(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127985
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】地図記憶装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20240912BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107990
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2023508438の分割
【原出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021050948
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 佑一
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作によることなく、必要な地図を自動で判定して記憶することで地図を生成する地図記憶装置を提供する。
【解決手段】この地図記憶装置は、車両が走行した経路の地図データを作成する地図作成部と、前記地図データを一時的に記憶する地図データ一時記憶部と、前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データの一部を非一時的に記憶する地図データ記憶部と、前記車両の挙動の履歴である挙動履歴情報を保存する挙動履歴情報保存部と、前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データを前記地図データ記憶部に記憶するか否かを、前記挙動履歴情報に基づいて判定する車両挙動判定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行した経路の地図データを作成する地図作成部と、
前記地図データを一時的に記憶する地図データ一時記憶部と、
前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データの一部を非一時的に記憶する地図データ記憶部と、
前記車両の挙動の履歴である挙動履歴情報を保存する挙動履歴情報保存部と、
前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データを前記地図データ記憶部に記憶するか否かを、前記挙動履歴情報に基づいて判定する車両挙動判定部と
を備えることを特徴とする地図記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安全運転や自動運転などの実現のため、環境地図と、自車両に設けられたセンサ類から得られる情報により自車両の位置を推定する技術が知られている。従来、環境地図を生成する地図生成システムとして、車載カメラからの路面画像に基づいて地図を生成する地図生成システム(例えば特許文献1)や、レーザレンジファインダからレーザ光を照射して計測した距離から三次元位置情報を生成し、高精度三次元環境地図を生成する地図生成システム(例えば特許文献2)が知られている。また、車両が走行中にデータを保存する際に、車両が定められた速度で走行している場合のみ、一時データ記憶手段に格納されたデータを非一時的記憶手段に格納する地図記憶装置(例えば特許文献3)が知られている。
【0003】
地図生成システムにおいては、ユーザが任意に地図を生成する場合は、HMI(Human Machine Interface)などのユーザインターフェースのボタンを操作することにより、地図生成開始の指示を行うと共に、地図生成完了の指示を行う。また、ナビゲーションシステムによる目的地誘導を行う場合には、目的地として登録された箇所の情報から、目的地に到着したことを示す情報を得ることで、地図として記憶すべき区間を判断することができる。
【0004】
しかし、自宅から会社への通勤や、自宅から近隣の商業施設などへの走行など、日常の走行においては、ユーザは通常目的地登録などを行わず自動車を走行させることが多く、この場合には必要な地図を記憶し、生成することができない。地図を記憶・生成するためには、ユーザの操作と外部からの情報が必要になるため、地図を生成するユーザにとっては手間となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-10393号公報
【特許文献2】特開2010-66595号公報
【特許文献3】特開2001-264074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ユーザの操作によることなく、必要な地図を自動で判定して記憶することで地図を生成する地図記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の地図記憶装置は、車両が走行した経路の地図データを作成する地図作成部と、前記地図データを一時的に記憶する地図データ一時記憶部と、前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データの一部を非一時的に記憶する地図データ記憶部と、前記車両の挙動の履歴である挙動履歴情報を保存する挙動履歴情報保存部と、前記地図データ一時記憶部に一時的に記憶された前記地図データを前記地図データ記憶部に記憶するか否かを、前記挙動履歴情報に基づいて判定する車両挙動判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの操作入力なしで、必要な地図を自動的に判定して記憶することができる地図記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態の地図記憶システムの全体構成を概略的に説明するブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態の地図記憶システムにおいて、車両挙動判定部103が車両の挙動として検出する、車両の切り返し操作を含む後ろ向き駐車を説明する概念図である。
【
図3】第1の実施の形態における地図情報の記憶動作について説明するフローチャートである。
【
図4】第2の実施の形態の地図記憶システムにおいて、車両挙動判定部103が車両の挙動として検出する、前向き駐車を説明する概念図である。
【
図5】第2の実施の形態の地図記憶システムの全体構成を概略的に説明するブロック図である。
【
図6】第2の実施の形態における地図情報の記憶動作について説明するフローチャートである。
【
図7】第3の実施の形態の地図記憶システムにおいて、車両挙動判定部103が車両の挙動として検出する、交差点への進入を説明する概念図である。
【
図8】第4の実施の形態の地図記憶システムの全体構成を概略的に説明するブロック図である。
【
図9】第4の実施の形態における地図情報の記憶動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1の機能ブロック図を参照して、第1の実施の形態の地図記憶システムの全体構成を概略的に説明する。この地図記憶システムは、車両に搭載され、地図生成部100と、地図データ一時記憶部101と、地図データ記憶部102とを備える。地図生成部100は、地図データ一時記憶部101及び地図データ記憶部102と、無線又は有線により通信可能に構成される。地図生成部100は、生成した地図を地図データ一時記憶部101に一時的に記憶させると共に、所定の条件の下、地図データ一時記憶部101に一時記憶した地図を、非一時的に(消去命令等が無い限り、長期的又は永続的に)地図データ記憶部102に記憶させる機能を有する。
【0013】
地図データ一時記憶部101は、各種データを一時的に記憶するよう構成される補助記憶手段であり、半導体メモリで構成される。地図データ一時記憶部101は、所定のデータ量の地図データを、予め定められた期間又は条件の間だけ一時的に記憶し、非一時的な記憶が不要と判断されるタイミングにおいて適宜破棄するように構成される。地図データ一時記憶部101を構成する半導体メモリは、DRAM等の揮発性メモリであってもよいし、フラッシュメモリ、MRAM、ReRAM等の不揮発性メモリであってもよい。一方、地図データ記憶部102は、各種データを非一時的に記憶することができる記憶手段であり、好適には、大容量のデータの読み書きが可能でデータを不揮発に記憶することが可能な記憶装置であるハードディスク、フラッシュメモリ、MRAM、CD-RAM、DVD-RAMなどである。なお、地図データ記憶部102は必ずしも車両に搭載される必要はなく、車両と通信可能なサーバ等に搭載されていてもよい。
【0014】
地図生成部100は、LiDAR(Light Detection and Ranging)やSONARなどの測距センサ(図示せず)から得られた三次元位置情報や特徴点から地図を生成する機能を有する。また、地図生成部100は、図示しない車載カメラが撮像した画像などから、標識、信号などの立体物、車線、横断歩道などの路面上の図形(ペイント)などを検出して地図を生成する機能を有する。地図生成部100は、車両が走行することにより得られる画像を計測して地図を生成することができるものである。また、地図生成部100は、システム起動後、常時地図を生成し、リングバッファとして循環的に地図データ一時記憶部101に地図データを記憶させる機能を有する。地図データ一時記憶部101に記憶されるデータの容量は、一時記憶データのサイズや、車両の走行距離、走行時間などの条件に従って決定することができる。
【0015】
地図生成部100は、搭載される車両の所定の挙動が検出された場合に、地図データの地図データ記憶部102への記憶を開始するように構成されている。このため、この地図記憶システムは、車両の挙動を判定するための構成として、車両挙動判定部103、車両速度入力部104、車両操舵入力部105、車両シフト入力部106、車両パーキングブレーキ入力部107、挙動履歴情報保存部108、及び車両挙動判定部103を備えている。なお、この明細書において、車両の「挙動」とは、車両の本体が移動している場合のみならず、車両の構成部材の一部のみが何らかの動作をしている場合を含む広義の意味に解される。車両自体が移動せず停止している場合にも、ここにいう「挙動」に含まれる。
【0016】
車両挙動判定部103は、一例としては、
図2に示すような車両の切り返し操作を含む後ろ向き駐車を判定し、目的地に到着したと判断し、地図データ一時記憶部101に一時的に記憶されている地図を地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることを地図生成部100に指示する。
【0017】
車両速度入力部104は、車両に搭載された速度計(図示せず)などから得られた車両の速度に関する情報(車速情報)を入力する機能を有する。また、車両操舵入力部105は、車両のハンドルの操舵量に関する情報(操舵情報)を図示しないパワーステアリングシステム等から入力する。車両シフト入力部106は、車両のギアシフトに関するシフト情報をオートマチックトランスミッションシステムの自動変速機から入力する。車両パーキングブレーキ入力部107は、車両のパーキングブレーキの制御に関するパーキングブレーキ情報を入力する。
【0018】
挙動履歴情報保存部108は、上述の各種入力部104~107から、車両の挙動に関する各種情報を一定時間に亘り入力され、挙動履歴情報として保存する。車両挙動判定部103は、この挙動履歴情報保存部108に保存された各種情報に基づいて車両の挙動を判定する。
【0019】
なお、上述の各種入力部104~107から入力される各種挙動履歴情報は、車両の挙動を判定するための情報の一例であり、この
図1の組合せに限定されるものではないことは言うまでもない。
図1以外の入力部が追加で採用されてもよいし、
図1の各種入力部を他の入力部で置換してもよい。例えば、ブレーキの操作に関する情報を入力する入力部が追加で採用されてもよいし、ドアの開閉を検知するセンサのセンシング情報を入力する入力部が採用されてもよい。また、ハンドル、ブレーキ、シフトレバーなどの運転者が操作する操作部の情報だけでなく、自動運転機能や運転支援機能からの制御信号や運転支援情報が入力されてもよい。
【0020】
一例として、挙動履歴情報保存部108は、車両速度入力部104からの車速が閾値以下となった場合に、挙動履歴情報の保存を開始する。ここでの閾値は、例えば20km/hとすることができる。その他の入力部105~107からの各種情報も同様に、所定の条件が満たされた場合に、挙動履歴情報保存部108への保存が開始される。複数種類の挙動履歴情報は、複数種類の挙動情報についての条件が満たされた場合に一括して挙動履歴情報保存部108に保存されることができる。又は、複数種類の挙動情報の各々の条件が満たされた場合に、当該挙動情報が挙動履歴情報保存部108に保存されてもよい。車両挙動判定部103は、このようにして挙動履歴情報保存部108に保存された挙動情報から車両の挙動を判定する。
【0021】
図3のフローチャートを参照して、第1の実施の形態における地図情報の記憶動作について説明する。ここでは、車両挙動判定部103において、車両が低速で駐車場に近付いた後、バックギアに切り替え、後退を開始して後ろ向き駐車を行っているか否かを判定する場合の動作を示している。
【0022】
前述のように、地図生成部100は、車両の走行中、車載カメラ、LiDAR、SONARなどからの情報に基づいて地図データを生成し、生成した地図データを地図データ一時記憶部101に記憶する。その間、挙動履歴情報保存部108は、車両の車速が所定の閾値(例えば20km/h)以下になると、各種入力部104~107から、各種の挙動履歴情報(車速情報、操舵情報、シフト情報、パーキングブレーキ情報)を入力され、その保存(取得)を開始する(ステップS100)。
【0023】
続いて、ステップS101~S106において、各種入力部104~107から入力される挙動履歴情報が、所定の条件を満たしているか否かが判定される。ステップS101~106のいずれかでも否定的(No)な判定がされれば、処理はステップS100に戻り、同一の動作が繰り返される。
【0024】
ステップS101では、車両が前進で且つ低車速走行(例えば、10km/h以下)しているか否かが車速情報に基づいて車両挙動判定部103において判定される。ステップS101で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS102へ移行する。
【0025】
ステップS102では、車両挙動判定部103において、車両において閾値以上のハンドルの操舵が行われているか否かが動作情報に基づいて判定される。ここでの閾値は、車両を目標位置に後ろ向きで進入させるために、通常の運転では行われないような一定量以上の操舵が行われたか否かを判定するような値に設定される。ステップS102で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS103に移行する。
【0026】
ステップS103では、車両挙動判定部103において、車両を後退移動させるために、シフトレバーが「D」レンジ(前進)から「R」レンジ(後退)に変更されたかが、シフト情報に基づいて判定され、切り返しが行われたかが判定される。ステップS103で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS104に移行する。
【0027】
ステップS104では、車両挙動判定部103において、車両は目標の駐車位置に駐車するために後退走行しているか否かが、シフト情報及び車速情報に基づいて判定される(ステップS104)。ステップS104で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS105に移行する。
【0028】
ステップS105では、車両挙動判定部103において、車両が目標位置に到達後にシフトレバーが「R」レンジから「P」レンジ(駐車)に変更されたか否かが、シフト情報に基づいて判定される。ステップS105で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS106へ移行する。
【0029】
ステップS106では、車両挙動判定部103において、車両においてパーキングブレーキが操作されたか否かが、パーキングブレーキ情報に基づいて判定される(ステップS106)。以上のステップS101~106での判定が全て肯定的であると判定された場合に、車両挙動判定部103は、車両は目的の駐車位置に駐車を完了したと判定し、地図生成部100に対し、地図データ一時記憶部101に記憶している地図を地図データ記憶部102に転送し記憶させることを指示する(ステップS107)。なお、地図データ記憶部102への記憶動作の終了後、車両のナビゲーションシステムの表示部などに、駐車場付近の地図データの記憶が完了した旨の表示を行っても良い。これにより、ユーザ(運転者)は、地図データが記憶されたことを知ることができる。なお、ユーザが地図の記憶を不要と考える場合に、そのデータ消去を指示することができるよう、データ消去ボタンを表示部に表示してもよい。これにより、地図データ記憶部102の容量が無駄に消費されることが抑制される。
【0030】
なお、ステップS104の車両の後退移動中に、車両が周辺の物体に近接又は接触するなどにより、目標位置に駐車できないことで、再度シフトレバーが「R」レンジから「D」レンジに切り替えられ、前進走行が再度行われた後、再度「R」レンジに切り替えられて車両の後退移動が再開されることもある。また、ステップS105でシフトレバーが「R」レンジから「P」レンジに切り替えられた後、再びシフトレバーが「R」や「D」に戻されて駐車動作が再開されることもある。本実施の形態では、この点を考慮し、
図3のステップS101~106がその順に実行される場合に限らず、一部のステップが繰り返されたり、戻って同一の動作が行われたりするか否かも判定することが好適である。また、
図2に示す切り返し動作が必要最小限で完了する場合は、自車両の速度情報と操舵情報から移動軌跡を算出し、移動軌跡から駐車動作の完了を判定してもよい。
【0031】
以上説明したように、第1の実施の形態の地図記憶システムによれば、所定の車両の挙動があったことが車両挙動判定部103により判定され、その判定結果により、地図生成部100が、地図データ一時記憶部101に記憶されている地図データを、地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることができる。従って、ユーザ操作やナビゲーションの情報を頼らず、必要な地図を適宜記憶することが可能となる。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、
図4~
図6を参照して、第2の実施の形態の地図記憶システムを説明する。この第2の実施の形態の地図記憶システムも、第1の実施の形態と同様に、車両挙動判定部103において、所定の車両の挙動があったと車両挙動判定部103が判定した場合に、地図データ一時記憶部101に一時的に記憶されている地図を地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることを地図生成部100に指示するものである。ただし、この第2の実施の形態は、車両の前向き駐車がされたか否かを判定して、その前向き駐車の駐車位置付近での地図情報を記憶するよう構成されているものである。
【0033】
図4は、前向き駐車の一例を概略的に図示している。
図4(a)は、駐車枠がある駐車場で前向き駐車をする状況を説明している。
図4(b)は、自宅駐車場に前向き駐車をする状況を説明している。
【0034】
図5の機能ブロック図を参照して、第2の実施の形態の地図記憶システムの全体構成を概略的に説明する。この第2の実施の形態の地図記憶システムは、第1の実施の形態の構成要素に加え、外界情報を取得する外界情報取得部109を更に備え、この外界情報取得部109で取得された情報と、挙動履歴情報とに基づき、車両挙動判定部103において車両の挙動が判定される。外界情報取得部109は、車両の進行方向の空間情報を取得し、自車両の周辺の車両の有無に関する情報を取得するよう構成される。
【0035】
図4に示す前向き駐車は、切り返しが原則行われず、このため第1の実施の形態のシステムの構成、及び判定方法では、車両が目的地に到着したと判定することは困難である。第2の実施の形態の地図記憶システムは、上記第1の実施の形態の構成に外界情報取得部109が追加され、
図6で説明する手順で判定が行われることで、このような前向き駐車においても、目的地へ到着したとの判定を行うことができる。そして、その前向き駐車の位置の周囲での地図情報を、ユーザの指示によることなく取得し、記憶させることができる。
【0036】
図6のフローチャートを参照して、第2の実施の形態において、
図4のような前向き駐車がされたことを判定し、その地図情報を記憶する動作の手順について説明する。この手順は一例であって、これに限定されるものではなく、類似のステップへの置き換え、別のステップの追加等が適宜行われてもよいことは言うまでもない。
【0037】
第1の実施の形態の場合と同様に、地図生成部100は、車両の走行中、車載カメラ、LiDAR、SONARなどからの情報に基づいて地図データを生成し、生成した地図データを地図データ一時記憶部101に記憶する。その間、挙動履歴情報保存部108は、車両の車速が所定の閾値(例えば20km/h)以下になると、各種入力部104~107から、各種の挙動履歴情報(車速情報、操舵情報、シフト情報、パーキングブレーキ情報)を入力され、その保存(取得)を開始する(ステップS200)。
【0038】
続いて、ステップS201~S206において、各種入力部104~107から入力される挙動履歴情報が、所定の条件を満たしているか否かが判定されると共に、外界情報取得部109が取得した情報により、車両の周囲の状況が所定の状況になったか否かが判定される。ステップS201~206のいずれかでも否定的(No)な判定がされれば、処理はステップS200に戻り、同一の動作が繰り返される。
【0039】
ステップS201では、車両挙動判定部103において、車両が前進で且つ低車速走行(例えば、10km/h以下)しているか否かが車速情報に基づいて判定される。ステップS201で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS202へ移行する。なお、ステップS202に移行する前に、外界情報取得部109により駐車枠を検出し、自車両がこの駐車枠に移動しているかを判定してもよい。
【0040】
ステップS202では、車両挙動判定部103において、車両を駐車位置に駐車させるために、シフトレバーが「D」レンジから「P」レンジに変更されたかが、シフト情報に基づいて判定される。ステップS202で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS203に移行する。
【0041】
ステップS203では、車両挙動判定部103において、車両が駐車位置に到達後に、パーキングブレーキが操作されたか否かがパーキングブレーキ情報に基づいて判定される。ステップS203で肯定的な判定(Yes)がされれば、ステップS204へ移行する。
【0042】
ステップS204では、外界情報取得部109により外界情報が取得される。そして、続くステップS205では、外界情報に基づき、車両の前方の空間に塀があり、他の物体が存在しないか否かが判定される(ステップS205)。ステップS205での判定が肯定的(Yes)であれば、ステップS206に移行する。
【0043】
ステップS206では、外界情報取得部109により取得された外界情報に基づき、自車両の周囲に他の車両が存在しないか否かが判定される。ステップS206で肯定的な判定(Yes)がなされる場合には、ステップS207に移行する。なお、ステップS206では、外界情報に基づいて、自車両の周囲の壁を検出し、自車両が駐車場の壁に囲まれた空間にいることを判定してもよい。
ステップS206で肯定的な判定(Yes)がなされると、車両挙動判定部103は、車両は目的の駐車位置に駐車を完了したと判定し、地図生成部100に対し、地図データ一時記憶部101に記憶している地図を地図データ記憶部102に転送し記憶させることを指示する(ステップS107)。
【0044】
以上説明したように、第2の実施の形態の地図記憶システムによれば、第1の実施の形態と同様に、所定の車両の挙動(前向き駐車)があったことが車両挙動判定部103により判定され、その判定結果により、地図生成部100が、地図データ一時記憶部101に記憶されている地図データを、地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることができる。従って、ユーザ操作やナビゲーションの情報を頼らず、必要な地図を適宜記憶することが可能となる。
【0045】
[第3の実施の形態]
次に、
図7を参照して、第3の実施の形態の地図記憶システムを説明する。この第3の実施の形態の地図記憶システムも、前述の実施の形態と同様に、車両挙動判定部103において、所定の車両の挙動があったと車両挙動判定部103が判定した場合に、地図データ一時記憶部101に一時的に記憶されている地図を地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることを地図生成部100に指示するものである。ただし、この第3の実施の形態の地図記憶システムは、車両の交差点への進入を車両の挙動として判定して、その交差点付近での地図情報を地図データ一時記憶部101から地図データ記憶部102に転送し非一時的に記憶するよう構成されているものである。
【0046】
第3の実施の形態の地図記憶システムの全体構成は、第2の実施の形態(
図5)と同様に、第1の実施の形態のシステムに外界情報取得部109を追加した構成とすることができる。
【0047】
第3の実施の形態では、車両の車速が所定の閾値以下となり、且つ車両のハンドルの操舵量が所定値以上となったことが検知された場合に、外界情報取得部109により、路側帯線、横断歩道、停止線、信号機などの画像を外界情報として取得する。この画像を判定することで、車両が交差点に進入したと車両挙動判定部103が判定し、その周囲で撮像・記憶された地図データを地図データ一時記憶部101から地図データ記憶部102に転送・記憶させることができる。
【0048】
以上説明したように、第3の実施の形態の地図記憶システムによれば、所定の車両の挙動があったこと(交差点への進入)が車両挙動判定部103により判定され、その判定結果により、地図生成部100が、地図データ一時記憶部101に記憶されている地図データを、地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることができる。従って、ユーザ操作やナビゲーションの情報を頼らず、必要な地図を適宜記憶することが可能となる。
【0049】
[第4の実施の形態]
次に、
図8~
図9を参照して、第4の実施の形態の地図記憶システムを説明する。この第4の実施の形態の地図記憶システムも、前述の実施の形態と同様に、車両挙動判定部103において、所定の車両の挙動があったと車両挙動判定部103が判定した場合に、地図データ一時記憶部101に一時的に記憶されている地図を地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることを地図生成部100に指示するものである。
【0050】
ただし、この第4の実施の形態のシステムは、
図8に示すように、挙動履歴情報保存部108には、GPSなどの地球上の位置検出装置からの座標情報を取得する地球座標入力部110が接続されている。地球座標入力部110からは、GPSデータ(座標情報)が挙動履歴情報として提供されており、この点で前述の実施の形態とは異なっている。例えば、頻繁に通る道路をGPSデータとして取得し、このGPSデータに従って車両の挙動を判定し、地図記憶するか否かを判定するものである。
【0051】
挙動履歴情報保存部108は、地球座標入力部110から入力される座標情報を過去分も含めて適宜保存し、車両挙動判定部103は、過去の座標情報と現在の座標情報が同様かを判定し、その判定結果に従い、地図生成部100に、地図データ一時記憶部101に記憶されているデータを、地図データ記憶部102へ非一時的に記憶させることを指示する。一例として、車両挙動判定部103は、閾値回数(例えば3回)以上、所定以上の範囲に亘って同じ座標情報が得られた場合に、過去の座標情報と現在の座標情報とが同一であると判定することができる。
【0052】
図9のフローチャートを参照して、第4の実施の形態において、頻繁に通る道路であるか否かを判定し、その地図情報を記憶する動作の手順について説明する。この手順は一例であって、これに限定されるものではなく、類似のステップへの置き換え、別のステップの追加等が適宜行われてもよいことは言うまでもない。
【0053】
前述の実施の形態の場合と同様に、地図生成部100は、車両の走行中、車載カメラ、LiDAR、SONARなどからの情報に基づいて地図データを生成し、生成した地図データを地図データ一時記憶部101に記憶する。その間、挙動履歴情報保存部108は、地球座標入力部110から、車両の現在の座標情報を適宜取得する(ステップS300)。
【0054】
現在の座標情報が所定の情報量以上得られると、車両挙動判定部103は、挙動履歴情報保存部108に保存されている過去の座標情報を取得し(ステップS301)、その保存している座標情報と現在の座標情報との一致度が所定の閾値以上であり、且つ、過去において同一位置で複数回の一致が確認されたかを判定する(ステップS302)。この判定が肯定的(Yes)であれば、当該位置は、頻繁に通る位置(道路等)であると判断し、車両挙動判定部103は、地図生成部100に対し、地図データ一時記憶部101に記憶している地図を地図データ記憶部102に転送し記憶させることを指示する(ステップS303)。
【0055】
以上説明したように、この第4の実施の形態によれば、所定の車両の挙動(頻繁に通る道路を通過したこと)があったことが車両挙動判定部103により判定され、その判定結果により、地図生成部100が、地図データ一時記憶部101に記憶されている地図データを、地図データ記憶部102に非一時的に記憶させることができる。従って、ユーザ操作やナビゲーションの情報を頼らず、必要な地図を適宜記憶することが可能となる。
【0056】
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。さらにまた、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100…地図生成部
101…地図データ一時記憶部
102…地図データ記憶部
103…車両挙動判定部
104…車両速度入力部
105…車両操舵入力部
106…車両シフト入力部
107…車両パーキングブレーキ入力部
108…挙動履歴情報保存部
109…外界情報取得部
110…地球座標入力部