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  • 特開-視覚障害モードのキーパッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128019
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】視覚障害モードのキーパッド
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G06F3/02 510
G06F3/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108616
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2022543528の分割
【原出願日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】16/746,160
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501427157
【氏名又は名称】アッサ アブロイ アーベー
【氏名又は名称原語表記】ASSA ABLOY AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギビンズ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スミス、グレッグ
(57)【要約】
【課題】キーパッドの好適な動作方法を提供する。
【解決手段】本開示は、タッチセンシティブキーパッドを動作させるための複数の動作を説明する。複数の動作は、キーパッドの通常動作モード中にキーパッドの1つまたは複数のキーの作動を検出することと、通常動作モードは、任意のキーが第1の時間にわたって作動されたときに、キーパッドに任意のキーに対応する値を記録させており、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定することと、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、キーパッドの動作モードを通常動作モードから視覚障害モードに移行することと、視覚障害モード中に任意のキーが第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して任意のキーに対応する値を記録することとを含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーパッドの動作方法であって、
前記キーパッドの1つまたは複数のプロセッサが、前記キーパッドの通常動作モード中に、前記キーパッドの2つ以上のキーの作動を検出することであって、前記通常動作モードは、任意のキーが第1の時間にわたって作動されたときに、前記キーパッドに当該任意のキーに対応する値を記録させる、前記2つ以上のキーの作動を検出することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの前記複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が前記視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、前記キーパッドの動作モードを前記通常動作モードから視覚障害モードに移行することと、
前記視覚障害モード中に、任意のキーが前記第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、当該任意のキーに対応する値を記録することと、を備えるキーパッドの動作方法。
【請求項2】
前記値を記録することは、
アクセスコードを示すストリングに前記値を追加することを含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項3】
前記キーパッドを前記視覚障害モードに移行したことに応答して、前記通常動作モード中に記録された1つまたは複数の値を自動的にクリアすることをさらに備える請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項4】
前記キーパッドは、前記2つ以上のキーの作動が当該2つ以上のキーの静電容量のカウントに基づいて検出される静電容量式タッチキーパッドを含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項5】
前記キーパッドは、
視覚障害者が物理的キー位置指示要素に触れたときに、前記視覚障害者が前記キーパッド上の特定のキーの位置を特定することを可能にする前記物理的キー位置指示要素を含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項6】
前記物理的キー位置指示要素は、
前記キーパッドの中央キーの上部にあるかまたは前記中央キーに隣接する物理的バンプまたはラインを含む、請求項5に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項7】
前記視覚障害モード基準は、
前記第2の時間よりも長い閾値時間にわたって2つ以上のキーが作動されることを含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項8】
前記視覚障害モード基準は、
閾値時間にわたって前記複数のキーが同時に作動されることを含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項9】
同時に作動された前記複数のキーは、前記キーパッドに押し付けられた手のひらの少なくとも一部に対応する、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項10】
前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が、前記視覚障害モード基準を満たすと判定することは、
前記キーパッドの各キーについてのセンサーノード信号をセンサー基準信号と比較して、前記キーパッドの各キーについてのセンサー差分信号を生成することと、
前記複数のキーの各々の前記センサー差分信号の正の値を累積することであって、前記累積された正の値は、前記キーパッドの特定のキーの前記センサー差分信号に関連付けられた正の値よりも大きい、前記センサー差分信号の正の値を累積することと、
累積された前記正の値が複数キー閾値を超えたと判定することと、
前記累積された正の値が前記複数キー閾値を超えたと判定したことに応答して、前記視覚障害モード基準が満たされたと判定することと、を含む、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項11】
前記視覚障害モードにおいて、前記任意のキーに対応する値は、前記任意のキーが前記第1の時間よりも長い前記第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、且つ前記任意のキーに圧力の閾値量が付与されたと判定したことに応答して記録される、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項12】
前記キーパッドのいずれのキーも閾値期間にわたって作動されていないと判定したことに応答して、前記キーパッドの前記動作モードを前記通常動作モードに戻すことをさらに備える請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項13】
前記キーパッドは、物理アクセス制御読取機に関連付けられている、請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項14】
前記視覚障害モードが開始されたことを示す可聴プロンプトを生成することをさらに備える請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項15】
前記任意のキーに対応する前記値を登録したことに応答して、可聴プロンプトを生成することをさらに備える請求項1に記載のキーパッドの動作方法。
【請求項16】
システムであって、
複数の動作を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含むキーパッドを備え、前記複数の動作は、
前記キーパッドが、前記キーパッドの通常動作モード中に、前記キーパッドの2つ以上のキーの作動を検出することであって、前記通常動作モードは、任意のキーが第1の時間にわたって作動されたときに、前記キーパッドに当該任意のキーに対応する値を記録させる、前記2つ以上のキーの作動を検出することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの前記複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が前記視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、前記キーパッドの動作モードを前記通常動作モードから視覚障害モードに移行することと、
前記視覚障害モード中に、任意のキーが前記第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、当該任意のキーに対応する値を記録することと、を含む、システム。
【請求項17】
前記値を記録するための前記複数の動作は、
アクセスコードを示すストリングに前記値を追加するための複数の動作を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の動作は、
前記キーパッドを前記視覚障害モードに移行したことに応答して、前記通常動作モード中に記録された1つまたは複数の値をクリアすることをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
非一時的な複数の機械可読命令を備える非一時的な機械可読媒体であって、前記非一時的な複数の機械可読命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサを複数の動作を実行させるように設定し、前記複数の動作は、
キーパッドが、前記キーパッドの通常動作モード中に、前記キーパッドの2つ以上のキーの作動を検出することであって、前記通常動作モードは、任意のキーが第1の時間にわたって作動されたときに、前記キーパッドに当該任意のキーに対応する値を記録させる、前記2つ以上のキーの作動を検出することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定することと、
同時に作動された前記キーパッドの前記2つ以上のキーのうちの前記複数のキーを検出することによって、前記キーパッドの前記2つ以上のキーの作動が前記視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、前記キーパッドの動作モードを前記通常動作モードから視覚障害モードに移行することと、
前記視覚障害モード中に、任意のキーが前記第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、当該任意のキーに対応する値を記録することと、を含む、非一時的な機械可読媒体。
【請求項20】
前記値を記録するための前記複数の動作は、
アクセスコードを示すストリングに前記値を追加するための複数の動作を含む、請求項19に記載の非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年1月17日に出願された米国仮出願第16/746,160号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、限定されないが、概して、物理アクセス制御システム(Physical Access Control System : PACS)読取機、特にPACS読取機のタッチセンシティブキーパッドを動作させるための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
PACS読取機は、ドア、鍵、およびその他のさまざまなコンポーネントを開くなど、さまざまな用途でアクセスを制御するために使用されている。PACS読取機は、無線周波数トランスポンダ(transponder)を使用して個人を識別する無線周波数識別子(radio frequency identifier : RFID)システムを採用する場合がある。PACS読取機が個人を識別するときまたはその前に、PACS読取機のキーパッドでパスワード(例えば、英数字の文字列)が入力される。パスワードがRFIDシステムによって識別される個人と一致する場合、例えば、ドア、鍵、またはその他のコンポーネントを開くことにより、その個人にアクセスが許可される。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの特定の実施形態では、静電容量式キーパッドを動作させるためのシステムおよび方法が提供される。開示されたシステムおよび方法は、複数の動作を実行し、該複数の動作は、キーパッドが、キーパッドの通常動作モード中に、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動を検出することであって、通常動作モードは、任意のキー(given key)が第1の時間にわたって作動されたときに、キーパッドに該任意のキーに対応する値を記録させる、1つまたは複数のキーの作動を検出すること、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定すること、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、キーパッドの動作モードを通常動作モードから視覚障害モードに移行すること、視覚障害モード中に、任意のキーが第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、該任意のキーに対応する値を記録すること、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、値を記録することは、アクセスコードを示すストリングに値を追加することを含む。
いくつかの実施形態では、複数の動作は、キーパッドを視覚障害モードに移行したことに応答して、通常動作モード中に記録された1つまたは複数の値をクリアすることをさらに含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、キーパッドは、1つまたは複数のキーの作動が該1つまたは複数のキーの静電容量のカウントに基づいて検出される静電容量式タッチキーパッドを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、キーパッドは、視覚障害者が物理的キー位置指示要素に触れたときに、視覚障害者がキーパッド上の特定のキーの位置を特定することを可能にする物理的キー位置指示要素を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、物理的キー位置指示要素は、キーパッドの中央キーの上部にある物理的な点(ドット:dot)または中央キーに隣接する物理的な複数のラインを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、視覚障害モード基準は、第2の時間よりも長い閾値時間にわたって1つまたは複数のキーが作動されることを含む。
いくつかの実施形態では、視覚障害モード基準は、閾値時間にわたって複数のキーが同時に作動されることを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、同時に作動される複数のキーは手のひらに対応する。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のキーの作動を検出することは、複数のキーの作動を検出することを含み、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が、視覚障害モード基準を満たすと判定することは、キーパッドの各キーについてのセンサーノード信号をセンサー基準信号と比較して、キーパッドの各キーについてのセンサー差分信号を生成すること、各キーのセンサー差分信号の正の値を累積すること、累積された正の値が閾値を超えたと判定すること、累積された正の値が閾値を超えたと判定したことに応答して、視覚障害モード基準が満たされたと判定すること、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、任意のキーに対応する値は、該任意のキーが第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、且つ該任意のキーに圧力の閾値量が付与されたと判定したことに応答して記録される。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の動作は、キーパッドのいずれのキーも閾値期間にわたって作動されていないと判定したことに応答して、キーパッドの動作モードを通常動作モードに戻すことをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、キーパッドが物理アクセス読取機に関連付けられている。
いくつかの実施形態では、複数の動作は、視覚障害モードが開始されたことを示す可聴プロンプトを生成することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の動作は、任意のキーに対応する値を記録したことに応答して可聴プロンプトを生成することをさらに含む。
従来の触覚ボタン型キーパッドは、視覚障害のあるユーザーが、キーパッドに物理的に配置された位置識別子に基づいて特定の複数のボタンの位置を特定することを可能にする。このようなアプローチは、わずかなタッチよりも大きな物理的な力を加えることによって作動される触覚ボタンキーパッドに対しては良好に機能するが、これらのアプローチは、視覚障害者が物理的なキー位置指示部を探索する際に、様々な他のキーにわずかにかつ意図せずに接触するときに複数の誤った値が記録されるため、静電容量型キーパッドのようなタッチ作動キーパッドに適用される場合には機能しない。このようなシナリオの欠点に対処するために、開示された技術は、タッチセンシティブ(例えば、静電容量型)キーパッドに対して通常動作モードおよび視覚障害動作モードを使用しており、1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たす場合に視覚障害モードが有効になる。
【0015】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の主題の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、類似番号は異なる図における類似要素を示している。異なる文字添え字が付された類似番号は類似要素の異なる例を表す場合がある。図面は、限定ではなく例として、概して、本明細書において説明される様々な実施形態を示している。
図1図1は、様々な実施形態によるキーパッドシステムを示すブロック図である。
図2A図2Aは、様々な実施形態によるキーパッドシステムで使用するためのキーパッド読取ユニットを示すブロック図である。
図2B図2Bは、様々な実施形態によるキーパッドシステムに適用される例示的な視覚障害モードの選択ジェスチャである。
図3A図3Aは、様々な実施形態によるキーパッドを動作させるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
図3B図3Bは、様々な実施形態によるキーパッドを動作させるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
図4図4は、1つまたは複数の実施形態が実装され得るマシンの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、特に、静電容量式キーパッド(capacitive keypad)を動作させるための複数の技術を説明している。詳しくは、開示された複数の技術は、キーパッドの通常動作モード中に、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動(アクティベーション:activation)が視覚障害モードを満たすことを検出する。そうである場合、キーパッドの動作モードは、視覚障害動作モードに移行され、任意のキーが通常動作モードのときよりも長い時間にわたって作動されたときに、作動されたキーに対応する複数の値が記録される。このようにして、視覚障害者がキーパッドと相互作用する(インタラクションする)ことから生じる可能性のある不正確または誤った入力の数を減らすことによって、キーパッドを操作する全体的な効率が向上する。これにより、コンピュータの全体的な効率と機能が向上する。
【0018】
従来の触覚ボタン型キーパッドは、視覚障害のあるユーザーが、キーパッドに物理的に配置された位置識別子に基づいて特定の複数のボタンの位置を特定することを可能にする。すなわち、触覚ボタン型キーパッドは、スイッチを閉じるのに十分な力でキーが物理的に押されると、選択されたキーに対応する値の選択を記録する。視覚障害のあるユーザーは、そのようなユーザーがスイッチを閉じてスイッチの値を記録するためにキーに十分な力を加えることなく、キーパッドのキーに軽く接触することができるため、特定のキーを探索している間に誤って値が記録されることを心配する必要はない。このようなユーザーは、キーパッドのレイアウトについて教育を受けることができ(例えば、ユーザーは、複数の異なる数字のキーが1つまたは複数の他の数字に対してキーパッド上のどこに物理的に配置されているかを知ることができる)、ユーザーは、特定の位置指示数字(locator number)を探し出して、他の関心のある複数の数字を選択することができる。
【0019】
例えば、キーパッドの数字「5」のキーなどの中央のキーは、物理的なバンプ(bump)を含み、視覚障害者が、物理的なバンプが識別されるまでキーパッドの複数のキーにわずかに接触することで数字「5」のキーの位置を特定することができる。次に、ユーザーは、識別された数字「5」のキーの位置に基づいて、わずかなタッチよりも強い力を加えることによる物理的な選択のための他のキーを探し出すことができる。このようなアプローチは、わずかなタッチよりも大きな物理的な力を加えることによって作動される触覚ボタンキーパッドに対しては良好に機能するが、これらのアプローチは、静電容量型キーパッドのようなタッチ作動キーパッドに適用される場合には機能しない。これは、タッチによって作動されるキーパッドにおいて、視覚障害者が物理的なキー位置指示部(キーロケータ:key locator)(例えば、数字「5」のキーのバンプ)を探索する際に、様々な他のキーにわずかにかつ意図せずに接触するときに複数の誤った値が記録されるためである。すなわち、ユーザーは、多くの場合、わずかなタッチにより(望ましくない)他のキーがキーストロークを記録することになるので、所望のキーに移動することができない。
【0020】
このような典型的なシナリオの欠点に対処するために、開示された技術は、タッチセンシティブ(touch-sensitive)(例えば、静電容量型)キーパッドに対して通常動作モードおよび視覚障害動作モードを使用する。キーパッドの通常動作モード中に、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が検出され、キーが第1の時間(例えば、100ミリ秒以下)にわたって接触されたときに値が記録される。複数のキーが同時に押されて特定の形状(例えば手の形状)を形成する場合、および/または、複数のキーのうちの1つが閾値時間(例えば、6秒)にわたって作動される場合、および/または、複数のキーのうちの1つが閾値量の力で押される場合など、1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モードを満たすか否かについて判定が行われる。1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モードを満たすと判定したことに応答して、キーパッドの動作モードは、視覚障者動作モードに移行され、任意のキーが通常動作モードのときよりも長い時間にわたって作動されたときだけ、作動されたキーに対応する複数の値が記録される。例えば、視覚障害モード中に、対応するキーの作動が第2の時間(例えば、少なくとも1秒)にわたって検出されると、キーに対応する値が記録される。このように、開示された技術により、視覚障害のあるユーザーは、該ユーザーが特定の位置指示キーを探索するときに意図せずに誤った値を記録することなく、タッチセンシティブキーパッドを操作できる。このようにして、コンピュータの全体的な効率および機能が改善される。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態によるキーパッドシステム100を示すブロック図である。図示されるように、キーパッドシステム100は、キー作動検出モジュール(key activation detection module)110、作動キー測定モジュール(activated key measurement module)120、および動作モード選択モジュール130を含む。キーパッドシステム100はまた、記録される1つまたは複数のキーの値を記憶するメモリと、RFID読取機(図示せず)とを含む。
【0022】
キーパッドシステム100は、壁に取り付けられた近接型読取機(近接型リーダー:proximity reader)などの固定ユニット、または容易に移動できる携帯ユニットとすることができる。キーパッドシステム100は、汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(reduced instruction set computer)、複合命令セットコンピュータ(complex instruction set computer)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイなどのデジタル処理デバイスを用いて実装されるマイクロコントローラ(図示せず)を含む。マイクロコントローラは、キーパッドシステム100に関連して示され且つ説明された複数のモジュールのいくつかまたはすべての機能を実装し得る。
【0023】
キーパッドシステム100は、わずかなタッチに基づいてキーストロークを記録するように構成されたタッチセンシティブキーパッドであり得る。すなわち、ユーザーは、物理的なキーを押すのではなく、キーにわずかにタッチすることによって、キーパッドの1つまたは複数のキーを選択できる。キーパッドシステム100は、静電容量(capacitance)または抵抗の変化が検出されたときに異なるキーに対応するキーストロークおよび値を記録する静電容量型キーパッドおよび/または抵抗型キーパッド(resistance-based keypad)として実装され得る。
【0024】
キー作動検出モジュール110は、各キーに対応するデジタルカウント(digital count)に基づいて、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動を検出するように構成されている。具体的には、キーパッドの各キーは、静電容量型センサーに関連付けられ得る。キー作動検出モジュール110は、各キーセンサーの静電容量をデジタルカウントに変換することができる。キー作動検出モジュール110は、デジタルカウントの値に基づいて、対応するキーが作動されたか否かを判定する。特に、ユーザーが特定のキーに物理的にタッチすると、センサーの静電容量値が変化し、その結果、特定のデジタルカウントが生成される。物理的なタッチが特定の力であるかまたは任意のキーの十分な物理領域をカバーしている場合、デジタルカウントが増加され得る。例えば、特定のキーに対応するセンサーに指が触れる(または近づく)と、指は、キーの寄生容量と並列に指の静電容量を導入する。いくつかの実装形態では、キー作動検出モジュール110は、スイッチトキャパシタ回路(switched-capacitor circuit)を使用して、(任意の指の静電容量を含む)センサーの静電容量を等価抵抗器に変換する。次に、シグマ-デルタ変調器が、抵抗を介して測定された電流をデジタルカウントに変換する。指がセンサー上にある場合、静電容量が増加し、等価抵抗が減少する。これにより、抵抗を流れる電流が増加し、デジタルカウントが増加する。
【0025】
いくつかの実施形態では、キー作動検出モジュール110は、デジタルカウントがデジタルカウント閾値に一致するかまたは超えるかを判定し得る。デジタルカウントが単一キー閾値未満(例えば、40~50カウント未満)である場合、キー作動検出モジュール110は、キーの作動がノイズであるとみなし、キーのキーストロークを記録しない。デジタルカウントが単一キー閾値を超える場合、キー作動検出モジュール110は、そのキーの作動を検出する。いくつかの場合では、キー作動検出モジュール110は、計算されたデジタルカウントが複合キー閾値(multiple key threshold)を超える(例えば、512カウントを超える)場合に複数のキーが作動されたことを検出する。複合キー閾値は、単一キー閾値よりも大きい。いくつかの実装形態では、キー作動検出モジュール110は、キーパッドに触れているユーザーの身体部分の特定の形状(例えば、手の形状)に対応する複合キー閾値を計算する。身体部分の形状は、6つの異なるキーに対応することができ、キー作動検出モジュール110は、6つの異なるキーのそれぞれの単一キー閾値の合計として複合キー閾値を計算する。キー作動検出モジュール110が、生成されたデジタルカウントが複合キー閾値を超えると判定した場合、キー作動検出モジュール110は、その形状の身体部分がキーパッドに触れたと判定することができる(例えば、ユーザーの手がキーパッドに触れたと判定することができる)。
【0026】
例えば、キー作動検出モジュール110は、キーパッドの各キーについてのセンサーノード信号(sensor node signal)をセンサー基準信号と比較して、キーパッドの各キーについてのセンサー差分信号を生成する。キー作動検出モジュール110は、複数のキーの各々のセンサー差分信号の正の値を累積し(accumulates)、累積された正の値が閾値(例えば、複合キー閾値)を超えると判定する。累積された正の値が閾値を超えると判定したことに応答して、キー作動検出モジュール110は、作動されたキーが身体部分の形状に対応し、視覚障害モード基準が満たされたと判定する。
【0027】
作動キー測定モジュール120は、キーパッドの特定のキーまたは1つまたは複数のキーが作動されたという指示をキー作動検出モジュール110から受信する。キー作動検出モジュール110はまた、どのキーまたは1つまたは複数のキーが作動されたか、およびそれらの対応する値を示すことができる。例えば、数字「6」のキーがユーザーの指によってタッチされた場合、キー作動検出モジュール110は、数字「6」のキーについての単一キー閾値に対応するデジタルカウントを満たしたことを作動キー測定モジュール120に信号伝達し得る。
【0028】
作動キー測定モジュール120は、一組のキーのうちの特定のキーが作動された時間を測定する。通常動作モードの間、特定のキーが第1の時間(例えば、100ミリ秒以下)にわたって作動された場合、作動キー測定モジュール120は、作動された1つまたは複数のキーの値をメモリまたはバッファに記録または記憶する。また、作動キー測定モジュール120は、第1のタイプの可聴警報(例えば、100msの音またはビープ音(beep)))を生成して、作動されたキーの値が記録されたことをユーザーに示すことができる。キーが第1の時間にわたって作動されたか否かを判定するために、作動キー測定モジュール120は、指定された期間(例えば、直前の1秒)にわたって取られたカウントを(時間をかけて取得された多数のサンプルにわたって)合計または累積し、その合計のカウントが閾値を超える場合、作動キー測定モジュール120は、キーが第1の時間にわたって作動されたと判定する。例えば、キーが100ミリ秒にわたって作動されたか否かを判定するために、作動キー測定モジュール120は、毎秒10回、そのキーについてのカウント値をサンプリングすることができる。作動キー測定モジュール120がカウント値(例えば、15カウント)をサンプリングする毎に、作動キー測定モジュール120は、毎秒10回の間隔の間にサンプリングされた前のカウント値とそのカウント値を累積する。その間隔が経過した後に、累積されたカウント値が閾値(例えば、45カウント)を超えた場合、作動キー測定モジュール120は、キーが第1の時間にわたって作動されたと判定する。他の適切なサンプリング間隔と閾値が選択されることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、作動キー測定モジュール120は、作動された1つまたは複数のキーが視覚障害モード基準を満たすか否かを判定する。例えば、作動キー測定モジュール120は、特定のキーが作動された時間の長さが視覚障害モード閾値を超えたか否か(例えば、キーが5秒を超えて作動されたか否か)を判定し得る。別の例として、作動キー測定モジュール120は、作動された複数のキーの形状または作動されたキーの量が視覚障害モードに対応するか否かを判定してもよい。具体的には、作動キー測定モジュール120は、複数のキーの形状がユーザーの手に対応するか否かを判定することができ、複数のキーの形状がユーザーの手に対応する場合、その形状は視覚障害モードに対応する。別の例として、作動キー測定モジュール120は、作動された特定のキーに加えられた圧力が視覚障害モード閾値を超えるか否か(例えば、作動されたキーのデジタルカウント値が、単一キー閾値よりも大きいが複合キー閾値よりも小さい圧力閾値等の単一キー閾値を指定された量だけ超える圧力閾値に一致するか否か)を判定し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、作動される1または複数のキーが視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、作動キー測定モジュール120は、通常動作モードから視覚障害モードに移行するように動作モード選択モジュール130に指示する。動作モード選択モジュール130は、キーパッドシステム100の動作モードが視覚障害モードに変更されたことをユーザーに通知する可聴警報(例えば、長いビープ音または400msの音)を生成する。いくつかの場合では、動作モード選択モジュール130は、キーパッドシステム100の動作モードが視覚障害モードに変更されたことをユーザーに通知するための可聴警報を生成することに加えて、またはこれに代わるものとして、視覚障害モードが開始されたことを(例えば、キーパッドの1つまたは複数の発光ダイオード(LED)の色を変更することによって)視覚的に示すことができる。また、通常動作モードから視覚障害モードに移行したことに応答して、メモリまたはバッファに記憶されている以前に記録されたキーストローク値がクリアおよび削除される。このようにして、ユーザーが、通常動作モード中に、位置指示キー(例えば、物理的位置指示ボタンを有する数字「5」のキー)を探索する際に、1つまたは複数の他のキーに誤って触れた場合、1つまたは複数の他のキーからのキーストロークとして意図せずに記録された任意の値は削除され、キーパッドシステム100のパスワード入力には使用されない。これにより、ユーザーは、キーパッドが通常モードで動作してキーストロークを記録している間にタッチセンシティブキーパッド上の位置指示キーを探索することができ、位置指示キーを探し出した後に、ユーザーは、誤って意図せずに記録された任意の値を手動で消去することなく、パスワードを入力することができる。
【0031】
視覚障害モードの間、特定のキーが第2の時間(例えば、1秒以上)にわたって作動された場合、作動キー測定モジュール120は、作動された1つまたは複数のキーの値をメモリまたはバッファに記録または記憶する。また、視覚障害モードの間、作動キー測定モジュール120は、作動キー測定モジュール120が作動されたキーの値を記録または記憶するときに、第2のタイプの可聴警報(例えば、200msの音またはビープ音)を出力する。これにより、ユーザーは、ユーザーが選択したいキーを探そうとしてキーに触れた場合にキーの値がキーストロークとして記録されることなく、キーパッド上を移動し、様々なキーに触れることができる。ユーザーが関心のあるキーを探し出すと、ユーザーは、パスワードまたはパスコードの一部としてキーに対応する値をバッファに記録および記憶させることを意図してより長い時間にわたってキーにタッチすることができる。
【0032】
作動キー測定モジュール120は、キーが閾値期間にわたって作動されていないと判定し得る。例えば、視覚障害モード中に任意のキーの値を記録した後、作動キー測定モジュール120はタイマーをリセットすることができる。タイマーは、視覚障害モードで任意のキーについて値が記録されるたびにリセットされ得る。作動キー測定モジュール120が、タイマーが閾値(例えば、5秒)に達したと判定すると、作動キー測定モジュール120は、動作モード選択モジュール130に、視覚障害モードから通常動作モードに移行するように指示する。動作モード選択モジュール130は、キーパッドシステム100の動作モードが通常動作モードに変更されたことをユーザーに通知する可聴警報(例えば、長いビープ音または400msの音)を生成する。このようにして、任意のユーザーが視覚障害モードでキーパッドシステム100の操作を終了すると、キーパッドシステム100は自動的に通常動作モードに戻る。これにより、視覚障害がなく、視覚障害モードでキーパッドを操作する必要のない別のユーザーによるその後のキーの選択が簡素化される。
【0033】
いくつかの実施形態では、キーパッドシステム100のプロセッサは、メモリまたはバッファ内のパスワードまたはパスコード(例えば、記録された文字および/または数字のストリング(列:string)を、以前に記憶された1つまたは複数のパスワードまたはパスコードと比較する。パスワードまたはパスコードが、以前に記憶された1つまたは複数のパスワードまたはパスコードのいずれか1つと一致すると判定したことに応答して、プロセッサは、キーパッドシステム100に関連付けられたコンポーネント(例えば、ドアまたは鍵)へのアクセスを許可する。いくつかの場合では、キーパッドシステム100のプロセッサは、パスワードまたはパスコードが入力される前、それと同時に、またはその後にRFIDを検出する。そのような場合、プロセッサは、アクセスを許可するかどうかを判定するために、検出されたRFIDに関連付けられた以前に記憶されたパスワードまたはパスコードが、キーパッドシステム100に入力されたパスワードまたはパスコードと一致するかどうかを判定する。
【0034】
図2Aは、様々な実施形態によるキーパッドシステムで使用するためのキーパッド読取ユニットを示すブロック図である。キーパッドユニット201は、キーパッド上の複数のキーの第1のレイアウトを示す。第1の位置指示部(ロケータ:locator)210は、キーパッドユニット201に含まれる。第1の位置指示部210は、視覚障害のあるユーザーが第1のレイアウトの特定の位置にあるものとして触れることにより認識する物理的なバンプ、小さな突部(ピンプル:pimple)、ライン(line)または他の適切な物理的形状であり得る。第1の位置指示部210は、ユーザーが、第1の位置指示部210に対する他の複数のキーのレイアウトおよび相対位置について事前に知らされることによって、キーパッド上の他のキーがどこに配置されているかを識別することを可能にする。キーパッドユニット201において、第1の位置指示部210は、数字「5」のキーと数字「6」のキーとの間に配置されている。
【0035】
キーパッドユニット202は、キーパッド上の複数のキーの第2のレイアウトを示す。第2の位置指示部220A,220Bは、キーパッドユニット202に含まれる。第2の位置指示部220A,220Bは、視覚障害のあるユーザーが第2のレイアウトの特定の位置にあるものとして触れることにより認識する物理的なバンプ、小さな突部、ラインまたは他の適切な物理的形状であり得る。第2の位置指示部220A,220Bは、ユーザーが、第2の位置指示部220A,220Bに対する他の複数のキーのレイアウトおよび相対位置について事前に知らされることによって、キーパッド上の他のキーがどこに配置されているかを識別することを可能にする。キーパッドユニット202において、第2の位置指示部220A,220Bは、数字「5」のキーに隣接して配置されている。すなわち、第2の位置指示部220Aは数字「5」のキーの左側に配置され、第2の位置指示部220Bは数字「5」のキーの右側に配置されている。
【0036】
図2Bは、様々な実施形態によるキーパッドシステム203に適用される例示的な視覚障害モードの選択ジェスチャ(selection gesture)である。一例として、手の形状をした複数のキーを同時に作動する手が検出される。手の跡(imprint)と、複数のキーが作動される手が触れるキーパッドの部分とが示されている。複合キー閾値が、キーパッドシステム203上で手によって作動された複数のキーの結果として生成された複数のカウント値によって満たされた場合、視覚障害モードが開始される(例えば、キーパッドシステム100は、通常動作モードから視覚障害モードに移行する)。
【0037】
図3Aは、様々な実施形態によるキーパッドシステム100を動作させるための例示的なプロセス300を示すフロー図である。
動作310において、キーパッドシステム100は、キーパッドの通常動作モード中に、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動を検出し、通常動作モードは、任意のキーが第1の時間にわたって作動されたときに、キーパッドにその任意のキーに対応する値を記録させる。
【0038】
動作312において、キーパッドシステム100は、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定する。
動作314において、キーパッドシステム100は、キーパッドの1つまたは複数のキーの作動が視覚障害モード基準を満たすと判定したことに応答して、キーパッドの動作モードを通常動作モードから視覚障害モードに移行する。
【0039】
動作316において、キーパッドシステム100は、視覚障害モード中に、任意のキーが第1の時間よりも長い第2の時間にわたって作動されたと判定したことに応答して、その任意のキーに対応する値を記録する。
【0040】
図3Bは、様々な実施形態によるキーパッドシステム100を動作させるための例示的なプロセス301を示すフロー図である。
動作320において、キーパッドシステム100は、通常動作モードで通常のスキャン(scanning)およびキーの作動の検出を実行する。すなわち、キーパッドシステム100は、第1の時間(例えば、100ミリ秒)にわたって作動された複数のキーの値を記録する。
【0041】
動作321において、キーパッドシステム100は、視覚障害モード基準が満たされたか否かを判定する。視覚障害モード基準が満たされた場合、キーパッドシステム100は動作322に進み、そうでない場合、キーパッドシステム100は動作320に進む。例えば、キーパッドシステム100は、キーが閾値時間を超えて作動されたか否か(例えば、指が5秒を超えてキー上にとどまっているか否か)を判定する。別の例では、キーパッドシステム100は、特定の形状の特定の数の複数のキーが作動されたかどうか、およびそのような複数のキーが閾値時間にわたって作動されたか否か(例えば、手がキーパッド上に2秒以上置かれているか否か)を判定する。
【0042】
動作322において、キーパッドシステム100は、視覚障害モード基準が満たされたと判定した場合、ブザーの長いビープ音(buzzer long beep)を鳴らす。
動作323において、キーパッドシステム100は、クリアキーコマンド(clear keys command)をコントロールパネルに送信する。特に、キーパッドシステム100は、パスワードまたはパスコードに誤ったキーストロークを含めることを避けるために、視覚障害モード基準が満たされたと判定された場合、任意の以前に記録された複数のキーの値をクリアする。
【0043】
動作324において、キーパッドシステム100は、視覚障害モードで複数のキーをスキャンする。例えば、キーパッドシステム100は、第2の時間(例えば、1秒以上)にわたって作動された複数のキーの値を記録する。
【0044】
動作325において、キーパッドシステム100は、作動された最後のキーの最後の値が視覚障害モードで記録されてからタイムアウト期間が経過したか否かを判定する。タイムアウト期間が経過した場合、キーパッドシステム100は動作328に進み、そうではない場合、キーパッドシステムは動作326に進む。
【0045】
動作328において、キーパッドシステム100は、視覚障害モードが終了し且つ通常動作モードが有効になったことを示すブザーの長いビープ音を鳴らす。
動作326において、キーパッドシステム100は、有効なキー(valid key)が第2の時間よりも長く作動または押されたか否かを判定する。有効なキーが第2の時間より長く押されていない場合、キーパッドシステム100は動作324に戻り、視覚障害モードで複数のキーをスキャンする。
【0046】
動作327において、キーパッドシステム100は、キーをコントロールパネルに送り、第2の時間よりも長い間にわたって作動されたか又は押されたと判定された有効なキーの値を記録し、動作324に進み、複数のキーのスキャンを継続する。
【0047】
図4は、本明細書において記載されている技法(例えば、方法)の任意の1つ又は複数が稼働される、および/またはキーパッド読取機100の一部として含まれ得る例示用のマシン400のブロック図である。代替実施形態では、マシン400は、独立型デバイスとして動作してもよく、または他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)されてもよい。ネットワーク化された構成では、マシン400は、サーバークライアントネットワーク環境におけるサーバーマシン、クライアントマシン、またはその両方の能力で動作してもよい。一例では、マシン400は、ピアツーピア(peer-to-peer : P2P)(その他の分散型)ネットワーク環境においてピア・マシン(peer machine)として動作してもよい。マシン400は、パーソナルコンピュータ(PC : Personal Computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB : Set-Top Box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA : Personal Digital Assistant)、携帯電話機、ウェブアプライアンス、IoTデバイス、自動車システム、航空宇宙システム、或いは、その機械によって実行される動作を規定する命令(シーケンシャルな又はその他のもの)を実行することが可能な任意のマシンであってよい。さらに、単一のマシンのみが図示されているが、「マシン」という用語はまた、クラウドコンピューティング、サービス型ソフトウェア(software as a service : SaaS)、または他のコンピュータクラスタ構成を用いるなどして、本明細書において説明される複数の方法のうちの任意の1つ又は複数を実行するための一組(または複数の組)の命令を個々に又は共同で実行する複数のマシンの任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0048】
本明細書において記載される複数の例は、ロジック、構成要素、デバイス、パッケージ、またはメカニズムを含んでもよく、またはそれらによって動作してもよい。回路構成は、(例えば、単純な回路、ゲート、ロジック等の)ハードウェアを含む有体物のエンティティで具体化された複数の回路の集合体(例えば、セット)である。回路構成の帰属関係(membership)は、時間にわたって柔軟性を有してもよく、このことによりハードウェアの可変性が実現されていてもよい。複数の回路は、複数の要素を含み、単独で又は組み合わせられて、動作する際に特定のタスクを実行してもよい。一例では、回路構成のハードウェアは、(例えば、配線接続されるといった方法で)変わらない構成を有し、ある指定された演算を実行するように構成されてもよい。一例では、回路構成のハードウェアは、指定された演算に関する命令を符号化するように(例えば、磁気的に、電気的に、或いは不変質量粒子(invariant-massed particles)の可変な配置により)物理的に修正されるコンピュータ可読媒体を含む(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路等の)可変的に接続された複数の物理コンポーネントを含み得る。物理的コンポーネントを接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎をなす電気プロパティは、例えば、絶縁体から導電体に変更され、或いは、逆も又真である。命令は、関与するハードウェア(例えば、実行ユニット又はローディングメカニズム)が動作の際に特定のタスクの一部分を実行するべく可変接続を介してハードウェア内の回路の複数の要素を生成することを可能にしている。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作している際に、回路の他のコンポーネントに通信可能に接続される。一例では、1つよりも多くの回路構成の1つよりも多くの要素の中で、これらの物理コンポーネントのうちのいずれかを使用してもよい。例えば、演算に応じて、ある時間点において第1の回路構成の第1の回路の中で複数の実行ユニットを使用してもよく、第1の回路構成の中の第2の回路によってそれらの実行ユニットを再利用してもよく、或いは、異なる時間点において第2の回路構成の中の第3の回路によってこれらの実行ユニットを使用してもよい。
【0049】
マシン(例えば、コンピュータシステム)400は、ハードウェアプロセッサ402(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ、例えば、メモリコントローラ、等)、メインメモリ404、およびスタティックメモリ406を含み、これらの一部または全部は、インターリンク(例えば、バス)408を介して互いに通信し得る。マシン400はさらに、表示デバイス410、英数字入力装置412(例えば、キーボード)、およびユーザーインタフェース(UI)ナビゲーションデバイス414(例えば、マウス)を含み得る。一例では、表示デバイス410、英数字入力装置412、およびUIナビゲーションデバイス414は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。マシン400は、ストレージデバイス422(例えば、駆動ユニット)、信号発生装置418(例えば、スピーカー)、ネットワークインタフェース装置420、全地球測位システム(GPS)センサー、翼センサー(wing sensors)、機械式装置センサー、温度センサー、ICPセンサー、ブリッジセンサー、オーディオセンサー、工業用センサー、コンパス、加速度計、または他のセンサーなどの1つ又は複数のセンサー416をさらに含み得る。マシン400は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダーなど)と通信または制御するために、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線または無線(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ428を含み得る。
【0050】
ストレージデバイス422は、本明細書において記載される技術または機能のうちの任意の1つまたは複数によって具体化または利用される1つ又は複数の組のデータ構造または命令424(例えば、ソフトウェア)が記憶される機械可読媒体を含む。複数の命令424はまた、マシン400によるその実行中に、メインメモリ404内、スタティックメモリ406内、またはハードウェアプロセッサ402内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ402、メインメモリ404、スタティックメモリ406、またはストレージデバイス421の1つまたは任意の組み合わせが、機械可読媒体を構成してもよい。
【0051】
機械可読媒体が単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、命令424を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、又は関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0052】
「機械可読媒体」という用語は、マシン400による実行のために一時的または非一時的な複数の命令を記憶するか、符号化するか、または転送することができ、マシン400が本開示の技術のうちのいずれか1つ以上を実行すること、またはそのような複数の命令によって使用されるかまたはそれに関連する複数のデータ構造を記憶するか、符号化するか、または転送することを可能にする任意の一時的または非一時的な媒体を含み得る。非限定的な機械可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、及び光媒体及び磁気媒体を含んでもよい。1つの例では、マス機械可読媒体(massed machine readable medium)は、(例えば、静止質量等の)不変の質量を有する複数の粒子を使用する機械可読媒体を含む。したがって、マス機械可読媒体は、一時的な伝播信号ではない。マス機械可読媒体の特定の例は、(例えば、電気的プログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)等の)半導体メモリデバイス及びフラッシュメモリデバイス等の不揮発性メモリ、内部ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、CD-ROM及びDVD-ROMディスクを含んでもよい。
【0053】
ストレージデバイス421に記憶されている複数の命令624(例えば、ソフトウェア、プログラム、オペレーティングシステム(OS)など)または他のデータは、ハードウェアプロセッサ402によって使用するためにメインメモリ404によってアクセスされ得る。メインメモリ404(例えば、DRAM)は、典型的には高速であるが揮発性であり、従って、「オフ」状態の間を含む長期記憶に適したストレージデバイス421(例えば、SSD)とは異なるタイプの記憶装置である。ユーザーまたはマシン400によって使用される複数の命令424またはデータは、典型的には、ハードウェアプロセッサ402によって使用されるためにメインメモリ404に読み込まれる。メインメモリ404がフル(満杯)になると、ストレージデバイス421からの仮想空間を割り当ててメインメモリ404を補うことができる。しかしながら、ストレージデバイス421は、典型的には、メインメモリ404よりも遅く、書き込み速度は、典型的には、読み出し速度の少なくとも二倍遅いため、仮想メモリの使用は、(メインメモリ404、例えばDRAMとは対照的に)ストレージデバイスの待ち時間に起因するユーザエクスペリエンスを大幅に低下させる可能性がある。さらに、仮想メモリのためのストレージデバイス421の使用は、ストレージデバイス421の使用可能な寿命を大幅に短縮させる可能性がある。
【0054】
命令424は、いくつかの転送プロトコルの任意のもの(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP : Internet protocol)、送信制御プロトコル(TCP : Transmission Control Protocol)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP : User Datagram Protocol)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP:HyperText Transfer Protocol)、など)を利用するネットワークインタフェース装置420を介して送信媒体を使用して通信ネットワーク426上において更に送信又は受信することができる。例示用の通信ネットワークは、その他のものに加えて、ローカルエリアネットワーク(LAN : Local Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN : Wide Area Network)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)、POTS(Plain Old Telephone Service)ネットワーク、及び無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)と呼称されるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)と呼称されるIEEE802.16規格ファミリー)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークを含みうる。一例では、ネットワークインタフェース装置420は、通信ネットワーク426に接続するべく、1つ又は複数の物理的ジャック(例えば、Ethernet(登録商標)、同軸、又は電話ジャック)又は1つ又は複数のアンテナを含みうる。一例では、ネットワークインタフェース装置420は、単一入力複数出力(SIMO : Single-Input Multiple-Output)、複数入力複数の出力(MIMO : Multiple-Input Multiple-Output)、又は複数入力単一出力(MISO(Multiple Input Single Output)技法の少なくとも1つを使用して無線通信するべく、複数のアンテナを含みうる。「伝送媒体」という用語は、マシン400による実行のための複数の命令を記憶、符号化、または転送することができる任意の有形又は無形の媒体を含み、そのようなソフトウェアの通信を可能にするためのデジタルまたはアナログ通信信号または他の有形又は無形の媒体を含むものとみなす。
【0055】
本明細書において説明された非限定的な複数の態様または複数の実施例の各々は、それ自体で存在してもよく、または他の実施例の1つまたは複数と様々な順列または組み合わせで組み合わされてもよい。
【0056】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。複数の図面は、例示として、本発明の主題が実施され得る特定の実施形態を示している。また、これらの実施形態は、本明細書においては「例」と呼称されている。こうした例は、図示又は記載したものに加えて要素を含むことができる。但し、本発明者らは、図示又は記載されている要素のみが提供される例をも想定している。更には、本発明者らは、特定の例(又は、その1つ又は態様)との関係において又は本明細書において図示又は記載されているその他の例(又は、その1つ又は複数の態様)との関係において図示又は記載されている要素の任意の組合せ又は順列を使用する例(又は、その1つ又は複数の態様)をも想定している。
【0057】
本明細書及び参照によって組み込まれた文献との間に矛盾する使用法が存在する場合には、本明細書の使用法によって支配される。
本明細書において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」の任意のその他の例又は使用法とは独立的に、1つ又は複数を含むものとして使用されている。本明細書においては、「又は」という用語は、そうではない旨が通知されていない限り、非排他的なものを意味するように、或いは、「A又はB」が、「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含むように、使用されている。本明細書においては、「含む(including)」及び「この場合に(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」という個々の用語の平易な英語の同等物として使用されている。また、添付の請求項において、「含む」及び「備える」という用語は、オープンエンド型であり、即ち、請求項においてこれらの用語の後に列挙されているものに加えて要素を含むシステム、装置、物品、組成、処方、又はプロセスが、依然として、その請求項の範囲に含まれるものと考えられている。更には、添付の請求項において、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などの用語は、ラベルとして使用されているものに過ぎず、それらの物体に対して数値的要件を課すことを意図したものではない。
【0058】
本明細書で説明される方法の複数の例は、少なくとも部分的にマシンまたはコンピュータによって実行され得る。いくつかの例は、上記の複数の例で説明された方法を実行するように電子デバイスを設定するように動作可能な一時的または非一時的な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。そのような複数の方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するための一時的または非一時的なコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の部分を形成し得る。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時間などに、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶されることができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の複数の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
以上の説明は、限定ではなく、例示を目的としたものであると解釈されたい。例えば、上述の例(又は、その1つ又は複数に態様)は、相互に組合せにおいて使用することができる。上記説明を検討した当業者等により、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的な開示の特性を迅速に特定することを可能にするべく提供されている。これは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するべく使用されないものと理解されたい。また、上記詳細な説明において、本開示を簡素化するためにさまざまな特徴を併せてグループ化している場合がある。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項にとって必須であることを意図したものとして解釈してはならない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示されている実施形態のすべての特徴未満において存在しうる。従って、添付の請求項は、これにより、それぞれの請求項が別個の実施形態として自立している状態において、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれ、このような実施形態は、様々な組合せ又は順列において相互に組み合わせられうるものと想定されている。本発明の主題の範囲は、請求項に付与される均等物の完全な範囲と共に、添付の請求項を参照して判定することを要する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4