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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128223
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240913BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
B65G1/00 511F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037081
(22)【出願日】2023-03-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】森本 裕也
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴規
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE02
3F022FF02
3F022JJ13
3F022LL06
3F022MM51
3F022NN26
(57)【要約】
【課題】一斉停止後、早期かつ安全に通常稼働させることができる倉庫システムを提供する。
【解決手段】操作盤50は、少なくとも稼働中のすべての搬送台車1,1,…の稼働を停止させる停止モードを行わせる停止信号と、少なくとも停止信号を受信して停止させた位置から搬送台車1,1,…を再稼働させる再稼働信号と、を送信可能であり、間口2a近傍にて当該間口2aと直交する側面2bに位置する一対の支柱5,5の間に配置され、その操作面53がラック構造体2の外側に向けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な車体と、当該車体に昇降可能に設けられた載置台と、を有する複数の搬送台車と、
間口から延び走行面を有する走行レールと、前記走行レールを支持する複数の支柱と、を有するスケルトン構造のラック構造体と、
前記複数の搬送台車の少なくともいずれか一つに無線により命令を送信可能な操作盤と、を備え、前記ラック構造体の収容レーンに設けられている載置面に物品を載置する倉庫システムであって、
前記操作盤は、少なくとも稼働中のすべての搬送台車の稼働を停止させる停止モードを行わせる停止信号と、
少なくとも前記停止信号を受信して停止させた位置から前記搬送台車を再稼働させる再稼働信号と、を送信可能であり、
前記間口近傍にて当該間口と直交する側面に位置する一対の前記支柱の間に配置され、その操作面が前記ラック構造体の外側に向けられていることを特徴とする倉庫システム。
【請求項2】
前記操作盤には、前記操作面と同じ方向を向く一斉停止ボタンが設けられており、
前記操作盤は、前記一斉停止ボタンが押下されることですべての搬送台車に前記停止信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記一斉停止ボタンは、前記間口と直交する方向にも向く傾斜面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記操作面は、前記傾斜面に連接された平坦面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記ラック構造体は、前記収容レーンが複数列配置されており、
前記操作盤は、前記ラック構造体の最も外側に位置する側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記操作面は、前記搬送台車のステータス情報を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項7】
前記再稼働信号は、少なくとも前記停止信号を受信して停止させた位置から前記搬送台車を走行させて前記収容レーンに設定された原点に復帰させる原点復帰モードを行わせた後、通常稼働モードを行わせることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやスマートフォンの普及により、ネット通販の規模が拡大し、顧客のニーズに合うように多種多様な大量の商品を一時的に保管・管理し、迅速に商品の入出庫が可能な機能性の高い倉庫のシステムが必要になっている。
【0003】
そのような倉庫システムは、上下に複数段かつ左右に複数列の収容レーンが設けられており、各収容レーンの奥行方向に多数の物品を収容できる収容棚が配置されている。各収容レーンには一対のレールが敷設され、物品が載置されたパレットを運ぶ搬送台車がこれらのレールの下方に位置する走行面を走行し、所定のレール位置においてレールの上方に位置する載置面にパレットを順次載置するように搬入し、また載置されたパレットを搬出するようになっている。
【0004】
例えば、特許文献1に示される倉庫システムは、収容棚と、自律制御可能な複数の搬送台車と、搬送台車を遠隔操作するための複数の操作端末から主に構成されている。搬送台車は、レールの走行面を走行可能な車体と、車体に昇降可能に配置された載置台を備えている。操作端末は、複数の搬送台車に対して個々に接続可能となっており、対象の搬送台車を選択して命令を送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-214392号公報(第5,6頁、第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような倉庫システムにあっては、例えばフォークリフトのオペレータがそれぞれ操作端末を所持することにより、受け持ちの収容レーンに割り当てられた複数の搬送台車を操作端末から適宜選択し、制御することができる。言い換えれば、すべての搬送台車の位置管理、動作制御などを行う中央管理装置を要しないため、導入コストや管理コストを低減しやすくなっている。
【0007】
ところで、特許文献1のような倉庫システムにあっては、収容棚への人の侵入、地震などの異常が生じた場合に、搬送台車が他のものに衝突する虞があった。このような場合にすべての搬送台車を停止させることで衝突を防ぐことができるものの、搬送台車や操作端末は、搬送台車の位置管理をしているわけではないので、特に移動している途中で停止された搬送台車の稼働を再開させるまでに一定の時間や手間がかかっていた。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、一斉停止後、早期かつ安全に通常稼働させることができる倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の倉庫システムは、
自律走行可能な車体と、当該車体に昇降可能に設けられた載置台と、を有する複数の搬送台車と、
間口から延び走行面を有する走行レールと、前記走行レールを支持する複数の支柱と、を有するスケルトン構造のラック構造体と、
前記複数の搬送台車の少なくともいずれか一つに無線により命令を送信可能な操作盤と、を備え、前記ラック構造体の収容レーンに設けられている載置面に物品を載置する倉庫システムであって、
前記操作盤は、少なくとも稼働中のすべての搬送台車の稼働を停止させる停止モードを行わせる停止信号と、
少なくとも前記停止信号を受信して停止させた位置から前記搬送台車を再稼働させる再稼働信号と、を送信可能であり、
前記間口近傍にて当該間口と直交する側面に位置する一対の前記支柱の間に配置され、その操作面が前記ラック構造体の外側に向けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、停止信号により停止された搬送台車を再稼働させることで停止直前の状態に円滑に移行させることができる。また、ラック構造体がスケルトン構造であるため、操作盤の操作面を操作する位置から対象の搬送台車及びその周辺状況を確認しながら、再稼働信号を送信することができる。これらにより、一斉停止後、早期かつ安全に通常稼働させることができる。
【0010】
前記操作盤には、前記操作面と同じ方向を向く一斉停止ボタンが設けられており、
前記操作盤は、前記一斉停止ボタンが押下されることですべての搬送台車に前記停止信号を送信することを特徴としている。
この特徴によれば、操作盤の操作面を操作する位置からラック構造体の内部を見ながら一斉停止ボタンを押下することができる。これにより、再稼働信号を送信したあとで異常が確認されたとしても、即座に搬送台車を停止させることができる。
【0011】
前記一斉停止ボタンは、前記間口と直交する方向にも向く傾斜面に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、操作面に対面する側ばかりでなく、間口に対面する側からも一斉停止ボタンを押下することができる。
【0012】
前記操作面は、前記傾斜面に連接された平坦面に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、操作面と一斉停止ボタンを隣接させることができるため、操作面を操作している途中であっても異常発生時に即応しやすい。
【0013】
前記ラック構造体は、前記収容レーンが複数列配置されており、
前記操作盤は、前記ラック構造体の最も外側に位置する側面に設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の収容レーンの内部を安全な位置から確認しながら操作面の操作を行うことができる。
【0014】
前記操作面は、前記搬送台車のステータス情報を表示可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、ステータス情報と実際の搬送台車とを比較しながら制御することができる。
【0015】
前記再稼働信号は、少なくとも前記停止信号を受信して停止させた位置から前記搬送台車を走行させて前記収容レーンに設定された原点に復帰させる原点復帰モードを行わせた後、通常稼働モードを行わせることを特徴としている。
この特徴によれば、停止信号により停止された搬送台車を原点に復帰させることで停止直前の状態に円滑に移行させることができる。また、操作盤の操作面を操作する位置から再稼働信号を受けた搬送台車が原点に到着するまでの様子を直接確認することができる。これらにより、一斉停止後、より早期かつ安全に通常稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る倉庫システムの斜視図である。
図2】収容レーンの側断面図である。
図3】搬送台車の外観を示す斜視図である。
図4】搬送台車の内部構造を示す概略図である。
図5】搬送台車の原点復帰を説明するための概略図である。
図6】制御システムの構成を示すイメージ図である。
図7】モニタ盤の正面図である。
図8】モニタ盤が収容棚に取り付けられた状態を一部破断して示す上面図である。
図9】倉庫システムにおいて一斉停止後、各搬送台車を個々に再稼働させるまでを示すフローチャート図である。
図10】モニタ装置に表示されたリカバリー画面を示す図である。
図11】搬送台車に記憶されているステータス情報の一例を示す概要図である。
図12】倉庫システムにおいて一斉停止後、すべての搬送台車を一斉に再稼働させるまでを示すフローチャート図である。
図13】倉庫システムにおいて一斉停止後、いずれかの搬送台車に再稼働信号を送信したのち、更に一斉停止させるまでを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る倉庫システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
実施例に係る倉庫システムにつき、図1から図13を参照して説明する。
【0019】
図1を参照して、倉庫システムSは、物品3の移動を行う搬送台車1と、床に固定されて立設されたラック構造体としての収容棚2と、モニタ盤50、一斉停止ボタン60などを含む搬送台車1,1,…の制御システムを備えている。
【0020】
図1及び図2に示されるように、収容棚2は、正面視L字状、逆L字状で一対に対向する複数組の走行レール4,4が複数の支柱5,5,…に支持され、左右方向に離間配置された一対の支柱5,5が横杆部材8によって接続されたスケルトン構造をなしている。以降、左右一対で一組の走行レール4,4については、特に断らない限り単に走行レール4,4と記載する。
【0021】
図2に示されるように、走行レール4,4,…の上端である載置面4a,4a,…には、物品3が載置された複数のパレット9,9,…が支持されており、走行レール4,4,…の下端である走行面4b,4b,…は、搬送台車1が走行可能となっている。これら走行レール4,4を含む、パレット9と共に物品3を搬送可能に確保されている前後方向に延びる空間が1つの収容レーン20となっている。本実施例では、収容レーン20は、上下3段かつ左右6列に設けられている。尚、収容レーン20の数は適宜変更されてもよい。
【0022】
各収容レーン20,20,…の前端側には、フォークリフト等を用いて搬送台車1やパレット9に載置された物品3を出し入れ可能な間口2a,2a,…が形成されている。
【0023】
図3に示されるように、搬送台車1は走行レール4,4の走行面4b,4bを前後方向に走行可能な車体6、物品3を載置支持し車体6に対し昇降可能に設けられた載置台7を備えている。
【0024】
搬送台車1は、載置台7がパレット9の下面から離間する最下降状態で走行レール4,4の走行面4b,4bを走行してパレット9の下方に進入した後、載置台7を上昇させることでパレット9ごと物品3を持ち上げることができ、この状態で走行することで、パレット9を走行レール4,4の載置面4a,4aから所定高さ浮かせて運搬できる。尚、本実施例では、載置台7は、物品3を載せるためのパレット9を載置しているが、これに限られず、載置台7に直接物品3が載置されてもよい。
【0025】
図3及び図4に示されるように、車体6は、金属板の前後を屈曲して断面コ字状に形成された底板10aと前後の側板10b,10cを有する基部材10と、基部材10の左右に取付けられる側板材11,11’と、を備えている。車体6内部には、走行用の走行駆動部12、昇降用の昇降駆動部16、情報装置17、電源装置としてのバッテリ44を備えている。
【0026】
走行駆動部12,12は、駆動モータ12a,12a、走行車輪13,13、複数個の従動車輪14,14,…により主に構成される。駆動モータ12a,12aは図示しない信号線により駆動モータ制御部と接続されており、更に駆動モータ制御部は車体6内に内蔵されたバッテリ44に接続される。
【0027】
情報装置17は、走行用の駆動モータ12a,12aを駆動制御する駆動モータ制御部、昇降用の昇降モータ19を駆動制御する昇降モータ制御部、記憶部、受信手段及び送信手段としての通信部を備えている。記憶部は、送受信した駆動信号の履歴、搬送台車1の運転履歴等のステータス情報を記憶する機能を有する。また、通信部は無線LANの送受信装置を有しており、外部からの駆動指令等の受信や記憶部に記憶されたデータの送信等を行うことができる。
【0028】
また、載置台7の昇降用の昇降駆動部16についても、昇降モータ制御部が、指令信号に基づき、昇降モータ19に電力を供給して載置台7を昇降させている。
【0029】
図3に示されるように、搬送台車1の車体6の前方側にはコントロールパネル30(制御端末)が備えられている。コントロールパネル30は、情報装置17と接続され、搬送台車1のステータス確認や運転操作等を行うことができる画面が表示される。尚、このコントロールパネル30に表示される画面は、搬送台車1と接続した操作端末40にも表示され、作業者は操作端末40に表示された画面から、搬送台車1を遠隔で操作できるようになっている。
【0030】
図4に示されるように、搬送台車1の車体6における一方の側板材11’には、センサ21が設けられている。センサ21は、投光部と受光部とを有したフォトセンサであり、後述するスリット15と同一の高さ位置に配置されている。このセンサ21は図示しない投光部と受光部とを有し、搬送台車1の走行時において投光部から投光された光を受光部で受光した反射量と、予め設定された閾値との関係により、スリット15を検出できるようになっている。また、側板材11’におけるセンサ21の下方には、受信装置(取得部)であるRFIDリーダ65が備えられている。これらRFIDリーダ65は、後述する送信装置であるRFタグ66と対応している。
【0031】
詳しくは、図5に示されるように、走行レール4,4は、走行面4b,4b’の各外方側部から立設する側壁4d,4d’を有している。一方の側壁4d’の間口側端部には前述のスリット15が設けられている。またスリット15の近傍には、当該収容レーン20の間口2aの位置情報を示す固有の識別情報(以降、「収容レーン20の識別情報」という。)を送信可能なRFタグ66が設けられている。
【0032】
RFタグ66は、側壁4dの外側に固定されており、スリット15の下方に設けられた孔を介して走行レール4,4の内側に向けて収容レーン20の識別情報を送信可能となっている。
【0033】
図5(a)を参照して、後方側より間口2a側に移動してきた搬送台車1は、センサ21で走行レール4のスリット15を検出したことにより、収容レーン20におけるホームポジション(原点)に位置していることを判断して、図5(b)に示されるように、ホームポジションにて停止できるようになっている。これは、ホームポジションよりも間口2a側に移動していた搬送台車1がホームポジションに移動する場合にも同様である。
【0034】
搬送台車1はホームポジションにおいて、走行レール4上の間口2a側の端部に安全に位置した状態となっており、言い換えれば間口2a側に走行可能な距離(例えば30cm)が確保された位置にあり、ホームポジションは走行レール4上を走行する搬送台車1の待機(非稼働)時の待機位置として機能している。尚、ホームポジションに搬送台車1を停止させた状態において安全を確保できるのであれば、間口2aまでの走行可能な距離は適宜変更されてもよい。
【0035】
また、図5を参照して、搬送台車1がホームポジションに停止するまでの間に、RFタグ66はRFIDリーダ65より常時出力される電波を起電力として動作し、自らが有する固有の識別情報、つまり収容レーン20の識別情報を反射する電波に乗せてRFIDリーダ65に送信する。
【0036】
搬送台車1の情報装置17は、RFIDリーダ65で受信した収容レーン20の識別情報を、搬送台車1の識別情報(例えば、「2号車」等。)と共にモニタ盤50に送信する。
【0037】
図6に示されるように、搬送台車1,1,…の制御システムは、複数の搬送台車1,1,…を選択的または一括して遠隔操作する制御端末としての操作端末40、各搬送台車1,1,…の制御信号及び運転履歴を受信して記憶する制御端末(操作盤)としてのモニタ盤50、アクセスポイント55、複数の一斉停止ボタン60,60,…を備えている。
【0038】
操作端末40と複数の搬送台車1,1,…はアクセスポイント55を介して無線LANで接続できるようになっている。各操作端末40は、個々の搬送台車1,1,…を選択して、物品3の搬入指示や搬出指示をすることが可能となっている。
【0039】
モニタ盤50と複数の搬送台車1,1,…はアクセスポイント55を介して無線LANで接続できるようになっている。また、モニタ盤50と操作端末40はアクセスポイント55を介して無線LANで接続されている。また、モニタ盤50と物理スイッチである複数の一斉停止ボタン60,60,…は有線接続されている。各一斉停止ボタン60は、図1に示されるように、収容棚2の各所に固定されている。尚、モニタ盤50と複数の一斉停止ボタン60,60,…は無線接続されていてもよい。また、一斉停止ボタン60は収容棚2以外、例えば倉庫の壁に設けられていてもよい。
【0040】
モニタ盤50は搬送台車1の情報装置17から受信した収容レーン20の識別情報を制御装置52(図7参照)における記憶部内のデータベースで照会し、該当する識別情報に関連付けられた収容レーン20の識別名(例えば、「002015」。)を搬送台車1に返すとともに、この搬送台車1の識別情報と収容レーン20の識別名を対応付けて記憶する。これにより、モニタ盤50は、後述するリカバリー画面70(図10(a)参照)において、各搬送台車1,1,…が配置されている収容レーン20,20,…を特定可能に表示することができる。
【0041】
また、搬送台車1の情報装置17は、その搬送台車1の運転履歴が更新されるごとに、すなわちモード(搬送、搬入、待機、停止、原点復帰、通常稼働などのモード)が移行するごとに、移行したモードを特定可能なモード信号をモニタ盤50に送信する。これにより、モニタ盤50は、各搬送台車1,1,…がいずれのモードにあるのかを特定することができる。
【0042】
また、搬送台車1の情報装置17は、現状の状態を示すフラグ(後述する、電源フラグ、HP(ホームポジション)フラグ、稼働フラグ、エラーフラグ、報知フラグ)に関する情報が切り替わった際に、そのことを特定可能なフラグ信号をモニタ盤50に送信する。これにより、モニタ盤50は、各搬送台車1,1,…の状態を特定することができる。例えば、電源フラグであれば、バッテリ44の蓄電量が基準値以下に低下するとフラグ情報がONからOFFに切り替わる。
【0043】
また、モニタ盤50は、いずれかの一斉停止ボタン60が押下されるなど、その制御装置52(図7参照)に外部から停止指令が入力されると、制御装置52はアクセスポイント55を通じてすべての搬送台車1,1,…に停止信号を送信する。また、すべての搬送台車1,1,…が停止したのち、モニタ盤50のタッチパネル53が操作されることに応じて、制御装置52は各搬送台車1に対して再稼働信号を送信する。以降、すべての搬送台車1,1,…の一斉停止制御と、搬送台車1の再稼働制御について説明する。
【0044】
まず、モニタ盤50について説明する。図7に示されるように、筐体51と、筐体51内に配置された制御装置52と、制御装置52に接続された操作面としてのタッチパネル53と、制御装置52に接続された一斉停止ボタン54から主に構成されている。
【0045】
筐体51は、右側から見て、前後方向に長い矩形状に形成されている。また、図8に示されるように、筐体51は、上側から見て、前端より後方側に向かって右方側に傾斜して延びる平坦な傾斜面51aと、傾斜面51aの後端に連接されて後方側に延びる平坦な平坦面51bを有している。平坦面51bよりも後端側には、スライド扉51eが設けられている。
【0046】
図7図8に示されるように、傾斜面51aには、右斜め前方に突出するように物理スイッチである一斉停止ボタン54が設けられている。一斉停止ボタン54は平坦面51bよりも外側すなわち右側に突出しない位置かつ高さである。図7に示されるように、平坦面51bには、中央部の矩形状に切り抜かれた箇所を通じて操作可能にタッチパネル53の操作面が収容レーン20Aよりも外側(図8参照)に向けられた状態で固定されている。尚、収容レーン20Aは、最も右側、すなわち外側に位置する収容レーン20であり、他の収容レーン20と略同一構成である。
【0047】
図8に示されるように、筐体51は、その前端と後端に、左方向に突出する係止片51c,51cが設けられており、これらが前後に離間して立設されている一対の支柱5,5にボルトナットで固定されている。
【0048】
より詳しくは、収容棚2のうち、前端かつ右端に位置する支柱5と、この支柱5の後方側に隣り合って配置されている支柱5に固定されている。すなわち、モニタ盤50は、収容棚2における最も外側にある間口2aと直交する最も外側の側面2bにおいて間口2aと連設されている前端に設けられている。
【0049】
また、筐体51は、前後方向中央から後方側に亘って左方向に突出する制御ボックス51dが設けられており、この制御ボックス51d内に制御装置52が収納されている。制御ボックス51dの一部は、支柱5,5の間に配置されており、収容棚2よりも外側にモニタ盤50が突出する寸法が低減されている。
【0050】
また、筐体51には、制御ボックス51dよりも右方側に前後方向にスライド可能に取り付けられたスライド扉51eが設けられている。制御ボックス51dは、スライド扉51eをスライド移動させることで開閉することができる。尚、制御ボックス51dを開閉するための扉は、上下方向にスライドしてもよく、蝶番を軸に回動可能に設けられていてもよく、開閉するための構造は適宜変更されてもよい。
【0051】
制御装置52は、制御部、記憶部、受信手段及び送信手段としての通信部を備えている。制御部は、上述した一斉停止制御、再稼働制御のほか、タッチパネル53に表示する画面の出力制御、タッチパネル53の操作に応じた入力値を入力する入力制御、搬送台車1毎にステータ情報を管理する搬送台車管理制御などを実行することができる。
【0052】
ステータス情報には、搬送台車1の情報装置17から送信されたその搬送台車1の識別情報、収容レーン20の識別名、その搬送台車1のモード(搬送、搬入、待機、停止、原点復帰、通常稼働など)、その搬送台車1の電源状態(電源フラグがONかOFFか)、その搬送台車1がホームポジションに停止しているか否か(HP(ホームポジション)フラグがONかOFFか)、その搬送台車1が稼動しているか否か(稼働フラグがONかOFFか)、その搬送台車1がエラー状態にあるか否か(エラーフラグがONかOFFか)、その搬送台車1が報知状態にあるか否か(報知フラグがONかOFFか)などの情報が含まれる。
【0053】
制御装置52の記憶部は、各搬送台車1,1,…のステータス情報を一時的に保管することができる。制御装置52の通信部は無線LANの送受信装置を有している。また、制御装置52の通信部は、各一斉停止ボタン54,60,…と有線で接続されている。
【0054】
次に、倉庫システムSにおける一斉停止制御と再稼働制御について、図9図13を参照して説明する。本説明では、搬送台車1は、1号機から8号機まで計8機あるものとする。尚、本説明では、特に断らない限り1号機の搬送台車1を単に1号機と表記する。これは、他の搬送台車1,1,…ついても同様である。また、本実施例では同じ間口2aからパレット9を搬入・搬出するいわゆる後入れ先出しを例に説明する。
【0055】
また、図9を参照して、一斉停止制御が開始される前、すなわち一斉停止ボタン54,60,…のいずれか一つが押下されるまで、1号機はパレット9と共に物品3を収容レーン20の間口2a近傍の載置面4a,4aに搬送・載置する搬出モード(S31)の途中であり、2号機はパレット9と共に物品3を1号機とは異なる収容レーン20において後方側に搬送・載置する搬入モード(S41)の途中であり、8号機は1,2号機とは異なる収容レーン20において待機(S51)しているものとする。3号機から7号機の説明は省略する。
【0056】
搬出モードの搬送台車1は、収容レーン20の後方に向かって走行し、図示しない自身の在荷センサにより載置面4aに載置されたパレット9を検出すると、パレット9の下方で停止し、載置台7を上昇させてパレット9を持ち上げ、ホームポジションまで移動し、載置台7を下降させ、パレット9を載置面4aに載置する。この動作を繰り返す。尚、搬出モードの制御は適宜変更されてもよい。
【0057】
また、搬入モードの搬送台車1は、図示しない自身の在荷センサによりホームポジションに載置されたパレット9を検出すると、載置台7を上昇させてパレット9を持ち上げ、収容レーン20の後方に向かって走行し、収容レーン20の最後方端または、すでに載置されているパレット9から所定距離離間した手前の位置まで移動し、載置台7を下降させ、パレット9を載置面4aに載置する。尚、搬入モードの制御は適宜変更されてもよい。
【0058】
図9に示されるように、一斉停止ボタン54,60,…のいずれか一つが押下される(S11)と、対象の一斉停止ボタンよりモニタ盤50の制御装置52に停止指令が入力される。制御装置52は、停止指令が入力されると、1号機から8号機すべての搬送台車1に対して停止信号を一斉送信する(S21)。
【0059】
尚、本発明における一斉送信とは、すべての搬送台車1に対して同時に信号を送信するのみならず、すべての搬送台車1に対して短時間(例えば0.1秒)ごとに順次信号を送信するものであってもよい。順次信号を送信する構成においては、例えばモニタ盤50の制御装置52に搬送台車1の識別情報が登録された降順または昇順であってもよく、単に各搬送台車1の識別情報の降順や昇順であってもよく、適宜変更されてもよい。
【0060】
各搬送台車1の情報装置17は、停止信号を受信すると停止モードに移行する(S32,S42,S52)。停止モードでは、モニタ盤50からの再稼働信号、停止信号以外の命令を受け付けない入力制限状態となり、各搬送台車1はブザーを発報するとともにランプを点滅させる報知状態となる。
【0061】
各搬送台車1は入力制限状態となることで、オペレータがコントロールパネル30や操作端末40を操作して搬入指示や搬出指示を受信してもその指示に応じて稼働することが防止される。尚、入力制限状態となると入力制限フラグはONとなる。後述する通常稼働モードに移行すると入力制限状態は解除され、入力制限フラグはOFFとなる。
【0062】
また、各搬送台車1は報知状態となることで、倉庫内のオペレータ等の人に一斉停止されたことが報知される。尚、報知状態となると報知フラグはONとなる。後述するブザー停止アイコンがタップされると、ブザー発報とランプ点滅は停止され、報知フラグはOFFとなる。
【0063】
また、1号機や2号機のように物品3を搬入または搬出途中、すなわち稼働中の搬送台車1は、情報装置17にて停止信号を受信すると、搬送台車1の走行が停止しかつ載置台7が最下降状態となり、モニタ盤50からの再稼働信号が入力されるまで待機する特別待機状態となる。以下、稼働中の搬送台車1が停止信号を受信するタイミング毎に詳しく説明する。
【0064】
載置台7が最下降状態にあって車体6単体で走行している状態にあっては、情報装置17の駆動モータ制御部は駆動モータ12a,12aの駆動を停止させ、車体6を停止させる。これにより、搬送台車1は特別待機状態となる。
【0065】
また、車体6が停止状態にあって載置台7を昇降中の状態にあっては、情報装置17の昇降モータ制御部は、昇降モータ19に電力を供給して載置台7を降下させ、物品3が載置されたパレット9を収容レーン20の載置面4a,4aに載置する。そして載置台7を最下降状態とする。これにより、搬送台車1は特別待機状態となる。
【0066】
また、載置台7がパレット9を持ち上げた状態にあって車体6が走行している状態(搬入時・搬出時共に)にあっては、情報装置17は、搬送台車1の走行を停止させるとともに、載置台7を降下させ、パレット9を載置面4a,4aに載置し、載置台7を最下降状態とする。これにより、搬送台車1は特別待機状態となる。
【0067】
また、同タイミングとして、パレット9の下に移動した直後、パレット9を載置面4a,4aに載置して最下降状態となった直後、待機等で一時停止中など、載置台7が最下降状態にあって車体6が停止状態にあっては、搬送台車1はそのまま特別待機状態となる。
【0068】
また、8号機のように待機している搬送台車1は、その情報装置17が搬送台車1の走行が停止していること、載置台7が最下降状態にあることを検出すると、特別待機状態となる。尚、情報装置17は、例えば自身の停止状態、最下降状態をフラグのON・OFFにより検出可能であってもよく、制御手順は適宜変更されてもよい。
【0069】
図10(a)に示されるように、モニタ盤50の制御装置52は、停止信号を一斉送信したのち、タッチパネル53にリカバリー画面70を表示する。尚、リカバリー画面70が表示されるタイミングは適宜変更されてもよい。また、図10(a)では、後述するようにすべての搬送台車1,1,…を再稼働させている途中の状態が図示されている。
【0070】
リカバリー画面70には、ステータス情報欄71と、ブザー停止アイコン72、エラーリセットアイコン73、原点復帰アイコン74、一斉原点復帰アイコン75、非常停止アイコン76が表示される。
【0071】
ステータス情報欄71には、「号機」欄、「列」欄、「段」欄、「モード」欄、「電源」欄、「HP(ホームポジション)」欄、「稼働中」欄、「異常中」欄、「ブザー」欄がある。尚、「号機」欄と同じ行に表示される情報やアイコン72,73,74が、この「号機」欄に表示される搬送台車1に対応するステータス情報や同搬送台車1を操作するためのアイコン72,73,74となっている。
【0072】
「号機」欄には、現在稼働している搬送台車1の識別情報(1~8)が表示される。「列」欄には、対象の搬送台車1が配置されている収容棚2の列(1~6)が表示される。「段」欄には、対象の搬送台車1が配置されている収容棚2の段(1~3)が表示される。「モード」欄には、対象の搬送台車1のモード(搬送、搬入、待機、停止、原点復帰、通常稼働など)が表示される。
【0073】
尚、「列」欄と「段」に表示される値は、それぞれ識別名に対応されている収容レーン20の位置を特定可能に登録されている値であり、例えば識別名「002015」であれば、「列」欄の値として「1」が、「段」欄の値として「2」が登録されている。すなわち、識別名「002015」の収容レーン20は、右から1列目の2段目に位置している。尚、本実施例では右から左側に向かって各列に割り当てられた数が昇順する構成であるが、これに限られず、左から右側に向かって各列に割り当てられた数が昇順する構成であってもよく適宜変更されてもよい。
【0074】
「電源」欄は、対象の搬送台車1の電源がONになっているときに発光状態となり、OFFになっているときに消灯状態となる。「HP(ホームポジション)」欄は、対象の搬送台車1がホームポジションに停止しているときに発光状態となり、離間しているときに消灯状態となる。「稼働中」欄は、対象の搬送台車1が稼動しているときに発光状態となり、待機(HPに停止している)しているときに消灯状態となる。「異常中」欄は、対象の搬送台車1から異常信号が送信されたときに発光状態となり、エラーリセットアイコン73がタップされると消灯状態となり、搬送台車1では情報装置17に記憶されたエラーフラグがOFFとなる。「ブザー」欄は、対象の搬送台車1から報知信号が送信されたときに発光状態となり、ブザー停止アイコン72がタップされると消灯状態となり、搬送台車1では情報装置17に記憶された報知フラグがOFFとなり、ブザーの発報が停止する。
【0075】
尚、本実施例では1号機から8号機までの搬送台車1のステータス情報やアイコン72,73,74が同じ画面上に表示される構成であるが、複数ページに分けて表示されてもよく、スクロール表示されてもよく、表示方法は適宜変更されてもよい。
【0076】
特別待機状態にある1号機をホームポジションに復帰させるにあたっては、まず対応するブザー停止アイコン72をタップし報知フラグをOFFとし、エラーリセットアイコン73をタップし搬送台車1のエラーフラグをOFFとする。そして、対応する原点復帰アイコン74をタップする。
【0077】
図9に戻って、モニタ盤50は、1号機に対応する原点復帰アイコン74がタップされると、1号機に再稼働信号を送信する(S22)。再稼働信号を受信した1号機の情報装置17は、原点復帰モードに移行する(S33)。原点復帰モードでは、情報装置17の駆動モータ制御部は駆動モータ12a,12aを駆動させて間口2a側に向かって走行させ、上述したようにホームポジションに停止させる。
【0078】
1号機の情報装置17は、ホームポジションに停止したことを検出すると、図示しない在荷センサ、ロータリエンコーダなどからの入力値をリセットし、搬出モードが開始される前の状態とする。そして、通常稼働モードに移行する(S34)。
【0079】
図11に例示されるように、情報装置17は、その記憶部にステータス履歴17aを記憶している。通常稼働モードでは、入力制限フラグをOFFとしたのち、ステータス履歴17aを参照することで、停止モードとなる前のモード(ステータス)を確認することができる。尚、図11は、1号機のステータス履歴17aをイメージしたものである。
【0080】
1号機の情報装置17は、停止モード(S32)となる前のモードが搬出モード(S31)を開始した後であり、搬出モード(S31)が終了していないことを確認すると、搬出モード(S35)を開始する。尚、図10(a)では1号機が搬出モード(S35)にあるタイミングが図示されている。
【0081】
これと同様に、図9に戻って、モニタ盤50より再稼働信号(S23)が送信された2号機の情報装置17は、原点復帰モード(S43)に移行し、ホームポジションに停止して通常稼働モード(S44)に移行して入力制限フラグをOFFとしたのち、自身のステータス履歴17a(図11参照)を確認して搬入モード(S45)を開始する。尚、図10(a)では2号機が通常稼働モード(S44)にあるタイミングが図示されている。
【0082】
一方、停止モード(S52)前も非稼働状態でホームポジションにて待機モード(S51)にあった搬送台車1の8号機の情報装置17については、モニタ盤50より再稼働信号(S24)が送信されると、原点復帰モード(S53)に移行し、前方側に僅かに走行した後、後方側に走行する。搬送台車1はスリット15を検出することでホームポジションに停止する。尚、図10(a)では8号機が停止モード(S52)にあるタイミングを図示している。
【0083】
上述したようにホームポジションよりも間口2aまで走行可能な距離を確保することで、ホームポジションにて停止モードに移行した搬送台車1についても、稼働中に停止モードに移行した搬送台車1と同様に前方側に走行させることでホームポジションに復帰させることができる。
【0084】
その後、8号機の情報装置17は、図示しない在荷センサ、ロータリエンコーダなどからの入力値をリセットし、通常稼働モード(S54)に移行して入力制限フラグをOFFとしたのち、自身のステータス履歴17a(図11参照)を確認して駆動系に電力を供給しない非稼働状態、すなわち待機モード(S55)に移行する。
【0085】
尚、モニタ盤50の制御装置52は、すべての搬送台車1,1,…が通常稼働モードに移行したことを特定すると、リカバリー画面70を非表示とする。
【0086】
図12に示されるように、モニタ盤50の制御装置52は、停止信号を一斉送信(S21)したのち、一斉原点復帰アイコン75(図10(a)参照)がタップされると、一斉停止信号と同様に、1号機から8号機すべての搬送台車1に対して再稼働信号を一斉送信する(S25)。これにより、簡素な処理かつ短時間で停止モードにあるすべての搬送台車1,1,…を原点復帰モードに移行させることができる。
【0087】
図13に示されるように、モニタ盤50の制御装置52は、1号機の情報装置17を原点復帰モード(S33)に移行させたのち、一斉停止ボタン54,60,…のいずれかが再度押下される(S12)、またはタッチパネル53の非常停止アイコン76(図10参照)がタップされる(S12)ことで、すべての搬送台車1に停止信号を一斉送信することができる。これにより、すべての搬送台車1,1,…は、停止モード(S36,S46,S56)に移行する。すなわち、いずれかの搬送台車1が原点復帰モードにありホームポジションに向かって移動している途中であっても、すべての搬送台車1,1,…を一斉停止することができる。
【0088】
図10(b)に示されるように、タッチパネル53の非常停止アイコン76がタップされた場合には、一斉停止させるか否かを確認するポップアップ画面77が表示される。制御装置52は、ポップアップ画面77に「はい」アイコンと「いいえ」アイコンを表示し、「はい」アイコンがタップされることで停止信号を一斉送信し、「いいえ」アイコンがタップされることでポップアップ画面77を消去し、非常停止アイコン76がタップされたことをキャンセルする。これにより、誤操作の発生を防止することができる。
【0089】
尚、モニタ盤50の制御装置52は、リカバリー画面70の表示の有無に係わらず、一斉停止ボタン54,60,…のいずれかが押下された場合には、ポップアップ画面77を表示することなく、即座に停止信号を一斉送信する。
【0090】
また、各搬送台車1,1,…は、通常稼働モードに移行する前に、複数の停止モードに移行していた場合に、ステータス履歴17aにおいて、搬入モード、搬出モード、待機モードなど通常稼働に含まれるモードを検出するまで履歴をさかのぼる。また、何らかのエラーにより、通常稼働に含まれるモードが検出されない場合には、待機モードに移行する。
【0091】
以上説明したように、本実施例の倉庫システムSは、収容棚2への人の侵入、地震などの異常が生じた場合、同じ収容棚2に対して複数のオペレータが搬出入作業を行うにあたって他のオペレータが搬送台車1を搬送した収容レーン20に誤って別の搬送台車1を搬送した場合など、モニタ盤50の制御装置52は、一斉停止ボタン54,60,…のいずれかより外部からの停止指令を受けることで、すべての搬送台車1,1,…に停止信号を送信し、停止モードに移行させ、停止させることができる。このことから、制御装置52、一斉停止ボタン54,60,…は、本発明の一斉停止手段である。
【0092】
また、モニタ盤50は、タッチパネル53が操作されることに応じて制御装置52が再稼働信号を送信し、停止信号により停止された搬送台車1を再稼働に移行させることができる。このことから、モニタ盤50は、本発明の再稼働手段である。
【0093】
このように、倉庫システムSは、収容棚2内に侵入した人や障害物の除去、安全確認などが行われたのち、一斉停止ボタン54,60,…のいずれかが押下されることで停止された搬送台車1を停止直前の状態に円滑に移行させることができる。
【0094】
また、収容棚2がスケルトン構造であるため、モニタ盤50のタッチパネル53を操作する位置から対象の搬送台車1及びその周辺状況を確認しながら、再稼働信号を送信することができる。これらにより、倉庫システムSは、一斉停止後、早期かつ安全に通常稼働させることができる。
【0095】
また、モニタ盤50には、タッチパネル53の操作面と同じ方向を向く一斉停止ボタン54が設けられているため、モニタ盤50のタッチパネル53を操作する位置から収容棚2の内部を見ながら一斉停止ボタン54を押下することができる。これにより、再稼働信号が送信されたのち、例えば搬送台車1がホームポジションに向かって移動する途中で異常が確認されたとしても、この搬送台車1を即座に停止させることができる。
【0096】
また、一斉停止ボタン54は、前方側、すなわち間口2aと直交する方向にも向く筐体51の傾斜面51aに設けられているため、タッチパネル53の操作面に対面する側ばかりでなく、間口2aに対面する側からも一斉停止ボタン54を押下することができる。
【0097】
更に、一斉停止ボタン54は、筐体51の傾斜面51aに設けられているため、例えば間口2aの正面側を右方向に移動する人が、収容棚2の側面2b側に曲がる際に、接触しにくくなっている。
【0098】
また、タッチパネル53が設けられている筐体51の平坦面51bは、筐体51の傾斜面51aと連接されているため、タッチパネル53と一斉停止ボタン54を隣接することができる。これにより、タッチパネル53を操作している途中であっても、異常発生時に即応して一斉停止ボタン54を押下しやすい。
【0099】
また、モニタ盤50は、収容棚2の最も外側に位置する側面2bに設けられていることから、複数の収容レーン20,20,…の内部を安全な位置から確認しながらタッチパネル53の操作を行うことができる。
【0100】
また、モニタ盤50は、リカバリー画面70において各搬送台車1,1,…のステータス情報を表示可能であるため、表示されるステータス情報と実際の搬送台車1とを比較しながら制御することができる。
【0101】
また、倉庫システムSは、停止信号により停止された搬送台車1をホームポジションに復帰させることで停止直前の状態に円滑に移行させることができる。更に、モニタ盤50のタッチパネル53を操作する位置から再稼働信号を受けた搬送台車1がホームポジションに到着するまでの様子を直接確認することができる。これらにより、一斉停止後、より早期かつ安全に通常稼働させることができる。
【0102】
また、倉庫システムSは、いずれかの搬送台車1の復帰モード中であっても、障害物の取りこぼし、地震の発生などが生じた場合に、すべての搬送台車1に停止信号を送信することができるため、安全性能が高められている。
【0103】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0104】
例えば、前記実施例では、搬送台車は複数である構成として説明したが、これに限られず、1つのみであってもよく、数は適宜変更されてもよい。
【0105】
また、前記実施例では、収容レーンは複数設けられている構成として説明したが、これにかぎられず、1つのみであってもよく、数は適宜変更されてもよい。
【0106】
また、前記実施例では、停止信号はすべての搬送台車に送信される構成として説明したが、これに限られず、稼働中の搬送台車にのみ送信されてもよい。
【0107】
また、前記実施例では、再稼働信号はすべての搬送台車に送信される構成として説明したが、これに限られず、停止信号が送信された搬送台車にのみ送信されてもよい。
【0108】
また、前記実施例では、一斉停止手段や再稼働手段である制御端末は入力手段として制御装置に接続されているタッチパネルを有しているモニタ盤であるとして説明したが、これに限られず、ステータス情報が表示されるモニタとは別に、原点復帰スイッチなどの物理スイッチを有するモニタ盤であってもよく、モニタを有さない操作盤であってもよい。
【0109】
また、前記実施例では、制御端末として操作端末、モニタ盤を例示したが、これに限られず、グローバルネットワークなどで倉庫システムが設けられた敷地外にある遠隔操作端末が含まれてもよい。このような構成であれば、例えば遠隔操作端末に、モニタ盤のタッチパネルと同じ画面を表示し、カメラなどで収容棚内の映像を確認可能とすることで敷地外からでも搬送台車を再稼働させることができる。
【0110】
また、前記実施例では、搬送台車は、そのセンサが収容レーンに設けられているスリットを検出することで、ホームポジションを特定することができる構成として説明したが、これに限られず、ホームポジションを特定する構成については適宜変更されてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、倉庫システムは、物品を後入れ先出しする構成として説明したが、これに限られず、先入れ先出しであってもよく、物品の管理方法は適宜変更されてもよい。
【0112】
また、前記実施例では、モニタ盤のタッチパネルを操作することでのみ搬送台車に再稼働信号を送信できる構成として説明したが、これに限られず、操作端末から再稼働信号を送信できるようにしてもよい。
【0113】
また、前記実施例では、搬送台車は、再稼働信号が入力されることで原点復帰モードに移行する構成として説明したが、これに限られず、各種センサなどの情報から異常が排除されたことを検出するなどして、原点復帰モードに移行してもよい。すなわち、原点復帰モードへの移行も自律制御される構成であってもよい。
【0114】
また、前記実施例では、モニタ盤に外部から停止指令を入力するものとして一斉停止ボタンを例示したが、これに限られず、収容棚内に設けられた人感センサ、地震センサなどであってもよく、適宜変更されてもよい。
【0115】
また、前記実施例では、通常稼働モードにおいて、入力制限フラグをOFFとしたのち、停止モードとなる前のモード(ステータス)に移行する構成として説明したが、通常稼働モードに移行し、入力制限フラグをOFFとしたのち、一律に待機モードに移行する構成であってもよい。このような構成であっても、通常稼働モードに移行することで、コントロールパネル、操作端末から指示が入力されることで搬送台車を停止直前の状態に円滑に移行させることができる。
【0116】
また、前記実施例では、各フラグはONまたはOFFとなる構成として説明したが、これに限られず、HIGHまたはLOWとなる構成であってもよく、1または0となる構成であってもよく、その管理方法は適宜変更されてもよい。
【0117】
また、前記実施例は、RFIDリーダとRFタグを用いて搬送台車が配置された収容レーンを特定できる構成として説明したが、これに限られず、例えば2次元バーコード等をバーコードリーダで読み取ることで収容レーンの情報を取得できるようにしてもよく、作業者が搬送台車の移載を行った収容レーンをモニタ盤に手動で登録してもよく、モニタ盤が収容レーンの情報を取得する方法は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 搬送台車
2 収容棚(ラック構造体)
2a 間口
2b 側面
3 物品
4,4 レール
4a,4a 載置面
4b,4b’ 走行面
4d,4d’ 側壁
5 支柱
6 車体
7 載置台
12 走行駆動部
13 走行車輪
15 スリット
17 情報装置
17a ステータス履歴
20,20A 収容レーン
21 センサ
30 コントロールパネル(制御端末)
40 操作端末(制御端末)
50 モニタ装置(制御装置、操作盤、一斉停止手段、再稼働手段)
51a 傾斜面
51b 平坦面
52 制御装置
53 タッチパネル
54 一斉停止ボタン
55 アクセスポイント
60 一斉停止ボタン(一斉停止手段)
S 倉庫システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13