(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012814
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20240124BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20240124BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240124BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240124BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B65D77/30 C
B65D30/22 A
B65D33/25 A
B65D33/00 C
B65D77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114552
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】391013461
【氏名又は名称】フィルネクスト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088948
【弁理士】
【氏名又は名称】間宮 武雄
(72)【発明者】
【氏名】川村 茉緒
(72)【発明者】
【氏名】徳永 泰亮
(72)【発明者】
【氏名】片田 亮
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA17
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064EA30
3E064FA01
3E064GA04
3E064HF05
3E064HF06
3E064HG10
3E064HN13
3E064HP03
3E064HT01
3E064HU02
3E067AA11
3E067AB16
3E067AB19
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB18A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA23
3E067EB08
3E067EB11
3E067EB17
3E067EE59
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】袋内から内容物を少量ずつ容易に取り出し、袋内から一旦取り出された内容物を簡単にかつ衛生的に袋内に戻し入れることができ、利便性が高く衛生的な包装袋を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム材10により周縁が閉塞された密閉袋形態に形成された包装袋に、チャックテープ20を、それにより袋体内部が上・下2つの区画に仕切られるように取り付け、表・裏袋面のうち片面側を袋体の幅方向に切り裂いて開封するカットテープ26をチャックテープより上縁閉塞部側であってその近傍にかつチャックテープと平行に取り付け、チャックテープで仕切られた上側の区画により、袋体を開封し収容部22を開口させた状態で収容部内から取出し口34を通って小出しされた内容物の一部を一時的に溜めるポケット部24が形成されるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性もしくは可撓性を有する樹脂フィルム材により周縁が閉塞された密閉袋形態に形成され、内容物が充填される収容部を開口および閉塞するチャックテープが表・裏袋面の内側に接着された包装袋において、
周縁が閉塞された袋体内部を上・下2つの区画に仕切るように前記チャックテープを取り付けて、チャックテープで仕切られた下側の区画を内容物の収容部とするとともに、表・裏袋面のうち片面側を袋体の幅方向に切り裂いて袋体を開封するカットテープを、前記チャックテープより上縁閉塞部側であってそのチャックテープの近傍にかつチャックテープと平行に取り付け、
前記カットテープにより表・裏袋面のうち一方の片面側を切り裂いて袋体を開封し他方の片面側を残して片持ち式に開口させたときに、前記チャックテープで仕切られた上側の区画により、チャックテープによって前記収容部を開口させた状態で収容部内から開口部を通って小出しされた内容物の一部を一時的に溜めるポケット部が形成されるようにしたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
平面形状が矩形状であって重ね合わされた表・裏の樹脂フィルム材の、少なくとも上端縁部同士および両側端縁部同士をそれぞれ接着させた袋形態であり、上端縁接着部と各側端縁接着部とがそれぞれ交差する両角部の接着部内縁が弧状となるように樹脂フィルム材を接着し、前記ポケット部の内側底辺の両端部が丸みを帯びるようにした請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記ポケット部に、そのポケット部を有効に機能させるための扶助手段を備えた請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記扶助手段は、前記ポケット部の内面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって形成された凹みである請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記扶助手段は、前記ポケット部の内面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって形成された凸部である請求項3に記載の包装袋。
【請求項6】
前記扶助手段は、前記ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって形成された凸部である請求項3に記載の包装袋。
【請求項7】
前記扶助手段は、前記ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部に別材料のコーティングまたは貼り付けによって施された剛性付与加工である請求項3に記載の包装袋。
【請求項8】
前記扶助手段は、前記ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部にレーザー照射によって施された易折り曲げ加工である請求項3に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂フィルム材により密閉袋形態に形成されチャックテープが取着された包装袋であって、袋の収容部に錠菓(ペレット菓子)、飴、粒状のガムやチョコレート、グミ、ドライフルーツ、ナッツ類、サプリメントなどの内容物が充填され、それらの内容物を小出しすることができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
個別包装されていない錠菓、飴、粒状のガムやチョコレート、グミ、ドライフルーツ、ナッツ類等の粒状の食品やサプリメントなど(以下、これらを「小粒製品」と総称する)の包装袋には、開封用の切れ込み(ノッチ)等を利用し袋面を切り裂いて一旦開封した後にも取出し口を閉塞することができるようにチャックテープが取り付けられたものがある。チャックテープは、雄型線条部材と雌型線条部材とを咬合および離合させることにより、小粒製品が収容された収容部を閉塞および開口するものであり、重なり合った表・裏袋面の内側に熱接着することにより、包装袋の上端部付近の開封切裂き予定線より収容部側であってその近傍に取り付けられている。このようなチャックテープ付きの包装袋において、チャックテープ部分を開口させて収容部内から小粒製品を取り出すときは、包装袋を片方の手で持ち、包装袋を少し傾けて取出し口を斜め下向きとした状態で軽く前後に振るなどする。そして、振り出された小粒製品をもう片方の手の平で受けるようにし、手の平から小粒製品を一粒ずつ摘み上げて口に入れる。この際、一度に必要量以上の小粒製品が振り出されてしまうことが間々あり、その加減が難しい。一旦手の平上に振り出された小粒製品を包装袋に戻し入れるのは、衛生面から心理的抵抗を感じる人も多い。そこで、チャックテープ付きの包装袋から小粒製品を一粒ずつあるいは必要な少量分ずつ取り出しやすくするための工夫が種々なされている。
【0003】
例えば、チャックテープ(ジッパー部)が取り付けられている位置より収容部側に、シール部と非シール部とを有するシール帯をチャックテープと平行に延びるように形成し、あるいは、チャックテープが取り付けられている位置に、シール部と非シール部とを有するシール帯をチャックテープに沿って形成し、包装袋を開封して開口部を形成した後、チャックテープを開放し開口部が下向きとなるように包装袋を逆さまにして収容部内から粒状製品を取り出そうとしたときに、シール帯におけるシール部によって開口部方向への粒状製品の移動が阻止され、粒状製品がシール帯における非シール部を介してのみ開口部方向へ移動することができるようにし、シール帯の非シール部を通過できる量の粒状製品しか一度に取り出すことができないようにした包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、四角形状の袋の1つの角部を切り欠いて周縁に熱接着部が形成され密閉された袋であって、四角形の1個所の角部を切り欠くことにより形成された短辺の熱接着部に沿ってチャックテープ(咬合具)が取り付けられ、短辺熱接着部とチャックテープとの間で袋を切り裂き開封するためのノッチが形成され、咬合具が取り付けられた開口部の狭い袋とし、小さくなった開口部を通して粒状等の内容物の取り出しを容易にした咬合具付き袋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3155961号公報(第5-8頁、
図1-
図4)
【特許文献2】特許第5017753号公報(第3-4頁、
図1-
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された包装袋において、袋内から内容物である小粒製品を取り出すときは、包装袋を逆さまにして開口部が下向きとなった状態で包装袋を上・下あるいは左・右に振って開口部から小粒製品を取り出し、振り出された小粒製品を手の平で受けるようにする。この場合、小粒製品が収容部から開口部方向へ移動するときの通路となるシール帯における非シール部は狭くなっており、また、咬合具が取り付けられた開口部は狭くなっているため、包装袋を振っただけでは小粒製品を取り出しにくいこともある。特に、収容部内の小粒製品が残り少なくなっているときや、小粒製品が包装袋の角部に片寄っているときなどには、袋外面を表・裏から摘むようにして小粒製品を開口部方向へ押し出すようにする必要があり、その手間が煩わしく感じることもある。また、一旦手の平に小粒製品を取り出した後に急な用事などが出来て、衛生面の問題は別にして小粒製品を包装袋に戻し入れる必要がある場合、特許文献1、2に記載された包装袋では、その操作が難しい、といった問題点がある。
【0006】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、袋内から内容物を少量ずつ容易に取り出すことができ、また、袋内から一旦取り出された内容物を簡単にかつ衛生的に袋内に戻し入れることができ、利便性が高く衛生的な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明では、チャックテープ付きの包装袋を開封し開口させたときに、袋体に内容物の一部を一時的に溜めるポケット部が形成されるようにする、といった技術的手段により上記目的を達成した。
すなわち、請求項1に係る発明は、柔軟性もしくは可撓性を有する樹脂フィルム材により周縁が閉塞された密閉袋形態に形成され、内容物が充填される収容部を開口および閉塞するチャックテープが表・裏袋面の内側に接着された包装袋において、周縁が閉塞された袋体内部を上・下2つの区画に仕切るように前記チャックテープを取り付けて、チャックテープで仕切られた下側の区画を内容物の収容部とするとともに、表・裏袋面のうち片面側を袋体の幅方向に切り裂いて袋体を開封するカットテープを、前記チャックテープより上縁閉塞部側であってそのチャックテープの近傍にかつチャックテープと平行に取り付け、前記カットテープにより表・裏袋面のうち一方の片面側を切り裂いて袋体を開封し他方の片面側を残して片持ち式に開口させたときに、前記チャックテープで仕切られた上側の区画により、チャックテープによって前記収容部を開口させた状態で収容部内から開口部を通って小出しされた内容物の一部を一時的に溜めるポケット部が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の包装袋において、平面形状が矩形状であって重ね合わされた表・裏の樹脂フィルム材の、少なくとも上端縁部同士および両側端縁部同士をそれぞれ接着させた袋形態であり、上端縁接着部と各側端縁接着部とがそれぞれ交差する両角部の接着部内縁が弧状となるように樹脂フィルム材を接着し、ポケット部の内側底辺の両端部が丸みを帯びるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の包装袋において、ポケット部に、そのポケット部を有効に機能させるための扶助手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の包装袋において、扶助手段として、ポケット部の内面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって凹みを形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の包装袋において、扶助手段として、ポケット部の内面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって凸部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項3に記載の包装袋において、扶助手段として、ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部に加熱成型によって凸部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項3に記載の包装袋において、扶助手段として、ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部に別材料のコーティングまたは貼り付けによって剛性付与加工を施したことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項3に記載の包装袋において、扶助手段として、ポケット部の外面側における少なくとも一方の平面部にレーザー照射によって易折り曲げ加工を施したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明の包装袋においては、表・裏袋面のうち片面側をカットテープで袋体の幅方向に切り裂くことにより袋体が開封される。開封後に収容部内から内容物を取り出すときは、チャックテープを開放して収容部を開口させた後、開口した側の袋面が上向きとなるように袋体を寝かせた状態にして、片方の手で袋体のチャックテープの取付け部分の両端部を両側から軽く?み持って袋面を少し膨らませ、収容部の取出し口およびポケット部の取入れ口を拡げる。そして、ポケット部側が収容部側に対して低い位置となるように袋体を少し傾け、袋体を前・後に軽く振る。これにより、収容部内の内容物の一部が取出し口から振り出され、ポケット部内へ取入れ口を通って移動する。このようにしてポケット部内に内容物の一部が取り分けられると、袋体のチャックテープの取付け部分を?み持っていた片方の手の位置を少しずらして、チャックテープの復元力で収容部の取出し口が閉じられた状態にした後、あるいは、チャックテープにより収容部の取出し口を閉塞した後、ポケット部の取入れ口が上向きとなるように袋体を起こし、袋体を開封位置付近で少し後ろに折り曲げる。そして、ポケット部から内容物を一粒ずつ摘み出して口に入れる。ポケット部内に残った内容物を収容部内に戻し入れるときは、チャックテープにより収容部の取出し口が閉塞されておればチャックテープを開放して収容部を開口させてから、開口した側の袋面が上向きとなるように袋体を寝かせた状態にして、片方の手で袋体のチャックテープの取付け部分の両端部を両側から軽く?み持って袋面を少し膨らませ、収容部の取出し口および袋体上部に形成されたポケット部の取入れ口を拡げる。そして、収容部側がポケット部側に対して低い位置となるように袋体を少し傾け、袋体を前・後に軽く振る。これにより、ポケット部内に残った内容物が取入れ口から収容部内へ取出し口を通って移動する。ポケット部内の内容物が収容部内へ回収されると、チャックテープにより収容部の取出し口を閉塞する。
【0016】
したがって、この発明に係る包装袋を使用すると、袋内から内容物を少量ずつ容易に取り出すことができ、また、袋内から一旦取り出された内容物を簡単にかつ衛生的に袋内に戻し入れることができ、この発明により、利便性が高く衛生的な包装袋を提供することができる。
【0017】
請求項2に係る発明の包装袋では、ポケット部の内側底辺の両端部が丸みを帯びるように形成されているので、ポケット部内底の角部に内容物が入り込む、といったことが起こらない。したがって、ポケット部に取り分けられた内容物を残らず容易に摘み出すことができ、また、ポケット部内に残った内容物を残すことなく容易に収容部内に戻し入れることができるので、請求項1に係る発明の上記作用効果が確実に奏される。
【0018】
請求項3に係る発明の包装袋では、扶助手段の作用によりポケット部が有効に機能することになるので、請求項1に係る発明の上記作用効果が確実に奏される。
【0019】
請求項4ないし請求項8に係る各発明の包装袋では、ポケット部の内方空間および取入れ口が拡がりやすくなり、また、ポケット部の形状の保持性が高まることになり、これによってポケット部の機能がより確実に発揮されるので、包装袋の利便性がより向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施形態の1例を示す包装袋の平面図である。
【
図2】
図1に示した包装袋を開封し収容部を開口させた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した実施形態の変形例を示す包装袋の平面図である。
【
図4】この発明の別の実施形態を示し、包装袋を開封し収容部を開口させた状態を示す斜視図である。
【
図5】この発明のさらに別の実施形態を示す包装袋の平面図である。
【
図6】この発明のさらに別の実施形態を示す包装袋の平面図である。
【
図7】この発明のさらに別の実施形態を示す包装袋の平面図である。
【
図8】この発明のさらに別の実施形態を示す包装袋の平面図である。
【
図9】この発明の別の実施形態を示し、
図1に示した包装袋とは異なる袋形態を有する包装袋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示した包装袋は、柔軟性もしくは可撓性を有する樹脂フィルム材10を表・裏2枚、互いに重ね合わせ、その重なり合った4辺の端縁部同士をそれぞれ細帯状に熱接着し、上端縁熱接着部12と左・右の側端縁熱接着部14、16と下端縁熱接着部18とで囲まれた密閉袋形態に形成されている。
【0022】
樹脂フィルム材10の材質は特に限定されず、包装袋の素材として一般的に使用されているものを適宜選択して用いればよい。基材層に熱接着層を積層した構成の樹脂フィルム材を使用する場合には、包装袋を形成したときに熱接着層が袋の内面側となるように2枚の樹脂フィルム材10を重ね合わせる。この場合における基材層の素材としては、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体の二軸延伸フィルムなどが使用され、また、それらのフィルムにアルミナ、シリカ、アルミナ・シリカ等を蒸着あるいはコーティングしたもの、共押出により複数の材質で多層に構成された二軸延伸フィルムなどが使用される。また、内容物や用途に応じて複数の基材層を積層したものを使用するようにしてもよい。さらにまた、複数の基材層を積層した樹脂フィルムを使用する場合に、複数の基材層のうちの1つの層をアルミ箔としてもよく、この場合には、後述するポケット部の内方空間および取入れ口を拡げたときの形状保持性を高めることができる。基材層に積層する熱接着剤層の材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等の熱可塑性合成樹脂などが使用され、また、それらの合成樹脂にエラストマーや各種添加剤を配合したもの、共押出により複数の材質で多層に構成された無延伸フィルムなどが使用される。その他、熱接着層の材料として、シール剤や粘着剤などの塗工剤も使用することができる。また、共押出により複数の材質で多層に構成された無延伸フィルムにおいて、基材層を含む構成の場合は、その単体フィルムで樹脂フィル材10を構成してもよい。基材層の積層方法や基材層と熱接着層との積層方法は特に限定されないが、例えば、一般的な積層方法であるドライラミネート法や押出しラミネート法などが用いられる。
【0023】
この包装袋には、それを開封した後に雄型線条部材と雌型線条部材とを咬合および離合させることにより内容物の収容部を繰り返し閉塞および開口できるようにするため、チャックテープ20が取着されている。チャックテープ20は、四周が閉塞された包装袋の内部を上・下2つの区画に仕切るように、上端縁熱接着部12(上辺閉塞部)と平行にその上端縁熱接着部12から適当な間隔を空けて取り付けられている。そして、チャックテープ20と左・右の側端縁熱接着部14、16と下端縁熱接着部18とで囲まれた下側の区画が、内容物である錠菓、飴、粒状のガムやチョコレート、グミ、ドライフルーツ、ナッツ類等の粒状の食品やサプリメントなどの小粒製品を収容する収容部22となり、その収容部22より上側の区画の、上端縁熱接着部12と左・右の側端縁熱接着部14、16とで三方が囲まれ一方が開口した内方空間が、後述するポケット部24(
図2参照)となる。チャックテープ20の材質は特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を用いて形成されている。チャックテープ20は、2枚の樹脂フィルム材10を重ね合わせ周縁部を熱接着して包装袋を形成するときに、2枚の樹脂フィルム材10間に装入され、チャックテープ20を構成する雄型線条部材を有するテープ部と雌型線条部材を有するテープ部を表・裏の各樹脂フィルム材10の内面側にそれぞれを熱接着することにより取り付けられる。
【0024】
また、この包装袋には、表・裏袋面のうち片面側(図示例では表側袋面)を包装袋の幅方向に切り裂いて包装袋を開封するためのカットテープ26が取着されている。カットテープ26は、チャックテープ20より上端縁熱接着部12側であってその近傍にかつチャックテープ20と平行に取り付けられている。カットテープ26は、上・下一対の帯状基部28と細帯状誘導部30とから構成され、表側袋面をなす樹脂フィルム材10の内面側に熱接着されている。細帯状誘導部30の一端側に連接してタブ32が袋面から露出するように設けられており、このタブ32を指で摘んで包装袋の幅方向へ引っ張ることにより、袋面が切り裂かれるように構成されている。カットテープ26の帯状基部28および細帯状誘導部30をそれぞれ形成する材料は、互いに非相溶性である樹脂材料の組合せの中から選択される。非相溶性の樹脂材料としては、低密度ポリエチレン系樹脂とランダムポリプロピレン系樹脂との組合せが1例として選ばれる。
【0025】
なお、包装袋を構成する樹脂フィルム材10の周縁部同士を接着し、チャックテープ20を樹脂フィルム材10の内面側に接着し、カットテープ26を樹脂フィルム材10の内面側に接着する方法としては、熱接着(ヒートシール)する方法が一般的であるが、樹脂フィルム材やテープを接着することができれば接着方法は特に限定されない。
【0026】
上記構成の包装袋において、
図2に示すように、カットテープ26により表側袋面を切り裂いて包装袋を開封し裏側袋面を残して片持ち式に開口させたときに、収容部22の上側にポケット部24が形成される。この袋上部に形成されるポケット部24が、チャックテープ20を開放して収容部22を開口させた状態で収容部22内から小出しされた小粒製品を一時的に溜めるように機能する。
【0027】
次に、この包装袋の収容部22に小粒製品が充填され密封された製品の使用方法について説明する。
まず、カットテープ26のタブ32を指で摘んで包装袋の幅方向へ引っ張ることにより、表側袋面を切り裂いて包装袋を開封してから、
図2に示すように、チャックテープ20を開放して収容部22を開口させる。次に、開口した表側袋面を上向きにして包装袋を寝かせた状態で、片方の手でチャックテープ20の取付け部分の両端部を両側から?み持ち、その部分をチャックテープ20の弾性力に抗し両側から軽く押してチャックテープ20を撓ませることにより、袋面を少し膨らませ、収容部22の取出し口34およびポケット部24の取入れ口36を十分に拡げる。この状態で、ポケット部24側が収容部22側に対して低い位置となるように包装袋を少し傾け、包装袋を前・後に軽く振る。これにより、収容部22内の小粒製品の一部が取出し口34から振り出され、ポケット部24内へ取入れ口36を通って転がり入る。
【0028】
ポケット部24内に適当量の小粒製品が取り分けられると、チャックテープ20の取付け部分を?み持っていた片方の手の位置を少しずらして、チャックテープ20の弾性力で収容部22の取出し口34が閉じられた状態にした後、あるいは、チャックテープ20により収容部22の取出し口34を閉塞した後、ポケット部24の取入れ口36が上向きとなるように包装袋を起こし、包装袋の上部側を開封位置付近で少し後ろに折り曲げる。この状態にして、ポケット部24から小粒製品を一粒ずつ摘み出して口に入れる。また、ポケット部24内に残った小粒製品を収容部22内に戻し入れるときは、チャックテープ20により収容部22の取出し口34が閉塞されておればチャックテープ20を開放して収容部22を開口させてから、開口した表側袋面が上向きとなるように包装袋を寝かせた状態で、片方の手でチャックテープ20の取付け部分の両端部を両側から?み持ち、その部分をチャックテープ20の弾性力に抗し両側から軽く押してチャックテープ20を撓ませることにより、袋面を少し膨らませ、収容部22の取出し口34およびポケット部24の取入れ口36を十分に拡げる。この状態で、収容部22側がポケット部24側に対して低い位置となるように包装袋を少し傾け、包装袋を前・後に軽く振る。これにより、ポケット部24内に残っていた小粒製品が取入れ口36から収容部22内へ取出し口34を通って転がり入る。ポケット部24内の小粒製品が収容部22内へ回収されると、チャックテープ20により収容部22の取出し口34を閉塞する。
【0029】
次に、
図3に示した包装袋は、
図1に示した包装袋において、上端縁熱接着部12と左・右の各側端縁熱接着部14、16とがそれぞれ交差する両角部の熱接着部38、40の内縁が弧状となるように、重ね合わされた表・裏の樹脂フィルム材10を熱接着することにより、袋上部に形成されるポケット部24の内側底辺の両端部が丸みを帯びるようにしたものである。
図3において(後述する
図4ないし
図9においても)、
図1で使用した符号と同一の符号を付した部分については、
図1に関して説明した各部分と同一の構成・機能を有するものでありその説明を省略する。
【0030】
図3に示した包装袋のように、ポケット部24の内側底辺の両端部が丸みを帯びるように形成することにより、ポケット部24内底の角部に小粒製品が入り込んでそれを取り出しにくくなる、といったことがなくなる。このため、ポケット部24に取り分けられた小粒製品を残らず容易に摘み出して食することができ、また、ポケット部24内に残った小粒製品を残すことなく容易に収容部22内に戻し入れることができる。
【0031】
次に、
図4ないし
図8により、包装袋の上部に形成されるポケット部24を有効に機能させるための扶助手段を備えた実施形態について説明する。
図4に示した包装袋には、ポケット部24の内面側における一方の平面部に加熱成型によって凹み42が形成されている。凹み42は、ポケット部24の内面側における両方の平面部に形成するようにしてもよい。ポケット部24内面側の平面部に凹み42が形成されていることにより、包装袋を開封しチャックテープ20を開放して開口させたときに、ポケット部24の内面側平面部同士がくっつくことが防止され、チャックテープ20の取付け部分の両端部を挟持してチャックテープ20を撓ませたときに、ポケット部24の内方空間および取入れ口36が拡がりやすくなる。また、ポケット部24の形状の保持性が高まるので、ポケット部24から小粒製品を一粒ずつ摘み出しやくなる。さらに、ポケット部24の内部において小粒製品が隅部に片寄らず凹み42部分に集まるので、小粒製品を取り出しやくなる。
【0032】
図5に示した包装袋には、ポケット部24の内面側における一方の平面部に加熱成型によって一対の線分状凸部44が形成されている。一対の線分状凸部44は、上端縁熱接着部12に対してハの字形に設けられている。線分状凸部44は、ポケット部24の内面側における両方の平面部に形成するようにしてもよい。ポケット部24内面側の平面部に線分状凸部44が形成されていることにより、
図4に示した包装袋と同様に、ポケット部24の内方空間および取入れ口36が拡がりやすくなり、また、ポケット部24の形状の保持性が高まるので、ポケット部24から小粒製品を一粒ずつ摘み出しやくなり、さらに、ポケット部24の内部において小粒製品が一対の線分状凸部44間に集まるので、小粒製品を取り出しやくなる。
【0033】
図6に示した包装袋には、ポケット部24の外面側における一方の平面部に加熱成型によって線分状凸部46が形成されている。線分状凸部46は、包装袋の幅方向における中央に、上端縁熱接着部12に対して直交するように設けられている。線分状凸部46は、ポケット部24の外面側における両方の平面部に形成するようにしてもよい。また、ポケット部24外面側の平面部に別材料をコーティングしもしくは別材料を貼り付けて線分状凸部を形設するようにしてもよい。このような加工により、ポケット部24の外側袋面において、線分状凸部の形設部分に剛性が付与されることになる。また、凸部の形状は線分状に限らない。例えば、
図7に示すように、ポケット部24の外面側平面部に、加熱成型により、あるいは、別材料のコーティングもしくは貼り付けによる剛性付与加工により、台形状の凸部48を形設するようにしてもよい。ポケット部24外面側の平面部に線分状凸部46や台形状凸部48が形成されていることにより、
図4に示した包装袋と同様に、ポケット部24の内方空間および取入れ口36が拡がりやすくなる。
【0034】
また、
図8に示した包装袋には、ポケット部24の外面側における一方の平面部にレーザー照射によって直線状に易折り曲げ加工が施されている。線状加工部分50は、包装袋の幅方向における中央に、上端縁熱接着部12に対して直交するように設けられている。易折り曲げ加工は、ポケット部24の外面側における両方の平面部に施すようにしてもよい。ポケット部24外面側の平面部に易折り曲げ加工が施されていることにより、ポケット部24の外側袋面が線状加工部分50で折れ曲がりやすくなるため、ポケット部24の内方空間および取入れ口36が拡がりやすくなる。
【0035】
上記した各実施形態に係る包装袋はいずれも、2枚の樹脂フィルム材10を重ね合わせ周縁部を熱接着して密閉袋形態に形成されたものであるが、包装袋の作製方法および形態は図示例のものに限定されない。例えば、
図9に示すようなスタンディングパウチ形態の包装袋としてもよい。この包装袋は、表・裏2枚の胴部樹脂フィルム材52を重ね合わせ、それら2枚の胴部樹脂フィルム材52の下部に、底部樹脂フィルム材54を二つ折りにして折込み部が内方側となるように介挿し、2枚の胴部樹脂フィルム材52の上端縁部同士および両側端縁部同士、ならびに、各胴部樹脂フィルム材の下端縁部と二つ折りの底部樹脂フィルム材の各下端縁部同士をそれぞれ熱接着し、上端縁熱接着部56と左・右の側端縁熱接着部58、60と表・裏の下端縁熱接着部62とで囲まれた密閉袋形態に形成され、表・裏の胴部樹脂フィルム材52と底部樹脂フィルム材54とチャックテープ20とで囲まれた収容部64を有している。この他、1枚の樹脂フィルム材を折り重ね、折り目側を底部として上端縁部同士および両側端縁部同士を熱接着して密閉袋形態にしたものや、1枚の樹脂フィルム材を筒状として背面側の端縁部同士ならびに上端縁部同士および下端縁部同士をそれぞれ熱接着して密閉袋形態にした合掌袋、両側部にマチを有するガゼット袋などでもよい。また、上記した実施形態では、包装袋の平面形状を矩形状としているが、包装袋の平面形状は、六角形等の多角形や楕円形、長円形、卵形などでもよく、特に限定されない。
【0036】
次に、この発明に係る包装袋の機能に関して行った試験例およびその評価の結果について説明する。
試験のために、
図1に示した形態の包装袋を作製した。包装袋の大きさは、縦および横の寸法を10cm×8cmとし、
図1および
図2中に示すポケット部24の深さ寸法d、すなわち、上端縁熱接着部14の内縁とカットテープ26(の細帯状誘導部30)との距離dを20mm、10mm、7mm、6mm、5mmおよび4mmと変えた包装袋1~6を使用した。収容部22内に収容される内容物として、直径3mmで重さ0.02gの球体(内容物A)、直径7mm、厚み約3mmで重さ0.14gのコイン形状体(内容物B)、直径11mm、厚み約6.5mmで重さ0.76gのコイン形状体(内容物C)および長軸約16mm、短軸約10mmで重さ1.37gの楕円球体(内容物D)を用意した。試験は、包装袋1~6の収容部22に内容物A~Dを5個ずつ入れ、上記したような実際の使用方法に即し、包装袋を開封しチャックテープ20を開放して開口させた状態で、収容部22内から5個の内容物をポケット部24内へ移動させた後、ポケット部24内から内容物を収容部22内へ戻し入れる、といった操作を10回繰り返すといった方法により行った。評価は、内容物がポケット部24からこぼれ落ちないかどうかを調べることによって行った。その結果を表1に示す。表中において、「○」は、10回の操作中に1回もポケット部24から内容物がこぼれ落ちなかったことを示し、「△」は、10回の操作中に6回以上、ポケット部24から内容物がこぼれ落ちなかったことを示し、「×」は、10回の操作中に5回以上、ポケット部24から内容物がこぼれ落ちたことを示す。()内の数字は、ポケット部24から内容物がこぼれ落ちた回数を示す。
【0037】
【0038】
表1に示した結果より、内容物の形状や大きさ、重量などに応じてポケット部24の深さ寸法dを適切に設定することにより、ポケット部24として安定した機能が得られることが分かり、この発明に係る包装袋に充填される小粒製品として普通に考え得る形状、大きさおよび重量を有する内容物A~Dについて言えば、ポケット部24の深さ寸法dを6mm以上とすることにより、ポケット部24としての機能が十分に果たされる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、袋の収容部に錠菓、飴、粒状のガムやチョコレート、グミ、ドライフルーツ、ナッツ類、サプリメントなどが充填される包装袋を製造する分野や製菓分野などにおいて有効に利用される。
【符号の説明】
【0040】
10、52、54 樹脂フィルム材
12、56 上端縁熱接着部
14、16、58、60 側端縁熱接着部
18、62 下端縁熱接着部
20 チャックテープ
22、64 収容部
24 ポケット部
26 カットテープ
34 収容部の取出し口
36 ポケット部の取入れ口
38、40 上端縁熱接着部と側端縁熱接着部とが交差する角部の熱接着部
42 ポケット部内面側平面部の凹み
44 ポケット部内面側平面部の線分状凸部
46 ポケット部外面側平面部の線分状凸部
48 ポケット部外面側平面部の台形状凸部
50 ポケット部外面側平面部の易折り曲げ線状加工部分