(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127954
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム
(51)【国際特許分類】
H01G 4/32 20060101AFI20240912BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20240912BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01G4/32 511L
C08L23/12
B32B27/32 E
H01G4/32 511K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107480
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2022505054の分割
【原出願日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2020038760
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾留川 淳
(72)【発明者】
【氏名】田村 聡
(72)【発明者】
【氏名】志水 博貴
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、高温絶縁破壊強度(高温BDV)に優れ、且つ耐ブロッキング性を有し、長期間保存しても造核剤などのブリードアウトが抑制されたコンデンサ用フィルムを得ることにある。
【解決手段】本発明は、プロピレン単独重合体(X)およびポリマー系α晶造核剤(C)を0.0001~0.05質量%含むプロピレン重合体組成物からなる基層の少なくとも片面にプロピレン系重合体(Y)からなる表層または裏層を有し、且つ基層および表層または裏層が延伸されてなることを特徴とするコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムに係る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン単独重合体(X)およびポリマー系α晶造核剤(C)を0.0001~0.05質量%含むプロピレン重合体組成物からなる基層の少なくとも片面にプロピレン系重合体(Y)からなる表層または裏層を有し、且つ基層および表層または裏層がいずれも延伸されてなることを特徴とするコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
【請求項2】
基層の片面に表層および基層の他の片面に裏層を有してなる請求項1に記載のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
【請求項3】
表層および裏層を形成するプロピレン系重合体(Y)が、ポリマー系α晶造核剤の含有量が0.00001質量%未満である請求項1または2に記載のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
【請求項4】
ポリマー系α晶造核剤が、ガラス転移温度および/または融点(Tm)が280℃以上の重合体である請求項1~3のいずれか一項に記載のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
【請求項5】
表層および裏層の表面粗さRaが0.2以上である請求項1~4のいずれか一項に記載のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
【請求項6】
プロピレン単独重合体(X)が下記要件(1)~(5)を満たす請求項1~5のいずれか一項に記載のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム。
(1)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が1~10g/10分の範囲、
(2)13C‐NMRを用いて測定したmmmmが0.930~0.999の範囲、
(3)灰分含有量が50質量ppm以下、
(4)塩素含有量が5質量ppm以下、および
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.5~12.0の範囲。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ用ポリプロピレンフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、機械的特性、耐熱性、化学的安定性および絶縁特性等に優れるため、包装用途およびテープ用途だけでなく、コンデンサ用フィルムとして幅広く利用されている。コンデンサ用フィルムは、主に自動車分野や家電分野などで需要が高まっており、更なる小型化、高容量化および高信頼性が要望されている。特に、ハイブリッドカーおよび電気自動車用途のように高出力化でコンデンサを使用する場合には、トランジスターやコンデンサ等の回路に大電流が流れて使用温度が高くなるため、コンデンサの高温下での耐電圧性も求められている。
【0003】
コンデンサ用フィルムの特性を改良する方法として、立体規則性に優れるポリプロピレンにα核形成剤を添加して二軸延伸フィルムの熱変形温度を上げて耐熱性を改良する方法(例えば、特許文献1、特許文献2)、ポリプロピレンに有機系造核剤を添加して二軸延伸フィルムの高温下での高い耐電圧性および絶縁破壊特性を改良する方法(特許文献3)、あるいは立体規則性に優れるポリプロピレンにα核形成剤を添加してなる二軸延伸フィルムの少なくとも片面に、立体規則性に優れるポリプロピレンにシリカ粒子を添加してなる表面層を積層して表面の光沢度が140%以上する方法(特許文献4)など、種々の改良方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、何れの方法でも、未だ高温絶縁破壊強度(高温BDV)の改良効果は十分ではなく、また、有機系造核剤を添加した場合は、二軸延伸フィルムの表面に有機系造核剤がブリードアウトする場合があり、また、ブリード物によってキャストロールをはじめとする生産設備が汚染される虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5586784号公報
【特許文献2】特表2018-538373号公報
【特許文献3】特開2015-201616号公報
【特許文献4】国際公開第2016/043217号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高温絶縁破壊強度(高温BDV)に優れ、且つ耐ブロッキング性を有し、長期間保存しても造核剤などのブリードアウトが抑制されたコンデンサ用フィルムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロピレン単独重合体(X)およびポリマー系α晶造核剤(C)を0.0001~0.05質量%含むプロピレン重合体組成物からなる基層の少なくとも片面にプロピレン系重合体(Y)からなる表層または裏層を有し、且つ基層および表層または裏層がいずれも延伸されてなることを特徴とするコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムに係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、ポリマー系α晶造核剤を含む基層と、プロピレン系重合体組成物からなる表層および/または裏層を備える(表層、裏層とは基層に接する層)多層フィルムであるので、長期保存してもα晶造核剤のブリードアウトが抑制され、且つ、表面粗度が大きくなることで耐ブロッキング性が付与され、球晶サイズも微細化されており、ボイドが抑制され高温BDVと耐ブロッキング性の双方が両立している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
[プロピレン単独重合体(X)]
本発明に係るコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの基層を形成するプロピレン重合体組成物に含まれる成分の一つであるプロピレン単独重合体(X)は、プロピレンの単独重合体であり、好ましくは下記要件(1)~(5)を満たす。
【0010】
<要件(1)>
MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が1~10g/10分、好ましくは2~6g/10分、より好ましくは2.5~5g/10分の範囲にある。MFRが1.0g/10分未満の場合、押出機でのフィルム原反の成形が困難であり、またフィルム延伸時にチャック外れ等が生じ、所望のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムが得られない。また、MFRが10.0g/10分を超えると、延伸時にフィルムの破断が多発する等、延伸多層フィルムの生産性が大幅に低下する。なお、MFRは、プロピレン単独重合体の重合時に水素添加量を調整することができる。MFRは、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0011】
<要件(2)>
13C-NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が0.930~0.999、好ましくは0.940~0.998、より好ましくは0.950~0.997の範囲にある。
【0012】
mmmmが上記範囲にあるプロピレン単独重合体用いることにより、得られるコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは高温耐電圧性が優れる。ここで、メソペンタッド分率は、分子鎖中の五連子アイソタクティック構造の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ構造を有する連鎖の中心にあるプロピレン構造単位の分率である。メソペンタッド分率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0013】
<要件(3)>
灰分含有量が50質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以下である。
【0014】
灰分含有量が50質量ppmを超えると、得られるコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの耐電圧性が低下するだけでなく、長期的なコンデンサ特性も低下する。灰分含有量は、ペレットをるつぼに入れ完全に燃焼させて、そのるつぼを電気炉内で、800℃で2時間灰化させ、るつぼに残った灰を計測し灰分(ppm)を求めたものである。
【0015】
灰分は、プロピレン単独重合体に含まれるオレフィン重合触媒に由来する成分である。灰分含有量が少ないプロピレン単独重合体は高活性の触媒を用いるか、重合したプロピレン単独重合体中の触媒を分解および/または除去することにより製造することができる。
【0016】
<要件(4)>
塩素含有量が2質量ppm以下であり、好ましくは1.5質量ppm以下であり、より好ましくは1.2質量ppm以下である。
【0017】
塩素含有量が2質量ppmを超えると、得られるコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの耐電圧性が低下するだけでなく、長期的なコンデンサ特性も低下する。コンデンサ使用時においてフィルム内部の塩素イオン近傍の電界が局所的に増大し、そこから絶縁破壊が生じやすくなるために耐電圧が低下すると解される。塩素はプロピレンを単独重合する際に用いる触媒に起因するものであり、使用する触媒の種類、量を制御し、且つ、プロピレン単独重合体を後処理することにより、上記範囲内に制御することができる。
【0018】
塩素含有量は、プロピレン単独重合体0.8gを三菱化成社製燃焼装置を用いてアルゴン/酸素気流下で、400~900℃で燃焼した後、燃焼ガスを超純水で捕集し濃縮後の試料液を、日本ダイオネクス(株)DIONEX-DX300型イオンクロマト測定装置を用いて、陰イオンカラムAS4A-SC(ダイオネクス社製)を用いて測定し求めたものである。塩素は、プロピレン単独重合体に含まれるオレフィン重合触媒に由来する成分である。塩素含有量が少ないプロピレン単独重合体は高活性の触媒を用いるか、適した溶媒で洗浄することにより、重合したプロピレン単独重合体中の塩素を除去することにより得ることができる。
【0019】
<要件(5)>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.5~12.0、好ましくは4.5~11.0、より好ましくは4.5~10.5の範囲にある。
【0020】
Mw/Mnが4.5以上であると、延伸フィルムを成形する際の延伸性に優れ、均一なフィルムが得られやすい。また、Mw/Mnが12.0以下であるとプロピレン単独重合体に含まれる低分子量成分が少なく、フィルム成形時にベトツキ等が抑制され、成形性において好ましい。すなわち、Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン単独重合体の成形性及び延伸性および得られるコンデンサフィルムの厚みの均一性の観点から好ましい。Mw/Mnは、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0021】
上述した要件(1)~(5)を満たすプロピレン単独重合体(X)は、例えば、後述するオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより得ることができる。
【0022】
なお、後述するように本発明に係るプロピレン単独重合体(X)はプロピレン単独重合体(X1)およびプロピレン単独重合体(X2)を含む。
<オレフィン重合用触媒>
本発明に係わるプロピレン単独重合体(X)を製造するために用いるオレフィン重合用触媒は、前記プロピレン単独重合体を得ることができれば特に限定されないが、例えば、(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii)下記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分とを含む触媒〔A〕、または、
前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを含む触媒〔B〕が挙げられる。
【0023】
(k1)チタン含有量が2.5質量%以下である。
(k2)電子供与体の含有量が8~30質量%である。
(k3)電子供与体/チタン(質量比)が7以上である。
【0024】
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、
R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
【0025】
以下、前記オレフィン重合用触媒を構成する各成分について説明する。
≪固体状チタン触媒成分(i)≫
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
【0026】
(a)固体状チタン
前記固体状チタン(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体(内部ドナー)などを種々の方法により接触させることにより、公知の固体状チタン触媒成分の調製法(例えば特開平4-096911号公報、特開昭58-83006号公報、特開平8-143580号公報等参照)により製造することができる。
【0027】
前記マグネシウム化合物は固体状態で用いられることが好ましい。この固体状態のマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物自体が固体状態であるものであってもよく、または電子供与体との付加物であってもよい。前記マグネシウム化合物としては、特開2004-2742号公報に記載のマグネシウム化合物、具体的には、塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、ブトキシマグネシウムなどが挙げられる。また、前記電子供与体としては、特開2004-2742号公報に記載のマグネシム化合物可溶化能を有する化合物、具体的には、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸及びこれらの混合物などが挙げられる。マグネシウム化合物及び電子供与体の使用量は、その種類、その接触条件等によっても異なるが、マグネシウム化合物を該液状の電子供与体に対して0.1~20モル/リットル、好ましくは0.5~5モル/リットルとなる量で用いることができる。
【0028】
前記チタン化合物は液状状態で用いられることが好ましい。このようなチタン化合物としては、例えば、下記式(III)で示される4価のチタン化合物が挙げられる。
Ti(OR5)gX4-g・・・(III)
式(III)中、R5は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
【0029】
前記チタン化合物としては、特に四塩化チタンが好ましい。また、前記チタン化合物は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記電子供与体(内部ドナー)としては、例えば、下記式(IV)で表わされる化合物(以下「化合物(IV)」ともいう。)が挙げられる。
【0030】
【0031】
式(IV)中、Rは、炭素原子数1~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R’は炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0~4の整数を示す。本発明では、nが0の化合物が好ましい。
【0032】
RおよびR’のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
【0033】
前記化合物(IV)の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸n-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ペンチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジn-ヘキシル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ(メチルヘキシル)、フタル酸ジ(ジメチルペンチル)、フタル酸ジ(エチルペンチル)、フタル酸ジ(2,2,3-トリメチルブチル)、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルなどが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジイソブチルが特に好ましい。
【0034】
本発明では、前記電子供与体(内部ドナー)として、前記化合物(IV)以外の別の電子供与体を用いてもよい。別の電子供与体としては、例えば、複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(以下「ポリエーテル化合物」ともいう。)が挙げられる。
【0035】
前記ポリエーテル化合物としては、エーテル結合間に存在する原子が、炭素、ケイ素、酸素、窒素、イオウ、リン、ホウ素、またはこれらから選択される2種以上の原子である化合物などを挙げることができる。これらのうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換基が結合しており、2個以上のエーテル結合間に存在する原子に複数の炭素原子が含まれる化合物が好ましい。例えば、下記式(3)で表されるポリエーテル化合物が好ましい。
【0036】
【0037】
前記式(3)において、mは1~10の整数、好ましくは3~10の整数、より好ましくは3~5の整数である。R11、R12、R31~R36は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素、水素、酸素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1種の元素を有する置換基である。R11およびR12は、それぞれ独立に、好ましくは炭素原子数1~10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数2~6の炭化水素基である。R31~R36は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または炭素原子数1~6の炭化水素基である。
【0038】
R11およびR12の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの中では、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基が好ましい。R31~R36の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基が挙げられる。これらの中では、水素原子、メチル基が好ましい。任意のR11、R12、R31~R36(好ましくはR11、R12)は、共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい。
【0039】
前記ポリエーテル化合物の具体例としては、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-t-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブタン、2,3-ジイソプロピル-1,4-ジエトキシブタン、2,4-ジイソプロピル-1,5-ジメトキシペンタン、2,4-ジイソブチル-1,5-ジメトキシペンタン、2,4-ジイソアミル-1,5-ジメトキシペンタン、3-メトキシメチルテトラヒドロフラン、3-メトキシメチルジオキサン、1,2-ジイソブトキシプロパン、1,2-ジイソブトキシエタン、1,3-ジイソアミロキシエタン、1,3-ジイソアミロキシプロパン、1,3-ジイソネオペンチロキシエタン、1,3-ジネオペンチロキシプロパン、2,2-テトラメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ペンタメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ヘキサメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ビス(メトキシメチル)シクロヘキサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン等を例示することができる。
【0040】
これらの中では、1,3-ジエーテル類が好ましく、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)1,3-ジメトキシプロパンがより好ましい。これらの化合物は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
《固体状チタン(a)の調製》
前記固体状チタン(a)は、前記マグネシウム化合物と、前記チタン化合物と、前記電子供与体との接触により調製することができる。この際、固体状態のマグネシウム化合物を炭化水素溶媒に懸濁して用いることが好ましい。また、これら各成分を接触させる際に、液状形態のチタン化合物を1回用いて固形物(1)を生成させてもよく、得られた固形物(1)にさらに液状形態のチタン化合物を接触させて固形物(2)を生成させてもよい。さらに、この固形物(1)または(2)を必要に応じて炭化水素溶媒で洗浄してから固体状チタン(a)を調製することが好ましい。
【0041】
上記のような各成分の接触は、通常-70℃~+200℃、好ましくは-50℃~+150℃、より好ましくは-30℃~+130℃の温度で行われる。固体状チタン(a)を調製する際に用いられる各成分の量は、調製方法によって異なり一概に規定できないが、例えばマグネシウム化合物1モル当り、電子供与体は0.01~10モル、好ましくは0.1~5モルの量で、チタン化合物は0.01~1000モル、好ましくは0.1~200モルの量で用いることができる。
【0042】
本発明では、このようにして得られた固形物(1)または(2)をそのまま固体状チタン(i)として用いることができるが、この固形物を0~150℃の炭化水素溶媒で洗浄することが好ましい。
【0043】
この炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、セタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの非ハロゲン系芳香族炭化水素溶媒、または、ハロゲン含有芳香族炭化水素溶媒などが用いられる。これらのうち、脂肪族炭化水素溶媒またはハロゲンを含まない芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。
【0044】
固形物の洗浄に際しては、炭化水素溶媒は、固形物1gに対して通常10~500ml好ましくは20~100mlの量で用いられる。このようにして得られる固体状チタン(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有している。この固体状チタン(a)では、電子供与体/チタン(質量比)が6以下であることが好ましい。
【0045】
このようにして得られた固体状チタン(a)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない。
(b)芳香族炭化水素
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる芳香族炭化水素(b)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、これらのハロゲン含有炭化水素などが挙げられる。これらの中では、キシレン(特にパラキシレン)が好ましい。前記固体状チタン(a)を、このような芳香族炭化水素(b)と接触させることにより、低立体規則性成分を副生する、いわゆる「剰余チタン化合物」を低減することができる。
(c)液状チタン
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる液状チタン(c)としては、該固体状チタン(a)を調製する際に用いたチタン化合物と同様のものを挙げることができる。それらの中でも、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
(d)電子供与体
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる電子供与体(d)の例としては、上述した電子供与体(内部ドナー)で例示したものと同じものを挙げることができる。それらの中でも、前記固体状チタン(a)の調製に使用した電子供与体と同じものを用いることが好ましい。
【0046】
≪固体状チタン触媒成分(i)の調製方法≫
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触は、通常110~160℃、好ましくは115℃~150℃の温度で、1分間~10時間、好ましくは10分間~5時間行われる。
【0047】
この接触では、芳香族炭化水素(b)は、固体状チタン(a)1gに対して通常1~10000ml、好ましくは5~5000mlより好ましくは10~1000mlの量で用いられる。液状チタン(c)は、芳香族炭化水素(b)100mlに対して通常0.1~50ml、好ましくは0.2~20ml、特に好ましくは0.3~10mlの範囲で用いられる。電子供与体(d)は、芳香族炭化水素(b)100mlに対して通常0.01~10ml、好ましくは0.02~5ml、特に好ましくは0.03~3mlの量で用いられる。
【0048】
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触順序は、特に限定されることなく、同時または逐次に接触させることができる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)は、不活性ガス雰囲気下、攪拌下に接触させることが好ましい。例えば、充分に窒素置換された攪拌機付きガラス製フラスコ中で、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)のスラリーを、上記温度で、攪拌機を100~1000rpm、好ましくは200~800rpmの回転数で、上記の時間、攪拌して、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)を接触させることが望ましい。
【0049】
接触後の固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)とは、濾過により分離することができる。
このような固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)との接触により、固体状チタン(a)よりもチタン含有量が減少された固体状チタン触媒成分(i)が得られる。具体的には、チタン含有量が固体状チタン(a)よりも25質量%以上、好ましくは30~95質量%より好ましくは40~90質量%少ない固体状チタン触媒成分(i)が得られる。
【0050】
上記のようにして得られる固体状チタン触媒成分(i)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たし、好ましくは下記要件(k5)をさらに満たしている。
(k1)固体状チタン触媒成分(i)のチタン含有量は2.5質量%以下、好ましくは2.2~0.1質量%、より好ましくは2.0~0.2質量%、特に好ましくは1.8~0.3質量%、最も好ましくは1.5~0.4質量%である。
(k2)電子供与体の含有量は8~30質量%、好ましくは9~25質量%、より好ましくは10~20質量%である。
(k3)電子供与体/チタン(質量比)は7以上、好ましくは7.5~35、より好ましくは8~30、特に好ましくは8.5~25である。
(k4)固体状チタン触媒成分(i)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。なお、固体状チタン触媒成分(i)のヘキサン洗浄とは、固体状チタン触媒成分(i)1gに対して、通常10~500ml、好ましくは20~100mlの量のヘキサンで5分間洗浄することをいう。室温とは15~25℃である。また、チタンが実質的に脱離されることがないとは、ヘキサン洗浄液中のチタン濃度が0.1g/リットル以下であることを意味する。
(k5)固体状チタン触媒成分(i)は、平均粒径が5~70μmであり、好ましくは7~65μmであり、より好ましくは8~60μmであり、特に好ましくは10~55μmである。
【0051】
ここで、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体の量は、それぞれ固体状チタン触媒成分(i)の単位質量あたりの質量%であり、マグネシウム、ハロゲンおよびチタンはプラズマ発光分光分析(ICP法)により、電子供与体はガスクロマトグラフィーにより定量される。また、触媒の平均粒径は、デカリン溶媒を用いた遠心沈降法により測定される。
【0052】
上記のような固体状チタン触媒成分(i)は、オレフィン重合用触媒成分として用いると、プロピレンを高活性で重合させることができるとともに、立体規則性の低いプロピレン単独重合体の生成量が少なく、高立体規則性のプロピレン単独重合体を安定に製造することができる。
【0053】
≪有機ケイ素化合物成分(ii)≫
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機ケイ素化合物成分(ii)は、下記式(II)で表わされる。
【0054】
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
【0055】
R1としては、脂環式炭化水素基、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシニル基、置換基を有するこれらの基などが挙げられる。
【0056】
また、R1として、Siに隣接する炭素が2級炭素である炭化水素基としては、i-プロピル基、s-ブチル基、s-アミル基、α-メチルベンジル基などが挙げられ、Siに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基としては、tert-ブチル基、tert-アミル基、α,α'-ジメチルベンジル基、アドマンチル基などが挙げられる。
【0057】
これらの中では、シクロペンチル基およびシクロブチル基が好ましく、特にシクロペンチル基が好ましい。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、ter-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中ではメチル基およびエチル基が特に好ましい。
【0058】
R3としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、ter-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。これらの中では、エチル基が特に好ましい。
【0059】
R4としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、ter-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。これらの中では、エチル基が特に好ましい。
【0060】
前記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシラン、シクロペンテニルジエチルアミノジメトキシシラン、シクロペンタジエニルジエチルアミノジメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルアミノジメトキシシラン、イソプロピルジエチルアミノジメトキシシラン、tert-ブチルジエチルアミノジメトキシシランなどが挙げられる。
【0061】
前記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物の中では、高立体規則性、特に、長いメソ連鎖長及びクロス分別クロマトグラフ分析(CFC)での高温溶出量割合を高める観点から、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランが好ましい。
【0062】
上述した有機ケイ素化合物成分(ii)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記固体状チタン触媒成分(i)と前記有機ケイ素化合物成分(ii)とを組み合わせて用いることにより、これまでにないレベルの高立体規則性を有するプロピレン系重合体を得ることができる。
【0063】
≪有機金属化合物成分(iii)≫
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機金属化合物成分(iii)は、周期律表の1族、2族または13族に属する金属を含む有機金属化合物であり、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第2族金属の有機金属化合物などが挙げられる。なお、有機金属化合物成分(iii)は、2種以上を併用してもよい。
〈有機アルミニウム化合物〉
前記有機アルミニウム化合物は、例えば下記式で示される。
【0064】
Ra
nAlX3-n
式中、Raは炭素原子数1~12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1~3である。
【0065】
Raは、炭素原子数1~12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどである。
【0066】
また、前記有機アルミニウム化合物として、下記式で示される化合物を挙げることもできる。
Ra
nAlY3-n
式中、Raは上記と同様であり、Yは-ORb基、-OSiRc
3基、-OAlRd
2基、-NRe
2基、-SiRf
3基または-N(Rg)AlRh
2基であり、nは1~2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Reは水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
【0067】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
(1)Ra
nAl(ORb)3-n で表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
(2)Ra
nAl(OSiRc)3-n で表される化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など。
(3)Ra
nAl(OAlRd
2)3-nEt2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など。
【0068】
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、Ra
3Alで表される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
《オレフィン重合用触媒の製造方法》
前記オレフィン重合用触媒は、前記固体状チタン触媒成分(i)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
【0069】
本発明では、これら各成分(i)、(ii)、(iii)からオレフィン重合用触媒を形成する際に、必要に応じて他の成分を用いることもできる。
本発明では、上記のような各成分から予備重合触媒(p)が形成されていてもよい。予備重合触媒(p)は、上述した各成分(i)、(ii)、(iii)および必要に応じて用いられる他の成分の存在下に、プロピレンなどのオレフィンを予備重合させることにより形成される。このような予備重合触媒(p)は、通常、有機ケイ素化合物(ii)および有機金属化合物(iii)とともにオレフィン重合用触媒を形成するが、予備重合触媒(p)のみをオレフィン重合用触媒として用いることができる場合もある。
【0070】
<プロピレン単独重合体(X)の製造方法>
前記プロピレン単独重合体(X)の製造方法では、上述したオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させる。
【0071】
本発明では、重合は溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法いずれにおいても実施することができる。重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応溶媒として、不活性有機溶媒を用いることもできるし、反応温度において液状のプロピレンを用いることもできる。
【0072】
不活性有機溶媒としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;脂環族炭化水素;芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの接触物などを挙げることができる。これらの中では、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
【0073】
重合に際しては、固体状チタン触媒成分(i)または予備重合触媒(p)は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約1×10-5~1ミリモル、好ましくは約1×10-4~0.1ミリモルの量で用いられる。
【0074】
有機ケイ素化合物(ii)は、有機金属化合物(iii)の金属原子1モルに対し、通常約0.001モル~10モル、好ましくは0.01モル~5モルの量で用いられる。
有機金属化合物(iii)は、該化合物(iii)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1~2000モル、好ましくは約2~500モルとなるような量で用いられる。
【0075】
なお、この重合時に予備重合触媒(p)を用いると、有機ケイ素化合物(ii)および/または有機金属化合物(iii)を添加しなくてもよい場合がある。予備重合触媒(p)、成分(ii)および成分(iii)からオレフィン重合用触媒が形成されるときには、これら各成分(ii)および(iii)は上記のような量で用いることができる。
【0076】
重合時に水素を用いれば、得られるプロピレン単独重合体の分子量を調節することができ、MFRの大きい重合体が得られる。
本発明では、重合は、通常、約20~150℃、好ましくは約50~100℃の温度で、また常圧~100kg/cm2、好ましくは約2~50kg/cm2の圧力下で行われる。
【0077】
本発明では、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
<ポリマー系α晶造核剤(C)>
本発明に係るコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの基層を形成するプロピレン重合体組成物に含まれるポリマー系α晶造核剤(C)は、ポリマー(重合体)からなる造核剤であり、好ましくはプロピレン単独重合体を得る際に用いる触媒の予備重合により製造される重合体であり、より好ましくはガラス転移温度および/または融点(Tm)が200℃以上であり、更に好ましくは280℃以上の重合体からなる。
【0078】
本発明に係わるポリマー系α晶造核剤(C)は、予備重合により製造されることにより、サブナノオーダーに微分散しているので、極少量で核剤効果を発揮する。ガラス転移温度および/または融点(Tm)が200℃以上の場合はプロピレン単独重合体の球晶サイズが小さくなり、結晶化度が高くなるので、核剤効果に優れる。また280℃以上の場合はそれらの効果はさらに顕著に得られる。
【0079】
〈予備重合により製造される重合体〉
本発明に係わる予備重合により製造される重合体は、プロピレンを重合する触媒の予備重合により形成されるオレフィンの重合体である。予備重合触媒成分の調製に用いられるオレフィンとしては、下記式(i)または(ii)で表される化合物が用いられ、具体的には3‐メチル‐1‐ブテン、3‐メチル‐1‐ペンテン、3‐エチル‐1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ヘキセン、4,4‐ジメチル‐1‐ヘキセン、4,4‐ジメチル‐1‐ペンテン、4‐エチル‐1‐ヘキセン、3‐エチル‐1‐ヘキセン、アリルナフタレン、アリルノルボルナン、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類などの分岐構造を有するオレフィンであり、得られるオレフィン重合体のガラス転移温度、および、または結晶融点が200℃以上である。
【0080】
【0081】
<プロピレン重合体組成物>
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの基層を構成するプロピレン重合体組成物は、上記プロピレン単独重合体(X)および上記ポリマー系α晶造核剤(C)を0.0001~0.05質量%、好ましくは0.0001~0.03質量%、より好ましくは0.0001~0.01質量%を含む組成物(但し、プロピレン単独重合体(X)とポリマー核剤(C)の合計量を100質量%とする。)である。
【0082】
本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、上記プロピレン単独重合体(X)と上記ポリマー系α晶造核剤(C)を上記範囲で混合することにより得られるが、好ましくは上記プロピレン単独重合体(X)を製造する際のオレフィン重合用触媒の製造方法において、予備重合触媒として、上記式(i)または(ii)で表されるオレフィンを予備重合させることにより製造されるオレフィン重合体(ポリマー系α晶造核剤)がプロピレン単独重合体(X1)中に微分散されるので特に好ましい。
【0083】
本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、上記記載したように、予備重合触媒として、上記式(i)または(ii)で表されるオレフィンを予備重合させることにより製造されるオレフィン重合体(ポリマー系α晶造核剤)がプロピレン単独重合体(X1)中に微分散されたプロピレン重合体組成物を単独で用いてもよいが、上記プロピレン単独重合体(X)の製造方法において、予備重合触媒(p)として、上記式(i)または(ii)で表される化合物以外のオレフィン、例えばプロピレンなどのオレフィンを用いて得られる、プロピレン単独重合体(X2)を、上記オレフィン重合体(ポリマー系α晶造核剤)を含むプロピレン単独重合体(X1)に配合することにより、含まれるポリマー系α晶造核剤の量を適宜、調整して用い得る。
【0084】
本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。好ましくは、各種酸化防止剤(イルガノックス1010、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、イルガフォス168など)、ステアリン酸カルシウムなどの各種添加剤を添加しながら、180~280℃の範囲で溶融押出しにて配合することが例として挙げられる。
【0085】
[プロピレン系重合体(Y)]
本発明に係るコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの表層を形成するプロピレン系重合体は、上記基層を形成するプロピレン単独重合体(X)であってもよいし、エチレン、炭素数4以上のα‐オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル‐1-ペンテン、3-メチル‐1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル‐1-ブテンなどの炭素数2~8のオレフィンを通常8モル%以下、好ましくは6モル%以下を含むランダム共重合体であってもよい。
【0086】
本発明に係るプロピレン系重合体(Y)は、好ましくは上記基層を形成するプロピレン単独重合体(X)が満たす上記要件(1)~(5)を具備する。
ただし、プロピレン単独重合体(X)を本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの表層あるいは裏層に用いる場合は、上記ポリマー系α晶造核剤(C)を含まない重合体、例えば、上記プロピレン単独重合体(X2)であるか、上記ポリマー系α晶造核剤(C)含む場合もポリマー系α晶造核剤(C)の含有量が0.00001質量%未満のプロピレン単独重合体を用いる。
【0087】
なお、本発明に係るプロピレン系重合体(Y)をコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの表層および裏層に用いる場合は、表層に用いるプロピレン系重合体(Y)と裏層に用いるプロピレン系重合体(Y)は同一であってもよいが、上記特性を有する範囲で異なる特性を有するプロピレン系重合体(Y)であってもよい。
【0088】
本発明に係わるプロピレン系重合体(Y)は、上記プロピレン単独重合体(X)の製造方法でも製造し得るが、種々公知の製造方法でも製造し得る。
本発明に係るコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの表層および裏層を形成するプロピレン系重合体(Y)は、発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。好ましくは、各種酸化防止剤(イルガノックス1010、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、イルガフォス168など)、ステアリン酸カルシウムなどの各種添加剤を添加しながら、180~280℃の範囲で溶融押出しにて配合することが例として挙げられる。
【0089】
[コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム]
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、上記プロピレン単独重合体(X)およびポリマー系α晶造核剤(C)を0.0001~0.05質量%含むプロピレン重合体組成物からなる基層の少なくとも片面にプロピレン系重合体(Y)からなる表層または裏層を有し、且つ基層および表層または裏層がいずれも延伸されてなる多層フィルムである。
【0090】
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは好ましくは基層の片面に表層および基層の他の片面に裏層を有する。
多層フィルムの全体の厚さは、通常、1~20μmの範囲、好ましくは1.5~10μmの範囲、より好ましくは2~5μmの範囲、多層フィルムの基層と表層または裏層の厚さ比率は、通常、9:1~6:1の範囲、好ましくは9:1~7:3の範囲、より好ましくは9:1~8:2の範囲にある。
【0091】
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、好ましくは、表層あるいは裏層の表面粗さRaが0.2以上、さらに好ましくは0.3以上である。表面粗さRaが0.2以上あると、フィルム同士の接触面積が小さくなるため、耐ブロッキング性において好ましい。
【0092】
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、好ましくは、100℃における絶縁破壊電圧(V/μm)が、540V/μm以上である。
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、表面への造核剤のブリードアウトがない。
【0093】
<コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの製造方法>
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、種々公知の方法、例えば、基層となる上記プロピレン重合体組成物、表層あるいは裏層となる上記プロピレン系重合体(Y)とを共押出し成形して得た多層シートを延伸することで、コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを作製することができる。この多層シートは、延伸方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法が挙げられるが、二軸延伸法が好ましい。二軸延伸法としては、フィルムに対して機械方向へ一軸延伸を行い、次いで機械方向に対して直角方向へ延伸する逐次二軸延伸法、機械方向とそれに対して直角方向へ同時に延伸する同時二軸延伸法などが挙げられる。具体的には、テンター法、チューブラーフィルム法などの逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法を用いることができる。
【0094】
テンター法では、例えば以下の方法により行うことができる。Tダイから溶融押出された溶融多層シートを、通常、40~120℃、好ましくは50~100℃、より好ましく60~90℃の範囲にある冷却ロールで固化させ、該多層シートを必要により予熱した後延伸ゾーンに導入する。次いで、該シートを機械方向(縦方向)に120~160℃の温度で3~9倍延伸し、機械方向の直角方向(横方向)に150~190℃の温度で5~11倍で延伸する。合計の延伸面倍率は、30~80倍、好ましくは35~75倍、より好ましくは35~70倍、更に好ましくは35~50倍である。延伸面倍率が30倍未満である場合、所望の強度や厚み精度を得ることが困難となる場合がある。また、延伸面倍率が80倍を超える場合、延伸時に破断が生じやすくなり、生産性に劣る場合がある。
【0095】
また、必要に応じて、二軸延伸されたコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムに対して160~190℃で熱固定することもできる。これにより、熱寸法安定性、耐摩耗性などがより向上したコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
【実施例0096】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例に記載された各種物性の測定方法は以下のとおりである。
【0097】
〔プロピレン単独重合体およびプロピレン系重合体の物性〕
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238Eに準拠し、測定温度は230℃、荷重は2.16kgとした。
【0098】
<メソペンタッド分率(mmmm(ノイズ除去法))>
1.測定条件
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o-ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm(メソpentad methyl peak shifts)
2.算出法
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm, %)は、上記1の測定条件により得られた13C-NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
【0099】
ここで、本発明における測定対象のような、これまでにないレベルの高い立体規則性を有するポリプロピレンの場合、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域を積分値に含めると、「ノイズ」の積分値への影響度が大きくなり、一般的な算出方法におけるS2を過大評価、即ちmmmm(%)を過少評価してしまうという問題があると考える。Prog. Polym. Sci. 26(2001), 443-533においても、95%以上の立体規則性を有するポリプロピレンの場合、一定要件を満たせば、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域の積分値は、理論上、合計0.1%以下となることが報告されており、一般的な算出方法におけるS2の過大評価に繋がることを示唆している。
【0100】
そこで、本発明では、下記(式1)に従い算出した。rmmr,mmrm,rmrr,rmrm,mrrr領域については、Prog.Polym.Sci.26(2001),443-533の示唆に従い計算から除いた。以下、本明細書での算出法を「ノイズ除去法」と称する。
【0101】
mmmm(ノイズ除去法)(%)=S1/S2*100 ・・・(式1)
S1=(mmmm,mmmrを含むピーク)-(n-プロピル末端)-(n-ブチル末端)-mrrm*2
S2=S1+mmmr+mmrr+mrrm+rrrr
=S1+5*mrrm+rrrr
上記(式1)で算出するにあたり、例として、下記の如く帰属した。なお、mmmmのピークには、mmmrと(n-プロピル末端)及び(n-ブチル末端)の各ピークが重複している。
【0102】
mmmm,mmmrを含むピーク:21.2~22.0ppmのピーク面積
mmmr=mrrm*2
mmrr=mrrm*2
mrrm:19.5~19.7ppmのピーク面積
rrrr:20.0~20.2ppmのピーク面積
n-プロピル末端:(A1+A3)/2
A1:14.2ppmのピーク面積
A3:39.4ppmのピーク面積
n-ブチル末端:36.7ppmのピーク面積
<灰分含有量>
灰分含有量は、ペレットをるつぼに入れ完全に燃焼させて、そのるつぼを電気炉内で、800℃で2時間灰化させ、るつぼに残った灰を計測し灰分(ppm)を求めたものである。
【0103】
<塩素含有量>
試料0.8gを、三菱化成社製燃焼装置を用いてアルゴン/酸素気流下で、400~900℃で燃焼した。その後、燃焼ガスを超純水で捕捉し、濃縮後の試料液を、DIONEX-DX300型イオンクロマト装置(商品名、日本ダイオネック(株)製)および陰イオンカラムAS4A-SC(商品名、ダイオネック社製)を用いて測定して塩素含有量を求めた。
【0104】
<分子量分布>
分子量分布の指標であるMw/Mn値は、下記条件で測定したクロマトグラムを公知の方法によって解析することによって得た。
【0105】
装置:Waters製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型
カラム:東ソー製TSKgel GMH6-HTx2+TSKgel GMH6-HTLx2
移動相:o-ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
流速:1.0ml/min
温度:140℃
カラム校正:東ソー製単分散ポリスチレン
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.4ミリリットル
《プロピレン単独重合体およびポリマー系α晶造核剤を含有するプロピレン重合体組成物の製造》
実施例で用いたポリマー系α晶造核剤を含有するプロピレン重合体組成物は、以下の製造例で製造した。
【0106】
[製造例1]
<固体状チタン触媒成分の調製>
4.5m3の反応器に無水塩化マグネシウム240kg、デカン1100リットルおよび2-エチルヘキシルアルコール990kgを装入し130℃で加熱して均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸54kgを添加し、さらに、130℃にて攪拌し、無水フタル酸を溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、-25℃に保持した四塩化チタン6.7m3中に攪拌しながらこの均一溶液を全量滴下装入した。装入終了後の温度は約-20℃であった。次に、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)13kgを添加し、これより2時間同温度にて攪拌保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を7.3m3の四塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンにて溶液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで、充分洗浄した。以上の操作によって固体状チタン触媒成分(A)を得た。
【0107】
得られた固体状チタン触媒成分(A)の組成は、チタン;2.2重量%、塩素;61重量%、マグネシウム;19重量%、DIBP;12.7重量%であった。
<予備重合触媒の調製>
80リットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、精製ヘキサン40リットル、トリエチルアルミニウム3.0モル、トリメチルメトキシシラン3.0モルおよび上記固体状チタン触媒成分(A)をチタン原子換算で0.3モル添加した後、20℃の温度で3-メチル-1-ブテン(3MB-1)1.5kgを反応器に供給し、2時間予備重合を行った。反応終了後、反応器内を窒素で置換し、上澄液の除去および精製ヘキサンの添加からなる洗浄操作を3回行いポリマーα晶造核剤である3MB-1を含む予備重合触媒(B)を得た。この予備重合触媒(B)は、精製ヘキサンで再懸濁して保存した。
【0108】
<プロピレンの重合>
内容積1000リットルの攪拌機付き反応器に精製n-ヘキサン450リットルを装入し、60℃、プロピレン雰囲気にてトリエチルアルミニウム500ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン500ミリモルおよび予備重合触媒(B)をチタン原子換算で10ミリモルTi装入した。水素250リットルを導入し、80℃に昇温した後、これを4時間保持してプロピレン重合を行った。重合中の圧力は6kg/cm2Gに保った。重合終了後、脱圧し、生成固体を含むスラリーを遠心分離し、ドライヤーにて乾燥することで白色粉末状のポリマー系α晶造核剤含有プロピレン重合体組成物200kgを得た。
【0109】
得られたポリマー系α晶造核剤含有プロピレン重合体組成物のメルトフローレートは2g/10分であり、沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性指標[M5]の値は0.986であり、ポリマーα晶造核剤である3MB-1重合体の含有量は300ppmであり、密度は0.919g/cm3であった。
【0110】
3MB-1重合体の融点は310℃であった。
本製造例1で得たポリマー系α晶造核剤含有プロピレン重合体組成物は、プロピレン単独重合体(X)であるプロピレン単独重合体(X1)とポリマー系α晶造核剤(C)である3MB-1重合体を300ppm含有する組成物である。実施例では、当該組成物をプロピレン重合体組成物(Z)とした。
【0111】
なお、プロピレン重合体組成物(Z)は、当該組成物100質量部に対して、酸化防止剤として3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエンを0.2質量部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.65質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.005重量部を配合し、単軸押出機を用いて、樹脂温度230℃で溶融混練して組成物脂をペレット化した。なお、単軸押出機は、(株)ジーエムエンジニアリング製GMZ50-32(L/D=32)を使用した。
【0112】
得られたプロピレン重合体組成物(Z)に含まれるプロピレン単独重合体(X1)であるプロピレン単独重合体(X1‐1)の物性を表1に示す。
〔実施例および比較例で用いたプロピレン重合体〕
《プロピレン単独重合体の製造》
[製造例2]
<固体状チタン(a-1)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、該装置に精製灯油700ml、塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王アトラス(株)製「エマゾール320」)3gを装入した。この系を撹拌下で昇温し、120℃および800rpmの条件で30分間撹拌した。高速撹拌下、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め-10℃に冷却された精製灯油1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。得られた固体を濾過し、精製n-ヘキサンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
【0113】
次いで、前記固体状付加物(マグネシウム原子に換算して45ミリモル)をデカン20mlに懸濁させた後、-20℃に保持した四塩化チタン195ml中に、攪拌下で全量導入した。この混合液を5時間かけて80℃に昇温し、ジイソブチルフタレート1.8ml(6.2ミリモル)を添加した。引き続き110℃まで昇温して1.5時間攪拌した。
【0114】
1.5時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、100℃のデカンおよび室温のヘキサンによって、ろ液中にチタンが検出されなくなるまで洗浄した。このようにして、チタン3.8質量%、マグネシウム16質量%、ジイソブチルフタレ-ト18.2質量%、エタノ-ル残基1.1質量%を含有する固体状チタン(a-1)を得た。
【0115】
<固体状チタン触媒成分(i-1)の調製>
充分に窒素置換された200mlのガラス製反応器に、得られた固体状チタン(a-1)6.8g、パラキシレン113ml、デカン11ml、四塩化チタン2.5ml(23ミリモル)及びジイソブチルフタレ-ト0.34ml(1.2ミリモル)を入れた。反応器内の温度を130℃に昇温し、その温度で1時間攪拌して接触処理した後、熱ろ過により固体部を採取した。この固体部を101mlのパラキシレンに再懸濁させ、さらに四塩化チタン1.7ml(15ミリモル)及びジイソブチルフタレート0.22ml(0.8ミリモル)を添加した。
【0116】
次いで、130℃に昇温し、該温度を保持しながら1時間攪拌して反応させた。反応終了後、再び熱ろ過にて固液分離を行い、得られた固体部を100℃のデカン及び室温のヘキサンによって触媒中のパラキシレンが1質量%以下となるまで洗浄した。このようにして、チタン1.3質量%、マグネシウム20質量%、ジイソブチルフタレート13.8質量%を含有する固体状チタン触媒成分(i-1)を得た。
【0117】
<予備重合触媒(p-1)の調製>
窒素置換された200mlのガラス製反応器に、ヘキサン50ml、トリエチルアルミニウム2.5ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシラン0.5ミリモル、および上記で得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.25ミリモル装入した後、系内の温度を20℃に保ちながら、1.47リットル/時間の量でプロピレンを1時間供給した。この操作により、固体状チタン触媒成分(i-1)1g当り3gのプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p-1)を得た。
【0118】
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素3.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.4ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.7ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてプロピレン単独重合体248gを得た。
【0119】
同様の操作を複数回実施し、計5kgのプロピレン単独重合体を得た。得られたプロピレン単独重合体1キログラムに対し、純水0.6グラムとプロピレンオキサイド5.4ミリリットルを添加して、90℃で2時間脱塩素処理を行った後に80℃にて真空乾燥を行い、プロピレン単独重合体のパウダーを得た。得られたプロピレン単独重合体の物性を評価した結果を表1に示す。
【0120】
なお、本発明では、表層に用いるプロピレン系重合体(Y)は、プロピレン単独重合体(X)を含むので、製造例2で得られたプロピレン単独重合体を表層に用いた場合は、プロピレン系重合体(Y1)と表記し、プロピレン単独重合体を基層のポリマー系α晶造核剤を含有するプロピレン重合体組成物の一部に用いた場合は、プロピレン単独重合体(X2)はプロピレン単独重合体(X2‐1)と表記した。
【0121】
表1に、プロピレン単独重合体(X2‐1)、プロピレン単独重合体(X1‐1)、およびプロピレン系重合体(Y1)の物性を示すが、プロピレン単独重合体(X2‐1)とプロピレン系重合体(Y1)は同一のプロピレン単独重合体である。
【0122】
<添加剤の配合・造粒>
次に、得られたプロピレン単独重合体100質量部に対して、酸化防止剤として3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエンを0.2質量部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.2質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.01質量部配合してドライブレンドした。ついで、単軸押出機を用いて、樹脂温度230℃で溶融混練して組成物脂をペレット化した。なお、単軸押出機は、(株)ジーエムエンジニアリング製GMZ50-32(L/D=32)を使用した。
【0123】
上記製造例1および製造例2で得られたプロピレン単独重合体(X1)、プロピレン重合体組成物(Z)およびプロピレン単独重合体(X2)の物性を上記記載の測定方法で測定した。結果を表1に示す。
【0124】
【0125】
〔実施例1〕
〈原反シートの作製〉
表裏層を形成するプロピレン重合体(Y)として、製造例2で得られたプロピレン単独重合体(Y1)を、基層(中間層)を形成するプロピレン重合体組成物として、製造例1で得られたポリマー系α晶造核剤を含有するプロピレン重合体組成物(Z)を用い、2種3層25mmφ/30mmφの多層Tダイシート成形機(株式会社ジーエムエンジニアリング製)で温度270℃に溶融後、押し出し、チルロール65℃に保持された1個の冷却ロールにより、引張り速度1.0m/分の条件で冷却し、厚み315μmの原反シートを得た。その際、中間層と表裏層の厚み比は、表層:中間層:裏層が1:8:1になるようにした。
【0126】
〈コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの作製〉
得られた原反シートを95mm×95mmにカットし、下記の条件で二軸延伸し、厚さ7μmの多層二軸延伸フィルム(コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルム)を得た。厚みは予熱温度を変えて調整した。
【0127】
<延伸条件>
延伸装置:KARO IV(商品名、ブルックナー社製)
予熱温度:153~162℃
予熱時間:60秒
延伸倍率:縦方向(機械方向)5倍×横方向9倍の逐次二軸延伸(延伸面倍率:45倍)
延伸速度:6m/分
得られたフィルムについて下記記載の方法に従い物性を評価した。結果を表2に示す。
【0128】
〔コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムの物性〕
<ブリード量>
25mmφ/30mmφの多層Tダイシート成形機(株式会社ジーエムエンジニアリング製)で270℃に溶融後、押し出し、65℃に保持された1個の冷却ロールにより、引張り速度1.0m/分で冷却し、厚み315μmの原反シートを得る。得られた原反シートを120℃に加温したオーブン内で48時間エージングする。エージング後の原反シート縦×横、30cm×18cmにカット。このカットシート10枚の両面をジクロロメタンで洗浄・回収し、脱溶媒後の洗浄回収物を秤量、この量をブリード総量とする。また洗浄回収物をHPLC(UV254nm)に供することで核剤を定量する。
【0129】
<表面粗さ>
JIS B0601-1994に準じて測定を行った。
<耐電圧(BDV)>
得られた延伸フィルムのBDVをJIS-C2330に準拠して測定した。二軸延伸フィルムの絶縁破壊電圧を100℃および120℃で測定した。耐電圧(BDV、V/μm)は、絶縁破壊電圧をフィルム厚みで除して算出した。
【0130】
<内部ヘイズ>
得られた延伸フィルムシクロヘキサノールを入れたガラスセルに試験片を浸漬し、JIS K7136に準じてヘイズを測定した。
【0131】
<表面粗さ>
得られた延伸フィルムの表面層の、MD方向の平均表面粗度Raを、JIS-B0601:1994に準じて表面粗さ測定機を用い、測定速度0.15mm/分でn=3測定し、算術平均した。
【0132】
〔実施例2〕
実施例1で用いた基層(中間層)を形成するプロピレン重合体組成物に替えて、プロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物(Z)6質量部に製造例2で得られたプロピレン単独重合体(X2‐1)を94質量部配合したプロピレン重合体組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0133】
評価結果を表2に示す。
〔実施例3〕
実施例1で用いた基層(中間層)を形成するプロピレン重合体組成物に替えて、プロピレン重合体組成物として、実施例1で用いたプロピレン重合体組成物(Z)3質量部に製造例2で得られたプロピレン単独重合体(X2‐1)を97質量部配合したプロピレン重合体組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、コンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0134】
評価結果を表2に示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いた基層(中間層)を形成するプロピレン重合体組成物に替えて、製造例2で得たプロピレン系単独重合体(X2‐1)を単独で用いる以外は実施例1と同様に行い、基層および表裏層がプロピレン系単独重合体(X2‐1)からなる1種3層のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0135】
評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1で用いた両表面層および中間層(基材層)に替えて、プロピレン系単独重合体(X2‐1)100質量部に結晶核剤として、有機系α晶造核剤〔ミリケン社製 商品名:NX8000J〕を0.05質量部添加した組成物(W1)を表裏層および中間層(基材層)に用いる以外は実施例1と同様に行い、基層および表裏層が上記組成物からなる1種3層のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0136】
評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1で用いた表裏層および中間層(基材層)に替えて、プロピレン系単独重合体(X2‐1)100質量部に結晶核剤として、有機系α晶造核剤〔ミリケン社製 商品名:NX8000J〕を0.1質量部添加した組成物(W2)を表裏層および中間層(基材層)に用いる以外は実施例1と同様に行い、基層および表裏層が上記組成物からなる1種3層のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0137】
評価結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例1で用いた表裏層および中間層(基材層)に替えて、実施例3の基層(中間層)に用いたプロピレン重合体組成物(Z)3質量部に製造例2で得られたプロピレン単独重合体(X2‐1)を97質量部配合したプロピレン重合体組成物を両表面層および中間層(基材層)に用いる以外は実施例1と同様に行い、1種3層のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0138】
評価結果を表2に示す。
〔比較例5〕
実施例1で用いた基層(中間層)を形成するプロピレン重合体組成物に替えて、プロピレン重合体組成物として、比較例1で用いたプロピレン系単独重合体(X2‐1)100重量部に有機系α晶造核剤〔ミリケン社製 商品名:NX8000J〕0.1質量部を添加した組成物(W2)を用いる以外は実施例1と同様に行い、2種3層のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムを得た。
【0139】
評価結果を表2に示す。
【0140】
本発明のコンデンサ用多層ポリプロピレンフィルムは、ポリマー系α晶造核剤を含む基層と、プロピレン系重合体組成物からなる表層および/または裏層を備える(表層、裏層とは基層に接する層)多層フィルムであるので、長期保存してもα晶造核剤のブリードアウトが抑制され、且つ、表面粗さが大きくなることで耐ブロッキング性が付与され、球晶サイズも微細化されており、ボイドが抑制され高温BDVと耐ブロッキング性の双方が両立している。
Mw/Mnが4.5以上であると、延伸フィルムを成形する際の延伸性に優れ、均一なフィルムが得られやすい。また、Mw/Mnが12.0以下であるとプロピレン単独重合体に含まれる低分子量成分が少なく、フィルム成形時にベタツキ等が抑制され、成形性において好ましい。すなわち、Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン単独重合体の成形性及び延伸性および得られるコンデンサフィルムの厚みの均一性の観点から好ましい。Mw/Mnは、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
前記マグネシウム化合物は固体状態で用いられることが好ましい。この固体状態のマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物自体が固体状態であるものであってもよく、または電子供与体との付加物であってもよい。前記マグネシウム化合物としては、特開2004-2742号公報に記載のマグネシウム化合物、具体的には、塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、ブトキシマグネシウムなどが挙げられる。また、前記電子供与体としては、特開2004-2742号公報に記載のマグネシウム化合物可溶化能を有する化合物、具体的には、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸及びこれらの混合物などが挙げられる。マグネシウム化合物及び電子供与体の使用量は、その種類、その接触条件等によっても異なるが、マグネシウム化合物を該液状の電子供与体に対して0.1~20モル/リットル、好ましくは0.5~5モル/リットルとなる量で用いることができる。
なお、プロピレン重合体組成物(Z)は、当該組成物100質量部に対して、酸化防止剤として3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエンを0.2質量部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.65質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.005質量部を配合し、単軸押出機を用いて、樹脂温度230℃で溶融混練して組成物樹脂をペレット化した。なお、単軸押出機は、(株)ジーエムエンジニアリング製GMZ50-32(L/D=32)を使用した。