(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128268
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】エレベーター巻上機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
H02K5/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037157
(22)【出願日】2023-03-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠二
(72)【発明者】
【氏名】前田 徹
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD09
5H605EC12
(57)【要約】
【課題】部品種類の増加を抑制することができる回転電機の端子台保護装置、回転電機、及びエレベーター巻上機を得ることを目的とする。
【解決手段】端子台保護装置31は、保護部材32と、束ね部材33と、絞り部材34とを有している。保護部材32は、カバー25の下端に取り付けられている。また、保護部材32は、配線束41における端子台23からの引き出し部41aの周囲を囲んでいる。保護部材32としては、可撓性を有するシート状部材が用いられている。また、保護部材32は、シート状部材が開口25aのサイズに合わせて筒状にされて構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台のカバーに取り付けられており、複数の外部配線からなる配線束における前記端子台からの引き出し部の周囲を囲んでいる保護部材
を備え、
前記保護部材は、シート状部材が前記カバーの開口のサイズに合わせて筒状にされて構成されており、
前記保護部材における前記開口側の端部である第1端部は、前記開口の周縁部に固定されており、
前記保護部材における前記開口とは反対側の端部である第2端部は、前記配線束の外周に接するように絞られている回転電機の端子台保護装置。
【請求項2】
前記保護部材の内側において前記複数の外部配線を束ねている束ね部材
をさらに備えている請求項1記載の回転電機の端子台保護装置。
【請求項3】
前記第2端部を絞っている絞り部材
をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載の回転電機の端子台保護装置。
【請求項4】
前記保護部材には、前記保護部材が筒状の状態からシート状の状態に開くことを阻止する締結部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の回転電機の端子台保護装置。
【請求項5】
前記保護部材の少なくとも一部は、網目状である請求項1又は請求項2に記載の回転電機の端子台保護装置。
【請求項6】
回転電機本体、及び
請求項1又は請求項5に記載の端子台保護装置
を備えている回転電機。
【請求項7】
駆動シーブ、及び
前記駆動シーブを回転させる巻上機モーター
を備え、
前記巻上機モーターとして、請求項6記載の回転電機が用いられているエレベーター巻上機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機の端子台保護装置、回転電機、及びエレベーター巻上機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の埋め込み型コンセント用漏電防止カバーでは、筒状のカバー体の一端部に接着層が設けられている。カバー体は、接着層を介して、埋め込み型コンセントの周縁部に固定される。カバー体の他端部には、紐通し部が設けられている。紐通し部には、紐が通されている。カバー体の他端部は、紐を引っ張ることにより閉じられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の埋め込み型コンセント用漏電防止カバーでは、筒状のカバー体が用いられているため、各種コンセントの大きさに合わせて、開口径が異なる複数種のカバーを用意する必要があり、部品種類が増加し、部品の管理コストも増大する。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、部品種類の増加を抑制することができる回転電機の端子台保護装置、回転電機、及びエレベーター巻上機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る回転電機の端子台保護装置は、端子台のカバーに取り付けられており、複数の外部配線からなる配線束における端子台からの引き出し部の周囲を囲んでいる保護部材を備え、保護部材は、シート状部材がカバーの開口のサイズに合わせて筒状にされて構成されており、保護部材における開口側の端部である第1端部は、開口の周縁部に固定されており、保護部材における開口とは反対側の端部である第2端部は、配線束の外周に接するように絞られている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、部品種類の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1によるエレベーターを示す側面図である。
【
図2】
図1のエレベーター巻上機を示す側面図である。
【
図3】
図2の端子台及び端子台保護装置を示す正面図である。
【
図4】実施の形態2による端子台保護装置を示す側面図である。
【
図5】実施の形態3による端子台保護装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるエレベーターを示す側面図である。
図1において、昇降路1の上には、機械室2が設けられている。機械室2には、エレベーター巻上機3及びそらせ車6が設置されている。
【0010】
エレベーター巻上機3は、回転電機である巻上機モーター4と、駆動シーブ5とを有している。巻上機モーター4は、駆動シーブ5を回転させる。
【0011】
駆動シーブ5及びそらせ車6には、懸架体7が巻き掛けられている。懸架体7としては、複数本のロープ又は複数本のベルトが用いられている。懸架体7の第1端部には、かご8が接続されている。懸架体7の第2端部には、釣合おもり9が接続されている。
【0012】
かご8及び釣合おもり9は、懸架体7によって昇降路1内に吊り下げられている。また、かご8及び釣合おもり9は、駆動シーブ5を回転させることによって、昇降路1内を昇降する。
【0013】
昇降路1内には、一対のかごガイドレール10と、一対の釣合おもりガイドレール11とが設置されている。
図1では、片側のかごガイドレール10、及び片側の釣合おもりガイドレール11のみが示されている。
【0014】
一対のかごガイドレール10は、かご8の昇降を案内する。一対の釣合おもりガイドレール11は、釣合おもり9の昇降を案内する。
【0015】
かご8は、かご枠12及びかご室13を有している。かご枠12には、懸架体7が接続されている。かご室13は、かご枠12に支持されている。
【0016】
図2は、
図1のエレベーター巻上機3を示す側面図である。
図1では省略したが、エレベーター巻上機3は、巻上機ブレーキ14をさらに有している。巻上機ブレーキ14は、駆動シーブ5の静止状態を保持する。また、巻上機ブレーキ14は、駆動シーブ5の回転を制動する。
【0017】
巻上機モーター4は、回転電機本体としてのモーター本体21と、端子台保護装置31とを有している。
【0018】
モーター本体21は、駆動シーブ5を回転させる。また、モーター本体21は、ハウジング22と、図示しないステーターと、図示しないローターと、端子台23とを有している。ステーター及びローターは、ハウジング22内に設けられている。端子台23は、ハウジング22の外部に設けられている。
【0019】
端子台保護装置31は、端子台23の下端に取り付けられている。また、端子台保護装置31は、端子台23内への粉塵の侵入を抑制し、端子台23を保護する。
【0020】
図3は、
図2の端子台23及び端子台保護装置31を示す正面図である。端子台23は、端子台本体24と、カバー25とを有している。
【0021】
カバー25は、端子台本体24を覆っている。カバー25の下面には、開口25aが設けられている。開口25aからは、配線束41が引き出されている。配線束41は、複数の外部配線からなっている。複数の外部配線のそれぞれは、端子台本体24に接続されており、モーター本体21に電力を供給する。
【0022】
端子台保護装置31は、保護部材32と、束ね部材33と、絞り部材34とを有している。
【0023】
保護部材32は、カバー25の下端に取り付けられている。また、保護部材32は、配線束41における端子台23からの引き出し部41aの周囲を囲んでいる。即ち、保護部材32は、引き出し部41aを全周に渡って覆っている。保護部材32としては、可撓性を有するシート状部材が用いられている。
【0024】
また、保護部材32は、シート状部材が開口25aのサイズに合わせて筒状にされて構成されている。また、保護部材32は、第1端部32aと、第2端部32bとを有している。第1端部32aは、保護部材32における開口25a側の端部である。第2端部32bは、保護部材32における開口25aとは反対側の端部である。
【0025】
第1端部32aは、開口25aの周縁部に固定されている。第2端部32bは、配線束41の外周に接するように絞られている。
【0026】
束ね部材33は、保護部材32の内側において複数の外部配線を束ねている。絞り部材34は、第2端部32bに設けられている。絞り部材34としては、紐、テープ等が用いられている。
【0027】
絞り部材34は、第2端部32bを絞っている。例えば、第2端部32bは、絞り部材34を引っ張ることにより、巾着状に絞られている。又は、第2端部32bは、絞り部材34を第2端部32bの外側から締め付けることにより絞られている。絞り部材34により第2端部32bが絞られることによって、第2端部32bが配線束41に密着、又は第2端部32bと配線束41との間の隙間が縮小されている。
【0028】
このようなエレベーター巻上機3、巻上機モーター4、及び端子台保護装置31では、保護部材32は、シート状部材が開口25aのサイズに合わせて筒状にされて構成されている。このため、開口25aのサイズが異なる端子台23に対して、共通の保護部材32を用いることができ、部品種類の増加を抑制することができる。また、カバー25に保護部材32を容易に取り付けることができる。
【0029】
また、狭い機械室2内においても、端子台保護装置31を端子台23に容易に取り付けることができる。
【0030】
また、複数の外部配線が束ね部材33によって束ねられているため、配線束41の全周を保護部材32によって容易に覆うことができ、据付作業性を向上させることができる。
【0031】
また、第2端部32bは、絞り部材34によって絞られている。このため、配線束41の太さによらず、端子台23内への粉塵の侵入をより確実に抑制することができる。
【0032】
実施の形態2.
次に、
図4は、実施の形態2による端子台保護装置31を示す側面図である。実施の形態2では、保護部材32に締結部35が設けられている。締結部35は、保護部材32が筒状の状態からシート状の状態に開くことを阻止する。
【0033】
締結部35としては、例えば、ジッパー、複数のフック、又は複数のボタンが用いられている。締結部35としてジッパーが用いられる場合、ジッパーは、第1端部32aから第2端部32bまでの間に設けられる。
【0034】
実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0035】
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、保護部材32に締結部35が設けられているため、保護部材32の取り付け作業の作業性を向上させることができる。
【0036】
なお、締結部35に複数の締結部35が設けられ、どの締結部35を選択するかによって保護部材32の径が変えられるようになっていてもよい。
【0037】
実施の形態3.
次に、
図5は、実施の形態3による端子台保護装置31を示す側面図である。実施の形態3では、保護部材32の全体が網目状である。網目のサイズは、要求されている保護機能に対応するサイズ以下となっている。
【0038】
実施の形態3における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0039】
このような構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、保護部材32の全体が網目状であるため、端子台23の放熱性が保護部材32によって低減されることを抑制することができる。
【0040】
なお、実施の形態3では、保護部材32の全体を網目状としたが、保護部材32の一部を網目状としてもよい。
【0041】
また、実施の形態2の保護部材32の少なくとも一部を網目状としてもよい。
【0042】
また、実施の形態1~3において、束ね部材33は省略してもよい。
【0043】
また、エレベーターのタイプは、
図1のタイプに限定されるものではなく、例えば2:1ローピング方式であってもよい。
【0044】
また、エレベーターは、機械室レスエレベーター、ダブルデッキエレベーター、ワンシャフトマルチカー方式のエレベーター等であってもよい。ワンシャフトマルチカー方式は、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式である。
【0045】
また、回転電機は、巻上機モーター4に限定されない。
【0046】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0047】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0048】
(付記1)
端子台のカバーに取り付けられており、複数の外部配線からなる配線束における前記端子台からの引き出し部の周囲を囲んでいる保護部材
を備え、
前記保護部材は、シート状部材が前記カバーの開口のサイズに合わせて筒状にされて構成されており、
前記保護部材における前記開口側の端部である第1端部は、前記開口の周縁部に固定されており、
前記保護部材における前記開口とは反対側の端部である第2端部は、前記配線束の外周に接するように絞られている回転電機の端子台保護装置。
(付記2)
前記保護部材の内側において前記複数の外部配線を束ねている束ね部材
をさらに備えている付記1記載の回転電機の端子台保護装置。
(付記3)
前記第2端部を絞っている絞り部材
をさらに備えている付記1又は付記2に記載の回転電機の端子台保護装置。
(付記4)
前記保護部材には、前記保護部材が筒状の状態からシート状の状態に開くことを阻止する締結部が設けられている付記1から付記3までのいずれか1項に記載の回転電機の端子台保護装置。
(付記5)
前記保護部材の少なくとも一部は、網目状である付記1から付記4までのいずれか1項に記載の回転電機の端子台保護装置。
(付記6)
回転電機本体、及び
付記1から付記5までのいずれか1項に記載の端子台保護装置
を備えている回転電機。
(付記7)
駆動シーブ、及び
前記駆動シーブを回転させる巻上機モーター
を備え、
前記巻上機モーターとして、付記6記載の回転電機が用いられているエレベーター巻上機。
【符号の説明】
【0049】
3 エレベーター巻上機、4 巻上機モーター(回転電機)、21 モーター本体(回転電機本体)、23 端子台、25 カバー、25a 開口、31 端子台保護装置、32 保護部材、32a 第1端部、32b 第2端部、33 束ね部材、34 絞り部材、35 締結部、41 配線束、41a 引き出し部。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-14
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動シーブ、及び
前記駆動シーブを回転させる巻上機モーター
を備え、
前記巻上機モーターとして、回転電機本体、及び端子台保護装置を備えている回転電機が用いられており、
前記端子台保護装置は、
端子台のカバーに取り付けられており、複数の外部配線からなる配線束における前記端子台からの引き出し部の周囲を囲んでいる保護部材
を備え、
前記保護部材は、可撓性を有するシート状部材が前記カバーの開口のサイズに合わせて筒状にされて構成されており、
前記保護部材における前記開口側の端部である第1端部は、前記開口の周縁部に固定されており、
前記保護部材における前記開口とは反対側の端部である第2端部は、前記配線束の外周に接するように絞られているエレベーター巻上機。
【請求項2】
前記端子台保護装置は、
前記保護部材の内側において前記複数の外部配線を束ねている束ね部材
をさらに備えている請求項1記載のエレベーター巻上機。
【請求項3】
前記端子台保護装置は、
前記第2端部を絞っている絞り部材
をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載のエレベーター巻上機。
【請求項4】
前記保護部材には、前記保護部材が筒状の状態からシート状の状態に開くことを阻止する締結部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のエレベーター巻上機。
【請求項5】
前記保護部材の少なくとも一部は、網目状である請求項1又は請求項2に記載のエレベーター巻上機。