのみ偏向されることを意味する;スキャンステップが繰り返される場合、スキャンを実行するステップの後続回(複数)は夫々異なるサブセットを使用し、そのため、サブセットの個数に応じて繰り返しが実行される。更に、スキャンを実行するために使用されるグリッドは、異なるメッシュ幅(複数)を有するグリッドエリア(複数)、即ち、異なるグリッドピッチを有する少なくとも2つのグリッドエリア、から構成されることができる;好ましくは、より大きなグリッドピッチを有するグリッドエリア(複数)は、中心相対位置の決定の質にとって重要性がより小さい領域(複数)において規定される(定められる)。
【0040】
本発明の較正方法は、指定ターゲット位置に提供された基板に対する描画プロセス中又はその直前に適切に実行されることができる。これは、それぞれの描画プロセスの精度の向上を確保(保証)することができ、ドリフトに対する(よる)介入的擾乱的寄与(影響)を妨げる。
【0041】
本発明の較正方法は、マルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置における使用にとって格別に有利である。そのようなシステムは、ターゲット面に位置決めされている(位置付けられている)同じターゲットにおいて同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含む:有利には、複数のビーム較正装置が設けられることができ、ターゲットに対する横方向の位置及び好ましくはターゲットから離れた位置において、ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に位置決めされることができる;複数の粒子光学カラムに属する(これの個数は好ましくはビーム較正装置の個数に対応する)、ビーム(複数)の各々、又は選択されたサブセットのビーム(複数)の各々について、ビームを偏向するステップ、スキャンを実行するステップ及びビームによって生成される電気カレント(電流)を測定するステップという上記の方法ステップは、ビーム較正装置(複数)の夫々1つを用いて実行されることになる。従って、複数のビーム(粒子光学カラム)は複数のビーム較正装置を用いて同時に較正されることができる。
【0042】
本方法の更なる有利な一発展形態は、ビームの複数の互いに異なるビーム部分(これらの部分の各々は1つのビームレット又は1つのグループのビームレット(複数)によって表され得る、但しビーム部分(複数)を表す複数のグループのビームレット(複数)は好ましくは同じ配置に従って配置されている)を使用することができ、これらは、後に(好ましくは、但し必ずしも直後ではない)実行される、対応する回数の較正のために使用される;そして、(上記回数の較正から)そのように決定された夫々の中心相対位置(複数)の結果は、指定ターゲット位置における前記ビームの異なる部分が互いに対しどのように位置付けられるかについて記述する歪みないし歪みマップを導出するために使用される。これは、既述のように、ターゲット位置におけるビームの「歪み」を決定する(求める)ために使用されることができる。とりわけ、上記複数の互いに異なるビーム部分を用いて後に実行される上記回数の較正のために、ビーム較正装置の夫々所定の位置に配置されている複数の位置合わせ構造が使用され、有利には、位置合わせ構造は、該位置合わせ構造へ投影される上記複数の互いに異なるビーム部分の位置(複数)と実質的に整列されている。ここで、「実質的に整列され(substantially aligned)」は、較正の測定(結果)の精度(正確性)を損なわない小さなずれは許容されることを意味する。
【0043】
本発明の更なる一局面は、荷電粒子処理装置において荷電粒子ビーム(とりわけ電子ビームを使用する処理装置における電子ビーム)を較正するためのビーム較正装置に向けられており、該ビーム較正装置は、とりわけ、本発明の方法(の実行)中に使用されるものであり、荷電粒子ビームを使用する荷電粒子処理装置において使用されるものであり、このビーム較正装置は所定のタイプの荷電粒子ビーム(とりわけ電子ビーム)を使用する荷電粒子処理装置において使用されるよう構成/意図されており、ビーム較正装置は特定のタイプの粒子を検出するよう構成されており、及び、ビーム較正装置は、少なくとも1つの位置合わせ構造が配されている位置合わせ表面、但し位置合わせ表面(ないし位置合わせ構造)はビーム較正装置へ照射されるべきビームが沿う軸方向に対し実質的に直角に配向されている;及び、ビームによって照射されたときに出力信号として少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する(典型的には電子であり得る)荷電粒子の量を測定するよう構成された検出器を含む(この場合も、「位置合わせ構造に到達する粒子」はこれらの粒子が測定の信号に寄与する(影響を与える)よう夫々の位置合わせ構造の形状に衝突することを意味する);ビーム較正装置は、出力信号を評価させるために、出力信号をビーム較正ターゲットに接続可能な較正コントローラへ送信するよう構成されている。
【0044】
本発明の装置(複数)はとりわけ以下の発展形態の1つ以上を含むことも可能である。
【0045】
有利には、位置合わせ表面は、少なくとも1つの位置合わせ構造を備えた膜部材として、とりわけ自立型(free-standing)膜部材として、構成されることができ、この場合、そのような位置合わせ構造は、位置合わせ表面に衝突する荷電粒子に対して透過性(透明)であるが、それ以外では前記荷電粒子に対して非透過性である;検出器は、(1つ以上の)位置合わせ構造の下流側に位置付けられて(配置されて)おり、かつ、位置合わせ表面を通り抜ける荷電粒子の量を測定するよう構成されている。
【0046】
更に、位置合わせ表面は、光軸に沿って即ち照射されるビームが沿う(べき)軸方向に見た場合に異なる形状を有し得る又は同じ形状を有し得る複数の位置合わせ構造を適切に備えることができる。
【0047】
更に、本発明は、本発明に応じたビーム較正装置を少なくとも1つ含む荷電粒子光学装置も含む;好ましくは、ビーム較正装置は、処理装置におけるターゲットの面に又はその近くにおいて及び好ましくは処理装置によって処理されるべきターゲットのために意図された位置から横方向にずれたところにおいて縦方向に位置決めされて(位置付けられて)いる;とりわけ、1つ以上のビーム較正装置はターゲットの外部の位置に配されることができる。ここで、「の近くに(close to)」は、(較正)装置が、較正方法に関して結像特性に対し重要な作用(効果)を及ぼさない、関連する面に対し小さな距離の所にあり得ること、とりわけ、縦方向に見たときに、(処理)装置の光学的コンポーネントが(較正)装置とターゲット面との間に存在しないことを意味する。荷電粒子処理装置は、更に、ビーム較正装置が接続可能な較正コントローラを含むことができ、そのような較正コントローラは、ビーム較正装置に衝突するビームの相対位置に関する位置信号を受信し、出力信号を相対位置の関数として記録し、それからビームの最適相対位置を決定する(求める)よう適切に構成されている。
【0048】
荷電粒子光学装置は複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成されることも可能であり、各カラムは、夫々のカラムにおいてターゲットの面に又はその近くにおいて、及び好ましくは夫々のカラムにおけるターゲット位置から横方向にずれた所に(マルチカラムシステムのターゲットの横隣に)おいて、縦方向に夫々位置決め(位置付け)されている本発明に応じた夫々のビーム較正装置を含み、マルチカラムシステムは、好ましくは、粒子光学カラムの荷電粒子ビームを較正するために設けられ、及び有利には夫々のビーム較正装置によって提供される夫々の出力信号及び夫々対応するビーム較正装置に衝突する夫々のビームの相対位置に関する夫々の位置信号を使用する、ビーム較正装置(複数)に接続された較正コントローラを含む。複数の(マルチプル)ビーム較正装置を備えたそのようなシステムにおいては、ビーム較正装置(複数)の全てが固定された配置で配置されることも可能であり、ビーム較正装置(複数)の各々が、シングルカラム(複数)の配置に応じたビーム較正装置(複数)間の位置合わせ不良状態(misalignment)の補正を可能にするために、夫々の可動ステージに配置されることも可能である。複数のビーム較正装置は、好ましくは、ターゲットの面において又はその近くにおいて縦方向に位置決めされることができるだけではなく、ターゲットに対して横方向の位置においても、及び、可能であれば有利には、ターゲットから離れた所においても位置決めされることができる。更に、複数の粒子光学カラムは、好ましくは、同じターゲットにおいて同時に処理を行うよう構成されることができ、この場合、複数のビーム較正装置の各々は、複数の粒子光学カラムの夫々1つと又は互いに分離した(即ち、共通の要素(この場合、粒子光学カラム)を有しない:disjunct)複数のグループの粒子光学カラム(複数)の夫々1つと適切に関連付けられることができ、及び、これらのカラムのうちの夫々関連付けられたカラム(又は、夫々、夫々関連付けられたグループのカラム(複数)の1つ)のための較正を実行するために使用される。
【0049】
以下において、本発明を更に説明するために、図面に示した、例示的かつ非限定的な実施形態(ないし実施例)について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】荷電粒子マルチビームシステムの一例の縦断面図。
【
図2】従来技術のパターン規定システムの一例の縦断面図。
【
図3】本発明の一実施形態に応じたBCTの一例のレイアウト。
図3(A)は縦断面図、
図3(B)は平面図。
【
図4】スキャン中にBCTに投影されたビーム像を伴う
図3のBCTの平面図。
【
図5】位置合わせ構造(registering structures)の好適な形状の幾つかの例。とりわけ、
図5(A)は十字、
図5(B)はL字、
図5(C)は矩形ないし方形、
図5(D)はボックス形状を示す。
【
図6】スリット形状の位置合わせ構造によって生成された一次元信号の一例。
【
図7】十字形状の位置合わせ構造及び点状ビームによって生成された信号プロファイルの一例。
【
図8】十字形状の位置合わせ構造及び2つの異なるサイズの十字形状のビームによって生成された信号プロファイルの例。
【
図9】位置合わせ構造の一例の平面図。エージング(経時劣化)のために、該構造の内側長辺(長手エッジ)に材料が付着している。
【
図10】較正スキャン中に使用されるグリッドポイント(複数)の密グリッド(dense grid)の一例。
【
図11】連結グリッド(interlocking grids)における2つのビームスポットのオーバーラップの一例。
【
図12A】「間引き(thinned-out)」グリッドエリアを含むグリッドの一次元の例。
【
図12B】「間引き(thinned-out)」グリッドエリアを含むグリッドの二次元の例。
【
図13】BCT及びターゲットについての較正方法の一例の偏向(偏位)ベクトル。
【
図14A】位置合わせ構造(複数)のアレイを有するBCTの一例の例示的レイアウト(平面図)。
【
図15A】BCTを含むマルチカラム描画機ツールの模式的縦断面図。
【
図16】各BCTが共通のフレーム内の可動ステージに設けられているマルチプルBCT構成体の一例の詳細図。
【実施例0051】
以下に与えられる本発明の例示的実施形態(複数)の詳細な議論は本発明の基本的思想、具現化及び更なる有利な展開を開示する。本発明の特定の適用に好適であると認められるようなここで議論される実施形態(複数)の幾つか又は全てを任意に組み合わせることは当業者には明らかである。この開示全体において、「有利な」、「例示的な」、「典型的な」、「好ましくは」又は「好ましい」のような用語は、本発明又はその一実施形態に特に好適である―但し不可欠ではない―要素又は寸法を表し、当業者によって好適であると認められる場合であれば、明示的に必須とされない限り、修正可能である。本発明は、本発明の説明の目的のために与えられかつ単に本発明の好適な具体化例(複数)を提示するに過ぎない以下において議論される例示的実施形態(複数)に限定されるものではないことは当然である。この開示の範囲内において、「上」又は「下」のような垂直方向に関する用語は、中心軸(ないし縦軸)に沿って下方に(「垂直に」)進行すると考えられる、電磁レンズを縦断する粒子ビームの方向に関して理解されるべきものである。この縦軸は、一般的には、X方向及びY方向と交差するZ方向によって特定される。
【0052】
電子光学システム
【0053】
本発明の好ましい一実施形態では、ビーム較正方法は、所望のターゲット位置において装置に装填されるマスク基板におけるビームの適切な位置決め(positioning)のために使用されることが、とりわけ、可能である基準点に対する、画像面上の成形化(shaped)荷電粒子(電子)ビームの横方向の位置(positioning)を較正するために、
図1に示されているようなマルチビーム描画機ツールに適用される。本方法は、好ましくは、以下の装置コンポーネントを使用する:
・描画機ツールの電子光学システム5、これはパターン規定装置4によってビーム又はビーム(複数)の束を規定することができる;
・ビーム較正ターゲット19(BCT)、これは、電子光学システムのターゲット面に配置され、電子カレント(electron current)測定装置を含み、かつ、ビームがBCT上の構造を照射する程度を記述する(定める)強度(大きさ)を有する出力信号s
1を生成するよう構成されている;
・描画機ツールの電子光学偏向装置12c、これは、一群の電子ビームをターゲット面(の全体)にわたって偏向することができ、通常は、ビームパスに関し、ターゲット面の直前に(即ち最終の(最下流側の)粒子光学コンポーネントとして)配置される。
【0054】
上記のコンポーネント(複数)は描画装置1のコントローラ56によって制御される。本発明に応じたビーム較正方法は、BCT19によって生成される信号s
1と、(
図1では波線で象徴的に示されている)偏向装置を制御する偏向信号から分岐される信号のような、ビームがターゲットに衝突する際のビームの相対位置を特定する信号s
2を使用する。好適には、ビーム較正は、コントローラ56のプログラムモジュール又はコントローラ56と協働しかつ好ましくは描画装置1のハウジング2内に配置され得る特別の較正コントローラ59において実行される。
【0055】
ビーム較正ターゲット(BCT:beam calibration target)
【0056】
BCTは、ビームと、BCT頂面(top surface)における予め定められた公称位置との一致(状態)を示すために役立つ。BCTは、基板16(ないしターゲット)を保持するマスクチャック15及び/又はターゲットステージ14に設けられるコンポーネントとして具現化される。これにより、BCTが基板16の位置の側部に位置付けられることが可能になる。縦方向に関しては、BCTは、その頂面が電子光学システムのターゲット面に位置決めされるように配置される。BCT頂面は、後述するような到来する(入射)ビームへ向かって配向された位置合わせ面(registering surface)を好適に含む。
【0057】
BCTの好適な一実施形態は
図3に示されている。BCT140は、(膜部材144に形成されたアパーチャ143、又は特定の二次元レイアウトで配置された複数のそのようなアパーチャのような)複数の位置合わせ構造を有する位置合わせ面、例えば構造化された頂部膜部材144、及び、位置合わせ面(ないし膜部材)の下方に配置された、電子カレント測定装置145を含む。
【0058】
各位置合わせ構造は、好ましくは、BCT19の表面に形成される凹部(recess)及び/又は穴(hole)として、例えばBCTの頂部膜部材のアパーチャとして、具現化される。
図3(A)及び
図3(B)に示された実施形態では、位置合わせ構造は電子の通過を許すアパーチャ143であり、膜部材144の他の領域は到来する如何なる電子も(吸収及び/又は反射によって)ブロックする。他の実施形態(複数)では、位置合わせ構造は、成形された(所定形状を有する)凹部として、従って、凹部における膜部材が(高)エネルギ性の電子によって貫通可能な厚みに肉薄化された凹部として形成されることができる一方で、膜部材の他の領域は相当に大きな厚み(及び好ましくは後述するような付加的なカバー層)を有し、そのため、電子は後者の領域における膜部材を通過できない。位置合わせ構造の形状は、BCT表面の平面図で分かるように、狭い矩形(即ちスリット)、L字形状(
図5(B))、矩形ないし方形(
図5(C))、ボックス(ないし升)形状(
図5(D))又は十字(
図5(A)、
図3(B))のような、任意の適切な形状であり得る。
【0059】
較正方法
【0060】
本発明の例示的一実施形態では、
図13を参照すると、横位置の較正の好ましい一方法は、以下のステップを含む:
・荷電粒子マルチビーム描画機ツール内において、シングルビームレット(1つのビームレット)又はマルチプルビームレット(複数のビームレット)として具現化される電子ビームを、(以下において更に説明するような)特定のビームパターンに従って当該(1つ又は複数の)ビームレットを規定するPD装置を用いて生成すること;
・BCT70及び、好ましくは、(以下において更に説明するような)BCTの特定の位置合わせ構造71へ向かって、適切な「初期偏向(初期偏位:initial deflection)」
だけ電子ビームを偏向すること、ここで、「初期偏向」は、ターゲット72上の予め定められたターゲット基準位置73(「指定(designated)ターゲット位置」)に対するBCTの(予め測定又は計算された)相対位置に相当する;この偏向は、好ましくは、
図1のマルチビームシステムの偏向装置12cのような、描画機ツールの偏向装置、通常はマルチポール偏向器、によって達成され、及び、付加的に、とりわけ初期偏向が大きい場合、基板ステージ14によって生成される運動が含まれ得る;
・電子ビーム75を(1つ又は複数の)特定の位置合わせ構造71に近接する範囲内においてBCT70に照射すること;
・上記の偏向装置を用いて、ビームを位置(複数)のグリッドに従って位置合わせ構造を横切るよう(位置合わせ構造(の全体)にわたって)偏向するスキャンを実行すること、但しスキャンは、該スキャンが位置合わせ構造をカバーすることを確保(保証)するために十分に大きなエリアについて適切に実行され、好ましくは、スキャンは、予め定められたグリッドに従って離散的なスキャングリッド位置(複数)のセットを用いて行われる(好適なグリッドの説明については以下参照);
・電子カレント(electron current)測定装置を用いて、BCT位置合わせ構造を通過することが可能な電子カレントを測定すること、この場合、測定した(measured)カレント(電流)信号s
1は、スキャンのグリッドポイント位置の関数として、電子ビームと位置合わせ構造の畳み込みに対応する曲線を形成するという事実を利用している(
図6~
図8(B)参照);
・適切な関数を測定カレント信号へフィッティングして、信号曲線s
1の中心(中央)位置(
図6のxc)を決定すること;
・そのようにして決定された中心位置から、BCT上の所望の(公称)位置からの電子ビーム75のずれ(deviation)
(このずれは「中心(中央)相対位置(central relative position)」とも称される)を決定すること、これは、次に、位置合わせ構造に対し電子ビームを再位置付け(ないし中心(中央)に位置決めする)ために必要な偏向(偏位)補正(deflection correction)を決定するために使用可能である;及び
・上記の偏向装置を用いて、適切な逆偏向(逆偏位)74だけBCTから指定ターゲット位置へ電子ビームを戻す偏向をすること、ここで、逆偏向74は、(「初期偏向」の逆に対応する)基本逆偏向
を含み、更に、前のステップにおいて決定された偏向補正
も含む。
【0061】
かくして、電子ビームは、ターゲット位置に配された基板における後続する描画プロセスのために要求されるような、ターゲット72上の特定のターゲット位置に電子ビームを正確に位置付けるために必要とされるように、再位置決めされる。
【0062】
較正プロセスは、(例えば偏向装置の供給電圧を制御することによって)マスクステージ位置及び偏向装置を制御する較正コントローラ59によって制御される。これは、本発明者の見解によれば、一般的には、ターゲットステージの位置決め精度は、光学的偏向要素の位置決め精度より劣るため、しかもしばしば著しくより悪いため、有利である。従って、ステージは、電子ビームがBCTに当射できるよう、大まかに移動(粗動)され、偏向装置は、ターゲット上におけるビーム位置の精細位置決めのために及び描画プロセス中に必要とされるようなスキャンステップを実行するために使用される。所望の空間的偏向を実行するために、本方法は、偏向装置へ供給される所要の電圧(複数)を示す(指定する)感度行列(sensitivity matrix)を使用することを伴うこともできる。これについては、以下においてより詳細に説明する。
【0063】
較正コントローラ59は、コントローラ56のプログラムモジュールとして、又はコントローラ56と協働する特定コントローラ装置として、具現化可能であり、好ましくは、描画装置1のハウジング2内に配置可能である。本発明に応じたビーム較正プロセスのために、較正コントローラ59は、BCT19によって生成される信号s
1、及び、ターゲット面に衝突する際におけるビームの相対位置を特定する信号s
2を使用する(なお、信号s
2は
図1では波線で象徴的に示されているが、それは、一般的に、この信号s
2は、偏向装置12cの制御信号又は偏向装置制御信号から分岐される信号であり得るからである)。
【0064】
BCT位置合わせ構造のパターン
【0065】
本発明の例示的一形態では、スキャンは、シングルビームレットによって規定(定義)される、PD装置において形成されるような、ビームについて実行される。ビームは、本発明に応じた横方向位置較正を実行するために、描画機ツールの電子光学システムを横断する。シングルビームレットのサイズがBCTの位置合わせ構造の典型的な寸法と比べて小さい場合、その結果として生じる測定カレント信号スキャンは(点状関数(point-like function)と特定形状の畳み込みは全く(very)等しい形状へと単純化するため)構造それ自体の形状のように全体的には見えるマップを生成することは分かるはずである。位置合わせ構造の形状が十字(
図3(B))である例示的ケースでは、横座標x及びyの関数としての測定カレントパターンは、ビームの横方向のサイズが十字の特徴サイズと比べて無視できる(小さい)ものであれば、
図7に示されているようなこの(十字)形状を再生することになる。
【0066】
パターン規定装置によって形成される典型的な電子ビームレットは非ゼロの(有限な)サイズを有するため、
図6に示されている、カレント測定におけるBCTパターンの境界部(複数)に遷移ゾーン(複数)が存在することになる。なお、
図6は、スリット形状の延伸方向に対し直角をなす方向に横切る場合において単純なスリット形状構造によって生成される強度(一次元信号)を示している。パターン規定装置によって形成される現実の電子ビームレットは非ゼロのブラー(ボケ)を有するため、結果として生じる信号は、付加的に、(
図6に示されているような直線的な斜辺(複数)というより寧ろ)コーナー(複数)を外側に(広がるよう)ボケさせる(blur out)ことになるであろう。
【0067】
較正のためのシングルビームレットの使用は、カレント測定における低い信号対雑音比の欠点を蒙り得る。これは、以下においてより詳細に説明するような、カレント測定方法に強く依存する。マルチビームレットを含むビームの使用はこの問題を改善することができる。更に、較正を実行するためにマルチビームレットが使用される場合、これは、ビームが適切なパターン構造を有し得るという付加的な利点を提供する。
【0068】
図3(A)はBCT140の一アパーチャ144におけるBCT140の縦断面詳細図を示し
図3(B)はBCTアパーチャの平面図を示す。更に、
図4は、マルチプルビームレットから構成される成形ビーム142を使用するスキャンの一例を示すが、ビーム(より正確には、
図4に黒色の十字として示されている、ビームの像)は、矢印によって示されている方向に沿って位置合わせ構造143を横切るように(位置合わせ構造143(の全体)にわたって)スキャンする。位置合わせ構造に対するビームの位置に依存して、ビームレット(複数)の幾つかのみが膜部材144を通り抜けてカレント測定装置145の方へ伝送される。十字に配置されたビームレット(複数)の例示的一パターン及び同様に十字形状のBCT膜部材の一アパーチャのために、二次元の測定電流パターンは、典型的には、
図8(A)及び
図8(B)に使用されているように見えるであろう。
図8(A)は、十字形状の電子ビームパターンがBCTパターンと丁度同じサイズを有する場合の一例を示し、他方、
図8(B)では、十字形状の電子ビームパターンはより小さい。図面において見出すことができるように、
図8(A)及び
図8(B)のカレントパターンは、相当(に大き)な遷移ゾーン(複数)を含むが、これらは、アパーチャのエッジ(複数)におけるビームレット(複数)の群の部分的伝搬により生成される。較正結果は、ビームレット(複数)の平均偏向(偏位:deflection)を含む。
【0069】
一般的には、ビームレット(複数)のパターンはアパーチャ(又はより一般的には、位置合わせ構造)の形状に類似することは必要とされない。
【0070】
荷電粒子カレント測定
【0071】
BCTは、更に、BCT位置合わせ構造を通って伝送される電子カレントを正確に測定するための装置を含む;好ましくは、この測定装置は高精度及び大きな信号対雑音比を有すべきである。本発明の例示的一形態では、測定装置は、位置合わせ構造を含む膜部材の下流側に配置されるファラデーカップ(Faraday cup)であり得る。他の形態(複数)では、チャネルトロン(channeltron)又は半導体検出器のような、他の適切なタイプの装置が使用され得る。
【0072】
BCTのための材料選択
【0073】
BCTのための材料の選択はBCTの性能に影響を及ぼし得る。BCTの機能についての最も高い優先度は、位置合わせ構造とは異なる領域における電子に対する不透明(不透過)性であるが、これは、材料の適切な(十分な)厚みを選択することによって最適化されることができる。例示的一形態では、バルク材料はチタンのような金属でコーティングされたシリコンであり得る。シリコンは、(加工産業における最高の経験を利用する)良好な加工性を有し、位置合わせ構造の形成を強く容易化するという利点を有する。コーティング、例えばチタンコーティングはシリコンを酸化から保護するため有利である。更に、導電性コーティングはBCT表面を電子露光中における帯電から保護するために役立つ。更に、コーティングが真空適合性(vacuum-compatible)であることは有利である。材料の選択は、更に、描画機ツールの他の部分に影響を及ぼし得る、BCT表面に生成される電子の後方散乱に関し影響を有することは当業者では分かるはずである。
【0074】
エージング-位置合わせ構造への材料の付着
【0075】
残留ガスや他の効果との電子の相互作用のために、材料(例えば炭素化合物)は位置合わせ構造に又はその境界部に付着し得るが、以下ではエージング(経時劣化)と称される。とりわけ、凹部(recesses)ないし開口部(openings)は閉鎖され得る。一般的に、このエージングは、ビームレット(複数)の露光位置決めのために、位置合わせ構造のエッジに沿って不均一(不一様)であり得る。エージングの一例は
図9に示されている。
図9は、不規則な形状の材料61が内側の長手エッジに付着した場合に、スリット形状の位置合わせ構造60を上方から見た様子を示している。このエージングは、測定が信頼性を欠如するに至るまで、カレント(電流)測定を、その結果、「エージングされた」位置合わせ構造を用いて決定される中心(中央)位置を擾乱することになる。較正スキャングリッド位置(複数)を特定の一方法で選択することによって、エージングは、以下のセクションにおいて説明されるように、その問題が減じられ、更には除去されるよう、減少及び均一化(一様化)されることができる。
【0076】
較正スキャン方法
【0077】
較正スキャン中に使用されるグリッド位置(複数)の選択は、較正の性能(成果)及び上記のエージング効果に強く影響を及ぼし得る。一方、より多くの個数のグリッドポイントは、フィッティングされるべきより精細なデータを提供し、フィッティングの質を改善するが、他方では、スキャン(の時間)はより長くなる。エージング効果は位置合わせ構造のエッジに沿ったビームレット(複数)の位置に依存する。1つの可能な改善は、適用(印加)される(deposited)電子ビームドーズがすべてのスキャンポイントについて均一(一様)になるよう、
図10に示されているような密グリッド(dense grid)を定義する(規定する)ことである。
図10では、方形マス目の各々はスキャン中にビームによって生成される1つのビームスポットに対応し、従って、エリア全体が、
図10にも示されているようなグリッド(「密グリッド」)のビームスポット(複数)によって完全にカバーされる。
【0078】
較正プロセス(複数)の夫々1つ中に使用されるグリッドポイントの総数を減少するために、グリッドの1つのサブグリッドのみが使用され得るが、較正プロセスが複数回実行される場合、同じグリッドの複数の異なるサブグリッドが使用される;これは、マルチプル(複数回)較正についてのグリッドの「展開(spreading out)」とも称される。例えば、またもや
図10を参照すると、較正プロセスの1つのループでは「1」の番号が付けられたビームスポット(複数)のみが使用され、較正の次のループでは番号「2」のビームスポット(複数)、3番目のループでは番号「3」のビームスポット(複数)、そして再び「1」が使用される等される。かくして、密グリッド全体が後続の(subsequent)セットのマルチプル較正(この例では3回の較正)によって使用される。これにより、較正プロセスの個別のインスタンス(ないし実行:instance)中に使用されるグリッドポイントの個数を減少することが可能になり、かくして、スキャンによって使用される時間及び較正の複雑性が減じられる。
【0079】
オーバーラッピングビームスポット、インターロッキンググリッド
【0080】
本発明の他の好適な一発展形態では、上記の密グリッドに加えて、更に、例えばいわゆる「インターロッキンググリッド(interlocking grids)」との関連における、オーバーラッピングビームスポット(複数)を使用することによってエージングを(反対作用で)抑制する(阻止する)ことができる。ここで、インターロッキンググリッド(複数)は、(ターゲット上の(1つの)ビームレットスポットの公称サイズに対応する)グリッド間隔のほんの小(割合)部分である相互オフセットだけ交錯して位置決めされている複数の(マルチプル)グリッドであり、これは、ビームレットスポット(複数)を(例えばターゲット上の1つのピクセルの25又は50パーセントだけ)オーバーラップさせることによって、サブピクセル(複数)を形成すること、従ってビームレットによって生成されるパターンラスタ(raster)にサブピクセル(複数)を形成することを可能にする。インターロッキンググリッドは本出願人のUS7,276,714及びUS9,053,906においてより詳細に説明されている。オーバーラッピングビームスポットの簡単な一例は
図11に示されているが、同図において、第1ビームレットによって形成されるピクセル70は他のピクセル71とオーバーラップしており、そのオーバーラッピング領域は(1つの)サブピクセル77を形成し、該サブピクセル77には、2つのピクセル70及び71からの組み合わせドーズが適用される。インターロッキンググリッドはマルチプル較正にわたって(の間に)「展開」もされ得る。これは、ビームレット(複数)の局所的不均一性が相当程度平均化されるため、位置合わせ構造のエッジに適用される電子ビームドーズを更に均一化するという利点を有する。
【0081】
スキャングリッドの間引き(Thinning out)
【0082】
主としてエージングの均一化に着目する、上記のスキャン方法において使用されるスキャングリッドでは、エージングには影響を及ぼさないが、後続のフィッティングの質に対して有意性がより小さいか又は場合によっては無意味でありさえする領域(複数)がグリッドには存在する。そのような領域は減数されたグリッドポイントを用いてスキャンされることができる;かくして、これらの領域は、(中心相対位置を決定するためのフィッティングのために有意性がより小さい領域に相当するそのようなグリッドエリアにおける)グリッドピッチがフィッティングの良好な質を達成するために(より)有意な(即ち、一般的には、中心相対位置の決定のためにより重要な)領域(複数)に相当するグリッドエリアにおけるグリッドピッチよりも大きくされることによって、グリッドが「間引きされている(thinned out)」グリッドエリアによってカバーされる。
【0083】
図12A及び
図12Bは「間引き」スキャングリッドの例を示す。
図12Aは、ビームパターンが当該ビームパターンより大きい位置合わせ構造を照射する線形スキャンの一例を示す。このケースでは、全部の(full)ビームが(位置合わせ)構造を通り抜ける中央領域121がスキャンに存在し、この領域121におけるグリッドポイント(複数)はエージングに対し無視できるほど小さい効果(影響)を有する。従って、領域121に落射するグリッドポイント(複数)はフィッティングの質に対し殆ど有意性(重要性)を有しない。スキャンの所要時間を減少するために、そのような領域におけるグリッドポイント(複数)は間引きされる(減数される)ことができる。そのような間引きの様子は
図12Aに示されているが、同図において、1次元スキャンの一例におけるグリッドポイント(複数)は、平坦域(plateau)の期待範囲内に位置しているグリッドエリア122において間引きされている。
図12Bは方形形状の位置合わせ構造についての2次元(スキャン)の一例を示す。この例では、信号の変化が発生する部位(複数)と一致することが期待されるリング形状領域123のみが、小さなグリッドピッチのグリッドを用いて実行され、他方、
図12Bに示されているこのケースでは領域123の内部及び外部の領域である他の領域124、125は「間引き」される。
【0084】
偏向装置
【0085】
偏向装置はスキャンのための精細な偏向を実行するために使用される。偏向装置は、例えば、個別の電極に電気ポテンシャル(電圧)を印加することによって偏向の具現化を可能にする、静電マルチポール電極システムである。その最も単純な形では、偏向要素は平板コンデンサである。直角をなす2つの方向へ偏向するために、複式(double)平板コンデンサが具現化され得る。有利には、偏向装置は適切な個数の電極を有するマルチポールシステムである。偏向要素の偏向感度を測定するために、即ち、横方向(transversal)偏向がベクトル
として記述される場合、ビームレット(複数)の特定の横方向偏向を実行するために、どの電圧V
1、V
2が必要とされるかを求めるために、予備較正法が使用され得る。偏向感度は、以下の式で表される感度行列で表され得る:
【0086】
この感度行列の成分(複数)は上記の予備較正法によって測定可能である。感度行列を使用することにより、
図13における
又は
のような、予め定義(規定)される偏向を制御するための適切なアプローチが可能になる。
【0087】
フィッティング(フィット)法
【0088】
フィッティング法は、本発明に応じた較正プロセスにおける一ステップであり、ビーム中心の期待位置と測定されたものとして位置決めされた実際ビーム中心との間のオフセットベクトル
(
図13参照)のようなあり得る空間的横方向オフセットを決定するために役立つ。フィッティングのために使用される関数は、畳み込まれた測定電子カレントパターンの全体的な形を十分な精度で記述するよう適切に選択されることは明らかである。好適には、フィッティング法は、2つの横方向座標x及びyにおけるオフセットによって記述される、平行移動を含む。フィッティングされたオフセットの精度は、フィッティング関数の質、グリッドポイント(個数及び配置)及び測定カレント信号に関するあり得る(potential)ノイズによって決定される。決定された非ゼロのオフセットは(例えば経時的にドリフトによって引き起こされる)光学システムにおける偏向補正を示す。従って、オフセットの測定は、電子ビーム全体を中心(中央)位置へ再較正するために使用されることができる。
図6の1次元例のために使用され得るフィッティング関数の一例は、ベースレベル
、その長さ
、平坦域レベル
、その長さ
及び中心
を有する区分的定義(piecewise definition):
によって具現化される台形関数(trapezoid function)である。他の一例は、立ち上がり斜辺についての第1シグモイド関数(sigmoid function)及び立ち下り斜辺についての第2シグモイド関数のような適切な関数(複数)を一緒にスティッチすること(stitching)によってモデル化可能な、湾曲した斜辺(flanks)を有するフィッティング関数である。2次元以上のフィッティングのための適切なフィッティング関数は、適切な1次元関数(複数)をスティッチすることにより、当業者によって容易に提供されることができる。
【0089】
ビームレットの歪み(distortion)の測定
【0090】
図14A及び
図14Bを参照すると、イメージフィールドの異なるビームレットセクション(複数)を使用して、歪み測定が実行されることができる、即ち、イメージフィールド全体のビームレット(複数)の異なるセグメント(複数)がどのように互いに対し相対的にないし理想位置(複数)に対し相対的に位置決めされるかが求められる(測定される)。これのために、好ましくは、複数の(マルチプル)位置合わせ構造が使用され得る。例えば、
図14Aに示されているように、好ましくは同じ形状を有し得るが、異なる形状を有してもよい6×6の位置合わせ構造81のアレイを有する複合BCTが、適切な形状を有し、とりわけ好ましくはサブビーム(複数)の対応するアレイから構成され得る
図14Bに示されているようなビーム80と組み合わされて、使用される。
【0091】
マルチカラムシステム
【0092】
図15A及び
図15Bはマルチカラム描画機ツール100の一例を示す。描画機ツールは、電子又はイオン(例えば陽電荷のイオン)からなり得る複数の荷電粒子ビームを使用する。マルチカラム描画機ツール100の模式的縦断面図を示す
図15Aに見出すことができるように、描画機ツール100は、マルチカラム荷電粒子光学系のための真空ハウジング48、マルチカラム荷電粒子光学系が配設されるベース47を含む。ベースの上面には、X-Yステージ46、例えばレーザ干渉計制御型エアベアリング真空ステージが適切な操作システムを用いて配設される。ステージ上には、ターゲット45、好ましくはリソグラフィ目的のためのマスク又は直接描画機ツールにおけるシリコンウェハが載置される。そして、ターゲットは、描画機の当該荷電粒子ビームによって露光され得るが、例えばレジスト層を含む。マルチカラム描画機ツール100は、更に、好ましくは各カラムについて又はカラム(複数)のサブセットの各々について、本発明の一形態に応じたBCT90の夫々の具現化物(instance)を含む。(
図15Bに斜線ハッチングされた方形マス目(複数)として象徴的に示されている)夫々のBCT90は、ステージ46上のターゲット45の脇に位置付けられ得る。
【0093】
この形態のマルチカラム光学系は複数のサブカラム400を含む(図示のカラムの個数は見易さのために減少されているが、現実の具現化物においてマルチカラム装置に存在する遥かにより多数のカラムを代表している)。好ましくは、サブカラム(複数)は同じ構成(setups)を有し、それらの軸(複数)c5が互いに対し平行をなすよう並置されて配設されている。各サブカラムは、幅広のテレセントリック荷電粒子ビームをパターン規定装置413へ供給する荷電粒子源411を含む照射システム412と、但しパターン規定装置413は複数のアパーチャ(ビーム成形装置)を通り抜けるサブビーム(「ビームレット」)(複数)の形状を規定する当該アパーチャのみをビームに通過させるよう構成されている、典型的には縮小型かつ更には通電(エネルギ付与)型(energizing)の荷電粒子投影光学系44と、但し該荷電粒子投影光学系44は好ましくは静電及び/又は磁気レンズを含み順次的に配置された複数の荷電粒子レンズから構成されており、場合によっては更に他の荷電粒子装置とを有する。
図15の形態では、投影光学系は、例えば第1荷電粒子レンズ44a、例えば静電液浸レンズを含み、他方、第1レンズの下流側に配置される第2レンズ44bは荷電粒子電磁レンズを用いて具現化され得る。
【0094】
図15Bは、マルチプルBCT装置90がステージ上のターゲットの脇に配置されているマルチカラム描画機ツール40[100]の下側部分を上面図で詳細に示す。各BCTはターゲットの面に又はその近くにおいて長手方向に(縦方向に)位置決めされている。荷電粒子カラム(複数)の荷電粒子ビーム(複数)の較正方法を実行し制御する共通の較正コントローラ(不図示;
図1のコントローラ59参照)が設けられている。とりわけ、カラム毎に1つのBCTが存在し、BCT装置(複数)がカラム(複数)の横方向位置に対応して配置されている場合、較正方法はカラム(複数)の全てについて同時に実行され得る;或いは、カラム毎に1つのBCTが存在しない場合は、カラム(複数)の適切なサブセットが同時に較正されることができ、他のカラム(複数)は後続のステップ(複数)で較正されることができる。夫々のカラム(複数)の(1つ以上の)ビームのBCT(複数)90への初期偏向及び基板上の露光エリアへ戻す反転(reverse)偏向を引き起こすために、ターゲットステージ46は、例えばターゲット位置と夫々のBCT90の位置の間におけるビームの適切なトータルの偏向を形成するための夫々のカラムの最終レンズのマルチポール偏向器コンポーネントと協働する。
【0095】
BCT装置(複数)90のグリッドとマルチカラムシステムにおけるカラム(複数)のグリッドは、ビームに対し横方向の面において完全には整列されていなくてもよい。従って、本発明のマルチカラム形態の他の例示的一例では、BCT位置がカラム(複数)のグリッド配置に整合するよう補正できるように、マルチプルBCT装置(複数)は夫々1つの可動ステージ91に設けられる。
図16は、このタイプのマルチカラム形態の一例の詳細図を示し、(より多数のBCT装置のうちの)3つのBCT90を示している。BCT90は夫々可動ステージ91上に1つの位置合わせ構造92を含み、可動ステージ91は、BCT装置(複数)の共通のフレーム94に接続されたピエゾ要素93の支援の下で各BCTがビームに対し横方向の面内において(位置)調節可能であることを保証(確保)する。
【0096】
上記の実施形態及び実施例の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]荷電粒子処理装置における荷電粒子のビームを、前記処理装置のターゲット面に対する前記ビームの位置(positioning)について較正するための方法。
前記方法は以下のステップを含む:
ビーム較正装置を提供し、但し前記ビーム較正装置は前記ビーム較正装置に衝突しかつ前記ビーム較正装置の表面に設けられた少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子のための検出器を含む、そして、前記処理装置のターゲット面に実質的に前記表面を有するよう前記ビーム較正装置を位置決めすること;
前記処理装置において荷電粒子のビームを生成し、但し前記ビームは所定の形状を有する、そして、前記ビームを前記ターゲット面の指定ターゲット位置に結像すること;
所定の横方向初期偏向によって、前記ビームを前記指定ターゲット位置から前記ビーム較正装置へ偏向すること、但し前記横方向(初期)偏向はビーム方向に対する横方向である、かくして、前記ビームを前記(少なくとも1つの)位置合わせ構造の少なくとも1つに衝突させること;
前記ビーム較正装置における前記ビームのスキャンを実行し、かくして、前記少なくとも1つの位置合わせ構造を含む前記ビーム較正装置の所定の領域をカバーすること;
前記スキャン中に前記ビームによって生成される電気カレント(電流)を、前記検出器を用いて、測定し、前記領域における位置の関数としてのカレント信号を取得すること;
そのようにして測定された前記カレント信号を評価し、該信号から、前記ビーム較正装置の表面において予め規定された最適位置に対する前記ビームの中心相対位置を決定する(求める)こと。
[付記2]付記1に記載の方法において、
前記方法は、同じターゲットにおいて同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置において使用される;
複数のビーム較正装置が設けられ、かつ、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に位置決めされる;
複数の前記粒子光学カラムの各ビームについて、及び、前記複数のビーム較正装置の夫々に関連付けられた1つのビーム較正装置に関し、前記方法の下記ステップ:ビームを偏向するステップ、スキャンを実行するステップ、及び前記ビームによって生成される電気カレントを測定するステップ、は、夫々に関連付けられたビーム較正装置を用いて実行される。
[付記3]付記1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成されること;
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向される;
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズより小さいグリッドピッチを有する。
[付記4]付記1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成される;
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向される;
前記グリッドは、前記ターゲット面においてシングルビームレットによって生成される際のビームレットスポットの公称サイズに等しいグリッドピッチを有する。
[付記5]付記1に記載の方法において、
前記ビームは複数のビームレットから形成される;
前記スキャンを実行するステップにおいて、
前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向される;
前記位置のグリッドの互いに異なる複数のサブセットへの所定の区分に基づいて、前記複数のサブセットの1つ(のサブセット)が使用され、かくして、前記ビームは当該(1つの)サブセットに対応するスキャン位置のみを通るよう偏向される;
前記スキャンを実行するステップが当該ステップの後続回(複数)において繰り返される場合、前記スキャンを実行するステップの後続回(複数)は夫々異なる複数のサブセットを使用し、前記複数のサブセットを繰り返す。
[付記6]付記5に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のサブセットは、実質的に同等であるサブグリッド(複数)を表す。
[付記7]付記1~6の何れかに記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、所定の位置のグリッドに従って複数のスキャン位置を通るように前記位置合わせ構造を横切るよう偏向される;
前記グリッドは、異なるグリッドピッチを有する少なくとも2つのグリッドエリアから構成される;
より大きいグリッドピッチを有するグリッドエリアは、中心相対位置の決定の質のために重要性がより小さい領域において定められる。
[付記8]付記1~7の何れかに記載の方法において、
前記ビームの互いに異なる複数のビーム部分は、後に実行される対応する複数の較正のために使用される;
前記複数の較正からそのように決定される夫々の中心相対位置の結果は、歪みマップ(distortion map)を導出するために使用されること、前記歪みマップは前記指定ターゲット位置における前記ビームの異なる部分が互いに対しどのように位置付けられるかについて記述する。
[付記9]付記8に記載の方法において、
前記互いに異なる複数のビーム部分を使用した後に実行される前記複数の較正について、ビーム較正装置上の夫々予め定められた位置に配置されている複数の位置合わせ構造が使用される;
前記複数の位置合わせ構造は、前記複数の位置合わせ構造に投影される際の前記複数の互いに異なるビーム部分の位置と実質的に整列する。
[付記10]付記1~9の何れかに記載の方法において、
前記方法は、前記指定ターゲット位置に提供された基板に対する描画プロセス中又はその直前に実行される。
[付記11]付記1~10の何れかに記載の方法において、
前記スキャンを実行するステップにおいて、前記ビームは、前記荷電粒子処理装置のビーム偏向装置によって、前記位置合わせ構造を横切るよう偏向される。
[付記12]所定のタイプの荷電粒子ビームを較正するためのビーム較正装置。
前記ビーム較正装置は、前記所定のタイプの荷電粒子ビームを使用する荷電粒子処理装置において使用されるものである;
前記ビーム較正装置は、
少なくとも1つの位置合わせ構造が配されている位置合わせ表面、但し前記位置合わせ表面は、前記ビーム較正装置へ放射されるべき前記ビームが沿う軸方向に対し実質的に直角に配向されている;及び、
前記ビームによって照射されたときに出力信号として前記少なくとも1つの位置合わせ構造に到達する荷電粒子の量を測定するよう構成された検出器
を含む;
前記ビーム較正装置は、前記出力信号を評価させるために、前記出力信号を前記ビーム較正装置に接続可能な較正コントローラへ送信するよう構成されている。
[付記13]付記12に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面は、少なくとも1つの位置合わせ構造を備えた自立型(free-standing)膜部材として構成される;
前記位置合わせ構造は前記位置合わせ表面に衝突する前記荷電粒子に対して透過性(透明)であるが、それ以外では前記荷電粒子に対して非透過性である;
前記検出器は、前記少なくとも1つの位置合わせ構造の下流側に位置付けられており、かつ、前記位置合わせ表面を通り抜ける荷電粒子の量を測定するよう構成されている。
[付記14]付記12又は13に記載のビーム較正装置において、
前記位置合わせ表面には、前記軸方向に沿って見た場合に同じ形状を有する複数の位置合わせ構造が設けられている。
[付記15]付記1~11の何れかに記載の方法において、前記ビーム較正装置は付記12~14の何れかに記載のビーム較正装置として構成されている。
[付記16]荷電粒子光学装置内においてターゲット面に位置付けられた同じターゲットに対し同時に処理を行うよう構成された複数の粒子光学カラムを含むマルチカラムシステムとして構成された荷電粒子光学装置。
前記荷電粒子光学装置は、更に、ターゲットの横方向の又はターゲットから離れた位置における前記ターゲットの面に又はその近くにおいて縦方向に夫々位置決めされる付記12~14の何れかに記載の複数のビーム較正装置を含む;
前記複数のビーム較正装置の各々は、前記複数の粒子光学カラムの夫々1つ又は複数の互いに分離した(即ち、共通の要素(この場合、粒子光学カラム)を有しない:disjunct)グループの粒子光学カラム(複数)の夫々1つと関連付けられている。
[付記17]付記16に記載の荷電粒子光学装置において、
前記複数のビーム較正装置の各々は夫々の可動ステージに配されている。
[付記18]付記16又は17に記載の荷電粒子光学装置において、
前記マルチカラムシステムは、更に、前記ビーム較正装置(複数)に接続されかつ前記粒子光学カラム(複数)の荷電粒子ビーム(複数)を較正するために設けられた較正コントローラを含む。
[付記19]付記12~14の何れかに記載のビーム較正装置を含む荷電粒子処理装置。
前記ビーム較正装置は、前記処理装置においてターゲットの面に又はその近くにおいてかつ前記処理装置によって処理されるべきターゲットのために意図された位置から横方向にずれた位置において縦方向に位置決めされている;
前記荷電粒子処理装置は、更に、前記ビーム較正装置が接続可能な較正コントローラを含む;
前記較正コントローラは、前記ビーム較正装置に衝突する前記ビームの相対位置に関する位置信号を受信し、前記出力信号を前記相対位置の関数として記録し、前記相対位置の関数としての前記出力信号(但し場合により前記位置信号等の他の信号も一緒に使用され得る)から前記ビームの最適相対位置を決定するよう構成されている。
【0097】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0098】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0099】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。