(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127990
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】アミロイドーシスを処置するための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240912BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240912BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240912BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240912BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240912BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P25/00
A61K47/20
A61K47/26
A61K31/198
A61K31/454
A61K31/573
A61K31/675
A61K31/69
A61K31/704
A61P43/00 121
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108049
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022106974の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】62/357,151
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】318003021
【氏名又は名称】プロシーナ バイオサイエンシーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジーン ジー. キニー
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー ディー. ガスリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン コラー
(57)【要約】
【課題】ALアミロイドーシスを有する患者における末梢性ニューロパチーの処置のために有用な抗体処方物および方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善する方法に関する。一態様では本開示は、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体を含む医薬処方物の有効投与量を投与するステップであって、それにより患者においてニューロパチーを改善するステップを含む、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、免疫学および医薬の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ALアミロイドーシスまたは原発性アミロイドーシスには、ミスフォールドされた免疫グロブリン軽鎖を産生するクローン性形質細胞によって生じる血液学的障害が関与する。形質細胞によるミスフォールドされた軽鎖の過剰産生は、ALアミロイドーシスを有する個体の組織および臓器に異常ALタンパク質(アミロイド)の沈着を生じる。ALアミロイドーシスの臨床的特徴は、さまざまな症状ならびに、心臓、腎臓および肝臓の機能障害、胃腸管合併症、ニューロパチーならびに巨舌症が挙げられる臓器の機能障害を含む。アミロイド原性免疫グロブリン軽鎖が臓器の機能障害を生じる機序は、十分に特徴付けられていないが、しかし、アミロイド沈着および前線維性凝集の両方が、ALアミロイドーシスを有する患者において観察される臓器への細胞傷害性作用に寄与する可能性があることが仮定されている。ALアミロイドーシスは多発性骨髄腫を有する患者のごく一部(15%まで)において同時に生じる場合があるが、ALアミロイドーシスはそれ自体が疾患実体である。
【0003】
ALアミロイドーシスは、1,000,000名に8例の推定発生率を有する稀な障害である。ALアミロイドーシスの1200から3200例ほどの新規症例が合衆国において毎年報告される。ALアミロイドーシスを有する患者の3分の2は男性であり、患者の5%未満が40歳未満である。ALアミロイドーシスの原因および由来の両方がほとんど理解されていないままである。
【0004】
ALアミロイドーシスを有する患者の現在の処置は、骨髄障害、すなわち軽鎖を産生する原因である形質細胞を低減または除去し、それによりアミロイドの産生を制限するまたは停止することを目的にしている。最も積極的な処置選択肢として、幹細胞移植および、それを許容できる患者のための高用量化学療法が挙げられる。他の治療レジメンとして、血液悪性腫瘍を処置するためにしばしば使用される、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾンなどの薬物の組合せ、および軽鎖産生を低減するためボルテゾミブなどのプロテオソーム(proteosome)阻害剤が挙げられる。アミロイド原性タンパク質の潜在的毒性形態を直接標的化する、ALアミロイドーシスに対して承認された処置は現在ない。一部の処置選択肢は、ALアミロイドーシスに関連する罹患をいくらか軽快させることができるが、末梢性ニューロパチーを改善し、失われた神経機能を回復させる、または40%を超える心臓または腎臓応答率を一貫して達成すると実証されたものはない。
【0005】
全身性アミロイドーシスの異なる形態、AAアミロイドーシスまたは二次性アミロイドーシスは、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチおよび強直性脊椎炎)または慢性感染症(例えば、結核もしくは骨髄炎)などの他の病の結果として「二次的に」生じる。二次性アミロイドーシスでは、沈着するアミロイドタンパク質は、急性期タンパク質血清アミロイドAに由来するアミロイドAタンパク質である。二次性アミロイドーシスの処置は、基礎にある病を処置することを対象とする。
【0006】
したがって、ALアミロイドーシスまたはAAアミロイドーシスを有する患者において進行を遅らせるだけでなく、心臓、腎臓および/または神経の機能も改善する治療に対する必要性がある。本開示は、ALアミロイドへの高親和性結合を、これらのタンパク質の病的形態の共有される免疫原性エピトープに起因して示す、2A4および7D8抗体ならびにそのキメラおよびヒト化バージョンの医薬処方物を用いたそのような患者の処置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要旨
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善する方法に関する。一態様では本開示は、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体を含む医薬処方物の有効投与量を投与するステップであって、それにより患者においてニューロパチーを改善するステップを含む、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一部の態様では、そのような患者における末梢性ニューロパチーは、改善されるまたは反転される。一部の態様では神経機能は、そのような患者において回復される。一部の態様では、30%を超える心臓および/または腎臓応答率がALアミロイドーシスを有すると診断された患者の集団において達成される。一部の態様では患者は、ALアミロイドーシスのための1つまたは複数の処置を以前受けている場合がある。そのような患者は、そのような処置の結果として心臓および/または腎臓の改善を経験していても、していなくてもよい。そのような患者は、患者におけるALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーの進行を処置する、遅らせる、停止させるまたは反転させるために本明細書に記載される抗体を投与されてよい。本明細書の教示による治療レジメンは、有利なことには、心臓および/または腎臓の機能に改善をみるために必要とされる(もし必要とされる場合)よりも少ない抗体を患者に投与することが必要であり得る。
【0009】
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善する方法における使用のための抗体にも関する。一態様では本開示は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法における使用のための、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体に関する。
【0010】
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善する方法における抗体の使用にも関する。一態様では本開示は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用に関する。
【0011】
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において、心臓、腎臓および/または神経の機能を改善するための医薬の製造における抗体の使用にも関する。一態様では本開示は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置するための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用に関する。
【0012】
本開示は、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体を投与するステップを含む、ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法であって、(a)患者が末梢性ニューロパチーを呈し;(b)以前投与された場合に患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず;(c)以前投与された場合に患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず;(d)患者が、患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または(e)患者が、患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、方法にも関する。
【0013】
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法において、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体にも関する。
【0014】
本開示は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者の独立した処置のための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体の使用にも関する。
【0015】
本開示は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者の独立した処置のための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体の使用にも関する。
【0016】
本開示の一部の態様では、一部の抗体は、AEDS(配列番号18)を含むエピトープに特異的に結合できる。一部の抗体は、抗体2A4または7D8の軽鎖可変領域の3個のCDRおよび/または重鎖可変領域の3個のCDRを含む。例えば抗体は、抗体2A4または7D8の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む、あるいは抗体は抗体2A4もしくは7D8またはその抗原結合性断片のキメラまたはヒト化バージョンである。
【0017】
本開示の一部の態様では、抗体は、抗体を含むだけでなく、ヒスチジン緩衝液、トレハロース、ポリソルベート20も含み、特定のpH範囲内に製剤化される場合がある医薬処方物として製剤化および/または投与される。本開示の一部の態様では、医薬処方物は、具体的な時間間隔および投与量で患者に静脈内または皮下投与される。そのような時間間隔および投与量は、予め決定されてよい、および/または神経機能における測定可能な改善もしくは末梢性ニューロパチーの他の兆候(例えば、NIS-LL)に基づいて調整されてよい。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の有効投与量を投与するステップであって、それにより患者においてニューロパチーを改善するステップを含む、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法。
(項目2)
前記末梢性ニューロパチーの進行が反転される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗体またはその抗原結合性断片が2A4のヒト化バージョンである、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記患者がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシン、自己移植またはこれらの組合せを用いる処置を以前受けた、項目7に記載の方法。
(項目9)
ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の有効投与量を投与するステップを含む、ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法であって、
(a)前記患者が末梢性ニューロパチーを呈し、
(b)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず、(c)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず、(d)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または
(e)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、
方法。
(項目10)
前記異なる薬剤が、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミドまたはこれらの組合せである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記患者が末梢性ニューロパチー以外の症状を呈する、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記患者が末梢性ニューロパチーを呈する、項目9に記載の方法。
(項目13)
以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓または腎臓応答も示さなかった、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記抗体の前記有効投与量が:
a)約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度の前記抗体、
b)約20mMから約30mMの範囲内の濃度のヒスチジン緩衝液、
c)約210mMから約250mMの範囲内の濃度のトレハロースおよび
d)約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度のポリソルベート20
を含む医薬処方物として投与され、前記医薬処方物が約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、
項目1または9に記載の方法。
(項目15)
前記投与量が約0.5mg/kgから約30mg/kgであり、前記抗体が1週間に約1回から1年に約4回の頻度で静脈内または皮下投与される、項目13に記載の方法。
(項目16)
a)前記抗体が濃度約50mg/mLで存在し、
b)前記ヒスチジン緩衝液が濃度約25mMで存在し、
c)前記トレハロースが濃度約230mMで存在し、
d)前記ポリソルベート20が濃度約0.2g/Lで存在し、
かつ前記pHが約6.5である、
項目14に記載の方法。
(項目17)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記投与量が約24mg/kgであり、前記抗体が28日ごとに静脈内投与される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記処置の継続期間が少なくとも9ヵ月間である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記処置の継続期間が少なくとも12ヵ月間である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記処置の継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効である、項目1または21に記載の方法。
(項目25)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少を達成または維持するために有効である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも23%減少を達成または維持するために有効である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも35%減少を達成または維持するために有効である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも50%減少を達成または維持するために有効である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも75%減少を達成または維持するために有効である、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記継続期間がNT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記患者がCRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いる処置を以前受けた、項目8、10または21に記載の方法。
(項目32)
前記抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディまたはFvである、項目1または9に記載の方法。
(項目33)
ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法における使用のための、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体。
(項目34)
前記末梢性ニューロパチーの進行が反転される、項目33に記載の使用のための抗体。(項目35)
前記抗体またはその抗原結合性断片が2A4のヒト化バージョンである、項目33に記載の使用のための抗体。
(項目36)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目33に記載の使用のための抗体。
(項目37)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目36に記載の使用のための抗体。
(項目38)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目36に記載の使用のための抗体。
(項目39)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目36に記載の使用のための抗体。
(項目40)
前記患者がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシン、自己移植またはこれらの組合せを用いた処置を以前受けた、項目39に記載の使用のための抗体。
(項目41)
ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法における使用のための、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体であって、
(a)前記患者が末梢性ニューロパチーを呈し、
(b)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず、(c)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず、(d)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または
(e)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、
抗体。
(項目42)
前記異なる薬剤が、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミドまたはこれらの組合せである、項目41に記載の使用のための抗体。
(項目43)
前記患者が末梢性ニューロパチー以外の症状を呈する、項目41に記載の使用のための抗体。
(項目44)
前記患者が末梢性ニューロパチーを呈する、項目41に記載の使用のための抗体。
(項目45)
前記患者が前記抗体の以前の投与にいかなる心臓または腎臓応答も示さなかった、項目41に記載の使用のための抗体。
(項目46)
a)約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度の前記抗体、
b)約20mMから約30mMの範囲内の濃度のヒスチジン緩衝液、
c)約210mMから約250mMの範囲内の濃度のトレハロースおよび
d)約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度のポリソルベート20
を含む医薬処方物として製剤化され、前記医薬処方物が約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、項目33または41に記載の使用のための抗体。
(項目47)
約0.5mg/kgから約30mg/kgの投与量を含み、1週間に約1回から1年に約4回の頻度で静脈内または皮下投与される、項目46に記載の使用のための抗体。
(項目48)
a)前記抗体が濃度約50mg/mLで存在し、
b)前記ヒスチジン緩衝液が濃度約25mMで存在し、
c)前記トレハロースが濃度約230mMで存在し、
d)前記ポリソルベート20が濃度約0.2g/Lで存在し、
かつ前記pHが約6.5である、
項目47に記載の使用のための抗体。
(項目49)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目48に記載の使用のための抗体。
(項目50)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目49に記載の使用のための抗体。
(項目51)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目49に記載の使用のための抗体。
(項目52)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目49に記載の使用のための抗体。
(項目53)
前記投与量が約24mg/kgであり、前記抗体が28日ごとに静脈内投与される、項目52に記載の使用のための抗体。
(項目54)
前記処置の継続期間が少なくとも9ヵ月間である、項目53に記載の使用のための抗体。
(項目55)
前記処置の継続期間が少なくとも12ヵ月間である、項目54に記載の使用のための抗体。
(項目56)
前記処置の継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効である、項目33または53に記載の使用のための抗体。
(項目57)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少を達成または維持するために有効である、項目56に記載の使用のための抗体。
(項目58)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも23%減少を達成または維持するために有効である、項目57に記載の使用のための抗体。
(項目59)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも35%減少を達成または維持するために有効である、項目58に記載の使用のための抗体。
(項目60)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも50%減少を達成または維持するために有効である、項目59に記載の使用のための抗体。
(項目61)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも75%減少を達成または維持するために有効である、項目60に記載の使用のための抗体。
(項目62)
前記継続期間がNT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である、項目61に記載の使用のための抗体。
(項目63)
前記患者がCRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いた処置を以前受けた、項目40、42または53に記載の使用のための抗体。
(項目64)
前記抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディまたはFvである、項目33または41に記載の使用のための抗体。
(項目65)
ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用。
(項目66)
前記末梢性ニューロパチーの進行が反転される、項目65に記載の使用。
(項目67)
前記抗体またはその抗原結合性断片が2A4のヒト化バージョンである、項目65に記載の使用。
(項目68)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目65に記載の使用。
(項目69)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目68に記載の使用。
(項目70)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目68に記載の使用。
(項目71)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目68に記載の使用。
(項目72)
前記患者がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシン、自己移植またはこれらの組合せを用いる処置を以前受けた、項目71に記載の使用。
(項目73)
ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置するための、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、
(a)前記患者が末梢性ニューロパチーを呈し、
(b)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず、
(c)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず、
(d)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または
(e)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、
使用。
(項目74)
前記異なる薬剤がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミドまたはこれらの組合せである、項目73に記載の使用。
(項目75)
前記患者が末梢性ニューロパチー以外の症状を呈する、項目73に記載の使用。
(項目76)
前記患者が末梢性ニューロパチーを呈する、項目73に記載の使用。
(項目77)
前記患者が以前投与された場合にそのような投与量にいかなる心臓または腎臓応答も示さなかった、項目73に記載の使用。
(項目78)
前記抗体が、
a)約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度の前記抗体、
b)約20mMから約30mMの範囲内の濃度のヒスチジン緩衝液、
c)約210mMから約250mMの範囲内の濃度のトレハロースおよび
d)約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度のポリソルベート20
を含む医薬処方物として投与可能であり、前記医薬処方物が約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、項目65または73に記載の使用
(項目79)
約0.5mg/kgから約30mg/kgの投与量を含み、前記抗体が1週間に約1回から1年に約4回の頻度で静脈内または皮下投与される、項目78に記載の使用。
(項目80)
a)前記抗体が濃度約50mg/mLで存在し、
b)前記ヒスチジン緩衝液が濃度約25mMで存在し、
c)前記トレハロースが濃度約230mMで存在し、
d)前記ポリソルベート20が濃度約0.2g/Lで存在し、
かつ前記pHが約6.5である、
項目78に記載の使用。
(項目81)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目79に記載の使用。
(項目82)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目81に記載の使用。
(項目83)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目81に記載の使用。
(項目84)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目81に記載の使用。
(項目85)
前記投与量が約24mg/kgであり、前記抗体が28日ごとに静脈内投与される、項目84に記載の使用。
(項目86)
前記処置の継続期間が少なくとも9ヵ月間である、項目85に記載の使用。
(項目87)
前記処置の継続期間が少なくとも12ヵ月間である、項目86に記載の使用。
(項目88)
前記処置の継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効である、項目65または85に記載の使用。
(項目89)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少を達成または維持するために有効である、項目88に記載の使用。
(項目90)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも23%減少を達成または維持するために有効である、項目89に記載の使用。
(項目91)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも35%減少を達成または維持するために有効である、項目90に記載の使用。
(項目92)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも50%減少を達成または維持するために有効である、項目91に記載の使用。
(項目93)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも75%減少を達成または維持するために有効である、項目92に記載の使用。
(項目94)
前記継続期間がNT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である、項目93に記載の使用。
(項目95)
前記患者がCRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いた処置を以前受けた、項目72、74または85に記載の使用。
(項目96)
前記抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディまたはFvである、項目65または73に記載の使用。
(項目97)
ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置するための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用。
(項目98)
前記末梢性ニューロパチーの進行が反転される、項目97に記載の使用。
(項目99)
前記抗体またはその抗原結合性断片が2A4のヒト化バージョンである、項目97に記載の使用。
(項目100)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目97に記載の使用。
(項目101)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目100に記載の使用。
(項目102)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目100に記載の使用。
(項目103)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目100に記載の使用。
(項目104)
前記患者がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシン、自己移植またはこれらの組合せを用いる処置を以前受けた、項目103に記載の使用。
(項目105)
ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置するための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、
(a)前記患者が末梢性ニューロパチーを呈し、
(b)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず、(c)以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず、(d)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または
(e)前記患者が、前記患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、
使用。
(項目106)
前記異なる薬剤がメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミドまたはこれらの組合せである、項目105に記載の使用。(項目107)
前記患者が末梢性ニューロパチー以外の症状を呈する、項目105に記載の使用。
(項目108)
前記患者が末梢性ニューロパチーを呈する、項目105に記載の使用。
(項目109)
以前投与された場合に前記患者がそのような投与量にいかなる心臓または腎臓応答も示さなかった、項目105に記載の使用。
(項目110)
前記抗体が:
a)約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度の前記抗体、
b)約20mMから約30mMの範囲内の濃度のヒスチジン緩衝液、
c)約210mMから約250mMの範囲内の濃度のトレハロースおよび
d)約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度のポリソルベート20
を含む医薬処方物として投与可能であり、前記医薬処方物が約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、項目97または105に記載の使用。
(項目111)
約0.5mg/kgから約30mg/kgの投与量を含み、前記抗体が1週間に約1回から1年に約4回の頻度で静脈内または皮下投与される、項目110に記載の使用。
(項目112)
a)前記抗体が濃度約50mg/mLで存在し、
b)前記ヒスチジン緩衝液が濃度約25mMで存在し、
c)前記トレハロースが濃度約230mMで存在し、
d)前記ポリソルベート20が濃度約0.2g/Lで存在し、
かつ前記pHが約6.5である、
項目110に記載の使用。
(項目113)
前記抗体が、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む、項目111に記載の使用。
(項目114)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む、項目113に記載の使用。
(項目115)
前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目113に記載の使用。
(項目116)
前記軽鎖可変領域が、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む、項目113に記載の使用。
(項目117)
前記投与量が約24mg/kgであり、前記抗体が28日ごとに静脈内投与される、項目116に記載の使用。
(項目118)
前記処置の継続期間が少なくとも9ヵ月間である、項目117に記載の使用。
(項目119)
前記処置の継続期間が少なくとも12ヵ月間である、項目118に記載の使用。
(項目120)
前記処置の継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効である、項目97または117に記載の使用。
(項目121)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少を達成または維持するために有効である、項目120に記載の使用。
(項目122)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも23%減少を達成または維持するために有効である、項目121に記載の使用。
(項目123)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも35%減少を達成または維持するために有効である、項目122に記載の使用。
(項目124)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも50%減少を達成または維持するために有効である、項目123に記載の使用。
(項目125)
前記継続期間が、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも75%減少を達成または維持するために有効である、項目124に記載の使用。
(項目126)
前記継続期間がNT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である、項目125に記載の使用。
(項目127)
前記患者がCRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いる処置を以前受けた、項目104、106または117に記載の使用。
(項目128)
前記抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディまたはFvである、項目97または105に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1A~1Bは、NEOD001を用いて処置されたALアミロイドーシス患者における心臓機能バイオマーカー応答を示す図である。
【0019】
【
図2】
図2A~2Bは、NEOD001を用いて処置されたALアミロイドーシス患者における腎機能バイオマーカー応答を示す図である。
【0020】
【
図3】
図3は、タファミジスまたはジフルニサルを用いて処置されたATTRアミロイドーシス患者における末梢性ニューロパチーの進行を示す図である。
【0021】
【
図4】
図4A~4Bは、NEOD001を用いて処置された患者のNIS-LLにおけるポイント変化およびパーセント変化をそれぞれ示す図である。
【0022】
【
図5】
図5は、NEOD001を用いて処置されたALアミロイドーシス患者における末梢性ニューロパチー応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善することに関する。本開示の一部のそのような態様は、そのような患者において末梢性ニューロパチーを改善することに関する。本開示の一部の態様は、末梢性ニューロパチーの進行を反転することに関し、本開示の一部の態様は、そのような患者において一部の神経機能を回復させることに関する。本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスを有すると診断された患者の集団において30%を超える心臓および/または腎臓応答率を達成することに関する。一部の患者は、ニューロパチー応答を示さなかったが、30%を超える、例えば40%を超える心臓および/または腎臓応答を示した。
【0024】
本開示の一部の態様は、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体を投与し、それにより患者においてニューロパチーを改善するステップを含む、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法に関する。
【0025】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスを有する患者において心臓、腎臓および/または神経の機能を改善する方法における使用のための、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)または抗体7D8(ATCC受託番号PTA-9468)と競合する抗体に関する。
【0026】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者を処置する方法における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用に関する。
【0027】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者の処置のための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用に関する。
【0028】
本開示の一部の態様は、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体を投与するステップを含む、ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法であって、(a)患者が末梢性ニューロパチーを呈し;(b)以前投与された場合に患者がそのような投与量にいかなる心臓応答も示さず;(c)以前投与された場合に患者がそのような投与量にいかなる腎臓応答も示さず;(d)患者が、患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えなかった異なる薬剤を用いる処置を以前受けた、および/または(e)患者が、患者の末梢性ニューロパチーに影響を与えない異なる薬剤を用いる処置を受けている、方法に関する。
【0029】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスを有する患者において末梢性ニューロパチーを独立に処置する方法における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体に関する。
【0030】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者の独立した処置の方法における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体の使用に関する。
【0031】
本開示の一部の態様は、ALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーを有する患者の独立した処置のための医薬の製造における、ヒトアミロイドAペプチドへの結合について抗体2A4(ATCC受託番号9662)と競合する抗体の使用であって、患者が上に記載される(a)~(e)の1つまたは複数を有する、抗体の使用に関する。
【0032】
本開示の一部の態様は、具体的な抗体またはその抗原結合性断片に関する。一部の態様では抗体は、2A4のヒト化バージョンである。一部の態様では抗体は、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性決定領域を含む重鎖可変領域を含む。一部の態様では軽鎖可変領域は、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む。一部の態様では重鎖可変領域は、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む。一部の態様では、軽鎖可変領域は、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む。一部の態様では抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディまたはFvである。
【0033】
本開示の一部の態様は、医薬処方物、例えば、a)約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度の抗体、b)約20mMから約30mMの範囲内の濃度のヒスチジン緩衝液、c)約210mMから約250mMの範囲内の濃度のトレハロースおよびd)約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度のポリソルベート20を含み、約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられる医薬処方物に関する。一部の態様では、a)抗体は濃度約50mg/mLで存在し、b)ヒスチジン緩衝液は濃度約25mMで存在し、c)トレハロースは濃度約230mMで存在し;d)ポリソルベート20は濃度約0.2g/Lで存在し、かつpHは約6.5である。
【0034】
本開示の一部の態様は、投与量および処置レジメンに関する。一部の態様では投与量は約0.5mg/kgから約30mg/kgであり、抗体は1週間に約1回から1年に約4回の頻度で静脈内または皮下投与される。一部の態様では、投与量は約24mg/kgであり、抗体は28日ごとに静脈内投与される。一部の態様では、処置の継続期間は少なくとも9ヵ月間である。一部の態様では、処置の継続期間が少なくとも12ヵ月間である。一部の態様では、処置の継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも23%減少を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも35%減少を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも50%減少を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも75%減少を達成または維持するために有効である。一部の態様では、継続期間はNT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である。
【0035】
本開示の一部の態様では患者は、異なる薬剤、例えば、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシンまたはこれらの組合せを用いた処置を以前受けた。一部の態様では患者は、CRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いる処置を以前受けた。一部の態様では患者は、自己移植を用いた処置を受けた。一部の態様では患者は、末梢性ニューロパチー以外の症状を呈する。一部の態様では患者は、末梢性ニューロパチーを呈する。一部の態様では患者は、以前投与された場合にそのような投与量にいかなる心臓または腎臓応答も示さなかった。
I.定義
【0036】
用語「抗体」は、インタクトな抗体およびその抗原結合性断片を含む。典型的には断片は、それらが由来するインタクトな抗体と標的への特異的結合について競合し、分離された重鎖、軽鎖Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディおよびFvを含む。断片は、組換えDNA技術によってまたはインタクトな免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的分離によって産生されてよい。用語「抗体」は、二重特異性抗体および/またはヒト化抗体も含む。二重特異性または二機能性抗体は、2個の異なる重鎖/軽鎖対および2個の異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である(例えば、SongsivilaiおよびLachmann、Clin. Exp. Immunol.、79巻:315~321頁(1990年);Kostelnyら、J. Immunol.、148巻:1547~53頁(1992年)を参照されたい)。
【0037】
用語「ヒト化免疫グロブリン」または「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのヒト化免疫グロブリンもしくは抗体鎖(すなわち、少なくとも1つのヒト化軽鎖もしくは重鎖)を含む免疫グロブリンまたは抗体を指す。用語「ヒト化免疫グロブリン鎖」または「ヒト化抗体鎖」(すなわち「ヒト化免疫グロブリン軽鎖」または「ヒト化免疫グロブリン重鎖」)は、ヒト免疫グロブリンまたは抗体に実質的に由来する可変フレームワーク領域および非ヒト免疫グロブリンまたは抗体に実質的に由来する相補性決定領域(CDR)(例えば、少なくとも1つのCDR、好ましくは2個のCDR、より好ましくは3個のCDR)を含む可変領域を有し、さらに定常領域(例えば、軽鎖の場合は少なくとも1つの定常領域もしくはその一部、重鎖の場合は好ましくは3個の定常領域)を含む免疫グロブリンまたは抗体鎖(すなわちそれぞれ軽鎖または重鎖)を指す。用語「ヒト化可変領域」(例えば、「ヒト化軽鎖可変領域」もしくは「ヒト化重鎖可変領域」)は、ヒト免疫グロブリンまたは抗体に実質的に由来する可変フレームワーク領域および非ヒト免疫グロブリンまたは抗体に実質的に由来する相補性決定領域(CDR)を含む可変領域を指す。
【0038】
語句「ヒト免疫グロブリンまたは抗体に実質的に由来する」または「実質的にヒト」は、比較目的でヒト免疫グロブリンまたは抗体アミノ配列と配列比較した場合、領域が、例えば保存的置換、共通配列置換、生殖系列置換、逆変異などを考慮して、少なくとも80~90%、好ましくは90~95%、より好ましくは95~99%同一性(すなわち、局所配列同一性)をヒトフレームワークまたは定常領域配列と共有していることを意味する。保存的置換、共通配列置換、生殖系列置換、逆変異などの導入は、ヒト化抗体または鎖の「最適化」としばしば称される。語句「非ヒト免疫グロブリンもしくは抗体に実質的に由来する」または「実質的に非ヒト」は、非ヒト生物、例えば非ヒト哺乳動物のものと少なくとも80~95%、好ましくは90~95%、より好ましくは96%、97%、98%または99%同一の免疫グロブリンまたは抗体配列を有することを意味する。
【0039】
したがって、ヒト化免疫グロブリンもしくは抗体の、またはヒト化免疫グロブリンもしくは抗体鎖のすべての領域または残基は、おそらくCDRを除いて、1つまたは複数の天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する領域または残基と実質的に同一である。用語「対応する領域」または「対応する残基」は、第1のおよび第2の配列が比較目的で最適に配列比較される場合に、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基と同じ(すなわち同等の)位置を占める第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基を指す。
II.処置方法および適している対象
【0040】
本明細書では、40%を超える心臓および/もしくは腎臓の応答率ならびに/または末梢性ニューロパチーにおける改善(進行の低減と区別される)を達成するために有効である本明細書に記載されるいずれかの処方物のレジメンを患者に投与することを含む、ALまたはAAアミロイドーシスの症状を示すまたはそれを有すると診断されたヒト患者を処置する方法を提供する。
【0041】
本開示の抗体処方物を使用する処置に適している対象または患者として、アミロイド疾患の症状を現在示している患者が挙げられる。例えば本方法は、アミロイド軽鎖型タンパク質線維の存在によって特徴付けられるALアミロイドーシスを有する個体のために特に有用である。一部の患者は、心臓、腎臓、肝臓、末梢神経系、胃腸管系、自律神経系、肺、および/または軟部組織もしくはリンパ系の機能障害が挙げられるALアミロイドーシスに起因する全身性臓器機能障害を有する。末梢性ニューロパチーを有するALアミロイドーシス患者では、処方物は神経機能を改善するために投与されてよい。一部のそのような患者では、彼らの心臓または腎臓の機能は処置によって影響されない。
【0042】
一部の患者は、末梢性ニューロパチーを呈する(Rajkumarら、Am J Med. 1998年;104巻(3号):232~237頁)。本明細書に記載される方法および使用の前は、原発性全身性アミロイドーシスを有する患者でのニューロパチーは、治療しても実質的に改善しなかった。本明細書は、ヒトアミロイドAペプチド(配列番号2)への結合について、抗体2A4(ATCC受託番号9662)または抗体7D8(ATCC受託番号PTA-9468)、または本明細書において具体的に開示される抗体のいずれかなどの、抗体2A4もしくは7D8と同じ免疫グロブリン軽鎖のエピトープに結合する抗体と競合する抗体を投与するステップを含む、そのような患者を処置するための方法を提供する。一部の患者は、末梢性ニューロパチー以外の症状を呈し、本明細書に記載される抗体を用いて以前処置され、そのような処置にいくらかの心臓応答または腎臓応答を示した場合も、示さなかった場合もある。一部の患者は、ニューロパチー応答および心臓応答または腎臓応答を示し、一部の患者は、ニューロパチー応答および心臓応答は示したが、腎臓応答は示さず、一部の患者はニューロパチー応答および腎臓応答を示したが、心臓応答は示さなかった。一部の患者は、治療剤(例えば、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、レナリドミド、ドキソルビシン)、併用レジメン(例えば、CRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLD)、自己移植またはこれらの組合せを使用するALアミロイドーシスのための1つまたは複数の処置を以前受けた。そのような患者は、そのような処置の結果として心臓および/または腎臓の改善を経験した場合もしなかった場合もある。一部の患者では、1つまたは複数の認可された治療剤、抗体自己移植またはこれらの組合せを用いるALアミロイドーシスを有する患者の処置は禁忌である場合がある。例えば臨床医は、患者において心臓および/または腎臓の機能に改善を生じるために必要な具体的な処置または投与量レジメンの有害作用が期待される利益より勝ることを予測する。患者は、患者におけるALアミロイドーシスに関連する末梢性ニューロパチーの進行を処置する、遅延させる、停止させるまたは反転させるために本明細書に記載されるおよび/または下に具体的に開示される抗体(例えば、ヒト化2A4)を投与される場合がある。末梢性ニューロパチーの進行を処置する、遅延させる、停止させるまたは反転させる一部のレジメンは、有利なことには、心臓および/または腎臓の機能に改善をもたらすために必要とされる(もし必要とされる場合)よりも少ない抗体(例えば、ヒト化2A4)を患者に投与することが必要とされる場合がある。
【0043】
処置に適している患者として、アミロイド疾患または、炎症性疾患、慢性微生物感染、悪性新生物、遺伝性炎症性疾患およびリンパ球増殖性障害などの関連する状態の処置のための代替治療を、受けた、現在受けているまたは今後受ける患者も挙げられる。例えば患者は、併用療法に関して本明細書において明らかにする1つまたは複数の治療剤も受ける場合があるまたは受けた。例として、ALアミロイドーシスを罹患している患者は、ボルテゾミブ、メルファラン、レナリドミド、デキサメタゾン、シクロホスファミド、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、ドキソルビシン、自己移植またはこれらの組合せも受ける場合があるまたは受けた。アミロイド疾患の処置のための代替治療を以前受けたこれらの患者では、そのような治療は、関連する臨床測定により良好であった場合と良好でなかった場合があり、おそらくニューロパチーを改善しなかった。そのような治療の追加的な例として、(1)シクロホスファミド、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンを含む併用療法であるCyBorD、(2)ボルテゾミブ、メルファランおよびデキサメタゾンの組合せであるBMDex、(3)メルファランおよびデキサメタゾンの組合せであるMDex、(4)レナリドミドおよびデキサメタゾンの組合せであるLDex、(5)シクロホスファミド、レナリドミドおよびデキサメタゾンの組合せであるCLD、ならびに(6)ポマリドミドおよびデキサメタゾンの組合せであるPomDex、が挙げられる。一部の患者は、代替治療を用いて以前処置された場合だけ、本明細書の処方物を用いる処置のために選択されてよい。
【0044】
本明細書において開示される方法および使用のための好適な抗体、処方物および処置レジメンは、下にさらに詳細に考察される。
III.医薬処方物および産生物
【0045】
本明細書では、抗原(すなわち、ヒトAAまたはALタンパク質)への結合について2A4または7D8とそれぞれ特異的に競合する、および/または2A4または7D8と同じエピトープに特異的に結合する、および/またはAEDS(配列番号18)を含むエピトープに特異的に結合する、抗体2A4(ATCC受託番号PTA-9662)または抗体7D8(ATCC受託番号PTA-9468)のキメラまたはヒト化バージョンを含む医薬処方物を提供する。同様に、マウス抗体2A4もしくはマウス抗体7D8またはその抗原結合性断片を含む医薬処方物が提供される。抗体は、約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度で存在する。処方物は、約6から約7の範囲内のpHによって特徴付けられ、ヒスチジン緩衝液を約20mMから約30mMの範囲内の濃度で、トレハロースを約210mMから約250mMの範囲内の濃度で、およびポリソルベート20を約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内の濃度で含む。本明細書において開示される方法における使用のための例示的抗体は、抗体2A4または7D8の軽鎖可変領域の3個のCDRおよび/または重鎖可変領域の3個のCDRを含む。例えば抗体は、抗体2A4もしくは7D8の軽鎖可変領域および/もしくは重鎖可変領域または抗体2A4もしくは7D8のキメラもしくはヒト化バージョンを含む。
【0046】
ヒト化2A4は、マウス2A4のIgG1、カッパアイソタイプバージョンである。ヒト化2A4の一連の特異性特徴付けにおいて、抗体は、軽鎖アミロイド原線維中の軽鎖とも高親和性かつコンホメーション依存的様式で反応するが、循環中の遊離軽鎖とはしないことが見出された。したがって2A4抗体は、ALおよびSAAの病的アミロイド形態に特異的に結合するが、これらの病的形態が由来する親分子(例えば、SAA、天然免疫グロブリン軽鎖[LC]、インタクトな免疫グロブリン[Ig])には結合しない。
【0047】
本明細書において開示される一部の方法では抗体は、例えば抗体に加えてヒスチジン緩衝液、トレハロースおよびポリソルベート20を含む医薬処方物として投与される場合がある。上に記載される方法において使用される一部のそのような処方物では、抗体は約1mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度で存在し、ヒスチジン緩衝液は約20mMから約30mMの範囲内の濃度で存在し、トレハロースは約210mMから約250mMの範囲内の濃度で存在し、ポリソルベート20は約0.005重量%から約0.05重量%の範囲の濃度で存在し、pHは約6から約7の範囲内である。本明細書において開示される方法のための一部の好適な処方物は、下にさらに詳細に記載される。
【0048】
一部の処方物では抗体は、配列番号1、2または4のいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の処方物では抗体は、配列番号3または5として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一部の処方物では抗体は、配列番号1、2または4のいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号3または5として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一部の処方物では抗体は、配列番号1として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号3として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一部の処方物では抗体は、配列番号4として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号5として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一部の処方物では抗体は、配列番号2として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号3として記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0049】
一部の処方物では抗体は、配列番号6、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性領域を含む重鎖可変領域を含む。他の処方物では抗体は、配列番号12、7および8として記載される3個の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号9、10および11として記載される3個の相補性領域を含む重鎖可変領域を含む。
【0050】
他の処方物では抗体は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,928,203号およびPCT国際公開第WO2009/086539号に記載されている、マウス、キメラもしくはヒト化2A4抗体のまたはマウス、キメラもしくはヒト化7D8抗体の軽鎖および重鎖可変領域を含み、参照される特許および特許公開において記載される軽鎖および重鎖可変領域配列は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。本明細書において開示される方法のための一部の処方物は、米国特許第9,089,529号およびPCT国際公開第WO2013/063284号に記載されている。
【0051】
一部の処方物では抗体は、配列番号13または21として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖ならびに配列番号14~16および24のいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。抗体は、上に記載される軽鎖および重鎖アミノ酸配列のリーダー配列を含んでも含まなくてもよい。
【0052】
他の処方物では抗体は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片またはScFv断片などの、そのキメラおよびヒト化バージョンを含む2A4または7D8抗体の断片である。
【0053】
一部の抗体は、モノマー性アミロイドタンパク質に特異的に結合することなく凝集性アミロイドタンパク質に特異的に結合する(例えば、アミロイドタンパク質のモノマー性形態に対して少なくとも10分の1、通常少なくとも100分の1低い特異的結合親和性)。
【0054】
一部の処方物では抗体は、約5mg/mLから約100mg/mLの範囲内の濃度で存在する。一部の処方物では抗体は、約5mg/mLから約15mg/mLの範囲内の濃度で存在する。一部の処方物では抗体は、約25mg/mLから約75mg/mLの範囲内の濃度で存在する。例えば抗体は、約10mg/mLの濃度で存在してよい、または約50mg/mLの濃度で存在してよい。抗体は、約50mg/バイアルから約500mg/バイアル、またはそれより多い滅菌液体投与形態で存在してよい。例えば抗体は、約100mg/バイアルの滅菌液体投与形態で存在してよい。
【0055】
本開示の処方物において使用される抗体は、細胞傷害剤、放射線治療剤、免疫調節剤、二次抗体(例えば、抗体ヘテロコンジュゲートを形成するように)または、キメラもしくはヒト化2A4またはキメラもしくはヒト化7D8抗体の活性を促進するまたは増強する任意の他の生物学活性剤などの治療成分にカップリングされてよい。代表的な治療成分として、アミロイド疾患またはアミロイド疾患の症状の処置、管理または軽快のために有用であることが公知の薬剤が挙げられる。
【0056】
治療成分および/または検出可能物質は、マウス、キメラもしくはヒト化2A4抗体またはマウス、キメラもしくはヒト化7D8抗体に直接または、当技術分野において公知の技術を使用して媒介物(例えばリンカー)を通じて間接的にカップリングまたはコンジュゲートされてよい。例えば、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)のArnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、243~56頁(Alan R. Liss, Inc. 1985年); Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)のHellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、623~53頁(Marcel Dekker, Inc. 1987年);Monoclonal Antibodies 84巻: Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)のThorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、475~506頁(1985年);Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)の「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、303~16頁(Academic Press 1985年)およびThorpeら、Immunol. Rev.、1982年、62巻:119~58頁を参照されたい。
【0057】
本開示の処方物において使用される抗体は、対応する未改変抗体と比べてin vivo半減期が延長されているマウス、キメラもしくはヒト化2A4抗体、またはマウス、キメラもしくはヒト化7D8抗体の改変形態も含む。そのような改変形態は、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドもしくは他のタンパク質への連結などによって調製されてよい。一例として、抗体半減期延長のための代表的な方法は、PCT国際公開第WO02/060919号に記載されている。
【0058】
ヒスチジン緩衝液は、一部の処方物では約25mMの濃度で存在する場合がある。一部の処方物ではヒスチジン緩衝液は、L-ヒスチジンおよびL-ヒスチジンHCl一水和物を含む。例えば一部の処方物では、L-ヒスチジンは約16mMから約22mMの範囲内の濃度で存在し、L-ヒスチジンHCl一水和物は約4mMから約8mMの範囲内の濃度で存在する。
【0059】
一部の処方物ではトレハロースは、約210mMから約250mM、例えば約230mMの濃度で存在する。一部の処方物では、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールなどの異なる非還元糖が使用される。
【0060】
一部の処方物ではポリソルベート20は、およそ約0.005重量%から約0.05重量%の範囲内、例えば0.005重量%、0.01重量%、0.015重量%、0.02重量%、0.025重量%、0.03重量%、0.035重量%、0.04重量%、0.045重量%または0.05重量%の濃度で存在する。代替的に一部の処方物ではポリソルベート20は、およそ約0.05g/L、0.1g/L、0.15g/L、0.2g/L、0.25g/L、0.3g/L、0.35g/L、0.4g/L、0.45g/Lまたは0.5g/Lの範囲内の濃度で存在する。一部の処方物は、ポリソルベート20を0.2g/Lの濃度で含む。
【0061】
一部の処方物は、約6~7の範囲内のpH、例えば6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9または7.0のpHによって特徴付けられる。一部の処方物は、約6.5のpHを有する。一部の処方物は、約300mOsm/kgの浸透圧によって特徴付けられる。バルク剤も一部の処方物に含まれる場合がある。
【0062】
典型的には処方物は、例えば0.2μmまたは0.22μmフィルターを使用する滅菌ろ過によって行われるように、滅菌である。本明細書で開示される処方物は、凍結および融解に一般に安定でもある。
【0063】
任意選択で本明細書において開示される処方物は、糖類、ポリオールならびにアミノ酸(例えば、アルギニン、リシンおよびメチオニン)などの他の賦形剤をさらに含む場合がある。本発明は、界面活性剤、無機塩、追加的糖および/または他の賦形剤を実質的に含まない処方物、すなわちそのような化合物が約0.0005%未満、0.0003%未満または0.0001%未満の処方物も提供する。
【0064】
例示的処方物は、配列番号13として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号14、15または16のいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み約50mg/mLの濃度で存在する抗体、約25mMの濃度で存在するヒスチジン緩衝液、約230mMの濃度で存在するトレハロース、約0.2g/Lの濃度で存在するポリソルベート20を含み、pH約6.5である。
【0065】
本明細書で開示される方法は、凍結乾燥抗体原薬ならびに復元および使用のための説明書を含む医薬品に関連する。例えば、代表的な医薬品は:(a)粉末形態で約100mg抗体を含むバイアル;(b)抗体の復元のための説明書;および(c)注入用に復元された抗体を調製するための説明書を含んでよく、ここで(i)抗体は、配列番号13として記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号14~16のいずれか1つとして記載されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、(ii)復元説明書は10mLの抽出可能体積への注射用水を用いる復元を要求する。
IV.処置レジメン
【0066】
本明細書において使用される場合、用語「処置する」および「処置」は、疾患に関連する1つまたは複数の症状または影響の緩和もしくは軽快、疾患の1つまたは複数の症状もしくは影響の発症の予防、抑制もしくは遅延、疾患の1つまたは複数の症状もしくは影響の重症度もしくは頻度を和らげること、および/または本明細書に記載される望ましい転帰を増加させるもしくは望ましい転帰へと方向付けることを指す。
【0067】
本明細書に開示される処置の望ましい転帰は、アミロイド疾患および患者プロファイルに応じて変化し、当業者に容易に判定可能である。一般に望ましい転帰として、病的アミロイド原線維の低減もしくはクリアランス、アミロイド凝集および/またはアミロイド原線維の沈着の減少もしくは抑制、ならびに病的および/または凝集性アミロイド原線維への免疫応答の増加などの測定可能な指標が挙げられる。望ましい転帰は、アミロイド疾患の特異的症状の軽快も含む。例えば、ALアミロイドーシスの処置についての望ましい転帰として臓器機能障害、末梢および自律神経ニューロパチー、手根管症候群、巨舌症、拘束性心筋症、大関節の関節症、免疫悪液質、ミエローマおよび潜在性悪液質を含む公知の症状の発生率または重症度の減少が挙げられる。本開示の治療の望ましい転帰は、一般に、対照またはベースライン測定値と比較して定量化できる測定値である。本明細書において使用される場合、「改善」、「増加」または「低減」などの相対的用語は、本明細書に記載される処置の開始前の同じ個体における測定値、または対照個体もしくは群における測定値などの対照と比較した値を示している。対照個体は、処置される個体と同じアミロイド疾患を患っており、処置される個体とおおよそ同じ年齢である(処置個体および対照個体において疾患のステージを確実に比較可能にするため)が、本開示の抗体処方物を使用する処置を受けていない個体である。この場合、本開示の抗体処方物の有効性は、未処置対照における測定可能な指標からのシフトまたは傾向によって評価される。代替的に対照個体は、処置される個体とおおよそ同じ年齢である健康な個体である。この場合、本開示の抗体処方物の有効性は、健常対照における測定可能な指標からのシフトまたは傾向によって評価される。治療への応答における変化または改善は、一般に統計的に有意であり、0.1未満もしくはそれに等しい、0.05未満、0.01未満、0.005未満または0.001未満のp値によって記載されるものは有意であると見なされる。
【0068】
無症候性および症候性の両方の患者において、開示された方法による処置は、基礎ALアミロイド疾患の診断の前または後のいずれの時期に始められてもよい。典型的には処置は、長期間にわたる複数の投薬を伴う。処置は、抗体をアッセイすること、または放射標識されたSAPシンチグラフィーを経時的に使用することによってモニターされてよい。応答が低下する場合、追加投薬の必要を示している場合がある。ALアミロイドーシスを有する患者の処置への応答は、NT-proBNPおよび/もしくはトロポニンなどの心臓マーカー、血清クレアチンならびに/またはアルカリホスファターゼを評価することによって;血清遊離軽鎖(SFLC)アッセイ、定量的免疫グロブリンアッセイ、生検、血清タンパク質電気泳動(SPEP)、尿タンパク質電気泳動(UPEP)、血清、尿免疫固定電気泳動(IFE)および/または臓器造影技術を実施することによってモニターされてよい。例示的完全奏功(CR)は、血清および尿のIFE陰性、骨髄中の正常κ/λ比および/または<5%形質細胞を含む応答判定基準から判定することができる。例示的な非常に良好な部分応答(VGPR)は、<40mg/LのdFLCから判定できる。例示的な部分応答(PR)は、dFLCの≧50%減少から判定できる。腎臓では処置への応答は、例えば、≧25%のeGFRの低減または≧0.5mg/dLの血清クレアチンの増加のいずれも存在しない、24時間尿タンパク質排出における≧50%低減(例えば、>0.5g/24時間)から判定できる。肝臓では処置への応答は、例えば、初期に上昇したアルカリホスファターゼにおける≧50%低減または、CTスキャンもしくはMRIでの肝臓サイズにおける≧2cm低減から判定できる。心臓では処置への応答は、例えば、NT-proBNP、>650ng/Lのベースラインを有する患者におけるNT-proBNPの>30%および>300ng/L低減から判定できる。腎臓では処置への応答は、例えば、腎臓の進行の非存在下でのタンパク尿の>30%減少または<0.5g/24時間へのタンパク尿の減少から判定できる。ニューロパチー応答者は、NIS-LLにおけるベースラインからの<2ポイント増加によって一般に特徴付けられる。ニューロパチーにおける改善(例えば、神経機能の改善)は、NIS-LLにおけるベースラインからの減少から判定される。
【0069】
アミロイドーシスに関連する1つまたは複数の症状または影響の緩和または軽快は、互いに独立に処置することができる。用語「独立に」は、抗体または抗体処方物が、すべての症状もしくは影響または特定の症状もしくは影響(例えば、心臓機能、腎機能)を処置することなく、1つまたは複数の症状または影響(例えば、末梢性ニューロパチー)を処置するために十分である投与量で投与できることを意味する。
【0070】
抗体処方物は、例えば約10mg、約30mg、約100mg、約300mg、約1000mg、約2000mgまたは約2500mgなどの約10mgから約5000mgの投与量範囲で該当する患者に静脈内投与されてもよい。抗体処方物は、宿主体重で約0.1mg/kgから約50mg/kgまたは約0.5mg/kgから約30mg/kgの投与量範囲で静脈内投与されてよい。例えば投与量は、約0.5mg/体重kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約8.0mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約20mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kgまたは約30mg/体重kgであってよく、個々の患者での増量は、例えば、グレード≧3の非血液毒性、最大量の制吐剤/止瀉剤治療によって制御されないグレード≧3の悪心、嘔吐もしくは下痢、増殖因子サポートの非存在下での>7日間持続するグレード4の好中球減少症、発熱≧38.5℃および/または全身性感染を伴う任意の継続期間のグレード3もしくは4の好中球減少症、または他のグレード≧4の血液毒性などの過度の安全性のリスクが患者に存在すると処方者が合理的に考えることができる、臨床的に重要な事象の非存在下で、処方者の裁量で行われてよい。
【0071】
抗体は、通常複数回で投与される。例示的処置レジメンは、2週間ごとに1回、1ヵ月に1回または3から6ヵ月ごとに1回の投与を必要とする。例えば、患者は、抗体処方物を4週間ごとに1回を周期として、例えば28日ごとに受けてよい。投薬頻度は、患者における抗体処方物の薬物動態プロファイルに応じて調整されてよい。例えば、抗体の半減期は、投薬の2週間での頻度を保証できる。一部の方法では、異なる結合特異性を有する2つまたはそれより多くのモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合投与される各抗体の投与量は示される範囲内にある。単回の投薬間の間隔は、1週間ごと、月ごとまたは年ごとであってよい。間隔は、患者におけるアミロイドタンパク質(例えば、AA)に対する抗体の血中レベルを測定するステップによって示されて不定期であってもよい。一部の方法では投与量は、約1~1000μg/mLまたは約25~300μg/mLの血漿抗体濃度を達成するように調整される。代替的に抗体は、徐放性処方物として投与されてよく、その場合必要な投与頻度は少なくなる。
【0072】
投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変化する。一般にヒト抗体が最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体および非ヒト抗体が続く。投与の投与量および頻度は、処置が予防的か、または治療的であるかに応じて変化する。予防的適用では、比較的低い投与量が比較的低い頻度の間隔で長期間にわたって投与される。一部の患者は、彼らのその後の生涯にわたって処置を受け続ける。治療的適用では、比較的短い間隔の比較的高い投与量が、疾患の進行が低減するもしくは終結するまで、部分もしくは完全奏功が達成されるまで、および/または患者が疾患の症状の緩和もしくは軽快を示すまで必要であることがある。その後、患者は、予防的レジメンを投与されてよい。
【0073】
本明細書において開示される処方物は、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下)投与のため好適である投与形態で提供されてよい。具体的な適用のために適切である場合、代替的に処方物は、直腸内、経皮的、鼻腔内、膣内、吸入、眼内または他の投与ために好適な投与量で提供されてよい。医薬処方物は、従来の薬務により典型的には調製される。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、(第19版) A. R.
Gennaro編、1995年、Mack Publishing Company、Easton、Pa.およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan編、1988~1999年、Marcel Dekker、N.Y.を参照されたい。
【0074】
一部の方法では医薬処方物は、1週間に約1回から1年に約4回の頻度で約0.5mg/kgから約30mg/kgの範囲の抗体の投与量を用いて患者に静脈内または皮下投与される。例えば医薬処方物は、28日ごとに約24mg/kgの抗体投与量を用いて患者に静脈内投与される。
【0075】
本明細書において開示される一部の方法では抗体は、少なくとも9ヵ月間、少なくとも12ヵ月間またはさらに長い期間患者に投与される。例えば医薬処方物は、NIS-LLにおけるベースラインからの2ポイント未満の増加を達成または維持するために有効な継続期間の間患者に投与される。一部の方法では医薬処方物は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%、少なくとも23%、少なくとも35%、少なくとも50%または少なくとも75%減少を達成または維持するために有効な継続期間の間患者に投与される。本明細書において開示される一部の方法では医薬処方物は、NT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効な継続期間の間患者に投与され、それは上に記載されるNIS-LL変化を達成するために有効な継続期間よりも短いまたは長い場合がある。
【0076】
本明細書で提供される方法では処置は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも2ポイント増加を達成または維持するために有効である期間の間、例えば9または12ヵ月間継続される。一部の方法では処置は、NIS-LLにおけるベースラインからの少なくとも10%減少、NIS-LLにおけるベースラインからの例えば23%、35%、50%または75%減少を達成または維持するために有効である期間の間継続される。一部の方法では処置の継続期間は、NT-proBNPにおける少なくとも30%および300pg/mL減少を達成または維持するために有効である。一部の方法では静脈内投与は、NIS-LLにおけるベースラインからの減少、例えば23%、35%、50%または75%減少の達成後に中断される。その後、一部のそのような患者は、望ましいNIS-LLレベルを維持するために有効なレジメンで抗体の皮下投与を受ける場合がある。上に記載される一部の方法では、患者はCRD、PomDex、CyBorD、BMDex、MDex、LDex、CLDまたはボルテゾミブを用いた処置を以前受けた。
【0077】
本明細書において、アミロイド疾患、具体的にはAAアミロイドーシスおよびALアミロイドーシスの処置または予防のための併用療法も開示される。そのような併用療法は、本明細書において開示される抗体処方物を、場合によりAAアミロイドーシスまたはALアミロイドーシスを処置するまたは予防をもたらすための別の治療などの1つまたは複数の第2の治療剤と併せて投与することによって実施される。本明細書において開示される併用療法は、第2の治療と併せて実施されてよく、炎症性疾患、慢性微生物感染、新生物(悪性新生物を含む)、遺伝性炎症性疾患、および/またはリンパ球増殖性障害などのアミロイド疾患に伴う疾患または状態を処置するまたは予防をもたらすために使用される。多数の処置が市販で、臨床評価および前臨床開発で利用可能であり、そのいずれも本開示の抗体処方物と併せての使用のために選択されてよい。そのような処置は、これだけに限らないがいくつかの主な分類、すなわち(i)非ステロイド性抗炎症剤(NSAID;例えば、デトプロフェン(detoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート(meclofenameate)、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメオン(nabumeone)、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン、サリチル酸コリン、サルサルト(salsalte)ならびにサリチル酸ナトリウムおよびマグネシウム);(ii)ステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);(iii)DMARD、すなわち、疾患修飾性抗リウマチ薬(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、レフルノミド、シクロホスファミド、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、D-ペニシラミン、ミノサイクリンおよび金);(iv)組換えタンパク質(例えば、ENBREL(登録商標)(エタネルセプト、可溶性TNF受容体)およびREMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)キメラモノクローナル抗TNF抗体);(v)幹細胞移植;ならびに/または(vi)化学療法、から選択される1つまたは複数の化合物または処置であってよい。ALアミロイドーシスを有する患者は、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、レナリドミド(REVLIMID(登録商標))などの血液悪性腫瘍を処置するためにしばしば使用される薬物または薬物の組合せならびにボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))およびカルフィルゾミブ(KYPROLIS(登録商標))などのプロテオソーム阻害剤を、標準治療の範囲の投与量で含む処置レジメンを受けてもよい。
【0078】
併用療法の継続期間は、処置されるアミロイド疾患の種類、アミロイド疾患に関連する任意の基礎疾患、患者の年齢および状態、患者の疾患のステージおよび種類、患者が処置にどのように応答するかなどに依存する。医師は、治療の効果を注意深く観察することができ、必要に応じて任意の調整を行うことができる。
【0079】
併用療法を実行する場合、2つまたはそれより多くの原薬が同時にまたは任意の順序で連続的に投与される、すなわち本明細書で開示される処方物は、第2の原薬を投与する前に、第2の原薬と同時にまたは第2の原薬の投与に続いて投与される。例えば併用療法は、第2の薬剤/治療を投与する前(例えば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間もしくは12週間前)に、同時にまたは続いて(例えば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間もしくは12週間後)に第1の治療を投与することによって実施されてよい。
【0080】
組合せの各構成成分の投与量、投与の頻度および様式は、独立に管理されてよい。例えば1つの治療剤/治療が1日3回経口投与されてよい一方で、第2の治療剤/治療は1日1回筋肉内投与されてよい。併用療法は、休薬期間を含むオンオフサイクルで与えられてよい。化合物は、1回の投与が両方の化合物を送達するように混合されてまたは、そうでなければ合わせて製剤化されてもよい。この場合、各治療剤は、組成物の全重量の1~95重量%の量で一般に存在する。代替的に本明細書において開示される抗体処方物および第2の治療剤は、別に個々の投与量で製剤化されてよい。処置のための薬物組合せは、医薬品包装の構成成分として提供されてよい。
【0081】
好ましくは本開示の併用療法は、相乗的な治療効果、すなわちそれらの個々の効果または治療転帰の合計を超える効果を生じる。測定可能な治療転帰は本明細書に記載される。例えば相乗的治療効果は、所与の組合せの単一の薬剤によって生じる治療効果の合計より少なくとも約2倍大きい、または少なくとも約5倍大きい、または少なくとも約10倍大きい、または少なくとも約20倍大きい、または少なくとも約50倍大きい、または少なくとも約100倍大きい効果である場合がある。相乗的な治療効果は、所与の組合せの単一の薬剤によって生じる治療効果の合計と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%またはそれを超える治療効果の増加としても観察される場合がある。相乗効果は、それらか組合せで使用される場合に治療剤の投与量を低減できる効果でもある。
【実施例0082】
続く実施例は、本明細書で開示される様式を例示するために含まれる。続く実施例のある特定の態様は、本明細書に開示される実践が十分に機能するように本共同発明者によって見出されたまたは検討された技術および手順の観点から記載される。本開示および当業者の一般的レベルに照らして、当業者は、続く実施例が例示的であることのみを意図し、多数の変化、改変および変更が本開示の範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解する。
(実施例1)
ヒト化2A4(NEOD001)の臨床評価
【0083】
第1/2相臨床試験を、ALアミロイドーシスを有する対象におけるヒト化2A4(NEOD001)の最大耐用量(MTD)および/または第2相推奨用量(P2RD)を決定するために設計した。投薬は、0.5mg/kgで開始し、最大用量2500mgで24mg/kgの高さまで上昇させた。最初に、NEOD001を臓器機能の進行または許容できない処置関連毒性または同意の撤回まで単一剤として静脈内に28日ごとに与えた。
【0084】
標準的3+3設計に従う研究の用量漸増相では、ALアミロイドーシスを有する27名の患者を、NEOD001を用いて処置した。用量漸増相の7つのコホートは、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、16mg/kgおよび24mg/kg(または最大用量2500mg)であった。本研究における患者合計69名について、ALアミロイドーシスおよびプロスペクティブに定義された臓器合併症を有する追加的な42名の患者が拡大コホートに含まれた。心臓コホートは患者15名を含み、心臓合併症は腎不全の非存在下での≧650pg/mLのNT-proBNPの上昇によって定義した。>7,000pg/mLのNT-proBNPレベルを有する患者は除外された。診査評価項目は、NT-proBNP最良応答であった。腎臓コホートは患者16名を含み、腎臓合併症は、24時間蓄尿におけるタンパク尿>0.5g/日によって定義した。診査評価項目は、タンパク尿最良応答であった。末梢性ニューロパチーコホートは、ALアミロイドーシスによる腓腹神経生検陽性または典型的な感覚運動末梢性ニューロパチーの証拠を有する患者11名を含んだ。診査評価項目は、ベースラインから10ヵ月までの下肢神経障害スコア(NIS-LL)であった。NIS-LLは、感覚、筋力および腱反射を含む末梢神経系機能の種々の特質をスコア化する(Bril、Eur. Neorol.、1999年;41巻 補巻1号:8~13頁、Coelhoら、Neurology、2012年;799巻(8号):785~92頁)。
【0085】
【0086】
薬物産生物は、用量制限毒性、抗薬物抗体の検出および処置関連重篤有害事象を有さずに安全で、十分許容された。
(実施例2)
NEOD001への心臓応答
【0087】
心臓拡大コホート(N=15)には、
図1Aに示すとおり7名の応答者(47%)および8名の安定患者(53%)がいた。アスタリスクは、応答者の内の1名についてのベースラインからの30%低下、453pg/mL低減を示す。心臓の評価可能患者は、心臓患者のプロスペクティブに定義されたコホートである心臓コホート内の患者および、心臓応答について評価可能であった他のコホートからの患者を含む。全心臓評価可能患者(N=36)には、
図1Bに示すとおり19名の応答者(53%)および17名の安定患者(47%)がいた。評価可能患者は、進行性腎臓機能障害を有さずにベースラインNT-proBNP≧650pg/mLを有した。応答は、NT-proBNPにおける>30%および>300pg/mL減少として定義した。進行は、NT-proBNPにおける>30%および>300pg/mL増加として定義した。安定疾患は、応答または進行のどちらでもないとして定義した。Comenzoら、Leukemia(2012年)26巻、2317~2325頁;Palladiniら、J. Clin. Oncology(2012年)30巻(36号)、4541~4549頁。
【0088】
表2に示すとおり、NEOD001を用いて処置した臓器再発/難治性患者の心臓応答率は53%である。比べて、シクロホスファミド(CRD)もしくはポマリドミド/デキサメタゾン(PomDex)を用いて処置したそのような患者において観察された率は0~15%(Palladiniら、Haematologica 2013年およびDispenzieriら、Blood、2012年)、またはシクロホスファミド、ボルテゾミブおよびデキサメタゾン(CyBorD)、ボルテゾミブ、メルファランおよびデキサメタゾン(BMDex)、メルファランおよびデキサメタゾン(MDex)もしくは他の処置を用いて処置された新たに診断された患者の心臓応答率は17~27%(Palladiniら、Blood(2015年)126巻(5号)、612~615頁およびComenzoら)である。
【表2】
【0089】
(実施例3)
NEOD001への腎臓応答
【0090】
腎臓の拡大コホート(N=16)には、
図2Aに示すとおり10名の応答者(63%)および6名の安定患者(37%)がいた。腎臓の評価可能患者は、腎臓患者のプロスペクティブに定義されたコホートである腎臓コホート内の患者および、腎臓応答について評価可能であった他のコホートからの患者を含む。全腎臓評価可能患者には、
図2Bに示すとおり22名の応答者(63%)および13名の安定患者(37%)がいた。評価可能患者は、ベースラインタンパク尿≧0.5g/24時間を有した。応答は、タンパク尿における>30%減少としてまたは腎臓進行の非存在下での<0.5g/24時間へのタンパク尿の減少として定義した。進行は、eGFRにおける>25%悪化として定義した。安定疾患は、応答または進行のどちらでもないとして定義した。Palladiniら。
【0091】
表3に示すとおり、NEOD001を用いて処置した臓器再発/難治性患者の腎臓応答率は63%よりも高い。比べて、レナリドミドおよびデキサメタゾン(LDex)、シクロホスファミド、レナリドミドおよびデキサメタゾン(CLD)、PomDexまたはボルテゾミブ(Bor)を用いて処置したそのような患者において観察された率は17~29%(Mahmoodら、Br. J. Haematology、2014年;166巻:842~848頁、Palladiniら、Haematologica、2013年;98巻:433~436頁、Dispenzieriら、Blood、2012年;119巻:4397~4404頁、Reeceら、Blood、2011年;118巻:865~873頁)、またはCyBorD、BMDexもしくはMDexを用いて処置された新たに診断された患者の応答率は21~29%(Palladiniら、Blood、2015年;126巻(23号) abstract 190巻、Palladiniら、Blood、2015年;126巻:612~615頁)である。
(実施例4)
NEOD001への末梢性ニューロパチー応答
【0092】
ALアミロイドーシスまたはATTRアミロイドーシスなどの他のアミロイドーシスの処置後に末梢性ニューロパチーにおける改善が報告された症例はなかった。最良の場合にはそのような処置は、進行の速度を低減できる。例えば
図3に示すとおり、タファミジスを用いて処置されたATTR患者の進行速度は、未処置患者で45%だったのに比べて、39%に低下し、ジフルニサルを用いて処置したATTR患者での進行速度は未処置患者で30%だったのに比べて、21%に低下した(Coelhoら、Neurology、2012年、Coelhoら、J. Neurol.、2013年、Berkら、JAMA、2013年)。しかし、他の処置を用いて観察された結果とは全く対照的に、本発明者らはNEOD001処置が末梢性ニューロパチーを実際に改善することを驚くべきことに発見した。
図4Aおよび
図4Bに示すとおり、ニューロパチー拡大コホート(N=11)には、9名の応答者(82%)、および2名の、進行があった者(18%)がいた。1名の応答者は、ベースラインから変化しなかった。ニューロパチー応答者は、ベースラインからのNIS-LLにおける<2ポイント増加として定義した。これらの応答基準は、糖尿病性神経障害を有する患者において確立され、糖尿病性神経障害およびTTR多発ニューロパチーについての臨床試験において現在使用されている。したがって
図5に示すとおり、10ヵ月(9ヵ月間の処置後)での平均末梢性ニューロパチー改善は、-35%であり、改善中央値は-23%である。これは、ALアミロイドーシスを有する患者において証明された末梢性ニューロパチーにおける初めての改善である。
(実施例5)
患者特異的心臓、腎臓およびニューロパチー応答
【0093】
末梢性ニューロパチーコホート中の11名の患者の内、3名は心臓評価可能であり、1名は心臓および腎臓評価可能であった。3名の心臓評価可能患者の内、2名の患者は心臓およびニューロパチー改善の両方を有し、1名はニューロパチー改善を有したが心臓改善は有さなかった。心臓および腎臓評価可能患者は、腎臓改善は有したが心臓またはニューロパチー改善は有さなかった。したがって、NEOD001はALアミロイドーシス患者の集団において少なくとも3つの臓器系にわたって機能を改善することができるが、処置効果は個々の患者に関して変化する可能性がある。NEOD001は、1つまたは複数の臓器系において他の臓器系と関係なく機能を改善できる、例えば、心臓応答を欠いている患者において神経機能を軽快させる。
【0094】
本明細書において引用するすべての特許、特許出願および刊行物の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、具体的な実施形態を参照して開示されているが、本発明の他の実施形態および多様性は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく他の当業者によって考案され得る。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施形態および同等の多様性を含む。