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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128165
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】カバー装置
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/16 20060101AFI20240913BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20240913BHJP
   B65F 1/14 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B65F1/16
B65F1/00 A
B65F1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037010
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023AA20
3E023MA09
3E023MB01
3E023MC10
(57)【要約】
【課題】カバーに触れることなく、ごみ集積所の開口部を開閉するカバー装置を提供する。
【解決手段】カバー装置100は、ごみ集積所GSに取り付けられて、ごみ集積所GSの開口部GIを開閉する。カバー装置100は、開口部GIを開閉する一対のカバー1と、一対の可動アーム5とを備える。一対の可動アーム5は、カバー1の横方向に移動可能である。横方向における、カバー1の一端部がごみ集積所GSに固定され、横方向におけるカバー1の他端部が可動アーム5に取り付けられる。一対の可動アーム5が互いに隣接されることにより、開口部GIが一対のカバー1により閉じられる。また、一対の可動アーム5が互いに離間されることにより、開口部GIが開けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみの集められる空間を囲む壁と、前記ごみの集められる空間に通じる開口部とを備えるごみ集積所に取り付けられて、前記開口部を開閉するカバー装置であって、
開口部を開閉する一対のカバーと、
前記カバーの横方向に移動可能な一対の可動アームとを備え、
横方向における、前記カバーの一端部が前記ごみ集積所に固定され、横方向における前記カバーの他端部が可動アームに取り付けられ、
前記一対の可動アームが互いに隣接されることにより、前記開口部が前記一対のカバーにより閉じられ、前記一対の可動アームが互いに離間されることにより、前記開口部が開けられることを特徴とするカバー装置。
【請求項2】
ごみの集められる空間を囲む壁と、前記ごみの集められる空間に通じる開口部とを備えるごみ集積所に取り付けられて、前記開口部を開閉するカバー装置であって、
開口部を開閉するカバーと、
前記カバーの横方向に移動可能な可動アームとを備え、
横方向における、前記カバーの一端部が前記ごみ集積所に固定され、横方向における前記カバーの他端部が前記可動アームに取り付けられ、
前記可動アームが、前記一端部から離間されて、前記ごみ集積所の前記壁に隣接されることで、前記開口部が前記カバーにより閉じられ、前記可動アームが前記ごみ集積所の前記壁から離間されることにより、前記開口部が開けられることを特徴とするカバー装置。
【請求項3】
前記ごみの集められる空間に、前記ごみ集積所の壁面から隙間をあけて配置されるカバーガイドをさらに備え、
前記カバーの一部は、前記ごみ集積所の壁面と前記がバーガイドとの隙間を通って前記ごみの集められる空間に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカバー装置。
【請求項4】
前記カバーは、
ごみ集積所の底面と隙間をあけて配置される自由端部と、
前記自由端部に取り付けられ、前記自由端部と前記ごみ集積所の底面との隙間を閉じる変形を抑制する自由端補強体とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカバー装置。
【請求項5】
前記可動アームは、
前記カバーを固定する固定アーム部材と、
前記固定アーム部材を支持する支持アーム部材と、
前記固定アーム部材を前記支持アーム部材に接続するアーム接続部品とを有し、
前記固定アーム部材は、その長手方向に沿った第1溝を有し、
前記支持アーム部材は、その長手方向に沿った第2溝を有し、
前記アーム接続部品は、
前記第1溝に嵌まる第1嵌合部と、
前記第2溝に嵌まる第2嵌合部とを有し、
前記第1嵌合部が前記第1溝に嵌まり、かつ、前記第2嵌合部が前記第2溝に嵌まることで、前記固定アーム部材が、前記支持アーム部材に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の屋外ごみ集積所に集められるごみにカバーをかけるためのカバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅には、各家庭から出るごみを一時的に集めるごみ集積所が設けられている。ごみ集積所に一時的に集められたごみは、定期的に回収される。これにより、各家庭およびごみ集積所は、ごみのない快適な空間を維持することができる。
【0003】
ところで、屋外には、猫、犬、およびカラスその他の鳥獣がいる。これらの鳥獣は、食料などを求めてごみ集積所に集められたごみを漁って、ごみ集積所の周囲にごみまき散らす問題を発生させる。このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載されたカバー装置を用いた対策が行われている。
【0004】
特許文献1に記載されたカバー装置は、ゴミ収納体に集められたごみを覆うことができる。集合住宅の住人、または、ごみを回収する作業者などのユーザは、特許文献1に記載されたカバー装置に設けられた取っ手を持って、ガイドレールに沿ってバーを上下方向に移動させることで、ゴミ収納体の開放面を開閉できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3239999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカバー装置では、バーを上下方向に移動させているユーザが、取っ手を意図せず離してしまうと、バーが落下する。バーが落下すると、ネットがユーザに触れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、カバーに触れることなく、ごみ集積所の開口部を開閉するカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明に係るカバー装置は、ごみの集められる空間を囲む壁と、前記ごみの集められる空間に通じる開口部とを備えるごみ集積所に取り付けられて、前記開口部を開閉するカバー装置であって、開口部を開閉する一対のカバーと、前記カバーの横方向に移動可能な一対の可動アームとを備え、横方向における、前記カバーの一端部が前記ごみ集積所に固定され、横方向における前記カバーの他端部が可動アームに取り付けられ、前記一対の可動アームが互いに隣接されることにより、前記開口部が前記一対のカバーにより閉じられ、前記一対の可動アームが互いに離間されることにより、前記開口部が開けられることを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係るカバー装置は、ごみの集められる空間を囲む壁と、前記ごみの集められる空間に通じる開口部とを備えるごみ集積所に取り付けられて、前記開口部を開閉するカバー装置であって、開口部を開閉するカバーと、前記カバーの横方向に移動可能な可動アームとを備え、横方向における、前記カバーの一端部が前記ごみ集積所に固定され、横方向における前記カバーの他端部が前記可動アームに取り付けられ、前記可動アームが、前記一端部から離間されて、前記ごみ集積所の前記壁に隣接されることで、前記開口部が前記カバーにより閉じられ、前記可動アームが前記ごみ集積所の前記壁から離間されることにより、前記開口部が開けられることを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係るカバー装置は、第1の発明または第2の発明に係るカバー装置において、前記ごみの集められる空間に、前記ごみ集積所の壁面から隙間をあけて配置されるカバーガイドをさらに備え、前記カバーの一部は、前記ごみ集積所の壁面と前記がバーガイドとの隙間を通って前記ごみの集められる空間に配置されることを特徴とする。
【0011】
第4の発明に係るカバー装置は、第1の発明または第2の発明に係るカバー装置において、前記カバーは、ごみ集積所の底面と隙間をあけて配置される自由端部と、前記自由端部に取り付けられ、前記自由端部と前記ごみ集積所の底面との隙間を閉じる変形を抑制する自由端補強体とを有することを特徴とする。
【0012】
第5の発明に係るカバー装置は、第1の発明または第2の発明に係るカバー装置において、前記可動アームは、前記カバーを固定する固定アーム部材と、前記固定アーム部材を支持する支持アーム部材と、前記固定アーム部材を前記支持アーム部材に接続するアーム接続部品とを有し、前記固定アーム部材は、その長手方向に沿った第1溝を有し、前記支持アーム部材は、その長手方向に沿った第2溝を有し、前記アーム接続部品は、前記第1溝に嵌まる第1嵌合部と、前記第2溝に嵌まる第2嵌合部とを有し、前記第1嵌合部が前記第1溝に嵌まり、かつ、前記第2嵌合部が前記第2溝に嵌まることで、前記固定アーム部材が、前記支持アーム部材に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカバー装置によれば、ユーザは、可動アームを移動させることで、カバーに触れることなく、ごみ集積所の開口部を開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係るカバー装置の立体図である。
図2図1のカバー装置の固定部材を示す図である。
図3図1のスライダを左側から見た図である。
図4図3のA-A断面を示す図である。
図5図1のカバー装置における、左側の可動アームを前方向から見た図である。
図6図1のカバー装置において、開口部が部分的に開いた状態を示す図である。
図7図6の平面図であり、一対の可動アームの近傍を示す図である。
図8図6において、ユーザが可動アームを持ち上げた状態を示す図である。
図9図1において、獣がカバーに乗った状態を示す図である。
図10図6において、キャスタ近傍を示す図である。
図11図1のカバー装置の自由端補強体近傍の図であり、鳥がカバーを持ち上げている状態を示す図である。
図12】実施形態1に係るカバー装置の立体図であり、実施形態のカバー装置をごみ集積所に取り付ける図である。
図13】実施形態1に係るカバー装置の立体図であり、キャスタに支持アーム部材を接続する図である。
図14】実施形態1に係るカバー装置の立体図であり、固定アーム部材に支持アーム部材を接続する図である。
図15】実施形態1に係るカバー装置の立体図であり、スライダに固定アーム部材を接続する図である。
図16】本発明の実施形態2に係るカバー装置の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1に係るカバー装置100、およびごみ集積所GSへの前記カバー装置100の取り付けについて図面を参照して説明する。図面において、「下」の文字が付された矢印の指し示す方向は、重力の方向を示す。そして、明細書においては、重力の方向を「下方向」と称する。また、明細書および図面では、下方向に対して、反対向きの方向は、「上」方向と称する。重力の方向に対して交差する方向は、「横」方向と称する。横方向において、図1の紙面に向かって左側に向かう方向は、「左」方向とし、左方向に対して反対向きの方向は、「右」方向と称する。重力の方向および横方向に交差する方向は、奥行き方向と称する。奥行き方向において、図1の紙面の手前側に向かう方向は、「前」方向と称し、前方向と反対向きの方向は、「後」方向と称する。
【0016】
ごみ集積所GSについて説明した後に、実施形態1のカバー装置100の概略について説明する。
【0017】
図1に示すように、実施形態1のカバー装置100は、ごみ集積所GSに取り付けられて使用される。ごみ集積所GSは、ごみGの集められる空間GAを囲む壁と、ごみGの集められる空間GAに通じる開口部GIとを備える。図1に例示するごみ集積所GSは、横方向に沿った幅広な面GBAを有する基礎壁GBWと、奥行方向に沿った幅広な面GSAを有する一対の側壁GSWとで、ごみGの集められる空間GAを囲っている。そして、ごみGの集められる空間GAには、前方向および上方向に向かって開口する開口部GIが通じている。ユーザは、ごみGを、開口部GIから、ごみGの集められる空間GAに入れる。
【0018】
ユーザは、カバー装置100をごみ集積所GSに取り付けることによって、開口部GIを開閉できるようになる。開口部GIが開いた状態は、後述するカバー1が開口部GIを覆っていない状態を意味する。開口部GIが開いた状態であれば、ユーザは、開口部GIを通して、ごみGの集められる空間GAにごみGを入れることができる。開口部GIが閉じた状態は、カバー1で開口部GIを覆った状態を意味する。開口部GIが閉じた状態であれば、開口部GIを覆うカバー1は、鳥獣CがごみGの集められる空間GAに侵入するのを防止する。
【0019】
カバー装置100は、開口部GIを横方向に開閉させる。このように横方向に開閉するカバー装置100であれば、ユーザがカバー装置100の操作を意図せず中断した場合に、ユーザに向かってカバー1が落下するのを防止できる。
【0020】
図1に示すように、カバー装置100は、一対のカバー1と、各カバー1を側壁GSWに固定する一対の固定部材2と、基礎壁GBWに取り付けられるレール3と、レール3に沿って移動する一対のスライダ4と、各カバー1が取りつけられて、スライダ4とともに移動する一対の可動アーム5と、互いに隣接する可動アーム5を、その状態で固定するロック6とを備える。
【0021】
カバー1は、開口部GIを閉じて、ごみGが集められる空間GAに鳥獣Cが侵入するのを阻む部材である。このようなカバー1は、開口部GIを開閉するために、横方向の長さが変化する部材である。横方向の長さが変化するカバー1は、例えば、横方向に折りたたまれたり、横方向に伸縮できたりする。具体的には、ネットなどが、カバー1として用いられる。図1には、開口部GIの左側を開閉するカバー1と、開口部GIの右側を開閉するカバー1とが示されている。
【0022】
固定部材2は、カバー1を側壁GSWに固定する部材である。カバー1は、横方向に拡げられるように側壁GSWに固定される。カバー1を横方向に拡げられるように固定されるカバー1の部分は、固定端部11と称する。固定端部11は、本発明における、「カバー1の一端部」に相当する。図1および図2に例示する固定部材2は、奥行方向に沿って固定端部11を側壁GSWに固定するための横アングル21と、重力の方向に沿って固定端部11を側壁GSWに固定するための縦アングル22と、横アングル21および縦アングル22に、カバー1の固定端部11を結び付ける結束部品23とを有する。横アングル21および縦アングル22は、適宜の方法によって側壁GSWに固定される。図2に例示するように、カバー1の固定端部11は、環状にした結束部品23で、横アングル21または縦アングル22に結び付けられることで、側壁GSWに固定される。
【0023】
レール3は、図1および図3に示すように、基礎壁GBWの幅広な面GBAに、横方向に沿って設けられる。図1および図3で例示するレール3は、基礎壁GBWの幅広な面GBAに固定されたブラケット31を介して、基礎壁GBWに固定されている。レール3は、後述する車輪41が転動する転動面32を有する。転動面32は、横方向に沿って延びており、レール3の前側および後側に設けられる。
【0024】
スライダ4は、フレーム42と、フレーム42に回転自在に取り付けられる一対の車輪41とを有する。図3に例示されるフレーム42は、奥行方向および横方向に拡がるベース部421と、レール3の前後方向の幅に相当する間隔をあけて下方向に突出する一対の車輪支持部422を有する。スライダ4は、ベース部421がレール3の上側に配置され、かつ、一対の車輪支持部422で前後方向からレール3を挟むように配置される。一対の車輪41は、レール3の前側および後側に設けられた転動面32に当接するように、各車輪支持部422に取り付けられる。したがって、一対の車輪41は、レール3の長手方向に沿って転動する。
【0025】
可動アーム5は、スライダ4に接続される。これにより、可動アーム5は、スライダ4とともに、レール3に沿って横方向に移動できる。したがって、一対の可動アーム5は、互いに隣接したり、互いに離間したりできる。ここで、一対の可動アーム5が互いに隣接とは、一対の可動アーム5の間に鳥獣Cが入れない程度の隙間が空いているという意味を含む。
【0026】
加えて、可動アーム5には、カバー1が、横方向に拡げられるように取り付けられる。カバー1を横方向に拡げられるように可動アーム5に取り付けられるカバー1の部分は、アーム取付端部13と称する。アーム取付端部13は、本発明における、「カバー1の他端部」に相当する。図1に例示するカバー1では、固定端部11と対向する端部が、アーム取付端部13である。カバー1の固定端部11が側壁GSWに固定され、カバー1のアーム取付端部13が可動アーム5に取り付けられているため、一対の可動アーム5が互いに隣接すると、開口部GIは閉じた状態となる。一方で、一対の可動アーム5が互いに離間すると、開口部GIにおける、一対の可動アーム5の間の部分が開いた状態となる。
【0027】
図1図4、および図5に示すように、可動アーム5は、奥行方向に延びる固定アーム部材51と、重力の方向に延び、可動アーム5を下方向から支持する支持アーム部材52と、支持アーム部材52の下に取り付けられるキャスタ53と、固定アーム部材51の上部に設けられるハンドル54とを有する。固定アーム部材51には、奥行方向に沿って、カバー1のアーム取付端部13が取り付けられる。支持アーム部材52には、重力の方向に沿って、カバー1のアーム取付端部13が取り付けられる。
【0028】
固定アーム部材51および支持アーム部材52へのカバー1の取付構造の一例が図4に示されている。図4に示す固定アーム部材51の下部には、奥行方向に沿って、リップ部Rを有する第1カバー固定溝510が設けられている。カバー1のアーム取付端部13は、第1カバー固定溝510に沿って配置された後に、波形に折り返された金属の線材(ばね14)で、固定アーム部材51に固定される。具体的には、アーム取付端部13は、第1カバー固定溝510内で、固定アーム部材51およびばね14に挟み込まれる。ばね14は、その折り返し部分が、第1カバー固定溝510のリップ部Rに、第1カバー固定溝510の内側から引っ掛けられることで、固定アーム部材51に固定される。支持アーム部材52の後部にも固定アーム部材51と同様にリップ部Rを有する第2カバー固定溝520が、重力の方向に沿って設けられている。固定アーム部材51にアーム取付端部13を固定する場合と同様に、アーム取付端部13は、第2カバー固定溝520内で、支持アーム部材52およびばね14で挟みこまれることで支持アーム部材52に固定される。
【0029】
図1に示すように、ロック6は、一対の可動アーム5が互いに隣接したときに、一対の可動アーム5が離間しないように固定する。図1に例示するロック6は、左側の支持アーム部材52の前部に掛け金具が設けられ、右側の支持アーム部材52の前部に受け金具が設けられる掛金である。
【0030】
本発明のカバー装置100の動作について、図1図6および図7を参照して説明する。
【0031】
図6には、ごみ集積所GSの開口部GIが部分的に開いた状態が示されている。具体的には、左側の可動アーム5と、右側の可動アーム5とが互いに離間して配置されている。この状態では、左側の可動アーム5よりも左側では、左側のカバー1によって開口部GIの左側部分が覆われており、右側の可動アーム5よりも右側では、右側のカバー1によって開口部GIの右側部分が覆われている。したがって、ユーザは、左右の可動アーム5の間からごみGの集められる空間GAに、ごみGを入れられる。
【0032】
ごみGが集められる空間GAにごみGを置いたユーザは、可動アーム5のハンドル54に対して、開口部GIを閉じる方向に力を加える。前述のように、ハンドル54は、可動アーム5の上部に設けられている。このため、ユーザは、屈むことなく、ハンドル54に対して、開口部GIを閉じる方向に力を加えられる。このような力を加えられた可動アーム5は、そのキャスタ53、および、スライダ4の車輪41が転動することにより、開口部GIが閉じる方向に移動する。キャスタ53、および、車輪41が転動することで、可動アーム5が移動するため、ユーザは小さな力で滑らかに可動アーム5を、開口部GIを閉じる方向に移動させられる。
【0033】
図1に示すように、一対の可動アーム5が、互いに隣接する位置に配置されることで、左側のカバー1が開口部GIの左側を覆うとともに、右側のカバー1が開口部GIの右側を覆った状態となる。すなわち、一対の可動アーム5が、互いに隣接する位置に配置されることで、開口部GIが閉じられた状態となる。つまり、ユーザは、カバー1に触れることなく、ハンドル54を操作するのみで、開口部GIを閉じられる。かつ、ユーザは、その姿勢を変えることなく、開口部GIを閉じられる。
【0034】
開口部GIを閉じた状態において、ユーザが、ロック6を操作することで、一対の可動アーム5が離間しないように固定される。したがって、ユーザがロック6を解除しない限り、開口部GIが開いた状態となることが防止される。
【0035】
開口部GIを閉じた状態としたユーザが、ごみ集積所GSから離れた後、ごみ集積所GSには、その周囲の鳥獣Cが集まってくる。このような鳥獣Cは、ごみGの集められる空間GAに侵入しようとする。しかし、開口部GIを覆うカバー1が、ごみGの集められる空間GAに鳥獣Cが侵入するのを阻む。したがって、鳥獣CによってごみGが荒らされることを防止できる。
【0036】
本発明のカバー装置100の好ましい構造について、図1から図3、および、図6から図11を参照して説明する。
【0037】
図7に示すように、ごみGの集められる空間GAにユーザが入らないで済むように、ハンドル54は、固定アーム部材51の前寄りの位置に設けられる。このようなハンドル54に対して、横方向への力が加わると、スライダ4の前方の車輪41を支点として、スライダ4に横方向への回転力が加わる。ごみGの集められる空間GAの奥行が大きなごみ集積所GSの場合、スライダ4の車輪41からハンドル54までの距離が大きくなるため、より大きな回転力がかかり、この回転力が車輪41の転動を阻害する。スライダ4の車輪41に加わる回転力を低減するため、スライダ4は、一対の車輪41からレール3の延びる方向に間隔をあけて配置される一対の補助輪43をさらに有することが好ましい。具体的には、一対の補助輪43は、一対の車輪41と同様に、レール3の前側の転動面32(図3参照)および後側の転動面32(図3参照)のそれぞれの上で転動するように、スライダ4のフレーム42(図3参照)に設けられる。このようにすると、ごみGの集められる空間GAの奥行が大きなごみ集積所GSにカバー装置100を取り付ける場合において、ユーザがカバー1に触れない前寄りの位置にハンドル54を設けても、ユーザは、可動アーム5を、小さい力で滑らかに移動させられる。
【0038】
図8に示すように、可動アーム5を移動させるとき、ユーザがハンドル54を持ち上げる場合がある。この場合、スライダ4は、車輪41を支点として、可動アーム5が持ち上がる方向に回転する。そして、ユーザが可動アーム5を過度に持ち上げると、車輪41の転動が阻害される。可動アーム5が過度に持ち上げられるのを防止するため、スライダ4は、車輪41を支点とする、可動アーム5が持ち上がる方向への回転を規制するダンパ44を有することが好ましい。具体的に、ダンパ44は、基礎壁GBWとの間に隙間44Sをあけて、フレーム42に取り付けられる。図8に例示するスライダ4は、後述するスライダ接続部品57を介して、フレーム42に取り付けられている。
【0039】
図1および図6に示すように、カバー装置100は、側壁GSWと、可動アーム5との間に横方向に移動する中間アーム7を少なくとも1以上備えることが好ましい。中間アーム7には、カバー1における、側壁GSWと、可動アーム5との間に配置される部分が取り付けられる。具体的には、図1および図6に示す中間アーム7は、一対の可動アーム5と同じ形状であり、一対の可動アーム5と同様に、レール3に沿って移動するスライダ4に接続されている。このような中間アーム7は、開口部GIを閉じた状態における、重力の方向へのカバー1のたわみを小さくする。したがって、開口部GIを閉じた状態における、カバー1からごみGまでの距離が大きくなる。結果、鳥獣Cがカバー1越しにごみGを荒らすことを防止できる。
【0040】
図9に示すように、カバー装置100は、基礎壁GBWの幅広な面GBAから隙間8Sをあけて配置されるカバーガイド8を備えることが好ましい。図1および図9に示すカバーガイド8は、基礎壁GBWの幅広な面GBAに固定されるブラケット31によって、基礎壁GBWの幅広な面GBAから隙間8Sをあけて配置されている。カバー1の一部は、前記隙間8Sを通って、ごみGの集められる空間GAに配置される。このようにカバー1を配置すると、前記隙間8Sを通らない位置にカバー1をめくり上げない限り、ごみGが集められる空間GAへは、前記隙間8Sを通らなければ侵入できなくなる。したがって、前記隙間8Sを鳥獣Cが通れない大きさとすることで、ごみGの集められる空間GAへの鳥獣Cの侵入を防止できる。
【0041】
加えて、カバーガイド8と基礎壁GBWとの間の隙間8Sは、カバーガイド8の奥行方向の位置を変えることで、調整可能であることが好ましい。このようにすれば、ユーザは、ごみ集積所GSの周囲にいる鳥獣Cの大きさ、または種類に応じて、カバーガイド8と基礎壁GBWとの間の隙間8Sを設定できる。
【0042】
カバー1は、図2に示すように、その固定端部11を補強する固定端補強体111を有することが好ましい。具体的には、図2に例示する、カバー1の固定端部11には、一定程度の太さの直径を有するロープが固定端補強体111として、固定端部11に沿って縫い込まれている。このような固定端補強体111があれば、鳥獣Cまたはユーザが、カバー1を強い力で引っ張っても、カバー1が固定端部11から破られることを防止できる。
【0043】
カバー1は、図1図10および図11に示すように、ごみ集積所GSの底面GUとの接触を防止するため、その固定されていない端部である自由端部12が、ごみ集積所GSの底面GUから隙間12Sをあけて配置されている。そして、カバー1は、自由端部12を補強する自由端補強体121を備えることが好ましい。自由端補強体121は、カバー1の自由端部12に取り付けられる。カバー1の自由端部12に取り付けられた自由端補強体121は、前記隙間12Sを閉じる方向への自由端部12の変形を抑制する。具体的に、図1図10および図11に例示する自由端補強体121は、ターポリンテープなどのように剛性を有する部材が自由端部12に沿って取り付けられている。このような自由端補強体121によれば、カバー1を開閉するときに、前記隙間12Sを閉じる方向への自由端部12の変形が抑制される。結果、ごみ集積所GSの底面GUへの自由端部12の接触することに起因する自由端部12の破損が防止される。
【0044】
加えて、自由端補強体121は、自由端部12の全体に取り付けられていることが好ましい。このようにすると、図11に示すように、一対の可動アーム5が離間しないようにロック6で固定したとき、ごみ集積所GSの底面GUと、自由端部12との間の隙間12Sを拡げる変形が、自由端補強体121を介して、可動アーム5および固定部材2によって抑制される。したがって、前記隙間12Sからの鳥獣Cの侵入が防止される。
【0045】
カバー装置100は、図1図6、および図10に示すように、可動アーム5が開く方向に向かって突出し、自由端部12を案内するアーム側カバーガイド56をさらに備えることが好ましい。このようにすることで、開口部GIを開閉するときに、アーム側カバーガイド56が、自由端部12を奥行方向に向かってガイドできる。結果、自由端部12がキャスタ53の方向に向かって変形することによる、自由端部12のキャスタ53への巻き込みが防止される。
【0046】
本発明のカバー装置100のごみ集積所GSへの取り付けについて図12から図15を参照して説明する。
【0047】
ごみ集積所GSにカバー装置100を取り付けるには、図12に示すように、まず、ごみ集積所GSにおけるごみGの集められる空間GAに収まるサイズの固定部材2、レール3、固定アーム部材51、および支持アーム部材52が準備される。準備された固定部材2は、コンクリートに打ち込めるアンカーボルト等の締結部品(図示せず)によって、側壁GSWに固定される。レール3は、スライダ4が取り付けられた状態で、基礎壁GBWにブラケット31を介して固定される。ブラケット31は、コンクリートに打ち込めるアンカーボルト等の締結部品(図示せず)によって、基礎壁GBWに固定される。レール3に取り付けられた可動アーム5は、スライダ4に接続される。
【0048】
可動アーム5は、図13に示すように、キャスタ53を支持アーム部材52に接続する車輪接続部品58と、図14に示すように、支持アーム部材52を固定アーム部材51に接続するアーム接続部品55を有することが好ましい。加えて、図15に示すように、カバー装置100は、可動アーム5をスライダ4に接続するためのスライダ接続部品57を有することが好ましい。このように車輪接続部品58と、アーム接続部品55とにより、キャスタ53、支持アーム部材52、および固定アーム部材51を接続でき、スライダ接続部品57により、可動アーム5とスライダ4とを接続できれば、ユーザは、固定アーム部材51および支持アーム部材52の長手方向の長さを調整するのみで、取り付けるごみ集積所GSのサイズに合った可動アーム5を準備できる。
【0049】
また、固定アーム部材51および支持アーム部材52は、図14に示すように、長手方向に沿って、リップ部Rを有する溝が設けられていることが好ましい。加えて、アーム接続部品55は、固定アーム部材51の溝または支持アーム部材52の溝に嵌まる嵌合部を有することが好ましい。具体的には、固定アーム部材51には、対向する側面512のそれぞれの長手方向に沿って、リップ部Rを有する第1溝511が設けられている。同様に、支持アーム部材52も、その対向する側面522のそれぞれの長手方向に沿って、リップ部Rを有する第2溝521が設けられている。アーム接続部品55は、第1溝511に嵌まる第1嵌合部551、および、第2溝521に嵌まる第2嵌合部552とを有する。アーム接続部品55は、その第1嵌合部551が第1溝511に嵌まり、かつ、その第2嵌合部552が第2溝521に嵌まるように配置される。このように配置されたアーム接続部品55は、固定アーム部材51に支持アーム部材52を接続できる。以上のような構造を有する、固定アーム部材51、支持アーム部材52、および、アーム接続部品55であれば、固定アーム部材51および/または支持アーム部材52の長手方向の長さの調整は、それらを切断することで行える。よって、ユーザは、ごみ集積所GSの大きさにあわせた可動アーム5を容易に準備できる。
【0050】
図1に示すように、ごみ集積所GSに一対の固定部材2、レール3、一対のスライダ4、および一対の可動アーム5が取り付けられた後、一対のカバー1が、それぞれ、一対の側壁GSWに固定された一対の固定部材2によって、一対の側壁GSWに固定される。この後、一対の可動アーム5に一対のカバー1のそれぞれが取り付けられる。このようにカバー1が一対の側壁GSWおよび一対の可動アーム5に取り付けられることで、カバー装置100は、開口部GIを開閉できるようになる。
【0051】
[実施形態2]
図16を参照して、実施形態2に係るカバー装置200について説明する。実施形態2に係るカバー装置200は、可動アーム5の数が一対ではなく、一本である点、および、ごみ集積所GSの側壁GSWに可動アーム5を固定できる点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0052】
図16に示すカバー装置200は、一本の可動アーム5と、ごみ集積所GSの側壁GSWに可動アーム5を固定するロック9とを備える。
【0053】
可動アーム5に取り付けられたカバー1の固定端部11は、左側の側壁GSWに固定されている。このため、可動アーム5よりも左側において、開口部GIがカバー1により覆われる。ユーザは、ハンドル54を操作して、カバー1の固定端部11から可動アーム5を離間させる。ユーザは、右側の側壁GSWに隣接する位置まで可動アーム5を移動させる。ここで、側壁GSWに可動アーム5が隣接するとは、側壁GSWと可動アーム5との間に鳥獣Cが入れない程度の隙間が空いているという意味を含む。右側の側壁GSWに隣接する位置に可動アーム5をユーザが配置することで、ユーザは、カバー1に触れることなく、開口部GIをカバー1によって閉じられる。
【0054】
ロック9は、ごみ集積所GSの側壁GSWから可動アーム5が離間しないように、側壁GSWに可動アーム5を固定する。図16に例示するロック9は、可動アーム5の前部に掛け金具が設けられ、右側の側壁GSWの面GSAに受け金具が設けられる掛金である。開口部GIが閉じた状態において、ユーザがロック9を操作することで、可動アーム5は、右側の側壁GSWに固定される。したがって、ユーザがロック9を解除しない限り、開口部GIが開いた状態となることが防止される。
【0055】
なお、図16に示すように、カバー装置200は、カバー1の固定端部11が左側の側壁GSWに固定されると説明した。しかしながら、固定端部11は、右側の側壁GSWに固定してもよい。右側の側壁GSWに固定端部11が固定される場合、可動アーム5が、左側の側壁GSWに隣接されることで、開口部GIは閉じられる。
【0056】
ところで、実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。前記発明を実施するための形態として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :カバー
2 :固定部材
3 :レール
4 :スライダ
5 :可動アーム
7 :中間アーム
8 :カバーガイド
121 :自由端補強体
100 :カバー装置
G :ごみ
GS :ごみ集積所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16