(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128239
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20240913BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B66B1/46 A
B66B11/02 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037110
(22)【出願日】2023-03-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
【テーマコード(参考)】
3F306
3F502
【Fターム(参考)】
3F306AA08
3F306CB36
3F502HB14
3F502MA21
3F502MA30
3F502MA31
3F502MA35
(57)【要約】
【課題】視覚障がい者などの触覚でボタンを探す利用者が、ボタンの配置を容易に把握することができるエレベータを提供する。
【解決手段】本発明は、乗りかごまたは乗場に設けられる操作盤と、前記操作盤に複数個配置され、エレベータを操作するためのボタンと、を備え、前記操作盤又は前記複数個のボタンのうち少なくとも1つのボタンに、利用者が触れることで前記複数個のボタンが配置される配置領域の端部を認識することができるように構成された認識部が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごまたは乗場に設けられる操作盤を備え、
前記操作盤は、
前記乗りかごまたは乗場に配置されるプレートと、
前記プレートに複数個配置され、エレベータを操作するためのボタンと、を備え、
前記プレート又は前記複数個のボタンのうち少なくとも1つのボタンに、利用者が触れることで前記複数個のボタンが配置される配置領域の端部を認識することができるように構成された認識部が設けられている、
エレベータ。
【請求項2】
前記認識部は、前記配置領域の隅部に設けられる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記認識部は、前記複数個のボタンのうち、前記配置領域の隅部に配置されるボタンに設けられる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記配置領域は、矩形状の領域であり、
前記認識部は、矩形状の隅部に対応した位置に配置され、隅部の形状に対応した形状である、
請求項1に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを操作するためのボタンが複数個並ぶ操作盤を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
点字プレートを運転操作盤の片側に配し、操作ボタンに誘導するための立体ガイドを設けたエレベータ用運転操作盤が知られている(特許文献1参照)。この運転操作盤によれば、点字プレートを片側一列に配置するとともに立体ガイドによるガイドにより、視覚障がい者にとっても操作の容易性と誤作動防止とを図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転操作盤における複数の操作ボタンの配置や数、或いはボタンの形状は、エレベータの機種によって種々に構成される。よって、上記従来の運転操作盤のように、点字プレートや立体ガイドを設けていても、視覚障がい者にとっては、依然としてどの範囲に操作ボタンが配置されているかを把握するのが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、視覚障がい者などの触覚でボタンを探す利用者が、ボタンの配置を容易に把握することができるエレベータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータは、
乗りかごまたは乗場に設けられる操作盤を備え、
前記操作盤は、
前記乗りかごまたは乗場に配置されるプレートと、
前記プレートに複数個配置され、エレベータを操作するためのボタンと、を備え、
前記プレート又は前記複数個のボタンのうち少なくとも1つのボタンに、利用者が触れることで前記複数個のボタンが配置される配置領域の端部を認識することができるように構成された認識部が設けられている。
【0007】
かかる構成によれば、利用者が認識部に触れることで、複数個のボタンが配置されている配置領域の端部を認識することができる。よって、視覚障がい者などの触覚によりボタンを探す利用者にとってもボタンが配置されている領域を容易に把握することができる。
【0008】
また、前記エレベータでは、
前記認識部は、前記配置領域の隅部に設けられていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、認識部が複数個のボタンが配置されている配置領域の隅部にあることで、触覚によりボタンを探す利用者が、効率よく配置領域を把握できる。
【0010】
また、前記エレベータでは、
前記認識部は、前記複数個のボタンのうち、前記配置領域の隅部に配置されるボタンに設けられていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、認識部が複数個のボタンが配置されている配置領域の隅部にあるボタンに設けられることで、触覚によりボタンを探す利用者が、効率よく配置領域を把握できる。
【0012】
また、前記エレベータでは、
前記配置領域は、矩形状の領域であり、
前記認識部は、矩形状の隅部に対応した位置に配置され、隅部の形状に対応した形状であってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、触覚によりボタンを探す利用者は、認識部に触れることで、複数個のボタンが配置されている配置領域を明確に把握できる。
【発明の効果】
【0014】
以上より、本発明によれば、視覚障がい者などの触覚でボタンを探す利用者が、ボタンの配置を容易に把握することができるエレベータの提供を課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータを説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、前記エレベータの配置領域の拡大図である。
【
図3】
図3は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、は円形状のボタンが一列並んだ構成を示す。
【
図4】
図4は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、矩形状のボタンが二列並んだ構成を示す。
【
図5】
図5は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、矩形状のボタンが一列並んだ構成を示す。
【
図6】
図6は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、四角形状のボタンを変形させることで構成した認識部を示す。
【
図7】
図7は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、円形状のボタンを変形させることで構成した認識部を示す。
【
図8】
図8は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、プレートに認識部が設けられ且つボタンが二列並んだ構成を示す。
【
図9】
図9は、本発明の変形例に係るエレベータの配置領域の拡大図であり、プレートに認識部が設けられ且つボタンが一列並んだ構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータについて説明する。本実施形態に係るエレベータ1は、昇降路内を昇降する乗りかご2と、乗りかご2に設けられる操作盤3と、を備える。
【0017】
乗りかご2は、出入口20を有するかご室21と、出入口20に配置されるかごドア22と、を有する。かご室21は、上下方向に延び且つかご出入口20の側部を規定する一対のかご袖壁211と、各かご袖壁211からそれぞれ奥行き方向(乗りかご2に対する乗客の昇降方向)に延びる一対のかご側壁212と、を備える。本実施形態では、かごドア22は、二枚設けられ、それぞれが反対方向(具体的には、左方向又は右方向)にスライドする両開きタイプである。なお、かごドア22は、片開きタイプであってもよい。また、かごドア22は、一枚、又は、三枚以上設けられてもよい。
【0018】
操作盤3は、かご室21内に配置されている。また、操作盤3は、乗りかご2に配置されるプレート4と、プレート4に複数個配置され、エレベータを操作するためのボタン5と、を備える。さらに、操作盤3は、複数個のボタン5(本実施形態では、後述する行先階ボタン50)が配置される配置領域30を備える。また、操作盤3は、配置領域30と並んで設けられた表示部31も備える。
【0019】
本実施形態では、操作盤3は、一対のかご袖壁211のいずれか一方(具体的には、右側のかご袖壁211)に配置されている。なお、操作盤3は、かご室21内のかご袖壁211と異なる箇所(例えば、かご側壁212等)に配置されていてもよい。
【0020】
配置領域30は、操作盤3の主面に設けられた矩形状の領域である。
図2に示すように、配置領域30は、複数の隅部300と、隣り合う隅部300同士を繋ぐ複数の端辺部301と、を含む枠形状で規定される。即ち、配置領域30の端部302は、複数の隅部300と、複数の端辺部301と、で構成される。本実施形態では、配置領域30は、四個の隅部300と、上下方向に延びる一対の縦端辺部303と、左右方向に延びる一対の横端辺部304と、を含む。この隅部300は、例えば、配置領域30の角頂点から縦辺及び横辺が延びる角形状である。本実施形態では、配置領域30は、縦長形状であるが、横長形状や正方形状であってもよい。以下、縦方向を縦端辺部303の延びる方向、横方向を横端辺部304に延びる方向とする。
【0021】
表示部31は、乗りかご2の移動方向や乗りかご2の通過階、その他乗客に報知する情報を表示する(
図1参照)。本実施形態の表示部31は、例えば、液晶ディスプレイであり、配置領域30より上方に配置されている。
【0022】
プレート4は、ボタン5等が配置される板である。本実施形態では、プレート4は、戸袋側のかご袖壁211に取り付けられている。プレート4は、縦方向に長尺な矩形板状である。また、プレート4には、ボタン5が配置される開口が複数個設けられている。プレート4は、金属製であり、例えば、ステンレス製である。なお、プレート4は、樹脂等の材料で構成されていてもよい。
【0023】
ボタン5は、利用者が押下することで、エレベータ1を操作可能な接触式のボタンである。本実施形態では、ボタン5の形状は、いずれも正面視において円形状である。なお、ボタン5の形状は、正面視において楕円形状であってもよい。本実施形態では、ボタン5は、行先階を登録するための複数個の行先階ボタン50と、かごドア22の開閉操作を行うための開ボタン51及び閉ボタン52と、を含む。開ボタン51及び閉ボタン52は、行先階ボタン50の下方に、互いに横方向に並んだ状態で配置されている。
【0024】
なお、ボタン5は、行先階ボタン50等に加えて、外部との連絡を行うための連絡ボタン等を含んでもよい。また、ボタン5は、接触式のボタン以外に、赤外線センサ等の非接触式の検知部を備えた非接触式のボタンであってもよい。
【0025】
本実施形態では、ボタン5は、プレート4の開口に嵌設されるボタンガイド53と、利用者によって操作されるボタン本体54と、を有する(
図2参照)。ボタンガイド53及びボタン本体54は、いずれもプレート4の主面から突設されている。また、ボタンガイド53及びボタン本体54は、いずれも樹脂製である。
【0026】
ボタンガイド53は、筒状であり、例えば、略円筒状である。ボタンガイド53の正面視形状は、例えば、円環形状である。ボタン本体54は、ボタンガイド53に囲まれた状態で、プレート4の開口に配置される。また、ボタン本体54は、例えば、円盤状である。ボタン本体54の正面視形状は、例えば、円形状である。ボタン本体54の表面には、行先階、開くマーク、又は、閉めマークが表示されている。このマークは、タクタイル文字で表示されているが、印刷された文字と点字との組み合わせで表示されていてもよい。
【0027】
なお、ボタン本体54の裏面と対向する位置には、プリント基板が設けられている。また、プリント基板のボタン本体54の裏面と対向する面には、ボタン本体54の操作によってONするスイッチが設けられている。
【0028】
本実施形態では、配置領域30において、縦方向に並んだ複数個(例えば、三個)の行先階ボタン50で構成される列が、横方向に複数列(例えば、二列)並ぶことにより、行先階ボタン50は、複数個(例えば、六個)配置されている。また、複数個の行先階ボタン50のうち少なくとも1つの行先階ボタン50に、利用者が触れることで複数個の行先階ボタン50が配置される配置領域30の端部302を認識することができるように構成された認識部6が設けられている。
【0029】
本実施形態では、配置領域30の端部302と行先階ボタン50との最短距離は、均一である。配置領域30の端部302と行先階ボタン50との最短距離は、0以上行先階ボタン50の外径以下であることが好ましい。即ち、配置領域30の端部302は、この端部302の最も近くに配置された行先階ボタン50に対して、外接する位置から、別の行先階ボタン50が一つ配置できる距離だけ離間した位置までの間に配置されていることが好ましい。本実施形態では、配置領域30の端部302と行先階ボタン50との最短距離は、配置領域30の端辺部301と行先階ボタン50との最短距離である。また、この最短距離は、行先階ボタン50の直径以下であり、具体的には、行先階ボタン50の半径と略同じである。なお、配置領域30の端部302と行先階ボタン50との最短距離は、不均一であってもよい。
【0030】
認識部6は、ボタン5(本実施形態では、行先階ボタン50)が配置される配置領域30の端部302を示すために、配置領域30の端部302に対応して配置される。即ち、認識部6は、隅部300に対応して配置されるボタン5及び端部302に対応して配置されるボタン5のうち、少なくとも一方のボタン5に設けられれる。具体的に、認識部6は、配置領域30の隅部300に対応して配置される行先階ボタン50に設けられる隅部認識部61を含む。また、認識部6は、配置領域30の端部302に対応して配置された行先階ボタン50のうち、端辺部301に対応して配置された行先階ボタン50に設けられる端辺部認識部62を含む。
【0031】
隅部認識部61は、配置領域30の端部302に沿って並ぶ複数の行先階ボタン50のうち、隅部300に対応して配置された行先階ボタン500、501、502、503における隅部300の角頂点に最も近い部分に設けられる。また、隅部認識部61は、行先階ボタン50におけるこの行先階ボタン50が配置された隅部300の角に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲内に配置される。なお、隅部300の角とは、隅部300における縦辺と横辺とが交差する頂点である。
【0032】
本実施形態では、隅部認識部61は、配置領域30の四個の隅部300に対応して配置される行先階ボタン50の全てに設けられている。また、隅部認識部61は、行先階ボタン50の周方向の一部に配置されている。本実施形態では、隅部認識部61は、行先階ボタン50における矩形状の隅部300に対応した位置に配置されている。即ち、隅部認識部61の行先階ボタン50における位置関係は、隅部300の矩形状の配置領域30における位置関係と対応している。
【0033】
具体的に、左上の隅部3000に配置された行先階ボタン500では、この行先階ボタン500の左上の部分に隅部認識部61が配置されている。行先階ボタン500の左上の部分とは、行先階ボタン500における左上の隅部3000の角(頂点)に最も近い点を中心に、所定角度(例えば、45度)の扇形状の範囲である。この範囲は、本実施形態では、行先階ボタン500の正面視9時の位置から12時の位置までの少なくとも一部であり、本実施形態では、行先階ボタン500の正面視9時の位置から12時の位置までの全てに隅部認識部61が配置されている。なお、隅部認識部61は、行先階ボタン500の左上の部分の周方向の少なくとも中心、即ち、少なくとも隅部3000の角(頂点)に最も近い点に配置されることが好ましい。
【0034】
同様に、右上、左下、右下の隅部3001、3002、3003にそれぞれ配置された行先階ボタン501、502、503では、行先階ボタン501の右上の部分、行先階ボタン502の左下の部分、行先階ボタン503の右下の部分に、それぞれ隅部認識部61が配置されている。行先階ボタン501の右上の部分は、行先階ボタン501における右上の隅部3001の角(頂点)に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲であり、具体的に、行先階ボタン501の正面視12時の位置から3時の位置までの少なくとも一部である。本実施形態では、行先階ボタン501の正面視12時の位置から3時の位置までの全てに、隅部認識部61が配置されている。行先階ボタン502の左下の部分は、行先階ボタン502における左下の隅部3002の角(頂点)に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲であり、具体的に、行先階ボタン502の正面視6時の位置から9時の位置までの少なくとも一部である。本実施形態では、行先階ボタン502の正面視6時の位置から9時の位置までの全てに隅部認識部61が配置されている。行先階ボタン503の右下の部分は、行先階ボタン503における右下の隅部3003の角(頂点)に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲であり、具体的に、行先階ボタン503の正面視3時の位置から6時の位置までの少なくとも一部である。本実施形態では、行先階ボタン503の正面視3時の位置から6時の位置までの全てに、隅部認識部61が配置されている。なお、隅部認識部61は、行先階ボタン501の右上の部分、行先階ボタン502の左下の部分、行先階ボタン503の右下の部分において、各部分の周方向の少なくとも中心、即ち、少なくとも隅部3001、3002、3003の角(頂点)に最も近い点に配置されることが好ましい。
【0035】
端辺部認識部62は、配置領域30の端部302に沿って並ぶ複数の行先階ボタン50のうち、端辺部301に対応して配置された行先階ボタン504、505の端辺部301に最も近い部分に設けられる。また、端辺部認識部62は、行先階ボタン50におけるこの行先階ボタン50が配置された端辺部301に最も近い点を中心に、所定角度(例えば、45度)の扇形状の範囲内に配置される。本実施形態では、端辺部認識部62は、配置領域30の端部302に設けられた行先階ボタン50のうち、端辺部301に対応して配置された行先階ボタン504、505の全てに設けられている。なお、端辺部認識部62は、端辺部301に対応して配置された行先階ボタン504、505のうち一部のボタンに設けられてもよい。
【0036】
また、端辺部認識部62は、行先階ボタン50における端辺部301に対応した位置に配置されている。具体的に、配置領域30の隅部3000、3002を繋ぐ端辺部3010に対応して配置された行先階ボタン504では、この行先階ボタン504の端辺部3010に最も近い部分に端辺部認識部62が配置されている。行先階ボタン504の端辺部3010に最も近い部分は、行先階ボタン504における端辺部3010に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲であり、具体的に、行先階ボタン504の正面視7時30分の位置から10時30分の位置までの少なくとも一部である。本実施形態では、行先階ボタン504の正面視7時30分の位置から10時30分の位置までの全てに端辺部認識部62が配置されている。なお、端辺部認識部62は、行先階ボタン504の端辺部3010に最も近い部分の周方向の少なくとも中心、具体的には、少なくとも端辺部3010に最も近い点に配置されることが好ましい。
【0037】
同様に、配置領域30の隅部3001、3003を繋ぐ端辺部3011に対応して配置された行先階ボタン505では、この行先階ボタン505の端辺部3011に最も近い部分に端辺部認識部62が配置されている。行先階ボタン505の端辺部3011に最も近い部分は、行先階ボタン505における端辺部3011に最も近い点を中心に、所定角度の扇形状の範囲であり、具体的に、行先階ボタン505の正面視1時30分の位置から4時30分の位置までの少なくとも一部である。本実施形態では、行先階ボタン505の正面視1時30分の位置から4時30分の位置までの全てに端辺部認識部62が配置されている。なお、端辺部認識部62は、行先階ボタン505の端辺部3011に最も近い部分の周方向の少なくとも中心、具体的には、少なくとも端辺部3011に最も近い点に配置されることが好ましい。
【0038】
認識部6は、例えば、外側(かご室21側)に突出する突出部であり、具体的には、凸条である。また、認識部6は、行先階ボタン50のボタン本体54に設けられている。具体的に、認識部6は、ボタン本体54の外周部に設けられた凸条である。なお、認識部6は、内側に凹んだ凹部(具体的には、凹条や溝)であってもよい。また、認識部6は、ボタン5のボタンガイド53のみに設けられていてもよいし、ボタン本体54及びボタンガイド53の両方に設けられていてもよい。
【0039】
さらに、この認識部6では、隅部認識部61及び端辺部認識部62は、同じ形状であるが異なる形状であってもよい。例えば、隅部認識部61と端辺部認識部62とが、突出量(プレート4の表面からの高さ)が異なる凸条であってもよい。本実施形態では、複数の隅部認識部61は、同じ形状及び同じサイズであるが、異なる形状や異なるサイズであってもよい。また、複数の端辺部認識部62は、同じ形状及び同じサイズであるが、異なる形状や異なるサイズであってもよい。
【0040】
なお、認識部6は、凹凸加工により構成される以外に、触覚で認識できるような別の表面加工により構成されてもよい。また、認識部6は、表面加工以外に、既存のボタン5に別の部材を取り付けることで構成されてもよい。さらに、認識部6は、ボタン5に樹脂製のボタンガイド53やボタン本体54と異なる材質で構成された別パーツを設けることにより構成されてもよい。例えば、認識部6は、表面が樹脂製のボタン5に、布やシールを貼り付けることで構成されてもよい。
【0041】
認識部6は、例えば、行先階ボタン50の形状に沿った形状であり、具体的には、円弧状である。本実施形態の認識部6は、円を四分割した形状である。なお、認識部6は、円を二分割、三分割、又は、五以上の複数個に分割した円弧状であってもよいし、楕円を複数個に分割した円弧状であってもよい。利用者がこのような認識部6に触れることで、円弧状の認識部6の外側を配置領域30の外側であると理解し、円弧上の認識部6の内側を配置領域30の内側であると理解できるため、配置領域30の内側と外側とが理解しやすい。
【0042】
なお、認識部6は、上記形状と異なる円弧状であってもよい。例えば、認識部6は、横方向に延びる一つの横部、横部の左右に離間して一対設けられ且つ縦方向に延びる一対の縦部、及び、横部と各縦部とを連結する一対の湾曲部を有する円弧状であってもよい。また、本実施形態では、認識部6は、周方向に連続して延びる円弧状であるが、周方向に隙間をあけて断続的に延びる円弧状(破線で描かれた円弧状)であってもよい。
【0043】
以上のエレベータ1によれば、利用者が認識部6に触れることで、複数個の行先階ボタン50が配置されている配置領域30の端部302を認識することができる。よって、視覚障がい者などの触覚により行先階ボタン50を探す利用者にとっても行先階ボタン50が配置されている配置領域30を容易に把握することができる。
【0044】
本実施形態のエレベータ1によれば、隅部認識部61が配置領域30の隅部300にある行先階ボタン500、501、502、503に設けられることで、触覚によりボタン5を探す利用者が、効率よく配置領域30を把握できる。
【0045】
また、本実施形態のエレベータ1によれば、端辺部認識部62が配置領域30の隅部3000、3002を繋ぐ端辺部3010や、隅部3001、3003を繋ぐ端辺部3011にある行先階ボタン504、505に設けられることで、触覚によりボタンを探す利用者が、さらに効率よく配置領域30を把握できる。
【0046】
なお、本発明のエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0047】
上記実施形態では、配置領域30に、縦方向に並んだ複数個(例えば、三個)の行先階ボタン50で構成される列が、横方向に複数列(例えば、二列)並んでいたが、
図3に示すように、縦方向に並んだ複数個の行先階ボタン50で構成される列が、一列配置されていてもよい。
【0048】
図3の構成では、隅部3000、3001に対応して配置された行先階ボタン506では、行先階ボタン506の上部、即ち、隅部3000、3001の角(頂点)に最も近い点を含む所定角度(例えば、180度)の扇形状に隅部認識部61が配置されている。具体的には、行先階ボタン506では、正面視9時の位置から3時の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に隅部認識部61が配置されている。同様に、隅部3002、3003に対応して配置された行先階ボタン507では、行先階ボタン507の下部、即ち、隅部3002、3003の角(頂点)に最も近い点を含む所定角度(例えば、180度)の扇形状に隅部認識部61が配置されている。具体的には、この行先階ボタン507では、正面視3時の位置から9時の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に、それぞれ隅部認識部61が配置されている。なお、隅部認識部61は、行先階ボタン506の上部の周方向の少なくとも中心、具体的には、少なくとも隅部3000、3001を繋ぐ端辺部3012に最も近い点や、行先階ボタン507の下部の周方向の少なくとも中心、具体的には、少なくとも隅部3002、3003を繋ぐ端辺部3013に最も近い点に配置されていることが好ましい。この構成では、隅部認識部61は、行先階ボタン506、507の外周部の横方向の両側にも配置されている。
【0049】
また、隅部3000、3002を繋ぐ端辺部3010及び隅部3001、3003を繋ぐ端辺部3011に対応して配置された行先階ボタン508では、行先階ボタン508の端辺部3010に最も近い部分に端辺部認識部62が配置されるとともに、この行先階ボタン508の端辺部3011に最も近い部分に端辺部認識部62が配置されている。具体的に、端辺部3010、3011に対応して配置された行先階ボタン508では、行先階ボタン508の正面視7時30分の位置から10時30分の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に端辺部認識部62が配置されるとともに、この行先階ボタン508の正面視1時30分の位置から4時30分の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に、端辺部認識部62が配置されている。端辺部認識部62は、行先階ボタン508の端辺部3010に最も近い部分の周方向の少なくとも中心、具体的には、少なくとも端辺部3010に最も近い点や、行先階ボタン508の端辺部3011に最も近い部分の周方向の少なくとも中心、具体的には、端辺部3011に最も近い点に配置されていることが好ましい。この構成では、端辺部認識部62は、行先階ボタン508の外周部の横方向の両側に配置されている。
【0050】
なお、配置領域30に、複数個の行先階ボタン50で構成される列が、三列以上配置されていてもよい。配置領域30に、三個以上の行先階ボタン50で構成される列が、三列以上配置される構成では、配置領域30の端部302以外に配置される行先階ボタン50には、認識部6が配置されない。例えば、行先階ボタン50で構成される列のうち、両側を他の行先階ボタン50で構成される列で挟まれた列において、行先階ボタン50には、認識部6が配置されない。また、配置領域30に、横方向に並んだ複数個の行先階ボタン50で構成される行が、一列配置されていてもよい。
【0051】
上記実施形態では、行先階ボタン50の形状は、正面視において円形状であったが、矩形状やその他の多角形状、楕円形状等であってもよい。なお、複数個の行先階ボタン50で、その形状が二種類以上で異なっていてもよい。また、行先階ボタン50の形状が多角形状である場合、認識部6は、角形状や直線状であってもよい。
【0052】
例えば、
図4及び
図5に示すように、行先階ボタン50の正面視の形状が正方形であり、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する角部と、を有する角形状であってもよい。この隅部認識部61において、横部や縦部は直線状に延びている。この隅部認識部61では、角部は90°で曲がった角である。
【0053】
また、複数個(例えば、三個)の正方形状の行先階ボタン50で構成される列が、横方向に二列並んでもよい(
図4参照)。この構成では、左上の隅部3000に対応して配置された行先階ボタン500では、行先階ボタン500の左上の角部、即ち、隅部3000の角(頂点)に最も近い点を含む所定範囲の角形状、例えば、正面視9時の位置から12時の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に隅部認識部61が配置されている。同様に、隅部3001、3002、3003に配置された行先階ボタン501、502、503では、行先階ボタン501の右上の角部、即ち、隅部3001の角(頂点)に最も近い点を含む所定範囲の角形状、例えば、正面視12時の位置から3時の位置までの少なくとも一部、本実施形態では、その全てに隅部認識部61が配置され、行先階ボタン502の左下の角部、即ち、隅部3002の角(頂点)に最も近い点を含む所定範囲の角形状、例えば、正面視6時の位置から9時の位置までの少なくとも一部、本実施形態では、その全てに隅部認識部61が配置され、行先階ボタン503の右下の角部、即ち、隅部3003の角(頂点)に最も近い点を含む所定範囲の角形状、例えば、正面視3時の位置から6時の位置までの少なくとも一部、本実施形態では、その全てに隅部認識部61が配置されている。隅部認識部61は、行先階ボタン500の左上の角部の少なくとも頂点、即ち、少なくとも隅部3000の角(頂点)に最も近い点に、配置されていることが好ましい。また、隅部認識部61は、行先階ボタン501の右上の角部の少なくとも頂点、即ち、少なくとも隅部3001の角(頂点)に最も近い点に配置されていることが好ましい。さらも、隅部認識部61は、行先階ボタン502の左下の角部の少なくとも頂点、即ち、少なくとも隅部3002の角(頂点)に最も近い点に配置されていることが好ましい。また、隅部認識部61は、行先階ボタン503の右下の角部の少なくとも頂点、即ち、少なくとも隅部3003の角(頂点)に最も近い点に、配置されていることが好ましい。
【0054】
さらに、隅部3000、3002を繋ぐ端辺部3010に対応して配置された行先階ボタン504では、行先階ボタン504の端辺部3010に最も近い部分の少なくとも一部(本実施形態では、全て)に端辺部認識部62が配置される。隅部3001、3003を繋ぐ端辺部3011に対応して配置された行先階ボタン505では、行先階ボタン505の端辺部3011に最も近い部分の少なくとも一部(本実施形態では、全て)に端辺部認識部62が配置される。
【0055】
また、複数個(例えば、三個)の正方形状の行先階ボタン50で構成される列が、一列配置されていてもよい(
図5参照)。この構成では、隅部3000、3001に対応して配置された行先階ボタン506では、行先階ボタン506の隅部3000、3001を繋ぐ端辺部3012に最も近い部分、具体的には、正面視9時の位置から3時の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に隅部認識部61が配置されている。同様に、隅部3002、3003に対応して配置された行先階ボタン507では、行先階ボタン507の隅部3002、3003を繋ぐ端辺部3013に最も近い部分、具体的には、正面視3時の位置から9時の位置までの少なくとも一部(本実施形態では、全て)に、隅部認識部61が配置されている。隅部認識部61は、行先階ボタン506の隅部3000、3001の角(頂点)に最も近い点に、それぞれ配置されていることが好ましい。また、行先階ボタン503の隅部3002、3003の角(頂点)に最も近い点に、それぞれ配置されていることが好ましい。この構成では、隅部認識部61は、行先階ボタン506、507の外周部の横方向の両側にも配置されている。
【0056】
また、隅部3000、3002を繋ぐ端辺部3010、及び、隅部3001、3003を繋ぐ端辺部3011に対応して配置された行先階ボタン508では、行先階ボタン508の端辺部3010に最も近い部分の少なくとも一部(本実施形態では、全て)に端辺部認識部62が配置されるとともに、行先階ボタン508の端辺部3011に最も近い部分の少なくとも一部(本実施形態では、全て)に端辺部認識部62が配置される。このように、端辺部認識部62は、行先階ボタン508の外周部の横方向の両側に配置されている。
【0057】
なお、
図4や
図5に示す隅部認識部61では、角部は90°で曲がった角であるが、別の角度で曲がった角であってもよい。例えば、行先階ボタン50が正六角形状である場合、隅部認識部61の角部は60°で曲がった角であることが考えられる。また、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する直線状の斜部と、を有する角形状であってもよい。さらに、隅部認識部61は、角面取形状であってもよい。具体的に、隅部認識部61が、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する曲部と、を有する湾曲形状であってもよい。隅部認識部61が、角形状や角面取形状であっても、利用者が認識部6に触れることで、配置領域30の内側と外側とが理解しやすい。
【0058】
また、上記実施形態等では、行先階ボタン50に設けられる認識部6は、行先階ボタン50の形状に沿った形状であったが、プレート4の形状に沿った形状であってもよい。例えば、円形状の行先階ボタン50に、矩形状のプレート4の形状に沿った角形状の認識部6が設けられていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、隅部認識部61が、配置領域30の四個の隅部300のうち全ての隅部300に対応して配置される行先階ボタン50に設けられていたが、配置領域30の四つの隅部300のうち一つ、二つ、又は、三つの隅部300に対応して配置される行先階ボタン50のみに設けられていてもよい。この場合であっても、触覚により行先階ボタン50を探す利用者が、配置領域30のうち隅部認識部61が設けられた行先階ボタン50が対応して配置された隅部300を把握することができる。
【0060】
上記実施形態等では、認識部6は、ボタン5に設けられた突出部等で構成されていたが、ボタン5の形状の変化により構成されていてもよい。具体的には、認識部6は、行先階ボタン50に設けられた凸条等で構成されていたが、ボタン5の正面視での形状の変化により構成されていてもよい。
【0061】
図6及び
図7の構成では、認識部6が設けられた行先階ボタン50では、隅部300に対応する部分(隅部300に最も近い部分)が、他の部分と異なる形状となっている。本実施形態では、この認識部6は、行先階ボタン50のボタンガイド53及びボタン本体54の形状がともに変化することにより構成されている。また、隅部300に対応して配置される行先階ボタン500、501、502、503(隅部300に最も近い行先階ボタン500、501、502、503)と、他の行先階ボタン50とで、形状が異なっている。
【0062】
例えば、
図6に示すように、隅部認識部61が、隅部300に対応して配置された行先階ボタン500、501、502、503において、正面視で矩形状(具体的には、正面視で正方形状)の行先階ボタン500、501、502、503それぞれの一つの角部が欠けた形状により構成されてもよい。具体的に、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する直線状の斜部と、を有する角形状であってもよい。この構成では、行先階ボタン500、501、502、503が、正面視において、この角部が欠けることにより五角形状となっている。即ち、行先階ボタン500、501、502、503が、正面視において、一対の縦辺及び横辺を有するとともに隅部300に近い部分に1つの斜辺を有することにより、隅部300に近い部分と他の部分との形状が異なっている。
【0063】
また、左上の隅部3000に対応して配置された行先階ボタン500では、行先階ボタン500の左上の隅部に隅部認識部61が配置されている。行先階ボタン500に配置された隅部認識部61は、行先階ボタン500の左上の角部が欠けることにより構成されている。同様に、隅部3001、3002、3003に対応して配置された行先階ボタン501、502、503では、行先階ボタン501の右上の隅部に隅部認識部61が配置され、行先階ボタン502の左下の隅部に隅部認識部61が配置され、行先階ボタン503の右下の隅部に隅部認識部61が配置されている。また、右上の隅部3001では、行先階ボタン501の右上の角部が欠けることにより隅部認識部61が構成され、左下の隅部3002では、行先階ボタン502の左下の角部が欠けることにより隅部認識部61が構成され、右下の隅部3003では、行先階ボタン503の右下の角部が欠けることにより隅部認識部61が構成されている。
【0064】
さらに、行先階ボタン500、501、502、503が、正面視で隅部が欠けた形状(具体的には、正面視で五角形状)であるのに対して、他の行先階ボタン504、505は、正面視で矩形状(具体的には、正面視で正方形状)である。このように、行先階ボタン500、501、502、503と、他の行先階ボタン504、505とで、正面視での形状が異なっている。
【0065】
図7に示すように、隅部認識部61が、隅部300に対応して配置された行先階ボタン500、501、502、503において、正面視で円形状の行先階ボタン500、501、502、503の隅部に角形状の部分が追加されることにより構成されてもよい。具体的に、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する角部と、を有する角形状である。この隅部認識部61において、横部や縦部は直線状に延びている。この隅部認識部61では、角部は90°で曲がった角である。即ち、行先階ボタン500、501、502、503が、正面視における外縁として、円弧状の部分と、円弧状の部分の両端からそれぞれ延びる横部及び縦部と、横部及び縦部を連結する角部とを有する角形状の部分を備えることにより、隅部300に最も近い部分と他の部分とで形状が異なっている。なお、隅部300以外に配置される行先階ボタン504、505は、正面視で円形状である。
【0066】
また、左上の隅部3000に対応して配置された行先階ボタン500では、行先階ボタン500の左上の隅部に隅部認識部61が配置されている。この行先階ボタン500に配置された隅部認識部61は、行先階ボタン500の左上の隅部に角形状の部分が追加されることにより構成されている。同様に、隅部3001、3002、3003に対応して配置された行先階ボタン501、502、503では、右上の行先階ボタン501の右上の隅部に隅部認識部61が配置され、左下の行先階ボタン502の左下の隅部に隅部認識部61が配置され、右下の行先階ボタン503の右下の隅部に隅部認識部61が配置されている。また、右上の隅部3001では、行先階ボタン501の右上の隅部に角形状の部分が追加されることにより隅部認識部61が構成され、左下の隅部3002では、行先階ボタン502の左下の隅部に角形状の部分が追加されることにより隅部認識部61が構成され、右下の隅部3003では、行先階ボタン503の右下の隅部に角形状の部分が追加されることにより隅部認識部61が構成されている。
【0067】
このような構成であっても、利用者が認識部6に触れることで、複数個の行先階ボタン50が配置されている配置領域30の端部302を認識することができる。よって、視覚障がい者などの触覚により行先階ボタン50を探す利用者にとっても行先階ボタン50が配置されている配置領域30を容易に把握することができる。また、隅部認識部61が配置領域30の隅部300にある行先階ボタン500、501、502、503に設けられることで、触覚によりボタンを探す利用者が、効率よく配置領域30を把握できる。
【0068】
なお、隅部認識部61は、角面取形状であってもよい。具体的に、隅部認識部61が、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する曲部と、を有する湾曲形状であってもよい。隅部認識部61が、角形状や角面取形状であれば、利用者が認識部6に触れることで、配置領域30の内側と外側とが理解しやすい。
【0069】
また、認識部6を構成するボタン5の正面視での形状の変化は、角部が欠けることや、隅部に角形状の部分を追加することであったが、これ以外のボタン5の正面視での外周部の形状の変化であってもよい。例えば、ボタン5の外縁の形状を、部分的に滑らかな形状(ボタン5が矩形状であるときには直線状、ボタン5が円形状であるときは滑らかな湾曲形状)から折れ線状に変化させたり、蛇行するよう変化させたりすることで、認識部6を構成してもよい。
【0070】
なお、認識部6を、ボタン5の周面(ボタン5の正面側の表面からプレート4側に延びる周面)の変化により構成してもよい。例えば、ボタン5の周面の配置領域30の隅部300に位置する部位に対して、他の部位と異なる表面加工をすることにより、認識部6を構成してもよい。例えば、ボタン5のプレート4の表面からの突出量が大きい場合に、ボタン5の周面のうち配置領域30の隅部300に最も近い部分に対してのみ、他の部分よりも表面を粗くする加工をすることにより、認識部6を構成してもよい。
【0071】
上記実施形態では、認識部6は、行先階ボタン50に設けられていたが、
図8及び
図9に示すように、プレート4に設けられていてもよい。このような構成であっても、利用者が認識部6に触れることで、複数個の行先階ボタン50が配置されている配置領域30の端部302を認識することができる。
【0072】
これらの構成では、隅部認識部61は、配置領域30の隅部300に設けられ、本実施形態では、配置領域30の四個の隅部300のうち少なくとも一つの隅部300(具体的には、全ての隅部300)に設けられている。また、隅部認識部61は、プレート4における矩形状の配置領域30の隅部300に対応した位置に配置されている。さらに、隅部認識部61は、プレート4における隅部300の形状に対応した形状である。この構成では、隅部認識部61は、配置領域30の外周部の横方向の両側に配置されている。
【0073】
例えば、
図8では、配置領域30の各隅部3000、3001、3002、3003に対応して配置された隅部認識部61が、互いに離間している。具体的に、左上の隅部3000に対応して配置された隅部認識部610は、右上の隅部3001に対応して配置された隅部認識部611に対して、横方向に隙間をあけて配置されている。また、左上の隅部認識部610は、左下の隅部3002に対応して配置された隅部認識部612に対して、縦方向に隙間をあけて配置されている。左下の隅部3002に対応して配置された隅部認識部612は、右下の隅部3003に対応して配置された隅部認識部613に対して、横方向に隙間をあけて配置されている。右上の隅部認識部611は、右下の隅部3003に対応して配置された隅部認識部613に対して、縦方向に隙間をあけて配置されている。
【0074】
具体的に、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、縦方向に延びる縦部、及び、横部と縦部とを連結する角部と、を有する角形状である。この隅部認識部61において、横部や縦部は直線状に延びている。この隅部認識部61では、角部は90°で曲がった角である。
【0075】
なお、隅部認識部61は、四つの隅部300のうち縦方向又は横方向に並ぶ一対の隅部300に亘って連続して延びていてもよい。具体的に、
図9では、上側の隅部認識部614は、配置領域30の上部において、左上の隅部3000から右上の隅部3001に亘って連続して延びている。この隅部認識部614は、隅部3000、3001を繋ぐ端辺部3012に近い部分に配置されている。同様に、下側の隅部認識部615は、配置領域30の下部において、左下の隅部3002から右下の隅部3003に亘って連続して延びている。この隅部認識部615は、隅部3002、3003を繋ぐ端辺部3013に近い部分に配置されている。さらに、上側の隅部認識部614は、下側の隅部認識部615に対して、縦方向に隙間をあけて配置されている。
【0076】
具体的に、隅部認識部61は、横方向に延びる横部、横部の左右に離間して一対設けられ且つ縦方向に延びる一対の縦部、及び、横部と各縦部とをそれぞれ連結する一対の角部と、を有する角形状である。この隅部認識部61において、横部や縦部は直線状に延びている。この隅部認識部61では、各角部は90°で曲がった角である。
【0077】
これらの構成では、認識部6は、配置領域30の少なくとも頂点に設けられている。また、認識部6は、配置領域30の隅部300を含む外周部の一部に設けられていたが、配置領域30の外周部全体に連続して延びる枠状であってよい。また、認識部6は、湾曲部が左右に離間して一対設けられ、一対の湾曲部を直線状の横部で繋いだ円弧状であってもよい。なお、認識部6は、配置領域30の外周部に亘って隙間を空けて断続的に延びていてもよい。
【0078】
このような構成であれば、認識部6が複数個の行先階ボタン50が配置されている配置領域30の隅部300にあることで、触覚により行先階ボタン50を探す利用者が、効率よく配置領域30を把握できる。また、触覚により行先階ボタン50を探す利用者は、隅部300に対応した位置に配置され、プレート4における隅部300の形状に対応した形状の認識部6に触れることで、複数個の行先階ボタン50が配置されている配置領域30を明確に把握できる。
【0079】
なお、プレート4に設けられる認識部6は、ボタン5に設けられる認識部6と同様に、凸条、凹条、表面加工、布やシールの貼り付け等いずれであってもよい。また、プレート4自体の形状を変化させることにより、認識部6を構成してもよい。例えば、認識部6は、プレート4の角部が欠けることにより構成されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、操作盤3は、乗りかご2に設けられていたが、乗場に設けられていてもよい。この場合、操作盤3に配置されるボタン5は、上昇する乗りかご2を呼ぶボタン、及び、下降する乗りかご2を呼ぶボタンを含んでもよい。この構成では、配置領域30は、これらのボタンが配置された領域である。
【0081】
上記実施形態では、配置領域30は、矩形状の領域であったが、その他の多角形状の領域であってもよいし、円形状の領域、楕円形状の領域、その他の幾何学形状等であってもよい。なお、配置領域30が多角形状である場合、端辺部301は直線状であるが、配置領域30が円形状や楕円形状である場合、端辺部301は曲線状となる。
【0082】
また、上記実施形態では、配置領域30は、行先階ボタン50が配置されている領域であったが、行先階ボタン50、開ボタン51、及び、閉ボタン52が配置されている領域であってもよい。また、配置領域30は、行先階ボタン50が配置されている第一配置領域と、この第一配置領域と並んで又は離間して設けられた第二配置領域であって、開ボタン51、及び、閉ボタン52が配置されている第二配置領域と、を備えていてもよい。この場合、第一配置領域にこの領域の端部を認識することができるように構成された認識部6が設けられるとともに、第二配置領域にこの領域の端部を認識することができるように構成された認識部6が設けられてもよい。
【0083】
なお、配置領域30には、行先階ボタン50、開ボタン51、及び、閉ボタン52とは異なる別のボタン(例えば、ロビー階ボタン等)が配置されていてもよい。また、例えば、操作盤3に、ロビー階ボタンが配置されるとともに、ロビー階ボタンの上方及び下方にそれぞれ複数個の行先階ボタン50の組配置される場合、配置領域30は、上方に位置する複数個の行先階ボタン50の組が配置されている上方配置領域と、下方に位置する複数個の行先階ボタン50の組が配置されている下方配置領域と、を含んでもよい。この場合、配置領域30には、ロビー階ボタンが配置されない。
【符号の説明】
【0084】
1…エレベータ、2…乗りかご、3…操作盤、4…プレート、5…ボタン、6…認識部、20…出入口、21…かご室、22…かごドア、30…配置領域、31…表示部、50…行先階ボタン、51…開ボタン、52…閉ボタン、53…ボタンガイド、54…ボタン本体、61…隅部認識部、62…端辺部認識部、211…袖壁、212…側壁、300…隅部、301…端辺部、302…端部、303…縦端辺部、304…横端辺部、500、501、502、503、504、505、506、507、508…行先階ボタン、610、611、612、613、614、615…隅部認識部、3000、3001、3002、3003…隅部、3010、3011、3012、3013…端辺部
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごまたは乗場に設けられる操作盤を備え、
前記操作盤は、
前記乗りかごまたは乗場に配置されるプレートと、
前記プレートに三個以上配置され、エレベータを操作するためのボタンと、を備え、
前記三個以上のボタンのうち少なくとも1つのボタンに、利用者が触れることで前記三個以上のボタンが配置される配置領域の端部を認識することができるように構成された認識部が設けられ、
前記配置領域は、複数の隅部と、隣り合う隅部同士を繋ぐ複数の端辺部と、を含み、
前記三個以上のボタンは、前記隅部に対応して配置されるボタンと、前記端辺部に対応して配置されるボタンと、を含み、
前記配置領域において、縦方向に並んだ複数個の前記ボタンで構成される列が、横方向に少なくとも一列並ぶことにより前記三個以上の前記ボタンが配置され、
前記認識部は、前記端辺部に対応して配置されるボタンを除く前記隅部に対応して配置されるボタンに設けられる隅部認識部を含み、
前記隅部認識部は、前記隅部に対応して配置されたボタンにおける前記隅部の角頂点に最も近い部分に設けられる、エレベータ。
【請求項2】
前記認識部は、前記端辺部に対応して配置されたボタンに設けられる端辺部認識部を含む、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
乗りかごまたは乗場に設けられる操作盤を備え、
前記操作盤は、
前記乗りかごまたは乗場に配置されるプレートと、
前記プレートに複数個配置され、エレベータを操作するためのボタンと、を備え、
前記複数個のボタンのうち少なくとも1つのボタンに、利用者が触れることで前記複数個のボタンが配置される配置領域の端部を認識することができるように構成された認識部が設けられ、
前記配置領域は、複数の隅部と、隣り合う隅部同士を繋ぐ複数の端辺部と、を含み、
前記複数個のボタンは、前記隅部に対応して配置されるボタンと、前記端辺部に対応して配置されるボタンと、を含み、
前記認識部は、前記隅部に対応して配置されるボタンに設けられる隅部認識部を含み、
前記隅部認識部は、前記隅部に対応して配置されるボタンを、前記端辺部に対応して配置されるボタンと異なる形状とし、かつ、前記隅部認識部が設けられたボタンにおける前記隅部に最も近い部分を、他の部分と異なる形状とすることで形成される、エレベータ。
【請求項4】
前記隅部認識部は、前記隅部認識部が設けられたボタンにおける前記隅部に最も近い部分に直線状の斜部を有する、請求項3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記隅部認識部は、前記隅部認識部が設けられたボタンにおける前記隅部に最も近い部分に角形状の部分が追加されることにより構成されている、請求項3に記載のエレベータ。