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特開2024-128123炭酸含有アルコール飲料、炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128123
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】炭酸含有アルコール飲料、炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/055 20190101AFI20240912BHJP
   C12C 5/02 20060101ALI20240912BHJP
   C12C 12/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C12G3/055
C12C5/02
C12C12/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113263
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2020011104の分割
【原出願日】2020-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋生
(72)【発明者】
【氏名】金子 莉子
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、お茶エキスを含有し、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料であっても、開栓時の噴出を抑制した炭酸含有アルコール飲料を提供することにある。また、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制する方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、タンナーゼ処理茶エキスを含有する、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料を提供する。また、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることを特徴とする、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料であって、タンナーゼ処理茶エキスを含有することを特徴とする、炭酸含有アルコール飲料。
【請求項2】
エタノールの含有量が1質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の炭酸含有アルコール飲料。
【請求項3】
前記炭酸含有アルコール飲料は、発酵アルコール飲料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の炭酸含有アルコール飲料。
【請求項4】
前記炭酸含有アルコール飲料は、ビールテイスト飲料であることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の炭酸含有アルコール飲料。
【請求項5】
容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法であって、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることを特徴とする、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、炭酸含有アルコール飲料に関する。より具体的には、タンナーゼ処理したお茶エキスを含有した、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料に関する。また、本発明は、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酒税法の改正や味の多様性を追求するために、お茶エキスや果実、果汁、香辛料等の副原料を炭酸含有アルコール飲料に添加する試みが広くなされている。なかでも、様々な食事との相性の良さなどを理由に、お茶エキスを副原料に用いたアルコール飲料の需要が高まっている。
【0003】
また、炭酸含有アルコール飲料は、輸送や販売が容易である、風味等の劣化が起こりにくいといった観点から、アルミ缶や壜等の容器に詰められて輸送、販売されることが一般的である。
【0004】
例えば、特許文献1には、アルコールのべたつき、苦味や渋味を始めとした雑味の少ない茶アルコール飲料を提供することを目的とした発明が開示されている。そして、特許文献1には、発酵茶や半発酵茶から抽出した茶抽出物を含有する容器入り茶アルコール飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-216937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、お茶エキスを含有した炭酸含有アルコール飲料は、おり等のお茶エキス由来の微粒子が炭酸に影響を及ぼしてしまい、外部からの刺激の有り無しに関わらず、内容物が噴出しやすいといった問題があった。特に容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料は、密封されているために内圧が高まり、開栓の際に特に噴出しやすいという問題が発生している。
【0007】
そこで、本発明では、お茶エキスを含有し、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料であっても、開栓時の噴出を抑制した炭酸含有アルコール飲料を提供することを目的とする。また、本発明では、お茶エキスを含有し、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、炭酸含有アルコール飲料に、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることで、容器を開栓する際においても内容物が噴出することを抑制できること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の炭酸含有アルコール飲料、並びに容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法に関する。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の炭酸含有アルコール飲料は、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料であって、タンナーゼ処理茶エキスを含有することを特徴とする。
この炭酸含有アルコール飲料によれば、タンナーゼ処理茶エキスを含有することで、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料を開栓する際においても、内容物の噴出を抑制した炭酸含有アルコール飲料を得ることができる。
さらに、本発明の炭酸含有アルコール飲料は、タンナーゼ処理茶エキスを含有することによって、飲料中の濁りを抑制することもできる。
【0010】
また、本発明の炭酸含有アルコール飲料の一実施態様によれば、エタノールの含有量が1質量%以上であることを特徴とする。
エタノールの含有量がより多くなるほど、エタノール分子が飲料中のおり等と結合し、核を形成しやすくなることで、内容物の噴出が起こりやすくなるが、タンナーゼ処理茶エキスを含有することで、内容物の噴出をより抑制することができる。
【0011】
また、本発明の炭酸含有アルコール飲料の一実施態様では、発酵アルコール飲料であることを特徴とする。発酵アルコール飲料は、おり等の微粒子がより発生しやすく、内容物の噴出がより起こりやすいが、タンナーゼ処理茶エキスを含有することで、内容物の噴出をより抑制することができる。
【0012】
また、本発明の炭酸含有アルコール飲料の一実施態様では、タンナーゼ処理茶エキスを、20g/L~120g/Lの濃度で含有することを特徴とする。
この特徴によれば、炭酸含有アルコール飲料の内容物の噴出を抑制しつつ、苦みと渋みのバランスに優れた味を飲料に付与することができる。
【0013】
また、本発明の炭酸含有アルコール飲料の一実施態様では、ビールテイスト飲料であることを特徴とする。
この特徴によれば、ビールテイスト飲料の噴出を抑制することができ、さらに、苦みと渋みのバランスに優れたビールテイスト飲料を提供することができる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法は、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることを特徴とする。
この容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法によれば、タンナーゼ処理茶エキスを含有することで、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料を開栓する際においても、内容物の噴出を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、お茶エキスを含有し、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料であっても、開栓時の噴出を抑制した炭酸含有アルコール飲料を提供することができる。また、本発明の容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制する方法によれば、お茶エキスを含有し、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料]
本発明の炭酸含有アルコール飲料は、タンナーゼ処理茶エキスを含有し、容器に詰められたものである。
【0017】
(タンナーゼ処理茶エキスについて)
茶エキスとしては、例えば、緑茶(日本茶、碾茶)、中国茶(例えば、ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶など)、紅茶、穀物茶などの各種茶から抽出したエキスが使用される。茶から抽出したエキスを得るために使用される各種茶葉または穀物の品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法は限定されない。本発明にかかる炭酸含有アルコール飲料には、これら各種茶から抽出されたエキスの何れかを単独で用いてもよいし、複数種類の茶エキスを混合して用いてもよい。
【0018】
これらの各種茶エキスの中でも、炭酸含有アルコール飲料としての味の良さを考慮すると、本発明の炭酸含有アルコール飲料には、ジャスミン茶または紅茶の茶エキスが含まれることが好ましい。炭酸含有アルコール飲料にジャスミン茶エキスまた紅茶エキスをそれぞれ単独で、又は他の茶エキスと混合して含有させることで、炭酸含有アルコール飲料の噴出を抑制しつつ、味に優れた飲料を得ることができる。
【0019】
本発明の炭酸含有アルコール飲料に含有する茶エキスは、上記の各種茶から抽出したエキスをタンナーゼ処理したものである。
タンナーゼとは、酵素の一種であって、タンニンを分解する活性を有するものであれば任意のものを使用することができる。タンナーゼの市販品としては、キッコーマンバイオケミファ(株)等から入手することができる。
【0020】
タンナーゼ処理茶エキスは、上記に例示した茶類原料についてタンナーゼを用いて酵素処理を行うことにより得ることができる。例えば、特開2003-144049号公報に記載された方法に従って処理することにより得ることもできる。
また、タンナーゼ処理茶エキスの市販品としては、高砂香料(株)等から入手することもできる。
【0021】
本発明の炭酸含有アルコール飲料におけるタンナーゼ処理茶エキスの濃度は、特に限定されないが、好ましくは20g/L~120g/Lである。下限値として、より好ましくは30g/L以上であり、更に好ましくは40g/L以上である。上限値として、より好ましくは100g/L以下であり、更に好ましくは80g/L以下である。タンナーゼ処理茶エキスの濃度を上記範囲とすることにより、炭酸含有アルコール飲料に、苦みと渋みのバランスに優れた飲料とすることができる。
ここで、茶エキスの濃度とは、茶由来のエキス純分(固形分)の含有量を意味するものである。茶エキスの濃度は、株式会社アタゴ製 屈折計RX-5000等によって測定することができる。
【0022】
(エタノール含有量について)
本発明の炭酸含有アルコール飲料におけるエタノールの含有量は特に限定されないが、好ましくは1.0質量%以上である。下限値としては、より好ましくは1.5質量%以上であり、更に好ましくは2.0質量%以上である。エタノール含有量を1.0質量%以上とすることで、アルコール成分が感じられる飲料とすることができる。
【0023】
本発明の炭酸含有アルコール飲料におけるエタノールの濃度は特に限定されないが、好ましくは1.0vol/vol%以上である。下限値としては、より好ましくは3.0vol/vol%以上であり、更に好ましくは4.0vol/vol%以上である。上限値としては、好ましくは20.0vol/vol%以下であり、より好ましくは9.0vol/vol%以下であり、さらに好ましくは6.0vol/vol%以下である。
炭酸含有アルコール飲料のエタノールの濃度を、1.0vol/vol%以上とすることで、よりアルコール成分が感じられる飲料とすることができる。
【0024】
(容器について)
本発明の炭酸含有アルコール飲料は、個々に容器詰めされた形態のものである。容器としては特に限定されないが、従来公知のガラス壜、金属缶、紙、プラスチック等が用いられる。
炭酸含有アルコール飲料を詰める容器の容量としては、特に限定されないが、壜であれば、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ320ml、334ml、500ml、633ml、1957ml詰められるものが好ましい。
また、金属缶の金属としては、特に限定されないが、アルミニウム製の缶が好ましい。
金属缶の容量としては、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ135ml、250ml、350ml、500ml、1000ml詰められるものが好ましい。
プラスチック容器としては、PETボトルが好ましく、容量としては、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ280ml、350ml、500ml、600ml、1500ml、2000ml詰められるものが好ましい。
【0025】
また、本発明の容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料は、上記容器の飲料以外の空間を、飲料の容積に対して1/50~1/10程度備えていることが好ましい。
容器の容積に対して、飲料以外の空間が備わっていることで、上記飲料をスムーズに容器に詰めることができる。また、飲料以外の空間が備わっていることで、炭酸によって内部圧が高くなりすぎることを防ぐことができ、外部からの刺激等に対して、耐久性を有する容器詰め飲料とすることができる。
【0026】
炭酸含有アルコール飲料を詰める容器は、特に限定されないが、殺菌処理が施されたものでもよい。殺菌処理としては、従来公知の加熱処理等が挙げられる。
殺菌処理が施された容器を用いることで、味の経時変化がより小さい飲料とすることができる。
【0027】
本発明の炭酸含有アルコール飲料は、炭酸ガスとアルコールを含有するものであれば特に限定されるものではなく、ビール、発泡酒、新ジャンル、低アルコールビール等のビールテイスト飲料や、ウイスキー、ブランデー、焼酎、リキュール等の非発泡性のアルコール飲料に炭酸ガスを圧入した炭酸アルコール飲料等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明のビールテイスト飲料とは、麦芽の使用の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚および色合いを有する炭酸飲料を意味する。また、「新ジャンル」とは、日本の酒税法上、ビールと発泡酒のいずれにも属さないビールテイスト飲料を表す。
【0029】
本発明の炭酸アルコール飲料は、ビールテイスト飲料であることが好ましい。本発明の炭酸含有アルコール飲料であるビールテイスト飲料は、苦みと渋みのバランスに優れ、噴きの問題が低減された炭酸含有アルコール飲料である。
【0030】
本発明の炭酸アルコール飲料は、発酵アルコール飲料であっても、非発酵アルコール飲料であってもよく、好ましくは発酵アルコール飲料である。
例えば、発酵アルコール飲料がビールテイスト飲料である場合は、大麦、ホップ等の原料を常法に従い発酵させて、ビールテイスト飲料を得ることができる。その場合は、タンナーゼ処理茶エキスは、原料を発酵させる前又は発酵後に添加してもよく、発酵前に添加させるほうが好ましい。
【0031】
また、本発明の炭酸アルコール飲料が非発酵アルコール飲料である場合は、タンナーゼ処理茶エキスを麦汁等の原料と同時に添加するか、炭酸ガスの添加と同時に行ってもよい。
【0032】
本発明の炭酸含有アルコール飲料は、タンナーゼ処理茶エキス、アルコール以外に従来の公知のいずれの成分を加えることができる。
このような成分としては、例えば、麦汁、大麦エキス、野菜汁、果物汁、香料、増粘剤、甘味料、乳化剤、機能性成分、保存料、安定剤、酸化防止剤、ビタミン類、ミネラル分、pH調整剤(重曹など)、シリコーン等の消泡剤などが挙げられる。これらの成分の添加量は、得ようとする効果に応じて適宜調整できる。
【0033】
本発明の炭酸含有アルコール飲料を製造する際には、タンナーゼ処理茶エキスは、どのような形態のものを使用してもよい。例えば、粉末、顆粒、タブレット(錠剤)、濃縮液などの形態で添加することができる。
また、本発明の炭酸アルコール飲料は、発酵ビールテイスト飲料である場合、製造時のタンナーゼ処理茶エキス使用量は、大麦麦芽に対して、5質量%以下もしくはそれより多く使用してもよく、好ましくは5質量%以下である。
【0034】
[容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法]
続いて、本発明のもう一つの局面にかかる炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法について説明する。本発明の炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法は、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料に、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることで、開栓時の噴出を抑制するというものである。
【0035】
炭酸含有アルコール飲料については、上述の本発明の炭酸含有アルコール飲料の説明で用いたものを同様に使用することができる。また、本方法において使用されるタンナーゼ処理茶エキスについても、上述の本発明の炭酸含有アルコール飲料の説明で用いたものを同様に使用することができる。
【0036】
また、本方法では、タンナーゼ処理茶エキスの含有量は特に限定されないが、好ましくは20g/L~120g/Lである。下限値として、より好ましくは30g/L以上であり、更に好ましくは40g/L以上である。上限値として、より好ましくは100g/L以下であり、更に好ましくは80g/L以下である。
【0037】
<噴出の抑制について>
容器に充填されたビールテイスト飲料等の炭酸含有飲料は、刺激(振動や衝撃)を与えていないにもかかわらず、液内部で炭酸ガスが急激に分離して泡となり、膨脹した液体が噴出することがある。噴出の原因としては、原料由来のタンパク質やポリフェノールが核となり炭酸ガスの遊離を促進すること等が考えられる。
本発明において、タンナーゼ処理茶エキスを含有させることで、噴出を抑制できる原理等については未だ詳しくわかっていないが、タンナーゼ処理することで茶エキス中の原料が核となりにくくなることや、タンナーゼ処理茶エキスが、他の原料由来の核と炭酸ガスとの接触を抑制することによって、炭酸ガスの遊離を抑制できることなどが推認される。
【0038】
炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法では、特に限定されないが、下記の容器を用いることが好ましい。
容器としては例えば、従来公知のガラス壜、金属缶、紙、プラスチック等である。
炭酸含有アルコール飲料を詰める容器の容量としては、特に限定されないが、壜であれば、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ320ml、334ml、500ml、633ml、1957ml詰められるものが好ましい。
また、金属缶の金属としては、特に限定されないが、アルミニウム製の缶が好ましい。
金属缶の容量としては、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ135ml、250ml、350ml、500ml、1000ml詰められるものが好ましい。
プラスチック容器としては、PETボトルが好ましく、容量としては、炭酸含有アルコール飲料がそれぞれ280ml、350ml、500ml、600ml、1500ml、2000ml詰められるものが好ましい。
【0039】
また、本発明の噴出を抑制する方法では、上記容器の飲料以外の空間を、飲料の容積に対して1/50~1/10程度存在させる必要がある。
容器の容積に対して、飲料以外の空間が備わっていることで、上記飲料をスムーズに容器に詰めることができる。
【実施例0040】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
<炭酸含有アルコール飲料の噴出量の測定>
炭酸含有アルコール飲料の噴出量の測定は、以下方法により実施した。
・初期噴出量の測定(10℃又は25℃)
500mlのビール用壜に詰めたサンプルを25℃で、振動回転試験機を用いて、24時間回転振盪させる。回転振盪させたサンプルを、10℃又は25℃の恒温水槽に60分間正立浸漬させた後、10秒間に縦方向に3回転させ、30秒間正立させた後に開栓し、溢れた液量を集めて噴出量を測定する。
【0042】
・劣化サンプルによる噴出量の測定(経時変化後の噴出量の測定)
サンプルに対して、加速試験を行い、経時変化後の噴出量を測定する。
500mlのビール用壜に詰めたサンプルを50℃の恒温水槽に7日間正立浸漬後、2時間程度の時間、室温においてサンプルの温度が25℃程度になるまで、自然冷却を行う。その後0℃の恒温水槽にて24時間正立浸漬させる。その後、0℃の空冷冷蔵庫にて横置きし、2日間保持する。冷蔵庫から取り出し、25℃の恒温水槽に60分間正立浸漬させる。0秒間に縦方向に3回転させ、30秒間正立させた後に開栓し、溢れた液量を集めて噴出量を測定する。
【0043】
<炭酸含有アルコール飲料の濁度の測定>
500mlのビール用壜に詰めたサンプルを50℃の恒温水槽に7日間正立浸漬後、2時間程度の時間、室温においてサンプルの温度が25℃程度になるまで、自然冷却を行う。その後0℃の恒温水槽にて24時間正立浸漬させた後、濁度の測定を行う。
なお、濁度の測定は、EBC(European Brewery Convention)に採用されている分析法(ビール酒造組合著、「BCOJビール分析法」1996年に記載の混濁度の分析法)に準じて測定される。
【0044】
[製造例1(タンナーゼ処理茶エキスを含有したビールテイスト飲料の製造)]
常法に従って、ビールテイスト飲料を製造した。
まず、粉砕した大麦麦芽と湯を混合し、50~65℃で糖化させ、穀皮を除去した液に、ホップを添加して煮沸し、タンナーゼ処理茶エキス(ジャスミン茶エキス:エキス純分が15.23質量%である水溶液)を、ビールテイスト飲料とした際に茶エキス純分が91g/Lとなるように添加した。次に、発酵、熟成、安定化等の工程を経たのちに、濾過を行い、500mlのビール用壜に充填した。
【0045】
[製造例2(タンナーゼ処理していない茶エキスを含有したビールテイスト飲料の製造)]
まず、粉砕した大麦麦芽と湯を混合し、50~65℃で糖化させ、穀皮を除去した液に、ホップを添加して煮沸し、タンナーゼ処理をしていない茶エキス(ジャスミン茶エキス)を、ビールテイスト飲料とした際に91g/Lとなるように添加した。次に、発酵、熟成、安定化等の工程を経たのちに、濾過を行い、500mlのビール用壜に充填した。
【0046】
<評価>
上記製造例1および2で製造されたビールテイスト飲料について、噴出量の測定および濁度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表1の結果より、タンナーゼ処理した茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、10℃および25℃とも初期噴出量が非常に小さい値となった。さらに、経時変化後の噴出量についても、初期噴出量と変わらず、小さい値となった。
一方、タンナーゼ処理を施していない茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、25℃の初期噴出量が、大きな値となった。さらに、経時変化後の噴出量は、10℃の初期噴出量に比べて非常に大きな値となった。
【0049】
また、タンナーゼ処理した茶エキスの効果についてさらに検討すると、タンナーゼ処理した茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、濁度が非常に小さい値となった。
一般的に、淡色のピルスナービールにおいて、0.5°EBC程度では、濁りは視認できず清澄であり、2°EBCでは、濁りが視認でき、5°EBCでは、はっきりと混濁した状態と評価されている。
そうしてみると、タンナーゼ処理した茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、非常に清澄なものであることがわかる。
【0050】
(官能評価)
上記の製造例1および製造例2で製造したビールテイスト飲料について、訓練された5名のパネリストによる官能評価を実施した。具体的には、各ビールテイスト飲料の「苦み」、「渋み」および「ビールテイスト飲料としてのバランスの良さ」について評価した。「苦み」および「渋み」については、下記の表2に示す5段階の評価基準で行った。「ビールテイスト飲料としてのバランスの良さ」については、下記の表3に示す5段階の評価基準で行った。なお、評価点の採点基準は、各ビールテイスト飲料を飲み比べることにより、各アルコール飲料に対して評価点1~5を割り振り、パネリスト5名の平均点を評価結果として表4に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
評価結果を、以下の表4に示す。
【表4】
【0054】
上記表4の結果より、タンナーゼ処理した茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、苦みおよび渋みが適切にあり、ビールテイスト飲料としてバランスの良い飲料となることがわかった。
一方、タンナーゼ処理を施していない茶エキスを含有させたビールテイスト飲料は、苦みおよび渋みが強すぎるビールテイスト飲料となることがわかった。
これらの結果より、タンナーゼ処理した茶エキスを含有させることで、噴出の抑制に加えて、苦みや渋みのバランスを制御できることもわかった。
【0055】
<タンナーゼ処理茶エキスの含有量による香味評価>
次に、タンナーゼ処理茶エキスの含有量によるビールテイスト飲料の香味変化について評価した。
ビールテイスト飲料の製造は、製造例1と同様に行い、タンナーゼ処理茶エキスの含有量を変えて、それぞれビールテイスト飲料を製造した。
評価結果を表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
上記表5の結果より、ビールテイスト飲料において、タンナーゼ処理茶エキスの含有量が多くなると、苦みおよび渋みが強くなることがわかった。また、実施例3、4と、実施例2、5、6とを比較すると、タンナーゼ処理茶エキスの含有量が45.7g/L、91.3g/L程度のビールテイスト飲料は、苦みおよび渋みが適切にあり、ビールテイスト飲料としてバランスの良い飲料となることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の炭酸含有アルコール飲料によれば、タンナーゼ処理茶エキスを含有することで、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料を開栓する際においても、内容物の噴出を抑制した、炭酸含有アルコール飲料を得ることができる。
それによって、輸送等によって外部から刺激が与えられても、内容物が噴出すること無い商品として、一般消費者の元へ流通させることができる。
そして、本発明の炭酸含有アルコール飲料は、ビール、発泡酒、新ジャンル、低アルコールビール等のビールテイスト飲料や、ウイスキー、ブランデー、焼酎、リキュール等の非発泡性のアルコール飲料に炭酸ガスを圧入した炭酸アルコール飲料として、流通、販売するものである。
【0059】
また、本発明の容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料の開栓時の噴出を抑制する方法は、例えば、容器に詰められた炭酸含有アルコール飲料が開栓時に噴出することを抑制するために利用できる。