(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128053
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】認証システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240912BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20240912BHJP
【FI】
G06T7/00 510F
G06F21/32
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109689
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2021020964の分割
【原出願日】2020-02-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成31年3月12日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年8月5日に株式会社トレタの会議室にて公開 令和1年8月9日にOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社の会議室にて公開 令和1年8月29日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年8月29日にJapanTaxi株式会社の会議室にて公開 令和1年9月3日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年9月9日にヤフー株式会社の会議室にて公開 令和1年9月13日にLINE株式会社の会議室にて公開 令和1年9月19日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年10月2日に株式会社東横インIT集客ソリューションの会議室にて公開 令和1年10月3日にエクスウェア株式会社の会議室にて公開 令和1年10月3日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年10月3日にアパグループ株式会社の会議室にて公開 令和1年10月23日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年10月29日に三井不動産株式会社の会議室にて公開 令和1年10月31日に三井物産株式会社の会議室にて公開 令和1年10月31日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年11月1日に大和ハウス工業株式会社の会議室にて公開 令和1年11月6日にプロパティエージェント株式会社の会議室にて公開 令和1年11月20日にパーソルイノベーション株式会社の会議室にて公開 令和1年11月28日にみんなのタクシー株式会社の会議室にて公開 令和1年12月2日に東急株式会社の会議室にて公開 令和1年12月18日に株式会社ジェーシービーの会議室にて公開 令和1年12月23日に公益財団法人日本英語検定協会の会議室にて公開 令和1年12月25日に株式会社チェンジの会議室にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】523389419
【氏名又は名称】ミガロホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520318074
【氏名又は名称】DXYZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 聖
(72)【発明者】
【氏名】新宮 由久
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043FA07
5B043GA02
(57)【要約】
【課題】容易に複数の顔認証エンジンで顔認証を行うことができるシステムを提供する。
【解決手段】比較基準として用いるユーザの顔画像データを取得する第1撮影手段と、ユーザの顔を前記比較基準と照合し、そのユーザが要求するサービスの提供可否を判定する複数の顔認証装置と、前記第1撮影手段が取得した顔画像データを受理するとともに、前記各顔認証装置とデータの送受信を行う配布サーバと、を備え、前記各顔認証装置において前記比較基準として用いられる特徴量は、前記第1撮影手段が取得した顔画像データを基に生成され、前記比較基準として用いられる特徴量のデータは、前記各顔認証装置が備える記憶装置に登録される認証システムによりこれを解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較基準として用いるユーザの顔画像データを取得する第1撮影手段と、
ユーザの顔を前記比較基準と照合し、そのユーザが要求するサービスの提供可否を判定する複数の顔認証装置と、
前記第1撮影手段が取得した顔画像データを受理するとともに、前記各顔認証装置とデータの送受信を行う配布サーバと、を備え、
前記各顔認証装置において前記比較基準として用いられる特徴量は、前記第1撮影手段が取得した顔画像データを基に生成され、
前記比較基準として用いられる特徴量のデータは、前記各顔認証装置が備える記憶装置に登録される、
認証システム。
【請求項2】
前記各顔認証装置は、これらの顔認証装置を用いてサービスが提供される施設であるサービス機関に設置される、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記配布サーバと前記各顔認証装置とは、インターネットを介して接続された別個のコンピュータシステムである、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記各顔認証装置は、そのユーザが要求するサービスの提供可否をそれぞれが単体で判定する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項5】
前記配布サーバ自体は顔認証処理を行わない、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項6】
前記各顔認証装置は、本人確認を行ったユーザに提供する処理の内容がそれぞれ異なる、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項7】
前記各顔認証装置は、顔画像データに対する特徴量の抽出仕様が異なる、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項8】
前記各顔認証装置の認証手段が集約され、一元的にユーザの本人確認を行うサーバ装置は備えていない、
請求項1又は7に記載の認証システム。
【請求項9】
前記第1撮影手段は、ユーザが所持する情報端末であるユーザ端末を用いて提供され、
前記顔認証装置の少なくとも一つは、その顔認証装置が備える撮影手段により取得した顔画像からでも、前記比較基準として用いる特徴量を生成および登録することができる、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項10】
前記各顔認証装置を用いて提供される個々のサービスのうち、ユーザが利用するサービスを登録するサービス登録手段をさらに備え、
前記サービス登録手段は、ユーザが所持する情報端末であるユーザ端末を用いて提供される、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項11】
前記顔認証装置の少なくとも一つはユーザが決済処理を行うための認証を行い、その顔認証装置又は前記決済処理は、ユーザの顔認証に加え、そのユーザに他の方法による認証も要求する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項12】
前記顔認証装置の少なくとも一つは、
その顔認証装置が備える撮影手段である第2撮影手段と、
インターネットを介して前記第2撮影手段と接続された認証サーバと、を有し、
前記認証サーバは、顔画像データから特徴量を抽出する手段、及びユーザの認証手段を有し、
前記第2撮影手段は、取得したユーザの顔画像データを前記認証サーバに送信する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項13】
前記各顔認証装置は、それぞれがユーザの顔を撮影する第2撮影手段を有する、
請求項1に記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔データに基づいて認証を行う顔認証システムとして、入力された入力顔データと、予め登録された登録顔データとを照合して本人認証を行う顔認証システムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された顔認証システムでは、カメラにより撮像された撮像画像中の顔部分の画像を用いて対象人物を認証する。また、特許文献2に記載された顔認証システムでは、例えば登録される顔画像が4つの場合、2つを精度保証用の顔パターンとし、1つを外乱成分吸収用の顔パターンとし、1つを更新対象用の顔パターンとしている。そして、新たに顔パターンを登録するときには、事前に登録されている4つの顔パターンのうち、新たに登録される顔パターンとの類似度が2番目に低い更新対象用の顔パターンを削除する。すなわち、新たに登録される顔パターンとの類似度が一番低い外乱成分吸収用の顔パターンを残すことにより、環境のばらつきに順応して顔認証を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-197426号公報
【特許文献2】特開2006-72540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顔認証を用いた認証エンジンを設けることは一般的に広まっているが、特許文献1、2の顔認証システムでは、顔データを登録していない認証エンジンでは、顔認証を行うことができない。このため、複数の認証エンジンそれぞれで認証を行うためには、ユーザは、複数の認証エンジンそれぞれで顔データを登録する必要があり手間がかかりストレスとなっていた。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、容易に複数の顔認証エンジンで顔認証を行うことができる認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の認証システムは、比較基準として用いるユーザの顔画像データを取得する第1撮影手段と、ユーザの顔を前記比較基準と照合し、そのユーザが要求するサービスの提供可否を判定する複数の顔認証装置と、前記第1撮影手段が取得した顔画像データを受理するとともに、前記各顔認証装置とデータの送受信を行う配布サーバと、を備え、前記各顔認証装置において前記比較基準として用いられる特徴量は、前記第1撮影手段が取得した顔画像データを基に生成され、前記比較基準として用いられる特徴量のデータは、前記各顔認証装置が備える記憶装置に登録されることをその要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の認証システムによれば、容易に複数の顔認証エンジンで顔認証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態による顔認証システムおよび各サービス機関に配置される認証エンジンの一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示す顔認証システムによりユーザの顔画像の登録を行う際に実行される処理内容を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示す認証エンジンおよび顔認証システムによりユーザの認証を行う際に実行される処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態による顔認証システムおよび各サービス機関に配置される認証エンジンの他の例を概略的に示す図である。
【
図5】
図4に示す顔認証システムによりユーザの顔画像の登録を行う際に実行される処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】
図4に示す認証エンジンおよび顔認証システムによりユーザの認証を行う際に実行される処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態による顔認証システムおよび各サービス機関に配置される認証エンジンの更に他の例を概略的に示す図である。
【
図8】
図7に示す顔認証システムによりユーザの顔画像の登録を行う際に実行される処理内容を示すフローチャートである。
【
図9】
図7に示す認証エンジンおよび顔認証システムによりユーザの認証を行う際に実行される処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図10】ユーザ端末に表示される初期画面を示す図である。
【
図11】ユーザ端末に表示される登録画面を示す図である。
【
図12】ユーザ端末に表示される登録画面を示す図である。
【
図13】ユーザ端末に表示されるサービス追加画面を示す図である。
【
図14】ユーザ端末に表示される認証履歴の画面を示す図である。
【
図15】ユーザ端末に表示される認証履歴の詳細画面を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態による顔認証システムおよび各会社に配置される認証エンジンの更に他の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図15は、本実施の形態に係る顔認証システムおよび各サービス機関に配置される認証エンジンを示す図である。
【0011】
図1に示すように、飲食店、ホテル、交通機関、オフィスビル、集合住宅施設、コンビニエンスストア等の各サービス機関には、ユーザの認証を行う認証エンジン30A、30B、30Cが配置されている。なお、
図1では3つの認証エンジン30A、30B、30Cが図示されているが、2つまたは4つ以上の認証エンジンが用いられてもよい。また、各認証エンジン30A、30B、30Cに対して、各サービス機関とは別の会社に設置される顔認証システム10がインターネット回線等のネットワークを介して通信可能に接続されている。また、ユーザが所持するスマートフォン等のユーザ端末20は、顔認証システム10および各認証エンジン30A、30B、30Cにインターネット回線等のネットワークを介して通信可能に接続されている。以下、顔認証システム10および各認証エンジン30A、30B、30Cの詳細について説明する。
【0012】
顔認証システム10は例えばコンピュータ等から構成されており、当該顔認証システム10は、CPU等のプロセッサ12と、メモリ16と、通信部18とを有している。プロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段14と、抽出されたユーザの顔画像の特徴量を登録する登録手段13とを有している。そして、プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、特徴量抽出手段14において各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出するようになっている。具体的には、特徴量抽出手段14は、受け付けたユーザの顔画像データから所定のハッシュ関数により求めたハッシュ値を、ユーザの顔画像の特徴量として抽出する。なお、ユーザの顔画像データが同じであっても、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によってユーザの顔画像の特徴量が異なる場合がある。事業会社等のサービス機関が異なると、これらのサービス機関で使用される認証エンジン30A、30B、30Cの仕様も異なるからである。このため、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。すなわち、1つの顔画像データから、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する複数のユーザの顔画像の特徴量が抽出される。また、プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、特徴量抽出手段14により抽出された認証エンジン30A、30B、30C毎のユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)を、登録手段13により、ユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させるようになっている。なお、プロセッサ12により実行されるプログラムはメモリ16に記憶されているものに限定されることはない。外部装置から顔認証システム10に送信されたプログラムや、顔認証システム10に着脱自在に装着される記録媒体に記憶されているプログラムをプロセッサ12が実行することにより、特徴量抽出手段14および登録手段13の各々において処理が行われてもよい。
【0013】
上述したように、メモリ16には、特徴量抽出手段14により抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)が、ユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けられて記憶されるようになっている。上述したように、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量は、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によって異なる場合がある。このため、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。このことにより、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量も、各認証エンジン30A、30B、30Cに関連付けてメモリ16に記憶させる必要がある。また、メモリ16には、ユーザの識別情報と、このユーザにより選択されたサービス機関とが関連付けられて記憶されるようになっている。また、上述したように、メモリ16は、プロセッサ12において様々な処理を行わせるためのプログラムを記憶するようになっている。また、プロセッサ12は、通信部18によりインターネット回線等のネットワークを介して各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30Cまたはユーザ端末20と信号の送受信を行うようになっている。
【0014】
各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30Cの各々は例えばコンピュータ等から構成されており、各認証エンジン30A、30B、30Cは、CPU等のプロセッサ32A、32B、32Cと、メモリ36A、36B、36Cと、撮像部38A、38B、38Cと、処理部40A、40B、40Cと、通信部42A、42B、42Cとを有している。プロセッサ32A、32B、32Cは、撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像データに基づいてユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段34A、34B、34Cと、認証手段35A、35B、35Cとを有している。そして、プロセッサ32A、32B、32Cは、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているプログラムを実行することにより、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにおいてユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出するようになっている。具体的には、特徴量抽出手段34A、34B、34Cは、受け付けたユーザの顔画像データから所定のハッシュ関数により求めたハッシュ値を、ユーザの顔画像の特徴量として抽出する。また、プロセッサ32A、32B、32Cは、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているプログラムを実行することにより、認証手段35A、35B、35Cにおいてユーザの認証を行うようになっている。このような処理内容の詳細については後述する。なお、プロセッサ32A、32B、32Cにより実行されるプログラムはメモリ36A、36B、36Cに記憶されているものに限定されることはない。外部装置から認証エンジン30A、30B、30Cに送信されたプログラムや、認証エンジン30A、30B、30Cに着脱自在に装着される記録媒体に記憶されているプログラムをプロセッサ32A、32B、32Cが実行することにより、特徴量抽出手段34A、34B、34Cおよび認証手段35A、35B、35Cの各々において様々な処理が行われてもよい。また、各認証エンジン30A、30B、30Cは、それぞれ、1つのサービス機関に対応するものに限定されない。例えば、認証エンジン30Aが複数のサービス機関に対応するものであってもよい。
【0015】
また、メモリ36A、36B、36Cは、予め登録されたユーザの識別情報と、このユーザの顔画像の特徴量とを関連付けて記憶するようになっている。また、上述したように、メモリ36A、36B、36Cは、プロセッサ32A、32B、32Cにおいて様々な処理を行わせるためのプログラムを記憶するようになっている。また、撮像部38A、38B、38Cは例えばカメラを有しており、ユーザを撮像することにより当該ユーザの顔画像データを取得するようになっている。
【0016】
また、処理部40A、40B、40Cは、認証が行われたユーザに対して様々な処理を行うようになっている。例えば、認証エンジン30A、30B、30Cがオフィスビルや集合住宅施設等に配置されている場合には、処理部40A、40B、40Cは、ユーザの認証が行われた場合に、これらのオフィスビルや集合住宅施設の出入り口等に配置される扉の施錠を解除するようになる。また、認証エンジン30A、30B、30Cが飲食店、ホテル、交通機関、コンビニエンスストア等に配置されている場合には、これらのサービス機関で料金の支払いを行う際にキャッシュレスによる決済を可能とする。この場合には、認証エンジン30A、30B、30Cから金融機関やクレジットカード会社のサーバに支払い情報が送信されることにより、ユーザの銀行口座から支払い金額が自動的に引き落とされたりクレジットカードの利用明細に追加されたりするようになる。また、プロセッサ32A、32B、32Cは、通信部42A、42B、42Cによりインターネット回線等のネットワークを介して顔認証システム10またはユーザ端末20と信号の送受信を行うようになっている。
【0017】
また、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいて、ユーザの顔画像を撮像部38A、38B、38Cにより撮像することによって、このユーザの顔画像の特徴量を各認証エンジン30A、30B、30Cで登録することができるようになっている。具体的には、ユーザの顔画像の特徴量を各認証エンジン30A、30B、30Cで登録する際に、ユーザの顔画像が撮像部38A、38B、38Cにより撮像されると、プロセッサ32A、32B、32Cは、撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像データに基づいて、特徴量抽出手段34A、34B、34Cによりユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する。そして、この抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)がメモリ36A、36B、36Cに記憶される。このようにして、ユーザの顔画像の特徴量が各認証エンジン30A、30B、30Cにおいて登録される。
【0018】
ユーザ端末20ではオンラインストア等により顔認証アプリをインストールすることができるようになっている。このような顔認証アプリをインストールすると、ユーザはユーザ端末20により顔画像データの登録、サービスを利用するサービス機関の登録等を行うことができるようになる。このような顔認証アプリの処理内容については後述する。なお、このような顔認証アプリは顔認証システム10から提供されるようになっていてもよく、あるいは顔認証システム10とは別のシステムから提供されるようになっていてもよい。
【0019】
本実施の形態では、顔認証システム10および各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30CはAPI連携(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が行われている。これにより、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを、それぞれ独立して構成したものに比べて、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを容易に構成することができる。
【0020】
次に、顔認証システム10および各認証エンジン30A、30B、30Cによりユーザの認証を行う際の処理内容について
図2、
図3および
図10乃至
図12を用いて説明する。
【0021】
まず、ユーザがユーザ端末20を用いて顔画像データを顔認証システム10に登録する処理について説明する。最初に、ユーザは顔認証アプリをユーザ端末20にインストールする。このような顔認証アプリの初期画面では
図10に示す画面が表示される。ユーザは、ユーザ端末20においてこのような顔認証アプリで最初にユーザ登録を行う。具体的には、
図10に示す画面においてアカウントボタンを押すと、
図11に示すようなユーザ登録画面となる。このようなユーザ登録画面において氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、パスワード等の登録情報を入力し、利用規約に同意する欄にチェックを入れた後に登録ボタンを押下すると、
図12に示すような顔画像の撮像画面となる。このような撮像画面でユーザがユーザ端末20により顔画像を撮像すると、ユーザ登録画面で入力された様々な情報およびユーザの顔画像データがユーザ端末20から顔認証システム10に送信される。このようにして、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から顔画像データを受け取る(STEP1)。また、ユーザ端末20の識別情報、およびユーザ端末20に入力されたユーザの氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、パスワード等の登録情報も、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から受け取る。また、プロセッサ12はユーザの識別情報としてユーザIDを発行し、この発行されたユーザIDをメモリ16に記憶させる。
【0022】
次に、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出する(STEP2)。この際に、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量は、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によって異なる場合がある。このため、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。また、特徴量抽出手段14は、ユーザにより予め選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。例えば、認証エンジン30Aが設置されるサービス機関についてはユーザが顔画像データを使うことを認めているが、認証エンジン30Bが設置されるサービス機関についてはユーザが顔画像データを使うことを認めていない場合には、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30Aに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。なお、上述したように、メモリ16には、ユーザの識別情報と、このユーザにより選択されたサービス機関とが関連付けられて記憶されるようになっている。そして、プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出された各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量を、登録手段13により顔認証システム10のメモリ16にユーザID(ユーザの識別情報)および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させる(STEP3)。このようにして、ユーザ端末20により撮像されたユーザの顔画像の登録が完了する。また、メモリ16に記憶されたユーザの顔画像の特徴量に係る情報は、顔認証システム10から、ユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに送信される(STEP4)。この際に、認証エンジン30A、30B、30Cには、この認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量が送信される。認証エンジン30A、30B、30Cは、顔認証システム10から送信されたユーザの顔画像の特徴量に係る情報を、ユーザの識別情報に関連付けてメモリ36A、36B、36Cに記憶させる。
【0023】
次に、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う処理について説明する。各認証エンジン30A、30B、30Cが設置されるサービス機関においてユーザの認証が必要となった場合には、まず、認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得する(STEP11)。また、認証エンジン30A、30B、30Cにおいて、プロセッサ32A、32B、32Cは、取得された顔画像データに基づいて特徴量抽出手段34A、34B、34Cによりユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する(STEP12)。そして、プロセッサ32A、32B、32Cは、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにより抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)と、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)とを比較することによりユーザの認証を行う(STEP13)。より詳細に説明すると、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにより抽出されたユーザの顔画像の特徴量と、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているユーザの顔画像の特徴量との一致率が所定の閾値(例えば、80%)を超える場合には、認証手段35A、35B、35Cはユーザの認証を行う。なお、上述したように、メモリ36A、36B、36Cには、予め登録されたユーザの識別情報と、このユーザの顔画像の特徴量とが関連付けて記憶されている。
【0024】
そして、認証手段35A、35B、35Cによりユーザの認証が行われると(STEP14の「YES」)、プロセッサ32A、32B、32Cは各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施可能とする(STEP15)。具体的には、上述したように、認証エンジン30A、30B、30Cがオフィスビルや集合住宅施設等に配置されている場合には、処理部40A、40B、40Cは、ユーザの認証が行われた場合に、これらのオフィスビルや集合住宅施設の出入り口等に配置される扉の施錠を解除する。また、認証エンジン30A、30B、30Cが飲食店、ホテル、交通機関、コンビニエンスストア等に配置されている場合には、これらのサービス機関で料金の支払いを行う際にキャッシュレスによる決済を可能とする。なお、キャッシュレスによる決済が行われる場合には、二段階認証が行われるようにしてもよい。その後、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報を顔認証システム10に送信する(STEP17)。このことにより、顔認証システム10において各サービス機関におけるサービスの利用状況に係る情報がユーザ毎にメモリ16に記憶される。
【0025】
一方、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにより抽出されたユーザの顔画像の特徴量が、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているユーザの顔画像の特徴量に略一致せず、認証手段35A、35B、35Cによりユーザの認証を行うことができなかった場合には(STEP14の「NO」)、プロセッサ32A、32B、32Cは各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施不可とする(STEP16)。この場合も、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報(具体的には、ユーザが認証エンジン30A、30B、30Cで認証を行おうとしたが認証されずにサービスを利用できなかったという情報)を顔認証システム10に送信する(STEP17)。
【0026】
このような認証方法によれば、ユーザの顔画像の特徴量があるサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30A)で登録されているが、別のサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30B)で登録されていない場合でも、顔認証システム10のメモリ16および各認証エンジン30A、30B、30Cのメモリ36A、36B、36Cにこのユーザの顔画像の特徴量を認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させておくことにより、ユーザの顔画像の特徴量が登録されていないサービス機関でも撮像部によりユーザの顔画像を撮像することによってユーザの認証を行うことができる。この場合には、複数の認証エンジンの全てでユーザは顔画像データの登録を行う必要がなくなるので、ユーザの手間を省くことができるようになる。
【0027】
なお、本実施の形態による顔認証システム10や顔認証方法は
図1乃至
図3に示すものに限定されることはない。本実施の形態による顔認証システム10や顔認証方法の他の例について
図4乃至
図6を用いて説明する。なお、
図4に示す顔認証システム10や各認証エンジン30A、30B、30Cについて、
図1に示す顔認証システム10や各認証エンジン30A、30B、30Cと同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
【0028】
図4に示すように、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段14と、抽出されたユーザの顔画像の特徴量を登録する登録手段13と、各認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A~38Cに撮像されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)に基づいてユーザの認証を行う認証手段15とを有している。プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、登録手段13において特徴量抽出手段14により抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)を、ユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させるようになっている。また、プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、認証手段15において、各認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A~38Cに撮像されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)と、メモリ16に記憶されている各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)とを比較することにより、ユーザの認証を行うようになっている。なお、プロセッサ12により実行されるプログラムはメモリ16に記憶されているものに限定されることはない。外部装置から顔認証システム10に送信されたプログラムや、顔認証システム10に着脱自在に装着される記録媒体に記憶されているプログラムをプロセッサ12が実行することにより、特徴量抽出手段14、登録手段13および認証手段15の各々において処理が行われてもよい。
【0029】
各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30Cの各々は例えばコンピュータ等から構成されており、各認証エンジン30A、30B、30Cは、CPU等のプロセッサ32A、32B、32Cと、メモリ36A、36B、36Cと、撮像部38A、38B、38Cと、処理部40A、40B、40Cと、通信部42A、42B、42Cとを有している。プロセッサ32A、32B、32Cは、撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像データに基づいてユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段34A、34B、34Cを有している。なお、
図4に示す例では、プロセッサ32A、32B、32Cは
図1に示すような認証手段35A、35B、35Cを有していない。プロセッサ32A、32B、32Cは、メモリ36A、36B、36Cに記憶されているプログラムを実行することにより、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにおいてユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出するようになっている。具体的には、特徴量抽出手段34A、34B、34Cは、受け付けたユーザの顔画像データから所定のハッシュ関数により求めたハッシュ値を、ユーザの顔画像の特徴量として抽出する。なお、プロセッサ32A、32B、32Cにより実行されるプログラムはメモリ36A、36B、36Cに記憶されているものに限定されることはない。外部装置から認証エンジン30A、30B、30Cに送信されたプログラムや、認証エンジン30A、30B、30Cに着脱自在に装着される記録媒体に記憶されているプログラムをプロセッサ32A、32B、32Cが実行することにより、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにおいて様々な処理が行われてもよい。また、
図4に示す例では、メモリ36A、36B、36Cには、ユーザの顔画像の特徴量が記憶されないようになっている。
【0030】
図4に示す例でも、顔認証システム10および各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30CはAPI連携(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が行われている。これにより、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを、それぞれ独立して構成したものに比べて、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを容易に構成することができる。
【0031】
次に、
図4に示すような顔認証システム10および各認証エンジン30A、30B、30Cによりユーザの認証を行う際の処理内容について
図5および
図6を用いて説明する。
【0032】
まず、ユーザがユーザ端末20を用いて顔画像データを顔認証システム10に登録する処理について説明する。なお、ユーザがユーザ端末20により顔画像を撮像する具体的な方法については既に説明したためここでは省略する。ユーザがユーザ端末20においてこのような顔認証アプリで最初にユーザ登録を行うと、ユーザ登録画面で入力された様々な情報およびユーザの顔画像データがユーザ端末20から顔認証システム10に送信される。このようにして、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から顔画像データを受け取る(STEP21)。また、ユーザ端末20の識別情報、およびユーザ端末20に入力されたユーザの氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、パスワード等の登録情報も、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から受け取る。また、プロセッサ12はユーザの識別情報としてユーザIDを発行し、この発行されたユーザIDをメモリ16に記憶させる。
【0033】
次に、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出する(STEP22)。この際に、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量は、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によって異なる場合があり、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。また、特徴量抽出手段14は、ユーザにより予め選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。そして、プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出された各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量を、登録手段13により顔認証システム10のメモリ16にユーザID(ユーザの識別情報)および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させる(STEP23)。このようにして、ユーザ端末20により撮像されたユーザの顔画像の登録が完了する。なお、
図4に示す例では、メモリ16に記憶されたユーザの顔画像の特徴量に係る情報は、顔認証システム10から、ユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに送信されない。
【0034】
次に、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う処理について説明する。各認証エンジン30A、30B、30Cが設置されるサービス機関においてユーザの認証が必要となった場合には、まず、認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得する(STEP31)。また、認証エンジン30A、30B、30Cにおいて、プロセッサ32A、32B、32Cは、取得された顔画像データに基づいて特徴量抽出手段34A、34B、34Cによりユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する(STEP32)。そして、プロセッサ32A、32B、32Cは、特徴量抽出手段34A、34B、34Cにより抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)を通信部42A、42B、42Cにより顔認証システム10のプロセッサ12に送信する(STEP33)。なお、顔認証システム10のプロセッサ12が認証エンジン30A、30B、30Cからユーザの顔画像の特徴量に係る情報を受け付ける際に、メモリ16に記憶されている、ユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cのみから送信されたユーザの顔画像の特徴量に係る情報を受け付ける。そして、顔認証システム10において、プロセッサ12は、認証エンジン30A、30B、30Cから受け付けたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)と、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)とを認証手段15によって比較することによりユーザの認証を行う(STEP34)。より詳細に説明すると、認証エンジン30A、30B、30Cから受け付けたユーザの顔画像の特徴量と、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量との一致率が所定の閾値(例えば、80%)を超える場合には、認証手段15はユーザの認証を行う。なお、上述したように、メモリ16には、予め登録されたユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報と、ユーザの顔画像の特徴量とが関連付けて記憶されている。
【0035】
そして、認証手段15によりユーザの認証が行われると(STEP35の「YES」)、認証結果に係る情報が顔認証システム10のプロセッサ12から通信部18により認証エンジン30A、30B、30Cに送信される(STEP36)。そして、認証結果に係る情報を受け取った認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施可能とする(STEP37)。その後、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報を顔認証システム10に送信する。このことにより、顔認証システム10において各サービス機関におけるサービスの利用状況に係る情報がユーザ毎にメモリ16に記憶される。
【0036】
一方、認証エンジン30A、30B、30Cから受け付けたユーザの顔画像の特徴量が、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量に略一致せず、認証手段15によりユーザの認証を行うことができなかった場合にも(STEP35の「NO」)、認証結果に係る情報が顔認証システム10のプロセッサ12から通信部18により認証エンジン30A、30B、30Cに送信される(STEP38)。そして、認証結果に係る情報を受け取った認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施不可とする(STEP39)。この場合も、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報(具体的には、ユーザが認証エンジン30A、30B、30Cで認証を行おうとしたが認証されずにサービスを利用できなかったという情報)を顔認証システム10に送信する。
【0037】
このような認証方法によれば、ユーザの顔画像の特徴量があるサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30A)で登録されているが、別のサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30B)で登録されていない場合でも、顔認証システム10のメモリ16にこのユーザの顔画像の特徴量を認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させておくことにより、ユーザの顔画像の特徴量が登録されていないサービス機関でも撮像部によりユーザの顔画像を撮像することによってユーザの認証を行うことができる。この場合には、複数の認証エンジンの全てでユーザは顔画像データの登録を行う必要がなくなるので、ユーザの手間を省くことができるようになる。
【0038】
また。本実施の形態による顔認証システム10や顔認証方法の更に他の例について
図7乃至
図9を用いて説明する。なお、
図7に示す顔認証システム10や各認証エンジン30A、30B、30Cについて、
図1や
図4に示す顔認証システム10や各認証エンジン30A、30B、30Cと同じ構成要素については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
【0039】
図7に示すように、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段14と、抽出されたユーザの顔画像の特徴量を登録する登録手段13と、各認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A~38Cに撮像されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)に基づいてユーザの認証を行う認証手段15とを有している。プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、登録手段13において特徴量抽出手段14により抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)を、ユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させるようになっている。また、プロセッサ12は、メモリ16に記憶されているプログラムを実行することにより、認証手段15において、各認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A~38Cに撮像されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)と、メモリ16に記憶されている各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)とを比較することにより、ユーザの認証を行うようになっている。なお、プロセッサ12により実行されるプログラムはメモリ16に記憶されているものに限定されることはない。外部装置から顔認証システム10に送信されたプログラムや、顔認証システム10に着脱自在に装着される記録媒体に記憶されているプログラムをプロセッサ12が実行することにより、特徴量抽出手段14、登録手段13および認証手段15の各々において処理が行われてもよい。
【0040】
各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30Cの各々は例えばコンピュータ等から構成されており、各認証エンジン30A、30B、30Cは、CPU等のプロセッサ32A、32B、32Cと、メモリ36A、36B、36Cと、撮像部38A、38B、38Cと、処理部40A、40B、40Cと、通信部42A、42B、42Cとを有している。プロセッサ32A、32B、32Cは、撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像データに基づいてユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する特徴量抽出手段34A、34B、34Cを有している。なお、
図7に示す例では、プロセッサ32A、32B、32Cは
図1に示すような特徴量抽出手段34A、34B、34Cおよび認証手段35A、35B、35Cを有していない。また、
図7に示す例では、メモリ36A、36B、36Cには、ユーザの顔画像の特徴量が記憶されないようになっている。
【0041】
図7に示す例でも、顔認証システム10および各サービス機関に配置される認証エンジン30A、30B、30CはAPI連携(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が行われている。これにより、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを、それぞれ独立して構成したものに比べて、各認証エンジン30A、30B、30Cのシステムを容易に構成することができる。
【0042】
次に、
図7に示すような顔認証システム10および各認証エンジン30A、30B、30Cによりユーザの認証を行う際の処理内容について
図8および
図9を用いて説明する。
【0043】
まず、ユーザがユーザ端末20を用いて顔画像データを顔認証システム10に登録する処理について説明する。なお、ユーザがユーザ端末20により顔画像を撮像する具体的な方法については既に説明したためここでは省略する。ユーザがユーザ端末20においてこのような顔認証アプリで最初にユーザ登録を行うと、ユーザ登録画面で入力された様々な情報およびユーザの顔画像データがユーザ端末20から顔認証システム10に送信される。このようにして、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から顔画像データを受け取る(STEP41)。また、ユーザ端末20の識別情報、およびユーザ端末20に入力されたユーザの氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス、パスワード等の登録情報も、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から受け取る。また、プロセッサ12はユーザの識別情報としてユーザIDを発行し、この発行されたユーザIDをメモリ16に記憶させる。
【0044】
次に、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出する(STEP42)。この際に、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量は、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によって異なる場合があり、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。また、特徴量抽出手段14は、ユーザにより予め選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。そして、プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出された各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量を、登録手段13により顔認証システム10のメモリ16にユーザID(ユーザの識別情報)および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させる(STEP43)。このようにして、ユーザ端末20により撮像されたユーザの顔画像の登録が完了する。なお、
図7に示す例では、メモリ16に記憶されたユーザの顔画像の特徴量に係る情報は、顔認証システム10から、ユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに送信されない。
【0045】
次に、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う処理について説明する。各認証エンジン30A、30B、30Cが設置されるサービス機関においてユーザの認証が必要となった場合には、まず、認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得する(STEP51)。認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像データを通信部42A、42B、42Cにより顔認証システム10のプロセッサ12に送信する(STEP52)。なお、顔認証システム10のプロセッサ12が認証エンジン30A、30B、30Cからユーザの顔画像データを受け付ける際に、メモリ16に記憶されている、ユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cのみから送信されたユーザの顔画像データを受け付ける。そして、顔認証システム10において、プロセッサ12は、認証エンジン30A、30B、30Cから受け付けた顔画像データに基づいて特徴量抽出手段14によりユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として抽出する(STEP53)。そして、プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出されたユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)と、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量(具体的には、ハッシュ値)とを認証手段15によって比較することによりユーザの認証を行う(STEP54)。より詳細に説明すると、特徴量抽出手段14により抽出されたユーザの顔画像の特徴量と、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量との一致率が所定の閾値(例えば、80%)を超える場合には、認証手段15はユーザの認証を行う。なお、上述したように、メモリ16には、予め登録されたユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報と、ユーザの顔画像の特徴量とが関連付けて記憶されている。
【0046】
そして、認証手段15によりユーザの認証が行われると(STEP55の「YES」)、認証結果に係る情報が顔認証システム10のプロセッサ12から通信部18により認証エンジン30A、30B、30Cに送信される(STEP56)。そして、認証結果に係る情報を受け取った認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施可能とする(STEP57)。その後、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報を顔認証システム10に送信する。このことにより、顔認証システム10において各サービス機関におけるサービスの利用状況に係る情報がユーザ毎にメモリ16に記憶される。
【0047】
一方、認証エンジン30A、30B、30Cから受け付けたユーザの顔画像の特徴量が、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像の特徴量に略一致せず、認証手段15によりユーザの認証を行うことができなかった場合にも(STEP55の「NO」)、認証結果に係る情報が顔認証システム10のプロセッサ12から通信部18により認証エンジン30A、30B、30Cに送信される(STEP58)。そして、認証結果に係る情報を受け取った認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは各処理部40A、40B、40Cによりこの認証エンジン30A、30B、30Cに対応するサービスを実施不可とする(STEP59)。この場合も、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報(具体的には、ユーザが認証エンジン30A、30B、30Cで認証を行おうとしたが認証されずにサービスを利用できなかったという情報)を顔認証システム10に送信する。
【0048】
このような認証方法によれば、ユーザの顔画像の特徴量があるサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30A)で登録されているが、別のサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30B)で登録されていない場合でも、顔認証システム10のメモリ16にこのユーザの顔画像の特徴量を認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させておくことにより、ユーザの顔画像の特徴量が登録されていないサービス機関でも撮像部によりユーザの顔画像を撮像することによってユーザの認証を行うことができる。この場合には、複数の認証エンジンの全てでユーザは顔画像データの登録を行う必要がなくなるので、ユーザの手間を省くことができるようになる。
【0049】
次に、
図1乃至
図9に示すような顔認証システム10において、上述した顔認証サービスが適用されるサービス機関をユーザが増やしたい場合の処理について説明する。ユーザが上述したユーザ登録を行った後、
図10に示すようなユーザ端末20の初期画面において「サービス追加」のボタンをユーザが指で押すと、
図13に示すようなサービス機関の一覧が表示される。なお、このようなサービス機関の一覧は、予め顔認証システム10に登録されたものである。
図13に示すような画面において、未登録サービスのアイコンと登録済サービスのアイコンとは別の色で表示されたり、未登録サービスのアイコンが薄く表示されたりする等により、未登録サービスのアイコンと登録済サービスのアイコンとが区別して表示される。そして、ユーザが未登録サービスのアイコンを指で押すと、追加するサービスの規約が表示される。ユーザがサービスの規約に合意する旨の指示を入力すると、未登録サービスが登録済サービスになる。この際に、顔認証システム10において、この登録済サービスに関連するサービス機関がユーザID(ユーザの識別情報)に関連付けられてメモリ16に記憶される。その後、ユーザ端末20には
図12に示すような顔画像の撮像画面が表示される。このような撮像画面でユーザがユーザ端末20により顔画像を撮像すると、ユーザの顔画像データがユーザ端末20から顔認証システム10に送信される。このようにして、顔認証システム10のプロセッサ12はユーザ端末20から顔画像データを受け取る。そして、顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザ端末20から受け取った顔画像データに基づいて、新たなサービス機関の認証エンジンに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出する。プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出された新たな認証エンジンに対応する顔画像の特徴量を、登録手段13により顔認証システム10のメモリ16にユーザID(ユーザの識別情報)および新たなサービス機関の認証エンジンの識別情報に関連付けて記憶させる。このようにして、新たなサービス機関の登録が完了する。なお、後述するようにメモリ16にユーザの顔画像データが記憶されている場合には、新たなサービス機関をユーザがユーザ端末20で登録する際に、ユーザ端末20によりユーザの顔画像を撮像しなくても、メモリ16に記憶されているユーザの顔画像データに基づいて、新たなサービス機関の認証エンジンに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出してもよい。また、
図13に示すような画面において、ユーザが登録済サービスを削除することができるようになっていてもよい。この場合には、登録済サービスが未登録サービスになる。また、メモリ16に記憶されている、削除された登録済サービスに係るサービス機関の認証エンジンに対応するユーザの顔画像の特徴量に係る情報が削除される。
【0050】
また、ユーザが上述したユーザ登録を行った後、
図10に示すようなユーザ端末20の初期画面において「認証履歴」のボタンをユーザが指で押すと、
図14に示すような過去の認証履歴情報の一覧(言い換えると、ユーザによるサービス機関の利用状況に係る情報の一覧)がユーザ端末20に表示されるようになる。より詳細には、顔認証システム10のメモリ16には、ユーザの過去の認証履歴情報がユーザの識別情報に関連付けられて記憶されている。そして、
図10に示すようなユーザ端末20の初期画面において「認証履歴」のボタンがユーザにより指で押されると、ユーザ端末20から顔認証システム10のプロセッサ12によりユーザの過去の認証履歴情報を求める信号が送信される。顔認証システム10のプロセッサ12は、ユーザの過去の認証履歴情報を求める信号をユーザ端末20から受け取ると、メモリ16に記憶されているこのユーザの識別情報に対応する過去の認証履歴情報を通信部18によりユーザ端末20に送信する。このことにより、ユーザ端末20には、このユーザの過去の認証履歴情報の一覧が表示されるようになる。また、
図14に示すような過去の認証履歴情報の一覧において、ある認証履歴の表示をユーザが指で押すと、
図15に示すようにユーザ端末20にはこの認証履歴の詳細が表示されるようになる。
【0051】
また、本実施の形態では、ユーザがユーザ端末20を用いて顔認証システム10におけるユーザの顔認証の特徴量の登録を行う代わりに、ユーザがある認証エンジン30A、30B、30Cを用いて顔認証システム10におけるユーザの顔認証の特徴量の登録を行うようになっていてもよい。具体的には、ある認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザが登録情報を入力するとともに撮像部38A、38B、38Cによりユーザの顔画像を撮像すると、入力された登録情報およびユーザの顔画像データが認証エンジン30A、30B、30Cから顔認証システム10に送信される。このようにして、顔認証システム10のプロセッサ12は認証エンジン30A、30B、30Cから顔画像データを受け取る。また、プロセッサ12は認証エンジン30A、30B、30Cから受け取った登録情報に基づいてユーザの識別情報としてユーザIDを発行し、この発行されたユーザIDをメモリ16に記憶させる。
【0052】
次に、顔認証システム10のプロセッサ12は、認証エンジン30A、30B、30Cから受け取った顔画像データに基づいて、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量をハッシュ値として特徴量抽出手段14により抽出する。この際に、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30A、30B、30C毎にユーザの顔画像の特徴量を抽出する。また、特徴量抽出手段14は、ユーザにより予め選択されたサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。例えば、認証エンジン30Aが設置されるサービス機関についてはユーザが顔画像データを使うことを認めているが、認証エンジン30Bが設置されるサービス機関についてはユーザが顔画像データを使うことを認めていない場合には、特徴量抽出手段14は、認証エンジン30Aに対応するユーザの顔画像の特徴量のみを抽出する。なお、上述したように、メモリ16には、ユーザの識別情報と、このユーザにより選択されたサービス機関とが関連付けられて記憶されるようになっている。そして、プロセッサ12は、特徴量抽出手段14により抽出された各認証エンジン30A、30B、30Cに対応する顔画像の特徴量を、登録手段13により顔認証システム10のメモリ16にユーザID(ユーザの識別情報)および認証エンジン30A、30B、30Cの識別情報に関連付けて記憶させる。このようにして、認証エンジン30A、30B、30Cの撮像部38A、38B、38Cにより撮像されたユーザの顔画像の登録が完了する。このような態様では、ユーザがユーザ端末20を用いなくても顔認証システム10におけるユーザの顔認証の特徴量の登録を行うことができる。
【0053】
以上のような構成からなる、本実施の形態に係る、顔認証システム10により行われる顔認証方法によれば、ユーザの顔画像データおよびユーザの識別情報を受け付け、受け付けたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出する。そして、抽出された複数の認証エンジン30A、30B、30C毎のユーザの顔画像の特徴量に係る情報を、受け付けたユーザの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させる。このような顔認証方法によれば、容易に複数の認証エンジン30A、30B、30Cで顔認証を行うことができるようになる。
【0054】
具体的には、従来でも顔認証を用いた認証エンジンを設けることは一般的に広まっているが、従来技術の顔認証システムでは、顔データを登録していない認証エンジンでは、顔認証を行うことができなかった。このため、複数の認証エンジンそれぞれで認証を行うためには、ユーザは、複数の認証エンジンそれぞれで顔データを登録する必要があり手間がかかりストレスとなっていた。これに対し、本実施の形態では、ユーザの顔画像の特徴量があるサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30A)で登録されているが、別のサービス機関の認証エンジン(例えば、認証エンジン30B)で登録されていない場合でも、顔認証システム10のメモリ16にこのユーザの顔画像の特徴量を認証エンジン30A、30B、30C毎に記憶させておくことにより、ユーザの顔画像の特徴量が登録されていないサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cでも撮像部38A、38B、38Cによりユーザの顔画像を撮像することによってユーザの認証を行うことができる。この場合には、複数の認証エンジン30A、30B、30Cの全てでユーザは顔画像データの登録を行う必要がなくなるので、ユーザの手間を省くことができるようになる。これにより、顔画像データの登録が面倒で、顔画像データを登録していない認証エンジンを用いた各種サービスを利用していなかったユーザにも、気軽に各種サービスを利用するように促すことができる。
【0055】
また、ハッシュ値等のユーザの顔画像の特徴量を抽出してメモリ16に記憶させる場合には、ユーザの顔画像データ自体をメモリ16に記憶させる場合と比較して、メモリ16に記憶されるデータ量を著しく小さくすることができる。これは、ユーザの顔画像データ自体のデータ量と比較して、ユーザの顔画像の特徴量のデータ量が小さいからである。また、この場合にはメモリ16にユーザの顔画像データ自体が保存されないため、ユーザのプライバシー性をより一層確実に保護することができる。また、ユーザの顔画像の特徴量に係る情報を顔認証システム10と各認証エンジン30A、30B、30Cとの間で送る場合には、ユーザの顔画像データを顔認証システム10と各認証エンジン30A、30B、30Cとの間で送る場合と比較してデータ通信量を著しく小さくすることができる。
【0056】
また、本実施の形態の顔認証方法では、上述したように、受け付けたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を抽出する際に、ユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出し、抽出された複数の認証エンジン30A、30B、30C毎のユーザの顔画像の特徴量を、登録手段13によりユーザの識別情報に関連付けてメモリに記憶させる。このときには、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量が、認証エンジン30A、30B、30Cの種類によって異なる場合にも対応することができる。なお、複数の認証エンジン30A、30B、30Cで同じプログラムが用いられ、特徴量抽出手段14により抽出されるユーザの顔画像の特徴量が、認証エンジン30A、30B、30Cで共通する場合には、ユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出しなくてもよい。
【0057】
また、本実施の形態の顔認証方法では、上述したように、メモリ16には、ユーザにより選択されたサービス機関に係る情報がユーザの識別情報に関連付けられて記憶されており、受け付けたユーザの顔画像データに基づいて、このユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段14により抽出する工程において、メモリ16に記憶されているユーザにより選択されたサービス機関の認証エンジンのみに対応するユーザの顔画像の特徴量を特徴量抽出手段14により抽出する。この場合には、ユーザが選択していないサービス機関の認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像の特徴量はメモリ16に記憶されないので、セキュリティ性を向上させることができ、ユーザを安心させることができる。また、顔認証システム10が統括的に管理する認証エンジンのグループに参加する企業等は、ユーザ端末20等で顔画像データを登録するだけで、多数の認証エンジンで認証させることができるという顧客利便性の向上を顧客にアピールすることができるようになる。
【0058】
また、本実施の形態の顔認証方法では、上述したように、特徴量抽出手段14は、受け付けたユーザの顔画像データから所定のハッシュ関数により求めたハッシュ値を、このユーザの顔画像の特徴量として複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出する。この場合には、ユーザの顔画像の特徴量としてハッシュ値をメモリ16に記憶させるので、顔画像データそのものをメモリ16に記憶させる場合と比較して、メモリ16に記憶されるデータ量を低減することができる。また、ハッシュ値から顔画像データを復元または推測することは難しく、顔認証システム10ではハッシュ値のみを保存するので、ユーザのプライバシー性やセキュリティ性を高めることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、特徴量抽出手段14は、受け付けたユーザの顔画像データに基づいて、ユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値として複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出することに限定されることはない。特徴量抽出手段14は、受け付けたユーザの顔画像データに基づいて、ユーザの顔画像の特徴量をハッシュ値とは別の種類の値で複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出するようになっていてもよい。例えば、ユーザの顔画像の特徴量として、顔の各パーツ(目、鼻、耳等)の相対位置や大きさや形等を特徴として抽出するようにしてもよい。この場合でも、ハッシュ値とは別の種類の値のデータ量が顔画像自体のデータ量よりも少ない場合には、メモリ16に記憶されるデータ量を低減することができる。
【0060】
また、本実施の形態の顔認証方法では、上述したように、受け付けたユーザの顔画像データに基づいて、このユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段14により抽出する工程において、ユーザが所持するユーザ端末20から送信されたユーザの顔画像データに基づいて、このユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段14により抽出する。あるいは、受け付けたユーザの顔画像データに基づいて、このユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段14により抽出する工程において、複数の認証エンジン30A、30B、30Cのうちある認証エンジンから送信されたユーザの顔画像データに基づいて、このユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段14により抽出してもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、プロセッサ12により実行される、顔認証システム10により顔認証方法を行うためのプログラムおよびこのプログラムが記録された記録媒体が用いられる。ここで、プロセッサ12がプログラムを実行することにより、ユーザの顔画像データおよびユーザの識別情報を受け付け、受け付けたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出する。そして、抽出された複数の認証エンジン30A、30B、30C毎のユーザの顔画像の特徴量に係る情報を、受け付けたユーザの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させる。このようなプログラムおよび記録媒体によれば、容易に複数の認証エンジン30A、30B、30Cで顔認証を行うことができるようになる。
【0062】
また、本実施の形態では、プロセッサ12を備えた顔認証システム10が用いられる。このような顔認証システム10では、プロセッサ12は、プログラムを実行することにより、ユーザの顔画像データおよびユーザの識別情報を受け付け、受け付けたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を複数の認証エンジン30A、30B、30C毎に抽出する。そして、抽出された複数の認証エンジン30A、30B、30C毎のユーザの顔画像の特徴量に係る情報を、受け付けたユーザの識別情報に関連付けてメモリ16に記憶させる。このような顔認証システム10によれば、容易に複数の認証エンジン30A、30B、30Cで顔認証を行うことができるようになる。
【0063】
なお、本発明による顔認証方法や顔認証システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0064】
例えば、顔認証システムとして
図16に示すようなものが用いられてもよい。
図16に示す顔認証システム50は、プロセッサ52と、第1サーバ56と、第2サーバ58と、第3サーバ60とを有している。ここで、各サーバ56、58、60は各認証エンジン30A、30B、30Cに対応している。具体的には、第1サーバ56は認証エンジン30Aに対応しており、第2サーバ58は認証エンジン30Bに対応しており、第3サーバ60は認証エンジン30Cに対応している。また、
図16では3つの認証エンジン30A、30B、30Cが図示されているが、2つまたは4つ以上の認証エンジンが用いられる場合には各認証エンジンに対応してサーバが顔認証システム10に設けられる。また、プロセッサ52は、サーバ管理手段52aと、特徴量抽出手段54と、登録手段53と、認証手段55とを有している。プロセッサ52の特徴量抽出手段54、登録手段53および認証手段55は、
図1、
図4、
図7に示す顔認証システム10のプロセッサ12の特徴量抽出手段14、登録手段13および認証手段15と略同一の機能を有している。サーバ管理手段52aは、各サーバ56、58、60の管理を行うようになっている。
【0065】
各サーバ56、58、60には、各認証エンジン30A、30B、30Cに対応するユーザの顔画像のデータの特徴量がユーザの識別情報に関連付けられて記憶されている。また、各サーバ56、58、60は、インターネット回線等のネットワークを介して対応する各認証エンジン30A、30B、30Cに通信可能に接続されている。各サーバ56、58、60は、サーバ管理手段52aによりAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で一括管理可能に構成されている。これにより、各サーバ56、58、60のシステム(プログラム)を、それぞれ独立して構成したものに比べて、各サーバ56、58、60のシステムを容易に構成することができる。また、サーバ管理手段52aと、各認証エンジン30A、30B、30Cが設置されたサービス機関とは、API連携されている。例えば、サーバ管理手段52aのプラットフォームを各サービス機関に開放して、各サービス機関においてもサーバ管理手段52aと同じプラットフォームを使用することで、各サービス機関でのサービスを行うためのシステムを容易に構築することができる。
【0066】
このようなプロセッサ52および各サーバ56、58、60を有する顔認証システム50でも、プロセッサ12を有する顔認証システム10と同様の処理を行うことができる。すなわち、
図16に示す顔認証システム50により行われる顔認証方法によれば、プロセッサ52は、受け付けたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を各認証エンジン30A、30B、30C毎に特徴量抽出手段54により抽出し、抽出されたユーザの顔画像の特徴量を、登録手段53によりユーザの識別情報および認証エンジン30A、30B、30Cに関連付けて各サーバ56、58、60に記憶させる。
【0067】
また、各サーバ56、58、60に記憶されているユーザの顔画像の特徴量に係る情報は、各サーバ56、58、60から対応する各認証エンジン30A、30B、30Cに送信される。このことにより、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う際に、撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得し、取得された顔画像データに基づいて特徴量抽出手段34A、34B、34Cによりユーザの顔画像の特徴量を抽出することにより、各認証エンジン30A、30B、30Cでユーザの認証を行うことができるようになる。その後、認証エンジン30A、30B、30Cのプロセッサ32A、32B、32Cは、サービスの利用状況に係る情報を顔認証システム10に送信する。このことにより、顔認証システム50において各サービス機関におけるサービスの利用状況に係る情報がユーザ毎に各サーバ56、58、60に記憶される。
【0068】
ユーザの認証を行う他の方法として、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う際に、撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得し、取得された顔画像データに基づいて特徴量抽出手段34A、34B、34Cによりユーザの顔画像の特徴量を抽出する。そして、各認証エンジン30A、30B、30Cから顔認証システム50にユーザの顔画像の特徴量に係る情報が送信される。このことにより、認証手段55によってユーザの認証を行うことができるようになる。その後、ユーザの認証結果が顔認証システム50から元の認証エンジン30A、30B、30Cに送信される。
【0069】
ユーザの認証を行う更に他の方法として、各認証エンジン30A、30B、30Cにおいてユーザの認証を行う際に、撮像部38A、38B、38Cによりユーザを撮像することによってユーザの顔画像データを取得する。そして、各認証エンジン30A、30B、30Cから顔認証システム50にユーザの顔画像データが送信される。そして、プロセッサ52は、各サーバ56、58、60に送信されたユーザの顔画像データに基づいてこのユーザの顔画像の特徴量を特徴量抽出手段54により抽出し、抽出されたユーザの顔画像の特徴量と、各サーバ56、58、60に記憶されているユーザの顔画像の特徴量とを認証手段55により比較する。このことにより、認証手段55によってユーザの認証を行うことができるようになる。その後、ユーザの認証結果が顔認証システム50から元の認証エンジン30A、30B、30Cに送信される。
【0070】
これらの顔認証方法によれば、容易に複数の認証エンジン30A、30B、30Cで顔認証を行うことができるようになる。
【0071】
また、
図1、
図4、
図7等に示すような顔認証システム10において、ユーザ端末20や各認証エンジン30A、30B、30Cから送信されたユーザの顔画像データそのものをプロセッサ12がメモリ16に記憶させてもよい。
【0072】
また、上記の例では、各サービス機関に設置される認証エンジン30A、30B、30Cとは別に顔認証システム10、50が設置される態様が示されているが、各サービス機関に設置される認証エンジン30A、30B、30Cのうちある認証エンジンが顔認証システム10、50の機能を兼ねるようになっていてもよい。すなわち、各サービス機関に設置される認証エンジン30A、30B、30Cのうちある認証エンジンのプロセッサが、
図1、
図4、
図7等に示す顔認証システム10のプロセッサ12における特徴量抽出手段14、登録手段13および認証手段15と同等の機能を有する特徴量抽出手段、登録手段および認証手段を有していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 顔認証システム
12 プロセッサ
13 登録手段
14 特徴量抽出手段
15 認証手段
16 メモリ
18 通信部
20 ユーザ端末
30A、30B、30C 認証エンジン
32A、32B、32C プロセッサ
34A、34B、34C 特徴量抽出手段
35A、35B、35C 認証手段
36A、36B、36C メモリ
38A、38B、38C 撮像部
40A、40B、40C 処理部
42A、42B、42C 通信部
50 顔認証システム
52 プロセッサ
52a サーバ管理手段
53 登録手段
54 特徴量抽出手段
55 認証手段
56 第1サーバ
58 第2サーバ
60 第3サーバ