(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128238
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/50 20110101AFI20240913BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240913BHJP
【FI】
H01R24/50
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037108
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 周平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 滉太
(72)【発明者】
【氏名】小林 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優佑
(72)【発明者】
【氏名】櫨元 快晴
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB58
5E223BA12
5E223BA17
5E223BB12
5E223CA13
5E223DA33
5E223DB09
5E223DB13
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA13
5E223GA14
5E223GA22
(57)【要約】
【課題】内導体の間のクロストークの発生を抑制する。
【解決手段】コネクタAは、第1誘電体11、第2誘電体21、複数の内導体20、アッパ側外導体31、及びロア側外導体40を備えている。第1誘電体11は第1延出部13を有し、第2誘電体21は第2延出部24を有している。ロア側外導体40は、第1延出部13と第2延出部24とを仕切る仕切部43を有している。仕切部43の上端領域には横向き対向面47及び上向き対向面48が形成されている。アッパ側外導体31は、横向き対向面47及び上向き対向面48に対向する横向き待受け面37及び下向き待受け面38を有している。横向き対向面47及び上向き対向面48は横向き待受け面37及び下向き待受け面38に接触して横向き待受け面37及び下向き待受け面38と横向き対向面47及び上向き対向面48とを導通させる突起47A、48Aを有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体と、
複数の前記誘電体に個別に収容される複数の内導体と、
複数の前記誘電体を上側から覆うアッパ側外導体と、
複数の前記誘電体を下側から覆うロア側外導体と、
備え、
前記誘電体は、第1誘電体及び第2誘電体を有し、
前記第1誘電体は、上下方向に延びて下面が回路基板に対向する第1延出部を有し、
前記第2誘電体は、前記上下方向に延びて下面が前記回路基板に対向する第2延出部を有し、
前記ロア側外導体は、隣合う前記第1延出部及び前記第2延出部の間を仕切る、仕切部を有し、
前記仕切部の上端領域には、対向面が形成され、
前記アッパ側外導体は、前記対向面に対向する待受け面を有し、
前記対向面及び前記待受け面のいずれか一方は、いずれか他方に接触して前記待受け面と前記対向面とを導通させる突起を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記突起は、前記待受け面及び前記対向面うちのいずれか他方によって押し潰される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1誘電体は、前記第1延出部の上端部から前向きに延び、前面が相手側誘電体に対向する対向部を有し、
前記仕切部は、前記対向部を下方から支持する支持部を有し、
一対の前記突起が前記支持部を幅方向から挟むように配置されている、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロア側外導体は、前記アッパ側外導体に対して下方から嵌合され、
前記待受け面及び前記対向面は、嵌合方向に交差する向きに拡がっており、
一対の前記突起は、前記支持部から幅方向外向きに延びている、請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、L字形に屈曲した二つの接続端子をハウジングに収容したコネクタが開示されている。このものは、L字形の接続端子をL字形の誘電体に収容した状態で、各々の誘電体の間に隔壁部材を挟み込む構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
L字形の誘電体を包囲するためには、外導体の構造を、少なくとも2つの部材からなる分割構造とする必要がある。分割構造の一例としては、誘電体を挿入するための挿入口が後面に開口した上側外導体と、上側外導体に対して後面の開口を閉塞するように組み付けられる下側外導体とに分割する構造が考えられる。上側外導体には、例えば誘電体の全体が収容される。かかる構造のコネクタにおいて上側外導体と下側外導体との間に隙間が生じ、各誘電体が収容される各空間同士が連通してしまうと、二つの接続端子(内導体)の間でクロストークが生じる懸念がある。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内導体の間のクロストークの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
複数の誘電体と、
複数の前記誘電体に個別に収容される複数の内導体と、
複数の前記誘電体を上側から覆うアッパ側外導体と、
複数の前記誘電体を下側から覆うロア側外導体と、
備え、
前記誘電体は、第1誘電体及び第2誘電体を有し、
前記第1誘電体は、上下方向に延びて下面が回路基板に対向する第1延出部を有し、
前記第2誘電体は、前記上下方向に延びて下面が前記回路基板に対向する第2延出部を有し、
前記ロア側外導体は、隣合う前記第1延出部及び第2延出部の間を仕切る、仕切部を有し、
前記仕切部の上端領域には、対向面が形成され、
前記アッパ側外導体は、前記対向面に対向する待受け面を有し、
前記対向面及び前記待受け面のいずれか一方は、いずれか他方に接触して前記待受け面と前記対向面とを導通させる突起を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、内導体の間のクロストークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すアッパ側外導体を斜め下後方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すロア側外導体を斜め上前方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す支持部を側方から見た部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の形態例を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
本開示のコネクタは、
(1)複数の誘電体と、
複数の前記誘電体に個別に収容される複数の内導体と、
複数の前記誘電体を上側から覆うアッパ側外導体と、
複数の前記誘電体を下側から覆うロア側外導体と、
備え、
前記誘電体は、第1誘電体及び第2誘電体を有し、
前記第1誘電体は、上下方向に延びて下面が回路基板に対向する第1延出部を有し、
前記第2誘電体は、前記上下方向に延びて下面が前記回路基板に対向する第2延出部を有し、
前記ロア側外導体は、隣合う前記第1延出部及び前記第2延出部の間を仕切る、仕切部を有し、
前記仕切部の上端領域には、対向面が形成され、
前記アッパ側外導体は、前記対向面に対向する待受け面を有し、
前記対向面及び前記待受け面のいずれか一方は、いずれか他方に接触して前記待受け面と前記対向面とを導通させる突起を有している。
【0010】
この構成によれば、待受け面と対向面との間を突起で埋めて導通させることによって、隣合う第1延出部及び第2延出部との間でクロストークが生じることを抑えやすい。
【0011】
(2)(1)において、前記突起は、前記待受け面及び前記対向面うちのいずれか他方によって押し潰されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、待受け面と対向面との導通面積を拡げることができ、待受け部と仕切部との導通を確実にできる。
【0013】
(3)(1)又は(2)において、前記第1誘電体は、前記第1延出部の上端部から前向きに延び、前面が相手側誘電体に対向する対向部を有し、
前記仕切部は、前記対向部を下方から支持する支持部を有し、
一対の前記突起が前記支持部を幅方向から挟むように配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、突起が対向部に干渉しないようにしつつ、待受け面及び対向面との間を突起によって埋めることができる。
【0015】
(4)(3)において、前記ロア側外導体は、前記アッパ側外導体に対して下方から嵌合され、
前記待受け面及び前記対向面は、嵌合方向に交差する向きに拡がっており、
一対の前記突起は、前記支持部から幅方向外向きに延びていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、アッパ側外導体とロア側外導体との嵌合の最終段階において突起が待受け面と対向面とによって押しつぶされることになるので、アッパ側外導体とロア側外導体との嵌合途中における嵌合抵抗を抑えやすい。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示を具体化した実施形態1のコネクタAを、
図1から
図7を参照して説明する。本実施形態1において、図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。本実施形態1では、左右方向は、幅方向に相当する。前後方向は、第1対向部12と相手側誘電体62と、が並ぶ方向に相当する。
【0018】
本実施形態1のコネクタAは、
図4に示すように、回路基板Pの実装面Mに載置した状態で回路基板Pに取り付けられ、ワイヤーハーネス(図示省略)の端末部に取り付けた相手側コネクタ60と嵌合する。
図1に示すように、コネクタAは、複数の誘電体10と、複数の内導体20と、外導体30と、を組み付けて構成されている。
【0019】
[誘電体の構成]
誘電体10は、第1誘電体11と、第2誘電体21と、を有している。第1誘電体11及び第2誘電体21は、合成樹脂製である。第1誘電体11及び第2誘電体21は、側面から見るとL字形をなしている。第1誘電体11は、前後方向に延びる対向部である第1対向部12と、第1延出部13と、を有する単一部品である。第1対向部12は、相手側コネクタ60の相手側誘電体62と対向する対向部としての機能を有する(
図4参照)。第1延出部13は、第1対向部12の後端部から直角方向へ垂下している。言い換えると、第1対向部12は、第1延出部13の上端部から前向きに延びている。第1誘電体11の後面11Rには、第1延出部13の長さ方向(上下方向)と平行なスリット状の圧入用開口部14が形成されている。
【0020】
第2誘電体21の基本的な形状は、第1誘電体11と同じである。第2誘電体21は、前後方向に延びる対向部である第2対向部23と、第2対向部23の後端部から下方へ延出した第2延出部24とを有する単一部品である。第2対向部23は、相手側コネクタ60の相手側誘電体62と対向する対向部としての機能を有する(
図4参照)。第2延出部24は、第2対向部23から直角方向へ延出した延出部である。第2誘電体21の第2対向部23の長さは、第1誘電体11の第1対向部12よりも短い。第2誘電体21の第2延出部24の長さは、第1誘電体11の第1延出部13よりも短い。第2誘電体21の後面21Rには、第2延出部24の長さ方向(上下方向)と平行なスリット状の圧入用開口部25が形成されている。
【0021】
[内導体の構成]
内導体20は、第1内導体15と、第2内導体22と、を有している。第1内導体15及び第2内導体22は、導電性を有する金属製である。第1内導体15及び第2内導体22は、側面から見るとL字形をなしている。第1内導体15は、前後方向に延びて相手側内導体63に接続される第1相手側接続部16と、第1相手側接続部16の後端から下方へ延出して回路基板Pに接続される第1基板側接続部17とを有する単一部品である(
図4参照)。第1内導体15は、第1誘電体11の圧入用開口部14から第1誘電体11内に圧入することによって、組み付けられている。第1内導体15の第1相手側接続部16は、第1対向部12に収容されている。第1内導体15の第1基板側接続部17は、第1延出部13に収容されている。
【0022】
第2内導体22の基本的な形状は、第1内導体15と同じである。第2内導体22は、前後方向に延びて相手側内導体63に接続される第2相手側接続部26と、第2相手側接続部26の後端から下方へ延出して回路基板Pに接続される第2基板側接続部27とを有する単一部品である(
図4参照)。第2内導体22の第2相手側接続部26の長さは、第1内導体15の第1相手側接続部16よりも短い。第2内導体22の第2基板側接続部27の長さは、第1内導体15の第1基板側接続部17よりも短い。第2内導体22は、第2誘電体21の圧入用開口部25から第2誘電体21内に圧入することによって、組み付けられている。第2内導体22の第2相手側接続部26は、第2対向部23に収容されている。第2内導体22の第2基板側接続部27は、第2延出部24に収容されている。こうして2つの内導体20は、2つの誘電体10に個別に収容されている。
【0023】
[外導体のアッパ側外導体の構成]
外導体30は、一つのアッパ側外導体31と、一つのロア側外導体40と、を組み付けて構成されている。アッパ側外導体31は、誘電体10の全体と、内導体20の全体と、を上側から覆って収容する。アッパ側外導体31は、軸線を前後方向に向けた円筒形をなす二つの筒形包囲部32と、後面及び下面が開放された1つの角形包囲部33とを有する。二つの筒形包囲部32は、上下方向に並んで配置されている。角形包囲部33の内部空間は、二つの筒形包囲部32の内部空間の後端に連通している。角形包囲部33の下面には、回路基板Pのアース回路(図示省略)に接続される突起状のアース用接続部34が形成されている。
【0024】
図2に示すように、角形包囲部33内には、一対の待受け部36が設けられている。待受け部36は、ロア側外導体40の後述する仕切部43の先端部を待ち受けるように配置されている。各待受け部36は、角形包囲部33の左右の内壁から左右方向内向きに突出するように設けられている。上下方向において、各待受け部36は、二つの筒形包囲部32の間に位置している。各待受け部36の左右方向の内側の端面同士は、左右方向に所定の距離を隔てて対向している。これら端面は、後述するロア側外導体40の対向面である横向き対向面47が対向する待受け面である横向き待受け面37である。各待受け部36の下端面は、水平方向に拡がって形成されている。これら下端面は、後述するロア側外導体40の対向面である上向き対向面48が対向する待受け面である下向き待受け面38である。横向き待受け面37と下向き待受け面38とは、直角をなして連なっている。
【0025】
図4に示すように、内導体20が収容された誘電体10は、角形包囲部33の後面に開口する取付口35からアッパ側外導体31内に取り付けられている。上側の筒形包囲部32には、第1対向部12のうち後端部を除いた領域が収容されている。下側の筒形包囲部32には、第2対向部23のうち後端部を除いた領域が収容されている。角形包囲部33には、第1延出部13と、第2延出部24と、第1対向部12の後端部と、第2対向部23の後端部と、が収容されている。
【0026】
アッパ側外導体31内において、第2誘電体21は、第1誘電体11の斜め下前方に配置されている。具体的には、第1対向部12及び第2対向部23の各々は、前後方向に延びる向きにされている。第2対向部23は、第1対向部12に対して所定の距離を隔てて、第1対向部12の下方に配置されている。第1延出部13及び第2延出部24は、各々が上下方向に延びる向きにされている。第2延出部24は、第1延出部13に対して所定の距離を隔てて、第1延出部13の前方に配置されている。
【0027】
筒形包囲部32の前端部には、コネクタAの前方から相手側コネクタ60の相手側端子ユニット61が嵌入される。相手側端子ユニット61は、相手側内導体63と、相手側誘電体62と、を組み付けたものである。コネクタAと相手側コネクタ60とが嵌合した状態では、筒形包囲部32内において、第1内導体15及び第2内導体22が相手側内導体63と接続し、第1誘電体11及び第2誘電体21が相手側誘電体62と対向する。第1誘電体11の前面11F、及び第2誘電体21の前面21Fは、相手側誘電体62の前面62Fに対向して当接した状態となる。
【0028】
[外導体のロア側外導体の構成]
図3に示すように、ロア側外導体40は、底壁部41と、後壁部42と、仕切部43と、を有する単一部品である。後壁部42は、底壁部41の後端縁部から上向きに立ち上がっている。仕切部43は、底壁部41における後壁部42よりも前方の位置から上向きに立ち上がっている。仕切部43の左右方向中央部の上端には、角柱状をなして上向きに突出した支持部46が設けられている。仕切部43の上端領域には、対向面が形成されている。例えば、支持部46の左右方向の両側面は、横を向いた対向面である横向き対向面47として形成されている。支持部46よりも左右方向の外側には、上を向いた対向面である上向き対向面48が形成されている。横向き対向面47と上向き対向面48とは、直角をなして連なっている。横向き対向面47及び上向き対向面48は、仕切部43の先端部に形成されている。
【0029】
各横向き対向面47には、上下方向に延びて、左右方向外向きに突出するように突起47Aが一つずつ設けられている。上方からの平面視において、一対の突起47Aは、左右方向に外向きに膨らむように湾曲した円弧状をなしている。各上向き対向面48には、支持部46から左右方向(幅方向)外向きに延びて、上向きに突出するように突起48Aが一つずつ設けられている。
図5に示すように、左右方向から見た側面視において、各突起48Aの外形形状は、台形形状をなしている。具体的には、各突起48Aは、上向き対向面48の上方に位置して上向き対向面48に平行をなす頂面48Bと、頂面48Bの前端及び後端から前後方向に離れる向き、且つ下方に傾斜する一対の傾斜面48Cと、を有している。一対の突起47A、及び一対の突起48Aの各々は、支持部46を左右方向(幅方向)から挟むように配置されている(
図3参照)。
【0030】
図3に示すように、仕切部43と後壁部42との間には、底壁部41に対して上下方向に貫通して、第1貫通孔44が形成されている。仕切部43の前方には、底壁部41に対して上下方向に貫通して、第2貫通孔45が形成されている。仕切部43は、第1貫通孔44と第2貫通孔45とを仕切っている。仕切部43の高さは後壁部42よりも低い(
図4参照)。
【0031】
[アッパ側外導体に対するロア側外導体の組み付けについて]
アッパ側外導体31に対するロア側外導体40の組み付けは、内導体20が取り付けられた誘電体10をアッパ側外導体31に収容した後に行う。ロア側外導体40は、アッパ側外導体31に対して下方から圧入して嵌合する。具体的には、ロア側外導体40の姿勢を、底壁部41を下側に配置しつつ、後壁部42の前方に仕切部43が位置する姿勢にする。そして、後壁部42を取付口35に下方から進入させる。これとともに、仕切部43を第1延出部13と第2延出部24との間に下方から進入させる。これにより、仕切部43は、前後方向に隣合う第1延出部13と第2延出部24との間を仕切る(
図4参照)。このときの仕切部43が第1延出部13と第2延出部24との間に進入する方向は、上向きである。この上向きの方向は、アッパ側外導体31にロア側外導体40が嵌合する嵌合方向Dである(
図4参照)。
【0032】
このとき、ロア側外導体40に設けられた、リブ状に上下方向に延びる複数の圧入凸部49(
図3参照)が角形包囲部33の内壁に押し潰されることによってアッパ側外導体31に対するロア側外導体40の圧入が実行される。アッパ側外導体31へのロア側外導体40の圧入をさらに進めると、支持部46が一対の待受け部36の間に進入する(
図6参照)。このとき、各突起47Aは、各横向き待受け面37によって押し潰されることによって、支持部46が一対の待受け部36の間に下方から圧入される(
図6参照)。
【0033】
そして、アッパ側外導体31へのロア側外導体40の圧入をさらに進めると、各突起48Aは、下向き待受け面38に接触した後、下向き待受け面38によって押し潰される(
図7参照)。下向き待受け面38及び上向き対向面48は、嵌合方向Dに直交(交差)する向きに拡がっている(
図7参照)。こうして、突起47A,48Aは、横向き待受け面37、及び下向き待受け面38に接触して横向き待受け面37及び下向き待受け面38と、横向き対向面47及び上向き対向面48とを導通させる(
図6、7参照)。その後、後壁部42の上端面が取付口35の上端面に下方から接触したところでアッパ側外導体31へのロア側外導体40の組み付けが完了する(
図4参照)。ロア側外導体40は、誘電体10及び内導体20を下側から覆っている(
図4参照)。こうして、外導体30の組付けが完了すると同時に、コネクタAの組付けが完了する。
【0034】
コネクタAが組み付けられた状態では、角形包囲部33の下面の開口が底壁部41によって閉塞され、角形包囲部33の後面の開口が後壁部42によって閉塞される。
図4に示すように、支持部46は、第1対向部12の下端に下方から隣接して第1対向部12を下方から支持するように配置される。横向き対向面47及び上向き対向面48は、待受け部36に形成された横向き待受け面37及び下向き待受け面38に対向する(
図6、7参照)。
【0035】
第1延出部13の下端部は、第1貫通孔44において外導体30の下方へ露出している。第2延出部24の下端部は、第2貫通孔45において外導体30の下方へ露出している。第1内導体15の第1基板側接続部17、及び第2内導体22の第2基板側接続部27の下端部は、底壁部41の下面よりも下方へ突出し、回路基板Pに接続される。仕切部43は、第1誘電体11の第1延出部13と、第2誘電体21の第2延出部24と、の間を前後方向に仕切るように配置される。
【0036】
本実施形態1のコネクタAを回路基板Pに実装した状態では、外導体30のアース用接続部34が回路基板Pのアース回路(図示省略)に接続される。第1誘電体11の第1延出部13、及び第2誘電体21の第2延出部24は、上下方向に延びており、下面が回路基板Pの実装面Mに対向する。
【0037】
コネクタAに相手側コネクタ60を嵌合すると、相手側外導体(図示省略)が筒形包囲部32の外周面に対して導通可能に嵌合され、相手側誘電体62が筒形包囲部32内に嵌合される。上側の筒形包囲部32内においては、相手側内導体63と、第1相手側接続部16と、が導通可能に接続される。これとともに、相手側誘電体62と、第1対向部12と、が前後方向に対向する。下側の筒形包囲部32内においては、相手側内導体63と、第2相手側接続部26と、が導通可能に接続される。これとともに、相手側誘電体62と、第2対向部23と、が前後方向に対向する。
【0038】
次に、本構成の効果を例示する。
コネクタAは、複数の誘電体10と、複数の誘電体10に個別に収容される複数の内導体20と、複数の誘電体10を上側から覆うアッパ側外導体31と、複数の誘電体10を下側から覆うロア側外導体40と、備えている。誘電体10は、第1誘電体11と、第2誘電体21と、を有している。第1誘電体11は、上下方向に延びて下面が回路基板Pに対向する第1延出部13を有している。第2誘電体21は、上下方向に延びて下面が回路基板Pに対向する第2延出部24を有している。ロア側外導体40は、隣合う第1延出部13及び第2延出部24の間を仕切る、仕切部43を有している。仕切部43の上端領域には、横向き対向面47及び上向き対向面48が形成されている。アッパ側外導体31は、横向き対向面47及び上向き対向面48に対向する横向き待受け面37及び下向き待受け面38を有している。横向き対向面47及び上向き対向面48は、横向き待受け面37及び下向き待受け面38に接触して横向き待受け面37及び下向き待受け面38と横向き対向面47及び上向き対向面48とを導通させる突起47A,48Aを有している。この構成によれば、横向き待受け面37及び下向き待受け面38と横向き対向面47及び上向き対向面48との間を突起47A,48Aによって埋めて導通させることによって、隣合う第1延出部13及び第2延出部24との間でクロストークが生じることを抑えやすい。
【0039】
突起47A,48Aは、横向き待受け面37及び下向き待受け面38によって押し潰される。この構成によれば、横向き待受け面37及び下向き待受け面38と横向き対向面47及び上向き対向面48との導通面積を拡げることができ、待受け部36と仕切部43との導通を確実にできる。
【0040】
第1誘電体11は、第1延出部13の上端部から前向きに延び、前面11Fが相手側誘電体62に対向する第1対向部12を有している。ロア側外導体40の仕切部43は、第1対向部12を下方から支持する支持部46を有している。一対の突起47A、及び一対の突起48Aが支持部46を左右方向(幅方向)から挟むように配置されている。この構成によれば、突起47A,48Aが第1対向部12に干渉しないようにしつつ、横向き待受け面37と横向き対向面47との間、下向き待受け面38と上向き対向面48との間を突起47A,48Aによって埋めることができる。
【0041】
ロア側外導体40は、アッパ側外導体31に対して下方から嵌合される。下向き待受け面38及び上向き対向面48は、嵌合方向Dに直交する向きに拡がっている。一対の突起48Aは、支持部46から左右方向(幅方向)外向きに延びている。この構成によれば、アッパ側外導体31とロア側外導体40との嵌合の最終段階において突起48Aが下向き待受け面38と上向き対向面48とによって押し潰されることになるので、アッパ側外導体31とロア側外導体40との嵌合途中における嵌合抵抗を抑えやすい。
【0042】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0043】
突起の断面形状は、実施形態1の形状に限らず、方形や三角形等であってもよい。
【0044】
実施形態1とは異なり、突起を半球状や円柱状のボス状に形成してもよい。
【0045】
実施形態1とは異なり、突起を待受け面に設け、対向面によって押し潰す構成としてもよい。また、突起を、待受け面及び対向面の各々に設けてもよい。この場合、突起同士がぶつからないように配置する。
【0046】
前後方向に並ぶ誘電体の数は、3つ以上であってもよい。また、誘電体を左右方向に複数並べた構成であってもよい。
【0047】
実施形態1とは異なり、下向き待受け面及び上向き対向面が、嵌合方向に交差する向きに拡がっている構成でもよい。つまり、下向き待受け面及び上向き対向面は嵌合方向に対して直交していなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…誘電体
11…第1誘電体(誘電体)
11F,21F…前面
11R,21R…後面
12…第1対向部(対向部)
13…第1延出部
14,25…圧入用開口部
15…第1内導体(内導体)
16…第1相手側接続部
17…第1基板側接続部
20…内導体
21…第2誘電体(誘電体)
22…第2内導体(内導体)
23…第2対向部
24…第2延出部
26…第2相手側接続部
27…第2基板側接続部
30…外導体
31…アッパ側外導体(外導体)
32…筒形包囲部
33…角形包囲部
34…アース用接続部
35…取付口
36…待受け部
37…横向き待受け面(待受け面)
38…下向き待受け面(待受け面)
40…ロア側外導体(外導体)
41…底壁部
42…後壁部
43…仕切部
44…第1貫通孔
45…第2貫通孔
46…支持部
47…横向き対向面(対向面)
48…上向き対向面(対向面)
47A,48A…突起
48B…頂面
48C…傾斜面
49…圧入凸部
60…相手側コネクタ
61…相手側端子ユニット
62…相手側誘電体
62F…相手側誘電体の前面
63…相手側内導体
A…コネクタ
D…嵌合方向
M…実装面
P…回路基板