(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127995
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】物質の環境条件を制御するためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/14 20230101AFI20240912BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
A61J1/14 520
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108176
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2021518128の分割
【原出願日】2019-10-24
(31)【優先権主張番号】62/749,769
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/790,485
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521131269
【氏名又は名称】ロン・ナガル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロン・ナガル
(57)【要約】
【課題】物質の環境条件を制御するためのデバイス、システムおよび方法の提供。
【解決手段】1つまたは複数の物質の少なくとも1つの環境条件を制御するための環境制御アセンブリであって、上記1つまたは複数の物質はむき出しであるかまたは物質容器に収容され、上記アセンブリは、上記物質に熱遮蔽を与えるように構成された断熱材を含む第1の格納体と、上記物質の少なくとも1つの環境条件を調整するように構成された少なくとも1つの変形可能環境制御材を含む第2の格納体であって、上記物質と上記物質容器とのうちの少なくとも一方と少なくとも部分的に物理的に接触する第2の格納体と、上記第1の格納体と上記第2の格納体とを少なくとも部分的に含むハウジングとを含む、環境制御アセンブリ。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本出願は、2018年10月24日に出願された「Devices,Syste
ms and Methods for Controlling and Maint
aining Conditions of Substances」という名称の米国
仮特許出願第62/749,769号および2019年1月10日に出願された「Dev
ices, Systems and Methods for Controllin
g and Maintaining Conditions of Substanc
es」という名称の米国仮特許出願第62/790,485号の優先権を主張する。上記
開示のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002]本開示のいくつかの実施形態は、一般に、物質環境条件の標的型制御に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]薬剤およびその他の物質は、光、湿度、温度、大気、圧力およびその他の条件の
影響を受けやすい。多くの薬剤およびその他の物質は、そのような条件に対して、それを
超えると薬剤の有効性を低下させ、または物質を劣化させる可能性がある限度境界を有す
る。
【0004】
[004]また、ユーザは薬局で薬剤を受け取り、それらの薬剤を自宅まで持ち運ぶ必要が
ある。それらの薬剤を冷蔵する必要がある場合、ユーザは、家庭用冷蔵庫までの移送時に
その薬剤の量が確実に冷蔵されるようにするのに苦労する。ユーザはアイスパックを使用
するが、そのようなアイスパックは薬剤とは接触せず、その結果、薬剤が適正な冷蔵温度
であることを保証しない。場合によっては、アイスパックが薬剤と直接接触すると、薬剤
が凍結し、それによって薬剤を劣化させる可能性がある。
【0005】
[005]薬剤収容デリバリデバイスなど、薬剤および物質容器を制御された環境条件下に
維持することができる装置が存在するが、現在のその種の装置はかなり大型で、一般には
その動作のために通常AC電源、または持続時間が限られた大型バッテリを必要とする。
冷却パックなどの他のデバイスは、ケースを冷却温度下に維持するのに大量の冷却剤(氷
または水蒸散)を必要とする。
【0006】
[006]現在、可搬型であって、デバイスに特別に「充電」するためにユーザが外部電力
またはその他の特別な非通常行為を用いる必要なしに、数時間、数日間、数週間、さらに
は数年の期間にわたり、デバイスが制御された条件を提供し続けるためにユーザが非通常
行為を行う必要がない、薬剤およびその他の温度感受性物質を冷蔵温度(例えば0℃から
8℃または2℃から8℃)または任意のその他の所望温度に維持するための、簡素で安価
なデバイスはない。特に、停電時、家庭用冷蔵庫に保管されている物質の温度を維持する
必要がある。また、家庭用またはその他の種類の冷蔵中に確実に、物質が凍結しないよう
にする必要がある。また、物質を薬局から家庭/家庭用冷蔵庫に運ぶとき、および/また
は物質が冷蔵庫外にある任意のときに、所望の物質温度を維持するために使用される搬送
装置が必要である。実質的にこのようなあらゆる状況下で、1つまたは複数の容器に収納
されるかまたはむき出しの場合もある物質が、確実に所定温度範囲内の所望の所定温度に
維持されるようにする。言い換えると、デバイス内の環境条件が一定しているように構成
されたデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0007】
[007]本開示の一部の実施形態では、任意の物質の環境条件が制御され得る。環境条件
(本明細書では「条件」と呼ぶ場合がある)は、光、湿度、温度、大気、圧力または、物
質に影響を与える任意のその他の条件を含み得る。
【0008】
[008]物質は、条件によって影響される任意の材料を含み得る。非限定的な一実施例で
は、物質は薬剤、調合薬、ホルモン、成長ホルモン、血液、酵素、体液、身体部分、身体
器官、身体組織、精子または卵子などの生物学的物質を含み得る。物質は、任意の種類の
材料を含む分析物指示薬、分析物感知薬/分析物検出薬を含み得る。分析物指示薬または
感知薬は、例えば、血糖値を示すように構成された血糖検査ストリップまたは血糖感知薬
を含み得る。血糖ストリップは、酵素または任意のその他の生物学的物質を含み得る。別
の例では、分析物指示薬または感知薬は、尿検査ストリップを含み得る。分析物指示薬ま
たは感知薬は、生物学的物質および/または化学物質を含む生物学的指標に基づく診断手
段を含み得る。物質は、例えば、口紅、香水、洗面用品、ヘアケアまたはスキンケア製品
、スプレー、泡状整髪剤、乳液、およびジェルなどの化粧品を含み得る。物質は、例えば
、樹脂、接着剤、糊、エポキシまたはシアノアクリレート系接着剤を含み得る。物質は、
例えば、固体、液体、乳剤、気体、ゲル、顆粒、および粉末またはこれらの組合せを含み
得る。物質は、例えば、別の液体が混合された液体、または粉末が混合された液体など、
同じかまたは異なる状態もしくは相の複数の物質を含み得る。実施形態によっては、混合
物の1つの部分を特定の環境条件に維持することは、両方の部分を維持するよりも所要電
力量が少ない。例えば、粉末状の物質はその液体状態の同じ物質よりも体積が小さい。し
たがって、少量の粉末を特定の温度に維持するのは、より多量の液体をその特定の温度に
維持するよりも所要電力が少ない。
【0009】
[009]したがって、本開示の一実施形態によると、1つまたは複数の物質の少なくとも
1つの環境条件を制御するための環境制御アセンブリであって、上記1つまたは複数の物
質はむき出しであるかまたは物質容器内に収容される、環境制御アセンブリが提供される
。アセンブリは、物質に熱遮蔽を与えるように構成された断熱材を含む第1の格納体と、
物質の少なくとも1つの環境条件を調整するように構成された少なくとも1つの変形可能
環境制御材を含む第2の格納体とを含む。第2の格納体は、物質と物質容器とのうちの少
なくとも一方と少なくとも部分的に物理的に接触し、ハウジングが少なくとも部分的に、
第1の格納体と第2の格納体とを含む。実施形態によっては、環境制御材は、熱自己充電
型である。実施形態によっては、第1の格納体は少なくとも部分的に第2の格納体を収容
する。実施形態によっては、第2の格納体は、物質と物質容器とのうちの少なくとも一方
を受け入れるように構成されたチャンバを形成し、第2の格納体は、変形可能格納体と、
物質と物質容器とのうちの少なくとも一方との中間に形成される空洞域を最小にするよう
に、物質と物質容器とのうちの少なくとも一方と隣接して接触する。
【0010】
[0010]実施形態によっては、第2の格納体は、少なくとも1つの区画を含み、少なくと
も2種類の環境制御材が互いに混合され、単一の区画に入れられる。実施形態によっては
、第2の格納体は複数の区画を含み、各区画が単一の種類の環境制御材を含む。実施形態
によっては、第2の格納体の第1の区画が第1の種類の環境制御材を含み、第2の格納体
の第2の区画が第2の異なる種類の環境制御材を含む。
【0011】
[0011]実施形態によっては、環境制御材は、少なくとも1つまたは複数の種類の相変化
物質(PCM)を含む。実施形態によっては、第1の種類のPCMがバルクPCMを含み
、第2の種類のPCMがマイクロカプセル化PCMを含む。実施形態によっては、1種類
の環境制御材がH2Oを含む。実施形態によっては、第1の種類の環境制御材がPCMを
含み、第2の種類の環境制御材がH2Oを含む。実施形態によっては、H2Oに対するP
CMの比は約1:1から約10:1の範囲である(PCM:H2O)。
【0012】
[0012]実施形態によっては、環境制御材は、少なくとも2種類の環境制御材を含み、上
記少なくとも2種類の環境制御材のうちの第1の環境制御材は、高い相変化温度を有して
構成され、上記少なくとも2種類の環境制御材のうちの第2の環境制御材は、低い相変化
温度を有して構成される。
【0013】
[0013]実施形態によっては、発熱体が物質を加熱するように構成される。実施形態によ
っては、発熱体は、物質の最大温度有効性限度を超えないで物質を加熱するように構成さ
れる。実施形態によっては、アセンブリは、電源を含む。実施形態によっては、アセンブ
リは、ハウジングを閉じるためのロック機構を含む。実施形態によっては、アセンブリは
リモートデバイスと有線または無線で通信する通信手段を含む。
【0014】
[0014]実施形態によっては、ハウジングは剛体材料からなる。実施形態によっては、ハ
ウジングは、柔軟性材料からなる。
[0015]実施形態によっては、第1の格納体は、インフレーション時に中に空気を導入し
、デフレーション時に中から空気を除去するように構成された選択的にインフレータブル
および/またはデフレータブル収容体を含み得る。実施形態によっては、アセンブリは、
アセンブリを収容するような大きさおよび構造とされる冷蔵庫の区画内に配置されるよう
に構成される。実施形態によっては、アセンブリは、冷蔵庫の区画から取り出し可能に構
成される。
【0015】
[0016]実施形態によっては、アセンブリは、ドローンによる装着と搬送用に構成される
。
[0017]したがって、本開示の一実施形態によると、1つまたは複数の物質の少なくとも
1つの環境条件を制御するための環境制御システムであって、上記1つまたは複数の物質
はむき出しであるかまたは物質容器内に収容される、環境制御システムが提供される。シ
ステムは、環境制御アセンブリと、環境条件が制御されない部分とを含む。実施形態によ
っては、システムは冷蔵庫を含む。実施形態によっては、システムは薬剤輸液デバイスを
含む。
【0016】
[0018]したがって、本開示の一実施形態によると、1つまたは複数の物質の少なくとも
1つの環境条件を制御するための環境制御アセンブリであって、上記1つまたは複数の物
質はむき出しであるかまたは物質容器内に収容され、上記アセンブリは、物質に熱遮蔽を
与えるように構成された断熱材を含む第1の格納体と、物質の少なくとも1つの環境条件
を調整するように構成された少なくとも1つの環境制御材と、物質および/または容器に
沿って熱を分布させるように構成された熱分配器と、第1の格納体を少なくとも部分的に
含むハウジングとを含む、環境制御アセンブリが提供される。
【0017】
[0019]したがって、本開示の一実施形態によると、1つまたは複数の物質の少なくとも
1つの環境条件を制御する方法であって、上記1つまたは複数の物質はむき出しであるか
または物質容器に収容され、物質を断熱することと、物質と物質容器とのうちの少なくと
も一方を変形可能環境制御材と少なくとも部分的に物理的に接触させた状態で変形可能環
境制御材によって物質の上記少なくとも1つの環境条件を調整することとを含む方法が提
供される。
【0018】
[0020]なお、環境制御アセンブリについて主として温度を含む条件に関連して説明する
が、本開示は任意の種類の条件に適用可能であるものと理解されることに留意されたい。
[0021]本開示の一実施形態によると、環境制御アセンブリは、自己充電型アセンブリを
含む。自己充電型アセンブリは、ユーザによるアセンブリの通常使用時に(すなわち、ユ
ーザが物質を使用するときに必然的に行う行為以外のいかなる行為も行う必要なしに)、
PCMの少なくとも一部が、他の方式であればその物質を劣化させる可能性がある極端な
温度(所望の条件を基準にして高いかまたは低いこともあり得る)にさらされた後で固体
になるのに十分な時間があるように選択された相変化温度を有して構成されたPCMを含
み得る。非限定的な一実施例では、薬剤を収容し、断熱と、転移温度が28℃の適切な量
のPCMとを含むアセンブリが、夜間に自己充電する。温度が28℃を下回ると、ユーザ
はPCMが少なくとも部分的に「充電」するように帰宅すればよく、一方、日中には、ア
センブリが、薬剤が30℃を超える温度または薬剤を劣化させる可能性のある温度になる
のを防止するための保護を日中いっぱい提供する。自己充電型アセンブリは冷蔵庫に入れ
られるようにも構成され、これは、ある種の薬剤(例えばインスリン)の典型的な使用は
使用の前に薬剤を冷蔵することであるため、実施形態によっては通常の使用とみなされ、
「特別な」ユーザ介入はない。したがって、自己充電型アセンブリは、冷蔵環境と屋外環
境または冷蔵庫外の両方において、ユーザがいかなる非通常介入も行う必要なしに、物質
の環境条件を維持し、制御するために使用されるように構成される。
【0019】
[0022]一実施形態によると、少なくとも1つまたは複数の断熱チャンバまたは塊を有す
る断熱された装置が提供される。断熱された装置は、「環境条件制御デバイス」または「
環境条件制御アセンブリ」とも呼ぶ場合がある。断熱チャンバのうちの少なくとも1つの
チャンバが、(i)1つまたは複数の物質収容デバイスもしくは容器(例えば薬剤注入デ
バイスまたは任意の薬剤送達デバイス)、または(ii)1つの変形可能面の面上に配置
されたむき出しの物質の形状に従うように構成された変形可能面を有する。物質収容デバ
イスまたは容器と、薬剤注入デバイスまたは任意の薬剤送達デバイスと、むき出しまたは
容器に収容されている物質とを、「物質および/または容器」と総称する場合がある。変
形可能面は、断熱チャンバがロック機構を使用して互いに接して閉じられると、1つまた
は複数の物質および/または容器の形状に従う。
【0020】
[0023]変形可能面の変形は、任意の1つまたは複数の物質および/または、同じかもし
くは異なる形状を有する、温度感受性物質を収容する容器を配置することを可能にする。
これらの面がロック機構または密閉機構を使用して互いに接して閉じられると、両方の変
形可能面と物質および/または容器とが熱的または物理的(すなわち機械的)に接触する
。少なくとも1つの断熱チャンバが少なくとも1種類のバルクPCMまたはマイクロカプ
セル化PCMおよび/または水を含む。
【0021】
[0024]チャンバを互いに接して閉じると、少なくとも1つまたは複数の物質および/ま
たは容器と変形可能面との間の空隙が最小になる。これは、環境制御材(例えばバルクP
CMおよび/またはマイクロカプセル化PCMおよび/または水)と温度感受性物質およ
び/または容器との間の熱伝導を可能にするとともに、アセンブリに電力供給するための
電力を必要とせずに、一定期間、温度を特定の所定温度限界または温度範囲内に維持する
。
【0022】
[0025]実施形態によっては、変形可能面の代わりに、ファンが、デバイス内部の均一な
温度を実現するように動作する。実施形態によっては、物質および/もしくは容器全体に
わたり、またはそれに沿って均一な温度を実現するために他の手段が使用される。
【0023】
[0026]一部の実施形態によると、断熱されたアセンブリは、断熱チャンバのうちの少な
くとも1つの断熱チャンバ内に、2つのチャンバが互いに接して閉じられ、デバイスロッ
ク機構によってロックされると変形可能面と物質および/または容器との間の熱伝導を調
節するように膨らみ、しぼむことができるインフレータブルおよび/またはデフレータブ
ルエアバッグを含み得る。
【0024】
[0027]実施形態によっては、インフレータブルおよび/またはデフレータブルエアバッ
グは、箱形または円筒形または任意のその他の形態であってよいインフレータブル容器を
含み得る。インフレータブル容器は、物質および/または容器のための断熱チャンバと、
PCMまたはその他の環境制御材とを含み得る。インフレータブル容器は、内部に物質お
よび/または容器を挿入するために開かれるように構成可能であり、PCMを断熱するよ
うに膨らみ、または断熱を有しないことが望ましい場合にはしぼむように構成可能である
。
【0025】
[0028]一部の実施形態によると、断熱デバイスは、剛体もしくは柔軟性とすることがで
きるか、または平坦もしくはインフレータブル構造とすることができる壁を有する断熱チ
ャンバを含む。断熱チャンバの内部には、取り外し可能であるかまたは断熱チャンバの内
壁に永久的に固定されてよい格納体内に収容されているか、または塊を収容する断熱チャ
ンバのいくつかの面とその塊を収容する別の変形可能/柔軟性のある面とを有する、少な
くとも1つのヒートバンク材(すなわち、高い蓄熱容量を有する材料、すなわち環境制御
材)の塊があってよい。断熱チャンバは、物質および/または容器を変形可能面上に配置
するための開口を有してよく、または2つの部分に開くことができる。断熱チャンバは、
物質および/または容器が、少なくとも部分的に、変形可能面およびヒートバンクと熱的
接触するように閉じることができる。内部の物質および/または容器の間には、任意によ
り、温度感受性物質および/または容器に沿って均一な温度を実現するように空気を最小
にする構造または手段が設けられてもよい。デバイスは、任意により、温度を制御するた
めの電子部品を含んでもよく、任意により、リモートデバイスまたは外部デバイスと無線
通信してもよい。
【0026】
[0029]一部の実施形態によると、断熱アセンブリは、アセンブリ内の温度と、アセンブ
リを開ける事象などのアセンブリの使用に関する追加のパラメータの無線通信を可能にす
るための電子部品と少なくとも1つの温度センサとを含み得る。
【0027】
[0030]一部の実施形態によると、家庭用冷蔵庫を、断熱チャンバを含むように構成する
ことができる。断熱チャンバは、断熱チャンバ内にあるPCMと、任意により、電気をエ
ネルギー源とする熱電素子、またはPCMと熱電素子の両方と、物質および/または容器
の温度を測定する温度センサと、コントローラとを含み得る。熱電素子は、物質および/
または物質容器測定温度に応答して作動する。これは、物質および/または容器が限界温
度に達するかまたは温度範囲を超えるのを回避するためである。非限定的な一実施例では
、熱電素子は、凍結を回避するためにチャンバの内部を加熱するために使用され得る。冷
蔵庫は、物質および/または容器の存在と、任意により物質の量とを検出するための要素
を含み得る。この情報、例えば量は、ユーザのスマートフォンまたはその他の外部デバイ
スに、または冷蔵庫の制御ユニットに伝えられてもよい。制御ユニットは、断熱アセンブ
リ内部にある物質および/または容器の無線遠隔制御を提供するように、この情報をユー
ザのスマートフォンまたはその他の外部デバイスにさらに伝えるように構成されてもよい
。
【0028】
[0031]温度感受性物質を保管し、運ぶ方法であって、断熱アセンブリの使用の前または
使用中にユーザが補助蓄熱素子(高い熱容量を有する素子)を追加する必要がない方法が
提供される。ドローンによって温度感受性物質を搬送する方法であって、温度感受性物質
を運ぶためにドローンによって使用されるチャンバ内にオペレータが蓄熱素子を挿入する
必要がない方法が提供される。その代わりに、補助蓄熱素子を必要とせずに、温度感受性
物質の温度が断熱アセンブリ(すなわち環境条件制御アセンブリ)によって制御される。
【0029】
[0032]断熱アセンブリは、断熱アセンブリ内部の物質および/または容器の凍結を回避
した状態で、配置された断熱アセンブリの温度を冷蔵温度に設定するように家庭用冷蔵庫
内に入れることができる。断熱デバイスは、冷蔵庫が機能しない場合であっても数時間、
冷蔵温度を維持することができる。
【0030】
[0033]断熱デバイスは、さらに、ユーザがアイスパックまたはゲルパックを内部に配置
する必要なしに、所定期間(例えば数分から100時間以上まで)の間、非限定的な一実
施例では0°から8℃、または2℃から8℃である冷蔵温度を維持した状態で、ユーザに
よる持ち運びが可能である。実施形態によっては、断熱デバイスは、ユーザが断熱デバイ
スをまず冷凍庫に入れるかまたは中にアイスパックまたはゲルパックを入れる必要なしに
、数日間、屋外環境にあった後であっても、冷蔵庫に戻すと冷蔵温度を維持する能力を回
復し、内部に配置された物質の凍結を回避するように構成され得る。
【0031】
[0034]上記の概念および以下で詳述する追加の概念のすべての組合せは(そのような概
念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書で開示されている本発明の主題の一
部であることが企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の末尾に記載されて
いる特許請求される主題のすべての組合せが、本明細書で開示されている本発明の主題の
一部であることが企図される。また、参照により組み込まれるいずれかの開示にも記載さ
れている場合がある、本明細書で明示的に採用されている用語は、本明細書で開示されて
いるその特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきであることも理解されたい。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
1つまたは複数の物質の少なくとも1つの環境条件を制御するための環境制御アセンブリであって、前記1つまたは複数の物質はむき出しであるかまたは物質容器に収容され、前記アセンブリは、
前記物質に熱遮蔽を与えるように構成された断熱材を含む第1の格納体と、
前記物質の前記少なくとも1つの環境条件を調整するように構成された少なくとも1つの変形可能環境制御材を含む第2の格納体であって、前記物質と前記物質容器とのうちの少なくとも一方と少なくとも部分的に物理的に接触する、前記第2の格納体と、
前記第1の格納体と前記第2の格納体とを少なくとも部分的に含むハウジングとを含む、環境制御アセンブリ。
(項目2)
前記環境制御材は熱自己充電型である、項目1に記載のアセンブリ。
(項目3)
前記第1の格納体は前記第2の格納体を少なくとも部分的に収容する、項目1または2に記載のアセンブリ。
(項目4)
前記第2の格納体は、前記物質と前記物質容器とのうちの少なくとも一方を受け入れるように構成されたチャンバを形成し、
前記第2の格納体は、前記変形可能格納体と、前記物質と前記物質容器とのうちの少なくとも一方との間に介在して形成される空洞域を最小にするように、前記物質と前記物質容器とのうちの少なくとも一方と隣接して接触する、項目1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目5)
前記第2の格納体は、少なくとも1つの区画を含み、少なくとも2種類の環境制御材が互いに混合されて単一の区画内に入れられる、項目1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目6)
前記第2の格納体は、複数の区画を含み、各区画が単一種類の環境制御材を含む、項目1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目7)
前記第2の格納体の第1の区画が第1の種類の環境制御材を含み、前記第2の格納体の第2の区画が異なる種類の第2の環境制御材を含む、項目6に記載のアセンブリ。
(項目8)
前記環境制御材は、少なくとも1種類または複数種類の相変化物質(PCM)を含む、項目1から7のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目9)
第1の種類のPCMがバルクPCMを含み、第2の種類のPCMがマイクロカプセル化PCMを含む、項目8に記載のアセンブリ。
(項目10)
1種類の環境制御材がH2Oを含む、項目1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
(項目11)
第1の種類の環境制御材がPCMを含み、第2の種類の環境制御材がH2Oを含む、項目1から9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
(項目12)
H2Oに対する前記PCMの比が約11から約101の範囲(PCM H2O)である、項目11に記載のアセンブリ。
(項目13)
前記環境制御材は少なくとも2種類の環境制御材を含み、
前記少なくとも2種類の環境制御材のうちの第1の環境制御材が高い相変化温度を有して構成され、
前記少なくとも2種類の環境制御材のうちの第2の環境制御材が低い相変化温度を有して構成される、項目1から12のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目14)
前記物質を加熱するように構成された発熱体をさらに含む、項目1から13のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目15)
前記発熱体は、前記物質の最大温度有効性限度を超えずに前記物質を加熱するように構成された、項目14に記載のアセンブリ。
(項目16)
電源をさらに含む、項目1から15のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目17)
前記ハウジングを閉じるためのロック機構をさらに含む、項目1から16のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目18)
リモートデバイスと有線または無線通信する通信手段をさらに含む、項目1から17のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目19)
前記物質は、薬剤と、生物学的物質と、ホルモンと、成長ホルモンと、血液と、酵素類と、体液と、身体部分と、身体器官と、身体組織と、精子と、卵子と、分析物指示薬と、血糖検査ストリップと、酵素と、尿検査ストリップと、生物学的物質および/または化学物質を含む生物学的指標と、化粧品と、口紅と、香水と、洗面用品と、スプレーと、泡状整髪剤と、乳液と、ジェルと、樹脂と、接着剤と、糊と、エポキシと、シアノアクリレート系接着剤とからなる群から選択される、項目1から18のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目20)
前記ハウジングは剛体材料からなる、項目1から19のいずれかに記載のアセンブリ。(項目21)
前記ハウジングは柔軟性材料からなる、項目1から19のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目22)
前記第1の格納体は、インフレーション時に中に空気を導入し、デフレーション時に中から前記空気を除去するように構成された選択的にインフレータブルおよび/またはデフレータブルな収容体を含む、項目1から21のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目23)
前記アセンブリは、前記アセンブリを収容する大きさおよび構造とされた、冷蔵庫の区画内に入れられるように構成された、項目1から22のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目24)
前記アセンブリは、前記冷蔵庫区画から取り出し可能に構成された、項目23に記載のアセンブリ。
(項目25)
前記アセンブリは、ドローンによる装着および搬送用に構成された、項目1から24のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目26)
1つまたは複数の物質の少なくとも1つの環境条件を制御するための環境制御システムであって、前記1つまたは複数の物質はむき出しであるかまたは物質容器に収容され、前記システムは、項目1から25のいずれか一項に記載の環境制御アセンブリと、前記環境条件が制御されない部分とを含む、環境制御システム。
(項目27)
前記システムは冷蔵庫を含む、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記システムは薬剤輸液デバイスを含む、項目26に記載のシステム。
(項目29)
1つまたは複数の物質の少なくとも1つの環境条件を制御するための環境制御アセンブリであって、前記1つまたは複数の物質はむき出しであるかまたは物質容器に収容され、前記アセンブリは、
前記物質に熱遮蔽を与えるように構成された断熱材を含む第1の格納体と、
前記物質の前記少なくとも1つの環境条件を調整するように構成された少なくとも1つの環境制御材と、
前記物質および/または前記容器に沿って熱を分布させるように構成された熱分配器と、
前記第1の格納体を少なくとも部分的に含むハウジングとを含む、環境制御アセンブリ。
(項目30)
1つまたは複数の物質の少なくとも1つの環境条件を制御する方法であって、前記1つまたは複数の物質はむき出しであるかまたは物質容器に収容され、前記方法は、
前記物質を断熱するステップと、
前記物質と前記物質容器とのうちの少なくとも一方を変形可能環境制御材と少なくとも部分的に物理的に接触させた状態で、前記変形可能環境制御材によって前記物質の前記少なくとも1つの環境条件を調整するステップとを含む、方法。
【0032】
[0035]本開示の一部の実施形態によるシステム、装置および方法の原理ならびに作用は
、図面と以下の説明とを参照すればよりよく理解することができるであろう。図面は、例
示を目的として示されているに過ぎず、限定的であることは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】[0036]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、開状態における例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図1B】本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、閉状態における例示の環境条件制御アセンブリを示す断面図である。
【
図1C】本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、開状態における例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図2】[0037]
図2Aは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、開状態における例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
図2Bは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、閉状態における例示の環境条件制御アセンブリを示す断面図である。
【
図3A】[0038]
図3Aは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、開状態の例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【0034】
【
図3B】
図3Bは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、閉状態の例示の環境条件制御アセンブリを示す断面図である。
【
図4】[0039]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図5】[0040]
図5Aは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、初期作用状態の例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
図5Bは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、さらなる作用状態の例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
図5Cは、本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、例示の環境条件制御アセンブリを示す、
図5Bの線VIC-VICに沿って切り取られた断面図である。
【
図6A】[0041]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図6B】本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図7】[0042]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、冷蔵庫内に組み込まれた例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図8】[0043]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、例示の環境条件制御アセンブリを示す概略図である。
【
図9】[0044]本開示の一部の実施形態により構築され、作用可能な、環境条件制御アセンブリの例示の性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0045]
図1Aおよび
図1Bはそれぞれ、物質102の少なくとも1つの環境条件を制御
するための例示の環境条件制御アセンブリ100を示す。
[0046]物質は非限定的な一実施例では、薬剤、ホルモン、成長ホルモン、血液、酵素、
体液、身体部分、身体器官、身体組織、精子もしくは卵子などの生物学的物質または化学
物質を含み得る。物質は、任意の種類の材料を含む、分析物指示薬、分析物感知薬および
/または分析物検出薬を含み得る。分析物指示薬または感知薬は、例えば、血糖値を示す
ように構成された血糖検査ストリップ、または分析物の存在を検出するように構成された
任意のその他の分析物モニタリングストリップを含み得る。血糖ストリップまたは分析物
ストリップは、酵素または任意のその他の生物学的物質もしくは化学物質を含み得る。別
の例では、分析物指示薬または感知薬は、尿検査ストリップを含み得る。分析物指示薬ま
たは感知薬は、生物学的物質および/または化学物質を含む生物学的指標に基づく任意の
診断手段を含み得る。物質は、例えば、口紅、香水、洗面用品、ヘアケアまたはスキンケ
ア製品、スプレー、泡状整髪剤、乳液、およびジェルなどの化粧品を含み得る。物質は、
樹脂、接着剤、糊、エポキシまたはシアノアクリレート系接着剤を含み得る。物質は、例
えば、固体、液体、乳剤、気体、ゲル、顆粒、および粉末などの任意の適切な形態で構成
され得る。物質は、例えば、別の液体と混合された液体、または粉末と混合された液体な
ど、同じかまたは異なる相の複数の物質を含み得る。物質が薬剤を含む場合、薬剤は、固
体、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、気体、ゲル、クリーム、乳剤、スプレー、座薬、また
はこれらの組合せなどの任意の適切な形態を含んでよく、任意の適切な方式で送達され得
る。
【0036】
[0047]実施形態によっては、物質は容器104に収容され得る。
[0048]実施形態によっては、容器104は、物質保管デバイスまたは物質デリバリデバ
イスを含み得る。容器104は、中に物質を収容するための任意の適切な構成で構成され
得る。実施例によっては、容器104は、注入ペン、ジェット式注入器および/または注
射器など、薬剤注入送達のためのデバイスを含み得る。物質を収容するための一部のさら
なる非限定的な例示の容器104は、物質用小瓶、物質カートリッジ、アンプル、物質ポ
ンプ、ピルボックス、カプセル容器、吸入器、物質噴射デバイス、ポンプ付き輸液デバイ
ス、またはポンプなし輸液デバイスを含み得る。実施形態によっては、容器104は箱を
含み得る。実施形態によっては、容器104は、血糖ストリップまたは任意のその他の分
析物、例えば生物学的または化学的分析物モニタリングストリップを保管および移送する
ための容器を含み得る。
【0037】
[0049]実施形態によっては、容器104は、本出願人の特許公開WO2016/011
207号に記載されているような環境制御スリーブ、または本出願人の特許公開WO20
17/090019号に記載されているような環境条件制御装置を含むかまたはそれに含
められてもよく、両公開文献はそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
[0050]実施形態によっては、物質102は容器104に入れられてよく、容器104は
図1Aおよび
図1Bに示すような環境制御アセンブリ100の収容塊106(「チャンバ
」とも呼ぶ)内に配置されてもよい。
【0039】
[0051]
図Cに示すように、実施形態によっては、物質102は、容器104なしに環境
制御アセンブリ100内に直接、むき出しで入れられるように構成されてもよい。非限定
的な一実施例では、物質102は、環境制御アセンブリ100内に直接入れられた分析物
検出薬ストリップ108を含み得る。
【0040】
[0052]環境制御アセンブリ100は、持ち運びまたは輸送ケースとして採用され得る。
容器104内に収容され得るかまたはむき出しであってもよい物質102に、熱遮蔽を与
えるように構成された断熱材を含む断熱材収容体114(すなわち第1の格納体)を格納
するか、またはその他の方法で収容するか、またはその一部とするように、ハウジング1
10が設けられてもよい。断熱材(交換可能に「断熱」または「分離」と呼ぶこともある
)収容体114は、中間に少なくとも部分的に配置された断熱材の層または任意の他の構
造として形成されるか、またはハウジング110および変形可能格納体118(すなわち
第2の格納体)の一部であってよい。
【0041】
[0053]実施形態によっては、断熱材収容体114は、ハウジング内に少なくとも部分的
に収容された塊に熱遮蔽を与えるように構成される。
[0054]実施形態によっては、断熱材は、断熱材収容体114によって形成された2つの
壁112の間に介在して形成された真空などの、真空チャンバを含み得る。実施形態によ
っては、断熱材収容体114は、空気が抜かれた剛体コアを囲む機密性の格納体を含む真
空断熱パネル(VIP)を含み得る。実施形態によっては、断熱材収容体114は、Co
ncept Group社製のINSULON(登録商標)(www.conceptg
roupinc.com)として市販されている、壁と真空隙とからなる多層材料、なら
びに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014009
0737号で開示されている同様の構造物を含み得る。実施形態によっては、断熱材収容
体114は、比較的高真空の構造を含み得る。非限定的な一実施例では、高真空は約10
-3トル以下、または約10-4トル以下、または約10-5トル以下、または約10-
6トル以下、または約10-7トル以下であってよい。
【0042】
[0055]実施形態によっては、断熱材はシリコンエアロゲル、空気、もしくは任意のその
他の気体、または非限定的な一実施例の場合、グラスファイバ、ウール、セルロース、発
泡材および/またはポリスチレンなどのその他の材料を含み得る。
【0043】
[0056]実施形態によっては、
図5Aから
図6を参照しながら説明するように、断熱材収
容体115は、2つの面または壁の間の空気またはその他の気体のインフレーションまた
はデフレーションをさらに可能にするように、剛体または柔軟性であってよい2つの面ま
たは壁の間に閉じ込められた空気を含み得る。
【0044】
[0057]実施形態によっては、特定の特性(例えば、物質102の環境条件を制御および
/または維持するための、物質102における断熱度、所定温度)を実現するために、同
じかまたは異なる断熱特性を有するいくつかの断熱層および/または材料を使用すること
ができる。
【0045】
[0058]変形可能格納体118は、断熱材収容体114内に存在してよく、物質102お
よび/または容器104の環境条件を調整するように構成された少なくとも1つの環境制
御材120を含み得る。実施形態によっては、環境制御材120は、変形可能材内または
変形可能面内に収められる。環境条件が温度である非限定的な一実施例では、環境制御材
120は、物質102および/または容器104と少なくとも部分的に熱的に連通してい
るPCMを含み得る。実施形態によっては、変形可能格納体118は変形可能面を含み得
る。
【0046】
[0059]空気は不良熱導体である。したがって、環境制御材120と物質および/または
容器104との間の空洞域の形成により、環境条件の制御における環境制御材120の有
効性が低下する可能性がある。例えば、環境条件が温度を含む場合、物質102および/
もしくは容器104の周囲の空洞域または空隙が、容器104の周囲(またはむき出しの
物質102の周囲)に不均一な温度領域、すなわち、容器104の周囲の熱の不均一な分
布を生じさせる。この不均一性は熱伝導を低下させ、それによって物質102および/ま
たは容器104が意図せずに所定の所望範囲外の温度に熱せられるかまたは冷却される。
【0047】
[0060]変形可能格納体118は、少なくとも部分的に物理的および/または熱的に接触
する物質102および/または容器104を格納するように構成された変形可能材/表面
124(
図2Bの挿入図参照)から少なくとも部分的になり得る。すなわち、変形可能格
納体118は、変形可能格納体118と物質102および/または容器104との間に介
在して形成される空洞域または空隙を最小にするように、少なくとも部分的に隣接して熱
的および/または物理的に(すなわち機械的に)物質102および/または容器104と
接触する。したがって、物質102および/または容器104と環境制御材120との間
の熱伝導性が増大させられ、物質102および/または容器104の環境制御が維持され
る。
【0048】
[0061]環境制御条件が温度である非限定的な一実施例では、物質102および/または
容器104と変形可能格納体118との間の増大した熱伝導性は、物質102および/ま
たは容器104の温度を任意の環境内で所定温度範囲内に維持することを可能にする。そ
のような環境は、その中で保管されている状態での冷蔵庫(家庭用および/または業務用
または任意の冷蔵)を含み得、環境はさらに、物質102の移送時または使用時などの屋
外または冷蔵外の環境も含む。
【0049】
[0062]変形可能材124(変形可能面を含み得る)は、薄い層からなり得る。非限定的
な一実施例では、変形可能材124の幅は、環境制御材120の厚さの約0.1%から1
%の範囲内とすることができる。非限定的な一実施例では、変形可能材124の幅は、環
境制御材の厚さの約0.1%から10%の範囲内とすることができる。非限定的な一実施
例では、変形可能材124の幅は、約1マイクロメートルから100マイクロメートルの
範囲内とすることができる。
【0050】
[0063]変形可能材124は、物質102および/または容器104と環境制御材120
との間に十分な熱伝導性をもたらす柔軟性繊維または任意のその他の種類の柔軟性材料を
含み得る。
【0051】
[0064]実施形態によっては、環境制御材120は、第1の環境制御材部分130と第2
の環境制御材部分132などの複数の環境制御材部分からなり得る。非限定的な一実施例
では、第1の部分130は、約4℃から30℃の範囲、または約20℃から30℃の範囲
、または約4℃から8℃の範囲、または約8℃から20℃の範囲およびこれらの部分的範
囲などの相変化温度であるがこれらには限定されない、比較的高い相転移温度を有して構
成される。第2の部分132は、0℃から8℃、または例えば2℃から8℃または0℃か
ら2℃の範囲およびこれらの部分的範囲などの相変化温度であるがこれらには限定されな
い、比較的低い相転移温度を有して構成される。
【0052】
[0065]言い換えると、実施形態によっては、物質102の劣化(例えば過熱)を防ぐた
めに超えてはならない上限温度「Tu」がある。したがって、第1の部分130はTu以
下の第1の相転移温度を有して選択される。例えば、第1の部分130は、暖かい周囲環
境における場合、または冷蔵で保管され、冷蔵庫が故障した場合に、物質102の有効性
のある温度を維持するように構成される。それより下がると物質102の劣化(すなわち
過冷却または凍結)を生じさせる下限温度「Tl」もあり得る。したがって、第2の部分
132は、Tl以上の第2の相転移温度を有して選択される。例えば、第2の部分132
は、低温もしくはさらに凍結周囲環境における場合、または物質102が冷蔵庫(または
冷凍庫)に保管される場合、または冷蔵で保管され、冷蔵庫が故障した場合に、物質10
2の有効性のある温度を維持し、過冷却または凍結を防止するように構成される。
【0053】
[0066]したがって、少なくとも2つの環境制御材部分のこの組合せは、物質を高周囲温
度と低周囲温度の両方から制御および守ることができる。2つの環境制御材部分について
説明したが、3つ以上の異なる環境制御材も使用可能である。実施形態によっては、環境
制御材は、それらの材料がすべて一緒に配置される場合であってもそのいずれか1つの材
料が他の材料の機能を阻害しないように予め選択され、またはそれらの材料が阻害する可
能性がある場合は、変形可能格納体118の別々の「チャンバ」または「ポケット」また
は「格納体」内に、物質102および/または容器104と熱的接触して配置される。
【0054】
[0067]実施形態によっては、環境制御材120は1つまたは複数の熱エネルギー吸収材
料を含む。
[0068]実施形態によっては、環境制御材120は、相変化物質(PCM)126を含み
得る。PCM126は、特定の相転移温度での融解と固化(すなわちその層を変化させる
こと)により、比較的大量のエネルギーを吸収、蓄積、および放出することができる比較
的高い融解熱を有する材料を含み得る。PCM126は、さらに、断熱材収容体114を
通過する可能性のある熱流束を、物質102および/または容器104に達する前に吸収
する。PCM126は、物質102および/または容器104の環境条件の制御と調整と
を行うように構成される。PCM126は、その潜熱容量および/または顕熱容量によっ
て特徴付けられ得る。
【0055】
[0069]PCMの種類は、その相転移温度、すなわち、固体が完全に液体に変化する温度
など、第1の相が第2の相に完全に変化する温度によって特徴付けられ得る。実施形態に
よっては、PCMの種類は、特に以下のパラメータのうちのいずれか1つのパラメータに
応じて選択され得る。すなわち、要求物質温度、物質を要求物質温度(または所定の閾値
温度より低いかまたは高い温度)に維持するのに要する時間、および要求モード(すなわ
ち、物質の保管、典型的には冷蔵または冷蔵庫外での使用、または移送モード)である。
【0056】
[0070]実施形態によっては、PCM126は、有機系PCM、無機系PCM、共晶系P
CM、または水性PCMを含み得る。無機PCMの非限定的な例は、含水塩、塩類、金属
、および合金を含む。有機PCMの非限定的な例は、パラフィン、脂肪酸、油、生体適合
性油、植物油、アルコール、ならびにグリコール、および油性物質を含む。
【0057】
[0071]PCM126は、例えば、バルク形態またはマイクロカプセル化形態など、任意
の適切な形態で構成され得る。マイクロカプセル化PCMは、一般には小径(非限定的な
一実施例では、直径1マイクロメートルから1センチメートル)のカプセルを含み得る。
PCM126は、カプセル内に収容される。マイクロカプセル化は、異なる相転移温度を
有する異なるPCMの混合を可能にする。PCMがバルク形態である場合、各PCMを個
別の区画に格納することによってそれぞれの種類のPCMを別々に維持してよく、または
、それらのうちのいずれか1つの相温度もしくは潜熱容量(潜熱または顕熱)を変更する
ように互いと相互作用しない場合には同じ区画内に収容することもできる。
【0058】
[0072]実施形態によっては、第1の相転移温度を有する上記第1の部分と第2の相転移
温度を有する第2の部分132とを維持するために、例えば、第1の部分130と第2の
部分132のそれぞれの種類のためのマイクロカプセルを使用することによって、または
、第2の部分132のバルク材料内に分散させた第1の部分130が入ったマイクロカプ
セルを使用することによって(
図1B)、第1の部分130と第2の部分132とが混合
されないように維持されてもよい。また、第1の部分130と第2の部分132は、第1
の部分130が水性PCMで、第2の部分132が油性PCMまたはその逆などの相互に
混合しにくい材料のバルクからなってよく、それによって同じ区画に収容可能な混合され
ない層(
図3B)を形成することができる。環境制御材120は、材料の任意のその他の
適切な組合せを含み得る。
【0059】
[0073]実施形態によっては、環境制御材120は、任意の適切な液体を含み得る。非限
定的な一実施例では、液体は、様々な相(気相、液相、固相)における水すなわちH
2O
含有化合物を含み得る。実施形態によっては、
図1Aおよび
図1Bを参照しながら説明す
るように、第1の環境制御材部分130は液体を含んでよく、第2の環境制御材部分13
2はPCM126を含んでよい。
【0060】
[0074]実施形態によっては、変形可能材120内に入れられる液体(例えば水)は、変
形可能格納体118に強制的に物質102または容器104の形状をとらせ、従わせ、そ
れによって変形可能格納体118と物質102および/または容器104との間の熱的お
よび/または物理的接触を増大させるように設けられる。
【0061】
[0075]非限定的な一実施例では、アセンブリ100が冷蔵されるかまたは冷蔵温度範囲
(例えば2℃から8℃)にあるように指定される場合、第1の部分130は固相(すなわ
ち相転移温度が8℃以下)であるように構成されたPCMを含んでよく、第2の部分13
2は0℃から2℃付近の相変化温度を有するPCM、または水を含む。したがって、アセ
ンブリ100が8℃を上回る周囲温度にある場合、PCMと断熱との組合せが温度を冷蔵
温度に保つ。一方、第2の部分132PCMは、周囲温度が凍結温度より下がる場合でも
物質の温度が凍結温度になるのを防ぐ。それぞれの第1の部分130と第2の部分132
のこの組合せは、冷蔵庫温度がよく制御されていない場合であっても、物質温度を8℃以
下の温度範囲内であるが凍結温度(例えば0℃以下)を上回るように維持する手だてとな
る。
【0062】
[0076]実施形態によっては、PCMは、固相形態(その相転移温度を下回る)温度であ
るときでも少なくとも部分的に柔軟であるように構成され得る。非限定的な一実施例では
、区画内のそのような柔軟性PCMは、Glacier Tekat https//g
laciertek.comによって市販されている。これらの区画は、米国ミネソタ州
55416ミネアポリス・パークグレンロード4232のPURETEMPから市販され
ているPURETEMP(登録商標)相変化物質を収容する。
【0063】
[0077]実施形態によっては、環境制御材120は、PCM126と水140との混合物
を含み得る。混合物は、PCM126と水140とを含む、分散ウェットケーキ型混合、
またはマイクロカプセルの分散など、任意の適切な方式で形成可能である。
【0064】
[0078]第1の環境制御材部分130と第2の環境制御材部分132との任意の所定の適
切な比率を決定することができる。第1の環境制御材部分130が任意の形態のPCM1
26を含み、第2の環境制御材が水140を含む非限定的な一実施例では、第1と第2の
環境制御材の比率は約10:90パーセント、または約20:80パーセント、または約
30:70パーセント、または約40:60パーセント、または約50:50パーセント
、または約60:40パーセント、または約70:30パーセント、または約80:20
パーセント、または約90:10パーセントである。
【0065】
[0079]実施形態によっては、この比率は、環境制御アセンブリ100の周囲の環境に応
じて決まる。非限定的な一実施例では、この比率は、環境制御アセンブリ100を保管す
る家庭用冷蔵庫の温度安定性に応じて選択されてもよい。物質102を凍結させるリスク
が低い良好な温度安定性を有する冷蔵庫の場合、比率は、環境制御材の量の大部分がPC
M126を含み、より少量の水を含むような比率である。
【0066】
[0080]環境制御材および環境制御材部分は、区画内に設けられ得る。区画は、柔軟性の
ある変形可能材124からなることができ、その中に環境制御材120を収容することが
できる。
【0067】
[0081]
図1Aから
図1Cでわかるように、環境制御材120は、第1の下部区画150
と第2の上部区画152とに入れられた水140とマイクロカプセル化PCM126との
混合物を含み、それによって容器104を格納するための変形可能格納体118を形成す
る。
【0068】
[0082]
図2Aおよび
図2Bでわかるように、第1の下部区画160と第2の下部区画1
62とが設けられ、互いに並んで配置され得る。第1の上部区画170と第2の上部区画
172とが共に容器104を格納するための変形可能格納体118を形成するように設け
られ、互いに並んで配置され得る。第1の下部区画160と第2の下部区画162と、第
1の上部区画170と第2の上部区画172のそれぞれは、同じかまたは異なる環境制御
材120を含み得る。
図2Aおよび
図2Bの非限定的な例でわかるように、第1の下部区
画160と第1の上部区画170とは第1のPCM126バルクを含み、一方、第2の下
部区画162と第2の上部区画172とは水を含む。
【0069】
[0083]次に
図3Aおよび
図3Bを参照すると、第1の下部区画160と第2の下部区画
162とは、それぞれ、互いに重なるように設けられ、配置され得る。第1の上部区画1
72と第2の上部区画172とは、それぞれ、互いに重なるように設けられ、配置され、
それによって容器104を密閉するための変形可能格納体118を共に形成することがで
きる。第1の下部区画160と第2の下部区画162と、第1の上部区画170と第2の
上部区画172のそれぞれが、同じかまたは異なる環境制御材120を含み得る。
図3A
および
図3Bの非限定的な例でわかるように、第1の下部区画160と第2の上部区画1
72とはPCM126を含み、一方、第2の下部区画162と第1の上部区画170とは
水を含む。
【0070】
[0084]
図1Aから
図3Bは、環境制御材およびその配置の例であり、環境制御材の任意
の組合せまたは配置を使用してよい。
[0085]断熱材収容体114と変形可能格納体118とは、同時に射出されることによっ
て、または別々に製造し、その後、互いに結合することによってなど、任意の適切なプロ
セスで製造可能である。実施形態によっては、変形可能格納体118は、上に複数の環境
制御材部分があり、容器104または物質102が各部分に実質的に等しく接触するよう
に構成可能である。
【0071】
[0086]実施形態によっては、変形可能格納体118は、変形可能材からなる環境制御材
120を含み、変形可能材が不要にされる。
[0087]実施形態によっては、環境制御アセンブリ100は、環境制御アセンブリ100
の上部182を下部184に接して密封係合状態に閉じるための任意の適切な方式で形成
されたロック機構180(
図1A)を含み得る。これにより、変形可能格納体118と物
質102および/または容器104との間に熱的および物理的接触を形成する。ロック機
構180は、任意の適切な形態の機械式ロックを含むことができ、非限定的な一実施例で
は、プラスチック製の再密閉可能なジッパー(例えばZIPLOC(登録商標)またはジ
ッパーロックを含み得る。
【0072】
[0088]実施形態によっては、環境制御アセンブリ100は熱自己充電型アセンブリ10
0を含み得る。これは、環境制御材120を作用させるための電力を必要としないPCM
126および/または水140などの受動要素を含む環境制御材120を選択することに
よって実現可能である。環境制御材120は、周囲温度変動、適切な量に応じて、および
物質温度最大限度または最低限度に応じて選択することができる。例えば、最大物質温度
限度と等しいかまたはわずかに下回る相転移温度を有する任意の1つまたは複数のPCM
を選択し、断熱とPCMとの組合せにより、所定期間にわたって固相に維持するように構
成されたPCM量を選択することによって、物質の安全温度外の(より高いかまたはより
低い)温度条件にさらされた場合でも、容器104の使用中および/またはアセンブリ1
00内での保管中を含む比較的長期間、物質を最大物質温度限度より下に安全に維持する
ことができ、特別な非通常のユーザ介入なしにその容量を回復することができる。
【0073】
[0089]周囲温度は、アセンブリ100が冷蔵庫に保管される場合の冷蔵温度、およびア
センブリ100が冷蔵庫外に置かれる場合の屋外温度など、アセンブリ100外の温度を
含み得る。
【0074】
[0090]非限定的な一実施例では、このような熱自己充電型アセンブリ100の場合、イ
ンスリンを含む物質102が、8℃より低温で維持される場合、製造業者によって設定さ
れた有効期限までその有効性を維持することができる。十分な量のPCMで7℃または8
℃など、8℃の温度限界に近い相変化温度を有するPCM126を選択することによって
、PCM126がその相を固相から液相に完全に変化させない限り収容塊106は8℃の
限度を超えることはない。したがって、アセンブリ100が8℃を超える周囲温度(例え
ば室温)に12時間をわずかに下回る時間または24時間未満の時間にわたり置かれた場
合でも、インスリンは8℃未満に維持されることになる。冷蔵庫が再び作動するかまたは
アセンブリ100が正常に機能する冷蔵庫に戻されるかしたときなど、周囲環境がPCM
の相転移を下回る温度(例えば7℃または8℃より低温)に戻るとすぐに、ユーザが電気
エネルギーを投入する必要なしに、PCM126は再び固化し始めることになる。ユーザ
が未使用のインスリンを冷蔵状態に置くことは通常のことであるため、アセンブリ100
は、特別な非通常のユーザ行動なしにユーザが冷蔵されたインスリンを薬局から家に持ち
帰り、冷蔵庫に入れることができるようにし、ユーザに要求されるのは、ユーザが通常行
うように、アセンブリ100を冷蔵庫から取り出し、薬局に行き、冷蔵されたインスリン
をアセンブリ100に入れ、帰宅して、インスリンを冷蔵庫に入れることである。
【0075】
[0091]例示のアセンブリ100の作用を、
図9のグラフに示す。2日間のサイクルが示
されている。上のグラフ185は、夜間に低温になり、日中に高温になるにつれて変化す
る周囲環境温度を示す。下のグラフ186は、自己充電型アセンブリ100内で温度が連
続的かつ周期的に上昇および低下するときの、インスリンペン注射器を含み、アセンブリ
100に収容されている容器104内の温度変化を示す。物質温度は、非通常介入なしに
、上限閾値線187より下に維持され、それによって物質102が確実にその安全温度帯
188に十分に収まり、危険温度帯189から離れるようにしている。
【0076】
[0092]自己充電型アセンブリとして機能するアセンブリ100は、極めて有利である。
上述のように、物質102の温度は好適な温度範囲内に維持される。これは、アセンブリ
が、(従来のアイスパックを使用する場合に必要となるように)冷凍庫に入れる必要がな
く、または薬局から冷蔵庫までの移送時にケースを変える煩わしさのない、自己充電型に
構成されているために、凍結の危険がない。アセンブリ100の充電はユーザの介入なし
で行われるため、ユーザにとっては、特別な非通常介入の必要なしに途切れなく、物質1
02を収容するためにアセンブリ100を使用することができる。
【0077】
[0093]
図4に示すように、アセンブリ100は以下の構成要素のうちのいずれか1つを
含み得る。すなわち、収容チャンバ106および/または容器104および/または物質
102の温度、および/またはアセンブリ100外部の周囲環境を監視するように設計さ
れた少なくとも1つまたは複数の温度センサ190がある。実施形態によっては、構成要
素は、収容チャンバ106内の容器104および/または物質102の存在またはその取
り出しを監視するように設計されたプレゼンスセンサ192を含み得る。非限定的な一実
施例では、プレゼンスセンサ192は、例えば、RFIDタグ読み取り装置もしくはカメ
ラ、スイッチまたは光学式もしくは電子検出器などその他の検出器を含み得る。例示の追
加のセンサは、アセンブリ100の接触またはアセンブリ100からの容器104の取り
出しを検出し、それによって容器104の存在を検出するために採用可能な容量センサお
よび加速度計センサを含み得る。
【0078】
[0094]実施形態によっては、無線トランスポンダまたは、有線USBコネクタポートま
たは任意のその他の有線または無線コネクタポートなど任意のその他の適切な通信手段2
02を介して、アセンブリ100から(例えばセンサ190または192から)信号また
はデータを受信するために外部デバイス200を設けることができる。外部デバイス20
0は、リモートデバイス、例えばスマートフォン、コンピュータ、またはプロセッサを備
えた任意のデバイスを含み得る。
【0079】
[0095]アセンブリ100は、電源、例えば、任意の適切な場所に配置されたバッテリ2
06などの構成要素を含み得る。アセンブリ100は、サーミスタ、トランジスタ、基板
、配線または、アセンブリ100の電子構成要素を制御するための回路および/または制
御回路などの、電子部品208を含み得る。バッテリ206とコントローラ196、電子
部品208および任意のその他の電気構成要素との間の電気接続(図示せず)を設けるこ
とができる。
【0080】
[0096]実施形態によっては、アセンブリ100は、例えば、メモリデバイス、および/
またはタイマなどの構成要素を含み得る。
[0097]実施形態によっては、バッテリ206は使い捨てバッテリであってもよい。受動
制御要素(例えば変形可能格納体118、断熱収容体114)は多くの電力を必要としな
いため、バッテリ206は、数日、数ヶ月または数年など、比較的長時間動作可能である
。実施形態によっては、バッテリ206は充電式であってよい。充電は、充電ポート21
2を介して、またはインダクタンス、ソーラー充電手段または、電荷発生を可能にするそ
の他の手段を介して行うことができる。
【0081】
[0098]実施形態によっては、アセンブリ100は、例えば、LED表示器または小型電
子ディスプレイなどの1つまたは複数の表示器220を含み得る。表示器220は、薬剤
温度、または、例えば、色、清澄度、透明度などの薬剤の任意のその他のパラメータなど
、物質102の1つまたは複数の環境条件を表示し得る。表示器220は、その全体が本
明細書に組み込まれる、本出願人の特許公開WO2017/090019号に記載されて
いる方式などの任意の適切な方式で構成可能である。
【0082】
[0099]一部の実施形態によると、所要環境条件を維持するために環境制御材120によ
って提供される残存制御能力を表示するように構成された制御能力表示器222を備えて
もよい。例えば、PCM126が、PCM126の量が固相から液相に完全に液化するま
で、周囲環境から熱流束を吸収することができる。まだ固相から液相への相変化をしてい
ないPCMの量は、環境制御材120の残存熱制御能力を示す。制御能力表示器222は
、その全体が本明細書に組み込まれる本出願人の特許公開WO2017/090019号
に記載されているように構成され得る。
【0083】
[00100]アセンブリ100は、アセンブリ100の(内部の)環境条件(例えば温度)
をさらに制御するための、電気をエネルギー源とする熱電素子230または任意のその他
の発熱体、加熱器または冷却器またはファンなどのさらなる構成要素を含み得る。実施形
態によっては、コントローラ196は、温度センサ190によって検出された温度に応じ
て、熱電素子または加熱器または冷却器230の動作を制御するように構成され得る。実
施形態によっては、複数の温度センサが使用される。実施形態によっては、周囲温度を監
視するための少なくとも1つの温度センサと、アセンブリ内部の温度(すなわち物質10
2の温度)を監視するための少なくとも1つの温度センサとがあってもよい。実施形態に
よっては、熱電素子230または任意のその他の発熱体または加熱器は、物質の最大温度
有効性限度を超えずに物質102を加熱するように構成される。
【0084】
[00101]また、電源206のエネルギーを節約するために、構成要素の一部が特定の時
点で動作しないように構成されてもよい。アセンブリ100への容器104の挿入などの
所定の事象または任意のその他の事象などの所定事象の検出時に、構成要素を所定期間だ
け作動させ、その後、遮断してもよい。実施形態によっては、所定事象を検出するために
、加速度計、振動センサ、容量センサ、または動きセンサおよび/またはプレゼンスセン
サ192を使用してもよい。
【0085】
[00102]実施形態によっては、アセンブリ100は、変形可能格納体118内の熱の均
一な分布をさらに向上させ、それによって容器104および/または物質102に沿った
、またはその周囲の均一な温度を実現するために、ファン240を含み得る。実施形態に
よっては、ファン240は、コントローラ196によって作動させられ、温度センサ19
0によって、容器104および/または物質に沿って温度が均一でないことが測定される
。
【0086】
[00103]実施形態によっては、物質102および/または容器104および/または変
形可能格納体118を撮像する(またはこれらに関する光学情報を提供する)ために、変
形可能格納体118内の任意の適切な場所に、カメラまたはその他の光学検出器または検
出器アレイまたはマトリックス250を設けてもよい。カメラ250は、スチール写真も
しくはストリーミング画像、もしくは、ビデオなどの光学情報であってよい画像またはそ
の他の(可視または不可視光波長における)光学情報を、有線または無線で外部デバイス
200に送信してもよい。
【0087】
[00104]実施形態によっては、アセンブリ100は、変形可能格納体118によって少
なくとも部分的に収容されるPCMと物質102および/または容器104との間の熱伝
導を向上させるためのさらなる要素を含み得る。例えば、全体として比較的柔軟性のある
状態の熱伝導体、例えば銅などの金属からなる1つまたは複数の熱伝導層226または任
意のその他の構造が、変形可能格納体118内に配置されてもよい。
【0088】
[00105]実施形態によっては、変形可能格納体118内に柔軟性フィン260(
図2B
の挿入図)または任意の熱伝導要素を設けてもよい。フィン260は、物質102および
/または容器104の形状にフィットし、従うように柔軟性があり、変形可能格納体から
物質102および/または容器104への均一な熱伝導をもたらす。したがって、PCM
126が固相状態であって、物質102および/または容器104の形状へのPCM12
6の適合性が損なわれる可能性があるような何らかのわずかな空隙が生じる可能性がある
ときでも熱伝導が改善される。柔軟性フィン260は、非限定的な一実施例などでは、変
形可能格納体118の内部に固定されたアルミニウムで覆われたプラスチックまたは単に
アルミニウムホイルのみなど、比較的高い熱伝導率を有する材料からなり得る。
【0089】
[00106]ハウジング110は任意の適切な方式で形成され得る。実施形態によっては、
ハウジングは、
図1Aから
図4でわかるように硬質プラスチックなどの剛体材料からなり
得る。実施形態によっては、ハウジングは柔軟性のある変形可能材からなり得る。非限定
的な一実施例では、ハウジング110は、円筒形、円形、楕円形、球形、もしくは箱形ま
たは任意のその他の適切な形状など、任意の形状に形成可能である。
【0090】
[00107]
図5Aから
図6でわかるように、ハウジング110はインフレータブルサブア
センブリ300からなり得る。実施形態によっては、インフレータブルサブアセンブリ3
00は断熱格納体114も含む。インフレータブルサブアセンブリ300は、2つの間隔
を空けた壁302を含み、その少なくとも一方が変形可能材からなる。壁302はその間
に、断熱格納体114の断熱を生じさせるように膨らむことができる空隙306を形成す
る。インフレーション時、膨らんだ壁302は、その中に配置された変形可能格納体11
8を圧迫することができ、その結果として変形可能格納体118が1つまたは複数の物質
102および/または容器104の形状に従い、1つまたは複数の物質102および/ま
たは容器104に熱的および物理的に接触する。
【0091】
[00108]インフレータブルサブアセンブリ300は、任意の適切な方式で膨らませるこ
とができる。実施形態によっては、中に空気(またはその他の気体)を流入させるための
開口312を備えて形成された空気または任意のその他の気体の注入口310を設けるこ
とができる。空気(またはその他の気体)は、注入口310に空気(またはその他の気体
)を圧入する、典型的にはピストンまたは任意のその他の手段を含む手動ポンプまたは電
気ポンプ320によるなど、任意の適切な方法で導入することができる。ポンプ320は
、中の気流を制御するバルブ330または任意のその他の手段を含み得る。実施形態によ
っては、インフレータブルサブアセンブリ300を膨らませるために、空気の他に、また
は空気に加えて、別の気体を採用することができる。実施形態によっては、ポンプ320
は、インフレータブルサブアセンブリ300を膨らませるように気体を使用するための圧
縮ガスタンクを備えてもよい。実施形態によっては、
図5Aから
図6に示すように、注入
口130はハウジング110の外部に突出していてもよく、実施形態によっては、注入口
310は
図6Bに示すようにハウジング110内に挿入されてもよい。
【0092】
[00109]インフレータブルサブアセンブリ300内および/またはインフレータブルサ
ブアセンブリ300からの空気および/または気体の流れは、コントローラ196(
図4
)とバルブ330とによって制御可能であり、環境条件に応じて、または任意のその他の
パラメータに応じて、インフレータブルサブアセンブリ300に空気または気体または圧
力を導入し、またはインフレータブルサブアセンブリ300から放出するように構成され
得る。
【0093】
[00110]実施形態によっては、空気注入口310は、インフレータブルサブアセンブリ
300を人間により膨らませるためのマウスピースとして使用されてもよい。
[00111]インフレータブルサブアセンブリ300は、デバイスの少なくとも1つの面に
位置する、任意の適切な形態のロック機構180を含み得る。実施形態によっては、ロッ
ク機構180は縁350を密封するように、インフレータブルサブアセンブリ300の縁
350に沿って延び得る。実施形態によっては、ロック機構180は、アセンブリ100
からの容器104および/または物質102の取り出しを可能にするために開けられるよ
うに構成することができる。非限定的な一実施例では、ロック機構180はジッパーを含
み得る。
【0094】
[00112]
図5Aからわかるように、インフレータブルサブアセンブリ300が初期イン
フレーション前(すなわちデフレーション)状態にあるときに、1つまたは複数の容器1
04をアセンブリ100の収容塊106内に入れることができる。インフレータブルサブ
アセンブリ300は、
図5Bおよび
図5Cでわかるように、任意の適切な方式でインフレ
ーション状態に膨らませることができる。膨らんだ壁302とその間の空隙306とが断
熱格納体114を形成し、その結果、断熱格納体114が、ここでは
図5Cに、2つの区
画に収容された第1の種類のPCMを有する第1の部分130と第2の種類のPCMを有
する第2の部分132とを含むものとして図示されている変形可能格納体118を圧迫す
る。圧迫された変形可能格納体118は、複数の容器104の形状に従い、したがって空
隙を最小にし、容器104に熱的および物理的に接触する。
【0095】
[00113]実施形態によっては、インフレータブルサブアセンブリ300は、典型的には
空気注入口310を介して空気を抜くことによってしぼませることができる。このデフレ
ータブル状態は、物質102の温度または収容塊106の温度を急速に変化させる必要が
あるときに生じさせることができ、これは膨らんだ壁302によって形成される断熱材が
しぼむことによって促進され得る。例えば、アセンブリ100が最初に冷蔵保管されると
き、PCMが固体になるのに要する時間を加速させ、冷蔵された物質を内部に導入するこ
とができるようにするために、収容塊106の温度を急速に下げることが望ましい場合が
ある。したがって断熱を取り除き、PCM126の温度を周囲温度とより高速に等しくす
ることができるように、インフレータブルサブアセンブリ300をしぼませてもよい。
【0096】
[00114]実施形態によっては、インフレータブルサブアセンブリ300は非デフレータ
ブルに構成されてもよく、任意により、インフレータブルサブアセンブリ300のデフレ
ーションを防ぐための一方向バルブまたは任意のその他の手段を含んでもよい。
【0097】
[00115]実施形態によっては、インフレータブルサブアセンブリ300は、別個の断熱
格納体114に加えてインフレータブル構造を含む。
[00116]実施形態によっては、インフレータブルサブアセンブリ300は、
図5Aから
図5Cに示すように、実質的に物質102および/または容器104全体を収容するよう
に構成されてよく、容器104はアセンブリ100に挿入される。
【0098】
[00117]次に
図6Aを参照すると、実施形態によっては、インフレータブルサブアセン
ブリ300は、容器104(または物質102)の一部のみを収容するか包んでもよいこ
とがわかる。ここでは容器104は、物質貯蔵部318とともに配置された物質102(
すなわち薬剤)を送達するためのペン注射デバイス314などの薬剤注入デバイスを含む
ものとして示されている。インフレータブルサブアセンブリ300は、容器104の一部
のみを収容するように構成される。典型的には、この部分は物質貯蔵部318を含む。イ
ンフレータブルサブアセンブリ300は、空気注入口310を介して膨らませることがで
きる。
図6Aに示すインフレーション状態では、膨らんだ壁302とその間の空隙306
とが断熱格納体114を形成し、その結果として断熱格納体114が、ここでは、水14
0またはその他のPCM126を含む第2の部分132に配置もしくは浸漬されたマイク
ロカプセル化またはバルクPCM126を含む第1の部分130を含むものとして示され
ている、変形可能格納体118を圧迫する。実施形態によっては、単一の種類のPCM1
26が使用されてもよい。圧迫された変形可能格納体118は、容器104の収容された
部分の形状に従い、したがって、収容された容器部分と熱的および物理的に接触した状態
で空隙を最小にする。
【0099】
[00118]
図6Bでわかるように、容器104は、物質貯蔵部334内に配置された物質
102(すなわち薬剤)を送達するために薬剤貯蔵部334と流体連通しているカテーテ
ル332を含み得る、薬剤輸液デバイス330を含み得る。貯蔵部334からカテーテル
332への薬剤の輸液は、
図6Bに示すように貯蔵部332に近接して配置されるかまた
は貯蔵部332から離れて配置され得るポンプ336によって促すことができる。インフ
レータブルサブアセンブリ300は、容器104の一部のみを収容するように構成される
。典型的には、この部分は物質貯蔵部332を含む。インフレータブルサブアセンブリ3
00は空気注入口310を介して膨らませることができる。
図6Bに示すインフレーショ
ン状態では、膨らんだ壁302とその間の空隙306とが断熱格納体114を形成し、さ
らに断熱格納体114が、ここでは単一の種類のPCM126を含むものとして示されて
いる変形可能格納体118を圧迫する。圧迫された変形可能格納体118は容器104の
収容されている部分の形状に従い、したがって、収容されている容器部分と熱的および物
理的に接触した状態で空隙を最小にする。
【0100】
[00119]なお、アセンブリ300は、アセンブリ100を参照しながら説明している特
徴のいずれか1つを、必要な変更を加えて含み得る。
[00120]実施形態によっては、例えば
図6Aから
図7に示すように、システムの一部に
おいて環境条件が制御されない、物質の環境条件を制御するための環境制御システムが提
供される。
【0101】
[00121]
図7でわかるように、実施形態によっては、アセンブリ100は、冷蔵庫35
2、非限定的な一実施例では家庭用冷蔵庫の、指定された環境制御冷蔵区画350内部に
配置されるように構成され得る。区画350は、市販冷蔵庫の設計済み内蔵装備であって
よい。区画350は、アセンブリ100を収容し、アセンブリ100を取り出すことがで
きる、大きさおよび構造とされている。
【0102】
[00122]実施形態によっては、区画350は、アセンブリ100の環境条件(例えば温
度)をさらに制御するための、電気をエネルギー源とする熱電素子または任意のその他の
加熱器または冷却器354などの構成要素を含み得る。実施形態によっては、冷蔵区画3
50は、容器104および/または物質102の温度を測定するための温度センサ356
を含み得る。
【0103】
[00123]実施形態によっては、コントローラ358を設けることができ、温度センサ3
56によって検出された温度に応じて熱電素子または加熱器または冷却器354の動作を
制御するように構成することができる。熱電素子または加熱器または冷却器354は、物
質102が上限温度を超えるかまたは下限温度を下回るのを防ぐように動作させることが
できる。実施形態によっては、冷蔵区画350は、冷蔵区画350内のアセンブリ100
および/もしくは容器104の存在または冷蔵区画350からのアセンブリ100および
/もしくは容器104の取り出しを検出するためのプレゼンス検出器360を含み得る。
プレゼンス検出器360および/または温度センサ356から受信した信号を外部デバイ
ス200に送信するために通信手段366を設けてもよい。信号は、プレゼンス検出器3
60および/もしくは温度センサ356から直接、または、冷蔵庫352の制御ユニット
370(標準の既存コントローラなど)を介して、または任意のその他の適切な手段によ
り、外部デバイス200によって受信され得る。
【0104】
[00124]実施形態によっては、物質102は食物を含んでよく、
図1Aから
図8におい
て本明細書に示す構成のうちのいずれかの構成のアセンブリ100が、食物の温度を制御
するように構成され得る。例えば、食物は任意の固体および/もしくは液体または組合せ
の形態であり、比較的高温(例えば60℃を上回る)のアセンブリ100内に配置される
ことができ、数時間から24時間以上、または数日間などの長期間、アセンブリ100内
で保持され得る。食物は、コードレス環境またはオフグリッド環境において所望の温度に
維持されることができ、ランチボックスとして機能するアセンブリ100内で保温され傷
まない状態に保たれ得る。同様に、例えば、食物は、比較的低温(例えば10℃を下回り
、さらに0℃より低温)のアセンブリに入れられてよく、食物を低温で新鮮に保った状態
で、アセンブリ100内に、数時間から24時間以上、またはさらに数日間などの長期間
、そのように保持可能である。ハウジング110は、剛体材料(
図1Aから
図1C)から
なってよく、または変形可能材からなってよく、および/または、インフレータブルサブ
アセンブリ300からなってもよい(
図5Aから
図6)。
【0105】
[00125]実施形態によっては、アセンブリ100は、大規模なものであっても複数の容
器104のために使用されるように構成可能であることを理解されたい。非限定的な一実
施例では、アセンブリ100は、数十またはさらに数百以上の容器104を収容するよう
な大きさおよび構成とすることができる。実施形態によっては、アセンブリ100は、薬
剤キャビネットまたは、薬剤を長時間(数日、数週または数ヶ月間)であっても安全に輸
送するための薬剤輸送箱としても構成可能である。薬剤キャビネットまたは箱は、本明細
書に記載の構成要素(例えば、センサ温度)のうちのいずれか1つを含み得る。
【0106】
[00126]実施形態によっては、アセンブリ100は、手持ち型および/または携帯型で
ある大きさとされてもよい。非限定的な一実施例では、アセンブリ100は、バックパッ
クまたはスーツケース、または供給品を落ち運ぶユーザのための任意のその他の典型的な
手段に入れるような大きさとされてもよい。非限定的な一実施例では、アセンブリ100
は、例えば、ユーザのポケット、財布および/またはハンドバッグに入るような大きさと
することができる。実施形態によっては、アセンブリ100は、ドローンで搬送されるよ
うな構成および大きさとすることができる。物質102および/または容器104は少な
くとも部分的にアセンブリ100に収容されるため、ドローンまたは任意のその他の適切
な搬送手段によって搬送する場合、ドローンには別途の補助蓄熱要素を備え付ける必要が
ない。
【0107】
[00127]アセンブリ100は、均一な熱分布、すなわち、物質102および/または容
器104に沿った温度をもたらすように構成される。
図1Aから
図7の実施形態では、こ
れは、物質102および/または容器104の形状に従い、それによって空隙を最小にす
る変形可能格納体118を設けることによって実現される。変形可能格納体118は、熱
分配手段として構成可能である。
【0108】
[00128]
図8でわかるように、均一な熱分布は他の適切な方式でもたらすことも可能で
ある。例えば、アセンブリ100は、断熱格納体114と、物質102および/または容
器104と少なくとも部分的に熱的に連通する環境制御材120とを含み得る。アセンブ
リ100は、熱伝導、熱対流および/または熱放射の任意の手段によって熱を均一に分布
させるための均一熱分配器400を含み得る。非限定的な一実施例では、分配手段400
は、物質102および/または容器104の周囲に意図せずに閉じ込められた空気を、物
質102および/または容器104に沿って吹き飛ばし、それによって物質102および
/または容器104に沿った不均一な熱分布を防止するためのファン402を含み得る。
【0109】
[00129]本開示について限られた数の実施形態に関して説明したが、全体的または部分
的な実施形態の任意の組合せも使用可能であることと、本発明の各部の最適な寸法関係は
、大きさ、材料、形状、形態、機能および作用方式、組立ておよび使用の変形を含めて、
当業者には容易にわかり、明白であり、図面に示され、本明細書に記載されているものと
同等のすべての関係が、本発明に包含されることが意図されていることとを理解されたい
。
【0110】
[00130]したがって、以上の記載は、本発明の原理の例示に過ぎないものとみなされる
。また、当業者は多くの修正および変更に容易に想到するはずであるため、以上の記載は
、図示され、説明されている厳密な構造および作用に本発明を限定するために記載された
ものではなく、したがって、すべての適切な修正および同等物を採用することができ、本
発明の範囲に含まれる。
【0111】
[00131]本発明の特定の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明したが
、本発明はその厳密な実施形態には限定されないことと、添付の特許請求の範囲によって
定義されている本発明の範囲および思想から逸脱することなく、当業者によって実施形態
に様々な変更および修正が加えられ得ることはわかるであろう。
【0112】
[00132]本発明のさらなる修正にも、当業者は想到するであろうし、すべてのそのよう
な修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の思想および範囲に含ま
れるものとみなされる。
【0113】
[00133]本発明について限られた数の実施形態に関連して説明したが、本発明の多くの
変形、修正およびその他の応用が可能であることはわかるであろう。
[00134]本明細書では様々な発明実施形態について説明し、示したが、当業者は、本明
細書に記載の機能を実行し、ならびに/または、結果および/もしくは利点のうちの1つ
もしくは複数を得るための、様々な他の手段および/または構造を、容易に構想するであ
ろうし、そのような変形および/または修正のそれぞれが本明細書に記載の発明実施形態
の範囲に含まれるとみなされる。より一般には、本明細書に記載のすべてのパラメータ、
寸法、材料および構成は、一例であることが意図されていることと、実際のパラメータ、
寸法、材料および/または構成は、本発明の技術が使用される特定の1つまたは複数の用
途に依存するであろうということが、当業者には容易にわかるであろう。当業者は、通常
の実験のみを用いて、本明細書に記載の特定の発明実施形態の同等物を認識し、把握する
ことができるであろう。したがって、上記の実施形態は、例示としてのみ示されているこ
とと、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、具体的に説明され、特許請求
されている方式とは異なる方式で発明実施形態を実施し得ることを理解されたい。本開示
の発明実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物、材料、キットおよび/
または方法を対象としている。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物、材料
、キットおよび/または方法の任意の組合せが、そのような特徴、システム、物、材料、
キットおよび/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲に含まれる。一
部の実施形態は、1つまたは複数の特徴/要素/機能が具体的に存在しないために従来技
術とは区別され得る(すなわち、そのような実施形態を対象とする請求項は消極的限定を
含み得る)。
【0114】
[00135]また、様々な発明概念を1つまたは複数の方法として具現化可能であり、その
一例を示した。方法の一部として行われる行為は、任意の適切な方式で順序付けることが
可能である。したがって、示されているものとは異なる順序で行為が行われる実施形態も
構成可能であり、これには、例示の実施形態では順次的行為として示されていても、一部
の行為を同時に行うことも含まれ得る。
【0115】
[00136]本出願のいずれかの個所に記載されている特許、特許出願、論文、ウェブペー
ジ、書籍などを含むがこれらには限定されない公開文献またはその他の文献への言及はす
べて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、本明細書で定義され、使用
されているすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、お
よび/または定義されている用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0116】
[00137]本明細書および特許請求の範囲で使用されている不定冠詞「a」および「an
」は、異なるように明記されていない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解さ
れたい。本明細書および特許請求の範囲で使用されている「および/または」という語句
は、そのように等位接続された要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、接続的に
存在する場合もあれば離接的に存在する場合もある要素を意味するものと理解されたい。
「および/または」を使用して列挙されている複数の要素も、同じように、すなわちその
ように等位接続されている要素のうちの「1つまたは複数」と解釈されたい。具体的に特
定されている要素に関連するか関連しないかを問わず、「および/または」節によって具
体的に特定されている要素以外に他の要素が任意により存在し得る。したがって、非限定
的な一実施例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド表現とと
もに使用される場合、「Aおよび/またはB」という言及は、一実施形態ではAのみ(任
意によりB以外の要素を含む)、別の実施形態ではBのみ(任意によりA以外の要素を含
む)、さらに別の実施形態ではAとBの両方(任意により他の要素を含む)などを指し得
る。
【0117】
[00138]本明細書および特許請求の範囲で使用されている「または」は、上記で定義し
た「および/または」と同じ意味を有するものと理解されたい。例えば、列挙されている
物を分離する場合、「または」または「および/または」は包含的、すなわち、いくつか
の要素または要素の列挙のうちの少なくとも1つの要素を含むが複数の要素も含み、さら
に任意により追加の列挙されていないものも含むものと解釈されたい。それに対して、「
~のうちの1つのみ」もしくは「~のうちの厳密に1つ」、または特許請求の範囲で使用
される場合の「~からなる(consisting of)」などの明記されている用語
のみが、いくつかの要素または要素の列挙のうちの厳密に1つの要素を含むことを意味す
る。一般に、本明細書で使用されている「または」という用語は、「いずれか一方」、「
~のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「~のうちの厳密に1つ」などの排他性
を示す用語を伴う場合のみ、排他的代替(すなわち、「一方または他方であるが両方では
ない」)を示すものと解釈すべきである。「本質的に~からなる」が特許請求の範囲で使
用されている場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0118】
[00139]1つまたは複数の要素の列挙に関連して本明細書および特許請求の範囲で使用
されている「少なくとも1つ」という語句は、要素の列挙のうちの要素のうちの任意の1
つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つを意味するが、その要素の列挙内に具
体的に挙げられているそれぞれのすべての要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず
、要素の列挙内の要素の任意の組合せを排除しないものと理解されたい。この定義は、具
体的に特定されている要素に関連するか関連しないかを問わず、「少なくとも1つ」とい
う語句が指している要素の列挙内で具体的に特定されている要素以外にも要素が任意によ
り存在し得ることも許容する。したがって、非限定的な一実施例として、「AとBのうち
の少なくとも一方」(または同様に、「AまたはBのうちの少なくとも一方」または同様
に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一方」)は、一実施形態では、Bが存在し
ない、任意により複数を含む少なくとも1つである、A(および任意によりB以外の要素
を含む)ことを指し、別の実施形態では、Aが存在しない、任意により複数を含む少なく
とも1つである、B(および任意によりA外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態
では、任意により複数を含む少なくとも1つであるAと、任意により複数を含む少なくと
も1つであるB(および任意により他の要素を含む)などを指し得る。
【0119】
[00140]特許請求の範囲および上記の本明細書において、「含む(comprisin
g)」、「備える(including)」、「担持する(carrying)」、「有
する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(invol
ving)」、「保持する(holding)」、「~でなる(composed of
)」などの移行句は、オープンエンド、すなわち、それを含むがそれには限定されないこ
とを意味するものと理解すべきである。米国特許局特許審査便覧の第2111.03節に
記載されているように、「~からなる(consisting of)」および「本質的
に~からなる(consisting essentially of)」という移行句
のみがそれぞれクローズドまたはセミクローズド移行句であるものとする。
【外国語明細書】