(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127945
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107336
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2020081391の分割
【原出願日】2020-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】517066755
【氏名又は名称】株式会社パンフォーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健太
(57)【要約】
【課題】飲食物の創造者と製造者とを分離して管理し、当該飲食物について適切なパターンオーダーによる依頼ができること。
【解決手段】著作管理部121は、所定のビジュアルを有するパンの創作者Hに関する著作物として、パンの外観及びレシピに関する著作情報を管理する。製造者管理部122は、製造者情報として、製造条件を含む情報を管理する。方式設定部103は、顧客Cの指示方式として、要素(1)乃至(6)の夫々について顧客Cにより指示させる選択肢を著作情報に基づいて設定する。受注者決定部105は、顧客Cから受け付けられた選択操作に対応する著作情報及び製造者情報に基づいて、複数の製造者候補の中から受注者を決定する。権利取扱決定部110は、受け付けられた選択操作に対応する著作情報により特定されるパンを創造した創作者Hに対して所定の対価の支払いを決定する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定の外観を有する所定種類の飲食物を創造した創造者に関する知的財産の情報として、当該飲食物の外観及びレシピに関する第1情報を、複数の前記創造者毎に夫々管理する第1管理手段と、
前記所定種類の飲食物の製造者候補に関する第2情報として、製造に関する1以上の条件を含む情報を、複数の前記製造者候補毎に夫々管理する第2管理手段と、
前記所定種類の飲食物に対する発注者の指示方式として、前記外観に関する項目を少なくとも含む複数の項目の夫々について当該発注者により指示させる方式を、少なくとも前記複数の創造者の夫々の前記第1情報に基づいて設定する方式設定手段と、
前記方式設定手段により設定された前記方式に基づいて前記発注者によりなされた指示を受け付ける指示受付手段と、
前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報、及び前記複数の製造者の夫々の前記第2情報に基づいて、前記所定種類の飲食物の製造者を、前記複数の製造者候補の中から決定する製造者決定手段と、
前記複数の創造者のうち、前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報により特定される前記所定種類の飲食物を創造したものに対して、その知的財産の使用に対する取扱いを決定する知的財産決定手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記指示方式は、第1方式と、前記第1方式の後に前記発注者により指示される第2方式とを含み、
前記方式設定手段は、
前記第1方式に基づいて前記発注者によりなされて、前記指示受付手段により受け付けられた前記指示の内容に応じて、前記第2方式の形態を変化させて設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記方式設定手段は、
前記複数の創造者のうち所定の創造者の前記第1情報により特定される前記所定種類の飲食物に絞り込まれていくための前記第2方式を設定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記方式設定手段は、
前記複数の創造者の夫々の前記第1情報に基づいて規定される範囲内で、前記発注者により選択又は指示させる形態を変化させることで、前記方式を設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、相手先のブランドで販売される製品の製造を行うOEM(Original equipment manufacturer)は、業界を問わず盛んに行われている。
このような分野では、製品の製造委託を支援するための技術も存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を含む従来の技術では、所定の外観を有する所定種類の飲食物(例えばパン)を創造した者と、当該飲食物の製造者とを分離して管理することは困難である。
また、所定の飲食物の依頼に際しパターンオーダーの導入が要望されているが、特許文献1に記載された技術を含む従来の技術では、適切な導入は困難である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定の外観を有する所定種類の飲食物(例えばパン)を創造した者と、当該飲食物の製造者とを分離して管理することができると共に、当該所定種類の飲食物について適切なパターンオーダーによる依頼ができる手法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定の外観を有する所定種類の飲食物を創造した創造者に関する知的財産の情報として、当該飲食物の外観及びレシピに関する第1情報を、複数の前記創造者毎に夫々管理する第1管理手段と、
前記所定種類の飲食物の製造者候補に関する第2情報として、製造に関する1以上の条件を含む情報を、複数の前記製造者候補毎に夫々管理する第2管理手段と、
前記所定種類の飲食物に対する発注者の指示方式として、前記外観に関する項目を少なくとも含む複数の項目の夫々について当該発注者により指示させる方式を、少なくとも前記複数の創造者の夫々の前記第1情報に基づいて設定する方式設定手段と、
前記方式設定手段により設定された前記方式に基づいて前記発注者によりなされた指示を受け付ける指示受付手段と、
前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報、及び前記複数の製造者の夫々の前記第2情報に基づいて、前記所定種類の飲食物の製造者を、前記複数の製造者候補の中から決定する製造者決定手段と、
前記複数の創造者のうち、前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報により特定される前記所定種類の飲食物を創造したものに対して、その知的財産の使用に対する取扱いを決定する知的財産決定手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の外観を有する所定種類の飲食物(例えばパン)を創造した者と、当該飲食物の製造者とを分離して管理することができると共に、当該所定種類の飲食物について適切なパターンオーダーによる依頼ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用対象となる本サービスの概要を示す図である。
【
図2】
図1の6つの要素のうち、要素(1)と要素(2)の夫々の内容を示す図である。
【
図3】
図1の6つの要素のうち、要素(3)と要素(4)の夫々の内容を示す図である。
【
図4】
図1の6つの要素のうち、要素(5)と要素(6)の夫々の内容を示す図である。
【
図5】サービス提供者と創作者との間で本サービスの利用契約が締結されるまでの流れを示す図である。
【
図6】本サービスが適用される著作物の定義を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図7のサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図8のサーバにより処理の実行が制御される仕様決定処理に必要となる機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
まず、
図1乃至
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システム(後述する
図7参照)の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用対象となる本サービスの概要を示す図である。
図2乃至
図4は、
図1の6つの要素の夫々の内容を示す図である。
【0012】
本サービスは、サービス提供者Gにより管理されるサーバ1が適用される情報処理システムにより実現可能なサービスである。本サービスを利用し得るユーザには、顧客Cと、製造者Mと、創作者Hとが含まれる。
顧客Cは、OEMによるパンの製造をサービス提供者Gに発注する者である。
製造者Mは、サービス提供者Gを介して顧客Cからの発注を受注してパンの製造を行う者である。なお、本実施形態では、製造者Mと創作者Hとは明確に分離して管理される。ただし、創作者Hたる所定の者が、顧客Cにより発注されたパン(当該創作者Hの創造物)自体を製造可能な場合、当該所定の者が製造者Mとなり得る点には注意が必要である。
創作者Hは、形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定の形態(以下、適宜「ビジュアル」とも呼ぶ)を有するパンを創造した者である。ここで、パンの創造とは、所定のレシピに基づいて、当該所定の形態を有するようにパンを実際に製造可能なことを保証できる状態に到達したことをいう。パンの「レシピ」とは、所定のパンを製造するための原材料及び配合や手順等の製造方法に関する情報のことをいう。具体的には例えば、パンの名称、製造に要する材料及びその分量、時間、調理器具、手順、保存期間、冷凍の可否等の情報が含まれる。創作者Hには、パン職人やパン製造業者の他、主婦や芸能人など業としてパンの製造を行っていない者も含まれ得る。
【0013】
ここで、創作者Hにより創造されたパンは、創作者Hの著作物として著作DB181に記憶されて管理される。ここで、パンの著作物とは、
図6を参照して後述するように、ビジュアル(主に形状)、原材料及び配合、並びに製造方法により定義される知的財産である。
具体的には例えば、創作者Hは、所定のビジュアルを有するパンを創造すると、そのビジュアルとレシピ(原材料及び配合、並びに製造方法に関する情報)との夫々を、自身の著作物として本サービスに登録するための申請を行う。申請を受けたサービス提供者Gは、所定の審査を行い、その申請に対する「許可」又は「拒絶」を決定する。そして、「許可」が決定されると、申請された著作物が本サービスに登録される。
【0014】
顧客Cは、サービス提供者GにOEMによるパンの製造を発注する場合、本サービスを利用して、対象となるパン(以下、「製造対象たるパン」と呼ぶ)の仕様を決定する。
ここで、「仕様」には、製造対象たるパンの製造の受注に必要となるあらゆる情報が含まれる。例えばパンの種類、ビジュアル(形状、サイズ、色味、焼き印の有無等)、レシピ、味、母材の原産国や種類、個数、製造規模、製造にあたってのコンセプト、発注条件は、いずれも製造対象たるパンの「仕様」に含まれる。
具体的には、製造対象たるパンの仕様は、顧客Cは、製造対象たるパンの製造に必要となる6の要素(要素(1)乃至要素(6))を確定させることで決定する。顧客Cは、顧客端末2に順次表示される、要素(1)乃至(6)の夫々を確定させるための選択肢を選択する操作を行うだけで、自身がイメージする製造対象たるパンの仕様を決定することができる。
【0015】
なお、顧客Cは、本サービスを利用する場合、顧客端末2にインストールされた、本サービスの利用を可能とする専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)に対する操作を行う。
また、顧客Cは、顧客端末2のブラウザ機能により表示される、本サービスの利用を可能とする専用のウェブサイト(以下、「専用サイト」と呼ぶ)にアクセスすることでも本サービスを利用することができる。
以下、「顧客Cが顧客端末2を操作する」とは、顧客Cが専用アプリ又は専用サイトから本サービスを利用することを意味するものとする。
【0016】
図1には、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素(1)乃至(6)の夫々を確定させるためのステップが示されている。顧客Cによる顧客端末2の各種操作により、
図1に示すステップSS1乃至SS7を経ると、製造対象たるパンの仕様が自ずと決定する。なお、要素(1)乃至要素(6)の夫々の内容は、
図2(A)乃至
図4(B)の夫々に示されている。
以下、
図1に示す要素(1)乃至(6)の夫々の内容について、
図2(A)乃至
図4(B)の夫々を適宜参照しながら説明する。
【0017】
ステップSS1において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(3)を確定させるための操作を行う。要素(3)は、製造対象たるパンの種類を確定させるための要素である。
【0018】
具体的には、
図3(A)に示すように、ステップSS1において、顧客Cは、製造対象たるパンの種類を確定させるための1つ目の選択として、「選択」と「オリジナル」とのうちいずれか一方を選択する。このうち、「選択」は、顧客Cが、既存の1以上の種類からいずれかの種類を選択して注文しようとする場合に選択する選択肢である。
【0019】
ここで「既存」とは、創作者Hの著作物として既に本サービスに登録されているパンの仕様に含まれているものであることを意味する。例えば創作者Hの著作物として既に本サービスに登録されているパンの仕様に、「メロンパン」のレシピが含まれている場合、パンの種類としての「メロンパン」は、既存の種類として取り扱われる。
このため、例えば既存の種類は、
図3(A)に示す種類(バゲット、メロンパン、あんぱん)に固定されるものではない。著作DB181に記憶されている著作物に関する情報(以下、「著作情報」と呼ぶ)に基づいて随時生成されるものである。
【0020】
以下、このような、顧客端末2に順次表示される選択肢を顧客Cが選択する操作を行うことで自動的に製造対象たるパンの仕様が決定される注文の手法を、「パターンオーダー」と呼ぶ。
これに対して、「オリジナル」は、顧客Cが、選択肢により決定されていく所望のパンに対応する著作物が存在しない場合、又は、当初からオリジナルなパンを製造しようとする場合に選択する選択肢であり、このような注文の手法を「オリジナルオーダー」と呼ぶ。
【0021】
まず、顧客Cによって「選択」が選択された場合(いわゆるパターンオーダーの場合)の例について説明する。
「選択」が選択されると、例えば「バゲット」、「メロンパン」、「あんぱん」等の選択肢が顧客端末2に表示される。これにより、顧客Cは、既存の種類の中から製造対象たるパンの種類を自由に選択することができる。
【0022】
次に、顧客Cによって「オリジナル」が選択された場合について説明する。
ステップSS1で「オリジナル」が選択されると、サービス提供者Gの営業担当者が個別対応するオリジナルオーダーに移行する。具体的には、チャット等のコミュニケーションツールが開設されて、パンの製造に関する専門的知見を有する営業担当者による個別のヒアリングが行われる。ヒアリングでは、顧客Cが所望する製造対象たるパンの仕様が具体的にどのようなものであるのかについて詳細な確認が行われる。サービス提供者Gの営業担当者は、このような確認を行いながら、著作DB181を適宜参照して、顧客Cが所望する製造対象たるパンの仕様と一致又は類似するものが存在しないかどうかのチェック(以下、「類似性チェック」と呼ぶ)を行う。類似性チェックの結果、顧客Cが所望する製造対象たるパンの仕様のうち、既存のものと一致又は類似するものの存在が確認された場合には、営業担当者によるパターンオーダーへの誘導が行われる。
なお、
図6を参照して後述するように、創作者Hが、自身が創作した(と考えている)パンを著作物として登録するための申請を行った際、その申請を許可するか否かの判定においても、類似性チェックは行われる。
【0023】
ここで、「パターンオーダーへの誘導」について説明する。例えば顧客Cが所望する製造対象たるパンの仕様が、種類(メロンパン)、ビジュアル(ハート型でピンク色)であったとする。ここで仮に、「種類」の選択肢に「メロンパン」が含まれていなかった場合には、ステップSS1において顧客Cは「オリジナル」を選択する。すると、上述の個別のヒアリングが開始される。そのヒアリングの中では、既存の「種類」の選択肢の中に、「メロンパン」に一致又は類似するものが存在しないかどうかの類似性チェックが適宜行われる。類似性チェックの結果、「メロンパン」に類似する「種類」の選択肢の存在が検出されると、検出された種類を選択することができる旨が顧客Cにレコメンドされる。また、ヒアリングの中では、顧客Cが「ハート型でピンク色」のメロンパンを製造したいということが判明すると、「ハート型でピンク色」をキーとする類似性チェックが適宜行われる。そして、「メロンパン」以外の種類のパンのうち、「ハート型でピンク色」というビジュアルの要件を満たすパンの存在(著作物の存在)が抽出されると、そのパンの種類が顧客Cにレコメンドされる。つまり、顧客Cによっては「ハート型でピンク色」というビジュアルへのこだわりがあるが、「メロンパン」というパンの種類へのこだわりがあまりない場合もある。このような場合には、パターンオーダーへの誘導に成功する可能性が高くなる。
【0024】
パターンオーダーへの誘導が成功した場合、登録された著作物が利用されることになるため、著作物の利用の態様に応じた所定のインセンティブが創作者Hに与えられることとなる。
ここで、インセンティブの創作者Hへの与え方の手法については、以下の例では説明の便宜上対価の支払いとするが、特にこれに限定されない。例えば承認欲求を満たす「いいね」や知名度や露出機会の創作者Hへの提供といった手法が採用されてもよい。
即ち、パターンオーダーが多く選択されると、本サービスに登録されている著作物の利用の促進と、その著作物の創作者Hが得ることができるインセンティブの増加とを図ることができる。
その結果、パン(そのビジュアルやレシピ)を創造し、本サービスに登録することで所定のインセンティブを得ようとする者が増えることも期待できる。また、パターン化に伴い、営業担当者の業務負担の低減化や、顧客Cの製造コスト(サービス提供者Gに支払う料金)の低減化も図ることができる。
【0025】
パターンオーダーへの誘導の成功率は、著作DB181に著作物として記憶されているパンのビジュアルやレシピのパターンの網羅性に左右される。即ち、当該パターンの網羅性が高い場合には、顧客端末2に表示される選択肢の数が増え、顧客Cが所望するパンの仕様に合致する選択肢が顧客端末2に表示される可能性が高くなる。その結果、顧客Cによる選択の幅が広がるため、顧客Cの体験価値を下げることなく、顧客Cが所望する製造対象たるパンの仕様を決定できるようになる。
即ち、パターンオーダーへの誘導が成功すると、登録されている創作者Hに支払われるインセンティブの額が増える。そして、本サービスに新規に登録される著作物の数も増える。その結果、著作物として記憶されているパンのビジュアルやレシピのパターンの網羅性が向上する。すると、パターンオーダーへの誘導の成功率が向上する、という正のスパイラルに繋げることができる。
【0026】
なお、パターンオーダーへの誘導については、上述した例では説明の便宜上、サービス提供者Gの営業担当者が個別対応して行われるものとしたが、特にこれに限定されず、サーバ1等の情報処理システム側で自動的に行われるようにしてもよい。
【0027】
ステップSS2において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(1)を確定させるための操作を行う。要素(1)は、製造対象たるパンのビジュアルを確定させるための要素である。
なお、ステップSS2は、必ずしもステップSS1を経ている必要はない。即ち、製造対象たるパンの仕様を決定するにあたり、製造対象たるパンの種類を確定させるステップを経ることなく、製造対象たるパンのビジュアルが確定されてもよい。
【0028】
具体的には、
図2(A)に示すように、ステップSS2において、顧客Cは、製造対象たるパンのビジュアルを確定させるための1つ目の選択として、「選択」と「オリジナル」とのうちいずれか一方を選択する。このうち、「選択」は、顧客Cが、既存のビジュアルのパターンから選択して注文しようとする場合(即ち、パターンオーダーによる場合)に選択する選択肢である。
これに対して、「オリジナル」は、顧客Cが、所望するパンの種類が選択肢に存在しない場合、又は、当初からオリジナルオーダーでパンを製造しようとする場合に選択する選択肢である。
【0029】
まず、顧客Cによって「選択」が選択された場合(いわゆるパターンオーダーの場合)の例について説明する。
「選択」が選択されると、例えば「形状」、「サイズ」、「色味」等の選択肢が顧客端末2に表示される。これにより、顧客Cは、既存のビジュアルのパターンの中から製造対象たるパンのビジュアルのパターンを自由に選択することができる。
ここで、顧客Cが「形状」を選択すると、顧客端末2には、製造対象たるパンのビジュアルのパターンのうちパンの形状を示す1以上の情報が選択可能に表示される。具体的には例えば、描画によりパンの形状を表現したもの(例えば星型)、撮像画像によりパンの形状を表現したもの(例えばサンプル写真)、文字によりパンの形状を表現したもの(例えば「星型」という文字)等が表示される。
また例えば、顧客Cが「サイズ」を選択すると、顧客端末2には、「形状」の場合と同様に、製造対象たるパンのビジュアルのパターンのうちパンのサイズを示す1以上の情報が選択可能に表示される。なお、「色味」や図示せぬ他の選択肢も同様である。
これにより、顧客Cは、製造対象たるパンのビジュアルとして、パンの「形状」、「サイズ」、「色味」等の夫々について、所望する内容を自由に選択することができる。
【0030】
ここで、顧客Cは、選択肢として表示されたパンのビジュアルのうち、自身が所望するビジュアルに近いものを発見したものの、そのまま発注できるほど近似したものではない場合がある。このような場合、顧客Cは、顧客端末2を操作することで、選択肢として表示されたパンのビジュアルを、自身のイメージに一致させる(又は近付ける)ための修正を行うことができる。以下、専用アプリに搭載されたこのような修正機能のことを「ビジュアル修正機能」と呼ぶ。即ち、ビジュアル修正機能は、顧客Cによる修正操作に対して一定の自由度を許容するものである。つまり、一定の自由度を超えた修正が行われると、パターンオーダーで対応できる範囲を超え、オリジナルオーダーになる可能性がある。ただし、顧客Cにとってみれば一定の自由度を超えるのかどうかはわからない。このため、ビジュアル修正機能には、上述の類似性チェックを自動で行う機能が含まれている。これにより、修正可能な程度や範囲が自動判定される(ステップSS3)。その結果、顧客Cは、自身が所望するパンのビジュアルに一致させる(又は近付ける)ための修正操作を、パターンオーダーで対応できる範囲で行うことができる。
【0031】
ステップSS3の自動判定において、パターンオーダーで対応できる修正の範囲であると判定された場合には、ステップSS3においてYESと判定されて、ステップSS4又はステップSS5に移行する。ステップSS3の後にステップSS4に移行するかステップSS5に移行するかは顧客Cが任意に選択することができる。なお、本実施形態では、顧客CによってステップSS3からステップSS4に移行することが選択されたものとする。
【0032】
また、ステップSS3の自動判定において、パターンオーダーで対応できる修正の範囲を超えていると判定され、かつ、顧客Cがその修正を改めない場合には、ステップSS3においてNOと判定される。そして、ステップSS2で「オリジナル」が選択された状態に移行する。即ち、パターンオーダーからオリジナルオーダーに移行する。
【0033】
また、ステップSS2で「オリジナル」が選択されると、ステップSS1で「オリジナル」が選択された場合と同様に、サービス提供者Gの営業担当者による個別対応が開始される。
【0034】
ステップSS4において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(2)を確定させるための操作を行う。要素(2)は、製造対象たるパンのビジュアルのオプションを確定させるための要素である。
【0035】
具体的には、
図2(B)に示すように、ステップSS4において、サーバ1は、製造対象たるパンのビジュアルのオプションを確定させるための選択肢を顧客端末2に表示させる。
即ち、サーバ1は、1つ目の選択として、「焼き印要否」と、図示せぬ他のビジュアルのオプションとを顧客端末2に表示させる。顧客Cは、ビジュアルのオプションを確定させるべく、任意のものを選択する。なお、1つ目の選択は、上述のステップSS1やステップSS2における1目の選択ように択一式のものではなく、表示された選択肢の夫々について個別設定を行うべく順次選択可能なものになっている。
【0036】
ここで、例えば顧客Cが「焼き印要否」を選択した場合には、2つ目の選択として、「選択」と「オリジナル」とが表示される。このうち、「選択」は、顧客Cが、既存の焼き印のパターンを選択する場合に選択する選択肢である。また、「オリジナル」は、顧客Cが、所望するパンの種類が選択肢に存在しない場合に選択する選択肢である。
【0037】
まず、顧客Cによって「選択」が選択された場合の例について説明する。
「選択」が選択されると、3つ目の選択として、例えば「サイズ」、「場所」、「色」等の選択肢が顧客端末2に表示される。これにより、顧客Cは、既存の焼き印のパターンの中から製造対象たるパンに印字する焼き印のパターンを自由に選択することができる。
ここで、顧客Cが「サイズ」を選択すると、顧客端末2には、製造対象たるパンに印字される焼き印のパターンのうち焼き印のサイズを示す1以上の情報が選択可能に表示される。具体的には例えば、描画により焼き印のサイズを表現したもの、撮像画像により焼き印のサイズを表現したもの、数値により焼き印のサイズを表現したもの等が表示される。
また例えば、顧客Cが「場所」を選択すると、顧客端末2には、「サイズ」の場合と同様に、製造対象たるパンに焼き印が印字される場所のパターンを示す1以上の情報が選択可能に表示される。「色」や図示せぬ他の選択肢も同様である。
これにより、顧客Cは、製造対象たるパンのビジュアルのオプションとして、パンに印字される「焼き印」等について、所望する内容を自由に選択することができる。
【0038】
ここで、顧客Cは、選択肢として表示された焼き印のうち、自身が所望するビジュアルに近いものを発見したものの、そのまま発注できるほど近似したものではない場合には、上述のビジュアル修正機能を利用することができる。
【0039】
また、「オリジナル」が選択されると、ステップSS1やステップSS2で「オリジナル」が選択された場合と同様に、サービス提供者Gの営業担当者による個別対応に移行する。
【0040】
ステップSS5において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(4)を確定させるための操作を行う。要素(4)は、製造対象たるパンの処方のオプションを確定させるための要素である。
【0041】
具体的には、
図3(B)に示すように、ステップSS5において、サーバ1は、製造対象たるパンの処方のオプションを確定させるための選択肢を顧客端末2に表示させる。即ち、サーバ1は、処方のオプションを確定させるための1つ目の選択として、「味」と、「原産国」と、「母材種類」と、「追加素材」と、「カロリー」と、図示せぬ他の処方のオプションとを顧客端末2に表示させる。顧客Cは、処方のオプションを確定させるべく、任意のものを選択して各種の設定を行う。なお、1つ目の選択は、択一式のものではなく、表示された選択肢の夫々について個別に設定を行うことができる。
【0042】
ここで、例えば顧客Cが「味」を選択した場合には、2つ目の選択として、「選択」と「オリジナル」とが表示される。このうち、「選択」は、顧客Cが、既存の処方のオプションを選択する場合に選択する選択肢である。また、「オリジナル」は、顧客Cが、所望するものが選択肢に存在しない場合に選択する選択肢である。
【0043】
まず、顧客Cによって「選択」が選択された場合の例について説明する。
「選択」が選択されると、例えば
図3(B)に示すように、3つ目の選択として、既存の味として、「a」、「b」等の選択肢が顧客端末2に表示される。これにより、顧客Cは、既存の味の中から任意のものを自由に選択することができる。
顧客Cは、処方のオプションを選択すると、必要に応じて選択内容を修正したり調整したりすることができる。
【0044】
次に、顧客Cによって「オリジナル」が選択された場合について説明する。
「オリジナル」が選択されると、ステップSS1、ステップSS2、及びステップSS4で「オリジナル」が選択された場合と同様に、サービス提供者Gの営業担当者による個別対応に移行する。そして、例えば
図3(B)に示すように、パンの味の構成要素となる「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」、及び「うま味」について、上述したような個別のヒアリングが行われる。ヒアリングでは、類似性チェックが行われて、パターンオーダーへの誘導が適宜行われる。
【0045】
なお、図示はしないが、1つ目の選択で、「原産国」、「母材種類」、「追加素材」、「カロリー」、及び図示せぬ他の処方のオプションのうちいずれかが選択された場合も、「味」が選択された場合と同様に、2つ目の選択と、3つ目の選択との夫々ができるように、顧客端末2に選択肢が表示される。
【0046】
ステップSS6において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(5)を確定させるための操作を行う。要素(5)は、製造対象たるパンの製造規模と重要要件とを確定させるための要素である。
ここで、「製造規模」とは、想定される製造ロット数、販売先となる地域の範囲、投入可能な予算など、製造対象たるパンを製造する際の全体的なスケールに関する要素のことをいう。製造規模の違いにより受注可能な製造者Mが異なってくる。つまり、想定される製造ロット数によっては、生産ラインの都合上、街のパン屋が受注した方が効率よく製造できる場合もあるし、大工場でないと対応できない場合もある。
また、「重要要件」とは、製造対象たるパンの製造をどのようなコンセプトで進めていくのかといった、顧客Cの根本的な思想にも通ずる重要な要件のことをいう。このため、「重要要件」は、「製造規模」を直接的にリンクする要素にもなる。具体的には例えば、「重要要件」として、「手作り感」を前面に押し出して「質」で勝負するのか、それとも量産品として「数」で勝負するのか、といったコンセプトを「選択」によって確定させると、「製造規模」の方向性も定まってくる。
また、「重要要件」として、製造者Mを個別指定することもできる。具体的には例えば、顧客Cは、オーガニックの材料のみを使うことで有名なパン屋を個別指定することもできるし、著名なパン職人が所属しているパン屋を個別指定することもできる。また、芸能人や文化人などの著名人が創造に加わっていることを前面に押し出す場合も、種々の事項を「選択」によって確定させることができる。
【0047】
具体的には、
図4(A)に示すように、ステップSS6において、サーバ1は、製造対象たるパンの製造規模と重要要件とを確定させるための選択肢を顧客端末2に表示させる。即ち、サーバ1は、製造規模と重要要件とを確定させるための選択肢として、例えば「手作りタイプ」、「量産タイプ」、「指名・指定」、及び図示せぬ他の選択肢を顧客端末2に表示させる。顧客Cは、製造規模と重要要件とを確定させるべく、任意のものを選択する。
【0048】
ステップSS7において、顧客Cは、製造対象たるパンの仕様の決定に必要となる6つの要素のうち、要素(6)を確定させるための操作を行う。要素(6)は、製造対象たるパンの発注条件を確定させるための要素である。
【0049】
具体的には、
図4(B)に示すように、ステップSS7において、サーバ1は、製造対象たるパンの発注条件を確定させるための選択肢を顧客端末2に表示させる。即ち、サーバ1は、発注条件を確定させるための選択肢として、「正式発注」と、「サンプル発注」とを顧客端末2に表示させる。顧客Cは、発注条件を確定させるべく、いずれかを選択する。
発注条件として「正式発注」と「サンプル発注」とのいずれかが選択されて確定すると、製造対象たるパンの仕様が決定する。サーバ1は、パンの製造を受注する候補となる1以上の製造者Mの夫々に関する情報(以下、「製造者情報」と呼ぶ)が記憶された製造者DB182を参照し、決定した仕様のパンを製造可能な製造者Mとして最適となる者を抽出して受注者に決定する。このようにしてサーバ1によるマッチングが行われる。
【0050】
なお、サーバ1によるマッチングでは、単に製造対象たるパンの仕様を満たす製造者Mが抽出されるだけではなく、仕様変更により顧客Cが享受し得るメリット等が顧客Cにレコメンドされる。具体的には例えば、決定された製造対象たるパンの仕様に含まれる製造ロット数を少し増やすと、既存の製造ラインを転用できるので料金を下げることができる、といったメリットがレコメンドされる。
サーバ1によるマッチングが成功すると、受注者によるパンの製造が開始される。
【0051】
以上のステップを経て決定された製造対象たるパンの仕様は、パターンオーダーとオリジナルオーダーとを問わず、要素(1)乃至(6)に包含される各種の製造条件(例えば顧客Cの希望に対する実現性)が勘案された顧客Cの創造物である。このため、決定した製造対象たるパン(そのビジュアルやレシピ)は、顧客Cを創作者Hとする新たな著作物として著作DB181に追加的に記憶される。
その後、ステップSS8において、製造者Mは、製造したパンを包装し、荷姿による発送を行う。
【0052】
ここで、顧客Cによって「正式発注」が選択された場合には、顧客Cからサービス提供者Gに対して、製造対象たるパンの製造の委託に必要となる料金が支払われる。顧客Cがパターンオーダーにより製造対象たるパンの仕様を決定した場合には、顧客Cからサービス提供者Gに支払われる料金には、その仕様のうちビジュアルやレシピの創作者Hに支払われるインセンティブがインクルードされる。ただし、本実施形態では、インクルードされているインセンティブの額を含む明細や、受注者に関する情報は顧客Cに開示されない。このため、顧客Cとしては、創作者Hや製造者Mの存在を意識することなく、サービス提供者Gとの間のやり取りだけで容易にOEMによる製造対象たるパンの製造委託を行うことができる。
【0053】
また、顧客Cによって「サンプル発注」が選択された場合には、まず受注者である製造者Mによるサンプル品の製造が行われる。サンプル品はサービス提供者Gから顧客Cに届けられる。サンプル品は、有償とすることもできるが、本サービスを有料制にした場合には、一部を無償にすることもできる。サンプル品を有償とした場合、その料金は、例えば正式発注がなされた場合の製造ロットや金額、製造者情報等に基づいて自動計算されるようにすることもできる。
【0054】
また、本サービスの利用に伴い発生する取引の内容は、「取引情報」として取引DB183に記憶されて管理される。また、著作DB181、製造者DB182、及び取引DB183の夫々に記憶されている情報は、互いに連携可能な状態で管理されている。これにより、著作情報と、製造者情報と、取引情報との連携が可能になる。
【0055】
図5は、サービス提供者と創作者との間で本サービスの利用契約が締結されるまでの流れを示す図である。
【0056】
図5に示すように、ステップSS101において、サービス提供者Gは、創作者Hに対して、本サービスのユーザとして登録するために必要となる、申請書のフォーマット(以下、「申請フォーマット」と呼ぶ)を提供する。具体的には、サーバ1が、創作者端末3に申請フォーマットを送信する。
【0057】
ステップSS102において、創作者Hは、申請フォーマットに、自身が創造した著作物の著作情報として、パンのビジュアルやレシピに関する情報を入力して、ユーザ登録の申請を行う。具体的には、創作者端末3が、申請フォーマットに入力された著作情報をサーバ1に送信する。
【0058】
ステップSS103において、サービス提供者Gは、申請フォーマットに入力された内容に関する情報(以下、「申請情報」と呼ぶ)に基づいて、ユーザ登録を「許可」するか「拒絶」するかを判断する。
この判断に際しては、著作物の登録の対象として申請されたパンを、創作者Hが製造できることの保証(以下、「製造可能保証」と呼ぶ)の確認が行われる。これにより、製造可能保証の対象となるパン(そのビジュアルやレシピ)は、創作者Hの著作物であることが保証され、また、顧客端末2に選択肢にも反映されることになる。さらに、製造可能保証の確認が行われることで、実効性のない著作物が登録されることを排除することもできる。
また、サーバ1による判断に際しては、著作DB181に記憶されている著作情報が参照されて、既に登録されている著作物が存在しないかどうかの類似チェックが行われる。これにより、創作者Hが異なる同一の著作物が登録されることを防止することができる。
【0059】
サービス提供者Gによる判断の結果が「許可」である場合には、ステップSS104において、サービス提供者Gと創作者Hとの間で本サービスの利用契約が締結される。なお、この利用契約は、「都度契約」の場合と「一括契約」の場合とがある。一括契約とは、例えば特定の顧客Cによる独占的な販売を一括で認めるような契約のことをいう。
【0060】
利用契約には、著作物の利用条件等に関する合意内容が盛り込まれる。そして、この合意内容が、上述の要素(1)乃至(6)の夫々で顧客端末2に表示される選択肢に反映される。
【0061】
図6は、本サービスが適用される著作物の定義を示す図である。
【0062】
上述したように、創造された著作物(パンのビジュアル及びレシピ)についての「申請」がなされて、これに対する「許可」がなされると、その著作物が本サービスに登録される。そして、本サービスに登録された著作物の個々の権利が及ぶ範囲は、申請情報に含まれる内容の範囲となる。申請情報に含まれているかどうかは、申請情報に記載された著作物を定義する要素によって判断される。著作物を定義する要素には、
図6に示すように、ビジュアルのうち特に「形状」と、「原材料及び配合情報」と、「製造方法」とが含まれる。
【0063】
まず、「形状」について具体例を挙げて説明する。例えば
図6に示すような四芒星形状のビジュアルのパンを創造した創作者Hは、申請フォームに著作情報を入力して申請を行う。ここで、創作者Hが、申請フォームに「四芒星形状のみならず六芒星形状も含む」と入力して申請を行い、これが許可されたとする。この場合、著作物を定義する「形状」の範囲は、四芒星形状及び六芒星形状となる。そして、製造可能保証の範囲やビジュアル修正機能により修正可能な範囲(パターンオーダーが可能な範囲)も四芒星形状及び六芒星形状となる。このため、例えば
図6に示すような七芒星形状は、申請及び許可がなされていない形状となり、製造可能保証の範囲、ビジュアル修正機能により修正可能な範囲のいずれの範囲からも外れることになる。このような場合、七芒星形状のパンは、パターンオーダーで製造することができないことになるので、オリジナルオーダーで製造することになる。
換言すると、第三者が後程、六芒星形状のパンを自身の著作物として登録を申請してきた場合には、既に
図6の例として登録済みのため申請は否認(却下)される。一方、第三者が後程、七芒星形状のパンを自身の著作物として登録を申請してきた場合には、
図6の例として登録された著作物の範囲外のため、他の著作物の範囲内でなければ、申請は許可(登録)される可能性がある。
【0064】
次に、「原材料及び配合」について具体例を挙げて説明する。例えば
図6に示すようなABCDEからなる5種類の原材料及び配合(以下、「第1バリエーション」と呼ぶ)を創造した創作者Hは、申請フォームに著作情報を入力して申請を行う。ここで、創作者Hが、申請フォームに「第1バリエーションのみならず、A´B´CDEからなる5種類の原材料及び配合(以下、「第2バリエーション」と呼ぶ)、A´FCDEからなる5種類の原材料及び配合(以下、「第3バリエーション」と呼ぶ)、及びACDEからなる4種類の原材料及び配合(以下、「第4バリエーション」と呼ぶ)も含む」と入力して申請を行い、これが許可されたとする。この場合、著作物を定義する「原材料及び配合」の範囲は、第1バリエーション乃至第4バリエーションとなる。そして、製造可能保証の範囲や、顧客端末2に表示される選択肢として反映されるものも、第1バリエーション乃至第4バリエーションとなる。このため、例えば
図6に示すようなACCDFからなる5種類の原材料及び配合は、申請と許可がなされていない原材料及び配合となる。このため、製造可能保証の範囲や、顧客端末2に表示される選択肢として反映されるものからも外れ、著作物足り得ない、単なるパンの種類やカテゴリに近いものとして取り扱われる。このような場合、ACCDFからなる5種類の原材料及び配合からなるパンは、パターンオーダーで製造することができないので、オリジナルオーダーで製造することになる。
【0065】
次に、「製造方法」について具体例を挙げて説明する。例えば
図6に示すような、製造工程(順番・時間・温度等)、使用機器やスペック、他フォーマット記載事項などを創造した創作者Hは、申請フォームに著作情報を入力して申請を行う。この場合、著作物を定義する「製造方法」の範囲は、創作者Hが申請を行い、サービス提供者Gにより許可された範囲となる。そして、製造可能保証の範囲や、顧客端末2に表示される選択肢として反映されるものも、創作者Hが申請を行い、サービス提供者Gにより許可された範囲となる。このため、申請及び許可のない製造方法については、製造可能保証の範囲や、顧客端末2に表示される選択肢として反映されるものからも外れて、オリジナルオーダーで製造することになる。
【0066】
以上をまとめる、本サービスによれば、例えば以下のような効果を期待することができる。
【0067】
即ち、本サービスによれば、パンのパターンオーダーと、創作者Hと、製造者Mとを夫々分離して管理することができる。
なお、上述したように、創作者Hと製造者Mとは同一の者となる場合がある。
また、顧客Cは、顧客端末2に選択肢として表示された製造対象たるパンのビジュアル(要素(1))を、選択によって確定させることでパンのパターンオーダーが可能となる。
また、確定されたビジュアル(要素(1))のパンの製造を実現させるための原材料や製造方法などのレシピを含むパンの仕様を著作物として管理することが可能になる。
また、管理されている著作情報と、仕様が決定したパンを製造可能な製造者Mの製造者情報とを対応付けて比較することができる。
また、最適な製造者Mのマッチングが行われるので、創作者Hと製造者Mとを分離させた状態で顧客Cが発注を行うことができるようになる。即ち、創作者Hは、大量生産可能な大規模な工場を必ずしも保有しているとはいえない。また、工場の稼働状況から、迅速な対応ができない場合もある。これに対して、本サービスによれば、創作者Hと製造者Mとを分離させて発注することができるので、顧客Cは、オリジナリティーの高いパンを大量に製造することもできるし、小ロットに製造することもできる。これにより、顧客Cは、創作者Hや製造者Mの存在を意識することなく製造対象たるパンを発注することができる。
また、創作者Hに相応の対価を支払う仕組みを構築することができる。
【0068】
また、本サービスによれば、パンのパターンオーダーにおける顧客Cの自由度を規定することができる。
また、ビジュアル(要素(1))や処方のオプション(要素(4))の選択が行われる場合、例えばビジュアルについては、ビジュアル修正機能による画像の修正を行うことができる。
また、処方のオプションについては、選択肢やオプションの可否の提示などにより、一定の自由度を許容することができる。
また、本サービスの利用契約が締結される際、創作者Hにより申請され許可された著作物の著作情報に基づいて、修正すべき範囲や提示可能な選択肢を生成して提示することもできる。
【0069】
また、本サービスによれば、パンのパターンオーダーにおける顧客Cの自由度を規定することができる。
また、オリジナルなパンの製造を意図する顧客Cの体験価値を下げることなく、パターンオーダーでクローズさせることができる。
また、オリジナルオーダーによるパンの製造を意図する顧客Cをパターンオーダーに誘導することもできる。
【0070】
次に、本サービスに適用可能な情報処理システムの構成について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0071】
図7に示す情報処理システムは、サーバ1と、顧客端末2と、創作者端末3と、製造者端末4とがインターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0072】
サーバ1は、サービス提供者Gにより管理される情報処理装置である。サーバ1は、顧客端末2、創作者端末3、及び製造者端末4の夫々と適宜通信をしながら、本サービスの提供を実現するための各種処理を実行する。
【0073】
顧客端末2は、顧客Cにより操作される情報処理装置である。顧客端末2は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0074】
創作者端末3は、創作者Hにより操作される情報処理装置である。創作者端末3は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0075】
製造者端末4は、製造者Mにより操作される情報処理装置である。製造者端末4は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0076】
次に、
図7に示す情報処理システムにおける各種処理を実行するハードウェアの構成について説明する。
図8は、
図7のサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0077】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0078】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0079】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0080】
入力部16は、各種ハードウェアボタン等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図7の顧客端末2、創作者端末3、及び製造者端末4等)との間で行う通信を制御する。
【0081】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0082】
なお、図示はしないが、
図7の顧客端末2、創作者端末3、及び製造者端末4も、
図8に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、顧客端末2、創作者端末3、及び製造者端末4のハードウェア構成の説明については省略する。
【0083】
次に、
図8のハードウェア構成を有するサーバ1の機能的構成について説明する。
図9は、
図8のサーバにより処理の実行が制御される仕様決定処理に必要となる機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0084】
「仕様決定処理」とは、上述の本サービスを提供するために必要となる処理のうち、製造対象たるパンの仕様を決定する処理のことをいう。
【0085】
図9に示すように、
図8のサーバ1により仕様決定処理の実行が制御される場合には、サーバ1のCPU11において、情報取得部101と、情報管理部102と、方式設定部103と、指示受付部104と、受注者決定部105と、修正支援部106と、類似抽出部107と、報知制御部108と、仕様決定部109と、権利取扱決定部110とが機能する。
【0086】
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、著作DB181と、製造者DB182と、取引DB183とが設けられている。
【0087】
情報取得部101は、著作情報と、製造者情報と、取引情報を取得する。情報取得部101により取得された著作情報と、製造者情報と、取引情報の夫々は、著作DB181と、製造者DB182と、取引DB183との夫々に記憶されて管理される。
【0088】
また、情報取得部101は、方式設定部103により設定された選択肢に対して顧客Cによりなされた選択する操作を受け付けて、その選択肢に関する情報を取得する。
【0089】
情報管理部102は、情報取得部101により取得された情報の管理を行う。情報管理部102では、著作管理部121と、製造者管理部122と、取引管理部123とが機能する。
著作管理部121は、形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定のビジュアルを有するパンの創作者Hの著作物として、そのパンのビジュアル及びレシピに関する著作情報を、複数の創作者H毎に夫々管理する。
具体的には、著作管理部121は、パンのビジュアルに関する情報と、パンを製造するために必要となる原材料や製造方法を含むレシピに関する情報とを、いずれも独立した著作物に関する著作情報として管理する。
製造者管理部122は、パンの製造を受注する候補者となる製造者Mに関する情報として、パンの製造条件を含む製造者情報を、複数の製造者M毎に夫々管理する。
取引管理部123は、取引DB183に記憶されている取引情報の管理を行う。
【0090】
方式設定部103は、パンに対する発注者となる顧客Cの指示方式として、パンのビジュアルに関する項目を少なくとも含む要素(1)乃至(6)の夫々についての選択肢を、複数の創作者Hの夫々の著作情報に基づいて設定する。
具体的には、方式設定部103は、情報管理部102により管理されている著作情報と製造者情報との対応付け又は比較を行うことで、顧客Cが選択可能な選択肢を生成して設定する。
これにより、顧客Cは、設定された要素(1)乃至(6)の夫々についての選択肢からパンのパターンオーダーが可能となる。
【0091】
ここで、方式設定部103により設定される選択肢は、n番目(nは1以上の任意の整数値)の選択を行うための選択肢と、その選択肢の後に顧客Cにより選択されるn+1番目の選択を行うための選択肢とを含む。
そして、方式設定部103は、n番目の選択肢の選択がなされて、指示受付部104により受け付けられた選択の内容に応じて、n+1番目の選択肢の内容を変化させて設定する。
具体的には、方式設定部103は、複数の創作者Hのうち所定の創作者Hの著作情報により特定されるパンに絞り込まれていくための選択肢として、n+1番目の選択肢を設定する。
これにより、n番目に選択された内容に応じてn+1番目に設定される選択肢が変わるという「インプットとアウトプットとの連動」が実現される。これにより、膨大な選択肢の中からパンの仕様を決定していくまでの処理が簡便化され、より好適なパターンオーダーが実現可能になる。
【0092】
また、方式設定部103は、複数の創作者Hの夫々の著作情報に基づいて規定される範囲内で、顧客Cにより選択又は指示させる形態を変化(例えば範囲の修正や画像修正)させることで、選択肢を設定する。
これにより、顧客Cは、自身のイメージに合ったパンの形態を効率良く決定ことができる。
【0093】
指示受付部104は、方式設定部103により設定された選択肢に対する顧客Cの選択操作を受け付ける。
【0094】
受注者決定部105は、指示受付部104により受け付けられた選択操作に対応する著作情報、及び製造者DB182に記憶されている製造者情報に基づいて、複数の候補者の中から顧客Cのパンの製造を受注する者を抽出して決定する。
具体的には、受注者決定部105は、情報管理部102により管理されている著作情報と製造者情報との対応付け又は比較を行うことで、対象となるパンを製造する製造者Mとして最適な者を抽出し受注者として決定する。
【0095】
修正支援部106は、著作情報に基づいて、所定仕様のパンの形態を修正する操作の支援を行う。具体的には、修正支援部106は、パターンオーダーに導くための修正として、顧客Cが修正すべき範囲や提示可能な選択肢を生成して提示する。
【0096】
類似抽出部107は、著作管理部121により管理されている著作情報により示されるパンの仕様のうち、顧客Cにより所望されるパンの仕様と同一又は類似するパンの仕様を抽出する。
【0097】
報知制御部108は、方式設定部103により生成された選択肢を顧客Cに報知する制御を実行する。具体的には、報知制御部108は、方式設定部103により生成された選択肢を顧客端末2に表示させる制御を実行する。
【0098】
また、報知制御部108は、類似抽出部107により抽出された、顧客Cにより所望されるパンの仕様と同一又は類似する仕様を顧客Cにさらに報知する制御を実行する。具体的には、報知制御部108は、類似チェックの結果を選択肢に反映させることによって顧客Cに報知する。
【0099】
仕様決定部109は、顧客Cにより選択された選択肢に関する情報に基づいて、要素(1)乃至要素(6)の夫々を確定させて、製造対象たるパンの仕様を決定する。
【0100】
権利取扱決定部110は、複数の創作者Hのうち、指示受付部104により受け付けられた選択に対応する著作情報により特定されるパンを創造した者に対して、その著作物の使用に対する対価を決定する。
これにより、パン(そのビジュアルやレシピ)を創造した創作者Hの権利を有効活用することができる。
【0101】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0102】
例えば、上述の実施形態では、パンの仕様を決定することが前提となっているが、これは例示に過ぎず、所定の外観を有するあらゆる種類の飲食物の仕様の決定に本発明を適用することができる。
【0103】
また例えば、上述の実施形態では、パンの創作者としては、著作物の著作権者という形態で説明しているが、これは例示に過ぎない。創作者には、意匠権者、特許権者、実用新案権者、商標権者等の知的財産権に関する権利を有する者、さらには、サービス提供者自身が知的財産と定義するものを創造した者も含まれ得る。即ち、パンのビジュアルやレシピは、上述の実施形態のように著作物として保護されるだけでなく、登録意匠や、特許発明として保護され得るものでもある。
このため、上述の実施形態における著作DB181の他、意匠権や特許権を含む知的財産権に関する情報を記憶させたデータベースを別途用意して、サービス提供者Gの営業担当者による類似性チェックが行われてもよい。これにより、パターンオーダーへの誘導が可能となるので、顧客Cが所望する仕様のパンの製造に伴う知的財産権の侵害リスクを抽出することもできるようになる。
その結果、顧客Cとしては、別途調査会社等に知的財産権に関するデューデリジェンス等を依頼することなく、他人の知的財産権を侵害するリスクの少ないパンを製造することができる。また、顧客Cの中には、ライセンス料を支払ってでも所望の仕様のパンを製造したいとする者が含まれる。このため、権利の存在を知らずに製造を開始してしまったことで事後的に生じ得る無用な争いを未然に回避することができる。また、意匠権や特許権を有する者としては、他者の侵害行為を自らリサーチすることなくライセンス収入を得ることができるので、保有する知的財産権の有効活用を図ることができる。
【0104】
例えば、上述の実施形態には、製造対象たるパンの製造に必要となる要素が6つ示されているが、これは例示に過ぎない。製造対象たるパンの製造に必要となる要素は6よりも少なくてもよいし、また、6つより多くてもよい。
【0105】
また例えば、上述の実施形態では、製造対象たるパンの仕様を決定するために確定される6つの要素のうち、要素(1)(ビジュアル)が確定した後に要素(3)(種類)が選択させることがないとされているが、これに限定されない。要素(1)(ビジュアル)が確定した後に、顧客Cが要素(3)(種類)を選択できるようにしてもよい。
【0106】
また例えば、
図7に示す情報処理システムには、顧客端末2と、創作者端末3と、製造者端末4とが、夫々1台ずつ描画されているが、これは説明の理解を容易化させるための例示に過ぎない。顧客端末2と、創作者端末3と、製造者端末4との夫々は、当然ながら複数台であってもよい。この場合、顧客Cと、創作者Hと、製造者Mとの夫々についても複数人存在してもよい。
【0107】
また、
図7に示すシステム構成、及び
図8に示すハードウェア構成は、いずれも本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0108】
また、
図9に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図9の例に限定されない。
【0109】
また、機能ブロックの存在場所も、
図9に限定されず、任意でよい。
例えば、
図9の例で、仕様決定処理の実行に必要となる機能ブロックは、サーバ1が備える構成となっているが、これは例示に過ぎない。これらの機能ブロックの少なくとも一部を、顧客端末2、創作者端末3、製造者端末4、又は図示せぬ他の情報処理装置等が備える構成としてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0110】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0111】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各依頼者又は各技能者に提供される記録媒体等で構成される。
【0112】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0113】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0114】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システムは、
形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定の外観(例えば上述の「ビジュアル」)を有する所定種類の飲食物(例えば上述の「パン」)を創造した創造者(例えば
図1の創作者H)に関する知的財産の情報(例えば上述の「著作物」)として、当該飲食物の外観及びレシピに関する第1情報(例えば上述の著作情報)を、複数の前記創造者毎に夫々管理する第1管理手段(例えば
図9の著作管理部121)と、
前記所定種類の飲食物の製造者候補に関する第2情報(例えば上述の「製造者情報」)として、製造に関する1以上の条件を含む情報を、複数の前記製造者候補毎に夫々管理する第2管理手段(例えば
図9の製造者管理部122)と、
前記所定種類の飲食物に対する発注者(例えば
図1の顧客C)の指示方式として、前記外観に関する項目を少なくとも含む複数の項目(例えば上述の要素(1)乃至(6))の夫々について当該発注者により指示させる方式(例えば上述の「選択肢」)を、少なくとも前記複数の創造者の夫々の前記第1情報に基づいて設定する方式設定手段(例えば
図9の方式設定部103)と、
前記方式設定手段により設定された前記方式に基づいて前記発注者によりなされた指示(例えば選択肢を選択する操作)を受け付ける指示受付手段(例えば
図9の指示受付部104)と、
前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報、及び前記複数の製造者の夫々の前記第2情報に基づいて、前記所定種類の飲食物の製造者(例えば上述の受注者)を、前記複数の製造者候補の中から決定する製造者決定手段(例えば
図9の受注者決定部105)と、
前記複数の創造者のうち、前記指示受付手段により受け付けられた前記指示に対応する前記第1情報により特定される前記所定種類の飲食物を創造したものに対して、その知的財産の使用に対する取扱い(例えば所定の対価の支払い)を決定する知的財産決定手段(例えば
図9の権利取扱決定部110)と、
を備える。
【0115】
これにより、形状、模様、若しくは色彩、又はそれらの組合せに関する所定の外観を有する所定種類の飲食物を創造した創造者に関する知的財産の情報として、飲食物の外観及びレシピに関する情報が、複数の創造者毎に夫々管理される。また、所定種類の飲食物の製造者候補に関する情報として、製造に関する1以上の条件を含む情報が、複数の製造者候補毎に夫々管理される。また、所定種類の飲食物に対する発注者の指示方式として、外観に関する項目を少なくとも含む複数の項目の夫々について発注者により指示させる方式が、少なくとも複数の創造者の夫々の「飲食物の外観及びレシピに関する情報」に基づいて設定される。また、設定された方式に基づいて発注者によりなされた指示が受け付けられる。また、受け付けられた指示に対応する「飲食物の外観及びレシピに関する情報」、及び複数の製造者に関する情報に基づいて、所定種類の飲食物の製造者が、複数の製造者候補の中から決定される。さらに、複数の創造者のうち、受け付けられた指示に対応する「飲食物の外観及びレシピに関する情報」により特定される所定種類の飲食物を創造したものに対して、その知的財産の使用に対する取扱いが決定される。
その結果、所定の外観を有する所定種類の飲食物(例えばパン)を創造した者と、当該飲食物の製造者とを分離して管理することができると共に、当該所定種類の飲食物について適切なパターンオーダーによる依頼ができる手法を提供することが可能になる。
また、飲食物の外観やレシピを創作した者の権利を有効活用することができる。
【0116】
また、前記指示方式は、第1方式(例えば上述の「1つ目の選択」を行うために提示される選択肢)と、前記第1方式の後に前記発注者により指示される第2方式(例えば上述の「2つ目の選択」を行うために提示される選択肢)とを含み、
前記方式設定手段は、
前記第1方式に基づいて前記発注者によりなされて、前記受付手段により受け付けられた前記指示の内容に応じて、前記第2方式の形態(例えば選択肢の内容)を変化させて設定することができる。
【0117】
これにより、所定種類の飲食物に対する発注者の指示方式には、第1方式と、第1方式の後に発注者により指示される第2方式とが含まれる。また、1方式に基づいて発注者によりなされて受け付けられた指示の内容に応じて、第2方式の形態が変化されて設定される。
その結果、前工程で選択された内容に応じて次工程で設定される選択肢が変わるという「インプットとアウトプットとの連動」が実現されるので、発注者の発注時の自由度を向上させることができる。
【0118】
また、前記方式設定手段は、
前記複数の創造者のうち所定の創造者の前記第1情報により特定される前記所定種類の飲食物に絞り込まれていくための前記第2方式を設定することができる。
【0119】
これにより、発注者は、発注したい飲食物の仕様を効率良く決定ことができる。
【符号の説明】
【0120】
1・・・サーバ、2・・・顧客端末、3・・・創作者端末、4・・・製造者端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、40・・・リムーバブルメディア、101・・・情報取得部、102・・・情報管理部、103・・・方式設定部、104・・・指示受付部、105・・・受注者決定部、106・・・修正支援部、107・・・類似抽出部、108・・・報知制御部、109・・・仕様決定部、110・・・権利取扱決定部、121・・・著作管理部、122・・・製造者管理部、123・・・取引管理部、181・・・著作DB、182・・・製造者DB、183・・・取引DB、G・・・サービス提供者、C・・・顧客、H・・・創作者、M・・・製造者、N・・・ネットワーク