(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128129
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20240912BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65D35/10 A
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113404
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2020167100の分割
【原出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】勝又 淑江
(72)【発明者】
【氏名】大村 寛美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良彦
(57)【要約】
【課題】傷が付きにくくすることが可能な、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器を提供する。
【解決手段】チューブ容器用包材は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1シーラント層51と、基材層52と、第2シーラント層53とを備えている。第1シーラント層51は単層である。第1シーラント層51は、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器用包材において、
外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、
前記第1シーラント層は単層であり、
前記第1シーラント層は、中密度ポリエチレンと、アクリル酸と、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含み、
前記耐摩耗性添加剤は、前記複数種類のうちの一種類としてアクリル樹脂を含み、前記複数種類のうちの他の一種類としてエルカ酸アミドを含む、チューブ容器用包材。
【請求項2】
前記第1シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下である、請求項1に記載のチューブ容器用包材。
【請求項3】
前記第2シーラント層は単層であり、
前記第2シーラント層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、請求項1または2に記載のチューブ容器用包材。
【請求項4】
チューブ容器用包材において、
外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、
前記第2シーラント層は単層であり、
前記第2シーラント層は、中密度ポリエチレンと、アクリル酸と、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含み、
前記耐摩耗性添加剤は、前記複数種類のうちの一種類としてアクリル樹脂を含み、前記複数種類のうちの他の一種類としてエルカ酸アミドを含む、チューブ容器用包材。
【請求項5】
前記第2シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下である、請求項3または4に記載のチューブ容器用包材。
【請求項6】
チューブ容器用包材において、
外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、
前記第1シーラント層は複数の層を有し、
前記第1シーラント層の前記複数の層のうち、前記外面を構成する最外層は、中密度ポリエチレンと、アクリル酸と、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含み、
前記耐摩耗性添加剤は、前記複数種類のうちの一種類としてアクリル樹脂を含み、前記複数種類のうちの他の一種類としてエルカ酸アミドを含む、チューブ容器用包材。
【請求項7】
前記最外層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下である、請求項6に記載のチューブ容器用包材。
【請求項8】
前記第1シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下である、請求項6または7に記載のチューブ容器用包材。
【請求項9】
前記第2シーラント層は複数の層を有し、
前記第2シーラント層の前記複数の層のうち、前記内面を構成する最内層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項10】
チューブ容器用包材において、
外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、
前記第2シーラント層は複数の層を有し、
前記第2シーラント層の前記複数の層のうち、前記内面を構成する最内層は、中密度ポリエチレンと、アクリル酸と、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含み、
前記耐摩耗性添加剤は、前記複数種類のうちの一種類としてアクリル樹脂を含み、前記複数種類のうちの他の一種類としてエルカ酸アミドを含む、チューブ容器用包材。
【請求項11】
前記最内層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下である、請求項9または10に記載のチューブ容器用包材。
【請求項12】
前記第2シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項13】
チューブ容器において、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材の対向する縁部同士を重ね合わせて互いに接合した胴部チューブと、
前記胴部チューブの一端に接合された頭部部材とを備える、チューブ容器。
【請求項14】
キャップ付きチューブ容器において、
請求項13に記載のチューブ容器と、
前記頭部部材に取り付けられたキャップとを備える、キャップ付きチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器に関し、とりわけ搬送時にキャップ付きチューブ容器同士が擦れても傷が付きにくく、これにより外観を維持することができる、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器の胴部チューブを構成する積層体としては、外面から内面に向けて順次積層配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを有するものが知られている。また基材層には、その内面側に印刷が施されている。
【0003】
ところで、チューブ容器を搬送する際、ダンボール箱内に複数のチューブ容器を収納しておき、このダンボール箱毎搬送することになる。
【0004】
しかしながら、チューブ容器の搬送中にチューブ容器同士が擦れて、チューブ容器の外面に傷が付き、これによりチューブ容器の外観が劣化することがある。
【0005】
また、従来のチューブ容器では、最内層である第2シーラント層の滑り性が不十分な場合があり、高速で胴部チューブを製筒する際に、第2シーラント層に擦り傷が発生する可能性がある。最内層である第2シーラント層に擦り傷が発生した場合、当該擦り傷に起因する異物がシール部材に付着して、積層体の接合性が低下するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、傷が付きにくくすることが可能な、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、前記第1シーラント層は単層であり、前記第1シーラント層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、チューブ容器用包材である。
【0009】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0010】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第2シーラント層は単層であり、前記第2シーラント層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいてもよい。
【0011】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、前記第2シーラント層は単層であり、前記第2シーラント層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、チューブ容器用包材である。
【0012】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第2シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0013】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、前記第1シーラント層は複数の層を有し、前記第1シーラント層の前記複数の層のうち、前記外面を構成する最外層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、チューブ容器用包材である。
【0014】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記最外層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0015】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下であってもよい。
【0016】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第2シーラント層は複数の層を有し、前記第2シーラント層の前記複数の層のうち、前記内面を構成する最内層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいてもよい。
【0017】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、外面から内面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、前記第2シーラント層は複数の層を有し、前記第2シーラント層の前記複数の層のうち、前記内面を構成する最内層は、中密度ポリエチレンと、前記中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含む、チューブ容器用包材である。
【0018】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記最内層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0019】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第2シーラント層において、前記耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下であってもよい。
【0020】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記耐摩耗性添加剤は、アクリル樹脂とエルカ酸アミドとを含んでいてもよい。
【0021】
一実施の形態によるチューブ容器は、一実施の形態によるチューブ容器用包材の対向する縁部同士を重ね合わせて互いに接合した胴部チューブと、前記胴部チューブの一端に接合された頭部部材とを備える、チューブ容器である。
【0022】
一実施の形態によるキャップ付きチューブ容器は、一実施の形態によるチューブ容器と、前記頭部部材に取り付けられたキャップとを備える、キャップ付きチューブ容器である。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、キャップ付きチューブ容器に傷が付きにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、内容物が充填された、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器を示す部分垂直断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2D】
図2Dは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2E】
図2Eは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2F】
図2Fは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2G】
図2Gは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2H】
図2Hは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2I】
図2Iは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図2J】
図2Jは、本実施の形態による積層体の層構成の他の例を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)-(c)は、本実施の形態によるチューブ容器の製造方法を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態によるチューブ容器の製造方法を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器の製造方法を示す部分垂直断面図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器を搬送する状態を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例の輸送試験における傷の面積の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1乃至
図6は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0026】
まず、
図1により、本実施の形態による積層体(チューブ容器用包材)50を使用して作製されたキャップ付きチューブ容器10Aについて説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器10Aは、チューブ容器10と、チューブ容器10の後述する頭部部材40に取り付けられたキャップ20とを備えている。
【0028】
このうち、チューブ容器10は、ラミネート成形チューブである胴部チューブ30と、胴部チューブ30の一端31に接合された頭部部材40とを備えている。
【0029】
ここでは、まず、チューブ容器10の頭部部材40について説明する。
【0030】
図1に示すように、頭部部材40は、肩部41と口部42とを有している。このうち口部42には、キャップ20が装着されるようになっている。
【0031】
このような頭部部材40は、後述するように、例えば圧縮成形法により成形される。また、頭部部材40は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)等の樹脂材料から作製される。
【0032】
次に、チューブ容器10の胴部チューブ30について説明する。
図1に示す胴部チューブ30は、全体として略円筒形状を有している。この胴部チューブ30は、ラミネート成形された積層体50(
図2A乃至
図2J参照)から構成されており、この積層体50を円筒状に丸め、対向する縁部35(
図4参照)同士を重ね合わせて、例えばヒートシールにより互いに接合して得られたものである。このため、胴部チューブ30は、その長手方向に沿って積層体50同士を互いに接合した胴部シール部32が形成されている。また、胴部チューブ30の他端33には、積層体50同士を互いに接合した底シール部34が形成されている。この底シール部34は、胴部チューブ30の他端に形成された開口部50B(
図4参照)から、例えば、練り歯磨き、その他の内容物Cを適量分充填した後に、当該開口部50B近傍の積層体50同士を互いに接合したものである。
【0033】
次に、積層体50の層構成について説明する。
図2A乃至
図2Jは、胴部チューブ30を構成する積層体50の層構成の一例を示している。
図2A乃至
図2Jに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1シーラント層51と、基材層52と、第2シーラント層53とを備えている。
【0034】
具体的には、
図2Aに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、第1シーラント層51と、第1接着層54aと、基材層52と、印刷層55と、第2接着層54bと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、胴部チューブ30の外面を構成し、第2シーラント層53は、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0035】
図2Aに示す例において、第1シーラント層51は、単層になっている。しかしながら、これに限られず、
図2Bおよび
図2Cに示すように、第1シーラント層51は複数の層を有していてもよい。例えば、
図2Bに示すように、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51c、とを有していてもよい。また、例えば、
図2Cに示すように、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cと、第4樹脂層51dと、第5樹脂層51e、とを有していてもよい。これらの場合、第1シーラント層51の第1樹脂層51aが、胴部チューブ30の外面を構成する最外層となる。なお、図示はしないが、第1シーラント層51は、2層からなっていてもよく、6つ以上の層を有していてもよい。
【0036】
また、
図2Aに示す例において、第2シーラント層53は、単層になっている。しかしながら、これに限られず、
図2Dおよび
図2Eに示すように、第2シーラント層53は複数の層を有していてもよい。例えば、
図2Dに示すように、第2シーラント層53は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bと、第3樹脂層53c、とを有していてもよい。この場合、第2シーラント層53の第3樹脂層53cが、胴部チューブ30の内面を構成する最内層となる。また、例えば、
図2Eに示すように、第2シーラント層53は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bと、第3樹脂層53cと、第4樹脂層53dと、第5樹脂層53e、とを有していてもよい。この場合、第2シーラント層53の第5樹脂層53eが、胴部チューブ30の内面を構成する最内層となる。なお、図示はしないが、第2シーラント層53は、2層からなっていてもよく、6つ以上の層を有していてもよい。また、図示はしないが、第1シーラント層51および第2シーラント層53が、それぞれ複数の層を有していてもよい。
【0037】
また、
図2Fに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、第1シーラント層51と、第1接着層54aと、基材層52と、印刷層55と、第2接着層54bと、バリア層56と、中間層57と、第3接着層54cと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、胴部チューブ30の外面を構成し、第2シーラント層53は、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0038】
図2Fに示す例において、第1シーラント層51は、単層になっている。しかしながら、これに限られず、
図2Gおよび
図2Hに示すように、第1シーラント層51は複数の層を有していてもよい。例えば、
図2Gに示すように、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51c、とを有していてもよい。また、例えば、
図2Hに示すように、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cと、第4樹脂層51dと、第5樹脂層51e、とを有していてもよい。これらの場合、第1シーラント層51の第1樹脂層51aが、胴部チューブ30の外面を構成する最外層となる。なお、図示はしないが、第1シーラント層51は、2層からなっていてもよく、6つ以上の層を有していてもよい。
【0039】
また、
図2Fに示す例において、第2シーラント層53は、単層になっている。しかしながら、これに限られず、
図2Iおよび
図2Jに示すように、第2シーラント層53は複数の層を有していてもよい。例えば、
図2Iに示すように、第2シーラント層53は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bと、第3樹脂層53c、とを有していてもよい。この場合、第2シーラント層53の第3樹脂層53cが、胴部チューブ30の内面を構成する最内層となる。また、例えば、
図2Jに示すように、第2シーラント層53は、外面501から内面502に向かって、第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bと、第3樹脂層53cと、第4樹脂層53dと、第5樹脂層53e、とを有していてもよい。この場合、第2シーラント層53の第5樹脂層53eが、胴部チューブ30の内面を構成する最内層となる。なお、図示はしないが、第2シーラント層53は、2層からなっていてもよく、6つ以上の層を有していてもよい。また、図示はしないが、第1シーラント層51および第2シーラント層53が、それぞれ複数の層を有していてもよい。
【0040】
以下、積層体50の各層について説明する。
【0041】
第1シーラント層
第1シーラント層51は、積層体50同士を接着させるための層であり、第1シーラント層51を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料が用いられる。
【0042】
(第1シーラント層の第1の構成)
第1の構成に係る第1シーラント層51は、
図2A等に示すように、単層である。この場合、第1シーラント層51は、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。第1シーラント層51が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第1シーラント層51の密度を高くすることができる。このため、第1シーラント層51の剛性を高くすることができ、第1シーラント層51の滑り性が容易に向上し得る。これにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。また、第1シーラント層51が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第1シーラント層51の密度が高くなり過ぎることを抑制することができ、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することもできる。また、第1シーラント層51が複数種類の耐摩耗性添加剤を含んでいることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。このように、第1シーラント層51が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。このため、胴部チューブ30の耐摩耗性を向上させることができる。この結果、胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制することができ、キャップ付きチューブ容器10Aおよびチューブ容器10の外観を維持することができる。なお、本明細書中、「中密度ポリエチレン」とは、密度が930kg/m
3以上942kg/m
3以下のポリエチレンを意味する。また、中密度ポリエチレンはバイオマス由来の中密度ポリエチレンであってもよい。
【0043】
また、第1シーラント層51において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.01重量%以上であることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、耐摩耗性添加剤の成分が積層体50の外面501から染み出てしまうことを抑制することができる。これにより、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することができる。なお、本明細書中、「耐摩耗性添加剤の含有量」とは、複数種類の耐摩耗性添加剤の合計の含有量を意味する。
【0044】
ここで、耐摩耗性添加剤としては、アクリル樹脂、エルカ酸アミド、エチレン・1-ヘキセン共重合物、スリップ剤等を使用することができる。本実施の形態では、耐摩耗性添加剤は、アクリル樹脂とエルカ酸アミドとを含んでいることが好ましい。この場合、アクリル樹脂は、いわゆるアンチブロッキング剤としての役割を果たす。第1シーラント層51がアンチブロッキング剤としてのアクリル樹脂を含んでいることにより、第1シーラント層51の滑り性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤がエルカ酸アミドを含んでいることにより、積層体50の外面501の滑り性をより効果的に向上させることができる。このように、耐摩耗性添加剤が、アクリル樹脂とエルカ酸アミドとを含んでいることにより、第1シーラント層51は、優れた耐摩耗性をもつことができる。このため、積層体50に擦り傷が発生することを抑制することができる。なお、第1シーラント層51において、アクリル樹脂の含有量およびエルカ酸アミドの含有量は、互いに等しくなっていてもよく、互いに異なっていてもよい。なお、耐摩耗性添加剤として、アクリル樹脂以外の樹脂であって、アンチブロッキング剤としての役割を果たす樹脂を含んでいてもよい。
【0045】
上記の第1シーラント層51を構成するフィルム等は、例えば、中密度ポリエチレンを主成分とし、これに、耐摩耗性添加剤を添加して樹脂組成物を調製し、次いで、上記で調製した樹脂組成物を使用し、例えば、Tダイ法、インフレーション法、その他の成形法を用いて成形することができる。
【0046】
本実施の形態において、第1シーラント層51の厚みは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0047】
(第1シーラント層の第2の構成)
第2の構成に係る第1シーラント層51は、
図2Bおよび
図2C等に示すように、複数の層を有している。この場合、複数の層のうち、外面を構成する第1樹脂層(最外層)51aは、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。この場合においても、胴部チューブ30の耐摩耗性を向上させることができるため、胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制することができる。このため、キャップ付きチューブ容器10Aおよびチューブ容器10の外観を維持することができる。また、この場合においても、第1樹脂層51aが中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第1シーラント層51の密度が高くなり過ぎることを抑制することができ、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することができる。
【0048】
ここで、本件発明者らが鋭意研究を行ったところ、第1シーラント層51が複数の層を有している場合、最外層である第1樹脂層51aにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、第1シーラント層51の耐摩耗性に大きく影響することを見出した。このため、第1樹脂層51aに含有させる耐摩耗性添加剤の量を増やすことにより、第1シーラント層51に含有させる耐摩耗性添加剤の量を、第1シーラント層51が単層である場合と比較して低減させた場合であっても、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができることがわかった。そして、この場合、積層体50の製造コストを低減させることができることがわかった。
【0049】
このように、第1シーラント層51が複数の層を有している場合、第1樹脂層(最外層)51aにおいて、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.01重量%以上であることにより、第1樹脂層51aの耐摩耗性を向上させることができる。このため、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、耐摩耗性添加剤の成分が積層体50の外面501から染み出てしまうことを抑制することができる。これにより、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することができる。
【0050】
また、この場合、第1シーラント層51において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.0021重量%以上であることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、耐摩耗性添加剤の成分が積層体50の外面501から染み出てしまうことを抑制することができる。これにより、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することができる。
【0051】
ここで、
図2Bおよび
図2Gに示すように、第1シーラント層51が3つの層(第1樹脂層51a、第2樹脂層51bおよび第3樹脂層51c)を有する場合、第1シーラント層51において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0025重量%以上2.5重量%以下であることがより好ましい。この場合、例えば、第1樹脂層51aの厚みと、第2樹脂層51bの厚みと、第3樹脂層51cの厚みとの比が、おおよそ1.0:2.0:1.0である場合であって、第2樹脂層51bおよび第3樹脂層51cがそれぞれ第1樹脂層51aと同一の中密度ポリエチレンを含んでいる場合、第1樹脂層(最外層)51aにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、0.01重量%以上10重量%以下となり得る。このため、耐摩耗性添加剤の含有量が0.0025重量%以上であることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を効果的に向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、耐摩耗性添加剤の成分が積層体50の外面501から染み出てしまうことを効果的に抑制することができ、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを効果的に抑制することができる。
【0052】
また、この場合、第1樹脂層51aの厚みT1(
図2B参照)は、12.5μm以上62.5μm以下であってもよい。また、第2樹脂層51bの厚みT2は、25.0μm以上125μm以下であってもよい。さらに、第3樹脂層51cの厚みT3は、12.5μm以上62.5μm以下であってもよい。この場合、第1樹脂層51aの厚みT1と、第2樹脂層51bの厚みT2と、第3樹脂層51cの厚みT3との比(T1:T2:T3)は、例えば、1.0:2.0:1.0であってもよい。
【0053】
一方、
図2Cおよび
図2Hに示すように、第1シーラント層51が5つの層(第1樹脂層51a、第2樹脂層51b、第3樹脂層51c、第4樹脂層51dおよび第5樹脂層51e)を有する場合、第1シーラント層51において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.14重量%以下であることがより好ましい。この場合、例えば、第1樹脂層51aの厚みと、第2樹脂層51bの厚みと、第3樹脂層51cの厚みと、第4樹脂層51dの厚みと、第5樹脂層51eの厚みとの比が、おおよそ1.2:1.0:1.2:1.0:1.2である場合であって、第2樹脂層51b、第3樹脂層51c、第4樹脂層51dおよび第5樹脂層51eがそれぞれ第1樹脂層51aと同一の中密度ポリエチレンを含んでいる場合、第1樹脂層(最外層)51aにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、0.01重量%以上10重量%以下となり得る。このため、耐摩耗性添加剤の含有量が0.0021重量%以上であることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を効果的に向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.14重量%以下であることにより、耐摩耗性添加剤の成分が積層体50の外面501から染み出てしまうことを効果的に抑制することができ、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを効果的に抑制することができる。
【0054】
また、この場合、第1樹脂層51aの厚みT11(
図2C参照)は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。また、第2樹脂層51bの厚みT12は、11μm以上55μm以下であることが好ましい。また、第3樹脂層51cの厚みT13は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。また、第4樹脂層51dの厚みT14は、11μm以上55μm以下であることが好ましい。さらに、第5樹脂層51eの厚みT15は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。この場合、第1樹脂層51aの厚みT11と、第2樹脂層51bの厚みT12と、第3樹脂層51cの厚みT13と、第4樹脂層51dの厚みT14と、第5樹脂層51eの厚みT15との比(T1:T2:T3:T4:T5)は、例えば、1.2:1.0:1.2:1.0:1.2であってもよい。
【0055】
第2の構成に係る第1シーラント層51において、外面を構成する第1樹脂層(最外層)51a以外の層を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料であれば良い。第1樹脂層51a以外の層としては、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、飽和ポリエステル、ポリビニルアルコール等その他の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂を使用することができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを用いることができる。なお、本明細書中、「低密度ポリエチレン」とは、密度が910kg/m3以上930kg/m3未満のポリエチレンを意味する。また、「高密度ポリエチレン」とは、密度が942kg/m3よりも大きいポリエチレンを意味する。また、上述したポリエチレンはバイオマス由来のポリエチレンであってもよい。
【0056】
第2の構成に係る第1シーラント層51のその他の構成は、第1の構成に係る第1シーラント層51の構成と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0057】
(第1シーラント層の第3の構成)
第3の構成に係る第1シーラント層51は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。この場合、第1シーラント層51は、耐摩耗性添加剤を含んでいてもよく、耐摩耗性添加剤を含んでいなくてもよい。
【0058】
第3の構成に係る第1シーラント層51を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料であれば良い。第1シーラント層51には例えばポリオレフィンのフィルムを用いることができる。より具体的には、第1シーラント層51としては、例えば、中密度ポリエチレンフィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル、飽和ポリエステル、ポリビニルアルコール等その他の樹脂の1種ないしそれ以上からなるフィルムを使用することができる。第1シーラント層51がポリエチレンを含む場合、ポリエチレンはバイオマス由来のポリエチレンであってもよい。
【0059】
なお、第1シーラント層51は、中密度ポリエチレンを含んでいることが好ましい。第1シーラント層51が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第1シーラント層51と第2シーラント層53とを互いに接合する際に、第1シーラント層51と第2シーラント層53との接合性を向上させることができる。
【0060】
第3の構成に係る第1シーラント層51のその他の構成は、第1の構成に係る第1シーラント層51の構成と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0061】
基材層
基材層52は、例えば、第1シーラント層51や第2シーラント層53を支持するとともに積層体50全体の強度を高めるための層である。基材層52を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靱な樹脂のフィルムないしシート、その他を使用することができる。一例として、基材層52は、ポリエチレンテレフタレートを含んでいても良い。基材層52がポリエチレンテレフタレートを含む場合、ポリエチレンテレフタレートはバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであってもよい。
【0062】
また、上述した樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。中でも、本実施の形態において、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが、印刷適正の面で優れるので好ましい。
【0063】
本実施の形態において、基材層52の厚みは、10μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0064】
第2シーラント層
第2シーラント層53は、積層体50同士を接着させるための層であり、第2シーラント層53を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料が用いられる。
【0065】
(第2シーラント層の第1の構成)
第1の構成に係る第2シーラント層53は、
図2A等に示すように、単層である。この場合、第2シーラント層53は、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。第2シーラント層53が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第2シーラント層53の密度を高くすることができる。このため、第2シーラント層53の剛性を高くすることができ、第2シーラント層53の滑り性が容易に向上し得る。これにより、第2シーラント層53に傷が付きにくくすることができる。また、第2シーラント層53が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第2シーラント層53の密度が高くなり過ぎることを抑制することができ、第1シーラント層51と第2シーラント層53との間の接合性が低下することを抑制することもできる。また、第2シーラント層53が複数種類の耐摩耗性添加剤を含んでいることにより、第2シーラント層53の耐摩耗性を向上させることができる。
【0066】
このように、第2シーラント層53が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。このため、後述するように、積層体50を後述する内側シール部材80に巻き付ける際に、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができる。また、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができるため、第2シーラント層53の擦り傷に起因する異物が、後述する内側シール部材80等に付着することを抑制することができる。
【0067】
また、第2シーラント層53において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.01重量%以上であることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、積層体50を作製する際に、第2シーラント層53の厚みが略均一となるように、第2シーラント層53を容易に作製することができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、後述するように、積層体50をヒートシールにより接合する際に、ヒートシール性が低下することを抑制することができる。
【0068】
第1の構成に係る第2シーラント層53のその他の構成は、第1の構成に係る第1シーラント層51の構成と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0069】
(第2シーラント層の第2の構成)
第2の構成に係る第2シーラント層53は、
図2Dおよび
図2E等に示すように、複数の層を有している。この場合、
図2Dおよび
図2Iに示す例においては、複数の層のうち、内面を構成する第3樹脂層(最内層)53cは、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。また、
図2Eおよび
図2Jに示す例においては、複数の層のうち、内面を構成する第5樹脂層(最内層)53eは、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。この場合においても、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。このため、後述するように、積層体50を後述する内側シール部材80に巻き付ける際に、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができる。また、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができるため、第2シーラント層53の擦り傷に起因する異物が、後述する内側シール部材80等に付着することを抑制することができる。
【0070】
ここで、本件発明者らが鋭意研究を行ったところ、第2シーラント層53が複数の層を有している場合、最内層である第3樹脂層53cまたは第5樹脂層53eにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性に大きく影響することを見出した。このため、最内層である第3樹脂層53cまたは第5樹脂層53eに含有させる耐摩耗性添加剤の量を増やすことにより、第2シーラント層53に含有させる耐摩耗性添加剤の量を、第2シーラント層53が単層である場合と比較して低減させた場合であっても、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができることがわかった。そして、この場合、積層体50の製造コストを低減させることができることがわかった。
【0071】
このように、第2シーラント層53が複数の層を有している場合、第3樹脂層(最内層)53cまたは第5樹脂層(最内層)53eにおいて、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.01重量%以上であることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、積層体50を作製する際に、第2シーラント層53の厚みが略均一となるように、第2シーラント層53を容易に作製することができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が10重量%以下であることにより、後述するように、積層体50をヒートシールにより接合する際に、ヒートシール性が低下することを抑制することができる。
【0072】
また、この場合、第2シーラント層53において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.5重量%以下であることが好ましい。耐摩耗性添加剤の含有量が0.0021重量%以上であることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、積層体50を作製する際に、第2シーラント層53の厚みが略均一となるように、第2シーラント層53を容易に作製することができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、後述するように、積層体50をヒートシールにより接合する際に、ヒートシール性が低下することを抑制することができる。
【0073】
ここで、
図2Dおよび
図2Iに示すように、第2シーラント層53が3つの層(第1樹脂層53a、第2樹脂層53bおよび第3樹脂層53c)を有する場合、第2シーラント層53において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0025重量%以上2.5重量%以下であることがより好ましい。この場合、例えば、第1樹脂層53aの厚みと、第2樹脂層53bの厚みと、第3樹脂層53cの厚みとの比が、おおよそ1.0:2.0:1.0である場合であって、第1樹脂層53aおよび第2樹脂層53bがそれぞれ第3樹脂層53cと同一の中密度ポリエチレンを含んでいる場合、第3樹脂層(最内層)53cにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、0.01重量%以上10重量%以下となり得る。このため、耐摩耗性添加剤の含有量が0.0025重量%以上であることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を効果的に向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、積層体50を作製する際に、第2シーラント層53の厚みが略均一となるように、第2シーラント層53を容易に作製することができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.5重量%以下であることにより、後述するように、積層体50をヒートシールにより接合する際に、ヒートシール性が低下することを抑制することができる。
【0074】
また、この場合、第1樹脂層53aの厚みt1(
図2D参照)は、12.5μm以上62.5μm以下であってもよい。また、第2樹脂層53bの厚みt2は、25.0μm以上125μm以下であってもよい。さらに、第3樹脂層53cの厚みt3は、12.5μm以上62.5μm以下であってもよい。この場合、第1樹脂層53aの厚みt1と、第2樹脂層53bの厚みt2と、第3樹脂層53cの厚みt3との比(t1:t2:t3)は、例えば、1.0:2.0:1.0であってもよい。
【0075】
一方、
図2Eおよび
図2Jに示すように、第2シーラント層53が5つの層(第1樹脂層53a、第2樹脂層53b、第3樹脂層53c、第4樹脂層53dおよび第5樹脂層53e)を有する場合、第2シーラント層53において、耐摩耗性添加剤の含有量は、0.0021重量%以上2.14重量%以下であることがより好ましい。この場合、例えば、第1樹脂層53aの厚みと、第2樹脂層53bの厚みと、第3樹脂層53cの厚みと、第4樹脂層53dの厚みと、第5樹脂層53eの厚みとの比が、おおよそ1.2:1.0:1.2:1.0:1.2である場合であって、第1樹脂層53a、第2樹脂層53b、第3樹脂層53cおよび第4樹脂層53dがそれぞれ第5樹脂層53eと同一の中密度ポリエチレンを含んでいる場合、第5樹脂層(最内層)53eにおける耐摩耗性添加剤の含有量が、0.01重量%以上10重量%以下となり得る。このため、耐摩耗性添加剤の含有量が0.0021重量%以上であることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を効果的に向上させることができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.14重量%以下であることにより、積層体50を作製する際に、第2シーラント層53の厚みが略均一となるように、第2シーラント層53を容易に作製することができる。また、耐摩耗性添加剤の含有量が2.14重量%以下であることにより、後述するように、積層体50をヒートシールにより接合する際に、ヒートシール性が低下することを抑制することができる。
【0076】
また、この場合、第1樹脂層53aの厚みt11(
図2E参照)は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。また、第2樹脂層53bの厚みt12は、11μm以上55μm以下であることが好ましい。また、第3樹脂層53cの厚みt13は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。また、第4樹脂層53dの厚みt14は、11μm以上55μm以下であることが好ましい。さらに、第5樹脂層53eの厚みt15は、13.2μm以上66μm以下であることが好ましい。この場合、第1樹脂層53aの厚みt11と、第2樹脂層53bの厚みt12と、第3樹脂層53cの厚みt13と、第4樹脂層53dの厚みt14と、第5樹脂層53eの厚みt15との比(t1:t2:t3:t4:t5)は、例えば、1.2:1.0:1.2:1.0:1.2であってもよい。
【0077】
第2の構成に係る第2シーラント層53のその他の構成は、第2の構成に係る第1シーラント層51の構成と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0078】
(第2シーラント層の第3の構成)
第3の構成に係る第2シーラント層53は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。この場合、第2シーラント層53は、耐摩耗性添加剤を含んでいてもよく、耐摩耗性添加剤を含んでいなくてもよい。
【0079】
第3の構成に係る第2シーラント層53のその他の構成は、第3の構成に係る第1シーラント層51の構成と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0080】
ここで、第2シーラント層53および上述した第1シーラント層51は、少なくともいずれか一方が、第1の構成または第2の構成であるように選択される。第1シーラント層51および第2シーラント層を構成する材料の組み合わせの例をまとめて表1に示す。
【0081】
【0082】
接着層
第1接着層54a、第2接着層54bおよび第3接着層54cといった接着層は、第1シーラント層51、基材層52、中間層57、第2シーラント層53などを互いに接着するための層である。この接着層は、接着する層を構成する樹脂によって適宜選択することができる。
【0083】
接着層としては、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等を任意に使用することができる。
【0084】
また、接着層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-ビニルアルコール、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂等を好適に使用することができる。
【0085】
本実施の形態において、接着層の厚さは、3μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0086】
また、第1シーラント層51、基材層52、中間層57、第2シーラント層53などを互いに積層する方法としては、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネ-ション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他の任意の方法で行うことができる。また、上述したラミネートを行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。
【0087】
印刷層
印刷層55は、絵柄等の印刷が施された層であり、積層体50の意匠性を向上させるための層である。印刷層55としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。このようなインキビヒクルとしては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他の印刷方式であってもよい。
【0088】
バリア層
バリア層56は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制するための層である。バリア層56としては、例えば、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性素材、太陽光等に対する遮光性素材、あるいは、内容物に対する保香性等を有する材料を使用することができる。具体的には、バリア層56としては、例えば、アルミニウム箔、スズ、鉛、銅、鉄、ニッケル、またはこれらの合金等あるいは、アルミニウム等の金属蒸着薄層を使用することができる。バリア層56としてアルミニウム箔を使用する場合、バリア層56の厚みは、5μm以上20μm以下程度とすることができる。
【0089】
また、バリア層56としてアルミニウム等の金属蒸着層を使用する場合、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)等を利用して、中間層57上に、アルミニウム等の金属の蒸着薄膜を形成することができる。
【0090】
バリア層56として、アルミニウムの金属蒸着層を使用する場合、バリア層56の厚みは、通常、50Å以上3000Å以下程度であることが好ましく、特に、100Å以上2000Å以下程度であることが好ましい。また、上記のアルミニウムの蒸着薄膜を支持する中間層57の表面は、予め、蒸着膜の密着性を高めるために、例えば、蒸着プライマー等をコーティングすることができ、その他、所要の前処理を任意に施すことが可能である。
【0091】
また、バリア層56は、従来公知の方法により形成することができる透明蒸着層であっても良い。この場合、バリア層56は、無機酸化物の蒸着層からなる透明蒸着層であっても良い。
【0092】
透明蒸着層としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物の蒸着層を使用することができる。特に、チューブ容器用としては、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素の蒸着層を備えることが好ましい。
【0093】
無機酸化物の表記は、例えば、SiOX、AlOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
【0094】
透明蒸着層の厚みとしては、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着層の場合には、厚み50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましいものである。
【0095】
透明蒸着層は、中間層57上に以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着層形成装置を用いて、成形ローラー上において蒸着層を形成することができる。
【0096】
中間層
中間層57は、例えば、第1シーラント層51や第2シーラント層53を支持するとともに積層体50全体の強度を高めるための層である。中間層57を構成する材料としては、例えば上述した基材層52と同様の材料を用いることができる。
【0097】
本実施の形態において、中間層57の厚みは、10μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0098】
次に、
図3(a)-(c)、
図4および
図5を参照して、キャップ付きチューブ容器10Aの製造方法について説明する。
【0099】
まず、基材層52に印刷が施されることにより、基材層52に印刷インキからなる印刷層55が形成される。
【0100】
次に、第1シーラント層51と、印刷層55が形成された基材層52と、第2シーラント層53とが、例えばドライラミネート法により接合される。このようにして、例えば
図2Aに示す積層体50が得られる(
図3(a)参照)。
【0101】
次に、積層体50を丸め、対向する縁部35同士を例えばヒートシールにより接合することにより円筒状に製筒し、胴部チューブ30を作製する。この際、まず、
図3(b)-(c)に示すように、円筒形状の内側シール部材80の外面上に積層体50を巻き付けて、積層体50の対向する縁部35同士を重ね合わせる。この際、積層体50の第2シーラント層53が内側シール部材80の外面と向かい合うように、積層体50を内側シール部材80に巻き付ける。また、積層体50の対向する縁部35同士を重ね合わせる際、積層体50は、図示しないガイドロールにより、下流側(
図3(b)-(c)の左側)に搬送される。なお、内側シール部材80は、金属、例えば、ステンレスにより作製され得る。
【0102】
ここで、本実施の形態では、胴部チューブ30を構成する積層体50の第2シーラント層53が、単層であり得て、第2シーラント層53が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含み得る。また、本実施の形態では、積層体50の第2シーラント層53が複数の層を有し得て、第2シーラント層53の複数の層のうち、内面502を構成する最内層53c、53eが、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された耐摩耗性添加剤とを含み得る。これらの場合、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。このため、積層体50を内側シール部材80に巻き付ける際に、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができる。
【0103】
次に、
図3(c)に示すように、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分に、外側シール部材81を押し当てて、内側シール部材80と外側シール部材81とによって、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分を挟み込む。次いで、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分をヒートシールにより接合する。
【0104】
この場合、積層体50の外面501側に設けられた第1シーラント層51(
図2A参照)と、内面502側に設けられた第2シーラント層53(
図2A参照)とが溶融して接合される。
【0105】
その後、接合された積層体50を個々の胴部チューブ30毎に切断する。このようにして、
図4に示すように、胴部チューブ30が作製される。この際、胴部チューブ30を作製する速度は、300個/min程度の速度であってもよい。
【0106】
次に、圧縮成形法により上述したチューブ容器10を製造する。この際、胴部チューブ30が図示しない金型内に挿着され、金型内に、図示しない樹脂供給装置から溶融した樹脂を供給することにより、胴部チューブ30の一方の開口部50Aに、頭部部材40が圧縮成形される。これにより、胴部チューブ30と、胴部チューブ30の一端31に接合された頭部部材40とを備えるチューブ容器10が得られる(
図5参照)。
【0107】
なお、上述したように、胴部チューブ30と頭部部材40との接合は、頭部部材40を圧縮成形法で成形する際に、熱溶着により行われる。しかしながら、これに限定されることはなく、胴部チューブ30と頭部部材40との接合は、射出成形法により行われても良い。
【0108】
次に、得られたチューブ容器10の頭部部材40にキャップ20が装着され、キャップ20が装着されたキャップ付きチューブ容器10Aが得られる。得られたキャップ付きチューブ容器10Aは、複数まとめてダンボール箱60内に収納される(
図6参照)。その後、複数のキャップ付きチューブ容器10Aは、内容物Cを充填するための工場等へ、ダンボール箱60毎搬送される。
【0109】
ここで、ダンボール箱60内において、複数のキャップ付きチューブ容器10Aは、互いに接触した状態でコンパクトにダンボール箱60内に収納される。
【0110】
この搬送中にキャップ付きチューブ容器10Aの胴部チューブ30同士が互いに擦られる。一方、本実施の形態では、胴部チューブ30を構成する積層体50の第1シーラント層51が単層であり得て、第1シーラント層51が、中密度ポリエチレンと、この中密度ポリエチレン中に含有された耐摩耗性添加剤とを含み得る。また、本実施の形態では、積層体50の第1シーラント層51が複数の層を有し得て、第1シーラント層51の複数の層のうち、外面501を構成する最外層51aが、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された耐摩耗性添加剤とを含み得る。これらの場合、胴部チューブ30の外面側の耐摩耗性を向上させることができる。これにより、キャップ付きチューブ容器10Aの胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制することができる。
【0111】
その後、内容物Cを充填するための工場等へ搬送されたキャップ付きチューブ容器10Aは、胴部チューブ30の開口部50B(
図5参照)から、例えば、練り歯磨き、その他の内容物Cが適量分だけ充填される。そして、開口部50Bを溶着して底シール部34(
図1参照)を形成して、内容物Cを充填包装したキャップ付きチューブ容器10Aが得られる。
【0112】
以上のように本実施の形態によれば、積層体50の第1シーラント層51が単層であり、第1シーラント層51が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された耐摩耗性添加剤とを含んでいる。このように、第1シーラント層51が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第1シーラント層51の密度を高くすることができる。このため、第1シーラント層51の剛性を高くすることができ、第1シーラント層51の滑り性が容易に向上し得る。これにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。また、第1シーラント層51が複数種類の耐摩耗性添加剤を含んでいることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。このように、第1シーラント層51が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいることにより、第1シーラント層51の耐摩耗性を向上させることができる。このため、胴部チューブ30の耐摩耗性を向上させることができる。この結果、胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制することができ、キャップ付きチューブ容器10Aおよびチューブ容器10の外観を維持することができる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、積層体50の第2シーラント層53が単層であり、第2シーラント層53が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいる。このように、第2シーラント層53が中密度ポリエチレンを含んでいることにより、第2シーラント層53の密度を高くすることができる。このため、第2シーラント層53の剛性を高くすることができ、第2シーラント層53の滑り性が容易に向上し得る。これにより、第2シーラント層53に傷が付きにくくすることができる。また、第2シーラント層53が複数種類の耐摩耗性添加剤を含んでいることにより、第2シーラント層53の耐摩耗性を向上させることができる。このように、第2シーラント層53が、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された複数種類の耐摩耗性添加剤とを含んでいることにより、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。このため、金属により作製され得る内側シール部材80に積層体50を巻き付ける際に、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができる。また、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができるため、第2シーラント層53の擦り傷に起因する異物が、内側シール部材80等に付着することを抑制することができる。
【0114】
また、本実施の形態によれば、積層体50の第1シーラント層51が複数の層を有し、第1シーラント層51の複数の層のうち、外面を構成する最外層51aが、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された耐摩耗性添加剤とを含んでいる。この場合においても、胴部チューブ30の耐摩耗性を向上させることができる。このため、胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制することができ、キャップ付きチューブ容器10Aおよびチューブ容器10の外観を維持することができる。
【0115】
また、本実施の形態によれば、積層体50の第2シーラント層53が複数の層を有し、第2シーラント層53の複数の層のうち、内面を構成する最内層53c、53eが、中密度ポリエチレンと、中密度ポリエチレンに添加された耐摩耗性添加剤とを含んでいる。この場合においても、第2シーラント層53の滑り性および耐摩耗性を向上させることができる。このため、金属により作製され得る内側シール部材80に積層体50を巻き付ける際に、第2シーラント層53に擦り傷が発生することを抑制することができる。
【0116】
さらに、本実施の形態によれば、耐摩耗性添加剤は、アクリル樹脂とエルカ酸アミドとを含んでいる。これにより、積層体50によって構成される胴部チューブ30が、より優れた耐摩耗性をもつことができる。このため、胴部チューブ30に擦り傷が発生することをより効果的に抑制することができる。
【実施例0117】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0118】
(実施例1)
まず、
図2Aに示す積層体50を作製した。この際、まず、第1シーラント層51用の樹脂として、中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m
3、MFR2.1g/10分)に、耐摩耗性添加剤としてアクリル樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、UMERIT(登録商標)、27308M)およびエルカ酸アミド(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、UBEポリエチレン(登録商標)、M425)が含有された樹脂を準備した。この際、アクリル樹脂の含有量は、2重量%とし、エルカ酸アミドの含有量は、2重量%とした。
【0119】
次に、この樹脂をインフレーション法により成膜することにより、第1シーラント層51用の樹脂フィルム(厚み100μm)を得た。
【0120】
また、基材層52として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)を準備した。続いて、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、印刷層55を形成した。
【0121】
さらに、第2シーラント層53として、中密度ポリエチレンフィルム(厚み180μm)を準備した。
【0122】
次に、第1シーラント層51用の樹脂フィルム、基材層52用の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第2シーラント層53用の中密度ポリエチレンフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50を作製した。得られた積層体50の層構成は、以下の通りである。
MDPE(アクリル樹脂+エルカ酸アミド)/DL/PET/印/DL/MDPE
上記において、「MDPE」は、中密度ポリエチレンを意味している(以下同様)。また、「DL」は、2液硬化型ウレタン接着剤(主剤:ポリエステル樹脂、硬化剤:脂肪族系ポリイソシアネート、乾燥後質量3.5g/m2)を用いたドライラミネート法による接着層を意味している(以下同様)。また、「PET」は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを意味している(以下同様)。さらに、「印」は印刷層を意味している(以下同様)。
【0123】
(1)ラビング試験(学振試験)
次に、搬送時を想定して積層体50に対してラビング試験を実施した。
【0124】
測定装置は、スガ試験機株式会社のFR-2を用い、JIS-L-0849を満たす測定方法を実施した。
【0125】
この場合、錘は200gのものを使用した。
【0126】
積層体50に対するラビング試験では、下地に短冊状の積層体(30mm)を貼り付け、上地にも短冊状の積層体(30mm)をあてた。
【0127】
このラビング試験を100回繰り返し、積層体50の表面に生じた傷の本数を数えた。
【0128】
(2)輸送試験
次に、輸送試験を実施した。この際、まず、作製した積層体50を用いてキャップ付きチューブ容器10Aを7本準備した。
【0129】
次いで、7本のキャップ付きチューブ容器10Aをダンボール箱内に収納して、キャップ付きチューブ容器10Aが収納されたダンボール箱をトラックで輸送した。この際、トラックの速度は約60km/hとし、輸送距離は約400kmとした。
【0130】
そして、7本のキャップ付きチューブ容器10Aの胴部チューブ30に生じた傷の面積をそれぞれ測定し、測定された面積の平均値を算出した。この際、胴部チューブ30に生じた傷の面積は、胴部チューブ30に生じた傷Sc(
図7参照)の面積の合計とした。ここで、
図7に示すように、胴部チューブ30に生じた傷Scが、キャップ付きチューブ容器10Aを倒立させて(頭部を下にして)水平面に置いた際に、X方向(水平方向)およびX方向に直交するY方向(上下方向)に広がっている場合、当該傷Scの面積は、傷Scを取り囲む四角形Sqの面積とした。具体的には、当該傷Scの面積は、X方向に延びる一対の辺と、Y方向に延びる一対の辺とを有する四角形Sqの面積(すなわち、「傷ScのX方向距離)」×「傷ScのY方向距離」)とした。なお、胴部チューブ30に生じた傷ScがY方向(またはX方向)に平行に延びている場合、傷の面積は、「傷Scの幅(X方向(またはY方向)距離)」×「傷Scの長さ(Y方向(またはX方向)距離)」として算出した。
【0131】
(3)滑り試験
また、作製した積層体50に対して、滑り試験を実施した。この際、一対の積層体50の第1シーラント層51同士を当接させて、静摩擦係数(μs)および動摩擦係数(μd)を測定した。
【0132】
滑り試験において使用した測定装置は、株式会社東洋精機製作所のTR-2を用い、JISK-7125を満たす測定方法を実施した。
【0133】
試験条件は、N=3、100mm/minとした。そして、測定された平均値を、それぞれ静摩擦係数(μs)および動摩擦係数(μd)とした。
【0134】
(実施例2)
図2Bに示す積層体50を作製したこと、以外は実施例1と同様にして、積層体50およびキャップ付きチューブ容器10Aを作製した。また、実施例1と同様にして、ラビング試験、輸送試験および滑り試験を行った。
【0135】
図2Bに示す積層体50を作製する際、まず、第1シーラント層51として、第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cとをこの順に有する樹脂フィルムを準備した。この際、第1樹脂層51a用の樹脂として、中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m
3、MFR2.1g/10分)に、耐摩耗性添加剤としてアクリル樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、UMERIT(登録商標)、27308M)およびエルカ酸アミド(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、UBEポリエチレン(登録商標)、M425)が含有された樹脂を準備した。この際、アクリル樹脂の含有量は、2重量%とし、エルカ酸アミドの含有量は、2重量%とした。
【0136】
また、第2樹脂層51bおよび第3樹脂層51c用の樹脂として、それぞれ中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m3、MFR2.1g/10分)を準備した。
【0137】
次に、これらの樹脂をインフレーション法により成膜することにより、第1シーラント層51用の樹脂フィルム(厚み100μm、各層の厚みの比(第1樹脂層:第2樹脂層:第3樹脂層)=1:3:1)を得た。樹脂フィルムの層構成は、以下の通りである。
(MDPE(アクリル樹脂+エルカ酸アミド)/MDPE/MDPE)
【0138】
また、基材層52として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)を準備した。続いて、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、印刷層55を形成した。
【0139】
さらに、第2シーラント層53として、中密度ポリエチレンフィルム(厚み180μm)を準備した。
【0140】
次に、第1シーラント層51用の樹脂フィルム、基材層52用の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第2シーラント層53用の中密度ポリエチレンフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50を作製した。実施例2による積層体50の層構成は、以下の通りである。
(MDPE(アクリル樹脂+エルカ酸アミド)/MDPE/MDPE)/DL/PET/印/DL/MDPE
【0141】
(比較例1)
第1シーラント層51の第1樹脂層51a、第2樹脂層51bおよび第3樹脂層51c用の樹脂として、それぞれ低密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、エボリュー(登録商標)、SP2320、密度920kg/m3、MFR1.9g/10分)を準備したこと、以外は実施例2と同様にして、積層体およびキャップ付きチューブ容器を作製した。また、実施例1と同様にして、ラビング試験、輸送試験および滑り試験を行った。
【0142】
比較例1による積層体の層構成は、以下の通りである。
(LDPE/LDPE/LDPE)/DL/PET/印/DL/MDPE
上記において、「LDPE」は、低密度ポリエチレンを意味している。
【0143】
(比較例2)
第1シーラント層51の第1樹脂層51a用の樹脂として、耐摩耗性添加剤が含有されていない中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m3、MFR2.1g/10分)を準備したこと、以外は実施例2と同様にして、積層体およびキャップ付きチューブ容器を作製した。また、実施例1と同様にして、ラビング試験、輸送試験および滑り試験を行った。
【0144】
比較例2による積層体の層構成は、以下の通りである。
(MDPE/MDPE/MDPE)/DL/PET/印/DL/MDPE
【0145】
(比較例3)
第1シーラント層51の第1樹脂層51a用の樹脂として、エルカ酸アミドが含有されていない中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m3、MFR2.1g/10分)を準備したこと、以外は実施例2と同様にして、積層体およびキャップ付きチューブ容器を作製した。また、実施例1と同様にして、ラビング試験、輸送試験および滑り試験を行った。
【0146】
比較例3による積層体の層構成は、以下の通りである。
(MDPE(アクリル樹脂)/MDPE/MDPE)/DL/PET/印/DL/MDPE
【0147】
(比較例4)
第1シーラント層51の第1樹脂層51a用の樹脂として、アクリル樹脂が含有されていない中密度ポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製、ウルトゼックス(登録商標)、3520L、密度931kg/m3、MFR2.1g/10分)を準備したこと、以外は実施例2と同様にして、積層体およびキャップ付きチューブ容器を作製した。また、実施例1と同様にして、ラビング試験、輸送試験および滑り試験を行った。
【0148】
比較例4による積層体の層構成は、以下の通りである。
(MDPE(エルカ酸アミド)/MDPE/MDPE)/DL/PET/印/DL/MDPE
【0149】
以上の結果を表2乃至表4に示す。表2は、ラビング試験の結果を示し、表3は、輸送試験の結果を示し、表4は、滑り試験の結果を示す。
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
上記表2において、積層体当たりの傷の本数が20本以上のものはラビング試験の結果を「BAD」とし、傷の本数が10本以上20本未満のものはラビング試験の結果を「NOT GOOD」とし、傷の本数が5本未満のものはラビング試験の結果を「GOOD」とした。
【0154】
また、上記表3において、胴部チューブに生じた傷の面積の平均値が25cm2以上のものは輸送試験の結果を「BAD」とし、傷の面積の平均値が9cm2以上25cm2未満のものは輸送試験の結果を「NOT GOOD」とし、傷の面積の平均値が5cm2以上9cm2未満のものは輸送試験の結果を「GOOD」とし、傷の面積の平均値が5cm2未満のものは輸送試験の結果を「SO GOOD」とし、た。
【0155】
この結果、比較例1乃至比較例4による積層体では、表2に示すように、積層体に10本以上の傷が生じていた。一方、実施例1および実施例2による積層体50では、積層体50に生じた傷の本数が5本未満であった。このように、実施例1および実施例2による積層体50では、積層体50に擦り傷が発生することを抑制することができた。
【0156】
また、比較例1乃至比較例4によるキャップ付きチューブ容器では、表3に示すように、胴部チューブに生じた傷の面積の平均値が25cm2以上であった。一方、実施例1によるキャップ付きチューブ容器10Aでは、胴部チューブ30に生じた傷の面積の平均値が5cm2未満であった。また、実施例2によるキャップ付きチューブ容器10Aでは、胴部チューブ30に生じた傷の面積の平均値が5cm2以上9cm2未満であった。このように、実施例1および実施例2によるキャップ付きチューブ容器10Aでは、胴部チューブ30に擦り傷が発生することを抑制することができた。
【0157】
さらに、表4に示すように、実施例1による積層体50では、静摩擦係数および動摩擦係数が、それぞれ比較例1乃至比較例4による積層体の静摩擦係数および動摩擦係数よりも小さくなっていた。また、実施例2による積層体50では、静摩擦係数および動摩擦係数が、それぞれ比較例1乃至比較例3による積層体の静摩擦係数および動摩擦係数よりも小さくなっており、動摩擦係数が、比較例4による積層体の動摩擦係数よりも小さくなっていた。このように、実施例1および実施例2による積層体50では、第1シーラント層51の滑り性を向上させることができ、積層体50の耐摩耗性を向上させることができた。
【0158】
このように、実施例1および実施例2による積層体50では、第1シーラント層51の滑り性を向上させることができ、積層体50に擦り傷が発生することを抑制することができる。このため、キャップ付きチューブ容器10Aにおいて、胴部チューブ30に擦り傷が発生することを抑制することができた。
【0159】
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。