(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012825
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】書籍用の栞
(51)【国際特許分類】
B42D 9/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B42D9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114567
(22)【出願日】2022-07-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】512139386
【氏名又は名称】株式会社幸道
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】幸泉 道代
(57)【要約】
【課題】販売や陳列時に、商品としての栞がバラバラになって互いに絡み合わないこと、一般の需要者が手に取って見ても、栞が汚れ或いは傷が付かないこと、ベース板に栞本体を簡単に係合状態に保持できる等の利点を生かした書籍用の栞を提供すること。
【解決手段】透明な扁平状の包装体と、包装体に内装された状態で一端部側の左右部位に一対の係合部を有する長尺なベース板と、包装体に内装された栞本体とから成る書籍用の栞であって、栞本体は、ループ状の可撓性紐と、連結具と、バックル式の調整具と、飾り板をネックレス状に一体的に備え、可撓性紐の自由端部側が前記係合部に巻き付けられた状態で係合すると共に、その基端部に連結具が設けられ、該連結具に前記飾り板がぶら下がり状に取り付けられている書籍用の栞。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な扁平状の包装体と、前記包装体に内装された状態で一端部側の左右部位に一対の係合部を有する長尺なベース板と、前記包装体に内装された栞本体とから成る書籍用の栞であって、
前記栞本体は、ループ状の可撓性紐と、連結具と、バックル式の調整具と、飾り板とをネックレス状に一体的に備え、前記可撓性紐の自由端部側が前記係合部に巻き付けられた状態で係合すると共に、その基端部に前記連結具が設けられ、該連結具に前記飾り板がぶら下がり状に取り付けられている書籍用の栞。
【請求項2】
請求項1の書籍用の栞に於いて、ベース板の一端部側の略中央部に、前記可撓性紐の基端部側が係合する突片状の第2係合部が形成され、一方、他端部に透孔が形成され、前記透孔及び前記透明の包装体を介して前記飾り板の一側面に付された標識を視認することができることを特徴とする書籍用の栞。
【請求項3】
請求項2の書籍用の栞に於いて、前記飾り板は、一側表面に前記標識としての絵柄が施され、一方、一側裏面に前記標識としての文字情報が記載されていると共に、前記ベース板の透孔に位置付けられていることを特徴とする書籍用の栞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本の所望する頁にしおり本体を挟んで開閉頁の目印とする書籍用の栞に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「本の大きさに対応する所定長さの可撓性紐のしおり本体と、このしおり本体の一端部に取付けられたバックル式の調整具と、この調整具を基準として少なくとも本の表紙又は裏表紙に巻装状態に遊嵌合する縮小・拡大ループ部を任意自在に形成する該調整具の通過孔を通過し、かつ、所望の開閉頁に挟まれるしおり本体の直線部から本の小口側へと露出するしおり本体の他端部に設けられた錘とから成る書籍用の栞」が記載されている。
【0003】
上記書籍用の栞は、全体として「ネックレス」なので、商品自体を直接手にすると、形態が崩れる、汚れる、整頓し難い等の問題点がある。そこで、商品としての形態を、常に、略一定の形状に保持した状態で、整頓、展示、販売及び陳列するのが望ましい。
ところで、例えば釣具店で棒状係合具に吊り下げた状態で販売されている各種の釣り針は、例えば店頭での陳列時、一般の需要者が手に取って、釣り針をバラバラにすることなく、透明な包装体の外部から釣り針の形状、大きさ等を理解できるので、商品価値を損なわないという利点がある。
【0004】
出願人は上記書籍用の栞の問題点を克服するために、陳列時の釣り針の利点を有効的に活用することに着眼をした書籍用の栞を考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、販売や陳列時に、商品としての栞がバラバラになって互いに絡み合わないこと、一般の需要者が手に取って見ても、栞が汚れ或いは傷が付かないこと、商品台紙としてのベース板に栞本体を簡単かつ確実に係合状態に保持できると共に、包装体の外部から栞本体の形態や種類を常に特定することができること、ループ状の可撓性紐が比較的長い場合であっても、包装体に栞本体をコンパクトに見栄えが良く収納できること等の利点を生かした書籍用の栞を提供することである。第2の目的は、透明な包装体に内装された栞本体の飾り板が良く見えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の書籍用の栞は、透明な扁平状の包装体と、包装体に内装された状態で一端部側の左右部位に一対の係合部を有する長尺なベース板と、包装体に内装された栞本体とから成る書籍用の栞であって、前記栞本体は、ループ状の可撓性紐と、連結具と、バックル式の調整具と、飾り板とをネックレス状に一体的に備え、前記可撓性紐の自由端部側が前記係合部に巻き付けられた状態で係合すると共に、その基端部に前記連結具が設けられ、該連結具に前記飾り板がぶら下がり状に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
上記構成に於いて、ベース板の一端部側の略中央部に、可撓性紐の基端部側が係合する突片状の第2係合部が形成され、一方、他端部に透孔が形成され、前記透孔及び前記透明の包装体を介して飾り板の一側面に付された標識を視認することができることを特徴とする。付言すると、前記飾り板は、一側表面に前記標識としての絵柄が施され、一方、一側裏面に前記標識としての文字情報が記載されていると共に、前記ベース板の透孔に位置づけられていることを特徴とする。これにより、透明な包装体に内装された栞本体の飾り板が良く見える。
【発明の効果】
【0009】
販売や陳列時に、商品としての栞がバラバラになって互いに絡み合わない、一般の需要者が手に取って見ても、栞が汚れ或いは傷が付かない、ベース板に栞本体を簡単かつ確実に係合状態に保持できると共に、包装体の外部から栞本体の形態や種類を常に特定することができる等の利点を生かした書籍用の栞を提供することができる。
【0010】
特に、本発明の栞本体は、ループ状の可撓性紐と、連結具と、バックル式の調整具と、飾り板とをネックレス状に一体的に備えているが、可撓性紐の自由端部側がベース板の一端部側の左右部位に形成した一対の係合部に巻き付けられた状態で係合しているので、可撓性紐がネックレス状の長尺物であっても、包装体にコンパクトに収納することができる。
【0011】
なお、ベース板の一端部側の略中央部に、前記可撓性紐の基端部側が係合する突片状の第2係合部が形成され、一方、他端部に透孔が記載され、前記透孔及び前記透明の包装体を介して前記飾り板の一側面に付された標識を視認することができる実施形態は、前記突片状の第2係合部に、可撓性紐の基端部側を、いわば人間の首にネックレスを掛けるが如く見せることができると共に、栞本体の飾り板の一側表面に付した、うさぎ、招き猫、達磨さん、キャラクター、星、魚、動物、植物、お花等の絵柄や幾何学模様、文字情報等をベース板の透孔から良く見せることができるので、非常に商品としての見栄えが良い。なお、絵柄、幾何学模様、文字情報等は発明の主たる課題との関係では、本発明の特定要件ではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至
図6は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図7乃至
図9は本発明の第2実施形態を示す各説明図。
【
図1】商品としての栞本体20を包装体1に収納した正面図(第1実施形態)。
【
図2】包装体1を裏替えし、かつ、粘着層3を有する開閉部分1bを開いた状態の説明図。
【
図4】栞本体20説明図(可撓性紐21の一部は省略)。
【
図5】栞本体20の可撓性紐21の自由端部側が、左右の係合部12に二回或いは三回程度巻き付けられた状態で係合している状態を示す説明図。
【
図6】栞本体20の飾り板23がベース板10の透孔11に位置付けられた状態で、栞本体20の可撓性紐21の基端部寄りの部位が、第2係合部14に係合している状態の説明図。
【
図7】商品としての栞本体20を包装体1に収納した正面図(第2実施形態)。
【
図8】長尺なベース板10Aが正面板と背面板の二つ折り状態となっており、前記背面板の上端部に連続する折り込み自在な標識片を所定角度まで開いた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図6は、本発明の第1実施形態の栞Xの各説明図である。
図1に於いて、Xは書籍用の栞、1は透明樹脂素材よりなる長尺な包装体、10は商品台紙としての長尺なベース板、20はネックレス状の栞本体である。
【0014】
まず
図1は、透明な扁平状の包装体1の中の長尺なベース板10に栞本体20の一部を係合させた状態で収納した正面図である。商品としての栞本体20を、例えば透明樹脂素材よりなる長尺な包装体1に収納した状態で、図示しない棒状係合具に吊り下げた場合(例えば釣具店で棒状係合具に吊り下げた状態で販売されている各種の釣り針の如く)には、上辺側の略中央部に係合された略円形の掛穴2が存在する側が上端部(一端部)となり、その反対側の長尺なベース板10に形成した任意形状の透孔11が見える方が下端部(他端部)となる。そこで、
図1を基準にして上方を上端部(一端部)、下方を下端部(他端部)、包装体1或いは長尺なベース板10の幅方向を左右方向、上下方向を長尺方向という。なお、前記略円形の掛穴2は、楕円・菱形等の形状であっても良い。
【0015】
第1実施形態の栞Xは、透明な扁平状の包装体1と、包装体に内装された状態で一端部に単数又は複数の係合部12を有する長尺なベース板10と、前記長尺なベース板10に一部が保持された状態で前記包装体1に内装され栞本体20とから成る。
【0016】
そして、前記栞本体20は、例えば特許第4084182号公報に記載されているように、少なくともループ(リボン)状の可撓性紐21と、連結具22と、飾り板(飾り)23とを備え、好ましくは、前記ループ状の可撓性紐21の一端部に取付けられたバックル式の調整具24を有し、これの各構成要素21、22、23、24は、ネックレス状に一体的に設けられている。
【0017】
次に
図2は、透明樹脂素材よりなる長尺な包装体1を裏替えし、その一端部を開いた状態を示す。包装体1は、例えば釣具店が市販されている釣り針用の包装体と比較して、大きさや形状が同様なので、普通一般には新規事項ではない。したがって、例えば陳列具用の略円形の掛穴2が存在する縦長矩形状の収納部1aと、内端部に左右方向に帯状に粘着層3を有する横長矩形状の開閉部分1bとを有する可撓性の収納袋である。
【0018】
次に
図3は、出願人が創作した栞本体用のベース板10の正面図である。ベース板10は、包装体1の縦長矩形状の収納部1aに略ピッタリと収まる大きさに形成されている。この
図3に於いて、符号11は下端部に形成された方形、矩形、円形、楕円等の透孔、符号2aは包装体1の掛穴2と一致するように上端部に形成された略円形、鍵穴形状等の掛穴、符号12は上端部寄りの部位に形成された左右一対の係合部、符号13は上端部寄りの部位に形成された透孔状の切欠部分、符号14は前記切欠部分内に延在する突片状の第2係合部である。
【0019】
ベース板10について付言する。紙製のベース板10は、全体として、形状が肉薄で一定であり、その長尺方向の表面及び裏面を幅広の平坦面状とし、その表面は商標及び格子状・千鳥格子状・唐草状・縞状・花形状・散点状等の模様を印刷した化粧面とし、一方、裏側には、例えば商品の使い方を印刷した短冊状のものである。なお、表面の模様及び裏側の商品の使い方の記述は、本発明の特定要件ではない。例えば裏側にも、当然のことながら、模様、幾何学図形などを付しても良い。
【0020】
本発明の特定事項ではないが、ここで、簡単に「商品の使い方」を説明する。例えば「(1)リボンの輪を本の表紙裏に取付けます。(2)調整具を上下し、リボンの長さを本の大きさに調整します。(3)下から上にリボンをはさみます。(4)飾りを背表紙に出して完成です」、と説明図と共に記載されている。なお、前記リボンの用語は、ここでは「ループ状の可撓性紐21」に相当する。また前記飾りの用語は、ここでは「飾り板23」に相当する。
【0021】
しかして、前記ベース板10の係合部12は、例えばコ字形状(左側)並び逆コ字形状(右側)の任意の切欠凹所であり、同一水平線状の左右部位に一対形成されており、例えば
図5で示すように、可撓性紐21の自由端部(上端部)側が左右の係合部12に二回或いは三回程度巻き付けられた状態で係合している。
【0022】
なお、左右の係合部12の一方又は両方に、可撓性紐21の自由端部(上端部)を係止させることができる筋状の係止挟持溝15を単数又は複数形成するのが好ましい。前記係止挟持溝15に前記可撓性紐21の自由端部(上端部)を係止させることにより、自由端部がベース板10から離れないという効果を得ることができる。また前記ベース板10の係合部12は、上下方向に幅がある切欠凹所であるが、その他、横倒れ山形形状、内に弧状等の曲面形状であっても良い。要するに、可撓性紐21のループの長さに対応して、適宜形状の切欠部に形成することができる。
【0023】
さらに、実施形態では、栞本体20が包装体内で自由に動かないように、ベース板10の上端部寄りの部位の中央部には、可撓性紐21の基端部側が係合する突片状の第2係合部14が上方方向に向かって略垂直に形成されている。突片状の第2係合部14の形状に関しては特に問わないが、縦長矩形状、楕円形状、菱形形状などが好ましい。
【0024】
図6は、栞本体20の飾り板23がベース板10の透孔11に位置付けられた状態で、栞本体20の可撓性紐21の基端部寄りの部位が、突片状の第2係合部14に係合している状態の説明図である。したがって、前記突片状の第2係合部14は、望ましくは円形或いは楕円形の切欠開口内の略中央部内に位置するように実体部分の上方に向って形成された突片状の規制片となっている。突片状の規制片に可撓性紐の基端部側の左右部位を、いわば人間の首にネックレスを掛けるが如く掛合させることができる。
【0025】
ところで、
図4で示すように、実施形態では、可撓性紐21の基端部には、連結具22を構成する小さな自在リングを介して、やや肉厚状の飾り板23がぶら下がり状に取付けられているが、商品としての栞本体20を展示する際には、ベース板10の透孔11及び透明な包装体1を介して前記飾り板23の一側面に付された標識23aを視認することができる。なお、飾り板23は、例えば将棋の「歩」或いは「馬」よりも若干大きいが、特に大きさ・形状・肉厚・数・材質等を限定するものではない。
【0026】
しかして、前記飾り板23の一側面(例えば表面側)には、例えばうさぎの図柄が描かれ、反対の他側面(例えば裏面側)には、例えば適当な文字が記載されている。なお、飾り板23は、金属・合成樹脂・木材・合成板のいずれかの素材で任意形状の札状に形成されている共に、一側表面には絵柄が施され、一方、一側裏面には文字情報が記載されているのが好ましい。
【0027】
上記の基本的構成に於いて、ベース板10の一端部側の略中央部に、前記可撓性紐21の基端部側が係合する突片状の第2係合部14が形成され、一方、他端部に透孔11が形成され、前記透孔11及び前記透明の包装体1を介して前記飾り板23の一側面に付された標識を視認することができる。それ故に、前記飾り板23は、一側表面に前記標識としての絵柄が施され、一方、一側裏面に前記標識としての文字情報が記載されていると共に、前記ベース板10の透孔11に位置づけられることが望ましい。
【実施例0028】
この欄では、
図7乃至
図9を参照にして、第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0029】
図7は
図1と同様の包装状態の説明図、
図8は長尺なベース板10Aの長尺方向の長さが少なくとも二倍以上であり、例えば該正面板10aと対向する背面板10bとが、同一形状・同一大きさであり、実施形態では略中央部で、いわゆる二つ折り状態となっている。そして、前記背面板の上端部に折り込み自在な標識片10cが連設している。
【0030】
この第2実施形態が第1実施形態と異なる事項は、(a)長尺なベース板10Aが第1実施形態のベース板10よりも長い点、(b)二つ折り状態となっている裏側の背面板10bの上端部に折り込み自在な標識片10cが連設している点、(c)前記標識片10cの上端部の略中央部にも、略円形の掛穴2bが形成され、該標識片10cを正面板10aの上端部側に重ねるように手前側に折ると、正面板10aに形成した左右一対の係合部12、12及び第2係合部14が隠れると同時に、正面板10aの上端部に形成した略円形の掛穴2aと該標識片10cの略円形の掛穴2bが連通状態に一致する点、(d)標識片10cの正面に商品商標{OOOO}TMが付されている点である。
【0031】
上記のように構成すると、標識片10cの裏面で、左右一対の係合部12、12及び第2係合部14に係合している栞本体20の可撓性紐21を、多少なりとも押さえ付けることができる、ベース板10Aが容易に変形しない等の効果がある。