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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128159
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】マイクロフォン構造体
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240912BHJP
   H04R 17/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H04R1/02 106
H04R17/02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114253
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2021094414の分割
【原出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 和明
(72)【発明者】
【氏名】川合 窒登
(72)【発明者】
【氏名】小山 友二
(57)【要約】
【課題】新規なマイクロフォン構造体を提供する。
【解決手段】音圧に応じた検出信号を出力するマイクロフォン100と、マイクロフォン100が搭載される基板200を備え、基板200は、マイクロフォン100が搭載される搭載部210、およびケース300に固定される接続部220を有すると共に、搭載部と接続部との間に梁部230を構成するスリット240が形成されており、搭載部210は、梁部230を介して接続部220に支持されるようにする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォン構造体であって、
音圧に応じた検出信号を出力するマイクロフォン(100)と、
前記マイクロフォンが搭載される基板(200)を備え、
前記基板は、前記マイクロフォンが搭載される搭載部(210)、およびケース(300)に固定される接続部(220)を有すると共に、前記搭載部と前記接続部との間に梁部(230)を構成するスリット(240)が形成されており、
前記搭載部は、前記梁部を介して前記接続部に支持されているマイクロフォン構造体。
【請求項2】
マイクロフォン構造体であって、
音圧に応じた検出信号を出力する圧電素子(100)と、
前記圧電素子が搭載される基板(200)を備え、
前記基板は、前記圧電素子が搭載される搭載部(210)、およびケース(300)に固定される接続部(220)を有すると共に、前記搭載部と前記接続部との間に梁部(230)を構成するスリット(240)が形成されており、
前記搭載部は、前記梁部を介して前記接続部に支持されているマイクロフォン構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォン構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、音圧に応じた検出信号を出力するマイクロフォンを複数備えるマイクロフォン装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、このマイクロフォン装置では、板状の被搭載部材上に複数のマイクロフォンが所定間隔に配置されることで構成されている。つまり、このマイクロフォン装置は、各マイクロフォンが同一平面上に配置されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-6353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、新規なマイクロフォン構造体を構成することを検討している。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、新規なマイクロフォン構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1では、マイクロフォン構造体であって、音圧に応じた検出信号を出力するマイクロフォン(100)と、マイクロフォンが搭載される基板(200)を備え、基板は、マイクロフォンが搭載される搭載部(210)、およびケース(300)に固定される接続部(220)を有すると共に、搭載部と接続部との間に梁部(230)を構成するスリット(240)が形成されており、搭載部は、梁部を介して接続部に支持されている。
請求項2では、マイクロフォン構造体であって、音圧に応じた検出信号を出力する圧電素子(100)と、圧電素子が搭載される基板(200)を備え、基板は、圧電素子が搭載される搭載部(210)、およびケース(300)に固定される接続部(220)を有すると共に、搭載部と接続部との間に梁部(230)を構成するスリット(240)が形成されており、搭載部は、梁部を介して接続部に支持されている。
【0007】
これによれば、搭載部、接続部、梁部を有する基板を備えた新規なマイクロフォン構造体とすることができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるマイクロフォン装置の模式図である。
図2】マイクロフォン構造体の断面図である。
図3】圧電素子の断面図である。
図4】圧電素子の平面図である。
図5】連結部材の断面図である。
図6】マイクロフォン構造体と連結部材との固定状態を示す断面図である。
図7】第2実施形態におけるプリント基板の形状を示す平面図である。
図8】第3実施形態におけるマイクロフォン装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態のマイクロフォン装置は、例えば、スマートフォンやAI(artificial intelligenceの略)スピーカ等に搭載されて利用されると好適である。また、本実施形態のマイクロフォン装置は、例えば、製造装置等の異常時に発せられる音圧を検出して異常診断を行うのに利用されると好適である。
【0012】
マイクロフォン装置は、図1に示されるように、複数のマイクロフォン構造体10と、複数の連結部材20と、制御部30とを備え、マイクロフォン構造体10が連結部材20に接続されて所定箇所に配置されることで構成されたマイクロフォンアレイである。本実施形態では、マイクロフォン構造体10および連結部材20は、それぞれ4つ備えられ、マイクロフォン構造体10が正四面体の頂点に位置するように配置されている。そして、各マイクロフォン構造体10は、制御部30に配線部40を介してそれぞれ接続されている。
【0013】
まず、本実施形態のマイクロフォン構造体10の構成について、図2を参照しつつ説明する。本実施形態のマイクロフォン構造体10は、図2に示されるように、圧電素子100と、圧電素子100を搭載するプリント基板200と、圧電素子100およびプリント基板200を収容するケース300とを備えている。なお、本実施形態では、圧電素子100がマイクロフォンに相当し、プリント基板200が被実装基板に相当している。
【0014】
圧電素子100は、図3および図4に示されるように、支持体110と、振動部120とを備え、平面形状が矩形状とされている。支持体110は、一面111aおよび他面111bを有する支持基板111と、支持基板111の一面111a上に形成された絶縁膜112とを有している。なお、支持基板111は、例えば、シリコン基板等で構成され、絶縁膜112は、酸化膜等で構成されている。
【0015】
振動部120は、支持体110上に配置されている。そして、支持体110には、振動部120における内縁側を浮遊させるための凹部110aが形成されている。このため、振動部120は、支持体110上に配置された支持領域121aと、支持領域121aと繋がっていると共に凹部110a上で浮遊する浮遊領域121bとを有する構成となっている。なお、本実施形態の凹部110aは、振動部120側の開口端の形状が平面矩形状とされている。したがって、浮遊領域121bの全体は、平面矩形状とされている。
【0016】
浮遊領域121bには、当該浮遊領域121bを厚さ方向に貫通するスリット130が形成されている。本実施形態のスリット130は、浮遊領域121bを4分割するように形成されている。詳しくは、スリット130は、浮遊領域121bの中心部C1を通り、浮遊領域121bの相対する角部に向かって延設されるように、2本形成されている。言い換えると、スリット130は、平面矩形状とされた浮遊領域121bの各角部から中心部C1に向かって延設されると共に、中心部C1にて各スリット130が交差するように形成されている。これにより、浮遊領域121bは、略平面三角形状とされた4つの振動領域122に分離されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、各振動領域122同士の間隔(すなわち、スリット130の幅)が1μm程度とされている。
【0017】
そして、各振動領域122は、支持領域121a側の端部が固定端とされ、支持領域121aと反対側の先端部が自由端とされたカンチレバーとされている。以下では、振動領域122における支持体110と反対側の面を振動領域122の一面122aとし、振動領域122における支持体110側の面を振動領域122の他面122bとして説明する。
【0018】
振動部120は、圧電膜140および圧電膜140と接続される電極膜150を有する構成とされている。具体的には、圧電膜140は、下層圧電膜141と、下層圧電膜141上に積層される上層圧電膜142とを有している。なお、下層圧電膜141および上層圧電膜142は、窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)や、窒化アルミニウム(AlN)等の鉛フリーの圧電セラミックス等を用いて構成されている。
【0019】
電極膜150は、圧電膜140と接続されるように振動領域122の所定箇所に形成されており、モリブデン、銅、プラチナ、白金、チタン等を用いて構成されている。本実施形態では、電極膜150として、下層圧電膜141の下方に形成された下層電極膜151と、下層圧電膜141と上層圧電膜142との間に形成された中間電極膜152と、上層圧電膜142の上方に形成された上層電極膜153とが形成されている。なお、下層電極膜151と中間電極膜152とは、下層圧電膜141を挟んで対向するように配置されている。中間電極膜152と上層電極膜153とは、上層圧電膜142を挟んで対向するように配置されている。そして、下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、振動領域122の一面122aに対する法線方向において(以下では、単に法線方向ともいう)、同様の形状とされている。なお、振動領域122の一面122aに対する法線方向においてとは、言い換えると、振動領域122の一面122aに対する法線方向から視たときということもできる。
【0020】
ここで、上記のように振動領域122が片持ち支持されている場合、振動領域122(すなわち、圧電膜140)が振動した際に発生する応力は、振動領域122が支持されている固定端側が自由端側より大きくなり易い。このため、振動領域122は、応力が大きくなり易い第1領域R1と、応力が小さくなり易い第2領域R2とに分けられている。そして、本実施形態では、第1領域R1および第2領域R2のそれぞれに電極膜150が形成されている。なお、第1領域R1に形成される電極膜150と第2領域R2に形成される電極膜150とは、互いに絶縁された状態となっている。
【0021】
そして、第1領域R1に形成されている電極膜150は、特に図示しないが、支持領域121aに形成された配線等を介し、図示しない電極部と接続されている。本実施形態では、各振動領域122の第1領域R1における電荷の変化を1つの検出信号として出力するように、各振動領域122におけるそれぞれの下層電極膜151、中間電極膜152、上層電極膜153が電極部と接続されている。
【0022】
また、第2領域R2に形成された下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、各電極部と電気的に接続されておらず、フローティング状態となっている。このため、第2領域R2に形成される下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、必ずしも必要ではないが、本実施形態では、下層圧電膜141および上層圧電膜142のうちの第2領域R2に位置する部分を保護するために設けてある。
【0023】
なお、第1領域R1および第2領域R2に形成されている下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、それぞれスリット130に達しないように形成されている。つまり、下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、振動領域122におけるスリット130から露出する側面よりも内側で終端するように形成されている。言い換えると、下層電極膜151、中間電極膜152、および上層電極膜153は、振動領域122の一面122aに対する法線方向において、スリット130よりも内側に配置されている。
【0024】
さらに、本実施形態の振動部120は、下層圧電膜141および下層電極膜151が配置される下地膜160を有している。つまり、支持体110上には、下地膜160を介して圧電膜140および電極膜150が配置されている。そして、本実施形態では、各振動領域122の他面122bが下地膜160で構成されている。
【0025】
下地膜160は、必ずしも必要なものではないが、下層圧電膜141等を成膜する際の結晶成長をし易くするために備えられている。なお、本実施形態では、下地膜160は窒化アルミニウム等で構成される。また、圧電膜140は、厚さが1μm程度とされており、下地膜160は、厚さが数十nm程度とされている。つまり、下地膜160は、圧電膜140に対して極めて薄くされている。
【0026】
以上が本実施形態における圧電素子100の構成である。このような圧電素子100は、各振動領域122に音圧が印加されると、各振動領域122が振動する。この場合、例えば、各振動領域122の自由端側が上方に変位した場合、下層圧電膜141には引張応力が発生する共に上層圧電膜142には圧縮応力が発生し、下層圧電膜141および上層圧電膜142の電荷が変化する。したがって、下層圧電膜141および上層圧電膜142の電荷に基づいて振動領域122に印加された音圧が検出される。
【0027】
この際、振動領域122(すなわち、圧電膜140)に発生する応力は、自由端側では応力が解放されるため、固定端側の方が自由端側より大きくなる。つまり、自由端側は、電荷の発生が少なくなり、信号とノイズの比であるSN比が小さくなり易い。このため、本実施形態の圧電素子100では、上記のように、各振動領域122が、応力が大きくなり易い第1領域R1と、応力が小さくなり易い第2領域R2とに分けられている。そして、圧電素子100では、第1領域R1に配置されている下層電極膜151、上層電極膜153、中間電極膜152から第1領域R1に位置する下層圧電膜141および上層圧電膜142に発生する電荷が取り出されるようにしている。これにより、ノイズの影響が大きくなることを抑制できる。
【0028】
プリント基板200は、図2に示されるように、一面200aおよび他面200bを有し、図示しない配線部やスルーホール電極等が適宜形成されて構成されている。また、プリント基板200には、図2とは別断面において、回路基板や図示しないコンデンサ等の電子部品等が必要に応じて搭載されている。
【0029】
そして、圧電素子100は、支持基板111の他面111bが接着剤等の接合部材400を介してプリント基板200の一面200aに搭載され、図示しないボンディングワイヤ等を介して回路基板やプリント基板と接続される。
【0030】
また、プリント基板200には、振動領域122と対向する部分に、貫通孔201が形成されている。本実施形態では、貫通孔201は、略円筒状とされており、法線方向において、中心軸が浮遊領域121bの中心部C1と一致するように形成されている。
【0031】
ケース300は、内部に圧電素子100およびプリント基板200を収容するものであり、本実施形態では、内部に球形状の空洞部300aを有する球体とされている。具体的には、本実施形態のケース300は、樹脂材料で構成され、半球状とされた第1部材301および第2部材302を有している。そして、ケース300は、第1部材301における開口部側の端部と第2部材302における開口部側の端部とが、図示しない接着剤等の接合部材を介して一体化されることで構成されている。
【0032】
また、ケース300には、空洞部300a側の内面にプリント基板200が搭載される支持部310が備えられている。本実施形態の支持部310は、第1部材301の内面に円環状に形状されており、特に図示しないが、プリント基板200と電気的に接続される配線やスルーホール電極等が形成されている。そして、プリント基板200は、外縁部が支持部310に接合部材320を介して固定されている。
【0033】
なお、支持部310に形成されたスルーホール電極や配線は、ケース300の外面側に形成された図示しない電極部と接続されている。そして、電極部は、図1に示されるように、配線部40を介して制御部30と接続される。これにより、圧電素子100と制御部30との接続が図れるようになっている。
【0034】
また、ケース300には、振動領域122と対向する部分に、連通孔300bが形成されている。本実施形態の連通孔300bは、第1部材301に形成されて略円筒状とされており、法線方向において、中心軸が浮遊領域121bの中心部C1と一致するように形成されている。これにより、マイクロフォン構造体10は、外部空間から連通孔300bを介して空洞部300a内に音圧が導入され、空洞部300aに導入された音圧がプリント基板200の貫通孔201を介して振動領域122に印加される。そして、マイクロフォン構造体10は、振動領域122から音圧に応じた検出信号を出力する。
【0035】
また、ケース300には、外面にケース側固定部が形成されている。本実施形態では、ケース側固定部として、磁性材料で構成されるケース側磁力部330が形成されており、ケース側磁力部330は、ケース300における外面の全体に形成されている。言い換えると、ケース側磁力部330は、ケース300における外面の複数個所に形成されている。
【0036】
連結部材20は、図5に示されるように、一方向を長手方向とする棒状部材とされており、基部21、絶縁膜22、連結部材側磁力部23を有する構成とされている。基部21は、金属等で構成される棒状とされ、絶縁膜22は、基部21の全体を被覆するように配置されている。連結部材側磁力部23は、磁性材料で構成され、基部21における長手方向の両端部に絶縁膜22を介して備えられている。なお、本実施形態では、連結部材側磁力部23が連結部材側固定部に相当している。
【0037】
そして、マイクロフォン構造体10および連結部材20は、図6に示されるように、ケース側磁力部330と連結部材側磁力部23とが磁力を介して着脱可能に固定されている。本実施形態では、図1のようにマイクロフォン構造体10が正四面体の頂点に位置するように、マイクロフォン構造体10が連結部材20に固定されて配置されている。
【0038】
この場合、上記のようなマイクロフォン構造体10は、連通孔300bが開口されている方向によって空洞部300aへの音圧の取り込み方が変化する。しかしながら、本実施形態ではケース300の外面の全体にケース側磁力部330が配置されているため、マイクロフォン構造体10は、所望の箇所に配置されつつ、連通孔300bが所望の方向に向けられた状態で容易に配置される。
【0039】
なお、本実施形態では、マイクロフォン構造体10が正四面体の頂点に位置するように配置される例を説明しているが、マイクロフォン構造体10が配置される位置は適宜変更可能である。この場合、ケース側磁力部330がケース300の外面の全体に形成されており、マイクロフォン構造体10と連結部材20とが接続される位置を容易に変更できるため、マイクロフォン構造体10が配置される位置を容易に変更できる。つまり、本実施形態のマイクロフォン構造体10および連結部材20によれば、マイクロフォン構造体10における配置自由度の向上を図ることができる。
【0040】
制御部30は、CPUや、ROM、RAM、不揮発性RAM等の記憶部を備えたマイクロコンピュータ等で構成されており、それぞれのマイクロフォン構造体10(すなわち、圧電素子100)と接続されている。そして、制御部30は、CPUがROM、または不揮発性RAMからプログラムを読み出して実行することで各種の制御作動を実現する。なお、ROM、または不揮発性RAMには、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータ(例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ等)が予め格納されている。また、ROM等の記憶媒体は、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUは、Central Processing Unitの略であり、ROMは、Read Only Memoryの略であり、RAMは、Random Access Memoryの略である。
【0041】
本実施形態の制御部30は、図1に示されるように、各マイクロフォン構造体10と接続されており、各マイクロフォン構造体10に含まれる圧電素子100からの検出信号が入力される。そして、制御部30は、必要に応じて、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換処理、各マイクロフォン構造体10に音圧が到達するまでの差を低減する遅延時間演算処理、各マイクロフォン構造体10からの検出信号を加算する加算処理等を行う。これにより、マイクロフォン装置に印加される音圧が検出される。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、マイクロフォン装置は、複数のマイクロフォン構造体10と複数の連結部材20とを備えている。マイクロフォン構造体10には、ケース300の外面の全体にケース側磁力部330が備えられ、連結部材20には、長手方向の両端部に連結部材側磁力部23が備えられている。そして、マイクロフォン構造体10および連結部材20は、ケース側磁力部330および連結部材側磁力部23を介して着脱可能に固定される。このため、マイクロフォン構造体10が複数個所で連結部材20に容易に固定される。また、マイクロフォン構造体10と連結部材20との固定箇所を容易に変更できる。したがって、例えば、連結部材20を介してマイクロフォン構造体10を容易に三次元的に配置することもでき、複数のマイクロフォン構造体10(すなわち、圧電素子100)における配置自由度を向上できる。
【0043】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態において、マイクロフォン構造体10および連結部材20の個数は適宜変更可能である。また、上記第1実施形態において、マイクロフォン構造体10と連結部材20とを組み合わせて構成されるマイクロフォン装置の外形は、適宜変更である。例えば、マイクロフォン構造体10は、直線状に配列されるように連結部材20を介して配置されていてもよい。また、マイクロフォン構造体10は、正六面体や正八面体の各頂点に位置するように、連結部材20を介して配置されていてもよい。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、プリント基板200の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
本実施形態のプリント基板200は、図7に示されるように、内縁部側の搭載部210と外縁部側の接続部220との間に梁部230が構成されるようにスリット240が形成されている。つまり、プリント基板200は、搭載部210が接続部220に梁部230を介して支持されるように、スリット240が形成されている。なお、搭載部210とは、圧電素子100が搭載される部分であり、接続部220とは、ケース300の支持部310に接続される部分である。
【0046】
本実施形態では、搭載部210の平面形状が略矩形状とされている。そして、搭載部210は、平面形状における各角部が梁部230を介して接続部220に支持されている。つまり、搭載部210は、接続部220に4本の梁部230を介して両持ち支持された状態となっている。また、本実施形態の梁部230は、搭載部210の中心部C2に対して対称に備えられている。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、マイクロフォン構造体10にケース側磁力部330が備えられ、連結部材20に連結部材側磁力部23が備えられている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(1)本実施形態では、搭載部210が接続部220に梁部230を介して支持されている。このため、ケース300等からのノイズとなる振動が梁部230によって搭載部210に伝搬され難くなる。つまり、圧電素子100にノイズが伝搬され難くなる。したがって、検出精度が低下することを抑制できる。
【0049】
(2)本実施形態では、梁部230が搭載部210の中心部C2に対して対称に備えられている。このため、圧電素子100が備えられる搭載部210が傾くことを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0050】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態において、梁部230の数や配置場所は適宜変更可能である。例えば、梁部230は、2本、または3本とされていてもよいし、5本以上とされていてもよい。また、梁部230は、搭載部210の中心部C2に対して対称に備えられていなくてもよい。さらに、梁部230が1本のみ備えられ、搭載部210は、接続部220に対して片持ち支持された状態とされていてもよい。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、ダミー構造体を配置したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
本実施形態のマイクロフォン装置は、図8に示されるように、ダミー構造体50を備える構成とされている。本実施形態のダミー構造体50は、マイクロフォン構造体10と同様のケース300およびケース側磁力部330を有する構成とされているが、ケース300の空洞部300aに圧電素子100が配置されておらず、制御部30とも接続されていない。つまり、ダミー構造体50は、図2に示すマイクロフォン構造体10の圧電素子100や支持部310等が備えられていない構成とされている。
【0053】
そして、マイクロフォン装置は、マイクロフォン構造体10およびダミー構造体50が正四面体の頂点に位置するように配置されている。
【0054】
以上説明した本実施形態によれば、マイクロフォン構造体10にケース側磁力部330が備えられ、連結部材20に連結部材側磁力部23が備えられている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(1)本実施形態では、ダミー構造体50が備えられている。このため、マイクロフォン構造体10の配置箇所と連結部材20との配置箇所が合わない場合には、必要に応じてダミー構造体50を配置することにより、マイクロフォン構造体10の配置自由度の向上を図ることができる。
【0056】
(第3実施形態の変形例)
上記第3実施形態の変形例について説明する。上記第3実施形態において、マイクロフォン構造体10およびダミー構造体50の個数は適宜変更可能である。また、上記第3実施形態において、マイクロフォン構造体10とダミー構造体50とを組み合わせて構成されるマイクロフォン装置の外形は、上記第1実施形態と同様に適宜変更である。例えば、マイクロフォン構造体10およびダミー構造体50は、直線状に配置されていてもよいし、正六面体や正八面体の各頂点に位置するように配置されていてもよい。
【0057】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0058】
上記各実施形態において、圧電素子100の構造は適宜変更可能である。例えば、圧電素子100は、振動領域122が両持ち支持された状態とされていてもよい。
【0059】
上記各実施形態において、ケース側磁力部330は、ケース300の外面の全体ではなく、点在して形成されていてもよい。つまり、ケース側磁力部330は、ケース300の外面の複数個所に形成されていればよい。
【0060】
また、上記各実施形態において、ケース側固定部および連結部材側固定部の構成は適宜変更可能である。例えば、ケース側固定部は、ケース300の外面に形成された複数の凹部で構成され、連結部材側固定部は、当該凹部に圧入されて固定される凸部で構成されていてもよい。そして、マイクロフォン構造体10および連結部材20は、ケース300に形成された所定の凹部に連結部材20に形成された凸部が挿入されることにより、着脱可能に固定されていてもよい。
【0061】
さらに、上記各実施形態において、マイクロフォン構造体10は、ケース300内に複数の圧電素子100が搭載されて構成されていてもよい。
【0062】
また、上記各実施形態において、マイクロフォンは、圧電型の圧電素子100ではなく、静電容量型の素子等で構成されていてもよい。
【0063】
そして、上記各実施形態において、ケース300は、球体ではなく、外形が多角形状とされていてもよい。但し、連通孔300bを介して空洞部300a内に導入された音圧は、ケース300の内面が球形状である場合に最も散乱し難い。このため、ケース300は、内面が球形状とされることが好ましい。
【0064】
また、上記各実施形態において、配線部40は、連結部材20に備えられていてもよい。そして、マイクロフォン構造体10は、連結部材20が当該マイクロフォン構造体10に固定されることで圧電素子100が配線部40と電気的に接続される構成とされていてもよい。
【0065】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態を上記第3実施形態に組み合わせ、プリント基板200に梁部230が形成されていてもよい。また、上記各実施形態が組み合わされたもの同士がさらに組み合わされてマイクロフォン装置が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 マイクロフォン構造体
20 連結部材
23 連結部材側磁力部(連結部材側固定部)
100 マイクロフォン構造体
300 ケース
300b 連結孔
330 ケース側磁力部(ケース側固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8