(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012824
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/635 20140101AFI20240124BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20240124BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240124BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H01M10/635
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6571
H01M10/6563
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/48 301
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114566
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】首藤 悠汰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆夫
【テーマコード(参考)】
5E322
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BB06
5E322EA11
5H030AA01
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF27
5H031CC09
5H031HH06
5H031KK03
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】充放電装置内でバッテリの温度調整を良好に行うことができる制御装置を提供する。
【解決手段】屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、バッテリと冷却ファン32とヒータ31とを有する充放電装置を制御する制御装置50であって、充放電装置が配置された位置における、当日の最高気温および最低気温の予測値を取得するとともに第1時刻の気温である第1気温と第1時刻よりも後の第2時刻の気温である第2気温を取得する情報取得部51と、情報取得部51が取得した最高気温および最低気温の予測値と第1閾値との比較、並びに情報取得部51が取得した第1気温および第2気温の差分と第2閾値との比較、に基づいて、冷却ファン32とヒータ31とを制御するファン制御部52およびヒータ制御部53と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する制御装置であって、
前記電力装置が配置された位置における、(i)当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または(ii)当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得する、並びに(iii)第1時刻の気温である第1気温を取得する、および(iv)前記第1時刻よりも後の第2時刻の気温である第2気温を取得する取得部と、
(a)前記取得部が取得した(i)前記最高気温の前記第1予測値または(ii)前記最低気温の前記第2予測値と第1閾値との比較、並びに(b)前記取得部が取得した(iii)前記第1気温および(iv)前記第2気温の差分と第2閾値との比較、に基づいて、前記温度調節部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記温度調節部は、前記電力装置の内外の空気の流動を促進する送風部を有し、
前記取得部は、前記電力装置が配置された位置における、(i)当日の最高気温の前記第1予測値を取得するものであって、
前記制御部は、(a)前記取得部が取得した(i)前記最高気温の前記第1予測値が前記第1閾値よりも高い、および(b)前記差分である前記第2気温から前記第1気温を減算した値が前記第2閾値よりも大きいときに、前記送風部を稼働することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御装置において、
前記温度調節部は、前記電力装置の内部を加温する発熱部を有し、
前記取得部は、前記電力装置が配置された位置における、(ii)当日の最低気温の前記第2予測値を取得するものであって、
前記制御部は、(a)前記取得部が取得した(ii)前記最低気温の前記第2予測値が前記第1閾値よりも低い、および(b)前記差分である前記第2気温から前記第1気温を減算した値が前記第2閾値よりも小さいときに、前記発熱部を稼働することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置において、
将来に前記蓄電部に充電または放電が生じるか否かの情報である充放電情報を取得する他の取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記他の取得部が取得した前記充放電情報に基づいて、前記温度調節部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置において、
前記電力装置は、前記蓄電部を着脱可能に保持する保持部をさらに有し、
前記制御装置は、前記保持部に前記蓄電部が保持されているか否かの情報である保持情報を取得する他の取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記他の取得部が取得した前記保持情報に基づいて前記温度調節部を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置において、
前記制御部は、第1所定時刻になると前記温度調節部の制御を開始し、第2所定時刻になると前記温度調節部の制御を終了することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置において、
前記第1時刻と前記第2時刻との差は所定時間であり、
前記取得部は、前記第1所定時刻から前記第2所定時刻に至るまで、前記所定時間毎に、前記第1気温と前記第2気温とを取得することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御装置において、
気象情報を提供する外部装置と通信可能に設けられた通信部と、
気温を検出する気温検出部と、をさらに備え、
前記取得部は、前記通信部を介して、前記電力装置が配置された位置における、(i)当日の前記最高気温の前記第1予測値を取得する、または(ii)当日の前記最低気温の前記第2予測値を取得するとともに、前記気温検出部を介して(iii)前記第1気温および(iv)前記第2気温を取得することを特徴とする制御装置。
【請求項9】
屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する制御方法であって、
前記電力装置が配置された位置における、当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得するステップと、
第1の時刻の気温である第1気温を取得するステップと、
前記第1の時刻よりも後の第2の時刻の気温である第2気温を取得するステップと、
前記第1予測値または前記第2予測値と第1閾値とを比較するステップと、
前記第1気温および前記第2気温の差分と第2閾値とを比較するステップと、
前記第1予測値または前記第2予測値と前記第1閾値との比較結果、および前記差分と前記第2閾値との比較結果に基づいて、前記温度調節部を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記電力装置が配置された位置における、当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得する手順と、
第1の時刻の気温である第1気温を取得する手順と、
前記第1の時刻よりも後の第2の時刻の気温である第2気温を取得する手順と、
前記第1予測値または前記第2予測値と第1閾値とを比較する手順と、
前記第1気温および前記第2気温の差分と第2閾値とを比較する手順と、
前記第1予測値または前記第2予測値と前記第1閾値との比較結果、および前記差分と前記第2閾値との比較結果に基づいて、前記温度調節部を制御する手順と、を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電部の充電機能を有する電力装置を制御する制御装置、制御方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、バッテリの貸出用ステーションに収容された一対のバッテリの温度の差を低減するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、一対のバッテリの温度が同一となるように予めバッテリの冷却計画を定め、冷却計画に従い一対のバッテリの温度を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/187623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋外の最高気温や最低気温は日々、変化する。このため、上記特許文献1記載の装置のように予め冷却計画を定めても、その日の気温によっては、計画通りにバッテリの温度調整を行うことが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する制御装置であって、電力装置が配置された位置における、(i)当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または(ii)当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得する、並びに(iii)第1時刻の気温である第1気温を取得する、および(iv)第1時刻よりも後の第2時刻の気温である第2気温を取得する取得部と、(a)取得部が取得した(i)最高気温の第1予測値または(ii)最低気温の前記第2予測値と第1閾値との比較、並びに(b)取得部が取得した(iii)第1気温および(iv)第2気温の差分と第2閾値との比較、に基づいて、温度調節部を制御する制御部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様は、屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する制御方法であって、電力装置が配置された位置における、当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得するステップと、第1の時刻の気温である第1気温を取得するステップと、第1の時刻よりも後の第2の時刻の気温である第2気温を取得するステップと、第1予測値または第2予測値と第1閾値とを比較するステップと、第1気温および第2気温の差分と第2閾値とを比較するステップと、第1予測値または第2予測値と第1閾値との比較結果、および差分と第2閾値との比較結果に基づいて、温度調節部を制御する制御ステップと、を含む。
【0007】
本発明のさらに他の態様は、屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、電力装置が配置された位置における、当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得する手順と、第1の時刻の気温である第1気温を取得する手順と、第1の時刻よりも後の第2の時刻の気温である第2気温を取得する手順と、第1予測値または第2予測値と第1閾値とを比較する手順と、第1気温および第2気温の差分と第2閾値とを比較する手順と、第1予測値または第2予測値と第1閾値との比較結果、および差分と第2閾値との比較結果に基づいて、温度調節部を制御する手順と、を実行させる。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、上記のプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓄電部の温度調整を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態に係る制御装置が適用される電力装置の一例である充放電装置の外観形状を示す斜視図であり、バッテリが取り外された状態を示す図。
【
図1B】本発明の実施形態に係る制御装置が適用される電力装置の一例である充放電装置の外観形状を示す斜視図であり、バッテリが格納された状態を示す図。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御装置の要部構成を示すブロック図。
【
図5】
図4のファン制御部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図4のヒータ制御部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】
図7のコントローラで実行される処理の一例であり、特に
図5,6との相違点を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1A~
図8を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る制御装置は、電力装置の一例である充放電装置に適用される。充放電装置は、バッテリなどの蓄電池(二次電池)を充電する充電装置および蓄電池から放電される放電装置を構成する。なお、充電装置および放電装置のいずれか一方を構成する場合も充放電装置に含まれる。充放電装置は、例えば住宅の敷地内に設置される定置式の蓄電装置であり、商用電源からの電力によりバッテリを充電する一方、停電時には、バッテリからの電力により住宅内の負荷に電力を供給することができる。
【0012】
図1A,
図1Bは、本発明の実施形態に係る充放電装置100の外観形状を概略的に示す斜視図であり、バッテリ200の取り外し状態と格納状態とをそれぞれ示す。なお、以下では、便宜上、図示のように前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。上下方向は、重力方向(鉛直方向)に相当する。充放電装置100は例えば屋外に配置される。このため、外気温の影響を受けやすい。なお、充放電装置100は、屋外と気温変化が相関する屋内に配置されてもよい。
【0013】
図1A,
図1Bに示すように、充放電装置100は、同一構成の一対のバッテリ200が収容される装置本体1を有する。装置本体1は、筐体2と蓋3とを有する。筐体2は、それぞれ上下方向に延在する前後左右の側壁(前壁、後壁、左壁、右壁)と、水平方向に延在する底壁とを有し、全体が略直方体形状を呈する。筐体2の内部には、上面が開口された左右一対の凹状の収容部4が設けられる。収容部4は、筐体自体に形成される。筐体2とは別の部材により、収容部4が形成されてもよい。筐体2の上面2aは、全体が前方にかけて水平線に対する所定の傾斜角θ1(例えば5°~10°程度)で緩やかに傾斜した傾斜面とされる。
【0014】
蓋3は、筐体2の上面2aの開口を覆うように全体が平面視略矩形状に形成される。より詳しくは、蓋3の上面3aは水平面であるのに対し、蓋3の底面3bは、筐体2の上面2aに対応して、前方にかけて下り勾配の傾斜面とされる。蓋3は、筐体2の上端かつ後端の角部に、ヒンジ部5を介して回動可能に支持される。
【0015】
バッテリ200は、重量が例えば10kg程度の可搬式バッテリであり、その上面には、ユーザにより把持される取っ手201が設けられる。なお、バッテリ200は10kgより軽くてもよく、重くてもよい。バッテリ200は、例えばリチウムイオンバッテリであり、全体が縦長の略直方体形状を呈する。収容部4は、バッテリ200の外観形状に対応して略直方体形状の収容空間4aを有する。
【0016】
なお、バッテリ200は、直方体形状に限らず、円筒形状等、種々の形状のものを用いることができる。筐体2内のバッテリ200の個数は、2個に限らず、1個でもよく3個以上でもよい。複数のバッテリ200は、左右方向に並べて配置される代わりに、あるいは左右方向に並べて配置されることに加え、上下方向や前後方向に並べて配置されてもよい。収容部4は、これらバッテリ200の形状、個数、配置に応じて形成される。
【0017】
図1Aに示すように、バッテリ200は、蓋3が開放された状態で、上方から収容空間4aに収容される。このとき、バッテリ200の底面(バッテリ底面)に設けられたバッテリ側端子と、収容部4の収容空間4aに面する底面(収容部底面)に設けられた装置側端子とが接続される。例えばバッテリ側端子は、バッテリ底面に設けられた凹部に配置されるレセプタクルであり、装置側端子は収容部底面に設けられた凸部に配置されるプラグである。これにより、バッテリ側端子と装置側端子との接続時に、凹部と凸部とが嵌合され、バッテリ200は収容部4に位置決めされた状態で保持される。
【0018】
図1Bに示すように、充放電装置100の通常の使用時には、収容空間4a内にバッテリ全体が収容された状態で、蓋3が閉鎖される。すなわち、バッテリ200は密閉状態で収容部4に保持される。充放電装置100には、交流電力が入力される入力端子と、交流電力が出力される出力端子とが設けられる。入力端子にはオス型のプラグが設けられる。充放電装置100はプラグを介して商用電源に接続され、商用電源から充放電装置100に交流電力が入力される。出力端子にはメス型のソケットが設けられ、ソケットに負荷が接続されて、充放電装置100から負荷に交流電力が出力される。
【0019】
図2,
図3は、それぞれ本実施形態に係る充放電装置100の内部構成を概略的に示す正面図(前方から見た図)および側面図(左方から見た図)である。
図2,
図3に示すように、筐体2の内部は、略水平方向に延在する隔壁21により、上室5aと上室5aの下方の下室5bとに区画される。上室5aには、左右一対のバッテリ200の収容空間4aが含まれ、収容空間4aに左右一対のバッテリ200が配置される。下室5bには、左右のバッテリ200の下方に、左右のバッテリ200に対応して左右一対のインバータユニット6が配置される。
【0020】
収容空間4aは、上端部が下端部よりも前方に位置するように側面視で傾斜して形成される。より詳しくは、収容空間4aの前面22の鉛直線に対する傾斜角θ2が、蓋3の底面3bの水平線に対する傾斜角θ1と同一となるように形成される。これによりバッテリ200は収容空間4a内で前方に傾斜して配置されるようになるため、バッテリ200には前方への重力が作用し、バッテリ200の前面を収容空間4aの前面22に均一に密接させて配置することができる。または、バッテリ200の前面を収容空間4aの前面22から均一な距離を隔てて前面22と略平行に配置することができる。
【0021】
筐体2の前壁23には、左右一対の収容空間4aの前面22に対向して左右一対のヒータ(電熱線)31が配置される。より詳しくは、
図3に示すように、ヒータ31は、収容空間4aの前面22と平行になるように傾斜して配置される。左右のヒータ31は、それぞれ左右のバッテリ200の前面全体に対向するように上下左右方向に延設され、左右のヒータ31により左右のバッテリ200が加熱される。このように収容空間4aにバッテリ200を前方に傾斜して配置することで、バッテリ200の前面とヒータ31との距離を均一に、かつ、一定に保つことができ、バッテリ全体を均一に加熱することができる。
【0022】
上室5aに面した筐体2の左右の側壁24には、側壁24を左右方向に貫通する開口部24a(
図1B参照)が設けられ、開口部24aを介して上室5a(例えば上室5a内の収容空間4a)と筐体2の外部空間とが連通する。なお、収容空間4aではなく、上室5a内の収容空間4aの周囲の空間と、筐体2の外部空間とが連通するようにしてもよい。左右の側壁24には、開口部24aの内側にそれぞれ冷却ファン32が設けられる。
【0023】
左側の冷却ファン32は、吸気用冷却ファンであり、この冷却ファン32の回転により、左側の開口部24aを介して上室5aに空気が吸い込まれる。右側の冷却ファン32は、排気用冷却ファンであり、この冷却ファン32の回転により、右側の開口部を介して上室5a内から外部に空気が吐き出される。なお、右側の冷却ファン32を吸気用、左側の冷却ファン32を排気用としてもよい。左右の冷却ファン32の回転により上室5a内を左右方向に空気が流れ、これにより収容室内のバッテリ200を冷却することができる。
【0024】
インバータユニット6は、商用電源からバッテリ200に至る電力伝達経路上であり、かつ、バッテリ200から負荷に至る電力伝達回路上に配置される。インバータユニット6は、AC/DCインバータとDC/DCコンバータとを含んで構成される電力変換部である。商用電源からの交流電力は、インバータユニット6により所定電圧の直流に変換され、バッテリ200に供給される。これによりバッテリ200が充電される。バッテリ200からの直流電力は、インバータユニット6により所定電圧の交流に変換されて負荷に供給される。これによりバッテリ200が放電される。
【0025】
下室5bは、単一の収容空間に左右一対のインバータユニット6が配置されるように形成される。なお、左右のインバータユニット6の収容空間を別々に設け、各収容空間が互いに連通するように下室5bが形成されてもよい。下室5bに面した筐体2の左右の側壁24には、側壁24を左右方向に貫通する開口部24b(
図1B参照)が設けられ、開口部24bを介して下室5bと筐体2の外部空間とが連通する。左右の側壁24には、開口部24bの内側にそれぞれ冷却ファン33が設けられる。
【0026】
左側の冷却ファン33は、吸気用冷却ファンであり、冷却ファン33の回転により、開口部24bを介して下室5b内に空気が吸い込まれる。右側の冷却ファン33は、排気用冷却ファンであり、冷却ファン33の回転により、開口部24bを介して下室5b内から外部に空気が吐き出される。なお、右側の冷却ファン33を吸気用、左側の冷却ファン33を排気用としてもよい。左右の冷却ファン33の回転により下室5b内を左右方向に空気が流れ、これによりインバータユニット6を冷却することができる。
【0027】
なお、詳細な図示は省略するが、筐体2内には、上室5aと下室5bとは別に、制御ユニット(後述のコントローラ50)やジャンクションボックス、パススルーなどの電気部品が配置される収容室(電気部品収容室と呼ぶ)が設けられる。電気部品収容室は、例えば上室5aの左方に設けられる。充放電装置100は、電気部品収容室内の電気部品を介して商用電源と負荷とに接続される。
【0028】
充放電装置100により充電が完了したバッテリ200は、充放電装置100から取り外されて各種電気機器に電力を供給する電力源として用いることができる。電気機器は、例えば電動二輪車や電動四輪車等の電動車両である。電動車両にバッテリ200が搭載されると、電動車両はバッテリ200からの電力によって走行することができる。バッテリ200を電動車両の走行に用いたことによってSOC(充電率)が低下すると、バッテリ200は充放電装置100に収容され、再び充電される。
【0029】
このような充放電装置100において、所定の充放電特性にしたがってバッテリ200を充放電するためには、バッテリ200の温度(バッテリ温度)を所定の目標温度範囲内に抑える必要がある。さらにバッテリ200の劣化を防ぐためにも、バッテリ温度を目標温度範囲内とする必要がある。そのためにはバッテリ温度を検出し、バッテリ温度が所定温度以上になると、冷却ファン32を作動してバッテリ温度を低下させる、またはバッテリ温度が所定温度以下になるとヒータ31を作動してバッテリ温度を上昇させることが考えられる。
【0030】
しかしながら、最高気温が高い日に、バッテリ温度が所定温度以上になってから冷却ファン33の作動を開始したのでは、バッテリ200の温度上昇を十分に抑制することができず、バッテリ温度が目標温度範囲を超えるおそれがある。また、最低気温が低い日に、バッテリ温度が所定温度以下になってからヒータ31の作動を開始したのでは、バッテリ200の温度低下を十分に抑制することができず、バッテリ温度が目標温度範囲を下回るおそれがある。これを避けるために、冷却ファン作動用のバッテリ温度の閾値を下げて、あるいはヒータ作動用のバッテリ温度の閾値を上げて、冷却ファン32やヒータ31を早めに作動すると、電力消費量が無駄に増加するおそれがある。
【0031】
一方、予め冷却ファン32とヒータ31の作動計画(例えば作動開始時刻)を設定し、作動計画に従いこれらを作動することも考えられる。しかしながら、最高気温や最低気温は日ごとに変化するため、この点を考慮せずに事前に作動計画を設定してバッテリ200の温度調整を行うようにしたのでは、バッテリ200を効率よく温度調整することが困難である。そこで、バッテリ200の温度調整を日々効率よく行うことができるよう、本実施形態は以下のように制御装置を構成する。
【0032】
図4は、本実施形態に係る制御装置10の要部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置10は、コントローラ50を中心として構成される。コントローラ50には、温度センサ11と、バッテリ温度センサ12と、入力部13とからの信号が入力されるとともに、通信ユニット14を介して外部のサーバ15から信号が入力される。コントローラ50は、充放電装置100の冷却ファン32とヒータ31とに制御信号を出力する。この制御信号に応じて、冷却ファン32とヒータ31とが、商用電源からの電力により作動する。
【0033】
図2に示すように、温度センサ11は、側壁24の開口部24aに装着される。より詳しくは、吸気用冷却ファン32の周囲に装着される。温度センサ11は、バッテリ200の近傍の空気温度、すなわち気温T1を測定する。
【0034】
バッテリ温度センサ12は、左右のバッテリ200の温度(バッテリ温度)T2を検出する温度センサであり、実際にはバッテリ200の個数の分だけ設けられる。バッテリ200は、バッテリ本体を含むバッテリパックとして構成されており、バッテリ温度センサ12は、各バッテリパックに内蔵される。収容空間4aのバッテリ200の近傍に温度センサを配置し、これをバッテリ温度センサ12として用いてもよい。
【0035】
入力部13は、ユーザの操作によって設定情報等を入力可能な入力機器であり、筐体2の表面に設けられたタッチパネルなどによって構成される。ユーザが有するユーザ端末を入力部13として用い、通信ユニット14を介して入力部13からの情報を入力するようにしてもよい。ユーザ端末には、例えばユーザにより携帯されて使用されるスマートフォンやタブレット端末、携帯電話、さらには各種ウェアラブル端末等の携帯端末が含まれる。入力部13によって入力される設定情報には、バッテリ200の使用予定日時の情報である予約情報が含まれる。充放電装置100が設置される位置、すなわち住所は、予め入力部13を介して入力される。この位置情報は、充放電装置100の固有の識別IDとともに、通信ユニット14を介してサーバ15に送信される。
【0036】
通信ユニット14は、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網を含むネットワークに接続され、ネットワークを介してサーバ15と通信可能である。ネットワークには、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。サーバ15は、気象情報を提供するサーバである。
【0037】
サーバ15には、予め充放電装置100の識別IDに対応付けて充放電装置100の位置情報が記憶される。サーバ15は、記憶された位置情報に基づき、通信ユニット14を介して送信された制御装置10からの要求に従い、充放電装置100が設置された地域の、将来時点(例えば24時間内、数日内、一週間以内)に予想される気温(最高気温、最低気温)の情報を含む気象情報を送信する。なお、気象情報には、気温の情報だけでなく、雨、晴れ、曇り等の天気や天候の情報も含まれる。気象情報の精度、すなわち予測値の精度は、現時点に近いほど高い。
【0038】
コントローラ50は、CPU,ROM,RAMおよびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ50は、機能的構成として、情報取得部51と、ファン制御部52と、ヒータ制御部53とを有する。
【0039】
情報取得部51は、温度センサ11により検出された温度情報と、バッテリ温度センサ12により検出された温度情報と、入力部13により入力された設定情報と、通信ユニット14を介して入力された気象情報とを取得する。温度情報と気象情報とは、所定時間Δt毎に取得され、取得されるたびにメモリに記憶される。所定時間Δtは、例えば1分ないし数分程度に設定される。なお、所定時間Δtは、1秒、1分、10分、1時間等、入力部13を介して適宜設定できる。温度情報と気象情報とを互いに異なるタイミングで取得してもよい。情報取得部51は、バッテリ200が収容空間4aに収容されると、バッテリ200の温度情報の取得を開始する。
【0040】
ファン制御部52は、情報取得部51により取得されたバッテリ温度T2が所定の閾値T2aより高いか否かを判定する。そして、T2>T2aであると判定されると、冷却ファン32に制御信号を出力し、冷却ファン32を作動する。これによりバッテリ200の周囲を外気が流れ、バッテリ200が冷却される。さらに、ファン制御部52は、バッテリ温度T2が閾値T2a以下であっても、次のような事前冷却条件が満たされると、冷却ファン32を作動する。
【0041】
ファン制御部52は、まず、情報取得部51により取得された気象情報のうち、当日の最高気温T11の情報、すなわち予想される最高気温T11が、予め定めた閾値T1aより高いか否かを判定する。なお、当日とは、現時点から24時間以内をいい、日付をまたぐ場合も当日に含まれる。閾値T1aは、バッテリ200の冷却のために冷却ファン33の作動が必要となるおそれのある温度であり、例えば30℃である。なお、閾値T1aは閾値T2aよりも高い。閾値T1aは閾値T2aより低くてもよく、閾値T2aと同一の値であってもよい。冷却ファン32の作動の要否の判定は、最高気温T11が得られる時刻を挟んで継続される。具体的には、当日の日の出時刻付近である所定時刻t10a(例えば5時)から日中の気温上昇のおそれが低くなる所定時刻t10b(例えば17時)まで継続される。
【0042】
さらにファン制御部52は、T11>T1aと判定されると、温度センサ11により検出された現在の気温から所定時間Δt前に検出された気温を減算して気温変化値ΔT1を算出するとともに、気温変化値ΔT1が、予め定めた閾値ΔT1aより大きいか否かを判定する。この判定は、冷却ファン32の作動による冷却効果を上回るような単位時間当たりの急激な気温の上昇があったか否かの判定であり、閾値ΔT1aは例えば1℃に設定される。ΔT1>ΔT1aであるとき、ファン制御部52は、事前冷却条件が成立したと判定し、冷却ファン32を作動する。
【0043】
ヒータ制御部53は、情報取得部51により取得されたバッテリ温度T2が所定の閾値T2bより低いか否かを判定する。そして、T2<T2bであると判定されると、ヒータ31に制御信号を出力し、ヒータ31を作動する。これによりバッテリ200が加熱される。さらに、ヒータ制御部53は、バッテリ温度T2が閾値T2b以上であっても、次のような事前加熱条件が満たされると、ヒータ31を作動する。
【0044】
ヒータ制御部53は、まず、情報取得部51により取得された気象情報のうち、当日の最低気温T12の情報、すなわち予想される最低気温T12が、予め定めた閾値T1bより低いか否かを判定する。閾値T1bは、バッテリ200の加熱のためにヒータ31の作動が必要となるおそれのある温度であり、例えば0℃である。なお、閾値T1bは閾値T2bよりも低い。閾値T1bは閾値T2bより高くてもよく、閾値T2bと同一の値であってもよい。ヒータ31の作動の要否の判定は、最低気温T12が得られる時刻を挟んで継続される。具体的には、前日の日没後の所定時刻t20a(例えば20時)から気温が上昇し始める所定時刻t20b(例えば8時)まで継続される。
【0045】
さらにヒータ制御部53は、T12<T1bと判定されると、温度センサ11により検出された現在の気温から所定時間Δt前に検出された気温を減算して気温変化値ΔT1を算出するとともに、気温変化値ΔT1が、予め定めた閾値ΔT1bより小さいか否かを判定する。この判定は、ヒータ31の作動による加熱効果を上回るような単位時間当たりの急激な気温の低下があったか否かの判定であり、閾値ΔT1bは例えば-1℃に設定される。ΔT1<ΔT1bであるとき、ヒータ制御部53は、事前加熱条件が成立したと判定し、ヒータ31を作動する。
【0046】
図5は、予め記憶されたプログラムに従い、コントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ファン制御部52における処理の一例であり、収容空間4aにバッテリ200が収容されているか否かに拘わらず、所定時刻t10aになる度に処理が開始される。なお、
図5の処理を事前冷却処理と呼ぶ。
【0047】
図5に示すように、まず、ステップS1で、通信ユニット14を介してサーバ15から所定の気象情報、すなわち予想される当日の最高気温T11の情報を取得する。次いで、ステップS2で、ステップS1で取得された最高気温T11が閾値T1a(例えば30℃)より高いか否かを判定する。ステップS2で否定されると処理を終了する。この場合、事前冷却条件が満たされないため、バッテリ温度センサ12により検出されたバッテリ温度T2に基づいて冷却ファン33が作動される。したがって、バッテリ温度T2が閾値T2aより高くなると、冷却ファン33が作動される。この場合の処理を、事前冷却処理と区別して通常冷却処理と呼ぶ。
【0048】
一方、ステップS2で肯定されるとステップS3に進み、時刻が所定時刻t10bに到達したか否かを判定する。ステップS3で肯定されると、処理を終了する一方、否定されると、ステップS4に進む。ステップS4では、所定時間Δt毎に、温度センサ11により検出された気温T1を読み込む。次いで、ステップS5で、ステップS4で読み込まれた気温T1から、所定時間Δt前に読み込まれた気温T1(メモリに記憶された気温T1)を減算して気温変化値ΔT1を算出するとともに、気温変化値ΔT1が閾値ΔT1a(例えば1℃)より大きいか否かを判定する。
【0049】
ステップS5で否定されるとステップS3に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、ステップS5で肯定されると、事前冷却条件が成立したと判定し、ステップS6に進む。ステップS6では、左右の冷却ファン33に制御信号を出力して冷却ファン32を作動し、処理を終了する。これにより筐体2内を外気が流れ、収容空間4aの温度上昇を抑制できる。なお、冷却ファン32の作動後に、事前冷却条件が不成立になると、
図5の処理(事前冷却処理)を終了するようにしてもよい。すなわち、気温変化値ΔT1が閾値ΔT1a以下になると、または時刻が所定時刻t10bに到達すると、
図5の処理を終了し、その後は、通常冷却処理を実行し、バッテリ温度T2に基づいて冷却ファン32を作動するようにしてもよい。
【0050】
図6は、予め記憶されたプログラムに従い、コントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ヒータ制御部53における処理の一例であり、収容空間4aにバッテリ200が収容されているか否かに拘わらず、所定時刻t20aになる度に処理が開始される。なお、
図6の処理を事前加熱処理と呼ぶ。
【0051】
図6に示すように、まず、ステップS11で、通信ユニット14を介してサーバ15から所定の気象情報、すなわち予想される当日の最低気温T12の情報を取得する。次いで、ステップS12で、ステップS11で取得された最低気温T12が閾値T1b(例えば0℃)より低いか否かを判定する。ステップS12で否定されると処理を終了する。この場合、事前加熱条件が満たされないため、バッテリ温度センサ12により検出されたバッテリ温度T2に基づいてヒータ31が作動される。したがって、バッテリ温度T2が閾値T2bより低くなると、ヒータ31が作動される。この場合の処理を、事前加熱処理と区別して通常加熱処理と呼ぶ。
【0052】
一方、ステップS12で肯定されるとステップS13に進み、時刻が所定時刻t20bに到達したか否かを判定する。ステップS13で肯定されると、処理を終了する一方、否定されると、ステップS14に進む。ステップS14では、所定時間Δt毎に、温度センサ11により検出された気温T1を読み込む。次いで、ステップS15で、ステップS14で読み込まれた気温T1から、所定時間Δt前に読み込まれた気温T1(メモリに記憶された気温T1)を減算して気温変化値ΔT1を算出するとともに、気温変化値ΔT1が閾値ΔT1b(例えば-1℃)より小さい(絶対値は大きい)か否かを判定する。
【0053】
ステップS15で否定されるとステップS13に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、ステップS15で肯定されると、事前加熱条件が成立したと判定し、ステップS16に進む。ステップS16では、左右のヒータ31に制御信号を出力してヒータ31を作動し、処理を終了する。これにより収容空間4aの周囲が加熱され、収容空間4aの温度低下を抑制できる。なお、ヒータ31の作動後に、事前加熱条件が不成立になると、
図6の処理(事前加熱処理)を終了するようにしてもよい。すなわち、気温変化値ΔT1が閾値ΔT1b以上になると、または時刻が所定時刻t20bに到達すると、
図6の処理を終了し、その後は、通常加熱処理を実行し、バッテリ温度T2に基づいてヒータ31を作動するようにしてもよい。
【0054】
本実施形態の動作をまとめると以下のようになる。バッテリ200が充放電装置100から取り外されて収容空間4aが空の状態において、サーバ15から取得した気象情報に基づき、当日の最高気温T11が閾値T1aを超えると予測されたと仮定する。この状況において、温度センサ11により検出された気温T1の単位時間(所定時間Δt)当たりの変化量(気温変化値ΔT1)が閾値ΔT1aを超えると、左右一対の冷却ファン32が作動する(ステップS6)。これにより、筐体2内を外気が循環し、収容空間4aの温度上昇が抑制される。その結果、バッテリ200が収容空間4aに戻されたときのバッテリ200の温度上昇を抑えることができ、バッテリ温度T2を目標温度範囲内に収めることができる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、バッテリ200の収容の有無やバッテリ温度T2に拘わらず、当日の最高気温T11と気温T1の変化(気温変化値ΔT1)とに基づいて冷却ファン32の作動の要否を判定し、判定結果に応じて冷却ファン32を作動する。このため、最高気温T11が高くなる日に、収容空間4a内のバッテリ200の温度上昇を抑えることができ、温度上昇に起因するバッテリ200の劣化を確実に防止することができる。
【0056】
換言すると、予想される最高気温T11が高く、かつ、単位時間当たりの温度上昇の程度が高い場合、バッテリ温度T2が閾値T2aより高くなってから冷却ファン32を作動したのでは、バッテリ200の冷却が間に合わず、バッテリ200の温度上昇を十分に抑えることができない場合がある。この点、本実施形態では、最高気温T11と気温変化値ΔT1とに基づき収容空間4aの温度上昇の程度を予測して冷却ファン32を作動するので、収容空間4aにバッテリ200が戻されたときのバッテリ200の温度上昇を良好に抑えることができる。なお、収容空間4aにバッテリ200が戻されたときだけでなく、予め収容空間4aにバッテリ200が収容されている場合にも、冷却ファン32の作動タイミングが早まることで、バッテリ200の温度上昇を良好に抑えることができる。
【0057】
また、別の例として、バッテリ200が充放電装置100から取り外されて収容空間4aが空の状態において、サーバ15から取得した気象情報に基づき、当日の最低気温T12が閾値T1bより低くなると予測されたと仮定する。この状況において、温度センサ11により検出された気温T1の単位時間(所定時間Δt)当たりの変化量(気温変化値ΔT1)が閾値ΔT1bを下回ると、左右一対のヒータ31が作動する(ステップS16)。これにより、収容空間4aの温度が上昇し、バッテリ200が収容空間4aに戻されたときのバッテリ200の温度低下を抑えることができ、バッテリ温度T2を目標温度範囲内に収めることができる。
【0058】
すなわち、本実施形態では、バッテリ200の収容の有無やバッテリ温度T2に拘わらず、当日の最低気温T12と気温の変化(気温変化値ΔT1)とに基づいてヒータ31の作動の要否を判定し、判定結果に基づいてヒータ31を作動する。このため、最低気温T12が低くなる日に、収容空間4a内のバッテリ200の温度低下を抑えることができ、温度低下に起因するバッテリ200の性能低下を防ぐことができる。
【0059】
換言すると、予想される最低気温T12が低く、かつ、温度低下の程度が高い場合、バッテリ温度T2が閾値T2bより低くなってからヒータ31を作動したのでは、バッテリ200の加熱が間に合わず、バッテリ200の温度低下を十分に抑えることができない場合がある。この点、本実施形態では、最低気温T12と気温変化値ΔT1とに基づき収容空間4aの温度低下の程度を予測してヒータ31を作動するので、収容空間4aにバッテリ200が戻されたときのバッテリ200の温度低下を良好に抑えることができる。なお、収容空間4aにバッテリ200が戻されたときだけでなく、予め収容空間4aにバッテリ200が収容されている場合にも、ヒータ31の作動タイミングが早まることで、バッテリ200の温度低下を良好に抑えることができる。
【0060】
以上では、バッテリ200が収容空間4aに収容されているか否かに拘わらず、冷却ファン32およびヒータ31の作動の要否を判定するようにした。しかし、収容空間4aにバッテリ20が収容される予定がないにも拘わらず、冷却ファン32やヒータ31を作動すると、無駄に電力を消費するおそれがある。この点を考慮して、コントローラ50が処理を実行するようにしてもよい。
【0061】
図7は、その場合の制御装置10の構成の一例を示すブロック図であり、
図8は、
図7のコントローラ50における処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、
図4と比較すると、コントローラ50には新たに保持センサ16からの信号が入力される。保持センサ16は、収容部4にバッテリ200が保持されたことを検出するセンサであり、例えば収容部4に設けられたオンオフ式の接触スイッチにより構成することができる。保持センサ16からの信号、すなわちバッテリ200が収容部4に保持されているか否かを示す保持情報は、情報取得部51により取得される。
【0062】
図8は、ファン制御部52における処理の一例であり、所定時刻t10aになると処理が開始される。
図8に示すように、まずステップS21で、情報取得部51により取得された保持情報に基づいて、左右のバッテリ200が収容空間4aに収容されているか否かを判定する。こステップS21で肯定されると
図5のステップS1に進み、以降、コントローラ50は、
図5と同様の処理を実行する。
【0063】
一方、ステップS21で否定されるとステップS22に進む。ステップS22では、予め入力部13により入力されたバッテリ200の使用予定情報に基づき、当日のバッテリ200の充電予定の有無を判定する。換言すると、バッテリ200が充放電装置100に戻される予定があるか否か、つまりバッテリ200の充電予定があるか否かを判定する。ステップS21で肯定されると、すなわち、バッテリ200の充電予定があると判定されると、
図5のステップS1に進み、以降、コントローラ50は、
図5と同様の処理を実行する。一方、ステップS21で否定されると、処理を終了する。
【0064】
なお、ヒータ制御部53においても
図7と同様の処理を実行することができる。この場合、時刻t20aになると処理が開始される。そして、ステップS21で肯定されると、あるいはステップS22で肯定されると、
図6のステップS11に進み、以降、コントローラ50は、
図6と同様の処理を実行する。
【0065】
このように
図8では、バッテリ200が収容部4に保持されているか否かを判定するとともに、バッテリ200の充電予定の有無を判定する。そして、バッテリ200が収容部4に保持されておらず、かつ、当日(現時点から24時間内)の充電予定がない場合に、当日の気温に拘わらず、冷却ファン32とヒータ31とを非作動とする。これにより収容空間4aが無駄に冷却または加熱されることがなく、電力消費量を抑えることができる。なお、バッテリ200が収容部4に保持されていないとき、充電予定の有無に拘わらず収容空間4aの温度調整を行わないようにしてもよい。バッテリ200が保持されている場合であっても、当日の充電予定がない場合に、温度調整を行わないようにしてもよい。
【0066】
本実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)制御装置10は、屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、バッテリ200と冷却ファン32とヒータ31とを有する充放電装置100を制御するように構成される(
図2)。この制御装置10は、充放電装置100が配置された位置における、当日の最高気温T11(予測値)および最低気温T12(予測値)を取得するとともに、所定時間Δt毎に気温T1を取得する情報取得部51と、情報取得部51により取得された最高気温T11(予測値)と閾値T1aおよび最低気温T12(予測値)と閾値T1bの比較、さらに情報取得部51により取得された所定時間Δtにおける気温変化値ΔT1と閾値ΔT1aおよびΔT1と閾値ΔT1bとの比較に基づいて、冷却ファン32とヒータ31を制御するファン制御部52およびヒータ制御部53と、を備える(
図4)。これにより最高気温T11が高くまたは最低気温T12が低い場合であっても、バッテリ温度T2が常に目標温度範囲内となるようにバッテリ温度T2を良好に調整することができる。
【0067】
(2)情報取得部51は、充放電装置100が設置された位置における当日の最高気温T11(予測値)の情報を取得する。ファン制御部52は、情報取得部51により取得された最高気温T11(予測値)が閾値T1aよりも高く、かつ、所定時間Δt毎の気温変化値ΔT1が閾値ΔT1aよりも大きいとき、冷却ファン32を稼働するように冷却ファン32に制御信号を出力する(
図5)。これにより、バッテリ200の温度が上昇しやすい環境下において、バッテリ温度T2が目標温度範囲を超えて上昇することを防止することができ、バッテリ200の劣化を防ぐことができる。
【0068】
(3)情報取得部51は、充放電装置100が設置された位置における当日の最低気温T12(予測値)の情報を取得する。ヒータ制御部53は、情報取得部51により取得された最低気温T12(予測値)が閾値T1bよりも低く、かつ、所定時間Δt毎の気温変化値ΔT1が閾値ΔT1bよりも小さい(絶対値は大きい)とき、ヒータ31を稼働するようにヒータ31に制御信号を出力する(
図6)。これにより、バッテリ200の温度が低下しやすい環境下において、バッテリ温度T2が目標温度範囲を下回って低下することを防止することができ、バッテリ200の良好な充放電特性を得ることができる。
【0069】
(4)情報取得部51は、入力部13を介して入力されたバッテリ200の予約情報を取得する(
図4)。ファン制御部52およびヒータ制御部53は、取得された予約情報に基づいて、バッテリ200の充電予定があるか否かを判定し、判定結果(充放電情報)に基づいて冷却ファン32とヒータ31とを制御することができる(
図7)。これにより、充電予定や放電予定がない場合に、収容空間4aが無駄に温度調整されることを防止することができ、電力消費量を抑えることができる。
【0070】
(5)充放電装置100は、バッテリ200を着脱可能に保持する収容部4をさらに有する(
図1A)。情報取得部51は、保持センサ16からの信号、すなわち収容部4にバッテリ200が保持されているか否かの情報である保持情報をさらに取得することができる(
図7)。この場合、ファン制御部52およびヒータ制御部53は、情報取得部51により取得された保持情報に基づいて冷却ファン32およびヒータ31を制御する(
図8)。これにより、バッテリ200が収容空間4aに存在しない場合に、収容空間4aが無駄に温度調整されることを防止することができ、電力消費量を抑えることができる。
【0071】
(6)ファン制御部52は、所定時刻t10a(例えば5時)になると、冷却ファン32を事前に作動するような事前冷却処理を開始し、所定時刻t10b(例えば17時)になると、処理を終了する(
図5)。また、ヒータ制御部53は、所定時刻t20a(例えば20時)になると、ヒータ31を事前に作動するような事前加熱処理を開始し、所定時刻t20b(例えば8時)になると、処理を終了する(
図6)。このように事前冷却処理が必要となる時間帯と事前加熱処理が必要となる時間帯とをそれぞれ設定することで、冷却ファン32とヒータ31とが無駄に作動することを防止できる。
【0072】
(7)情報取得部51は、上記時間帯t10a~t10bおよびt20a~t20bにおいて所定時間Δt毎に気温情報を取得する。ファン制御部52およびヒータ制御部53は、取得された気温情報に基づき、所定時間Δt毎の気温変化値Δt1を算出する。このような気温変化値Δt1を用いることで、冷却ファン32とヒータ31の作動の要否を精度よく判定することができる。
【0073】
(8)制御装置10は、気象情報を提供するサーバ15と通信可能に設けられた通信ユニット14と、気温T1を検出する温度センサ11と、をさらに備える(
図4)。情報取得部51は、通信ユニット14を介して、充放電装置100が設置された位置における当日の最高気温T11(予測値)および最低気温T12(予測値)を取得するとともに、温度センサ11を介して所定時間Δt毎に気温T1を取得する。これにより、事前冷却処理と事前加熱処理とに必要な温度情報を容易に取得することができる。
【0074】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、装置本体1に、上室5aに空気を循環する冷却ファン32と下室5bに空気を循環する冷却ファン33とを設けたが、冷却ファン32,33(送風部)のいずれか一方を省略してもよい。電力装置の内外の空気の流動を促進するように設けられるのであれば、送風部を上述した以外の位置に配置してもよい。上記実施形態では、左右一対の収容部4に対応して左右一対のヒータ31を設けたが、ヒータ31(発熱部)の個数は上述したものに限らない。電力装置の内部を加温するのであれば、発熱部を上述した以外の位置に配置してもよい。
【0075】
上記実施形態では、冷却ファン32とヒータ31とによりバッテリ温度T2を調整するようにしたが、温度調節部の構成は上述したものに限らない。送風部と発熱部の双方を温度調整部として用いるのではなく、いずれか一方を温度調節部として用いてもよい。したがって、情報取得部51(取得部)は、充放電装置が設置された位置における当日の最高気温の予測値T11(第1予測値)と最低気温の予測値T12(第2予測値)のいずれか一方を取得するとともに、第1時刻の気温T1(第1気温)と第1時刻の所定時間Δt後における第2時刻の気温T1(第2気温)とを取得するようにしてもよい。第1時刻と第2時刻とを所定時間Δt毎に連続して定めたが、予め定めた所定時刻を第1時刻とし、第1時刻の後の予め定めた所定時刻を第2時刻としてもよい。上記実施形態では、充放電装置100の収容部4にバッテリ200を収容するようにしたが、収容部にキャパシタを収容するようにしてもよく、蓄電部の構成は上述したものに限らない。
【0076】
上記実施形態では、通信ユニット14(通信部)を介してサーバ15(外部装置)から最高気温の予測値と最低気温の予測値の情報を取得するようにしたが、他の手法によりこれらを取得するようにしてもよい。例えば外気温度の変動モデルを用いて最高気温や最低気温の予測値を算出するようにしてもよい。過去の同年同日の前後の最高気温や最低気温の情報に基づいて、当日の最高気温や最低気温を予測するようにしてもよい。上記実施形態では、筐体2の側壁24の開口部24aに設けられた温度センサ11により、所定時間Δt毎の気温T1(第1気温、第2気温)を検出するようにしたが、気温検出部の構成は上述したものに限らない。充放電装置100が空調装置のない倉庫やガレージなどの屋内に配置される場合、充放電装置100の近傍の屋内温度を、第1気温および第2気温として気温検出部により検出してもよい。複数のバッテリ200に対応して複数の送風部(冷却ファン)と複数の発熱部(ヒータ)とを設ける場合、各バッテリ200の温度に応じて、複数の送風部と発熱部のうちの一部を作動し、残りを非作動とするようにしてもよい。
【0077】
上記実施形態では、所定時刻t10a、t20a(第1所定時刻)から所定時刻t10b,t20b(第2所定時刻)に至るまで、情報取得部51が所定時間Δt毎に気温情報を取得するようにしたが、このような時刻の条件を省略して気温情報を随時取得してもよい。上記実施形態では、情報取得部51により、将来にバッテリ200の充電または放電が生じるか否かの情報である充放電情報を取得するとともに、バッテリ200が収容部4に保持されているか否かの情報である保持情報を取得するようにしたが、他の取得部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、バッテリ200を収容部4に着脱可能に保持するようにしたが、保持部の構成は上述したものに限らない。
【0078】
上記実施形態では、ファン制御部52が、最高気温T11と閾値T1a(第1閾値)との大小を比較するとともに、所定時間Δt毎の気温変化値ΔT1(差分)と閾値ΔT1a(第2閾値)との大小を比較して、冷却ファン32の作動の要否を判定するようにした。また、ヒータ制御部53が、最低気温T12と閾値T1b(第1閾値)との大小を比較するとともに、所定時間Δt毎の気温変化値ΔT1(差分)と閾値ΔT1b(第2閾値)との大小を比較して、ヒータ31の作動の要否を判定するようにした。この点、情報取得部51により取得された最高気温または最低気温と第1閾値との比較と、情報取得部51により取得された所定時間における気温の差分と第2閾値との比較と、に基づいて、温度調節部を制御するのであれば、制御部の構成はいかなるものでもよい。
【0079】
上記実施形態は、バッテリ200の充電が可能な充電装置と、バッテリ200の放電が可能な放電装置としての機能を有する充放電装置100を電力装置として用いたが、屋外に配置され、蓄電部と温度調節部とを有するのであれば、他の電力装置にも本発明を同様に適用することができる。電力入力部から入力される電力を蓄電部で蓄電する充電装置の機能のみを有する充放電装置、および蓄電部から出力される電力を電力出力部から出力する放電装置の機能のみを有する充放電装置に対しても同様に適用することができる。
【0080】
上記実施形態では、充放電装置100を住宅の敷地内に設けるようにしたが、本発明が適用される電力装置は、住宅の敷地内に限らず、種々の場所に設けることができる。例えば道路に面したバッテリ交換用のステーションに設けることもできる。上記実施形態では、充放電装置100を定置式としたが、電力装置は移動可能に設けられてもよい。
【0081】
上記実施形態の制御装置は、別の観点として、屋外または屋外と気温変化が相関する屋内に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する制御方法として構成することもできる。すなわち、電力装置が配置された位置における、当日の最高気温の予測値である第1予測値を取得する、または当日の最低気温の予測値である第2予測値を取得するステップと、第1の時刻の気温である第1気温を取得するステップと、第1の時刻よりも後の第2の時刻の気温である第2気温を取得するステップと、第1予測値または第2予測値と第1閾値とを比較するステップと、第1気温および第2気温の差分と第2閾値とを比較するステップと、第1予測値または第2予測値と第1閾値との比較結果、および差分と第2閾値との比較結果に基づいて、温度調節部を制御する制御ステップと、を含む制御方法として構成することもできる。
【0082】
さらに上記の制御方法を、屋外に配置され、蓄電部と温度調節部とを有する電力装置を制御する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに置き換えて、本発明を構成することもできる。さらにまた、このプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に置き換えて、本発明を構成することもできる。
【0083】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0084】
11 温度センサ、13 入力部、14 通信ユニット、15 サーバ、31 ヒータ、32 冷却ファン、50 コントローラ、51 情報取得部、52 ファン制御部、53 ヒータ制御部、100 充放電装置、200 バッテリ、T11 最高気温、T12 最低気温、ΔT1 気温変化値、T1a,T1b,ΔT1a,ΔT1b 閾値