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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128063
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】仮設式足場ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/30 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E04G3/30 301L
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111556
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2020186912の分割
【原出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000132127
【氏名又は名称】株式会社スガテック
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】福居 勇之
(57)【要約】
【課題】作業者の作業を容易にし、垂直の壁面にも適用可能な仮設式足場ユニットを提供する。
【解決手段】仮設式足場ユニット(1)は、開口部(MH)が設けられた壁の内壁面(W1)から、内部空間に向けて水平方向に延びるように構成される足場本体(11)と、足場本体に連結され、開口部に取り付け可能に構成されるアーム部材(12)と、開口部に着脱可能な支持部材(221)と、を有してなる。足場本体は、内部空間に吊り下げられた第1線材(L1,L2)に取り付け可能な第1取付部材(112,113)と、支持部材を介して内部空間に進退自在な仮設線材(L21)に取り付け可能な仮設取付部材(114)と、を備える。アーム部材は、足場本体の長手方向の一端部に連結される。第1取付部材と仮設取付部材とは、足場本体の長手方向の他端部に連結される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の壁に設けられた開口部から前記設備の内部空間に仮設される仮設式足場ユニットであって、
前記開口部が設けられた前記壁の内壁面から、前記内部空間に向けて水平方向に延びるように構成される足場本体と、
前記足場本体に連結され、前記開口部に取り付け可能に構成されるアーム部材と、
前記開口部に着脱可能な支持部材と、
を有してなり、
前記足場本体は、
前記内部空間に吊り下げられた第1線材に取り付け可能な第1取付部材と、
前記支持部材を介して前記内部空間に進退自在な仮設線材に取り付け可能な仮設取付部材と、
を備え、
前記アーム部材は、前記足場本体の長手方向の一端部に連結され、
前記第1取付部材と前記仮設取付部材とは、前記足場本体の前記長手方向の他端部に連結される、
ことを特徴とする仮設式足場ユニット。
【請求項2】
前記アーム部材は、側方視においてL字状で、前記足場本体に揺動可能に連結される、
請求項1記載の仮設式足場ユニット。
【請求項3】
前記アーム部材は、
前記開口部の内面に当接可能な第1当接部材と、
前記開口部の前記内面に当接可能で、前記第1当接部材と平行に配置される第2当接部材と、
を備える、
請求項1記載の仮設式足場ユニット。
【請求項4】
前記アーム部材は、
前記開口部の縁に対向するように配置可能なストッパ、
を備える、
請求項2または3のいずれかに記載の仮設式足場ユニット。
【請求項5】
前記足場本体は、
前記足場本体の前記一端部に配置され、前記足場本体の前記一端部側の側方に突出する補助輪と、
前記足場本体の前記他端部に配置され、前記足場本体の下方に突出する運搬輪と、
を備える、
請求項1記載の仮設式足場ユニット。
【請求項6】
前記支持部材は、
前記開口部から前記内部空間に向けて、前記水平方向に延びるように構成される支持アームと、
前記支持アームの長手方向の両端部に配置され、前記仮設線材を案内する2つの滑車と、
を備える、
請求項1記載の仮設式足場ユニット。
【請求項7】
前記設備の内面に取り付け可能であり、前記第1線材に取り付け可能な第1吊部材、
を有してなる、
請求項1乃至6のいずれかに記載の仮設式足場ユニット。
【請求項8】
前記足場本体から前記足場本体の短手方向の側方に展開可能に連結される展開足場、
を有してなり、
前記展開足場は、
前記展開足場の端部に配置され、前記内部空間に吊り下げられた第2線材に取り付け可能な第2取付部材、
を備える、
請求項1乃至7のいずれかに記載の仮設式足場ユニット。
【請求項9】
前記展開足場は、
前記足場本体の側方に展開可能に連結される第1展開足場と、
前記第1展開足場の側方に展開可能に連結される第2展開足場と、
を備える、
請求項8記載の仮設式足場ユニット。
【請求項10】
前記第1展開足場と前記第2展開足場それぞれは、矩形の枠状で、
前記第2展開足場の床面積は、前記第1展開足場の床面積よりも小さい、
請求項9記載の仮設式足場ユニット。
【請求項11】
前記第2取付部材は、前記第1展開足場の前記第2展開足場側の端部に配置される、
請求項9または10記載の仮設式足場ユニット。
【請求項12】
前記展開足場が展開されていないとき、前記展開足場は、前記足場本体の上方に折り畳まれて配置される、
請求項8乃至11のいずれか記載の仮設式足場ユニット。
【請求項13】
前記設備の内面に取り付け可能であり、前記第2線材に取り付け可能な第2吊部材、
を有してなる、
請求項8乃至12のいずれかに記載の仮設式足場ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設式足場ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製鉄工場に設置される高炉の炉頂ホッパーのように、コークスや鉄鉱石などの原料が投入され・通過する内部空間を有する設備には、内部空間での保守作業用(例えば、内部空間、内部空間を形成する内壁面および内壁面に配置される部材(以下「内部」という。)の点検・清掃用)の開口部(点検口)が、設けられる。通常、開口部は、作業者の手が届き難い設備の壁の上部や中央部に設けられる。
【0003】
従来、このような開口部から設備の内部の保守作業をする場合、開口部を介して内部空間に渡される仮設式足場が用いられていた。仮設式足場は、例えば、矩形状の足場本体と、足場本体の長手方向の一端部に接続されるL字状のアーム部材と、を備える。アーム部材は、直角に曲がる屈曲部を備える。屈曲部を中心として、アーム部材の一端部は足場本体から立設され、同他端部は足場本体とは反対側に延出される。すなわち、仮設式足場は、側方視において、クランク状である。アーム部材の屈曲部と足場本体との間には、補強用の斜材(いわゆるブラケット)が取り付けられる。アーム部材の他端部には、開口部の水平方向(幅方向)の長さよりも長いストッパが取り付けられる。
【0004】
仮設式足場は、開口部から足場本体が内部空間に挿入され、アーム部材の他端部が開口に引掛けられることにより、開口部に取り付けられる。足場本体は、開口部側の内壁面から内部空間に張り出し、ストッパは、開口部の外方に配置される。ここで、前述のとおり内部空間には、投入された原料が通過する。そのため、原料の通過経路に、足場本体の他端部(前端部)を固定する部材が取り付けられた場合、同部材は、原料の衝突により破損・脱落し得る。したがって、内部空間を形成する内壁面に同部材を取り付けることは難しく、同部材の取付位置も原料の通過経路外に制限される。その結果、アーム部材のみが開口部に固定され、仮設式足場は、片持ち支持の状態で開口部に取り付けられる。このように構成される仮設式足場では、足場本体の幅が開口部の幅に制限される。そのため、仮設式足場の床面積が制限され、作業スペースが制限される。また、斜材により、作業者の作業と作業用の部材の置場とが制限され得る。
【0005】
これまでにも、炉などの内部空間に仮設式足場を設置する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示された技術は、ボイラ炉の燃焼室内の保守作業用の足場を仮設する技術に関する。同技術では、作業者は、燃焼炉に吊上装置を取り付け、クリンカホッパに設けられたマンホールからクリンカホッパ内に仮設式足場の架台を搬入し、架台を吊上装置で吊上げ、自在ジャッキにより架台をクリンカホッパの傾斜部(底面)に固定する。その後、作業者は、架台を用いて仮設式足場を搬入・設置する。
【0007】
しかしながら、同技術は、作業ごとに仮設式足場の上方に吊上装置を設置しなければならず、吊上装置を設置するための仕組み(ホールやワイヤなど)が必要となる。また、同技術では、必要とされる部材数・工数も多い。さらに、同技術では、架台は傾斜部に固定される。そのため、同技術は、傾斜部を有さない垂直の壁面には適用できない。すなわち、同技術は、特定のボイラ炉以外には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-060142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、作業者の搬送作業および足場構築作業を容易にし、垂直の壁面にも適用可能な仮設式足場ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る仮設式足場ユニットは、設備の壁に設けられた開口部から設備の内部空間に仮設される仮設式足場ユニットであって、開口部が設けられた壁の内壁面から、内部空間に向けて水平方向に延びるように構成される足場本体と、足場本体に連結され、開口部に取り付け可能に構成されるアーム部材と、開口部に着脱可能な支持部材と、を有してなり、足場本体は、内部空間に吊り下げられた第1線材に取り付け可能な第1取付部材と、支持部材を介して内部空間に進退自在な仮設線材に取り付け可能な仮設取付部材と、を備え、アーム部材は、足場本体の長手方向の一端部に連結され、第1取付部材と仮設取付部材とは、足場本体の長手方向の他端部に連結される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業者の搬送作業および足場構築作業を容易にし、垂直の壁面にも適用可能な仮設式足場ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る仮設式足場ユニットの実施の形態における使用例を示す外観図である。
図2図1の仮設式足場ユニットの斜視図である。
図3図1の仮設式足場ユニットの図2のA矢視図である。
図4図1の仮設式足場ユニットが備える展開足場が展開された状態の同仮設式足場ユニットが備える仮設式足場の平面図である。
図5図4の展開足場が展開されていない状態の仮設式足場の後面図である。
図6図5の仮設式足場が開口部まで運搬された状態を示す説明図である。
図7図1の仮設式足場ユニットが備える足場本体と展開足場とが開口部から内部空間まで搬入された直後の状態を示す説明図である。
図8図1の仮設式足場ユニットが備える第2支持ユニットが開口部から取り外された状態を示す説明図である。
図9図1の仮設式足場ユニットが備える第1支持ユニットが取り外され、同仮設式足場ユニットが備える吊部材が取り付けられた状態を示す説明図である。
図10図4の展開足場が展開された状態の仮設式足場を上方から見た説明図である。
図11図4の仮設式足場が設備の内部空間に仮設された状態を示す説明図である。
図12図4の仮設式足場が設備の内部空間に仮設された状態を上方から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る仮設式足場ユニット(以下「本ユニット」という。)は、以下の実施の形態と図面とにより説明される。
【0014】
以下の説明において、本ユニットは、高炉の炉頂ホッパーの集合シュートの保守作業に用いられるものとする。
【0015】
以下の説明において、特に断りがない限り、 各図に示される相互に直交する3軸をそれぞれX軸、Y軸およびZ軸としたとき、「X軸方向」は、X軸に沿う方向であり、本実施の形態では左右方向である。「Y軸方向」は、Y軸に沿う方向であり、本実施の形態では前後方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、本実施の形態では上下方向である。「+X軸方向」は、X軸方向の正の方向であり、本実施の形態では右方である。「-X軸方向」は、X軸方向の負の方向であり、本実施の形態では左方である。「+Y軸方向」は、Y軸方向の正の方向であり、本実施の形態では前方である。「-Y軸方向」は、Y軸方向の負の方向であり、本実施の形態では後方である。「+Z軸方向」は、Z軸方向の正の方向であり、本実施の形態では上方である。「-Z軸方向」は、Z軸方向の負の方向であり、本実施の形態では下方である。
【0016】
●仮設式足場ユニット●
●仮設式足場ユニットの構成
図1は、本ユニットの実施の形態における使用例を示す外観図である。
同図は、本ユニット1が高炉の炉頂ホッパーの集合シュートSHのマンホールMHに仮設されていることを示す。マンホールMHは、本発明における開口部の例である。
【0017】
図2は、本ユニット1の斜視図である。
同図は、説明の便宜上、マンホールMHと、集合シュートSHの内壁面W1,W2も併せて示す。
【0018】
図3は、本ユニット1の図2のA矢視図である。
同図は、説明の便宜上、集合シュートSHの断面も併せて示す。また、同図は、説明の便宜上、本ユニット1の搬送に用いられるスロープSPと、集合シュートSH内に原料を投入するための弁Vの開閉範囲と、を二点鎖線で示す。
【0019】
本ユニット1は、集合シュートSH(設備)の壁に設けられたマンホールMH(開口部)から集合シュートSHの内部空間に仮設され、内部空間に作業用の足場を提供する。本ユニット1は、仮設式足場10と、支持ユニット20と、吊ユニット30と、を有してなる。
【0020】
図2図3とに示されるとおり、本ユニット1では、後述されるアーム部材12を介してマンホールMHに片持ち支持された仮設式足場10の前端が吊ユニット30により吊り下げ固定されることにより、仮設式足場10の前端と後端との両端が集合シュートSHの内部空間に固定される。その結果、仮設式足場10は、集合シュートSHの内部空間に安定した状態で固定される。また、本ユニット1は、開口部に片持ち支持される従来の仮設式足場では必要とされていた補強用の斜材(ブラケット)を不要とする。そのため、仮設式足場10上において作業者の作業が制限されず、仮設式足場10上における作業者の作業性は、向上する。
【0021】
「設備」は、例えば、作業者が入って保守作業を行う内部空間を有する炉や大型ボイラなどの装置、建屋や倉庫などの建築物である。本実施の形態において、設備は、高炉の炉頂ホッパーの集合シュートSHである。
【0022】
「開口部」は、例えば、設備の壁に設けられたマンホールや扉などの作業者の出入口である。本発明において、開口部は、設備の床面から作業者の手が届かない高所に設けられる。
【0023】
「内部空間」は、設備の内部に設けられる空間であり、例えば、原料や資材、搬送装置などの物品が投入・通過・保管される空間である。
【0024】
仮設式足場10は、内部空間に搬入されて、内部空間に作業者の作業用の足場を形成する。仮設式足場10は、足場本体11と、アーム部材12と、展開足場13と、を備える。
【0025】
足場本体11は、内部空間に作業者の作業用の足場を形成する。足場本体11は、枠部材111と、2つの取付部材112,113と、仮設取付部材114と、天板115と、2つの運搬輪116,117(図4参照)と、2つの補助輪118,119と、を備える。
【0026】
枠部材111は、足場本体11の骨格を構成する。枠部材111は、前後方向に長細い矩形状の中空枠体で、例えば、鋼などの金属製である。枠部材111の4隅は、前方と後方とに突出して、4つの突出部111a,111b,111c,111dを構成する。突出部111aは、枠部材111の左前端部から前方に突出する。突出部111bは、枠部材111の右前端部から前方に突出する。突出部111cは、枠部材111の左後端部から後方に突出する。突出部111dは、枠部材111の右後端部から後方に突出する。枠部材111の前端部の中央部は、前方に突出して突出部111eを構成する。
【0027】
「矩形状」は、全ての角が直角の長方形および正方形だけでなく、方形に類似の形状(例えば、角および/または辺が丸められている四角形、角部が複数の角で構成される多角形)も含む。
【0028】
取付部材112,113は、後述される線材L1,L2と仮設線材L11,L12と、が取り付けられる部材である。取付部材112,113それぞれは、本発明における第1取付部材の例である。取付部材112,113は、上下方向に長細い板状で、例えば、鋼などの金属製である。取付部材112は、枠部材111の突出部111aに、上方に突出するように連結される。取付部材113は、枠部材111の突出部111bに、上方に突出するように連結される。
【0029】
なお、本発明における足場本体は、線材に取り付けられる取付部材と、仮設線材に取り付けられる仮設取付部材と、を個別に備えてもよい。
【0030】
また、本発明における突出部(突出部111a,111bに相当)が、本発明における第1取付部材として機能してもよい。すなわち、例えば、同突出部に、本発明における第1線材が取り付け可能な孔が形成されてもよい。
【0031】
仮設取付部材114は、後述される仮設線材L21が取り付けられる部材である。仮設取付部材114は、本発明における仮設取付部材の例である。仮設取付部材114は、上下方向に長細い板状で、例えば、鋼などの金属製である。仮設取付部材114は、枠部材111の突出部111eに、突出部111eの上方に突出するように連結される。
【0032】
なお、本発明における突出部(突出部111eに相当)が、本発明における仮設取付部材として機能してもよい。すなわち、例えば、同突出部に、本発明における仮設線材が取り付け可能な孔が形成されてもよい。
【0033】
天板115は、作業者の搬送負担や仮設負担を軽減するため、軽量であることが好ましく、例えば、鋼などの金属製のメッシュである。天板115は、枠部材111の開口を覆うように、枠部材111に取り付けられる。
【0034】
なお、本発明における天板は、メッシュに限定されない。すなわち、例えば、本発明における天板は、プレート状や簀子状でもよい。
【0035】
運搬輪116,117は、足場本体11の運搬を補助する。運搬輪116,117は、枠部材111の前端部に左右方向に並んで、枠部材111の下方に突出するように配置される。このように、仮設式足場10が運搬輪116,117を備えることにより、仮設式足場10は良好な搬送性を有する。その結果、車輪を備えず複数人で搬送されていた従来の仮設式足場と比較して、仮設式足場10は、一人の作業者による搬送も可能となる。
【0036】
補助輪118,119は、内部空間における仮設式足場10の移動(上下動)を補助する。補助輪118,119は、枠部材111の後端部に左右方向に並んで、枠部材111の後方に突出するように配置される。
【0037】
アーム部材12は、足場本体11の持ち手として機能すると共に、マンホールMHに取り付けられて、足場本体11をマンホールMHに固定する。アーム部材12は、例えば、鋼などの金属製である。アーム部材12は、2つの当接部材121,122と、第1ストッパ123と、第2ストッパ124と、2つの把持部材125,126と、を備える。
【0038】
当接部材121,122は、仮設式足場10がマンホールMHに取り付けられたとき、マンホールMHの内面に当接する。当接部材121は本発明における第1当接部材の例であり、当接部材122は本発明における第2当接部材の例である。当接部材121,122は、左右方向視(側方視)においてL字状である。当接部材121の一端部121aは、足場本体11の突出部111cに後方と上方との間の90°の角度範囲で揺動可能に連結される。当接部材121の一端部121aが足場本体11に対して上方に、上下方向に平行に位置するとき、当接部材121の他端部121bは、足場本体11の後方に突出する。当接部材122の一端部122aは、足場本体11の突出部111dに後方と上方との間の90°の角度範囲で揺動可能に連結される。当接部材122の一端部122aが足場本体11に対して上方に、上下方向に平行に位置するとき、当接部材122の他端部122bは、足場本体11の後方に突出する。当接部材121は、当接部材122と左右方向に平行に配置される。
【0039】
第1ストッパ123は、仮設式足場10がマンホールMHに取り付けられたとき、仮設式足場10の内部空間への転落を防ぐストッパとして機能する。第1ストッパ123は、左右方向に細長いL字フレームである。第1ストッパ123は、左右方向に沿うように当接部材121の他端部121b,122bに架け渡されて、同他端部121b,122bに連結される。第1ストッパ123の長さは、開口部(マンホールMH)の水平方向の長さ(開口幅)よりも長い。
【0040】
第2ストッパ124は、仮設式足場10がマンホールMHに取り付けられたとき、仮設式足場10の内部空間への転落を防ぐストッパとして機能する。第2ストッパ124は、上下方向に細長いL字フレームである。第2ストッパ124は、当接部材121,122の一端部121a,122aが上下方向に平行に位置するとき、第1ストッパ123から下方に突出するように第1ストッパ123に連結される。第2ストッパ124は、本発明におけるストッパの例である。
【0041】
本発明における当接部材は、上方視においてU字状に一体に構成され、ストッパが当接部材に連結されてもよい。
【0042】
把持部材125,126は、仮設式足場10の運搬・設置時に作業者に把持される取手である。把持部材125は、当接部材121の他端部121bに連結される。把持部材126は、当接部材122の他端部122bに連結される。
【0043】
このように構成されるアーム部材12は、足場本体11に対して、後方と上方との間の90°の角度範囲で揺動可能である。
【0044】
展開足場13は、足場本体11の側方(本実施の形態では右方)に展開して、追加の足場を形成する。展開足場13は、例えば、鋼などの金属製である。展開足場13は、第1展開足場131と、第2展開足場132と、2つの取付部材133,134と、を備える。
【0045】
第1展開足場131は、前後方向に長細い矩形状の中空枠体である。第1展開足場131の前後方向の長さは、足場本体11の枠部材111の前後方向の長さと同じである。第1展開足場131の左右方向の長さは、枠部材111の左右方向の長さよりも短い。第1展開足場131は、枠部材111の右端部に、左方と右方との間の180°の角度範囲で上側に揺動可能に連結される。すなわち、第1展開足場131は、足場本体11の右方に展開可能であり、足場本体11側に収容可能である。
【0046】
なお、本発明における第1展開足場の前後方向の長さは、本発明における枠部材の前後方向の長さよりも短くてもよい。また、同第1展開足場の左右方向の長さは、同枠部材の左右方向の長さと同じでもよい。
【0047】
第2展開足場132は、前後方向に長細い矩形状の中空枠体である。第2展開足場132の前後方向の長さは、第1展開足場131の前後方向の長さよりも短い。第2展開足場132の左右方向の長さは、第1展開足場131の左右方向の長さよりも短い。すなわち、第2展開足場132の床面積は、第1展開足場131の床面積よりも小さい。第2展開足場132は、第1展開足場131の右端部に、左方と右方との間の180°の角度範囲で上側に揺動可能に連結される。すなわち、第2展開足場132は、第1展開足場131の右方に展開可能であり、第1展開足場131側に収容可能である。
【0048】
取付部材133,134は、後述される線材L3,L4が取り付けられる部材である。取付部材133,134は、本発明における第2取付部材の例である。取付部材133,134は、略半円板状で、例えば、鋼などの金属製である。取付部材133は、第1展開足場131の右前端部に、同端部の上方に突出するように連結される。取付部材134は、第1展開足場131の右後端部に、同端部の上方に突出するように連結される。
【0049】
なお、本発明における第1展開足場の一部が、本発明における第2取付部材として機能してもよい。すなわち、例えば、本発明における第1展開部材の一部に、線材が取り付け可能な孔が形成されてもよい。
【0050】
図4は、展開足場13が展開された状態(以下「展開状態」という。)の仮設式足場10を上方から見た平面図である。
【0051】
展開足場13は、足場本体11の右方、すなわち、足場本体11の短手方向の側方に展開される。展開状態において、第1展開足場131は足場本体11の右方(右側方)に位置し、第2展開足場132は第1展開足場131の右方(右側方)に位置する。その結果、左右方向において、本ユニット1が形成可能な足場の床面積は、足場本体11のみの床面積と比較して、第1展開足場131と第2展開足場132それぞれの床面積分、増加する。
【0052】
本実施の形態において、第1展開足場131と第2展開足場132それぞれは、足場本体11の天板115に相当する部材を有さない。すなわち、第1展開足場131と第2展開足場132それぞれは、展開足場13の骨格のみを備える。その結果、仮設式足場10単体では、展開足場13が有効に活用されないが、仮設式足場10の重量が軽くなり、仮設式足場10の可搬性が向上する。また、第2展開足場132の床面積は、第1展開足場131の床面積よりも小さい。そのため、展開足場13が展開されていない状態(以下「未展開状態」という。)において、第2展開足場132の少なくとも一部は、第1展開足場131の内部の空間に収容可能である。その結果、展開足場13は、コンパクトに折り畳み可能である。
【0053】
なお、本発明における第2展開足場の床面積は、本発明における第1展開足場の床面積と同じでもよい。
【0054】
図5は、未展開状態の仮設式足場10を後方から見た後面図である。
【0055】
未展開状態において、展開足場13は、足場本体11の上方に折り畳まれて配置される。このとき、第2展開足場132の右端部は、第1展開足場131の内部の空間に収容される。
【0056】
図2図4に戻る。
支持ユニット20は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を一時的に支持する。支持ユニット20は、第1支持ユニット21と第2支持ユニット22とを備える。
【0057】
第1支持ユニット21は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を一時的に支持する。第1支持ユニット21は、2つの固定部材211,212と、2つの仮設線材L11,L12と、を備える。
【0058】
固定部材211,212は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、マンホールMHに固定されて、仮設線材L11,L12を介して、仮設式足場10を一時的に支持する。固定部材211,212は、上下方向視において略U字状の板状で、例えば、鋼などの金属製である。固定部材211は、固定部211aと取付部211bとを備える。固定部材212は、固定部212aと取付部212bとを備える。本実施の形態において、固定部材212は、固定部材211と同じ形状・構成を有し、例えば、固定部材211を左右方向に180°回転させた状態で用いられる。
【0059】
固定部211aは、固定部材211の左端部の縁部分が上方に突出して形成される。取付部211bは、左右方向視においてU字状の線材製で、固定部材211の右端部に取り付けられる。
【0060】
固定部212aは、固定部材212の右端部の縁部分が下方に突出して形成される。取付部212bは、左右方向視においてU字状の線材製で、固定部材212の左端部に取り付けられる。
【0061】
なお、本発明における固定部材の構成は、同固定部材が開口部に着脱可能であり、かつ、同固定部材に本発明における第1仮設線材が取り付け可能であれば、本実施の形態に限定されない。
【0062】
仮設線材L11,L12は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を一時的に支持する。仮設線材L11,L12は、例えば、鋼などの金属製の鎖である。仮設線材L11の一端部(後端部)は、固定部材211の取付部211bに取り付けられる。仮設線材L11の他端部(先端部)は、足場本体11の取付部材112に着脱可能に構成される。仮設線材L12の一端部(後端部)は、固定部材212の取付部212bに取り付けられる。仮設線材L12の他端部(先端部)は、足場本体11の取付部材113に着脱可能に構成される。
【0063】
第2支持ユニット22は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を一時的に支持する。第2支持ユニット22は、支持部材221と、ウインチ226と、仮設線材L21と、を備える。
【0064】
支持部材221は、支持アーム222と、固定部材223と、2つの滑車224,225と、により構成される。支持部材221は、本発明における支持部材の例である。
【0065】
支持アーム222は、2つの滑車224,225を回転可能に支持する。支持アーム222は、前後方向に長細い一対のL字フレームで構成される。支持アーム222は、例えば、鋼などの金属製である。
【0066】
固定部材223は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、支持アーム222をマンホールMHに固定する。固定部材223は、左右方向視において略U字状で、例えば、鋼などの金属製である。固定部材223は、固定部223aを備える。固定部材223は、固定部223aが支持アーム222の上方に配置された状態で、支持アーム222の後端部寄りに取り付けられる。本実施の形態において、固定部材223は、固定部材211と同じ形状・構成を有し、例えば、固定部材211を左右方向に90°回転させた状態で用いられる。
【0067】
固定部223aは、固定部材223の上端部の縁部分が右方に突出して形成される。
【0068】
滑車224,225は、仮設線材L21を進退自在に案内する。滑車224,225は、例えば、鋼などの金属製の滑車である。滑車224は、支持アーム222の後部に回転可能に支持される。滑車225は、支持アーム222の前端部に回転可能に支持される。
【0069】
ウインチ226は、仮設線材L21を進退可能に移動させると共に、仮設線材L21の後端部を支持する。ウインチ226は、例えば、手動式のウインチである。
【0070】
仮設線材L21は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を一時的に支持する。仮設線材L21は、本発明における仮設線材の例である。仮設線材L21は、例えば、鋼などの金属製のワイヤである。仮設線材L21の一端部(後端部)はウインチ226に支持され、他端部(先端部)は足場本体11の仮設取付部材114に着脱可能に構成される。
【0071】
吊ユニット30は、仮設式足場10を内部空間に吊り下げる。吊ユニット30は、4つの吊部材31,32,33,34と、4つの線材L1,L2,L3,L4と、を備える。
【0072】
吊部材31-34は、線材L1-L4を介して、仮設式足場10を吊り下げる。吊部材31,32は、本発明における第1吊部材の例である。吊部材33,34は、本発明における第2吊部材の例である。吊部材31-34は、例えば、前後方向に長細い板状で、鋼などの金属製である。
【0073】
線材L1-L4は、仮設式足場10を内部空間に仮設する際に、仮設式足場10を吊り下げる。線材L1,L2は本発明における第1線材の例であり、線材L3,L4は本発明における第2線材の例である。線材L1-L4は、例えば、鋼などの金属製の鎖である。線材L1の一端部(上端部)は、吊部材31に取り付けられる。線材L1の他端部(下端部)は、足場本体11の取付部材112に着脱可能に構成される。線材L2の一端部(上端部)は、吊部材32に取り付けられる。線材L2の他端部(下端部)は、足場本体11の取付部材113に着脱可能に構成される。線材L3の一端部(上端部)は、吊部材33に取り付けられる。線材L3の他端部(下端部)は、第1展開足場131の取付部材133に着脱可能に構成される。線材L4の一端部(上端部)は、吊部材34に取り付けられる。線材L4の他端部(下端部)は、第1展開足場131の取付部材134に着脱可能に構成される。
【0074】
●仮設式足場の仮設方法
次に、仮設式足場10の仮設方法が、以下に説明される。以下の説明では、図2図4も併せて参照される。
【0075】
図6は、仮設式足場10が集合シュートSHのマンホールMHまで運搬された状態を示す説明図である。同図では、説明の便宜上、展開足場13の図示が省略される。
【0076】
先ず、仮設式足場10は、作業者により、集合シュートSHのマンホールMHの近くまで運搬される。このとき、作業者は、把持部材125,126を把持して、運搬輪116,117を用いて仮設式足場10を運搬する。
【0077】
次いで、支持部材221がマンホールMHに取り付けられる。具体的には、支持アーム222の前半部がマンホールMHから内部空間に挿入された状態で、固定部材223が、例えば、固定部223aに嵌め込まれたボルト(不図示)により、マンホールMHの上端部に固定される。このとき、支持アーム222は、内部空間に向けて、水平方向(前後方向)に延びるように配置される。
【0078】
次いで、ウインチ226が、マンホールMHの後上方の天井部(例えば、炉頂付近に設置されたH型鋼)に取り付けられる。
【0079】
次いで、固定部材211,212がマンホールMHに取り付けられる。具体的には、固定部材211は、例えば、固定部211aに嵌め込まれたボルト(不図示)により、マンホールMHの左端部に固定される。一方、固定部材212は、例えば、固定部212aに嵌め込まれたボルト(不図示)により、マンホールMHの右端部に固定される。
【0080】
次いで、仮設式足場10は、例えば、マンホールMHの外側に配置されたスロープSP(図3参照)上を搬送されて、マンホールMHまで搬送される。
【0081】
次いで、仮設線材L21の先端部が、滑車224の下方に通され、滑車225の上方に通され、足場本体11の仮設取付部材114に取り付けられる。このとき、仮設線材L21は、仮設式足場10の前端部を支持する。
【0082】
次いで、仮設線材L11の先端部が、足場本体11の取付部材112に取り付けられる。また、仮設線材L12の先端部が、足場本体11の取付部材113に取り付けられる。このとき、仮設線材L11,L12は、弛んだ状態である。
【0083】
次いで、仮設式足場10が、前端部から内部空間に搬入される。
【0084】
図7は、仮設式足場10の足場本体11と展開足場13とが集合シュートSHの内部空間内に搬入された直後を示す説明図である。同図では、説明の便宜上、展開足場13の図示が省略される。
【0085】
次いで、仮設式足場10は、足場本体11の全体が内部空間に搬入されるまで、内部空間に搬入される。このとき、仮設式足場10の前端部は、内部空間の下方に落下しないように、ウインチ226と仮設線材L21とにより吊られている。また、アーム部材12は、足場本体11よりも後方側に傾倒される。第2ストッパ124は、マンホールMHの下方に配置される。
【0086】
次いで、補助輪118,119が、集合シュートSHのマンホールMH側の壁の内壁面W1に当接される。次いで、ウインチ226と仮設線材L21とにより仮設式足場10の前端部が吊られた状態で、足場本体11が内部空間内の下方へ下ろされる。このとき、補助輪118,119が内壁面W1を転がることにより、足場本体11は、内壁面W1に引っかかることなく、内壁面W1に沿ってスムーズに下ろされる。その結果、作業者の作業負担は、軽減される。また、アーム部材12は、足場本体11の搬送に合わせて、後方から上方に起こされる。アーム部材12は、当接部材121,122の一端部121a,122aが足場本体11に対して上方に、上下方向に平行に位置するまで、起こされる。このとき、アーム部材12の第1ストッパ123は、マンホールMHの左右端部の縁(後面)に対向するように配置され、マンホールMHの左右端部の縁に当接する。アーム部材12の第2ストッパ124は、マンホールMHの下端部の縁(後面)に対向するように配置され、マンホールMHの下端部の縁に当接する。その結果、第1ストッパ123と第2ストッパ124とは、仮設式足場10の内部空間への落下を防ぐストッパとして機能する。
【0087】
なお、本発明におけるストッパは、マンホールの縁に対向するように配置されればよく、マンホールの縁に当接しなくてもよい。
【0088】
次いで、足場本体11は、当接部材121,122がマンホールMHの内周面に当接するまで、内部空間内を下ろされる。当接部材121,122がマンホールMHの内周面に当接したとき、アーム部材12は、マンホールMHに取り付けられる。このとき、仮設線材L11,L12は、仮設式足場10の前端部を吊り下げるように、固定部材211,212と足場本体11の取付部材112,113との間に張り渡される。その結果、仮設式足場10の前端部は、仮設線材L11,L12を介して、固定部材211,212によりマンホールMHに固定される。次いで、アーム部材12の第2ストッパ124は、例えば、万力などの挟持器具により、マンホールMHの下端部に固定される。
【0089】
次いで、第2支持ユニット22が取り外される。すなわち、仮設線材L21の先端部が足場本体11の仮設取付部材114から取り外される。次いで、支持部材221がマンホールMHから取り外されると共に、ウインチ226が天井部から取り外される。
【0090】
図8は、第2支持ユニット22がマンホールMHから取り外された状態を示す説明図である。同図では、説明の便宜上、展開足場13の図示が省略される。
【0091】
第2支持ユニット22が取り外されたとき、仮設式足場10は、固定部材211,212と、仮設線材L11,L12と、アーム部材12(第1ストッパ123,第2ストッパ124)と、によりマンホールMHに固定される。
【0092】
図9は、第1支持ユニット21が取り外され、吊部材31-34が取り付けられた状態を示す説明図である。同図では、説明の便宜上、展開足場13の図示が省略される。同図は、弁Vの開閉範囲を二点鎖線で示す。
【0093】
次いで、足場本体11上に移動した作業者により、吊部材31-34が、内壁面W1,W2に、例えば、溶接などの接合手段により、取り付けられる。このとき、吊部材31-34は、例えば、取付部材112,113,133,134の上方であって、集合シュートSHの動作(投入された原料の移動や、弁Vの開閉動作)による干渉を受けない位置に取り付けられる。すなわち、例えば、吊部材31は取付部材112の略直上の内壁面W2に取り付けられ、吊部材32は取付部材113の略直上の内壁面W2に取り付けられ、吊部材33は取付部材133のやや左斜め上方の内壁面W2に取り付けられ、吊部材34は取付部材134のやや左斜め上方の内壁面W1に取り付けられる。したがって、原料の衝突による吊部材31-34の破損・脱落は生じず、弁Vの開閉動作は吊部材31-34により阻害されない。その結果、吊部材31-34は、恒久的に内壁面W1,W2に取り付け可能である。
【0094】
次いで、線材L1の上端部が吊部材31に取り付けられ(内部空間に吊り下げられ)、線材L1の下端部が取付部材112に取り付けられる。また、線材L2の上端部が吊部材32に取り付けられ(内部空間に吊り下げられ)、線材L2の下端部が取付部材113に取り付けられる。このとき、線材L1,L2は、取付部材112,113と吊部材31,32との間に張り渡される。
【0095】
次いで、第1支持ユニット21がマンホールMHから取り外される。すなわち、仮設線材L11,L12が取付部材112,113から取り外され、固定部材211,212がマンホールMHから取り外される。このとき、仮設式足場10は、吊部材31,32と、線材L1,L2と、アーム部材12(第1ストッパ123,第2ストッパ124)と、により内部空間に仮設される。次いで、展開足場13が、足場本体11の右側方に展開される。
【0096】
図10は、展開状態の仮設式足場10を上方から見た説明図である。
同図は、集合シュートSHの壁には、相互に対向しない位置に2つのマンホールMHが設けられており、それぞれのマンホールMHに仮設式足場10が取り付けられること、を示す(以下、図12も同じ。)。
【0097】
展開状態において、第2展開足場132の右端部の前端部と後端部とは、集合シュートSHの右側の内壁面W3の傾斜面に当接する。その結果、第2展開足場132の右端部は、集合シュートSHの内壁面W3に支持される。
【0098】
図11は、仮設式足場10が集合シュートSHの内部空間に仮設された状態を示す説明図である。同図は、弁Vの開閉範囲を二点鎖線で示す。
【0099】
次いで、線材L3の上端部が吊部材33に取り付けられ(内部空間に吊り下げられ)、線材L3の下端部が取付部材133に取り付けられる。また、線材L4の上端部が吊部材34に取り付けられ(内部空間に吊り下げられ)、線材L4の下端部が取付部材134に取り付けられる。このとき、線材L3,L4は、取付部材133,134と吊部材33,34との間に張り渡される。その結果、仮設式足場10は、吊部材31-34と、線材L1-L4と、アーム部材12(第1ストッパ123,第2ストッパ124)と、により内部空間に仮設される。足場本体11は、マンホールMHが設けられた内壁面W1から内部空間に水平方向(前後方向)に延びるように仮設される。展開足場13は、足場本体11の短手方向(左右方向)の右方に展開され、仮設される。このように仮設された仮設式足場10は、弁Vの開閉範囲に干渉しない。そのため、弁Vの開閉は、仮設式足場10が仮設された状態で可能となる。
【0100】
図12は、仮設式足場10が集合シュートSHの内部空間に仮設された状態を上方から見た説明図である。
【0101】
次いで、仮設の足場板P1が、第1展開足場131の上側に、第1展開足場131の前後方向に突出するように架け渡される。また、仮設の足場板P2が、第2展開足場132の上側に、第2展開足場132の前後方向に突出するように架け渡される。
【0102】
ここで、図12に示されるとおり、他方のマンホールMHにも仮設式足場10が仮設されているとき、5つの仮設の足場板P3,P4,P5,P6,P7が、2つの足場本体11同士の上側に架け渡される。
【0103】
このように、足場板P1,P2が展開足場13に架け渡されることにより、仮設式足場10は、足場本体11と第1展開足場131と第2展開足場132それぞれの床面積分の足場を内部空間に仮設できる。また、図13に示されるとおり、2つの仮設式足場10間に足場板P3-P7が架け渡されることにより、仮設式足場10は、内部空間の水平方向の略全域に亘り、足場を仮設できる。
【0104】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、足場本体11とアーム部材12とを有してなる。足場本体11は、マンホールMH(開口部)が設けられた壁の内壁面W1から、内部空間に向けて水平方向に延びるように構成される。アーム部材12は、足場本体11に連結され、マンホールMHに取り付け可能に構成される。足場本体11は、内部空間に吊り下げられた線材L1,L2に取り付け可能な取付部材112,113を備える。この構成によれば、足場本体11は、アーム部材12によりマンホールMHに支持され、線材L1,L2により内部空間に吊り下げられる。その結果、足場本体11における作業者の作業は、線材L1,L2以外に阻害されず、容易になる。また、足場本体11は、アーム部材12と線材L1、L2とにより内部空間に仮設される。したがって、アーム部材12が取り付け可能な開口部と、内部空間に吊り下げられる線材L1,L2と、を備える設備であれば、本ユニット1は、垂直の壁面にも適用できる。
【0105】
また、以上説明した実施の形態によれば、アーム部材12は、足場本体11の長手方向(前後方向)の一端部(後端部)に連結される。取付部材112,113は、足場本体11の長手方向の他端部(前端部)に連結される。すなわち、足場本体11において、前後端以外には、足場本体11の上方に作業者の作業を阻害する物品は、存在しない。したがって、作業者の作業は、容易になる。
【0106】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、アーム部材12は、側方視においてL字状で、足場本体11に揺動可能に連結される。この構成によれば、足場本体11の内部空間への搬入時において、アーム部材12は、マンホールMHと干渉し難い位置に退避できる。
【0107】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、アーム部材12は、マンホールMHの内面に当接可能な当接部材121,122を備える。当接部材121は、当接部材122と平行に配置される。この構成によれば、平行に配置される2つの当接部材がマンホールMHの内面に当接することにより、本ユニット1は、前後方向を軸として回転することなく、仮設できる。
【0108】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、アーム部材12は、当接部材121,122に架け渡される第1ストッパ123と、第1ストッパ123に取り付けられる第2ストッパ124と、を備える。第1ストッパ123の長さは、マンホールMHの水平方向の長さよりも長い。第2ストッパ124は、マンホールMHの縁(後面)に対向するように配置可能である。この構成によれば、足場本体11の後端部側はマンホールMHに確実に取り付けられると共に、足場本体11の内部空間への落下が阻止される。
【0109】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、足場本体11は、運搬輪116,117と、補助輪118,119と、を備える。運搬輪116,117は、足場本体11の前端部に配置され、足場本体11の下方に突出する。補助輪118,119は、足場本体11の後端部に配置され、足場本体11の後方に突出する。この構成によれば、足場本体11の搬送時は、運搬輪116,117が床面に転がることにより、足場本体11は、スムーズに運搬できる。また、内部空間において、足場本体11を上下方向に移動させるとき、補助輪118,119が内壁面W1に転がることにより、足場本体11は、スムーズに移動できる。
【0110】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、マンホールMHに着脱可能な固定部材211,212を有してなる。足場本体11の取付部材112,113は、固定部材211,212に取り付けられる仮設線材L11,L12に取り付け可能である。この構成によれば、足場本体11が内部空間内に搬送されるとき、足場本体11は、仮設線材L11,L21を介して、マンホールMHに取り付けられた固定部材211,212に一時的に支持される。その結果、例えば、線材L1,L2が取付部材112,113に取り付けられるまでの間、足場本体11は、マンホールMHに確実に支持される。
【0111】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、マンホールMHに着脱可能な支持部材221を有してなる。足場本体11は、仮設取付部材114を備える。仮設取付部材114は、足場本体11の前端部に連結され、支持部材221を介して内部空間に進退可能な仮設線材L21に取り付け可能である。この構成によれば、足場本体11が内部空間内に搬送されるとき、足場本体11の前端部は、進退可能な仮設線材L21を介して、マンホールMHに取り付けられた支持部材221に一時的に支持される。その結果、仮設線材L21の進退の方向や量が調整されることにより、足場本体11の搬送時の姿勢は、維持される。
【0112】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、支持部材221は、支持アーム222と、支持アーム222の両端部に回転可能に配置される滑車224,225と、を備える。支持アーム222は、マンホールMHから内部空間へ向けて水平方向に延びるように構成される。この構成によれば、仮設線材L21は、支持アーム222の前端部の滑車225を介して、略上方から足場本体11の前端部を吊り下げることができる。
【0113】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、足場本体11の短手方向(左右方向)の右方に展開可能に連結される展開足場13を有してなる。展開足場13は、内部空間に吊り下げられた線材L3,L4に取り付け可能な取付部材133,134を備える。取付部材133,134は、展開足場13の端部に配置される。この構成によれば、本ユニット1は、開口部の大きさに関わらず、内部空間において、足場本体11の側方に、足場(展開足場13)を容易に追加できる。また、展開足場13は、線材L3,L4に吊り下げられるため、作業者の作業を阻害せず、垂直の壁面にも適用できる。さらに、前述のとおり、仮設式足場10は、アーム部材12と足場本体11との間に、従来の仮設式足場が必要とする補強用の斜材を備えない。そのため、展開足場13は、足場本体11の前端から後端までの範囲において、足場本体11の側方(本実施の形態では、右方)に展開可能である。その結果、内部空間において、足場本体11と展開足場13とに覆われない領域(開口領域)が減少し、作業者の足場となる領域が増加する。
【0114】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、展開足場13は、足場本体11の右方に展開可能に連結される第1展開足場131と、第1展開足場131の右方に展開可能に連結される第2展開足場132と、を備える。未展開状態において、展開足場13は、足場本体11の上方に折り畳まれて配置される。この構成によれば、本ユニット1は、2段階まで追加の足場を仮設できると共に、展開足場13をコンパクトに折り畳み(収容)できる。
【0115】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1展開足場131と第2展開足場132それぞれは、矩形の枠状で、第2展開足場132の床面積は、第1展開足場131の床面積よりも小さい。この構成によれば、未展開状態において、第2展開足場132の端部は、第1展開足場131の内部の空間に収容できる。そのため、展開足場13は、コンパクトに折り畳みできる。
【0116】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、取付部材133,134は、第1展開足場131の第2展開足場132側の端部(右端部)に配置される。この構成によれば、作業者の作業は、線材L3,L4に阻害され難くなり、容易になる。
【0117】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本ユニット1は、内壁面W1,W2に取り付け可能な吊部材31-34を有してなる。吊部材31-34は、線材L1-L4に取り付け可能である。この構成によれば、足場本体11と展開足場13とは、任意の位置に取り付けられた吊部材31-34により、内部空間に仮設できる。
【0118】
なお、本ユニットは、足場本体とアーム部材とを備えていればよく、本ユニットの構成は本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本ユニットは、展開足場を備えなくてもよく、あるいは、吊ユニットを備えなくてもよい。この場合、例えば、吊ユニットは、内部空間を有する設備が備えていてもよく、あるいは、同設備が備える物品により代替されてもよい。また、例えば、本ユニットは、支持ユニットを備えなくてもよい。この場合、例えば、足場本体は、開口部に取り付けられた仮設線材により、一時的に支持されてもよい。
【0119】
また、本発明における展開足場が備える足場の数は、第1展開足場と第2展開足場との「2」に限定されない。すなわち、例えば、本発明における展開足場は、「1」の足場を備えてもよく、「3」以上の足場を備えてもよい。
【0120】
さらに、本発明における足場本体および/または展開足場の形状は、矩形状に限定されない。すなわち、例えば、同形状は、三角形や、六角形などの多角形状でもよく、あるいは、開口部から斜め方向に延出される平行四辺形状でもよい。
【0121】
さらにまた、本発明における足場本体および/または展開足場の取付部材の数は、「2」に限定されない。すなわち、例えば、同取付部材の数は、「1」でもよく、あるいは、「3」でもよい。
【0122】
さらにまた、本発明における展開足場は、足場本体の左方に展開されてもよく、あるいは、足場本体の左右両方向に展開されてもよい。
【0123】
さらにまた、本発明における第2展開足場は、線材で吊り下げられてもよい。すなわち、例えば、本発明における吊ユニットは、第2展開足場を吊り下げる吊部材と線材とを備えてもよい。
【0124】
さらにまた、本ユニットが複数回仮設されるとき、吊部材は、新たに取り付けられなくてもよい。すなわち、例えば、最初の仮設で取り付け吊部材が、再使用される。
【0125】
さらにまた、本ユニット(本発明における仮設式足場)を内部空間から取り外す場合、例えば、本ユニット(本発明における仮設式足場)は、前述した仮設方法が逆に実行されることにより、取り外し可能である。この場合、次回の仮設のため、吊部材は、内壁面に取り付けられたままでもよい。
【0126】
さらにまた、本ユニットの仮設方法は、仮設式足場が内部空間に仮設できるのであれば、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、第1支持ユニットと第2支持ユニットそれぞれのマンホールへの取付順は本実施の形態の逆でもよく、吊部材を再使用する場合は吊部材を内壁面に取り付ける工程は、無くてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 仮設式足場ユニット
10 仮設式足場
11 足場本体
112 取付部材(第1取付部材)
113 取付部材(第1取付部材)
114 仮設取付部材(仮設取付部材)
116 運搬輪
117 運搬輪
118 補助輪
119 補助輪
12 アーム部材
121 当接部材(第1当接部材)
122 当接部材(第2当接部材)
123 第1ストッパ
124 第2ストッパ
13 展開足場
131 第1展開足場
132 第2展開足場
133 取付部材(第2取付部材)
134 取付部材(第2取付部材)
211 固定部材
212 固定部材
221 支持部材
222 支持アーム
224 滑車
225 滑車
31 吊部材(第1吊部材)
32 吊部材(第1吊部材)
33 吊部材(第2吊部材)
34 吊部材(第2吊部材)
L1,L2 線材(第1線材)
L3,L4 線材(第2線材)
L11,L12 仮設線材
L21 仮設線材
図1
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図12