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2024-128181位置情報伝達システム、位置情報伝達装置、位置情報伝達方法、及び位置情報伝達プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128181
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】位置情報伝達システム、位置情報伝達装置、位置情報伝達方法、及び位置情報伝達プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20240913BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240913BHJP
   G08B 13/22 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G08B25/10
H04M11/00 302
G08B13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037028
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100157967
【弁理士】
【氏名又は名称】管田 洋明
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C084AA04
5C084DD07
5C084EE06
5C084HH13
5C087AA03
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD05
5C087DD14
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5K201AA07
5K201CC04
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】送信元から送信された位置情報が他の装置を介して管理装置に伝達される可能性を高める。
【解決手段】第1位置情報伝達装置は、位置情報取得部、検出部、及び第1通信部を含む。位置情報取得部は、第1位置情報伝達装置の位置を示す位置情報を取得する。検出部は、位置情報を送信する所定の契機を検出する。第1通信部は、所定の契機が検出された場合、第1通信方式で管理装置へ位置情報を送信するとともに、第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で位置情報を送信する。第2位置情報伝達装置は、第2通信部及び判定部を含む。第2通信部は、第2通信方式で送信された位置情報を受信する。判定部は、位置情報を受信した後、第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する。第2通信部は、所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した位置情報を第1通信方式で管理装置へ送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置情報伝達装置と第2位置情報伝達装置と管理装置とを備える位置情報伝達システムであって、
前記第1位置情報伝達装置は、
前記第1位置情報伝達装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報を送信する所定の契機を検出する検出部と、
前記所定の契機が検出された場合、第1通信方式で前記管理装置へ前記位置情報を送信するとともに、前記第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で前記位置情報を送信する第1通信部と、
を含み、
前記第2位置情報伝達装置は、
前記第2通信方式で送信された前記位置情報を受信する第2通信部と、
前記位置情報を受信した後、前記第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
を含み、
前記第2通信部は、前記所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した前記位置情報を前記第1通信方式で前記管理装置へ送信することを特徴とする位置情報伝達システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記位置情報を受信してから所定時間が経過したことを示す第1条件、又は前記位置情報を受信してから前記第2位置情報伝達装置が所定距離だけ移動したことを示す第2条件であることを特徴とする請求項1記載の位置情報伝達システム。
【請求項3】
前記所定の契機は、前記第1位置情報伝達装置を含む物体に関する異常の発生、又は位置情報送信指示の受信であることを特徴とする請求項1記載の位置情報伝達システム。
【請求項4】
前記第2通信部は、受信した前記位置情報を前記第2通信方式でさらに送信することを特徴とする請求項1記載の位置情報伝達システム。
【請求項5】
前記第1通信方式は、ローパワーワイドエリア通信の通信方式であり、前記第2通信方式は、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー通信の通信方式であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の位置情報伝達システム。
【請求項6】
送信元位置情報伝達装置の位置を示す位置情報が第1通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から管理装置へ送信されるとともに、前記第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から前記位置情報が送信されたとき、前記第2通信方式で送信された前記位置情報を受信する通信部と、
前記位置情報を受信した後、前記第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記通信部は、前記所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した前記位置情報を前記第1通信方式で前記管理装置へ送信することを特徴とする位置情報伝達装置。
【請求項7】
コンピュータが、
送信元位置情報伝達装置の位置を示す位置情報が第1通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から管理装置へ送信されるとともに、前記第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から前記位置情報が送信されたとき、前記第2通信方式で送信された前記位置情報を受信し、
前記位置情報を受信した後、前記第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定し、
前記所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した前記位置情報を前記第1通信方式で前記管理装置へ送信する、
処理を実行することを特徴とする位置情報伝達方法。
【請求項8】
送信元位置情報伝達装置の位置を示す位置情報が第1通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から管理装置へ送信されるとともに、前記第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で前記送信元位置情報伝達装置から前記位置情報が送信されたとき、前記第2通信方式で送信された前記位置情報を受信し、
前記位置情報を受信した後、前記第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定し、
前記所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した前記位置情報を前記第1通信方式で前記管理装置へ送信する、
処理をコンピュータに実行させるための位置情報伝達プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報伝達技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両緊急通報装置の携帯電話の通話圏外でも、事故発生場所や盗難車の位置を確実に緊急通報センターに通報できる盗難追跡及び緊急通報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-36493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車載機は、事故発生場所又は盗難車の位置を示す緊急通信情報を送信するための広域無線通信として、携帯電話通信を用いている。このため、車載機は、現在位置が携帯電話の通信圏内であるか否かを判定し、現在位置が通信圏外である場合、携帯電話通信で緊急通信情報を送信することなく、自車付近を通行中の他車両へ狭域無線通信で緊急通報情報を送信する。そして、現在位置が通信圏内に入ると、車載機は、携帯電話通信で緊急通信情報を送信する。
【0005】
一方、IoT(Internet of Things)分野で広く利用されているローパワーワイドエリア(Low Power Wide Area,LPWA)通信は、低消費電力で広域無線通信を実現できる通信方式である。例えば、LPWAの一種であるSigfox(登録商標)の場合、最大伝送距離は50km程度である。
【0006】
しかしながら、LPWAでは、電力消費を抑えるために、1回の通信で送信できるデータ量が制限されることがあり、基地局と1日に通信できる通信回数が制限されることもある。例えば、Sigfox(登録商標)の場合、1日に通信できる通信回数は140回に制限されている。
【0007】
このような通信回数の制限が存在するため、LPWA通信を用いて自車の現在位置を緊急通報センターに伝達する場合、定期的に通信を行って現在位置が通信圏内であるか否かを判定することは難しい。この場合、現在位置が通信圏内であるか否かを判定することなく、現在位置を送信せざるを得ないため、現在位置を通信圏外で送信した場合、緊急通報センターに現在位置が伝達されなくなる。
【0008】
また、狭域無線通信を用いて自車の現在位置を他車両へ送信したとしても、自車が通信圏外を通行している場合、他車両も通信圏外を通行している可能性が高い。このため、他車両がLPWA通信を用いる仕様である場合、他車両も受信した現在位置を緊急通報センターに伝達することができない。
【0009】
なお、かかる問題は、事故又は盗難に遭った車両の現在位置を伝達する場合に限らず、様々な状況における様々な物体の位置情報を伝達する場合において生ずるものである。
【0010】
1つの側面において、本発明は、送信元から送信された位置情報が他の装置を介して管理装置に伝達される可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施形態によれば、位置情報伝達システムは、第1位置情報伝達装置と第2位置情報伝達装置と管理装置とを含む。
【0012】
第1位置情報伝達装置は、位置情報取得部、検出部、及び第1通信部を含む。位置情報取得部は、第1位置情報伝達装置の位置を示す位置情報を取得する。検出部は、位置情報を送信する所定の契機を検出する。第1通信部は、所定の契機が検出された場合、第1通信方式で管理装置へ位置情報を送信するとともに、第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で位置情報を送信する。
【0013】
第2位置情報伝達装置は、第2通信部及び判定部を含む。第2通信部は、第2通信方式で送信された位置情報を受信する。判定部は、位置情報を受信した後、第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する。第2通信部は、所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した位置情報を第1通信方式で管理装置へ送信する。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面において、送信元から送信された位置情報が他の装置を介して管理装置に伝達される可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】位置情報伝達システムの機能的構成図である。
図2】位置情報伝達システムの具体例を示す構成図である。
図3】車載装置の機能的構成図である。
図4】危機情報伝達処理を示す図である。
図5】通常モードの処理のフローチャートである。
図6】危機モードの処理のフローチャートである。
図7】情報処理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、実施形態の位置情報伝達システムの機能的構成例を示している。図1の位置情報伝達システムは、第1位置情報伝達装置101、第2位置情報伝達装置102、及び管理装置103を含む。
【0018】
第1位置情報伝達装置101は、位置情報取得部111、検出部112、及び第1通信部113を含む。位置情報取得部111は、第1位置情報伝達装置の位置を示す位置情報を取得する。検出部112は、位置情報を送信する所定の契機を検出する。第1通信部113は、所定の契機が検出された場合、第1通信方式で管理装置103へ位置情報を送信するとともに、第1通信方式よりも短い伝送距離を有する第2通信方式で位置情報を送信する。
【0019】
第2位置情報伝達装置102は、第2通信部121及び判定部122を含む。第2通信部121は、第2通信方式で送信された位置情報を受信する。判定部122は、位置情報を受信した後、第1通信方式の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する。第2通信部121は、所定の条件が満たされたと判定された場合、受信した位置情報を第1通信方式で管理装置103へ送信する。
【0020】
図1の位置情報伝達システムによれば、送信元から送信された位置情報が他の装置を介して管理装置に伝達される可能性を高めることができる。
【0021】
図2は、図1の位置情報伝達システムの具体例を示している。図2の位置情報伝達システムは、バイク201-1~バイク201-N(Nは1以上の整数)、携帯端末装置202-1~携帯端末装置202-M(Mは1以上の整数)、及び管理装置203を含む。バイク201-i(i=1~N)は、自動二輪車と呼ばれることもある。管理装置203は、図1の管理装置103に対応する。
【0022】
各バイク201-iには、車載装置211-iが搭載されている。車載装置211-iは、図1の第1位置情報伝達装置101又は第2位置情報伝達装置102に対応する。携帯端末装置202-jは、例えば、通行人が保持しているスマートフォンである。
【0023】
例えば、バイク201-1が盗難に遭った場合、バイク201-1の車載装置211-1は、第1位置情報伝達装置101として動作する。この場合、バイク201-1の近くに存在する他のバイク201-i(i=2~N)の車載装置211-iは、第2位置情報伝達装置102として動作する。
【0024】
管理装置203は、無線通信ネットワーク204を介して、各バイク201-iの車載装置211-iと通信し、無線通信ネットワーク205を介して、各携帯端末装置202-j(j=1~M)と通信する。
【0025】
第1通信方式としては、LPWA通信が用いられ、第2通信方式としては、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー(Bluetooth(登録商標) Low Energy,BLE)通信が用いられる。BLE通信は、低消費電力で狭域無線通信を実現できる通信方式である。BLE通信の伝送距離は、数メートル~数十メートル程度である。
【0026】
LPWA通信の通信方式は、Sigfox(登録商標)又はLTE(登録商標)-M(Long Term Evolution for machine-type-communication)であってもよい。無線通信ネットワーク204は、LPWA通信の通信ネットワークである。BLE通信の通信方式は、iBeacon(登録商標)であってもよい。
【0027】
図3は、図2の車載装置211-iの機能的構成例を示している。図3の車載装置211-iは、位置情報取得部311、検出部312、制御部313、通信部314、及び記憶部315を含む。
【0028】
車載装置211-iが第1位置情報伝達装置101として動作する場合、位置情報取得部311、検出部312、及び通信部314は、図1の位置情報取得部111、検出部112、及び第1通信部113にそれぞれ対応する。バイク201-iは、第1位置情報伝達装置101を含む物体の一例である。
【0029】
車載装置211-iが第2位置情報伝達装置102として動作する場合、通信部314及び制御部313は、図1の第2通信部121及び判定部122にそれぞれ対応する。
【0030】
通信部314は、LPWA通信部321及びBLE通信部322を含む。LPWA通信部321は、無線通信ネットワーク204を介して、LPWA通信により管理装置203と通信する。BLE通信部322は、BLE通信により、バイク201-iの近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-i又は携帯端末装置202-jと通信する。
【0031】
車載装置211-iは、通常モード又は危機モードの何れかの動作モードで動作する。通常モード及び危機モードにおいて、位置情報取得部311は、車載装置211-iの現在位置を示す位置情報331を取得して、記憶部315に格納する。
【0032】
位置情報取得部311は、例えば、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System,GPS)を用いて、位置情報331を取得することができる。位置情報331としては、例えば、緯度及び経度が用いられる。車載装置211-iの位置情報331は、バイク201-iの現在位置を示している。
【0033】
通常モードにおいて、制御部313は、LPWA通信部321を介して、定期的に通常報告を管理装置203へ送信する。通常報告は、車載装置211-iの識別情報と、車載装置211-iの位置情報331とを含む。通常報告の送信頻度は、数時間に1回程度であってもよい。
【0034】
検出部312は、通常モードから危機モードへ遷移する所定の契機を検出する。所定の契機は、位置情報331を送信する契機に対応する。所定の契機は、例えば、バイク201-iに関する異常の発生であってもよく、管理装置203から送信された危機情報送信指示の受信であってもよい。危機情報送信指示は、位置情報送信指示の一例である。
【0035】
検出部312は、例えば、振動センサを用いてバイク201-iの振動を検知する。そして、検出部312は、バイク201-iのイグニッションがオフの状態で検知された振動のレベルが閾値よりも大きい場合、盗難等の異常が発生したと判定する。この場合、検出部312は、異常の発生を所定の契機として検出する。
【0036】
また、LPWA通信部321が管理装置203から危機情報送信指示を受信した場合、検出部312は、危機情報送信指示の受信を所定の契機として検出する。管理装置203は、例えば、バイク201-iの盗難等に気付いた所有者から要請を受けた場合に、車載装置211-iへ危機情報送信指示を送信する。
【0037】
所定の契機が検出された場合、車載装置211-iは、通常モードから危機モードへ遷移する。危機モードにおいて、制御部313は、LPWA通信部321を介して、通常報告よりも高い送信頻度で、危機情報を管理装置203へ送信する。危機情報は、車載装置211-iの識別情報と、異常の発生を示す危機フラグと、車載装置211-iの位置情報331とを含む。
【0038】
さらに、制御部313は、BLE通信部322を介して、通常報告よりも高い送信頻度で、近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-i及び携帯端末装置202-jへ危機情報を送信する。これにより、近くに存在する不特定多数の車載装置211-i及び携帯端末装置202-jに対して、危機情報が広告される。近くに存在する他のバイク201-iは、走行中であってもよく、停車していてもよい。
【0039】
通常モードにおいて、制御部313は、近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-iからBLE通信部322が危機情報を受信したか否かを、定期的にチェックする。BLE通信部322が危機情報を受信した場合、制御部313は、LPWA通信部321を介して、受信した危機情報を管理装置203へ送信する。
【0040】
さらに、制御部313は、BLE通信部322を介して、近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-i及び携帯端末装置202-jへ危機情報を送信する。これにより、近くに存在する不特定多数の車載装置211-i及び携帯端末装置202-jに対して、危機情報が広告される。
【0041】
その後、制御部313は、LPWA通信の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する。所定の条件は、例えば、危機情報を受信してから所定時間が経過したことを示す第1条件であってもよく、危機情報を受信してからバイク201-iが所定距離だけ移動したことを示す第2条件であってもよい。
【0042】
所定の条件が満たされたと判定された場合、制御部313は、LPWA通信部321を介して、受信した危機情報を再び管理装置203へ送信する。さらに、制御部313は、BLE通信部322を介して、近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-i及び携帯端末装置202-jへ危機情報を再び送信する。
【0043】
危機情報を受信してから所定時間が経過することにより、LPWA通信の通信環境が変化することが期待できる。同様に、危機情報を受信してからバイク201-iが所定距離だけ移動することにより、LPWA通信の通信環境が変化することが期待できる。
【0044】
所定の契機を検出した車載装置211-iがLPWA通信の通信圏外に存在し、危機情報の送信に失敗した場合であっても、他の車載装置211-iの通信環境が変化することで、他の車載装置211-iが通信圏内に入る可能性がある。したがって、通信環境が変化した後に他の車載装置211-iが危機情報を再び送信することで、他の車載装置211-iを介して危機情報が管理装置203に伝達される可能性が高くなる。
【0045】
以下では、所定の契機を検出した車載装置211-iを、送信元車載装置211-iと記載することがある。送信元車載装置211-iは、送信元位置情報伝達装置の一例である。
【0046】
BLE通信により危機情報を送信した車載装置211-iの近くにいる通行人が保持する携帯端末装置202-jは、送信された危機情報を受信する。そして、携帯端末装置202-jは、無線通信ネットワーク205を介して、受信した危機情報を管理装置203へ送信する。携帯端末装置202-jは、例えば、複数のアプリケーションを用いて危機情報を管理装置203へ送信することができる。
【0047】
図4は、図2の位置情報伝達システムにおける危機情報伝達処理の例を示している。バイク201-1が盗難に遭った場合、バイク201-1の車載装置211-1は、バイク201-1の異常の発生を検出する。そして、車載装置211-1は、無線通信ネットワーク204を介して、LPWA通信により危機情報を管理装置203へ送信するとともに、BLE通信により危機情報を周囲に広告する。
【0048】
危機情報は、車載装置211-1の識別情報、危機フラグ、及び車載装置211-1の位置情報331を含む。
【0049】
バイク201-1の近くを走行しているバイク201-2の車載装置211-2は、車載装置211-1から危機情報を受信する。そして、車載装置211-2は、無線通信ネットワーク204を介して、受信した危機情報をLPWA通信により管理装置203へ送信するとともに、BLE通信により危機情報を周囲に広告する。
【0050】
バイク201-1の近くを通行している通行人の携帯端末装置202-1は、車載装置211-1から危機情報を受信する。そして、携帯端末装置202-1は、無線通信ネットワーク205を介して、受信した危機情報を管理装置203へ送信する。
【0051】
バイク201-2の近くを走行しているバイク201-3の車載装置211-3は、車載装置211-2から危機情報を受信する。そして、車載装置211-3は、無線通信ネットワーク204を介して、受信した危機情報をLPWA通信により管理装置203へ送信するとともに、BLE通信により危機情報を周囲に広告する。
【0052】
バイク201-2の近くを通行している通行人の携帯端末装置202-2は、車載装置211-2から危機情報を受信する。そして、携帯端末装置202-2は、無線通信ネットワーク205を介して、受信した危機情報を管理装置203へ送信する。
【0053】
管理装置203は、車載装置211-1~車載装置211-3、携帯端末装置202-1、及び携帯端末装置202-2から危機情報を受信する。
【0054】
次に、管理装置203は、受信した危機情報に含まれる車載装置211-1の識別情報をキーとして、各車載装置211-iの識別情報と、バイク201-iの所有者の連絡先とを対応付けて記憶するデータベースを検索する。そして、管理装置203は、車載装置211-1の識別情報に対応するバイク201-1の所有者の連絡先を、データベースから取得する。
【0055】
例えば、バイク201-1の所有者の連絡先が、所有者が保持する携帯端末装置202-3のメールアドレスである場合、管理装置203は、バイク201-1の危機を知らせる電子メールを携帯端末装置202-3へ送信する。
【0056】
図2の位置情報伝達システムによれば、バイク201-iの異常の発生を検出した送信元車載装置211-iだけでなく、その近くに存在する他のバイク201-iの車載装置211-iからも危機情報が送信される。他のバイク201-iの車載装置211-iが、通信環境が変化した後に危機情報を再び送信することで、送信元車載装置211-iが危機情報の送信に失敗した場合であっても、危機情報が管理装置203に伝達される可能性が高くなる。
【0057】
また、送信元車載装置211-iと危機情報を受信した車載装置211-iとが、BLE通信により危機情報を周囲に広告することで、危機情報の伝達範囲が拡大される。これにより、送信元車載装置211-iが危機情報の送信に失敗した場合であっても、周囲の車載装置211-i又は携帯端末装置202-jを介して危機情報が管理装置203に伝達される可能性が高くなる。
【0058】
図5は、図3の車載装置211-iが行う通常モードの処理の例を示すフローチャートである。まず、制御部313は、通常モードから危機モードへ遷移する所定の契機が検出されたか否かをチェックする(S501)。
【0059】
所定の契機が検出されない場合(S501,NO)、制御部313は、LPWA通信部321を介して、通常報告を管理装置203へ送信する(S502)。
【0060】
次に、制御部313は、BLE通信部322が危機情報を受信したか否かをチェックする(S503)。BLE通信部322が危機情報を受信した場合(S503,YES)、制御部313は、受信した危機情報が一定時間内に既に受信済みの情報であるか否かをチェックする(S504)。
【0061】
受信した危機情報が一定時間内に既に受信済みの情報ではない場合(S504,NO)、制御部313は、LPWA通信部321を介して、受信した危機情報を管理装置203へ送信する(S505)。そして、制御部313は、BLE通信部322を介して、危機情報を周囲に広告する(S506)。
【0062】
次に、制御部313は、終了条件C1が満たされたか否かを判定する(S507)。終了条件C1は、危機情報を受信してから一定時間が経過したことであってもよく、危機情報を受信してからS505及びS506の処理を一定回数繰り返したことであってもよい。
【0063】
終了条件C1が満たされていない場合(S507,NO)、制御部313は、LPWA通信の通信環境の変化に関する所定の条件が満たされたか否かを判定する(S508)。所定の条件が満たされていない場合(S508,NO)、車載装置211-iは、S508の処理を繰り返す。所定の条件が満たされた場合(S508,YES)、車載装置211-iは、S505以降の処理を繰り返す。
【0064】
BLE通信部322が危機情報を受信していない場合(S503,NO)、車載装置211-iは、S501以降の処理を繰り返す。受信した危機情報が一定時間内に既に受信済みの情報である場合(S504,YES)、車載装置211-iは、S501以降の処理を繰り返す。終了条件C1が満たされた場合(S507,YES)、車載装置211-iは、S501以降の処理を繰り返す。
【0065】
所定の契機が検出された場合(S501,YES)、車載装置211-iは、通常モードから危機モードへ遷移し、危機モードの処理を行う(S509)。そして、車載装置211-iは、S501以降の処理を繰り返す。
【0066】
図6は、図5のS509における危機モードの処理の例を示すフローチャートである。まず、制御部313は、LPWA通信部321を介して、危機情報を管理装置203へ送信する(S601)。そして、制御部313は、BLE通信部322を介して、危機情報を周囲に広告する(S602)。
【0067】
次に、制御部313は、終了条件C2が満たされたか否かを判定する(S603)。終了条件C2は、所定の契機が検出されてから一定時間が経過したことであってもよく、所定の契機が検出されてからS601及びS602の処理を一定回数繰り返したことであってもよい。
【0068】
終了条件C2が満たされていない場合(S603,NO)、車載装置211-iは、S601以降の処理を繰り返す。終了条件C2が満たされた場合(S603,YES)、車載装置211-iは、危機モードの処理を終了する。
【0069】
図2の位置情報伝達システムにおいて、バイク201-iに関する異常は、盗難に限られず、事故等の他の異常であってもよい。位置情報伝達システムは、バイク201-iの代わりに、車両等の他の物体を含んでいてもよい。この場合、車両の盗難等が異常の発生として検出される。携帯端末装置202-jは、スマートフォンに限られず、タブレット又はノート型パーソナルコンピュータであってもよい。
【0070】
図2の位置情報伝達システムは、見守りサービス、行方不明者の捜索サービス等に適用することもできる。この場合、バイク201-1~バイク201-Nそれぞれに搭載された車載装置211-iの代わりに、N人の人物それぞれが保持する位置情報伝達装置が用いられる。各人物が保持する位置情報伝達装置は、図3の車載装置211-iと同様の構成を有する。
【0071】
管理装置203は、例えば、依頼者から対象者の捜索を依頼された場合に、対象者の位置情報伝達装置へ危機情報送信指示を送信し、位置情報伝達装置は、危機情報送信指示の受信を所定の契機として検出する。管理装置203は、何れかの人物の位置情報伝達装置又は携帯端末装置202-jから受信した危機情報に含まれる位置情報331を、対象者の位置情報として依頼者に提示する。
【0072】
図1及び図2の位置情報伝達システムの構成は一例に過ぎず、位置情報伝達システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。図3の車載装置211-iの構成は一例に過ぎず、位置情報伝達システムの用途又は条件に応じて、一部の構成要素を省略又は変更してもよい。
【0073】
図5及び図6に示したフローチャートは一例に過ぎず、位置情報伝達システムの構成又は条件に応じて、一部の処理を省略又は変更してもよい。
【0074】
図4に示した危機情報伝達処理は一例に過ぎず、危機情報伝達処理は、バイク201-1~バイク201-N及び携帯端末装置202-1~携帯端末装置202-Mの位置に応じて変化する。
【0075】
図7は、図1の第1位置情報伝達装置101及び第2位置情報伝達装置102と図3の車載装置211-iとして用いられる情報処理装置(コンピュータ)のハードウェア構成例を示している。図7の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)701、メモリ702、入力装置703、出力装置704、補助記憶装置705、媒体駆動装置706、及びネットワーク接続装置707を含む。これらの構成要素はハードウェアであり、バス708により互いに接続されている。
【0076】
図3の位置情報取得部311がGPSを用いて位置情報331を取得する場合、GPS受信機がバス708に接続されていてもよい。検出部312が振動センサを用いてバイク201-iの振動を検知する場合、振動センサがバス708に接続されていてもよい。
【0077】
メモリ702は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。メモリ702は、図3の記憶部315として動作してもよい。
【0078】
CPU701(プロセッサ)は、例えば、メモリ702を利用してプログラムを実行することにより、図1の位置情報取得部111及び検出部112として動作する。CPU701は、メモリ702を利用してプログラムを実行することにより、図1の判定部122としても動作する。CPU701は、メモリ702を利用してプログラムを実行することにより、図3の位置情報取得部311、検出部312、及び制御部313としても動作する。
【0079】
入力装置703は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、ユーザからの指示又は情報の入力に用いられる。出力装置704は、例えば、表示装置、プリンタ、スピーカ等であり、ユーザへの問い合わせ又は指示、及び処理結果の出力に用いられる。
【0080】
補助記憶装置705は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。補助記憶装置705は、ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)であってもよい。情報処理装置は、補助記憶装置705にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ702にロードして使用することができる。補助記憶装置705は、図3の記憶部315として動作してもよい。
【0081】
媒体駆動装置706は、可搬型記録媒体709を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬型記録媒体709は、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等である。可搬型記録媒体709は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。ユーザは、可搬型記録媒体709にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ702にロードして使用することができる。
【0082】
このように、処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、メモリ702、補助記憶装置705、又は可搬型記録媒体709のような、物理的な(非一時的な)記録媒体である。
【0083】
ネットワーク接続装置707は、無線通信ネットワーク204及び無線通信ネットワーク205を介する無線通信におけるデータ変換を行う通信インタフェース回路である。情報処理装置は、プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置707を介して受信し、それらをメモリ702にロードして使用することができる。ネットワーク接続装置707は、図1の第1通信部113、第2通信部121、又は図3の通信部314として動作してもよい。
【0084】
ネットワーク接続装置707が通信部314として動作する場合、ネットワーク接続装置707は、LPWA通信部321として動作するLPWA通信回路と、BLE通信部322として動作するBLE通信回路とを含んでいてもよい。LPWA通信回路は、LPWA通信用のアンテナを含み、BLE通信回路は、BLE通信用のアンテナを含む。
【0085】
図1の管理装置103、図2の携帯端末装置202-j及び管理装置203としては、図7と同様の情報処理装置を用いることができる。
【0086】
なお、情報処理装置が図7のすべての構成要素を含む必要はなく、用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略することも可能である。例えば、ユーザとのインタフェースが不要な場合は、入力装置703及び出力装置704を省略してもよい。可搬型記録媒体709を使用しない場合は、媒体駆動装置706を省略してもよい。
【0087】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0088】
101 第1位置情報伝達装置
102 第2位置情報伝達装置
103、203 管理装置
111、311 位置情報取得部
112、312 検出部
113 第1通信部
121 第2通信部
122 判定部
201-1~201-N バイク
202-1~202-M 携帯端末装置
204、205 無線通信ネットワーク
211-1~211-N 車載装置
313 制御部
314 通信部
315 記憶部
321 LPWA通信部
322 BLE通信部
331 位置情報
701 CPU
702 メモリ
703 入力装置
704 出力装置
705 補助記憶装置
706 媒体駆動装置
707 ネットワーク接続装置
708 バス
709 可搬型記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7