IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

特開2024-127887デオキシリボースを含むリンカー基を有するポリマー色素
<>
  • 特開-デオキシリボースを含むリンカー基を有するポリマー色素 図1
  • 特開-デオキシリボースを含むリンカー基を有するポリマー色素 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127887
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】デオキシリボースを含むリンカー基を有するポリマー色素
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/09 20060101AFI20240912BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C07F9/09 L
C09B69/10 B CSP
C07F9/09 L CSP
C09B69/10 B
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024090475
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2020572789の分割
【原出願日】2019-06-27
(31)【優先権主張番号】62/690,656
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シン シャラット
(72)【発明者】
【氏名】マトライ トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンブラント マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マカッチョン ジョン
(57)【要約】
【課題】蛍光または発色色素として有用な化合物を提供すること。
【解決手段】本化合物は、R1、R2、R3、R4、R5、L1a、L1b、L2、L3、L4、L5、L6、L7、M1、M2、q、w、mおよびnが本明細書で定義されている通りである、以下の構造(I)、またはその立体異性体、互変異性体もしくは塩を有する。このような化合物の調製および使用に関連する方法も提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(I)を有する化合物またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。
【化1】
(式中、
1およびM2は、出現毎に独立して、発色団を含む部分であり、
1aは、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b、L2、L3、L5、L6およびL7は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1およびR2は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
5は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
aは、OまたはSであり、
bは、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
dは、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
【請求項2】
出現するL1aの少なくとも1つが、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1aが、出現毎に独立して、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである、請求項1~2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
1aが、出現毎に、置換されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
1aが、出現毎に、少なくとも1つのオキソにより置換されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
出現するL1bの少なくとも1つが、置換されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
1bが、オキソにより置換されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
1aが、以下の構造のうちの1つを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【化2】
【請求項9】
以下の構造(Ia)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【化3】
【請求項10】
出現するL3の少なくとも1つが、アルキレンリンカーである、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
3が、出現毎に、アルキレンリンカーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
出現するL2の少なくとも1つが、存在しない、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
2が、出現毎に、存在しない、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
出現するL5またはL6の少なくとも1つが、ヘテロアルキレンである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
出現するL4の少なくとも1つが、アルキレンオキシドを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
出現するL5またはL6の少なくとも1つが、アルキレンオキシドを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
アルキレンオキシドが、エチレンオキシドである、請求項15~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
エチレンオキシドが、ポリエチレンオキシドである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
出現するR3の少なくとも1つが、Hである、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
以下の構造(Ib)または(Ic)のうちの1つを有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【化4】
(式中、
1bは、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
【請求項21】
以下の構造(Id)または(Ie)のうちの1つを有する、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【化5】
(式中、
zは、1~100の整数である)
【請求項22】
1bが、出現毎に独立して、アミド官能基またはトリアゾリル官能基を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
5が、出現毎に独立して、OH、O-またはORdである、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
4が、出現毎に、オキソである、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
1およびR2が、それぞれ独立して、OHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
1またはR2の一方が、OHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R1またはR2のもう一方が、Q、またはQへの共有結合を含むリンカーである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
1およびR2が、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)Rcである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
cが、OL’である、請求項25~27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
L’が、Q、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物へのヘテロアルキレンリンカーである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
L’が、アルキレンオキシド部分もしくはホスホジエステル部分、またはそれらの組合せを含む、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
L’が、以下の構造を有する、請求項30に記載の化合物。
【化6】
(式中、
m”およびn”は、独立して、1~10の整数であり、
eは、H、電子対または対イオンであり、
L’’は、Re、または直接結合、またはQ、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(I)のさらなる化合物への連結基である)
【請求項32】
標的指向性部分が、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである、請求項29~31に記載の化合物。
【請求項33】
1またはR2が、以下の構造のうちの1つを有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【化7】
【請求項34】
1またはR2が、以下の構造を有する、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物。
【化8】
【請求項35】
Qが、求核性反応性基、求電子性反応性基または環化付加反応性基を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
Qが、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、求ジエン、酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノまたはマレイミド官能基を含む、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
活性化エステルが、N-スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニルエステルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
アジドが、アルキルアジドまたはアシルアジドである、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
Qが、表1から選択される部分である、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
1またはR2の一方が、OHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R2またはR3のもう一方が、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
分析対象分子が、核酸、アミノ酸またはそれらのポリマーである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
分析対象分子が、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、グリコタンパク質、アプタマーまたはプリオンである、請求項40に記載の化合物。
【請求項43】
標的指向性部分が、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである、請求項40に記載の化合物。
【請求項44】
固体支持体が、ポリマー製ビーズまたは非ポリマー製ビーズである、請求項40に記載の化合物。
【請求項45】
nが、1~100の整数である、請求項1~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
nが、1~10の整数である、請求項1~45のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
mが、7~12の整数である、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
mが、3~6の整数である、請求項1~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
1およびM2が、出現毎に独立して、4つ以上のアリール環もしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せを含む部分である、請求項1~48のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
1もしくはM2が、出現毎に独立して、蛍光性または発色性である、請求項1~49のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
1およびM2が、蛍光性である、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
1およびM2が、出現毎に独立して、少なくとも4つの縮合環を含む縮合多環式アリール部分を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項53】
1およびM2が、出現毎に独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
1およびM2が、出現毎に独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミドもしくはペリレンアミド、またはそれらの誘導体である、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
1およびM2が、出現毎に独立して、クマリン色素、レゾルフィン色素、ジピロメテンボロンジフルオリド色素、ルテニウムビピリジル色素、エネルギー移動色素、チアゾールオレンジ色素、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド色素である、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項56】
1およびM2が、出現毎に独立して、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAM、またはそれらの誘導体である、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項57】
1およびM2が、出現毎に独立して、以下の構造のうちの1つを有する、請求項1~52のいずれか1項に記載の化合物。
【化9】
【請求項58】
表2から選択される化合物。
【請求項59】
試料を染色する方法であって、前記試料に、前記試料が適切な波長で照射されると光学応答を生じるのに十分な量で請求項1~58のいずれか1項に記載の化合物を添加するステップを含む方法。
【請求項60】
前記光学応答が、蛍光応答である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記試料が細胞を含む、請求項59~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
フローサイトメトリーによって前記細胞を観察することステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
蛍光応答を、検出可能な形で異なる光学特性を有する第2のフルオロフォアの蛍光応答と区別するステップをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、分析対象分子への共有結合を含むリンカーである、請求項1に記載の化合物を用意するステップ、および
(b)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項65】
分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、Q、またはQへの共有結合を含むリンカーである請求項1に記載の化合物を分析対象分子と混合するステップ、
(b)化合物および分析対象分子のコンジュゲートを形成するステップ、および
(c)コンジュゲートをその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項66】
分析対象を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、分析対象に対する特異性を有する標的指向性部分への共有結合を含むリンカーを含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物を用意するステップ、
(b)化合物および分析対象を混合し、それによって、標的指向性部分と分析対象とを会合させるステップ、および
(c)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項67】
請求項1~58のいずれか1項に記載の化合物、および1つまたは複数の分析対象分子を含む組成物。
【請求項68】
1つまたは複数の分析対象分子を検出するための、分析法における請求項67に記載の組成物の使用。
【請求項69】
以下の構造(II)を有する化合物、またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。
【化10】
(式中、
1およびG2は、出現毎に独立して、相補性反応性基と共有結合を形成することが可能な反応性基またはその保護類似基を含む部分であり、
1aは、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b’、L2、L3、L5、L6およびL7’は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1およびR2は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
5は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
aは、OまたはSであり、
bは、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
dは、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
【請求項70】
1aが、以下の構造のうちの1つを有する、請求項69に記載の化合物。
【化11】
【請求項71】
以下の構造(IIa)を有する、請求項69または70のいずれか1項に記載の化合物。
【化12】
【請求項72】
以下の構造(IIb)または(IIc)のうちの1つを有する、請求項69~71のいずれか1項に記載の化合物。
【化13】
(式中、
1b’は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
【請求項73】
以下の構造(IId)または(IIe)のうちの1つを有する、請求項69~72のいずれか1項に記載の化合物。
【化14】
(式中、
zは、1~100の整数である)
【請求項74】
出現するG1またはG2の少なくとも1つが、表1から選択される構造を有する、請求項69~73のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項75】
1またはG2が、出現毎に独立して、表1から選択される構造を有する、請求項69~74のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項76】
出現するG1またはG2の少なくとも1つが、以下の構造のうちの1つを有する、請求項69~75のいずれか1項に記載の化合物。
【化15】
【請求項77】
1またはG2が、出現毎に独立して、以下の構造のうちの1つを有する、請求項69~76のいずれか1項に記載の化合物。
【化16】
【請求項78】
出現するG1の少なくとも1つが、
【化17】
である、請求項69~77のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項79】
1が、出現毎に独立して、
【化18】
である、請求項69~78のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項80】
1またはR2が、請求項25~44のいずれか1項により定義される、請求項69~79のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項81】
4が、出現毎に、オキソである、請求項69~80のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項82】
5が、出現毎に独立して、OH、O-またはORdである、請求項69~81のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項83】
2が、出現毎に、存在しない、請求項69~82のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項84】
3が、出現毎に、アルキレンリンカーである、請求項69~83のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項85】
4、L5またはL6が、請求項14~18のいずれか1項において定義されている通りである、請求項69~83のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項86】
以下の構造(III)を有する化合物。
【化19】
(式中、
1は、1~6の整数であり、
2は、1~3の整数であり、
Xは、Oまたは直接結合であり、
1’’およびR2’’は、出現毎に独立して、H、保護基または活性化リン部分であり、
3’’は、Hまたはアルキルであり、
4’’は、アルコキシ、ハロアルキル、アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである)
【請求項87】
1’’が、Hまたは4,4’-ジメトキシトリチルである、請求項86に記載の化合物。
【請求項88】
2’’が、Hであるか、または以下の構造を有する、請求項86~87のいずれか1項に記載の化合物。
【化20】
(式中、
5’’は、Hまたはシアノアルキルであり、
6’’は、出現毎に独立して、C1-C6アルキルである)
【請求項89】
2’’が、以下の構造を有する、請求項86~88のいずれか1項に記載の化合物。
【化21】
【請求項90】
1が、4であり、n2が、1であり、Xが、直接結合である、請求項86~89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項91】
1が、2であり、n2が、1であり、Xが、直接結合である、請求項86~89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項92】
1が、2であり、n2が、2であり、Xが、Oである、請求項86~89のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項93】
3’’が、Hである、請求項86~92のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項94】
4’’が、ハロアルキルである、請求項86~93のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項95】
4’’が、-CF3である、請求項86~94のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項96】
4’’が、アルコキシである、請求項86~93のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項97】
4’’が、tert-ブトキシである、請求項86~93または96のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項98】
表4から選択される、構造(III)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、デオキシリボースリンカー基を有するポリマー蛍光色素または発色色素、およびそれらの調製法、および様々な分析法における使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
蛍光および/または発色色素は、非常に感度の高い検出試薬が望ましい用途にとって特に好適であることが知られている。試料中の特定の成分または構成成分を優先的に標識することが可能な色素によって、研究者は、その特定の成分または構成成分の存在、量および/または位置を判定することが可能となる。さらに、特定の系は、多様な環境における、その空間的および時間的分布に関するモニタリングが行われ得る。
蛍光および比色定量方法は、化学および生物学において、非常に広範囲に普及している。これらの方法は、生体分子に関する、存在、構造、距離、配向、複合体形成および/または位置に関する有用な情報をもたらす。さらに、時間分解法は、動力学および速度の測定に使用されることが次第に増加している。その結果、核酸およびタンパク質などの生体分子の蛍光または着色標識化に関する多数の戦略が開発されてきた。生体分子の分析は、通常、水性環境で行われるので、水溶性色素の開発および使用に重点が置かれてきた。
蛍光性または発色性が高い色素の使用により、シグナル対ノイズ比が増大し、他の関連利益が実現されるので、このような色素は非常に望ましい。したがって、既知の蛍光部分および/または発色部分からのシグナルを増大させる試みが行われてきた。例えば、2つ以上の蛍光部分および/または発色部分を含む二量体化合物およびポリマー化合物が、そのような化合物は一層明るい色素となるであろうと期待されて、調製されてきた。しかし、分子内での蛍光消光の結果として、既知の二量体色素およびポリマー色素は、輝度の望ましい向上を実現しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-534107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、モル輝度の増大した色素が当分野において必要とされている。理想的には、このような色素およびバイオマーカーは、強い着色または蛍光となるべきであり、様々な色および蛍光波長に利用可能であるべきである。本開示は、この必要性を満足し、さらに関連する利点を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手短に述べると、本開示の実施形態は、概して、生体分子などの分析対象分子の目視検出を可能にする、水溶性蛍光色素および/または発色色素および/またはプローブとして有用な化合物、ならびにそれらを調製するための試薬を対象とする。色素を使用する分析対象分子を目視検出する方法もまた記載されている。
【0006】
本開示の色素の実施形態は、リンカー(例えば、「L2」、「L3」、「L4」、「L5」および「L6」)によって共有結合により連結されている、2つ以上の蛍光部分および/または発色部分を含む。二量体および/またはポリマー色素の以前の報告とは対照的に、本色素は、対応するモノマー色素化合物よりもかなり高輝度である。理論に拘泥することを望むものではないが、リンカー部分により、分子内の蛍光消光が低減されるおよび/またはなくなるよう、蛍光部分および/または発色部分の間に十分な空間隔離をもたらすと考えられる。
本開示の実施形態の水溶性、蛍光または発色色素は、強く発色し、および/または蛍光性であり、目視検査または他の手段によって容易に観察することができる。一部の実施形態では、本化合物は、事前の照射、または化学的もしくは酵素的活性化なしに、観察することができる。色素の適切な選択により、本明細書に記載されている通り、様々な発色の目視により検出可能な分析対象分子を得ることができる。
一実施形態では、以下の構造(I)を有する化合物:
【0007】
【化1】
またはその立体異性体、互変異性体もしくは塩(式中、R1、R2、R3、R4、R5、L1a、L1b、L2、L3、L4、L5、L6、L7、M1、M2、q、w、mおよびnは、本明細書で定義されている通りである)が提供される。構造(I)の化合物は、様々な分析法における、蛍光色素および/または発色色素としての使用を含めた、いくつかの用途に利用が見いだされる。
別の実施形態では、試料を染色する方法であって、前記試料に、前記試料が適切な波長で照射されると光学応答を生じるのに十分な量の構造(I)の化合物を添加するステップを含む方法が提供される。
さらに他の実施形態では、本開示は、分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)構造(I)の化合物を用意するステップ、および
(b)該化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法を提供する。
他の開示されている方法は、生体分子を目視で検出するための方法であって、
(a)構造(I)の化合物と1つまたは複数の生体分子とを混合するステップ、および
(b)該化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法を含む。
他の実施形態は、分析対象を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、分析対象に対する特異性を有する標的指向性部分への共有結合を含むリンカーを含む、本明細書において開示されている化合物を用意するステップ、
(b)該化合物および分析対象を混合し、それによって、標的指向性部分と分析対象とを会合させるステップ、および
(c)該化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法を提供する。
他の実施形態は、構造(I)の化合物、および生体分子などの1つまたは複数の分析対象分子を含む組成物を対象とする。1つまたは複数の生体分子を検出するための分析法における、このような組成物の使用も提供される。
【0008】
本開示のこれらの態様および他の態様が、以下の詳細な説明を参照すると明白になろう。
図面では、同一の参照番号は、同様の要素と識別する。図面における要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも、縮尺通りに描かれておらず、これらの要素の一部は、任意に、拡大されて、図面の見易さを改善するように配置されている。さらに、図示されている要素の具体的な形状は、その具体的な要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しているわけではなく、図面における認識の容易さを理由に単に選択されているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】化合物I-1および比較化合物のPAGEゲルを示す図である。
図2】化合物I-2および比較化合物のPAGEゲルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の記載において、ある種の具体的な詳細は、本開示の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために説明される。しかし、当業者は、本開示は、これらの詳細なしに行われ得ることを理解していよう。
文脈上異なる解釈を要する場合を除き、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などのその変化形は、オープンな包括的な意味、すなわち、「以下に限定されないが、含む」として解釈されるべきである。
本明細書全体を通じて、「一実施形態」または「ある1つの実施形態」という場合、これらの実施形態に関連して記載されている、特定の特色、構造または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体における様々な位置における、「一実施形態では」または「ある1つの実施形態では」という言い回しが現れる場合、必ずしも、すべてが、同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特色、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態における、任意の好適な方法において組み合わされ得る。
【0011】
「アミノ」とは、-NH2基を指す。
「カルボキシ」とは、-CO2H基を指す。
「シアノ」とは、-CN基を指す。
「ホルミル」とは、-C(=O)H基を指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、-OH基を指す。
「イミノ」とは、=NH基を指す。
「ニトロ」とは、-NO2基を指す。
「オキソ」とは、=O置換基を指す。
「スルフヒドリル」とは、-SH基を指す。
「チオキソ」とは、=S基を指す。
「アルキル」とは、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C1-C8アルキル)または1~6個の炭素原子(C1-C6アルキル)を有する、炭素および水素原子のみからなる直鎖状または分岐状の炭化水素鎖の基であって、単結合によって分子の残りに結合している炭化水素鎖の基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどを指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキル基は、置換されていてもよい。
「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、不飽和を含まず、1~12個の炭素原子を有する、炭素および水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなどを指す。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、および単結合を介してラジカル基に結合している。分子の残りおよびラジカル基へのアルキレン鎖の結合点は、この鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキレンは、置換されていてもよい。
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2~12個の炭素原子を有する、炭素および水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどを指す。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、および二重結合または単結合を介してラジカル基に結合している。分子の残りおよびラジカル基へのアルケニレン鎖の結合点は、この鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルケニレンは、置換されていてもよい。
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、2~12個の炭素原子を有する、炭素および水素のみからなる、分子の残りをラジカル基に連結する、二価の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレンなどを指す。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、および二重結合または単結合を介してラジカル基に結合している。アルキニレン鎖の、分子の残りおよびラジカル基への結合点は、この鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素を介することができる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキニレンは、置換されていてもよい。
「アルキルエーテル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素結合が、炭素-酸素結合により置き換えられている、上で定義されている任意のアルキル基を指す。炭素-酸素結合は、末端(アルコキシ基のように)に存在していてもよく、または炭素酸素結合は内部(すなわち、C-O-C)に存在していてもよい。アルキルエーテルは、少なくとも1つの炭素酸素結合を含むが、1つより多く含むことがある。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)は、アルキルエーテルの意味の範囲内に含まれている。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルキルエーテル基は置換されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、アルキルエーテルは、アルコールまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcにより置換されており、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「アルコキシ」とは、式-ORaの基を指し、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、上で定義したアルキル基である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルコキシ基は置換されていてもよい。
「アルコキシアルキルエーテル」とは、式-ORabの基を指し、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、上で定義したアルキレン基であり、Rbは、本明細書において定義されているアルキルエーテル基である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アルコキシアルキルエーテル基は置換されていてもよく、例えば、アルコールまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcにより置換されており、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「ヘテロアルキル」とは、アルキル基内、またはアルキル基の末端において、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、O、PまたはS)を含む、上で定義したアルキル基を指す。一部の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキル基内に存在する(すなわち、ヘテロアルキルは、少なくとも1個の炭素-[ヘテロ原子]x-炭素という結合を含み、xは、1、2または3である)。他の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキル基の末端に存在し、したがって、該アルキル基を分子の残りに結合させるよう働き(例えば、M1-H-A)、M1は、分子の一部であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキル基である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルキル基は置換されていてもよい。例示的なヘテロアルキル基には、ホスホジエステル結合などのリン-酸素結合を含んでもよい、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)が含まれる。
「ヘテロアルコキシ」とは、式-ORaの基を指し、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、上で定義したヘテロアルキル基である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルコキシ基は置換されていてもよい。
「ヘテロアルキレン」とは、アルキレン鎖内、またはアルキレン鎖の末端において、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、Si、N、O、PまたはS)を含む、上で定義したアルキレン基を指す。一部の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキレン鎖内に存在する(すなわち、ヘテロアルキレンは、少なくとも1個の炭素-[ヘテロ原子]-炭素結合を含み、xは、1、2または3である)。他の実施形態では、ヘテロ原子は、アルキレンの末端に存在し、こうして、このアルキレンを分子の残りに結合させるよう働く(例えば、M1-H-A-M2であり、M1およびM2は、分子の部分であり、Hは、ヘテロ原子であり、Aは、アルキレンである)。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルキレン基は置換されていてもよい。例示的なヘテロアルキレン基には、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)、ならびに以下に例示されている連結基である、「C」、「HEG」、および「PEG 1K」が含まれる。
【0012】
【化2】
上記のC-リンカー、HEGリンカーおよび/またはPEG 1Kリンカーの多量体が、ヘテロアルキレンリンカーの様々な実施形態に含まれる。PEG 1Kリンカーの一部の実施形態では、nは、19~25の範囲にあり、例えば、nは、19、20、21、22、23、24または25である。多量体は、例えば、以下の構造:
【0013】
【化3】
(式中、xは、0または0より大きい整数であり、例えば、xは、0~100(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)の範囲である)
を含むことができる。
「ヘテロアルケニレン」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、上で定義したヘテロアルキレンである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルケニレン基は置換されていてもよい。
「ヘテロアルキニレン」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、ヘテロアルキレンである。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアルキニレン基は置換されていてもよい。
「ヘテロ原子リンカー」に関連する「ヘテロ原子」とは、1個または複数のヘテロ原子からなる、リンカー基を指す。例示的なヘテロ原子リンカーには、O、N、PおよびSからなる群から選択される単一原子、ならびに複数のヘテロ原子、例えば、式-P(O-)(=O)O-または-OP(O-)(=O)O-を有するリンカーおよび多量体、ならびにそれらの組合せが含まれる。
「ホスフェート」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基(Raは、OH、O-またはORcであり、Rbは、OH、O-、ORcである)、チオホスフェート基、またはさらなるホスフェート基(Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である)を指す。
「ホスホアルキル」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基を指し、Raは、OH、O-またはORcであり、Rbは、-Oアルキルであり、Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ホスホアルキル基は置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、ホスホアルキル基中の-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテルまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcのうちの1つまたは複数により置換されていてもよく、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「ホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=O)(Ra)Rb基を指し、Raは、OH、O-またはORcであり、Rbは、-Oアルキルエーテルであり、Rcは、対イオン(例えば、Na+など)である。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ホスホアルキルエーテル基は置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、ホスホアルキルエーテル基中の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテル、または-OP(=Ra)(Rb)Rcのうちの1つまたは複数により置換されていてもよく、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「チオホスフェート」とは-OP(=Ra)(Rb)Rc基を指し、Raは、OまたはSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、Rcは、OH、SH、O-、S-、ORd、SRd、ホスフェート基、またはさらなるチオホスフェート基であり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)RaはSである、ii)RbはS-もしくはSRdである、iii)Rcは、SH、S-もしくはSRdである、またはiv) i)、ii)および/もしくはiii)の組合せであることを条件とする。
「チオホスホアルキル」とは、-OP(=Ra)(Rb)Rc基を指し、Raは、OまたはSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、Rcは、-Oアルキルであり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)RaはSである、ii)Rbは、S-もしくはSRdである、またはiii)Raは、Sであり、Rbは、S-もしくはSRdであることを条件とする。本明細書において特に具体的に明記しない限り、チオホスホアルキル基は置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、チオホスホアルキル基中の-Oアルキル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテル、または-OP(=Ra)(Rb)Rcのうちの1つまたは複数により置換されていてもよく、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「チオホスホアルキルエーテル」とは、-OP(=Ra)(Rb)Rc基を指し、Raは、OまたはSであり、Rbは、OH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、Rcは、-Oアルキルエーテルであり、Rdは、対イオン(例えば、Na+など)であり、ただし、i)RaはSである、ii)Rbは、S-もしくはSRdである、またはiii)Raは、Sであり、Rbは、S-もしくはSRdであることを条件とする。本明細書において特に具体的に明記しない限り、チオホスホアルキルエーテル基は置換されていてもよい。例えば、ある種の実施形態では、チオホスホアルキル基中の-Oアルキルエーテル部分は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキルエーテル、または-OP(=Ra)(Rb)Rcのうちの1つまたは複数により置換されていてもよく、Ra、RbおよびRcはそれぞれ、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
「炭素環式」とは、3~18個の炭素原子を含む、安定な3~18員の芳香族または非芳香族環を指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、炭素環式環は、単環式、二環式、三環式または四環式環系とすることができ、これらは、縮合または架橋環系を含んでもよく、部分または完全飽和であってもよい。非芳香族カルボシクリルラジカルには、シクロアルキルが含まれる一方、芳香族カルボシクリルラジカルには、アリールが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、炭素環式基は置換されていてもよい。
「シクロアルキル」とは、安定な非芳香族単環式または多環式炭素環式環を指し、これらは、3~15個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する、飽和または不飽和な縮合または架橋環系であって、単結合によって分子の残りに結合している、縮合または架橋環系を含んでもよい。単環式シクロアルキルには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれる。多環式シクロアルキルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ-[2.2.1]ヘプタニルなどが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、シクロアルキル基は置換されていてもよい。
「アリール」とは、少なくとも1つの炭素環式芳香族環を含む環系を指す。一部の実施形態では、アリールは、6~18個の炭素原子を含む。アリール環は、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、これらは、縮合または架橋環系を含んでもよい。アリールには、以下に限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレンおよびトリフェニレンから誘導されるアリールが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、アリール基は置換されていてもよい。
【0014】
「複素環式」は、1~12個の炭素原子、ならびに窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、安定な3~18員の芳香族または非芳香族環を指す。本明細書において特に具体的に明記しない限り、複素環式環は、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、これらは、縮合または架橋環系を含んでもよく、複素環式環中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよい。窒素原子は四級化されていてもよい。複素環式環は、部分または完全飽和であってもよい。芳香族複素環式環の例は、ヘテロアリールの定義において、以下に列挙されている(すなわち、ヘテロアリールは、複素環式の部分集合である)。非芳香族複素環式環の例には、以下に限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾロピリミジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリオキサニル、トリチアニル、トリアジナニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、複素環式基は置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」とは、1~13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、および少なくとも1つの芳香族環を含む、5~14員の環系を指す。本開示のある種の実施形態の目的のため、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってもよく、これらは、縮合または架橋環系を含んでもよく、ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよく、窒素原子は、四級化されていてもよい。例には、以下に限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ベンゾオキサゾリノニル、ベンゾイミダゾールチオニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プテリジノニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリミジノニル(pryrimidinonyl)、ピリダジニル、ピロリル、ピリド[2,3-d]ピリミジノニル、キナゾリニル、キナゾリノニル、キノキサリニル、キノキサリノニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-オニル、チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルおよびチオフェニル(すなわち、チエニル)が含まれる。本明細書において特に具体的に明記しない限り、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
【0015】
接尾辞「-エン(-ene)」とは、単結合を介して分子の残りに、および単結合を介してラジカル基に結合した特定の構造的特徴(例えば、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール)を指す。言い換えると、接尾辞「-エン」とは、これが結合している部分の構造的特徴を有するリンカーを指す。「-エン」鎖の、分子の残りおよびラジカル基への結合点は、この鎖内の任意の2個の原子の1個の原子、またはこの任意の2個の原子を介することができる。例えば、ヘテロアリーレンとは、本明細書において定義されているヘテロアリール部分を含むリンカーを指す。
「縮合した」とは、少なくとも2つの環を含む環系を指し、2つの環は、少なくとも1個の共通の環原子、例えば、2つの共通の環原子を共有する。縮合環が、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、共通の環原子は、炭素または窒素とすることができる。縮合環は、二環式、三環式、四環式(tertracyclic)などを含む。
【0016】
本明細書において使用されている用語「置換されている」は、上記の基(例えば、アルキル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルコキシ、アルキルエーテル、ホスホアルキル、ホスホアルキルエーテル、チオホスホアルキル、チオホスホアルキルエーテル、炭素環式、シクロアルキル、アリール、複素環式および/またはヘテロアリール)のいずれかを意味し、少なくとも1個の水素原子(例えば、1個、2個、3個またはすべての水素原子)が、F、Cl、BrおよびIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基およびエステル基などの基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基およびスルホキシド基などの基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミドおよびエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基およびトリアリールシリル基などの基中のケイ素原子;および様々な他の基中の他のヘテロ原子などの非水素原子への結合によって置き換えられている。「置換されている」はまた、1個または複数の水素原子が、オキソ基、カルボニル基、カルボキシル基およびエステル基中の酸素、ならびにイミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトリルなどの基中の窒素などのヘテロ原子への高次結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。例えば、「置換されている」には、1個または複数の水素原子が、-NRgh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgh、-NRgC(=O)ORh、-NRgSO2h、-OC(=O)NRgh、-ORg、-SRg、-SORg、-SO2g、-OSO2g、-SO2ORg、=NSO2gおよび-SO2NRghにより置き換えられている、上記の基のいずれかが含まれる。「置換されている」はまた、1個または複数の水素原子が、-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgh、-CH2SO2g、-CH2SO2NRghによって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。上述において、RgおよびRhは、同一であるかまたは異なっており、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換されている」は、1個または複数の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基への結合によって置き換えられている、上記の基のいずれかをさらに意味する。さらに、上述の置換基のいずれもまた、上記の置換基のうちの1つまたは複数により置換されていてもよい。
【0017】
「共役」とは、介在するシグマ結合全体に、1つのp軌道と別のp軌道とに重なりがあることを指す。共役は、環式または非環式化合物に起こり得る。「共役度」とは、介在するシグマ結合全体に、少なくとも1つのp軌道と別のp軌道とに重なりがあることを指す。例えば、1,3-ブタジエンは、一共役度を有する一方、ベンゼンおよび他の芳香族化合物は、通常、複数の共役度を有する。蛍光および発色化合物は、通常、少なくとも一共役度を含む。
「蛍光」とは、特定の周波数の光を吸収して、異なる周波数の光を放出することが可能な分子を指す。蛍光は、当業者に周知である。
「発色」とは、有色スペクトル(すなわち、赤色、黄色、青色など)内の光を吸収する分子を指す。
「リンカー」とは、炭素、酸素、窒素、硫黄、リンおよびそれらの組合せなどの少なくとも1個の原子の連続鎖であって、分子のある部分を同一分子の別の部分に、または異なる分子、部分もしくは固体支持体(例えば、マイクロ粒子)に連結させる連続鎖を指す。リンカーは、イオン性相互作用または水素結合相互作用などの、共有結合または他の手段を介して分子に連結することができる。
【0018】
用語「生体分子」は、核酸、炭水化物、アミノ酸、ポリペプチド、グリコタンパク質、ホルモン、アプタマーおよびそれらの混合物を含めた、様々な生体物質のいずれかを指す。より詳細には、この用語は、非限定的に、RNA、DNA、オリゴヌクレオチド、修飾または誘導体化ヌクレオチド、酵素、受容体、プリオン、受容体リガンド(ホルモンを含む)、抗体、抗原および毒素、ならびに細菌、ウイルス、血液細胞および組織細胞を含むことが意図されている。本開示の目視により検出可能な生体分子(例えば、構造(I)の化合物に連結した生体分子を有する構造(I)の化合物)は、本明細書にさらに記載されている通り、生体分子を、該生体分子上のアミノ、ヒドロキシ、カルボキシルまたはスルフヒドリル基などの任意の利用可能な原子または官能基を介して、生体分子を本化合物に結合させることを可能にする反応性基を有する化合物に接触させることによって調製される。
【0019】
「反応性基」は、例えば、置換、酸化、還元、付加または環化付加反応によって、第2の反応性基(例えば、「相補性反応性基」)と反応して、1つまたは複数の共有結合を形成することができる部分である。例示的な反応性基が、表1に提示されており、例えば、求核剤、求電子剤、ジエン、求ジエン体、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、ハロゲン化スルホニル、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチン、チイランなどを含む。
【0020】
「バイオコンジュゲート(bio-conjugation)」または「バイオコンジュゲート(bio-conjugate)」、および関連する変形語とは、2つの分子間の安定な共有結合を形成させるための化学反応戦略を指す。用語「バイオコンジュゲート」は、分子の1つが生体分子(例えば、抗体)である場合に一般に使用されるが、非生体分子(例えば、ポリマー樹脂)と共有結合を形成することを記載するために使用することができる。このような反応戦略に由来する生成物または化合物は、「コンジュゲート」、「バイオコンジュゲート」または文法的等価物である。
用語「目視可能な」および「目視により検出可能な」は、本明細書において、事前の照射、または化学的もしくは酵素的活性化なしに、目視検査によって観察可能な物質を指すために使用される。このような目視により検出可能な物質は、約300~約900nmの範囲のスペクトル領域の光を吸収して、放出する。好ましくは、このような物質は、強く色を呈し、好ましくは、少なくとも約40,000、より好ましくは少なくとも約50,000M、さらにより好ましくは少なくとも約60,000、さらにより好ましくは少なくとも約70,000および最も好ましくは少なくとも約80,000M-1cm-1のモル吸光係数を有する。本開示の化合物は、裸眼による観察によって検出され得るか、または非限定的に、吸収スペクトル光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラおよびスキャナを含めた光学に基づく検出デバイスを用いて検出され得る。目視により検出可能な物質は、可視スペクトルの光を発光および/または吸収するものに限定されない。紫外線(UV)領域(約10nm~約400nm)、赤外(IR)領域(約700nm~約1mm)の光を放出および/または吸収する物質、ならびに電磁スペクトルの他の領域において放出および/または吸収する物質も、「目視により検出可能な」物質の範囲内に含まれる。
【0021】
本開示の実施形態の目的のため、用語「光安定性可視色素」とは、本明細書の上で定義されている通り、目視により検出可能であり、かつ光への曝露時に有意には改変または分解しない化学部分を指す。好ましくは、光安定性可視色素は、少なくとも1時間の光への曝露後に、有意な脱色または分解を示さない。より好ましくは、可視色素は、少なくとも12時間、さらにより好ましくは少なくとも24時間、さらにより好ましくは少なくとも1週間、最も好ましくは少なくとも1か月間の光への曝露後に安定である。本開示の化合物および方法において使用するのに好適な光安定性可視色素の非限定例は、アゾ色素、チオインジゴ色素、キナクリドン顔料、ジオキサジン、フタロシアニン、ペリノン、ジケトピロロピロール、キノフタロンおよびトリアリールカルボニウム(truarycarbonium)を含む。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「ペリレン誘導体」は、目視により検出可能な任意の置換ペリレンを含むことが意図されている。しかし、この用語は、ペリレンそれ自体を含むことを意図するものではない。用語「アントラセン誘導体」、「ナフタレン誘導体」、および「ピレン誘導体」は、類似的に使用される。一部の好ましい実施形態では、誘導体(例えば、ペリレン、ピレン、アントラセンまたはナフタレン誘導体)は、ペリレン、アントラセン、ナフタレンまたはピレンのイミド、ビスイミドまたはヒドラザムイミド(hydrazamimide)誘導体である。
【0023】
本開示の様々な実施形態の目視により検出可能な分子は、特定の分析対象(例えば、生体分子)の存在、位置または量を決定することが必要な、生化学的および生物医学的用途などの幅広い分析用途に有用である。したがって、別の態様では、本開示は、生体分子を目視で検出する方法であって、(a)生物系に、生体分子に連結されている、構造(I)の化合物を含む目視により検出可能な生体分子を提供するステップ、および(b)該生体分子をその可視特性によって検出するステップを含む方法を提供する。本開示の目的のために、言い回し「その可視特性によって生体分子を検出する」とは、照射、または化学的もしくは酵素的活性化なしに、生体分子が、裸眼により、または非限定的に、吸収スペクトル光度計、透過型光学顕微鏡、デジタルカメラおよびスキャナを含めた光学に基づく検出デバイスを用いて観察されることを意味する。密度計を使用して、存在する目視により検出可能な生体分子の量を定量することができる。例えば、2つの試料中の生体分子の相対量は、相対光学密度を測定することによって決定することができる。生体分子あたりの色素分子の化学量論が既知であり、かつ色素分子の吸光係数が既知である場合、生体分子の絶対濃度は、光学密度の測定値から求めることもできる。本明細書で使用する場合、用語「生物系」は、目視により検出可能な生体分子に加えて、1つまたは複数の生体分子を含む任意の溶液または混合物を指すために使用される。このような生物系の非限定例には、細胞、細胞抽出物、組織試料、電気泳動用ゲル、アッセイ混合物およびハイブリッド化反応混合物が含まれる。
【0024】
「固体支持体」または「固体支持体残基」とは、分子を固相に支持するための当分野で公知の任意の固体基材を指し、例えば「マイクロ粒子」とは、以下に限定されないが、ガラス製ビーズ、磁気ビーズ、ポリマー製ビーズ、非ポリマー製ビーズなどを含めた、本開示の化合物への結合に有用ないくつかの小型粒子のいずれかを指す。ある種の実施形態では、マイクロ粒子はポリスチレン製ビーズを含む。
【0025】
「標的指向性部分」とは、分析対象分子などの特定の標的に選択的に結合するか、またはこれと会合する部分である。「選択的に」結合するまたは会合するとは、標的指向性部分が、他の標的に比べて所望の標的に優先的に会合する、または結合することを意味する。一部の実施形態では、本明細書において開示されている化合物は、この化合物を目的とする分析対象(すなわち、標的指向性部分の標的)に選択的に結合または会合させるための標的指向性部分への連結基を含み、こうして分析対象の検出が可能になる。例示的な標的指向性部分は、以下に限定されないが、抗体、抗原、核酸配列、酵素、タンパク質、細胞表面受容体アンタゴニストなどを含む。一部の実施形態では、標的指向性部分は、細胞表面または細胞中の標的特徴部、例えば細胞膜または他の細胞の構造表面の標的特徴部に選択的に結合または会合する抗体などの部分であり、こうして目的細胞の検出を可能にする。所望の分析対象に選択的に結合または会合する低分子はまた、ある種の実施形態では、標的指向性部分としても企図される。当業者は、様々な実施形態において有用な他の分析対象および対応する標的指向性部分を理解しているであろう。
「塩基対部分」とは、水素結合を介して、相補性複素環式部分とハイブリダイズすることが可能な複素環式部分を指す(例えば、ワトソン-クリック塩基対)。塩基対部分は、天然および非天然塩基を含む。塩基対部分の非限定例は、アデノシン、グアノシン、チミジン、シトシンおよびウリジン、ならびにそれらの類似体などの(such)RNAおよびDNA塩基である。
本明細書において開示されている本開示の実施形態はまた、1個または複数の原子が異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられることによって、同位体標識されている化合物のすべてを包含することが意図されている。開示されている化合物に組み込まれ得る同位体の例には、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体が含まれる。
構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来技法によって、または以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、以下および以下の実施例に記載されているものに類似した方法によって一般に調製することができる。
【0026】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度の程度までの単離および有効な治療剤への製剤化に分解しない(survive)ほど十分に頑強な化合物を示すことが意図されている。
【0027】
「任意に用いてもよい(optional)」または「してもよい(optionally)」は、その後に記載されている事象または状況が発生することがあるか、または発生しないことがあること、ならびにこの記載は、前記事象または状況が発生する場合、およびそれが発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよいアルキル」は、このアルキル基が置換されていてもよいこと、または置換されていなくてもよいこと、およびこの記載は置換アルキル基と置換を有していないアルキル基の両方を含むことを意味する。
「塩」は、酸付加塩と塩基付加塩の両方を含む。
「酸付加塩」とは、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および以下に限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、シヨウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサルチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸と共に形成される塩を指す。
【0028】
「塩基付加塩」とは、無機塩基または有機塩基の遊離酸への付加から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩には、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが含まれる。有機塩基に由来する塩には、以下に限定されないが、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの、天然置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂を含めた、一級、二級および三級アミン、置換アミンの塩が含まれる。特に、好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0029】
結晶化は、本明細書において記載されている化合物の溶媒和物を生じることがある。本開示の実施形態は、記載されている化合物の溶媒和物のすべてを含む。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」とは、本開示の化合物の1つまたは複数の分子と溶媒の1つまたは複数の分子を含む凝集物を指す。溶媒は水であってもよく、この場合、溶媒和物は水和物となり得る。代替的に、溶媒は、有機溶媒であってもよい。したがって、本開示の化合物は、一水和物、二水和物、ヘミ水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物など、ならびに対応する溶媒和物形態を含めた、水和物として存在することがある。本開示の化合物は、真の溶媒和物であってもよい一方、他の場合では、本開示の化合物は、単に偶発的な水または別の溶媒を保持することがあるか、または水とある偶発的な溶媒との混合物であってもよい。
【0030】
本開示の化合物(例えば、構造Iの化合物)の実施形態、またはその塩、互変異性体もしくは溶媒和物は、1個または複数の不斉中心を含むことがあり、したがって、絶対立体化学に関して、(R)-もしくは(S)-、またはアミノ酸の場合、(D)-もしくは(L)-と定義され得る、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび他の立体異性体が生じることがある。本開示の実施形態は、すべてのこのような可能な異性体、ならびにそのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことが意図されている。光学活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製することができるか、または従来の技法、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶化を使用して分割され得る。個々の鏡像異性体の調製/単離に関する従来の技法には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または、塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書において記載されている化合物が、オレフィン性二重結合または幾何学的不斉の他の中心を含有している場合、および特に指定しない限り、本化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図されている。同様に、互変異性体のすべてが、含まれることも意図されている。
【0031】
「立体異性体」とは、同じ結合によって結合した同一原子から構成されているが、相互変換することができない異なる三次元構造を有する化合物を指す。本開示は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を企図しており、2つの立体異性体であって、それらの分子が互いに重なり合わない鏡像である、2つの立体異性体を指す「鏡像異性体」を含む。
「互変変異性体」とは、分子の1個の原子から同一分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本開示は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。本化合物の様々な互変異性体は、当業者によって容易に誘導可能である。
本明細書において使用される化学命名プロトコールおよび構造略図は、ACD/命名バージョン9.07ソフトウェアプログラムおよび/またはChemDraw Ultraバージョン11.0ソフトウェア命名プログラム(CambridgeSoft)を使用する、I.U.P.A.C.命名法システムの修正版である。当業者が精通している一般名称も使用する。
【0032】
上記の通り、本開示の一実施形態では、様々な分析法における蛍光および/または発色色素として有用な化合物が提供される。他の実施形態では、蛍光および/または発色色素として有用な化合物を調製する合成中間体として有用な化合物が提供される。一般用語では、本開示の実施形態は、蛍光および/または発色部分の二量体以上のポリマーを対象としている。蛍光および/または発色部分は、連結部分によって連結される。理論に拘泥されることを望むものではないが、リンカーは、蛍光部分および/または発色部分の間に十分な空間距離を維持する一助となり、こうして、分子内消光が低減され、またはなくなり、こうして、高いモル「輝度」(例えば、高蛍光発光)を有する色素化合物をもたらすと考えられる。
【0033】
したがって、一部の実施形態では、本化合物は、以下の構造(A):
【化4】
(A)
(式中、Lは、1つまたは複数の(例えば、各々の)M1基の間の空間隔離を維持するのに十分なリンカー(例えば、ヘテロアルキレン)であり、その結果、分子内消光が低減されるか、またはなくなり、R1、R2、L1a、L1b、L2、L3およびnは、構造(I)に関して定義されている通りである)を有する。構造(A)の一部の実施形態では、Lは、1つまたは複数のエチレングリコール部分またはポリエチレングリコール部分を含むリンカーである。
【0034】
他の実施形態では、以下の構造(I)を有する化合物:
【化5】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体(式中、
1およびM2は、出現毎に独立して、発色団を含む部分であり、
1aは、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b、L2、L3、L5、L6およびL7は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1およびR2は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
5は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
aは、OまたはSであり、
bは、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
dは、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
が提供される。
【0035】
構造(I)の化合物中の様々なリンカーおよび置換基(例えば、M1、M2、Q、R1、R2、R3、Rc、L1a、L1b、L2、L3、L4、L5、L6およびL7)は、もう1つの置換基により置換されていてもよい。例えば、一部の実施形態では、任意に用いてもよい置換基は、構造(I)の化合物の水溶解度または他の特性を最適化するよう選択される。ある種の実施形態では、構造(I)の化合物中の発色団、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアリーレン、ヘテロアルキル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルコキシアルキルエーテル、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルはそれぞれ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、スルフヒドリル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルおよびチオホスホアルキルエーテルからなる群から選択される、さらに1つの置換基により置換されていてもよい。ある種の実施形態では、任意に用いてもよい置換基は、-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、Ra、RbおよびRcは、構造(I)の化合物に関して定義されている通りである。
【0036】
一部の実施形態では、出現するL1aの少なくとも1つは、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである。一部のさらに具体的な実施形態では、L1aは、出現毎に独立して、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである。一部の実施形態では、L1aは、6員のヘテロアリーレンである。一部の実施形態では、L1aは、2個のN原子および2個のO原子を含む。ある種の実施形態では、L1aは、出現毎に、置換されている。一部の関連する実施形態では、L1bは、置換されており、例えば、L1bは、オキソ、アルキル(例えば、メチル、エチルなど)、またはそれらの組合せにより置換されている。より具体的な実施形態では、L1aは、出現毎に、少なくとも1つのオキソにより置換されている。一部の実施形態では、L1aは、以下の構造:
【化6】
のうちの1つを有する。
【0037】
一部の実施形態では、L1bは、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アルキレンヘテロアリーレンアルキレン、アルキレンヘテロシクリレンアルキレン、アルキレンカルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレンヘテロアルキレン、アルキレンヘテロアリーレンヘテロアルキレン、アルキレンヘテロシクリレンヘテロアルキレン、アルキレンカルボシクリレンヘテロアルキレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、カルボシクリレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンヘテロシクリレン、ヘテロアリーレンアルキレン、アルキレンカルボシクリレン、カルボシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロアリーレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレン、ヘテロアリーレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンカルボシクリレン、カルボシクリレンヘテロアルキレンまたはヘテロ原子リンカーである。一部の実施形態では、L1bは、置換されていてもよいヘテロアルケニレンリンカーである。
【0038】
一部の実施形態では、出現するL1bの少なくとも1つは、置換されている。ある種の実施形態では、L1bは、出現毎に置換されている。一部のさらに具体的な実施形態では、L1bは、オキソにより置換されている。
他の実施形態では、L1bは、出現毎に独立して、2つの相補性反応性基(例えば、トリアゾリル、アミドなど)、例えばQ基の反応により形成可能な官能基を含むリンカーである。
【0039】
任意に用いてもよいリンカーL1bおよびL7は、化合物の残りへのM1部分およびM2部分の結合点として使用することができる。例えば、一部の実施形態では、構造(I)の化合物への合成前駆体が調製され、M1およびM2部分は、任意の数の、当分野において公知の容易な方法、例えば、「クリックケミストリー」と称される方法を使用して合成前駆体に結合される。この目的の場合、迅速かつ実質的に不可逆な任意の反応を使用して、構造(I)の化合物を形成するための合成前駆体にM1およびM2を結合することができる。例示的な反応には、アジドとアルキンとのトリアゾールを形成する銅触媒反応(Huisgenの1,3-双極子環化付加)、ジエンと求ジエンとの反応(Diels-Alder)、歪みにより促進されるアルキン-ニトロン環化付加、歪により促進されるシクロアルキン-アジド環化付加(Cu不含クリック)、歪アルケンとアジド、テトラジンまたはテトラゾールの反応、アルケンとアジドの[3+2]環化付加、アルケンとテトラジンの逆需要Diels-Alder、アルケンとテトラゾールの光反応、ならびに求電子性原子への求核攻撃による脱離基の置換などの様々な置換反応が含まれる。例示的な置換反応は、活性化エステル;N-ヒドロキシスクシンイミドエステル;イソシアネート;イソチオシアネートなどとのアミンの反応を含む。一部の実施形態では、L1bまたはL7を形成する反応は、水性環境中で行われてもよい。
【0040】
したがって、一部の実施形態では、L1bまたはL7は、出現毎に独立して、2つの相補性反応性基の反応によって形成可能な官能基、例えば、上述の「クリック」反応の1つの生成物である官能基を含むリンカーである。様々な実施形態では、L1bまたはL7が少なくとも1つ出現する場合、官能基は、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、ハロゲン化スルホニル、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチンまたはチイラン官能基と、相補性反応性基との反応、例えば、アミンとN-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートとの反応によって形成され得る。
【0041】
他の実施形態では、L1bまたはL7が少なくとも1つ出現する場合、官能基は、アルキンおよびアジドの反応によって形成され得る。他の実施形態では、L1bまたはL7が少なくとも1つ出現する場合、官能基は、アミン(例えば、一級アミン)およびN-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはイソチオシアネートの反応によって形成され得る。
より多くの実施形態では、出現するL1bまたはL7の少なくとも1つについて、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。より多くの実施形態では、L1bまたはL7が少なくとも1つ出現する場合、官能基は、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、チオウレア、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む。他の実施形態では、官能基は、アミドまたはチオウレアを含む。一部のさらに具体的な実施形態では、L1bまたはL7が少なくとも1つ出現する場合、L1bまたはL7は、トリアゾリル官能基を含むリンカーである。一部の関連する実施形態では、L1bまたはL7は、出現毎に独立して、トリアゾリル官能基を含む。他の実施形態では、L1bまたはL7の少なくとも1つの出現は、アミドまたはチオウレア官能基を含むリンカーである。
【0042】
さらに他の実施形態では、出現するL1bの少なくとも1つについて、L1b-Mは、以下の構造:
【化7】
(式中、L1cおよびL1dは、それぞれ独立して、任意に用いてもよいリンカーである)を有する。
【0043】
異なる実施形態では、出現するL1bの少なくとも1つについて、L1b-Mは、以下の構造:
【化8】
(式中、L1cおよびL1dは、それぞれ独立して、任意に用いてもよいリンカーである)を有する。
上述の様々な実施形態では、L1cもしくはL1d、またはそれらの両方が、存在しない。他の実施形態では、L1cもしくはL1d、またはそれらの両方が存在する。
【0044】
一部の実施形態では、L1cおよびL1dは、存在する場合、それぞれ独立して、アルキレンまたはヘテロアルキレンである。例えば、一部の実施形態では、L1cおよびL1dは、存在する場合、独立して、以下の構造の1つ:
【化9】
を有する。
【0045】
さらに他の実施形態では、L7が少なくとも1つ出現する場合、L7-M2は、以下の構造:
【化10】
(式中、L1eおよびL1fは、それぞれ独立して、任意に用いてもよいリンカーである)
を有する。
【0046】
異なる実施形態では、L7が少なくとも1つ出現する場合、L7-M2は、以下の構造:
【化11】
(式中、L1eおよびL1fは、それぞれ独立して、任意に用いてもよいリンカーである)
を有する。
上述の様々な実施形態では、L1eもしくはL1f、またはそれらの両方が、存在しない。他の実施形態では、L1eもしくはL1f、またはそれらの両方が存在する。
【0047】
一部の実施形態では、L1eおよびL1fは、存在する場合、それぞれ独立して、アルキレンまたはヘテロアルキレンである。例えば、一部の実施形態では、L1cおよびL1fは、存在する場合、独立して、以下の構造:
【化12】
のうちの1つを有する。
【0048】
一部の実施形態では、出現するL1bの少なくとも1つは、以下の構造:
【化13】
(式中、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)
のうちの1つを有する。
【0049】
一部の実施形態では、L1bの各出現は、以下の構造:
【化14】
(式中、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、1~6の範囲の整数である)
のうちの1つを有する。
【0050】
一部の実施形態では、出現するL1bの少なくとも1つは、以下の構造:
【化15】
のうちの1つを有する。
【0051】
構造(I)のさらに他の異なる実施形態では、L1bは、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。ある種の実施形態では、L1bは、以下の構造の1つ:
【化16】
を有する。
【0052】
構造(I)のさらに他の異なる実施形態では、L7は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。ある種の実施形態では、L7は、以下の構造の1つ:
【化17】
を有する。
【0053】
一部の実施形態では、出現するL3の少なくとも1つは、アルキレンリンカーである。より具体的な実施形態では、L3は、出現毎に、アルキレンリンカーである。ある種の実施形態では、アルキレンリンカーは、メチレンリンカーである。
一部の実施形態では、出現するL2の少なくとも1つは、存在しない。より具体的な実施形態では、L2は、出現毎に、存在しない。
ある種の実施形態では、出現するL5またはL6の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンリンカーである。一部のさらに具体的な実施形態では、L5またはL6は、出現毎に、ヘテロアルキレンリンカーである。一部の実施形態では、出現するL4の少なくとも1つは、アルキレンオキシドを含む。一部の実施形態では、出現するL5またはL6の少なくとも1つは、アルキレンオキシドを含む。上述の実施形態のうちの一部では、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシドである。ある種の実施形態では、出現するL5またはL6の少なくとも1つは、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。一部のさらに具体的な実施形態では、L5またはL6は、出現毎に、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。
ある種の実施形態では、出現するL5の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンリンカーである。一部のさらに具体的な実施形態では、L5は、出現毎に、ヘテロアルキレンリンカーである。一部の実施形態では、出現するL5の少なくとも1つは、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)を含む。ある種の実施形態では、出現するL5の少なくとも1つは、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。一部のさらに具体的な実施形態では、L5は、出現毎に、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。ある種の実施形態では、出現するL5の少なくとも1つは、存在しない。一部のさらに具体的な実施形態では、L5は、出現毎に、存在しない。
ある種の実施形態では、出現するL6の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンリンカーである。一部のさらに具体的な実施形態では、L6は、出現毎に、ヘテロアルキレンリンカーである。一部の実施形態では、出現するL6の少なくとも1つは、アルキレンオキシドを含む。上述の実施形態のうちの一部では、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシドである。ある種の実施形態では、出現するL6の少なくとも1つは、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。一部のさらに具体的な実施形態では、L6は、出現毎に、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。ある種の実施形態では、出現するL6の少なくとも1つは、存在しない。一部のさらに具体的な実施形態では、L6は、出現毎に、存在しない。
ある種の実施形態では、出現するL5またはL6の少なくとも1つは、ホスホジエステル部分を含む。より具体的な実施形態では、L5またはL6は出現毎に、ホスホジエステル部分を含む。より多くの実施形態では、L2、L3、L4またはL6は、出現毎に独立して、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレンまたはC2-C6アルキニレンである。
【0054】
一部の実施形態では、出現するL5の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンである。一部の実施形態では、L5は、出現毎に、ヘテロアルキレン、例えば以下の構造:
【化18】
のうちの1つを含むヘテロアルキレンである。
【0055】
一部の実施形態では、出現するL6の少なくとも1つは、ヘテロアルキレンである。一部の実施形態では、L6は、出現毎に、ヘテロアルキレン、例えば以下の構造:
【化19】
のうちの1つを含むヘテロアルキレンである。
【0056】
上述の実施形態のうちの一部では、ヘテロアルキレン(例えば、L3、L4、L5またはL6)は、以下の構造:
【化20】
zは、19~30の範囲の整数である)を含む。一部の実施形態では、Zは、19~28の範囲である。ある種の実施形態では、zの平均は、23である。一部の実施形態では、zの平均は、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28である。
一部の実施形態では、出現するR3の少なくとも1つは、Hである。より具体的な実施形態では、R3は、出現毎に、Hである。
【0057】
一部の実施形態では、mは、0である。上述の実施形態のうちの一部では、qは0である。一部の関連する実施形態では、本化合物は、以下の構造(Ia):
【化21】
を有する。
【0058】
一部の他の実施形態では、本化合物は、以下の構造(Ib)または(Ic)のうちの1つ:
【化22】
(式中、
1bは、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
を有する。
【0059】
一部の実施形態では、本化合物は、以下の構造(Id)または(Ie)のうちの1つ:
【化23】
(式中、
zは、1~100の整数である)を有する。一部の実施形態では、L1bは、出現毎に独立して、アミド官能基またはトリアゾリル官能基を含む。
【0060】
構造(I)の化合物のいずれかのさらに他の実施形態では、R5は、出現毎に独立して、OH、O-またはORdである。「ORd」および「SRd」は、陽イオンを伴うO-およびS-を指すことが意図されることが理解される。例えば、ホスフェート基の二ナトリウム塩は、以下の通り表すことができる:
【化24】
(式中、Rdは、ナトリウム(Na+)である)。
【0061】
構造(I)の化合物のいずれの他の実施形態では、出現するR4の少なくとも1つは、オキソである。構造(I)の化合物のいずれの他の実施形態では、R4は、出現毎に、オキソである。
他の様々な実施形態では、R1およびR2は、それぞれ独立して、OHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcである。一部の異なる実施形態では、R1またはR2は、OHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R1またはR2のもう一方は、Q、またはQへの共有結合を含むリンカーである。
上述の構造(I)の化合物のいずれかのさらに異なる実施形態では、R1およびR2は、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)Rcである。これらの実施形態の一部では、Rcは、OL’である。
他の実施形態では、R1およびR2は、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)OL’であり、L’は、Q、標的指向性部分、分析対象(例えば、分析対象分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物へのアルキレンまたはヘテロアルキレンリンカーである。
【0062】
リンカーL’は、Q、標的指向性部分、分析対象(例えば、分析対象分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物を構造(I)の化合物に結合させるのに好適な任意のリンカーとすることができる。有利には、ある種の実施形態は、化合物の水溶解度を増大または最適化するよう選択される、L’部分の使用を含む。ある種の実施形態では、L’は、ヘテロアルキレン部分である。一部の他のある種の実施形態では、L’は、アルキレンオキシドもしくはホスホジエステル部分、またはそれらの組合せを含む。
【0063】
ある種の実施形態では、L’は、以下の構造:
【化25】
(式中、
m”およびn”は、独立して、1~10の整数であり、
eは、H、電子対または対イオンであり、
L”は、Re、またはQ、標的指向性部分、分析対象分子(例えば、分析対象分子)、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(I)のさらなる化合物への直接結合もしくは連結基である)
を有する。
【0064】
一部の実施形態では、m”は、4~10、例えば4、6または10の整数である。他の実施形態では、n”は、3~6、例えば3、4、5または6の整数である。一部の実施形態では、n”は、18~28、例えば、21~23の整数である。
【0065】
一部の他の実施形態では、L”は、アルキレン、アルキレンヘテロシクリレン、アルキレンヘテロシクリレンアルキレン、アルキレンシクリレン、アルキレンシクリレンアルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレン、ヘテロアルキレンヘテロシクリレンヘテロアルキレン、ヘテロアルキレンシクリレンまたはヘテロアルキレンサイクレンヘテロアルキレン部分である。一部の他のある種の実施形態では、L’’は、アルキレンオキシド、ホスホジエステル部分、スルフヒドリル、ジスルフィドもしくはマレイミド部分、またはそれらの組合せを含む。
ある種の上述の実施形態では、標的指向性部分は、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである。
【0066】
上述の構造(I)の化合物のいずれかの他のさらなる具体的な実施形態では、R1またはR2は、以下の構造:
【化26】
のうちの1つを有する。
【0067】
上述の構造(I)の化合物のいずれかの他のさらなる具体的な実施形態では、R1またはR2は、以下の構造:
【化27】
のうちの1つを有する。
【0068】
構造(I)の化合物のある種の実施形態は、オリゴヌクレオチドの調製に当分野で公知の合成法に類似した固相合成法に準拠して調製することができる。したがって、一部の実施形態では、L’は、固体支持体、固体支持体残基またはヌクレオシドへのリンカーである。活性化デオキシチミジン(dT)基を含む固体支持体は、容易に入手可能であり、一部の実施形態では、構造(I)の化合物の調製のための出発原料として使用することができる。したがって、一部の実施形態では、R1またはR2は、以下の構造:
【化28】
を有する。
【0069】
当業者は、上に図示されているdT基は、合成を容易にするためおよび経済的効率性だけのために含まれており、必要ではないことを理解していよう。他の固体支持体を使用することができ、L’上に存在する異なるヌクレオシドもしくは固体支持体残基をもたらすか、またはヌクレオシドもしくは固体支持体残基は、合成後に除去され得るか、または修飾され得る。
【0070】
さらに他の実施形態では、Qは、出現毎に独立して、分析対象分子または固体支持体と共有結合を形成することが可能な反応性基を含む部分である。他の実施形態では、Qは、出現毎に独立して、相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な反応性基を含む部分である。例えば、一部の実施形態では、Q’は、構造(I)のさらなる化合物に存在し(例えば、R1またはR2の位置)、QおよびQ’は、相補性反応性基を含み、こうして、構造(I)の化合物と構造(I)のさらなる化合物との反応により、構造(I)の化合物の共有結合による二量体をもたらす。構造(I)の多量体化合物もまた、類似の方法で調製することができ、本開示の実施形態の範囲内に含まれる。
【0071】
Q基のタイプ、および構造(I)の化合物の残りへのQ基の結合性は限定されず、ただし、Qは、所望の結合を形成するために適切な反応性を有する部分を含むことを条件とする。
ある種の実施形態では、Qは、水性条件下で加水分解を受けにくいが、分析対象分子または固体支持体の表面の対応する基(例えば、アミン、アジドまたはアルキン)と結合を形成するのに十分な反応性のある部分である。
構造(I)の化合物のある種の実施形態は、バイオコンジュゲートの分野において、一般に使用されているQ基を含む。例えば一部の実施形態では、Qは、求核性反応性基、求電子性反応性基または環化付加反応性基を含む。一部のより具体的な実施形態では、Qは、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、求ジエン体、酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノまたはマレイミド官能基を含む。一部の実施形態では、活性化エステルは、N-スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニル(polyflourophenyl)エステルである。他の実施形態では、アルキンは、アルキルアジドまたはアシルアジドである。
【0072】
Q基は、保存安定性または他の所望の特性を増大させる保護形態で都合よく設けることができ、次に、この保護基は、例えば、標的指向性部分または分析対象とのコンジュゲートにとって適切なときに除去される。したがって、Q基は、上記および以下の表1中の反応性基のいずれかを含めた、反応性基の「保護形態」を含む。Qの「保護形態」とは、所定の反応条件下で、Qに比べて一層低い反応性を有する部分であって、構造(I)の化合物の他の部分を好ましくは分解しないまたは構造(I)の化合物と反応しない条件下で、Qへと変換することができる部分を指す。当業者は、特定のQ、ならびに所望の最終使用および貯蔵条件に基づいた、Qの適切な保護形態を誘導することができる。例えば、QがSHである場合、Qの保護形態はジスルフィドを含み、ジスルフィドは、一般的な公知技法および試薬を使用して還元すると、SH部分を現すことができる。
【0073】
例示的なQ部分は、以下の表Iに提示されている。
【表1-1】

【表1-2】
【表1-3】
一部の実施形態では、QがSHである場合、SH部分は、例えば、構造(I)の別の化合物の別のスルフヒドリル基とジスルフィド結合を形成する傾向があることに留意すべきである。したがって、一部の実施形態は、ジスルフィド二量体の形態にある、構造(I)の化合物を含み、ジスルフィド結合は、SHであるQ基から誘導される。
【0074】
同様に、構造(I)の化合物が、ある種の実施形態の範囲内に含まれ、この場合、R1およびR2の1つまたはどちらも、構造(I)のさらなる化合物への連結基を含む。例えば、R1およびR2の1つまたはどちらも、-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、RcはOL’であり、L’は、構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーである。このような化合物は、例えば、約10の「M1」部分および/または「M2」部分(すなわち、n=10)を有する第1の構造(I)の化合物であって、第2の構造(I)の化合物上の相補性Q’基との反応にとって適切な「Q」を有する、第1の構造(I)の化合物を調製することにより調製することができる。この方法では、任意の数、例えば100以上の「M1」部分および/または「M2」部分を有する、構造(I)の化合物は、各モノマーを逐次にカップリングする必要なしに調製することができる。このような構造(I)の化合物の例示的な実施形態は、以下の構造(I’):
【化29】
(式中、
1、R2、R3、R4、R5、L1a、L1b、L2、L3、L4、L5、L6、L7、M1、M1、q、m、wおよびnは、出現毎に、独立して、構造(I)の化合物に関して定義されている通りであり、
L”は、Q部分と対応するQ’部分との反応から生じる官能基を含むリンカーであり、
αは、1以上の整数、例えば1~100または1~10である)
を有する。
【0075】
構造(I’)の化合物は、当業者によって、例えば、本明細書において提供されている構造(I)の化合物を二量化または重合することによって誘導可能である。
【0076】
他の実施形態では、Q部分は、ジスルフィド部分として都合よくマスクされ(例えば、保護される)、この部分は、後に還元されて、所望の分析対象分子または標的指向性部分への結合のための、活性化されたQ部分をもたらすことができる。例えば、Q部分は、以下の構造を有するジスルフィド:
【化30】
(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基である)としてマスクことができる。例えば、一部の実施形態では、Qは、以下の構造を有するジスルフィド部分:
【化31】
(式中、nは、1~10の整数である)
として提供される。
【0077】
一部の他の実施形態では、R1またはR2の一方はOHまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcであり、R1またはR2のもう一方は、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、または固体支持体への共有結合を含むリンカーである。例えば、一部の実施形態では、分析対象分子は、核酸、アミノ酸またはそれらのポリマーである。他の実施形態では、分析対象分子は、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、グリコタンパク質、アプタマーまたはプリオンである。一部の実施形態では、標的指向性部分は、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである。さらに異なる実施形態では、固体支持体は、ポリマー製ビーズまたは非ポリマー製ビーズである。
蛍光強度もまた、異なるnの値を選択することによって調節することができる。ある種の実施形態では、nは、1~100の整数である。他の実施形態では、nは、1~10の整数である。一部の実施形態では、nは、1である。一部の実施形態では、nは、2である。一部の実施形態では、nは、3である。一部の実施形態では、nは、4である。一部の実施形態では、nは、5である。一部の実施形態では、nは、6である。一部の実施形態では、nは、7である。一部の実施形態では、nは、8である。一部の実施形態では、nは、9である。一部の実施形態では、nは、10である。
【0078】
蛍光もまた、mの値を選択することによって調節することができる。ある種の実施形態では、mは、1~100の整数である。他の実施形態では、mは、7~12の整数である。一部の実施形態では、mは、20~26の整数である。一部の実施形態では、mは、3~6の整数である。一部の実施形態では、mは、3である。一部の実施形態では、mは、4である。一部の実施形態では、mは、5である。一部の実施形態では、mは、6である。一部の実施形態では、mは、7である。一部の実施形態では、mは、8である。一部の実施形態では、mは、9である。一部の実施形態では、mは、10である。一部の実施形態では、mは、11である。
【0079】
1およびM2は、所望の光学特性に基づいて、例えば、所望の発色および/または蛍光発光波長に基づいて選択される。一部の実施形態ではM1およびM2は、出現毎に同じである。しかし、M1およびM2の各出現は、同一のM1およびM2である必要がなく、ある種の実施形態は、M1およびM2が出現毎に同じではない化合物を含むことに留意することが重要である。例えば、一部の実施形態では、M1およびM2はそれぞれ、同じではなく、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法に使用するために、吸光度および/または発光を有するよう、異なるM1部分およびM2部分が選択される。例えば、このような実施形態では、FRET機構によって、1つの波長における照射の吸光度が、異なる波長における照射の発光を引き起こすような、異なるM1部分およびM2部分が選択される。例示的なM1部分およびM2部分は、所望の最終使用に基づいて、当業者により適切に選択され得る。FRET法のための例示的なM1部分およびM2部分には、フルオレセインおよび5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン、スクシンイミジルエステル)色素が含まれる。
【0080】
1またはM2は、それぞれ、M1またはM2上の任意の位置(すなわち、原子)から分子の残りに結合することができる。当業者は、M1またはM2が分子の残りに結合するための手段を認識していよう。例示的な方法には、本明細書に記載されている「クリック」反応が含まれる。
【0081】
一部の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、蛍光部分または発色部分である。任意の蛍光および/または発色部分が使用されて、例えば、当分野での公知のもの、および通常、比色分析アッセイ、UVアッセイおよび/または蛍光アッセイに使用されるものが使用され得る。本開示の様々な実施形態に有用なM1およびM2部分の例には、以下に限定されないが、キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシンまたはテキサスレッド);シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニンまたはメロシアニン);スクアライン誘導体および環置換スクアライン(セタ、セタウおよびスクエア色素を含む);ナフタレン誘導体(例えば、ダンシルおよびポロダン誘導体);クマリン誘導体;オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾールまたはベンゾオキサジアゾール);アントラセン誘導体(例えば、DRAQ5、DRAQ7およびCyTRAKオレンジを含むアントラキノン);カスケードブルーなどのピレン誘導体;オキサジン誘導体(例えば、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、オキサジン170);アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);アリールメチン誘導体:アウラミン、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン;およびテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニンまたはビリルビン)が含まれる。他の例示的なM1およびM2部分には、シアニン色素、キサンテート色素(例えば、Hex、Vic、Nedd、JoeまたはTet);ヤキマイエロー;レッドモンドレッド;タムラ;テキサスレッドおよびalexa fluor(登録商標)色素が含まれる。
【0082】
上述のいずれかのさらに他の実施形態では、M1およびM2が、出現毎に独立して、3つ以上のアリールもしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せ、例えば、4つ以上のアリールもしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せ、あるいは5つ以上のアリールもしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せさえも含む。一部の実施形態では、M1およびM2が、出現毎に独立して、6つのアリールもしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せを含む。さらなる実施形態では、環は縮合している。例えば、一部の実施形態では、M1およびM2が、出現毎に独立して、3つ以上の縮合環、4つ以上の縮合環、5つ以上の縮合環、または6つ以上の縮合環さえも含む。
【0083】
一部の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、環式である。例えば、一部の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、炭素環式である。他の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、複素環式である。上述のさらに他の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、アリール部分を含む。これらの実施形態の一部では、アリール部分は、多環式である。他のさらなる具体例では、アリール部分は、縮合多環式アリール部分であり、例えば、この縮合多環式アリール部分は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または4つを超えることさえあるアリール環を含んでもよい。
上記の構造(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)または(I’)の化合物のいずれかの他の実施形態では、M1もしくはM2は、出現毎に独立して、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。例えば、一部の実施形態では、ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄である。
上述のいずれかのさらにより多くの実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、少なくとも1つの置換基を含む。例えば、一部の実施形態では、置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシ、アリールオキシ、フェニル、アリール、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t-ブチル、カルボキシ、スルホネート、アミドまたはホルミル基である。
【0084】
上述の一部のさらにより具体的な実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である。他の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミドもしくはペリレンアミド、またはそれらの誘導体である。さらにより多くの実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、クマリン色素、レゾルフィン色素、ジピロメテンボロンジフルオリド色素、ルテニウムビピリジル色素、エネルギー移動色素、チアゾールオレンジ色素、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド色素である。
上述のいずれかのさらにより多くの実施形態では、M1およびM2は、出現毎に、同じである。他の実施形態では、M1およびM2はそれぞれ、異なる。さらにより多くの実施形態では、1つまたは複数のM1およびM2は同じであり、1つまたは複数のM1およびM2は異なる。
【0085】
一部の実施形態では、M1およびM2、出現毎に独立して、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAM、またはそれらの誘導体である。一部の他の実施形態では、M1およびM2は、出現毎に独立して、以下の構造:
【化32】

のうちの1つを有する。
【0086】
カルボン酸基を含むM1部分およびM2部分は、上記の陰イオン性形態(CO2 -)で図示されているが、当業者は、これは、pHに応じて様々になること、およびプロトン化形態(すなわち、-CO2H)が、様々な実施形態に含まれることを理解していよう。
一部の具体的な実施形態では、本化合物は、表2から選択される化合物である。表2中の化合物は、実施例に説明されている手順に準拠して調製し、それらの構造(identity)は、質量分析法によって確認した。
【0087】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
表2に使用される場合および本出願全体を通して、R1、R2、nおよびL’は、特に示さない限り、構造(I)の化合物に関して提示されている定義を有しており、F、F’およびF”は、それぞれ、以下の構造:
【化33】
を有するフルオレセイン部分を指す。
一部の実施形態では、M1またはM2は、出現毎に独立して、F、F’またはF’’である。
【0088】
フルオレセイン部分は、キノイド体、双性体イオン体およびラクトイド体の間で互変異性することが当分野において周知である。当業者は、この形態は、pHに依存すること、および各形態(例えば、キノイド、双性イオンおよびラクトイド)もまた、本開示の実施形態の範囲内に含まれることを容易に理解するであろう。
【0089】
上の表2、および本開示の全体で使用されている通り、dTは、以下の構造を指す:
【化34】
(式中、
Rは、Hまたは直接結合である)。
【0090】
本開示の全体で使用されている通り、BおよびB’は、それぞれ、以下の構造を指す:
【化35】
一部の実施形態では、M1またはM2は、出現毎に独立して、BまたはB’である。
【0091】
本開示の全体で使用されている通り、Tは、以下の構造を指す:
【化36】
具体的な実施形態では、M1またはM2は、出現毎に独立して、Tである。
【0092】
本開示の全体で使用されている通り、Cは、以下の構造:
【化37】
を指す。
一部の実施形態では、M1またはM2は、出現毎に独立して、Cである。
【0093】
本開示の全体で使用されている通り、Yは、以下の構造:
【化38】
を指す。
一部の実施形態では、M1またはM2は、出現毎に独立して、Yである。
一部の実施形態は、表2に提示されており、抗体などの標的指向性部分にコンジュゲートされている具体的な化合物を含む、上述のいずれかを含む。
【0094】
本開示は、概して、これまで公知の化合物に比べて、蛍光発光量が増大した化合物を提供する。したがって、ある種の実施形態は、n個の蛍光部分M1および/またはM2を含む蛍光化合物であって、所定の波長の紫外光により励起すると、同一波長の紫外光により励起した際の単一M1部分またはM2部分のビーク蛍光発光量よりもn倍高い発光量の少なくとも85%のピーク蛍光発光量を有しており、nが2以上の整数である、蛍光化合物を対象とする。蛍光化合物は、紫外光などの光による励起時に蛍光シグナルを発光する化合物を含む。
一部の実施形態では、蛍光化合物は、単一M1部分および/またはM2部分のピーク蛍光発光よりもn倍高い発光量の少なくとも90%、n倍高い発光量の95%、n倍高い発光量の97%、またはn倍高い発光量の99%のピーク蛍光発光量を有する。
一部の実施形態では、nは、2~100、例えば2~10の整数である。
【0095】
一部の実施形態では、n個のM1部分および/またはM2部分は、独立して、以下の構造:
【化39】
(式中、
【化40】
は、蛍光化合物への結合点を示す)
のうちの1つを有する。
【0096】
他の実施形態では、単一のM1部分またはM2部分は、独立して、以下の構造:
【化41】
のうちの1つを有する。
【0097】
より具体的な実施形態では、蛍光化合物は、以下の構造:
【化42】
(式中、
【化43】
は、蛍光化合物への結合点を示し、単一のM1部分またはM2部分は、以下の構造:
【化44】
を有する)
のうちの1つを独立して有する、n個のM1部分および/またはM2部分を含む。
他の実施形態では、ピーク蛍光発光は、約500~約550nmの範囲の波長に存在する。
さらに多くの実施形態では、蛍光化合物は、少なくとも1つのエチレンオキシド部分を含む。
特許請求の範囲のいずれか1項の蛍光化合物を含む組成物および分析対象も提供される。
【0098】
現在開示されている化合物は、「調節可能」であり、当業者は、上述の化合物のいずれかにおける可変因子を適切に選択することにより、所望のおよび/または所定のモル蛍光光度(モル輝度)を有する化合物に到達することができることを意味する。本化合物の「調節可能性」により、使用者は、特定のアッセイにおいて使用するため、または特定の目的分析対象を特定するための所望の蛍光および/または発色を有する化合物に容易に到達することが可能となる。すべての可変因子は、本化合物のモル蛍光光度に影響を及ぼし得るが、M1、M2、L1a、L1b、L3、L4、q、w、mおよびnの適切な選択は、本化合物のモル蛍光光度において重要な役割を果たすと考えられる。したがって、一実施形態では、所望のモル蛍光光度を有する化合物を得るための方法であって、既知の蛍光光度を有するM1部分またはM2部分を選択するステップ、M1部分またはM2部分を含む構造(I)の化合物を調製するステップ、および所望のモル蛍光光度に行き着くためにM1、M2、L1a、L1b、L3、L4、q、w、mおよびnに関する適切な可変因子を選択するステップを含む方法が提供される。
【0099】
モル蛍光光度は、ある種の実施形態では、親フルオロフォア(例えば、モノマー)の蛍光発光に比べた、増加倍率または低下倍率に関して表すことができる。一部の実施形態では、本化合物のモル蛍光光度は、親フルオロフォアに対して、1.1×、1.5×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×またはさらに大きい。様々な実施形態は、M1、M2、L1a、L1b、L3、L4、q、w、mおよびnの適切な選択によって、親フルオロフォアに比べて、所望の増加倍率の蛍光光度を有する化合物を調製することを含む。
例示を容易にするため、リン部分(例えば、ホスフェートなど)を含む様々な化合物は、陰イオン性状態(例えば、-OPO(OH)O-、-OPO3 2-)で図示されている。当業者は、電荷はpHに依存し、非電荷(例えば、プロトン化されているか、またはナトリウムもしくは他の陽イオンなどの塩)形態も、本開示の実施形態の範囲内に含まれることを容易に理解するであろう。
上述の化合物のいずれか、および1つまたは複数の分析対象分子(例えば、生体分子)を含む組成物が、様々な他の実施形態において提供される。一部の実施形態では、1つまたは複数の分析対象分子を検出するための分析法でのこのような組成物の使用も提供される。
【0100】
さらに他の実施形態では、本化合物は、様々な分析法に有用である。例えば、ある種の実施形態では、本開示は、試料を染色する方法であって、前記試料に、例えば、R1またはR2の一方が分析対象分子(例えば、生体分子)またはマイクロ粒子への共有結合を含むリンカーであり、R1またはR2の他方がH、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcである構造(I)の化合物を、前記試料が適切な波長において照射されると光学応答を生じるのに十分な量で添加するステップを含む方法を提供する。
上述の方法の一部の実施形態では、R1は、生体分子などの分析対象分子への共有結合連結基を含むリンカーである。例えば、一部の実施形態では、生体分子は、核酸、アミノ酸またはそれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)である。さらにより多くの実施形態では、生体分子は、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。
上述の方法のさらに他の実施形態では、R1は、マイクロ粒子などの固体支持体への共有結合連結基を含むリンカーである。例えば、一部の実施形態では、マイクロ粒子は、ポリマー製ビーズまたは非ポリマー製ビーズである。
【0101】
さらにより多くの実施形態では、前記光学応答は蛍光応答である。
他の実施形態では、前記試料は細胞を含み、一部の実施形態は、フローサイトメトリーによって前記細胞を観察するステップをさらに含む。
さらにより多くの実施形態では、本方法は、蛍光応答を、検出可能な形で異なる光学特性を有する第2のフルオロフォアの蛍光応答と区別するステップをさらに含む。
他の実施形態では、本開示は、生体分子などの分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)例えば、R1またはR2の一方は、分析対象分子への共有結合を含むリンカーであり、R1またはR2のもう一方は、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテルまたは-OP(=Ra)(Rb)Rcである、構造(I)の化合物を用意するステップ、および
(b)該化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法を提供する。
一部の実施形態では、分析対象分子は、核酸、アミノ酸またはそれらのポリマー(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)である。さらにより多くの実施形態では、分析対象分子は、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、糖タンパク質、アプタマーまたはプリオンである。
【0102】
他の実施形態では、以下:
(a)上述の化合物のいずれかを1つまたは複数の分析対象分子と混合するステップ、および
(b)該化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む、生体分子などの分析対象分子を目視で検出する方法が提供される。
他の実施形態では、分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2がQ、またはQへの共有結合を含むリンカーである構造(I)の化合物を分析対象分子と混合するステップ、
(b)該化合物および分析対象分子のコンジュゲートを形成するステップ、および
(c)該コンジュゲートをその可視特性によって検出するステップ
を含む方法が提供される。
【0103】
他の例示的な方法は、分析対象を検出する方法であって、以下:
(a)R1またはR2が、分析対象に対する特異性を有する標的指向性部分への共有結合を含むリンカーを含む、構造(I)の化合物を用意するステップ、
(b)該化合物および分析対象を混合し、それによって、標的指向性部分と分析対象とを会合させるステップ、および
(c)該化合物を、例えば、その目視可能な特性または蛍光特性によって検出するステップ
を含む方法を含む。
上述の方法のある種の実施形態では、分析対象は、細胞などの粒子であり、本方法は、フローサイトメトリーの使用を含む。例えば、本化合物は、所望の細胞に選択的に会合させるために、抗体などの標的指向性部分を設けることができ、こうして、目視による検出または蛍光による検出などの任意の数の技法によって、細胞を検出可能にする。適切な抗体は、所望の最終使用に応じて、当業者によって選択することができる。使用する例示的な抗体は、ある種の実施形態では、UCHT1およびMOPC-21を含む。
【0104】
したがって、本化合物の実施形態は、以下に限定されないが:細胞計数、細胞選別、バイオマーカー検出、アポトーシスの定量、細胞生存率の決定、細胞表面抗原の特定、全DNAおよび/またはRNA内容物の決定、特異的核酸配列(例えば、核酸プローブとして)の特定、および血液がんなどの疾患の診断を含む、任意の数の方法に利用が見いだされる。
【0105】
上記の方法に加えて、構造(I)の化合物の実施形態は、以下に限定されないが:がん組織および他の組織を特定するための内視鏡手順における画像化;単一細胞および/もしくは単一分子の分析法、例えば、増幅をほとんどもしくは全く伴わないポリヌクレオチドの検出;例えば、構造(I)の化合物の、抗体もしくは糖、もしくはがん細胞に優先的に結合する他の部分などの標的指向性部分を含ませることによるがんの画像化;外科手術における画像化;様々な疾患を特定するためのヒストンの結合;例えば、構造(I)の化合物中のM1部分またはM2部分を活性薬物部分によって置き換えることによる薬物送達;ならびに/または歯科作業における造影剤、および例えば、構造(I)の化合物の様々な微生物叢および/もしくは生物への優先的な結合による他の手順を含めた、様々な分野および方法における利用を見いだす。
【0106】
上で説明されている構造(I)の化合物の任意の実施形態、ならびに上で説明されている構造(I)の化合物中の可変因子R1、R2、R3、R4、R5、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、M1、M2、q、w、mおよび/またはnに関して本明細書において説明されている任意の特定の選択肢は、他の実施形態および/または構造(I)の化合物の可変因子と独立して組み合わされて、上記に具体的に説明されていない本開示の実施形態を形成してもよいことが理解される。さらに、選択肢のリストが、特定の実施形態および/または特許請求の範囲における任意の特定の可変因子R1、R2、R3、R4、R5、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、M1、M2、q、w、mおよび/またはnに関して一覧表示されている場合、個々の選択肢はそれぞれ、特定の実施形態および/または特許請求の範囲から削除され得ること、および選択肢の残りのリストは、本開示の範囲内にあると見なされることが理解される。
本記載では、図示されている式の置換基および/または可変因子の組合せは、このような寄与が安定な化合物をもたらす場合のみ許容可能となることが理解される。
【0107】
本明細書に記載されている方法では、中間化合物の官能基が好適な保護基によって保護される必要があり得ることも、当業者によって理解されよう。このような官能基には、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が含まれる。ヒドロキシに好適な保護基には、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが含まれる。アミノ、アミジノおよびグアニジノに好適な保護基には、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが含まれる。メルカプトに好適な保護基には、-C(O)-R”(式中、R”は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが含まれる。カルボン酸に好適な保護基には、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが含まれる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載されている、標準技法に準拠して、付加または除去することができる。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1999), 3rd Ed., Wileyに詳述されている。当業者が理解している通り、保護基はまた、Wang樹脂、Rink樹脂または塩化2-クロロトリチル樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
さらに、遊離塩基または酸形態で存在する本開示の化合物はすべて、当業者に公知の方法によって、適切な無機または有機の塩基または酸による処理によってその塩に変換することができる。本開示の化合物の塩は、標準技法によってその遊離塩基または酸形態に変換することができる。
【0108】
以下の反応スキームは、本開示の化合物を作製する例示的な方法を例示している。当業者は、類似の方法により、または当業者に公知の他の方法を組み合わせることにより、これらの化合物を作製することが可能であり得ることが理解される。当業者は、適切な出発構成成分を使用し、必要に応じて合成のパラメーターを修正することにより、以下に具体的に例示されていない構造(I)の他の化合物を、以下に記載されている類似の方法で、作製することが可能であることも理解される。一般に、出発構成成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCIおよびFluorochem USAなどの供給元から得ることができるか、または当業者に公知(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th edition (Wiley, December 2000)を参照されたい)の情報源に従い合成することができるか、または本開示において記載されている通り調製することができる。
【0109】
反応スキームI
【化45】
【0110】
反応スキームIは、構造(I)の化合物の調製に有用な中間体の調製方法を例示している。L1a、L1b、L1b’、L2、L3、G1およびM1が上で定義されている通りであり、R1およびR2が上で定義されている通りであるか、それらの保護変形体である、反応スキームIを参照すると、購入することができるか、または周知技法によって調製することができる構造aの化合物は、M-G1’と反応させると、構造bの化合物が生成する。ここで、G1およびG1’は、相補性反応性を有する官能基(すなわち、反応して共有結合を形成する官能基)を表す。G1’は、M1へのペンダント基、またはM1の構造上の主鎖の一部であり得る。G1およびG1’は、それぞれ、アルキンおよびアジドなど、それぞれアミンおよび活性化エステル、またはそれぞれアミンおよびイソチオシアネートなどの、本明細書に記載されている任意の数の官能基とすることができる。M2は、上記の反応スキームIに準拠して、適切な試薬を選択することによる類似の方法で、構造(I)の化合物を形成するよう結合することができる。
【0111】
さらに、本開示の化合物は、それらの各々が、参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開番号WO2016/183185、WO2017/173355およびWO2017/177065に記載されている方法に従い調製することができる。
【0112】
構造(I)の化合物は、構造bから、周知の自動化DNA合成条件下で、以下の構造(c):
【化46】
(式中、Lは、任意に用いてもよいリンカー(例えば、L4)である)
を有するホスホロアミダイト化合物との反応によって調製することができる。(c)の一部の実施形態では、Lは、以下の構造:
【化47】
(式中、
1a、L1b、L1b’、L2、L3、L5、L6、L7、L7’、G1、G2、M2およびM1は、本明細書において定義されている通りである)のうちの1つを有する。DNA合成法は、当分野において周知である。手短に述べると、2つのアルコール基、例えば上の中間体b中のR1およびR2は、それぞれ、ジメトキシトリチル(DMT)基および2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノホスホロアミダイト基により官能基化されている。ホスホロアミダイト基は、通常、テトラゾールなどの活性化剤の存在下で、アルコール基とカップリングさせて、次いで、ヨウ素によりリン原子を酸化する。ジメトキシトリチル基を酸(例えば、クロロ酢酸)により除去することができ、遊離アルコールを露出させ、これをホスホロアミダイト基と反応させることができる。2-シアノエチル基は、アンモニア水による処理によってオリゴマー化した後に除去され得る。
【0113】
オリゴマー化法に使用されるホスホロアミダイトの調製もまた、当分野で周知である。例えば、一級アルコール(例えば、R1)は、DMT-Clとの反応によってDMT基として保護され得る。次に、二級アルコール(例えば、R2)を、2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイトなどの適切な試薬との反応によって、ホスホロアミダイトとして官能基化する。ホスホロアミダイトの調製およびそれらのオリゴマー化の方法は、当分野で周知であり、実施例中にさらに詳細に記載する。
【0114】
構造(I)の化合物は、上記の周知のホスホロアミダイト化学反応に従って、中間体bおよびcのオリゴマー化により調製する。ホスホロアミダイトカップリングを所望の回数、繰り返すことによって、所望の数のn個の繰り返し単位を分子に組み込む。以下に記載されている通り、構造(II)の化合物は、類似法により調製することができることが理解されよう。
様々な他の実施形態では、構造(I)の化合物の調製に有用な化合物が提供される。本化合物は、上記の通り、モノマー、二量体および/またはオリゴマー形態で調製することができ、次に、M1および/またはM2部分は、任意の数の合成法(例えば、上記の「クリック」反応)により、本化合物に共有結合により結合されて、構造(I)の化合物を形成する。
したがって、様々な実施形態では、以下の構造(II)を有する化合物:
【化48】
またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体(式中、
1およびG2は、出現毎に独立して、相補性反応性基と共有結合を形成することが可能な反応性基またはその保護類似基を含む部分であり、
1aは、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b’、L2、L3、L5、L6およびL7’は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1およびR2は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=Ra)(Rb)Rc、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4は、出現毎に独立して、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
5は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
aは、OまたはSであり、
bは、OH、SH、O-、S-、ORdまたはSRdであり、
cは、OH、SH、O-、S-、ORd、OL’、SRd、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
dは、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1より大きい整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
が提供される。一部の実施形態では、qは0である。
【0115】
化合物(II)の一部の実施形態では、L1aは、以下の構造のうちの1つ:
【化49】
を有する。
【0116】
一部のさらに具体的な実施形態では、本化合物は、以下の構造(IIa):
【化50】
を有する。
【0117】
一部の関連する実施形態では、本化合物は、以下の構造(IIb)または(IIc)のうちの1つ:
【化51】
(式中、
1b’は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
を有する。一部の実施形態では、L1b’は、置換されていてもよいヘテロアルケニレンリンカーである。
【0118】
ある種の実施形態では、本化合物は、以下の構造(IId)または(IIe)のうちの1つ:
【化52】
(式中、
zは、1~100の整数である)
を有する。
【0119】
ある種の実施形態では、L1b’は、以下の構造:
【化53】
のうちの1つを有する。
一部の具体的な実施形態では、L1b’は、アルキレン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはペンチレンである。
【0120】
ある種の関連する実施形態では、-L1b’-G1は、以下の構造:
【化54】
のうちの1つを有する。
【0121】
構造(II)の他の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、相補性反応性基と共有結合を形成することが可能な反応性基を含む部分である。
構造(II)の化合物中のG1およびG2部分は、M1および/またはM2部分上の相補性基と共有結合を形成するための適切な反応性基を有する基を含む任意の部分から選択され得る。例示的な実施形態では、G1およびG2部分は、表1に提示されているそれらの具体例を含めた、本明細書に記載されているQ部分のいずれかから選択することができる。一部の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、アジドとアルキンとのトリアゾールを形成する銅触媒反応(Huisgenの1,3-双極子環化付加)、ジエンと求ジエンとの反応(Diels-Alder)、歪みにより促進されるアルキン-ニトロン環化付加、歪アルケンとアジド、テトラジンまたはテトラゾールの反応、アルケンとアジドの[3+2]環化付加、アルケンとテトラジンの逆需要Diels-Alder、アルケンとテトラゾールの光反応、ならびに求電子性原子への求核攻撃による脱離基の置換などの様々な置換反応を含む反応に好適な部分を含む。
一部の実施形態では、G1およびG2が、出現毎に独立して、アルデヒド、オキシム、ヒドラゾン、アルキン、アミン、アジド、アシルアジド、アシルハライド、ニトリル、ニトロン、スルフヒドリル、ジスルフィド、ハロゲン化スルホニル、イソチオシアネート、イミドエステル、活性化エステル、ケトン、α,β-不飽和カルボニル、アルケン、マレイミド、α-ハロイミド、エポキシド、アジリジン、テトラジン、テトラゾール、ホスフィン、ビオチンまたはチイラン官能基を含む部分である。ある種の実施形態では、出現するG1またはG2の少なくとも1つは、表1から選択される構造を有する。一部のさらに具体的な実施形態では、G1またはG2は、出現毎に独立して、表1から選択される構造を有する。
他の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、アルキン基またはアジド基を含む。他の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、アミノ基、イソチオシアネート基または活性化エステル基を含む。異なる実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、相補性反応性基と反応すると、アルケン、エステル、アミド、チオエステル、ジスルフィド、炭素環式、複素環式またはヘテロアリール基を含む官能基を形成することが可能な反応性基を含む。例えば、一部の実施形態では、ヘテロアリールは、トリアゾリルである。
【0122】
構造(II)の上述の実施形態のいずれかの他のものでは、G1およびG2は、出現毎に独立して、
【化55】
である。
【0123】
一部の実施形態では、出現するG1またはG2の少なくとも1つは、以下構造:
【化56】
のうちの1つを有する。
一部の関連する実施形態では、G1またはG2は、出現毎に独立して、以下の構造:
【化57】
のうちの1つを有する。
【0124】
化合物(II)の一部の実施形態では、出現するG1の少なくとも1つは、
【化58】
である。より具体的な実施形態では、G1は、出現毎に独立して、
【化59】
である。
化合物(II)の一部の実施形態では、出現するG1またはG2の少なくとも1つは、-NH2である。一部の実施形態では、G1およびG2は、複数の出現において、独立して、-NH2である。ある種の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、-NH2である。
化合物(II)の一部の実施形態では、出現するG1およびG2の少なくとも1つは、アミンの保護形態である。一部の実施形態では、G1およびG2は、複数の出現において、独立して、アミンの保護形態である。ある種の実施形態では、G1およびG2は、出現毎に独立して、アミンの保護形態である。
【0125】
上述の実施形態のうちの一部では、アミンの保護形態は、トリフルオロアセテート保護アミンである。一部の実施形態では、アミンの保護形態は、BOC保護アミンである。一部の実施形態では、アミンの保護形態は、Fmoc保護アミンである。例えば、ある種の実施形態では、出現するG1またはG2の少なくとも1つは、以下構造:
【化60】
のうちの1つを有する。
より具体的な実施形態では、G1またはG2は、出現毎に独立して、以下の構造:
【化61】
のうちの1つを有する。
一部の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、L2、L3、L4、L5またはL6は、上述の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである。例えば、化合物(II)の一部の実施形態では、R4は、出現毎に、オキソである。化合物(II)の一部の実施形態では、R5は、出現毎に独立して、OH、O-またはORdである。化合物(II)のある種の実施形態では、L2は、出現毎に、存在しない。化合物(II)の一部の具体的な実施形態では、L3は、出現毎に、アルキレンリンカー(例えば、メチレン)である。
【0126】
一部の実施形態では、構造(II)の化合物は、表3の化合物である。
【表3-1】
【表3-2】

【表3-3】
【0127】
上で詳述されている通り、構造(I)の化合物および構造(II)の化合物は、周知のホスホロアミダイト化学反応を使用するオリゴマー化によって調製することができる。本出願人らは、構造(I)の化合物および構造(II)の化合物の合成に有用な中間化合物を発見した。したがって、一実施形態は、以下の構造(III)を有する化合物:
【化62】
(式中、
1は、1~6の整数であり、
2は、1~3の整数であり、
Xは、Oまたは直接結合であり、
1’’およびR2’’は、出現毎に独立して、H、保護基または活性化リン部分であり、
3’’は、Hまたはアルキルであり、
4’’は、アルコキシ、ハロアルキル、アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである)
を提供する。
化合物(III)の一部の実施形態では、n1は2である。一部の実施形態では、nは4である。一部の関連する実施形態では、n2は1である。ある種の実施形態では、n1は2であり、n2は1である。他の実施形態では、n1は4であり、n2は1である。上述の実施形態のうちの一部では、Xは、直接結合である。
化合物(III)の一部の実施形態では、n1は2である。ある種の関連する実施形態では、n2は2である。上述の実施形態のうちの一部では、Xは、Oである。
化合物(III)の一部の実施形態では、Xは、直接結合である。一部の実施形態では、Xは、Oである。
化合物(III)の一部の実施形態では、R1’’はHである。ある種の実施形態では、保護基は、例えば、トリチル保護基である。一部の実施形態では、R1’’は、トリチルである。一部の実施形態では、R1’’は、4-メトキシトリチルである。より具体的な実施形態では、R1’’は、4,4’-ジメトキシトリチルである。
【0128】
一部の実施形態では、R2’’は、Hである。一部の実施形態では、R2’’は、活性化リン部分である。例えば、一部の実施形態では、R2’’は、以下の構造:
【化63】
(式中、
5’’は、Hまたはシアノアルキルであり、
6’’は、出現毎に独立して、C1-C6アルキルである)
を含む。
化合物(III)の一部の実施形態では、R5’’はHである。他の実施形態では、R5’’は、2-シアノエチルである。
一部の実施形態では、出現するR6’’の少なくとも1つは、イソプロピルである。一部の実施形態では、R6’’は、出現毎に、イソプロピルである。
【0129】
ある種の特定の実施形態では、R2’’は、以下の構造:
【化64】
を有する。化合物(III)の一部の実施形態では、R3’’はHである。
化合物(III)の一部の実施形態では、R4’’は、1つ、2つまたは3つの芳香族環を含むアリールであり、例えば、R4’’は、1つまたは2つの芳香族環を含む。一部の実施形態では、R4’’は、ケイ素を含まない。一部の実施形態では、R4’’は、C1-C4ハロアルキルである。より具体的な実施形態では、R4’’は、-CF3である。一部の実施形態では、R4’’は、C1-C4アルコキシである。より具体的な実施形態では、R4’’は、tert-ブトキシである。
【0130】
一部の具体的な実施形態では、化合物(III)は、表4から選択される。
【表4】



以下の実施例は、限定ではなく、例示目的のために提示される。
【実施例0131】
一般方法
質量スペクトル分析は、MassLynx 4.1アクイジションソフトウェアを使用する、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/MSシステム(MSモードのみ)で行った。色素に関してLC/MSに使用した移動相は、100mMの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、8.6mMのトリエチルアミン(TEA)、pH8とした。ホスホロアミダイトおよび前駆体分子も、アセトニトリル/水の移動相のグラジエントを使用し、45℃に保持した2.1mmx50mm Acquity BEH-C18カラムを備えるWaters Acquity UHPLCシステムを使用して分析した。モノマー中間体の分子量は、Waters/Micromass QuattroマイクロMS/MSシステム(MSモードのみ)で、トロピリウム陽イオン注入増強イオン化を使用して得た。励起および発光プロファイル実験を、Cary Eclipseスペクトル光度計で記録した。
反応はすべて、特に明記しない限り、窒素雰囲気下、オーブン乾燥したガラス器具中で行った。市販のDNA合成試薬をGlen Research(Sterling、VA)から購入した。無水ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、ピリジンおよびTHFは、Aldrichから購入した。他の化学品はすべて、AldrichまたはTCIから購入し、さらに精製することなくそのまま使用した。
【0132】
(実施例1)
化合物I-1の合成
保存溶液の調製
250mM、pH10で調製したホウ酸塩緩衝液
350mM(25:75のDMSO:アセトニトリル1.35mL中に300mg)で調製したフルオロセイン(fluorscein)-NHS溶液
固相合成
化合物I-1は、標準DNA合成技法(すなわち、DMT保護2-シアノエチルホスホロアミダイト)を使用して、固体支持体によってDNA合成装置上で調製した。水酸化アンモニウムを用いてポリマーを固体支持体から除去し、凍結乾燥してペーストにした。250mgである一定分量を水中で復元した。少量の一定分量を取り出し、段階希釈液をpH9の100mM NaCO3中で調製し、濃度を求めた(A263 ε=10,000)。最終保存溶液の濃度は、14.5mMであると分かった。
色素カップリング反応
磁気撹拌子を装備した50mLの遠心管中に、水(1.110μL)、ホウ酸塩緩衝液(1.800μL)、化合物I-1ポリマー溶液(466μL)、アセトニトリル(137.5μL)、トリエチルアミン(313μL)およびフルオレセイン-NHS溶液(675μL)を入れた。この管をアルミニウムホイルに包み、この混合物を室温で一晩、撹拌した。
サイズ排除ろ過
Amicon Ultra-15遠心分離フィルター(Millipore UFC900324、MWカットオフ=3000)に、1mLの水を加えた。色素カップリング反応(4.5mL)に由来する粗製反応物をろ過器具に加えた。反応容器を4mLの100mM NaOHにより2×すすぎ、このすすぎ液(rinseate)をろ過器具に移した。このろ過器具を最大速度(3220g、スイング式バケット、30分間)で遠心分離した。ろ液を取り除き、保持液をさらに10mLの100mM NaOHで処理した。このろ過器具を、上記の通り遠心分離した。再度、ろ液を取り出し、保持液に、第3の10mLの100mM NaOHとである一定分量を加えた。この器具を上記の通り遠心分離し、ろ液を取り除いた。第4の10mLの100mM NaOHである一定分量を保持液に加え、上記の通り遠心分離にかけた。ろ液を取り除き、10mLの水をろ液器具に加えた。この混合物を、上記の通り遠心分離した。保持液を除去し、ろ液の容器を水により洗浄し、すすぎ液を加えて、最終体積(3.5mL)にした。所望の生成物をLC-MSにより確認し、吸光度を使用して濃度を求めた。化合物I-1の試料も、PAGE(図1)によって分析した。図1は、化合物I-2と比較した、化合物A(MW=14104)、化合物B(MW=15686)および化合物C(MW=16231)を示している。
【0133】
(実施例2)
化合物I-2の合成
保存溶液
ホウ酸塩緩衝液は、実施例1に記載されている通りに調製した。
4.6M塩化マグネシウム
300mM フルオレセイン-NHS溶液をDMSO中で調製した。
固相合成
化合物I-2は、標準DNA合成技法(すなわち、DMT保護2-シアノエチルホスホロアミダイト)を使用して、固体支持体によりDNA合成装置上で調製した。濃水酸化アンモニウムによってポリマーを固体支持体から除去し、凍結乾燥してペーストにした。20mgを水から復元し、少量の一定分量を取り出し、段階希釈液を100mM NaCO3中、pH9で調製し、濃度を求めた(A263 ε=10,000)。最終保存溶液の濃度は、11.6mMであると分かった。
色素カップリング反応
200μLのマイクロ遠心管中で、水(10μL)、ホウ酸塩緩衝液(20μL)、化合物I-2ポリマー溶液(2.2μL)、塩化マグネシウム溶液(5.4μL)、DMSO(6.9μL)、フルオレセイン-NHS溶液(5.6μL)を入れた。この管をボルテックスし、一晩、置いた。この混合物を水50mLで希釈し、ポリアクリルアミド脱塩カラム(Pierce、カタログ番号89849)を用いて脱塩した。所望の生成物をLC-MSにより確認し、PAGEによって分析した(図2)。図2は、化合物I-2と比較した、化合物A(MW=14104)、化合物B(MW=15686)および化合物C(MW=16231)を示している。
【0134】
(実施例3)
フローサイトメトリー方法および用途
一般的なフローサイトメトリーのワークフローは、以下の工程を含む:
1.培養して、代謝ストレスの兆候に関して細胞を目視観察する、および/または新しい誘導細胞もしくは刺激細胞を使用する。
2.作業量になるまで色素化合物を希釈する。
3.死滅またはアポトーシスを誘導しなかった細胞を収穫して用意する。
4.細胞を遠心分離して、適切な緩衝液を用いて洗浄する。
5.血球計算盤およびトリパンブルー排除を使用して細胞計数を行う。
6.細胞を遠心分離して、洗浄する。
7.細胞密度を試験サイズに調節する。
8.色素(希釈前)または目的の他の共染料を適用する。
9.細胞/染料/色素混合物をインキュベートする。
10.細胞を適切な緩衝液を用いて遠心分離して洗浄する。
11.アクイジション緩衝液(acquisition buffer)中に細胞を再懸濁させる。
12.フローサイトメトリーによって細胞データを取得する。
【0135】
上に記載した一般的なワークフローは、特定の用途に応じて修正することができる。特定の用途向けの一部の修正が、以下に記載されている。
生存/死滅の区別
損傷細胞と無傷細胞とを比較するため、壊死細胞をポジティブ染色することによって、細胞の生存率を試験する。正に帯電した部分を有する非無傷(固定および非固定)細胞、細胞残骸、アポトーシス小体、脱分極細胞膜および透過性膜を標的とするアッセイを使用する。次に、常套的な細胞調製(新しいものまたは固定化)を使用して、細胞を色素(例えば、化合部I-1)で染色し、フローサイトメトリーを使用して分析する。
細胞ヘルス
死滅細胞(すなわち、壊死細胞)、初期アポトーシス細胞、後期アポトーシス細胞および生細胞間での比較を行う。死滅細胞は、ポジティブ染色され、アポトーシス小体は、中間に染色され、生細胞は、ネガティブのままである。この戦略により、壊死細胞は非常に明るくなり、細胞浸透性の評価にも働く。正に帯電した部分を有する非無傷(固定および非固定)細胞、細胞残骸、アポトーシス小体、脱分極細胞膜および透過性膜を標的とするアッセイを使用する。インビトロ培養物、一次細胞、および生体異物により処理された試料に色素染色を行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
細胞周期
細胞周期における細胞倍数性および有糸分裂を、すべての細胞、ならびに核酸および細胞周期関連タンパク質を含有する細胞体において、ポジティブ染色性DNAインターカレーターに関連する色素によって追跡する。正に帯電した部分を有する非無傷(非固定のみ)細胞、細胞残骸、アポトーシス小体、脱分極細胞膜および透過性膜を標的とするアッセイを使用する。細胞内染色するために細胞の保存物を固定して透過させた後に、正に帯電した部分を染色することによって、無傷(固定および透過性)細胞を標的とするアッセイを使用する。インビトロ培養物、一次細胞、および生体異物により処理した試料に色素染色(他の色素と組み合わせる)を行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
増殖
細胞増殖は、すべての細胞、ならびに核酸および細胞周期関連タンパク質を含有する細胞体における、ポジティブ染色性DNAインターカレーターに関連する色素によってモニタリングする。正に帯電した部分を有する非無傷(非固定のみ)細胞、細胞残骸、アポトーシス小体、脱分極細胞膜および透過性膜を標的とするアッセイを使用する。細胞内染色するために、細胞の保存物を固定して透過させた後に、正に帯電した部分を染色することによって、無傷(固定および透過性)細胞を標的とするアッセイを使用する。インビトロ培養物、一次細胞、および生体異物により処理された試料に色素染色(細胞増殖用のマーカー、例えばKi67、BRDUのモニタリングと組み合わせる)を行い、フローサイトメトリーを使用して分析する。
【0136】
(実施例4)
化合物I-1の活性化および抗体コンジュゲート
【化65】
マレイミド官能基化化合物I-1は、実施例1に記載されている方法に従い調製する。平行して、UCHT-1抗体をビス-マレイミドエタン(「BMOE」)により処理して、ジスルフィド結合を還元する。還元後の抗体を、化合物I-1と、ポリマー対抗体を5:1のモル比で反応させる。この反応は、サイズ排除クロマトグラフィーによって検出される、1:1の抗体比までのポリマーを有する最終生成物をもたらす。
【0137】
この明細書に言及されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物のすべてが、2018年6月27日に出願の米国仮特許出願第62/690,656号を含め、本記載と矛盾しない程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0138】
上述から、本開示の具体的な実施形態が、例示目的のために本明細書に記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によるもの以外の限定は受けない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(Ia)を有する化合物またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。
(式中、
1が、出現毎に独立して、以下の構造:
のうちの1つを有し、
1aは、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1bは、出現毎に独立して、ヘテロアルキレンまたはヘテロアルケニレンリンカーであり、
2 は、出現毎に、存在せず、
3は、出現毎に、アルキレンリンカーであり、
4は、出現毎に独立して、アルキレンオキシドであり
1およびR2は、それぞれ独立して、-OP(=Ra)(Rb)RcまたはL’であり、
4は、出現毎に独立して、OHまたはO-であり、
5は、出現毎に独立して、オキソであり、
aは、Oであり、
bは、OHまたはO-であり、
cは、OL’であり、
L’は、出現毎に独立して、以下の構造:
(式中、
m”およびn”は、独立して、1~10の整数であり、
eは、H、電子対または対イオンであり、
L”は、Reであるか、または、Qへの連結基であり、
Qは、出現毎に独立して、スルフヒドリル、ジスルフィド、N-スクシンイミドエステル、イミドエステル、ポリフルオロフェニルエステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、求ジエン、酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノ、およびマレイミド官能基から選択される部分である)を有し、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、および
nは、2以上の整数である)
【請求項2】
(A)出現するL1aの少なくとも1つが、置換されてい5~7員のヘテロアリーレンリンカーであるか、
(B)L1aが、出現毎に独立して、置換されてい5~7員のヘテロアリーレンリンカーであるか、
(C)L1aが、出現毎に、置換されているか、
(D)L1aが、出現毎に、少なくとも1つのオキソにより置換されているか、または
)L1aが、以下の構造:


のうちの1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造のうちの1つを有する、請求項1または2に記載の化合物。
(A)構造(Ib):

もしくは構造(Ic):


(B)構造(Id):

もしくは構造(Ie):

(式中、
zは、1~100の整数である)
【請求項4】
4が、出現毎に独立して、O-である、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
(A)R1またはR2が、以下の構造:

のうちの1つを有するか、または
(B)R1またはR2が、以下の構造:


を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Qが、以下の構造のうちの1つ

(式中、
Xが、ハロであり、および
EWGが、電子求引基である)
を有する部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(A)nが、2~100の整数であるか、
(B)nが、2~10の整数であるか、
(C)mが、7~12の整数であるか、または
(D)mが、3~6の整数である
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
以下の構造;

(式中、
F、F’、およびF”は、それぞれ以下の構造:

を有する蛍光部分であり、
2は、


であり、
dTは、

であり、ここで、RはHまたは直接結合である)
のうちの1つを有する化合物。
【請求項9】
分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、分析対象分子への共有結合を含むリンカーである、請求項1に記載の化合物を用意するステップ、および
(b)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項10】
分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、Qへの共有結合を含むリンカーである請求項1に記載の化合物を分析対象分子と混合するステップ、
(b)化合物および分析対象分子のコンジュゲートを形成するステップ、および
(c)コンジュゲートをその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項11】
分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R1またはR2が、分析対象分子に対する特異性を有する標的指向性部分への共有結合を含むリンカーを含む、請求項1に記載の化合物を用意するステップ、
(b)化合物および分析対象分子を混合し、それによって、標的指向性部分と分析対象分子とを会合させるステップ、および
(c)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物、および1つまたは複数の分析対象分子を含む、1つまたは複数の分析対象分子を検出するための組成物。
【請求項13】
1b 、出現毎に独立して、以下の構造
の1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
上述から、本開示の具体的な実施形態が、例示目的のために本明細書に記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によるもの以外の限定は受けない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕以下の構造(I)を有する化合物またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。

(式中、
1 およびM 2 は、出現毎に独立して、発色団を含む部分であり、
1a は、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b 、L 2 、L 3 、L 5 、L 6 およびL 7 は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4 は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1 およびR 2 は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=R a )(R b )R c 、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3 は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4 は、出現毎に独立して、OH、SH、O - 、S - 、OR d またはSR d であり、
5 は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
a は、OまたはSであり、
b は、OH、SH、O - 、S - 、OR d またはSR d であり、
c は、OH、SH、O - 、S - 、OR d 、OL’、SR d 、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
d は、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
〔2〕出現するL 1a の少なくとも1つが、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである、前記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕L 1a が、出現毎に独立して、置換されていてもよい5~7員のヘテロアリーレンリンカーである、前記〔1〕~〔2〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔4〕L 1a が、出現毎に、置換されている、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔5〕L 1a が、出現毎に、少なくとも1つのオキソにより置換されている、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔6〕出現するL 1b の少なくとも1つが、置換されている、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔7〕L 1b が、オキソにより置換されている、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔8〕L 1a が、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔9〕以下の構造(Ia)を有する、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔10〕出現するL 3 の少なくとも1つが、アルキレンリンカーである、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔11〕L 3 が、出現毎に、アルキレンリンカーである、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔12〕出現するL 2 の少なくとも1つが、存在しない、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔13〕L 2 が、出現毎に、存在しない、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔14〕出現するL 5 またはL 6 の少なくとも1つが、ヘテロアルキレンである、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔15〕出現するL 4 の少なくとも1つが、アルキレンオキシドを含む、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔16〕出現するL 5 またはL 6 の少なくとも1つが、アルキレンオキシドを含む、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔17〕アルキレンオキシドが、エチレンオキシドである、前記〔15〕~〔16〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔18〕エチレンオキシドが、ポリエチレンオキシドである、前記〔17〕に記載の化合物。
〔19〕出現するR 3 の少なくとも1つが、Hである、前記〔1〕~〔18〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔20〕以下の構造(Ib)または(Ic)のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載の化合物。

(式中、
1b は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
〔21〕以下の構造(Id)または(Ie)のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載の化合物。

(式中、
zは、1~100の整数である)
〔22〕L 1b が、出現毎に独立して、アミド官能基またはトリアゾリル官能基を含む、前記〔1〕~〔21〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔23〕R 5 が、出現毎に独立して、OH、O - またはOR d である、前記〔1〕~〔22〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔24〕R 4 が、出現毎に、オキソである、前記〔1〕~〔23〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔25〕R 1 およびR 2 が、それぞれ独立して、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c である、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔26〕R 1 またはR 2 の一方が、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c であり、R 1 またはR 2 のもう一方が、Q、またはQへの共有結合を含むリンカーである、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔27〕R 1 およびR 2 が、それぞれ独立して、-OP(=R a )(R b )R c である、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔28〕R c が、OL’である、前記〔25〕~〔27〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔29〕L’が、Q、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドまたは構造(I)のさらなる化合物へのヘテロアルキレンリンカーである、前記〔28〕に記載の化合物。
〔30〕L’が、アルキレンオキシド部分もしくはホスホジエステル部分、またはそれらの組合せを含む、前記〔29〕に記載の化合物。
〔31〕L’が、以下の構造を有する、前記〔30〕に記載の化合物。

(式中、
m”およびn”は、独立して、1~10の整数であり、
e は、H、電子対または対イオンであり、
L’’は、R e 、または直接結合、またはQ、標的指向性部分、分析対象分子、固体支持体、固体支持体残基、ヌクレオシドもしくは構造(I)のさらなる化合物への連結基である)
〔32〕標的指向性部分が、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである、前記〔29〕~〔31〕に記載の化合物。
〔33〕R 1 またはR 2 が、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔31〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔34〕R 1 またはR 2 が、以下の構造を有する、前記〔1〕~〔33〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔35〕Qが、求核性反応性基、求電子性反応性基または環化付加反応性基を含む、前記〔1〕~〔31〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔36〕Qが、スルフヒドリル、ジスルフィド、活性化エステル、イソチオシアネート、アジド、アルキン、アルケン、ジエン、求ジエン、酸ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル、ホスフィン、α-ハロアミド、ビオチン、アミノまたはマレイミド官能基を含む、前記〔35〕に記載の化合物。
〔37〕活性化エステルが、N-スクシンイミドエステル、イミドエステルまたはポリフルオロフェニルエステルである、前記〔36〕に記載の化合物。
〔38〕アジドが、アルキルアジドまたはアシルアジドである、前記〔36〕に記載の化合物。
〔39〕Qが、表1から選択される部分である、前記〔1〕~〔31〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔40〕R 1 またはR 2 の一方が、OHまたは-OP(=R a )(R b )R c であり、R 2 またはR 3 のもう一方が、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカーである、前記〔1〕~〔24〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔41〕分析対象分子が、核酸、アミノ酸またはそれらのポリマーである、前記〔40〕に記載の化合物。
〔42〕分析対象分子が、酵素、受容体、受容体リガンド、抗体、グリコタンパク質、アプタマーまたはプリオンである、前記〔40〕に記載の化合物。
〔43〕標的指向性部分が、抗体または細胞表面受容体アンタゴニストである、前記〔40〕に記載の化合物。
〔44〕固体支持体が、ポリマー製ビーズまたは非ポリマー製ビーズである、前記〔40〕に記載の化合物。
〔45〕nが、1~100の整数である、前記〔1〕~〔44〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔46〕nが、1~10の整数である、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔47〕mが、7~12の整数である、前記〔1〕~〔46〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔48〕mが、3~6の整数である、前記〔1〕~〔46〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔49〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、4つ以上のアリール環もしくはヘテロアリール環、またはそれらの組合せを含む部分である、前記〔1〕~〔48〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔50〕M 1 もしくはM 2 が、出現毎に独立して、蛍光性または発色性である、前記〔1〕~〔49〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔51〕M 1 およびM 2 が、蛍光性である、前記〔50〕に記載の化合物。
〔52〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、少なくとも4つの縮合環を含む縮合多環式アリール部分を含む、前記〔1〕~〔51〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔53〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、ジメチルアミノスチルベン、キナクリドン、フルオロフェニル-ジメチル-BODIPY、his-フルオロフェニル-BODIPY、アクリジン、テリレン、セキシフェニル、ポルフィリン、ベンゾピレン、(フルオロフェニル-ジメチル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、(ビス-フルオロフェニル-ジフルオロボラ-ジアザ-インダセン)フェニル、クアテルフェニル、ビ-ベンゾチアゾール、ター-ベンゾチアゾール、ビ-ナフチル、ビ-アントラシル、スクアライン、スクアリリウム、9,10-エチニルアントラセンまたはター-ナフチル部分である、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔54〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、p-ターフェニル、ペリレン、アゾベンゼン、フェナジン、フェナントロリン、アクリジン、チオキサントレン、クリセン、ルブレン、コロネン、シアニン、ペリレンイミドもしくはペリレンアミド、またはそれらの誘導体である、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔55〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、クマリン色素、レゾルフィン色素、ジピロメテンボロンジフルオリド色素、ルテニウムビピリジル色素、エネルギー移動色素、チアゾールオレンジ色素、ポリメチンまたはN-アリール-1,8-ナフタルイミド色素である、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔56〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、ピレン、ペリレン、ペリレンモノイミドもしくは6-FAM、またはそれらの誘導体である、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔57〕M 1 およびM 2 が、出現毎に独立して、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔58〕表2から選択される化合物。
〔59〕試料を染色する方法であって、前記試料に、前記試料が適切な波長で照射されると光学応答を生じるのに十分な量で前記〔1〕~〔58〕のいずれか1項に記載の化合物を添加するステップを含む方法。
〔60〕前記光学応答が、蛍光応答である、前記〔59〕に記載の方法。
〔61〕前記試料が細胞を含む、前記〔59〕~〔60〕のいずれか1項に記載の方法。
〔62〕フローサイトメトリーによって前記細胞を観察することステップをさらに含む、前記〔61〕に記載の方法。
〔63〕蛍光応答を、検出可能な形で異なる光学特性を有する第2のフルオロフォアの蛍光応答と区別するステップをさらに含む、前記〔62〕に記載の方法。
〔64〕分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R 1 またはR 2 が、分析対象分子への共有結合を含むリンカーである、前記〔1〕に記載の化合物を用意するステップ、および
(b)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
〔65〕分析対象分子を目視で検出する方法であって、
(a)R 1 またはR 2 が、Q、またはQへの共有結合を含むリンカーである前記〔1〕に記載の化合物を分析対象分子と混合するステップ、
(b)化合物および分析対象分子のコンジュゲートを形成するステップ、および
(c)コンジュゲートをその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
〔66〕分析対象を目視で検出する方法であって、
(a)R 1 またはR 2 が、分析対象に対する特異性を有する標的指向性部分への共有結合を含むリンカーを含む、前記〔1〕~〔33〕のいずれか1項に記載の化合物を用意するステップ、
(b)化合物および分析対象を混合し、それによって、標的指向性部分と分析対象とを会合させるステップ、および
(c)化合物をその可視特性によって検出するステップ
を含む方法。
〔67〕前記〔1〕~〔58〕のいずれか1項に記載の化合物、および1つまたは複数の分析対象分子を含む組成物。
〔68〕1つまたは複数の分析対象分子を検出するための、分析法における前記〔67〕に記載の組成物の使用。
〔69〕以下の構造(II)を有する化合物、またはその立体異性体、塩もしくは互変異性体。

(式中、
1 およびG 2 は、出現毎に独立して、相補性反応性基と共有結合を形成することが可能な反応性基またはその保護類似基を含む部分であり、
1a は、出現毎に独立して、ヘテロアリーレンリンカーであり、
1b’ 、L 2 、L 3 、L 5 、L 6 およびL 7’ は、出現毎に独立して、任意に用いてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
4 は、出現毎に独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンまたはヘテロアルキニレンリンカーであり、
1 およびR 2 は、それぞれ独立して、H、OH、SH、アルキル、アルコキシ、アルキルエーテル、ヘテロアルキル、-OP(=R a )(R b )R c 、Qもしくはその保護形態、またはL’であり、
3 は、出現毎に独立して、H、アルキルまたはアルコキシであり、
4 は、出現毎に独立して、OH、SH、O - 、S - 、OR d またはSR d であり、
5 は、出現毎に独立して、オキソ、チオキソであるか、または存在せず、
a は、OまたはSであり、
b は、OH、SH、O - 、S - 、OR d またはSR d であり、
c は、OH、SH、O - 、S - 、OR d 、OL’、SR d 、アルキル、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルコキシ、アルキルエーテル、アルコキシアルキルエーテル、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホアルキル、チオホスホアルキル、ホスホアルキルエーテルまたはチオホスホアルキルエーテルであり、
d は、対イオンであり、
Qは、出現毎に独立して、分析対象分子、標的指向性部分、固体支持体または相補性反応性基Q’と共有結合を形成することが可能な、反応性基またはその保護形態を含む部分であり、
L’は、出現毎に独立して、Qへの共有結合を含むリンカー、標的指向性部分への共有結合を含むリンカー、分析対象分子への共有結合を含むリンカー、固体支持体への共有結合を含むリンカー、固体支持体残基への共有結合を含むリンカー、ヌクレオシドへの共有結合を含むリンカー、または構造(I)のさらなる化合物への共有結合を含むリンカーであり、
mは、出現毎に、1以上の整数であり、
nは、1以上の整数であり、
qおよびwは、出現毎に独立して、0または1であり、ただし、出現するwの少なくとも1つは、1であることを条件とする)
〔70〕L 1a が、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔69〕に記載の化合物。

〔71〕以下の構造(IIa)を有する、前記〔69〕または〔70〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔72〕以下の構造(IIb)または(IIc)のうちの1つを有する、前記〔69〕~〔71〕のいずれか1項に記載の化合物。

(式中、
1b’ は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキレンまたは置換されていてもよいヘテロアルキレンリンカーである)
〔73〕以下の構造(IId)または(IIe)のうちの1つを有する、前記〔69〕~〔72〕のいずれか1項に記載の化合物。

(式中、
zは、1~100の整数である)
〔74〕出現するG 1 またはG 2 の少なくとも1つが、表1から選択される構造を有する、前記〔69〕~〔73〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔75〕G 1 またはG 2 が、出現毎に独立して、表1から選択される構造を有する、前記〔69〕~〔74〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔76〕出現するG 1 またはG 2 の少なくとも1つが、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔69〕~〔75〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔77〕G 1 またはG 2 が、出現毎に独立して、以下の構造のうちの1つを有する、前記〔69〕~〔76〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔78〕出現するG 1 の少なくとも1つが、
である、前記〔69〕~〔77〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔79〕G 1 が、出現毎に独立して、
である、前記〔69〕~〔78〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔80〕R 1 またはR 2 が、前記〔25〕~〔44〕のいずれか1項により定義される、前記〔69〕~〔79〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔81〕R 4 が、出現毎に、オキソである、前記〔69〕~〔80〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔82〕R 5 が、出現毎に独立して、OH、O - またはOR d である、前記〔69〕~〔81〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔83〕L 2 が、出現毎に、存在しない、前記〔69〕~〔82〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔84〕L 3 が、出現毎に、アルキレンリンカーである、前記〔69〕~〔83〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔85〕L 4 、L 5 またはL 6 が、前記〔14〕~〔18〕のいずれか1項において定義されている通りである、前記〔69〕~〔83〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔86〕以下の構造(III)を有する化合物。

(式中、
1 は、1~6の整数であり、
2 は、1~3の整数であり、
Xは、Oまたは直接結合であり、
1 ’’およびR 2 ’’は、出現毎に独立して、H、保護基または活性化リン部分であり、
3 ’’は、Hまたはアルキルであり、
4 ’’は、アルコキシ、ハロアルキル、アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである)
〔87〕R 1 ’’が、Hまたは4,4’-ジメトキシトリチルである、前記〔86〕に記載の化合物。
〔88〕R 2 ’’が、Hであるか、または以下の構造を有する、前記〔86〕~〔87〕のいずれか1項に記載の化合物。

(式中、
5 ’’は、Hまたはシアノアルキルであり、
6 ’’は、出現毎に独立して、C 1 -C 6 アルキルである)
〔89〕R 2 ’’が、以下の構造を有する、前記〔86〕~〔88〕のいずれか1項に記載の化合物。

〔90〕n 1 が、4であり、n 2 が、1であり、Xが、直接結合である、前記〔86〕~〔89〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔91〕n 1 が、2であり、n 2 が、1であり、Xが、直接結合である、前記〔86〕~〔89〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔92〕n 1 が、2であり、n 2 が、2であり、Xが、Oである、前記〔86〕~〔89〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔93〕R 3 ’’が、Hである、前記〔86〕~〔92〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔94〕R 4 ’’が、ハロアルキルである、前記〔86〕~〔93〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔95〕R 4 ’’が、-CF 3 である、前記〔86〕~〔94〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔96〕R 4 ’’が、アルコキシである、前記〔86〕~〔93〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔97〕R 4 ’’が、tert-ブトキシである、前記〔86〕~〔93〕または〔96〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔98〕表4から選択される、構造(III)の化合物。
【外国語明細書】