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特開2024-128256ウレタンウレア樹脂、樹脂組成物および硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128256
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ウレタンウレア樹脂、樹脂組成物および硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
C08G18/32 012
C08G18/32 071
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037133
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 薫
(72)【発明者】
【氏名】方田 大遥
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA13
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB08
4J034CC26
4J034CC44
4J034CC45
4J034CC54
4J034CC61
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA18
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB17
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】
熱分解性に優れるウレタンウレア樹脂、および該ウレタンウレア樹脂を用いた樹脂組成物、その硬化物を提供すること。
【解決手段】
上記課題は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)およびアミン化合物(C)を構成単位として含むウレタンウレア樹脂であって、ポリオール化合物(A)中、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を30~97質量%含み、ポリイソシアネート化合物(B)は、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含み、アミン化合物(C)は、水酸基を有するモノアミン(c1)および/または水酸基を有するジアミン(c2)を含むことを特徴とするウレタンウレア樹脂により解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)およびアミン化合物(C)を構成単位として含むウレタンウレア樹脂であって、
ポリオール化合物(A)中、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を30~97質量%含み、
ポリイソシアネート化合物(B)は、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含み、
アミン化合物(C)は、水酸基を有するモノアミン(c1)および/または水酸基を有するジアミン(c2)を含むことを特徴とするウレタンウレア樹脂。
【請求項2】
水酸基価が、75~270mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載のウレタンウレア樹脂。
【請求項3】
酸価が、3~25mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載のウレタンウレア樹脂。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項記載のウレタンウレア樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4記載の樹脂組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンウレア樹脂、および該ウレタンウレア樹脂を含む樹脂組成物とその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子部品には、銀ペーストや銅ペーストに代表される金属ペーストやセラミック粉末等の無機粒子を含むペーストは、様々な基材表面に塗工し、乾燥および焼成して有機成分を除去することにより、様々な形状の焼結体を得るために用いられている。例えば、導電性粉末を含む導電性ペースト組成物は、回路形成やコンデンサーの製造等に用いられている。また、セラミック粉末を含むセラミックペースト組成物やガラス粉末を含むガラスペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルの誘電体層や積層セラミックコンデンサーの製造、蛍光表示管等に用いられている。これらの無機粒子含有ペースト組成物は、近年需要が急速に高まりつつある。
【0003】
このようなペーストにおけるバインダー樹脂の役割として、成形加工時に加工性を保持し、無機フィラーをつなぎ止めることである。しかし、焼成時にバインダーが燃え残り、残渣となって不純物として焼成体中に残存すると、焼成体の強度低下や絶縁抵抗などの電気特性の悪化を引き起こす。そのため、最終的にフィラーを焼結する段階で、この焼結用バインダー樹脂を熱分解して完全に除去することが必要である。また、近年エネルギーコストの観点から低温焼成が求められており、それにともないバインダー樹脂もより低い温度で分解することが求められている。
【0004】
特許文献1、2のように従来のバインダー樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂やエチルセルロース樹脂が用いられている。しかし、ポリビニルブチラール樹脂やエチルセルロース樹脂は熱分解温度が高く、焼成性が悪いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012―129181号公報
【特許文献2】特開2016―089074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、熱分解性に優れたウレタンウレア樹脂、および該ウレタンウレア樹脂を用いた樹脂組成物、その硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の実施形態は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)およびアミン化合物(C)を構成単位として含むウレタンウレア樹脂であって、ポリオール化合物(A)中、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を30~97質量%含み、ポリイソシアネート化合物(B)は、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含み、アミン化合物(C)は、水酸基を有するモノアミン(c1)および/または水酸基を有するジアミン(c2)を含むことを特徴とするウレタンウレア樹脂に関する。
【0009】
本発明の実施形態は、水酸基価が、75~270mgKOH/gである上記ウレタンウレア樹脂に関する。
【0010】
本発明の実施形態は、酸価が、3~25mgKOH/gである上記ウレタンウレア樹脂に関する。
【0011】
本発明の実施形態は、上記ウレタンウレア樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物に関する。
【0012】
本発明の実施形態は、上記樹脂組成物の硬化物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、熱分解性に優れるウレタンウレア樹脂、および該ウレタンウレア樹脂を用いた樹脂組成物、その硬化物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。以下の説明において、「炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)」、「脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)」、「水酸基を有するモノアミン(c1)」および「水酸基を有するジアミン(c2)」を、それぞれ「ジオール(a1)」、「ポリイソシアネート(b1)」、「モノアミン(c1)」および「ジアミン(c2)」と略記することがある。
【0015】
<ウレタンウレア樹脂>
本発明のウレタンウレア樹脂は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)およびアミン化合物(C)を構成単位として含み、ポリオール化合物(A)中、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を30~97質量%含み、ポリイソシアネート化合物(B)は、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含み、アミン化合物(C)は、水酸基を有するモノアミン(c1)および/または水酸基を有するジアミン(c2)を含む特徴を有する。
まず、本発明のウレタンウレア樹脂を構成する各成分について、以下に説明する。
【0016】
<ポリオール化合物(A)>
ポリオール化合物(A) は、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を含む。ポリオール化合物(A)100質量%中、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を35~97質量%含み、70~97質量%含むことが好ましい。前述した含有率であることにより、優れた熱分解性を得ることができる。尚、本発明のウレタンウレア樹脂における熱分解性とは、具体的には、ウレタンウレア樹脂を加熱した際、5%重量減少する温度が200℃未満であり、400℃における重量減少率が95%以上である熱分解性を意味する。
【0017】
炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)としては、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナン-2,3-ジメタノール、5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール、4,4’-ビシクロヘキサノール、トリシクロデカンジメタノール、2-ビス(4,4’-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
【0018】
これら炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明における炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)の炭素数として、好ましくは6以上9以下である。
【0019】
その他ポリオールとして、炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)に加えて、熱分解性を制御する目的などのためその他ポリオールを含んでも良い。一般にポリウレタン樹脂を構成するポリオールとして知られているポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類およびこれらの混合物等が使用できる。
【0020】
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の飽和および不飽和の低分子ジオール類、ならびにn-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類、またはこれらの無水物類を、脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類や、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
【0021】
ポリカーボネートポリオール類としては、1)ジオールと炭酸エステルとの反応物、および、2)ジオールにアルカリの存在下でホスゲンとの反応物が使用できる。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル、2,2,8,10-テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等が挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類を併用する場合、ポリオール化合物(A)中、合計含有率が65質量%以下であることが好ましい。
【0023】
また、その他ポリオールとしては、ポリカーボネートジオールの構成単位として例示したジオール類の他、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、N,N-ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N-ビスヒドロキシエチルアラニン等のカルボキシ基を有するジオールが挙げられる。これらの中でも溶剤溶解性の観点から、ジメチロールブタン酸が特に好ましい。
【0024】
<ポリイソシアネート化合物(B)>
ポリイソシアネート化合物(B)は、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含む。熱分解後の残渣の観点から、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)の含有量率は、ポリイソシアネート化合物(B)100質量%中、50~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましい。
【0025】
脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、HMDI)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。上記の内、ポリイソシアネート(b1)としては、IPDI、HMDIが好ましく、IPDIがより好ましい。
【0026】
ポリイソシアネート成分(B)として脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)以外に併用しても良いその他ポリイソシアネートとしては、脂環構造を有さない脂肪族ポリイソシアネート、脂環構造を有さない芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂環構造を有さない脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0027】
脂環構造を有さない芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0028】
<アミン化合物(C)>
アミン化合物(C)は、水酸基を有するモノアミン(c1)および/または水酸基を有するジアミン(c2)を含み、その他アミンを含んでも良い。
【0029】
水酸基を有するモノアミン(c1)としては、一つのアミノ基と一つ以上の水酸基を有する化合物を挙げることができる。ここでいうアミノ基とは、アミノ基の窒素原子上の水素原子が置換基によって置換されたアミノ基も含まれる。例えば、水酸基を1個有する第一級アミンとしては、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ブタノールアミンなどのモノアルカノールアミン類、水酸基を二つ有する第二級アミンとしては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのジアルカノールアミン類、水酸基を一つ有する第二級アミンとしては、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミンなどのアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらの中でも、水酸基を二つ有する第二級アミンであるジアルカノールアミン類が好ましく、特にジエタノールアミンが好ましい。
【0030】
水酸基を有するジアミン(c2)としては、二つのアミノ基と一つ以上の水酸基を有する化合物を挙げることができ、例えば、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)―1,3―プロパンジアミン、(2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミンなどのアルカノールジアミン類等が挙げられる。
【0031】
水酸基を有するモノアミン(c1)および水酸基を有するジアミン(c2)以外のその他アミンとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を有しない脂肪族または芳香族アミン等が挙げられる。
【0032】
水酸基を有しない脂肪族モノアミンとしては、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン(DnBA)、n-プロピルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン等が挙げられる。
【0033】
水酸基を有しない脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。
【0034】
水酸基を有しない芳香族ジアミンとしては、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、ビスアニリンフルオレン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0035】
<ウレタンウレア樹脂の製造>
本発明におけるウレタンウレア樹脂は、一般的な合成方法によって製造することができる。以下にウレタンウレア樹脂の一般的な合成方法を示す。まず、ポリオール化合物(A)およびポリイソシアネート化合物(B)を、反応溶剤と共に反応容器中でウレタン化反応を行う。この際、ポリイソシアネート化合物(B)中に含まれるイソシアネート基(イソシアナト基)の総モル数が、ポリオール化合物(A)全体の水酸基の総モル数の1.1~2当量になるように配合することにより、ポリマー末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーを合成する。反応は60~120℃において全ての水酸基が消費されるまで反応を行うことが好ましい。
次いでウレタンプレポリマーとアミン化合物(C)とをウレア化反応を行う。アミン化合物(C)の量は、アミン化合物(C)中のアミノ基の総モル数の合計量がウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の総モル数の0.9~1当量になるように配合し、40~100℃にて全てのアミノ基が消費されるまで反応を行うことが好ましい。
【0036】
上記ウレタン化反応およびウレア化反応を促進するために、必要に応じて反応触媒を用いることができる。反応触媒としては、錫、ビスマス、亜鉛、アルミニウム、チタン等の金属系触媒またはアミン系触媒を使用することができる。金属系触媒としては錫系触媒が最も一般的であり、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチック錫等を用いることができる。またアミン系触媒としては、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン等を用いることができる。
【0037】
ウレタンプレポリマーの合成においては、アルコール系溶剤等の活性水素を有する溶剤は使用しないことが好ましく、好ましい溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;
酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類;
γ-ブチロラクトン等の環状エステル類;
石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等を使用
することが好ましい。
【0038】
一方、ウレタンプレポリマーとアミン化合物(C)との反応であるウレア化反応の際には、上記溶剤に加えてアルコール系溶剤も使用できる。その理由は、イソシアネート基とアミノ基との反応が、イソシアネート基と水酸基との反応よりも非常に迅速であるためウレア化反応の障害とならない為である。使用できるアルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール等が挙げられる。
【0039】
ウレタンウレア樹脂の酸価は、3~25mgKOH/gが好ましく、5~15mgKOH/gがより好ましい。酸価が3~25mgKOH/gであると安定した熱分解性が得られる。
【0040】
ウレタンウレア樹脂の水酸基価は、75~270mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは100~270mgKOH/gであり、さらに好ましくは100~200mgKOH/gである。水酸基価が75mgKOH/g以上であれば熱分解性が良好な硬化物ができ、270mgKOH/g以下であることで残渣の少ない硬化物を得ることができる。
【0041】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、本発明のウレタンウレア樹脂と硬化剤とを含む。硬化剤は、本発明のウレタンウレア樹脂と反応して硬化物を与えるものであれば特に制限はないが、本発明のウレタンウレア樹脂中の水酸基と反応し得る官能基を複数有する化合物であることが好ましく、ポリイソシアネートであることがより好ましい。ポリイソシアネートとしては、分子内にイソシアネート基を2つ以上有する化合物ならびにそのビウレット体、ヌレート体、アダクト体、およびその他縮合体等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
ビウレット体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(製品名「スミジュールN-75」、住化バイエルウレタン社製;製品名「デュラネート 24A-100」、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0043】
ヌレート体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(製品名「スミジュールN-3300」、住化バイエルウレタン社製)、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(製品名「デスモジュールZ-4370」、住化バイエルウレタン社製)、トリレンジイソシアネートのヌレート体(製品名「コロネート 2030」、日本ポリウレタン社製)等が挙げられる。
【0044】
アダクト体としては、芳香族、脂肪族または脂環式のジイソシアネートと、2個以上の活性水素基を有する化合物とを反応させてなる、2官能以上のイソシアネート化合物が挙げられ、例えば、トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネートアダクト体(製品名「タケネートD-160N」、三井化学社製)、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネートアダクト体(製品名「タケネートD-140N」、三井化学社製)、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
【0045】
その他縮合体としては、上述のイソシアネート基含有化合物の多官能体、カルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体が挙げられ、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(製品名「PAPI27」、ダウ社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(製品名「タケネートD-165N」、三井化学社製)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(製品名「Isonate 143L」、ダウ社製)が挙げられる。
【0046】
また、本発明のウレタンウレア樹脂を製造する過程で得られるポリマー末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーも硬化剤として使用することができる。硬化剤は、熱分解性の観点からポリマー末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーであることが好ましい。
【0047】
さらに、硬化剤として使用するポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基がブロック化剤によってブロック(保護、マスクともいう)されていても良い。ブロック化剤としては、例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノールおよびクロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、t-ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5-ジメチルピラゾール、1,2-ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール類、エチレングロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β - プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。その他にも、アミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。
【0048】
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、その他成分として、例えば、可塑剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤などの公知の添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、用途に応じた熱分解性を有していることが好ましい。尚、本発明の樹脂組成物における熱分解性とは、具体的には、樹脂組成物を加熱した際、5%重量減少する温度が260℃未満であり、500℃における重量減少率が99%以上である熱分解性を意味する。
【0049】
本発明のウレタンウレア樹脂および樹脂組成物は、基材に対して、グラビアコーター塗装、ダイコーター塗装、コンマーコーター塗装、リップコーター塗装、スリットコーター塗装、ロールコーター塗装、スプレー塗装、スピンコーター塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、加熱して硬化させることができる。
【0050】
基材は、特に限定されるものではなく、ブリキ板、亜鉛メッキ鋼板、ティンフリースチール板、ステンレス板、アルミニウム板、銅箔などの金属基材、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック基材、ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料、木材、紙、布等の繊維材料、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。中でも、金属基材、プラスチック基材、ガラスが好ましい。
【実施例0051】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断らない限り、「部」とは「質量部」を、「%」とは「質量%」を表す。 また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
【0052】
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に100℃減圧下で乾燥した試料約0.5gを精密に量り採り、テトラヒドロフラン100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
を表す。
【0053】
<水酸基価の測定>
共栓三角フラスコ中に100℃減圧下で乾燥した試料約0.5gを精密に量り採り、テトラヒドロフラン100mlを加えて溶解した。更に、アセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。その後イオン交換水10mlを加えた。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b-a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
である。
【0054】
本明細書における略称を以下に示す。
[ポリオール化合物(A)]
[炭素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)]
1,4-CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
1,4-CHDO:1,4-シクロヘキサンジオール
NDM:5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール
[その他ポリオール]
UM-90(3/1):UBE株式会社製ポリカーボネートジオール、水酸基価121.6mgKOH/g、商品名「ETERNACOLL(登録商標) UM-90(3/1)」
T5651:旭化成株式会社製ポリカーボネートジオール、水酸基価107.2mgKOH/g、商品名「DURANOL(登録商標) T5651」
P-1010:クラレ株式会社製ポリエステルポリオール、水酸基価112.6mgKOH/g、商品名「クラレポリオール P-1010」
DMBA:ジメチロールブタン酸
【0055】
[ポリイソシアネート化合物(B)]
[脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)]
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HMDI:4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
[その他ポリイソシアネート]
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
[アミン化合物(C)]
[水酸基を有するモノアミン(c1)]
DEA:ジエタノールアミン
[水酸基を有するジアミン(c2)]
EA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
[その他アミン化合物]
IPDA:イソホロンジアミン
[溶剤]
IPA:イソプロピルアルコール
[硬化剤]
N3300:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート由来のヌレート化合物、住化バイエルウレタン(株)製、製品名「スミジュール(登録商標)N3300」
【0056】
[実施例1]ウレタンウレア樹脂(D-1)溶液
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、ジオール(a1)として1,4-CHDM 100.0部、その他ポリオールとしてDMBA 4.6部、ポリイソシアネート(b1)としてIPDI 209.4部、および溶剤としてトルエン169.1部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン40.3部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に得られたプレポリマーの溶液を70℃に保ちながら、ジアミン(c2)としてEAを7.9部、モノアミン(c1)としてDEAを28.9部、溶剤としてIPA105.1部、トルエン36.4部を混合した溶液を2時間で滴下した。滴下終了後70℃にて更に8時間反応させることで、樹脂の水酸基価が100.0mgKOH/g、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%であるウレタンウレア樹脂(D-1)溶液を得た。
【0057】
[実施例2~26]ウレタンウレア樹脂(D-2~26)溶液
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ウレタンウレア樹脂(D-2~26)溶液を得た。
【0058】
[比較例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、UM-90(3/1) 100.0部、DMBA 2.3部、IPDI 54.6部、およびトルエン84.5部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン20.1部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に得られたプレポリマーの溶液を70℃に保ちながら、EAを5.6部、DEAを13.7部、IPA53.2部、トルエン18.4部を混合した溶液を2時間で滴下した。滴下終了後70℃にて更に8時間反応させることで、樹脂の水酸基価が100.0mgKOH/g、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%である比較用樹脂(H-1)の溶液を得た。
【0059】
[比較例2]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、UM-90(3/1) 100.0部、DMBA 1.6部、IPDI 21.7部、およびトルエン66.4部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン15.8部を加えて、樹脂の水酸基価が20.0mgKOH/g、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%である比較用樹脂(H-2)の溶液を得た。
【0060】
[比較例3]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、1,4-CHDM 100.0部、DMBA 5.0部、MDI 236.6部、およびトルエン56.5部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン171.2部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に得られたプレポリマーの溶液を70℃に保ちながら、EAを6.2部、DEAを32.5部、IPA113.4部、トルエン39.2部を混合した溶液を2時間で滴下した。滴下終了後70℃にて更に8時間反応させることで、樹脂の水酸基価が100.0mgKOH/g、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%である比較用樹脂(H-3)の溶液を得た。
【0061】
[比較例4]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、1,4-CHDM 20.0部、UM-90(3/1) 80.0部、DMBA 2.7部、IPDI 81.2部、およびトルエン99.1部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン23.6部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に得られたプレポリマーの溶液を70℃に保ちながら、EA3.9部、DEA17.3部、IPA61.3部、トルエン21.2部を混合した溶液を2時間で滴下した。滴下終了後70℃にて更に8時間反応させることで、樹脂の水酸基価が100.0mgKOH/g、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%である比較用樹脂(H-4)の溶液を得た。
[比較例5]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、1,4-CHDM 100.0部、IPDI 200.4部、およびトルエン161.7部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン38.5部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に、得られたプレポリマーの溶液を70℃に保ちながら、EA7.5部、DEA27.6部、IPA100.5部、トルエン34.8部を混合した溶液を2時間で滴下した。滴下終了後70℃にて更に8時間反応させていたところ析出が発生し、所望とする樹脂を製造することができなかった。
【0062】
[硬化剤の製造例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、1,4-CHDM 100.0部、DMBA 5.6部、IPDI 322.0部、およびトルエン230.3部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で8時間反応させた。これに、トルエン197.4部を加えてイソシアネート基含有率が14.1%、酸価が5.0mgKOH/g、固形分が50%の末端にイソシアネート基を有する硬化剤(G-1)の溶液を得た。
【0063】
得られたウレタンウレア樹脂および比較用樹脂の詳細を表1および表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
<得られた樹脂の評価>
【0067】
ウレタンウレア樹脂(D-1~26)、比較用樹脂(H-1~4)をそれぞれ剥離性フィルム上に塗布し、100℃減圧下で乾燥した後、剥離フィルムから剥離することで評価サンプルを得た。得られたサンプルを用いて以下の評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0068】
[熱分解性]
TG-DTA(セイコーインスツル社製、SSC-5200)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で25℃から550℃までサンプルを加熱しながら重量変化を測定した。その結果、下記の基準で評価した。
(1)5%重量減少した際の温度(5%重量減少温度)
○:180℃未満。(優良)
△:180℃以上200℃未満。(良)
×:200℃以上。(不良)
(2)400℃における重量減少率および試験後の残渣物の有無
○:400℃における重量減少率が95%以上であり、残渣が認められなかった。(優良)
△:400℃における重量減少率が95%以上であったが、残渣が僅かに認められた。(良)
×:400℃における重量減少率が95%未満であった。(不良)
【0069】
<樹脂組成物の製造>
[実施例27]
ウレタンウレア樹脂(D-1)溶液を20.0部、硬化剤として硬化剤(G-1)を10.6部加え、25℃で攪拌混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を剥離性フィルム上に塗布し、溶剤を乾燥させた後、100℃にて3時間保持させることにより硬化物を得た。
【0070】
[実施例28~54、比較例6~9]
表3に示す配合組成に変更した以外は、実施例27と同様の操作を行い、実施例28~54、比較例6~9の樹脂組成物を得た。
【0071】
<樹脂組成物の評価>
得られた樹脂組成物を用いて、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
[熱分解性]
TG-DTA(セイコーインスツル社製、SSC-5200)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で25℃から550℃までサンプルを加熱しながら重量変化を測定した。その結果、下記の基準で評価した。
(3)5%重量減少した際の温度(5%重量減少温度)
○:245℃未満。(優良)
△:245℃以上260℃未満。(良)
×:260℃以上。(不良)
(4)500℃における重量減少率および試験後の残渣物の有無
○:500℃における重量減少率が99%以上であり、残渣が認められなかった。(優良)
△:500℃における重量減少率が99%以上であったが、残渣が僅かに認められた。(良)
×:500℃における重量減少率が99%未満であった。(不良)
【0074】
表3より、本発明のウレタンウレア樹脂およびその硬化物は、熱分解性について良好な結果が得られた。特に、素数6以上の脂環構造を有するジオール(a1)を30~97質量%の範囲で含み、かつ、脂環構造を有するポリイソシアネート(b1)を含むと、熱分解性が良好な結果が得られた。一方、比較用樹脂およびその硬化物では熱分解性について満足する結果は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のウレタンウレア樹脂およびその硬化物は、電子部品に用いられる無機粒子ペーストのバインダーに好適に用いることができる。以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。