IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラウン ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特開-体毛除去装置 図1
  • 特開-体毛除去装置 図2
  • 特開-体毛除去装置 図3
  • 特開-体毛除去装置 図4
  • 特開-体毛除去装置 図5
  • 特開-体毛除去装置 図6
  • 特開-体毛除去装置 図7
  • 特開-体毛除去装置 図8
  • 特開-体毛除去装置 図9
  • 特開-体毛除去装置 図10
  • 特開-体毛除去装置 図11
  • 特開-体毛除去装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128036
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】体毛除去装置
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20240912BHJP
   B26B 19/04 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
B26B19/38 C
B26B19/04 U
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108987
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2022032088の分割
【原出願日】2019-03-20
(31)【優先権主張番号】18164337.0
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フュアースト
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト アイヒホルン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ルートヴィヒ ヴォルフガング フュエルグラーベ
(57)【要約】
【課題】体毛除去装置を提供する。
【解決手段】皮膚表面に沿って移動させるハンドルに取り付けられた作業ヘッドを備え、作業ヘッドは皮膚接触輪郭を画定する除毛ツールを含み、除毛ツールは支持構造体によって皮膚接触圧下でハンドルに対して可動であり、ハンドルに対する作業ヘッドの皮膚接触輪郭を枢動可能にし、付勢装置が除毛ツールに運動抵抗を付勢及び/又は提供するために設けられ、支持構造体及び付勢装置はハンドルに対する皮膚接触輪郭の枢動軸を中心にした0.75N以下で0Nよりも大きい接触圧下で-15度から+15度の範囲以上で任意の角度及び/又は1.5N以下の接触圧下で-20度から+20度の範囲以上で任意の角度で枢動可能に構成され、接触圧はカップ形状または縦長形状の外縁および/または内縁部分に作用する力のため、カップ形状の除毛ツールの外縁および/または内縁部分に作用し、付勢装置が皮膚接触圧の非存在下で除毛ツールを所定及び/又は中立位置に付勢するため設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体毛除去装置であって、作業ヘッド(2)であって、皮膚表面に沿って前記作業ヘッド(2)を移動させるためのハンドル(3)に取り付けられた作業ヘッド(2)を備え、前記作業ヘッド(2)は前記作業ヘッド(2)の皮膚接触輪郭(9)を画定する少なくとも1つの除毛ツール(4)を含み、前記少なくとも1つの除毛ツール(4)は、支持構造体(11)によって皮膚接触圧下で前記ハンドル(3)に対して可動であり、前記ハンドル(3)に対する前記作業ヘッドの皮膚接触輪郭(9)の枢動を可能にし、付勢装置(10)が、前記除毛ツール(4)に運動抵抗を付勢及び/又は提供するために設けられ、前記支持構造体(11)及び前記付勢装置(10)は、前記ハンドル(3)に対する前記皮膚接触輪郭(9)の枢動軸(8、14)を中心にした0.75N以下で0Nより大きい接触圧(F)下で-15度から+15度の範囲以上で任意の角度(α)及び/又は1.5N以下の接触圧下で-20度から+20度の範囲以上で任意の角度(α)での枢動を可能にするように構成され、前記接触圧(F)は、カップ形状または縦長形状の外縁および/または内縁部分に作用する力のため、カップ形状または縦長形状の前記除毛ツール(4)の外縁および/または内縁部分に作用し、前記付勢装置(10)が、皮膚接触圧の非存在下で前記除毛ツール(4)を所定及び/又は中立位置に付勢するため設けられている、体毛除去装置。
【請求項2】
前記支持構造体(11)及び前記付勢装置(10)が、前記ハンドル(3)に対して前記皮膚接触輪郭(9)の枢動軸(8、14)を中心にした0.75N以下の接触圧(F)下で-22.5度から+22.5度の範囲以上で任意の角度(α)及び/又は1.25N以下の接触圧下で-30度から+30度の範囲以上で任意の角度(α)での枢動を可能にするように構成されている、請求項1に記載の体毛除去装置。
【請求項3】
-前記少なくとも1つの除毛ツール(4)が、作業ヘッドフレーム(12)に対して移動可能に支持され、
-前記作業ヘッドフレーム(12)が、前記ハンドル(3)に対して枢動可能に支持されて、
前記ハンドル(3)に対して枢動軸(8、14)を中心にした前記皮膚接触輪郭(9)の枢動を可能にし、前記支持構造体(11)及び前記付勢装置(10)が、前記ハンドル(3)に対して枢動軸(8)を中心にした接触圧(F1)下で-20度から+20度の範囲以上で任意の角度(α1)での前記作業ヘッドフレーム(12)の枢動を可能にし、前記作業ヘッドフレーム(12)に対して前記除毛ツール(4)を移動させることによって前記枢動軸(8)に平行な枢動軸を中心に接触圧(F2)下で-2度から+2度の範囲以上で任意の角度(α2)での前記皮膚接触輪郭(9)の枢動を可能にするように構成され、前記作業ヘッドフレーム(12)を枢動させる前記接触圧(F1)が、前記作業ヘッドフレーム(12)に対して前記除毛ツール(4)を移動させる前記接触圧(F2)よりも小さい、請求項1または2に記載の体毛除去装置。
【請求項4】
前記作業ヘッドフレーム(12)を枢動させる前記接触圧(F1)が0.5N以下であり、前記作業ヘッドフレーム(12)に対して前記除毛ツール(4)を移動させる前記接触圧(F2)が1.5N以下である、請求項3に記載の体毛除去装置。
【請求項5】
前記皮膚接触輪郭(9)が前記ハンドル(3)に対して枢動可能である枢動角度(α)を調節するための枢動範囲調節装置(13)が設けられ、前記枢動角度(α)は第1の設定と第2の設定とで異なり、特に、前記枢動角度は、前記第1の設定及び第2の設定の両方の間で約0度又は3度から変わる、請求項1~4のいずれか一項に記載の体毛除去装置。
【請求項6】
前記第1の設定において、前記角度(α)が+/-30度未満及び+/-20度超であり、前記第2の設定において、前記角度(α)が+/-20度未満及び+/-2度超である、請求項5に記載の体毛除去装置。
【請求項7】
前記枢動範囲調節装置(13)が、少なくとも+/-2度~+/-20度の角度(α)の連続調節、及び/又は少なくとも+/-5度~+/-20度の角度(α)の少なくとも3つの段階を含む段階的調節を可能にするように構成されている、請求項5または6に記載の体毛除去装置。
【請求項8】
前記付勢装置(10)及び/又は前記支持構造体(10)は、異なる枢動抵抗力及び/又は枢動抵抗トルクを提供する付勢調節装置(26)及び/又は枢動抵抗制御装置によって枢動抵抗力及び/又は枢動抵抗トルクに関して調節可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載の体毛除去装置。
【請求項9】
前記枢動範囲調節装置(13)が、前記付勢調節装置(26)及び/又は枢動抵抗制御装置に連結され、前記角度(α)が減少すると前記枢動抵抗力及び/又は枢動抵抗トルクが増加するように構成されている、請求項8に記載の体毛除去装置。
【請求項10】
電子制御ユニットによって制御される調節アクチュエータ(25)は、除毛セッション中に前記体毛除去装置を操作するときに検出器(26)によって検出された少なくとも1つの処理パラメータに応答して、前記皮膚接触輪郭(9)が前記ハンドル(3)及び/又は前記枢動抵抗力/トルクに対して枢動可能である前記枢動角度(α)を自動的に調節するために、設けられている、請求項9に記載の体毛除去装置。
【請求項11】
前記検出器(26)は、検出された皮膚接触圧に応答して前記調節アクチュエータ(25)を制御するように構成された前記制御ユニットに対して、前記作業ヘッド(2)の皮膚接触圧を示す信号を提供する皮膚接触圧センサを含む、請求項10に記載の体毛除去装置。
【請求項12】
前記除毛ツール(4)を駆動するためのモータが、枢動に対して前記作業ヘッドの慣性を低減するために前記ハンドル(31)に収容されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の体毛除去装置。
【請求項13】
スイッチが、前記付勢調節装置(26)及び/又は前記枢動抵抗制御装置をオン及びオフにするために設けられている、若しくは自動スイッチ動作装置が、前記検出器によって検出された少なくとも1つの処理パラメータに応じて、前記付勢調節装置(26)及び/又は前記枢動抵抗制御装置のオン及びオフを自動的に行うために設けられている、請求項10または11に記載の体毛除去装置。
【請求項14】
前記支持構造体(11)及び/又は前記付勢装置(10)が、前記ハンドル(3)に対して、前記皮膚接触輪郭(9)によって前記皮膚に加えられる前記接触圧(F)及び/又は皮膚接触圧に応じて異なる角度(α)範囲で前記皮膚接触輪郭(9)の枢動を可能にするように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の体毛除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体毛除去装置、特に、電気かみそりであって、作業ヘッドであって、皮膚表面に沿って作業ヘッドを移動させるためのハンドルに取り付けられた作業ヘッドを備え、作業ヘッドは、当該作業ヘッドの皮膚接触輪郭を画定する少なくとも1つの除毛ツールを含み、当該少なくとも1つの除毛ツールは、支持構造体によって皮膚接触圧下で当該ハンドルに対して可動であり、ハンドルに対する作業ヘッドの皮膚接触輪郭の枢動を可能にする。
【背景技術】
【0002】
電気かみそり、脱毛器、又はひげトリマーなどの体毛除去装置は通常、男性のひげ及び女性の足によく見られるような、長体毛並びに中体毛及び短体毛及び無精ひげを除去することを可能にする様々な種類の除毛ツールを含む。短体毛カッターは、薄い柔軟なメッシュスクリーン又は開口又は穿孔フォイルと協働する可動カッターブレード又はアンダーカッターを含むことができ、そのようなメッシュスクリーン又はフォイルは、丸い細長い輪郭を有し、アンダーカッターはメッシュスクリーンのそのような細長い丸い輪郭の下で長手方向軸に沿って往復運動することができる。他のタイプの短体毛カッターは、回転式カッター要素を使用して、短体毛カッターは、振動式又は連続式に駆動されてもよく、当該回転式カッター要素を覆う円盤形状メッシュスクリーンと協働してもよい。メッシュスクリーン又は穿孔フォイルを剃毛される皮膚表面上にスライド可能に案内することにより、個々の毛幹がスクリーン又はフォイルに形成された穴に入りそして切断ブレードの移動により切断される。
【0003】
中体毛及び/又は長体毛繊維の場合、別々の体毛トリマーを作業ヘッドに設け、そのようなトリマーを短体毛カッターの1つに隣接して配置することができる。例えば、このようなトリマーは、細長い円形メッシュスクリーン又は短いカッターの穿孔された箔のうちの1つに沿って延在する細長いブロックを形成してもよい。そのようなトリマーは、互いに往復運動する一対の鎌状フィンガバーを有するカッターバーを含むことができるが、比較的大きな開口を有するフォイル又はカバープレートも含むことができ、その下で切断ブレードを有するアンダーカッターが往復又は連続的に回転して開口に入る体毛を切断する。
【0004】
良好な除毛性能を達成するために、当該短体毛カッター、長体毛カッター、及びその他の除毛ツールは、処理される皮膚に対して実質的に垂直に位置付けられるべきであるが、不均一な皮膚輪郭及び皮膚表面配向のせいで、除毛ツールが実際に表面に対して垂直となる位置に装置のハンドルを保持するためにユーザの手を不自然にねじらせる必要があるので困難な場合がある。
【0005】
誤った配向に保持されるハンドルを補正するため、支持構造体によって皮膚接触圧下でハンドルに対して可動に支持される除毛ツールを備え、作業ヘッドの皮膚接触輪郭が皮膚表面の配向に適合できるように、ハンドルに対して作業ヘッドの皮膚接触輪郭を枢動させることが知られている。除毛ツールの向きのこのような枢動可能な自己適合は、除毛ツールの多軸可動性を含む様々な方法で達成することができる。例えば、いくつかの支持構造体は、作業ヘッドフレーム全体のハンドルに対する一軸又は多軸枢動を可能にし、作業ヘッドフレームの枢動に加えて、作業ヘッドフレームに対する短体毛カッター及び/又はトリマーツールの潜り/浮上及び/又は枢動を可能にする。例えば、一対の短体毛カッター及び長体毛カッターなどの1つ以上の除去ツールが存在する場合、皮膚接触輪郭に実質的に垂直な方向に又は実質的に円形路に沿って短体毛カッターを作業ヘッドフレーム内に潜らせることで、例えば、1つの除毛ツールが潜っており、他の除毛ツールが複数の除毛ツールへの非対称皮膚接触圧下にないときに皮膚接触輪郭の枢動を達成することができる。
【0006】
そのような自己調節作業ヘッド及び除毛ツールでは、皮膚輪郭及び皮膚表面配向に対して十分な自己適合を達成すると同時に、皮膚接触圧を増加させて特定の領域で完全な除毛を達成する際に制御の感触をユーザに与えることが厄介である。不十分な自己適合となる理由の1つは、実際には、ユーザによっては低刺激処置を望み、作業ヘッドを皮膚に優しく押し付けるからである。一方、ユーザによっては、例えば、作業ヘッドの皮膚接触輪郭による過度の自己適合の悪影響を受ける鼻の下の上唇領域において、完全な除毛を達成するために比較的高い接触圧を加える。
【0007】
例えば、文献EP1854593B1は、皮膚輪郭及び皮膚表面配向への自己適合を達成するために、ハンドルに対して枢動可能な1セットの短体毛カッター及び長体毛カッターを備えた作業ヘッドを有する電気かみそりについて記載している。作業ヘッドの重量による望ましくない枢動を回避するため、例えば、かみそりが直立に保持されず、実質的に水平位置にあって、シェーバーヘッドの重量が枢動軸に対してレバーアームによるトルクを生成する場合、望ましくない枢動傾向を補正する釣り合い重量を加えることが提案されている。より具体的には、重量印加部材が、枢動可能な作業ヘッド構造体に連結されて、作業ヘッドの主要部分の反対側の枢動軸側まで延在する。しかしながら、かかる釣り合い重量は、作業ヘッド構造体の慣性を大幅に増大させて、携帯装置の機敏性を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP1854593B1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の根底にある目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを回避し、及び/又は既存の解決法を更に発展させる、改善された体毛除去装置を提供することである。本発明の根底を成すより具体的な目的は、皮膚輪郭及び皮膚表面配向の変化に対する自己適合が改善された体毛除去装置の改良作業ヘッド構造を提供することである。本発明の基礎を成す別の目的は、徹底した処理を達成するため、作業ヘッドを皮膚部分に押し付けたときに良好な制御感を提供しつつ、皮膚への低刺激処理と共に広範囲な角度にわたって複雑な皮膚輪郭に対する除毛ツールの自己適合を簡易化することである。
【0010】
上記目的のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の特徴を有する体毛除去装置によって達成される。上記目的のうちの少なくとも1つは、請求項6に記載の特徴を有する体毛除去装置によっても達成される。上記目的のうちの少なくとも1つはまた、請求項15に記載の特徴を有する体毛除去装置によっても達成される。有利な実施形態は従属請求項の特徴によって与えられる。
【0011】
前述の目的のうちの少なくとも1つを達成するために、体毛除去装置は、低刺激処理を達成するために作業ヘッドを皮膚に沿って慎重に摺動させるときでも、所定の角度範囲にわたって作業ヘッドの皮膚接触輪郭を枢動させるための改良作業ヘッド構造を有する。より具体的には、作業ヘッドの皮膚接触輪郭は、小さな接触圧で、比較的大きな角度範囲にわたって枢動軸を中心に枢動させることができる。一態様によれば、ハンドルに対して除毛ツールを移動可能に支持する支持構造体は、ハンドルに対して0.75N以下の接触圧下で+/-15度以上の角度、及び1.5N以下の接触圧下で+/-20度以上の角度での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成される。支持構造体のかかる構成は、小さな接触圧で皮膚の低刺激処置中の広範囲にわたる自己適合を可能にする。
【0012】
より具体的には、当該支持構造体は、ハンドルに対して0.75N以下の接触圧下で+/-22.5度以上の角度、及び1.25N以下の接触圧下で約+/-30度以上の角度での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成されてもよい。
【0013】
皮膚接触輪郭の枢動を達成するため、及び/又は皮膚接触輪郭の特定の角変位を達成するために必要な作業ヘッド及び/又は除毛ツールに加えられる枢動抵抗、すなわち、力及び/又はトルクは、ある程度、支持構造体の摩擦抵抗及び/又は例えば除毛ツールとモータ位置との間の駆動構造体の連結による摩擦抵抗の結果から生じ得、及び/又は支持構造体の一部を形成し得る枢動抵抗制御装置によって制御されてもよい。
【0014】
支持構造体は、除毛ツールを変更位置及び/又は皮膚接触圧の非存在下の(予め定義された)中立位置に付勢するための付勢装置を含んでもよく、付勢装置は、例えば、除毛ツールを中立位置に向けて付勢しようとするばね装置を含んでもよい。このような中立位置は、皮膚接触輪郭が、例えば時計回り及び反時計回りの枢動という点で、対向する角度位置に向かって枢動することができる中間位置であってもよい。このような付勢手段又は支持構造体に加えて、又はそれに代えて、皮膚接触輪郭の角度位置を変更する及び/又は当該皮膚接触輪郭を枢動させるときに超える必要がある制動力及び/又は制動トルクを提供するための制動装置を含んでもよい。追加的又は代替的に、かかる付勢手段又は支持構造体は、作業ヘッドへの枢動抵抗/トルクを提供するダンパ又は制動装置を含んでもよい。枢動抵抗制御装置は、任意選択的にオン/オフを切換てもよい(自動切換オン/オフを含む)。
【0015】
上述の付勢装置が存在する場合、特定の枢動位置を達成するため、このような付勢装置によって提供される予張力を超える必要がある。上述したように、付勢装置は、小さな接触圧下での皮膚の低刺激処置中、自己適合を簡易化するために、比較的小さな枢動抵抗を提供するように構成されてもよい。しかしながら、体毛除去装置及びそのハンドルが直立位置又は水平位置に保持されているにもかかわらず、付勢装置は、除毛ツールを皮膚接触圧がかからない中立位置へ付勢するのに十分有効である。
【0016】
更に別の態様によれば、支持構造体は、枢動抵抗及び作業ヘッドの皮膚接触輪郭が枢動することができる角変位範囲に関して調節可能である。より具体的には、皮膚接触輪郭がハンドルに対して枢動可能である枢動角度を調節する枢動範囲調節装置が設けられ、少なくとも、当該角度が+/-35度未満及び+/-5度超の第1の設定と、当該角度が+/-25度未満及び+/-5度超の第2の設定とを有するように調節され、当該第2の設定は第1の設定と異なる。
【0017】
当該枢動範囲調節装置は、枢動抵抗制御装置に連結されてもよく、皮膚接触輪郭が枢動し得る角度範囲を低減するときに枢動抵抗を増加するように構成されてもよい。換言すれば、枢動範囲を低減すると、作業ヘッド及び除毛ツールの剛性が増加して、より良好な制御感が提供される。
【0018】
これら及び他の利点は、図面及び可能な例に言及する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ハンドルとハンドルに取り付けられた作業ヘッドとを備える電気かみそりに関する体毛除去装置の正面図であり、当該作業ヘッドは1セットの毛髪切断ツールを含む。
図2】除毛ツールが中立位置にある、図1の電気かみそりの作業ヘッドの側面図である。
図3図2と同様の作業ヘッドの側面図であり、除毛ツールは、非対称の接触圧下で潜伏位置をとることによって作業ヘッドの皮膚接触輪郭の枢動を提供する。
図4図2及び3と同様の作業ヘッドの側面図であり、枢動軸を中心とした作業ヘッドフレームの枢動を示す。
図5図2~4の作業ヘッドの上面図であり、多軸枢動を可能にする旋回軸及び傾斜軸を示す。
図6図1と同様の電気かみそりの部分断面正面図であり、作業ヘッド及び除毛ツールを往復運動させるための駆動系の内部支持構造体が示されている。
図7図6の駆動列の拡大断面図であり、一対のローラ軸受間の枢動可能駆動プレートの配置を示す。
図8】作業ヘッドを支持及び付勢するための内部支持構造体及び付勢装置の概略側面図であり、角枢動範囲及び付勢力を調節するための調節装置を示す。
図9図2~4と同様の作業ヘッドの側面図であり、部分図(a)は除毛ツールの中立位置を示し、部分図(b)は、接触圧F1下での約角度α1の作業ヘッドフレームの枢動を示し、部分図(c)は、接触圧F2下で枢動角度α2だけ除毛ツールの1つを潜らせることによる皮膚接触面の枢動を示す。
図10図9に基本的に類似する作業ヘッドの側面図であり、作業ヘッドフレームが枢動可能に支持されているが、除毛ツールが作業ヘッドフレームに対する除毛ツールの枢動を可能にする回転ディスク状のタイプであるという点で図9の例とは異なる。
図11】特定の接触圧下で達成可能な枢動角度の関数的関係を示す図であり、暗灰色領域は、他の実施例よりも有用な枢動角度及び接触圧の範囲を示す。
図12】作業ヘッドの皮膚接触輪郭に作用する皮膚接触圧下でのハンドルに対する図1~9の電気かみそりの作業ヘッドの枢動角度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
皮膚輪郭へより良好に適合させ、ハンドルの「誤った」配向を補正するため、体毛除去装置は、作業ヘッドが皮膚に沿って慎重に摺動されて低刺激処置を実行する場合であっても、広い角度範囲にわたって作業ヘッドの皮膚接触輪郭の枢動運動を可能にする改善された作業ヘッド構造体を有する。より具体的には、作業ヘッドの皮膚接触輪郭は、小さな接触圧下で比較的広い範囲にわたって枢動させることができる。一態様によれば、ハンドルに対して除毛ツールを移動可能に支持する支持構造体と、皮膚接触圧の非存在下の中立位置であってもなくてもよい変更位置まで除毛ツールを付勢する付勢装置は、ハンドルに対して0.75N以下の接触圧下で約+/-15度以上の角度、及び/又は1.5N以下の接触圧下で約+/-25度以上の角度での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成される。支持構造体及び付勢装置のかかる構成は、小さな接触圧での皮膚への低刺激処置中、広範囲にわたる自己適合を可能にする。体毛除去装置及びそのハンドルは直立位置又は水平位置に保持されているにもかかわらず、付勢装置は、除毛ツールを変更位置に付勢するのに十分有効である。より具体的には、当該付勢装置及び支持構造体は、ハンドルに対して0.75N以下の接触圧下で+/-22.5度以上の角度、及び1.25N以下の接触圧下で約+/-30度以上の角度での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成されてもよい。
【0021】
更に別の態様によれば、付勢装置及び支持構造体は、枢動抵抗及び作業ヘッドの皮膚接触輪郭が枢動し得る抵抗及び角度範囲を調節可能である。より具体的には、皮膚接触輪郭がハンドルに対して枢動可能である枢動角度を調節するための枢動範囲調節装置が設けられ、少なくとも、当該角度が+/-35度未満及び+/-5度超の第1の設定と、当該角度が+/-25度未満及び5度超の第2の設定とを有するように調節され、当該第2の設定は第1の設定と異なる。
【0022】
支持構造体の運動学は、異なる構成を有することができる。例えば、1つの枢動軸のみが存在してもよく、それを中心に作業ヘッド全体がハンドルに対して枢動可能である。代替的に、支持構造体は多軸枢動を可能にしてもよく、例えば、作業ヘッドが中立位置にあると考えた場合、旋回軸及び傾斜軸(二軸枢動の場合)が相互に実質的に直交し、作業ヘッドの皮膚接触輪郭の包括面に平行に延びる。追加的又は代替的に、少なくとも1つの除毛ツールは、作業ヘッドフレームに対して枢動し、潜る又は浮上することができる。
【0023】
より詳細には、少なくとも1つの除毛ツールが異なるレベルで枢動することが可能であり得る。
【0024】
別の態様によれば、少なくとも1つの除毛ツール又は除毛ツールの一部は、作業ヘッドフレームに対して可動に支持され、当該作業ヘッドフレームは、ハンドルに対して枢動可能に支持されて、ハンドルに対する皮膚接触輪郭の枢動を可能にしてもよく、支持構造体及び付勢装置は、ハンドルに対して接触圧F1下で+/-20度以上の角度α1での作業ヘッドフレームの枢動を可能にし、作業ヘッドフレームに対して除毛ツールを移動させることによって上記枢動軸に平行な枢動軸を中心に接触圧F2下で+/-2度又は+/-5度以上の角度α2での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成され、作業ヘッドフレームを枢動させる当該接触圧F1は、作業ヘッドフレームに対して除毛ツールを、若しくはヘッドフレームの可動部分をハンドル又はヘッドフレームの他の部分に対して移動させる当該接触圧F2よりも小さい。追加的又は代替的に、作業ヘッドフレームの一部は、ハンドル及び/又は作業ヘッドフレームの他の部分に対して移動してもよい。
【0025】
より具体的には、作業ヘッドフレームを枢動させる当該接触圧F1は0.5N以下であってもよく、作業ヘッドフレームに対して除毛ツールを移動させる当該接触圧F2は1.5N以下であってもよい。
【0026】
更に別の態様によれば、第2の設定とは異なる第1の設定を有するように、皮膚接触輪郭がハンドルに対して枢動可能である枢動角度αを調節する枢動範囲調節装置が設けられてもよい。好ましくは、両方の設定間の角度の差は、約0度以上、より好ましくは約3度である。好ましくは、第1の設定では、角度αが+/-35度未満かつ+/-5度超であり、第2の設定では、当該角度αが+/-25度未満で+/-5度超であり、当該第2の設定が当該第1の設定と異なる。
【0027】
従来技術のシェーバーにおいて、シェーバーヘッドがハンドルに対して枢動し得ないようにシェーバーヘッドをロックすることが知られている。これは、本発明の体毛除去装置の作業ヘッドに対しても可能である。しかしながら、そのようなロックに加えて、上記の枢動範囲調節手段は、最大枢動角度が異なる値(それぞれの値は0と異なる)を有するように設定することができる。換言すれば、最大枢動角度は、大きな値をとらせるように、かつより小さな値ではあるが0ではない値を有するように設定することができる。
【0028】
更に別の態様によれば、当該第1の設定では、角度αは+/-30度未満及び+/-20度超であってもよく、当該第2の設定では、角度αは+/-20度未満及び+/-5度超であってもよい。
【0029】
枢動範囲調節装置は、最大枢動角度を特定の範囲にわたって連続調節することができるように構成されてもよい。例えば、最大枢動角度を+/-5度~+/-20度の範囲にわたって調節することができる場合、連続調節とは、-5度~+20度の任意の値を最大許容枢動角度に設定することができることを意味する。そのような連続調節により、使用者のニーズに細かく応えることができる。
【0030】
加えて又は代替的に、枢動範囲調節装置は、最大枢動角度を段階的調節できるように構成されてもよく、そのような段階的調節は、例えば、+/-5°~+/-10°~+/-20°の少なくとも3段階を含んでもよい。そのような段階的調節により、より迅速な設定が可能となり、枢動範囲の変化のより迅速な認識につがなる。
【0031】
別の態様によれば、枢動抵抗制御装置は、作業ヘッドフレーム及び/又除毛ツールに加えられる力及び/又はトルクに対して、作業ヘッドの皮膚接触輪郭を特定の枢動位置へ付勢するために超える必要がある抵抗を調節可能であってもよい。調節装置が超える必要がある抵抗は、除毛ツールの枢動及び/又は浮上に対抗する抵抗を変動させることで、応答性及び制御感覚の調節を可能にする。より具体的には、抵抗力及び/又はトルクが増加すると、作業ヘッドはより積極的で機敏な操作を提供し、これは通常、鼻の下方の上唇などの特定の皮膚部分を入念に処理するときに認識される。一方、抵抗力及び/又はトルクが低減すると、作業ヘッドの皮膚接触輪郭はより容易に、すなわち、より刺激の少ない処置を可能にするためにより少ない抵抗で枢動することができる。
【0032】
付勢装置などの枢動抵抗制御装置の調節は、枢動剛性及び/又は浮動剛性の調節並びに枢動範囲の調節を同時に達成するために、枢動範囲の調節と同時に行うことができる。より具体的には、前述の枢動範囲調節装置は付勢装置及び/又は枢動抵抗調節装置に連結されて、1つの調節装置を始動することで、枢動抵抗力及び/又はトルク並びに枢動角度範囲を調節することができる。
【0033】
一態様によれば、枢動範囲調節は、角度枢動範囲が減少するにつれて抵抗力及び/又はトルクが増大するように、抵抗調節に連動されてもよい。一方、枢動角度範囲が増加すると、すなわち、最大許容枢動角度が増加すると、抵抗力及び/又はトルクが低減されて、広範囲にわたる容易な枢動を可能にする。
【0034】
前述の枢動範囲調節装置及び/又は付勢調節装置は、手動で枢動範囲及び/又は付勢を調節することができるように手動アクチュエータを備えてもよい。例えば、枢動範囲及び/又は付勢力/トルクの調節を可能にするために、摺動ノブ又は回転可能な調節要素が設けられてもよい。
【0035】
追加的又は代替的に、枢動範囲調節装置及び/又は付勢調節装置の自動又は半自動始動を可能にするために、電動モータ、磁気要素、又は流体圧シリンダなどの調節アクチュエータが設けられてもよい。例えば、このような調節アクチュエータは、除毛セッション中に体毛除去装置を操作するとき、対応する検出器によって検出される1つ以上の処理パラメータに応答して、電子制御ユニットによって制御されてもよい。例えば、体毛除去装置は、作業ヘッド及び/又は除毛ツールの皮膚接触圧を検出するための皮膚圧センサを備えてもよく、電子制御ユニットは、皮膚接触圧を示す皮膚接触センサの信号に応じて、調節アクチュエータに枢動範囲及び/又は付勢を変化させることができる。より具体的には、皮膚接触センサが、作業ヘッドが皮膚表面に対して強く押圧されていることを検出すると、調節アクチュエータは、付勢力及び/又は付勢トルクを増大する、及び/又は枢動調節範囲をより小さい最大枢動角度まで低減するように動作することができる。
【0036】
一態様によれば、スイッチが、付勢調節装置(26)及び/又は枢動抵抗制御装置をオン及びオフにするため設けられる、あるいは、例えば皮膚接触圧が特定の閾値を下回るときに自動的にオンオフを行うことができる。
【0037】
別の態様によれば、体毛除去装置は、当該支持構造体及び/又は当該付勢装置を備え、両装置は、皮膚接触輪郭が皮膚に加える接触圧及び/又は皮膚接触圧に応じて、ハンドルに対する約様々な角度範囲での皮膚接触輪郭の枢動を可能にするように構成される。作業ツールを皮膚に対して通常よりも強く押し付けるユーザは、例えば、比較的高い押圧力にもかかわらず、ヘッド枢動位置でのヘッド制御性を高めるため、比較的狭い枢動角度範囲にわたって比較的小さなシェーバーヘッドの可動性、及び/又は比較的困難な可動性を望むものと解釈される。
【0038】
これら及び他の特徴は図面に示す例から明らかになる。図1から分かるように、体毛除去装置は、ハンドル3を形成するかみそりハウジングを含む電気かみそり1として構成することができ、ハンドル3aの内部には、電気モータ及び電子制御ユニットを含む駆動ユニットが収容され得る。このようなハンドル3は、長手方向軸3lに沿って延びる、細長い実質的に骨形状の構成を有することができる。
【0039】
作業ヘッドは、当該ハンドル3の一端において当該ハンドル3に取り付けられてもよく、作業ヘッド2は、当該ハンドル3において移動可能に支持されてもよい。例えば、作業ヘッド2をハンドル3において支持する支持構造体11は、ハンドル3に対する作業ヘッド2全体の単軸又は多軸枢動(例えば、2軸又は不定/無制限な数の軸)及び/又は旋回を可能にすることができる。
【0040】
このような基本的可動性に加えて、作業ヘッド3は、ある種の内部移動を可能にすることができる。より詳細は、作業ヘッド2は、作業ヘッドの基部構造体に対して移動可能に支持された一対の短毛カッター5及び6並びにトリマー7を含むことができる複数の除毛ツール4を含む。また、作業ヘッドはウィングを含み、各ウィングが他のウィングに対して移動することができる少なくとも1つの毛髪切断ユニットを備えてもよい。
【0041】
より具体的には、作業ヘッド3は、ハンドル3に対する支持フレーム12、ひいては作業ヘッド2全体の枢動を可能にする枢動軸8の周りでハンドル3に枢動可能に支持され得る、支持フレーム又は作業ヘッドフレーム12を含むことができる。作業ヘッドがウィングを含む代替形態では、作業ヘッドは全体としてハンドルに対して移動可能であってもよいが、ウィングも個々にハンドルに対して、また互いに対して移動可能であってもよい。更に、各体毛カッターは、互いに対して、並びにハンドルと少なくとも1つの体毛カッターが設けられるウィングとに対して移動可能であってもよい。作業ヘッドフレームは、作業ヘッドが2つのウィング構造を含む場合、互いに対して移動可能である2つの部分に分割されてもよい。各ウィングは、1つ以上の毛切断ユニットを含んでもよい。
【0042】
当該枢動軸8は、短毛カッター4及び5を相互に分離する第1の平面に対して平行に、かつ、ハンドル3の上記の長手方向軸31に対して実質的に垂直に延在する第2の平面に対して平行に延びていてよい。
【0043】
図5から分かるように、上記の短毛カッター5及び6、並びに上記のトリマー7は、細長の実質的なブロック状及び/又は細長の略矩形状であってもよく、短毛カッター5及び6は表面が湾曲した可撓性メッシュスクリーンを含み、その下でアンダーカッター及び/又はカッターブレードブロックが往復運動することができる。一方、トリマー7は、互いに対して往復運動する一対の鎌状フィンガバー及び/又は切断ブレード付きアンダーカッターがその下で往復運動することができる、比較的大きな開口を有する開口付箔を含んでいてもよい。
【0044】
短毛カッター及びトリマーが上記のように細長い形状であることから、上記の短毛カッター5及び6並びにトリマー7の上面によって形成された作業ヘッド2の皮膚接触面は、帯状構成を有することができ、また全体として、上から見たときに矩形構成を有することができる。回転切断システムでは、皮膚接触面は、各回転切断ユニットの円形又はリング又はディスク形状部分を備え、それら全てが集って、ユーザの皮膚の皮膚接触輪郭に応じて、例えば凸状又は凹状又は平坦な皮膚接触輪郭を成してもよい。
【0045】
図3から分かるように、短毛カッター5及び6並びにトリマー7の観点から見た当該除毛ツール4は、作業ヘッドフレーム12に対して浮上でき、よって、少なくとも皮膚接触輪郭9が図2に示すように中立位置又は初期位置にあると考えた場合に、皮膚接触輪郭9に対して実質的に垂直な方向に沿って作業ヘッドツール内に潜ることができる。各除毛ツール4は個別に浮上又は潜ることができるので、皮膚接触輪郭9は、除毛ツール4の一方が潜り、他方が潜っていないときに枢動することができる。具体的には、非対称の皮膚圧力を受けた場合、短毛カッター5の一方は潜るのに対して、他方は潜らず、皮膚接触輪郭9は、上記の枢動軸8に実質的に平行な軸線の周りで枢動する。当該皮膚接触輪郭9は、皮膚輪郭をたどる線として図示されている。皮膚と接触している除毛ツール/切断ユニット/体毛カッターの部分もまた、皮膚接触輪郭9として理解される。皮膚接触面は、皮膚接触輪郭9を含んでもよい。
【0046】
図5から分かるように、多軸枢動が可能であり、第2の枢動軸14は上記の第1の枢動軸8に対して実質的に垂直に延びていてもよい。かかる第2の枢動軸14の周りの枢動も、異なるレベルで行われてよい。すなわち、支持構造体11は、作業ヘッドフレーム12をかかる第2の軸14の周りで枢動させることができてもよい、及び/又は除毛ツール4は、除毛ツール4がかかる第2の軸14の周りで作業ヘッドフレーム12に対して枢動するように、作業ヘッドフレーム12に対して非対称的に浮上及び/又は潜ってもよい。
【0047】
作業ヘッド2及びその除毛ツール4の多自由度により、作業ヘッド2及び/又は除毛ツール4に加わる力に対しては、図9及び10に示すように様々な枢動応答が生じ得る。
【0048】
図9に示すように、左短毛カッター5などの外側除毛ツール4の1つに作用する皮膚接触圧F1は、枢動軸8を中心に作業ヘッドフレーム12を枢動させることができる。作業ヘッドフレーム12の上記枢動は、枢動角度α1によって示される。
【0049】
一方、外側短毛カッター5などの外側除毛ツール4のうちの1つに加えられる皮膚接触圧F2も、当該外側短毛カッター5を潜らせ及び/又は浮上させる結果、皮膚接触輪郭9を枢動させる。作業ヘッドフレーム12に対する除毛ツール4の潜り及び/又は浮上による皮膚接触輪郭9の枢動は、枢動角度α2によって示される。図9(c)を参照されたい。ヘッドフレームが、互いに対して移動可能な2つの部分を含む代替的な場合において、切断ユニットの各部分の皮膚接触輪郭は、1つの線上でなくてもよい。
【0050】
付勢装置10、より具体的には、除毛ツール4及び/又は作業ヘッドフレーム12に加えられる付勢力及び/又は付勢トルクに応じて、除毛ツール4のうちの1つに加えられる力は、作業ヘッドフレーム12の少なくとも一部を枢動させる、及び/又は除毛ツール4の潜りによって皮膚接触輪郭9を枢動させることができる。
【0051】
当該付勢装置10は、除毛ツール4を作業ヘッドフレーム12に対して付勢するための別個の付勢要素10aを含み得、かかる付勢要素10aは、作業ヘッドフレーム12に対する除毛ツール4の潜り及び/又は浮上を回避しようとする、及び/又は除毛ツール4が作業ヘッドフレーム12に対して最大高さを有する中立位置にそのツール4を付勢しようとする。一方、付勢装置10は、作業ヘッドフレーム12をハンドル3に対して中立角度位置に付勢するための付勢要素10bを含むことができる。図8を参照されたい。作業ヘッドフレームの部分を互いに及び/又はハンドルに対して付勢するため、追加の付勢部が設けられてもよい。
【0052】
作業ヘッドフレームの少なくとも一部を所定の位置に付勢する付勢装置も設けてよい。この固定又は所定の位置は、必ずしも中央位置又はヘッドが重力のみに基づいて移動する位置ではない。代わりに、この固定位置は、例えば、切断ユニットが最も良く見える位置にヘッドがあるように設計されてもよい。
【0053】
図9(b)及び図9(c)に示すように、前述の力F1及びF2は、最外側の除毛ツール4に作用する力であってもよく、最外除毛ツールは、枢動軸に垂直な断面において、当該枢動軸に対して最も長いレバーアームを有する。除毛ツールの輪郭に応じて、当該力F1及びF2は、その中間部又はその外縁部において除毛ツールに作用し得る。例えば、短毛カッター5及び6が考慮されるとき、このようなツールは、実質的に丸みを帯びた半円筒形の皮膚接触輪郭を有してもよく、通常、このような樽状上部の中心部分が皮膚に接触する。したがって、現実的なアプローチは、力F1及びF2が短毛カッター5及び6の中央部分に作用すると仮定することである。図9(b)及び9(c)を参照されたい。
【0054】
一方、作業ヘッド2が図10に示すような回転式の略カップ形状の除毛ツール4を含む場合、現実的なアプローチでは、力F1及びF2はカップ状の回転カッターの外縁部及び/又は内縁部に作用して、回転カッターが関連するレバーアームを介して枢動し得る。
【0055】
いずれの場合も、すなわち、図9に示すような略円筒形の樽状のカッターが使用されるか、図10に示すようなカップ状のカッターが使用されるかに関係なく、当該力F1及びF2は、作業ヘッド2及び除毛ツール4の中立位置において皮膚接触輪郭9に対して実質的な垂直な方向に加えられると考えることができる。例えば、装置の中立位置で、当該皮膚接触輪郭9が図2に示すように水平である場合、力F1及びF2は垂直に加えられる。皮膚接触面は、皮膚接触輪郭9を含んでもよい。
【0056】
当該力F1及び/又はF2の判定は以下を含むことができる。
-かみそりは、電池を完全に充電する、又は(電池なしの製品の場合)コンセントに差し込むことでオンにされる。様々な設定が利用可能である場合は、最も高いヘッド振動レベル/最高電力レベルの設定が使用される。これらのレベルが異なる場合、最も高いヘッド振動レベルの設定が使用される。
-試験が、実験室条件下で実施される。
-かみそりは完全に洗浄される、例えば、全てのひげ及び汚れが除去される。
-相対運動を行う全ての部品は、(洗浄後、試験前に)機械油を差すことができる。
-F1を測定するには、例えば、短毛カッター及び/又はトリマーツールが互いに対して潜る/移動するのを防止する機械的固定具を介して、F2によって生じる移動を阻止することが必要であり得る。同様に、F2を測定するには、例えば、ハンドルに対する枢動軸を中心とした作業ヘッドフレームの回転を防止する機械的固定具を介して、F1によって生じる移動を阻止することが必要であり得る。
-かみそりはこのようにホルダ内に固定されるため、皮膚接触輪郭9を有する作業ヘッドは水平に整列される。加えられる力は、この構成に垂直に設定される。
-カッター及び/又は支持構造体はブロック上に押し下げられる。力及び移動は、Mecmesin力及びトルク試験システムで測定される。システムは、力値及び角度値に基づく変位値を必要とする。
【0057】
既に述べたように、作業ヘッド2の除毛ツール上に上記力F1及び/又はF2を加えることにより、実際には互いに重複する及び/又は互いに結合される枢動角度α1及び/又は枢動角度α2をもたらすことができる。換言すれば、除毛ツール4上の包括面によって画定される皮膚接触輪郭9は、部分枢動角度α1及びα2の総計についての角度αだけ枢
動することができる。
【0058】
可能性のある枢動の運動学及び力の印加の構造を考慮すると、支持構造体11及び付勢装置10は、ハンドル3に対して0.75N以下の接触圧F下で約+/-15度以上の角度α、及び/又は1.5N以下の接触圧下で約+/-25度以上の角度αでの皮膚接触輪郭9の枢動を可能にするように構成される。
【0059】
より具体的には、当該支持構造体11及び当該付勢装置10は、ハンドル3に対して0.75N以下の接触圧下で約+/-22.5度以上の角度α、及び1.25N以下の接触圧下で約+/-30度以上の角度αでの皮膚接触輪郭9の枢動を可能にするように構成されてもよい。
【0060】
別の態様によれば、支持構造体11及び付勢装置10は、ハンドル3に対して枢動軸8を中心にした接触圧F1下で+/-20度以上の角度α1での作業ヘッドフレーム12の少なくとも一部の枢動を可能にし、作業ヘッドフレーム12に対して除毛ツール4を移動させることによって枢動軸8に平行な枢動軸を中心にした接触圧F2下で+/-5度以上の角度α2での皮膚接触輪郭9の枢動を可能にするように構成され、作業ヘッドフレーム12を枢動させる当該接触圧F1が、作業ヘッドフレーム12に対して除毛ツール4を移動させる当該接触圧F2よりも小さい。
【0061】
より具体的には、作業ヘッドフレーム12の少なくとも一部を枢動させる当該接触圧F1は0.5N以下であり、作業ヘッドフレーム12に対して除毛ツール4を移動させる当該接触圧F2は1.5N以下である。
【0062】
上記枢動角度αを達成するために必要な利用可能な枢動角度及び力Fの有効範囲は、図11、より具体的には、図中の領域15によって示す。図11は、一方の軸が皮膚接触圧Fをニュートン単位で示し、他方の軸が枢動角度αを示す図である。
【0063】
特に有利な副領域16は、約1N~1.5Nの皮膚接触圧F下で、約+/-35度~+/-37.5度、すなわち、合計で約70度~75度の枢動角度を示す。
【0064】
基本的に、付勢装置10を含む支持構造体11は、1.5N以下の皮膚接触圧下で約+/-25度の枢動を可能にするように設定されてもよい。
【0065】
上述したように、支持構造体11又は付勢装置は、制動装置及び/又はダンパなどの他の種類の枢動抵抗制御装置を含んでもよく、枢動抵抗力及び/又は枢動抵抗トルクに関して調節可能であってもよい。
【0066】
枢動挙動の望ましくない制限を回避するために、体毛除去装置には、枢動抵抗を増加させる大きな摩擦力を回避する駆動系が設けられてもよい。より具体的には、図6及び7に示すように、電動モータ16などの駆動源は、短毛カッター5及び6又はトリマー7などの除毛ツール4の往復運動を引き起こすことができ、モータ16を除毛ツール4に接続する駆動系17は、低摩擦軸受を含む一方で、除毛ツール4に駆動運動を伝達して、モータ16に対する除毛ツール4の枢動を可能にする。
【0067】
例えば、当該駆動系17は、除毛ツール4の切断運動と実質的に平行方向に実質的に直線状に往復運動し得る振動又は往復駆動要素19を含んでもよい。例えば、図7に示すように、当該駆動要素19は、ハンドル3の長手方向軸3lに実質的に垂直に振動してもよい。
【0068】
更に、当該駆動系17は、当該除毛ツール4と共に往復運動又は振動運動を実行するために除毛ツール4に連結された第2の駆動要素20を含んでもよく、この駆動要素20は、例えば、駆動ブリッジ21に堅固に接続され、次に、除毛ツール4に駆動可能に接続されてもよい。前述の駆動要素20は、他の駆動要素19の振動軸に対して実質的に垂直な長手方向軸を有する板状構造及び/又は棒状構造をとってもよい。
【0069】
図7から分かるように、駆動要素20は、少なくとも1つの低摩擦軸受18によって駆動要素19に連結され、駆動要素20は、駆動要素19に接続された一対の低摩擦軸受18間に実質的に遊びを持たずに収容することができる。上記低摩擦軸受18は、ローラ軸受、例えば、及び/又は摺動軸受を含んでもよい。例えば、駆動要素19は、互いに離間した2つのアームを有するフォーク部を含んでもよく、各アーム22、23には、駆動要素20を間に収容する低摩擦軸受18のうちの一方が設けられる。低摩擦軸受18により、作業ヘッドフレーム12及び/又は除毛ツール4は、駆動系17から摩擦抵抗をほぼ伴わずにハンドル3に対して枢動することができる。
【0070】
図8から分かるように、枢動角度範囲及び/又は付勢力及び/又は付勢トルクの調節が存在し得る。例えば、皮膚接触輪郭9がハンドル3に対して枢動可能である枢動角を調節するために、当該角度αが+/-35度未満及び+/-5度超である第1の設定と、当該角度αが+/-25度未満及び+/-5度超である第2の設定とを有し、当該第2の設定が当該第1の設定と異なる枢動範囲調節装置13が設けられてもよい。
【0071】
例えば、当該第1の設定では、角度αは+/-30度未満及び+/-20度超であってもよく、当該第2の設定では、角度αは+/-20度未満及び+/-5超であってもよい。
【0072】
有利な態様によれば、枢動範囲調節装置13は、少なくとも+/-5度~+/-20度の角度αの連続調節、及び/又は少なくとも+/-5度~+/-20度の少なくとも3段階を含む角度αの段階的調節を可能にするように構成される。
【0073】
有利な態様によれば、付勢装置10は、付勢調節装置26によって付勢力及び/又は付勢トルクに関して調節可能であり、様々な付勢力及び/又は付勢トルクを提供する。
【0074】
有利な態様によれば、枢動範囲調節装置13は、当該付勢調節装置26に連結され、角度αを低減させる際に付勢装置10の付勢力及び/又は付勢トルクを増加するように構成される。
【0075】
図8から分かるように、枢動範囲調節装置13は、例えば、作業ヘッドフレーム12を中立位置に付勢するために付勢装置10の付勢要素10bと協働するスリーブである調節要素24を含んでもよい。調節アクチュエータ25は、当該調節要素24が付勢要素10b及び/又は予圧付勢要素10bの可動性を様々な方法及び/又は様々なレベルで制限する様々な位置へ調節要素24を移動させるように設けられてもよい。
【0076】
上記枢動角度は、+/-値として記載される。これは、全枢動範囲が2×値であることを意味し、例えば、+/-20度の枢動角度は、2×20度の総駆動範囲40度を指す。枢動角度+/-の値は、所定位置又は中立位置に対する第1の方向と第1の方向と異なる第2の方向とにおける枢動値を指すことができる。この+/-値は、全範囲が開始点及び1つ又は2つの方向における枢動運動とは関係なく2×値である全てのオプションを包含する、例えば、枢動角度の+/-値は、単一方向における作業ヘッド又は皮膚接触輪郭の1つの所定の末端位置から実行される。
【0077】
毛髪切断ツール、毛髪切断ユニット、個々の切断要素、
短毛カッター、及びトリマーという用語は互換可能と理解され得る。
【0078】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】