(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128237
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6594 20110101AFI20240913BHJP
【FI】
H01R13/6594
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037106
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 周平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 滉太
(72)【発明者】
【氏名】小林 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優佑
(72)【発明者】
【氏名】櫨元 快晴
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC21
5E021LA09
(57)【要約】
【課題】シールド性能の信頼性向上を図る。
【解決手段】シールドコネクタAは、内導体11,16及び誘電体12,17を包囲する外導体20と、破断面51を有する金属板材からなり、外導体20の外面の少なくとも一部を覆うシールド部材70と外導体20とに接続される接続部材50と、外導体50と接続部材50の互いに対向する対向面25,60のうち少なくとも一方の対向面25に、破断面51以外の領域において外導体20と接続部材50とを接触させる突起状の接触部30を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体及び誘電体を包囲する外導体と、
破断面を有する金属板材からなり、前記外導体の外面の少なくとも一部を覆うシールド部材と前記外導体とに接続される接続部材と、を備え、
前記外導体と前記接続部材の互いに対向する対向面のうち少なくとも一方の前記対向面に、前記破断面以外の領域において前記外導体と前記接続部材とを接触させる突起状の接触部を有するシールドコネクタ。
【請求項2】
前記接触部が、前記対向面と平行な接触面を有している請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記接続部材は、片持ち状に延出する板状のアーム部を有し、
前記アーム部は、前記対向面を有し、
前記接続部材における前記外導体との接点部が、前記アーム部に設定され、
前記接続部材は、前記接触部によって押されることにより、前記アーム部を板厚方向へ弾性変形させた状態で前記外導体に接触している請求項1又は請求項2に記載のシールドコネクタ。
【請求項4】
前記接続部材のうち前記アーム部の基端部が、前記対向面と直交する方向において移動規制されている請求項3に記載のシールドコネクタ。
【請求項5】
前記アーム部には、前記外導体に係止することによって、前記接続部材が前記外導体に対して前記対向面と平行な方向へ離脱することを規制する移動規制部が形成されている請求項4に記載のシールドコネクタ。
【請求項6】
前記外導体が鍛造品又は鋳造品からなり、
前記接触部が、前記外導体に一体形成されている請求項1又は請求項2に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内導体を誘電体に収容し、誘電体を外導体で包囲したコネクタが開示されている。外導体は、導電性の筐体に収容された状態で、筐体に接触している。外導体が筐体に接触することによって、シールド性能の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外導体と筐体は嵌め合わせによって接触しているので、寸法公差が大きい場合は、外導体と筐体との接触信頼性が低下し、シールド性能の向上を実現することが難しい。この対策としては、金属板材からなり、バネ片を有する接続部材を用いることが考えられる。接続部材を外導体に取り付けておき、バネ片を筐体に対して弾性的に接触させることによって、接触安定性を向上させることができる。
【0005】
接続部材が、金属板材をプレス加工によって打ち抜いて形成したものである場合、接続部材の外周面は、プレス機によって剪断された破断面となる。破断面は、細かい凹凸を有するので、破断面を外導体に接触させた場合、充分な接触面積を確保できず、接続部材と外導体との間で接続不良を来すことが懸念される。接続部材と外導体との間で接触不良が生じると、シールド性能が低下する。
【0006】
本開示のシールドコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド性能の信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のシールドコネクタは、
内導体及び誘電体を包囲する外導体と、
破断面を有する金属板材からなり、前記外導体の外面の少なくとも一部を覆うシールド部材と前記外導体に接続される接続部材と、を備え、
前記外導体と前記接続部材の互いに対向する対向面のうち少なくとも一方の前記対向面に、前記破断面以外の領域において前記外導体と前記接続部材とを接触させる突起状の接触部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シールド性能の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1のシールドコネクタを斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシールドコネクタを斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すシールドコネクタを回路基板に実装した状態をあらわす正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すシールドコネクタの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すシールドコネクタの外導体と接続部材との位置関係をあらわす正面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すシールドコネクタの接続部材と外導体を上下に離隔して配置した状態をあらわす正面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示すシールドコネクタの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の実施形態を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
【0011】
本開示のシールドコネクタは、
(1)内導体及び誘電体を包囲する外導体と、破断面を有する金属板材からなり、前記外導体の外面の少なくとも一部を覆うシールド部材と前記外導体とに接続される接続部材と、を備え、前記外導体と前記接続部材の互いに対向する対向面のうち少なくとも一方の前記対向面に、前記破断面以外の領域において前記外導体と前記接続部材とを接触させる突起状の接触部を有する。本開示の構成によれば、接触部が、当該接触部を有する対向面と対向する対向面に接触することにより、外導体と接続部材とが接触できる。そして、外導体と接続部材は、破断面以外の領域において接触するので、破断面において接続する場合に比べると接触面積が安定する。これにより、外導体と接続部材との間の接続信頼性を高めることができる。
【0012】
(2)前記接触部が、前記対向面と平行な接触面を有していることが好ましい。この構成によれば、接触面によって、外導体と接続部材との接触面積を大きく確保することができる。
【0013】
(3)(1)又は(2)において、前記接続部材は、片持ち状に延出する板状のアーム部を有し、前記アーム部は、前記対向面を有し、前記接続部材における前記外導体との接点部が、前記アーム部に設定され、前記接続部材は、前記接触部によって押されることにより、前記アーム部を板厚方向へ弾性変形させた状態で前記外導体に接触していることが好ましい。この構成によれば、アーム部の弾性復元力によって、接触部が当該接触部と対向する対向面に押し付けられるため、外導体と接続部材との間の接触圧を確保することができる。
【0014】
(4)(3)において、前記接続部材のうち前記アーム部の基端部が、前記対向面と直交する方向において移動規制されていることが好ましい。この構成によれば、アーム部の弾性変形の支点となる基端部が移動しないので、アーム部の弾性変形量が安定し、接点部における接圧が安定する。
【0015】
(5)(4)において、前記アーム部には、前記外導体に係止することによって、前記接続部材が前記外導体に対して前記対向面と平行な方向へ離脱することを規制する移動規制部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、アーム部の弾性変形の仕方が安定するので、接点部における接圧も安定する。
【0016】
(6)(1)又は(2)において、前記外導体が鍛造品又は鋳造品からなり、前記接触部が、前記外導体に一体形成されていることが好ましい。この構成によれば、金属板材からなる接続部材にプレス加工や叩き出し加工等によって接触部を形成する場合に比べると、製造工程数が少なくて済む。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1のシールドコネクタAを、
図1~
図9を参照して説明する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施例1において、前後の方向については、
図1,2,4,7~9におけるF方向を前方と定義する。左右の方向については、
図1~6,8,9におけるR方向を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。上下の方向については、
図1~7におけるH方向を上方と定義する。
【0018】
本実施例1のシールドコネクタAは、
図3に示すように、回路基板Pの実装面Mに取り付けられる基板用コネクタである。実装面Mには、金属等の導電性を有する材料からなる箱形のシールド部材70が実装されている。シールド部材70は、後述する外導体20の外面の少なくとも一部を覆う。シールドコネクタAは、シールド部材70の内側に配置される。回路基板Pを前方から視た正面視において、シールド部材70は、長方形をなす。シールド部材70は、左右一対の側板部71と、両側板部71の上端縁同士を繋ぐ水平な上板部72とを有する。側板部71の下端部は、回路基板Pのアース回路(図示省略)に接続されている。
【0019】
シールドコネクタAは、
図4,7に示すように、第1端子モジュール10と、第2端子モジュール15と、外導体20と、コネクタハウジング40と、接続部材50と、を組み付けて構成されている。
【0020】
図4に示すように、第1端子モジュール10は、L字形をなす第1内導体11と、第1内導体11を収容するL字形の第1誘電体12とを備えて構成されている。第1誘電体12は、上下方向に延びる第1実装側包囲部13と、第1実装側包囲部13の上端部から前方へ突出した第1嵌合側包囲部14とを有する。第2端子モジュール15は、L字形をなす第2内導体16と、第2内導体16を収容するL字形の第2誘電体17とを備えて構成されている。第2誘電体17は、上下方向に延びる第2実装側包囲部18と、第2実装側包囲部18の上端部から前方へ突出した第2嵌合側包囲部19とを有する。
【0021】
外導体20は、アッパケース21とロアケース34とを組み付けて構成されている。アッパケース21は、鍛造又は鋳造によって成形された金属製の単一部品である。アッパケース21は、箱形収容部22と、第1円筒部26と、第2円筒部27とを有する。箱形収容部22は、後面と下面が開放された直方形をなす。箱形収容部22の前面のうち上縁部と左右両側縁部を除いた長方形の領域には、突出部23が形成されている。箱形収容部22の前面のうち突出部23を左右両側から挟む領域は、受け面24として機能する。
【0022】
突出部23の前面は、受け面24と平行な平面からなる後側対向面25として機能する。第1円筒部26は、軸線を前後方向に向け、後側対向面25から前方へ突出した部位である。第2円筒部27は、軸線を第1円筒部26と平行に向け、第1円筒部26の下方において、後側対向面25から前方へ突出した部位である。第1円筒部26の下端部と第2円筒部27の上端部は、前端から後端に至る全長に亘り、繋ぎ部28を介して繋がっている。第1円筒部26と第2円筒部27と繋ぎ部28は、正面視において8字形をなす。
【0023】
図5,6に示すように、後側対向面25には、左右一対の突起状をなす接触部30が形成されている。外導体20を前方から見た正面視において、一対の接触部30は、繋ぎ部28を左右両側から挟み、且つ繋ぎ部28に近接した位置に配置されている。繋ぎ部28は第1円筒部26及び第2円筒部27よりも幅狭なので、第1円筒部26と第2円筒部27との間には左右一対のくびれ部29が形成されている。正面視において、一対の接触部30は、くびれ部29に配置されている。接触部30の正面視形状は、円形である。接触部30の前面(突出端面)は、接触面31として機能する。接触面31は、後側対向面25及び箱形収容部22の受け面24と平行な円形の平面からなる。
【0024】
ロアケース34は、鍛造又は鋳造によって成形された金属製の単一部品である。
図4に示すように、ロアケース34は、底壁部35と、閉塞部36と、左右一対の押え部37とを有する。
図7に示すように、底壁部35には、底壁部35を上下方向に貫通する第1貫通孔38と第2貫通孔39が形成されている。第2貫通孔39は第1貫通孔38よりも前方に位置する。閉塞部36は、底壁部35の後端部から上方へ壁状に突出した形状をなす。一対の押え部37は、底壁部35の前端部から上方へ突出した形状である。
【0025】
コネクタハウジング40は、合成樹脂製であり、全体として直方形をなす箱形の単一部品である。
図4,7に示すように、コネクタハウジング40は、厚さ方向を前後方向に向けた後壁部41と、後壁部41の外周縁から前方へ角筒状に突出したフード部42と、左右対称な一対のリブ状嵌合部44と、保持部45とを有する。後壁部41には、後壁部41を前後方向に貫通する嵌合孔43が形成されている。一対のリブ状嵌合部44は、後壁部41の左右両側縁に沿って上下方向に細長く延びるように形成されている。
図8に示すように、コネクタハウジング40を上から視た平面視形状は、後壁部41の後面から後方へ突出し、その突出端から幅方向内側へ突出したL字形をなす。
【0026】
図2に示すように、保持部45は、左右方向に細長く延びた形状をなす。保持部45の左右両端部は、両リブ状嵌合部44の上端部に繋がっている。保持部45は、後壁部41の後面に対して間隔を空けて対向するように配置されている。
図7に示すように、後壁部41の後面と保持部45の前面との間には、左右方向に細長く、上下両面が開口したスリット46が形成されている。
【0027】
接続部材50は、所定形状に打ち抜いた金属板材に曲げ加工を施して成形された単一部品である。したがって、接続部材50の外周縁に沿った板厚範囲内の外周面は、全て、破断面51である。破断面51は、カッタによって切断した面であるため平滑ではなく、他部材に対して導通を取るために接触させる面としては不適当である。
【0028】
接続部材50は、基部52と、複数のバネ片55と、アーム部56とを有する。基部52は、板厚方向を上下方向に向けた方形平板状の水平板部53と、水平板部53の後端縁から下方へ延出した方形平板状の鉛直板部54とを有する。接続部材50を側方から視た側面視において、基部52はL字形をなしている。複数(本実施例1で3つ)のバネ片55は、水平板部53の前端縁から斜め上後方へ片持ち状に延出した形状であり、幅方向に並ぶように配置されている。バネ片55は、バネ片55及び水平板部53の前端縁を支点として、上下方向へ弾性変形し得るようになっている。
【0029】
アーム部56は、板厚方向を前後方向に向けた平板状をなす。アーム部56は、基端部57と、左右対称な一対の移動規制部58とを有する。基端部57は、鉛直板部54よりも幅狭の部位である。一対の移動規制部58は、基端部57の下端縁から下方へ片持ち状に延出している。基端部57の下端縁と左右両移動規制部58の内側縁は、正面視形状が円弧形をなす規制縁部59を構成する。規制縁部59は、下端部において途切れている。規制縁部59の内径は、第1円筒部26の外径と同じ寸法である。一対の移動規制部58の最下端間の幅方向の間隔は、繋ぎ部28の幅寸法と同じ寸法である。
【0030】
図8,9に示すように、アーム部56の前面は、前側対向面60として機能する。前側対向面60は、その全領域に亘って段差のない平面によって構成されている。
図9に示すように、前側対向面60のうち移動規制部58の下端部を構成する領域は、外導体20の接触部30(接触面31)に当接する接点部61として機能する。接点部61は、接続部材50の外面のうち破断面51とは異なる面のみに設定された部位である。
【0031】
次に、シールドコネクタAの組み付け手順を説明する。外導体20においては、アッパケース21とロアケース34を離脱した状態で、第1端子モジュール10と第2端子モジュール15を、アッパケース21の後方から箱形収容部22内に挿入する。第1嵌合側包囲部14を第1円筒部26内に嵌入し、第2嵌合側包囲部19を第2円筒部27内に嵌入する。
【0032】
コネクタハウジング40においては、接続部材50を保持部45に取り付ける。基部52は、水平板部53をフード部42の上面後端部に接触させ、鉛直板部54を後壁部41の後面上端部に接触させた状態で位置決めされる。アーム部56は、コネクタハウジング40の上方から保持部45のスリット46内に差し込まれる。スリット46内においては、アーム部56の基端部57が前後方向及び左右方向への移動を規制された状態に保持される。移動規制部58は、スリット46及び保持部45の下方へ延出した状態で、後壁部41の後面に沿うように配置される。
【0033】
次に、アッパケース21を後方からコネクタハウジング40に組み付ける。このとき、第1円筒部26と第2円筒部27と繋ぎ部28が、後壁部41の嵌合孔43に圧入するように貫通され、フード部42内において後壁部41から前方へ突き出すように配置される。第1円筒部26と繋ぎ部28が規制縁部59に嵌合されることによって、接続部材50は、アッパケース21(外導体20及びコネクタハウジング40)に対して上下方向及び左右方向へ相対変位することを規制される。
【0034】
この後、ロアケース34を、アッパケース21に対して下から圧入するように組み付ける。第1貫通孔38に第1実装側包囲部13が収容され、第2貫通孔39に第2実装側包囲部18が収容される。リブ状嵌合部44が一対の押え部37と受け面24との間で前後方向に挟み付けられることによって、アッパケース21とコネクタハウジング40の前後方向への離脱が規制される。以上によって、シールドコネクタAの組付けが完了する。
【0035】
アッパケース21の突出部23は、保持部45と一対のリブ状嵌合部44によって囲まれた空間内に嵌合される。接続部材50の前側対向面60が、突出部23の後側対向面25に対して前方から接近し、アーム部56の左右一対の接点部61(前側対向面60)が、一対の接触部30の接触面31に対して面当たり状態で接触する。これにより、接続部材50と外導体20(アッパケース21)が導通可能に接続される。このとき、アーム部56の移動規制部58は、接触部30によって僅かに前方へ押されることにより、基端部57を支点として前方へ変位するように僅かに弾性変形する。アーム部56の弾性変形によって、アーム部56と接触部30との間の接触圧が確保される。
【0036】
組み付けられたシールドコネクタAは、シールド部材70の内部に収容された状態で回路基板Pの実装面Mに実装される。シールドコネクタAを回路基板Pに実装した状態では、接続部材50のバネ片55が、シールド部材70の上板部72に対して弾性的に接触し、外導体20とシールド部材70とが導通可能に接続される。これにより、良好なシールド機能が発揮される。
【0037】
本開示のシールドコネクタAは、内導体11,16及び誘電体12,17を包囲する外導体20と、接続部材50とを備えている。接続部材50は、破断面51を有する金属板材からなり、外導体20とシールド部材70とに接続される。シールド部材70は、外導体20の外面の少なくとも一部を覆う。外導体20の後側対向面25には、破断面51以外の領域において外導体20と接続部材50とを接触させる突起状の接触部30が形成されている。
【0038】
接触部30が、当該接触部30を有する後側対向面25と対向する前側対向面60に接触することにより、外導体20と接続部材50とが接触できる。そして、外導体20と接続部材50は、破断面51以外の領域において接触するので、破断面51において接続する場合に比べると、接触面積が安定する。よって、外導体20と接続部材50との間の接続信頼性を高めることができる。接触部30は、後側対向面25及び前側対向面60と平行な接触面31を有しているので、外導体20と接続部材50との接触面積を大きく確保することができる。
【0039】
接続部材50は、基部52から片持ち状に延出する板状のアーム部56を有している。アーム部56は、前側対向面60を有する。接続部材50における外導体20(接触部30)との接点部61が、アーム部56に設定されている。接続部材50は、接触部30によって押されることにより、アーム部56を板厚方向へ弾性変形させた状態で外導体20(接触部30)に接触している。この構成によれば、アーム部56の弾性復元力によって、接触部30が当該接触部30と対向する前側対向面60に押し付けられるため、外導体20と接続部材50との間の接触圧を確保することができる。接続部材50のうちアーム部56の基端部57は、保持部45のスリット46に嵌合されることによって、前側対向面60及び後側対向面25と直交する方向において移動規制されている。この構成によれば、アーム部56の弾性変形の支点となる基端部57が移動しないので、アーム部56の弾性変形量が安定し、接点部61における接圧が安定する。
【0040】
アーム部56には、外導体20に係止することによって、接続部材50が外導体20に対して後側対向面25及び前側対向面60と平行な方向(上下左右方向)へ離脱することを規制する移動規制部58が形成されている。この構成によれば、アーム部56の弾性変形の仕方が安定するので、接点部61における接圧も安定する。
【0041】
外導体20を構成するアッパケース21とロアケース34は、鍛造品又は鋳造品からなる。接触部30は、外導体20(アッパケース21)に一体形成されている。この構成によれば、金属板材からなる接続部材50にプレス加工や叩き出し加工等によって接触部30を形成する場合に比べると、製造工程数が少なくて済む。
【0042】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
接触面は、球面状に湾曲した形状であってもよい。
接触部は、接続部材のみに形成してもよく、外導体と接続部材に形成してもよい。
接続部材はアーム部を有しない形状でもよい。
接続部材における外導体との接点部は、アーム部以外の部位に設定してもよい。
アーム部の基端部は、移動規制されていなくてもよい。
アーム部は、移動規制部が形成されていない形状でもよい。
【符号の説明】
【0043】
A…シールドコネクタ
M…実装面
P…回路基板
10…第1端子モジュール
11…第1内導体(内導体)
12…第1誘電体(誘電体)
13…第1実装側包囲部
14…第1嵌合側包囲部
15…第2端子モジュール
16…第2内導体(内導体)
17…第2誘電体(誘電体)
18…第2実装側包囲部
19…第2嵌合側包囲部
20…外導体
21…アッパケース
22…箱形収容部
23…突出部
24…受け面
25…後側対向面(対向面)
26…第1円筒部
27…第2円筒部
28…繋ぎ部
29…くびれ部
30…接触部
31…接触面
34…ロアケース
35…底壁部
36…閉塞部
37…押え部
38…第1貫通孔
39…第2貫通孔
40…コネクタハウジング
41…後壁部
42…フード部
43…嵌合孔
44…リブ状嵌合部
45…保持部
46…スリット
50…接続部材
51…破断面
52…基部
53…水平板部
54…鉛直板部
55…バネ片
56…アーム部
57…基端部
58…移動規制部
59…規制縁部
60…前側対向面(対向面)
61…接点部
70…シールド部材
71…側板部
72…上板部