(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128171
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】シールワッシャ
(51)【国際特許分類】
F16B 43/00 20060101AFI20240913BHJP
F16J 15/12 20060101ALI20240913BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240913BHJP
B62D 25/20 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
F16B43/00 C
F16J15/12 A
F16J15/10 K
F16J15/10 N
B62D25/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037016
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 晋也
【テーマコード(参考)】
3D203
3J034
3J040
【Fターム(参考)】
3D203DB04
3J034AA04
3J034BA09
3J034BA13
3J034BD02
3J034BD04
3J034BD05
3J034CA01
3J034CA03
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA15
3J040EA17
3J040FA01
3J040FA05
3J040HA23
(57)【要約】
【課題】良好なボルトの脱落防止効果を発揮するシールワッシャを提供する。
【解決手段】シールワッシャ1は、ボルト挿通孔14を穿設してなる扁平なリング状のワッシャ本体2と、そのワッシャ本体2のボルト挿通孔14の周囲に固着されたワッシャ本体2より厚肉で弾性材料からなる内側止水部材3とを有している。そして、内側止水部材3の内周面には、複数の薄肉状の滑り止め突起8,8・・が内側に突出するように設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを用いて締着体を被締着体に螺着させる際に、ボルトと締着体あるいは被締着体との間に介在させて、ボルトと締着体および/または被締着体との隙間からの液体の漏洩を防止するシールワッシャであって、
ボルト挿通孔を穿設してなる扁平なリング状のワッシャ本体と、
そのワッシャ本体のボルト挿通孔の周囲に固着された弾性材料からなる内側止水部材とを有しており、
その内側止水部材に、滑り止め突起が内側に突出するように設けられていることを特徴とするシールワッシャ。
【請求項2】
前記滑り止め突起の平面形状が、舌片状であることを特徴とする請求項1に記載のシールワッシャ。
【請求項3】
前記滑り止め突起の先端が、前記被締着体に螺着されるボルトの軸部の外周面よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のシールワッシャ。
【請求項4】
前記ワッシャ本体の外周縁際に、弾性材料からなる外側止水部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールワッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトを用いて締着体を被締着体に螺着させる際に、ボルトと締着体あるいは被締着体との間に介在させて、それらの隙間からの液体の漏洩を防止するシールワッシャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リアスポイラーの如き車両用の外装部品は、車体に穿設されたボルト挿通孔を利用して、ボルト等の締結具を用いて車体に締結されることが多いが、締結される外装部品と車体との境界部分からボルト挿通孔を介して車体の内部に雨水等が侵入しないように(すなわち、防水機能を発現させるために)、シール機能を備えたワッシャ(所謂、シールワッシャ)をボルトのヘッドの内面と車体との間に介在させることがある。
【0003】
従来のシールワッシャとしては、特許文献1の如く、金属からなる円環状のワッシャ本体の内周縁際に、弾性材料によって形成された弾性部材を、ワッシャ本体より厚肉になるように設けたものが知られている。そのようなシールワッシャは、ボルトがナット等と締着された場合に、弾性部材がボルトの内面および車体の表面に押し付けられて変形し、高い圧力を保持したまま、ボルトの内面および車体の表面と広い面積で当接するため、良好な防水機能を発現する。また、シールワッシャの中には、防水機能を発現させるために、特許文献2の如く、金属製のワッシャ本体に固着させた弾性部材の内周面に、ボルトのネジ溝と噛み合うように、一定幅(突出量)の円弧状のリップ体を断続的に設けたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-116871号公報
【特許文献2】特開平5-39808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2の如きシールワッシャにおいては、ワッシャからボルトが脱落してしまう虞がある。
すなわち、上記特許文献1,2の如きシールワッシャにおいては、締結時の作業性向上のため、締結前にシールワッシャをボルトに組み込んだ状態として使用することがある。
そのような場合には、ボルトの組込み後、締結までの間にシールワッシャが脱落しないよう、ボルトの軸部外周面に対して、シールワッシャ挿入孔の径をやや小さく設計し、ボルトを嵌挿させるようシールワッシャの設計を行う。
ところが、ボルトの軸部外周面のばら付き、および、シールワッシャ内側径寸法のばら付きによって、あるいはシールワッシャ自身の重量が大きい場合には、嵌合での保持のみではシールワッシャの重量を支えられなくなり、シールワッシャがボルトから脱落してしまう虞がある。そのようなことは、特に、製造後の工場間等での輸送時や製品に取り付ける際の搬送時に起こりやすい。
その事態への対策として、シールワッシャの挿入孔の径を小さく設計する、あるいは、シールワッシャの内側に脱落防止の突起を設けるなどの対策がなされるが、単に嵌合力を上げた場合には、ボルトの嵌挿荷重が高くなり、作業性が良くないものとなる。
また、金属製のワッシャ本体部と樹脂製のシール部とが、嵌挿時の摩擦によって分離してしまう虞がある。
【0006】
本発明の目的は、上記従来のシールワッシャにおける問題点を解消し、良好なボルトの脱落防止効果を発揮するシールワッシャを提供することにある。
【課題を解決するための手段、および、発明の効果】
【0007】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、ボルトを用いて締着体を被締着体に螺着させる際に、ボルトと締着体あるいは被締着体との間に介在させて、ボルトと締着体および/または被締着体との隙間からの液体の漏洩を防止するシールワッシャであって、ボルト挿通孔を穿設してなる扁平なリング状のワッシャ本体と、そのワッシャ本体のボルト挿通孔の周囲に固着された弾性材料からなる内側止水部材とを有しており、その内側止水部材に(内側止水部材の内周面等に)、滑り止め突起が内側に突出するように設けられていることを特徴とするものである。なお、滑り止め突起は、内側止水部材に一体的に設けることも可能であるし、内側止水部材に接着、溶着、融着等の方法によって設けることも可能である。
【0008】
上記の如く構成された請求項1に記載のシールワッシャは、内側止水部材の滑り止め突起が、ボルトのネジ螺刻面に対して逆止弁の如く作用するため、良好なボルトの脱落防止効果を発揮することができる。すなわち、螺合強度が不用意に低下した場合に、緩みきらないようにする効果、および、その状態での止水機能維持が期待できる。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記滑り止め突起の平面形状が、舌片状であること(すなわち、各滑り止め突起が、基端際よりも先端際が幅狭な矩形状体、台形状体、三角形状体、半円状体、半楕円状体等であること)を特徴とするものである。
【0010】
上記の如く構成された請求項2に記載のシールワッシャは、ボルト挿通孔にボルトを挿入する際に、各滑り止め突起がボルトの挿入方向に折れ曲がり易く、かつ、千切れにくいので、長期間に亘ってより高い精度でボルトの脱落を防止することができる。なお、滑り止め突起の幅が、内側への突出量に対して、0.5~2.0mmの範囲に調整されているとより好ましい。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記滑り止め突起の先端が、前記被締着体に螺着されるボルトの軸部の外周面よりも内側に位置していることを特徴とするものである。
【0012】
上記の如く構成された請求項3に記載のシールワッシャは、各滑り止め突起が一段と折れ曲がり易いので、きわめて効果的にボルトBの脱落を防止することができる。なお、各滑り止め突起が、先端をボルトの軸部のネジ螺刻面よりも0.5~1.5mmだけ内側に位置させるように構成されていると、より好ましい。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記ワッシャ本体の外周縁際に、弾性材料からなる外側止水部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
上記の如く構成された請求項4に記載のシールワッシャは、外側止水部材と内側止水部材とが締着体(あるいは被締着体)の外側の表面、および、ボルトのヘッド部の内面に当接して二重の防水壁を形成するため、きわめて高い防水性能を発揮することができる。また、繰り返しの使用等により、万が一、弾性材料からなる内側止水部材が金属製のワッシャ本体から剥がれてしまった場合でも、外側止水部材によって防水機能を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】シールワッシャを示す説明図である(aは平面図であり、bは正面図であり、cはaにおけるα-α線切断端面図である)。
【
図2】シールワッシャの内側止水部材の滑り止め突起の設置部分を示す説明図である(aは
図1(c)のγ部分の拡大図であり、bは
図1(a)におけるβ部分の拡大図である)。
【
図3】シールワッシャの使用方法を示す説明図である(aはボルトを挿入する前の状態を示したものであり、bはボルトを挿入した後の状態を示したものであり、cはbにおけるδ部分の拡大図である)。
【
図4】シールワッシャの変更例を示す説明図である(aは平面図であり、bはaにおけるε-ε線断面図である)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシールワッシャの一実施形態について、図面に基いて詳細に説明する。
【0017】
<シールワッシャの構造>
図1、
図2は、シールワッシャを示したものであり、シールワッシャ1は、金属(鉄)からなるワッシャ本体2の内周縁際および外周縁際に、それぞれ、合成樹脂(オレフィン系エラストマー)製の内側止水部材3、外側止水部材4が固着されている。当該シールワッシャ1は、インサート成形法を利用して、ワッシャ本体2を配置させた金型内に、溶融させた合成樹脂(すなわち、内側止水部材3、外側止水部材4の形成材料であるオレフィン系エラストマー)を射出することによって一体的に形成したものである。
【0018】
ワッシャ本体2は、一定の厚みのドーナッツ板状に形成されている。すなわち、中央に所定の径(約6mmφ)の円形のボルト挿通孔14を穿設した円板状に形成されている。そして、ワッシャ本体2の内周縁際の上面および下面には、一定幅の円周状で一定の深さの凹部が設けられており、内側薄肉部5が形成された状態になっている。また、ワッシャ本体2の外周縁際の上面および下面にも、一定幅の円周状で一定の深さの凹部が設けられており、外側薄肉部6が形成された状態になっている。なお、内側薄肉部5は、外側薄肉部6に比べて厚く形成されている。加えて、ワッシャ本体2の外周縁際の上面および下面には、平面視略三角形状の凹部7,7・・が形成されている。
【0019】
また、内側止水部材3は、ワッシャ本体2の内側薄肉部5を上下から挟み込むように鉛直断面略コ字状の円環状に形成されており、上下の外側の先端部分が、それぞれ、ワッシャ本体2の内周縁際の上面、下面の凹状部分に入り込んだ状態になっている。そして、それらの上下の凹状部分に入り込んだ部分が上下方向に膨出し、膨出部分10,10を形成した状態になっている。また、
図2(a)は、内側止水部材3の設置部分を拡大して示したものであり、内側止水部材3の内側の部分は、ワッシャ本体2の内側薄肉部5の内側に位置した部分が所定の厚み(約0.5mm)の厚肉状になっており、定厚部分9を形成した状態になっている。そして、その定厚部分9の上下が、上下の膨出部分10,10と連なるように外向きに凸の曲面状になっている。
【0020】
そして、内側止水部材5の内周面の中央(上下方向の中央)には、平面視略舌片状の4つの滑り止め突起8,8・・が、ワッシャ本体2の軸中心に対して等間隔(等角度)で、内側へ突出するように設けられている。
図2(b)は、滑り止め突起8の設置部分を示したものであり、各滑り止め突起8,8・・は、平面視が先端を丸めた(R形状にした)略三角形状に形成されており、一定の厚み(T=0.2mm)を有している。そして、内側止水部材3の内周面から所定の長さ(L=1.0mm)だけ内側へ突出した状態になっている。加えて、各滑り止め突起8,8・・の左右の端縁は、略45°の角度を成しており、基端の部分が所定の幅(約1.5mm)になっている。
【0021】
一方、外側止水部材4は、ワッシャ本体2の外側薄肉部6を上下から挟み込むように鉛直断面略コ字状の円環状に形成されており、上下の外側の先端部分が、それぞれ、ワッシャ本体の外周縁際の上面、下面の凹状部分に入り込んだ状態になっている。さらに、上下の外側の先端際の部分、および、内側の先端際の部分が、上下方向に膨出した状態(ワッシャ本体2の表面から同一の突出量になるように膨出した状態)になっており、それらの膨出部分の間に、それぞれ、上側周状凹部11、下側周状凹部12を形成した状態になっている。なお、上側周状凹部11の内外の膨出部分の膨出量(ワッシャ本体2の表面からの突出量)、および、下側周状凹部12の内外の膨出部分の膨出量は、内側止水部材3の上下の膨出部分10,10の膨出量と同一になっている。
【0022】
また、外側止水部材4のワッシャ本体2の外側薄肉部6の外側に位置した部分は、所定の厚み(約0.5mm)の薄肉状になっており、さらに、外側止水部材4の上面の内周縁には、平面視略三角形状の4つの流入部13,13・・が等間隔に連設されており、ワッシャ本体2の上面に形成された凹部7,7・・内に入り込んだ状態になっている。
【0023】
<シールワッシャの使用方法(作用)>
図3は、上記の如く構成されたシールワッシャ1の使用態様の一例を示したものであり、シールワッシャ1は、ボルトB(4.5mmφ)およびナット(図示せず)を利用して、締着体P
1を被締着体P
2に締着する際に、締着体P
1(あるいは被締着体P
2)とボルトB(あるいはナット)との間に介在させて、締着体P
1のボルト挿通孔15、被締着体P
2のボルト挿通孔16とボルトBのネジ螺刻面Sとの隙間から液体(雨水等)等が漏洩するのを防止する目的等で用いられる。
なお、ここでボルトBとは、通常のボルト以外にも、タッピングスクリューなどの軸部に雄ネジ部を備える締結部材であれば該当することは言うまでもない。
【0024】
図3(a)は、ボルトBを、シールワッシャ1のボルト挿通孔14に挿入する前の状態を示したものであり、この状態においては、シールワッシャ1の内側止水部材3の内周面の各滑り止め突起8,8・・が、内向きに突出し、同一の水平面を形成した状態になっている。
【0025】
そして、
図3(b)の如く、ボルトBを、シールワッシャ1のボルト挿通孔14に挿入すると、内側止水部材3の内周面の弾性を有する各滑り止め突起8,8・・が、シールワッシャ1のボルト挿通孔14とボルトBのネジ螺刻面Sとの狭い隙間で下向きに屈曲し、各滑り止め突起8,8・・の上面が、広い面積で、ボルトBのネジ螺刻面Sに当接する。そのように狭い隙間で下向きに屈曲した各滑り止め突起8,8・・は、ボルトBが螺着される方向(
図3における下向き)へ移動する際には、影響を与えないが、ボルトBが緩む方向(
図3における上向き)へ移動する際には、きわめて高い摩擦抵抗力を発現し、ボルトBが緩む事態を効果的に抑制する。
【0026】
<シールワッシャの効果>
シールワッシャ1は、上記の如く、ボルト挿通孔14を穿設してなる扁平なリング状のワッシャ本体2と、そのワッシャ本体2のボルト挿通孔14の周囲に固着されたワッシャ本体2より厚肉で(厚い部分を有する)弾性材料からなる内側止水部材3とを有しており、その内側止水部材3の内周面に、複数の薄肉状の滑り止め突起8,8・・が内側に突出するように設けられている。
シールワッシャ1においては、内側止水部材3の内周面の滑り止め突起8,8,・・が、ボルトBのネジ部の周面(ネジ螺刻面S)に広い面積で当接して逆止弁の如く作用するため、良好なボルトBの脱落防止効果を発揮することが期待できる。
【0027】
また、シールワッシャ1は、締結時には、各滑り止め突起8,8・・の平面形状が舌片状であり、ボルト挿通孔14にボルトBを挿入する際に、各滑り止め突起8,8・・がボルトBの挿入方向に折れ曲がり易く、かつ、千切れにくいので、長期間に亘ってより高い精度でボルトBの脱落を防止することが期待できる。
【0028】
さらに、シールワッシャ1は、各滑り止め突起8,8・・の先端が、締着体P1と被締着体P2とを螺合するボルトBのネジ螺刻面Sよりも所定の長さだけ内側に位置しているため(すなわち、各滑り止め突起8,8・・の先端が0.75mmだけボルトBのネジ螺刻面Sよりも内側に位置しているため)、各滑り止め突起8,8・・が一段と折れ曲がり易いので、きわめて効果的にボルトBの脱落を防止することができる。すなわち、螺合強度が不用意に低下した場合に、緩みきらないようにする効果、および、その状態での止水機能維持が期待できる。
【0029】
<シールワッシャの変更例>
本発明に係るシールワッシャは、上記した実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、材質、形状、構造、大きさ等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0030】
たとえば、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、内側止水部材の内周面に4個の滑り止め突起を等間隔に設けたものに限定されず、内側止水部材の内周面に1~3個の滑り止め突起を設けたものや、内側止水部材の内周面に5個以上の滑り止め突起を設けたものでも良いし、内側止水部材の内周面に複数の滑り止め突起を不等間隔に設けたものでも良い。
【0031】
また、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、ワッシャ本体が鉄によって形成されたものに限定されず、ワッシャ本体がステンレス、銅、アルミニウム、硬質のプラスチック、セラミックス等によって形成されたものでも良い。また、シールワッシャは、表面が平坦なものに限定されず、内側止水部材や外側止水部材との接着性を向上させるために、表面にマット処理(粗面化処理)を施したもの等でも良い。
【0032】
さらに、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、内側止水部材や外側止水部材がオレフィン系エラストマーによって形成されたものに限定されず、内側止水部材や外側止水部材が、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、あるいはそれらの1種または2種以上の混合物、変性物等の他の合成樹脂(弾性を有するもの)等によって形成されたものでも良く、シールワッシャの構成材料との接着性等の必要に応じて適宜変更することができる。
【0033】
さらに、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、内側止水部材の滑り止め突起が、平面視で先端を丸めた略三角形状等の舌片状であるものに限定されず、滑り止め突起が幅広な(内側止水部材の内周面に沿って幅広な)帯状であるものや、滑り止め突起が矩形状であるもの等に変更することも可能である。なお、上記実施形態の如く、滑り止め突起の形状を平面視で先端を丸めた略三角形状(舌片状)とした場合には、滑り止め突起が内側止水部材の内周面から裂けにくいものとなるため、シールワッシャは、長期間に亘ってボルトの脱落防止効果を発揮する。
【0034】
また、内側止水部材の滑り止め突起の厚みや大きさは、内側止水部材の材質等に応じて適宜変更することができる。なお、上記実施形態の如く、内側止水部材の形成材料をオレフィン系エラストマーとした場合には、滑り止め突起の厚みを0.1~0.5mmに調整すると、滑り止め突起が適度な弾性および可撓性を発現するため、ボルトの脱落防止効果が一段と良好なものとなるので好ましい。また、上記実施形態の如く、滑り止め突起の左右の両端縁と内側止水部材の内周面との成す角が鈍角になるように、滑り止め突起の形状を調整すると、滑り止め突起が内側止水部材の内周面からきわめて裂けにくいものとなるので、特に好ましい。
【0035】
加えて、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、ワッシャ本体が円環状(外周縁が円形のドーナッツ状)であるものに限定されず、
図4の如く、外周縁が楕円状のものや外周縁が矩形状のもの等でも良い。加えて、本発明に係るシールワッシャは、上記実施形態の如く、内側止水部材と外側止水部材とが分離しているものに限定されず、
図4の如く、結合体等によって、内側止水部材と外側止水部材とが連結されたもの等でも良い。かかる構成を採用した場合には、内側止水部材や外側止水部材がワッシャ本体から一層剥がれにくいものとなる、というメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るシールワッシャは、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、締着体と被締着体とを締着する際に、ボルトと締着体あるいは被締着体との隙間から液体等が漏洩するのを防止するための部材として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1,1’・・シールワッシャ、2・・ワッシャ本体、3・・内側止水部材、4・・外側止水部材、5・・内側薄肉部、6・・外側薄肉部、7・・凹部、8・・滑り止め突起、9・・定厚部分、10・・膨出部、11・・上側周状凹部、12・・下側周状凹部、13・・流入部、14・・ボルト挿通孔(ワッシャ本体)、15・・ボルト挿通孔(締着体)、16・・ボルト挿通孔(被締着体)、17・・連結体、B・・ボルト、P1・・締着体、P2・・被締着体、S・・ネジ螺刻面