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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128241
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6582 20110101AFI20240913BHJP
【FI】
H01R13/6582
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037112
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和也
(72)【発明者】
【氏名】堤 浩晃
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA16
(57)【要約】
【課題】ダイキャスト製外導体とグランド部材との導通を確実に図ることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、内導体11と、内導体11の外周を包囲するダイキャスト製外導体13と、ダイキャスト製外導体13を装着するハウジング14と、外部のグランド部材70とダイキャスト製外導体13とに電気的に接触する接触部材15と、を備え、接触部材15は、グランド部材70に接触する弾性変形可能な第1弾性接触部15Bと、ダイキャスト製外導体13に接触する弾性変形可能な第2弾性接触部15Cと、第1弾性接触部15Bと第2弾性接触部15Cとを連結し、ハウジング14の外面に取り付けられる連結部15Aと、を有し、ハウジング14は、ハウジング14の外面に開口する溝14Eを有し、連結部15Aは、溝14E内に圧入状態で配置される突片15Dを有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体と、
前記内導体の外周を包囲するダイキャスト製外導体と、
前記ダイキャスト製外導体を装着するハウジングと、
外部のグランド部材と前記ダイキャスト製外導体とに電気的に接触する接触部材と、
を備え、
前記接触部材は、
前記グランド部材に接触する弾性変形可能な第1弾性接触部と、
前記ダイキャスト製外導体に接触する弾性変形可能な第2弾性接触部と、
前記第1弾性接触部と、前記第2弾性接触部と、を連結し、前記ハウジングの外面に取り付けられる連結部と、
を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に開口する溝を有し、
前記連結部は、前記溝内に圧入状態で配置される突片を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記連結部は、前記ハウジングの外面と平行な幅方向に沿った板状の連結本体を有し、
前記突片は、前記連結本体の前記幅方向の両端部から各々突出しており、
前記ハウジングは、各前記突片に対応するように、前記幅方向に間隔を置いて前記溝を有している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングに対して相手ハウジングが嵌合する側を前側とした場合に、前記ダイキャスト製外導体は、前記ハウジングの後方に前記ハウジングと並んで配置される外導体本体と、前記外導体本体から外側に張り出す板状の鍔部と、を有し、
前記接触部材は、前後方向に前記鍔部及び前記ハウジングに跨るように配置され、
前記第2弾性接触部は、前記鍔部の後面に接触する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記接触部材に対して後方から接触可能に対向する規制部を有している、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記規制部は、前記ハウジングの外面に突設され、
前記接触部材は、前記規制部を嵌合可能な凹部を有している、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記溝は、前記ハウジングの後面に開口し、前記鍔部は、前記ハウジングの後面における前記溝の開口を閉塞するように配置される、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂製のハウジングを金属製のシェルで覆った構成のコネクタが開示されている。シェルは、板金で構成されている。シェルには、外部の筐体に弾性接触可能なシェル側グランド接続部が設けられている。外部の筐体(グランド部材)に弾性接触可能な構成は、特許文献2に開示された構成等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-207411号公報
【特許文献2】特開平10-289760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタにおいて、より高周波域で通信を行うような場合、外導体(シェル)は、内導体の周囲を隙間なく包囲するような形態が好ましい。このような外導体を実現するには、外導体をダイキャスト製とすることが考えられる。外導体をダイキャスト製とした場合、外導体自身に外部の筐体に対して弾性接触する構成を設けることは困難である。このため、外部の筐体と外導体との導通を確実に図る技術が求められる。
【0005】
そこで、本開示は、ダイキャスト製外導体とグランド部材との導通を確実に図ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
内導体と、
前記内導体の外周を包囲するダイキャスト製外導体と、
前記ダイキャスト製外導体を装着するハウジングと、
外部のグランド部材と前記ダイキャスト製外導体とに電気的に接触する接触部材と、
を備え、
前記接触部材は、
前記グランド部材に接触する弾性変形可能な第1弾性接触部と、
前記ダイキャスト製外導体に接触する弾性変形可能な第2弾性接触部と、
前記第1弾性接触部と、前記第2弾性接触部と、を連結し、前記ハウジングの外面に取り付けられる連結部と、
を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に開口する溝を有し、
前記連結部は、前記溝内に圧入状態で配置される突片を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ダイキャスト製外導体とグランド部材との導通を確実に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、グランド部材に覆われた状態のコネクタの側断面図である。
図3図3は、ダイキャスト製外導体を示す斜視図である。
図4図4は、ハウジングを示す斜視図である。
図5図5は、接続部材を示す斜視図である。
図6図6は、コネクタを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)内導体と、
前記内導体の外周を包囲するダイキャスト製外導体と、
前記ダイキャスト製外導体を装着するハウジングと、
外部のグランド部材と前記ダイキャスト製外導体とに電気的に接触する接触部材と、
を備え、
前記接触部材は、
前記グランド部材に接触する弾性変形可能な第1弾性接触部と、
前記ダイキャスト製外導体に接触する弾性変形可能な第2弾性接触部と、
前記第1弾性接触部と、前記第2弾性接触部と、を連結し、前記ハウジングの外面に取り付けられる連結部と、
を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に開口する溝を有し、
前記連結部は、前記溝内に圧入状態で配置される突片を有している。
【0010】
この構成によれば、溝に突片を圧入状態で配置することによって連結部をハウジングの外面に確実に取り付けたうえで、連結部に連結する第1弾性接触部と第2弾性接触部とがグランド部材とダイキャスト製外導体とに弾性接触することができる。これにより、ダイキャスト製外導体とグランド部材との電気的な接触を安定させ易い。
【0011】
(2)前記連結部は、前記ハウジングの外面と平行な幅方向に沿った板状の連結本体を有し、
前記突片は、前記連結本体の前記幅方向の両端部から各々突出しており、
前記ハウジングは、各前記突片に対応するように、前記幅方向に間隔を置いて前記溝を有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、突片によってハウジングに対する連結部の浮きを防止してハウジングに連結部を安定して保持できる。
【0013】
(3)前記ハウジングに対して相手ハウジングが嵌合する側を前側とした場合に、前記ダイキャスト製外導体は、前記ハウジングの後方に前記ハウジングと並んで配置される外導体本体と、前記外導体本体から外側に張り出す板状の鍔部と、を有し、
前記接触部材は、前後方向に前記鍔部及び前記ハウジングに跨るように配置され、
前記第2弾性接触部は、前記鍔部の後面に接触することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第2弾性接触部は、鍔部に対してダイキャスト製外導体とハウジングとが近づく方向に弾性接触するので、ダイキャスト製外導体とハウジングとの分離を規制することができる。
【0015】
(4)前記ハウジングは、前記接触部材に対して後方から接触可能に対向する規制部を有していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、規制部によって接触部材がダイキャスト製外導体側への変位が規制されるので、第2弾性接触部の鍔部に対する接圧を維持し易い。
【0017】
(5)前記規制部は、前記ハウジングの外面に突設され、
前記接触部材は、前記規制部を嵌合可能な凹部を有していることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、接触部材がハウジングに対して後退する方向に動くのを規制できるのに加え、前後方向と交差する左右方向に動くのを規制できる。
【0019】
(6)前記溝は、前記ハウジングの後面に開口し、前記鍔部は、前記ハウジングの後面における前記溝の開口を閉塞するように配置されることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ハウジングにおける溝を形成する金型構造を簡素化し易い。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示のコネクタを具体化した実施形態1を、図1から図6を参照して説明する。図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。本実施形態1では、左右方向は、幅方向に相当する。前側は、ハウジング14に対して相手ハウジング30が嵌合する側である。コネクタ10は、回路基板S(図2参照)に実装される基板用コネクタである。コネクタ10は、図1に示すように、内導体11と、誘電体12と、ダイキャスト製外導体13と、ハウジング14と、接触部材15と、を備える。
【0022】
<内導体の構成>
内導体11は、導電性の金属板材からなり、全体として細長く延びるように形成されている。内導体11は、相手接続部11Aと、基板接続部11Bと、相手接続部11Aと基板接続部11Bとの間に配置されるつなぎ部11Cと、を有している。相手接続部11Aは、前後方向に延びている。図2に示すように、相手接続部11Aは、後部が誘電体12に保持され、前部が誘電体12の前方に突出している。つなぎ部11Cと基板接続部11Bとは、誘電体12の後方に露出して配置される。つなぎ部11Cは、相手接続部11Aの後端から後方下向きに傾斜しつつ延びている。基板接続部11Bは、つなぎ部11Cの下端から後向きに延び、回路基板Sの導電部分に半田付けして接続される。
【0023】
<誘電体の構成>
図1に示すように、誘電体12は、絶縁性の合成樹脂材によって全体としてブロック状に形成されている。誘電体12は、側面から視るとL字形をなしている。誘電体12は、前後方向に延びる端子装着部12Aと、端子装着部12Aの後端に連なって上下方向に延びる端子引出部12Bと、を有している。端子装着部12Aは、左右一対の装着孔12Cを有している(図2参照)。各装着孔12Cは、端子装着部12A内を前後方向に貫通している。装着孔12Cには、後方から相手接続部11Aが挿入される。相手接続部11Aの後部は、装着孔12Cに圧入された状態で保持される。
【0024】
<ダイキャスト製外導体の構成>
ダイキャスト製外導体13は、例えば、亜鉛ダイキャスト等の鋳造体である。ダイキャスト製外導体13内には、内導体11を装着した誘電体12が配置される(図2参照)。ダイキャスト製外導体13は、外部から内導体11にノイズが進入することを抑制し、且つ内導体11から外部へのノイズの漏洩を抑制するシールド部材としての機能を有する。ダイキャスト製外導体13の後述するフード部13Bは、内導体11の相手接続部11Aの外周を継ぎ目なく、且つ隙間なく包囲するので、良好なシールド性を確保することができる。
【0025】
ダイキャスト製外導体13は、外導体本体13Aと、外導体本体13Aから前方に延びるフード部13Bと、外導体本体13Aから外側に向けて鍔状に張り出す板状の鍔部13Cを有している。外導体本体13Aは、後方から視ると門型形状をなしている。外導体本体13Aの前端は、鍔部13Cの後面に連なっている。
【0026】
外導体本体13Aは、シールド性の他、内導体11の基板接続部11Bに外部からの異物の干渉を防止する機能をも有する。また、外導体本体13Aの後端部を塞ぐ閉塞部材(図示せず)を外導体本体13Aに取り付けることによって基板接続部11Bへの異物の干渉を防止する機能を高める場合もある。外導体本体13Aは、左右側壁の下端から下向きに延びる複数の取付突部13Dを有している。各取付突部13Dは、円柱状をなし、回路基板Sに形成された取付孔Hに挿入される(図2参照)。
【0027】
フード部13Bは、四隅が丸みを帯びた角筒状をなしている。図2に示すように、フード部13Bは、内側の後部に誘電体12の端子装着部12Aが嵌合可能とされている。内導体11の相手接続部11Aの前部は、フード部13B内の前部に突出して配置される。
【0028】
図3に示すように、鍔部13Cは、平板状をなし、フード部13Bの基端側から径方向外側に張り出している。ダイキャスト製外導体13は、鍔部13Cの前面から前方に突出する複数の係止突部13Eを有している。各係止突部13Eは、フード部13Bの外周面にも前後方向に沿って連結されている。各係止突部13Eは、ハウジング14の後述する各係止凹部14Dに挿入されて係止される。係止突部13Eは、矩形ブロック状の凸本体部13Fと、凸本体部13Fの前端部から前後方向と交差する方向に張り出す圧入突起13Gと、を有している。
【0029】
<ハウジングの構成>
ハウジング14は、絶縁性の合成樹脂材によって形成されている。図4に示すように、ハウジング14は、背面視矩形の平板状をなす基壁14Aと、基壁14Aから前方に突出する角筒状の嵌合筒部14Bと、を有している。嵌合筒部14B内には、相手ハウジング30が嵌合される(図2参照)。
【0030】
基壁14Aには、貫通孔14Cが貫通して形成されている。貫通孔14Cには、ダイキャスト製外導体13のフード部13Bが挿入される(図2参照)。基壁14Aには、複数の係止凹部14Dが形成されている。各係止凹部14Dは、断面矩形状をなし、基壁14Aの後面から前向きに凹んで形成され、前端が基壁14Aの内側において閉塞されている。各係止凹部14Dにおける径方向内側を向く内端は、貫通孔14Cに連通するように開口している。
【0031】
基壁14Aの上端部には、一対の溝14Eが形成されている。具体的には、各溝14Eは、基壁14Aの左右方向両端部に一つずつ形成されている。一対の溝14Eは、左右方向に間隔を置いて配置されている。これら溝14Eは、後述する突片15Dに対応している。各溝14Eは、基壁14Aの後面から前向きに凹んで形成され、前端が基壁14Aの内側において閉塞されている。各溝14Eの上端は、上向きに開口している。言い換えると、各溝14Eは、ハウジング14の外面(上面)に開口している。また、各溝14Eは、ハウジング14の後面に開口している。基壁14Aの上端には、上向きに角柱状をなして突出する一対の規制部14Fが設けられている。言い換えると、これら規制部14Fは、ハウジング14の外面(上面)に突設されている。これら規制部14Fは、左右方向に離間している。これら規制部14Fは、一対の溝14Eに対して左右方向内側に配置されている。
【0032】
<接触部材の構成>
接触部材15は、金属板を曲げ加工等して一体に成形されている。図5に示すように、接触部材15は、ハウジング14の外面(上面)に取り付けられる連結部15Aと、連結部15Aの前端に連結する第1弾性接触部15Bと、連結部15Aの後端に連結する第2弾性接触部15Cと、を有している。連結部15Aは、連結本体15Jと、一対の突片15Dと、を有している。連結本体15Jは、ハウジング14の上面(外面)と平行な幅方向に沿った平板状をなしている(図2参照)。
【0033】
一対の突片15Dは、連結本体15Jの幅方向(左右方向)の両端部の後端部から各々が下向きに突出している。これら突片15Dは、板厚方向を左右方向に向けている。各突片15Dは、側方から視ると矩形状をなしている(図2参照)。各突片15Dの後端縁部は、後向きに突出している。各突片15Dの下端縁は、第2弾性接触部15Cの下端よりも下方に位置している(図2参照)。
【0034】
各突片15Dには、係止部15Gが1つずつ設けられている。係止部15Gは、突片15Dの左右方向外側の面から左右方向外向きに突出している。係止部15Gは、下端から上端に向けて左右方向外向きの突出量が大きくなり、上端が左右方向内向きに切り立って形成されている。
【0035】
各突片15Dをハウジング14の溝14Eに上方から挿入すると、係止部15Gは、溝14Eの左右方向内向きの壁面に食い込む(図6参照)。これにより、突片15Dは、溝14E内に圧入状態で配置され、溝14Eから脱落することが抑制される。
【0036】
第1弾性接触部15Bは、連結部15Aの前端部に、左右方向に複数、本実施形態1の場合は3つ並んで配置されている。第1弾性接触部15Bは、互いに同一形状で形成されている。第1弾性接触部15Bは、連結本体15Jの前端から前方に延び、湾曲して後向き上方に折り返されている。第1弾性接触部15Bは、連結本体15Jの前端に形成された湾曲状の折り返し部分を支点として上下方向に弾性変形可能とされている。
【0037】
第1弾性接触部15Bは、延出方向の先端部が下向きに屈曲され、上向きに湾曲した頂部15Eが形成されている。コネクタ10が取り付けられた回路基板Sに対しコネクタ10を覆うように導電性の筐体であるグランド部材70を取り付ける(図2参照)。すると、第1弾性接触部15Bの各頂部15Eは、グランド部材70の内面によって下向きに押圧されて弾性変形し、グランド部材70の内面に弾性接触した状態が維持される(図2参照)。これにより、接触部材15は、グランド部材70に電気的に接続される。
【0038】
第2弾性接触部15Cは、板面を前後方向に向け、連結本体15Jの後端部から垂下している。連結部15Aの連結本体15Jは、第1弾性接触部15Bと、第2弾性接触部15Cと、を連結している。第2弾性接触部15Cは、側面から視るとS字状をなしている(図2参照)。第2弾性接触部15Cの上部は、下向き前方に傾斜している。第2弾性接触部15Cの下部は、下向き後方に傾斜している。第2弾性接触部15Cの上部と下部との連結部分は、前向きに突出するように湾曲した接点部15Fとして形成されている。第2弾性接触部15Cは、連結本体15Jとの連結部分を支点にして、前後方向に弾性変形可能である。
【0039】
第2弾性接触部15Cと一対の突片15Dとの間には、前向きに凹み形成された凹部15Hが一つずつ形成されている。接触部材15をハウジング14に取り付けると、これら凹部15Hには、ハウジング14の各規制部14Fが隙間を有した状態(すなわち、遊嵌状態)で嵌合される(図6参照)。言い換えると、このとき、各規制部14Fは、接触部材15の凹部15Hに対して後方から接触可能に対向する(図6参照)。これによって、接触部材15がハウジング14に対し後向きにずれて取り付けられることを規制する。
【0040】
<コネクタの組み立て手順>
先ず、ダイキャスト製外導体13のフード部13Bをハウジング14の貫通孔14Cに後方から挿入する。挿入過程の終盤で、係止突部13Eが係止凹部14Dに後方から挿入される。ダイキャスト製外導体13の鍔部13Cの前面が基壁14Aの後面に対面して突き当たると、ダイキャスト製外導体13の組み付け動作が停止される(図6参照)。こうして、鍔部13Cは、ハウジング14の後面における一対の溝14Eの開口を閉塞するように配置される。外導体本体13Aは、ハウジング14の後方にハウジング14と並んで配置される(図6参照)。
【0041】
係止突部13Eが係止凹部14Dに正規に挿入されると、圧入突起13Gが係止凹部14Dの周方向で対向する対向面に圧入状態で接触する。これにより、係止突部13Eが係止凹部14Dに係止され、ダイキャスト製外導体13がハウジング14に対して抜け止めされた状態に保持される。
【0042】
次に、内導体11が圧入された誘電体12をダイキャスト製外導体13に取り付ける。具体的には、端子装着部12Aを前向きにして、内導体11の基板接続部11Bが下端に配置された姿勢にして、端子装着部12Aをダイキャスト製外導体13のフード部13Bに圧入する(図2参照)。
【0043】
次に、接触部材15をハウジング14に取り付ける。具体的には、第1弾性接触部15Bを前側に配置し、第2弾性接触部15Cを後側に配置し、さらに、一対の突片15Dが下向きに突出する姿勢にする。そして、一対の突片15Dをハウジング14の一対の溝14Eに上方から圧入する。各突片15Dの下端部が溝14Eに圧入されたところで、第2弾性接触部15Cの接点部15Fが鍔部13Cの後面に接触する。こうして接触部材15は、前後方向に鍔部13C及びハウジング14に跨るように配置される(図2参照)。そして、連結部15Aがハウジング14の上面に接触したところで、ハウジング14への接触部材15の取り付けが完了する(図2参照)。
【0044】
このとき、図6に示すように、一対の凹部15Hには、一対の規制部14Fが後方から対向して嵌り込む。第2弾性接触部15Cは、鍔部13Cを跨いで、ハウジング14と反対側に配置される。そして、第2弾性接触部15Cは、鍔部13Cに対し、接点部15Fを介して前向き(ハウジング14側)に弾性力を付与する(図2参照)。こうして、コネクタ10は、組み立てが完了する。
【0045】
コネクタ10の使われ方としては、コネクタ10を回路基板Sに取り付ける。そして、コネクタ10が取り付けられた回路基板Sをグランド部材70に取り付ける。すると、第1弾性接触部15Bの頂部15Eは、グランド部材70の内面によって下向きに押圧され、第1弾性接触部15Bが下向きに弾性変形した状態が維持される(図2参照)。こうして、ダイキャスト製外導体13とグランド部材70とは、接触部材15によって導通が図られる。
【0046】
次に、本構成の効果を例示する。
コネクタ10は、内導体11と、内導体11の外周を包囲するダイキャスト製外導体13と、ダイキャスト製外導体13を装着するハウジング14と、外部のグランド部材70とダイキャスト製外導体13とに電気的に接触する接触部材15と、を備える。接触部材15は、グランド部材70に接触する弾性変形可能な第1弾性接触部15Bと、ダイキャスト製外導体13に接触する弾性変形可能な第2弾性接触部15Cと、第1弾性接触部15Bと第2弾性接触部15Cとを連結し、ハウジング14の外面に取り付けられる連結部15Aと、を有する。ハウジング14は、ハウジング14の外面に開口する溝14Eを有し、連結部15Aは、溝14E内に圧入状態で配置される突片15Dを有している。この構成によれば、溝14Eに突片15Dを圧入状態で配置することによって連結部15Aをハウジング14の外面に確実に取り付けたうえで、連結部15Aに連結する第1弾性接触部15Bと第2弾性接触部15Cとがグランド部材70とダイキャスト製外導体13とに弾性接触することができる。これにより、ダイキャスト製外導体13とグランド部材70との電気的な接触を安定させ易い。
【0047】
連結部15Aは、ハウジング14の外面と平行な幅方向(左右方向)に沿った板状の連結本体15Jを有し、突片15Dは、連結本体15Jの幅方向(左右方向)の両端部から各々突出している。ハウジング14は、各突片15Dに対応するように、幅方向(左右方向)に間隔を置いて溝14Eを有している。この構成によれば、突片15Dによってハウジング14に対する連結部15Aの浮きを防止してハウジング14に連結部15Aを安定して保持できる。
【0048】
ハウジング14に対して相手ハウジング30が嵌合する側を前側とした場合に、ダイキャスト製外導体13は、ハウジング14の後方にハウジング14と並んで配置される外導体本体13Aと、外導体本体13Aから外側に張り出す板状の鍔部13Cと、を有している。接触部材15は、前後方向に鍔部13C及びハウジング14に跨るように配置されている。第2弾性接触部15Cは、鍔部13Cの後面に接触する。この構成によれば、第2弾性接触部15Cは、鍔部13Cに対してダイキャスト製外導体13とハウジング14とが近づく方向に弾性接触するので、ダイキャスト製外導体13とハウジング14との分離を規制することができる。
【0049】
さらに、ハウジング14は、接触部材15に対して後方から接触可能に対向する規制部14Fを有している。この構成によれば、接触部材15のダイキャスト製外導体13側への変位が規制されるので、第2弾性接触部15Cの鍔部13Cに対する接圧を維持し易い。
【0050】
規制部14Fは、ハウジング14の外面に突設され、接触部材15は、規制部14Fを嵌合可能な凹部15Hを有している。この構成によれば、接触部材15がハウジング14に対して後退する方向に動くことを規制できるのに加え、前後方向と交差する左右方向に動くことを規制できる。
【0051】
溝14Eは、ハウジング14の後面に開口し、鍔部13Cは、ハウジング14の後面における溝14Eの開口を閉塞するように配置される。この構成によれば、ハウジング14における溝14Eを形成する金型構造を簡素化し易い。
【0052】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0053】
実施形態1とは異なり、連結部に、規制部が挿通される孔を形成しても良い。
【0054】
実施形態1とは異なり、突片の左右方向内側の面から左右方向内向きに突出して係止部を設けてもよい。
【0055】
実施形態1とは異なり、ダイキャスト製外導体の材質として、アルミ合金等からなるアルミダイキャスト製であっても良い。
【0056】
実施形態1とは異なり、鍔部は上方に突出するのみでもよい。
【0057】
実施形態1とは異なり、内導体の基板接続部を回路基板に貫通して形成された貫通孔(スルーホール)に挿通する構成としてもよい。また、ダイキャスト製外導体に複数のフード部を設け、内導体を圧入した誘電体を各フード部に圧入して取り付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…コネクタ
11…内導体
11A…相手接続部
11B…基板接続部
11C…つなぎ部
12…誘電体
12A…端子装着部
12B…端子引出部
12C…装着孔
13…ダイキャスト製外導体
13A…外導体本体
13B…フード部
13C…鍔部
13D…取付突部
13E…係止突部
13F…凸本体部
13G…圧入突起
14…ハウジング
14A…基壁
14B…嵌合筒部
14C…貫通孔
14D…係止凹部
14E…溝
14F…規制部
15…接触部材
15A…連結部
15B…第1弾性接触部
15C…第2弾性接触部
15D…突片
15E…頂部
15F…接点部
15G…係止部
15H…凹部
15J…連結本体
30…相手ハウジング
70…グランド部材(筐体)
H…取付孔
S…回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6