IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェン−プローブ・インコーポレーテッドの特許一覧

特開2024-128024分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置
<>
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図1
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図2
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図3
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図4
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図5
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図6
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図7
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図8
  • 特開-分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128024
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】分注された液体の液滴を凍結するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240912BHJP
   G01N 1/42 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
G01N1/42
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108697
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2022051458の分割
【原出願日】2019-06-14
(31)【優先権主張番号】62/687,562
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】レーザ バシャー
(57)【要約】
【課題】流体室において分注された液体の液滴を凍結するための装置および方法を提供すること
【解決手段】液体液滴を凍結するための方法および装置は、液体ディスペンサ(14)によって、液体の液滴(13)を凍結流体(12)を収容する流体室(10)に分注することを含む。液体の液滴は、液体の液滴が凍結して凍結液滴になるように、少なくとも所定の滞留時間の間、凍結流体に滞留させられる。方法および装置はさらに、流体室に収容された凍結流体の表面に沿って凍結液滴が位置する場所付近で、ガス注入器(17)によって、凍結流体の表面を横切るようにガスの流れ(16)を注入し、凍結液滴が凍結流体に沈むようにすることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置、システム、方法等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体室において分注された液体の液滴を凍結するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液などの体液の分析プロセスは、通常、分析された流体を1つ以上の試薬と組み合わせて、分析プロセスの測定されたパラメータに対応する検出可能な特性の発生をトリガする。一例は、血漿を試薬と組み合わせて、処理機器によって測定され得る検出可能な特性の色または可視性を変化させる反応を起こすことを含む。処理装置には、生物学的サンプル、および、分析プロセス中に再構成できる1つ以上の凍結乾燥試薬ペレットが供給されてもよい。
【0003】
凍結乾燥試薬を生成するための1つの既知の方法は、正確な容量の液体試薬液滴を、液体液滴が凍結して槽の底部に沈む凍結液体槽に分注するステップを含む。槽の底部に沈んだ後、既知の方法は、凍結液滴を槽から取り外し、凍結液滴を凍結乾燥させることを含む。しかしながら、場合によっては、凍結液体の上面における表面張力などの他の要因が、液体試薬の凍結液滴が槽の底部に沈むのを妨げ、それにより、液体試薬の液滴が凍結液体の表面近くに浮遊する傾向がある。その結果、その後に分注される液体試薬液滴は浮遊液滴と組み合わされる可能性があり、それにより、組み合わされた液滴に対する試薬投与量が不正確になる。したがって、分注された液体の液滴が凍結液体槽の底部に沈むのを促進する改良された装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は、本明細書で説明されるいくつかの態様の基本的な理解を提供するために簡略化された概要を提示する。この概要は、本明細書に開示されている主題の広範な概説ではない。請求項に記載の主題の主要なまたは重要な要素を特定することも、その範囲を線引きすることも意図されていない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0005】
本開示は、液滴を凍結するための装置の様々な例を含む。一例によれば、装置は、流体を収容する流体室と、液体ディスペンサと、ガス注入器と、トランスポータとを備える。液体ディスペンサは、液体の液滴を流体室に分注するように構成されている。ガス注入器は、流体室に収容された流体の表面を横切るようにガスの流れを注入するように構成されている。トランスポータは、流体室、液体ディスペンサ、および前記ガス注入器のうちの少なくとも1つを互いに対して輸送するように構成されており、これにより、液体ディスペンサが、流体室に収容された流体の表面上に液体の液滴を分注し、かつ、ガス注入器が、分注された液体の液滴が流体室に収容された流体の表面に沿って位置する場所付近でガスの流れを注入する。
【0006】
いくつかの例では、トランスポータは、液体ディスペンサの下方の第1の位置とガス注入器の下方の第2の位置との間で流体室を輸送するように構成されている。液体ディスペンサは、流体室が第1の位置にあるときに、液体の液滴を流体室に分注するように構成されている。ガス注入器は、流体室が第2の位置にあるときに、流体室に収容された流体の表面を横切るようにガス流を注入するように構成されている。
【0007】
いくつかの例では、流体室に収容された流体は、分注された液体の液滴を凍結して凍結液滴にするように構成された極低温液体である。いくつかの例では、極低温液体は、液体窒素である。いくつかの例では、トランスポータは、第1の位置と第2の位置との間の回転軸の周りで流体室を移動させるように構成されたカルーセルを備える。いくつかの例では、カルーセルは、ドラムを備え、流体室は、ドラム内に設置されている。いくつかの例では、カルーセルは、回転軸の周りで回転するように構成されたスピンドルを備え、ドラムが回転軸の周りをスピンドルと共に回転するように構成されるように、スピンドルがドラムに結合されている。いくつかの例では、カルーセルは、ドラムの上端に結合された蓋を備える。いくつかの例では、蓋は、ドラムの上端から取り外し可能である。いくつかの例では、流体室は、蓋の下に設置され、蓋は、流体室と位置合わせされた開口部を備える。いくつかの例では、流体室は、ドラムから取り外し可能である。いくつかの例では、ドラムは、ステンレス鋼からなる。いくつかの例では、カルーセルは、ドラムと流体室の間に設置された絶縁層を備える。いくつかの例では、絶縁層は、空気を含む。
【0008】
いくつかの例では、装置は、複数の流体室を備え、トランスポータは、液体ディスペンサの下方の第1の位置とガス注入器の下方の第2の位置との間で各流体室を輸送するように構成されている。いくつかの例では、装置は、複数の液体ディスペンサを備え、トランスポータは、各流体室を液体ディスペンサのそれぞれのものの下方の第1の位置に輸送するように構成されている。いくつかの例では、装置は、複数のガス注入器を備え、トランスポータは、各流体室をガス注入器のそれぞれのものの下方の第2の位置に輸送するように構成されている。いくつかの例では、ガス注入器は、流体室の上方に設置されたノズルを備え、ノズルは、流体室に収容された流体の表面を横切るようにガス流を注入するように構成されている。いくつかの例では、ガス注入器は、流体室が第2の位置にあるときにのみ、流体室に収容された流体の表面を横切るようにガス流を注入するように構成されている。
【0009】
いくつかの例では、装置は、ソレノイドバルブであって、ノズルへのガス流を制御し、ガス流がノズルに到達するのを遮断する閉鎖位置とガス流がノズルに到達することを可能にする開放位置との間で切り替わるように構成されている、ソレノイドバルブを備える。いくつかの例では、装置は、トランスポータの位置に関する信号を生成するように構成されたセンサと、センサおよびソレノイドバルブと電気通信する制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、センサから信号を受信し、かつ、コマンドをソレノイドバルブに送信し、信号に基づいて開放位置と閉鎖位置との間で切り替えるように構成されている。いくつかの例では、トランスポータは、所定の滞留時間に流体室を第1の位置から第2の位置に輸送するように構成されており、それにより、ガス注入器が流体室に収容された流体の表面を横切るようにガスの流れを注入する前に、液体の液滴が凍結して凍結液滴になる。
【0010】
いくつかの例では、液体ディスペンサは、ノズルを備え、ノズルは、液体の液滴を流体室に分注するように構成されている。いくつかの例では、液体ディスペンサのノズルは、所定の距離で流体室に収容された流体の表面の上方に位置する先端部を備える。いくつかの例では、液体ディスペンサのノズルの先端部と流体室に収容された流体の表面との間の所定の距離は、約3/4インチ~約2インチに設定されている。
【0011】
別の例では、液体液滴を凍結させるための方法は、液体液滴を凍結流体を収容する流体室に分注するステップ(a)と、液体の液滴が凍結して凍結液滴になるように、少なくとも所定の滞留時間の間、液体液滴が凍結流体に滞留させるステップ(b)と、凍結液滴が凍結流体の表面に沿って位置する場所付近で、凍結流体の表面を横切るようにガスの流れを注入し、凍結液滴が凍結流体に沈むようにする、ステップ(c)と、を含む。いくつかの例では、ステップ(a)は、液体ディスペンサを使用して、液体の液滴を、凍結流体を収容する流体室に分注することをさらに含む。いくつかの例では、ステップ(c)は、ガス注入器を使用して、ガスの流れを凍結液体の表面を横切るように注入することをさらに含む。
【0012】
いくつかの例では、ステップ(c)は、所定の滞留時間を監視することと、所定の滞留時間後に、凍結流体の表面を横切るようにガスの流れを自動的に注入することと、をさらに含む。いくつかの例では、本方法は、液体ディスペンサの下方の第1の位置からガス注入器の下方の第2の位置に、トランスポータによって流体室を輸送するステップをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、トランスポータの位置を監視するステップと、流体室がガス注入器の下方の位置にあるときに、ガスの流れを自動的に注入するステップと、を含む。いくつかの例では、本方法は、ガス注入器の下方の第2の位置から液体ディスペンサの下方の第1の位置に、トランスポータによって流体室を輸送するステップをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、流体室を第1の位置に戻すステップの後に、液体の第2の液滴を流体室に分注するステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの例では、流体室は、トランスポータに一体的に取り付けられている。いくつかの例では、流体室は、トランスポータに取り外し可能に結合されている。いくつかの例では、トランスポータは、カルーセルを備え、輸送するステップは、カルーセルによって、第1の位置から第2の位置まで回転軸の周りで流体室を回転させることをさらに含む。いくつかの例では、カルーセルは、ドラムを備え、流体室は、ドラム内に設置されている。いくつかの例では、カルーセルは、ドラムの上端に結合された蓋を備える。いくつかの例では、蓋は、ドラムの上端から取り外し可能である。
【0014】
いくつかの例では、本方法は、ステップ(a)の前に、流体室上に液体ディスペンサを移動させて、液体ディスペンサを、流体室に収容された凍結流体の表面に沿って位置する標的ゾーンと位置合わせすることを含む。いくつかの例では、ステップ(a)は、液体ディスペンサによって、標的ゾーンにおいて液体の液滴を分注することをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、ステップ(a)の後かつステップ(c)の前に、流体室上にガス注入器を移動させて、ガス注入器を、流体室に収容された凍結流体の表面に沿って位置する標的ゾーンと位置合わせすることを含む。いくつかの例では、ステップ(c)は、ガス注入器によって、標的ゾーンにおいてガスの流れを注入することをさらに含む。いくつかの例では、流体室は、凍結流体を収容する静止槽を含む。
【0015】
いくつかの例では、本方法は、ステップ(c)の後に、リテーナバスケットによって、流体室の底部に向かって沈む凍結液滴を収集することをさらに含む。いくつかの例では、本方法は、凍結液滴を収集するステップの後に、凍結液滴を乾燥させるステップをさらに含む。いくつかの例では、凍結液滴を乾燥させるステップは、凍結液滴を凍結乾燥させることを含む。
【0016】
別の例によれば、装置は、流体を収容する流体室と、液体ディスペンサと、ガス注入器と、を備える。液体ディスペンサは、流体室に対して移動するように構成されており、その結果、液体ディスペンサは、流体室内に収容された流体の表面に沿って位置する標的ゾーンの上方に位置合わせされる。液体ディスペンサは、液体の液滴を標的ゾーンにおける流体室に分注するように構成されている。ガス注入器は、流体室に対して移動するように構成されており、その結果、ガス注入器は、流体室に収容された流体の表面に沿って位置する標的ゾーンの上方に位置合わせされる。ガス注入器は、標的ゾーンにおいて流体室に収容された流体の表面を横切るようにガス流を注入するように構成されている。
【0017】
いくつかの例では、流体室は、流体を収容する静止槽を備える。いくつかの例では、液体ディスペンサは、槽に沿って長手方向に移動し、槽に収容された流体の表面に沿って長手方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、複数の液体の液滴を分注するように構成されている。いくつかの例では、液体ディスペンサは、槽に沿って横方向に移動し、槽に収容された流体の表面に沿って横方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、複数の液体の液滴を分注するように構成されている。いくつかの例では、ガス注入器は、槽に沿って長手方向に移動し、槽に収容された流体の表面に沿って長手方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、槽に収容された流体の表面を横切るように複数のガスの流れを注入するように構成されている。いくつかの例では、ガス注入器は、槽に沿って横方向に移動し、槽に収容された流体の表面に沿って横方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、槽に収容された流体の表面を横切るように複数のガスの流れを注入するように構成されている。いくつかの例では、ガス注入器は、標的ゾーンにおいてガスの流れを注入する前に、液体ディスペンサが標的ゾーンにおいて液体の液滴を分注した後、少なくとも所定の滞留時間待機するように構成されている。
【0018】
本開示の主題の他の特徴および特性、ならびに動作方法、構造の関連要素の機能および部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、以下の説明および、すべてが本明細書の一部を形成し、同様の参照番号が様々な図における対応する部分を示す、添付図面を参照しながら添付の請求項を考慮するとより明らかになるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
装置であって、
流体を収容する流体室と、
液体の液滴を前記流体室に分注するように構成された液体ディスペンサと、
前記流体室に収容された前記流体の表面を横切るようにガスの流れを注入するように構成されたガス注入器と、
前記流体室、前記液体ディスペンサ、および前記ガス注入器のうちの少なくとも1つを互いに対して輸送するように構成されたトランスポータであって、これにより、前記液体ディスペンサが、前記流体室に収容された前記流体の前記表面上に前記液体の液滴を分注し、かつ、前記ガス注入器が、前記分注された液体の液滴が前記流体室に収容された前記流体の前記表面に沿って位置する場所付近で前記ガスの流れを注入する、トランスポータと、を備える、装置。
(項目2)
前記トランスポータが、前記液体ディスペンサの下方の第1の位置と前記ガス注入器の下方の第2の位置との間で前記流体室を輸送するように構成されており、前記流体室が前記第1の位置にあるときに、前記液体ディスペンサが、前記液体の液滴を前記流体室に分注するように構成されており、前記流体室が前記第2の位置にあるときに、前記ガス注入器が、前記流体室に収容された前記流体の前記表面を横切るように前記ガス流を注入するように構成されている、項目2に記載の装置。
(項目3)
前記流体室に収容された前記液体が、前記分注された液体の液滴を凍結させて凍結液滴にするように構成された極低温液体である、項目1または2に記載の装置。
(項目4)
前記極低温液体が、液体窒素である、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記トランスポータが、前記第1の位置と前記第2の位置との間の回転軸の周りで前記流体室を移動させるように構成されたカルーセルを備える、項目1~4のいずれか1項に記載の装置。
(項目6)
前記カルーセルが、ドラムを備え、前記流体室が、前記ドラム内に設置されている、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記カルーセルが、前記回転軸の周りを回転するように構成されたスピンドルを備え、前記ドラムが前記回転軸の周りを前記スピンドルと共に回転するように構成されるように、前記スピンドルが、前記ドラムに結合されており、前記ドラムの回転が、前記ドラム内に収容された前記流体の前記表面の異なる部分を、前記それぞれの第1および第2の位置に配置する、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記カルーセルが、前記ドラムの上端に結合された蓋を備える、項目6または7に記載の装置。
(項目9)
前記蓋が、前記ドラムの前記上端から取り外し可能である、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記流体室が、前記蓋の下に設置されており、前記蓋が、前記流体室と位置合わせされた開口部を備える、項目8または9に記載の装置。
(項目11)
前記流体室が、前記ドラムから取り外し可能である、項目10に記載の装置。
(項目12)
前記ドラムが、ステンレス鋼からなる、項目6~11のいずれか1項に記載の装置。
(項目13)
前記カルーセルが、前記ドラムと前記流体室との間に設置された絶縁層を備える、項目6~12のいずれか1項に記載の装置。
(項目14)
前記絶縁層が、空気を含む、項目13に記載の装置。
(項目15)
前記カルーセルが、前記ドラム内に設置されたストレーナバスケットを備え、前記ストレーナバスケットが、前記流体室の底部に向かって沈む凍結液滴を受容および保持するように構成されている、項目6~14のいずれか1項に記載の装置。
(項目16)
前記凍結液滴を保持する前記ストレーナバスケットが、前記ドラムから取り外し可能である、項目15に記載の装置。
(項目17)
複数の流体室を備え、前記トランスポータが、前記液体ディスペンサの下方の前記第1の位置と前記ガス注入器の下方の前記第2の位置との間で各流体室を輸送するように構成されている、項目2~16のいずれか1項に記載の装置。
(項目18)
複数の液体ディスペンサを備え、前記トランスポータが、各流体室を、前記液体ディスペンサのそれぞれのものの下方の前記第1の位置に輸送するように構成されている、項目17に記載の装置。
(項目19)
複数のガス注入器を備え、前記トランスポータが、各流体室を前記ガス注入器のそれぞれのものの下方の前記第2の位置に輸送するように構成されている、項目17または18に記載の装置。
(項目20)
前記ガス注入器が、前記流体室の上方に設置されたノズルを備え、前記ノズルが、前記流体室に収容された前記流体の前記表面を横切るように前記ガス流を注入するように構成されている、項目1~19のいずれか1項に記載の装置。
(項目21)
ソレノイドバルブであって、前記ノズルへのガス流を制御し、前記ガス流が前記ノズルに到達するのを遮断するための閉鎖位置と、前記ガス流が前記ノズルに到達することを可能にするための開放位置との間で切り替わるように構成されている、ソレノイドバルブをさらに備える、項目20に記載の装置。
(項目22)
前記トランスポータの位置に関する信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサおよび前記ソレノイドバルブと電気通信する制御ユニットであって、前記センサからの信号を受信し、かつ、コマンドを前記ソレノイドバルブに送信し、前記信号に基づいて前記開放位置と閉鎖位置を切り替えるように構成されている、制御ユニットと、をさらに備える、項目21に記載の装置。
(項目23)
前記流体室が前記第2の位置にあるときにのみ、前記ガス注入器が、前記流体室に収容された前記流体の前記表面を横切るように前記ガス流を注入するように構成されている、項目2~22のいずれか1項に記載の装置。
(項目24)
前記トランスポータが、所定の滞留時間に前記流体室を前記第1の位置から前記第2の位置に輸送するように構成されており、それにより、前記ガス注入器が前記流体室に収容された前記流体の前記表面を横切るように前記ガス流を注入する前に、前記液体の液滴が、凍結して前記凍結液滴になる、項目2または3に記載の装置。
(項目25)
前記液体ディスペンサが、ノズルを備え、前記ノズルが、前記液体の液滴を前記流体室に分注するように構成されている、項目1~24のいずれか1項に記載の装置。
(項目26)
前記液体ディスペンサの前記ノズルが、所定の距離で前記流体室に収容された前記流体の前記表面の上方に位置する先端部を備え、前記液体ディスペンサの前記ノズルの前記先端部と前記流体室に収容された前記流体の前記表面との間の前記所定の距離が、約3/4インチ~約2インチに設定されている、項目25に記載の装置。
(項目27)
方法であって、
(a)液体の液滴を、凍結流体を収容する流体室に分注することと、
(b)前記液体の液滴が凍結して凍結液滴になるように、少なくとも所定の滞留時間の間、前記液体の液滴を前記凍結流体に滞留させることと、
(c)ステップ(b)の後で、前記凍結液滴が前記凍結流体の前記表面に沿って位置する場所付近で、前記凍結流体の表面を横切るようにガスの流れを注入し、凍結液滴が前記凍結流体に沈むようにすることと、を含む、方法。
(項目28)
ステップ(c)が、所定の滞留時間を監視することと、前記所定の滞留時間後に、前記凍結流体の前記表面を横切るように前記ガスの流れを自動的に注入することと、をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
ステップ(a)の後かつステップ(c)の前に、液体ディスペンサの下方の第1の位置からガス注入器の下方の第2の位置に、トランスポータによって前記流体室を輸送することをさらに含む、項目27または28に記載の方法。
(項目30)
前記流体室が、前記トランスポータに一体的に取り付けられている、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記流体室が、前記トランスポータに取り外し可能に結合されている、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記トランスポータが、カルーセルを備え、前記輸送するステップが、前記カルーセルによって、前記第1の位置から前記第2の位置に回転軸の周りで前記流体室を回転させることをさらに含む、項目29~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記カルーセルが、ドラムを備え、前記流体室が、前記ドラム内に設置されている、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記カルーセルが、前記ドラムの上端に結合された蓋を備える、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記蓋が、前記ドラムの上端から取り外し可能である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記流体室が、前記蓋の下に設置されており、前記蓋が、前記流体室と位置合わせされた開口部を備える、項目34または35に記載の方法。
(項目37)
前記ドラムが、ステンレス鋼からなる、項目33~36のいずれか1項に記載の方法。(項目38)
前記カルーセルが、前記ドラムと前記流体室との間に設置された絶縁層を備える、項目33~37のいずれか1項に記載の装置。
(項目39)
前記絶縁層が、空気を含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
ステップ(c)が、前記トランスポータの位置を監視することと、前記流体室が前記ガス注入器の下方の前記第2の位置にあるときに、前記ガスの流れを自動的に注入することと、をさらに含む、項目29~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
ステップ(c)の後に、前記ガス注入器の下方の前記第2の位置から前記液体ディスペンサの下方の前記第1の位置に戻るように、前記トランスポータによって前記流体室を輸送することをさらに含む、項目29~40のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記流体室が前記第1の位置に戻った後、液体の第2の液滴を前記流体室に分注するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目43)
ステップ(a)の前に、液体ディスペンサを前記流体室上に移動させ、前記液体ディスペンサを、前記流体室に収容された前記凍結流体の前記表面に沿って位置する標的ゾーンと位置合わせすることをさらに含む、項目27または28に記載の方法。
(項目44)
ステップ(a)が、前記液体ディスペンサによって、前記標的ゾーンにおいて前記液体の液滴を分注することをさらに含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
ステップ(a)の後かつステップ(c)の前に、ガス注入器を流体室上に移動させ、前記ガス注入器を、前記流体室に収容された前記凍結流体の前記表面に沿って位置する前記標的ゾーンと位置合わせすることをさらに含む、項目43または44に記載の方法。
(項目46)
ステップ(c)が、前記ガス注入器によって、前記標的ゾーンにおいて前記ガスの流れを注入することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記流体室が、前記凍結流体を収容する静止槽を備える、項目43~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記凍結流体が、極低温液体である、項目27~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記極低温液体が、液体窒素である、項目48に記載の方法。
(項目50)
ステップ(c)の後に、リテーナバスケットによって、前記流体室の底部に向かって沈む前記凍結液滴を収集する、項目27~49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記凍結液滴を収集する前記ステップの後に、前記凍結液滴を乾燥させることをさらに含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記凍結液滴を乾燥させる前記ステップが、前記凍結液滴を凍結乾燥させることを含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
ステップ(a)が、液体ディスペンサを使用して、前記液体の液滴を、前記凍結流体を収容する前記流体室に分注することをさらに含む、項目27~42および48~52のいずれか1項に記載の方法。
(項目54)
ステップ(c)が、ガス注入器を使用して、前記ガスの流れを、前記凍結流体の前記表面を横切るように注入することをさらに含む、項目27~42および48~52のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
装置であって、
流体を収容する流体室と、
液体ディスペンサと、
ガス注入器と、を備え、
前記液体ディスペンサが、前記流体室に対して移動するように構成されており、それにより、前記液体ディスペンサが、前記流体室に収容された前記流体の前記表面に沿って位置する標的ゾーンの上方に位置合わせされ、前記液体ディスペンサが、液体の液滴を前記標的ゾーンにおける前記流体室に分注するように構成されており、
前記ガス注入器が、前記流体室に対して移動するように構成されており、それにより、前記ガス注入器が、前記流体室に収容された前記流体の前記表面に沿って位置する前記標的ゾーンの上方に位置合わせされ、前記ガス注入器が、ガス流を、前記標的ゾーンにおける前記流体室に収容された前記流体の前記表面を横切るように注入するように構成されている、装置。
(項目56)
前記流体室に収容された前記液体が、前記分注された液体の液滴を凍結させて凍結液滴にするように構成された極低温液体である、項目55に記載の装置。
(項目57)
前記極低温液体が、液体窒素である、項目56に記載の装置。
(項目58)
前記流体室内に設置されたストレーナバスケットをさらに備え、前記ストレーナバスケットが、前記流体室の底部に向かって沈む凍結液滴を受容および保持するように構成されている、項目56または57に記載の装置。
(項目59)
前記凍結液滴を保持するストレーナバスケットが、前記流体室から取り外し可能である、項目58に記載の装置。
(項目60)
前記流体室が、前記流体を収容する静止槽を備える、項目55~59のいずれか1項に記載の装置。
(項目61)
前記液体ディスペンサが、前記槽に沿って長手方向に移動し、前記槽に収容された前記流体の前記表面に沿って前記長手方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて複数の液体の液滴を分注するように構成されている、項目60に記載の装置。
(項目62)
前記液体ディスペンサが、前記槽に沿って横方向に移動し、前記槽に収容された前記流体の前記表面に沿って前記横方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、複数の液体の液滴を分注するように構成されている、項目60または61に記載の装置。
(項目63)
前記ガス注入器が、前記槽に沿って長手方向に移動し、前記槽に収容された前記流体の前記表面に沿って前記長手方向に配設された前記複数の標的ゾーンにおいて、複数のガスの流れを、前記槽に収容された前記流体の前記表面を横切るように注入するように構成されている、項目60~62のいずれか1項に記載の装置。
(項目64)
前記ガス注入器が、前記槽に沿って横方向に移動し、前記槽に収容された前記流体の前記表面に沿って前記横方向に配設された複数の標的ゾーンにおいて、複数のガス流を、前記槽に収容された前記流体の前記表面を横切るように注入するように構成されている、項目60~63のいずれか1項に記載の装置。
(項目65)
前記ガス注入器が、前記標的ゾーンにおいてガス流を注入する前に、前記液体ディスペンサが前記標的ゾーンにおいて前記液体の液滴を分注した後、少なくとも所定の滞留時間待機するように構成されている、項目55~64のいずれか1項に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付図面は、本開示の様々な非限定的な実施形態を示す。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に同様の要素を示す。
【0020】
図1】液体液滴を凍結するための例示的なプロセスの概略図である。
図2】液体液滴を凍結するための例示的な方法のフローチャートである。
図3】流体室、トランスポータ、液体ディスペンサ、およびガス注入器を備える、液体液滴を凍結するための例示的な装置の上面斜視図である。
図4図3の装置の正面図である。
図5】複数の流体室開口部を含む装置の絶縁ドラムの上面図である。
図6】ガス注入器およびドラムの上部の一部の拡大部分斜視図である。
図7】ドラムの底面斜視図である。
図8】ガスフローをガス注入器に送達し、かつ制御するためのシステムの概略図である。
図9】流体室から凍結試薬球体を回収するための流体室およびストレーナバスケットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の主題の態様は様々な形態で具現化され得るが、以下の説明および添付の図面は、主題の特定の例としてこれらの形態のいくつかを開示することのみを意図している。したがって、本開示の主題は、そのように説明および図示された形態または実施形態に限定されることを意図していない。
【0022】
特に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語、表記、および他の科学用語または専門用語は全て、一般に、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において参照される特許、出願、出願公開、および他の刊行物は全て、参照することによってその全体として組み込まれる。このセクションに記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれている特許、出願、公開された出願、およびその他の出版物に記載されている定義に反する、または矛盾する場合、このセクションに記載されている定義は、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0023】
本明細書で使用する場合、「ある(a)」または「ある(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0024】
本説明は、構成要素、装置、位置、特徴、またはそれらの一部の位置および/または配向を説明する際、相対的空間および/または配向の用語を使用し得る。具体的に記載されない限り、または別様に説明の文脈によって示されない限り、限定ではないが、上部、底部、上方、下方、下、上、上側、下側、左、右、正面、背面、隣、隣接、間、水平、垂直、対角線、縦方向、横方向、半径方向、軸方向等を含む、そのような用語が、便宜上、かかる構成要素、装置、位置、特徴、またはそれらの一部を図面で参照する際に使用されるが、限定であることを意図するものではない。
【0025】
さらに、特に明記しない限り、この説明で言及される特定の寸法は、本開示の態様を具現化するデバイスの例示的な実装形態を表すに過ぎず、限定を意図するものではない。
【0026】
「約(about)」という用語の使用は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、本明細書で指定されているすべての数値に適用される。この用語は、一般に、当業者が、本開示の文脈において、列挙された数値(すなわち、同等の関数または結果を有する)に対する妥当な偏差量と見なすであろう数の範囲を指す。例えば、限定することを意図するものではないが、この用語は、所与の数値の±10パーセントの偏差を含むと解釈することができるが、そのような偏差は、最終関数または値の結果を変えない。したがって、当業者によって理解されるようないくつかの状況下では、約1%の値は、0.9%から1.1%の範囲であると解釈することができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「グループ(group)」という用語は、1つ以上のオブジェクトの集合を指す。したがって、例えば、オブジェクトのグループには、単一のオブジェクトまたは複数のオブジェクトを含めることができる。グループのオブジェクトは、グループのメンバーとも称され得る。グループのオブジェクトは、同じまたは異なり得る。場合によっては、グループのオブジェクトは、1つ以上の共通のプロパティを共有し得る。
【0028】
本明細書で使用する場合、「隣接する(adjacent)」という用語は、近くまたは隣接していることを指す。隣接するオブジェクトは、互いに離間させることがきるか、または実際に直接接触させることもできる。場合によっては、隣接するオブジェクトを相互に結合させることができるか、または相互に一体的に形成することもできる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「実質的に(substantially)」および「実質的な(substantial)」という用語は、かなりの度合いまたは程度を指す。イベント、状況、特性、またはプロパティなどと組み合わせて使用する場合、これらの用語は、イベント、状況、特性、またはプロパティが正確に発生するインスタンス、およびイベント、状況、特性、またはプロパティが、本明細書に記載されている実施形態の典型的な許容レベルまたは変動性を説明するなど、厳密な近似で発生するインスタンスを指す場合がある。
【0030】
本明細書で使用される場合、「任意の(optional)」および「任意に(optionally)」という用語は、後で説明される構成要素、構造、要素、イベント、状況、特性、プロパティ等が含まれているかまたは発生する場合と含まれていないかまたは発生しない場合があることと、説明が、構成要素、構造、要素、イベント、状況、特性、プロパティ等が含まれているかまたは発生するインスタンス、および、それらが含まれていないかまたは発生しないインスタンスを含むこととを意味する。
【0031】
「試薬(reagent)」という用語は、1つ以上の反応またはプロセスでの使用に必要であるか、または望ましい1つ以上の試薬または構成要素、例えば、所望の反応がどのように進行するかに何らかの影響を与える1つ以上の構成要素を意味する。試薬は、反応性成分を含むことができる。しかしながら、試薬が反応に関与する必要はない。試薬は、非反応性成分を含むことができる。試薬は、反応に必要ではないが、反応に影響を与える、例えば、反応の速度に影響を与える促進剤、触媒、または遅延剤を含むことができる。試薬は、反応のための固体試薬および反応のための流体試薬のうちの1つ以上を含み得る。
【0032】
「流体連通(fluid communication)」という用語は、直接的な流体連通を意味し、例えば、2つの領域は、2つの領域を接続する妨げられていない流体処理通路を介して互いに流体連通することができるか、または、例えば、それらがその中に設置されたバルブを備えることができる流体処理通路を介して接続されるときに、2つの領域が互いに流体連通することができるように、2つの領域が流体連通することができ、例えば、流体処理通路内に設置された溶解可能なバルブを溶解することにより、バルブを作動させると、2つの領域間で流体連通を確立することができる。
【0033】
「極低温液体(cryogenic liquid)」という用語は、実質的に低温でその液体状態を維持する液化ガスを指す。一例では、「極低温液体(cryogenic
liquid)」という用語は、約-75℃未満の通常の沸点を有する液化ガスを指す。別の例では、「極低温液体(cryogenic liquid)」という用語は、約-150℃未満の通常の沸点を有する液化ガスを指す。寒剤の例には、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素ガス(H)、窒素ガス(N)、酸素(O)、メタン(CH)、および一酸化炭素(CO)が含まれる。
【0034】
「凍結乾燥(lyophilization)」という用語は、腐敗しやすい材料を保存するため、かつまたはその輸送を容易にするために典型的に使用される脱水プロセスを指す。凍結乾燥の条件は、液体材料および/または液体材料を含む容器を凍結条件に供し、周囲圧力を低下させて、材料内の凍結水を固相から気相に直接昇華させることを含み得る。そのような凍結条件は、その固相と液相が共存できる最低温度(当技術分野では「三重点」として知られている)未満に材料を冷却することを含み得る。通常、凍結温度は-50°Cおよび-80℃であるが、当業者は、自動生化学アッセイで使用するための試薬を凍結乾燥させるための適切な凍結温度を決定することができる。
【0035】
図1および2は、一例による、凍結液体12を収容する流体室10における液体液滴を凍結するための方法50を示す。方法50は、表面18を有する凍結流体12を収容する流体室10に液体の液滴13を分注するステップまたはプロセス51を含む。一例では、凍結流体12は、液体窒素などの極低温液体であり、液滴13は、液体ディスペンサ14によって分注される。液体ディスペンサ14は、試薬溶液の個々の液体液滴を滴下するように構成されており、それにより、各液滴は実質的に均一なサイズである。
【0036】
液体の液滴が凍結流体12の表面18に受容されると、方法50は、液体の液滴13を少なくとも所定の滞留時間ΔTの間、凍結流体12に滞留させるステップ52を含み、その結果、液体の液滴13は、凍結して凍結液滴15になる。一部の非限定的な例では、所定の滞留時間ΔTは、分注された液体液滴13が最初に凍結流体12の表面に接触するときと、分注された液体液滴13が凍結流体12の表面の下に完全に沈む時との間の期間を少なくとも含む。いくつかの例では、所定の滞留時間ΔTは、液体ディスペンサ14から分注された液体溶液の組成、液体液滴13の質量および体積、凍結流体12の組成、凍結流体12の温度、および流体室10の圧力を含む、いくつかのパラメータから計算される。所定の滞留時間ΔTは、分注された液体液滴13の内部に閉じ込められた潜在的な気泡、分注された液体液滴13と凍結流体12の表面との間の相互作用、および分注された液体液滴13と凍結流体12の温度との間の温度差を考慮するために延長され得る。したがって、所定の滞留時間ΔTは、流体室に分注された液体に対して選択された組成、流体室に収容された凍結流体に対して選択された組成、および分注された液体液滴13と凍結流体12との間の相互作用に基づいて変化し得る。いくつかの例では、所定の滞留時間ΔTは、1分以下である。
【0037】
液体の液滴13が凍結流体12に少なくとも所定の滞留時間ΔTの間滞留させて、液体の液滴13が凍結した後、方法50は、凍結液滴が凍結流体12の表面に沿って位置する場所付近で、ガス注入器17により、凍結流体12の表面18を横切るガスの流れ16を注入するステップ53を含む。凍結液滴15に接触するガス流16のインパルスは、凍結流体12と凍結液滴15との間の表面張力を破壊し、その結果、凍結液滴15は凍結流体12に沈む。好ましくは、ガスの流れ16は、凍結流体12の表面に対して実質的に直角に注入される。したがって、方法50のステップ53は、分注された液体の液滴13が完全に凍結して凍結液滴15となり、凍結液滴15が流体室10の底部に沈むことを確実にする。
【0038】
方法50の間、いくつかの例では、流体室10は、図1の矢印Aで示されるように、液体ディスペンサ14およびガス注入器17に対して移動し得る。いくつかの例では、液体ディスペンサ14およびガス注入器17は、図1の矢印Bで示されるように、流体室10に対して移動し得る。一例では、方法50は、方法50の3つのステップ51、52、および53のすべての間に流体室10を同じ位置に保持することを含み、それにより、ステップ51において液体ディスペンサ14が流体室10の上方に位置付けられ、次に、ガス注入器17がステップ53において、流体室10の上方に位置付けられる。一例では、方法50は、ステップ53が、所定の滞留時間ΔTを監視することと、所定の滞留時間ΔT後に凍結流体12の表面を横切るようにガスの流れ16を自動的に注入することと、をさらに含むように自動化され得る。
【0039】
別の例では、方法は、液体ディスペンサ14の下方の第1の位置からガス注入器17の下方の第2の位置に、トランスポータによって流体室10を輸送するステップを含む。一例では、流体室10は、液体の液滴13を少なくとも所定の滞留時間ΔTの間、凍結流体12に滞留させるステップ52の間に、第1の位置から第2の位置に輸送され得る。一例では、方法50は、ステップ53が、トランスポータの位置を監視することと、流体室10が液体ディスペンサ14の下方の第1の位置にあるときに、液滴13を自動的に注入し、流体室10がガス注入器17の下方の第2の位置にあるときに、ガスの流れ16を自動的に注入するステップと、を含むように自動化され得る。一例では、方法50は、トランスポータの位置を監視し、ガス注入器17にガスの流れ16を注入するように命令する、制御ユニットおよびセンサを含む。
【0040】
一例では、凍結流体の表面を横切るようにガスの流れ16を注入するステップ53の後、方法50は、トランスポータによって、ガス注入器17の下方の第2の位置から液体ディスペンサ14の下方の第1の位置に流体室10を戻し、液体の別の液滴13が流体室10に分注され得るようにするステップをさらに含む。
【0041】
他の例では、流体室10は、凍結流体12の槽(図示せず)を備える。いくつかの例では、槽は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に、第1の側から第2の側まで横方向に延在する。いくつかの例では、方法50のステップ51は、液体ディスペンサ14を凍結流体12の槽の上で長手方向に移動させて、複数の液体の液滴13が、長手方向に凍結流体12の槽に沿って空間的に配設された複数の標的ゾーン(図示せず)において凍結流体12の槽に分注されるようにすることをさらに含む。いくつかの例では、方法50のステップ53は、ガス注入器17を長手方向に移動させて、ガス流16がほぼ各標的ゾーンにおいて凍結流体12の表面18を横切るように注入されるようにすることをさらに含む。いくつかの例では、方法50のステップ51は、液体ディスペンサ14を凍結流体12の槽の上で横方向に移動させて、複数の液体の液滴13が、横方向に凍結流体12の槽に沿って空間的に配設された複数の標的ゾーンにおいて凍結流体12の槽に分注されるようにすることをさらに含む。いくつかの例では、方法50のステップ53は、ガス注入器17を横方向に移動させて、ガス流16がほぼ各標的ゾーンにおいて凍結流体12の表面18を横切るように注入されるようにすることをさらに含む。いくつかの例では、ステップ51は、複数の液体の液滴13を凍結流体12の槽に沿って横方向に分注した後、液体ディスペンサ14を長手方向に移動させ、複数の列の標的ゾーンが凍結流体の槽に沿って配設されるようにすることをさらに含む。いくつかの例では、ステップ53は、横方向に凍結流体12の表面18を横切るガスの複数の流れ16を注入した後、ガス注入器17を長手方向に移動させ、ガスの流れ16がほぼ各標的ゾーンにおいて注入されるようにすることをさらに含む。
【0042】
他のいくつかの例では、方法50は、凍結流体12の槽において、複数の液体の液滴15を同時に分注および凍結させることを含む。いくつかの例では、ステップ51は、凍結流体12の槽に沿って長手方向に配設された複数の液体ディスペンサ14を用いて、複数の標的ゾーンにおいて、複数の液体の液滴13を同時に分注することをさらに含む。他のいくつかの例では、ステップ53は、凍結流体12の槽に沿って長手方向に配設された複数のガス注入器17を用いて、各標的ゾーン付近において、凍結流体12の表面18を横切る複数のガス流16を注入することをさらに含む。
【0043】
いくつかの例では、方法50は、流体室10の底部に向かって沈む凍結液滴15を収集するステップをさらに含む。いくつかの例では、凍結液滴15は、流体室10に設置されたリテーナバスケット(図9)を設けることによって収集される。いくつかの例では、リテーナバスケットは、凍結流体12を保持することなく、沈んだ凍結液滴15を受容および保持するように構成されている。いくつかの例では、凍結液滴15を収集するステップは、凍結液滴15を保持するリテーナバスケットを流体室10から取り外すことを含む。
【0044】
いくつかの例では、方法50は、凍結液滴15を収集するステップの後に凍結液滴15を乾燥させ、凍結液滴15に貯蔵された試薬材料が保存され、持ち運び可能であるようにするステップをさらに含む。凍結液滴を乾燥させるステップは、凍結液滴の含水量を脱水するための任意のプロセスを含み得る。いくつかの例では、凍結液滴を乾燥させるステップは、凍結液滴を凍結乾燥させることを含む。
【0045】
図3および4を参照すると、図1および2に関連して説明されるプロセスを実行するための装置の例は、参照番号1000で示され、トランスポータ100と、液体ディスペンサ200と、ガス注入器300と、1つ以上の流体室126(図3に示す流体室126への開口部が示されている)と、を含む。一般に、各流体室126は、極低温液体(例えば、液体窒素)などの凍結流体を収容し、トランスポータ100は、液体ディスペンサ200の下方の第1の位置とガス注入器300の下方の第2の位置との間で各流体室を輸送するように構成されている。液体ディスペンサ200は、それぞれの流体室126が第1の位置にあるときに、液体の液滴をそれぞれの流体室126に分注するように構成されている。ガス注入器300は、それぞれの流体室126が第2の位置にあるときに、それぞれの流体室126に収容された凍結流体の表面を横切るようにガス流を注入するように構成されている。
【0046】
一例では、トランスポータ100は、第1の位置と第2の位置との間の回転軸の周りで各流体室126を移動させるように構成されたカルーセルを備える。図3および4に示すように、カルーセルは、ドラム110と、絶縁ドラム110の上端部を囲む蓋カバー120と、絶縁ドラム110の下端部を囲むベース130と、を備え得る。いくつかの例では、ドラム110は、ステンレス鋼からなり、流体室126を収容する。いくつかの例では、蓋カバー120は、ドラム110に取り外し可能に結合されている。図4および7を参照すると、カルーセルは、ベース130を通って突出し、蓋カバー120の中央開口部122と位置合わせされたスピンドル132をさらに備える。図4に示すように、装置1000は、ベース130の下に設置され、カルーセルの回転軸がスピンドル132を通って延在するようにスピンドル132に結合されたモータ150を備える。モータ150は、スピンドル132の回転を駆動するように構成されており、それにより、カルーセルの回転をトリガして、ベース130、ドラム110、および蓋カバー120が回転軸の周りを回転するようにする。一例では、モータ150は、カルーセルを毎分約1.5回転(RPM)の速度で回転させるように構成されている。
【0047】
いくつかの例では、流体室126は、ドラム110に設置されており、中央開口部122およびスピンドル132の周りに配設されている。いくつかの例では、カルーセルは、ドラム110と流体室126との間に設置された絶縁層(図示せず)を備え、凍結流体とドラム110の外側の周囲空気との間の熱伝達を最小限に抑える。絶縁層は、空気、希ガス(例えば、アルゴン)、または低熱伝導率を有する材料(例えば、高分子発泡体)からなってもよい。一例では、各流体室126は、蓋カバー120の下に設置された管を備える。別の例では、各流体室126は、蓋カバー120の下面に一体的に固定された円筒壁を備える。図3および5に示されるように、蓋カバー120は、中央開口部122の周りに離間した各流体室126のための開口部を含み、各開口部は、それぞれの流体室126と位置合わせされて、それぞれの流体室へのアクセスを提供する。例示的な例では、開口部は、直径1インチの円として形作られている。他の例では、開口部は、様々なサイズの分注された液体液滴に対応するように、他の形状または異なるサイズを有し得る。
【0048】
図5を参照すると、一例では、流体室126の開口部は、グループで配設されてもよい。図5に示すように、開口部126の1つのグループは、図5に示す注釈付きボックスA-Aによって示され、流体室126の4つの開口部を含む。例示的な例では、各開口部は、蓋のカバー120の中心から、異なる半径r、r、r、またはrだけずれており、それぞれの半径r、r、rおよびrは、中央開口部122の中心から流体室126のそれぞれの開口部の中心まで測定される。図5に示す例示的な例では、中央開口部122に最も近いグループ内の開口部のうちの1つの縁部は、縁部が中央開口部122の中心から第1の所定の半径で離れるように設定されており、中央開口部122から最も遠いグループの開口部のうちの別の1つの開口部の縁部は、縁部が中央開口部の中心から第2の所定の半径で離れるように設定されている。したがって、グループのすべての開口部は、第1の所定の半径と第2の所定の半径との間に位置する。一例では、中央開口部122に最も近い開口部の縁部から中央開口部の中心まで定義される第1の所定の半径は、約2インチに設定されており、中央開口部122から最も遠い開口部の縁部から中央開口部122の中心まで定義される第2の所定の半径は、約5インチに設定されている。
【0049】
いくつかの例では、トランスポータ100は、ドラム110に設置されたペレットコレクタをさらに備え、それにより、ペレットコレクタは、流体室126の底部に向かって沈む凍結液滴を受容するように構成されている。いくつかの例では、ペレットコレクタは、複数の孔を含むストレーナバスケットを備え、沈んだ凍結液滴を保持しながら、凍結流体がストレーナバスケットを通過できるようにする。一例では、図3および4に示されるように、ペレットコレクタは、蓋カバー120の中央開口部122を通って延在するハンドルロッド140を備え得る。ハンドルロッド140は、握られるように構成されており、それにより、ペレットコレクタは、ドラム110から取り外されて、沈んだ凍結液滴を収集し得る。いくつかの例では、ストレーナバスケットは、流体室126に設置されており、流体室126の内面に沿って延在して、凍結液滴を受容する。いくつかの例では、ストレーナバスケットは、ドラム110内および流体室126の下に設置されており、各流体室126の底部がストレーナバスケット内に開いて凍結液滴を受容する。
【0050】
凍結流体は各流体室126に供給され、それにより凍結流体の表面レベルが蓋カバー120から所定の距離内に留まる。いくつかの例では、凍結流体の表面レベルと蓋カバー120との間の所定の距離は、約1/8インチ~1インチの間に設定されている。いくつかの例では、各流体室126における凍結流体の表面レベルは、凍結流体の揮発性を考慮するために監視される。したがって、蒸発により凍結流体の表面レベルが低下すると、より多くの凍結流体が凍結流体室126に供給される。
【0051】
図3および4を参照すると、一例では、液体ディスペンサ200は、トランスポータ100の側面に沿って配設された取り付けポスト220に取り付けられている。ガス注入器300は、トランスポータ100の側面に沿って配設され、取り付けポスト220から空間的に離れた取り付けポスト320に取り付けられている。一例では、取り付けポスト220は、取り付けベース212に固定された直立ポスト210と、直立ポスト210の端部に接続された横ブラケット222と、横ブラケット222の自由端部から横方向に延在するノズルブラケット224と、を備える。一例では、取り付けポスト320は、取り付けベース312に固定された直立ポスト310と、直立ポスト320の端部に接続された横ブラケット322と、横ブラケット322の自由端部から横方向に延在するノズルブラケット324と、を備える。
【0052】
図3に示すように、液体ディスペンサ200は、ノズルブラケット224に形成された保持孔を通って延在する1つ以上のディスペンサノズル230を含む。いくつかの例では、各ディスペンサノズル230は、流体室126への開口部の位置に対応する半径r、r、r、またはrにおいて、蓋カバー120の上方に位置付けられており、それにより、流体室126が第1の位置に設定されているときに、各ノズル230がそれぞれの流体室126の中心と位置合わせされている。他の例では、ディスペンサノズル230は、蓋カバー120の上方に位置してもよく、それにより、各ディスペンサノズル230は、第1の位置に設定されているときに、それぞれの流体室126の孔の直径内の任意の位置と位置合わせされている。図3および図6に示すように、ガス注入器300は、ノズルブラケット324に形成された保持孔を通って延在する1つ以上の注入器ノズル330を含む。いくつかの例では、各注入器ノズル330は、流体室126への開口部の位置に対応する半径r、r、r、またはrにおいて、蓋カバー120の上に位置しており、それにより、流体室が第2の位置に設定されているときに、各ノズル330がそれぞれの流体室126の中心と位置合わせされている。他の例では、注入器ノズル330は、蓋カバー120の上に位置していてもよく、それにより、各注入器ノズル330は、第2の位置に設定されているときに、それぞれの流体室126の孔の直径内の任意の位置と位置合わせされている。
【0053】
一例では、ディスペンサノズル230および注入器ノズル330は、図5のボックスA-Aに示されるように、流体室126の開口部の配設に対応する配設で、それぞれのノズルブラケット224、324内に設置されている。図3を参照すると、液体ディスペンサ200は、ノズルブラケット224の下に位置付けられた流体室126の開口部のそれぞれのグループと位置合わせされた4つのディスペンサノズル230のセットを備える。図3および6を参照すると、ガス注入器300は、ノズルブラケット324の下に位置付けられた流体室126の開口部の別のそれぞれのグループと位置合わせされた4つのディスペンサノズル330のセットを備える。したがって、トランスポータ100が回転すると、流体室126の開口部の第1のグループは、ノズルブラケット224の下に位置付けられたときに、ディスペンサノズル230のセットと位置合わせされ、流体室126の開口部の第2のグループは、ノズルブラケット324の下に位置付けられたときに、注入器ノズル330のセットと位置合わせされる。他の例では、ディスペンサノズル230、注入器ノズル330、および流体室126の開口部は、ディスペンサノズル230のセットが流体を流体室126の開口部の第1のグループの中に分注することと、注入器ノズル330のセットが流体室126の開口部の第2のグループにガスを注入することとを同時に可能にする他の配設で設定され得る。
【0054】
液体ディスペンサ200は、各ディスペンサノズル230を液体リザーバ(図示せず)に接続する液体供給ライン240(例えば、ホース、チューブなど)を含む。ガス注入器300は、各注入器ノズル330を圧縮ガス源(図示せず)に接続するガス供給ライン340(例えば、ホース、チューブなど)を含む。
【0055】
いくつかの例では、液体リザーバは試薬の水溶液を収容し、液体ディスペンサ200は、関連する液体供給ラインを通じて液体試薬を液体リザーバから液体ディスペンサに運ぶポンプシステム(図示せず)を含む。ポンプシステムは、液体ディスペンサ200が、液体供給ライン240を通過する液体試薬の流量および流体室に分注される液体液滴の頻度を制御することを可能にする。液体ディスペンサ200は、液体試薬の個々の液滴をディスペンサノズル230から流体室126の開口部に分注するように構成されている。ディスペンサノズル230は、実質的に均一な液滴サイズを提供するように構成されたオリフィス(図示せず)を含む。液滴サイズの十分な均一性が提供される限り、様々なディスペンサノズル230を使用することができる。ディスペンサノズル230は、トリフルオロエチレンまたは同等の剛性および表面特性を有するいくつかの他のポリマーから作製され得る。ディスペンサノズル230のオリフィスのサイズは、液体試薬の組成および試薬を圧送するために使用される操作圧力に依存する。一例では、ディスペンサノズル230はテーパ状であり、ディスペンサノズル230の壁厚は、分注される液体試薬の特性に基づいて変化し得る。
【0056】
ディスペンサノズル230の先端部は、好ましくは、流体室に収容された凍結流体の表面の上方に十分な距離で位置し、分注された液滴が凍結流体の表面に着陸する前に球体を形成することを可能にする。しかしながら、ディスペンサノズル230の先端部が凍結流体表面の表面よりも上方に離間しすぎると、分注された液滴が凍結流体に接触する前に、複数の液滴に分解させる。さらに、ディスペンサノズル230の先端部が凍結流体の表面に近すぎる場合、分注された液滴は、凍結流体に接触すると過度に急速に凍結するか、または凍結流体の飛散を促進する。したがって、いくつかの例では、ディスペンサノズル230の先端部は、凍結流体の表面の上方の約3/4インチから約2インチの間に位置付けてられている。使用されるディスペンサノズル230の先端部との間の正確な距離は、装置の特定の設計、使用されるディスペンサノズル230の設計、および分注される液体の特性に依存する。この距離は、他の設計変数が指定されたら、最小限の実験で決定することができる。いくつかの例では、液体ディスペンサノズル230および注入器ノズル330の先端部は、約1/4インチの厚さを有する蓋カバー120の約1/2インチ上方に位置し、それにより、凍結流体の表面は、蓋カバー120の底面の下方に約1/8インチ~1インチに設定されている。
【0057】
図8は、一例による、ガス送達および制御システム400の概略図を示す。システム400は、注入器ノズル410、圧縮ガスの供給源(例えば、タンクまたはコンプレッサ)420と、注入器ノズル410を圧縮ガスの供給源420に接続する供給ライン430と、を備える。圧縮ガス源420は、供給ライン430を介してノズル410に運ばれるガスの流れを生成するように構成されている。システム400は、供給ライン430に沿って設置され、(例えば、保守目的または漏れの検出のために)供給ライン430に沿ったガスの流れを選択的に停止するように構成された遮断バルブ440(例えば、ボールバルブ)を含み得る。システム400は、供給ライン430に沿ってかつ遮断バルブ440の下流に設置された圧力調整器450を含み得る。圧力調整器450は、供給ライン430に沿ったガスフローの圧力を制御するように構成されている。システム400は、供給ライン430に沿ってかつ圧力調整器450の上流に設置されたソレノイドバルブ460を含み得る。ソレノイドバルブ460は、ガス流がノズル410に到達するのを遮断する閉鎖位置と、ガス流がノズル410に到達することを可能にする開放位置との間で切り替えることにより、ノズル410へのガスフローを制御するように構成されている。システム400は、供給ライン430に沿ってかつソレノイドバルブ460の上流に設置され、注入器ノズル410に到達するガスフローの流量を制御するように構成されたフローバルブ470を含み得る。圧力調整器450とフローバルブ470の組み合わせにより、注入器ノズル410における供給圧力の制御が可能になる。注入器ノズル410への供給圧力は、凍結流体の表面張力を適切に乱すのに十分な圧力でガスの流れを注入するように調整される。注入器ノズル410への供給圧力は、ガスの流れが凍結流体の飛散を促進しないように圧力を制限するようにさらに調整される。一例では、注入器ノズル410は、約10から40ポンド/平方インチ(PSI)の供給圧力範囲でガスの流れを注入するように構成されている。いくつかの好ましい例では、注入器ノズル410は、約20から30PSIの供給圧力範囲のガスの流れを注入するように構成されている。
【0058】
送達および制御システム400は、流体室が注入器ノズル410の下に位置付けられているときにのみ、注入器ノズル410が短いバーストで流体室にガスを注入できるようにしてもよいか、または、注入器ノズル410が一定のガスの流れを分注できるようにしてもよく、それにより流体室は、流体室と注入器ノズル410との間の相対運動によってガスの流れに出入りする。図8を参照すると、いくつかの例では、送達および制御システム400は、ソレノイドバルブ460の動作を制御するためにソレノイドバルブ460と通信する制御ユニット480を備える。一例では、システム400は、流体室が注入器ノズル410の下に設置されたときにのみガスを注入するように構成されており、それにより、制御ユニット480は、流体室に対する注入器ノズル410の検出位置に基づいてソレノイドバルブ460を開くように構成されている。一例では、システム400は、トランスポータ100がノズル410の下に流体室126を配置する位置にあるときに、トランスポータ100の位置を監視し、制御ユニット480と通信してソレノイドバルブ460を開くセンサ490を含み得る。
【0059】
一例では、制御ユニット480は、1つ以上のプロセッサと、コンピュータ記憶媒体(例えば、揮発性および不揮発性メモリ)と、センサ490およびソレノイドバルブ460にリンクされた1つ以上のコネクタ、受信機、送信機、およびトランシーバと、を含む。制御ユニット480は、センサ490と電気通信し、センサ480から信号を受信するように構成されている。制御ユニット480は、受信した信号に基づいて、トランスポータ100(例えば、ベース130またはドラム110)の回転速度または角度位置を決定するように構成されている。制御ユニット480は、ソレノイドバルブ460と電気通信し、ソレノイドバルブ460にコマンドを送信して、トランスポータ100の回転速度または角度位置に基づいて開放位置と閉鎖位置とを切り替えるように構成されている。したがって、制御ユニット480は、ガス注入器400が、トランスポータ100の回転速度または角度位置に基づいてガス流を選択的に注入することを可能にする。
【0060】
一例では、制御ユニット480は、それぞれの流体室が第2の位置にあるときのみ、それぞれの流体室に収容された凍結流体の表面を横切るようにガス流を注入するようにガス注入器400を制御する。一例では、流体室の前縁部が注入器ノズル410の下方に位置付けられると、ガス注入器400がガスの流れの注入を開始し、流体室の後縁部が注入器ノズル410の下方に位置付けられるまでガスの流れを注入し続け、それにより、ガスの流れが、流体室の直径全体に沿って横方向に凍結流体の表面に当たる。流体室の後縁部が注入器ノズル410から離れた後、制御ユニット480は、ソレノイドバルブ460に閉鎖位置に切り替えるように命令し、それにより、別の流体室の前縁部が注入器ノズル410の下に位置付けられるまでガスフローを停止する。他の例では、ガス注入器400は、カルーセルが各流体室を第1の位置と第2の位置との間で移動させている間にガス流を連続的に注入するように構成されている。
【0061】
一例では、センサ490は、トランスポータ100のベース130の下に設置された光センサであり、光ビーム494を送信するように構成された送信機(492)と、光ビームを受信するように構成された受信機(496)と、を備える。受信された光ビームの干渉が、センサ490をトリガして信号を生成する。一例では、図7に示すように、トランスポータ100は、ベース130の周囲に沿って空間的に配設された複数の突出部134を含み、それにより、各突出部134は、センサ490の送信機492と受信機496との間で回転するように構成されており、それにより、突出部134のうちの1つが光ビーム494を遮断するときに、センサ490をトリガして信号を生成する。センサ490は、トランスポータ100の角度位置を示す信号を生成するように構成されている。一例では、ベース130の周囲に沿った突出部134間の角度分離は、(例えば、図5のボックスA-Aに示すように)蓋カバー120に沿った流体室126の開口部の各グループ間の角度分離に対応し、それにより、各突出部134が流体室126の開口部のそれぞれのグループに対応する。したがって、各突出部134は、流体室126の開口部のそれぞれのグループが注入器ノズル330のセットと位置合わせされ、流体室126の開口部の別のそれぞれのグループがディスペンサノズル230のセットと位置合わせされたときに、センサ490をトリガするように構成されている。別の例では、突出部134の各対の間の角度変位は、流体室126の開口部のそれぞれのグループに対応し、それにより、センサ490による突出部134のうちの1つの検出が、液体液滴の分注を停止するようディスペンサノズル230をトリガし、かつ、ガスの流れの注入を停止するよう注入器ノズル330をトリガする。
【0062】
凍結試薬球体の調製プロセス
本明細書では、凍結試薬球体を生成し、かつ収集するための非限定的な例示的なプロセスが説明される。いくつかの非限定的な例では、上述の方法50および装置1000は、本明細書で説明されるように、凍結試薬球を生成し、かつ収集する例示的なプロセスのために実装され得る。一例では、バルク液体試薬は、バルク試薬ボトル内で調製されてもよい。バルク液体試薬は、図3および4に示される液体ディスペンサ200などの液体ディスペンサによって、アリコート(例えば、24μLのサンプルサイズ)で凍結流体(例えば、極低温液体)に分注された。バルク液体試薬は、ポンプ(例えば、IVEK(登録商標)ポンプ)によって液体ディスペンサに供給されてもよい。一例では、ポンプは、バルク試薬のアリコートを、図3および4に示される液体ディスペンサノズル230などの液体ディスペンサノズルを介して、液体窒素(LN2)を収容する図3に示す流体室126などの流体室へと独立して輸送するようにそれぞれ構成された4つの別個の供給ラインを備える。アリコートの分注率は、LN2槽の構成、液滴の物理的パラメータ、流体室の回転速度など、いくつかの要因に基づいて変化する可能性がある。一例では、液体のアリコートは、約3.2秒ごとの速度で分注されてもよい。
【0063】
LN2は、図3および4に示されるドラム110およびカバー120などの蓋カバーで囲まれたステンレス鋼ドラムに保持されてもよい。ドラムは、LN2を保持するように構成された槽(例えば、50ガロンの槽)を備え得る。蓋カバーは、流体室を形成する複数の穿孔された孔を備え得る。複数の流体室は、図5に示される流体室126のグループなどの、4つの流体室のグループに配設されてもよく、それにより、流体室のグループが第1の位置に設定されているときに、グループ内の各流体室は、それぞれの液体ディスペンサノズルと位置合わせされる。スループットを向上させるために、ドラムをスピンドルの周りで回転させることにより、流体室とLN2槽を回転させて、流体室の第1グループがそれぞれ第1の分注された液体試薬のアリコートを受容するようにする。分注された液体試薬のアリコートがLN2で満たされた槽の底部に沈む前に、LN2の表面に浮遊する場合がある。第2の液体試薬のアリコートを分注する前に、第1の分注された液体試薬のアリコートがLN2の表面の下に確実に沈むようにするために、流体室の第1のグループを第1の位置から、流体室の第1のグループがガス注入器ノズルのセットの下に設置されている第2の位置に回転させてもよい。流体室の第1のグループが第2の位置に向かって移動するにつれて、流体室の第2のグループは、液体分注ノズルと位置合わせするように移動する。したがって、次に、第2の液体試薬のアリコートを、流体室の第2のグループに分注してもよい。次に、流体室の第2のグループが第2の位置に回転してもよく、それにより、流体室の第2のグループがガス注入器ノズルの下に設置される。液体試薬のアリコートをそれぞれのグループの流体室に分注し、それぞれのグループの流体室を第2の位置に輸送するサイクルを繰り返して、凍結液体試薬球体のバッチを調製することができる。
【0064】
ドラムの回転速度およびポンプの分注速度は、図7に示されるベース130などのドラムのベースに取り付けられた突出部、送信機、および、図4に示されるセンサ490などのセンサを提供することによって調整することができる。いくつかの例では、蓋カバーは、図3に示される蓋カバー120およびドラム110などのドラムに接続されており、それにより、蓋カバーは、スピンドルによって定義される回転軸の周りでドラムと共に回転することができる。蓋カバーの回転速度をポンプディスペンサの速度と調整することで、分注された液体試薬のアリコートを流体室に確実に滴下させる。いくつかの例では、図4に示されているモータ150などのモータは、ドラムの回転速度をモータの速度を制御することによって制御できるように、スピンドルによってドラムのベースに結合されている。
【0065】
蓋カバーは、約1.5RPMの速度で回転してもよい。回転速度は、流体室と蓋カバーの中心点との間に定義された半径に基づいて選択することができる。いくつかの例では、凍結流体中の分注された液体試薬の平均滞留時間は約10秒であると計算されるため、モータの回転速度(RPMなど)は、分注された液体試薬のアリコートの大半に、流体室が回転して液体ディスペンスノズルの下の第1の位置に戻り、第2の液体試薬のアリコートを受容する前に、LN2の表面の下方に落下するための適切な時間を提供するように選択される。
【0066】
ただし、いくつかの理由により、分注された液体試薬のアリコートのすべてが1回の回転でLN2の表面の下方に沈むわけではない。したがって、いくつかの例では、図3に示されるガス注入器300などのガス注入器はドラムに隣接して設置されており、ガス注入器は、第2の位置に設定されているときに、流体室の各グループと位置合わせされるように配設された複数のガス注入器ノズルを備える。いくつかの例では、ガス注入器は、加圧酸素を収容するタンク、4つのガス供給ライン、および、図8に示すガス送達システムなどの各ガス供給ラインに接続された注入器ノズルを備える。ガス注入器ノズルは、流体室が最初に液体分注ノズルの下の第1の位置から回転して離れた後、約10秒で流体室に収容された流体の表面を横切る空気の流れを注入するように配置され得る。いくつかの例では、流体室が回転して最初に第1の位置から離れ、第2の位置に来るときと、ガス注入器がガスの流れを注入するときとの間の時間間隔は、平均滞留時間より長く設定されている。ガス注入器は、流体室がガス注入器のノズルと位置合わせされている第2の位置に流体室が到達したときに、空気のバーストを送達するように構成され得る。いくつかの例では、ガス送達システムはさらに、圧力計、圧力調整器、ソレノイドおよび流量バルブ、および、図8に示すガス送達システムなどの制御ユニットをさらに備え、ガス注入器からの空気の注入が、流体室の位置決めと適切にタイミングを合わせることを確実にする。
【0067】
いくつかの例では、複数のガス注入器ノズルはそれぞれ、流体室に収容された流体の表面を横切るように空気の流れを注入して、LN2の表面張力を破壊するように構成されている。したがって、LN2の表面に浮遊する任意の液体試薬のアリコートは、流体室が流体ディスペンスノズルの下の第1の位置に戻り、第2の分注された液体試薬のアリコートを受容する前に、LN2に沈む。
【0068】
いくつかのサイクルに続いて、液体および空気バーストの分注を停止することができ、ドラムおよび蓋カバーの回転を停止することができる。流体室に収容された流体は、分注された液体試薬のアリコートを凍結して凍結球体にし、凍結球体は流体室の底部に向かって沈む。凍結球体を回収するために、ストレーナバスケットをドラムの底の内部に沿って設置することができる。例えば、図9に示されるように、ドラム110内に設置されたストレーナバスケット142は、ハンドルロッド140などの蓋カバーの中央開口部を通って延在するバスケット回収シャフトに取り付けられてもよい(これもまた、図3に示される)。したがって、ストレーナバスケット142によって捕捉された凍結試薬球体15は、ストレーナバスケット142がドラム110から取り外されるようにハンドルロッド140をつかんで引っ張ることによって収集することができる。LN2から取り出されると、凍結試薬球体15は、凍結乾燥トレイに移されて、凍結乾燥プロセスを受けることができる。
【0069】
添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」という用語は、「備える(comprising)」というそれぞれの用語の平易な英語の同等物として使用される。「備える(comprising)」および「含む(including)」という用語は、列挙された要素を含むだけでなく、任意の追加の要素をさらに包含し、非限定的であることを本明細書において意図する。さらに、以下の請求項では、「第1(first)」、「第2(second)」、および「第3(third)」などという用語は、単にラベルとして使用され、オブジェクトに数値要件を課すことを意図したものではない。さらに、以下の請求項の制限は手段と機能の形式で記述されておらず、このような請求項が、さらなる構造を持たない機能の記述が後に続く「ための手段(means for)」の句を明示的に使用しない限り、35 USC§112(b)に基づいて解釈されることを意図しない。
【0070】
本開示の主題は、ある例証的実施形態を参照して、特徴の種々の組み合わせおよび部分的組み合わせを含め、かなり詳細に説明され、かつ図示されているが、当業者は、本開示の範囲内に包含される、他の実施形態ならびにその変形例および改変を容易に理解するであろう。さらに、そのような実施形態、組み合わせ、および部分的組み合わせの説明は、請求項に記載の主題が、請求項に明示的に列挙されるもの以外の特徴または特徴の組み合わせを要求することを伝えることを意図するものではない。従って、本開示の範囲は、以下の添付請求項の趣旨および範囲内に包含される全ての改変および変形例を含むものと見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】