(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128279
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】内装パッド、ヘルメット、及び、内装パッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
A42B 3/12 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A42B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037181
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】509137814
【氏名又は名称】株式会社ウインズジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】片岡 匡史
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA02
3B107BA03
3B107BA05
3B107BA06
3B107CA02
3B107DA03
(57)【要約】
【課題】 外部からの衝撃を軽減するヘルメットの内装パッドを提供する。
【解決手段】 内装パッド7は、棒状又は柱状の弾性体9が三次元網目状に連続する網目状構造体700からなる、ヘルメットの内側に取り付けるための内装パッドであり、網目状構造体700は、規則的な形状パターンを有し、網目状構造体700は、棒状又は柱状の弾性体9が網目状に形成された層を積層した積層構造を有し、積層構造は、一体的に形成され、棒状又は柱状の弾性体9により形成される網目の大きさは、網目状構造体700における場所に応じて異なる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体からなる、
ヘルメットの内側に取り付けるための
内装パッド。
【請求項2】
前記網目状構造体は、規則的な形状パターンを有する
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項3】
前記網目状構造体は、棒状又は柱状の弾性体が網目状に形成された層を積層した積層構造を有し、
前記積層構造は、一体的に形成され、
前記棒状又は柱状の弾性体により形成される網目の大きさは、前記網目状構造体における場所に応じて異なる
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項4】
前記棒状又は柱状の弾性体の太さは、前記網目状構造体において、前記ヘルメットの着用者の頭部当接領域から前記ヘルメットの帽体方向へ向かって太くなる
請求項3に記載の内装パッド。
【請求項5】
前記網目状構造体における前記棒状又は柱状の弾性体の密度は、前記ヘルメットの着用者の頭部当接領域から前記ヘルメットの帽体方向へ向かって高くなる
請求項3に記載の内装パッド。
【請求項6】
前記網目状構造体は、周縁部に向かって厚みが薄くなる
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項7】
前記網目状構造体において、前記網目状構造体と、前記ヘルメットの着用者の頭とが接する面には、前記棒状又は柱状の弾性体の切断面が存在しない
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項8】
前記網目状構造体において、前記網目状構造体と、前記ヘルメットの着用者の頭とが接触する領域とでは、前記棒状又は柱状の弾性体の素材が異なる
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項9】
前記ヘルメットへ取り付けられるための取付け部
さらに有し、
前記取付け部と、前記ヘルメット側に設けられた被取付け部とにより、前記ヘルメットへ着脱自在に取り付けられる
請求項1に記載の内装パッド。
【請求項10】
ヘルメットの内側に取り付けられた内装パッド
を有し、
前記内装パッドは、棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体からなる
ヘルメット。
【請求項11】
前記内装パッドは、前記ヘルメットの通気口により取り入れられた空気の流路の下流側に配置されている
請求項10に記載のヘルメット。
【請求項12】
棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体を、3Dプリンタにより造形する造形ステップと、
前記造形ステップにより造形された網目状構造体に、ヘルメットの内側へ取り付ける取付け部を形成する取付け部形成ステップと
を有する内装パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装パッド、ヘルメット、及び、内装パッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、ヘルメットの外殻を形成するシェル体と頭部に接触する内装パットとの間に設けられるヘルメット用緩衝材において、前記ヘルメット用緩衝材は、複数の断面中空状のユニット部材からなり、前記ユニット部材は、複数の壁部を有する角錐台形状のブロックと、このブロックの角部から外方に延設したフィンとからなり、前記フィンの一部同士を連続させることによって隣り合うユニット部材同士を連結してなることを特徴とするヘルメット用緩衝材が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、発泡ウレタンのクッション材の一側面に伸縮性を有した表布地を貼着し、他側面には非伸縮性の布地又はフィルムからなる裏地を貼着し、これを所定の形状に裁断してなることを特徴とするヘルメットの内装体用パッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-254920号公報
【特許文献2】特開平9-241915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部からの衝撃を軽減するヘルメットの内装パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内装パッドは、棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体からなる、ヘルメットの内側に取り付けるための内装パッドである。
【0007】
好適には、前記網目状構造体は、規則的な形状パターンを有する。
【0008】
好適には、前記網目状構造体は、棒状又は柱状の弾性体が網目状に形成された層を積層した積層構造を有し、前記積層構造は、一体的に形成され、前記棒状又は柱状の弾性体により形成される網目の大きさは、前記網目状構造体における場所に応じて異なる。
【0009】
好適には、前記棒状又は柱状の弾性体の太さは、前記網目状構造体において、前記ヘルメットの着用者の頭部当接領域から前記ヘルメットの帽体方向へ向かって太くなる。
【0010】
好適には、前記網目状構造体における、前記棒状又は柱状の弾性体の密度は、前記ヘルメットの着用者の頭部当接領域から前記ヘルメットの帽体方向へ向かって高くなる。
【0011】
好適には、前記網目状構造体は、周縁部に向かって厚みが薄くなる。
【0012】
好適には、前記網目状構造体において、前記網目状構造体と、前記ヘルメットの着用者の頭が接する面には、前記棒状又は柱状の弾性体の切断面が存在しない。
【0013】
好適には、前記網目状構造体において、前記網目状構造体と、前記ヘルメットの着用者の頭とが接触する領域とでは、前記が棒状又は柱状の弾性体の素材が異なる。
【0014】
好適には、前記ヘルメットへ取り付けられるための取付け部さらに有し、前記取付け部と、前記ヘルメット側に設けられた被取付け部とにより、前記ヘルメットへ着脱自在に取り付けられる。
【0015】
本発明に係るヘルメットは、ヘルメットの内側に取り付けられた内装パッド
を有し、前記内装パッドは、棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体からなる。
【0016】
好適には、前記内装パッドは、前記ヘルメットの通気口により取り入れられた空気の流路の下流側に配置されている。
【0017】
本発明に係る内装パッドの製造方法は、棒状又は柱状の弾性体が三次元網目状に連続する網目状構造体を、3Dプリンタにより造形する造形ステップと、前記造形ステップにより造形された網目状構造体に、ヘルメットの内側へ取り付ける取付け部を形成する取付け部形成ステップとを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部からの衝撃を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】衝撃吸収ライナー5に取り付けられた内装パッド7を例示する図である。
【
図3】(a)は、内装パッド70の全体図であり、(b)は、内装パッド70の平面図と断面図を例示する図である。
【
図4】(a)は、内装パッド72の全体図であり、(b)は、内装パッド72の平面図と断面図を例示する図である。
【
図5】内装パッド7の網目状構造体700を説明する図である。
【
図6】(a)は、網目状構造体700における弾性体9の密度による孔702の大きさの違いを説明する図であり、(b)は、網目状構造体700を構成する弾性体9の太さによる孔702の大きさを説明する図である。
【
図7】(a)は、内装パッド70の取付け部74を例示する図であり、(b)は、衝撃吸収ライナー5の被取付け部52を例示する図である。
【
図8】内装パッド7の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、ヘルメット1の全体構成を例示する図である。
図2は、衝撃吸収ライナー5に取り付けられた内装パッド7を例示する図である。
図1に例示するように、ヘルメット1は、帽体3と、通気口4と、帽体3の内側に設けられた衝撃吸収ライナー5と、衝撃吸収ライナー5に取り付けられた内装パッド7とを有する。
帽体3は、PP、ABS、その他の樹脂材又はFRP等によって形成されており、ヘルメット着用者の頭頂部と側頭部を覆う半球殻状に形成されている。
通気口4は、ヘルメット1を装着して走行しているときのヘルメット1内への空気の出入り口であり、通気口4aは、空気の取り入れ口であり、通気口4bは、空気の排出口である。
衝撃吸収ライナー5は、例えば、発泡スチロールからなる半球殻状の衝撃吸収部材であり、帽体3の内側に嵌め込まれている。衝撃吸収ライナー5は、
図2に例示するように、2本の溝50がヘルメット着用者の前頭部から後頭部に亘って形成されている。
内装パッド7は、ヘルメット1の内側に取り付けられる。具体的には、内装パッド7は、ヘルメット1の通気口4の空気の流れの下流側に配置されている。より具体的には、通気口4aと通気口4bとの間に配置されている。すなわち、内装パッド7は、ヘルメット1内の流れる空気の流路に位置する。
内装パッド7は、棒状又は柱状の弾性体9が三次元網目状に連続する網目状構造体700と、ヘルメット1へ取り付けられるための取付け部74とを有する。具体的には、内装パッド7は、衝撃吸収ライナー5の内側に取り付けられ、内装パッド7は、頭頂部に当接するように配置される左右一対の内装パッド70(右側内装パッド70aと左側内装パッド70b)と、前頭部または後頭部に当接するように配置される内装パッド72(前頭部内装パッド72aと後頭部内装パッド72b)とを含む。
【0021】
図3(a)は、内装パッド70の全体図であり、(b)は、内装パッド70の平面図と断面図を例示する図である。
内装パッド70は、
図1及び
図3(a)に例示するように、ヘルメット1の着用者の前頭部から後頭部に沿うように湾曲し、ヘルメット1の内側に取り付けられる。具体的には、内装パッド70は、
図2に例示するように、衝撃吸収ライナー5の内側に、左右一対で取り付けられる。より具体的には、内装パッド70は、衝撃吸収ライナー5に設けられた溝50aに、右側内装パッド70aが取り付けられ、溝50bに、左側内装パッド70bが取り付けられる。
具体的には、
図3(a)に例示するように、内装パッド70は、三日月形状であり、内装パッド70は、周縁部に向かって厚みが薄くなる。より具体的には、内装パッド70を構成する網目状構造体700は、ヘルメット1の着用者の頭頂部当接領域から側頭部当接方向へ厚みが薄くなる。さらに具体的には、
図3(b)のX―Xにおける断面図に表されるように、右側内装パッド70aは、右側頭部方向へ厚みが薄くなる。また、Y―Yにおける断面図に表されるように、左側内装パッド70bは、左側頭部方向へ厚みが薄くなる。内装パッド70は、頭頂部当接領域から側頭部方向へと厚みが薄くなることでヘルメット1の着用者の頭部に沿い、ヘルメット1のフィット感を高める。
【0022】
図4(a)は、内装パッド72の全体図であり、(b)は、内装パッド72の平面図と断面図を例示する図である。
内装パッド72は、前頭部内装パッド72aと後頭部内装パッド72bとを含み、帯形状である。
図2に例示するように、前頭部内装パッド72aは、ヘルメット1の着用者の前頭部に当接するように取り付けられ、額の丸みに沿って長手方向、及び短手方向に湾曲している。具体的には、前頭部内装パッド72aは、湾曲した凹み部分で前頭部を覆うように取り付けられる。
後頭部内装パッド72bは、ヘルメット1の着用者の後頭部に当接するように取り付けられ、ヘルメット1の着用者の後頭部の丸みに沿って長手方向、及び短手方向に湾曲している。具体的には、後頭部内装パッド72bは、湾曲した凹み部分で後頭部を覆うように取り付けられる。
図4(b)のZ―Zにおける断面図に表されるように、内装パッド72を構成する網目状構造体700の厚みは一定である。
【0023】
内装パッド7の網目状構造体700は、棒状又は柱状の弾性体9が、三次元網目状に連続する構造体である。具体的には、弾性体9は、樹脂であり、例えば、耐水性のエーテル系ウレタンである。弾性体9が樹脂であるため、内装パッド7は、洗濯しても乾きやすいという利点を有する。また、網目状構造体700は、網目状構造体700のうち、網目状構造体700とヘルメット1の着用者の頭とが接触する領域と、それ以外の領域とでは、弾性体9の素材が異なってもよい。例えば、網目状構造体700において、ヘルメット1の着用者の頭が接触する領域の弾性体9は、耐水性のエーテル系ウレタンとファブリックとの複合材でもよい。また、網目状構造体700のうち、着用者と接する領域をスポンジやファブリックで覆ってもよい。より具体的には、網目状構造体700の肌に接触する面に、伸縮性を有する布地を貼着する。または、内装パッド7全体を伸縮性と通気性とを有する布地で覆ってもよい。肌に接触する部分を柔らかい素材とすることで、ヘルメット1の装着時に網目状構造体700の材質が直接肌に当たることがなく、装着感に優れる。
さらに、網目状構造体700は、抗菌剤によりコーティングされてもよい。
【0024】
図5は、内装パッド7の網目状構造体700を説明する図である。
図6は、網目状構造体700の孔702を説明する図である。
網目状構造体700は、棒状又は柱状の弾性体9が三次元網目状に連続する網目状構造を有する。具体的には、網目状構造体700の3次元網目形状は、規則的な形状パターンを有する。したがって、網目状構造体700の3次元網目形状の網目である孔702は規則的となり、ヘルメット1内に流入する空気の流路が規則的になり、圧力損失が小さくなる。より具体的には、網目状構造体700は、網目状に形成された層を積層した積層構造を有し、積層構造は、一体的に形成されている。
網目状構造体700において、棒状又は柱状の弾性体9により形成される網目である孔702の大きさは、網目状構造体700における場所に応じて異なる。具体的には、孔702は、網目状構造体700において、ヘルメット1の着用者の頭部当接領域からヘルメット1の帽体3方向へ向かって小さくなる。具体的には、網目状構造体700の頭部当接領域は、帽体3に近い領域と比べて、孔702の孔径が大きく、通気性がよい。一方で、網目状構造体700の帽体3に近い領域は、孔702の孔径が小さく、弾性体9の密度が高いため、弾力性に富み、外部からの衝撃を緩和する働きがより強い。
図6(a)に例示するように、網目状構造体700における棒状又は柱状の弾性体9の密度を、ヘルメット1の着用者の頭部当接領域からヘルメット1の帽体3方向へ向かって高くすることで、孔702の大きさは、帽体3方向へ向かって小さくなる。
また、
図6(b)に例示するように、棒状又は柱状の弾性体9の太さを、網目状構造体700において、ヘルメット1の着用者の頭部当接領域からヘルメット1の帽体3方向へ向かって太くすることで、孔702の大きさは、帽体3方向へ向かって小さくなる。
【0025】
図7(a)は、内装パッド70の取付け部74を例示する図であり、(b)は、衝撃吸収ライナー5の被取付け部52を例示する図である。
内装パッド7は、衝撃吸収ライナー5へ保持されるための取付け部74を有する。内装パッド7は、取付け部74と、衝撃吸収ライナー5側に設けられた被取付け部52とにより、衝撃吸収ライナー5へ着脱自在に取り付けられる。
取付け部74は、
図7(a)に例示するように、内装パッド70の衝撃吸収ライナー5に合わさる面の長手方向の両端に設けられる。取付け部74は、オス、又はメスの面ファスナーであり、網目状構造体700と一体的に形成されている。内装パッド72の取付け部74も同様に、衝撃吸収ライナー5に合わさる面の長手方向の両端に設けられる。
また、衝撃吸収ライナー5の被取付け部52は、内装パッド7の取付け部74と接続可能な位置に2カ所設けられる。具体的には、
図7(b)に例示するように、内装パッド70の取付け部74と接続する被取付け部52は、溝50の長手方向の両端に設けられる。より具体的には、被取付け部52は、内装パッド7と接続するメス、又はオスの面ファスナーを有する。
同様に、内装パッド72の接続する衝撃吸収ライナー5の被取付け部52は、前頭部内装パッド72a又は後頭部内装パッド72bの取付け部74と接続可能な位置に2カ所設けられる。
本発明の取付け部74には、面ファスナーに代えてスナップボタンなどを用いても良い。
なお、取付け部74、及び被取付け部52は2カ所に設けられているが、内装パッド7が衝撃吸収ライナー5に保持されれば、2カ所に限られない。
【0026】
図8は、内装パッド7の製造方法(S10)を説明するフローチャートである。
内装パッド7は、3Dプリンタにより製造される。
ステップ100(S100)において、製作者は、コンピュータを用いて、内装パッド7の3次元形状を表す3次元形状データを作成する。
ステップ105(S105)において、作成した3次元形状データに基づいて、内装パッド7のスライスデータを作成する。スライスデータとは、3次元造形物を平行な切断面で切断し、各層に分離したデータである。
ステップ110(S110)において、3Dプリンタは、スライスデータに基づいて、内装パッド7となる網目状構造体700を製造する。
ステップ115(S115)において、取付け部74となる面ファスナーを網目状構造体700へ付ける。取付け部74は、弾性を有する樹脂により網目状構造体700へ付けられ、髪を付けない素材であることが望ましい。また弾性を有する樹脂により取り付けることで、網目状構造体700の撓みに追従して樹脂も撓み、取付け部74が剥がれることが防がれる。
【0027】
内装パッド7の網目状構造体700は、3Dプリンタによって、弾性体9を三次元の網目状に連続させて造形されているため、発泡して形成された多孔質体(発泡ウレタンなど)と比較して、壁に囲われた領域が少ないため、圧力損失が小さく、また、丸洗いし、乾燥させやすい。
さらに、網目状構造体700は、3Dプリンタにより、網目状に形成された層を積層した積層構造が一体的に形成されたものであるため、網目状構造体700において、網目状構造体700と、ヘルメット1の着用者の頭とが接する面には、弾性体9の切断面が存在しない。すなわち、網目状構造体700は、切削加工やせん断加工などにより発生する切断面がないため、切断面の尖った部分により肌触りが悪くなることや、肌を傷つけることもない。さらに、3Dプリンタを用いて網目状構造体700を製造することにより、特定の衝撃吸収ライナー専用の網目状構造体700の形状を容易に実現することができる。
【0028】
以上説明したように、内装パッド7は、衝撃吸収ライナー5に取り付けることで、衝撃吸収ライナー5と着用者の頭部と間に生じる隙間を埋め、ヘルメット1をより着用者にフィットさせることが出来るとともに、内装パッド7の弾力性により外部から加わる衝撃を軽減することが可能である。また、内装パッド7は、着用者の頭部に触れる領域はより柔らかく、装着感に優れ、衝撃吸収ライナー5に接する領域はより硬く、弾力性に富み、外部からの衝撃を軽減する働きが強い。すなわち、内装パッド7は、場所により異なる機能を有する。
また、内装パッド7は、3Dプリンタにより製造されているため、内装パッド7を構成する網目状構造体700の孔702の大きさ、または内装パッド7を構成する弾性体9の太さを内装パッド7の部位により変更するような複雑な構造を実現することができる。
【0029】
[変形例]
上記実施形態では、衝撃吸収ライナー5に2本の溝50a及び溝50bに沿うように、形成された右側内装パッド70a、及び左側内装パッド70bについて説明したが、これに限定されず、例えば、内装パッド7は、右側内装パッド70a、左側内装パッド70b、前頭部内装パッド72a、後頭部内装パッド72bの形状以外にも、ドーナツ形、円形、又は楕円形等でもよく、衝撃吸収ライナー5の形状に合わせて、形成されてもよい。
また、上記実施形態では、頭部当接領域と、帽体3当接領域との網目形状は同じで孔702の大きさが異なる場合について説明しているが、これに限定されず、例えば、頭部当接領域と帽体3当接領域とで網目形状が異なってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…ヘルメット
3…帽体
4a、4b…通気口
5…衝撃吸収ライナー
9…弾性体
50…溝
52…被取付け部
7…内装パッド
70a…右側内装パッド
70b…左側内装パッド
72a…前頭部内装パッド
72b…後頭部内装パッド
74…取付け部
700…網目状構造体
702…孔