IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東洋新薬の特許一覧

<>
  • 特開-経口組成物 図1
  • 特開-経口組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128126
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240912BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/185
A61K47/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113279
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2022144340の分割
【原出願日】2018-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】ターミナリアを含有する経口組成物において、苦みや渋みを改善することを目的としてなされたものである。
【解決手段】 ターミナリア並びに、他素材を含有することを特徴とする経口組成物である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナリア、並びに、マンゴスチン及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種の植物素材を含有する経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターミナリア並びに、植物素材及び機能性素材から選ばれる少なくとも1種の他素材を含有することを特徴とし、ターミナリアの呈味が改善された経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ターミナリア(Terminalia)は、シクンシ科の植物であり、インドにおいては、医薬品として使用されていた。近年においては、ターミナリアに血管の繊維化を防止する効果が見出され、血管繊維化の予防または治療薬として期待されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-75584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような有効性が認められているにもかかわらず、ターミナリアには独特の苦みと渋みがあることから、健康食品として継続的に摂取するためには嗜好性の改善が求められている。
【0005】
本発明は、ターミナリアを含有する食品組成物において、苦みと渋みを改善することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、ターミナリアと特定の素材とを組み合わせることにより呈味が改善されることを見出し、本発明に至った。
【0007】
また、本発明者らは、ターミナリアと特定の素材とを組み合わせることで、優れた抗肥満作用が発揮されることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ターミナリア並びに、以下(a)及び(b)から選ばれる少なくとも1種の他素材を含有することを特徴とする経口組成物。
(a)アカショウマ、白いんげん、ケール、マカ、カカオ、アセロラ、マンゴスチン、ココヤシ、ドラゴンフルーツ、カムカム及びプルーンから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)紅麹、ローヤルゼリー、セラミド及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種の機能性素材
[2]ターミナリア並びに、以下(a)及び(b)から選ばれる少なくとも2種の他素材を含有することを特徴とする経口組成物。
(a)アカショウマ、白いんげん、ケール、マカ、カカオ、アセロラ、マンゴスチン、ココヤシ、ドラゴンフルーツ、カムカム及びプルーンから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)紅麹、ローヤルゼリー、セラミド及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種の機能性素材
[3]ターミナリア並びに、以下(a)及び(b)から選ばれる少なくとも1種の他素材を含有することを特徴とする抗肥満用経口組成物。
(a)アカショウマ、白いんげん、ケール、マカ、カカオ、アセロラ、マンゴスチン、ココヤシ、ドラゴンフルーツ、カムカム及びプルーンから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)紅麹、ローヤルゼリー、セラミド及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種の機能性素材
[4]ターミナリア並びに、以下(a)及び(b)から選ばれる少なくとも2種の他素材を含有することを特徴とする抗肥満用経口組成物。
(a)アカショウマ、白いんげん、ケール、マカ、カカオ、アセロラ、マンゴスチン、ココヤシ、ドラゴンフルーツ、カムカム及びプルーンから選ばれる少なくとも1種の植物素材
(b)紅麹、ローヤルゼリー、セラミド及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種の機能性素材
[5]ターミナリア1%に対し、他素材を0.2%以上の割合で含有することを特徴とする[1]~[4]記載の経口組成物。
[6]没食子酸又はその塩を0.1%以上含むことを特徴とする[1]~[5]記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のターミナリアを含有する経口組成物は、特定の素材を組み合わせることにより、苦み、渋みをはじめとし、香り、えぐみ、まろやかさ、コク、味の濃さ、舌触り、後味が改善でき、呈味の改善された組成物を提供することができる。また、本発明によると、優れた抗肥満作用を有する経口組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1~18、比較例1~2の官能評価結果を表す図である。
図2】実施例19~23、比較例3~8の脂肪細胞の分化抑制作用の評価結果(細胞あたりの脂肪滴量)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、ターミナリア並びに、下記(a)及び(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の素材(以下、他素材ということがある)を含有することを特徴とする。ターミナリアと共に用いられる(a)及び(b)の素材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。他素材を2種以上組み合わせて用いる場合、ターミナリアと組み合わせた際に効果の高い他素材同士を組み合わせることが好ましい。
【0012】
本発明の組成物により脂肪細胞の分化が抑制され、これにより、肥満を抑制することができる。すなわち、本発明の経口組成物は、抗肥満、体脂肪の低減、ダイエット等に用いることができる。
【0013】
本発明における抗肥満作用とは、体脂肪の蓄積抑制作用、体脂肪の低減作用、内臓脂肪の蓄積抑制作用、内臓脂肪の低減作用、皮下脂肪の蓄積抑制作用、皮下脂肪の低減作用、体重増加抑制作用、体重低減作用又は前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化抑制作用のことを指す。
【0014】
[ターミナリア]
ターミナリアとは、シクンシ科モモタマナ属の広葉樹である。本発明に用いることができるターミナリアとしては、例えば、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia catappa、Terminalia tomentosa、Terminalia citrina、Terminalia phellocarpa、Terminalia copelandii、Terminalia brassi、Terminalia ivorensis、Terminalia superba、Terminalia arjuna、Terminalia chebula等を挙げることができる。これらの中でも、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia chebulaが好ましく、優れた抗肥満作用の観点から、Terminalia bellirica(belerica)が特に好ましい。
【0015】
本発明に用いるターミナリアの使用部位としては、葉、樹皮、根、花、木部、果実、種子などであり、抗肥満作用の観点から、果実又は果実の種子を除く部位(果皮または果肉部)を用いることが好ましい。また、ターミナリアとしては、ターミナリア処理物を用いることが好ましい。
【0016】
ターミナリア処理物の処理形態は、乾燥物、粉砕物又はその乾燥粉末(以下「粉砕末」とも言う)、搾汁物又はその乾燥粉末(以下「搾汁末」とも言う)、抽出物又はその乾燥粉末(以下「抽出末」とも言う)、顆粒、ペーストなどが挙げられる。本発明においては、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末を用いることがより好ましい。本発明においては、抗肥満作用の観点から、果実の水抽出物又は抽出末を用いることが最も好ましい。
【0017】
抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン、またはこれらの混合溶媒が挙げられるが、抗肥満作用の観点から、水を用いることが好ましい。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0018】
本発明のターミナリアは、没食子酸を含有していることが好ましい。ターミナリアに含まれる没食子酸量としては、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、抗肥満効果の観点から0.1%以上がさらに好ましい。本発明においては、市販品を使用することができる。
【0019】
[他素材]
本発明においては、ターミナリアとともに、(a)植物素材及び(b)機能性素材から選ばれる少なくとも1種の他素材を含有する。以下、他素材について詳述する。
【0020】
(a)植物素材
本発明の組成物に用いられる植物素材は、アカショウマ、白いんげん、ケール、マカ、カカオ、アセロラ、マンゴスチン、ココヤシ、ドラゴンフルーツ、カムカム及びプルーンから選ばれる少なくとも1種である。植物素材に使用できる部位としては、全草、花、種子、果実、葉、茎及び根等が挙げられる。植物素材としては、植物素材の処理物を用いることが好ましい。
【0021】
植物素材の処理物の処理形態としては、植物の乾燥物、粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末、顆粒、ペーストなどが挙げられる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得られ、溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。植物素材は、市販されているものを使用してもよい。
【0022】
(アカショウマ)
アカショウマは、ユキノシタ科チダケサシ属の多年草の植物であり、学名は、Astilbe thunbergiである。アカショウマの根には、ベルゲニンやアカショウマポリフェノールなどの健康成分が含まれている。本発明におけるアカショウマの使用部位としては根が好ましい。また、本発明においては、種々のアカショウマの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末がより好ましく、含水エタノール抽出物又は抽出末が特に好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、根の含水エタノール抽出物又は抽出末を用いることが最も好ましい。
【0023】
(白いんげん)
白いんげんは、インゲン属マメ亜科の一年草の植物であり、学名は、Phaseolus vulgarisである。白いんげんの種子には、ファセオリンなどの成分が含まれている。本発明における白いんげんの使用部位としては種子が好ましい。また、本発明においては、種々の白いんげんの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末がより好ましく、水抽出物又は抽出末が特に好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、種子の水抽出物又は抽出末を用いることが最も好ましい。
【0024】
(ケール)
ケールは、アブラナ科植物であり、学名はBrassica oleracea var. acephalaである。ケールの品種としては、特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。本発明におけるケールの使用部位としては茎葉が好ましい。また、本発明においては、種々のケールの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、茎葉の粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0025】
(マカ)
マカは、アブラナ科レピディウム属植物であり、学名はLepidium peruvianum Chaconである。例えば、マカが含有する成分としては、ミネラル、アミノ酸の他に含窒素化合物が含まれており、含窒素化合物としてはアルカロイドなどが挙げられる。本発明におけるマカの使用部位としては根が好ましい。また、本発明においては、種々のマカの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末がより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、根の粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0026】
(カカオ)
カカオは、カカオポットと呼ばれるラグビーボール状の硬い殻に包まれた果実であり、学名はTheobroma cacaoである。カカオは、一般的に種子であるカカオ豆が用いられる。カカオ豆は、通常、3~5日発酵して乾燥した後に、種々の加工が施される。例えば、カカオ豆をばい焼して、皮並びに胚芽を除去した後に、すりつぶしてカカオマスとし、砂糖や粉乳、カカオ脂などを加えてよく練ってチョコレートに加工される。また、カカオマスから脂を大部分除去する等の加工によってココア粉末に加工される。本発明におけるカカオの使用部位としては種子が好ましい。また、本発明においては、種々のカカオの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、粉砕物又は粉砕末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、種子から油脂類を除去したココアの粉砕物又は粉砕末を用いることが最も好ましい。
【0027】
(アセロラ)
アセロラは、熱帯に生息するキントラオ科に属する果樹であり、学名はMalpighia emarginataである。アセロラの果実部には、ビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれる。本発明におけるアセロラの使用部位としては果実が好ましい。また、本発明においては、種々のアセロラの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、搾汁物又は搾汁末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、果実の搾汁物又は搾汁末を用いることが最も好ましい。
【0028】
(マンゴスチン)
マンゴスチンはフクギ属の常緑高木であり、学名はGarcinia mangostana Lである。マンゴスチンの果実部には、マクルリン配糖体、ポリフェノール、キサントン等の栄養成分が豊富に含まれる。本発明におけるマンゴスチンの使用部位としては果実が好ましい。また、本発明においては、種々のマンゴスチンの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末を用いることがより好ましく、水抽出物又は抽出末を用いることが特に好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、果実の水抽出物又は抽出末を用いることが最も好ましい。
【0029】
(ココヤシ)
本発明で使用する「ココヤシ」とは、ヤシ科、ココヤシ属(Cocos L.)の植物であり、学名はCocos nucifera L.である。好適には、ココヤシ等一般的にココナツと呼ばれているものを用いることができる。本発明におけるココヤシの使用部位としては種子が好ましい。また、本発明においては、種々のココヤシの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、種子中の胚乳を用いることが最も好ましい。また、一般的にココナツミルクとして市販されているものを用いることもできる。
【0030】
(ドラゴンフルーツ)
ドラゴンフルーツはサンカクサボテンというサボテン科ヒモサボテン属の熱帯性常緑多年草の果実であり、学名はHylocereus undatusである。本発明におけるドラゴンフルーツの使用部位としては果実が好ましい。また、本発明においては、種々のドラゴンフルーツの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、搾汁物又は搾汁末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、果実の搾汁物又は搾汁末を用いることが最も好ましい。
【0031】
(カムカム)
カムカムは、南アメリカの熱帯雨林原産のベリー系のフトモモ科植物であり、学名は、Myrciaria dubiaである。本発明におけるカムカムの使用部位としては果実が好ましい。また、本発明においては、種々のカムカムの処理物を使用することができ、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、搾汁物又は搾汁末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、果実の種子を除く部位である果皮及び果肉部の搾汁物又は搾汁末を用いることが最も好ましい。
【0032】
(プルーン)
プルーンは、薔薇科サクラ属植物であり、学名はPrunus domesticaである。本発明におけるプルーンの使用部位としては果実が好ましい。また、本発明においては、種々のプルーンの処理物を使用することができ、部位としては果実を用いることが好ましく、また、処理形態としては粉砕物又は粉砕末、搾汁物又は搾汁末、抽出物又は抽出末が好ましく、抽出物又は抽出末を用いることがより好ましい。本発明においては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から、果実の抽出物又は抽出末を用いることが最も好ましい。
【0033】
(b)機能性素材
本発明の組成物に用いられる機能性素材は、紅麹、ローヤルゼリー、セラミド及びスピルリナから選ばれる少なくとも1種である。機能性素材としては、機能性素材の処理物を用いることが好ましい。
【0034】
機能性素材の処理物の処理形態としては、乾燥物、粉砕物又は粉砕末、抽出物又は抽出末、顆粒、ペーストなどが挙げられる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得られ、溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。植物素材は、市販されているものを使用してもよい。
【0035】
(紅麹)
紅麹菌は、Monascus属に属する紅麹菌であれば良く、Monascus pilosus、Monascus ankaやMonascus purpureusなどを用いることが出来る。紅麹菌には、モナコリンKが豊富に含まれる。また、菌体は、生菌であってもよく、死菌であってもよい。本発明においては、種々の紅麹の処理物を使用することができるが、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点からMonascus pilosusを用いることが好ましく、死菌乾燥粉末を用いることが特に好ましい。
【0036】
(ローヤルゼリー)
ローヤルゼリーは、ミツバチの若い働き蜂が花粉や蜂蜜を食べ、体内で分解・合成し、上顎と下顎の咽頭腺や大腮腺から分泌する分泌物であり、女王蜂となる幼虫や成虫が摂取するものである。本発明においては、種々のローヤルゼリーの処理物を使用することができるが、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から乾燥粉末を用いることが好ましい。
【0037】
(セラミド)
セラミドは、スフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。本発明の経口組成物におけるセラミドとしては、セラミド1、セラミド2、セラミド3等のヒト型セラミドの他、牛、馬、豚等の脳、脊髄等から抽出した動物由来のセラミド、小麦、稲、大豆、ホウレンソウ、トウモロコシ、こんにゃく、パイナップル等から抽出した植物由来のセラミドを用いることができる。また、本発明の経口組成物におけるセラミドとしては、糖セラミドであってもよく、具体的に例えば、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等の単糖が結合したものや、オリゴ糖が結合したものを挙げることができる。本発明においては、植物由来のセラミドを用いることが好ましく、小麦、トウモロコシ、稲などのイネ科植物由来のグルコシルセラミドを用いることが更に好ましく、その中でも、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満効果の観点から、稲から採取される米や種子から抽出したグルコシルセラミドを用いることが特に好ましい。抽出溶媒としては、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点からエタノールが好ましい。
【0038】
(スピルリナ)
スピルリナは、スピルリナ属に属する藍藻類であり、スピルリナは、クロロフィル、カロチン、ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなどのミネラルに富む。本発明で使用できるスピルリナとしては、例えば、スピルリナ・ゲイトレリ、スピルリナ・プラテンシス、スピルリナ・マキシマ、スピルリナ・メイヤー、スピルリナ・ラキシシマ、スピルリナ・アルダリアが挙げられる。本発明においては、種々のスピルリナの処理物を使用することができるが、苦み、渋み等の呈味改善及び抗肥満作用の観点から生菌を用いることが好ましく、生菌の粉砕物又は粉砕末を用いることが特に好ましい。
【0039】
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤、飼料等として用いることができる。
【0040】
本発明の経口組成物は、抗肥満作用を有する抗肥満用組成物として用いることができ、かかる抗肥満用組成物としては、抗肥満(肥満抑制)に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに抗肥満、ダイエット、体脂肪低減、メタボリックシンドローム改善、痩身等の機能がある旨を表示したもののみでなく、他の機能がある旨を表示したもの、又は、機能に関する表示がないものであっても、抗肥満作用を実質的に有するものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の抗肥満組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(ターミナリア及び他素材)が抗肥満の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、ターミナリアのみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0041】
本発明の経口組成物は、食後の中性脂肪上昇抑制作用を有する没食子酸又はその塩を有するターミナリアを含有するものであることから、中性脂肪上昇抑制作用を有する中性脂肪上昇抑制用組成物としても用いることができる。かかる中性脂肪上昇抑制用組成物としては、中性脂肪上昇抑制に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに食後の中性脂肪上昇抑制、食後の中性脂肪低下等の機能がある旨を表示したもののみでなく、他の機能がある旨を表示したもの、又は、機能に関する表示がないものであっても、中性脂肪上昇抑制作用を実質的に有するものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の中性脂肪上昇抑制用組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(ターミナリア及び他素材)が中性脂肪上昇抑制の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、ターミナリアのみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0042】
具体的に、本発明の抗肥満用組成物及び中性脂肪上昇抑制用組成物としては、医薬品(医薬部外品を含む)やいわゆる健康食品が挙げられ、いわゆる抗肥満を訴求する健康食品においては、「体脂肪の気になる方へ」、「肥満気味な方へ」、「体重(BMI)が気になる方へ」、「体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)を減らす」、「ウエスト周囲長を減らす」等を表示したものを例示することができ、いわゆる中性脂肪上昇抑制を訴求する健康食品においては、「中性脂肪が気になる方へ」、「中性脂肪の上昇を抑える」、「中性脂肪を下げる」、「中性脂肪の上昇を緩やかにする」、「摂取した脂肪の吸収を抑える」等を表示したものを例示することができる。
【0043】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が好ましく、錠状、粉末状、顆粒状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、食品添加剤を例示することができる。特にサプリメント、インスタント飲料は食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0044】
本発明の一態様の組成物は、容器に詰めて密封した容器詰組成物とすることができる。容器は特に限定されないが、例えば、アルミなどの金属、紙、PETやPTPなどのプラスチック、1層又は積層(ラミネート)のフィルム袋、レトルトパウチ、真空パック、アルミ容器、プラスチック容器、瓶、缶などの包装容器が挙げられる。本発明の一態様の組成物は、経時的な変質を避けるために、容器に詰めて密封した後に、加圧及び/又は加熱などにより殺菌処理したものであることが好ましい。
【0045】
本発明の一態様の組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、本発明の一態様の組成物をそのまま、水などとともに、又は水などで希釈するなどして、飲食することにより経口摂取することができる。摂取者の好みなどに応じて、本発明の一態様の組成物と他の固体物や液状物とを混ぜて経口摂取してもよい。本発明の一態様の組成物を口腔崩壊剤形とした場合は、水なしで経口摂取することができる。
【0046】
本発明の組成物におけるターミナリア及び他素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0047】
一般的には、本発明の経口組成物が錠状、チュアブル状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の1~80%含まれていることが好ましく、5~60%含まれていることがより好ましく、10~50%含まれていることがさらに好ましい。
【0048】
本発明の経口組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の成分が全体の0.001~5%含まれていることが好ましく、0.005~3%含まれていることがより好ましく、0.01~1%含まれていることがさらに好ましい。
【0049】
また、本発明の経口組成物がインスタント飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.1~50%含まれていることが好ましく、0.5~30%含まれていることがより好ましく、1~20%含まれていることがさらに好ましい。
【0050】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の組成物全体の70%以上含まれていることが好ましく、80%以上含まれていることがより好ましく、90%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0051】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、ターミナリア摂取量が、10mg/日以上となるように摂取することが好ましく、50mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、100mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、10000mg/日であり、好ましくは5000mg/日である。本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0052】
本発明の経口用組成物は、没食子酸又はその塩を含有することが好ましい。没食子酸又はその塩としては、合成により得られるものや、天然物から抽出したもの、抽出物を酵素等により処理したもの等、特に制限はないが、抗肥満作用の観点から、ターミナリア由来の没食子酸又はその塩を含有することが好ましい。本発明における没食子酸又はその塩の含有量は、組成物中に0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.01%以上であり、特に好ましくは0.1%である。また、没食子酸又はその塩は、組成物中に30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
【0053】
ターミナリア及び他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.25~100000:1の範囲であることが好ましく、0.5~75000:1の範囲であることがより好ましく、0.75~50000:1の範囲であることがさらに好ましく、1~30000:1の範囲であることが特に好ましい。
【0054】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
[食品組成物の官能評価]
1.飲食用組成物の製造
以下の表1に示す配合を有する食品組成物を調製した。表1のうち、数値は質量(g)を表わす。
【0057】
また、被験物質として以下のものを用いた。
ターミナリアとしては、ターミナリアベリリカの果実の水抽出末(市販品)を用いた。
アカショウマとしてはアカショウマの根の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
白いんげんとしては白いんげん種子の水抽出末(市販品)を用いた。
ケールとしてはケールの葉の粉砕末(株式会社東洋新薬製)を用いた。
マカとしてはマカ球根部の粉砕末(市販品)を用いた。
カカオとしてはココア粉末(市販品)を用いた。
アセロラとしてはアセロラ果実の搾汁末(市販品)を用いた。
マンゴスチンとしてはマンゴスチン果実の水抽出末(市販品)を用いた。
ココヤシとしてはココナツミルク(市販品)を用いた。
ドラゴンフルーツとしてはドラゴンフルーツ果実の搾汁末(市販品)を用いた。
カムカムとしてはカムカム果実の搾汁末(市販品)を用いた。
プルーンとしてはプルーン果実の抽出末(市販品)を用いた。
紅麹としてはMonascus pilosusの死菌乾燥粉末(市販品)を用いた。
ローヤルゼリーとしてはローヤルゼリーの乾燥粉末(市販品)を用いた。
セラミドとしてはグルコシルセラミドを10%以上含有するイネ種子の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
スピルリナとしては生菌の粉砕末(市販品)を用いた。
グァバ葉としてはグァバ葉の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
【0058】
【表1】
【0059】
2.官能評価
(1)サンプルの調製
上記表1に記載の比較例1~2及び実施例1~18のサンプルについて、記載の質量を、水100mLと混合して各試験サンプルを得た。
【0060】
(2)サンプルの評価
被験者として、健常な成人6名を無作為に選出した。これらの被験者6名に対し、下記表2の評価項目について、アンケートを実施し、官能評価を行った。具体的には、例えば、実施例1~18、比較例2の評価は比較例1を基準(5点)として他のサンプルを比較し、それぞれ1~10点の点数をつけた。
【0061】
【表2】
【0062】
各サンプルについて、被験者の点数の平均点を算出した。算出した各評価項目の平均値の積算値について、基準となる比較例1との差を示した結果を図1のグラフに示す。
【0063】
(3)考察
それぞれの比較例、実施例について、嗜好性の評価結果を考察した。
【0064】
図1に示すように、ターミナリアにグァバ葉を組み合わせた比較例2は、ターミナリアのみを含有する比較例1と比べて、いずれの項目も高い値であった。また、ターミナリアと(a)及び(b)から選ばれる1種の他素材を組み合わせた実施例1~15は、比較例1、2と比べて改善された。特に、飲んでいる時のまろやかさ、苦み及び渋みで高い評価となり、呈味の改善された組成物が得られることがわかった。
【0065】
更に、ターミナリアと(a)及び(b)から選ばれる2種の他素材を組み合わせた実施例16~18は、実施例1~15の組成物と比較しても、いずれの項目も優れたものであった。特に、飲んでいる時のまろやかさ、苦み及び渋みで高い評価となり、嗜好性に優れた組成物が得られることがわかった。これら3成分を配合することで、より一層呈味の改善された組成物が得られることがわかった。
【0066】
以上の結果より、ターミナリアを単独で用いた組成物(組成物I)は、ターミナリアの強い苦みや渋みを有し、単独では嗜好性が悪いものであった。ターミナリアと(a)及び(b)から選ばれる1種の他素材を含有する本発明の組成物(組成物II)は、組成物Iと比較すると、ターミナリアの有する強い苦みや渋みについて改善が見られ、まろやかさが付与された。更に、ターミナリアと(a)及び(b)から選ばれる2種の他素材を含有する本発明の組成物(組成物III)は、組成物IやIIと比較して、ターミナリアの有する強い苦みや渋みを効果的に改善することができ、まろやかさが付与された呈味の改善された組成物となることがわかった。
【0067】
[食品組成物の抗肥満作用の評価]
試験名:線維芽細胞を用いた脂肪分化抑制作用の評価
【0068】
(1)細胞培養(脂肪細胞への分化誘導方法)
37℃、5%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、マウス線維芽細胞株(3T3-L1)を10%(V/V)FBS含有DMEMにより培養した。トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコからコラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに1ウェルあたり細胞数が1×10となる細胞密度で播種した。37℃、5%COインキュベーター内でコンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになってから3日後に、分化誘導培地にて調製した被験物質含有サンプルを添加し9日間培養した。このとき2~3日置きに分化維持培地で調製した被験物質含有サンプルに交換した。分化未誘導のものは、被験物質含有サンプルにジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の濃度を揃えた10%(V/V)FBS含有DMEMで培養した。
【0069】
なお、分化誘導培地は、10%(V/V)FBS含有DMEMに、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(3-isobutyl-1-methylxanthine)が0.5mM、デキサメタゾン(Dexamethasone)が0.5μM、インスリン(Insulin)が10μg/mLとなるように調製したものを用いた。また、分化維持培地は、10%(V/V)FBS含有DMEMにヒト由来のインスリン(Insulin)が10μg/mLとなるように調製したものを用いた。
【0070】
また、被験物質として以下のものを用いた。
ターミナリアとして、ターミナリアベリリカの果実の水抽出末(市販品)を用いた。
アカショウマとして、アカショウマの根の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
マカとして、マカ球根部(市販品)の含水エタノール抽出末を用いた。
カカオとして、カカオ種子の含水エタノール抽出末(市販品)を用いた。
カムカムとして、カムカム果実搾汁物の乾燥粉末(市販品)を用いた。
紅麹として、Monascus pilosusの死菌乾燥粉末(市販品)を用いた。
セラミドとして、イネ種子のエタノール抽出末(市販品)を用いた。
【0071】
下記表3に記載の比較例3~8及び実施例19~23のサンプルについて、記載の濃度となるよう、各試験サンプルを得た。濃度単位は、μg/mLである。
【表3】
【0072】
(2)細胞内脂肪滴の染色
培養後の細胞に、被験物質100μLと10%ホルマリン溶液100μLを添加し、遮光して10分間室温で静置した。ホルマリン液を除去し、新たに10%ホルマリン溶液を1ウェルあたり100μL添加し、遮光して10分間室温で静置し、細胞を固定した。ホルマリン溶液を除去し、リン酸緩衝溶液(PBS)にて2回洗浄した。60%イソプロパノール-オイルレッド溶液を1ウェルあたり50μLの容量で細胞を播種したウェルとブランクウェルに添加し、遮光して30分間室温で静置して脂肪滴を染色した。染色液を除去し、60%イソプロパノールを1ウェルあたり150μL添加した。60%イソプロパノールを除去し、PBSで1回洗浄した。100%イソプロパノールを細胞を播種したウェルとブランクウェルに1ウェルあたり50μL添加し、10分間ほど振とうして染色液を抽出した。染色液が抽出されたイソプロパノール液の520、650nm(濁度)における吸光度を測定した。プレート内のイソプロパノールを完全に飛ばし、PBS中で細胞を破砕し、プロテインアッセイBCAキット(thermo社)を用いて1ウェルあたりのタンパク質量を測定した。
(3)データ解析
得られたデータをもとに下記式から「% of control」(コントロールに対する相対値)を算出した。
【0073】
Data=[(Sample520nm-blank520nm)-(Sample650nm-blank650nm)/[1ウェルあたりのタンパク質量]
% of control=[SampleDate]/[ ControlDate]×100
Sample520nm、blank520nmはオイルレッド染色後の520nmにおける吸光度の値であり、Sample650nm、blank650nmはオイルレッド染色後の650nm(濁度)における吸光度の値である。
【0074】
図2に、マウス線維芽細胞内の脂肪量の評価結果を示す。図2はコントロールからの細胞内脂肪滴の減少量に関するものである。数値は、高いほど脂肪細胞の分化が抑制されたことを示す。なお、添加成分の濃度単位は、μg/mLである。
【0075】
図2に示すように、ターミナリア及び他素材を用いた本発明の組成物は、各素材単独の場合に比して、飛躍的に脂肪細胞の分化が抑制された。具体的には、ターミナリアと比較例5~8の各他素材を組み合わせた実施例20~23では、それぞれ単独の効果からは予測し得ない高い効果が認められた。また、ターミナリアと比較例4の他素材を組み合わせた実施例19では、それぞれの効果の足し合わせでは得られない顕著な効果が認められた。
【0076】
肥満は、脂肪細胞の肥大と増殖によることから、脂肪細胞の分化を抑制することにより、肥満を防止することができると考えられる。したがって、本発明の経口組成物は、肥満防止に有用である。
【0077】
[本発明の組成物の製造]
[実施例24](錠剤の製造)
下記成分からなる錠剤(250mg)を製造した。得られた錠剤を1日あたり5粒摂取する。製造した錠剤はターミナリア特有の呈味(苦み、渋み等)が改善されており、一日に1回又は2、3回に分けて水と共に服用することで、優れた抗肥満効果が得られる。
【0078】
ターミナリアベリリカの果実水抽出末 25%
アカショウマの含水エタノール抽出末 25%
マカ球根部の含水エタノール抽出末 1%
カカオ種子の含水エタノール抽出末 5%
ステアリン酸カルシウム 2%
二酸化ケイ素 2%
還元麦芽糖 残部
【0079】
[実施例25](錠剤の製造)
下記成分からなる錠剤(350mg)を製造した。得られた錠剤を1日あたり6粒摂取する。製造した錠剤はターミナリア特有の呈味(苦み、渋み等)が改善されており、一日に1回又は2、3回に分けて水と共に服用することで、優れた抗肥満効果が得られる。
【0080】
ターミナリアベリリカの果実粉砕末 15%
白インゲン豆水抽出末 30%
米由来グルコシルセラミド 0.1%
プルラン 1%
還元麦芽糖 残部
【0081】
[実施例26](カプセル剤の製造)
下記混合物をハードカプセルに封入し、カプセル剤(300mg)を製造した。得られたハードカプセルを1日あたり5粒摂取する。製造したカプセル剤は、一日に1回又は2~4回に分けて水と共に服用することで、優れた抗肥満効果が得られる。
【0082】
ターミナリアベリリカの果実含水エタノール抽出末 50%
ローヤルゼリーの乾燥粉末 0.5%
コツサイホ含水エタノール抽出末 0.5%
スピルリナの乾燥粉末 0.5%
マンゴスチン果実の抽出末 0.5%
乳酸菌 5%
二酸化ケイ素 2%
セルロース 残部
【0083】
[実施例27](顆粒剤の製造)
下記成分を混合して常法により顆粒剤(3000mg)を製造した。得られた顆粒剤はターミナリア特有の呈味(苦み、渋み等)が改善されており、水と共に服用することで、優れた抗肥満効果が得られる。また、得られた顆粒剤中には没食子酸又はその塩が0.1%含まれていた。
【0084】
ターミナリアベリリカの果実熱水抽出末 30%
プルーン果実の含水エタノール抽出末 10%
カムカム果実の搾汁末 2%
ドラゴンフルーツ果実の搾汁末 2%
ココナッツミルク 5%
アスパルテーム 0.1%
チアミン塩酸塩 0.33%
リボフラビン 0.33%
ビタミンB6 0.17%
シアノコバラミン 0.17%
香料 0.17%
還元パラチノース 6.67%
ステアリン酸カルシウム 3.33%
ヒロドキシプロピルセルロース 残部
【0085】
[実施例28](チュアブル錠剤の製造)
下記成分からなるチュアブル錠剤(1粒あたり1000mg)を製造した。得られたチュアブル錠剤はターミナリア特有の呈味(苦み、渋み等)が改善されており、1日3回、1回あたり2粒(合計6粒)摂取することで、優れた抗肥満効果が得られる。
【0086】
ターミナリアベリリカの果実含水エタノール抽出末 10%
プルーン果実の熱水抽出末 15%
ケールの葉の粉砕末 1%
スクラロース 0.1%
アスパルテーム 0.05%
ビタミンB1 0.01%
ビタミンB2 0.01%
ビタミンB6 0.01%
香料 0.01%
ステアリン酸カルシウム 1.00%
二酸化ケイ素 2.00%
ヒドロキシプロピルセルロース 1.00%
セルロース 30.00%
還元パラチノース 残部
【0087】
[実施例29](容器詰飲料の製造)
下記成分からなる容器詰飲料(300mL)を製造した。得られた容器詰飲料はターミナリア特有の呈味(苦み、渋み等)が改善されており、摂取することで、優れた抗肥満効果が得られる。
【0088】
ターミナリアベリリカの果実の水抽出末 0.1%
紅麹の死菌乾燥粉末 0.1%
プーアル茶加工食品 0.13%
ジャスミン茶加工食品 0.15%
フラクトオリゴ糖 0.075%
ビタミンC 0.25%
水 残部
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の経口組成物は、抗肥満効果等を有することから、本発明の産業上の有用性は高い。
図1
図2