(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127877
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】デュアルヘッドX線検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 23/223 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01N23/223
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035804
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】301287
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(71)【出願人】
【識別番号】524090688
【氏名又は名称】エックスウィンシス テクノロジー ディベロップメント リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xwinsys Technology Development Ltd.
【住所又は居所原語表記】6 Hamechkar st., Migdal HaEmek, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾形 潔
(72)【発明者】
【氏名】シュクラー アヴィシャイ
(72)【発明者】
【氏名】ライニス ドロン
(72)【発明者】
【氏名】オイクナイン オフェク
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001AA10
2G001BA04
2G001CA01
2G001DA06
2G001EA03
2G001EA06
2G001EA09
2G001KA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サンプル検査システムを提供する。
【解決手段】サンプル領域22の上方に位置付けられた少なくとも第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14を備える。少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは各々、少なくとも1つのX線放射源とそれぞれの検出器装置とを備え、かつサンプルのX線蛍光検査のために構成されている。第1および第2のX線検査ユニットは、放出されるX線エネルギーの帯域幅、放出されるX線のエネルギー、サンプル上に生成されるX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つにおいて異なる第1および第2の検査特性を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル検査システムであって、
サンプル検査領域の上方に位置付けられた少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットであって、前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットの各々が、少なくとも1つのX線放射源とそれぞれの検出器装置とを備え、かつサンプルのX線蛍光検査のために構成されている、少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットを備え、前記少なくとも第1および第2のX線検査ユニットは、放出されるX線エネルギーの帯域幅、放出されるX線のエネルギー、サンプル上に生成されるX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つにおいて異なる第1および第2の検査特性を提供する、サンプル検査システム。
【請求項2】
前記第1のX線検査ユニットおよび前記第2のX線検査ユニットの少なくとも1つは、単色X線放射源を含む、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項3】
前記第1のX線検査ユニットおよび前記第2のX線検査ユニットは、1つ以上の中心照射エネルギーを有する単色X線照射を提供するように構成されており、前記1つ以上の中心照射エネルギーは、前記1つ以上の中心照射エネルギーの周囲に2keVまでの帯域幅を有し、前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットは、放出されたX線の前記1つ以上の中心照射エネルギーおよびサンプル上に生成されたX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つが異なる第1および第2の検査特性を提供する、請求項1または2に記載のサンプル検査システム。
【請求項4】
前記第1の検査ユニットは、1つ以上の離散的なエネルギー帯から形成されるX線放射を放出するように構成され、前記第2の検査ユニットは、多色X線放射の連続スペクトルを放出するように構成されている、請求項1または2に記載のサンプル検査システム。
【請求項5】
前記第1の検査ユニットは、その上に向けられたX線放射にバンドパスフィルタリングを提供するように構成された1つ以上の多層光学要素を備える光学装置を備え、それによって、1つ以上の離散的なエネルギー帯を有する照射パターンを提供する、請求項4に記載のサンプル検査システム。
【請求項6】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、共通の装着装置上に装着され、前記共通の装着装置は、専用サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームを備え、前記水平ビームは、前記専用サンプル領域の異なる側に位置する少なくとも2つの支持ビームによって支持されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項7】
前記水平ビームは、2つの支持ビームによって支持され、前記支持ビームの各々は、前記サンプル検査システムの底部フレームから上向きに延在する第1のほぼ垂直な部分と、前記第1の部分から水平に延在し、前記水平ビームに接続される第2のほぼ水平な部分と、を有して形成されている、請求項6に記載のサンプル検査システム。
【請求項8】
前記支持ビームは、逆「L」字形状として形成され、前記専用サンプル領域の上方に延在するほぼ水平部分を有し、前記水平ビームを前記専用サンプル領域の上方に配置する、請求項6または7に記載のサンプル検査システム。
【請求項9】
前記水平ビーム上に装着された少なくとも1つの光学顕微鏡ユニットをさらに備える、請求項6~8のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項10】
第1および第2の異なる焦点距離をそれぞれ有する少なくとも第1の光学顕微鏡ユニットおよび第2の光学顕微鏡ユニットを備え、それによって、サンプル検査中に光学要素を移動させる必要性を回避しながら、光学顕微鏡法のための視野の調節を可能にする、請求項6~9のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項11】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、それぞれの第1の専用コネクタおよび第2の専用コネクタを介して前記水平ビームに装着されており、前記第1の専用コネクタおよび前記第2の専用コネクタは、前記水平ビームの上表面に前記コネクタを装着するように構成された水平部分と、前記水平ビームの垂直壁に沿って延在する垂直部分と、を備え、前記垂直部分は、少なくとも前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットのそれぞれに接続可能である、請求項6~10のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項12】
前記第1の専用コネクタおよび前記第2の専用コネクタの少なくとも一方は、前記水平ビームの底部にロックするように位置付けられた下縁部をさらに備える、請求項11に記載のサンプル検査システム。
【請求項13】
前記サンプル検査領域内に位置付けられ、検査のためにサンプルを配置するように適合された可動サンプル台をさらに備え、前記可動サンプルマウントは、少なくとも前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットのそれぞれによる検査を可能にする平面的な移動範囲を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項14】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットの要素は、サンプル検査中に静止しており、それによって、前記サンプルの上方の移動する要素に関連するサンプル汚染を排除する、請求項1~13のいずれか一項に記載のサンプル検査システム。
【請求項15】
システムであって、
シャーシ構造体と、
1つ以上のサンプルを保持し、サンプル領域内で前記1つ以上のサンプルの並進を可能にするように構成されたサンプルマウントと、
前記シャーシに取り付けられた少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームを備える検査システム装着装置であって、前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームが、前記サンプル領域の上方に延びる少なくとも水平部分を含む、検査システム装着装置と、
前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームに装着され、前記サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームであって、少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを同時に装着して、前記サンプル領域内のサンプルの並進移動によって前記少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットの動作を可能にするための装着装置を備える、水平ビームと、
を含む、システム。
【請求項16】
前記水平ビームは、前記少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットに加えて、少なくとも第1の光学顕微鏡および第2の光学顕微鏡を装着するための装着装置をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームは、前記サンプル領域に対して横方向に前記シャーシに取り付けられた垂直部分を備え、前記少なくとも水平部分は、前記サンプル領域の上方の前記垂直部分の上部から延在し、前記水平ビームの装着装置は、前記サンプル領域の上方に配置されている、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを装着するための前記装着装置は、前記水平ビームの上表面、側表面、および底表面のうちの少なくとも2つに取付点を備える、請求項15~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記それぞれの装着装置に装着された少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットをさらに備え、前記少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットの各々は、少なくとも1つのX線放射源およびそれぞれの検出器装置を備え、前記第1の蛍光X線検査ユニットは、X線放射をフィルタリングして1つ以上の離散的なエネルギー帯を使用した検査を提供するように構成された1つ以上の多層放射フィルタを備え、前記第2の蛍光X線検査ユニットは、連続的な多色X線放射を放出するように構成されている、請求項15~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記サンプルマウントは、前記サンプル領域内でのサンプルの選択的並進を可能にする並進装置を備え、前記サンプルを各装着装置位置の下に選択的に位置付けることを可能にする、請求項15~19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンプル検査システムの分野にあり、具体的には、サンプルのX線蛍光を使用する検査に関する。
【背景技術】
【0002】
製作されたサンプルの検査は、製造プロセスの重要な部分である。様々な製造物品が、構造パラメータ、選択されたパターン、および材料組成について検査され得る。技術の進歩に伴い、製造物品はより小さくなり、要求される検査精度は増大する。
【0003】
蛍光X線(X-ray fluorescence、XRF)検査は、材料の元素組成の検出を可能にする非破壊技術を提供する。XRF検査では、X線源によって提供されるX線放射によるサンプル材料の励起によって引き起こされた蛍光が利用される。異なる元素の原子は、各元素に固有の特徴的な蛍光発光を生じ、サンプルの物質組成の検出を可能にする。エネルギー分散型X線蛍光(Energy dispersive X-ray Fluorescence、EDXRF)は、元素分析用途において一般的に使用されるいくつかのXRF技術のうちの1つであり、サンプル材料中に存在する様々な元素の検出を可能にする。
【0004】
特許文献1は、ターゲット領域における元素濃度を正確に測定することによって、半導体ウェハを異常について検査するための装置のための方法および装置を提供する。この装置は、半導体ウェハのターゲット領域における元素組成を測定するためのX線撮像サブシステムを含む。この装置はさらに、半導体ウェハのターゲット領域における元素濃度を測定するためのEDXRFサブシステムを含む。元素濃度は、最初に、ターゲット領域に対してX線撮像システムを使用して得られた元素濃度測定値を、ターゲット領域に対してEDXRFサブシステムを使用して得られた元素濃度測定値と相関させて、半導体ウェハのターゲット領域に対する増強された正確な元素濃度測定値を受け取ることによって較正されてもよい。
【0005】
特許文献2は、X線光学システムを提供しており、X線を放出するX線源と、2つのビームを形成するようにX線を調整する第1の光学要素と、第1の光学要素からの2つのビームのうちの少なくとも1つをさらに調整する少なくとも第2の光学要素と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,697,908号公報
【特許文献2】米国特許第8,249,220号公報
【発明の概要】
【0007】
製造されたサンプルの完全な検査は、しばしば、2つ以上の異なる検査条件を使用する検査を必要とする場合がある。これは、2つ以上の異なる検査システムを使用するサンプルの検査、または既存の検査システム内の検査ユニットの交換を必要とする場合がある。本開示は、検査システム構成を提供し、検査システムのサンプル領域上に同時に位置付けられた2つ以上の検査ユニットを利用する。2つ以上の検査ユニットは、2つ以上のそれぞれの異なる検査条件を使用するサンプル検査のために構成され、サンプルの様々なパラメータの検出を可能にする。
【0008】
概して、いくつかの態様によれば、本開示は、サンプル検査領域の上方に位置付けられた少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットを備える検査システムを提供する。少なくとも当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットの各々は、少なくとも1つのX線放射源と、それぞれの検出器装置とを備え、サンプルの蛍光X線検査のために構成される。本開示によれば、当該第1の検査ユニットのX線放射源は、単色X線放射を放出するように構成され、当該第2の検査ユニットのX線放射源は、多色X線放射を放出するように構成されている。
【0009】
この装置は、サンプル内の周期表の元素を識別し、定量化することによって、サンプルの物質組成の完全な検査を可能にする。より具体的には、サンプルの検査、例えば元素検査に多色X線放射を使用することにより、広範囲の元素の検出が可能になる。しかしながら、広帯域のX線エネルギーをカバーする多色放射線の使用は、ノイズとして作用する比較的高いバックグラウンド放射線を生成する。これは、サンプル中に低濃度(量)で存在する元素に対する検出感度を制限し得る。代替として、単色X線放射を使用する検査は、バックグラウンドノイズを低減することを可能にし、したがって、低濃度であっても、照射エネルギー帯内の放射に対して蛍光応答を有する元素の高感度検出を提供する。これに関連して、本開示に記載されるような単色X線放射を使用する検査は、1つ以上の離散的なエネルギー帯内のX線放射の使用に関する。概して離散的な放射パターンは、典型的には、X線源によって提供されるX線放射をフィルタリングする1つ以上の多層光学要素を使用して提供される。多層光学要素によるフィルタリングに続いて、X線放射は、サンプルに向けられたX線放射の1つ以上の離散的なエネルギー帯を提供する1つ以上のバンドパスフィルタによってフィルタリングされる。
【0010】
したがって、検査のための単色X線放射の使用は、少量または低濃度でサンプル中に存在し得る選択された元素の検出特性に対する高い感度を可能にする。これは、多色X線放射の使用が、広範囲の元素およびそれぞれの検出エネルギーの効率的かつロバストな検出を提供することが知られている間である。
【0011】
これに関連して、EDXRF検査に適した典型的な多色X線放射は、2.5keV~30keVの範囲の放出エネルギーに関連する。典型的な多色検査ユニットは、一般に、そのような範囲内のある所定のプロファイル内の放射線を放出することができる。これとは異なり、本明細書に記載されているように、単色検査という用語は、本明細書では、比較的狭いエネルギー帯域幅の1つ以上の離散的な帯域を使用する検査に対して使用される。例えば、単色検査ユニットは、2keV、または好ましくは1keVの典型的な帯域幅を有するか、あるいはより好ましくは500eVの帯域幅を有する1つ、2つ、3つ、または4つのエネルギー的に分離されたバンドを使用する検査を利用することができる。その結果、単色検査ユニットの発光スペクトルは、広いX線スペクトル内に選択された数の分離された輝線を含むことができる。
【0012】
したがって、本開示の検査システムは、概して従来の形状因子を有する検査システムを利用し、追加の検査システムの必要性を排除し、それらの間でサンプルを移送させて、サンプルに沿って高い空間分解能でサンプルの物質組成を完全に検査することを可能にする。これにより、
・単一検査システムの形状因子内でのサンプルの完全な元素検査、
・検査中にサンプル領域の上の可動部品が排除されるか、または少なくとも大幅に低減されることにより、サンプル汚染が大幅に低減されること、
・ステージ並進における起こり得る製造誤差の変動に関連しないサンプル検査の共通の空間位置合わせ、
・比較的大きく均一なサンプルに適した、並行検査が可能となること、
を含むがこれらに限定されないいくつかの利点が効果的に提供される。
【0013】
少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットをサンプル領域上に共通に装着することを可能にするために、本開示はさらに、シャーシ構造体と、1つ以上のサンプルを保持し、サンプル領域内で当該1つ以上のサンプルの並進を可能にするように構成されたサンプルマウントと、当該シャーシに取り付けられた少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームを備える検査システム装着装置であって、少なくとも当該第1の支持ビームおよび当該第2の支持ビームは、当該サンプル領域の上方に延びる少なくとも水平部分を含む、検査システム装着装置と、少なくとも当該第1の支持ビームおよび当該第2の支持ビームに装着され、当該サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームであって、少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを同時に装着して、当該サンプル領域内のサンプルの並進移動によって少なくとも当該第1の蛍光X線検査ユニットおよび当該第2の蛍光X線検査ユニットの動作を可能にするための装着装置を備える水平ビームと、を含むシステムをさらに提供する。
【0014】
少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビーム上に装着された水平ビームの装置は、少なくとも当該第1の蛍光X線検査ユニットおよび当該第2の蛍光X線検査ユニットの重量を保持するシステムの構造的安定性を提供する。加えて、水平ビームおよびその支持ビームの構成は、システム内のサンプルに対して挿入、抽出、および別様に種々の動作を行うために、サンプル領域への妨害されないアクセスを提供する。
【0015】
したがって、広範な態様によれば、本開示は、サンプル検査システムであって、
サンプル検査領域の上方に位置付けられた少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットであって、少なくとも当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットの各々は、少なくとも1つのX線放射源と、それぞれの検出器装置とを備え、サンプルのX線蛍光検査のために構成された、少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットを備え、少なくとも当該第1のX線検査ユニットおよび当該第2のX線検査ユニットは、放出されるX線エネルギーの帯域幅、放出されるX線のエネルギー、サンプル上に生成されるX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つにおいて異なる第1の検査特性および第2の検査特性を提供する、サンプル検査システム、を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態によると、当該第1のX線検査ユニットおよび当該第2のX線検査ユニットのうちの少なくとも1つは、単色X線放射源を備えてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、第1のX線検査ユニットおよび第2のX線検査ユニットは、1つ以上の中心照射エネルギーを有し、当該1つ以上の中心照射エネルギーの周囲に2keVまでの帯域幅を有する単色X線照射を提供するように構成されてもよく、当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットは、放出されたX線の当該1つ以上の中心照射エネルギーおよびサンプル上に生成されるX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つが異なる第1の検査特性および第2の検査特性を提供する。
【0018】
いくつかの他の実施形態によれば、第1の検査ユニットは、1つ以上の離散的なエネルギー帯から形成されるX線放射を放出するように構成されてもよく、当該第2の検査ユニットは、多色X線放射の連続スペクトルを放出するように構成される。
【0019】
第1の検査ユニットは、その上に向けられたX線放射にバンドパスフィルタリングを提供するように構成された1つ以上の多層光学要素を備える光学装置を備えてもよく、それによって、1つ以上の離散的なエネルギー帯を有する照射パターンを提供する。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、共通の装着装置上に装着されてもよく、当該共通の装着装置は、専用サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームを備え、当該水平ビームは、当該専用サンプル領域の異なる側に位置する少なくとも2つの支持ビームによって支持される。
【0021】
水平ビームは、2つの支持ビームによって支持されてもよく、当該支持ビームの各々は、当該システムの底部フレームから上向きに延在する第1のほぼ垂直部分と、当該第1の部分から水平に延在し、当該水平ビームに接続される第2のほぼ水平部分と、を有して形成される。
【0022】
支持ビームは、逆「L」字形状で形成されてもよく、当該専用サンプル領域の上方に延在するほぼ水平部分を有し、当該水平ビームを当該専用サンプル領域の上方に配置する。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、サンプル検査システムは、当該水平ビーム上に装着された少なくとも1つの光学顕微鏡ユニットをさらに備えてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、サンプル検査システムは、それぞれ第1および第2の異なる焦点距離を有する少なくとも第1および第2の光学顕微鏡ユニットを備えてもよく、それによって、サンプル検査中に光学要素を移動させる必要性を回避しながら、光学顕微鏡法のための視野の調節を可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、それぞれの第1の専用コネクタおよび第2の専用コネクタを介して当該水平ビームに装着されてもよく、当該第1の専用コネクタおよび当該第2の専用コネクタは、当該水平ビームの上表面に当該コネクタを装着するように構成された水平部分と、当該水平ビームの垂直壁に沿って延在する垂直部分と、を備え、当該垂直部分は、少なくとも当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットのうちのそれぞれ1つに接続可能である。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、当該第1のコネクタおよび当該第2のコネクタのうちの少なくとも1つは、当該水平ビームの底部上にロックするように位置付けられた下縁部(リッジ)をさらに備えてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、サンプル検査システムは、当該サンプル検査領域内に位置付けされ、検査のためにサンプルを配置するように適合された可動サンプル台をさらに備えてもよく、当該可動サンプルマウントは、少なくとも当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットの各々による検査を可能にする平面的な移動範囲を有する。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも当該第1の検査ユニットおよび当該第2の検査ユニットの要素は、サンプル検査中に静止しており、それによって、サンプルの上方の移動する要素に関連するサンプル汚染を排除する。
【0029】
別の広範な態様によれば、本開示は、システムであって、
シャーシ構造体と、
1つ以上のサンプルを保持し、サンプル領域内で当該1つ以上のサンプルの並進を可能にするように構成されたサンプルマウントと、
当該シャーシに取り付けられた少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームを備える検査システム装着装置であって、少なくとも当該第1の支持ビームおよび当該第2の支持ビームは、当該サンプル領域の上方に延びる少なくとも水平部分を含む、検査システム装着装置と、
少なくとも当該第1の支持ビームおよび当該第2の支持ビームに装着され、当該サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームであって、少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを同時に装着して、当該サンプル領域内のサンプルの並進移動によって少なくとも当該第1の蛍光X線検査ユニットおよび当該第2の蛍光X線検査ユニットの動作を可能にするための装着装置を備える水平ビームと、を含むシステム、を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、水平ビームは、少なくとも当該第1の蛍光X線検査ユニットおよび当該第2の蛍光X線検査ユニットに加えて、少なくとも第1の光学顕微鏡および第2の光学顕微鏡を装着するための装着装置をさらに備えることができる。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームは、当該サンプル領域に対して横方向に当該シャーシに取り付けられた垂直部分を備えることができ、当該少なくとも水平部分は、当該サンプル領域の上方の当該垂直部分の上部から延在し、当該水平ビームの装着装置は、当該サンプル領域の上方に配置される。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを装着するための装着装置は、当該水平ビームの上表面、側表面、および底表面のうちの少なくとも2つに取付点を備えてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、システムは、それぞれの装着装置に装着された少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットをさらに備えることができ、少なくとも当該第12の蛍光X線検査ユニットおよび当該第2の蛍光X線検査ユニットの各々は、少なくとも1つのX線放射源とそれぞれの検出器装置とを備え、当該第1の検査ユニットは、X線放射をフィルタリングして1つ以上の離散的なエネルギー帯を使用した検査を提供するように構成された1つ以上の多層放射フィルタを備え、当該第2の検査ユニットは、連続的な多色X線放射を放出するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、サンプルマウントは、当該サンプル領域内でのサンプルの選択的な並進を可能にする並進装置を備えることができ、当該サンプルを装着装置位置のそれぞれの下に選択的に位置付けすることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【0036】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による検査システムを概略的に例解する図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による検査ユニット装置を例示する図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、ある特定の元素の検出のための多色X線検査(
図3A)と単色X線検査(
図3B)との間の検査感度を例示する図のうちの多色X線検査の場合を示す図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、ある特定の元素の検出のための多色X線検査(
図3A)と単色X線検査(
図3B)との間の検査感度を例示する図のうちの単色X線検査の場合を示す図である。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による検査システムおよび検査ユニットの装着装置の正面図(
図4A)および側面図(
図4B)を示す図のうちの正面図である。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態による検査システムおよび検査ユニットの装着装置の正面図(
図4A)および側面図(
図4B)を示す図のうちの側面図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの斜視図である。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの別の斜視図である。
【
図5C】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの上面図である。
【
図5D】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの分解図である。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、別の検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの斜視図である。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、別の検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの別の斜視図である。
【
図6C】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、別の検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちのさらに別の斜視図である。
【
図6D】本開示のいくつかの実施形態による、異なる斜視図および分解図を含む、別の検査ユニットおよび対応する1つのタイプのコネクタを示す図のうちの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述したように、本開示は、共通システム内で2つ以上の検査ヘッドを利用して様々なサンプルを効率的に検査することを可能にする新規な検査システム構成を提供する。これに関連して、いくつかの実施形態によるサンプル検査システム100を例示する
図1が参照される。システム100は、共通ビーム30上に装着され、サンプルマウント20上に位置するサンプルの検査を可能にするように位置付けされる、少なくとも第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14を含む。サンプルマウント20は、第1の線形並進要素24および第2の線形並進要素26によって本明細書に例示される並進システムを使用して、サンプル領域22内で移動可能である。
【0038】
検査ユニット12および14は、サンプル領域22の上方に位置付けられた少なくとも1つの水平ビーム30を含む検査システムマウンティング上に位置付けられる。この例示的な構成では、水平ビーム30は、それぞれが第1の水平部分34aおよび34bを含む第1の支持ビーム33aおよび第2の支持ビーム33bによってサンプル領域22の上の定位置に保持される。支持ビーム33aおよび33bの水平部分34aおよび34bは、サンプル領域22の上方に延び、サンプル領域22上にサンプルを配置する、除去する、また別様に操作するために、サンプル領域へのほぼ自由なアクセスを提供する。
【0039】
図1にさらに例示されるように、支持ビームは、第1の水平部分34aおよび34bと、第2の垂直部分36aおよび36bとを含む逆「L」字形に形成されてもよい。垂直部分36aおよび36bは、サンプル領域22の上方の選択された高さまで垂直に延在するシステム100のシャーシ上に装着される。選択された高さにおいて、水平部分34aおよび34bは、垂直部分36aおよび36bからサンプル領域22の中心に向かって延在する。
【0040】
概して、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14は、検査ユニットの下に位置する照射スポット上にX線照射を提供するように、またサンプルマウント20上に配置され得るサンプルからの応答放射線を収集するように構成されたX線検査ユニットである。第1のX線検査ユニット12および第2のX線検査ユニット14に加えて、システム100はまた、1つ以上の光学顕微鏡16を含んでもよい。1つ以上の光学顕微鏡は、システム100内に位置するサンプルの光学画像データを収集して、X線検査ユニットに対するサンプルの適切な位置合わせを可能にするために使用され得る。本開示のいくつかの好ましい実施形態では、システムは、選択された2つ以上の異なる倍率レベルを備えて構成された2つ以上の光学顕微鏡を含んでもよい。
【0041】
上述したように、少なくとも第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14は、X線検査ユニットであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、X線検査ユニットは、サンプルのエネルギー分散型X線蛍光(EDXRF)検査を提供するように構成されてもよい。一般に、EDXRFは、サンプルの元素分析のための非破壊技術である。この技術は、X線照射に応答するサンプルのX線蛍光応答の分析に基づいている。EDXRFは、サンプル中の元素の存在および量の検出を可能にする。
【0042】
従来のEDXRF検査システムは、典型的には、X線放射を放出するように構成されたX線源と、選択された検査スポット上にX線放射を集束させるように選択された適切な光学システムと、X線放射による照射に応答してサンプルから放出された光子を収集するように構成されたX線検出器とを含む。サンプルによって放出される光子は、典型的には、サンプル中の異なる原子(元素)の蛍光応答によって放出されたX線放射成分と、弾性散乱光子および非弾性散乱光子との混合物を含む。X線蛍光(XRF)検出器の設計および動作は、当技術分野でよく知られており、したがって、本明細書では説明されない。一般的に説明すると、X線検出器は、収集された光子から1つ以上のX線光子エネルギーを分解し、X線エネルギー成分を示す電気信号から形成される第1の測定データを出力する。収集された光子のエネルギーは、サンプルの特性を示す。検出器は、検出された光子のエネルギーを処理するためのコントローラに出力データを送信し、サンプルの物質組成に関する出力データを提供することができる。
【0043】
したがって、上述したように、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14の各々は、少なくとも1つのX線放射源と、X線放射をサンプル上の選択された検査スポットに向けるための適切な光学要素と、1つ以上の検出器とを含む。いくつかの実施形態では、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14の各々は、サンプルから放出された放射線を収集するために選択された角度で位置付けられた2つ、3つ、または4つの検出器の配列を含む。
【0044】
概して、本開示によれば、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14は、単色X線検査ユニットを含む1つ以上の検査ユニットを含む。そのような単色X線検査ユニットは、一般に、(1つ以上の波長範囲に対応する)1つ以上の選択された比較的狭いエネルギー帯のX線放射を放出するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の検査ユニット12は、単色X線検査ユニットを利用してもよく、第2の検査ユニット14は、比較的広帯域のX線放射周波数を放出するように動作可能な多色X線検査ユニットを利用してもよい。いくつかの他の例では、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14は両方とも、それらの間で異なるそれぞれの第1および第2のX線波長範囲、ならびに/または第1および第2の異なる直径の照射スポットを提供する第1および第2の異なる集束力で動作可能な単色X線検査ユニットを利用してもよい。
【0045】
これに関連して、典型的な単色X線検査ユニットは、放射線の1つ以上の離散的なエネルギー帯を使用して照射を提供するように動作し得る。そのような単色検査ユニットは、単一の比較的狭いエネルギー帯内、またはそれらの間で重複しない2つもしくは3つの比較的狭いエネルギー帯内の放射線を放出するように動作し得る。単色検査ユニットは単色X線源を利用してもよい。あるいは、単色X線検査ユニットは、多色X線源と、X線源から放出された放射線をフィルタリングして1つ以上の離散的なエネルギー帯の放射線を生成するように構成された光学装置と、を利用してもよい。例えば、単色X線検査ユニット12は、そこに向けられたX線放射に所定のバンドパスフィルタリングを提供するように選択された層状構成を有する1つ以上の多層光学要素を含む光学装置を利用してもよく、それによって、1つ以上の選択された離散的なエネルギー帯の放射をサンプルに向けることが可能となる。
【0046】
一般に、それぞれ第1および第2の異なるX線周波数範囲を使用して動作可能な第1および第2の検査ユニットの使用は、サンプル内に存在し得る元素の選択された群を検出するためのサンプル検査の調節を可能にする。例えば、典型的な広帯域X線源の使用は、高い光子流を可能にし、大量の様々な元素の効率的な検出を可能にする。しかしながら、広帯域X線照射の使用は、低い量/濃度で存在する特定の元素からの蛍光応答に起因して生成される蛍光光子をマスクし得る多数の散乱光子(弾性散乱または非弾性散乱による)を生成し得る。一方、狭帯域X線照射を使用する検査は、検査の高い空間分解能を可能にし、増加した信号対雑音比で、サンプル中に低濃度で存在する元素の効率的な検出を可能にする。例えば、これは、AgSnバンプ内の低濃度レベルの銀(Ag)の検出に有利であり得、検査のための特定の狭いエネルギー帯の使用は、望ましくない散乱を低減し、信号対雑音比を向上させる。同様に、それぞれ第1および第2の異なるエネルギー帯(波長範囲)、ならびに/または第1および第2の異なる照射スポット特性(直径、形状)で動作可能な第1および第2の単色X線検査ユニットの使用は、高分解能検査を提供するために、選択された元素群の検出のためのサンプル検査の調整を可能にする。
【0047】
したがって、それぞれ第1および第2の異なるX線照射特性を有するように構成された少なくとも第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14の使用は、検査システムの概して同様の形状因子を維持しながら、サンプル検査の精度および堅牢性の向上を可能にする。サンプル検査は一般にクリーンルーム内で行われ得るので、本技術は、クリーンルームの単位面積当たりの検査出力を増加させることを可能にし、所与のクリーンルームインフラストラクチャ内でのさらなるより高感度の検査を可能にする。
【0048】
これに関連して、
図2は、本開示のいくつかの実施形態による検査システム100における少なくとも第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14の特定の非限定的な装置を例示する。
図2は、システムのユニットの配列を示すが、簡単にするために、
図2は、検査ユニットが装着される少なくとも1つの水平ビームを含む装着装置を具体的に示していない。ユニットの装置は、2次元顕微鏡16および3次元スキャナ18をさらに含むことができ、両方とも、サンプル上の検査のための部位を試験および測定するために可視を使用してサンプルの光学検査を提供するように構成される。システムはさらに、高さ調節部28、Y軸調節部26、およびX軸調節部24を含む可動ステージ上に位置付けされ、コンピュータシステムまたはオペレータから提供される命令に従って、サンプルの選択的並進を可能にするように構成されるサンプルマウント20を含む。
【0049】
この例示的な実施形態では、第1の検査ユニット12は、選択された範囲のX線放射を放出するように構成されたX線源120と、光学装置122とを使用する単色X線検査ユニットとして構成される。単色検査ユニットは、一般に、バンドパスフィルタリングを提供するように構成された1つ以上のフィルタリング要素を含む。これは、2keVまで、または1keVまで、または500eVまでの帯域幅を有し、それらの間で分離される、1つ以上のエネルギー帯の照射を提供する。光学装置122は、放出された放射線をサンプル上の選択されたスポットサイズに集束させるための1つ以上の光学要素を含む。加えて、検査ユニット12は、検出器126の配列を含む。一般に、1つ以上のフィルタは、光学装置122の1つ以上の多層光学要素と関連付けられてもよく、あるいはX線源120と関連付けられた別個のフィルタによって形成されてもよい。
【0050】
単色検査ユニット12による単色照射は、一般に、サンプルに衝突するX線放射の1つ以上の離散エネルギー帯によって特徴付けられる。典型的には、X線源120は比較的広帯域の放射を生成することができ、光学装置122は、放出された放射線のバンドパスフィルタリングを提供する1つ以上の多層光学要素を含む。1つ以上の多層光学要素は、X線放射の選択された1つ以上のエネルギー帯の透過(または反射)を可能にするように構成されたダイクロイック光学要素および/またはブラッグフィルタとして構成されてもよい。したがって、単色検査ユニット12は、1つ以上の(例えば、1つ、2つ、または3つの)離散的かつ非重複のエネルギー帯を使用して照射を提供するように構成され、各エネルギー帯は、概して最大2keV、または最大1keV、または好ましくは最大500eVである比較的狭い帯域幅を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、単色検査ユニット12は、それぞれが比較的狭い帯域幅を有する1つ以上の離散的かつ非重複のエネルギー帯を有するX線放射の放出を提供するように構成された、概ね単色のX線放射線源120を含むことができる。これは、X線放射線源120の光学装置122内ではなく、その中に配置された1つ以上のフィルタによって達成されてもよい。
【0052】
さらに、この例示的な実施形態では、第2の検査ユニット14は広帯域X線照射スペクトルを利用する。この目的のために、第2の検査ユニット14は、X線周波数の大きなスペクトルを放出するように構成されたX線放出管140と、X線フィルタ142と、放出されたX線照射をサンプル上の照射スポットに集束させるための光学装置144(例えば、polycarpellary光学装置)と、検出器146の配列と、を利用することができる。
【0053】
第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14の各々は、照射スポットの特定の予め選択された位置に関連付けられる。第1および第2の照射スポットの部位は、典型的には、ステージ20の部位の選択された座標によって特徴付けられ、第1の検査ユニット12を使用する検査のために選択された第1の座標位置にサンプルを方向付けることを可能にし、さらに第2の検査ユニット14を使用する検査のために第2の座標位置にサンプルを並進させることを可能にする。
【0054】
また、
図2に例示されているのは、光学検査ユニット(顕微鏡)16および18である。この例では、システムは、1つ以上の2次元顕微鏡16および3次元スキャナ18を利用することができる。概して、システムは、第1および第2の異なる焦点距離をそれぞれ使用してサンプルの光学検査を提供するように構成された第1の光学検査ユニット16および第2の光学検査ユニット18を含むことができる。したがって、異なる顕微鏡は、サンプルの少なくとも2つの異なる倍率および視野を提供することができる。光学顕微鏡の各々は、予め記憶された座標に基づいて選択されたステージ位置でサンプルを撮像するように位置付けされ、サンプルの並進によって選択された光学および倍率条件でサンプルの光学検査を可能にする。この構成は、サンプルの上方で光学要素をシフトさせる必要性を回避しながら、撮像のための視野、倍率、および他の光学条件を変更することを可能にする。典型的には、システム内のサンプルの上の様々な要素の移動は、サンプルを汚染し得る粒子を放出し得る。したがって、検査システム100内で組み合わされた少なくとも第1および第2の光学顕微鏡の使用は、検査されるサンプルの汚染の可能性を低減しながら、改善された光学検査を可能にする。
【0055】
上記の
図2に示した例示的な構成は、サンプルの元素検査に様々な利点を提供することができる。上述したように、少なくとも第1および第2のX線検査ユニットを使用することにより、サンプルの検査を向上させることができる。
図3Aおよび
図3Bは、サンプル中の検出されるいくつかの元素に関連する検出スペクトルを示す。
図3Aは、多色X線検査システムを使用して収集されたAgSnサンプル上の検出スペクトルを示し、
図3Bは、500eVの帯域幅を有する単色X線検査システムを使用して収集された同じサンプルの検出スペクトルを示す。両方の図に示されるように、Ag信号は、Snを含むサンプル中の様々な他の元素に対して一般に低い。
図3Aでは、Agに関連するピーク周辺のバックグラウンド放射は比較的高く、Ag量の変動に対する感度を低下させ得るか、あるいはピークを完全に隠し得る。単色X線検査システムの使用は、
図3Bに示されるようにバックグラウンド放射線を低減し、Agピーク、またはサンプル中に少量で存在する他の元素に関連するピークの検出における感度の向上を可能にする。これは、サンプル中の多量のSn原子のために、両方の検査システムで検出されたときにSnピークがはっきりと見える間のものである。
【0056】
さらに、本開示は、少なくとも第1および第2のX線検査ユニットを利用する検査システムを提供することに留意されたい。
図2の上記の例は、多色検査ユニット14および単色検査ユニット12を利用するシステムを示す。これに関連して、本開示のいくつかの実施形態によるシステムは、システム100の第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14として動作可能な第1の単色検査ユニットおよび第2の単色検査ユニットを利用し得ることに留意されたい。そのような構成では、少なくとも第1の単色検査ユニット12および第2の単色検査ユニット14は、それぞれの第1および第2の異なる波長範囲、ならびに/またはそれぞれの第1および第2のX線ビーム出力で動作することができる。この構成は、選択された波長に対してノイズが低減された広帯域の検査を可能にする一方で、サンプルの上方で要素をシフトする必要性を排除し、それによってサンプルの汚染を低減する。さらに上述したように、本開示の検査システムは、2つ以上の異なる検査技術を提供しながら、典型的な検査システムと概して同様の形状因子を可能にする。
【0057】
さらに、異なる検査ユニット、ならびに検査ユニット12および14のための選択された光学要素および動作パラメータは、選択された検査特性を提供する。例えば、
図2に例示されるような多色X線源140と組み合わされたポリキャピラリ光学装置144の使用は、比較的高い光子束を提供することができる一方で、単色検査ユニット12は、低減されたバックグラウンドノイズを提供するために狭められたビームで動作し、選択された所定の元素の検出に有用であり得る。これにより、多色検査ユニット14を用いたサンプルの高速走査と、単色検査ユニット12がより好適であり得る、選択された元素の追加検査を必要とし得る選択された領域のマーキングと、が可能になる。さらに、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14に対して選択された異なる光学要素を使用(sue)することにより、選択された走査パラメータの調整が可能になり、サンプルの直接走査が可能になると同時に、サンプル上の任意の移動要素を回避することによって潜在的な汚染が低減される。例えば、より広い走査ビームの選択は、走査速度を増加させるが、走査解像度および元素の低い濃度に対する感度を犠牲にする可能性がある。追加の単色検査ユニットを使用することにより、選択された波長範囲でより狭い走査ビームを提供して、サンプルの小さな特徴に関する正確なデータを提供することが可能となり、また元素は低濃度で存在する。
【0058】
したがって、選択された検査ユニットは、単色および多色X線検査ユニット、異なるX線エネルギー(波長)で動作するか、あるいは異なる光学特性(例えば、照射スポットサイズ)で動作する2つの単色X線検査ユニット、またはスポットサイズなどの異なる光学特性で動作する2つの多色X線検査ユニットを含むことができる。一方で、多色および単色X線検査ユニットは、同様のスポットサイズを利用し得る。本開示の技術によれば、改善された走査および検査効率を可能にするために、第1および第2の検査ユニットのスポットサイズが異なることが有利である。
【0059】
図4Aおよび
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態によるシステム100の別の例示的な図を示す。
図4Aはシステム100の正面図を示し、
図4Bはシステム100の側面図を示す。図示されているように、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14とそのそれぞれの検出器146、ならびに少なくとも1つの光学顕微鏡16は、共通の装着装置に取り付けられている。装着装置は、サンプル領域22の上方に位置付けられた水平ビーム32から形成される。典型的には、水平ビーム32は、サンプル領域22の中心から横方向にシフトされて、検査ユニットを位置付けし、比較的中央の位置である。
【0060】
水平ビーム32は、サンプル領域22の異なる側に位置する少なくとも2つの支持ビーム33aおよび33bによって支持される。水平ビーム32ならびに2つの支持ビーム33aおよび33bは、花崗岩、鋼、セラミック材料、強化コンクリート、または他の選択された材料等の高強度材料から作製されてもよい。支持ビーム33aおよび33bならびに水平ビーム32は、システムのフレームに装着されるが、安定性を提供し、水平ビーム32に装着された2つ以上の検査ユニットの重量を考慮した構造の振動および可撓性を低減するために、地面に直接装着されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、支持ビーム33aおよび33bは、逆「L」字形状を有してもよい。より具体的には、支持ビームは、システムの底端部(例えば、システムの床上または安定フレーム上に位置付けされる)から延び、選択された高さまで上方に延在する第1の垂直部分を含んでもよい。第1の垂直ビームは、サンプル領域22の外側のシステムの2つの角部に位置する。選択された高さにおいて、水平支持ビームがサンプル領域の上方で第1の垂直支持ビームから延在する。水平支持ビームは、主水平ビーム32を支持し、水平ビーム32をサンプル領域22の上方に位置付けする一方で、検査のためにサンプルを位置付けおよび除去するためにサンプル領域22への容易なアクセスを提供する。
【0062】
また、
図4Aには、システム100の基本装置が示されており、支持ビーム33aおよび33bは、基本構造体40に位置付けおよび接続されている。基本構造体40は、システムの主要シャーシ要素を形成してもよく、花崗岩等の選択された高重量高密度材料から作製されてもよい。基本構造体40は、システムの質量中心を低下させ、システムへの環境振動の伝達を低減する。この目的のために、基本構造体は、振動フィルタリング脚部上に装着された選択された表面上に配置される。この例では、基本構造体は、接続ユニット42上に配置されて接続され、接続ユニットは、振動減衰接続部43を使用してシステム脚部44上に装着される。さらなるシステム脚部44が、好ましくは、取り付けねじ46を使用して地面に接続されてもよい。
【0063】
図4Bを参照すると、支持ビーム33aおよび33bは、その逆「L」字形状を示してより良く図示されている。より具体的には、支持ビーム33は、例えば角部接続ユニット41を使用して基本構造体40の角部に装着され、選択された高さ「h」まで上方に延びる第1の垂直支持ビーム36と、垂直ビーム36からサンプル領域の中心に向かって延在する第2の水平ビーム部分34と、を含む。垂直ビーム部分36と水平ビーム部分34は、好ましくは、角の形状を有する単一のユニットを形成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、支持ビーム34および36は、それらの間に接続される2つの別個のビームから形成されてもよい。
【0064】
また、
図4Bの側面図には、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14ならびに光学顕微鏡16のためのケーブル装置およびコントローラを含む制御ボックス52が示されており、ケーブル装置54は、典型的には、制御ボックス52から支持ビーム33に沿ってシステム100の外へ延在して、電力網、1つ以上のコンピュータシステムなどに接続する。さらに、第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14のX線源にガスおよび電力を供給するように構成されたX線源コネクタ56も示されている。
【0065】
検査システムシャーシは、第1および第2の検査ユニットならびに対応する光学顕微鏡の選択された装置の導入を可能にし得る。この目的のために、システム100は、少なくともシャーシベース40、支持ビーム33aおよび33b、ならびに水平ビーム32から形成されるシステムシャーシを含むことができる。サンプルステージ20および並進ユニット22~26は、シャーシベース40上に配置されてもよい。加えて、シャーシシステムは、システム筐体の外側へのX線放射の放出を排除しながら、クリーンルーム内での検査動作を可能にする筐体(具体的には図示せず)を含んでもよい。水平ビーム32には、選択された検査ユニットを取り付けるために、例えばねじ穴の形態をなす複数の装着位置が形成されてもよい。
【0066】
第1の検査ユニット12および第2の検査ユニット14、光学顕微鏡16、または任意の追加のユニットは、それぞれのコネクタを介して水平ビームに装着され得る。コネクタは、水平ビームに装着するように構成された第1の端部と、それぞれの検査ユニットまたは顕微鏡に接続するように構成された第2の端部と、を備えて形成される。これに関連して、第1および第2の検査ユニットのコネクタを示す
図5A~
図5Dおよび
図6A~
図6Dが参照される。
【0067】
図5Aは、多色X線源140、フィルタ142、ポリキャピラリ光学装置144、および1つまたは複数の検出器146の配列を含む第2の検査ユニット14を示す。検査ユニット14は、本開示のいくつかの実施形態による水平ビーム上に装着されるように構成されたコネクタ240上に装着される。この特定の視点から示されたコネクタ240は、主プレート244、上部分242、および前側部分247を含むように示されている。
【0068】
図5Bは、水平ビーム32の視点から見た、第2の検査ユニット14および対応するコネクタ240の別の斜視図を示す。図示されるように、コネクタ240は、溝248、上部分242、底部分246、および前側部分247を有する主プレート244を含む。また、検査ユニット14をコネクタ240に接続する1組の接続ボルト(例えば、ねじ)254も示されている。1組の接続ボルト254は、ここでは、検査ユニット14を溝248内に形成された表面に接続して示されており、検査ユニットが水平ビーム32から取り外されるときに容易なアクセスを提供している。上部分は、選択された数の接続ボルト上に滑り込むか、あるいはコネクタ240を水平ビーム32上の定位置に配置した後に接続ボルトを使用して装着するのに一般に適した接続穴252の配列を含む。
図5Bには、主プレート244のビームに面する側に位置する溝270と、底部分246に配置されたばねロック280も示されている。
【0069】
図5Cは、コネクタ240上に装着された検査ユニット14の上面図を示す。この図は、上部分242およびそれぞれの接続穴252、側部分247および底部分246を示す。
図5Dは、それらの間で分離された検査ユニット14、専用検査ユニットマウント側部260、およびコネクタ240、ならびに
図5A~
図5Cに示されたさらなる要素を示す分解図を示す。
【0070】
図6Aは、対応するコネクタ340上に装着された第1の検査ユニット12を示す。この例では、第1の検査ユニット12は、X線源120、光学的な装置122、および1組の検出器126を利用し、X線照射の1つ以上の離散的な(かつ一般に重複しない)エネルギー帯を伴う照射を提供するように構成される。主プレート344、上部分342、側部分347、および主プレートアパーチャ348を含むコネクタ340が例示されている。上部分は、コネクタ240の上部分242と概ね同様の特定の穴配列352を含む。この例では、検査ユニットは、アパーチャ348の上表面においてボルト352を使用してコネクタ340に接続される。
【0071】
図6Bおよび
図6Cは、追加の視点からの第1の検査ユニット12および対応するコネクタ340を示す。
図6Dは、検査ユニット12およびコネクタ340の分解図を示す。検査ユニット12は、ボルト364およびワッシャ366を使用して接続プレート360に接続されてもよく、接続プレートは、ボルト352を使用してコネクタ340に接続されてもよい。コネクタはまた、主プレート344のビーム側に位置する溝370の配列を含んでもよい。
【0072】
一般に、本開示によるシステム100の水平プレート32は、いくつかの選択された交換可能な場所に第1および第2の検査ユニットを装着することを可能にするように構成されてもよい。水平ビーム32は、選択された概ね繰り返しのパターンをなして、その上部、底部、および側部のボルトのための穿孔された穴へと構成されてもよい。コネクタ240または340は、水平ビーム32の側部に沿って垂直壁に面する主プレート244、344と、水平ビームの上側部に装着されるように構成された上部分242、342と、を備えて構成される。いくつかの実施形態では、
図5A~
図5Dおよび
図6A~
図6Dに例示されるように、コネクタは、水平ビーム32に沿った選択された位置にコネクタを確実に配置するために、主プレート244、344の溝またはボルト穴270、370を含んでもよい。
【0073】
溝270、370は、主プレート244、344から外向きに、または主プレート244、344の表面に対して内向きに延在する小さなノッチとして形成されてもよい。溝270、370は、コネクタを適切に位置付けするために、水平ビーム32の垂直壁上の対応する対向する溝に従って構成されることが好ましい。いくつかの実施形態では、溝270、370は、1つ以上のボルトを使用して水平ビームに接続するために好適な穴として形成されてもよい。
【0074】
しかしながら、概して、コネクタ240、340は、コネクタ242、342の上部分の1つ以上のボルトを使用して水平ビーム32にしっかりと接続されてもよい。上部分242、342は、概して、水平ビームの上側に配置され、コネクタ240、340を定位置に固定するための選択された数のボルトのための穴252、352の配列を含む。いくつかの実施形態、または
図5A~
図5Dに図示されるようないくつかのコネクタでは、コネクタはまた、水平ビーム32へのコネクタのさらなる取り付けを可能にするばねロック機構を含む底部分246を含んでもよい。
【0075】
一般に、コネクタ240、340と、第1および第2の検査ユニットならびに検査ユニットを担持する水平ビームの構成は、システム内の静止位置に検査ユニット12、14を保持しながら、単純な設置を提供するように構成される。そのような静止位置は、検査ユニット12、14の各々の視野および照射スポット位置が空間内で固定されるので、異なるサンプルの走査における再現性を可能にする。さらに、検査ユニット12、14および光学顕微鏡16を検査中に静止状態に維持し、検査中に移動要素の必要性を回避することにより、検査システム内の油粒子などの粒子の放出によるサンプル汚染が排除されるか、あるいは少なくとも大幅に低減される。
【0076】
したがって、上述したように、本開示は、2つ以上の検査ユニットと共に動作するように構成され、一般にサンプルのX線検査のために構成された検査システムを提供する。それぞれ2つ以上の異なる検査特性(放射帯域幅、放射エネルギー範囲、照射スポットサイズなど)で動作可能な2つ以上の検査ユニットの使用は、様々なサンプルの完全な検査を提供することを可能にし、1つの検査ユニットは、(i)広い視野、または(ii)高濃度に基づく強い元素信号、に対して広範囲の検査を実行し、別の検査ユニットは、(i)より小さいスポットサイズを指すピン、または(ii)低濃度元素の検査のための正確な波長範囲、を対象とする。したがって、本技術は、高価なクリーンルーム領域および動作時間の節約を可能にし、単一の検査システムの形状因子内で複雑なサンプルのほぼ完全な検査を提供する。
【0077】
様々な実施形態に記載された様々な特徴は、全ての可能な技術的組み合わせに従って組み合わせることができることに留意されたい。
【0078】
本発明は、その適用において、本明細書に含まれる説明または図面に示される詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施および実施することができる。したがって、本明細書で使用される表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。そのため、当業者は、本開示の基づく概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを理解するであろう。
【0079】
当業者は、添付の特許請求の範囲において、およびそれによって定められるその範囲から逸脱することなく、前述のように、様々な修正および変更を本発明の実施形態に適用できることを容易に理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル検査システムであって、
サンプル領域の上方に位置付けられた少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットであって、前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットの各々が、少なくとも1つのX線放射源とそれぞれの検出器装置とを備え、かつサンプルのX線蛍光検査のために構成されている、少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットを備え、前記少なくとも第1および第2のX線検査ユニットは、放出されるX線エネルギーの帯域幅、放出されるX線のエネルギー、サンプル上に生成されるX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つにおいて異なる第1および第2の検査特性を提供する、サンプル検査システム。
【請求項2】
前記第1のX線検査ユニットまたは前記第2のX線検査ユニットの少なくとも1つは、少なくとも1つの単色X線放射源を含む、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項3】
前記第1のX線検査ユニットおよび前記第2のX線検査ユニットは、1つ以上の中心照射エネルギーを有する単色X線照射を提供するように構成されており、前記1つ以上の中心照射エネルギーは、前記1つ以上の中心照射エネルギーの周囲に2keVまでの帯域幅を有し、前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットは、放出されたX線の前記1つ以上の中心照射エネルギーおよびサンプル上に生成されたX線ビームのスポットサイズのうちの少なくとも1つが異なる第1および第2の検査特性を提供する、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項4】
前記第1の検査ユニットは、1つ以上の離散的なエネルギー帯から形成されるX線放射を放出するように構成され、前記第2の検査ユニットは、多色X線放射の連続スペクトルを放出するように構成されている、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項5】
前記第1の検査ユニットは、その上に向けられたX線放射にバンドパスフィルタリングを提供するように構成された1つ以上の多層光学要素を備える光学装置を備え、それによって、1つ以上の離散的なエネルギー帯を有する照射パターンを提供する、請求項4に記載のサンプル検査システム。
【請求項6】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、共通の装着装置上に装着され、前記共通の装着装置は、前記サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームを備え、前記水平ビームは、前記サンプル領域の異なる側に位置する少なくとも2つの支持ビームによって支持されている、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項7】
前記水平ビームは、前記少なくとも2つの支持ビームによって支持され、前記支持ビームの各々は、前記サンプル検査システムの底部フレームから上向きに延在する第1の、ほぼ垂直な、部分と、前記第1の部分から水平に延在し、前記水平ビームに接続される第2の、ほぼ水平な、部分と、を有して形成されている、請求項6に記載のサンプル検査システム。
【請求項8】
前記支持ビームは、逆「L」字形状として形成され、前記サンプル領域の上方に延在するほぼ水平な部分を有し、前記水平ビームを前記サンプル領域の上方に配置する、請求項6に記載のサンプル検査システム。
【請求項9】
第1および第2の異なる焦点距離をそれぞれ有する少なくとも第1の光学顕微鏡ユニットおよび第2の光学顕微鏡ユニットを備え、それによって、サンプル検査中に光学要素を移動させる必要性を回避しながら、光学顕微鏡法のための視野の調節を可能にする、請求項6に記載のサンプル検査システム。
【請求項10】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットは、それぞれの第1の専用コネクタおよび第2の専用コネクタを介して前記水平ビームに装着されており、前記第1の専用コネクタおよび前記第2の専用コネクタは、前記水平ビームの上表面に前記第1の専用コネクタおよび前記第2の専用コネクタを装着するように構成された水平部分と、前記水平ビームの垂直壁に沿って延在する垂直部分と、を備え、前記垂直部分は、少なくとも前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットのそれぞれに接続可能である、請求項6に記載のサンプル検査システム。
【請求項11】
前記第1の専用コネクタおよび前記第2の専用コネクタの少なくとも一方は、前記水平ビームの底部にロックするように位置付けられた下縁部をさらに備える、請求項10に記載のサンプル検査システム。
【請求項12】
前記サンプル領域内に位置付けられ、検査のためにサンプルを配置するように適合された可動サンプル台をさらに備え、前記可動サンプル台は、少なくとも前記第1の検査ユニットおよび前記第2の検査ユニットのそれぞれによる検査を可能にする平面的な移動範囲を有する、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項13】
前記少なくとも第1の検査ユニットおよび第2の検査ユニットの要素は、サンプル検査中に静止しており、それによって、前記サンプルの上方の移動する要素に関連するサンプル汚染を排除する、請求項1に記載のサンプル検査システム。
【請求項14】
システムであって、
シャーシ構造体と、
1つ以上のサンプルを保持し、サンプル領域内で前記1つ以上のサンプルの並進を可能にするように構成されたサンプルマウントと、
前記シャーシ構造体に取り付けられた少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームを備える検査システム装着装置であって、前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームが、前記サンプル領域の上方に延びる少なくとも水平部分を含む、検査システム装着装置と、
前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームに装着され、前記サンプル領域の上方に位置付けられた水平ビームであって、少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを同時に装着して、前記サンプル領域内のサンプルの並進移動によって前記少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットの動作を可能にするための装着装置を備える、水平ビームと、
を含む、システム。
【請求項15】
前記少なくとも第1の支持ビームおよび第2の支持ビームは、前記サンプル領域に対して横方向に前記シャーシ構造体に取り付けられた垂直部分を備え、前記少なくとも水平部分は、前記サンプル領域の上方の前記垂直部分の上部から延在し、前記水平ビームの装着装置は、前記サンプル領域の上方に配置されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットを装着するための前記装着装置は、前記水平ビームの上表面、側表面、および底表面のうちの少なくとも2つに取付点を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記装着装置に装着された少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットをさらに備え、前記少なくとも第1の蛍光X線検査ユニットおよび第2の蛍光X線検査ユニットの各々は、少なくとも1つのX線放射源およびそれぞれの検出器装置を備え、前記第1の蛍光X線検査ユニットは、X線放射をフィルタリングして1つ以上の離散的なエネルギー帯を使用した検査を提供するように構成された1つ以上の多層放射フィルタを備え、前記第2の蛍光X線検査ユニットは、連続的な多色X線放射を放出するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記サンプルマウントは、前記サンプル領域内でのサンプルの選択的並進を可能にする並進装置を備え、前記サンプルを各装着装置位置の下に選択的に位置付けることを可能にする、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
サンプルの蛍光X線(XRF)検査のための方法であって、
前記サンプルを検査システムに提供することと、
第1の組の検査特性を有する第1のX線検査ユニットを使用して前記サンプルを検査し、第1の出力検査データを生成することと、
前記第1の出力検査データを処理し、第2のX線検査ユニットによって検査される前記サンプルの1つ以上の領域を決定することと、
前記サンプルを前記検査システム内において前記第2のX線検査ユニットの場所に並進させることと、
第2の組の検査特性を有する前記第2のX線検査ユニットを使用して前記サンプルを検査し、第2の出力検査データを生成することと、
前記第1の出力検査データおよび前記第2の出力検査データを揃え、前記第1の出力検査データおよび前記第2の出力検査データを処理してサンプル特性を決定することと、
を含む方法。
【請求項20】
前記第1のX線検査ユニットを使用した検査に関連する第1の登録位置を決定することと、
前記第2のX線検査ユニットを使用した検査に関連する第2の登録位置を決定することと、
前記第1の登録位置および前記第2の登録位置を使用して前記第1の出力検査データおよび前記第2の出力検査データを揃えることと、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。