(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127997
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】1,1-二活性化ビニル化合物を含有する硬化性組成物ならびに関連のコーティングおよび方法
(51)【国際特許分類】
C08L 33/08 20060101AFI20240912BHJP
B32B 7/10 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08L33/08
B32B7/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108274
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022110548の分割
【原出願日】2017-07-26
(31)【優先権主張番号】62/366,781
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/454,943
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット ジェイ. モラベク
(72)【発明者】
【氏名】アダム ビー. パウエル
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス ジー. アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】スコット ダブリュー. シスコ
(72)【発明者】
【氏名】ダビナ ジェイ. シュワーツミラー
(72)【発明者】
【氏名】アディティア ゴタマックカラ
(57)【要約】
【課題】1,1-二活性化ビニル化合物を含有する硬化性組成物ならびに関連のコーティングおよび方法を提供すること
【解決手段】 本件明細書では、1,1-二活性化されたビニル化合物を含んでいる硬化可能な組成物が提供されるところのものである。また、1,1-二活性化されたビニル化合物から形成されているところのコーティングが提供されるところのものである。また、基材、ならびに物品をコーティングするための方法が提供されている。架橋剤として機能するところの1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化可能な組成物が記載されているところのものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善されたコーティング特性。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
硬化性組成物は、色および/または他の視覚的効果、耐腐食性、接着性、密封性、耐摩耗性、耐化学薬品性等を提供するために、多種多様な基材に塗布することができる。例えば複数層コーティングは、しばしば、色および/または他の視覚的効果を提供するベースコート層、ならびにトップコート層を含み、このトップコート層は、時としてクリアコート層を含み、摩耗および引っ掻き傷防止層を提供する。自動車基材などの金属基材に塗布される複数層コーティングに関して、例えば、上を覆うベースコートおよびトップコートの下で、裸の金属基材に対してプライマー層および/または表面不活性化層が塗布されてもよい。一般に、複数層コーティングの各層は、例えば最終的な複数層コーティングを形成するために、異なる引火温度および/または焼付け温度などの様々な条件下で別個に脱水および/または硬化させられる。シーラントは、表面を密封するかもしくは平坦にし、間隙を充填し、および/または湿気および温度などの操作条件に耐えるようにジョイントおよび開口部を密封するために、基材の表面にわたって膜として塗布することができる。接着剤は、2つまたはそれよりも多い基材材料を一緒に結合するために、表面にわたって塗布することができる。
【0002】
低い硬化温度、新規な硬化機序、および/または改善されたコーティング特性によって特徴付けられる、複数層コーティングを含めたコーティングを形成するコーティング組成物を提供することが有利となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
硬化性組成物は、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む。
【0004】
複数層硬化性組成物は、基材の少なくとも一部に塗布された第1の硬化性層、および第1の硬化性層の少なくとも一部にわたって塗布された第2の硬化性層を含む。コーティング組成物の場合、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、(1)(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、もしくはそれらの任意の組合せと、(1b)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せとの付加反応生成物、ならびに/または(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せの重合反応生成物の1つまたは複数を含む。
【0005】
基材をコーティングするための方法は、基材の少なくとも一部にわたって第1のコーティング層を塗布するステップと、第1のコーティング層の少なくとも一部にわたって第2のコーティング層を塗布するステップと、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層を硬化させるステップとを含む。第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む硬化性組成物から形成される。
【0006】
本明細書に記載される本発明は、この概要に概説された例に必ずしも限定されないと理
解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
「硬化性組成物」は、本明細書で使用される場合、硬化変換に関与することができる1つまたは複数の構成成分を有する組成物を指す。この組成物は、化学的および/または物理的過程の結果として、ある期間にわたってその物理的特性が変化し得る。硬化性組成物は、室温もしくはより低い温度で硬化することができ、または硬化変換を開始および/もしくは加速するために、室温を超える温度などの高温もしくは他の条件(複数可)への曝露を必要とする場合がある。硬化性組成物が表面に塗布されると(および塗布中)、硬化反応が進行して、硬化した組成物を提供することができる。硬化した組成物は、ある期間にわたって粘着性がない表面を生じ、硬化し、次に完全に硬化する。組成物は、硬度がそれ以上増大しない場合に、完全に硬化したとみなされる。本開示によって提供される硬化性組成物は、単一層(しばしばモノコートと呼ばれる)もしくは複数層として基材の表面上に、および/またはプライマーなどの下層にわたって、任意の適切な方法によって直接的に塗布することができる。
【0008】
本開示によって提供される硬化性組成物は、例えば、シーラント、コーティング、接着剤、被包材料(encapsulant)、および埋込用組成物において使用することができる。シーラントは、湿気および温度などの操作条件に耐え、水、燃料、ならびに他の液体および気体などの材料の透過を少なくとも部分的に遮断する能力を有する膜(film)を生成することができる組成物を指す。シーラントは、表面を密封し、表面を平坦にし、間隙を充填し、ジョイントを密封し、開口部および他のフィーチャを密封するために使用され得る。コーティングは、物品を保護し、および/またはコーティングされた物品の外観を改善するように働く、物品上に堆積する硬化性組成物を指す。その例として、自動車、航空機、船舶、または金属缶などの自立構造体、建築物、または橋に色を提供する有色(pigmented)コーティングが挙げられる。被包材料は、耐久性を増大し、および/または材料の機能的耐用期間を調節するために材料の少なくとも一部に塗布される硬化性組成物を指す。被包材料の例として、厳しい環境要素からモジュールを保護するために光起電力モジュールの一部を被覆するのに使用されるポリマー性酢酸エチルビニルの膜が挙げられる。「パテ」または「埋込用組成物」は、表面の不規則性を平坦にし、および/または外観を改善するためのフィラーとして表面に塗布される硬化性組成物を指す。パテの用途の例として、自動車部品の引っ掻き傷、穴、変形、およびへこみの修復が挙げられるが、それらに限定されない。パテの用途の他の例として、木材品の亀裂の充填、ガラスの固定、ならびに/または建築物の表面、特に壁および天井の平坦化が挙げられる。接着剤は、2つまたはそれよりも多い基材材料を一緒に結合するために利用される硬化性組成物を指す。例えば、構造用接着剤は、自動車部品または工業部品を一緒に結合するために使用され得る。本開示で使用される場合、「硬化性組成物層」という句は、基材にわたって、または他の硬化性組成物層にわたって塗布することができる、シーラント、コーティング、接着剤、被包材料、および埋込用組成物層を含むことを意味する。便宜上および/または例示する目的で、本開示では、単一のまたは複数の「コーティング組成物層」に言及され得る。しかし、「コーティング組成物層」という句の使用は、本明細書では例示目的のみに使用され、可能な代替として企図される他の様々なシーラント、接着剤、被包材料、および埋込用組成物層を含むと理解されたい。したがって、本発明の実施例において記載される場合を除いて、「コーティング組成物層」という句は、当業者によって決定される通り、シーラント、コーティング、接着剤、被包材料、および埋込用組成物層などの本明細書で企図される任意の他の硬化性組成物層を意味するために、同義に使用することができる。
【0009】
さらに、本明細書で使用される場合、「第1のコーティング層」または「第2のコーテ
ィング層」は、第1または第2のコーティング層のいずれかを形成するための1つまたは複数のコーティングの塗布を別個に含むことができる。したがって「コーティング層」は、本明細書で特定される通り、その層を形成する、同じまたは異なる組成の1つまたは複数の他のコーティング塗布の存在を除外しない。例えば、第1のコーティング層がベースコート層である場合、1つ、2つ、またはそれよりも多いベースコート塗布を一緒に使用して、「第1のコーティング層」を形成し得ることが企図される。同様に、クリアコートは、1つ、2つまたはそれよりも多いクリアコートの塗布を有して、「第2のコーティング層」を形成し得ることが企図され得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、特にコーティング層または膜と関連する、「上」、「上に」、「にわたって」という用語およびそれらの変形(例えば、「にわたって塗布された」、「にわたって形成された」、「にわたって堆積された」、「にわたって提供された」、「にわたって位置した」等)は、基材の表面にわたって塗布され、形成され、堆積され、提供され、またはそうでなければ位置することを意味するが、必ずしも基材の表面と接触している必要はない。例えば、基材「にわたって塗布された」コーティング層は、塗布されたコーティング層と基材との間に位置する、同じまたは異なる組成の1つまたは複数の他のコーティング層の存在を除外しない。同様に、第1のコーティング層「にわたって塗布された」第2のコーティング層は、塗布された第2のコーティング層と塗布された第1のコーティング層との間に位置する、同じまたは異なる組成の1つまたは複数の他のコーティング層の存在を除外しない。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」および「ポリマー性」という用語は、プレポリマー、オリゴマー、およびホモポリマーとコポリマーの両方を意味する。本明細書で使用される場合、「プレポリマー」は、1つまたは複数の反応基によってさらに反応または重合して、より高い分子量または架橋状態を形成することができるポリマー前駆体を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「多/ポリ」という接頭辞は、2つまたはそれよりも多いことを指す。例えば、「多官能性(polyfunctional)」分子(ポリマー、モノマー、または他の化合物のいずれであろうと)は、2つまたはそれよりも多い反応性官能基、例えばヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、カルバメート基等を含む。より具体的には、「ポリオール」は、2つまたはそれよりも多いヒドロキシル基を含む化合物を意味し、「ポリアミン」は、2つまたはそれよりも多いアミン基を含む化合物を意味し、「ポリチオール」は、2つまたはそれよりも多いメルカプト基を含む化合物を意味し、「ポリカルバメート」は、2つまたはそれよりも多いカルバメート基を含む化合物を意味する。
【0013】
ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、またはポリカルバメートなどの多官能性化合物は、ポリマーであってよいが、ポリマーでなくてもよく、例えば非ポリマー性化合物を含むことができる。ポリマー性ポリオール、ポリマー性ポリアミン、ポリマー性ポリチオール、またはポリマー性ポリカルバメートは、それぞれポリマー分子上に、2つもしくはそれよりも多いペンダントおよび/または末端のヒドロキシル官能基、アミン官能基、メルカプト官能基またはカルバメート官能基を含む。「ペンダント基」は、ポリマー骨格の側面からの側枝を含み、ポリマー骨格の一部を含まない基を指し、一方、「末端基」は、ポリマー骨格の末端上の基を指し、ポリマー骨格の一部を含む。
【0014】
さらに、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、およびポリカルバメートという用語は、様々な種類の官能基の組合せを含む化合物を包含することができる。例えば、2つまたはそれよりも多いヒドロキシル基、および2つまたはそれよりも多いカルバメート基を含む化合物は、ポリオール、ポリカルバメート、またはポリオール/ポリカルバメートと呼ぶことができる。さらに、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、およびポリカルバ
メート化合物は、中性官能基(ヒドロキシル、アミン、メルカプト、またはカルバメート)および/または官能基のイオン化形態の塩(例えば、アルコキシド塩、アンモニウム塩等)のいずれかまたは両方を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「1,1-二活性化ビニル化合物」という用語は、π結合炭素の一方に共有結合により結合している2つの電子求引基(EWG)を有するビニル基を含み、他方のπ結合炭素に共有結合により結合している置換基を含まない化合物(すなわち、-EWG-C(=CH2)-EWG-)を意味し、ここで電子求引基は、独立に、ハロゲン基、ハロアルキル基、カルボニル含有基(例えば、エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、アシルハロゲン化物、カルボン酸/カルボキシレート基)、シアノ基、スルホネート基、アンモニウム基、第四級アミン基、またはニトロ基を含む。「複数官能性形態(multifunctional form)」という用語は、1つの分子内で共有結合により結合して
いる2つまたはそれよりも多い1,1-二活性化ビニル基を含む化合物を意味する。例えば、ジアルキルメチレンマロネートは、1,1-二活性化ビニル化合物の一例であり、ジアルキルメチレンマロネートおよびポリオールのエステル交換付加物は、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態の一例である。
【0016】
本明細書に記載される硬化性組成物は、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む。1,1-二活性化ビニル化合物は、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、またはシアノアクリレート化合物、またはそれらの任意の複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。コーティング組成物において使用することができる、1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態の例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,609,885号、同第8,884,051号、同第9,108,914号、同第9,181,365号および同第9,221,739号に記載されている。コーティング組成物において使用することができる、1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態のさらなる例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0288230号、同第2014/0329980号および同第2016/0068618号に記載されている。
【0017】
硬化性組成物は、メチレンマロネートを含む1,1-二活性化ビニル化合物を含むことができる。メチレンマロネートは、一般式(I):
【化1】
(式中、RおよびR’は、同じであっても、または異なっていてもよく、置換または非置換のアルキルまたはアリール基などのほとんど任意の置換基または側鎖を表すことができる)を有する化合物である。例えば、硬化性組成物は、ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、またはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0018】
メチレンマロネートの複数官能性形態は、メチレンマロネートおよびポリオールのエステル交換付加物を含むことができる。したがって、メチレンマロネートの複数官能性形態
は、一般式(II):
【化2】
(式中、Xは、ポリオール残基であり、各Rは、前述の通り同じであっても、または異なっていてもよい)を有することができる。本明細書で使用される場合、「残基」という用語は、それぞれの化合物から誘導された基を指す。例えば、先の式では、Xは、ポリオールから、メチレンマロネートおよび前記ポリオールのn個のヒドロキシル基を伴うエステル交換反応によって誘導された、n価の基である。同様に、ある特定の化合物の残基を含むポリマーは、前記化合物を重合することによって得られる。一部の例では、メチレンマロネートの複数官能性形態は、メチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含むことができ、したがって、一般式(III):
【化3】
(式中、Xは、ジオール残基であり、RおよびR’は、前述の通り同じであっても、または異なっていてもよい)を有する。
【0019】
メチレンマロネートを用いるエステル交換付加物の生成に適したポリオールには、例えば、ポリマー性ポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、およびポリカーボネートポリオール)およびモノマー性ポリオール(例えば、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールなどのアルカンジオールを含めたアルカンポリオール)が含まれる。エステル交換付加物は、適切な反応媒体中、触媒の存在下でメチレンマロネートとポリオールの反応によって形成され得る。コーティング組成物において使用することができるメチレンマロネートおよびポリオールのエステル交換付加物の例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0329980号および米国特許第9,416,091号に記載されている。さらに、エステル交換付加物の濃度は、反応物の比率および/または反応媒体の蒸留もしくは蒸発によって影響を受け得る。
【0020】
一部の例では、硬化性組成物は、ジメチルメチレンマロネート(D3M)、D3Mの複数官能性形態、またはその両方を含むことができる。一部の例では、硬化性組成物は、ジエチルメチレンマロネート(DEMM)、DEMMの複数官能性形態、またはその両方を含むことができる。D3MまたはDEMMの複数官能性形態は、D3MまたはDEMMおよびポリオール(例えば1,5-ペンタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールなど)のエステル交換付加物を含むことができる。
【0021】
一部の例では、硬化性組成物は、ジアルキルメチレンマロネートおよびジアルキルメチ
レンマロネートの複数官能性形態の組合せを含むことができる。硬化性組成物は、例えば、DEMM、ならびにDEMMおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含むDEMMの複数官能性形態を含むことができる。DEMMは、例えば1,5-ペンタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールなどのアルカンジオールを含むポリオールを用いてエステル交換することができる。
【0022】
前述の通り、硬化性組成物は、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、またはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および、1,1-二活性化ビニル化合物、またはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む。いかなる理論にも拘泥するものではないが、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態におけるビニル基が、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、および/もしくはポリカルバメート樹脂、または他の化合物(すなわち、多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物)におけるヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、および/またはカルバメート基とのマイケル付加機序を介して反応し、それによって安定な共有結合連結を形成することができると考えられる。さらに、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態は、自己重合反応を受け、それによってポリマーを形成することができ、その重合反応生成物は、ヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、および/またはカルバメート基とのマイケル付加反応によって形成された連結を介して多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物に共有結合によって結合することができる。したがって、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態は、多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物のための架橋剤/硬化剤として機能することができる。一部の例では、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態は、多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物を架橋し、硬化させる、マイケル付加反応および重合反応の両方を含む複数の硬化機序を提供することができる。
【0023】
硬化性組成物に配合され、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋され、硬化させられ得る多官能性ポリマー樹脂には、ペンダントおよび/または末端のヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、および/またはカルバメート基を含むポリマー樹脂、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリアミン、ポリエステルポリアミン、アクリルポリアミン、ポリカーボネートポリアミン、ポリエーテルポリチオール、ポリエステルポリチオール、アクリルポリチオール、ポリカーボネートポリチオール、ポリエーテルポリカルバメート、ポリエステルポリカルバメート、アクリルポリカルバメート、ポリカーボネートポリカルバメート、およびそれらの任意の組合せなどが含まれる。硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができる追加の多官能性ポリマー樹脂には、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリチオエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカルバメート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびアミノプラスト樹脂(尿素-ホルムアルデヒドおよび/またはメラミン-ホルムアルデヒド)を含めた、ヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、またはカルバメート基、またはそれらの任意の組合せを組み込む任意の多官能性ポリマー樹脂が含まれる。
【0024】
多官能性ポリマー樹脂に加えて、またはその代わりに、多官能性モノマー化合物を硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができる。ポリオール化合物が使用される場合、それらは、前述のエステル交換付加物を形成するために使用したポリオール化合物と同じであっても、または異なっていてもよい。モノマー性ポリオール化合物の例として、グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、およびそれらの任意の組合せが挙げられるが、必ずしもそれらに限定されない。他の適切なヒドロキシル含有多官能性モノマー化合物には、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、およびそれらの任意の組合せが含まれるが、それらに限定されない。さらに、硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができるモノマー性アミノアルコールには、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、およびそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0025】
硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができるモノマー性ポリアミン化合物の例として、例えばジアミン、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタ-メチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、キシリレンジアミン、1,12-ジアミノ-4,9-ジオキサドデカン、およびそれらの任意の組合せなどが挙げられるが、それらに限定されない。他の適切なモノマー性およびポリマー性ポリアミン化合物には、Huntsman Chemical Companyから入手可能なJeffamine(登録商標)製品などのポリエーテルアミンが含まれる。
【0026】
硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができるモノマー性およびポリマー性ポリチオール化合物の例として、例えば、メルカプト有機酸とのポリオールのエステル化によって生成された樹脂および化合物が挙げられる。適切なポリオールの例として、前述のポリオールが挙げられ、適切なメルカプト有機酸の例として、チオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸が挙げられる。モノマー性ポリチオール化合物の例として、グリセリルジチオグリコレート、グリセリルトリチオグリコレート、グリコールジメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラマーカプトアセテート、グリコールジ-(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート(mercaptoproprionate))、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)、
トリメチロールプロパントリス-(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス-(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス-(βチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス-(β-チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β-チオプロピオネート)、およびそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。他の適切なモノマー性およびポリマー性ポリチオール化合物には、Bruno Bock Chemische Fabrik GmbH&Co.KGから入手可能なThiocure(登録商標)製品が含まれる。
【0027】
硬化性組成物に配合し、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を用いて架橋し、硬化することができるモノマー性およびポリマー性ポリカルバメート化合物の例として、例えば、アルキルカルバメートを用いたポリオールのカルバミル基移転(transcarbamylation)(すなわち、ポリオールを用いたアルキルカルバメートのエステル交換)によって生成された樹脂および化合物が挙げられる。
【0028】
硬化性組成物は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せに加えて、酸促進剤をさらに含むことができる。一部の例では、酸促進剤は、強酸を含むことができる。本明細書で使用される
場合、「強酸」という用語は、25℃の水中で-1.3未満のpKaを有する酸を意味し、プロトン酸では、水溶液中で完全に解離する少なくとも1つのプロトン(H+)を有する酸を意味する。硬化性組成物に配合することができる強酸促進剤には、例えば、無機強酸および有機強酸が含まれる。適切な無機強酸には、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、過塩素酸、硫酸、および硝酸)およびヘテロポリ酸(例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、タングストケイ酸、およびケイモリブデン酸)が含まれる。適切な有機強酸には、例えば、スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、およびドデシルベンゼンスルホン酸)が含まれる。任意の強酸の組合せ(例えば、スルホン酸およびヘテロポリ酸の混合物)を、硬化性組成物に配合することもできる。
【0029】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、酸は、硬化性組成物においてルイス酸として機能し、1,3-ジカルボニルモチーフと複合体を形成し、それによって、多官能性構成成分上の官能基と、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態上のビニル基との間のマイケル付加反応を促進することができると考えられる。したがって、硬化性組成物における強酸構成成分は、架橋反応および硬化反応を、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態の自己重合から、多官能性構成成分と、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態との間に共有結合性連結を形成するマイケル付加反応に移行することができる。
【0030】
硬化性組成物は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せに加えて、活性化剤をさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、「活性化剤」という用語は、(i)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態の重合、および/または(ii)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態と、多官能性構成成分(例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、および/またはポリカルバメート樹脂または化合物)との間の付加反応を開始および/または触媒することができる化合物または他の剤を意味する。「活性化剤」という用語は、(1)活性化剤化合物の活性形態、および(2)潜在的前駆体形態から活性形態に変換することができる(例えば、熱、電磁放射線、圧力、または化学的共活性化剤の有効量への曝露によって)、活性化剤化合物の潜在的前駆体形態を含む。さらに、活性形態に変換することができる活性化剤化合物の潜在的前駆体形態には、コーティング層として塗布された場合、硬化性組成物から蒸発するか、またはそうでなければ除去され、それによって活性化剤を活性化することができる、揮発性であるか、またはそうでなければ除去可能な中和剤または阻害剤化合物と関連する活性化剤が含まれる。
【0031】
活性化剤は、塩基を含むことができる。本明細書で使用される場合、「塩基」という用語は、1,1-二活性化ビニル化合物のアニオン重合を開始することができる電気陰性の化合物または官能基を意味する。適切な活性化剤には、有機塩基(例えば、アミン含有化合物およびカルボン酸塩)、無機塩基(例えば、水酸化物塩、および炭酸塩)、有機金属化合物、およびそれらの任意の組合せが含まれる。適切な活性化剤には、1,1-二活性化ビニル化合物のアニオン重合を開始することができる、ペンダントおよび/または末端のアミン官能基、カルボン酸塩官能基、または他の塩基官能基を含むポリマーも含まれる。
【0032】
一部の例では、活性化剤は、強塩基(9より高いpH)、中程度の塩基(8~9のpH)、または弱塩基(7より高く8までのpH)、またはそれらの任意の組合せを含む。活性化剤は、例えば、酢酸ナトリウム;酢酸カリウム;ナトリウム、カリウム、リチウム、銅、またはコバルトの酸塩;テトラブチルアンモニウムフルオリド、クロリド、またはヒドロキシド;第一級、第二級、および第三級アミンを含めたアミン;アミド;ポリマーと
結合した酸の塩;安息香酸塩;2,4-ペンタンジオン酸塩;ソルビン酸塩;プロピオン酸塩;第二級脂肪族アミン;ピペリジン(piperidene)、ピペラジン、N-メチルピペラジン、ジブチルアミン、モルホリン、ジエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチレンジアミン、Ν,Ν-ジメチルピペラジン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン;1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);1,1’-イミノビス-2-プロパノール(DIPA);1,2-シクロヘキサンアミン;1,3-シクロヘキサンジメタンアミン;2-メチルペンタメチレンジアミン;3,3-イミノジプロピルアミン;トリアセトンジアミン(TAD);有機モノカルボン酸とのアミンの塩;ピペリジン酢酸塩;低級モノカルボン酸の金属塩;酢酸銅(II)、酢酸銅(II)一水和物、酢酸カリウム、酢酸亜鉛、クロロ酢酸(chloracetate)亜鉛、クロロ酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム;酸含有ポリマーの塩;ポリアクリル酸コポリマーの塩;およびその任意の組合せを含むことができる。
【0033】
一部の例では、硬化性組成物は、第三級アミン活性化剤、例えば、DABCO、2-(ジメチルアミノ)エタノール(DMAE/DMEA)、2-ピペラジン-1-イルエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、1-[ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、1,3,5-トリメチルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、メチルジココアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)、1,5ジアザビシクロ-[4,3,0]-ノン-5-エン(DBN)、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、またはそれらの任意の組合せなどを含むことができる。
【0034】
活性化剤は、イオン性液体を含むことができる。本明細書で使用される場合、「イオン性液体」という用語は、圧力1気圧で100℃未満の融点温度を有する塩を意味する。イオン性液体は、室温(およそ23℃)および大気圧で液体状態であり得る。イオン性液体は、アニオンとイオン会合しているカチオンを含む。カチオンは、例えば、複素環式窒素含有有機カチオン、例えばイミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピラジニウムカチオンもしくはピリミジニウムカチオン(それらの誘導体を含む)、または他のカチオン、例えばC1~C32テトラアルキルホスホニウムカチオン、C1~C32テトラアルキルアンモニウムカチオンもしくはC1~C32トリアルキルスルホニウムカチオンなどを含むことができる。アニオンは、例えば、ハロゲン化物(F-、Cl-、Br-、I-)、ホルメート、アセテート、ニトレート、ホスフェート、スルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート(hexfluorophosphate)、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トシレート、アルキルスルホネートアニオン(例えば、メチルスルホネート)、アルキルスルフェートアニオン、カルボキシレートアニオン、またはフタレートアニオンを含むことができる。
【0035】
本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法において使用されるイオン性液体活性化剤は、(i)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態の重合、および/または(ii)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態と、多官能性構成成分(例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、および/もしくはポリカルバメート樹脂または化合物)との間の付加反応を開始および/または触媒する前述のカチオンおよびアニオンの任意の組合せを含むことができる。
【0036】
イオン性液体活性化剤は、次式:
【化4】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、C
1~C
12アルキル基であり、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立に、水素またはC
1~C
12アルキル基であり、X
-は、アニオンである)のイミダゾリウム塩を含むことができる。一部の例では、R
1およびR
2は、それぞれC
1~C
12アルキル基であり、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ水素原子である。一部の例では、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれC
1~C
12アルキル基であり、R
4およびR
5は、それぞれ水素原子である。
【0037】
イオン性液体活性化剤は、次式:
【化5】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、C
1~C
12アルキル基であり、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立に、水素またはC
1~C
12アルキル基であり、X
-は、アニオンである)のピラゾリウム塩を含むことができる。一部の例では、R
1およびR
2は、それぞれC
1~C
12アルキル基であり、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ水素原子である。一部の例では、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれC
1~C
12アルキル基であり、R
4およびR
5は、それぞれ水素原子である。
【0038】
イオン性液体活性化剤は、次式:
【化6】
(式中、R
1は、C
1~C
12アルキル基であり、R
2は、それぞれ独立に、C
1~C
12アルキル基であり、nは、0~5であり、X
-は、アニオンである)のピラゾリウム塩を含むことができる。
【0039】
イオン性液体活性化剤は、次式:
【化7】
(式中、R
1は、C
1~C
12アルキル基であり、R
2は、それぞれ独立に、C
1~C
12アルキル基であり、nは、0~4であり、X
-は、アニオンである)のピリミジニウム塩および/またはピラジニウム塩を含むことができる。
【0040】
イオン性液体活性化剤は、次式:
【化8】
(式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、それぞれ独立に、C
1~C
12アルキル基であり、X
-は、アニオンである)のアンモニウム塩および/またはホスホニウム塩を含むことができる。
【0041】
前述の塩におけるアニオン(X-)は、例えば、ハロゲン化物(F-、Cl-、Br-、I-)、ホルメート、アセテート、ニトレート、ホスフェート、スルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トシレート、アルキルスルホネートアニオン(例えば、メチルスルホネート)、アルキルスルフェートアニオン、カルボキシレートアニオン、またはフタレートアニオンを含むことができる。
【0042】
本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法において使用されるイオン性液体活性化剤は、前述のカチオンおよびアニオンのいずれかの組合せを含むことができ、前述のカチオンおよびアニオンをそれぞれ独立に含む任意の2つまたはそれよりも多いイオン性液体の組合せを含むこともできる。
【0043】
硬化性組成物は、全組成物重量に対して、ゼロではない量から10%まで、5%まで、2%まで、1%まで、0.5%まで、もしくは0.1%までの範囲、またはこのような範囲内に包含される任意の部分範囲の量の活性化剤を含むことができる。活性化剤は、硬化性組成物の早計の硬化を防止するために、基材にわたって硬化性組成物を塗布するのにほぼ十分な時間が経過するまで、1,1-二活性化ビニル化合物またはその複数官能性形態とは別個に維持することができる(例えば、別個の容器内で)。次に、活性化剤を、硬化性組成物のその他の構成成分のすべてと混合し、適切な塗布技術(例えば、スプレー、静電気スプレー、浸漬、ローリング、ブラッシング、こて塗り(troweling) 電着塗装等)を使用して基材にわたって塗布することができる。以下に記載される他の例では、活性化剤は、(1)多官能性構成成分と、1,1-二活性化ビニル化合物もしくはそ
の複数官能性形態との間の付加反応を活性化し、および/または(2)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態の間の重合反応を活性化するために、硬化性組成物の層にわたって、および/またはその下に塗布することができる。
【0044】
本発明の硬化性組成物において使用することができる活性化剤および活性化方法のさらなる例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,181,365号に記載されている。
【0045】
硬化性組成物は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せに加えて、エクステンダーをさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、「エクステンダー」という用語は、(i)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態の重合、および/または(ii)1,1-二活性化ビニル化合物もしくはその複数官能性形態と、多官能性構成成分(例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、および/またはポリカルバメート樹脂または化合物)との間の付加反応の反応速度を低下することができる化合物または他の剤を意味する。したがって、エクステンダーは、硬化性組成物のポットライフを延長するように機能し、前述の通り活性化剤および/または酸促進剤と組み合わせて使用して、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む硬化性組成物のポットライフおよび硬化応答を制御することができる。
【0046】
本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法において使用されるエクステンダーは、例えば、カルボン酸無水物化合物および/またはカルボン酸化合物を含むことができる。適切なカルボン酸無水物化合物には、例えば、不飽和無水物、例えば無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アコニット酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、クロトン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、メタクリル酸無水物、またはそれらの任意の組合せが含まれる。適切なカルボン酸無水物化合物には、例えば、飽和無水物、例えば前述の不飽和無水物(例えば、無水コハク酸)のいずれかの飽和同族体も含まれる。適切なカルボン酸化合物には、例えば、短鎖(例えば、C2~C20)飽和および不飽和カルボン酸、例えばシュウ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、安息香酸、クエン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、2-ペンテン酸、3-ペンテン酸、アリル酢酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸、飽和および不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸、バクセン酸、および/またはオレイン酸)、ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。
【0047】
代替として、またはさらに、本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法において使用されるエクステンダーは、例えば、無水物含有ビニルポリマーおよび/またはカルボン酸含有ビニルポリマーを含むことができる。本明細書で使用される場合、「ビニルポリマー」という用語は、炭素-炭素二重結合の間の付加反応によって生成された任意のポリマーを意味する。無水物含有ビニルポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アコニット酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、クロトン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、メタクリル酸無水物、またはそれらの任意の組合せなどを含むモノマー混合物から生成することができる。無水物含有ビニルポリマーは、例えば、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルなどのエチレン性不飽和モノマーをさら
に含むモノマー混合物から生成することができる。本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法においてエクステンダーとして使用するのに適した無水物含有ビニルポリマーは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,798,745号の7欄、27行~8欄、3行および10欄、40行~12欄、59行に記載される。
【0048】
本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法においてエクステンダーとして使用するのに適したカルボン酸含有ビニルポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、2-ペンテン酸、3-ペンテン酸、アリル酢酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸、飽和および不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸、バクセン酸、および/またはオレイン酸)、ならびにそれらの任意の組合せなどのエチレン性不飽和カルボン酸を含むモノマー混合物から生成することができる。カルボン酸含有ビニルポリマーは、例えば、スチレンおよびその誘導体、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリレートエステルなどのエチレン性不飽和モノマーをさらに含むモノマー混合物から生成することができる。さらに、カルボン酸基およびカルボン酸無水物基の両方を含有するビニルポリマーは、本明細書に記載される組成物、コーティング、および方法においてエクステンダーとして使用することができる。このようなビニルポリマーは、前述の通り、エチレン性不飽和カルボン酸およびエチレン性不飽和カルボン酸無水物の両方を含むモノマー混合物から生成することができる。
【0049】
一部の例では、硬化性組成物は、前述の通り、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せ、ならびに(3)酸促進剤、活性化剤、および/またはエクステンダーの任意の組合せを含むことができる。硬化性組成物は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せ、ならびに存在する場合には(3)任意の促進剤、活性化剤、および/またはエクステンダー(例えば、酸および/または塩基および/または無水物含有ビニルポリマー)に加えて、例えば追加の樹脂、溶媒、反応性希釈剤、着色剤等の追加の材料をさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、「着色剤」は、特に基材にわたって塗布され、硬化した場合、コーティング組成物に色および/または他の不透明効果および/または他の視覚的効果を付与する任意の物質を意味する。着色剤は、別個の粒子、分散体、溶液、および/またはフレークなどの任意の適切な形態で、コーティング組成物に添加することができる。単一の着色剤、または2つもしくはそれよりも多い着色剤の混合物を、本明細書に記載されるコーティング組成物において使用することができる。
【0050】
例示的な着色剤として、顔料(有機または無機)、染料、および色合い付与剤(tint)、例えば塗料産業で使用されており、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)によって列挙されているもの、ならびに特別な効果を有する組成物が挙げられる。着色剤には、例えば、使用条件下で不溶性であるが湿潤可能である、微粉砕固体粉末が含まれ得る。着色剤は、有機または無機であってよく、凝集していても、または凝集していなくてもよい。着色剤は、粉砕用ビヒクル、例えばアクリル粉砕用ビヒクルの使用によってコーティングに組み込むことができ、その使用は、当業者によく知られている。
【0051】
例示的な顔料および/または顔料組成物として、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、塩型(フレーク)、ベンゾイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、
トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール赤色(「DPPBO赤色」)、二酸化チタン、カーボンブラック、ならびにそれらのいずれかの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。「顔料」および「着色フィラー」という用語は、同義に使用することができる。例示的な染料として、有機溶媒および/または水に可溶性のもの、例えばフタログリーンまたはブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、およびキナクリドンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0052】
例示的な色合い付与剤として、水ベースの担体または水混和性担体に分散した顔料、例えばAQUA-CHEM 896(Degussa,Inc.から入手可能)、ならびにCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTS(Accurate Dispersions Division of Eastman Chemical Companyから入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
任意選択でコーティング組成物に配合される着色剤は、特別な効果を有する組成物または顔料を含むこともできる。本明細書で使用される場合、「特別な効果を有する組成物または顔料」は、可視光線と相互作用して、連続的な不変色以外またはそれに加えて、外観効果を提供する組成物または顔料を意味する。例示的な特別な効果を有する組成物および顔料として、反射、真珠光沢、金属光沢、質感、リン光、蛍光、フォトクロミズム、光線過敏、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム(goniochromism)、および/または変色などの1つまたは複数の外観効果をもたらすものが挙げられる。特別な効果を有する組成物の例として、透明コーティング雲母および/または合成雲母、コーティングシリカ、コーティングアルミナ、アルミニウムフレーク、透明液晶顔料、液晶コーティング、ならびにそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0054】
硬化性組成物に配合することができる材料の他の例として、可塑剤、耐摩耗粒子、抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収剤および安定剤、界面活性剤、流れおよび表面の制御剤、チキソトロピー付与(thixotropic)剤、溶媒および共溶媒、反応性希釈剤、触媒、反応阻害剤、ならびに塗料およびコーティング産業で通例の他の助剤が挙げられる。
【0055】
本明細書に記載される本発明は、前述の通り硬化性組成物を使用することを含む。例えば、基材をコーティングするための方法は、基材の少なくとも一部にわたって第1のコーティング層を塗布するステップと、第1のコーティング層の少なくとも一部にわたって第2のコーティング層を塗布するステップと、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層を硬化させるステップとを含むことができる。第1のコーティング層および第2のコーティング層の硬化は、中間のフラッシュ、乾燥、または脱水ステップと共に順次もしくは同時に実施することができ、またはそれらのステップなしに実施することができる。第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および(2)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む硬化性組成物から形成される。
【0056】
硬化性組成物は、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層のいずれとして塗布されようと、前述の特色または特徴のいずれかを、任意の組合せで含むことができる。例えば、1,1-二活性化ビニル化合物は、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含むことができる。ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、またはポリカルバメートは、多官能性ポリマー樹脂、または多官能性モノマー化合物、またはそれらの組合せを含むことが
できる。硬化性組成物は、促進剤(例えば、強酸、例えばスルホン酸および/またはヘテロポリ酸)および/または活性化剤(例えば、アミン、例えばDABCOもしくはDMAE/DMEAのような第三級アミン、またはイオン性液体)および/またはエクステンダー(例えば、無水物含有ビニルポリマー)を含むことができる。
【0057】
前述の通り、硬化性組成物は、必ずしも酸促進剤または活性化剤またはエクステンダーの単独使用に限定されない。一部の例では、酸促進剤と活性化剤化合物の両方の組合せを、硬化性組成物において使用することができる。同様に、酸促進剤とエクステンダーの組合せ、または活性化剤化合物とエクステンダーの組合せ、または3つすべての組合せを、硬化性組成物において使用することができる。いかなる理論にも拘泥するものではないが、硬化性組成物中の酸促進剤、活性化剤化合物および/またはエクステンダーの存在は、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態の自己重合に対するマイケル付加反応の硬化動態および/または程度を調節することによって、最終的なコーティング特性に影響を与えることができる。一部の例では、酸触媒は、前述の「強酸」および/またはより弱い酸を含むことができる。硬化性組成物に配合することができる、適切なより弱い酸には、例えば、無機弱酸および有機弱酸が含まれる。この文脈では、弱酸は、25℃の水において-1.3~7の範囲のpKaを有すると定義される。適切な無機弱酸には、例えば、スルファミン酸、リン酸、次亜塩素酸、およびホウ酸が含まれる。適切な有機弱酸には、例えば、カルボン酸、例えばシュウ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、安息香酸、およびクエン酸が含まれる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「硬化する」および「硬化すること」という用語は、液体状態から硬化状態への液体硬化性組成物の進行を指し、溶媒もしくは担体の蒸発(例えば、熱可塑性硬化組成物)を介する硬化組成物の物理的乾燥、および/または硬化性組成物(例えば、熱硬化性硬化組成物)における構成成分の化学的架橋を包含する。これに関して、「硬化した」という用語は、本明細書で使用される場合、液体硬化性組成物から形成された膜または層が、少なくとも指触乾燥している液体硬化性組成物の状態を指す。
【0059】
一部の例では、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層の硬化は、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層の少なくとも一部にわたっておよび/またはその下に、活性化剤溶液をスプレーすることを含むことができる。活性化剤溶液は、液体担体に溶解したか、またはそうでなければ分散した活性化剤(前述の通り)を含むことができる。活性化剤溶液は、水性または有機溶媒(例えば、エステル溶媒、例えばn-酢酸ブチル)に溶解した活性化剤化合物、例えばアミン活性化剤(例えば、第三級アミン化合物、例えばDABCOまたはDMAE/DMEA)を含むことができる。活性化剤溶液は、基材、および予め塗布された活性化剤溶液にわたって塗布された硬化性組成物にわたってスプレーされ得るか、またはそうでなければ塗布され得る。代替として、またはさらに、活性化剤溶液は、予め塗布された硬化性組成物の層または膜にわたってスプレーされ得るか、またはそうでなければ塗布され得る。活性化剤溶液は、塗布された硬化性組成物層または膜の界面でマイケル付加反応および/または重合反応を開始することができ、層または膜内に移動して、さらに硬化反応を開始することができる。
【0060】
一部の例では、第1のコーティング層の硬化は、第2のコーティング層中に存在する活性化剤化合物によって開始することができ、または第2のコーティング層の硬化は、第1のコーティング層中に存在する活性化剤化合物によって開始することができる。例えば、第1のコーティング層は、活性化剤化合物を含むことができ、第2のコーティング層の硬化は、第1のコーティング層における活性化剤化合物により、第2のコーティング層における付加反応および/または重合反応を活性化することを含む。この方式で、第1のコーティング層における活性化剤化合物は、第2のコーティング層におけるマイケル付加反応および/または重合反応を、その二層の間の界面で開始することができる。また、第1の
コーティング層における活性化剤化合物は、その界面を介して第2のコーティング層に移動して、さらに硬化反応を開始することができる。この例では、第1のコーティング層の化学組成は、活性化剤が、第1のコーティング層における架橋または他の硬化反応を開始するようには機能しないが、第1のコーティング層にわたって、第2のコーティング層をそれと接触させて塗布すると、第2のコーティング層における硬化反応を実際に開始するような組成であってよい。
【0061】
あるいは、第2のコーティング層は、活性化剤化合物を含むことができ、第1のコーティング層の硬化は、第2のコーティング層における活性化剤化合物により、第1のコーティング層における付加反応および/または重合反応を活性化することを含む。この方式で、第2のコーティング層における活性化剤化合物は、第1のコーティング層におけるマイケル付加反応および/または重合反応を、その二層の間の界面で開始することができる。また、第2のコーティング層における活性化剤化合物は、界面を介して第1のコーティング層に移動して、さらに硬化反応を開始することができる。この例では、第2のコーティング層の化学組成は、活性化剤が、第2のコーティング層における架橋または他の硬化反応を開始するようには機能しないが、第1のコーティング層にわたって、第2のコーティング層をそれと接触させて塗布すると、第1のコーティング層における硬化反応を実際に開始するような組成であってよい。他のコーティング層における架橋または他の硬化反応を開始する、第1のコーティング層または第2のコーティング層のいずれかに存在する活性化剤は、アミン活性化剤(例えば、第三級アミン化合物、例えばDABCOまたはDMAE/DMEA)などの活性化剤化合物を含むことができる。
【0062】
一部の例では、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、裸の基材または予め塗布されたコーティング(例えば、プライマーコーティング)の少なくとも一部にわたって、例えばスプレー、静電気スプレー、浸漬、ローリング、ブラッシング、電着塗装等の塗布技術を使用して塗布することができる。第1のコーティング層および第2のコーティング層は、塗布されると、脱水および/または硬化することができる。前述の通り、第1のコーティング層および第2のコーティング層の硬化は、中間のフラッシュ、乾燥、もしくは脱水ステップと共に順次(すなわち、第1のコーティング層が硬化した後に、第2のコーティング層が塗布される)もしくは同時に実施することができ、またはそれらのステップなしに実施することができる。例えば、第1のコーティング層を塗布し、脱水することができ、第2のコーティング層を、脱水した第1のコーティング層にわたって塗布することができ、第1および第2のコーティング層の両方を、焼き付けるか、またはそうでなければ処理して、複数層系を硬化させる。コーティング層の特別な硬化条件は、層を形成する硬化性組成物の化学的配合に少なくとも部分的に基づく。一部の例では、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、周囲温度(約20℃~25℃)~500℃の範囲の温度、またはその範囲に包含される任意の部分範囲、例えば、周囲温度~200℃、周囲温度~150℃、周囲温度~140℃、周囲温度~130℃、周囲温度~120℃、周囲温度~100℃、周囲温度~90℃、周囲温度~80℃、周囲温度~60℃もしくは周囲温度~50℃で、独立に、または一緒に脱水および/または硬化することができる。
【0063】
前述の通り、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態は、多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物のための架橋剤/硬化剤として機能することができる。やはりいかなる理論にも拘泥するものではないが、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態におけるビニル基(複数可)が、多官能性ポリマー樹脂または多官能性モノマー化合物におけるヒドロキシル基、アミン基、メルカプト基、および/またはカルバメート基とのマイケル付加機序を介して反応し、それによって安定な共有結合連結を形成することができると考えられる。したがって、硬化した後、硬化した第1のコーティング層および/または硬化した第2のコーティング層の少なく
とも1つは、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(2)1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態との付加反応生成物を含むことができる。1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態は、ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、またはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0064】
「付加反応生成物」は、1,1’-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態と、求核剤(例えば、アミン、チオールまたはアルコールおよび/またはそれらのポリマー形態)の反応によって形成された付加物を指す。いかなる理論にも拘泥するものではないが、付加反応生成物は、共役二重結合に求核剤を付加するか(「マイケル付加反応」)、または1,1-二活性化ビニルエステルのエステルのアルコールを、別のアルコール(エステル交換反応)、アミン、チオールおよび/またはそれらのポリマー形態で置き換えることによって得ることができる。例えば、アミンの反応は、アミド生成物をもたらすことができ、チオールとの反応は、チオエステル生成物をもたらすことができる。「ポリマー性付加生成物」は、複数の反応物が反復して反応する重合反応の生成物を指す。いかなる理論にも拘泥するものではないが、ポリマー性付加生成物は、アニオン重合、縮合重合、鎖成長またはラジカル重合などの様々な反応機序を介して得ることができる。例えば、第一級アミンは、アニオン重合を介して1,1’-ジエチルメチレンマロネート(DEMM)と反応して、ポリマー性DEMMを形成することができる。
【0065】
一部の例では、硬化した後、硬化した第1のコーティング層および/または硬化した第2のコーティング層の少なくとも1つは、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(2)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態との付加反応生成物を含むことができる。ジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含むことができる。ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物は、ジエチルメチレンマロネートおよびジオール(例えば、アルカンジオール、例えば1,5-ペンタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオール)のエステル交換付加物を含むことができる。
【0066】
本明細書に記載される本発明は、前述の硬化性組成物から形成されたコーティングを含む。例えば、複数層コーティングは、基材の少なくとも一部にわたって塗布された第1のコーティング層、および第1のコーティング層の少なくとも一部にわたって塗布された第2のコーティング層を含むことができる。第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(1b)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せとの付加反応生成物を含むことができる。第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、さらにまたは代替として、1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せの重合反応生成物を含むことができる。
【0067】
第1のコーティング層または第2のコーティング層だけが、多官能性樹脂または化合物ならびに1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態を含む硬化性組成物から形成される例では、他のコーティング層は、任意の有用な配合物を含む異なる硬化性組成物から形成され得る。複数層コーティングを生成するために本明細書に記載されるコーティング組成物と共に使用され得る他の種類の硬化性組成物には、例えば、ポリウレタンベースのコーティング組成物、ポリ尿素ベースのコーティング組成物、アクリル
ベースのコーティング組成物、エポキシベースのコーティング組成物、ポリエステルベースのコーティング組成物、ポリエーテルベースのコーティング組成物、ポリチオエーテルベースのコーティング組成物、ポリアミドベースのコーティング組成物、ポリカーボネートベースのコーティング組成物、ポリカルバメートベースのコーティング組成物、およびアミノプラストベースのコーティング組成物(尿素-ホルムアルデヒドおよび/またはメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含むコーティング組成物を含む)が含まれる。
【0068】
本明細書に記載されるコーティング組成物は、ベースコート、トップコート、タイコート等を形成するために、複数層コーティング系の他のコーティング層を形成する他のコーティング化学物質と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用される場合、「ベースコート」という用語は、プライマー上に堆積し、および/または基材に直接的に堆積し、任意選択で、色に影響を与え、および/または他の視覚的影響を提供する構成成分(例えば、顔料)を含むコーティング層を意味する。本明細書で使用される場合、「トップコート」という用語は、ベースコートなどの別のコーティング層にわたって堆積されるコーティング層を意味する。トップコートは、常にではないがしばしば「クリアコート」であり、これは、本明細書で使用される場合、少なくとも実質的に透明に見えるか、または完全に透明に見えるコーティング層を意味する。本明細書で使用される場合、「実質的に透明な」という用語は、コーティングを通して見ると、コーティングの向こうの表面が少なくとも部分的に肉眼で見えるコーティングを指す。本明細書で使用される場合、「完全に透明な」という用語は、コーティングを通して見ると、コーティングの向こうの表面が完全に肉眼で見えるコーティングを指す。クリアコートは、顔料などの着色剤を含むことができ、ただし、その着色剤は、クリアコート層の望ましい透明性を妨害しないものと理解される。一部の例では、クリアコート層は、顔料などの添加される着色剤を含まない。本明細書で使用される場合、「タイコート」という用語は、2つの他のコーティング層の間に位置するコーティング層、例えば、ベースコート層とトップコート層との間に位置するコーティング層などを意味する。
【0069】
本明細書に記載される複数層コーティングは、プライマーコーティング層を含むことができ、この層は、第1のコーティング層に相当し得る。本明細書で使用される場合、「プライマーコーティング層」は、保護的または装飾的コーティング系を塗布するための表面を調製するために基材上に堆積させることができる下塗りを意味する。プライマーコーティング層は、基材の少なくとも一部にわたって第1のコーティング層として形成され、第2のコーティング層(例えば、ベースコート)は、そのプライマーコーティング層の少なくとも一部にわたって形成され得る。したがって、本発明の複数層コーティングは、プライマーコーティング層、ならびにベースコート層およびトップコート層の1つまたは複数を含むことができる。
【0070】
プライマーコーティング層を含む第1のコーティング層は、膜形成樹脂、例えばカチオンベースの樹脂、アニオンベースの樹脂、および/または前述の追加の膜形成樹脂のいずれかを含む硬化性組成物から形成され得る。プライマーコーティング組成物を形成するために使用される硬化性組成物は、特に金属基材上で使用することを企図されたコーティング配合物において、腐食阻害剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「腐食阻害剤」は、金属または金属合金基材上の表面腐食の速度または深刻度を低減する構成成分を意味する。また、第1のコーティング層は、直接光沢コーティングであってよい。直接光沢コーティングは、この文脈では、光沢があるか、または艶消し仕上げを有する、有色トップコート層を指す。
【0071】
腐食阻害剤には、アルカリ金属構成成分、アルカリ土類金属構成成分、遷移金属構成成分、またはそれらの任意の組合せが含まれ得るが、それらに限定されない。「アルカリ金属」という用語は、化学元素の周期表の1族元素(国際純正・応用化学連合(IUPAC
))を指し、それには、例えばセシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、およびナトリウム(Na)が含まれる。「アルカリ土類金属」という用語は、化学元素の周期表の2族元素(IUPAC)を指し、それには、例えばバリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、およびストロンチウム(Sr)が含まれる。「遷移金属」という用語は、化学元素の周期表の3~12族元素(IUPAC)を指し、それには、他の様々な元素の中でも、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、および亜鉛(Zn)が含まれる。プライマーコーティング組成物において腐食阻害剤として機能することができる無機構成成分の例として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、亜鉛粉末、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0072】
プライマーコーティング組成物の構成成分は、電着可能なコーティング組成物を形成するように選択することができる。本明細書で使用される場合、「電着可能なコーティング組成物」という用語は、印加された電位の影響の下で導電性基材上に堆積することができる硬化性組成物を指す。電着可能なコーティング組成物の例として、アニオン性およびカチオン性の電着可能なコーティング組成物、例えばエポキシまたはポリウレタンベースのコーティング、例えばそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,933,056号の2欄、48行~5欄、53行、米国特許第5,530,043号の1欄、54行~4欄、67行、米国特許第5,760,107号の2欄、11行~9欄、60行、および米国特許第5,820,987号の3欄、48行~10欄、63行に記載されている電着可能なコーティングが挙げられる。適切な電着可能なコーティング組成物には、PPG Industries,Inc.から市販されているもの、例えば、POWERCRON(登録商標)シリーズのアノードおよびカソードのエポキシおよびアクリルコーティング、ED-6060C、ED-6280、ED-6465、およびED-7000も含まれる。
【0073】
前述の通り、プライマーコーティング組成物を、基材の少なくとも一部にわたって第1のコーティング層として直接的に堆積させた後、第2のコーティング層を塗布することができる。あるいは、第1のコーティング層を、硬化したプライマーコーティング層にわたって堆積させることができ、ここで第1のコーティング層は、ベースコート層として機能し、第2のコーティング層を、第1のコーティング層にわたって堆積させることができ、ここで第2のコーティング層は、トップコート層またはタイコート層(その後の層が、第2のコーティング層にわたって塗布される場合)として機能する。プライマーコーティング組成物が、基材の少なくとも一部に塗布されると、プライマーコーティング層が脱水および/または硬化した後、ベースコートであろうとまたはトップコートであろうと、オーバーコーティング層を塗布することができる。プライマーコーティング組成物は、例えば175℃~205℃の温度で脱水および/または硬化して、プライマーコーティング層を形成することができる。
【0074】
本明細書に記載される硬化性組成物が、ベースコート層またはタイコート層を形成するために使用される場合、複数層コーティングは、異なるコーティング組成物、例えばイソシアネート架橋ポリウレタンクリアコートを生成するために配合されたコーティング組成物などから形成されたトップコート層を含むことができる。本発明の複数層コーティングと共に使用することができるトップコート層のさらなる例として、それぞれが参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,650,718号の1欄、62行~10欄、16行、米国特許第5,814,410号の2欄、23行~9欄、54行、および米国特許第5,891,981号の2欄、22行~12欄、37行に記載されているものが挙げられる。本明細書に記載されるコーティング組成物にわたってトップコート層を形成するために使用することができる適切なトップコートコーティング組成物には、PPG In
dustries,Inc.から商標NCT(登録商標)、DIAMOND COAT(登録商標)、およびCERAMICLEAR(登録商標)で市販されているものも含まれる。
【0075】
前述の通り、本発明の複数層コーティングにおける第1のコーティング層および/または第2のコーティング層の少なくとも1つは、(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(1b)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せとの付加反応生成物を含むことができる。第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、さらにまたは代替として、1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せの重合反応生成物を含むことができる。記載の通り、1,1-二活性化ビニル化合物は、例えば、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含むことができる。
【0076】
複数層コーティングの一部の例では、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(2)ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、またはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せとの付加反応生成物を含むことができる。例えば、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、(1)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、(2)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態との付加反応生成物を含むことができる。ジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含むことができる。ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物は、ジエチルメチレンマロネートおよびジオール(例えば、アルカンジオール、例えば1,5-ペンタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオール)のエステル交換付加物を含むことができる。
【0077】
複数層コーティングの一部の例では、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層は、促進剤(例えば、強酸、例えばスルホン酸および/またはヘテロポリ酸)および/または活性化剤(例えば、アミン、例えばDABCOもしくはDMAE/DMEAのような第三級アミン、またはイオン性液体)および/またはエクステンダー(例えば、無水物含有ビニルポリマー)を含む硬化性組成物から形成され得る。一部の例では、第1のコーティング層は、第2のコーティング層が第1のコーティング層にわたって塗布された場合、第2のコーティング層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含む。他の例では、第2のコーティング層は、第2のコーティング層が第1のコーティング層にわたって塗布された場合、第1のコーティング層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含む。
【0078】
一部の例では、第2のコーティング層は、(1)多官能性樹脂または多官能性化合物と、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態との付加反応生成物、ならびに/または(2)1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態の重合反応生成物を含み、第1のコーティング層は、500℃未満、200℃未満、150℃未満、140℃未満、130℃未満、120℃未満、または100℃未満の温度で加熱されると硬化する硬化性組成物から形成される。第1のコーティング層を形成する硬化性組成物は、例えば、ポリウレタンベースのコーティング組成物、ポリ尿素ベースのコーティング組成物、アクリルベースのコーティング組成物、エポキシベースのコーティング組成物、ポリエステルベースのコーティング組成物、ポリエーテルベースのコーティ
ング組成物、ポリチオエーテルベースのコーティング組成物、ポリアミドベースのコーティング組成物、ポリカーボネートベースのコーティング組成物、ポリカルバメートベースのコーティング組成物、およびアミノプラストベースのコーティング組成物(尿素-ホルムアルデヒドおよび/またはメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含むコーティング組成物を含む)を含むことができる。一部の例では、第1のコーティング層は、メラミン樹脂およびホルムアルデヒド縮合物を含まない(すなわち、実質的に含まない)硬化性組成物から形成される。「実質的に含まない」という用語は、本明細書で使用される場合、仮にあったとしても、全硬化性組成物の重量に対して一般に重量で100万当たり1000部未満(1000ppm)の偶発的不純物レベルで、記載される材料が存在することを意味する。
【0079】
一部の例では、第1のコーティング層は、(1)多官能性樹脂または多官能性化合物と、1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態との付加反応生成物、ならびに/または(2)1,1-二活性化ビニル化合物および/またはその複数官能性形態の重合反応生成物を含み、第2のコーティング層は、クリアコート層(例えば、イソシアネート架橋ポリウレタンクリアコート層)を含む。
【0080】
硬化性組成物は、車両部品および自立構造体の部品、例えば建築物、橋、または他の公共インフラストラクチャーを含む広範な基材に塗布することができる。より具体的な基材には、自動車基材(例えば、車体パネルおよび他のパーツおよび部品)、工業基材、航空機部品、ウォータークラフト部品、パッケージング基材(例えば、食品および飲料缶)、木製の床および家具、衣料品、電子機器(例えば、筐体および回路基材)、ガラスおよび透明体、スポーツ用品(例えば、ゴルフボール等)、電化製品(例えば、食洗器、衣類洗濯機、衣類乾燥機)が含まれるが、それらに限定されない。基材は、例えば金属性または非金属性であってよい。金属基材には、スズ、鋼(中でも、電気亜鉛めっき鋼、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼を含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金でコーティングされた鋼、およびアルミニウムめっき鋼が含まれるが、それらに限定されない。非金属基材には、ポリマー性のもの、プラスチック、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、セルロース、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、EVOH、ポリ乳酸、他の「環境に優しい」ポリマー性基材、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリアミド、木材、ベニヤ、木材複合体、パーティクルボード、繊維ボード、セメント、コンクリート、レンガ、石、紙、ボール紙、布、レザー(合成および天然の両方)、ガラスまたは繊維ガラス複合物、炭素繊維複合物、混合繊維(例えば、繊維ガラスおよび炭素繊維)複合物等が含まれる。基材は、視覚的および/または色効果を付与するなどのために一部の方式で既に処理された基材、保護用前処理もしくはプライマーコーティング層、または他のコーティング層等であってよい。
【0081】
本発明はさらに、本明細書に記載される硬化性組成物から形成された複数層コーティングを含む物品を含む。例えば、本発明の硬化性組成物はまた、パッケージングコーティングとして使用するのに適している。パッケージングへの様々な前処理およびコーティングの塗布は、十分に確立されている。このような処理および/またはコーティングは、例えば、金属缶の場合に使用することができ、その処理および/またはコーティングは、腐食を遅延または阻害し、装飾的コーティングを提供し、製造過程中の取扱いを容易にするため等に使用される。コーティングをこのような缶の内部に塗布して、内容物が容器の金属に接触するのを妨げることができる。金属缶の内部に塗布されたコーティングは、生成物の充填ラインと缶のフタとの間の領域である、その缶のヘッドスペース内の腐食を防止する一助にすることができる。ヘッドスペースにおける腐食は、高い塩含量を有する食品生成物について特に問題がある。コーティングは、金属缶の外部に塗布することもできる。
本発明のある特定のコーティングは、特に、例えば缶の蓋を製造するためのコイル状金属原料(「缶の蓋(can end)の原料」)、ならびに缶のキャップおよび閉鎖部を製造するためのコイル状金属原料(「キャップ/閉鎖部の原料」)と共に使用するために塗布することができる。缶の蓋の原料およびキャップ/閉鎖部の原料に対して使用するために設計されたコーティングは、典型的に塗布された後に一片が切断され、コイル状金属原料から切り離されるので、典型的に可撓性であり、伸張性である。また、相対的に厳密な温度および/または圧力要件に付される缶のためのコーティングは、ワキ(popping)、腐食、白化および/またはふくれに対して抵抗性であるべきである。
【0082】
したがって、本発明はさらに、前述の硬化性組成物のいずれかで少なくとも部分的にコーティングされたパッケージを対象とする。「パッケージ」は、特に製造地点から消費者への輸送のため、および消費者によるその後の保存のための、別の品目を含有するために使用される何らかのものである。したがって、パッケージは、消費者によって開けられるまで、その内容物が劣化しないようにしておくために密封される何らかのものであると理解される。したがって、本発明の「パッケージ」は、消費者が食品を作り、および/または保存するための貯蔵容器または耐熱容器とは区別され、このような容器は、相対的に短期間にわたって食品の鮮度または完全性を維持できるだけである。本発明によるパッケージは、金属または非金属、例えば、プラスチックまたは積層体から製造することができ、任意の形態であってよい。適切なパッケージの一例は、積層チューブである。適切なパッケージの別の例は、金属缶である。「金属缶」という用語は、このようなパッケージが消費者によって開けられるまで内容物の損傷を最小限にするか、または排除するために食品/飲料製造者によって密封される、任意の種類の金属缶、容器、または任意の種類の入れ物、またはその一部を含む。金属缶の一例は、食品缶であり、「食品缶(food can(s))」という用語は、本明細書では、任意の種類の食品および/または飲料を保持するために使用される缶、容器、または任意の種類の入れ物、またはそれらの一部を指すために使用される。「金属缶(metal can(s))」という用語は、具体的には食品缶を含み、また具
体的には、「E-Zオープンエンド」を含めた「缶の蓋」を含み、これらは典型的に、缶の蓋の原料から切り離され、食品および飲料のパッケージングと併せて使用される。「金属缶(metal cans)」という用語はまた、具体的には金属キャップおよび/または閉鎖
部、例えば任意のサイズのボトルキャップ、スクリュートップキャップおよびフタ、ラグキャップ等を含む。金属缶は、パーソナルケア製品、虫よけスプレー、スプレー塗料、エアロゾル缶にパッケージするのに適した任意の他の化合物を含めた他の品目を同様に保持するために使用することもできるが、それらに限定されない。缶には、「ツーピース缶」および「スリーピース缶」ならびにしごき絞りワンピース缶が含まれ得るが、このようなワンピース缶は、エアロゾル製品を伴う用途にしばしば見出される。本発明に従ってコーティングされるパッケージには、プラスチックボトル、プラスチックチューブ、積層体および可撓性パッケージング、例えばPE、PP、PET等から製造されたものが含まれ得る。このようなパッケージングは、例えば、食品、歯磨き粉、パーソナルケア製品等を保持することができる。コーティングは、パッケージの内部および/または外部に塗布することができる。
【0083】
一部の例では、本発明に従って調製され、使用される硬化性組成物は、ビスフェノールAおよびビスフェノールAから誘導されたエポキシ化合物(「BPA」)、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル(「BADGE」)を実質的に含まず、本質的に含まず、および/または完全に含まないものであってよい。「実質的に含まない」という用語は、この文脈で使用される場合、コーティング組成物が、前述の化合物、誘導体、またはそれらの残留物のいずれかを、100万当たり1000部未満(1000ppm)含有することを意味し、「本質的に含まない」とは、100ppm未満を意味し、「完全に含まない」は、10億当たり20部(20ppb)未満を意味する。
【実施例0084】
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを企図する。本明細書に記載される本発明は、このセクションに記載される例に必ずしも限定されないことが理解される。特に、本開示の硬化性組成物は、本明細書に提示される以下の実施例の一部において記載される通り、シーラント、コーティング、接着剤、被包材料、および埋込用組成物を含む様々な形態をとることができる。
(実施例1)
ポリオールおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物。
【0085】
アクリルポリオールを、重量パーセントで22.4%のイソステアリン酸、23.3%のヒドロキシプロピルアクリレート、10.7%のメチルメタクリレート、32.4%のスチレン、および11.2%のグリシジルメタクリレートを共重合することによって調製した。アクリルポリオールを、58.8重量%固形分でキシレンに溶解させた。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,6-ヘキサンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。表1に提供される通り、アクリルポリオール、架橋剤組成物、および活性化剤溶液(n-酢酸ブチル中5%の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む)を一緒に合わせて、試験試料を形成した。
【表1】
【0086】
架橋剤組成物を添加する前および後に、試料を、それぞれ20mLのシンチレーションバイアル内で(1)アクリルポリオール、(2)活性化剤溶液、および(3)架橋剤組成物の順序で混合しながら合わせた。ゲル化までの時間を、すべての構成成分を合わせた後
から、バイアルを上下逆にしても組成物が視覚的に観測可能な流れを示さなくなるまでにかかった時間として記録した。
【0087】
ゲルが形成された試料では、ゲルは、視覚的に透明で均質であったが、このことは、存在する場合にはアクリルポリオール上のヒドロキシル基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,6-ヘキサンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間に付加反応が生じたことを示している。活性化剤溶液の量が増大するにつれて、ゲル化までの時間が減少したことが観測された。また、ヒドロキシル基対ビニル基の比(OH:エンの比)が増大するにつれて(すなわち、架橋剤組成物の量が減少するにつれて)、ゲル化までの時間が増加したことが観測された。
【0088】
この実施例1の結果は、硬化性組成物が、ポリオールおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物に基づいて配合され得ることを示している。
(実施例2)
ポリアミンおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物。
【0089】
第一級アミン末端化ポリオキシプロピレンを含む三官能性ポリエーテルポリアミンを準備した。(Huntsman Corporationから入手可能なJeffamine(登録商標)T-403)。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。表2に提供される通り、ポリエーテルポリアミンおよび架橋剤組成物を一緒に合わせて、試験試料を形成した。試料を、それぞれ20mLのシンチレーションバイアル内で合わせ、混合した。ゲル化までの時間を、すべての構成成分を合わせた後から、バイアルを上下逆にしても組成物が視覚的に観測可能な流れを示さなくなるまでにかかった時間として記録した。
【表2】
【0090】
アミン基対ビニル基の比(NH:エンの比)が1または1.5である(アミンがわずかに多い)、試料BおよびCで形成されたゲルは、視覚的に透明で均質であったが、このことは、ポリエーテルポリアミン上のアミン基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間に付加反応が生じたことを示している。試料AおよびDにおいて形成されたゲルは、それぞれ相対的にアミンが少ないものおよびアミンが多いものであり
、全体的により軟質なゲル内に局在する小さなゲル領域を含有していた。いかなる理論にも拘泥するものではないが、ポリエーテルポリアミン上のアミン基は、ビニル基とのさらなる反応における反応物として、および架橋剤組成物の付加反応および単独重合(すなわち、ジエチルメチレンマロネートおよびエステル交換付加物におけるビニル基の塩基触媒重合)のための触媒として、の両方で機能することができる可能性が高い。アミン基の複数機能(すなわち、重合触媒および架橋可能な官能基)は、化学量論量が一貫性を逸脱した場合、重合反応生成物および付加反応生成物の両方を含む不均質なゲルをもたらし得る。
【0091】
この実施例2の結果は、硬化性組成物が、ポリアミンおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物に基づいて配合され得ることを示している。
(実施例3)
ポリチオールおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物。
【0092】
ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート(mercaptoproprionate
))(Bruno Bock Chemische Fabrik GmbH&Co KGから入手可能なTHIOCURE(登録商標)PETMP)を含む四官能性ポリチオールを準備した。それぞれ、1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態:(1)ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,6-ヘキサンジオールのエステル交換付加物の組合せ(以下「HD」架橋剤組成物と呼ぶ)と、(2)ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物の組合せ(以下「PD」架橋剤組成物と呼ぶ)を含む、2つの架橋剤組成物を準備した。表3に提供される通り、ポリチオール、HDまたはPD架橋剤組成物、および一部の試料では活性化剤溶液(n-酢酸ブチル中5%の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む)を一緒に合わせて、試験試料を形成した。架橋剤組成物を添加する前(活性化剤溶液を使用する場合)および後に、試料を、それぞれ20mLのシンチレーションバイアル内で(1)ポリチオール、(2)活性化剤溶液(使用する場合)、および(3)架橋剤組成物の順序で混合しながら合わせた。ゲル化までの時間を、すべての構成成分を合わせた後から、バイアルを上下逆にしても組成物が視覚的に観測可能な流れを示さなくなるまでにかかった時間として記録した。
【表3】
【0093】
バイアル内でのゲル化までの時間の測定に加えて、試料AおよびBを使用して、ED-
6060C電着塗装で予めコーティングされた冷延鋼基材パネルにわたって塗布されたコーティングを形成した(PPG Industries,Inc.から入力可能な電着塗装、およびACT Test Panels LLC製の予めコーティングされた形態で入手可能な基材パネル)。コーティングを、木製アプリケーターを使用して、基材パネル上の電着塗装にわたってドローダウンによって塗布して、2~4ミル(およそ50~100ミクロン)の乾燥膜厚を得た。
【0094】
試料AおよびBから形成されたコーティング層を、膜の乾燥特性および硬化特性について試験した。粘着性がなくなるまでの時間を、塗布されたコーティング膜が、綿ボールを塗布し除去しても綿繊維がコーティング表面に移らないような乾燥レベルを達成するのに必要な時間の量として測定した。綿ボールを、以下の方式で塗布した。
1.基材パネルを水平位置にし、そのおよそ3インチ上部に綿ボールを保持し、その綿ボールを、塗布されたコーティング膜上に落下させる。
2.基材パネルのコーティング側を上に向けて5±2秒保持して、綿ボールをコーティング膜と接触させておく。
3.5±2秒後、基材パネルのコーティング側を下に反転する。
a.綿ボールが膜上に繊維を残さずに落下する場合、コーティングには粘着性がない。
b.綿ボールが落下しないか、または繊維を残す場合、コーティングに粘着性がなくなるまで、ステップ1~3を適切な時間間隔(例えば、15分ごと)で反復する。
また、MEK二重摩擦試験を実施した。MEK二重摩擦試験により、メチルエチルケトン(MEK)で浸した布切れを用いて手で二重(往復)摩擦を実施して、塗布されたコーティングを溶解し、したがって基材が見えるようになるのに必要な二重摩擦回数を記録する。粘着性がないコーティングを得た1時間後に、このMEK二重摩擦試験を実施した。二重摩擦を、最大100回まで実施し、中断した。
【0095】
ゲルは、試料A~Eのすべてについて形成され、それらのゲルは、視覚的に透明で均質であったが、このことは、ポリチオール上のメルカプト基と、ジエチルメチレンマロネートおよび/またはジエチルメチレンマロネートのエステル交換付加物上のビニル基との間に付加反応が生じたことを示している。同様に、試料AおよびBから形成されたコーティングも、視覚的に透明で均質であった。予め電着塗装した鋼基材にわたって塗布した後、粘着性がなくなるまでに、試料Aは65分かかり、試料Bは75分かかり、両方のコーティングは、粘着性がない状態に達してから1時間後に試験すると、最大100回のMEK二重摩擦に耐えた。
【0096】
試料AおよびCを比較すると、類似のメルカプト基対ビニル基の比(チオール:エンの比)により、より多い含量のエステル交換付加物を含む架橋剤組成物(すなわち、試料Aにおいて使用されるPD架橋剤組成物)を使用することが、ゲル化までの時間がより急速になることと相関することが観測された。また、試料C、D、およびEを比較すると、活性化剤溶液の量が増加するにつれて、ゲル化までの時間が減少されたことが観測された。
【0097】
この実施例3の結果は、コーティング組成物が、ポリチオールおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含む硬化性組成物に基づいて配合され得ることを示している。
(実施例4)
ポリオール、1,1-二活性化ビニル化合物、および強酸を含むコーティング組成物。
【0098】
重量平均分子量8,600(Waters 2414示差屈折率計(RI検出器)を備えたWaters 2695分離モジュールを使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。テトラヒドロフラン(THF)を、溶離液として流量1ml分-1で使用し、2つのPLgel Mixed-C(300×7.5mm)カラムを分離のために使用した)および438グラム/当量のヒドロキシル当重量(過剰の無水酢酸を用いて滴
定した後、標準水酸化カリウム溶液を用いて逆滴定することによって決定した)を有するアクリルポリオールを、以下のモノマーを重合することによって調製した(pbw=重量部):140pbwのヒドロキシプロピルアクリレート、70pbwのスチレン、66.5pbwのブチルアクリレート、64.7pbwのブチルメタクリレート、7pbwの氷アクリル酸、および1.75pbwのメチルメタクリレート(methacryalate)。アクリ
ルポリオールを、ShellSol A100溶媒(Shell Chemicalsから入手可能な、主にC9の芳香族炭化水素溶媒)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Eastman Chemical Companyから入手可能なPMアセテート)の混合物に、67重量%固形分で溶解させた。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。アクリルポリオール、架橋剤組成物、および強酸促進剤(リンタングステン酸)を、表4に提供される量で一緒に合わせて、コーティング組成物を形成した。
【表4】
【0099】
複数層コーティングを、ED-6465電着塗装で予めコーティングされた鋼基材にわたって、表4に示されるコーティング組成物を塗布することによって調製した(PPG Industries,Inc.から入手可能な電着塗装、およびACT Test Panels LLC製の予めコーティングされた形態で入手可能な基材パネル)。コーティング組成物の構成成分を、バイアル内で室温において一緒に混合し、次に3ミルの間隙を有するドローダウンバーを使用して、基材パネル上の電着塗装にわたってドローダウンによって塗布した。コーティングされたパネルを、周囲条件で7分間フラッシュし、140℃で30分間焼き付けた。得られたコーティングは、100回のMEK二重摩擦に耐えることによって示される通り、耐溶剤性であった。コーティングは、視覚的に均質で光沢があった。いかなる理論にも拘泥するものではないが、無機強酸によって、アクリルポリオール上のヒドロキシル基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間の付加反応が容易になったと考えられる。
(実施例5)
ポリカルバメート、1,1-二活性化ビニル化合物、および強酸を含むコーティング組成物。
【0100】
重量平均分子量2,200(Waters 2414示差屈折率計(RI検出器)を備えたWaters 2695分離モジュールを使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。テトラヒドロフラン(THF)を、溶離液として流量1ml分-1で使用し、2つのPLgel Mixed-C(300×7.5mm)カラムを分離のために使用した)および413グラム/当量の混合カルバメート/ヒドロキシル当重量を有するポリエステルポリカルバメートを、米国特許第6,228,953B1号の実施例3に記
載されている通り調製した。ポリエステルポリカルバメートを、Dowanol PM(The Dow Chemical Companyから入手可能なグリコールエーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Eastman Chemical Companyから入手可能なPMアセテート)、ShellSol A100溶媒(Shell Chemicalsから入手可能な、主にC9の芳香族炭化水素溶媒)、およびキシレンの、重量比12.7:13.3:7.4:0.6の混合物に、66重量%固形分で溶解させた。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。ポリエステルポリカルバメート、架橋剤組成物、および強酸促進剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)を、表5に提供される量で一緒に合わせて、コーティング組成物を形成した。
【表5】
【0101】
複数層コーティングを、ED-6465電着塗装で予めコーティングされた鋼基材にわたって、表5に示されるコーティング組成物を塗布することによって調製した(PPG Industries,Inc.から入手可能な電着塗装、およびACT Test Panels LLC製の予めコーティングされた形態で入手可能な基材パネル)。コーティング組成物の構成成分を、バイアル内で室温において一緒に混合し、次に3ミルの間隙を有するドローダウンバーを使用して、基材パネル上の電着塗装にわたってドローダウンによって塗布した。コーティングされたパネルを、周囲条件で7分間フラッシュし、140℃で30分間焼き付けた。得られたコーティングは、100回のMEK二重摩擦に耐えることによって示される通り、耐溶剤性であった。コーティングは、視覚的に均質で光沢があった。いかなる理論にも拘泥するものではないが、有機強酸によって、ポリエステルポリカルバメート上のカルバメート基およびヒドロキシル基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間の付加反応が容易になったと考えられる。
(実施例6)
ポリチオール、1,1-二活性化ビニル化合物、および強酸を含む硬化性組成物。
【0102】
ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(Bruno Bock Chemische Fabrik GmbH&Co KGから入手可能なTHIOCURE(登録商標)PETMP)を含む四官能性ポリチオールを準備した。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。ポリチオール、架橋剤組成物、および強酸促進剤(メタンスルホン酸)を、表6に提供される量で一緒に合わせて、硬化性組成物を形成した。
【表6】
【0103】
周囲条件下で、メタンスルホン酸を、架橋剤組成物を含有する20mLのガラスバイアルに添加した。バイアルを数分間振とうした。次にポリチオールを添加し、すぐに木製アプリケータースティックで撹拌し、次に振とうした。数秒以内に、バイアルは触れられないほど熱くなり、混合物の粘度が急速に増大し、5分以内に均質なゲルが形成された。得られたゲルの均質性によって、ポリチオール上のメルカプト基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間の付加反応が生じたことが示された。
【0104】
実施例6を、比較のためにメタンスルホン酸を添加せずに反復した。ポリチオールおよび架橋剤組成物を、表7に提供される量で一緒に合わせた。
【表7】
【0105】
周囲条件下で、ポリチオールを、架橋剤組成物を含有する20mLのガラスバイアルに添加した。バイアルを数分間振とうした。2つの反応物を混合しても、発熱は観測されなかった。混合物の粘度は、3時間にわたって着実に増大して、均質なゲルが得られた。いかなる理論にも拘泥するものではないが、有機強酸によって、ポリチオール上のメルカプト基と、ジエチルメチレンマロネート、ならびに/またはジエチルメチレンマロネートおよび1,5-ペンタンジオールのエステル交換付加物上のビニル基との間の付加反応が容易になったと考えられる。この付加反応は、強酸促進剤なしに生じるが、反応速度がより低いと考えられる。
(実施例7)
ポリオールおよび1,1-二活性化ビニル化合物を含むコーティング組成物
【0106】
アクリルポリオールを、重量パーセントで22.4%のイソステアリン酸、23.3%のヒドロキシプロピルアクリレート、10.7%のメチルメタクリレート、32.4%のスチレン、および11.2%のグリシジルメタクリレートを共重合することによって調製した。アクリルポリオールを、58.8重量%固形分でキシレンに溶解させた。1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,6-ヘキサンジオールのエステル交換付加物の
組合せ)を含む架橋剤組成物を準備した。表8に提供される量で、アクリルポリオールおよび架橋剤組成物を周囲条件下で一緒に合わせて、コーティング組成物を形成した。
【表8】
【0107】
複数層コーティングを、ED-6060C電着塗装で予めコーティングされた鋼基材にわたって、表8に示されるコーティング組成物を塗布することによって調製した(PPG
Industries,Inc.から入手可能な電着塗装、およびACT Test Panels LLC製の予めコーティングされた形態で入手可能な基材パネル)。コーティング組成物の構成成分を、バイアル内で室温において一緒に混合し、次に3ミルの間隙を有するドローダウンバーを使用して、基材パネル上の電着塗装にわたってドローダウンによって塗布した。次に、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のn-酢酸ブチル中活性化剤溶液(0.3重量%溶液)8gを、1.3mmノズルを備えたSATA Jet 4000B HVLPを10psiで使用して、コーティング膜にわたってスプレー塗布した。得られた硬化コーティング膜は、活性化剤溶液をスプレーしてからの時間によって測定して25分で粘着性がなくなり、その時点で、実施例3に前述される通り、綿ボールは、それが塗布されたコーティング膜の表面上に適用しても繊維を残さなかった。
(実施例8)
1,1-二活性化ビニル化合物およびイオン性液体活性化剤、任意選択でポリチオール、および任意選択でエクステンダーを含む硬化性組成物。
【0108】
1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネート、ならびにジエチルメチレンマロネートおよび1,6-ヘキサンジオールのエステル交換付加物の組合せ)を含む組成物を準備した。アルキルイミダゾリニウムフタレートを含むイオン性液体を準備した。ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)を含む四官能性ポリチオールを準備した。エチレン性不飽和カルボン酸無水物を使用して調製したビニルポリマーを含むエクステンダーを準備した。架橋剤組成物(または未反応ジエチルメチレンマロネート)、イオン性液体、ポリチオール、およびエクステンダーを、表9に提供される量で一緒に合わせて、硬化性組成物を形成した。
【表9】
【0109】
表9に列挙される硬化性組成物の構成成分を、室温においてバイアル内で一緒に混合した。硬化性組成物を、ゲル化時間について評価し、選択配合物を、コーティング膜の乾燥特性および硬化特性(粘着性がなくなるまでの時間)、ならびに耐溶剤性(MEK二重摩擦試験)について評価した。ゲル化時間を、すべての成分を合わせた後から、組成物を含有するバイアルを上下逆にしても組成物が視覚的に観測可能な流れを示さなくなるまでにかかった時間として測定した。
【0110】
コーティング膜を、ED-6060電着塗装で予めコーティングされた10.16cm×30.18cmの冷延鋼基材パネルにわたって、表9に列挙される硬化性組成物を塗布することによって調製した(PPG Industries,Inc.から入手可能な電着塗装、およびACT Test Panels LLC製の予めコーティングされた形態で入手可能な基材パネル)。コーティングを、混合した直後に、2~4ミルの間隙(50~102マイクロメートル)を有するドローダウンバーを使用して、基材パネル上の電着塗装にわたってドローダウンによって塗布した。粘着性がなくなるまでの時間を、コーティングが、綿ボールを塗布し除去しても綿繊維がコーティング表面に移らないような乾燥レベルを達成するのに必要な時間の量として測定した。MEK二重摩擦(MEK DR)は、最大100回のMEK DRまで、メチルエチルケトンで浸した布切れを用いて手で二重摩擦を実施してコーティングを溶解し、したがって基材が見えるようになるのに必要な二重摩擦回数として記録する。ゲル化時間、粘着性がなくなるまでの時間、およびMEK DRの結果を、表10に記録する。
【表10】
【0111】
試料AおよびBのゲル化時間および粘着性がなくなるまでの時間は、イオン性液体が、バイアル内でDEMMと架橋剤組成物の両方を重合し、パネル上に塗布されるコーティング膜として有効であったことを示している。試料AおよびBのゲル化時間および粘着性がなくなるまでの時間が短いことは、DEMMまたはDEMM架橋剤の急速な重合を示していることに留意されたい。試料Cは、周囲条件におけるゲル化時間および粘着性がなくなるまでの時間をより長引かせるエクステンダーをさらに含むことを除いて、試料Aに類似していた。試料Cは、手短に焼成すると(60℃で10分間)、粘着性がないコーティングを形成したが、いかなるMEK DRにも耐えられず、このことは、反応生成物が、DEMMモノマーのアニオン重合から形成された非架橋線状ポリマーであると考えられるので予想できたことであった。試料Dは、周囲条件におけるゲル化時間および粘着性がなくなるまでの時間をより長引かせるエクステンダーをさらに含むことを除いて、試料Bに類似していた。試料Dは、手短に焼成すると(60℃で10分間)、100回のMEK DRに耐える粘着性がないコーティングを形成し、耐溶剤性の架橋コーティングを形成したことを示した。
【0112】
イオン性液体を含有していなかった試料Eは、ゲル化時間および粘着性がなくなるまでの時間が長かったことによって指し示される通り、架橋剤組成物とポリチオールの相対的に緩慢な反応を呈した。試料Eと類似しているが、添加されるイオン性液体を含有していた試料Fは、1分未満のゲル化時間によって示される通り、実質的により急速な反応を呈した。実際、初期混合時の試料Fの反応は、粘性が高くなりすぎて組成物を塗布できなくなる前に、組成物をコーティング膜として基材パネル上に塗布することが不可能になるほど、非常に急速であった。試料Gは、添加されるエクステンダーをさらに含むことを除いて、試料Fと類似していた。ゲル化時間は、3時間を超える試料E、および1分未満の試料Fと比較して、エクステンダーを添加すると、10分という中程度になり、それによって、組成物のためのより実用的なポットライフが得られる。
【0113】
これらの実施例は、1,1-二活性化ビニル化合物およびその複数官能性形態の硬化を、単独でまたはポリオール、ポリアミン、ポリチオールおよび/もしくはポリカルバメートなどの多官能性材料と組み合わせて活性化するための、イオン性液体の実用性を実証する。反応速度を制御するためのエクステンダーの使用も実証され、それによって、ポットライフおよび硬化応答の制御がもたらされ、組成物の使用可能な塗布時間を延長するより長いゲル化時間が促進されると同時に、依然としてかなり急速な硬化動態が維持された。
本発明の態様
【0114】
本発明の態様は、以下の番号付けされた項を含むが、それらに限定されない。
1. ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および
1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む、硬化性組成物。
2.前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、項1に記載の硬化性組成物。
3.前記1,1-二活性化ビニル化合物が、
ジアルキルメチレンマロネート、
ジアリールメチレンマロネート、
ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、もしくは
ジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、または
そのいずれかの組合せ
を含む、項1または項2に記載の硬化性組成物。
4.前記1,1-二活性化ビニル化合物が、
ジエチルメチレンマロネート、ならびに
ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含むジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態
を含む、項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
5.ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、項4に記載の硬化性組成物。
6.前記ジオールが、アルカンジオールを含む、項5に記載の硬化性組成物。
7.前記アルカンジオールが、1,5-ペンタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールを含む、項6に記載の硬化性組成物。
8.強酸および/または酸促進剤をさらに含む、項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
9.前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、項8に記載の硬化性組成物。
10.活性化剤化合物をさらに含む、項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
11.前記活性化剤化合物が、第三級アミンを含む、項10に記載の硬化性組成物。
12.前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、項10または11に記載の硬化性組成物。
13.酸促進剤および活性化剤化合物をさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
14.前記酸促進剤が、強酸を含み、前記活性化剤化合物が、第三級アミンおよび/またはイオン性液体を含む、項13に記載の硬化性組成物。
15.前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、項14に記載の硬化性組成物。
16.エクステンダーをさらに含む、項1~15のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
17.前記エクステンダーが、無水物含有ビニルポリマーを含む、項16に記載の硬化性組成物。
18.前記無水物含有ビニルポリマーが、無水マレイン酸モノマー残基を含む、項17に記載の硬化性組成物。
19. 基材の少なくとも一部にわたって塗布された第1の硬化性組成物層、および
前記第1のコーティング層の少なくとも一部にわたって塗布された第2の硬化性組成物層
を含む、複数層硬化性組成物であって、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1)
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、もしくはそれらの任意の組合せと、
(1b)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せ
との付加反応生成物、ならびに/または
(2)前記1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せの重合反応生成物
の1つまたは複数を含む、
複数層硬化性組成物。
20.前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、項19に記載の複数層硬化性組成物。
21.前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、もしくはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せ
との付加反応生成物を含む、項19または項20に記載の複数層硬化性組成物。
22.前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネートの前記複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含む)
との付加反応生成物を含む、項19~21のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
23.ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、項22に記載の複数層硬化性組成物。
24. (i)前記第1の硬化性組成物層が、前記第2の硬化性組成物層が前記第1の硬化性組成物層にわたって塗布されたら前記第2の硬化性組成物層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含み、あるいは
(ii)前記第2の硬化性組成物層が、前記第2の硬化性組成物層が前記第1の硬化性組成物層にわたって塗布されたら前記第1の硬化性組成物層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含む、
項19~23のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
25.前記活性化剤化合物が、第三級アミン化合物を含む、項24に記載の複数層硬化性組成物。
26.前記活性化剤化合物が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、項25に記載の複数層硬化性組成物。
27.前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、項24~26に記載の複数層コーティング。
28.前記第1のコーティング層および/または前記第2の硬化性組成物層が、強酸を含む硬化性組成物から形成される、項19~27のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
29.前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、項28に記載の複数層硬化性組成物。
30.無水物含有ビニルポリマーを含むエクステンダーをさらに含む、項19~29のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
31.前記第1の硬化性組成物層が、500℃未満の温度で加熱されると硬化する硬化性組成物組成物から形成され、前記第2の硬化性組成物層が、(1)前記付加反応生成物および/または(2)前記重合反応生成物を含む、項19~30のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
32.前記第1のコーティング層を形成する前記硬化性組成物が、メラミン樹脂およびホルムアルデヒド縮合物を実質的に含まない、項19~31のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
33.前記第2の硬化性組成物層が、クリアコート層を含む、項19~32のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
34.物品の表面にわたって堆積された項19~33のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物を含む、物品。
35.前記物品が、車両部品または自立構造体の部品を含む、項34に記載の物品。
36.基材をコーティングするための方法であって、
基材の少なくとも一部にわたって第1の硬化性組成物層を塗布するステップと、
前記第1の硬化性組成物層の少なくとも一部にわたって第2の硬化性組成物層を塗布するステップと、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層を硬化させるステップとを含み、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および
1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む硬化性組成物から形成される、
方法。
37.前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、項36に記載の方法。
38.前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層の少なくとも一部にわたっておよび/またはその下に、活性化剤溶液をスプレーすることを含む、項36または項37に記載の方法。
39.前記活性化剤溶液が、アミン活性化剤を含む、項38に記載の方法。
40.前記アミン活性化剤が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、項39に記載の方法。
41. (i)前記第1の硬化性組成物層が、活性化剤化合物を含み、前記第2の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第2の硬化性組成物層における付加反応を、前記第1の硬化性組成物層中の前記活性化剤化合物で活性化することを含み、あるいは
(ii)前記第2の硬化性組成物層が、活性化剤化合物を含み、前記第1の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第1の硬化性組成物層における付加反応を、前記第2の硬化性組成物層中の前記活性化剤化合物で活性化することを含む、
項36~40のいずれか一項に記載の方法。
42.前記活性化剤化合物が、第三級アミン化合物を含む、項41に記載の方法。
43.前記活性化剤化合物が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、項42に記載の方法。
44.前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、項41~43に記載の方法。
45.前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層の少なくとも1つが、硬化した場合、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、またはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せ
との付加反応生成物を含む、項36~44のいずれか一項に記載の方法。
46.前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層の少なくとも1つが、硬化した場合、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネートの前記複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含む)
との付加反応生成物を含む、項36~45のいずれか一項に記載の方法。
47.ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、項46に記載の方法。
48.前記硬化性組成物が、強酸をさらに含む、項36~47のいずれか一項に記載の方法。
49.前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、項48に記載の方法。
50.前記硬化性組成物が、無水物含有ビニルポリマーを含むエクステンダーをさらに含む、項36~49のいずれか一項に記載の方法。
51.物品の表面にわたって堆積した項1に記載の硬化性組成物を含む、物品。
52.前記物品が、車両部品または自立構造体の部品を含む、項51に記載の物品。
【0115】
本明細書では、開示される組成物、コーティング、および方法を含む、本発明の組成物、構造、生成、機能、および/または操作の理解をもたらすために、様々な特色および特徴が記載される。本明細書に記載される本発明の様々な特色および特徴は、このような特色および特徴が本明細書において明確に組み合わせて記載されるかどうかに関係なく、任意の適切な方式で組み合わせることができると理解される。本発明者らおよび本出願人は、特色および特徴のこのような組合せが、本明細書に記載される本発明の範囲内に含まれることを明確に企図する。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に明確にもしくは本質的に記載されるか、またはそうでなければ本明細書によって明確にもしくは本質的に裏付けられる任意の特色および特徴を、任意の組合せで列挙するように補正され得る。さらに本出願人は、たとえ従来技術に存在し得る特色および特徴が本明細書に明確に記載されていないとしても、それらの特色および特徴を断定的に放棄するために、特許請求の範囲を補正する権利を留保している。したがって、このような任意の補正は、本明細書または特許請求の範囲に新規事項を加えることはなく、米国特許法第112条(a)および第123条(2)EPCによる要件を含む、明細書記載、記載の十分性、および追加事項の要件に従う。
【0116】
本明細書に列挙される任意の数値範囲は、列挙される範囲内に包含される同じ数値精度の(すなわち、同じ指定桁数を有する)あらゆる部分範囲を記載する。例えば、「1.0~10.0」という列挙された範囲は、列挙された最小値1.0と、列挙された最大値10.0との間のあらゆる部分範囲(および両端を含む)を説明しており、例えば、たとえ「2.4~7.6」という範囲が本明細書の本文に明確に列挙されていないとしても、「2.4~7.6」などを説明する。したがって、本出願人は、本明細書に明確に列挙され
る範囲内に包含される同じ数値精度の任意の部分範囲を明確に列挙するために、特許請求の範囲を含めて本明細書を補正する権利を留保する。このようなあらゆる範囲は、このような任意の部分範囲を明確に列挙するための補正が、米国特許法第112条(a)および第123条(2)EPCによる要件を含む、明細書記載、説明の十分性、ならびに追加事項の要件に従うように、本明細書に本質的に記載される。また、明確に特定されず、またはそうでなければ文脈によって必要とされない限り、本明細書に記載されるあらゆる数値パラメーター(例えば、値、範囲、量、百分率を表すパラメーター等)は、たとえ「約」という用語が、ある数値の前に明確に記載されていないとしても、「約」という用語によって前置きされているかのように読むことができる。さらに、本明細書に記載される数値パラメーターは、記録された有効桁数、数値精度に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。また、本明細書に記載される数値パラメーターは、パラメーターの数値を決定するために使用される根本的な測定技術に特徴的な固有の変動性を必然的に有すると理解される。
【0117】
本明細書に記載される本発明(複数可)は、本明細書に記載される様々な特色および特徴を含むことができ、それからなることができ、またはそれから本質的になることができる。「含む(comprise)」(および含む(comprise)の任意の形態、例えば「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」)、「有する(have)」(および有する(have)の任意の形態、例えば「有する(has)」および「有すること(having)」)、「含む(include)」(および含む(include)の任意の形態、例えば「含む(includes)」および「含むこと(including)」)、および「含有する(contain)」(および含有する(contain)の任意の形態、例えば「含有する(contains)」および「含有すること(containing)」)という用語は、制約のない連結動詞である。したがって、1つもしくは複数の特色および/または特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含有する(contains)」組成物、コーティング、または方法は、それらの1つまたは複数の特色および/または特徴を有するが、それらの1つもしくは複数の特色および/または特徴だけを有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特色および/または特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「含有する(contains)」組成物、コーティング、または方法の要素は、それらの1つもしくは複数の特色および/または特徴を有するが、それらの1つもしくは複数の特色および/または特徴だけを有することに限定されず、追加の特性および/または特徴を有することができる。
【0118】
文法的冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される場合、別段指定されない限り「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を含むことを企図する。したがって、冠詞は、本明細書では、その冠詞の文法的な目的語の1つまたは1つよりも多いこと(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために使用される。例えば、「1つの構成成分」は、1つまたは複数の構成成分を意味し、したがって、おそらく、1つよりも多くの構成成分が企図され、記載される組成物、コーティング、および方法の実施において用いられ、または使用され得る。それにもかかわらず、他を除くある場合には、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という用語の使用は、それらの用語が使用できないことによって、文法的冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」の目的語がただ1つに制限されるという任意の解釈を生じないと理解される。さらに、使用される文脈によって別段定められない限り、単数形の名詞の使用は、複数を含み、複数形の名詞の使用は、単数を含む。
【0119】
本明細書において特定される任意の特許、刊行物、または他の文書は、別段指定されな
い限り、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるが、組み込まれた材料が、本明細書に明確に記載される既存の説明、定義、記載、例示、または他の開示材料と矛盾しない程度に組み込まれる。したがって、必要な限りにおいて、本明細書に記載される発行開示は、参照によって組み込まれた任意の矛盾する材料に取って代わる。参照によって本明細書に組み込まれるが、本明細書に記載される既存の定義、記載または他の開示材料と矛盾する任意の材料またはその一部は、組み込まれた材料と、既存の開示材料との間に矛盾を生じない程度までしか組み込まれない。本出願人は、参照によって組み込まれる任意の主題またはその一部を明確に列挙するために本明細書を補正する権利を留保する。このような組み込まれる主題を加えるための本明細書の補正は、米国特許法第112条(a)および第123条(2)EPCによる要件を含む、明細書記載、説明の十分性、追加事項な要件に従う。
【0120】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および
1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む、硬化性組成物。
(項2)
前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそれらのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、上記項1に記載の硬化性組成物。
(項3)
前記1,1-二活性化ビニル化合物が、
ジアルキルメチレンマロネート、
ジアリールメチレンマロネート、
ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、もしくは
ジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、または
それらのいずれかの組合せ
を含む、上記項2に記載の硬化性組成物。
(項4)
前記1,1-二活性化ビニル化合物が、
ジエチルメチレンマロネート、ならびに
ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含むジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態
を含む、上記項3に記載の硬化性組成物。
(項5)
ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、上記項4に記載の硬化性組成物。
(項6)
前記ジオールが、アルカンジオールを含む、上記項5に記載の硬化性組成物。
(項7)
前記アルカンジオールが、1,5-ペンタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールを含む、上記項6に記載の硬化性組成物。
(項8)
強酸および/または酸促進剤をさらに含む、上記項1に記載の硬化性組成物。
(項9)
前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、上記項8に記載の硬化性組
成物。
(項10)
活性化剤化合物をさらに含む、上記項1に記載の硬化性組成物。
(項11)
前記活性化剤化合物が、第三級アミンを含む、上記項10に記載の硬化性組成物。
(項12)
前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、上記項10または11に記載の硬化性組成物。
(項13)
酸促進剤および活性化剤化合物をさらに含む、上記項1に記載の硬化性組成物。
(項14)
前記酸促進剤が、強酸を含み、前記活性化剤化合物が、第三級アミンおよび/またはイオン性液体を含む、上記項13に記載の硬化性組成物。
(項15)
前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、上記項14に記載の硬化性組成物。
(項16)
エクステンダーをさらに含む、上記項10に記載の硬化性組成物。
(項17)
前記エクステンダーが、無水物含有ビニルポリマーを含む、上記項16に記載の硬化性組成物。
(項18)
前記無水物含有ビニルポリマーが、無水マレイン酸モノマー残基を含む、上記項17に記載の硬化性組成物。
(項19)
基材の少なくとも一部にわたって塗布された第1の硬化性組成物層、および
前記第1の硬化性組成物層の少なくとも一部にわたって塗布された第2の硬化性組成物層
を含む、複数層硬化性組成物であって、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1)
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、もしくはそれらの任意の組合せと、
(1b)1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せ
との付加反応生成物、ならびに/または
(2)前記1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、もしくはそれらの組合せの重合反応生成物
の1つまたは複数を含む、
複数層硬化性組成物。
(項20)
前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそれらのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項21)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキル
メチレンマロネートの複数官能性形態、もしくはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せ
との付加反応生成物を含む、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項22)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネートの前記複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含む)
との付加反応生成物を含む、上記項21に記載の複数層硬化性組成物。
(項23)
ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、上記項22に記載の複数層硬化性組成物。
(項24)
(i)前記第1の硬化性組成物層が、前記第2の硬化性組成物層が前記第1の硬化性組成物層にわたって塗布されたら前記第2の硬化性組成物層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含み、あるいは
(ii)前記第2の硬化性組成物層が、前記第2の硬化性組成物層が前記第1の硬化性組成物層にわたって塗布されたら前記第1の硬化性組成物層における付加反応を活性化する活性化剤化合物を含む、
上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項25)
前記活性化剤化合物が、第三級アミン化合物を含む、上記項24に記載の複数層硬化性組成物。
(項26)
前記活性化剤化合物が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、上記項25に記載の複数層硬化性組成物。
(項27)
前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、上記項24~26に記載の複数層硬化性組成物。
(項28)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、強酸を含む硬化性組成物から形成される、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項29)
前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、上記項28に記載の複数層硬化性組成物。
(項30)
前記第1および/または第2の層に、無水物含有ビニルポリマーを含むエクステンダーをさらに含む、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項31)
前記第1の硬化性組成物層が、500℃未満の温度で加熱されると硬化する硬化性組成物から形成され、前記第2の硬化性組成物層が、(1)前記付加反応生成物および/または(2)前記重合反応生成物を含む、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項32)
前記第1の硬化性組成物層を形成する前記硬化性組成物が、メラミン樹脂およびホルムアルデヒド縮合物を実質的に含まない、上記項19~31のいずれか一項に記載の複数層硬化性組成物。
(項33)
前記第2の硬化性組成物層が、クリアコート層を含む、上記項19に記載の複数層硬化性組成物。
(項34)
物品の表面にわたって堆積された上記項19に記載の複数層硬化性組成物を含む、物品。(項35)
前記物品が、車両部品または自立構造体の部品を含む、上記項34に記載の物品。
(項36)
基材をコーティングするための方法であって、
基材の少なくとも一部にわたって第1の硬化性組成物層を塗布するステップと、
前記第1の硬化性組成物層の少なくとも一部にわたって第2の硬化性組成物層を塗布するステップと、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層を硬化させるステップとを含み、
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せ、および
1,1-二活性化ビニル化合物、もしくはその複数官能性形態、またはそれらの組合せを含む硬化性組成物から形成される、
方法。
(項37)
前記1,1-二活性化ビニル化合物が、メチレンジカルボニル化合物、ジハロビニル化合物、ジハロアルキル二置換ビニル化合物、もしくはシアノアクリレート化合物、もしくはそれらのいずれかの複数官能性形態、またはそれらのいずれかの組合せを含む、上記項36に記載の方法。
(項38)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層の少なくとも一部にわたっておよび/またはその下に、活性化剤溶液をスプレーすることを含む、上記項36に記載の方法。
(項39)
前記活性化剤溶液が、アミン活性化剤を含む、上記項38に記載の方法。
(項40)
前記アミン活性化剤が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、上記項39に記載の方法。
(項41)
(i)前記第1の硬化性組成物層が、活性化剤化合物を含み、前記第2の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第2の硬化性組成物層における付加反応を、前記第1の硬化性組成物層中の前記活性化剤化合物で活性化することを含み、あるいは
(ii)前記第2の硬化性組成物層が、活性化剤化合物を含み、前記第1の硬化性組成物層を硬化させる前記ステップが、前記第1の硬化性組成物層における付加反応を、前記第2の硬化性組成物層中の前記活性化剤化合物で活性化することを含む、
上記項36に記載の方法。
(項42)
前記活性化剤化合物が、第三級アミン化合物を含む、上記項41に記載の方法。
(項43)
前記活性化剤化合物が、2-(ジメチルアミノ)エタノールおよび/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、上記項42に記載の方法。
(項44)
前記活性化剤化合物が、イオン性液体を含む、上記項41~43に記載の方法。
(項45)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層の少なくとも1つが、硬化した場合、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジアルキルメチレンマロネート、ジアリールメチレンマロネート、ジアルキルメチレンマロネートの複数官能性形態、またはジアリールメチレンマロネートの複数官能性形態、またはそれらの任意の組合せ
との付加反応生成物を含む、上記項36に記載の方法。
(項46)
前記第1の硬化性組成物層および/または前記第2の硬化性組成物層が、
(1a)ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、もしくはポリカルバメート、またはそれらの任意の組合せと、
(1b)ジエチルメチレンマロネートおよびジエチルメチレンマロネートの複数官能性形態(ジエチルメチレンマロネートの前記複数官能性形態は、ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールのエステル交換付加物を含む)
との付加反応生成物を含む、上記項45に記載の方法。
(項47)
ジエチルメチレンマロネートおよび少なくとも1つのポリオールの前記エステル交換付加物が、ジエチルメチレンマロネートおよびジオールのエステル交換付加物を含む、上記項46に記載の方法。
(項48)
前記硬化性組成物が、強酸をさらに含む、上記項36に記載の方法。
(項49)
前記強酸が、スルホン酸および/またはヘテロポリ酸を含む、上記項48に記載の方法。(項50)
前記硬化性組成物が、無水物含有ビニルポリマーを含むエクステンダーをさらに含む、上記項36に記載の方法。
(項51)
物品の表面にわたって堆積した上記項1に記載の硬化性組成物を含む、物品。
(項52)
前記物品が、車両部品または自立構造体の部品を含む、上記項51に記載の物品。