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特開2024-128280情報読取装置及びピッキング補助ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128280
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報読取装置及びピッキング補助ロボット
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G06K7/10 148
G06K7/10 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037182
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕之
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
(72)【発明者】
【氏名】マナンダル アクシャア
(57)【要約】
【課題】読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制できる情報読取装置を提供する。
【解決手段】情報読取装置200は、読取対象の物品40に付加されるRFIDタグ41からタグ情報IDを読み取るRFIDアンテナ210と、RFIDアンテナ210への物品40の接近を検知する検知部としての距離センサ220と、距離センサ220により物品40の接近が検知されたときにRFIDアンテナ210からの電波Wの発報を開始させる制御部230と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の物品に付加されるRFIDタグから情報を読み取るRFIDアンテナと、
前記RFIDアンテナへの前記物品の接近を検知する検知部と、
前記検知部により前記物品の接近が検知されたときに前記RFIDアンテナからの電波の発報を開始させる制御部と、
を備える情報読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記RFIDアンテナにより複数の前記RFIDタグから前記情報が読み取られた場合、前記複数のRFIDタグのうち前記情報の受信信号強度が最も大きいRFIDタグの前記情報を選択して記録する、
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記検知部が距離センサである、
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記RFIDアンテナ、前記検知部、及び制御部が単一の筐体内に格納される、
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記RFIDアンテナ、前記検知部、及び制御部が単一の基板上に設置され、前記基板の背面には金属板が配置される、
請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記検知部が前記RFIDアンテナに隣接される、
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記RFIDアンテナによる前記電波の発報開始、発報停止、及び前記情報の読取完了の少なくとも一部を報知する報知部を備える、
請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報読取装置を備えるピッキング補助ロボット。
【請求項9】
前記物品を収容する収容部を備え、
前記情報読取装置は、前記検知部の検知方向と、前記RFIDアンテナの読取方向とが、平面視において前記収容部と重ならないよう設置される、
請求項8に記載のピッキング補助ロボット。
【請求項10】
前記物品は、ハンガーに掛けられた状態の衣服であるハンガー付き衣服であり、
前記ハンガー付き衣服を掛けるハンガーラックを備え、
前記情報読取装置は、前記検知部の検知方向と、前記RFIDアンテナの読取方向とが、平面視において前記ハンガーラックの延在方向と重なるよう設置される、
請求項8に記載のピッキング補助ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報読取装置及びピッキング補助ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫等に保管されている物品を注文に応じて出荷する際に、作業者が倉庫等内の物品の中から出荷する物品を選んで取り出すピッキング作業が知られている。
【0003】
また、このようなピッキング作業の際に、進捗状況の管理等を容易にするために、各物品に付加されるRFID(Radio Frequency Identification)タグをRFIDリーダなどの読取装置を用いて読み取る構成を適用することも知られている。
【0004】
ただし、RFIDタグをRFIDリーダ等で読み取ってピッキング作業を行う場合、RFIDリーダの電波が強すぎるとピッキング対象ではない読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る虞がある。
【0005】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、RFIDリーダの受信感度をユーザ入力により調整する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-120090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1などに記載の従来手法では、RFIDリーダの受信感度を手動で調整するので、使用環境に適した設定にできない場合がある。このため、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制する点で改善の余地がある。
【0008】
本開示は、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制できる情報読取装置及びピッキング補助ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の一観点に係る情報読取装置は、読取対象の物品に付加されるRFIDタグから情報を読み取るRFIDアンテナと、前記RFIDアンテナへの前記物品の接近を検知する検知部と、前記検知部により前記物品の接近が検知されたときに前記RFIDアンテナからの電波の発報を開始させる制御部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、RFIDアンテナが電波を発報する期間を、検知部により物品の接近が検知された期間内に限定することができる。これにより、読取対象の物品がRFIDアンテナの受信可能範囲内か、受信可能範囲の近傍に接近しているときに絞ってタグ読取動作を行うことができるので、読取対象のRFIDタグを精度良く読み取ることが可能となる。この結果、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制できる。さらに、RFIDアンテナが情報読取装置の作動中に常時電波を発報せず、電波発報期間を短縮化できるので、RFIDアンテナの電力消費を低減でき、省エネルギー化を図れる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置では、前記制御部は、前記RFIDアンテナにより複数の前記RFIDタグから前記情報が読み取られた場合、前記複数のRFIDタグのうち前記情報の受信信号強度が最も大きいRFIDタグの前記情報を選択して記録する構成でもよい。
【0012】
この態様によれば、RFIDアンテナが複数のタグ情報を読み取った場合でも、制御部は、受信信号強度が最も大きいRFIDタグ、すなわち情報読取装置に接近しており、読取対象である可能性が最も高いRFIDタグ、に限定してタグ情報を記録できるので、RFIDアンテナによる読取対象以外のRFIDタグの読み取りをさらに抑制できる。
【0013】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置では、前記検知部が距離センサである構成でもよい。
【0014】
この態様によれば、距離センサにより検知される周囲の物体との距離情報に基づいて物品の接近を精度良く検出できる。
【0015】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置では、前記RFIDアンテナ、前記検知部、及び制御部が単一の筐体内に格納される構成でもよい。
【0016】
この態様によれば、情報読取装置の各構成要素であるRFIDアンテナ、検知部、及び制御部を保護することができ、装置寿命を延ばすことができる。
【0017】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置では、前記RFIDアンテナ、前記検知部、及び制御部が単一の基板上に設置され、前記基板の背面には金属板が配置される構成でもよい。
【0018】
この態様によれば、金属板が、情報読取装置の各構成要素であるRFIDアンテナ、検知部、及び制御部の電磁シールド材として機能してノイズを低減できる。また、金属板が各構成要素のアースとして機能できる。
【0019】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置では、前記検知部が前記RFIDアンテナに隣接される構成でもよい。
【0020】
この態様によれば、検知部による物品の接近検知と、RFIDアンテナの受信可能範囲への物品の接近との関係をより密接にすることができ、RFIDアンテナの起動、停止制御をより精度良くできる。
【0021】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取装置は、前記RFIDアンテナによる前記電波の発報開始、発報停止、及び前記情報の読取完了の少なくとも一部を報知する報知部を備える構成でもよい。
【0022】
この態様によれば、タグ情報読取制御の進捗状況を作業者に分かりやすく知らせることができ、利便性を向上できる。
【0023】
本発明の実施形態の一観点に係るピッキング補助ロボットは、上述の情報読取装置を備える。
【0024】
この態様によれば、ピッキング作業中に、ピッキング対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制でき、ピッキング作業をより効率良く行うことが可能となる。
【0025】
本発明の実施形態の他の観点に係るピッキング補助ロボットは、前記物品を収容する収容部を備え、前記情報読取装置は、前記検知部の検知方向と、前記RFIDアンテナの読取方向とが、平面視において前記収容部と重ならないよう設置される構成でもよい。
【0026】
この態様によれば、ピッキング作業において、検知部による物品の接近検知と、RFIDアンテナによるRFIDタグからのタグ情報の読取の作業を、ピッキング対象の物品を収容する収容部と干渉しない位置で実施できるので、検知部やRFIDアンテナの検知精度を向上できる。
【0027】
本発明の実施形態の他の観点に係るピッキング補助ロボットでは、前記物品は、ハンガーに掛けられた状態の衣服であるハンガー付き衣服であり、前記ハンガー付き衣服を掛けるハンガーラックを備え、前記情報読取装置は、前記検知部の検知方向と、前記RFIDアンテナの読取方向とが、平面視において前記ハンガーラックの延在方向と重なるよう設置される構成でもよい。
【0028】
この態様によれば、ピッキング対象がハンガー付き衣服のように嵩張るものである場合でも、ハンガーラックにハンガー付き衣服を掛けるという一つの作業によって、タグ情報の読取を完了することができる。これにより、ピッキング作業を効率良く行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制できる情報読取装置及びピッキング補助ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係るピッキング補助ロボットの概略構成を示す側面図
図2】実施形態に係るピッキング補助システムの全体の構成図
図3】ピッキング補助システムによるピッキング作業の概要を説明する図
図4】実施形態に係る情報読取装置の外観を示す斜視図
図5図4に示す情報読取装置の分解斜視図
図6】基板上の部品配置を示す図
図7】実施形態に係るタグ情報読取制御の概要を説明する図
図8】情報読取装置の制御部の機能ブロック図
図9】制御部のハードウェア構成図
図10】実施形態に係るタグ情報読取制御のフローチャート
図11】ピッキング補助ロボットの第一変形例を示す図
図12】ピッキング補助ロボットの第二変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は、ピッキング補助ロボット100の前後方向である。Y方向は、ピッキング補助ロボット100の幅方向である。また、以下では説明の便宜上、Z正方向側を上側、Z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0033】
<ピッキング補助ロボットの概略構成>
図1は、実施形態に係るピッキング補助ロボット100の概略構成を示す側面図である。ピッキング補助ロボット100は、搬送車110、フレーム120、ボックス130A、130B、タブレットコンピュータ140、バーコードリーダ150、情報読取装置200を備える。
【0034】
ピッキング補助ロボット100は、一例として、店舗、物流センタ、倉庫等の建物内で用いられ、自走式の搬送車110で自動的に走行しながら、作業者Pが物品40(図2参照)のピッキング(物品を選んで取り出すこと)を行う作業を補助するロボット(装置)である。
【0035】
ここで、物品40とは、店舗、物流センタ、倉庫等の建物内の棚等に配置される様々な商品等であり、例えば、洋服や日用品等の様々な商品等であってよい。また、物品40は、飲み薬、注射薬、又は外用治療薬等の医薬品、マスク、又はその他の医療用の衣服や器具等であってもよい。
【0036】
搬送車110は、移動体の一例であり、一例として所謂AGV(Automatic Guided Vehicle)で実現される。搬送車110は、コンピュータで構成される制御部を有する。搬送車110の制御部は、情報読取装置200と有線通信又は無線通信でデータ通信可能である。搬送車110の制御部は、建物内に配置された棚等の間の通路等について作成された電子マップに従って、情報読取装置200から伝送される位置情報が表す所定の位置に搬送車110を移動させる。搬送車110の制御部は、位置情報が表す所定の位置への移動が完了すると、所定の位置に到着したことを表す到着通知を情報読取装置200に伝送する。なお、ここでは、情報読取装置200が管理サーバ10(図2参照)から受信するピッキングの指示に含まれる位置情報を用いて搬送車110が移動する形態について説明するが、搬送車110が管理サーバ10と直接的に無線通信可能な無線通信機能を有していて、管理サーバ10から直接的に位置情報を無線通信で入手してもよい。
【0037】
フレーム120は、搬送車110に取り付けられ、ボックス130A、130B、情報読取装置200、タブレットコンピュータ140、バーコードリーダ150を保持する。フレーム120は、フレーム本体121とステー122とを有する。フレーム本体121は、一例としてアルミニウム製の棒状の部材であり、一例として鉄製のステー122が取り付けられている。
【0038】
フレーム本体121は、搬送車110の上面から鉛直方向上方に立設される。ステー122は、フレーム本体121の上下方向の中間付近に水平方向に取り付けられている。ステー122の上面にはボックス130Aが取り付けられる。
【0039】
ボックス130A、130Bは、収容部の一例であり、作業者Pによってピッキングされた物品40が収容される。ボックス130A、130Bは、一例として直方体状の箱であり、上面が開口された入口131A、131Bを有する。
【0040】
ボックス130Aは、上述のようにステー122の上面に取り付けられ、ボックス130Bは、搬送車110の上面に取り付けられる。ボックス130Aは上段に位置し、ボックス130Bは下段に位置する。ここではボックス130Aがステー122でフレーム本体121に取り付けられて、ボックス130Bが搬送車110の上面に取り付けられる形態について説明する。しかしながら、ボックス130Aがボックス130Bよりも上に位置していればよく、ボックス130A、130Bの取り付け方は、どのような形態であってもよい。また、ここでは、ピッキング補助ロボット100が2つのボックス130A、130Bを含む形態について説明するが、ボックスの数が1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0041】
作業者Pは、ピッキングした物品40を2つのボックス130A、130Bのいずれに入れてもよいが、例えば、発送先等に応じて2つのボックス130A、130Bのいずれに入れるようにしてもよい。また、発送先等が2つある場合に、2つのボックス130A、130Bを2つの発送先に分けて利用してもよい。
【0042】
図1の例では、フレーム120のフレーム本体121が搬送車110の上面のうちX正方向側の端部に設置され、ステー122がフレーム本体121の上下方向の中間位置からX負方向側へ延在して設置されている。これにより、ボックス130A、130Bは共に搬送車110の上面の直上に設置され、搬送車110のフットプリントの範囲内に配置できる。
【0043】
情報読取装置200は、ピッキング作業における読取対象の物品40に付加されているRFIDタグから物品に関する情報(以下では「物品ID」、「物品ID情報」、「タグ情報ID」などとも表記する場合がある)を読み取る装置である。情報読取装置200は、例えば図1に示すように、フレーム120のフレーム本体121において、ステー122やボックス130A、130Bと反対側(X正方向側)に設置される。
【0044】
情報読取装置200は、筐体270内にRFIDアンテナ210(読取部)と、距離センサ220(検知部)と、制御部230を内蔵している。
【0045】
RFIDアンテナ210は、RFIDタグから情報を読み取る。RFIDアンテナ210は、本実施形態ではX正方向側の指向性を有する。RFIDアンテナ210は、RFIDタグの読み取り用の周波数の電波Wを放射し、RFIDタグが送り返す電波を受信する。RFIDタグは、一例としてパッシブ型であり、バッテリを持たない。各RFIDタグのIC(Integrated Circuit)のメモリには固有の物品ID(Identifier)が格納されており、各RFIDタグは、RFIDアンテナ210から電波を受信すると、受信した電波の電力で起動して固有の物品IDを含む信号(図7(C)などに示すタグ情報IDに対応)を放射する。
【0046】
RFIDアンテナ210は、作業者Pが物品40を持ってピッキング補助ロボット100に接近移動する際に、当該物品40に付加されているRFIDタグ41を読取可能な高さ位置に設置されるのが好ましい。このようにRFIDアンテナ210を配置することにより、作業者Pが棚等からピッキングしてボックス130A、130Bに収容する物品40に付されたRFIDタグ41を確実に読み取ることができ、読み取り漏れ(読み抜け)を抑制することができる。このため、所望の物品40を所望の個数だけ正確にピッキングすることができる。
【0047】
距離センサ220は、検知範囲S内にある検知対象物までの距離を検知する。距離センサ220は、RFIDアンテナ210の指向性と同様に、X正方向側が検知範囲Sとなるように設置される。これにより、RFIDアンテナ210の受信可能領域に読取対象の物品40を持った作業者Pが接近することを検知できる。
【0048】
制御部230は、ピッキング補助ロボット100によるピッキング作業の各動作を制御する。特に、距離センサ220の検出結果に基づき、RFIDアンテナ210の起動、停止を制御する。また、制御部230は、RFIDアンテナ210がRFIDタグ41から読み取った物品ID情報を受信し、管理サーバ10へ送信する。
【0049】
タブレットコンピュータ140は、ディスプレイとタッチパネルを有し、ディスプレイに表示されるGUI(Graphic User Interface)等の画像に触れることで操作可能な端末機である。タブレットコンピュータ140は、ピッキングの指示及びピッキングの状況を情報読取装置200から受信してディスプレイに表示する例えば、タブレットコンピュータ140は、アプリケーションソフトウェアを用いて、ピッキングの指示を表示することができる。
【0050】
なお、ここでは、ピッキング補助ロボット100がタブレットコンピュータ140を含む形態について説明するが、スマートフォンやノート型パーソナルコンピュータ等の任意のコンピュータ端末を用いることができる。
【0051】
バーコードリーダ150は、物品40に付加されるバーコートを読み取って物品情報を取得する装置である。バーコードリーダ150は、RFIDタグ41が付加される物品40にバーコードも付加されている場合に、RFIDタグ41の代わりにバーコードを読み取って物品IDを取得できる。バーコードリーダ150は、例えばRFIDタグ41付きの物品40がRFIDアンテナ210の受信可能範囲にある場合でも、RFIDアンテナ210がRFIDタグ41から情報を読み取れない状況が発生したときなどに、RFIDアンテナ210の代わりに物品情報を取得する手段として利用できる。
【0052】
<ピッキング補助システムの概略構成>
図2図3を参照して、図1のピッキング補助ロボット100を用いるピッキング補助システム1の概要について説明する。
【0053】
図2は、実施形態に係るピッキング補助システム1の全体の構成図である。図2に示されるように、ピッキング補助システム1は、管理サーバ10と、ピッキング補助ロボット100とを含む。
【0054】
ピッキング作業を実施する作業者Pは、一例として、店舗、物流センタ、倉庫等の建物内において、ピッキング補助ロボット100の前にある棚6(図3参照)等に配置されている物品40をボックス130A又は130Bに入れる。各物品40にはRFIDタグ41が1つずつ付されており、作業者Pが物品40をボックス130A、130Bに収容する前に、情報読取装置200に内蔵されているRFIDアンテナ210によって物品40に付されたRFIDタグ41の物品IDが読み取られる。
【0055】
管理サーバ10は、ピッキングの指示(ピッキング指令)をピッキング補助ロボット100の情報読取装置200へ送信する。ピッキングの指示は、ピッキング補助ロボット100が移動すべき位置と、作業者Pがボックス130A又は130Bに入れるべき物品40の種類と、作業者Pがボックス130A又は130Bに入れるべき物品40の個数との情報を含みうる。ピッキング補助ロボット100が移動すべき位置は、物品40が配置又は保管等されている位置である。また、管理サーバ10は、ピッキングの状況を情報読取装置200やタブレットコンピュータ140へ送信することができる。ピッキングの状況は、既にボックス130A又は130Bに入れられている各物品40の個数の情報を含みうる。
【0056】
管理サーバ10は、1つまたは複数のコンピュータで構成される。また、管理サーバ10は、任意のネットワーク50を介して、情報読取装置200やタブレットコンピュータ140とデータを送受信することができる。
【0057】
タブレットコンピュータ140は、ピッキングの指示およびピッキングの状況をディスプレイ上に表示する例えば、タブレットコンピュータ140は、アプリケーションソフトウェアを用いて、ピッキングの指示を表示することができる。作業者Pは、ピッキング補助ロボット100がいる位置に歩いて行き、タブレットコンピュータ140に表示されている物品40の種類と棚等の位置とを確認し、物品40をピッキングしてボックス130A、130Bに入れる。
【0058】
情報読取装置200に内蔵されるRFIDアンテナ210は、RFIDタグ41に書き込まれている物品ID情報を読み取る。RFIDアンテナ210は、RFIDタグ41から読み取った物品ID情報を情報読取装置200内の制御部230へ伝送する。制御部230は、RFIDアンテナ210から受信した物品ID情報を管理サーバ10へ送信する。
【0059】
また、情報読取装置200は、物品ID情報を受け取り、ピッキングの指示の通りの正しい物品40であると判定すると、正しい物品40であることを表す応答音を出力する。一方。情報読取装置200は、物品ID情報を受け取り、ピッキングの指示の通りの正しい物品40ではないと判定すると、正しい物品40ではないことを表す応答音を出力する。作業者Pは、自分の行っているピッキング作業が正しいかどうかを応答音で確認することができる。なお、情報読取装置200は、応答音の代わりに、又は、応答音に加えて、正しい物品40であること、又は、正しい物品40ではないことを表す応答表示をタブレットコンピュータ140のディスプレイに表示してもよい。
【0060】
ピッキング補助ロボット100は、タブレットコンピュータ140と、情報読取装置200とを含む。
【0061】
物品40は、上述したように、店舗、物流センタ、倉庫等の建物内の棚等に配置される様々な商品等である。物品40には、RFIDタグ41が付されている。RFIDタグ41は、物品ID情報が書き込まれているメモリを内蔵するICチップを有する。RFIDタグ41は、各物品40に1つずつ付されている。RFIDタグ41を物品40に付すとは、RFIDタグ41を物品40に取り付けることを言い、具体的には、例えば、RFIDタグ41を物品40に貼り付ける、縫い付ける、又は、ストラップ等で固定すること等を意味する。
【0062】
管理サーバ10は、物品40が物流センタ等に入荷すると、RFIDタグ41に書き込まれている物品ID情報と、そのRFIDタグ41が付されている物品40の情報とを紐付けて管理する。
【0063】
図3は、ピッキング補助システム1によるピッキング作業の概要を説明する図である。
【0064】
図3には、複数の棚6が設置されている倉庫20内において、3台のピッキング補助ロボット100A~100Cを使って、各棚6に置かれている(1A)~(4A)の物品40をピッキング補助ロボット100Aでピッキングし、(1B)~(4B)の物品40をピッキング補助ロボット100Bでピッキングし、(1C)~(4C)の物品40をピッキング補助ロボット100Cでピッキングする様子を示す。ピッキング補助ロボット100A~100Cは、図1図2に示すピッキング補助ロボット100と同一である。
【0065】
一例として、ピッキング補助ロボット100A~100Cは、同じ通路に位置している。ピッキング補助ロボット100A~100Cは、ピッキングの指示に含まれる位置情報が表す棚6の前の位置で待機しているため、作業者Pはピッキング補助ロボット100A~100Cの位置に歩いて行き、タブレットコンピュータ140の表示の見ながら、ピッキングの指示に含まれる物品40をピッキングすればよい。完了操作が行われたピッキング補助ロボット(100A~100Cのいずれか)は、次のピッキングの指示に従って自動的に移動して棚の前で待機するため、作業者Pは、移動したピッキング補助ロボット(100A~100Cのいずれか)に近づき、ピッキング作業を行えばよい。このため、ピッキング補助ロボット100を用いれば、ピッキングの作業効率を大幅に向上させることができる。特に、複数のピッキング補助ロボット100A~100Cを用いれば、作業効率をさらに向上できる。
【0066】
<情報読取装置の概略構成>
図4図6を参照して、本実施形態に係る情報読取装置200の概略構成について説明する。図4は、実施形態に係る情報読取装置200の外観を示す斜視図である。図5は、図4に示す情報読取装置200の分解斜視図である。
【0067】
上述のように、情報読取装置200は、RFIDアンテナ210、距離センサ220、制御部230などが筐体270内に内蔵されている。図4図5に示すように、筐体270は、カバー201、フランジ付きベース202、及びパネル203、204によって形成される。なお、図4図5では、図1などに示すピッキング補助ロボット100への設置状態におけるX、Y、Z方向を示している。各図の上方向が、情報読取装置200をピッキング補助ロボット100に設置したときの水平方向である。また、各図の紙面奥側の方向が、情報読取装置200をピッキング補助ロボット100に設置したときの上方向である。
【0068】
カバー201は、X正方向側に配置される略矩形状の前面201Aと、前面201Aの各辺からX負方向側に延在する4つの側面201B~201Eとを有する。図4の例では、Z負正方向側の側面を側面201B、Y正方向側の側面を側面201C、Z正方向側の側面を側面201D、Y負方向側の側面を側面201Eとする。Z方向(上下方向)に対向する一対の側面201B、201Dには、X負方向側の端面からX正方向側に窪んで凹部201Fがそれぞれ形成される。
【0069】
パネル203、204は、X方向及びY方向の各寸法がカバー201の側面201B、201DのX方向及びY方向の各寸法より小さく形成される板状部材である。上述の側面201B、201Dに設けられる凹部201Fの形状はパネル203、204と同様の形状で形成され、これにより各凹部201Fにパネル203、204がそれぞれX負方向側から篏合可能となる。また、パネル203、204と凹部201Fとの対向する端面には、両者の篏合状態を保持できるように、一方に溝が設けられ、他方にこの溝に篏合する筋が設けられるのが好ましい。パネル203、204は、各凹部201Fに篏合されることによって、それぞれカバー201の側面201B、201Dと面一となって一体的に取り付けられる。
【0070】
フランジ付きベース202は、YZ平面に延在する平板状部材であり、凹部202Aと一対のフランジ部202B、202Cを有する。凹部202Aは、フランジ付きベース202のY方向中央に配置され、カバー201のX負方向側の端部嵌合するようフランジ付きベース202の上面から凹んで形成される。したがって凹部202Aの平面視の形状はカバー201と同様の略矩形状である。
【0071】
フランジ部202B、202Cは、凹部202AからそれぞれY方向両側に突出し、カバー201の側面201C、201Eの長手方向(Z方向)に沿って延在して形成される。フランジ部202B、202Cには複数の貫通孔202Dが設けられており、例えばこれらの貫通孔202Dにネジやボルトを通してフレーム120に締結させることによって、情報読取装置200をピッキング補助ロボット100に設置することができる。なお、フランジ部202B、202Cの凹部202Aに対する突出方向はY方向に限られず、例えばZ方向(上下方向)の両側に突出する構成でもよい。
【0072】
また、フランジ付きベース202の凹部202Aの矩形状の4つの角部には、ベース底面側に貫通する貫通孔202Eが設けられる。カバー201が凹部202Aに篏合された状態で、フランジ付きベース202の下面側(X負方向側)から貫通孔202Eにネジ207などを挿入してカバー201側に締結させることによって、カバー201をフランジ付きベース202に連結固定させることができる。
【0073】
また、図5に示すように、情報読取装置200は筐体270の内部に配置される基板206も備える。基板はYZ方向に延在し、カバー201の前面201Aやフランジ付きベース202と平行配置される板状部材である。基板206は、例えばフランジ付きベース202の凹部202Aの底面にネジ締結などによって連結固定される。基板206のX正方向側の主面206Aには、図5では図示を省略しているが、上述のRFIDアンテナ210、距離センサ220、制御部230が設置される。各要素の配置については図6を参照して後述する。
【0074】
カバー201の前面201Aには、カバー201をX方向に貫通するスリット205が設けられている。スリット205は、平面視において距離センサ220と重畳する位置に配置され、これにより距離センサ220の検知をカバー201が阻害しないようにされている。
【0075】
図6は、基板206上の部品配置を示す図である。図6に示すように、RFIDアンテナ210は、基板206の主面206Aの中央部に配置されるのが好ましい。これにより、情報読取装置200のカバー201の前面201Aの中心位置と、RFIDアンテナ210の中心位置とを略同一の位置に揃えることができるので、筐体270の外側からRFIDアンテナ210の受信可能範囲を把握しやすくでき、情報読取装置200の設置位置を決めやすくできる。
【0076】
また、距離センサ220は、RFIDアンテナ210に隣接配置されるのが好ましい。図6の例では、距離センサ220はRFIDアンテナ210の直上の位置に設置される。これにより、距離センサ220による物品40の接近検知と、RFIDアンテナ210の受信可能範囲への物品40の接近との関係をより密接にすることができ、後述するRFIDアンテナ210の起動、停止制御をより精度良くできる。また、距離センサ220はRFIDアンテナ210の直上に隣接配置されると、左右や下方に配置される場合と比較して、距離センサ220の検知範囲Sをより上方側にできるので、物品40を持ち運ぶ作業者Pの接近を検知しやすくでき、より迅速に接近を検知できる。
【0077】
また、上述したように、X方向視において、距離センサ220と重なる位置にカバー201の前面201A上に設けられるスリット205が配置されている。距離センサ220の検知範囲Sはカバー201の前面201Aが配置されるX正方向側である。このため、カバー201にスリット205を設け、カバー201の前面201Aのうち距離センサ220と重なる位置を局所的に開口することによって、カバー201によって距離センサ220の接近検知が阻害されることを防止できる。
【0078】
制御部230は、パネル203、204と近い位置に配置されるのが好ましい。パネル203、204は、例えば電源ケーブル250やLANケーブル260などの配線を通す穴を任意の位置に形成することができる。これらの各配線250、260は制御部230に物理的に接続される。
【0079】
電源ケーブル250やLANケーブル260などの配線は、情報読取装置200の使用環境などに応じてカバー201上で通す位置を変更できるのが都合良い。ただし、用途に応じてカバー201に設ける配線用の穴の位置を変更したさまざまなバージョンを作るのはコスト高となる。そこで本実施形態では、上述のようにパネル203、204をカバー201と別部材で形成し、カバー201の凹部201Fに篏合して一体的に組み立てる構成としている。このためパネル203、204はカバー201と脱着可能であるので、配線用の穴をパネル203、204上の任意の位置に設けるようにすれば、使用環境に応じてパネル203、204のみ加工を行えば済み、カバー201は使用環境によらず共用でき、コスト的に有利である。
【0080】
パネル203、204は、それぞれカバー201の下方側の側面201Bと、上方側の側面201Dに設けられる。図6の例では、基板206の上方側に距離センサ220が設置されるので、制御部230は下方側のパネル203に近い、基板206の下方に設置されている。
【0081】
また、基板206上の制御部230の近傍にはブザー240(報知部)が設置され、制御部230と物理的に接続されている。
【0082】
情報読取装置200の外装部品のうち、カバー201、フランジ付きベース202、及びパネル203、204の材料には、例えば難燃性ABS樹脂などが用いられるのが好ましい。また、基板206は、例えばプリント基板(printed circuit board:PCB)であり、絶縁体の板の上に導体の配線が施され、各配線が基板206上に設置されるRFIDアンテナ210、距離センサ220、制御部230、ブザー240などの各要素を電気的に接続する。
【0083】
<タグ情報読取制御>
図7図10を参照して、本実施形態の情報読取装置200により実施されるタグ情報読取制御について説明する。
【0084】
図7は、実施形態に係るタグ情報読取制御の概要を説明する図である。本実施形態では、情報読取装置200は、ピッキング作業中には距離センサ220を作動させている。一方、RFIDアンテナ210を基本的には停止状態としておき、距離センサ220により読取対象の物品40の接近が検知されたときに、RFIDアンテナ210を起動し電波Wの発報を開始させる。
【0085】
まず図7(A)に示すように、読取対象の物品40を持った作業者Pがピッキング補助ロボット100に向けて近づく。距離センサ220は、ピッキング補助ロボット100に向けて移動してくる作業者P及び物品40を検出する。ただし、この場合、距離センサ220により検出される距離が所定の閾値XD(cm)以上であり、ピッキング補助ロボット100からの距離がまだ比較的遠い。このため、情報読取装置200はRFIDアンテナ210を停止状態に維持する。
【0086】
次に図7(B)に矢印Aで示すように、作業者Pが図7(A)の位置よりピッキング補助ロボット100側に接近する。この場合、距離センサ220により検出される距離が閾値XD未満となり、ピッキング補助ロボット100からの距離が所定範囲まで近づいていることがわかる。このため、情報読取装置200はRFIDアンテナ210を起動状態に切り替えて、電波Wの発報を開始させる。
【0087】
さらに図7(C)に矢印Bで示すように、作業者Pが図7(B)の位置よりピッキング補助ロボット100側にさらに接近する。この場合、距離センサ220により検出される距離が閾値XD未満となる状態が維持されている。このため、情報読取装置200はRFIDアンテナ210を起動状態に維持し、この間にRFIDアンテナ210は電波Wによって物品40に付加されているRFIDタグ41から送信されるタグ情報IDを受信する。情報読取装置200は、RFIDアンテナ210が読み取ったタグ情報IDに基づき、ピッキング作業の進捗状況などの情報をタブレットコンピュータ140の画面に表示する。作業者Pは、タグ読取が完了した物品40をボックス130A、130Bに収容する。
【0088】
なお、情報読取装置200は、1つのタグ情報IDの読取が完了したときや、RFIDアンテナ210の起動後に所定時間経過したときなどの任意のタイミングで、RFIDアンテナ210を停止させることができる。つまり本実施形態では、RFIDアンテナ210は読取対象の物品40がピッキング補助ロボット100に接近している所定期間内に限定して起動される。これによりRFIDアンテナ210が電波Wを発報する期間を、読取対象の物品40がロボット近傍にあるときに絞れるので、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取ることを抑制できる。また、RFIDアンテナ210の電力消費量を低減できる。
【0089】
図8は、情報読取装置200の制御部230の機能ブロック図である。制御部230は、上述のタグ情報読取制御に関する機能として、接近検出部231と、読取制御部232と、ピッキング制御部233と、移動制御部234と、を有する。
【0090】
接近検出部231は、距離センサ220から入力される距離情報に基づき、作業者Pや物品40のピッキング補助ロボット100への接近を検知する。接近検出部231は、例えば図7に例示したように、距離情報が所定の閾値XD未満となったときに接近を検知することができる。接近検出部231は、接近物の有無に関する接近情報を読取制御部232に出力する。
【0091】
読取制御部232は、接近検出部231から入力される接近情報に基づきRFIDアンテナ210の起動、停止制御を行う。読取制御部232、例えば図7に例示したように、距離情報が所定の閾値XD未満となったときに起動指令をRFIDアンテナ210に出力する。また、読取制御部232は、起動中のRFIDアンテナがRFIDタグ41から読み取ったタグ情報IDが入力されると、タグ情報をピッキング制御部233に出力する。また、読取制御部232は、1つのタグ情報IDの読取が完了したときや、RFIDアンテナ210の起動後に所定時間経過したときなどの任意のタイミングで、停止指令をRFIDアンテナ210に出力する。
【0092】
ピッキング制御部233は、管理サーバ10からピッキング指令を受けると、ピッキング作業の計画を作成し、作成した計画に基づく移動経路情報を移動制御部234に出力する。また、ピッキング制御部233は、読取制御部232からRFIDアンテナ210により読み取られたタグ情報IDが入力されると、タグ情報IDに基づき物品40の種類を識別し、ピッキングされた物品40の情報を記録する。また、この物品情報の記録に応じて、ピッキング指令や作業計画を参照して、作業状況を更新する。
【0093】
ピッキング制御部233は、更新された作業状況などを含むピッキング作業に関するピッキング関連情報をタブレットコンピュータ140に出力する。更新された作業状況はタブレットコンピュータ140に表示される。また、ピッキング制御部233は、読取制御部232から起動指令や停止指令の情報を受け取って、これらの情報をピッキング関連情報に含み、タブレットコンピュータ140にRFIDアンテナ210の起動/停止状態を表示してもよい。
【0094】
また、ピッキング制御部233は、上述のピッキング関連情報を管理サーバ10にも出力する。管理サーバ10は、ピッキング制御部233から入力されるピッキング関連情報に基づき、ピッキング指令に応じたピッキング作業の進捗状況を把握することができる。
【0095】
また、ピッキング制御部233は、ピッキング作業の進捗状況などに応じたブザー音発報指令をブザー240に出力する。ブザー音発報指令には、例えばRFIDアンテナ210による電波Wの発報開始、発報停止、タグ情報IDの読取完了などに応じた種類のブザー音を出力する旨の指令が含まれる。
【0096】
移動制御部234は、ピッキング補助ロボット100の搬送車110の移動を制御する。移動制御部234は、ピッキング制御部233から入力される移動経路情報に基づき移動指令を搬送車110に出力する。ピッキング補助ロボット100の搬送車110は、移動指令に基づく順路で倉庫20内を移動し、所定の棚6の前で逐次停止するように動作する。
【0097】
図9は、制御部230のハードウェア構成図である。図9に示すように、制御部230は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。図8を参照して説明した制御部230の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0098】
図10は、実施形態に係るタグ情報読取制御のフローチャートである。
【0099】
図10に示すフローチャートを実施する前提として、情報読取装置200の制御部230は例えば下記のようなピッキング作業の制御を行う。ピッキング制御部233は、管理サーバ10から入力されるピッキング指令に基づき、ピッキング作業の計画を作成し、作成した計画に基づく移動経路情報を移動制御部234に出力する。移動制御部234は、ピッキング制御部233から入力される移動経路情報に基づき、搬送車110の移動制御を行う。これにより、ピッキング補助ロボット100は、図3に例示したような複数の棚6が設置されている倉庫20内において、ピッキング計画に基づくピッキング位置で移動を停止して待機する。ピッキング補助ロボット100のタブレットコンピュータ140の画面上には、当該ピッキング位置でピッキングすべき物品40の情報が表示される。作業者Pは、タブレットコンピュータ140に表示される情報を参照して、指示された物品40をピッキング補助ロボット100のボックス130A、130Bに収容する。このようなピッキング位置でのピッキング作業が、ピッキング指令に含まれるすべての物品のピッキングが完了するまで繰り返される。
【0100】
図10のフローチャートに示すタグ情報読取制御は、上記の一連のピッキング作業の制御において、ピッキング補助ロボット100が倉庫20内のピッキング位置で待機状態となったときに毎回実施される。
【0101】
ステップS1では、接近検出部231により、距離センサ220の計測情報が監視される。接近検出部231は、例えば図7を参照して説明したように、所定の距離閾値XD(cm)を設定し、距離センサ220が検出する周囲の物体(例えば作業者Pや、作業者Pにより持ち運ばれる物品40など)との距離情報と比較する。距離情報がXDcm以上の場合にはステップS1の処理が繰り返される。一方、距離情報がXDcm未満となった場合には、ステップS2に進む。
【0102】
ステップS2では、読取制御部232により、RFIDアンテナ210が起動されて、RFIDタグ41からのタグ情報IDの読取が開始される。RFIDアンテナ210は、電波Wの発報を開始し、電波Wに応じてRFIDタグ41からタグ情報IDを受信したときには、受信したタグ情報IDを読取制御部232に出力する。
【0103】
また、ステップS2では、読取制御部232はブザー音発報指令をブザー240に出力する。ブザー240は、ブザー音発報指令に応じて読取開始を示すブザー音を発報する。これにより、作業者PにRFIDアンテナ210が起動状態に遷移したことを報知することができる。
【0104】
ステップS3では、読取制御部232により、RFIDアンテナ210により読み取られたタグ情報IDのRSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)値が所定の閾値Thより大きいか否かが判定される。
【0105】
RSSI値が所定の閾値Th以下の場合(ステップS3のNO)には、ステップS4に進み、読取制御部232により、タグ情報IDが読み取られない期間がXT秒間経過したか否かが判定される。XT秒経過していない場合(ステップS4のNO)にはステップS3に戻る。
【0106】
一方、RSSI値が所定の閾値Thより大きい場合(ステップS3のYES)には、読取制御部232により、読取対象の物品40に付されているRFIDタグ41から読み取られたタグ情報IDであると判断され、ステップS5に進む。このとき、読取制御部232はタグ情報IDをピッキング制御部233に出力する。
【0107】
なお、ステップS3において、RSSI値が所定の閾値Thより大きいタグ情報IDが複数個取得された場合、すなわちRFIDアンテナ210の受信可能範囲内に複数のRFIDタグ41が存在する場合には、読取制御部232は、例えばRSSI値を降順でソートし、RSSI値が一番高いタグ情報IDのみを抽出してピッキング制御部233に出力することができる。RSSI値が最も大きいRFIDタグが、RFIDアンテナ210(すなわちピッキング補助ロボット100)に最も近くにあり、作業者Pがピッキング補助ロボット100まで持ち運んで接近しているピッキング対象の物品40に付加されている可能性が最も高いと考えられるためである。
【0108】
ステップS5では、ピッキング制御部233により、ステップS4にて読取制御部232から入力されたタグ情報IDに基づき、当該タグ情報IDに関連付けられる物品40が判別され、ピッキング対象の物品40の情報として記録される。また、ステップS5では、読取制御部232はブザー音発報指令をブザー240に出力する。ブザー240は、ブザー音発報指令に応じてタグ情報読取完了を示すブザー音を発報する。これにより、作業者PにRFIDタグ41からの情報読取が完了したことを報知することができる。作業者Pは、このブザー音を聞いた後に、該当物品40をピッキング補助ロボット100のボックス130A、130Bに収容する。
【0109】
ステップS6では、ピッキング制御部233により、ピッキング作業の進捗状況が更新される。ピッキング制御部233は、進捗状況を含むピッキング関連情報をタブレットコンピュータ140及び管理サーバ10に出力する。タブレットコンピュータ140は、ピッキング制御部233から入力されたピッキング関連情報に基づき、画面上に進捗状況の情報表示を更新する。
【0110】
一方、ステップS4において、タグ情報IDが読み取られない期間がXT秒間経過した場合(ステップS4のYES)には、ステップS7に進み、読取制御部232からピッキング制御部233へタグ情報を読み取れない旨の情報が出力されて、ピッキング制御部233によりタグ読取エラーが報知される。ピッキング制御部233は、例えばRFIDタグからタグ情報IDを読み取れなかった旨のブザー音を発報する旨のブザー音発報指令をブザー240に出力して、作業者Pに読取エラー発生を報知する。作業者Pは、このブザー音を聞いたときは、例えばピッキング補助ロボット100のバーコードリーダ150を用いて、該当物品40に付加されているバーコードから物品40に関する情報を読み取らせるなどの代替作業を行う。
【0111】
ステップS6またはステップS7の処理の後には、ステップS8では、読取制御部232によりRFIDアンテナ210が停止されて、RFIDタグ41からのタグ情報IDの読取が終了される。RFIDアンテナ210は電波Wの発報を停止する。また、ステップS8では、読取制御部232はブザー音発報指令をブザー240に出力する。ブザー240は、ブザー音発報指令に応じて読取終了を示すブザー音を発報する。これにより、作業者PにRFIDアンテナ210が停止状態に遷移したことを報知することができる。
【0112】
ステップS8の処理が完了した後にはステップS1に戻り、当該ピッキング位置にてピッキングが指示されているすべての物品40のタグ情報IDの読取とボックスへの収容が完了するまで本制御フローが繰り返される。
【0113】
次に本実施形態に係る情報読取装置200及びピッキング補助ロボット100の効果を説明する。
【0114】
本実施形態の情報読取装置200は、読取対象の物品40に付加されるRFIDタグ41からタグ情報IDを読み取るRFIDアンテナ210と、RFIDアンテナ210への物品40の接近を検知する検知部としての距離センサ220と、距離センサ220により物品40の接近が検知されたときにRFIDアンテナ210からの電波Wの発報を開始させる制御部230と、を備える。
【0115】
RFIDアンテナ210は、読み取りに電波Wを使用する特性上、アンテナ周囲の複数のRFIDタグを読み取ってしまう場合がある。このため、ピッキング対象の物品40に付加されている読取対象のRFIDタグ41以外にも、例えばピッキング対象外の物品に付加されているRFIDタグなど、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態が生じ得る。
【0116】
このような問題に対して、本実施形態では上記構成によって、RFIDアンテナ210が電波Wを発報する期間を、検知部(距離センサ220)により物品40の接近が検知された期間内に限定することができる。これにより、ピッキング対象の物品40がRFIDアンテナ210の受信可能範囲内か、受信可能範囲の近傍に接近しているときに絞ってタグ読取動作を行うことができるので、読取対象のRFIDタグ41を精度良く読み取ることが可能となる。この結果、本実施形態の情報読取装置200は、読取対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制できる。さらに、RFIDアンテナ210が情報読取装置200の作動中(すなわちピッキング作業中)に常時電波Wを発報せず、電波発報期間を短縮化できるので、RFIDアンテナ210の電力消費を低減でき、省エネルギー化を図れる。
【0117】
なお、本実施形態の上記の効果をより確実に奏するためには、検知部としての距離センサ220の検知領域Sの延在方向には棚6や物品などの遮蔽物が無いのが好ましい。また、ピッキング対象の物品40を持ち運ぶ作業者Pが、検知部としての距離センサ220の検知領域Sの延在方向から情報読取装置200に接近する手順とするのが好ましい。
【0118】
また、本実施形態では、RFIDアンテナ210への物品40の接近を検知する検知部として距離センサ220を適用するので、距離センサ220により検知される周囲の物体との距離情報に基づいて物品40の接近を精度良く検出できる。
【0119】
また、本実施形態の情報読取装置200では、制御部230は、RFIDアンテナ210により複数のRFIDタグ41からタグ情報IDが読み取られた場合、複数のRFIDタグ41のうちタグ情報IDの受信信号強度(RSSI値)が最も大きいRFIDタグ41のタグ情報IDを選択して記録する。
【0120】
この構成により、RFIDアンテナ210が複数のタグ情報IDを読み取った場合でも、制御部230は、受信信号強度が最も大きいRFIDタグ40、すなわち情報読取装置200に接近しており、読取対象である可能性が最も高いRFIDタグ、に限定してタグ情報IDを記録できるので、RFIDアンテナ210による読取対象以外のRFIDタグ41の読み取りをさらに抑制できる。
【0121】
また、本実施形態の情報読取装置200では、RFIDアンテナ210、距離センサ220、及び制御部230が単一の筐体270内に格納される。
【0122】
この構成により、情報読取装置200の各構成要素であるRFIDアンテナ210、距離センサ220、及び制御部230を保護することができ、装置寿命を延ばすことができる。
【0123】
また、本実施形態の情報読取装置200では、RFIDアンテナ210、距離センサ220、及び制御部230が単一の基板206の主面206A上に設置され、基板206の主面206Aと反対側の背面には、例えばアルミ板などの金属板が配置されるのが好ましい。
【0124】
この構成により、金属板が、情報読取装置200の各構成要素であるRFIDアンテナ210、距離センサ220、及び制御部230の電磁シールド材として機能してノイズを低減できる。
【0125】
また、金属板を設ける場合には、金属板は、例えば絶影体(樹脂製)のスペーサなどを介して、基板206の背面と所定の間隔を取って固定されるのが好ましい。RFIDアンテナ210、距離センサ220、及び制御部230などの各構成要素が基板206の主面206A上に設置される場合には、一般的に基板206の背面側にはこれらの各構成要素と基板206の配線とを電気的に接続するための半田付けなどの接合部分が存在する。このため、スペーサなどを用いて金属板を基板206の背面と所定の間隔を取らせることにより、基板206の背面に設けられる各構成要素の接合部分と金属板との接触を防止できるので、短絡などの異常発生を防止しつつ、ノイズも低減できる。
【0126】
また、金属板を設ける場合には、基板206のグランド等と金属板とがビス等の金属部品を介して電気的に接続される構成でもよい。この構成の場合には、金属板が基板206上の各構成要素のアースとしても機能できる。
【0127】
また、本実施形態の情報読取装置200では、検知部としての距離センサ220がRFIDアンテナ210に隣接されるのが好ましい。この構成により、距離センサ220による物品40の接近検知と、RFIDアンテナ210の受信可能範囲への物品40の接近との関係をより密接にすることができ、RFIDアンテナ210の起動、停止制御をより精度良くできる。
【0128】
また、本実施形態の情報読取装置200は、RFIDアンテナ210による電波Wの発報開始、発報停止、及びタグ情報IDの読取完了の少なくとも一部を報知する報知部としてのブザー240を備える。この構成により、タグ情報読取制御の進捗状況を作業者Pに分かりやすく知らせることができ、利便性を向上できる。
【0129】
本実施形態に係るピッキング補助ロボット100は、上記の情報読取装置200を備えることによって、ピッキング作業中に、ピッキング対象外のRFIDタグを誤って読み取る事態を抑制でき、ピッキング作業をより効率良く行うことが可能となる。
【0130】
また、本実施形態のピッキング補助ロボット100は、ピッキング対象の物品40を収容する収容部としてのボックス130A、130Bを備える。情報読取装置200は、距離センサ220の検知方向Sと、RFIDアンテナ210の読取方向(すなわち電波Wの発報方向)とが、平面視においてボックス130A、130Bと重ならないよう設置される。
【0131】
この構成により、ピッキング作業において、距離センサ220による物品40の接近検知と、RFIDアンテナ210によるRFIDタグ41からのタグ情報IDの読取の作業を、ピッキング対象の物品40を収容する収容部と干渉しない位置で実施できるので、距離センサ220やRFIDアンテナ210の検知精度を向上できる。
【0132】
次に、図11図12を参照して、ピッキング補助ロボットの変形例について説明する。上記実施形態では、ピッキング補助ロボット100は、ピッキングされた物品40を収容する収容部として2つのボックス130A、130Bを備える構成を例示したが、収容部の構成はこれに限られない。例えばボックス130A、130Bと設けずに、ステー122の上面や、搬送車110の上面に物品40を直接載置する構成などでもよい。また、ピッキング対象の物品40の種類によっては、以下に図11図12を参照して示す第一変形例や第二変形例のような構成としてもよい。
【0133】
図11は、ピッキング補助ロボットの第一変形例を示す図である。図11に示すように、第一変形例に係るピッキング補助ロボット100A1では、ピッキング対象の物品40は、ハンガーに掛けられた状態の衣服であるハンガー付き衣服40である。この場合、RFIDタグ41は各衣服40に付加されている。
【0134】
また、ピッキング補助ロボット100A1では、ハンガー付き衣服40をロボット上に収容するため、上記実施形態のボックス130A、130Bの代わりにハンガーラック123が設けられる。ハンガーラック123は、フレーム本体121からX負方向側に水平方向に延在して設けられおり、フレーム本体121と反対側の端部は支柱124により支持されている。支柱124は、フレーム本体121と同様に搬送車110の上面に鉛直方向に立設されている。
【0135】
ピッキング補助ロボット100A1では、図11に示すように、情報読取装置200が、距離センサ220の検知方向と、RFIDアンテナ210の読取方向とが、平面視においてハンガーラック123の延在方向と重なるよう設置される構成としてもよい。
【0136】
この構成の場合、例えば上記実施形態では物体の接近を検知するために設定されていた距離センサ220による計測距離の閾値XDを、ハンガーラック123のX方向の寸法と同一長さに設定する。これにより、作業者Pがハンガー付き衣服40をハンガーラック123に掛けたときに、該当の衣服40が閾値XDの条件を満たすため、RFIDアンテナ210を起動させ、該当の衣服40に付加されるRFIDタグ41からタグ情報IDを読み取ることができる。
【0137】
なお、この構成の場合、例えば図11に示すように、複数の衣服40が距離センサ220の閾値XDの範囲内に配置されることになる。このため、例えば読取制御部232は、読取済のタグ情報IDを記憶しておき、記憶しているタグ情報群に含まれない新しいタグ情報がRFIDアンテナ210により読み取られたときに、ピッキング制御部233にこのタグ情報を出力する、などの処理を追加するのが好ましい。
【0138】
また、この構成の場合、作業者Pがピッキング対象の衣服40をハンガーラック123に掛ける作業と、情報読取装置200によりタグ情報IDを読み取る作業とが同時に行われる。このため、タブレットコンピュータ140は、例えば作業者Pが衣服40をハンガーラック123に掛ける際に対向する方向(例えば図11に示すようにY正方向側)に向いて配置されるのが好ましい。これにより作業者Pがピッキング作業中にタブレットコンピュータ140の画面を見やすくなり、作業効率を向上できる。
【0139】
なお、図11の第一変形例に係るピッキング補助ロボット100A1では、距離センサ220の閾値XDをハンガーラック123の長さより短く設定してもよい。この場合、例えば作業者Pは、まずRFIDタグ41をRFIDアンテナ210に読み取らせるために、ハンガーラック123のうちフレーム本体121側の閾値XDの範囲内に衣服40を掛ける。次に、読取完了のブザー音などを聞いたあとに、該当衣服40をハンガーラック123の支柱124側(X負方向側)に移動させて、閾値XDの範囲から外す。作業者Pは、ピッキングを指示された衣服40をすべてハンガーラック123に掛けるまでこの作業を繰り返す。これにより、距離センサ220の閾値XDの範囲内に読み取り後の衣服が残らないので、図10に示したフローチャートと同様の処理でタグ情報読取制御を行うことができる。
【0140】
図12は、ピッキング補助ロボットの第二変形例を示す図である。図12に示すように、第二変形例に係るピッキング補助ロボット100A2では、ピッキング対象の物品がハンガー付き衣服40である点と、ハンガーラック123を備える点は第一変形例と同様である。ただし、ピッキング補助ロボット100Bでは、情報読取装置200が筐体270を備えておらず、RFIDアンテナ210、距離センサ220、制御部230がばらばらにロボット100B上に設置されている。
【0141】
RFIDアンテナ210は、フレーム本体121のX負方向側の表面に設置され、読取可能範囲がハンガーラック123に掛けられる衣服の方向(X負方向)となるように設置されている。
【0142】
距離センサ220は、支柱124に設置され、検知範囲Sがハンガーラック123に掛けられる衣服の方向(X正方向)となるように設置されている。また、距離センサ220の計測距離の閾値XDは、ハンガーラック123の寸法と同一長さに設定される。
【0143】
制御部230は、例えばフレーム本体121の内部に設置される。
【0144】
このように、情報読取装置200は、各要素を筐体270に内蔵して一体的に構成する以外にも、ピッキング対象の物品40の形状や収容手法などの諸条件に応じて、各要素をロボット上の任意の位置に別々に配置してもよい。
【0145】
このように、第一変形例、第二変形例に係るピッキング補助ロボット100A1、100A2では、ピッキング対象の物品は、ハンガーに掛けられた状態の衣服であるハンガー付き衣服40であり、ロボットはハンガー付き衣服40を掛けるハンガーラック123を備える。情報読取装置200は、距離センサ220の検知方向と、RFIDアンテナ210の読取方向とが、平面視においてハンガーラック123の延在方向と重なるよう設置される。
【0146】
これらの構成により、ピッキング対象がハンガー付き衣服40のように嵩張るものである場合でも、ハンガーラック123にハンガー付き衣服40を掛けるという一つの作業によって、タグ情報の読取を完了することができる。これにより、ピッキング作業を効率良く行うことが可能となる。
【0147】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0148】
上記実施形態では、情報読取装置200の制御部230が、ピッキング補助ロボット100の管理サーバ10との通信、ピッキング計画、移動など、ピッキング作業全体の各制御を実施する構成を例示したが、制御部230は距離センサ220に基づくRFIDアンテナ210の起動、停止制御と、RFIDアンテナ210によるタグ情報読取制御のみを実施する構成でもよい。この場合、ピッキング作業に係る他の制御は、例えばタブレットコンピュータ140の制御部が実施することができる。
【0149】
上記実施形態では、情報読取装置200がピッキング補助ロボット100に搭載される構成を例示したが、情報読取装置200は少なくともRFIDアンテナ210の起動、停止制御と、RFIDアンテナ210によるタグ情報読取制御を実施できればよく、ロボットに搭載される構成に限られない。例えば倉庫内の壁面など固定物に設置される構成でもよいし、情報読取装置200が単独の装置であり、ピッキング作業の作業者Pが持ち運んで使用する構成でもよい。
【0150】
上記実施形態では、情報読取装置200は、距離センサ220により検出される物品や作業者Pとの距離情報に基づきRFIDアンテナ210の起動、停止制御を実施する構成を例示したが、少なくとも読取対象の物品40がRFIDアンテナ210に接近していることを検知できれば距離センサ220以外のセンサ類を適用してもよい。例えば、温度センサを用いて、RFIDアンテナ210の読取可能範囲及びその周辺の温度変化を検知することによって、物品の接近を検知する構成としてもよい。
【0151】
上記実施形態では、RFIDアンテナ210による電波Wの発報開始、発報停止、及びタグ情報IDの読取完了の少なくとも一部を報知する報知部の一例としてブザー240を備える構成を例示したが、報知手法は音に限られず、例えばライトの発光色を変化させるなどブザー240以外の要素を適用してもよい。
【符号の説明】
【0152】
40 物品
41 RFIDタグ
100、100A1、100A2 ピッキング補助ロボット
123 ハンガーラック
130A、130B ボックス(収容部)
200 情報読取装置
210 RFIDアンテナ(読取部)
220 距離センサ(検知部)
230 制御部
240 ブザー(報知部)
270 筐体
W 電波
S 検知範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12