(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128227
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65G1/04 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037085
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輝
(72)【発明者】
【氏名】松枝 栄次
(72)【発明者】
【氏名】中垣 崇
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昂
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 修一
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE02
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM52
3F022NN42
3F022PP06
3F022QQ12
(57)【要約】
【課題】同じ収容レーンで複数台の搬送台車が重複して走行されることを防止できる倉庫システムを提供する。
【解決手段】自走可能な搬送台車1と、物品を載置可能とする載置面4aと搬送台車1が走行可能な走行面4bとを有する収容レーン20を複数備える収容ラック2と、を備える倉庫システムであって、収容レーンの識別情報の入力を受け付け、入力された収容レーンの識別情報の重複の有無を判定する判定装置50を更に備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な搬送台車と、物品を載置可能とする載置面と前記搬送台車が走行可能な走行面とを有する収容レーンを複数備える収容ラックと、を備える倉庫システムであって、
前記搬送台車が配置されるまたは配置された前記収容レーンの識別情報の入力を受け付け、入力された前記収容レーンの識別情報の重複の有無を判定する判定装置を更に備えることを特徴とする倉庫システム。
【請求項2】
前記搬送台車は、前記収容レーンの識別情報を取得する取得部と、自身の識別情報と自身が位置する前記収容レーンの識別情報を前記判定装置に送信可能な通信部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記搬送台車は、前記収容レーンに移載された後に所定の初期位置まで走行する原点復帰動作処理を行うようになっており、前記収容レーンの初期位置には当該収容レーンの識別情報を送信可能な送信装置が設けられ、前記搬送台車は前記取得部により前記送信装置から前記識別情報を受信することを特徴とする請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記判定装置は、前記収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき所定の報知処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記判定装置は、前記搬送台車の識別情報が紐付けられた前記収容レーンの識別情報の入力を受け付け、前記収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき、当該収容レーンの識別情報に紐付けられた前記搬送台車に走行停止指示を送信することを特徴とする請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記収容ラックは、前記収容レーンの長手方向の両側にそれぞれ前記搬送台車及び物品の入出庫が可能な間口を備え、前記倉庫システムは先入れ先出し方式であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上下に複数段かつ左右に複数列の間口が設けられた複数の収容ラックが設置され、大規模な物品収容管理の可能な大型の倉庫システムが普及している。例えば、上部に物品を載置可能な載置面と、搬送台車の車輪が走行する走行面と、を有する収容レーンが間口に対して奥行き方向に延びるように敷設され、この収容レーンの走行面上を車輪により自走する搬送台車を走行させることで、搬送台車により物品を所定の収容レーン内の載置面に対して入出庫または収容レーン上で物品の移動の作業を行う、特許文献1のような搬送設備が知られている。
【0003】
これら大型の倉庫システムに利用される搬送設備は、作業者がフォークリフト等を利用して搬送台車を各収容レーンで移動させることによって、少ない台数の搬送台車で入出庫または物品の移動を可能としている。また、このような収容ラックにあっては、平常的には一台の搬送台車は一人の作業員により独占的に使用されるようになっており、特に規模の大きい収容ラックでは、複数台の搬送台車と複数人の作業員により効率よく作業が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-128446号公報(第14頁、第11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、規模の大きい収容ラックでは、複数台の搬送台車と複数人の作業員により効率よく作業が行われているが、作業員がそれぞれ独立的に搬送台車を用いた作業を行うことから、同じ収容レーンに複数台の搬送台車が重複して配置される可能性があり、この場合、搬送台車同士の衝突等を引き起こしてしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、同じ収容レーンで複数台の搬送台車が重複して走行することを防止できる倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の倉庫システムは、
自走可能な搬送台車と、物品を載置可能とする載置面と前記搬送台車が走行可能な走行面とを有する収容レーンを複数備える収容ラックと、を備える倉庫システムであって、
前記搬送台車が配置されるまたは配置された前記収容レーンの識別情報の入力を受け付け、入力された前記収容レーンの識別情報の重複の有無を判定する判定装置を更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、判定装置が、搬送台車を移載させるまたは移載させた収容レーンの識別情報の入力を受け付け、この収容レーンの識別情報の重複の有無の判定を行うことで、同一の収容レーンに複数の搬送台車が配置されることを防ぐことができる。
【0008】
前記搬送台車は、前記収容レーンの識別情報を取得する取得部と、自身の識別情報と自身が位置する前記収容レーンの識別情報を前記判定装置に送信可能な通信部と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、搬送台車は、収容ラックの各収容レーンの識別情報を取得部により取得することで自身が配置された収容レーンの識別情報を判定装置に送信することができ、判定装置は正確な情報に基づき収容レーンの識別情報の重複の有無を判定できる。
【0009】
前記搬送台車は、前記収容レーンに移載された後に所定の初期位置まで走行する原点復帰動作処理を行うようになっており、前記収容レーンの初期位置には当該収容レーンの識別情報を送信可能な送信装置が設けられ、前記搬送台車は前記取得部により前記送信装置から前記識別情報を受信することを特徴としている。
この特徴によれば、原点復帰動作処理により、所定の初期位置まで走行する過程で収容レーンの識別情報を取得することから、作業者による搬送台車の移載操作時の配置位置の精度に関わらず、確実に収容レーンの識別情報を取得することができる。
【0010】
前記判定装置は、前記収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき所定の報知処理を行うことを特徴としている。
この特徴によれば、搬送台車を使用する作業者は、同一の収容レーンに複数の搬送台車が配置されたことを直ちに認知することができる。
【0011】
前記判定装置は、前記搬送台車の識別情報が紐付けられた前記収容レーンの識別情報の入力を受け付け、前記収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき、当該収容レーンの識別情報に紐付けられた前記搬送台車に走行停止指示を送信することを特徴としている。
この特徴によれば、判定装置から収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき走行停止指示が送信されることで、同一の収容レーンに配置された搬送台車同士の衝突を確実に防止することができる。
【0012】
前記収容ラックは、前記収容レーンの長手方向の両側にそれぞれ前記搬送台車及び物品の入出庫が可能な間口を備え、前記倉庫システムは先入れ先出し方式であることを特徴としている。
この特徴によれば、収容されている物品を古いものから順番に出庫し、保管する期間をできるだけ短期間に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係る倉庫システムにおける搬送台車と収容ラックを示す側面図である。
【
図2】収容ラックを間口側から見た一部拡大図である。
【
図5】倉庫システムの構成を示すイメージ図である。
【
図7】原点復帰動作処理を示す概略図であり、(a)は、搬送台車が移載された状態を示す図であり、(b)は、センサがスリットの始まりを検出した状態を示す図である。
【
図8】原点復帰動作処理を示す概略図であり、(a)は、センサがスリットの終わりを検出した状態を示す図であり、(b)は、搬送台車を徐行後退させた状態を示す図である。
【
図9】(a)はモニタ装置に表示された間口情報画面を示す図であり、(b)は同じく間口情報画面の収容レーンの欄に搬送台車のアイコンが表示された状態を示す図である。
【
図10】モニタ装置に表示された報知画面を示す図である。
【
図11】搬送台車のコントロールパネルに表示された異常停止画面を示す図である。
【
図12】走行停止指示を受信した搬送台車の表示ランプの点滅を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る倉庫システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る倉庫システムにつき、
図1から
図12を参照して説明する。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、搬送台車1は、複数の間口2aを上下左右に備えた収容ラック2が配置された大型倉庫等において、指定された物品3を収容ラック2の所定の間口2aに対して入庫,出庫もしくは整理を行う際に用いられる。
【0017】
図2に示されるように、収容ラック2を構成する左右の枠体2b,2bには、それぞれ正面視L字状、逆L字状で一対に対向して奥行方向に延びるレール4,4が支持されている。
【0018】
本実施例において収容ラック2は、収容されている物品を古いものから順番に出庫し、保管する期間をできるだけ短期間に抑えて、物品が劣化しないようにする、いわゆる先入れ先出し方式で用いられ、収容レーン20の長手方向における両端部に開放されている。収容ラック2の各間口2aは、レール4,4の左右間の空間とレール4,4の上方空間とにより構成される収容レーン20の長手方向における両端部の開放部分を指す。
【0019】
収容レーン20を構成するレール4は、上部に載置面4aが、レール4の載置面4aより一段下に走行面4bが、それぞれ奥行方向に延びて形成されている。載置面4aには物品3が載置されたパレット5がレール4の奥行方向に沿って複数載置できる。走行面4bには後述する搬送台車1の車輪13(14)が接置or接し、走行面4bに沿って走行可能になっている。
【0020】
図3に示されるように、搬送台車1はレール4,4の走行面4b,4bを奥行方向に走行可能な車体6、物品3を載置支持し車体6に対し昇降可能に設けられた載置台7を備えている。
【0021】
搬送台車1は、載置台7がパレット5の下面から離間する最下降状態でレール4,4の走行面4b,4bを走行してパレット5の下方に進入した後、載置台7を上昇させることでパレット5ごと物品3を持ち上げることができ、この状態で走行することで、パレット5をレール4,4の載置面4a,4aから所定高さ浮かせて運搬できる。尚、本実施例では、載置台7は、物品3を載せるためのパレット5を載置しているが、これに限らず、載置台7に直接に物品3が載置されてもよい。
【0022】
図3及び
図4に示されるように、車体6は、金属板の前後を屈曲して断面コ字状に形成された底板10aと前後の側板部10b,10cを有する基部材10と、基部材10の左右に取付けられる側板11,11’と、を備えている。車体6内部には、走行用の走行駆動部12、昇降用の昇降駆動部8、情報処理装置9、電源装置としてのバッテリ44を備えている。
【0023】
走行駆動部12,12は、駆動モータ12a,12a、走行車輪13,13、複数個の従動車輪14,14,…により主に構成される。駆動モータ12a,12aは図示しない信号線により駆動モータ制御部と接続されており、更に駆動モータ制御部は車体6内に内蔵されたバッテリ44に接続される。
【0024】
情報処理装置9は、走行用の駆動モータ12a,12aを駆動制御する駆動モータ制御部、昇降用の昇降モータ19を駆動制御する昇降モータ制御部、記憶部、受信手段及び送信手段としての通信部を備えている。記憶部は、制御装置の駆動信号の履歴、搬送台車1の運転履歴等を記憶する機能を有する。また、通信部は無線LANの送受信装置を有しており、外部からの駆動指令等の受信や記憶部に記憶されたデータの送信等を行うことができる。
【0025】
また、載置台7の昇降用の昇降駆動部8についても、昇降モータ制御部が、指令信号に基づき、昇降モータ19に電力を供給して載置台7を昇降させている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、搬送台車1の車体6の後方側にはコントロールパネル30が備えられている。車体6の後方側とは、車体6の収容レーン20における走行方向の後方側を指す。コントロールパネル30は、情報処理装置9と接続され、搬送台車1のステータス確認や運転操作等を行うことができる画面が表示される。尚、このコントロールパネル30に表示される画面は、搬送台車1と接続した操作端末40にも表示され、作業者は操作端末40に表示された画面から、搬送台車1を遠隔で操作できるようになっている。
【0027】
図4に示されるように、搬送台車1の車体6における一方の側板11’には、センサ21が設けられている。センサ21は、投光部と受光部とを有したフォトセンサであり、後述するスリット15と同一の高さ位置に配置されている。このセンサ21は図示しない投光部と受光部とを有し、搬送台車1の走行時において投光部から投光された光を受光部で受光した反射量と、予め設定された閾値との関係により、スリット15を検出できるようになっている。また、側板11’におけるセンサ21の下方には、受信装置(取得部)であるRFIDリーダ65が備えられている。これらRFIDリーダ65は、後述する送信装置であるRFタグ66と対応している。
【0028】
詳しくは、
図2に示されるように、レール4,4は、走行面4b,4b’の各外方側部から立設する側壁部4d,4d’を有している。
図6から
図8に示されるように、一方の側壁部4d’の間口側端部には前述のスリット15が設けられている。またスリット15の近傍には、当該レール4,4を有する間口の位置情報を示す固有の識別情報(以降、「収容レーンの識別情報」という。)を送信可能なRFタグ66(
図6、7参照)が設けられている。
【0029】
RFタグ66は、側壁部4dの外側に固定される固定具に取り付けられており、スリット15の下方に設けられた孔67を介してレール4,4の内側に向けて収容レーン20の識別情報を送信可能となっている。
【0030】
RFタグ66は、いわゆるパッシブタイプであり、搬送台車1側のRFIDリーダ65より常時出力される電波を起電力として動作し、図示しないアンテナがRFIDリーダ65より出力された電波の一部を反射する。このときRFタグ66は、ICチップ(図示せず)内に記録された収容レーンの識別情報を反射する電波に載せてRFIDリーダ65に送信する。
【0031】
図5に示されるように、搬送台車の制御システムは、複数の搬送台車1,1,…を選択的または一括して遠隔操作するための操作端末40、搬送台車の制御信号及び運転履歴を受信して記憶するとともに、コントロール盤としてのモニタ装置50、アクセスポイント55を備え、操作端末40と複数の搬送台車1,1,…はアクセスポイント55を介して無線LANで接続できるようになっている。更に、操作端末40とモニタ装置50はアクセスポイント55を介して無線LANで接続されている。
【0032】
搬送台車1の情報処理装置9は、RFIDリーダ65で受信した収容レーンの識別情報を、搬送台車の識別情報(例えば、「2号車」等。)モニタ装置50に送信する。モニタ装置50は受信した収容レーンの識別情報を図示しない記憶部内のデータベースで照会し、該当する識別情報に関連付けられた収容レーンの識別名(例えば、「002015」。)を搬送台車1に返すとともに、当該収容レーンの識別名をモニタ装置50のディスプレイ50a(
図5参照)に表示する。
【0033】
搬送台車1を用いて、入出庫または収容レーン20上での物品3の移動の作業を行う作業者は、まずモニタ装置50のディスプレイ50aを確認して、搬送台車1が作業を行う収容レーン20を決定する。
図9(a)に示されるように、ディスプレイ50aには、収容レーン20毎に収容されている物品の種類や個数等を確認することができる間口情報画面60を表示することができる。
【0034】
作業者はフォークリフト等を操縦し、収容レーン20における間口2a側の端部近傍に搬送台車1を移載させる。次いで搬送台車1の操作を行う作業者は、操作端末40に表示されるホームポジションボタンを選択する(図示略)。ホームポジションボタンが選択されると、所定の信号が搬送台車1に送信され、この信号を受信した搬送台車1の情報処理装置9は原点復帰動作処理を開始する。
【0035】
原点復帰動作処理は、搬送台車1を収容レーン20における初期位置に原点復帰させる処理である。
図7(a)に示されるように、情報処理装置9における駆動モータ制御部は、まず駆動モータ12a,12aを正転方向に駆動させ、搬送台車1を前進させる(参照)。この前進時に、センサ21の投光部から発せられた光線がスリット15を通り抜ける(
図7(b)参照)ことでスリット15の始まりを検出する。
【0036】
次いで
図8(a)に示されるように、側壁部4d’に反射した光線を受光部で再度受光した際にスリット15の終わりを検出した情報が制御装置に送られると、制御装置は駆動モータ制御部による制御で所定距離(駆動モータ12a,12aの回転数)を徐行後退させた後、停止させる(
図8(b)参照)。この停止場所が搬送台車1の初期位置となる。
【0037】
そして、この原点復帰動作における搬送台車1の後退開始から初期位置での停止までの間に前述したRFIDリーダ65がRFタグ66の前を通過し、RFタグ66がRFIDリーダ65より常時出力される電波を起電力として動作し、自らが有する固有の識別情報、つまり収容レーンの識別情報が反射する電波に乗せて孔67を介してRFIDリーダ65に送信される。
【0038】
この初期位置にあっては、センサ21がスリット15の略中央に位置するとともに、RFIDリーダ65とRFタグ66とがちょうど重なる位置となっており、最も通信感度の高い状態の位置関係となっている。また、後退時に徐行させるように制御されていることから、RFタグ66を確実に動作させ、収容レーンの識別情報を正確に送信できるようになっている。
【0039】
モニタ装置50は受信した収容レーンの識別情報(例えば、2段2列目を示す「002015」。)に対して、搬送台車の識別情報(例えば、「2号車」等。)を紐づけて、図示しない記憶手段に記憶する。センサ21が所定時間を越えてレール4を検出しないことに基づき、搬送台車1の情報処理装置9は、搬送台車1がフォークリフトによって収容レーン20から取り出されたと判断するようになっている。そのため、搬送台車1が収容レーン20から取り出された場合には、情報処理装置9は搬送台車の識別情報と、いずれの収容レーンにも配置されていない旨の情報とをモニタ装置50に送信する。モニタ装置50は、受信した搬送台車の識別情報と、収容レーンの識別情報との記憶手段上における紐付け関係を解消する。
【0040】
モニタ装置50は、記憶手段に記憶された情報に基づき、
図9(b)に示されるように、間口情報画面60における対応する2段2列目の収容レーンの欄61に搬送台車の識別情報(「2号車」)を表示するとともに、搬送台車のアイコン62を表示させる。
【0041】
反対に、搬送台車1が収容レーン20から取り出された場合には、間口情報画面60における対応する収容レーンの欄61から搬送台車の識別情報(「2号車」)の表示を非表示にするとともに、搬送台車のアイコン62を非表示にする。
【0042】
上記したように、作業者は間口情報画面60を確認することで、搬送台車1が配置されていない収容レーン20と、搬送台車1が既に配置されている収容レーン20とをリアルタイムで見分けることができ、新たに搬送台車1を移載する際には、衝突を防止するために搬送台車1が配置されていない収容レーン20を選択する。
【0043】
ここで、収容レーン20は上下左右に多数配置されていることから、作業者の人為的ミスによって、搬送台車1が既に配置されている収容レーン20に新たに別の搬送台車1を移載してしまう場合がある。本実施例の倉庫システムは、1つの収容レーン20に2つ以上の搬送台車1が配置されていることを判定できる判定機能を備えている。
【0044】
詳しくは、モニタ装置50における演算手段は、収容レーンの識別情報(例えば、「002015」。)を受信した場合、言い換えると収容レーンの識別情報の入力を受け付けた場合、記憶手段に記憶されている情報を参照して、この収容レーンの識別情報に既に紐付けられた搬送台車の識別情報の有無を判定する。つまりモニタ装置50は本実施例における判定装置を構成している。
【0045】
そして、収容レーンの識別情報に既に紐付けられた搬送台車がある場合には、モニタ装置50は重複判定を下すとともに、所定の処理を開始する。本実施例では、重複判定後の処理として、報知処理と走行停止指示処理を行う。
【0046】
報知処理では、
図10に示されるように、モニタ装置50は重複判定を下したことに基づき、ディスプレイ50aの表示を間口情報画面60から、重複があったことを示す報知画面68に変更する。本実施例では報知画面68には、搬送台車の重複があったことを示す「重複異常」の文言と、重複があった収容レーンを示す「002015」の文字列が表示される。
【0047】
走行停止指示処理では、モニタ装置50は重複判定を下したことに基づき、重複があった収容レーンの識別情報に紐付けられた全ての搬送台車1に対して走行停止指示を送信する。走行停止指示を受信した搬送台車1は、走行駆動部12と昇降駆動部8の動作を直ちに停止する。
【0048】
また、走行停止指示を受信した搬送台車1の情報処理装置9は、コントロールパネル30に表示されていた操作画面から異常停止画面69に表示を変更させる。加えて、走行停止指示を受信した搬送台車1の情報処理装置9は、
図12に示されるように、搬送台車1の後方に配された表示ランプ70を通常走行時とは異なる態様で点滅させる(停止報知)。
【0049】
上述の後、搬送台車1が収容レーン20から取り出された場合には、情報処理装置9から搬送台車の識別情報と、いずれの収容レーンにも配置されていない旨の情報とをモニタ装置50に送信され、モニタ装置50は、受信した搬送台車の識別情報と、収容レーンの識別情報との記憶手段上における紐付け関係を解消する。これにより、収容レーンにおける搬送台車1の重複が解消された場合には、報知処理と走行停止指示処理を終了する。
【0050】
報知処理と走行停止指示処理が終了すると、モニタ装置50は、報知処理と走行停止指示処理を行っていた搬送台車1及び操作端末40を平常状態に復旧させる。平常状態に復旧された搬送台車1、つまり重複判定に基づき収容レーン20から取り出された搬送台車1とは異なり、既に収容レーン20に配置され、かつ当該収容レーン20に残された搬送台車1にあっては、走行停止指示を受信した際に作業途中であった場合には、情報処理装置9はこの作業の未完了の作業内容を一時的に記憶しておき、平常状態に復旧に基づき、この作業を再開する。
【0051】
このように、本実施例における倉庫システムでは、モニタ装置50が収容レーンの識別情報の入力を受け付け、入力された収容レーンの識別情報の重複の有無を判定する判定装置として機能し、同一の収容レーンで複数の搬送台車が走行することを防ぐことができる。
【0052】
また、搬送台車1は、収容レーンの識別情報を取得するRFIDリーダ65と、自身の識別情報と自身が位置する収容レーンの識別情報をモニタ装置50に送信可能な通信部と、を有しており、モニタ装置50は正確な情報に基づき収容レーンの識別情報の重複の有無を判定できる。
【0053】
また、搬送台車1は、収容レーン20に移載された後に行う原点復帰動作処理により、収容レーン20における所定の初期位置まで移動する走行動作の過程で、初期位置に設けられたRFタグ66から収容レーンの識別情報を取得することができ、作業者による搬送台車1の移載操作時の配置位置の精度に関わらず、確実に収容レーン20の識別情報を取得することができる。
【0054】
また、モニタ装置50は、収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき所定の報知処理を行うため、搬送台車を使用する作業者は、同一の収容レーン20に複数の搬送台車1が配置されていることを直ちに認知することができる。
【0055】
また、モニタ装置50は、収容レーンの識別情報の重複が判定されたことに基づき、この収容レーンの識別情報に紐付けられた搬送台車1に走行停止指示を送信するようになっている。これによれば、同一の収容レーン20に配置された搬送台車同士の衝突を確実に防止することができる。
【0056】
また、移載後に原点復帰動作が行われるようになっており、この動作は、初期位置に向かう走行移動であるため、既に同じ収容レーン20に配置されている搬送台車1との衝突が生じにくくなっている。
【0057】
また、本実施例における収容ラック2は、収容レーン20の長手方向の両側にそれぞれ搬送台車1及び物品3の入出庫が可能な間口2aを備える先入れ先出し方式であり、収容ラック2を挟んでそれぞれ作業を行う作業者同士の意思疎通の難しいこのような収容ラック2において、同一の収容レーン20に複数の搬送台車1が配置されているか否かの判定を行うことができることは特に有用であるといえ、作業性に優れる。加えて、収容されている物品を古いものから順番に出庫し、保管する期間をできるだけ短期間に抑えることができる。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施例では、各収容レーン20に設けられたRFタグ66と通信することで、搬送台車1は自身の移載された収容レーンの識別情報を取得し、モニタ装置50はこの識別情報を得ることができるが、これに限らず、例えば作業者が搬送台車1の移載を行った収容レーンをモニタ装置50に手動で登録する態様であってもよい。また、搬送台車1がモニタ装置50に収容レーンの識別情報を送る態様に代えて、収容レーン20に設けられたRFタグ66または搬送台車1を検知するセンサがモニタ装置50に搬送台車1が配置されたことを収容レーンの識別情報とともに送信してもよい。
【0060】
また、報知処理は前記実施例に示した態様に限らず、例えば搬送台車1から音声による報知が行われてもよいし、搬送台車1に接続された操作端末40に重複を示す表示を出現させてもよい。
【0061】
また、モニタ装置50は、収容レーンの識別情報に対して搬送台車の識別情報を紐づけて記憶しない態様、つまり搬送台車1を個別に識別せず、台数のみをカウントする態様であってもよく、この場合でも複数の搬送台車1が配置された収容レーン20を発見することができる。ただし、収容レーン20に複数配置された搬送台車1を個別に識別できると、搬送台車1や搬送台車1に接続された操作端末40に報知を行うことができ、より有用である。
【0062】
また、RFタグは、上記のようなパッシブタイプに限らず、自らに前記固有のIDを送信するための電源を持つアクティブタイプであってもよい。更に尚、RFIDリーダとRFタグを用いる態様に限らず、例えば2次元バーコード等をバーコードリーダで読み取ることで間口の情報を取得できるようにしてもよい。