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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128236
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240913BHJP
   H01R 24/50 20110101ALI20240913BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R24/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037105
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 周平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 滉太
(72)【発明者】
【氏名】小林 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優佑
(72)【発明者】
【氏名】櫨元 快晴
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA21
5E223AB76
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CD15
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB13
5E223EB14
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA14
5E223GA22
(57)【要約】
【課題】回路基板に対する実装性の向上を図ることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10,10Aは、外導体12,13と、外導体12,13の内側に配置される内導体11と、内導体11と外導体12,13との間に介在する誘電体14と、を備える。外導体12,13は、回路基板100の板面に対向する底面46と、底面46に開口し、内導体11を回路基板100側に引き出す引出口42と、底面46に突設される実装部47,48と、底面46における実装部47,48および引出口42が形成される実装エリア49を挟んだ両側に少なくとも1つずつ突設され、実装部47,48の先端面よりも先方に先端面が位置する基板設置部51,52と、を有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の外導体と、
前記外導体の内側に配置される導電性の内導体と、
前記内導体と前記外導体との間に介在する絶縁性の誘電体と、を備え、
前記外導体は、
回路基板の板面に対向する底面と、
前記底面に開口し、前記内導体を前記回路基板側に引き出す引出口と、
前記底面に突設される実装部と、
前記底面における前記実装部および前記引出口が形成される実装エリアを挟んだ両側に少なくとも1つずつ突設され、前記実装部の先端面よりも先方に先端面が位置する基板設置部と、を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記外導体は、基部と、前記基部から前方に突出する筒部と、を有し、
前記底面は、前記基部と前記板面との間に配置されるものであり、
前記基板設置部は、前記実装エリアを挟んだ前後両側に少なくとも1つずつ突設されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記外導体を保持し、前記外導体の前側に配置される絶縁性のハウジングをさらに備え、
前記筒部は、前記ハウジングの内部に突出しており、
前記実装エリアよりも前側に位置する前記基板設置部は、前記ハウジングの前後方向の範囲内に配置されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記基板設置部は、前記実装エリアを挟んだ前後両側に、左右方向に間隔を置いて一対ずつ突設されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、プラグボディ(以下、外導体という)と、プラグボディの内部に配置される内部導体部(以下、内導体という)と、を備えている。外導体は、回路基板の板面に対向する底面を有している。外導体の底面には、回路基板のグランド用導電路に電気的に接続される実装部が設けられている。内導体は、プラグボディの底面を貫通し、下端部を回路基板の信号用導電路に電気的に接続させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-71272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外導体の実装部は、回路基板の銅箔(導電層)に半田付けして接続される。例えば、リフロー時に、実装部の先端面が回路基板に対して位置ずれすると、実装部が回路基板のレジスト(絶縁層、樹脂層)に接触等して、適正な半田接続状態を得ることができない懸念がある。
【0005】
そこで、本開示は、回路基板に対する実装性の向上を図ることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、導電性の外導体と、前記外導体の内側に配置される導電性の内導体と、前記内導体と前記外導体との間に介在する絶縁性の誘電体と、を備え、前記外導体は、回路基板の板面に対向する底面と、前記底面に開口し、前記内導体を前記回路基板側に引き出す引出口と、前記底面に突設される実装部と、前記底面における前記実装部および前記引出口が形成される実装エリアを挟んだ両側に少なくとも1つずつ突設され、前記実装部の先端面よりも先方に先端面が位置する基板設置部と、を有している、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回路基板に対する実装性の向上を図ることが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態1において、コネクタの側断面図である。
図2図2は、図1に示す第2外導体の斜視図である。
図3図3は、図1に示す第1外導体の斜視図である。
図4図4は、図1に示す第1外導体の底面図である。
図5図5は、図1に示すコネクタの底面図である。
図6図6は、図1に示すコネクタが回路基板に実装される部分を拡大して示す側断面図である。
図7図7は、本開示の実施形態2において、コネクタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)導電性の外導体と、前記外導体の内側に配置される導電性の内導体と、前記内導体と前記外導体との間に介在する絶縁性の誘電体と、を備え、前記外導体は、回路基板の板面に対向する底面と、前記底面に開口し、前記内導体を前記回路基板側に引き出す引出口と、前記底面に突設される実装部と、前記底面における前記実装部および前記引出口が形成される実装エリアを挟んだ両側に少なくとも1つずつ突設され、前記実装部の先端面よりも先方に先端面が位置する基板設置部と、を有している。
【0010】
上記構成によれば、基板設置部の先端面が回路基板の板面に支持された状態で、実装部の先端面と回路基板の板面との間に隙間を形成することができる。このため、仮に、リフロー時に、実装部が回路基板に対して位置ずれしても、半田が実装部に追従することができ、回路基板の板面と実装部との間に半田フィレットを形成することができる。特に、基板設置部が外導体の底面における実装エリアを挟んだ両側に少なくとも1つずつ突設されているため、実装部の先端面と回路基板の板面との間に形成される隙間を適正な大きさに保つことができる。
【0011】
(2)上記(1)に記載のコネクタにおいて、前記外導体は、基部と、前記基部から前方に突出する筒部と、を有し、前記底面は、前記基部と前記板面との間に配置されるものであり、前記基板設置部は、前記実装エリアを挟んだ前後両側に少なくとも1つずつ突設されていることが好ましい。
【0012】
外導体は、基部から前方に突出する筒部によって、重心を前側に位置させる。そうすると、実装部が回路基板の板面に対して傾く懸念がある。しかるに上記構成によれば、実装エリアよりも前側に位置する基板設置部が回路基板の板面に支持されるので、実装部が回路基板に対して傾くのを抑えることができる。
【0013】
(3)上記(2)に記載のコネクタにおいて、前記外導体を保持し、前記外導体の前側に配置される絶縁性のハウジングをさらに備え、前記筒部は、前記ハウジングの内部に突出しており、前記実装エリアよりも前側に位置する前記基板設置部は、前記ハウジングの前後方向の範囲内に配置されていると良い。
【0014】
上記構成によれば、実装エリアよりも前側に位置する基板設置部がハウジングの前後方向の範囲内で回路基板の板面に支持されるので、外導体が前側に傾くのを効果的に抑えることができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記基板設置部は、前記実装エリアを挟んだ前後両側に、左右方向に間隔を置いて一対ずつ突設されていると良い。
【0016】
上記構成によれば、外導体が各基板設置部によって回路基板に安定して支持され、実装部の先端面と回路基板の板面との間に形成される隙間を一定に調整することができる。これにより、回路基板の板面と実装部との間により良好な半田フィレットを形成することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
実施形態1に係るコネクタ10は、図1に示すように、回路基板100に実装されるシールドコネクタを例示している。コネクタ10は、導電性の内導体11と、内導体11の外周を包囲する導電性の外導体12,13と、内導体11と外導体12,13との間に介在する絶縁性の誘電体14と、外導体12,13を保持する絶縁性のハウジング15と、を備えている。ハウジング15は、図示しない相手コネクタに嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング15が相手コネクタと嵌合する側を前側とする。図1の矢印Xが前側になる。左右方向は、図1の紙面厚み方向を基準とする。左右方向は、幅方向と同義である。図1の符号Yが右側になる。上下方向は、図1の上下方向を基準とする。上下方向は、高さ方向と同義である。図1の矢印Zが上側になる。これら方向の基準は、便宜的なものである。例えば、下側は、コネクタ10が図示しない車両等に搭載された状態における重力方向下側とは必ずしも一致しない。
【0019】
(ハウジング15)
ハウジング15は合成樹脂製であって、図1に示すように、端壁部16と、端壁部16から前方に突出するフード部17と、を有している。図示しない相手コネクタは、フード部17の内部に嵌合される。フード部17は、相手コネクタを嵌合状態に係止するロック部18を有している。ロック部18は、爪状をなし、フード部17の上壁から内部に突出している。端壁部16は、前後方向に貫通する挿通孔19を有している。挿通孔19には、後述する筒部32が挿通される。
【0020】
ハウジング15は、端壁部16の壁厚内に、組付凹部21を有している。図5に示すように、組付凹部21は、端壁部16の後面および下面に開口している。端壁部16の下端側には、組付凹部21の後面の左右端部を部分的に閉塞する一対の係止部22を有している。組付凹部21には、下方から外導体12,13の後述する連結部39が挿入される。各係止部22は、連結部39の左右端部に後方から押圧状態で接触し、連結部39を組付凹部21に保持する。
【0021】
図1に示すように、ハウジング15には、導電性の接続部材23が装着される。接続部材23は、ハウジング15に装着された状態で上方に突出する部分を、外部に配置された導電性の筐体90の壁面に接触させる。また、接続部材23は、ハウジング15に装着された状態でハウジング15の内部に位置する部分を、筒部32に接触させる。
【0022】
(内導体11、誘電体14)
内導体11は、外導体12,13の内側に配置されている。内導体11は金属製であってタブ状またはピン状をなし、図1に示すように、前後方向に長く延びる相手接続部24と、相手接続部24の後端から下方に延びる基板接続部25と、を有している。相手接続部24は、ハウジング15と相手コネクタとの嵌合時、前端部を、図示しない相手内導体に電気的に接続させる。基板接続部25は、回路基板100への実装時、下端部を、回路基板100のスルーホール102に挿入させ、回路基板100の信号用導電路に電気的に接続させる。
【0023】
誘電体14は合成樹脂製であって、図1に示すように、前後方向に長く延びる端子収容部26と、端子収容部26の後端から下方に延びる端子導出部27と、を有している。誘電体14は、端子収容部26を前後方向に延びる収容室28と、端子導出部27を上下方向に延びる導出溝29と、を有している。収容室28は、誘電体14を前後方向に貫通している。導出溝29の上端は、収容室28の後端に連通している。導出溝29の下端は、端子導出部27の下面に開口している。導出溝29は、端子導出部27の後方に開放されている。内導体11の相手接続部24は、端子収容部26の収容室28に後方から挿入される。相手接続部24が収容室28に収容され、内導体11の基板接続部25が導出溝29の奥面に接触することにより、内導体11のそれ以上の挿入動作が規制される。このとき、相手接続部24の前端部は、端子収容部26から前方に突出して配置される。基板接続部25の下端部は、端子導出部27から下方に突出して配置される。基板接続部25の後方の空間は、後述する背壁43によって閉塞される。
【0024】
(外導体12,13)
外導体12,13は、内導体11を電気的にシールドするものであって、例えば、ダイキャスト製の導電性剛体として構成される。本実施形態1の場合、外導体は、互いに別体の第1外導体12および第2外導体13によって構成される。図1に示すように、第1外導体12は、第2外導体13の下側に配置される。
【0025】
図2に示すように、第2外導体13は、基部31と、基部31から前方に突出する筒部32と、を有している。基部31は、角枠状をなし、内部に、装着凹部33を有している。装着凹部33は、基部31の後面および下面に開口している。第1外導体12は、装着凹部33に下方から挿入されて装着される。基部31は、装着凹部33の左右端部を閉塞する一対の側壁部34を有している。図5に示すように、各側壁部34の下端部は、前後方向の端部に、前後方向の中間部よりも幅広の支持端部35を有している。各支持端部35は、基部31の下面における四隅部を構成している。基部31は、各支持端部35の平坦な下面から突出する4つの脚部36を有している。各脚部36は、円柱状をなし、図1に示すように、回路基板100に形成された各固定孔101に挿入され、回路基板100に半田付けして固定される。
【0026】
筒部32は、円筒状をなし、基部31の前面から突出している。筒部32の前後方向の寸法(突出寸法)は、基部31の前後方向の長さよりも大きくしている。図1に示すように、筒部32の内部は、誘電体14を挿入可能な挿入孔37になっている。挿入孔37は、筒部32から基部31に亘って形成され、装着凹部33を介して第2外導体13の後方に開放されている。端的には、挿入孔37は第2外導体13の内部を前後方向に貫通している。
【0027】
第1外導体12は、本体部38と、本体部38の前方に連なる連結部39と、によって構成される。図4に示すように、本体部38は、底面視において第1外導体12の装着凹部33の開口形状に対応する外形形状を有している。連結部39は、底面視においてハウジング15の組付凹部21の開口形状に対応する外形形状を有している。
【0028】
図3に示すように、第1外導体12は、本体部38および連結部39の底部を構成する板状の底壁41を有している。本体部38は、底壁41の後端側の部位を厚み方向(上下方向)に貫通する底面視矩形状の引出口42を有している。図5および図6に示すように、誘電体14の端子導出部27の下端部は、底壁41の引出口42に嵌合される。内導体11の基板接続部25の下端部は、底壁41の引出口42から引き出されて回路基板100のスルーホール102に挿入される。
【0029】
本体部38は、底壁41の後端側に上方に起立する背壁43を有している。図1に示すように、第1外導体12が第2外導体13の装着凹部33に装着された状態において、背壁43は第2外導体13の装着凹部33の後面開口を閉塞する。
【0030】
図3に示すように、背壁43および底壁41の各々の左右面には、上下方向に延びる複数の保持リブ44が形成されている。図5に示すように、各保持リブ44が装着凹部33の内面に押圧状態で接触することにより、第1外導体12が第2外導体13に保持される。
【0031】
図3に示すように、連結部39は、底壁41の前端側の左右端部に上方に起立する一対の突壁45を有している。図5に示すように、各突壁45は、ハウジング15の組付凹部21に嵌合される。
【0032】
第2外導体13はハウジング15に後方から組み付けられる。その後、第1外導体12が第2外導体13およびハウジング15に下方から跨がるように組み付けられる。本体部38が装着凹部33に圧入され、連結部39が組付凹部21に圧入されることにより、第1外導体12、第2外導体13およびハウジング15が組付状態に保持される。
【0033】
図3図5に示すように、底壁41の下面は、前後方向および左右方向に平坦な底面46になっている。底壁41の底面46には、引出口42の周囲に間隔を置いて複数の実装部47,48が突設されている。各実装部47,48は、回路基板100の板面上のグランド用導電路(銅箔)に半田付けして電気的に接続される。本体部38の底面46のうち外縁部を除く内部エリアは、内導体11の基板接続部25の下端部が引き出される引出口42および各実装部47,48が配置され、回路基板100に半田実装される実装エリア49になっている。なお、図1に示すように、例えば、筒部32の先端は、前後方向において、実装エリア49よりも前方に位置する。また、コネクタ10が回路基板100に対して配置された状態では、底面46は、基部31と回路基板100の板面との間に配置される。
【0034】
図3図5に示すように、例えば、一対の第1実装部47は、引出口42を挟んだ前後両側に配置されている。また、例えば、一対の第2実装部48は、引出口42を挟んだ左右両側に配置されている。各第1実装部47は、引出口42の前後縁のそれぞれに沿って左右方向に延びるリブ状をなし、突出方向の先端面(下面)を左右方向に平坦に形成している。各第2実装部48は、引出口42の左右縁のそれぞれに沿って前後方向に延びるリブ状をなし、突出方向の先端面(下面)を前後方向に沿って平坦に形成している。各第2実装部48の前後方向の寸法(前後長)は、各第1実装部47の左右方向の寸法(左右長)よりも小さくしている。各第1実装部47の先端面および各第2実装部48の先端面は、それぞれ同じ高さ位置に配置されている。第2外導体13の各支持端部35(各脚部36を含む)は、各第1実装部47を挟んだ左右両側の位置で、且つ各第2実装部48を挟んだ前後両側の位置に配置されている。
【0035】
底壁41の底面46には、実装エリア49を挟んだ前後両側に、複数の基板設置部51,52が突設されている。各基板設置部51,52は、回路基板100の板面のレジストに載置される。各基板設置部51,52は、角柱状をなし、突出方向の先端面(下面)を平坦に形成している。各基板設置部51,52の、底面46からの突出寸法は、各実装部47,48の、底面46からの突出寸法よりも大きくしている。各基板設置部51,52の先端面は、各実装部47,48の先端面よりも下方に配置されている。このため、各基板設置部51,52の先端面は、基板設置部51,52の突出方向において、各実装部47,48の先端面よりも先方に位置している。各基板設置部51,52の先端面の面積は、各実装部47,48の先端面の面積よりも小さくしている。
【0036】
各基板設置部は、前側の第1実装部47よりも前方に離れた位置で左右方向に間隔を置いて配置される一対の第1基板設置部51と、後側の第1実装部47よりも後方の位置で左右方向に間隔を置いて配置される一対の第2基板設置部52と、によって構成される。各第1基板設置部51は、連結部39の底面46の前端側に設けられている。各第1基板設置部51は、連結部39が組付凹部21に圧入されることにより、ハウジング15の前後方向の範囲内に配置される。本実施形態1のコネクタ10は、筒部32が基部31の前方に突出し、ハウジング15が外導体12,13の前方に連なるため、ハウジング15側に重心が位置することになる。各第1基板設置部51は、コネクタ10の重心近くに配置されることにより、回路基板100に安定して支持される。
【0037】
各第2基板設置部52は、本体部38の底面46の後端側に設けられている。各第2基板設置部52の後面は、底壁41の後面に段差なく連続している。前側の第1実装部47と各第1基板設置部51との前後方向の離間距離は、後側の第1実装部47と各第2基板設置部52との前後方向の離間距離よりも大きくしている。
【0038】
(コネクタ10の作用)
コネクタ10は、回路基板100に対してリフローにより実装される。リフローに先立ち、コネクタ10が回路基板100に設置される。このとき、各脚部36が各固定孔101に挿入され、各基板設置部51,52が回路基板100の板面に載置される。各基板設置部51,52が回路基板100に支持されることにより、底壁41の底面46と回路基板100との間に間隔が一定に保たれる。またこのとき、基板設置部51,52の各々の先端面を回路基板100の板面に当接させてコネクタ10が回路基板100に対して配置されることにより、各実装部47,48の先端面は、回路基板100の板面との間に隙間を置いて当該板面と対向して配置される。
【0039】
次いで、コネクタ10が図示しないリフロー炉の中で加熱され、回路基板100の板面上の半田が溶融される。これにより、図6に示すように、各実装部47,48の先端面と回路基板100の板面との間に亘って半田フィレット70が形成される。また、内導体11の基板接続部25の下端部と回路基板100の板面との間にも半田フィレット80が形成される。その後、半田が冷却固化されることにより、外導体12,13の各実装部47,48が回路基板100のグランド用導電路に半田接続され、且つ内導体11の基板接続部25が回路基板100の信号用導電路に半田接続される。内導体11の基板接続部25の下端部は、底壁41の底面46と回路基板100の板面との間に露出する部分を、各実装部47,48によって四方(前後方向および左右方向)から包囲される。これにより、内導体11に対するシールド性能が高められる。また、各脚部36が回路基板100の各固定孔101に半田付けして固定される。
【0040】
各基板設置部51,52には半田が施されず、リフロー工程の間、各基板設置部51,52は、底壁41の底面46と回路基板100の板面との間の間隔を一定に維持する機能をはたす。よって、仮に、コネクタ10が回路基板100に対して位置ずれしても、各実装部47,48がレジストに接触するのを回避できる。
【0041】
各基板設置部51,52が上記した間隔維持機能をはたすことにより、各実装部47,48の先端面と回路基板100の板面との間には隙間が形成される。このため、溶融状態の半田が各実装部47,48の位置ずれ方向に追従して半田フィレット70を適正に形成することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態1によれば、基板設置部51,52の各々の先端面が回路基板100の板面に支持された状態で、実装部47,48の各々の先端面と回路基板100の板面との間に隙間を形成することができる。このため、仮に、リフロー時に、各実装部47,48が回路基板100に対して位置ずれしても、半田が各実装部47,48に追従することができ、回路基板100の板面と各実装部47,48との間に半田フィレット70を適正に形成することができる。特に、各基板設置部51,52が第1外導体12の底面46における実装エリア49を挟んだ両側に一対ずつ突設されているため、各実装部47,48の先端面と回路基板100の板面との間に形成される隙間を適正な大きさで一定に調整することができる。その結果、コネクタ10は、実装性の向上を図ることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態1の場合、実装エリア49よりも前側に位置する各第1基板設置部51がコネクタ10の重心位置の近くで回路基板100の板面に支持されるので、リフロー時に各実装部47,48が回路基板100に対して傾くのを抑えることができる。
【0044】
<実施形態2>
実施形態2に係るコネクタ10Aは、内導体11および誘電体14をそれぞれ2つ備え、底壁41の底面46に2つの引出口42を開口させ、各引出口42に対応して複数の実装部47A,48Aを設けた点で、実施形態1とは異なる。その他は実施形態1と同様であり、実施形態2において、実施形態1と同一または類似の構造には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
図7に示すように、2つの引出口42は、第1外導体12の底壁41において前後方向に並んで設けられている。各引出口42は、底壁41の底面46において底面視矩形状に開口している。前側の引出口42の後縁と後側の引出口42の前縁とは互いに平行に配置されている。2つの誘電体14は、それぞれ、対応する引出口42に端子導出部27の下端部を嵌合させる。2つの内導体11は、それぞれ、対応する引出口42から基板接続部25の下端部を下方に突出させる。
【0046】
複数の実装部は、実装エリア49における前後方向の端部を除く部位に配置されるメイン実装部47Aと、実装エリア49の前後方向の端部に配置される一対のサブ実装部48Aと、を有している。メイン実装部47Aは、各引出口42の間を左右方向に延びるリブ状の中間実装部47Bと、各引出口42の左右縁の各々に沿って各引出口42に亘って長く延びるリブ状の一対の側方実装部47Cと、によって構成される。中間実装部47Bの左右方向の端部は、それぞれ、各側方実装部47Cの前後方向の中間部に連結されている。中間実装部47Bの前後方向の寸法(前後幅)は、側方実装部47Cの左右方向の寸法(左右幅)よりも大きくしている。メイン実装部47Aは、中間実装部47Bと各側方実装部47Cとによって底面視H形状を呈している。メイン実装部47Aの先端面は、メイン実装部47AのH形状に沿って平坦に形成されている。
【0047】
各サブ実装部48Aは、前側の引出口42の前縁に沿って左右方向に延びるリブ状部分と、後側の引出口42の後縁に沿って左右方向に延びるリブ状部分と、によって構成される。各サブ実装部48Aの先端面は、メイン実装部47Aの先端面と同じ高さ位置に平坦に形成されている。各サブ実装部48Aの前後方向の寸法は、中間実装部47Bの前後方向の寸法よりも小さくしている。
【0048】
底壁41の底面46には、実装エリア49を挟んだ前後両側に、左右方向に間隔を置いて一対ずつの基板設置部51,52が突設されている。各基板設置部51,52の先端面は、各実装部47A,48Aの先端面よりも下方に配置されている。各基板設置部51,52は、回路基板100の板面に載置される。各実装部47A,48Aは、各基板設置部51,52によって、回路基板100の板面との間に隙間を形成する。基板設置部51,52に関する構造、配置は、実施形態1と同様である。
【0049】
実施形態2によれば、メイン実装部47Aおよび各サブ実装部48Aが各引出口42の四方を包囲するため、各引出口42から引き出される各内導体11に対するシールド性能を高めることができる。特に、メイン実装部47Aの中間実装部47Bが各内導体11の基板接続部25間に設けられているため、各内導体11間のクロストークを防止することができる。
【0050】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1,2はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1,2の場合、基板接続部は、実装エリアを挟んだ両側に一対ずつ配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、基板接続部は、実装エリアを挟んだ両側にそれぞれ1つ配置されるだけでも良く、あるいは実装エリアを挟んだ両側にそれぞれ3つ以上配置されていても良い。
実施形態1,2の場合、基板接続部は、実装エリアを挟んだ前後両側に配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、基板接続部は、実装エリアを挟んだ左右両側に配置されていても良い。また、基板接続部は、実装エリアを挟んだ前後両側および左右両側にそれぞれ配置されていても良い。
実施形態1,2の場合、実装部は、底壁の底面において、引出口の周囲に複数配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、実装部は、底壁の底面において、引出口の周囲を全周に亘って包囲するように、1つの引出口に1つ配置されるだけでも良い。
実施形態1,2の場合、実装部は、底壁の底面において、引出口の口縁に沿って直線状に延びる形状であった。これに対し、例えば、引出口が円形の開口形状を有する場合、実装部は、引出口の口縁に沿って湾曲して延びる形状であっても良い。
実施形態1,2の場合、外導体は、第1外導体と第2外導体とに分離合体可能であった。これに対し、他の実施形態によれば、外導体は、分離不能な一体型の外導体であっても良い。
上記実施形態1,2の場合、外導体はダイキャスト製であった。これに対し、他の実施形態によれば、外導体は金属製のブロック部材を切削加工して形成されても良い。
【符号の説明】
【0051】
10,10A…コネクタ
11…内導体
12…第1外導体(外導体)
13…第2外導体(外導体)
14…誘電体
15…ハウジング
16…端壁部
17…フード部
18…ロック部
19…挿通孔
21…組付凹部
22…係止部
23…接続部材
24…相手接続部
25…基板接続部
26…端子収容部
27…端子導出部
28…収容室
29…導出溝
31…基部
32…筒部
33…装着凹部
34…側壁部
35…支持端部
36…脚部
37…挿入孔
38…本体部
39…連結部
41…底壁
42…引出口
43…背壁
44…保持リブ
45…突壁
46…底面
47…第1実装部(実装部)
47A…メイン実装部(実装部)
47B…中間実装部(実装部)
47C…側方実装部(実装部)
48…第2実装部(実装部)
48A…サブ実装部(実装部)
49…実装エリア
51…第1基板設置部(基板設置部)
52…第2基板設置部(基板設置部)
70…(実装部側の)半田フィレット
80…(内導体側の)半田フィレット
90…筐体
100…回路基板
101…固定孔
102…スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7