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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012810
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】飛行体、プログラム及び飛行方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/46 20240101AFI20240124BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240124BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240124BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20240124BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G05D1/10
G08G5/00 A
B64C39/02
B64D47/08
B64C13/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114545
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】森下 尚久
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF33
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301GG14
(57)【要約】
【課題】適切な周辺情報を生成可能な飛行体を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、飛行体が提供される。この飛行体は、取得部と、設定部と、生成部とを備える。取得部は、飛行体の対地速度に関する対地速度情報を取得する。取得部は、飛行体の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得する。設定部は、対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体とオブジェクトとの関係を設定する。生成部は、飛行体とオブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成する。生成部は、飛行体とオブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、飛行体の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成する。第2周辺情報は、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体であって、
取得部と、設定部と、生成部とを備え、
前記取得部は、前記飛行体の対地速度に関する対地速度情報を取得し、
前記取得部は、前記飛行体の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得し、
前記設定部は、前記対地速度情報と前記オブジェクト情報とに基づいて、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係を設定し、
前記生成部は、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、前記飛行体の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成し、
前記生成部は、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、前記飛行体の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成し、
前記第2周辺情報は、前記第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体において、
前記飛行体と前記オブジェクトとの関係は、前記オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第1空間と、前記飛行体の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示し、
前記生成部は、前記第1空間と前記第2空間とが重ならない場合に、前記第1周辺情報を生成し、
前記生成部は、前記第1空間と前記第2空間とが重なる場合に、前記第2周辺情報を生成する、
飛行体。
【請求項3】
請求項2に記載の飛行体において、
前記第1空間は、前記オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第1高さ位置と、前記オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第2高さ位置であって前記第1高さ位置よりも高い位置を示す第2高さ位置とにおいて、前記第1高さ位置に対応する仮想の断面積よりも前記第2高さ位置に対応する仮想の断面積の方が大きく設定され、
前記第1空間は、前記オブジェクトから所定距離以内に広がる空間である、
飛行体。
【請求項4】
請求項2に記載の飛行体において、
前記第1空間は、前記飛行体の最高対地速度に応じて設定される、
飛行体。
【請求項5】
請求項2に記載の飛行体において、
前記飛行体と前記オブジェクトとの関係は、前記オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第3空間と、前記飛行体の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示し、
前記第3空間は、前記第1空間よりも大きく広がるように設定され、
前記生成部は、前記第3空間と前記第2空間とが重ならない場合に、前記第1周辺情報を生成し、
前記生成部は、前記第3空間と前記第2空間とが重なる場合に、前記第2周辺情報を生成する、
飛行体。
【請求項6】
プログラムであって、
請求項1から5までの何れか1項に記載の飛行体の各部としてコンピュータを機能させる、
プログラム。
【請求項7】
飛行方法であって、
請求項1から5までの何れか1項に記載の飛行体の各部としてコンピュータにより実行される、
飛行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体、プログラム及び飛行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行体制御システムが開示されている。
【0003】
この飛行体制御システムは、監視エリア内の設備の周囲に設定された進入禁止エリアの外側に設定される飛行ルートに沿って飛行体を飛行させ、設備を点検するための飛行体制御システムであって、飛行管理部と、飛行体位置検出部と、風向風速検出部と、エリア側ガス検知部と、危険エリア設定部と、ルート生成要否判断部と、ルート生成部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-076356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飛行体を自律飛行させる際には、3Dマップにより飛行禁止エリアを設定し、当該エリアに飛行体が進入しないように航路設定することが考えられる。しかしながら、遠距離飛行させる際における3Dマップでは、比較的小さなデータ量を使用して航路設定され、すなわち、低い解像度で航路設定されるため、着陸地点近傍の状況を十分に把握することができなかった。一方、近距離飛行させる際における3Dマップでは、比較的大きなデータ量を使用して航路設定されるため、広範囲でマップ作成しようとすると膨大なデータ処理が必要となり、高コスト化を招くことになった。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、適切な周辺情報を生成可能な飛行体を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、飛行体が提供される。この飛行体は、取得部と、設定部と、生成部とを備える。取得部は、飛行体の対地速度に関する対地速度情報を取得する。取得部は、飛行体の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得する。設定部は、対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体とオブジェクトとの関係を設定する。生成部は、飛行体とオブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成する。生成部は、飛行体とオブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、飛行体の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成する。第2周辺情報は、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す。
【0008】
このような態様によれば、適切な周辺情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】飛行体100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】飛行体100(制御部110)によって実現される機能を示すブロック図である。
図3】飛行体100によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。
図4】飛行体100と、ビル220の周囲に広がる空間(第1空間)221との位置関係、及び、飛行体100と、着陸地点230の周囲に広がる空間(第1空間)231との位置関係を示す図である。
図5】飛行体100と、ビル220の周囲に広がる空間(第1空間)221との位置関係、及び、飛行体100と、着陸地点230の周囲に広がる空間(第1空間)231との位置関係を示す図である。
図6】ビル220の周囲に広がる空間(第1空間)221、及びビル220の周囲に広がる空間(第3空間)222の設定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.飛行体100のハードウェア構成
第1節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図1は、飛行体100のハードウェア構成を示すブロック図である。飛行体100は、制御部110と、記憶部120と、表示部130と、入力部140と、通信部150とを有し、これらの構成要素が飛行体100の内部において通信バス160を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0016】
制御部110は、飛行体100に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部110は、例えば、不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部110は、記憶部120に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、飛行体100に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部120に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部110によって具体的に実現されることで、制御部110に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部110は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部110を有するように実施してもよい。またそれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
記憶部120は、飛行体100の情報処理に必要な様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部110によって実行される飛行体100に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0018】
表示部130は、飛行体100の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部130は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、飛行体100の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。以下では、表示部130は、飛行体100の筐体に含まれるものとして説明する。
【0019】
入力部140は、飛行体100の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部140は、表示部130と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部140は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力は、命令信号として、通信バス160を介して制御部110に転送される。そして、制御部110は、必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0020】
通信部150は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、5G/LTE/3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、飛行体100は、通信部150を介して、他の装置とネットワークを介して種々の情報を通信する。
【0021】
2.機能構成
第2節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、記憶部120に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部110によって具体的に実現されることで、制御部110に含まれる各機能部として実行されうる。
【0022】
図2は、飛行体100(制御部110)によって実現される機能を示すブロック図である。具体的には、飛行体100(制御部110)は、取得部111と、設定部112と、生成部113とを備える。
【0023】
取得部111は、種々の情報を取得するように構成される。例えば、取得部111は、飛行体100の対地速度に関する対地速度情報を取得するとともに、飛行体100の航路上に存在するビル220(オブジェクト)に関するオブジェクト情報を取得する。
【0024】
設定部112は、種々の情報を設定するように構成される。例えば、設定部112は、取得された対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体100とビル220との関係を設定する。ここで、飛行体100とビル220との関係は、例えば、飛行体100とビル220との距離のことを示す。
【0025】
生成部113は、種々の情報を生成するように構成される。例えば、生成部113は、飛行体100とビル220との関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成し、飛行体100とビル220との関係が所定条件を満たす場合に、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す第2周辺情報を生成する。
【0026】
3.情報処理方法
第3節では、前述した飛行体100の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、飛行体100の各部としてコンピュータにより実行される飛行方法を示す。この飛行方法は、取得工程と、設定工程と、生成工程とを備える。取得工程では、飛行体100の対地速度に関する対地速度情報を取得する。また、取得工程では、前記飛行体の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得する。設定工程では、対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体100と前記オブジェクトとの関係を設定する。生成工程では、飛行体100とオブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成する。また、生成工程では、飛行体100とオブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成する。第2周辺情報は、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す。
【0027】
図3は、飛行体100によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。
【0028】
制御部110は、飛行体100の離陸処理を実行する(アクティビティA110)。すなわち、制御部110は、飛行体100を離陸地点210から離陸させた後、第1周辺情報の生成を開始するように制御する。第1周辺情報は、例えば、飛行体100に搭載されたレーダ及びカメラから取得した情報に基づいて生成される。第1周辺情報では、比較的小さなデータ量を扱うため、飛行体100からメートルオーダー離れた位置までの情報が含まれる。
【0029】
続いて、取得部111は、飛行体100の対地速度に関する対地速度情報を取得する(アクティビティA120)。すなわち、制御部110は、指示対気速度を取得し、当該指示対気速度を対地速度に変換する処理を実行する。
【0030】
アクティビティA120では、例えば、次の4段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、飛行体100に設けられたピトー管から、飛行体100の指示対気速度を取得する。(2)制御部110は、記憶部120から所定のプログラムを読み出す。(3)制御部110は、指示対気速度を当該プログラムで処理し、対地速度情報を取得する。(4)制御部110は、対地速度情報を記憶部120に記憶させる。
【0031】
続いて、取得部111は、飛行体100の航路上に存在するビル220(オブジェクト)に関するオブジェクト情報を取得する(アクティビティA130)。すなわち、制御部110は、第1周辺情報に含まれる、飛行体100からビル220までの距離に関する情報を取得する。
【0032】
アクティビティA130では、例えば、次の4段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、第1周辺情報から、飛行体100の航路上に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。(2)制御部110は、記憶部120から所定のプログラムを読み出す。(3)制御部110は、ビル220に関する情報を当該プログラムで処理し、オブジェクト情報(例えば、飛行体100とビル220との距離)を取得する。(4)制御部110は、オブジェクト情報を記憶部120に記憶させる。
【0033】
続いて、設定部112は、対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体100とビル220との関係を設定する(アクティビティA140)。ここで、飛行体100とビル220との関係は、ビル220の周囲に広がる空間を示す第1空間と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示してもよい。飛行体100の少なくとも一部分に係る第2空間は、飛行体100の少なくとも一部分に対応する空間のことを示し、例えば、飛行体100のプロペラが占有する空間、飛行体100の尾翼が占有する空間、飛行体100のアームが占有する空間等のことを示す。
【0034】
ここで、ビル220の周囲とは、ビル220から所定距離だけ離間した範囲を示す。所定距離は、具体的には例えば、5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150,155,160,165,170,175,180,185,190,195,200mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。例えば、ビル220の最も高い部分が地面から80mの場合、高さ方向におけるビル220の周囲は、地面から180mであってもよい。
【0035】
アクティビティA140では、例えば、次の3段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、記憶部120に記憶された、対地速度情報及びオブジェクト情報を読み出す。(2)制御部110は、設定処理を実行し、ビル220について第1空間を設定し、飛行体100について第2空間を設定する。(3)制御部110は、第1空間に関する情報、及び第2空間に関する情報を記憶部120に記憶させる。
【0036】
続いて、制御部110は、飛行体100とビル220との関係が所定条件を満たすか否かを判定する(アクティビティA150)。当該所定条件は、ビル220についての第1空間と、飛行体100についての第2空間とが重なる場合に、満たされるものとする。
【0037】
アクティビティA150では、例えば、次の3段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、記憶部120に記憶された、ビル220についての第1空間に関する情報、及び飛行体100についての第2空間に関する情報を読み出す。(2)制御部110は、判定処理を実行し、当該第1空間と当該第2空間とが重なるか否かを判定する。(3)制御部110は、当該判定結果を記憶部120に記憶させる。
【0038】
続いて、生成部113は、飛行体100とビル220との関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成する(アクティビティA160)。すなわち、生成部は、ビル220の周囲に広がる空間を示す第1空間と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間とが重ならない場合に、第1周辺情報を生成してもよい。
【0039】
アクティビティA160では、例えば、次の3段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、記憶部120に記憶された、ビル220についての第1空間と飛行体100についての第2空間との判定結果を読み出す。(2)制御部110は、当該第1空間と当該第2空間とが重ならないと判定すると、第1周辺情報を生成する。(3)制御部110は、生成された第1周辺情報を記憶部120に記憶させる。
【0040】
一方、生成部113は、飛行体100とビル220との関係が所定条件を満たす場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成する(アクティビティA170)。すなわち、生成部113は、ビル220の周囲に広がる空間を示す第1空間と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間とが重なる場合に、第1周辺情報とは異なる第2周辺情報を生成してもよい。第2周辺情報は、例えば、飛行体100に搭載されたLIDARから取得した情報に基づいて生成される。第2周辺情報では、第1周辺情報よりも大きなデータ量を扱うため、飛行体100からセンチメートルオーダー離れた位置までの情報が含まれる。したがって、第2周辺情報は、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す。
【0041】
アクティビティA170では、例えば、次の3段階の情報処理が実行される。(1)制御部110は、記憶部120に記憶された、ビル220についての第1空間と飛行体100についての第2空間との判定結果を読み出す。(2)制御部110は、当該第1空間と当該第2空間とが重なると判定すると、第1周辺情報とは異なる第2周辺情報を生成する。(3)制御部110は、生成された第2周辺情報を記憶部120に記憶させる。
【0042】
続いて、制御部110は、飛行体100が着陸地点230に到着したか否かを判定する(アクティビティA180)。制御部110は、飛行体100が着陸地点230に到着したと判定すると、飛行体100の情報処理を終了する(アクティビティA180のYES)。一方、制御部110は、飛行体100が着陸地点230に到着してないと判定すると、アクティビティA120の情報処理に移行させる(アクティビティA180のNO)。
【0043】
制御部110は、アクティビティA110からアクティビティA180の処理において、生成される第1周辺情報又は第2周辺情報に基づいて、飛行体100の飛行制御をする。
【0044】
4.具体例
第4節では、本実施形態の具体例について説明する。
【0045】
図4及び図5は、飛行体100と、ビル220の周囲に広がる空間(第1空間)221との位置関係、及び、飛行体100と、着陸地点230の周囲に広がる空間(第1空間)231との位置関係を示す図である。
【0046】
図4では、離陸地点210を離陸した飛行体100は、ビル220及び着陸地点230から離れているため、飛行体100と空間221、及び飛行体100と空間231とはどちらも重なっていない。したがって、飛行体100は、生成された第1周辺情報に基づいて、飛行制御されている。
【0047】
すなわち、飛行体100は、ビル220及び着陸地点230から十分に離れているため、メートルオーダーの周辺情報を利用することにより、比較的遠距離のオブジェクト等を認識可能である。したがって、飛行体100は、安全に飛行制御されることができる。
【0048】
図5では、飛行体100は、図4の状態からさらに着陸地点230に向かって飛行し、飛行体100と空間221とが重なっている。したがって、飛行体100は、生成された第2周辺情報に基づいて、飛行制御されている。
【0049】
すなわち、飛行体100は、ビル220の近くを飛行中であるため、高解像度の周辺情報を利用することにより、ビル220の正確な位置及び形状を認識可能である。したがって、飛行体100は、安全に飛行制御されることができる。
【0050】
図6は、ビル220の周囲に広がる空間(第1空間)221、及びビル220の周囲に広がる空間(第3空間)222の設定方法を示す図である。
【0051】
飛行体100は、対地速度10m/sで飛行しているものとする。飛行体100は、高度150m(高さ310)で飛行しているものとする。ここで仮に、飛行体100に故障が発生して動力を喪失した場合、飛行体100は、放物線320に示すように放物線状に自由落下し、現在位置から約55.3m前進して着地する。
【0052】
この場合、ビル220においては、飛行体100の対地速度が10m/s、高度が150mの場合に、放物線340に示すように放物線状に自由落下することを想定し、現在位置からビル220から55.3m離れ、且つ高度150m(高さ330)に対応する箇所について、空間221として設定される。
【0053】
空間221は、飛行体100の対地速度が一定で高度が変化する場合、側面視で1次関数の形状を呈してもよい。すなわち、前述の通り、飛行体100の対地速度が10m/s、高度が150mの場合、飛行体100は、現在位置から約55.3m前進して着地する。一方、飛行体100の対地速度が10m/s、高度が100mの場合、飛行体100は、現在位置から約45.2m前進して着地する。このように、着地するまでの前進距離は、飛行体100の高度に応じて変化する。
【0054】
すなわち、上記例を一般化すると、次のように示すことが可能である。第1空間は、オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第1高さ位置と、オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第2高さ位置であって第1高さ位置よりも高い位置を示す第2高さ位置とにおいて、第1高さ位置に対応する仮想の断面積よりも第2高さ位置に対応する仮想の断面積の方が大きく設定される。
【0055】
前述の一般化を上記例に当てはめると、次のように示すことが可能である。ビル220の周囲に広がる空間221は、100mの高さ位置と、150mの高さ位置とにおいて、100mの高さ位置に対応する仮想の断面積よりも、150mに対応する仮想の断面積の方が大きく設定される。すなわち、空間221は、ビル220の平面視ですり鉢状を呈する。
【0056】
なお、前述の例に当てはめると、ビル220における最も高い部分(最高地点)が地面から80mの場合、第1空間の最も高い部分は、地面から180mであってもよい。すなわち、第1空間は、ビル220(オブジェクト)から所定距離以内に広がる空間である。所定距離は、具体的には例えば、5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150,155,160,165,170,175,180,185,190,195,200mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0057】
また、ビル220の周囲に広がる空間222は、同じくビル220の周囲に広がる空間221よりも余裕を持たせて、空間221よりも外側に設定されてもよい。すなわち、空間222(第3空間)は、空間221(第1空間)よりも大きく広がるように設定される。この場合、飛行体100とビル220との関係は、ビル220の周囲に広がる空間222と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示す。
【0058】
ここで、生成部113は、空間222と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間とが重ならない場合に、第1周辺情報を生成する。一方、生成部113は、空間222と、当該第2空間とが重なる場合に、第2周辺情報を生成する。
【0059】
5.本実施形態の態様
第5節では、本実施形態の各態様について説明する。
【0060】
本実施形態の一態様では、飛行体100(制御部110)は、取得部111と、設定部112と、生成部113とを備える。取得部111は、飛行体100の対地速度に関する対地速度情報を取得する。取得部111は、飛行体100の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得する。設定部112は、対地速度情報とオブジェクト情報とに基づいて、飛行体100とオブジェクトとの関係を設定する。生成部113は、飛行体100とオブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成する。生成部113は、飛行体100とオブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、飛行体100の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成する。第2周辺情報は、第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す。
【0061】
このような態様によれば、飛行体100とオブジェクトとの関係に応じて、飛行体100の周辺情報の解像度及び範囲を調整するため、適切な周辺情報を生成することができる。
【0062】
本実施形態の一態様では、飛行体100とオブジェクトとの関係は、オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第1空間と、飛行体の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示す。生成部113は、第1空間と第2空間とが重ならない場合に、第1周辺情報を生成する。生成部113は、第1空間と第2空間とが重なる場合に、第2周辺情報を生成する。
【0063】
このような態様によれば、飛行体100とオブジェクトとの距離が十分に離れている場合は、低解像度且つ広範囲の周辺情報を生成し、一方、オブジェクトに飛行体100が近づいた場合は、高解像度且つ局所の周辺情報を生成するため、適切な周辺情報を生成することができる。
【0064】
本実施形態の一態様では、第1空間は、オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第1高さ位置と、オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第2高さ位置であって第1高さ位置よりも高い位置を示す第2高さ位置とにおいて、第1高さ位置に対応する仮想の断面積よりも第2高さ位置に対応する仮想の断面積の方が大きく設定される。第1空間は、オブジェクトから所定距離以内に広がる空間である。
【0065】
このような態様によれば、オブジェクトの周囲に広がる空間は、すり鉢状を呈するため、飛行体100が故障して動力を喪失した場合に、飛行体100の高さ位置に応じて、生成される周辺情報の種類を切り替える切替ポイントを設定することができる。
【0066】
本実施形態の一態様では、第1空間は、飛行体100の最高対地速度に応じて設定される。
【0067】
このような態様によれば、第1空間を都度設定する必要がないため、飛行体100の処理速度を向上させることができる。
【0068】
本実施形態の一態様では、飛行体100とオブジェクトとの関係は、オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第3空間と、飛行体100の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示す。第3空間は、第1空間よりも大きく広がるように設定される。生成部113は、第3空間と第2空間とが重ならない場合に、第1周辺情報を生成する。生成部113は、第3空間と第2空間とが重なる場合に、第2周辺情報を生成する。
【0069】
このような態様によれば、オブジェクトの周囲に広がる空間は、飛行体100が飛行中に自由落下したとしても、オブジェクトと飛行体100とが干渉する範囲を超えて設定されているため、飛行体100によるオブジェクトの損害をより確実に防止することができる。
【0070】
本実施形態の一態様では、プログラムは、飛行体100の各部としてコンピュータを機能させる。
【0071】
このような態様によれば、プログラムとして提供される場合において、飛行体100とオブジェクトとの関係に応じて、飛行体100の周辺情報の解像度及び範囲を調整するため、適切な周辺情報を生成することができる。
【0072】
本実施形態の一態様では、飛行方法は、飛行体100の各部としてコンピュータにより実行される。
【0073】
このような態様によれば、方法として提供される場合において、飛行体100とオブジェクトとの関係に応じて、飛行体100の周辺情報の解像度及び範囲を調整するため、適切な周辺情報を生成することができる。
【0074】
6.その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0075】
本実施形態の態様は、プログラムであってもよい。このプログラムは、飛行体100の各部としてコンピュータを機能させる。
【0076】
第1変形例として、制御部110は、各種データ及び各種情報について記憶部120に書き出し処理(記憶処理)及び読み出し処理をしているが、これに限られず、例えば、制御部110内のレジスタやキャッシュメモリ等を使用して、各アクティビティの情報処理を実行してもよい。
【0077】
第2変形例として、オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第1空間は、飛行体100の最高対地速度に応じて設定されてもよい。例えば、離陸地点210から着陸地点230までの間、飛行体100を最高対地速度15m/sで飛行させる場合、対地速度情報を15m/sに固定した上で、当該第1空間を設定すればよい。
【0078】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0079】
(1)飛行体であって、取得部と、設定部と、生成部とを備え、前記取得部は、前記飛行体の対地速度に関する対地速度情報を取得し、前記取得部は、前記飛行体の航路上に存在するオブジェクトに関するオブジェクト情報を取得し、前記設定部は、前記対地速度情報と前記オブジェクト情報とに基づいて、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係を設定し、前記生成部は、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係が所定条件を満たさない場合に、前記飛行体の周辺の情報に関する第1周辺情報を生成し、前記生成部は、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係が所定条件を満たす場合に、前記飛行体の周辺の情報に関する第2周辺情報を生成し、前記第2周辺情報は、前記第1周辺情報よりも高解像度且つ局所の情報を示す、飛行体。
【0080】
(2)上記(1)に記載の飛行体において、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係は、前記オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第1空間と、前記飛行体の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示し、前記生成部は、前記第1空間と前記第2空間とが重ならない場合に、前記第1周辺情報を生成し、前記生成部は、前記第1空間と前記第2空間とが重なる場合に、前記第2周辺情報を生成する、飛行体。
【0081】
(3)上記(2)に記載の飛行体において、前記第1空間は、前記オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第1高さ位置と、前記オブジェクトにおける鉛直方向の軸に係る高さ位置を示す第2高さ位置であって前記第1高さ位置よりも高い位置を示す第2高さ位置とにおいて、前記第1高さ位置に対応する仮想の断面積よりも前記第2高さ位置に対応する仮想の断面積の方が大きく設定され、前記第1空間は、前記オブジェクトから所定距離以内に広がる空間である、飛行体。
【0082】
(4)上記(2)又は(3)に記載の飛行体において、前記第1空間は、前記飛行体の最高対地速度に応じて設定される、飛行体。
【0083】
(5)上記(2)から(4)までの何れか1項に記載の飛行体において、前記飛行体と前記オブジェクトとの関係は、前記オブジェクトの周囲に広がる空間を示す第3空間と、前記飛行体の少なくとも一部分に係る空間を示す第2空間との関係を示し、前記第3空間は、前記第1空間よりも大きく広がるように設定され、前記生成部は、前記第3空間と前記第2空間とが重ならない場合に、前記第1周辺情報を生成し、前記生成部は、前記第3空間と前記第2空間とが重なる場合に、前記第2周辺情報を生成する、飛行体。
【0084】
(6)プログラムであって、上記(1)から(5)までの何れか1項に記載の飛行体の各部としてコンピュータを機能させる、プログラム。
【0085】
(7)飛行方法であって、上記(1)から(5)までの何れか1項に記載の飛行体の各部としてコンピュータにより実行される、飛行方法。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0086】
100 :飛行体
110 :制御部
111 :取得部
112 :設定部
113 :生成部
120 :記憶部
130 :表示部
140 :入力部
150 :通信部
160 :通信バス
210 :離陸地点
220 :ビル
221 :空間
222 :空間
230 :着陸地点
231 :空間
310 :高さ
320 :放物線
330 :高さ
340 :放物線
図1
図2
図3
図4
図5
図6