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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128187
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240913BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20240913BHJP
   H01M 8/04029 20160101ALI20240913BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20240913BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240913BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
H01M8/04029
H01M8/04 H
H01M8/249
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037043
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛広
(72)【発明者】
【氏名】松井 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】平岩 琢也
(72)【発明者】
【氏名】品川 学
(72)【発明者】
【氏名】行實 文明
(72)【発明者】
【氏名】寺口 直希
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】宇谷 卓憲
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】苗木 伸也
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H126FF10
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA59
5H127BA62
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE25
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】水素の漏洩に対する対策が容易となる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】例示的な燃料電池システムは、燃料電池モジュールおよび水素流通路が配置される第1区画と、前記第1区画に隣接され、補機が配置される第2区画と、を含む筐体を備える。前記筐体は、前記第1区画を構成する壁のうち前記第1区画と前記第2区画とを仕切る仕切壁とは異なる壁に、前記水素流通路と当該筐体の外部に配置される外部水素流通路との接続部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池モジュールおよび水素流通路が配置される第1区画と、
前記第1区画に隣接され、補機が配置される第2区画と、
を含む筐体を備え、
前記筐体は、前記第1区画を構成する壁のうち前記第1区画と前記第2区画とを区画する仕切壁とは異なる壁に、前記水素流通路と当該筐体の外部に配置される外部水素流通路との接続部を有する、燃料電池システム。
【請求項2】
前記補機には、
配電盤と、
前記燃料電池モジュールに空気を取り込む空気取込部と、
前記燃料電池モジュールに含まれる部品の冷却を行う冷却液が流れる熱交換器と、
のうち少なくともいずれか一つが含まれる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記仕切壁は、前記第1区画と前記第2区画とを気密に区画する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記仕切壁に設けられる貫通孔を通って配置される部材を備え、
前記仕切壁には、前記貫通孔と前記部材との隙間を塞ぐシール構造が設けられる、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1区画には、前記燃料電池モジュールに接続される排気路が配置され、
前記排気路は、前記燃料電池モジュールよりも下方に排気を導く流路を含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記第1区画内には、前記水素流通路を構成する配管同士を連結した配管連結部が設けられ、
前記配管連結部は、前記燃料電池モジュールよりも上方に配置される上方配管連結部を含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1区画内には、前記水素流通路を構成する配管同士を連結した配管連結部が設けられ、
前記配管連結部の周囲の少なくとも一部を覆うカバー部材を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記水素流通路は、前記燃料電池モジュールから水素を排出するベント通路を含み、
前記ベント通路に接続されるドレイン部を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記第1区画は、当該区画内を換気する換気装置、又は、前記換気装置と接続される換気装置接続部を有する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記筐体は、前記外部水素流通路を構成する内管の外周を囲む外管を取付可能に設けられ、
前記第1区画は、前記内管と前記外管との間の内部空間を介して換気用流体を供給可能に設けられる、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記第1区画内の前記接続部の水素漏れ検出可能範囲に、水素濃度検出装置が配置される、請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記第1区画は、前記第2区画の上方に配置され、
前記換気装置又は前記換気装置接続部は、前記第1区画の上壁に設けられる、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記第1区画には、前記燃料電池モジュールが有する燃料電池スタックを冷却する冷却システムに含まれるリザーブタンクが配置され、
前記リザーブタンクは、前記燃料電池スタックよりも上方に配置される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記補機には、前記燃料電池モジュールに空気を取り込む空気取込部が含まれ、
前記第2区画には、前記空気取込部が、前記第1区画に複数配置される前記燃料電池モジュールと同数配置される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記第1区画には、複数の前記燃料電池モジュールが配置され、
前記水素流通路は、前記燃料電池モジュールから水素を排出するベント通路を含み、
前記ベント通路は、前記複数の燃料電池モジュールの間で共用される共用ベント通路を含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
前記第1区画内において、前記接続部が設けられる壁と、前記燃料電池モジュールとの間に、バルブ装置が配置される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
前記第1区画は、不活性ガスを充填可能に設けられる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池システムが知られる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示される燃料電池システムは、上側に水素モジュール、下側にBOPモジュールが配置される構成となっている。水素モジュールは、燃料電池スタックを含む。BOPモジュールは、燃料電池スタックを作動するために必要となる補機を含む。特許文献1に開示される燃料電池システムにおいては、外部の水素配管から燃料電池スタックまで水素を供給する中継配管が、補機が配置される区画(補機区画)を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2022/053607号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素が流通する配管が補機区画を通る構成の場合、燃料電池システムを設置する場所に対して定められた安全規則やガイドラインに基づき、補機区画において、水素の漏洩に対する対策が必要となる可能性がある。水素の漏洩に対する対策としては、例えば、補機区画に設置する機器を水素に対する防爆構造とすることや、漏洩した水素を換気する機能を追加すること等が挙げられる。補機区画における水素の漏洩に対する対策のために、燃料電池システムの構成が複雑となったり、コストが高くなったりすることが懸念される。
【0005】
本発明は、水素の漏洩に対する対策が容易となる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な燃料電池システムは、燃料電池モジュールおよび水素流通路が配置される第1区画と、前記第1区画に隣接され、補機が配置される第2区画と、を含む筐体を備える。前記筐体は、前記第1区画を構成する壁のうち前記第1区画と前記第2区画とを仕切る仕切壁とは異なる壁に、前記水素流通路と当該筐体の外部に配置される外部水素流通路との接続部を有する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、水素の漏洩に対する対策が容易となる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】燃料電池システムの外観を示す概略斜視図
図2】燃料電池システムの内部の構成を示す概略図
図3】筐体の内部に設けられる仕切壁の構造について説明するための図
図4A】仕切壁に設けられる貫通孔およびシール構造の他の例を説明するための図
図4B】仕切壁に設けられる貫通孔およびシール構造の他の例を説明するための図
図5】ベント通路に関する変形例について説明するための模式図
図6】水素供給用接続部の周辺の概略の構成を示す図
図7】第1区画内に配置される水素流通路の構成例を示す概略図
図8A】変形例のカバー部材について説明するための図
図8B】変形例のカバー部材について説明するための図
図9】燃料電池モジュールと排気路との関係を示す概略図
図10】燃料電池システムを図1に示すA-A位置で切断した概略水平断面図
図11】第2区画の右端側の概略の構成を示す正面図
図12図1に示す燃料電池システムから着脱壁の一部を取り外した状態を示す図
図13】燃料電池システム設置区画の概略の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は同一相当部分については同一の参照符号を付し、特に必要がない場合には説明を繰り返さない。
【0010】
<1.燃料電池システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100の外観を示す概略斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100の内部の構成を示す概略図である。なお、図2において、実線、一点鎖線、および、二点鎖線の矢印は、流体通路(詳細例は配管)、および、流体通路を流体が流れる向きを示す。また、図2において、破線は、配線を示す。まず、図1および図2を参照して、燃料電池システム100の概要について説明する。
【0011】
図1に示すように、燃料電池システム100は筐体1を備える。図2に示すように、筐体1は燃料電池モジュール2を収容する。換言すると、燃料電池システム100は燃料電池モジュール2を備える。詳細には、筐体1に収容される燃料電池モジュール2の数は4つである。ただし、筐体1に収容される燃料電池モジュール2の数は、単数でも4つ以外の複数でもよい。
【0012】
燃料電池モジュール2は、燃料電池スタック2aを含んで構成される。また、燃料電池モジュール2は、昇圧コンバータ、空気供給用のコンプレッサ、および、冷却液循環用のポンプ(いずれも不図示)を含んで構成される。燃料電池スタック2aは、積層された複数のセルによって構成される。各セルは、固体高分子電解質膜と、アノード極と、カソード極と、一対のセパレータとを有する。アノード極とカソード極とは、固体高分子電解質膜を挟む。アノード極は、負極(燃料極)である。アノード極は、アノード触媒層およびガス拡散層を含む。カソード極は、正極(空気極)である。カソード極は、カソード触媒層およびガス拡散層を含む。アノード極と固体高分子電解質膜とカソード極とは、膜-電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を構成する。一対のセパレータは、膜-電極接合体を挟む。各セパレータは複数の溝を有する。一方のセパレータの各溝は、水素ガスの流路を形成する。他方のセパレータの各溝は、酸化剤ガスの流路を形成する。
【0013】
アノード極側では、水素が触媒によって水素イオンと電子とに分解される。水素イオンは固体高分子電解質膜を透過してカソード極側に移動する。一方、電子は外部回路を通ってカソード極側に移動する。これにより、電流が発生する(発電する)。カソード極側では、酸化剤ガスに含まれる酸素が、外部回路を流れてきた電子と、固体高分子電解質膜を透過した水素イオンと結合して水を生成する。生成された水は、排気に含まれて燃料電池システム100の外部に放出される。燃料電池スタックにより発電された電力は、昇圧コンバータにより昇圧されて、燃料電池システム100の外部に取り出される。
【0014】
燃料電池システム100は、安全性の観点から、水素の漏洩に対する対策が適切に施されている。また、燃料電池システム100は、水素が仮に漏洩した場合でも、漏洩した水素を安全に処理することが可能となっている。また、図1に示すように、燃料電池システム100は塩分除去装置3を備える。塩分除去装置3に関わる配置の工夫により、燃料電池システム100は、塩害を抑制することができる構成となっている。燃料電池システム100は、特に限定される趣旨ではないが、例えば船舶での利用に好適である。
【0015】
なお、燃料電池システム100が備える筐体1は、一例として直方体形状である。以下における燃料電池システム100の説明において、方向を次のように定義する。燃料電池システム100が配置される水平な床面に対して直交する方向を上下方向とし、床面に対して燃料電池システム100が配置される側を上として上下を定義する。また、筐体1の塩分除去装置3が配置される側を前側とし、筐体1の前側と反対となる側を後側として前後を定義する。上下方向および前後方向と直交する方向を左右方向とし、前方から後方に向かって左となる側を左側、右となる側を右側として左右を定義する。筐体1を上方から平面視した場合に、筐体1の長手方向は左右方向であり、短手方向は前後方向である。これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0016】
<2.燃料電池システムの詳細構成>
[2-1.区画について]
図2に示すように、筐体1は、第1区画11と第2区画12とを含む。第2区画12は、第1区画11に隣接される。詳細には、第1区画11と第2区画12とは、上下に並ぶ。第1区画11は、第2区画12の上方に配置される。なお、第1区画11と第2区画12とが上下に並ぶ構成は例示であり、他の構成であってもよい。例えば、第1区画と第2区画とは左右に並ぶ構成であってもよい。第1区画11には、燃料電池モジュール2が配置される。第2区画12には、燃料電池モジュール2の作動に関わる補機が配置される。補機については後述する。
【0017】
仕切壁13は、第1区画11と第2区画12とを区画する。仕切壁13は、第1区画11の底壁を構成する。また、仕切壁13は、第2区画12の上壁を構成する。
【0018】
なお、第1区画11は、仕切壁13の他、第1区画前壁11a、第1区画後壁11b、第1区画左壁11c、第1区画右壁11d、および、第1区画上壁11eとで構成される。第1区画前壁11aは、筐体1の前面壁1aの上部を構成する。第1区画後壁11bは、筐体1の後面壁1bの上部を構成する。第1区画左壁11cは、筐体1の左面壁1cの上部を構成する。第1区画右壁11dは、筐体1の右面壁1dの上部を構成する。第1区画上壁11eは、筐体1の上面壁1eを構成する。
【0019】
また、第2区画12は、仕切壁13の他、第2区画前壁12a、第2区画後壁12b、第2区画左壁12c、第2区画右壁12d、および、第2区画底壁12eとで構成される。第2区画前壁12aは、筐体1の前面壁1aの下部を構成する。第2区画後壁12bは、筐体1の後面壁1bの下部を構成する。第2区画左壁12cは、筐体1の左面壁1cの下部を構成する。第2区画右壁12dは、筐体1の右面壁1dの下部を構成する。第2区画底壁12eは、筐体1の底面壁1fを構成する。
【0020】
詳細には、仕切壁13は、第1区画11と第2区画12とを気密に区画する。本実施形態では、詳細は後述するように、第1区画11は水素が漏洩する可能性がある区画である。しかし、2つの区画11、12を気密に区画する仕切壁13が設けられるために、第1区画11で水素の漏洩が発生しても、第2区画12に水素が流入することを防止できる。このために、第2区画12に配置される機器を、水素に対する防爆構造とする必要性をなくすことができる。また、第2区画12に漏洩した水素を換気する機能を設ける必要性をなくすことができる。
【0021】
図3は、筐体1の内部に設けられる仕切壁13の構造について説明するための図である。図3に示すように、仕切壁13は、一部に、上下方向に貫通する貫通孔131を有する。貫通孔131は、例えば配線や配管等の部材4を通すために設けられる。すなわち、燃料電池システム100は、仕切壁13に設けられる貫通孔131を通って配置される部材4を備える。部材4は、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される。部材4には、配線および配管のうち少なくとも一方が含まれてよい。本実施形態では、部材4は、配線および配管を含む。図3に示す例において、部材4は配線41である。仕切壁13には、複数の配線41のそれぞれに対して貫通孔131が1つずつ設けられている。ただし、これは例示であり、1つの貫通孔131が、複数の配線41を纏めて通す構成であってもよい。なお、配線41には、電力線および信号線が含まれる。信号線には、制御線およびセンサ線が含まれる。
【0022】
図3に示すように、仕切壁13には、貫通孔131と部材4との隙間を塞ぐシール構造132が設けられる。シール構造132により気密性が確保され、第1区画11で水素の漏洩が発生しても、第2区画12に水素が流入することを防止できる。シール構造132は、例えばシリコーン系コーキング剤等のシーリング材を用いて構成されてよい。図3は、シーリング材を用いて気密性を確保する構成を示す。他の例として、シール構造132は、ケーブルグランドを用いて構成されてもよい。
【0023】
なお、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される部材4が配管である場合にも、配線41の場合と同様のシール構造が適用されてよい。
【0024】
図4Aおよび図4Bは、仕切壁13に設けられる貫通孔およびシール構造の他の例を説明するための図である。本実施形態の燃料電池システム100においては、配管については、図4Aおよび図4Bに示す構成が採用されている。
【0025】
図4Aは、複数の配管42を、第1区画11と第2区画12とに跨って配置させるためのアダプタ133である。アダプタ133は、複数の配管42と一体化された板状部材1331を含む。板状部材1331と複数の配管42とは単一部材を構成しており、板状部材1331と各配管42との間には隙間は存在しない。すなわち、アダプタ133は、シール構造を含んで構成される。
【0026】
なお、アダプタ133には、5つの配管42が取り付けられる。5つの配管42は、左右方向に並ぶ。最も右側の配管42aは、空気を流す配管である。右から二番目および三番目の配管42b、42cは、燃料電池モジュール2に含まれる燃料電池スタック2a用の冷却液(第1クーラント)を流す配管である。右から四番目および五番目の配管42d、42eは、燃料電池モジュール2に含まれる昇圧コンバータを含むパワエレ機器用の冷却液(第2クーラント)を流す配管である。
【0027】
図4Bは、図4Aに示すアダプタ133の仕切壁13への取付構造を示す。図4Bに示すように、アダプタ133は、仕切壁13に設けられる1つの貫通孔131Aを塞ぐように配置される。これにより、複数の配管42が、貫通孔131Aを通って第1区画11と第2区画12とに跨って配置される構成となる。アダプタ133と仕切壁13との間には、シール構造132Aを構成するシール部材1321が配置される。そして、上述のようにアダプタ133自体がシール構造を含んで構成される。このために、第1区画11から第2区画12へと水素が流入することを防止することができる。
【0028】
なお、アダプタ133に含まれる各配管42の上下方向の両端部には、第1区画11および第2区画12において、シールが施された状態でそれぞれに対応する配管が連結される。
【0029】
[2-2.第1区画について]
図2に示すように、第1区画11には、水素流通路5(太い実線)が配置される。別の言い方をすると、燃料電池システム100は、筐体1内に配置される水素流通路5を備える。詳細には、水素流通路5は、燃料電池モジュール2に水素を供給する水素供給通路51を含む。また、水素流通路5は、燃料電池モジュール2から水素を排出するベント通路52を含む。なお、水素流通路5は、複数の配管を連結することにより構成することができる。配管同士の連結部は、水素の漏洩を生じる可能性がある。この点を考慮して、第1区画11は水素漏洩対策が施されている。
【0030】
筐体1は、第1区画11を構成する壁11a~11e、13のうち仕切壁13とは異なる壁に、水素流通路5と当該筐体1の外部に配置される外部水素流通路200との接続部6(図1参照)を有する。接続部6は、水素流通路5と外部水素流通路200との接続を行う接続箇所そのものでもよいが、両者の接続を実現するための手段であってもよい。本実施形態では、接続部6は、第1区画11内に配置される水素流通路5の端部を筐体1の外部に露出或いは配置させる開口部である。当該開口部を利用して、水素流通路5と外部水素流通路200との接続を行うことができる。接続は、具体的には、配管同士の接続である。
【0031】
本実施形態では、接続部6は、第1区画右壁11dに設けられる。ただし、接続部6は、第1区画左壁11c等の、仕切壁13以外の第1区画11を構成する壁に設けられてもよい。接続部6が第1区画11を構成する仕切壁13以外の壁に設けられることにより、第2区画12に水素流通路5が配置されない構成とすることができる。すなわち、第2区画12において、水素の漏洩に対する対策を施す必要をなくすことができる。これにより、燃料電池システム100における水素の漏洩に対する対策を容易とすることができる。
【0032】
外部水素流通路200も、筐体1の内部に配置される水素流通路5と同様に、水素供給用の通路である外部水素供給通路201と、水素排気用の通路である外部ベント通路202とを含む。これに対応して、接続部6も、水素供給通路51と外部水素供給通路201とを接続するための水素供給用接続部61と、ベント通路52と外部ベント通路202とを接続するためのベント用接続部62とを有する(図1参照)。本実施形態では、水素供給用接続部61およびベント用接続部62は、第1区画11を構成する同一の壁(第1区画右壁11d)に設けられている。ただし、これは例示であり、水素供給用接続部61とベント用接続部62とは、第1区画11を構成する互いに異なる壁に設けられてもよい。
【0033】
本実施形態では、第1区画11には、複数の燃料電池モジュール2が配置される。複数の燃料電池モジュール2は、左右方向に並んで配置される。第1区画11内に配置される燃料電池モジュール2の数は、詳細には4つである。外部水素供給通路201から筐体1内の水素供給通路51内に入った水素は、バルブ装置53を介して、水素供給通路51を4つに分岐する分岐部56に至る。分岐部56において、水素は、各燃料電池モジュール2に対して専用に設けられた4つの水素供給通路51に分配される。そして、分配された水素は、各燃料電池モジュール2へと供給される。
【0034】
以上の説明からわかるように、接続部6を利用して外部水素供給通路201と接続される第1区画11内の水素供給通路51の数は、1つである。すなわち、本実施形態では、接続部6が設けられる位置において、第1区画11内の水素供給通路51は、複数の燃料電池モジュール2ごとに設けられるのではなく、複数の燃料電池モジュール2の間で共通化が図られている。このような共通化が行われることで、接続部6の数を少なくすることができる。そして、接続部6の数が少なくされることにより、第1区画11の密閉性(シール性)を高めることができる。
【0035】
なお、バルブ装置53は、燃料電池モジュール2への水素の供給を遮断する遮断弁を含む。また、バルブ装置53は、燃料電池モジュール2への水素の供給を遮断した場合に、ベント通路52に水素を逃がすブリード弁を含む。本実施形態では、第1区画11内において、接続部6が設けられる壁(第1区画右壁11d)と、燃料電池モジュール2との間に、バルブ装置53が配置される。バルブ装置53は、詳細には、第1区画右壁11dと燃料電池モジュール2との左右方向間に配置される。このような位置にバルブ装置53が配置されるために、接続部6を燃料電池モジュール2から離した位置に配置することができる。接続部6或いはその近傍においては、水素を流す配管同士の接続が行われるために、水素の漏洩が起こる可能性が他の部分に比べて高くなり易い。この点、本実施形態では、接続部6が燃料電池モジュール2から離れた位置に配置されるために、漏洩した水素が燃料電池モジュール2に到達する可能性を低減することができる。すなわち、安全性を向上することができる。
【0036】
ベント通路52は、複数の燃料電池モジュール2の間で共用される共用ベント通路521を含む。各燃料電池モジュール2から排出される水素は、共用ベント通路521に送られる。このように構成すると、ベント通路52と外部ベント通路202とを接続するベント用接続部62の数を最小限とすることができる。本実施形態では、共用ベント通路521が設けられるために、ベント用接続部62の数は1つになっている。ベント用接続部62は、共用ベント通路52の端部を筐体1の外部に露出或いは配置させる開口部である。なお、以上に説明する構成は好ましい構成にすぎず、燃料電池モジュール2ごとに別々のベント通路を設けて、別々に筐体1の外部に排出する構成としてもよい。
【0037】
図5は、ベント通路52に関する変形例について説明するための模式図である。図5に示すように、燃料電池システム100は、ベント通路52に接続されるドレイン部57を備える構成としてよい。ドレイン部57は、詳細には、ベント通路52に繋がるドレイン通路、および、ドレイン水を排出するドレイン弁を含む。ドレイン部57が設けられることにより、ベント通路52内で発生した凝縮水が燃料電池モジュール2の燃料電池スタック2aへと逆流することを防止することができる。この結果、燃料電池システム100における故障の発生を低減することができる。
【0038】
図5に示す例では、ドレイン部57は、筐体1の外部に設けられる。ただし、ドレイン部57は、筐体1の内部に設けられてもよい。また、ベント通路52と接続されるドレイン部57の数は、1つでもよいが、複数でもよい。ドレイン部57は、ベント通路52の端部だけでなく、ベント通路52の途中部分に設けられてもよい。
【0039】
以上のように、第1区画11には、複数の配管を連結して構成された水素流通路5が配置されるために、水素が漏洩する可能性が存在する。このために、第1区画11には、水素の漏洩対策として換気を可能とする構成が設けられる。第1区画11は、換気用の吸気口111および排気口112が設けられる(図1図2参照)。換気は、空気の入れかえを行うことを指す文言との解釈でもよいが、例えば窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの入れかえを行うことを指す文言と解釈されてもよい。これに関連して、第1区画11は、不活性ガスを充填可能に設けられてよい。このような構成とすると、第1区画11で水素の漏洩が生じた際に、漏洩した水素が第1区画11内で酸素と反応を起こす可能性を低く抑えることができる。
【0040】
吸気口111は、第1区画11を構成する壁11a~11e、13のうち、仕切壁13を除く少なくとも一つの壁に設けられてよい。本実施形態では、吸気口111は、第1区画右壁11dに設けられる。第1区画右壁11dに設けられる吸気口111は、当該壁を左右方向に貫通する貫通孔である。吸気口111から換気用流体(例えば空気、窒素ガス、アルゴンガス等)が、第1区画11内に供給される。吸気口111には、換気用流体を供給するための配管が取り付けられる。
【0041】
なお、本実施形態では、接続部6を構成する開口部が、換気用流体の入口としての機能を有する。すなわち、接続部6を構成する開口部が吸気口としての機能を有する。これに関わる構成について、接続部6が水素供給用接続部61である場合を例に説明する。なお、説明は省略するが、接続部6がベント用接続部62である場合も、同様の構成が採用されてよい。
【0042】
図6は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100が備える水素供給用接続部61の周辺の概略の構成を示す図である。水素供給用接続部61は開口部APであり、当該開口部APを利用して水素供給通路51を構成する配管51Pと、外部水素供給通路201を構成する配管201Pとが接続される。2つの配管51P、201Pが接続された状態で、水素供給用接続部61を構成する開口部APは、その全体が塞がれず、当該開口部APを介して第1区画11の内部は、筐体1の外部と連通している。
【0043】
外部水素供給通路201を構成する配管201Pの周囲には、当該配管201Pを囲むように外管203が配置される。換言すると、外部水素供給通路201を構成する配管201Pは、外管203の内側に配置される。以下、図6の説明に際して、外部水素供給通路201を構成する配管201Pのことを内管201Pと呼ぶ。
【0044】
筐体1は、外部水素流通路200(一例として外部水素供給通路201)を構成する内管201Pの外周を囲む外管203を取付可能に設けられる。外管203は、例えば螺子を利用して筐体1に取り付けられる。外管203は、水素供給用接続部61を構成する開口部APを囲む。外管203の内径は、開口部APの直径よりも大きい。内管201Pと外管203との間に形成される内部空間204は、開口部APを介して第1区画11の内部と連通する。内部空間204には、換気用流体を流すことが可能となっている。すなわち、第1区画11は、内管201Pと外管203との間の内部空間204を介して換気用流体を供給可能に設けられる。
【0045】
内部空間204を利用して換気用流体を第1区画11内に供給することができるために、上述した吸気口111のサイズを小さくすることができる。また、場合によっては、吸気口111を設けない構成とすることができる。また、内管201Pから水素が漏洩した場合でも、漏洩した水素を換気用流体と共に内部空間204から第1区画11内に送り、安全に水素を外部に排出することができる。第1区画11からの換気用流体の排出については以下で説明する。
【0046】
なお、図6に示すように、第1区画11内の接続部6の近傍に、水素濃度検出装置50が配置されることが好ましい。接続部6の近傍は、詳細には、水素漏れ検出範囲である。このように構成すると、2つの配管51P、201Pの接続箇所や、内管201Pから水素が漏洩したことを速やかに検出することができる。水素の漏洩を速やかに検出して、燃料電池システム100の動作を速やかに停止することができる。
【0047】
第1区画11は、当該区画内を換気する換気装置、又は、換気装置と接続される換気装置接続部を有する。本実施形態では、図1および図2に示すように、第1区画11は、換気装置300と接続される換気装置接続部113を有する。換気装置接続部113は、排気口112を含んで構成される。換気装置300は、排気口112に対して換気用流体の流れの下流側に配置される。換気装置300は、第2区画12を除くエリアに換気用流体を排出する。換気装置300の駆動により、第1区画11内の流体は、排気口112を介して第1区画11の外部へと排出される。第1区画11内で水素が漏洩した場合であっても、第2区画12に水素が漏れ込まないように、換気用流体と共に水素を筐体1の外部に排出することができる。
【0048】
詳細には、排気口112は、第1区画上壁11e(筐体1の上面壁1e)に設けられる。すなわち、換気装置接続部113は、第1区画11の上壁である第1区画上壁11eに設けられる。水素が漏洩した場合でも、燃料電池モジュール2の上方に水素を誘導すればよいために、水素の排出を行い易くすることができる。
【0049】
なお、第1区画11が換気装置300を有する構成とする場合には、換気装置300は、排気口112に対して換気用流体の流れの下流側に配置される構成とすればよい。この場合も、換気装置300は、第1区画11の上壁である第1区画上壁11eに設けられることが好ましい。
【0050】
第1区画11内においては、漏洩した水素が排気口112から排出され易くする工夫が施されている。図7は、第1区画11内に配置される水素流通路5の構成例を示す概略図である。図7に示すように、第1区画11内には、水素流通路5を構成する配管5P同士を連結した配管連結部54が設けられる。
【0051】
本実施形態では、配管連結部54は、燃料電池モジュール2よりも上方に配置される上方配管連結部541を含む。配管連結部54は、水素の漏洩が生じる可能性があるが、上方配管連結部541とすることによって、漏洩した水素が燃料電池モジュール2の方向に流れることを抑制することができる。すなわち、安全性を向上することができる。
【0052】
なお、燃料電池システム100に複数の配管連結部54が設けられる場合、全ての配管連結部54が上方配管連結部541とされることが好ましい。ただし、複数の配管連結部54のうちの少なくとも一部が、上方配管連結部541でない構成としてもよい。
【0053】
燃料電池システム100は、配管連結部54の少なくとも一部を覆うカバー部材を備える。カバー部材が設けられる構成とすると、拡散性の高い水素が配管連結部54から漏洩した場合において、第1区画11内における水素の拡散を抑制することができる。図7に示す例では、左右方向に延びる2つの配管5P同士を連結する配管連結部54の下方に配置される板状部材55が、配管連結部54の一部を覆うカバー部材に相当する。下方に配置される板状部材55(カバー部材)によって漏洩した水素の燃料電池モジュール2の方向への拡散を防ぎ、漏洩した水素が部品の陰に滞留することを抑制することができる。
【0054】
図8Aおよび図8Bは、変形例のカバー部材55Aについて説明するための図である。図8Aは、側面図であり、一点鎖線は内部の構造を示す。図8Bは、上面図である。変形例において、連結される2つの配管5Pは、上下に延びる。配管連結部54は、上方の配管5Pの下端に設けられるフランジ部5Fと、下方の配管5Pの上端に設けられるフランジ部5Fにより構成される。カバー部材55Aは、上下に延びる筒状であり、配管連結部54の周囲に配置される。カバー部材55Aは、配管連結部54の周囲全体を覆う。筒状のカバー部材55Aの内部には、内方に向けて突出する爪部551が複数設けられる。爪部551が配管連結部54に引っ掛かり、カバー部材55Aは配管連結部54に支持される。このような構成においても、漏洩した水素の拡散を防止することができる。
【0055】
その他、第1区画11には、排気路7およびリザーブタンク8が配置される(図2参照)。なお、図2において、排気路7は、細い二点鎖線で示される。
【0056】
排気路7は、燃料電池モジュール2に接続される。排気路7は、詳細には排気管である。排気路7は、燃料電池モジュール2の排気の流通に利用される。排気には、例えば、発電時に生じた水蒸気と、燃料電池モジュール2に供給されたものの使用されなかった酸素および窒素と、燃料電池スタック2aのアノード経路から適時パージ排出される水素とが含まれる。本実施形態では、第1区画11に配置される4つの燃料電池モジュール2のそれぞれに別々の排気路7が接続される。すなわち、第1区画11には、4つの排気路7が配置される。4つの排気路7は、第1区画11内に配置される排気路集合部71に連結される。排気路集合部71は、第1区画11の右端部に配置される。4つの排気路7における排気は、排気路集合部71で一纏めとされ、1つの末端排気路72(図1参照)により第1区画11の外部に放出される。なお、排気集合部71は、第1区画11の外側に設置されてもよい。また、排気集合部71は設置せず、各排気路7の出口をそれぞれ直接第1区画11の外側の外部排気路に接続してもよい。
【0057】
なお、図1に示すように、末端排気路72の先端(右端)は、第1区画右壁11dから外部に突出する。末端排気路72の先端には、外部排気路(不図示)が接続され、燃料電池モジュール2における排気を適所に放出する。
【0058】
図9は、燃料電池モジュール2と排気路7との関係を示す概略図である。図9に示すように、排気路7は、燃料電池モジュール2よりも下方に排気を導く流路を含む。排気を下方に導く流路は、排気路7に下方に延びる部分7aを形成することで得られる。下方に延びる部分7aは、必ずしも上下方向と平行である必要はなく、上下方向に対して傾いていてもよい。排気を下方に導く流路が設けられることにより、排気路7内で生成された凝縮水が燃料電池スタック2aに逆流することを防止することができる。すなわち、燃料電池システム100の故障の発生を抑制することができる。
【0059】
リザーブタンク8は、燃料電池モジュール2用に設けられる冷却システムCSに含まれる(図2参照)。詳細には、燃料電池モジュール2用に設けられる冷却システムCSは、第1冷却システムCS1と第2冷却システムCS2とを含む。このために、詳細には、リザーブタンク8には、第1冷却システムCS1が有する第1リザーブタンク81と、第2冷却システムCS2が有する第2リザーブタンク82とが含まれる。
【0060】
第1冷却システムCS1は、燃料電池モジュール2が有する燃料電池スタック2aを冷却する冷却システムである。すなわち、第1区画11には、燃料電池モジュール2が有する燃料電池スタック2aを冷却する冷却システムCS1に含まれるリザーブタンク81が配置される。第1冷却システムCS1は、燃料電池モジュール2に含まれるポンプ(不図示)の駆動により、燃料電池スタック2aを冷却する第1クーラントを循環させる。なお、前述のポンプは、燃料電池モジュール2の外に配置されてもよい。第1リザーブタンク81は、必要に応じて、第1クーラントを溜めたり、排出したりする。
【0061】
第1リザーブタンク81は、燃料電池スタックよりも上方に配置される。このために、不具合により第1クーラントに水素が含有された場合でも、水素を燃料電池スタック2aよりも高い位置に逃がすことができる。なお、第1冷却システムCS1は、燃料電池モジュール2ごとに設けられる。このために、本実施形態にでは、第1区画11には、4つの第1リザーブタンク81が配置される。
【0062】
図2に示すように、各第1リザーブタンク81は、エア抜き管811(細い実線)と繋がっている。また、図1に示すように、エア抜き管811の端部は、第1区画右壁11dにおいて開口部(不図示)を介して外部に露出する。不具合によって第1クーラントに水素が含有された場合でも、エア抜き管811を介して第1区画11の外部に水素を排出することができる。
【0063】
第2冷却システムCS2は、燃料電池モジュール2が有するパワエレ機器を冷却する冷却システムである。すなわち、第1区画11には、燃料電池モジュール2が有するパワエレ機器を冷却する冷却システムCS2に含まれるリザーブタンク82が配置される。第2冷却システムCS2は、燃料電池モジュール2に含まれるポンプ(不図示)の駆動により、パワエレ機器を冷却する第2クーラントを循環させる。なお、前述のポンプは、燃料電池モジュール2の外に配置されてもよい。第2リザーブタンク82は、必要に応じて、第2クーラントを溜めたり、排出したりする。
【0064】
なお、第2冷却システムCS2は、燃料電池モジュール2ごとに設けられる。このために、本実施形態では、第1区画11には、4つの第2リザーブタンク82が配置される。
【0065】
[2-3.第2区画について]
上述のように、第2区画12には、燃料電池モジュール2の作動に関わる補機が配置される。補機には、配電盤と、燃料電池モジュール2に空気を取り込む空気取込部と、燃料電池モジュール2に含まれる部品の冷却を行う冷却液が流れる熱交換器とのうち少なくともいずれか一つが含まれる。
【0066】
図2に示すように、本実施形態においては、補機には、空気取込部9、熱交換器10、および、配電盤20が含まれる。すなわち、燃料電池システム100は、空気取込部9と、熱交換器10と、配電盤20とを備える。筐体1は、空気取込部9と、熱交換器10と、配電盤20とを収容する。
【0067】
空気取込部9は、詳細には、燃料電池スタック2aが有する空気極に供給される空気を取り込む。本実施形態では、第2区画12に、空気取込部9が配置される。すなわち、空気取込部9は、水素の漏洩が生じない区画に配置される。このために、水素を含む空気が空気取込部9から取り込まれるという事態を防止できる。この結果、水素を含んだ空気が燃料電池スタックの空気極に供給されることを防止できる。
【0068】
詳細には、第2区画12には、空気取込部9が、第1区画11に複数配置される燃料電池モジュール2と同数配置される。本実施形態では、燃料電池モジュール2の数は4つであり、空気取込部9の数も4つである。本実施形態では、空気取込部9が複数の燃料電池モジュール2の間で共有されるのではなく、空気取込部9が燃料電池モジュール2ごとに設けられる構成となっている。このために、複数の燃料電池モジュール2のいずれかに不具合が生じた場合に、全ての燃料電池モジュール2を停止する必要がなく、不具合が生じていない燃料電池モジュール2を稼働させ続けることができる。
【0069】
空気取込部9は、詳細にはフィルタを含んで構成される。空気取込部9には、空気を流す空気配管421(図2において太い二点鎖線で示される)が接続される。空気配管421は、アダプタ133(図4A参照)に設けられる配管42aを含んで構成され、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される。燃料電池モジュール2に含まれるコンプレッサが作動することにより、空気取込部9から取り込まれた空気は、燃料電池モジュール2に含まれる燃料電池スタック2aの空気極に供給される。
【0070】
本実施形態では、第2区画12に、熱交換器10が配置される。容積が大きい熱交換器10が第2区画12に配置されることにより、第1区画11の容積の増加を抑制することができる。第1区画11の容積の増加を抑制することにより、換気装置300の大型化を抑制することができる。
【0071】
熱交換器10は、燃料電池モジュール2用に設けられる冷却システムCSを構成する。上述のように、本実施形態においては、冷却システムCSは、第1冷却システムCSと第2冷却システムCSとを含む。このために、詳細には、熱交換器10は、第1冷却システムCS1を構成する第1熱交換器101と、第2冷却システムCS2を構成する第2熱交換器102とを含む。第1熱交換器101および第2熱交換器102は、燃料電池モジュール2ごとに設けられる。すなわち、第2区画12には、4つの第1熱交換器101と、4つの第2熱交換器102とが配置される。
【0072】
第1熱交換器101は、第1クーラントと、筐体1の外部から供給される第3クーラントとの間で熱交換を行う。
【0073】
第1クーラントは、第1熱交換器101と燃料電池モジュール2に含まれるポンプとを接続する第1クーラント配管422を利用して、燃料電池スタック2aから第1熱交換器101へと送られる共に、第1熱交換器101から燃料電池スタック2aに戻される。なお、第1クーラント配管422は、アダプタ133(図4A参照)に設けられる配管42b、42cを含んで構成され、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される。第1クーラント配管422は、図2おいて細い一点鎖線で示されている。
【0074】
第3クーラントは、第2区画12内に配置される第3クーラント配管424を用いて、筐体1の外部から第1熱交換器101に供給されると共に、第1熱交換器101から筐体1の外部へと排出される。第2区画右壁12dには、図1に示すように、第3クーラントの供給および排出を行うための第3クーラント配管424を外部の配管と接続するための接続口121が設けられる。なお、第3クーラント配管424への第3クーラントの供給は、筐体1の外部に配置される装置が利用される。第3クーラントは、特に限定する趣旨ではないが、海水であってよい。第3クーラント配管424は、図2において太い一点鎖線で示されている。
【0075】
第2熱交換器102は、第2クーラントと、筐体1の外部から供給される第3クーラントとの間で熱交換を行う。第3クーラントの供給と排出を行う設備は、第1熱交換器101と共用される。
【0076】
第2クーラントは、第2熱交換器102と燃料電池モジュール2に含まれるポンプとを接続する第2クーラント配管423を利用して、パワエレ機器から第2熱交換器102へと送られる共に、第2熱交換器102からパワエレ機器に戻される。なお、第2クーラント配管423は、アダプタ133(図4A参照)に設けられる配管42d、42eを含んで構成され、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される。第2クーラント配管423は、図2おいて細い一点鎖線で示されている。
【0077】
第3クーラントは、第2区画12内に配置される第3クーラント配管424を用いて、筐体1の外部から第2熱交換器102に供給されると共に、第2熱交換器102から筐体1の外部へと排出される。
【0078】
本実施形態では、第2区画12に、配電盤20が配置される。すなわち、配電盤20は、水素の漏洩が生じない区画に配置される。第1区画11で水素の漏洩が生じても、漏洩した水素が配電盤20と接触することを防止できる。詳細には、配電盤20は、第2区画12の右端部に配置される。第2区画右壁12dには、配電盤20と接続される電線を配置する電線配置部122が設けられる。電線配置部122は、詳細には、筐体1の内部から外部に電線を取り出したり、外部から内部へと電線を入れたりする部分である。また、電線配置部122は、筐体1の内部の電線と、外部の電線を接続する部分であってもよい。電線配置部122は、電線を通す開口や、電線を接続するコネクタ等で構成されてよい。
【0079】
配電盤20には、各種の端子およびリレーが含まれる。各種の端子には、例えば、燃料電池モジュール2で発電した電力が流れる電力線411(図2の太い破線)と接続される端子が含まれる。なお、電力線411は、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される配線41(図3参照)に含まれる。また、各種の端子には、燃料電池モジュール2との制御を行う制御線412(図2の細い破線)と接続される端子が含まれる。なお、制御線412は、第1区画11と第2区画12とに跨って配置される配線41(図3参照)に含まれる。その他、各種の端子には、圧力センサや温度センサ等のセンサと繋がるセンサ線と接続される端子が含まれる。また、各種の端子には、外部の制御装置と通信を行う通信線と繋がる端子等が含まれる。
【0080】
なお、外部の制御装置は、燃料電池システム100を制御する制御装置である。本実施形態では、当該制御装置は、筐体1の外部に配置される。ただし、当該制御装置は、配電盤20内に配置されてもよい。配電盤20内に配置される制御装置を、外部からリモートで制御してもよい。
【0081】
図10は、燃料電池システム100を図1に示すA-A位置で切断した概略水平断面図である。図10に示すように、本実施形態では、塩分除去装置3は、第2区画前壁12aに設置される。ただし、塩分除去装置3は、第2区画12を構成する壁12a~12e、13のうち、仕切壁13を除く壁に設けられてよい。
【0082】
塩分除去装置3は、塩分除去フィルタ3aを含む。塩分除去フィルタ3aは、詳細には矩形板状である。図1に示すように、第2区画前壁12aには、塩分除去フィルタ3aを介して第2区画12内に空気を取り込むことを可能とする窓部123が設けられる。窓部123および塩分除去フィルタ3aを介して、第2区画12内に空気が取り込まれる。第2区画12内には、塩分除去フィルタ3aにより塩分が除去された空気が取り込まれる。
【0083】
詳細には、燃料電池システム100には、塩分除去装置3が複数配置される。塩分除去装置3は1つでもよいが、複数の塩分除去装置3が配置されることにより、各塩分除去装置3の負担を低減することができる。この結果、塩分除去装置3のメンテナンス間隔を長くしたり、塩分除去フィルタ3aの交換頻度を低減したり、塩害除去装置3を通過する空気の圧力損失を低減したりすることができる。より詳細には、塩分除去装置3は、左右方向に並んで4つ配置される。第2区画前壁12aに設けられる窓部123も、左右方向に並んで4つ配置される。なお、本実施形態のように、複数の塩分除去装置3は、筐体1の同一の側面に配置されることが好ましいが、場合によっては、複数の塩分除去装置3は、筐体1の異なる側面に配置されてもよい。
【0084】
第2区画12において、塩分除去フィルタ3aと空気取込部9との間に、燃料電池モジュール2の作動に関わる補機、および、配管のうち少なくとも一方が配置される。図10に示すように、本実施形態では、塩分除去フィルタ3aと空気取込部9との間に、補機および配管42が配置される。両者3a、9の間に配置される補機は、熱交換器10である。詳細には、両者3a、9の間に配置される補機は、箱形状の第1熱交換器101および第2熱交換器102である。好ましい形態として、筐体1を正面から見た場合(前後方向から見た場合)に、塩分除去フィルタ3aと熱交換器10とは重なる位置に配置される。
【0085】
塩分除去フィルタ3aと空気取込部9との間に補機10や配管42が配置されることにより、塩分除去フィルタ3aを通過した空気が直線的に空気取込部9に向かうことを抑制できる。この場合、塩分除去フィルタ3aにおける空気の通り道が一部に集中することを抑制できるので、塩分除去フィルタ3aが局所的に目詰まりを起こすことを抑制できる。また、箱形状の熱交換器10が塩分除去フィルタ3aと空気取込部9との間に配置されることにより、塩分除去フィルタ3aを通過した空気が直線的に空気取込部9に向かうことを抑制する効果を高めることができる。
【0086】
また、図10に示すように、第2区画12には、電気系部品30が配置される。電気系部品30は、例えばリレーである。電気系部品30は、塩分除去装置3よりも後方に配置される空気取込部9の更に後方に配置される。第2区画12における空気の流れの主流は、塩分除去装置3から空気取込部9へと至る流れである。電気系部品30が空気取込部9よりも更に後方に配置される構成では、電気系部品30は空気の流れの主流から外れる。このために、塩分除去装置3で塩分を除去しきれなかった場合でも、電気系部品30に塩害が及ぶ可能性を低くすることができる。
【0087】
なお、塩分除去装置3で塩分を十分に除去しきれなかった場合でも、空気取込部9にはフィルタが含まれるために、塩分濃度が十分に下げられた空気が燃料電池モジュール2へ供給される。
【0088】
図11は、第2区画12の右端側の概略の構成を示す正面図である。図11では、筐体1の前面壁1aの一部を便宜的に取り除くことにより、第2区画12の右端部が露出された状態になっている。図10および図11に示すように、第2区画12には、筐体1の前面壁1a(第1外面壁)からの正面視において、塩分除去装置3および空気取込部9に対して左右方向の一方側にオフセットされた配電盤20が配置される。詳細には、配電盤20は、塩分除去装置3および空気取込部9に対して右側にオフセットされる。より詳細には、配電盤20は、4つの塩分除去装置3のうちの最も右側の塩分除去装置3、および、4つの空気取込部9のうちの最も右側の空気取込部9に対して右側にオフセットされる。
【0089】
このような構成では、配電盤20を、塩分除去装置3から空気取込部9へと向かう空気の流れから離れた位置に配置することができる。このために、塩分除去装置3によって除去しきれなかった僅かな塩分によって配電盤20が塩害を受ける可能性を低減することができる。
【0090】
[2-4.その他]
以上からわかるように、筐体1は、空気取込部9よりも空気の流れの上流に位置する塩分除去装置3が配置される第1外面壁(詳細例は前面壁1a)を有する(例えば図1参照)。また、筐体1は、電線が配置される電線配置部122が設けられる第2外面壁(詳細例は右面壁1d)を有する。電線配置部122から筐体1の外部に取り出された電線は、外部の制御装置や、外部の電力使用部品に接続される。
【0091】
筐体1の周辺においては、設置場所にも依存するが、塩分除去装置3の周辺を通過する空気の流量は、塩分除去装置3の周辺以外を通過する空気の流量よりも多くなり易い。このため、塩分除去装置3の周辺の方が、塩分除去装置3の周辺以外よりも塩害の進行が速くなり易い。本実施形態では、電線配置部122は、筐体1の、塩分除去装置3が設けられる外面壁(前面壁1a)と異なる外面壁(右面壁1d)に設けられる。このために、電線配置部122は、筐体周辺の空気の流れが少ない部分に位置する。この結果、電線配置部122から筐体1の外部に取り出された電線を、比較的塩分濃度が低い位置に配置することができ、電線が塩害を受ける可能性を低くすることができる。
【0092】
本実施形態では、筐体1の第2外面壁(右面壁1d)には、水素流通路5と、筐体1の外部に配置される外部水素流通路200とを接続する接続部6が設けられる。すなわち、本実施形態では、筐体1の1つの外面壁に、燃料電池システム100と接続される外部配管や外部配線を集めることができる。
【0093】
詳細には、筐体1の第2外面壁(右面壁1d)において、電線配置部122は、接続部6よりも下方に配置される。これにより、接続部6と電線配置部122とを異なる区画を構成する壁に設けることができる。詳細には、接続部6は、第2外面壁のうち第1区画11を構成する壁に設けられ、電線配置部122は、第2外面壁のうち第2区画12を構成する壁に設けられる構成とすることができる。これにより、水素の漏洩対策が適切に施された燃料電池システム100を、構造を複雑とすることなく形成することができる。
【0094】
本実施形態では、塩分除去装置3が配置される第1外面壁(前面壁1a)は、着脱可能な着脱壁を有する。図12は、図1に示す燃料電池システム100から着脱壁の一部を取り外した状態を示す図である。図12に示すように、着脱壁には、第1区画着脱壁110と第2区画着脱壁120とが含まれる。
【0095】
第2区画着脱壁120は、第2区画12を構成する壁である。すなわち、第1外面壁(前面壁1a)は、第2区画12を構成する壁であって着脱可能な第2区画着脱壁120を含んで構成される。第1外面壁が前面壁1aである本実施形態の構成において、第2区画着脱壁120は、第2区画前壁12aそのものであってもよいが、第2区画前壁12aの一部であってもよい。本実施形態においては、第2区画着脱壁120は、第2区画前壁12aの一部である。
【0096】
詳細には、第2区画前壁12aは、複数の第2区画着脱壁120を含む。より詳細には、第2区画前壁12aは、4つの第2区画着脱壁120を含む。複数の第2区画着脱壁120は、左右方向に並ぶ。図12に示す例では、左から右に向かって三番目の第2区画着脱壁120が取り外された状態になっている。第2区画着脱壁120は、例えば、ねじを用いて着脱可能に筐体1に取り付けられるが、他の着脱可能な手段で筐体1に取り付けられてもよい。
【0097】
本実施形態では、塩分除去装置3は、第2区画着脱壁120に取り付けられる。第2区画着脱壁120には、塩分除去フィルタ3aを介して第2区画12内に空気を取り込むことを可能とする窓部123が設けられる。第2区画着脱壁120に塩分除去装置3が取り付けられるために、第2区画着脱壁120を取り外すことによって、塩分除去装置3を第2区画12から取り出すことができる。すなわち、塩分除去装置3のメンテナンスを容易とすることができる。
【0098】
第1区画着脱壁110は、第1区画11を構成する壁である。すなわち、第1外面壁(前面壁1a)は、第1区画11を構成する壁であって着脱可能な第1区画着脱壁110を含んで構成される。第1外面壁が前面壁1aである本実施形態の構成において、第1区画着脱壁110は、第1区画前壁11aそのものであってもよいが、第1区画前壁11aの一部であってもよい。本実施形態においては、第1区画着脱壁110は、第1区画前壁11aの一部である。
【0099】
詳細には、第1区画前壁11aは、複数の第1区画着脱壁110を含む。より詳細には、第1区画前壁11aは、5つの第1区画着脱壁110を含む。複数の第1区画着脱壁110は、左右方向に並ぶ。図12に示す例では、左から右に向かって三番目の第1区画着脱壁110が取り外された状態になっている。第1区画着脱壁110は、例えば、ねじを用いて着脱可能に筐体1に取り付けられるが、他の着脱可能な手段で筐体1に取り付けられてもよい。また、第1区画着脱壁110は、筐体1に取り付けられた状態で、第1区画11から水素ガスが漏れないようにシールされている。
【0100】
第1区画着脱壁110が設けられることにより、第1区画11内のメンテナンスを容易とすることができる。また、第1区画着脱壁110が第2区画着脱壁120と別に設けられるために、第2区画12と分けて第1区画11だけを点検することができる。仮に、燃料電池システム100の稼働中に第1区画11を点検する必要が生じた場合、第2区画着脱壁120は取り外すことなく、第1区画着脱壁110のみを外して点検を行うことができる。このために、空気取込部9から塩分を含んだ空気が燃料電池モジュール2に供給されることを抑制することができる。
【0101】
<3.燃料電池システムの設置区画>
次に、燃料電池モジュール2と塩分除去装置3とが配置された筐体1を有する燃料電池システム100の設置区画について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム設置区画400の概略の構成を示す斜視図である。図13に示すように、燃料電池システム設置区画400は、床面401と縦壁402とを備える。
【0102】
床面401には、筐体1が配置される。詳細には、床面401は水平である。筐体1は、底面壁1fを床面401に対向させて燃料電池システム設置区画400に配置される。縦壁402は、床面401から上方に延びる。本実施形態では、床面401と縦壁402とは、互いに直交する。
【0103】
筐体1は、第1外面壁と、第2外面壁と、第3外面壁とを有する。本実施形態では、第1外面壁は、塩分除去装置3が配置される前面壁1aである。第2外面壁は、電線が配置される電線配置部122が設けられる右面壁1dである。第3外面壁は、第1外面壁である前面壁1aと対向する後面壁1bである。
【0104】
第3外面壁である後面壁1bは、縦壁402に沿って配置される。詳細には、後面壁1bは、縦壁402と平行であるとともに、縦壁402と対向する。後面壁1bは、縦壁402に接近して配置される。また、第2外面壁である右面壁1dは、床面401および縦壁402と直交する向きに配置される。
【0105】
このような構成とすると、筐体1の、縦壁402がある側とは反対側に塩分除去装置3が配置される壁(前面壁1a)が配置されることになる。このために、壁に邪魔されることなく、空気取込部9に適切に空気を供給することができる。また、塩分除去装置3が配置される面とは異なる面に、電線配置部122が配置されるために、電線が塩害を受け難くすることができる。
【0106】
なお、電線配置部122が設けられる第2外面壁は、筐体1の左面壁1cとされてもよい。この場合、水素の供給や排気を行うための外部配管、燃料電池モジュール2で生成される水を含む排気を行うための外部配管、冷却液を供給するための外部配管も、左面壁1c側に配置される構成としてよい。そして、この場合、筐体1内に配置されるバルブ装置53および配電盤20の配置を右端部から左端部に替える構成とし、これに合わせて、筐体1内の配管や配線の構成を適宜変更すればよい。
【0107】
また、図13に示す構成において、筐体1の左面壁1cは、床面401から上方に延び、縦壁402と共に角(コーナー)を形成する他の縦壁403に接近して配置されてもよい。
【0108】
<4.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0109】
<5.付記>
例示的な本発明の燃料電池システムは、燃料電池モジュールおよび水素流通路が配置される第1区画と、前記第1区画に隣接され、補機が配置される第2区画と、を含む筐体を備え、前記筐体は、前記第1区画を構成する壁のうち前記第1区画と前記第2区画とを区画する仕切壁とは異なる壁に、前記水素流通路と当該筐体の外部に配置される外部水素流通路との接続部を有する構成(第1の構成)であってよい。
【0110】
上記第1の構成の燃料電池システムにおいて、前記補機には、配電盤と、前記燃料電池モジュールに空気を取り込む空気取込部と、前記燃料電池モジュールに含まれる部品の冷却を行う冷却液が流れる熱交換器と、のうち少なくともいずれか一つが含まれる構成(第2の構成)であってよい。
【0111】
上記第1又は第2の構成の燃料電池システムにおいて、前記仕切壁は、前記第1区画と前記第2区画とを気密に区画する構成(第3の構成)であってよい。
【0112】
上記第3の構成の燃料電池システムは、前記仕切壁に設けられる貫通孔を通って配置される部材を備え、前記仕切壁には、前記貫通孔と前記部材との隙間を塞ぐシール構造が設けられる構成(第4の構成)であってよい。
【0113】
上記第1から第4のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画には、前記燃料電池モジュールに接続される排気路が配置され、前記排気路は、前記燃料電池モジュールよりも下方に排気を導く流路を含む構成(第5の構成)であってよい。
【0114】
上記第1から第5のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画内には、前記水素流通路を構成する配管同士を連結した配管連結部が設けられ、前記配管連結部は、前記燃料電池モジュールよりも上方に配置される上方配管連結部を含む構成(第6の構成)であってよい。
【0115】
上記第1から第6のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画内には、前記水素流通路を構成する配管同士を連結した配管連結部が設けられ、前記配管連結部の周囲の少なくとも一部を覆うカバー部材を備える構成(第7の構成)であってよい。
【0116】
上記第1から第7のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記水素流通路は、前記燃料電池モジュールから水素を排出するベント通路を含み、前記ベント通路に接続されるドレイン部を備える構成(第8の構成)であってよい。
【0117】
上記第1から第8のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画は、当該区画内を換気する換気装置、又は、前記換気装置と接続される換気装置接続部を有する構成(第9の構成)であってよい。
【0118】
上記第9の構成の燃料電池システムにおいて、前記筐体は、前記外部水素流通路を構成する内管の外周を囲む外管を取付可能に設けられ、前記第1区画は、前記内管と前記外管との間の内部空間を介して換気用流体を供給可能に設けられる構成(第10の構成)であってよい。
【0119】
上記第10の構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画内の前記接続部の水素漏れ検出範囲に、水素濃度検出装置が配置される構成(第11の構成)であってよい。
【0120】
上記第9から第11のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画は、前記第2区画の上方に配置され、前記換気装置又は前記換気装置接続部は、前記第1区画の上壁に設けられる構成(第12の構成)であってよい。
【0121】
上記第1から第12のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画には、前記燃料電池モジュールが有する燃料電池スタックを冷却する冷却システムに含まれるリザーブタンクが配置され、前記リザーブタンクは、前記燃料電池スタックよりも上方に配置される構成(第13の構成)であってよい。
【0122】
上記第1から第13のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記補機には、前記燃料電池モジュールに空気を取り込む空気取込部が含まれ、前記第2区画には、前記空気取込部が、前記第1区画に複数配置される前記燃料電池モジュールと同数配置される構成(第14の構成)であってよい。
【0123】
上記第1から第14のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画には、複数の前記燃料電池モジュールが配置され、前記水素流通路は、前記燃料電池モジュールから水素を排出するベント通路を含み、前記ベント通路は、前記複数の燃料電池モジュールの間で共用される共用ベント通路を含む構成(第15の構成)であってよい。
【0124】
上記第1から第15のいずれかの構成の燃料電池システムは、前記第1区画内において、前記接続部が設けられる壁と、前記燃料電池モジュールとの間に、バルブ装置が配置される構成(第16の構成)であってよい。
【0125】
上記第1から第16のいずれかの構成の燃料電池システムにおいて、前記第1区画は、不活性ガスを充填可能に設けられる構成(第17の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0126】
1・・・筐体
2・・・燃料電池モジュール
2a・・・燃料電池スタック
5・・・水素流通路
6・・・接続部
7・・・排気路
8・・・リザーブタンク
9・・・空気取込部(補機)
10・・・熱交換器(補機)
11・・・第1区画
11a・・・第1区画前壁
11b・・・第1区画後壁
11c・・・第1区画左壁
11d・・・第1区画右壁
11e・・・第1区画上壁
12・・・第2区画
13・・・仕切壁
20・・・配電盤(補機)
41・・・配線
42・・・配管
50・・・水素濃度検出装置
52・・・ベント通路
53・・・バルブ装置
54・・・配管連結部
55・・・板状部材(カバー部材)
55A・・・カバー部材
57・・・ドレイン部
81・・・第1リザーブタンク
100・・・燃料電池システム
113・・・換気装置接続部
131・・・貫通孔
131A・・・貫通孔
132・・・シール構造
132A・・・シール構造
200・・・外部水素流通路
201P・・・内管
203・・・外管
204・・・内部空間
300・・・換気装置
521・・・共用ベント通路
541・・・上方配管連結部
CS・・・冷却システム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13