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特開2024-127953コイル、送電装置及び受電装置並びに電力伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127953
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コイル、送電装置及び受電装置並びに電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20240912BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240912BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F5/00 G
H02J50/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107460
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2020565232の分割
【原出願日】2020-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2019003840
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】岡部 将人
(57)【要約】
【課題】高周波でも大電流を流すことができ、且つワイヤレス電力伝送としての効率を向上させることが可能なコイル等を提供する。
【解決手段】非接触型電力伝送用のコイルにおいて、当該コイルを構成する二本の銅薄膜線が巻回方向に並行している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型電力伝送用のコイルにおいて、
当該コイルを構成し且つ薄膜導体からなる巻回線の少なくとも一部が、当該巻回線の巻回方向に並行する複数の並行巻回線により構成されていることを特徴とするコイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル、送電装置及び受電装置並びに電力伝送システムの技術分野に属し、より詳細には、非接触型電力伝送用のコイル及び当該コイルを用いた非接触型の送電装置及び受電装置並びに電力伝送システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばリチウムイオン電池等からなる蓄電池を搭載した電気自動車が普及しつつある。このような電気自動車では、蓄電池に蓄えた電力を使ってモータを駆動して移動することとなるため、蓄電池への効率のよい充電が求められる。そこで、電気自動車に対して充電用プラグ等を物理的に接続することなくそれに搭載されている蓄電池を充電する方法として、互いに離隔して対向された受電コイルと送電コイルを用いる、いわゆるワイヤレス電力伝送に関する研究が行われている。ワイヤレス電力伝送の方式としては、一般には、電界結合方式、電磁誘導方式及び磁界共鳴方式等がある。これらの方式を、例えば使用周波数、水平及び垂直それぞれの方向の位置自由度並びに伝送効率等の観点から比較した場合、電気自動車に搭載されている蓄電池を充電するためのワイヤレス電力伝送の方式としては、コンデンサを使った電界結合方式又はコイルを使った磁界共鳴方式が有望視されており、これらに対する研究開発も活発に行われている。このような背景技術を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1には、1回巻き(1ターン)のループコイルと、5.5回巻き(5.5ターン)のオープンコイルと、を用いて磁界共鳴方式により電力伝送を行うコイルが開示されている。
【0003】
一方、上記ワイヤレス電力伝送により送受電される電力の周波数は、それを担う機器ごとに例えば法律により予め定められており、上記電気自動車に対する電力伝送の場合には85キロヘルツの高周波とされている。ここで一般に、高周波の電流を導体に流すと、その電流密度は、導体の表面で高く、表面からその中心に向かうほど低くなることが知られている。またこの点については、電流の周波数が高くなるほど電流が表面へ集中することとなるので、この結果として、その導体の交流抵抗は高くなってしまう。この現象は、いわゆる「導体の表皮効果」として知られているところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-200045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、電気自動車用の上述したワイヤレス電力伝送(非接触給電)では、高周波(例えば上記85キロヘルツ)の電流を用いつつ最小でも3.7キロワットの高出力の電力を伝送すること(即ちコイルに流すこと)が必要とされる。よって、この様な高出力の電力(電流)を流す結果として上記表皮効果によって導体(コイル)の抵抗が高くなると、ジュール熱の発生によりコイルとしての損失が大きくなり、ワイヤレス電力伝送としての効率を低下させてしまうという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、高周波でも大電流を流すことができ、且つワイヤレス電力伝送としての効率を向上させることが可能なコイル及び当該コイルを用いた非接触型の送電装置及び受電装置並びに電力伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、非接触型電力伝送用のコイルにおいて、当該コイルを構成し且つ薄膜導体からなる巻回線の少なくとも一部が、当該巻回線の巻回方向に並行する複数の並行巻回線により構成されている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、コイルを構成し且つ薄膜導体からなる巻回線の少なくとも一部が、当該巻回線の巻回方向に並行する複数の並行巻回線により構成されているので、コイルに流れる電流による表皮効果の影響を軽減してコイルとしての抵抗値を低減することができる。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコイルにおいて、前記少なくとも一部が三本の前記並行巻回線により構成されている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、コイルを構成する巻回線の少なくとも一部が三本の並行巻回線により構成されているので、コイルとしての抵抗値を効果的に低減することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコイルにおいて、前記コイルが四本の前記並行巻回線により構成されている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、コイルが四本の並行巻回線により構成されているので、コイルとしての抵抗値をより効果的に低減することができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコイルにおいて、前記巻回方向に垂直な方向における各前記並行巻回線の位置が入れ替わる入れ替り部を前記コイルの巻回上に備える。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、巻回方向に垂直な方向における各並行巻回線の位置が入れ替わる入れ替り部をコイルの巻回上に備えるので、表皮効果の影響をより軽減してコイルとしての抵抗値を低減することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイルにおいて、前記並行巻回線が積層構造とされている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、並行巻回線が積層構造とされているので、コイルを構成する巻回線としての断面積を増やすことで、コイルとしての抵抗値を更に低減することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコイルにおいて、一の前記巻回線を構成する前記並行巻回線が同一の前記層内に形成されている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5一項に記載の発明の作用に加えて、コイルの一の巻回線を構成する並行巻回線がコイルの同一の層内に形成されているので、製造工程を簡略化しつつ、コイルとしての抵抗値を更に低減することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコイルにおいて、前記並行巻回線が交差する交差部を前記コイルの最内周部に備える。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、並行巻回線が交差する交差部がコイルの最内周部に備えられているので、コイルとしてのインピーダンス特性を更に向上させることでワイヤレス電力伝送としての効率も更に向上させることができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコイルにおいて、一の前記巻回線が二の前記並行巻回線により構成されており、前記一の前記巻回線において、内周側の前記並行巻回線の幅が外周側の前記並行巻回線の幅よりも広いように構成される。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、一の巻回線が二の並行巻回線により構成されており、一の巻回線において、内周側の並行巻回線の幅が外周側の並行巻回線の幅よりも広くなっているので、コイルとしてのインピーダンス特性をより向上させることでワイヤレス電力伝送としての効率もより向上させることができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のコイルにおいて、前記巻回線としての幅が当該コイルの内周側ほど広いように構成される。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の作用に加えて、巻回線としての幅がコイルの内周側ほど広くなっているので、コイルとしてのインピーダンス特性を更に向上させることでワイヤレス電力伝送としての効率も更に向上させることができる。
【0025】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のコイルにおいて、前記並行巻回線が、前記コイルの外周側から内周側に向けて巻回された外内並行巻回線と、前記コイルの内周側から外周側に向けて前記外内巻回線と同じ方向に巻回された内外並行巻回線と、により構成されている。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、並行巻回線が外内並行巻回線と内外並行巻回線とにより構成されているので、コイルとしてのインピーダンス特性を向上させることでワイヤレス電力伝送としての効率も向上させることができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、送電装置と、当該送電装置から離隔した受電装置と、により構成され、前記送電装置から非接触で前記受電装置に電力を伝送する電力伝送システムに含まれる前記送電装置において、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の前記コイルである送電コイルであって、前記受電装置に対向して配置される送電コイルと、伝送すべき電力を前記送電コイルに出力する出力手段と、を備える。
【0028】
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、送電装置と、当該送電装置から離隔した受電装置と、により構成され、前記送電装置から非接触で前記受電装置に電力を伝送する電力伝送システムに含まれる前記受電装置において、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の前記コイルである受電コイルであって、前記送電装置に対向して配置される受電コイルと、当該受電コイルに接続された入力手段と、を備える。
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の送電装置と、当該送電装置から離隔し、且つ前記送電コイルに対向して配置される受電装置であって、前記送電装置から送信された電力を受電する受電装置と、を備える。
【0030】
上記の課題を解決するために、請求項14に記載の発明は、送電装置と、請求項12に記載の受電装置であって、前記送電装置から離隔し且つ前記受電コイルが当該送電装置に対向して配置され、前記送電装置から送信された電力を受電する受電装置と、を備える。
【0031】
請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の発明によれば、電力伝送システムを構成する送電装置に備えられた送電コイル又は受電装置に備えられた受電コイルの少なくともいずれか一方が請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のコイルであるので、当該送電コイル又は当該受電コイルを対向させて非接触型の電力伝送を行った場合に、コイルに流れる電流による表皮効果の影響を軽減してコイルとしての抵抗値を低減することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、コイルを構成し且つ薄膜導体からなる巻回線の少なくとも一部が、当該巻回線の巻回方向に並行する複数の並行巻回線により構成されている。
【0033】
従って、コイルに流れる電流による表皮効果の影響を軽減してコイルとしての抵抗値を低減することができるので、コイルとしての損失が低減して大きな高周波電流を流すことができ、よってコイルとしての効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態の電力伝送システムの概要構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態のコイルの構造を示す平面図(i)である。
図3】第1実施形態のコイルの構造を示す平面図(ii)である。
図4】第1実施形態のコイルの構造を示す平面図(iii)である。
図5】第1実施形態のコイルの構造を示す平面図(iv)である。
図6】第1実施形態のコイルの構造を示す平面図(v)である。
図7】第1実施形態のコイルの構造を示す部分断面図である。
図8】第2実施形態の送電ループコイルの構造を示す平面図である。
図9】第2実施形態の送電ループコイルの細部構造を示す拡大斜視概念図である。
図10】第3実施形態の送電ループコイルの構造を示す平面図である。
図11】第3実施形態の送電ループコイルの細部構造を示す拡大斜視概念図であり、(a)は当該拡大斜視概念図(I)であり、(b)は当該拡大斜視概念図(II)である。
図12】第1実施形態の送電ループコイル及び受電ループコイルの構造による効果としての抵抗値と周波数との関係を示す図である。
図13】第2実施形態の送電ループコイル及び受電ループコイルの構造による効果としてのSパラメータと周波数との関係を示す図である。
図14】第12変型形態のコイルの構造(I)を示す平面図である。
図15】第12変型形態のコイルの構造(II)を示す平面図である。
図16】第12変型形態のコイルの構造(III)を示す平面図である。
図17】第12変型形態のコイルの構造(IV)の一部を示す平面図である。
図18】第12変形形態のコイルそれぞれの構造による効果としてのインピーダンスと周波数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各実施形態及び変形形態は、電気自動車に搭載されている充電池を充電するための電力を、当該充電池を備えた電気自動車に対して磁界共鳴方式により非接触で電送する電力伝送システムに対して、本発明を適用した場合の実施形態及び変形形態である。
【0036】
ここで、各実施形態及び変形形態の磁界共鳴方式による電力伝送システムは、電力を送る送電コイルと、当該送電コイルから離隔して向き合うように(即ち対向するように)配置され且つ送電コイルから送られた電力を受電する受電コイルと、を備える。そして上記送電コイルは、後述する送電ループコイルと、後述する送電オープンコイルと、が、積層されて構成されている。また上記受電コイルは、後述する受電オープンコイルと、後述する受電ループコイルと、が、積層されて構成されている。
【0037】
(実施形態)
(A)第1実施形態
初めに、本発明の第1実施形態について、図1乃至図7を用いて説明する。
【0038】
(I)第1実施形態の電力伝送システムの全体構成及び動作について
先ず、第1実施形態の電力伝送システムの全体構成及び動作について、図1を用いて説明する。なお図1は、第1実施形態の電力伝送システムの概要構成を示すブロック図である。
【0039】
図1に示すように、第1実施形態の電力伝送システムSは、受電部RV及び上記受電コイルRCを備えた受電装置Rと、送電部TR及び上記送電コイルTCを備えた送電装置Tと、により構成されている。このとき受電装置Rは上記電気自動車に搭載され、且つ当該電気自動車に搭載されている図示しない蓄電池に接続されている。一方送電装置Tは、当該電気自動車が移動又は停車する位置の地面に設置されている。そして、当該蓄電池を充電する場合、受電装置Rの受電コイルRCと送電装置Tの送電コイルTCとが対向するように電気自動車が運転又は停車される。なお、第1実施形態の電力伝送システムSによる上記蓄電池の充電に際しては、停車している電気自動車に搭載されている受電装置Rに対して、その停車位置の下方の地面に設置された送電装置Tの送電コイルTCを介して、当該送電装置Tから電力を伝送するように構成することができる。またこの他、移動中の電気自動車に搭載されている受電装置Rに対して、その電気自動車が移動している道路の一定距離の区間に設置された複数の送電装置Tの送電コイルTCを介して、当該送電装置Tから連続的に電力を伝送するように構成してもよい。このとき、送電部TRが本発明の「出力手段」の一例に相当し、受電部RVが本発明の「入力手段」の一例に相当する。
【0040】
一方上記送電コイルTCは、送電ループコイルTLと、送電オープンコイルTOと、を備えている。また上記受電コイルRCは、受電オープンコイルROと、受電ループコイルRLと、を備えている。このとき送電ループコイルTLには、送電すべき電力が送電部TRから入力される。そして送電オープンコイルTOは、送電ループコイルTLに対して同心に積層され且つその両端が開放されている。他方受電オープンコイルROは、送電オープンコイルTOに対向するように配置され且つその両端が開放されている。そして受電ループコイルRLは、受電オープンコイルROに対して同心に積層され、且つ受電オープンコイルROを介して磁界共鳴方式により送電コイルTCから受電した電力を受電部RVに出力する。このとき、送電ループコイルTL又は受電ループコイルRLが本発明の「コイル」の一例にそれぞれ相当する。
【0041】
以上の構成において、送電装置Tの送電部TRは、例えば電力伝送システムSが用いられる国における電波法等の法規等に対応しつつ、受電装置Rに伝送すべき電力を送電コイルTCに出力する。このとき上記法規等は、例えば人体への影響を考慮して漏洩磁界が予め決められた所定のレベル以下になるように規制している。また、全ての送電装置Tと上記受電装置Rとの間における相互接続利用が可能となるためには、結果的に、両者が予め決められた所定範囲の周波数を利用する必要があり、このため上記所定範囲の周波数又は周波数帯域は、上記法規等としてのISO(International Organization for Standardization)又はIEC(International Electrotechnical Commission)等の国際機関の推奨に従う必要がある。また、送電コイルTCと受電コイルRCとの間の所定の位置ずれも考慮した伝送効率の下限値も上記国際機関により規定されているため、電力伝送システムSとしても高い電力伝送効率が要求される。
【0042】
一方、上記磁界共鳴方式により送電コイルTCからの電力を受電した受電装置Rの受電コイルRCは、当該受電した電力を受電部RVに出力する。これにより受電部RVは、当該電力に対応した出力(例えば、上記85キロヘルツの高周波電力となる)を、例えば図示しない電力変換ユニットによりDC(直流)電流に変換し、電気自動車の蓄電池に出力する。これにより当該蓄電池には、必要量の電力が充電される。
【0043】
(II)送電コイルTC(受電コイルRC)の構成について
次に、上述した第1実施形態の電力伝送システムSに用いられる、第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCの構成について、図2乃至図7を用いて説明する。なお、第1実施形態の送電コイルTCと受電コイルRCとは、基本的に同じ構成を備える。即ち、上記送電ループコイルTLの構成と上記受電ループコイルRLの構成とは基本的に同一である。また、上記送電オープンコイルTOの構成と上記受電オープンコイルROの構成とは基本的に同一である。更に、上記送電ループコイルTLと上記送電オープンコイルTOとの送電コイルTC内における位置関係と、上記受電ループコイルRLと上記受電オープンコイルROとの受電コイルRC内における位置関係と、は基本的に同一である。よって以下の説明では、送電コイルTCについて、その構造を説明する。また、図2乃至図6は第1実施形態の送電コイルTCの構造を示す平面図であり、図7は第1実施形態の送電コイルTCの構造を示す部分断面図である。なお図2乃至図6は、送電装置Tにおいて、送電部TR側から送電コイルTCを見た場合の平面図である。
【0044】
図2にその平面図を示すように、第1実施形態の送電コイルTCは、後述する並行する二本の例えば銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12により構成されている送電ループコイルTLと、図2において図示されない送電オープンコイルTOと、が、絶縁性のフィルムBF1(詳細は後述する)を介して図2の紙面方向に積層されて構成される。この構成において、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が、本発明の「並行巻回線」の一例に相当する。また送電オープンコイルTOは、後述する二つのコイルCL1及びコイルCL2が、それぞれに絶縁性のフィルムBF2(詳細は後述する)を介して図2の紙面方向に積層されて構成される。なお第1実施形態では、送電ループコイルTLと送電オープンコイルTOとの間の絶縁のためにフィルムBF1を用い、コイルCL1とコイルCL2との間の絶縁のためにフィルムBF2を用いているが、これらの他に、ガラスエポキシ材料等の絶縁性の材料を用いることもできる。また、送電コイルTCとして発生した熱を効率良く放熱するため、例えばセラミック粒子等を分散した薄膜化材料を用いることもできる。更に適切な空隙保持材を用いて、必要な空隙を介して積層するように構成してもよい。更にまた、送電ループコイルTLを構成する銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12の巻回の中心と、コイルCL1及びコイルCL2をそれぞれ構成する後述の銅薄膜線の巻回の中心とは、相互に同一又は略同一とされている。
【0045】
図2に示すように、送電ループコイルTLは、送電コイルTCの同じ層内を相互に並行して巻回されている銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12により構成されており、その最外周部の一辺に、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12を接続すると共に送電部TRに接続される接続用端子O1及び接続用端子O2を有している。そして送電ループコイルTLは、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が並行して三回転(3ターン)巻回されて構成されており、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12それぞれの両端部(図2に示す場合は右辺部の中央)が上記接続用端子O1及び上記接続用端子O2に接続されている。なお上記銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12のそれぞれは、送電ループコイルTLの全周に渡って同一幅及び同一厚さとされている。更に銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12のそれぞれでは、図2におけるその上辺部、下辺部、左辺部及び右辺部それぞれに直線部が設けられており、それぞれの直線部が曲線部により接続されている。また、銅薄膜線TL11と銅薄膜線TL12との交差部分は、ジャンパ線又は絶縁層を挟んだ積層構造等により、当該銅薄膜線TL11と銅薄膜線TL12との間は絶縁されつつ、相互に交差されている。
【0046】
次に、上記フィルムBF1を介して上記送電ループコイルTLの直下に積層されている、送電オープンコイルTOを構成する上記コイルCL1の構成について、図3を用いて説明する。なお図3は、当該コイルCL1のみを取り出して示す平面図である。
【0047】
図3に示すように、送電オープンコイルTOを構成するコイルCL1は、その最外周部が開放端T1とされている。そしてコイルCL1は、当該開放端T1から始まる反時計回りに、その最外周部から最内周部に向けて、例えば銅薄膜線が渦巻き状に十回転半(10.5ターン)巻回されて構成されている。またその最内周部には、図3の紙面方向においてその直下に積層されているコイルCL2との間の電気的接続を構成するためのビアVが接続されている。なおコイルCL1を構成する上記銅薄膜線は、コイルCL1の全周に渡って同一の厚さとされている。一方当該銅薄膜線の幅は、図3に示すように、コイルCL1の最外周端部にある開放端T1から最内周端部においてビアVが接続されている部分にかけて広くなっている。このコイルCL1では、図3におけるその上辺部、下辺部、左辺部及び右辺部それぞれに、互いに平行な直線部が設けられており、各直線部が、略同心円弧状の曲線部によりそれぞれ接続されている。そして、コイルCL1を構成する銅薄膜線の幅は、各直線部では一定となっている一方、それらを接続する各曲線部において、その最内周端部に向けて広くなっている。このとき、コイルCL1を構成する銅薄膜線の幅は、コイルCL1全体としてその最外周端部から最内周端部に向けて広くなっていればよく、当該最外周端部から当該最内周端部にかけて例えば一時的に(部分的に)狭くなっていても、第1実施形態の電力伝送システムSを用いた電力伝送による効果に対する影響はない。
【0048】
次に、上記フィルムBF2を介して上記コイルCL1の直下に積層されているコイルCL2の構成について、図4を用いて説明する。なお図4は、当該コイルCL2のみを取り出して示す平面図である。
【0049】
図4に示すように、上記コイルCL1と共に送電オープンコイルTOを構成するコイルCL2は、その最内周部に、上記コイルCL1との電気的接続を構成するための上記ビアVが接続されている。この場合にコイルCL1とコイルCL2との接続は、直列接続とされている。そしてコイルCL2は、当該ビアVから始まる時計回りに(即ち、コイルCL1に対して反対方向に)、その最内周部から最外周部に向けて、例えば銅薄膜線が渦巻き状に約二回転半(約2.5ターン)巻回されて構成されている。またその最外周部が開放端T2とされている。なおコイルCL2を構成する上記銅薄膜線は、コイルCL2の全周に渡って同一の厚さとされている。一方当該銅薄膜線の幅は、図4に示すように、コイルCL2の最外周端部にある開放端T2から最内周端部においてビアVが接続されている部分にかけて広くなっている。このコイルCL2では、コイルCL1と同様に、図4におけるその上辺部、下辺部、左辺部及び右辺部それぞれに互いに平行な直線部が設けられており、各直線部が、略同心円弧状の曲線部によりそれぞれ接続されている。そして、コイルCL2を構成する銅薄膜線の幅は、各直線部では一定となっている一方、それらを接続する各曲線部において、その最内周端部に向けて広くなっている。このとき、コイルCL2を構成する銅薄膜線の幅も、上記コイルCL1を構成する銅薄膜線の幅と同様に、コイルCL2全体としてその最外周端部から最内周端部に向けて広くなっていればよく、当該最外周端部から当該最内周端部にかけて例えば一時的に(部分的に)狭くなっていてもよい。
【0050】
ここで、上記コイルCL1及び上記コイルCL2をそれぞれ構成する銅薄膜線同士の位置関係としては、上記反時計方向に巻回されているコイルCL1及び上記時計方向に巻回されているコイルCL2それぞれの銅薄膜線の位置が、コイルCL1及びコイルCL2それぞれの巻回の中心から見て略一致するように、それぞれの銅薄膜線が巻回されている。そして、それぞれの最内周部に接続されているビアVにより、コイルCL1とコイルCL2とが直列に接続されている。これにより、コイルCL1の最外周部から最内周部への巻回に対して、反対の巻回方向となるように当該最内周部でコイルCL2が接続され、その巻回方向を維持したまま、コイルCL2が最内周部から最外周部へ巻回されていることになる。この構造により、第1実施形態の送電オープンコイルTOとしては、コイルCL1において最外周部から最内周部に向けて反時計方向に電流が流れ、その電流が、コイルCL2において最内周部から最外周部に向けて反対の時計方向に流れることになる。
【0051】
次に、上記送電ループコイルTL(即ち上記銅薄膜線TL11及び上記銅薄膜線TL12)並びに上記送電オープンコイルTO(即ち上記コイルCL1及び上記コイルCL2)をそれぞれ構成する銅薄膜線同士の位置関係について、図5及び図6を用いて説明する。なお図5は、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12と、コイルCL1と、の重なり状況を示す平面図であり、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12を実線で、その直下にフィルムBF1(図5において図示を省略している)を介して積層されている送電オープンコイルTOのコイルCL1を破線で、それぞれ示している。また図6は、送電オープンコイルTOのコイルCL1と、コイルCL2と、の重なり状況を示す平面図であり、コイルCL1を実線で、その直下にフィルムBF2(図6において図示を省略している)を介して積層されているコイルCL2を破線で、それぞれ示している。
【0052】
図5に破線で示すように、外周から内周に向けて巻回され、且つその最内周部でビアVによりコイルCL2と接続されるコイルCL1では、その四分の一周ごとに、銅薄膜線の巻回におけるピッチ(即ち、各辺において隣り合う銅薄膜線の中心線の、巻回における径方向の距離。以下、同様。)の四分の一ずつその直線部の位置が内周側にずれるように、各曲線部が形成されて銅薄膜線が巻回されている。一方図5に実線で示すように、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12はコイルCL1と略同じ位置となるように積層されており、接続用端子O1及び接続用端子O2がそれぞれ巻回の外側に突出する形状とされている。
【0053】
次に図6に破線で示すように、内周から外周に向けて巻回され、且つその最内周部でビアVによりコイルCL1と接続されるコイルCL2では、その四分の一周ごとに、銅薄膜線の巻回におけるピッチの四分の一ずつその直線部の位置が外周側にずれるように、各曲線部が形成されて銅薄膜線が巻回されている。一方図6に実線で示すように、コイルCL1はコイルCL2と略同じ位置となるように積層されており、開放端T1及び開放端T2がそれぞれ巻回の外側に形成され、更に、それぞれの最内周部にあるビアVにより、フィルムBF2を貫通するように接続されている。
【0054】
以上の図5及び図6に示した通り、送電ループコイルTL(銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12)と送電オープンコイルTOのコイルCL1及びコイルCL2とが積層されている送電コイルTCでは、上下左右それぞれの辺では、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12と送電オープンコイルTO(コイルCL1及びコイルCL2)を構成する各銅薄膜線がそれぞれ略重なるように積層されている。
【0055】
次に、上記銅薄膜線TL11及び上記銅薄膜線TL12とコイルCL1及びコイルCL2との積層状態、及びコイルCL1とコイルCL2との接続状態について、図5及び図6に示すa-a’部分の断面図として、図7を用いて説明する。
【0056】
図7に示すように、図2乃至図6における左辺部では、送電ループコイルTL(銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12)とコイルCL1とがフィルムBF1(図2参照)を挟んで積層されており、更にコイルCL1とコイルCL2とがフィルムBF2を挟んで積層されており、コイルCL1及びコイルCL2が、ビアVにより電気的に接続されている。このビアVの位置から、コイルCL1の上記反時計方向の巻回に対して反対の巻回方向となるようにコイルCL2の上記時計方向の巻回が形成されている。
【0057】
(III)送電コイルTC及び受電コイルRCの製造方法について
次に、第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCの製造方法について説明する。
【0058】
当該製造方法としては、基本的には従来と同様の、下記(a)-1乃至(a)-11の各工程を含む第1製造方法、又は下記(b)-1乃至(b)-12の各工程を含む第2製造方法等を用いることができる。
(a)第1製造方法
(a)-1:フィルムBF2の両面全体に銅薄膜を形成
(a)-2:上記(a)-1で形成された銅薄膜(両面)の上にそれぞれレジストを塗布
(a)-3:上記(a)-2で塗布したレジストを、それぞれの面についてコイルCL1及びコイルCL2の銅薄膜線にパターニング(このとき、第1実施形態のコイルCL1(コイルCL2)を構成する銅薄膜線の幅が、上述したように、コイルCL1(コイルCL2)の最外周端部にある開放端T1(開放端T2)から最内周端部においてビアVが接続されている部分にかけて広くなるようにパターニングする)
(a)-4:上記(a)-3のパターニング後にエッチング処理を施し、コイルCL1及びコイルCL2としての銅薄膜線を形成
(a)-5:コイルCL1とコイルCL2とを接続するビアVを形成して送電オープンコイルTOとする。
(a)-6:フィルムBF1の片面全体に銅薄膜を形成
(a)-7:上記(a)-6で形成された銅薄膜の上にレジストを塗布
(a)-8:上記(a)-7で塗布したレジストを銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12にパターニング
(a)-9:上記(a)-8のパターニング後にエッチング処理を施し、送電ループコイルTLとしての銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12を形成
(a)-10:上記(a)-5の送電オープンコイルTOと、上記(a)-9の送電ループコイルTLと、を貼り合わせて、送電コイルTCを形成
(a)-11:接続用端子O1及び接続用端子O2と、送電部TR(送電装置Tの場合)又は受電部RV(受電装置Rの場合)とを接続
(b)第2製造方法
(b)-1:フィルムBF2の両面全体に銅薄膜を形成
(b)-2:コイルCL1とコイルCL2とを接続するビアVに相当する位置にレーザ等により貫通穴形成
(b)-3:貫通穴を含む全体に対して無電解銅めっき法及び電解銅めっき法による銅めっき処理を施し上記ビアVを形成
(b)-4:上記(b)-3で形成された銅めっき(両面)の上にそれぞれレジストを塗布
(b)-5:上記(b)-4で塗布したレジストをコイルCL1及びコイルCL2の銅薄膜線にパターニング(このとき、第1実施形態のコイルCL1(コイルCL2)を構成する銅薄膜線の幅が、上述したように、コイルCL1(コイルCL2)の最外周端部にある開放端T1(開放端T2)から最内周端部においてビアVが接続されている部分にかけて広くなるようにパターニングする)
(b)-6:上記(b)-5のパターニング後にエッチング処理を施し、コイルCL1及びコイルCL2としての銅薄膜線を形成して送電オープンコイルTOとする。
(b)-7:フィルムBF1の片面全体に銅薄膜を形成
(b)-8:上記(b)-7で形成された銅薄膜の上にレジストを塗布
(b)-9:上記(b)-8で塗布したレジストを銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12にパターニング
(b)-10:上記(b)-9のパターニング後にエッチング処理を施し、送電ループコイルTLとしての銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12を形成
(b)-11:上記(b)-6の送電オープンコイルTOと、上記(b)-10の送電ループコイルTLと、を貼り合わせて、送電コイルTCを形成
(b)-12:接続用端子O1及び接続用端子O2と送電部TR(送電装置Tの場合)又は受電部RV(受電装置Rの場合)とを接続
【0059】
以上それぞれ説明したように、第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCを含む第1実施形態の電力伝送システムSを用いた電力伝送によれば、送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)に対して同心に積層された送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)を構成する銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が、その巻回方向に並行した銅薄膜線であるので、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)に流れる電流による表皮効果の影響を軽減して、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)及び送電コイルTC(又は受電コイルRC)としての抵抗値を低減することができる。従って、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)及び送電コイルTC(又は受電コイルRC)としての損失が低減して大きな高周波電流を流すことができ、よって送電コイルTC(又は受電コイルRC)としての効率を向上させることができる。
【0060】
また、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)を構成する銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が、送電コイルTC(又は受電コイルRC)の一の層内に形成されているので、送電コイルTC(又は受電コイルRC)としての製造工程を簡略化しつつ、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)及び送電コイルTC(又は受電コイルRC)としての抵抗値を更に低減することができる。
【0061】
なお、第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCを含む第1実施形態の電力伝送システムSを用いて電力伝送を行った場合の効果については、後ほど第1実施例として図12等を用いて説明する。
【0062】
また、第1実施形態の銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12は並行していたが、これ以外に、後述する第2実施形態又は第3実施形態のように、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が、相互に絶縁を維持しつつ、送電ループコイルTLとしての巻回における一又は複数の部分で交差するように構成してもよい。
【0063】
(B)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。なお、図8は第2実施形態の送電ループコイルの構造を示す平面図であり、図9は当該送電ループコイルの細部構造を示す拡大斜視概念図である。
【0064】
上述した第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCでは、送電ループコイルTL及び受電ループコイルRLが、並行する二本の銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12により構成される場合について説明した。これに対し、以下に説明する第2実施形態の送電コイル及び受電コイルでは、送電ループコイル及び受電ループコイルが、互いに交差しつつ並行する三本の銅薄膜線により構成されている。
【0065】
なお、第2実施形態の送電コイルの構成と第2実施形態の受電コイルの構成とは、基本的に同一である。また、第2実施形態の受電コイルにおける受電ループコイルの構成は、第2実施形態の送電コイルにおける送電ループコイルの構成と同一である。更に、第2実施形態の送電コイルにおける送電オープンコイルの構成及び第2実施形態の受電コイルにおける受電オープンコイルの構成は、それぞれ、第1実施形態の送電オープンコイルTOの構成及び受電オープンコイルROの構成と同一である。よって以下の説明では、第2実施形態の送電ループコイルについてのみ、その構成について説明する。このとき、第1実施形態の送電ループコイルTLと同一の構成部材については、同一の部材番号を付して細部の説明を省略する。
【0066】
即ち、図8及び図9に示すように、第2実施形態の送電ループコイルTL2は、第2実施形態の送電コイルの相隣接する二つの層内に形成された銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22により構成されている。そして送電ループコイルTL2は、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22が、四隅の曲線部C2及び後述する複数の交差部CG2以外の部分において並行して三回転(3ターン)巻回されて構成されており、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22それぞれの両端部(図8に示す場合は右辺部の中央)が、当該銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22を接続すると共に第2実施形態の送電部に接続される接続用端子O1及び接続用端子O2に接続されている。
【0067】
そして、上記銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22のそれぞれは、各曲線部C2及び各交差部CG2を除いた送電ループコイルTL2の全周に渡って同一幅及び同一厚さとされている。更に銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22では、図8におけるその上辺部、下辺部、左辺部及び右辺部それぞれが直線部とされており、それぞれの直線部が曲線部C2により接続されている。各直線部においては、図9に示すように、上記相隣接する二つの層に渡って、それぞれの層内に銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22が形成されている。また各曲線部C2では、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22が均一の銅薄膜線に接続されている。更に銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22のそれぞれは、交差部CG2において、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22のいずれか一つと、他の二つと、が、相互に絶縁を維持しつつ交差するように形成されている。この各交差部CG2により、当該いずれか一つの位置と、当該他の二つの位置と、が、第2実施形態の送電コイルの径方向において入れ替わることになる。なお各交差部CG2が、本発明の「入れ替わ部」の一例に相当する。また、送電ループコイルTL2を構成する銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22の巻回の中心と、第2実施形態の送電オープンコイルを構成する銅薄膜線の巻回の中心とは、相互に同一又は略同一とされている。
【0068】
一方各交差部CG2(例えば、図8及び図9に一点鎖線で示す交差部CG2)においては、図9に示すように、例えば銅薄膜線TL22が、接続部CN2により接続される他の銅薄膜線TL20及び銅薄膜線TL21とは異なる層内において、例えば図示しないビアを介して接続部CN2により接続されている。これにより銅薄膜線TL22が、銅薄膜線TL20及び銅薄膜線TL21との間の絶縁を維持しつつ、第2実施形態の送電コイルの径方向において交差する構成となっている。これにより、送電ループコイルTL2では、各交差部CG2において、上述したように銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22のいずれか一つと、他の二つとが交差する。
【0069】
以上説明したように、送電ループコイルTL2を含む第2実施形態の送電コイル、及び当該送電ループコイルTL2と同一構成の第2実施形態の受電ループコイルを含む第2実施形態の受電コイルを含む第2実施形態の電力伝送システムを用いた電力伝送によれば、上述した第1実施形態の電力伝送システムSを用いた電力伝送による効果に加えて、送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)が銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22により構成されているので、送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)及び第2実施形態の送電コイル(又は第2実施形態の受電コイル)としての抵抗値を効果的に低減することができる。
【0070】
また、送電ループコイルTL2上に各交差部CG2を備えるので、表皮効果の影響をより軽減して送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)及び第2実施形態の送電コイル(又は第2実施形態の受電コイル)としての抵抗値を低減することができる。
【0071】
更に、第2実施形態の送電コイル(又は第2実施形態の受電コイル)における異なる層内に銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22がそれぞれ形成されているので、送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)を構成する銅薄膜線の断面積を増やすことで、送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)及び第2実施形態の送電コイル(又は第2実施形態の受電コイル)としての抵抗値を更に低減することができる。
【0072】
なお、第2実施形態の送電コイル及び第2実施形態の受電コイルを含む第2実施形態の電力伝送システムを用いて電力伝送を行った場合の効果については、後ほど第2実施例として図13等を用いて説明する。
【0073】
(C)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について、図10及び図11を用いて説明する。なお、図10は第3実施形態の送電ループコイルの構造を示す平面図であり、図11は当該送電ループコイルの細部構造を示す拡大斜視概念図である。
【0074】
上述した第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCでは、送電ループコイルTL及び受電ループコイルRLが、並行する二本の銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12により構成される場合について説明した。また、上述した第2実施形態の送電コイル及び受電コイルでは、送電ループコイルTL2及び第2実施形態の受電ループコイルが、部分的に並行する三本の銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22により構成される場合について説明した。これらに対し、以下に説明する第3実施形態の送電コイル及び受電コイルでは、送電ループコイル及び受電ループコイルが、互いに交差しつつ並行する四本の銅薄膜線により構成されている。
【0075】
なお、第3実施形態の送電コイルの構成と第3実施形態の受電コイルの構成とは、基本的に同一である。また、第3実施形態の受電コイルにおける受電ループコイルの構成は、第3実施形態の送電コイルにおける送電ループコイルの構成と同一である。更に、第3実施形態の送電コイルにおける送電オープンコイルの構成及び第3実施形態の受電コイルにおける受電オープンコイルの構成は、それぞれ、第1実施形態の送電オープンコイルTOの構成及び受電オープンコイルROの構成と同一である。よって以下の説明では、第3実施形態の送電ループコイルについてのみ、その構成について説明する。このとき、第1実施形態の送電ループコイルTLと同一の構成部材については、同一の部材番号を付して細部の説明を省略する。
【0076】
即ち、図10及び図11に示すように、第3実施形態の送電ループコイルTL3は、第3実施形態の送電コイルの相隣接する二つの層内に形成された銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33により構成されている。なお図10では、図面の理解の容易化のために、銅薄膜線TL30をハッチング付で、銅薄膜線TL32をクロスハッチング付で、銅薄膜線TL31及び銅薄膜線TL33をハッチングなしで、それぞれ示している。そして送電ループコイルTL3は、銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33が、四隅の曲線部C3及び後述する複数の交差部CG3以外の部分において並行して三回転(3ターン)巻回されて構成されており、銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33それぞれの両端部(図10に示す場合は右辺部の中央)が、当該銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33を接続すると共に第3実施形態の送電部に接続される接続用端子O1及び接続用端子O2に接続されている。なお、図面としての明確のため、図10では、各曲線部C3及び各交差部CG3それぞれ位置のみ破線で示しており、各曲線部C3及び各交差部CG3それぞれの具体的な構成は、図11に拡大斜視概念図として示されている。更に図10では、その明確化のため、銅薄膜線TL30を片ハッチング模様により示し、銅薄膜線TL32を両ハッチング模様により示し、銅薄膜線TL31及び銅薄膜線TL33をハッチング模様なしで示している。
【0077】
そして、上記銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33のそれぞれは、各曲線部C3及び各交差部CG3を除いた送電ループコイルTL3の全周に渡って同一幅及び同一厚さとされている。更に銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33では、図10におけるその上辺部、下辺部、左辺部及び右辺部それぞれが直線部とされており、それぞれの直線部が曲線部C2により接続されている。各直線部においては、図11にそれぞれ示すように、上記相隣接する二つの層に渡って、それぞれの層内に銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33が形成されている。また図11(b)に示すように、銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33のそれぞれは、各交差部CG3において、銅薄膜線TL30と銅薄膜線TL31とが相互に絶縁を維持しつつ交差するように、また同様に銅薄膜線TL32と銅薄膜線TL33とが相互に絶縁を維持しつつ交差するように、それぞれ形成されている。この各交差部CG3により、銅薄膜線TL30及び銅薄膜線TL31からなる組において、当該銅薄膜線TL30の位置と銅薄膜線TL31の位置とが、第3実施形態の送電コイルの径方向において入れ替わることになる。また同様に、銅薄膜線TL32及び銅薄膜線TL33からなる組において、当該銅薄膜線TL32の位置と銅薄膜線TL33の位置とが、第3実施形態の送電コイルの径方向において入れ替わることになる。
【0078】
一方、図10の左上隅の曲線部C3を含む破線楕円について図11(a)に示すように、各曲線部C3においては、銅薄膜線TL30と銅薄膜線TL31からなる組と、銅薄膜線TL32と銅薄膜線TL33からなる組と、が、相互に絶縁を維持しつつ組ごと交差するように形成されている。この各曲線部C3により、銅薄膜線TL30及び銅薄膜線TL31からなる組の位置と、銅薄膜線TL32及び銅薄膜線TL33からなる組の位置とが、第3実施形態の送電コイルの径方向において組ごと入れ替わることになる。更に、送電ループコイルTL3を構成する銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33の巻回の中心と、第3実施形態の送電オープンコイルを構成する銅薄膜線の巻回の中心とは、相互に同一又は略同一とされている。
【0079】
他方各交差部CG3においては、図11(b)に示すように、銅薄膜線TL30及び銅薄膜線TL32が、接続部CN3により接続される他の銅薄膜線TL31及び銅薄膜線TL33とは異なる層内において、例えば図示しないビアを介して接続部CN3により接続されている。これにより、銅薄膜線TL30が、銅薄膜線TL31との間の絶縁を維持しつつ第3実施形態の送電コイルの径方向において交差する構成となっており、また銅薄膜線TL32が、銅薄膜線TL33との間の絶縁を維持しつつ第3実施形態の送電コイルの径方向において交差する構成となっている。これにより、送電ループコイルTL3では、各交差部CG3において、上述したように銅薄膜線TL30と銅薄膜線TL31とが交差し、また銅薄膜線TL32と銅薄膜線TL33とが交差する。
【0080】
以上説明したように、送電ループコイルTL3を含む第3実施形態の送電コイル、及び当該送電ループコイルTL3と同一構成の第3実施形態の受電ループコイルを含む第3実施形態の受電コイルを含む第3実施形態の電力伝送システムを用いた電力伝送によれば、上述した第1実施形態の電力伝送システムSを用いた電力伝送による効果に加えて、送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)が銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33により構成されているので、送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)及び第3実施形態の送電コイル(又は第3実施形態の受電コイル)としての抵抗値を効果的に低減することができる。
【0081】
また、送電ループコイルTL3上に各曲線部C3及び各交差部CG3を備えるので、表皮効果の影響をより軽減して送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)及び第3実施形態の送電コイル(又は第3実施形態の受電コイル)としての抵抗値を低減することができる。
【0082】
更に、第3実施形態の送電コイル(又は第3実施形態の受電コイル)における異なる層内に銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL33がそれぞれ形成されているので、送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)を構成する銅薄膜線の断面積を増やすことで、送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)及び第3実施形態の送電コイル(又は第3実施形態の受電コイル)としての抵抗値を更に低減することができる。
【実施例0083】
(A)第1実施例
次に、第1実施形態の送電コイルTC及び受電コイルRCを含む第1実施形態の電力伝送システムSを用いて電力伝送を行った場合の効果について、本願の発明者による実験結果(シミュレーション結果。以下、同様。)を踏まえて、図12を用いて説明する。なお、図12は第1実施形態のコイルの構造による効果としての抵抗値と周波数との関係を示す図である。また以下の説明では、第1実施形態の電力伝送システムSを用いて電力伝送を行った場合の効果のシミュレーション結果を、従来例を含む異なる構成の送電コイル及び受電コイルを含む電力伝送システムを用いて電力伝送を行った場合の効果のシミュレーション結果に対比させつつ、説明する。
【0084】
ここで、図12に結果が示される実験における諸元を以下に示す。なお以下の説明では、送電コイルについての諸元を説明するが、実験に用いられた受電コイルの諸元も同一である。
【0085】
(1)実施例(図12▲印及び●印参照)として実験結果が示される送電コイルTCの諸元
・銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12の巻回数:3(図2参照)
・銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12それぞれの線幅:共に4ミリメートル
・一の巻回における銅薄膜線TL11と銅薄膜線TL12の間隔:4ミリメートル
・コイルCL1の巻回数:10.5(図3図5及び図6参照)
・コイルCL2の巻回数:2.5(図4及び図6参照)
・銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12並びにコイルCL1及びコイルCL2それぞれにおける銅薄膜線の厚さ:0.2ミリメートル
図12●印で示す実施例では、銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12により構成されるコイルが同心に二層積層されて構成されている。
(2)従来例を含む比較例(図12○印及び□印参照)として実験結果が示される送電コイルの諸元
以下の各点を除き、形状等の諸元は送電コイルTCと同様
・第1の従来例としての送電ループコイルが、幅8ミリメートルの一本の銅薄膜線の巻回により構成されている点(図12○印参照)
・第2の従来例としての送電ループコイルが、幅8ミリメートルの一本の銅薄膜線の巻回により構成されるコイルが同心に二層積層されて構成されている点(図12□印参照)
なお、比較例及び各従来例の受電コイルの構造は、比較例及び各従来例の送電コイルと同一である。
【0086】
そして図12に示すように、先ず、周波数1キロヘルツ以下の低周波領域では、各コイルの抵抗は直流抵抗とほぼ変わらないため、一層構成の送電ループコイル(図12▲印及び○印参照)に比べて、二層構成の送電ループコイル(図12●印参照)とすることで、送電ループコイルとしての銅薄膜線の断面積が単純に二倍になり、よってその抵抗値も二分の一となっている。また一層構成の場合及び二層構成の場合のいずれも、幅8ミリメートルの第1及び第2の従来例の場合(図12○印及び□印参照)と、それぞれの幅が4ミリメートルの銅薄膜線二本の並行巻回の場合(図12●印及び▲印参照)とで、それぞれの抵抗値に差異は見られない。
【0087】
一方、周波数が徐々に高くなってくると、周波数10キロヘルツ付近から上記表皮効果による抵抗値の上昇が開始されるが、幅8ミリメートルの第1の従来例(図12○印参照)及び第2の従来例(図12□印参照)を比較すると、電気自動車の伝送に用いられる上記85キロヘルツに近い100キロヘルツ付近では二層化した効果が失われていることが判る。これは、上記表皮効果に加えて、いわゆる近接効果により二層化した銅薄膜線の抵抗値が更に上昇したものと考えられる。これに対して、上記100キロヘルツ付近では、それぞれの幅が4ミリメートルの銅薄膜線二本の並行巻回の場合(図12●印及び▲印参照)には、抵抗値の上昇は許容範囲に抑えられていると言える。なお図12から明らかな通り、第1実施形態の送電コイルTCの構造に対して、送電ループコイルTL(銅薄膜線TL11及び銅薄膜千TL12)を二層化した方が、抵抗値の上昇をより抑制することができる(図12●印参照)。
【0088】
(B)第2実施例
次に、第2実施形態の送電コイル及び受電コイルを含む第2実施形態の電力伝送システムを用いて電力伝送を行った場合の効果について、本願の発明者による実験結果を踏まえて、図13を用いて説明する。なお図13は、第2実施形態のコイルの構造による効果としてのSパラメータと周波数との関係を示す図である。また以下の説明では、第2実施形態の電力伝送システムを用いて電力伝送を行った場合の効果のシミュレーション結果を、従来例の送電コイル及び受電コイルを含む電力伝送システムを用いて電力伝送を行った場合の効果のシミュレーション結果に対比させつつ、説明する。
【0089】
ここで、図13に結果が示される実験における諸元を以下に示す。なお以下の説明では、送電コイルについての諸元を説明するが、実験に用いられた受電コイルの諸元も同一である。
【0090】
(1)第2実施例(図13実線参照)として実験結果が示される第2実施形態の送電コイルの諸元
・銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL32の巻回数:3(図2参照)
・銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL32それぞれの線幅:共に3ミリメートル
・コイルCL1の巻回数:10.5(図3図5及び図6参照)
・コイルCL2の巻回数:2.5(図4及び図6参照)
・銅薄膜線TL30乃至銅薄膜線TL32並びにコイルCL1及びコイルCL2それぞれにおける銅薄膜線の厚さ:0.2ミリメートル
(2)従来例(図13破線参照)として実験結果が示される送電コイルの諸元
以下の点を除き、形状等の諸元は第2実施形態の送電コイルと同様
・送電ループコイルが、幅10ミリメートルの一本の銅薄膜線の巻回により構成されている点
なお、従来例の受電コイルの構造は従来例の送電コイルと同一である。また結果として、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22それぞれの断面積の合計は、従来例の送電ループコイルを構成する銅薄膜線の断面積よりも小さくなっている。
【0091】
そして図13に示すように、送電ループコイルTL2を用いた場合の方が、従来例の送電ループコイルを用いた場合よりもSパラメータの実数部を示すグラフがより尖鋭となっている。これにより、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22の構成により、送電ループコイルTL2及び第2実施形態の受電ループコイルを含む第2実施形態の電力伝送システムとしての電力の損失が少なくなっていることが判る。このことは、従来例の送電ループコイルを含む送電コイル及び従来例の受電ループコイルを含む受電コイルでは、上記表皮効果により、銅薄膜線の両端(従来例の送電コイル及び受電コイルの径方向の両端)に電流密度が集中しているのに対して、送電ループコイルTL2及び第2実施形態の受電ループコイルを含む第2実施形態の電力伝送システムでは、銅薄膜線TL20乃至銅薄膜線TL22それぞれ位置を、送電ループコイルTL2及び第2実施形態の受電ループコイルの径方向における両端とその中央との間で入れ替えることで、送電ループコイルTL2及び第2実施形態の受電ループコイル並びに第2実施形態の送電コイル及び第2実施形態の受電コイルとしての抵抗値の上昇を抑えることができる(又は、当該抵抗値を低減することができる)ことを示している。
【0092】
(変形形態)
次に、本発明の変形形態について説明する。上述した各実施形態の電力伝送システムの構成については、以下の(A)乃至(K)に示すような変形を加えてもよい。本発明の発明者は、当該各変形を加えても、上記電力伝送システムと同等の効果を奏し得ることを確認している。
【0093】
(A)第1変形形態
先ず第1変形形態として、第1実施形態の送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)では、コイルCL1とコイルCL2とを接続すると共に、送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)と送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)とを相互に絶縁する構成とした。しかしながらこれ以外に、コイルCL1又はコイルCL2のいずれか一方又は双方を送電ループコイルTL(又は第1実施形態の受電ループコイル)に接続するように構成してもよい。この第1変形形態の構成は、第2実施形態の送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)或いは第3実施形態の送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)において同様である。
【0094】
(B)第2変形形態
次に第2変形形態として、第1実施形態の送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)を構成する銅薄膜線TL11及び銅薄膜線TL12が、送電コイルTC(又は受電コイルRC)における異なる層内に形成されていてもよい。この第2変形形態の構成は、第2実施形態の送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)或いは第3実施形態の送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)において同様である。
【0095】
(C)第3変形形態
次に第3変形形態として、各実施形態の送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)では、それぞれを構成するコイルCL1及びコイルCL2それぞれの巻回数を十回転半(10.5ターン)及び二回転半(2.5ターン)としたが、これら以外に、コイルCL1とコイルCL2が上記と異なる巻回数であってもよいし、コイルCL1の巻回数とコイルCL2の巻回数とが同じであってもよい。
【0096】
(D)第4変形形態
次に第4変形形態として、各実施形態の送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)では、例えば第1実施形態の送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)とコイルCL1とを異なる層内に形成したが、これらを同じ層内に形成し、且つ送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)とコイルCL1とを同心に巻回されていてもよい。
【0097】
(E)第5変形形態
次に第5変形形態として、第1実施形態の送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の側から見た第1実施形態のコイルCL1及びコイルCL2の順番を入れ替えてもよい。この第5変形形態の構成は、第2実施形態の送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)或いは第3実施形態の送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)において同様である。
【0098】
(F)第6変形形態
次に第6変形形態として、第1実施形態の送電コイルTCにおける送電ループコイルTLの位置と送電オープンコイルTOの位置とを入れ替え、また、第1実施形態の受電コイルRCにおける受電ループコイルRLの位置と受電オープンコイルROの位置とを入れ替えてもよい。この第6変形形態の場合、第6変形形態の電力伝送システム全体としては、送電コイルの送電ループコイルTLと受電コイルの受電ループコイルRLとが相互に対向して配置されることになる。更に第6変形形態の構成は、第2実施形態の送電ループコイルTL2(又は第2実施形態の受電ループコイル)或いは第3実施形態の送電ループコイルTL3(又は第3実施形態の受電ループコイル)において同様である。
【0099】
(G)第7変形形態
次に第7変形形態として、各実施形態のコイルCL1及びコイルCL2では、それらの幅を、その外周から内周にかけて広くする構成としたが、これら以外に、コイルCL1及びコイルCL2の幅が全周に渡って同じでもよい。
【0100】
(H)第8変形形態
次に第8変形形態として、各実施形態の送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)がコイルCL1及びコイルCL2の二層積層構造とされていたところ、四つのコイルを積層することにより送電オープンコイル(又は受電オープンコイル)を構成してもよい。この場合、第1のコイルについては最外周部から最内周部に反時計方向に銅薄膜線を巻回させ、当該最内周部で第2のコイルに接続し、第2のコイルについては第1のコイルと接続された最内周部から最外周部に時計方向に銅薄膜線を巻回させ、当該最外周部で第3のコイルに接続する。更に、第3のコイルについては最外周部から最内周部に反時計方向に銅薄膜線を巻回させ、当該最内周部で第4のコイルに接続し、第4のコイルについては第3のコイルと接続された最内周部から最外周部に時計方向に銅薄膜線を巻回させる。また、第1のコイルの最外周端部と第4のコイルの最外周端部はそれぞれ開放端として構成するのが好ましい。
【0101】
(I)第9変形形態
次に第9変形形態として、各実施形態の送電オープンコイルTO(受電オープンコイルRO)においては、コイルCL1の巻回方向(反時計方向)とコイルCL2の巻回方向(時計方向)とを反対としたが、これらが同じ方向であってもよい。この点は、上記第8変形形態の四層構造においても同様である。
【0102】
(J)第10変形形態
次に第10変形形態として、上述した各実施形態では、送電オープンコイルTO(受電オープンコイルRO)において、コイルCL1の各巻回の径方向の位置と、コイルCL2の各巻回の径方向の位置と、が、一致するように構成したが(図3図4及び図6参照)、これに限らず、当該各巻回の径方向の位置が異なっていても、コイルCL1とコイルCL2とが積層されていれば、所望される寄生容量の調整が可能となり、上記電力伝送システムSと同等の効果を奏し得る。
【0103】
(K)第11変形形態
次に第11変形形態として、第1実施形態において、開放端とされている送電オープンコイルTO又は受電オープンコイルROの端部に対して直列又は並列に、或いは送電ループコイルTL又は受電ループコイルRLに対して並列に、それぞれコンデンサを更に接続して、送電ループコイルTL又は受電ループコイルRL、或いは送電オープンコイルTO又は受電オープンコイルROとしての寄生容量を調整することで、共振周波数の低周波数化を図るように構成してもよい。このとき、送電オープンコイルTO又は受電オープンコイルROにおけるいずれかの開放端に対して直列にコンデンサを接続する場合は、当該開放端のいずれかに接続されていないコンデンサの端子を開放端とすればよい。更に第11変形形態の構成は、第2実施形態の送電コイル(又は第2実施形態の受電コイル)或いは第3実施形態の送電コイル(又は第3実施形態の受電コイル)において同様である。
【0104】
(L)第12変形形態
次に第12変形形態として、各実施形態の送電コイルTC(又は受電コイルRC)において、送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)を有さず、且つ送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の巻回数を増やした構成としてもよい。この場合の送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の巻回数としては、例えば六回転(6ターン)とするのが好適である。この、各実施形態の送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の巻回数を六回転(6ターン)とし且つ送電オープンコイルTO(又は受電オープンコイルRO)を除いた構成を、以下「第1パターン」と称する。
【0105】
また本第12変形形態の第1パターンにおいて、上記各実施形態における接続用端子O1及び接続用端子O2と送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)との接続態様については、各実施形態の構成、即ち、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の両端部が当該送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の最外周部で接続用端子O1及び接続用端子O2にそれぞれ接続されている構成の他に、図14に示す送電ループコイルTL4(二本の銅薄膜線TL40及び銅薄膜線TL41が並行してなる送電ループコイルTL4)のように、送電ループコイル(又は受電ループコイル)の巻回としては最外周部から最内周部に向けて一方向に巻回させ、最外周部にある端部を例えば接続用端子O1に接続すると共に、最内周部からジャンパ線又は絶縁層を挟んだ積層構造等により最外周部に引き出した銅薄膜線TL40及び銅薄膜線TL41の端部を例えば接続用端子O2に接続するように構成してもよい。この、送電ループコイル(又は受電ループコイル)の両端部と接続用端子O1及び接続用端子O2との接続態様を変形させた場合を、以下「第2パターン」と称する。
【0106】
更に本第12変形形態において、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の巻回数を七回転(7ターン)としてもよい。この場合に、図15に示す送電ループコイルTL5のように、当該送電ループコイルTL5の外周側から銅薄膜線TL50及び銅薄膜線TL51を並行して三回転半(3.5ターン)巻回させ、更に最内周部から三回転半(3.5ターン)巻回させると共に、銅薄膜線TL50及び銅薄膜線TL51のそれぞれを、絶縁層を介した二層構造(図9に例示する銅薄膜線TL20及び銅薄膜線TL21参照)としてもよい。更に、図16に示す送電ループコイルTL6(二本の銅薄膜線TL60及び銅薄膜線TL61が並行してなる送電ループコイルTL6)のように、図15に示す送電ループコイルTL5において、その最内周部に、ジャンパ線又は絶縁層を挟んだ積層構造等により銅薄膜線TL60及び銅薄膜線TL61が交差する交差部CXを設けてもよい。
【0107】
更にまた、送電ループコイルTL(又は受電ループコイルRL)の巻回数を七回転(7ターン)とする第12変形形態において、各巻回において並行する銅薄膜線の関係について、図17にその構造一部(図15又は図16における上辺部の一部に相当する)を示す送電ループコイルTL7(二本の銅薄膜線が並行してなる送電ループコイルTL7)のように、各銅薄膜線の幅の関係が以下の関係(A)及び関係(B)を満たすように構成してもよい。
【0108】
(A)一の巻回において、内周側の銅薄膜線TL71の幅が外周側の銅薄膜線TL70の幅より広い。即ち、図17に示すように、最外周の巻回から順に、銅薄膜線TL70-OT7の幅<銅薄膜線TL71-IN7の幅、銅薄膜線TL70-OT6の幅<銅薄膜線TL71-IN6の幅、銅薄膜線TL70-OT5の幅<銅薄膜線TL71-IN5の幅、銅薄膜線TL70-OT4の幅<銅薄膜線TL71-IN4の幅、銅薄膜線TL70-OT3の幅<銅薄膜線TL71-IN3の幅、銅薄膜線TL70-OT2の幅<銅薄膜線TL71-IN2の幅、及び、銅薄膜線TL70-OT1の幅<銅薄膜線TL71-IN1の幅、とする。
【0109】
(B)各巻回において、銅薄膜線TL70の幅と銅薄膜線TL71の幅とを加算した幅が、内周側ほど広くなる。即ち、図17に示すように、(銅薄膜線TL70-OT7の幅+銅薄膜線TL71-IN7の幅)<(銅薄膜線TL70-OT6の幅+銅薄膜線TL71-IN6の幅)<(銅薄膜線TL70-OT5の幅+銅薄膜線TL71-IN5の幅)<(銅薄膜線TL70-OT4の幅+銅薄膜線TL71-IN4の幅)<(銅薄膜線TL70-OT3の幅+銅薄膜線TL71-IN3の幅)<(銅薄膜線TL70-OT2の幅+銅薄膜線TL71-IN2の幅)<(銅薄膜線TL70-OT1の幅<銅薄膜線TL71-IN1の幅)とする。
【0110】
また、上記(A)及び(B)の結果として、銅薄膜線TL70-OT7の幅<銅薄膜線TL70-OT6の幅<銅薄膜線TL70-OT5の幅<銅薄膜線TL70-OT4の幅<銅薄膜線TL70-OT3の幅<銅薄膜線TL70-OT2の幅<銅薄膜線TL70-OT1の幅とする。また同様に、銅薄膜線TL71-IN7の幅<銅薄膜線TL71-IN6の幅<銅薄膜線TL71-IN5の幅<銅薄膜線TL71-IN4の幅<銅薄膜線TL71-IN3の幅<銅薄膜線TL71-IN2の幅<銅薄膜線TL71-IN1の幅、とする。
【0111】
ここで、上記第1パターン及び上記第2パターン(図14に示す送電ループコイルTL4(銅薄膜線TL40及び銅薄膜線TL41については一層構造))それぞれの構成の送電ループコイル(又は受電ループコイル)のみの送電コイル(又は受電コイル)を用いて電力伝送を行った場合の効果についての本願の発明者による実験結果によれば、送電コイル(又は受電コイル)の大きさを320ミリメートル×320ミリメートルとし、第1パターン又は第2パターンの送電ループコイル(又は受電ループコイル)において並行する銅薄膜線それぞれの線幅を4ミリメートルとし、当該並行する銅薄膜線の間隔を4ミリメートルとし、当該各銅薄膜線の厚さを0.2ミリメートルとし、当該送電ループコイル(又は受電ループコイル)の両端部に並列に容量300ナノファラッドのコンデンサを接続したときの電力伝送システムとしての伝送効率は、第1パターンの場合は86.8パーセントとなり、第2パターンの場合は87.5パーセントであった。一方比較例として、一本の銅薄膜線を第1パターンで巻回してなる送電ループコイルを用いた同様の実験では、電力伝送システムとしての伝送効率は78.9パーセントであった。以上の第12変形形態に対応した実験結果から、並行する複数の銅薄膜線により送電ループコイル(又は受電ループコイル)を構成したことで、送電ループコイル(又は受電ループコイル)全体としての抵抗値を低減することができ(即ち、ジュール熱による損失を抑制することができ)、よって大きな高周波電流を流すことができるため、結果的に高効率で電力を伝送できることが判る。
【0112】
また、図14に示す送電ループコイルTL4乃至図17に示す送電ループコイルTL7のそれぞれ(但し、各送電ループコイルTL4等を構成する各銅薄膜線TL40等については、それぞれ二層構造とされている)に関し、それぞれの構成の送電ループコイル(又は受電ループコイル)のみの送電コイル(又は受電コイル)を用いて電力伝送を行った場合の効果についての本願の発明者による実験結果を図18に示す。なお、当該実験に用いられたコイルの諸元は以下の通りである。
・大きさ:230ミリメートル×154ミリメートル
・最外周部で対として並行する銅薄膜線の幅:コイル外側が2.0ミリメートルでコイル内側が3.0ミリメートル(並行する銅薄膜線の合計で5.0ミリメートル)
・最内周部で対として並行する銅薄膜線の幅:コイル外側が3.5ミリメートルでコイル内側が5.5ミリメートル(並行する銅薄膜線の合計で9.0ミリメートル)
【0113】
そして、当該実験によれば、送電コイル(又は受電コイル)としてのインピーダンスは、送電ループコイルTL4>送電ループコイルTL5>送電ループコイルTL6>送電コイルループコイルTL7の順となり、送電ループコイルTL4等が使用される85キロヘルツの周波数では、送電コイルループコイルTL7が最も抵抗が低く、よって伝送効率としても最も良いことが判った。
【0114】
なお、図17に示す送電ループコイルTL7において、上述したような銅薄膜線TL70-OT7乃至銅薄膜線TL70-IN1の幅としていることの目的は、送電ループコイルTL7の内側になるほど磁界強度が強く、よって送電ループコイルTL7の内側の銅薄膜線TL70-IN1等に流れる電流が多くなるため、銅薄膜線TL70-OT7乃至銅薄膜線TL70-IN1の幅を、送電ループコイルTL7全体としてその内側になるほど太くしてその抵抗を低くすることにある。従って、この目的が達成できる限りにおいては、送電ループコイルTL7の相隣接する銅薄膜線の幅が、当該送電ループコイルTL7の巻回の一部において同じであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上それぞれ説明したように、本発明は非接触の電力伝送の分野に利用することが可能であり、特に電気自動車に搭載された蓄電池を充電するための電力伝送の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0116】
S 電力伝送システム
R 受電装置
T 送電装置
V ビア
RV 受電部
RC 受電コイル
TR 送電部
TC 送電コイル
TL、TL2、TL3、TL4、TL5、TL6、TL7 送電ループコイル
TO 送電オープンコイル
RO 受電オープンコイル
RL 受電ループコイル
O1、O2 接続用端子
C2、C3 曲線部
TL11、TL12、TL20、TL21、TL22、TL30、TL31、TL32、TL33、TL40、TL41、TL50、TL51、TL60、TL61、TL71-IN1、TL71-IN2、TL71-IN3、TL71-IN4、TL71-IN5、TL71-IN6、TL71-IN7、TL70-OT1、TL70-OT2、TL70-OT3、TL70-OT4、TL70-OT5、TL70-OT6、TL70-OT7 銅薄膜線
BF1、BF2 フィルム
CL1、CL2 コイル
CG2、CG3 交差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18