(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128292
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】検査治具
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037201
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】大元 悠揮
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029EE02
3C029EE20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、工作機械に備えられた主軸の検査に用いられる検査治具に関する。
【解決手段】検査治具20は、工作機械に備えられた主軸の検査に用いられる。検査治具20は、主軸に取り付けられるコネクタ部26と、コネクタ部26から延びる軸部28と、軸部28が挿通され、軸受36を介して軸部28に支持される管状の第1被測定部30とを備える。第1被測定部30の外周は、軸部28の軸心28AXと平行な面30Fを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に備えられた主軸の検査に用いられる検査治具であって、
前記主軸に取り付けられるコネクタ部と、
前記コネクタ部から延びる軸部と、
前記軸部が挿通され、軸受を介して前記軸部に支持される管状の第1被測定部と、
を備え、
前記第1被測定部の外周は、前記軸部の軸心と平行な面を含む、検査治具。
【請求項2】
請求項1に記載の検査治具であって、
前記第1被測定部の外周は、前記軸心と平行な第1面と、前記第1面に垂直で前記軸心と平行な第2面とを含む、検査治具。
【請求項3】
請求項2に記載の検査治具であって、
前記第1被測定部は、前記軸部の前記軸心と平行な仮想線を中心とする正四角柱の外形を有している、検査治具。
【請求項4】
請求項3に記載の検査治具であって、
前記仮想線は、前記軸部の前記軸心から離間している、検査治具。
【請求項5】
請求項4に記載の検査治具であって、
前記主軸は、水平配置型主軸であり、
前記水平配置型主軸の端部に設けられた工具ホルダに前記コネクタ部が接続された場合に、前記第1被測定部の重心は、前記軸部の前記軸心よりも重力方向に位置する、検査治具。
【請求項6】
請求項1に記載の検査治具であって、
前記軸部の前記軸心を中心とする円錐台の外形、または、前記軸部の前記軸心を中心とする円錐の外形を有する第2被測定部を備える、検査治具。
【請求項7】
請求項1に記載の検査治具であって、
前記軸部の前記軸心を中心とする円柱の外形を有する第3被測定部を備える、検査治具。
【請求項8】
請求項1に記載の検査治具であって、
前記軸部は、水平方向に沿って配置される、検査治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に備えられた主軸の検査に用いられる検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルに固着した計測器をテーブルと共にZ軸方向に移動して、主軸先端に取り付けられたテストバーの中心線に対して垂直上面を測定する測定方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主軸の偏心を見るために、円筒部材の断面(円断面)における測定位置を固定しなければならない。例えば、円断面の下端点を測定位置とした場合は、ダイヤゲージの測定子を下端点に接触させて、ダイヤゲージを延伸方向に移動させなければならない。しかしながら、ダイヤゲージを延伸方向と平行に移動させると、主軸が偏心している場合は、測定子が接触する点が下端点からずれるので、測定子を下端点に合わせながらダイヤゲージを移動する必要があり、計測に手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、工作機械に備えられた主軸の検査に用いられる検査治具であって、前記主軸に取り付けられるコネクタ部と、前記コネクタ部から延びる軸部と、前記軸部が挿通され、軸受を介して前記軸部に支持される管状の第1被測定部と、を備え、前記第1被測定部の外周は、前記軸部の軸心と平行な面を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、軸部が延びる方向に検査治具を移動させながら、第1被測定部の面との距離等を計測器で計測することによって、計測器の計測点を基準位置に厳密に合わせなくても、主軸の芯ずれを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、工作機械に取り付けられた検査治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、工作機械10に取り付けられた検査治具20を示す図である。なお、
図1に示されるX方向とY方向とは、互いに直交する。Y方向は、鉛直面に平行する。
図1に示されるZ方向は、X方向とY方向とに直交する。また、Z方向は、水平面に平行する。
【0010】
工作機械10は、土台部材12と、支柱部材14とを備える。支柱部材14は、土台部材12からY方向に沿って土台部材12に設けられている。土台部材12には、ワーク支持部材16が設けられる。ワーク支持部材16は、土台部材12に対してZ方向に移動可能である。また、ワーク支持部材16は、Y方向に沿って配置されるシャフト16Aを有し、当該シャフト16Aに対して回転可能である。支柱部材14には、主軸支持部材17が設けられる。主軸支持部材17は、支柱部材14に対してX方向およびY方向に移動可能である。
【0011】
主軸支持部材17は、主軸18を有する。主軸18は、水平方向に沿って軸心18AX(回転軸)が配置される水平配置型主軸である。主軸18は、回転可能に主軸支持部材17に取り付けられる。主軸18の端部には工具ホルダ18Aが設けられている。
【0012】
工作機械10は、主軸18を回転させながら、主軸18に取り付けられる工具(図示せず)を変位させることによって、ワーク支持部材16に固定された加工対象物を加工する。この場合、工作機械10は、加工プログラムにしたがって、主軸支持部材17およびワーク支持部材16の少なくとも1つを移動させることによって、工具をX方向、Y方向、または、Z方向に変位させる。
【0013】
検査治具20は、工作機械10に取り付けられる。検査治具20は、主軸18の検査に用いられる治具である。
図2は、
図1のII-II断面を示す図である。
図3は、
図2のIII-III断面を示す図である。検査治具20は、コネクタ部26と、軸部28と、第1被測定部30と、第2被測定部32と、第3被測定部34とを有する。
【0014】
コネクタ部26は、主軸18の工具ホルダ18Aに着脱可能に形成される。コネクタ部26は、工具ホルダ18Aに接続可能に形成される。
【0015】
軸部28は、コネクタ部26から延びている。軸部28は、一方向に真っ直ぐ延びている。軸部28は、コネクタ部26と一体に形成されてもよい。軸部28がコネクタ部26と別の部材である場合、軸部28は、固定具によりコネクタ部26に固定される。
【0016】
主軸18の工具ホルダ18Aにコネクタ部26が接続された場合、軸部28の軸心28AX(仮想中心線)は、主軸18の軸心18AXに沿って配置される。なお、上記のII-II断面は、軸部28の軸心28AXを通る検査治具20の断面である。また、上記のIII-III断面は、軸部28の軸心28AXに直交する検査治具20の断面である。
【0017】
第1被測定部30は、管状に形成される。第1被測定部30の貫通孔30Hには、軸部28が挿通される。第1被測定部30は、軸受36を介して軸部28に支持される。軸受36は、ロックナット等の締結部品38によって軸部28と第1被測定部30との間に固定される。締結部品38は、第1被測定部30と軸部28の先端との間の軸部28に配置される。なお、軸部28の先端は、コネクタ部26から延びる軸部28の基端とは反対側の端である。
【0018】
軸部28の軸心28AXに直交する検査治具20の断面において(
図3参照)、第1被測定部30の外周は、正四角形の外形を有する。第1被測定部30の外周は、軸部28の軸心28AXと平行な面30Fとして、第1面30F1と、第2面30F2と、第3面30F3と、第4面30F4とを含んでいる。
【0019】
第1面30F1と、第2面30F2と、第3面30F3と、第4面30F4とは、それぞれ、軸部28の軸心28AXに平行である。第1面30F1は、第2面30F2および第4面30F4に対して垂直であり、第3面30F3に対して平行である。第2面30F2は、第1面30F1および第3面30F3に対して垂直であり、第4面30F4に対して平行である。
【0020】
第1被測定部30では、第2厚さTH2と、第4厚さTH4とは実質的に同じである。一方、第3厚さTH3は、第1厚さTH1、第2厚さTH2および第4厚さTH4に比べて大きい。なお、第1厚さTH1は、第1面30F1から内面(貫通孔30H)までの最短の長さである。第2厚さTH2は、第2面30F2から内面までの最短の長さである。第3厚さTH3は、第3面30F3から内面までの最短の長さである。第4厚さTH4は、第4面30F4から内面までの最短の長さである。
【0021】
第1被測定部30の重心30Gは、軸部28の軸心28AXと一致せず、当該軸心28AXから離間している。換言すると、第1被測定部30の外周の形状は、軸部28の軸心28AXに対して平行で、当該軸心28AXから離間する仮想線VL(
図2)を中心とする正四角柱である。重心30Gと、重心30Gから最短となる仮想線VL上の点Pとは、軸心28AXを通り且つY方向に平行する線L上に位置する。
【0022】
第1被測定部30には、カバー部材40が取り付けられる(
図2参照)。カバー部材40は、貫通孔40THを有する。カバー部材40の貫通孔40THには、軸部28が挿通される。カバー部材40は、締結部品38を覆う。カバー部材40は、軸部28に非接触である。
【0023】
第2被測定部32は、第1被測定部30とコネクタ部26との間に配置される(
図2参照)。第2被測定部32は、軸部28に設けられる。第2被測定部32は、軸部28と一体に形成される。ただし、第2被測定部32は、軸部28と別の部材であってもよい。この場合、第2被測定部32は、固定具により軸部28に固定される。
【0024】
第2被測定部32は、軸部28の軸心28AXを中心とする円錐台の外形を有する。第2被測定部32は、軸部28の先端に向かって先細る。第2被測定部32の外周は、軸部28の先端に向かうほど、軸部28に近づくように傾斜する。
【0025】
第3被測定部34は、基端側被測定部34_1と、先端側被測定部34_2とを含む(
図2参照)。基端側被測定部34_1は、第1被測定部30と第2被測定部32との間に配置される。先端側被測定部34_2は、軸部28の先端部に配置される。基端側被測定部34_1の外周と、先端側被測定部34_2の外周とは、それぞれ、軸部28の軸心28AXを中心とする外形を有する。
【0026】
本実施形態では、基端側被測定部34_1は、軸部28の外周部である。ただし、基端側被測定部34_1は、軸部28とは別の部材により形成され、当該軸部28の外周部に取り付けられてもよい。基端側被測定部34_1の外周は、軸部28の軸心28AXを中心とする円柱の外形を有する。
【0027】
先端側被測定部34_2には、軸部28の先端部が挿入される凹部42が形成される。先端側被測定部34_2には、凹部42に挿入された軸部28の先端部が嵌合する嵌合部44が形成される。嵌合部44に軸部28の先端部が嵌合すると、第1被測定部30は、軸部28回りに回転不能となる。先端側被測定部34_2には、Y方向に沿ったネジ穴SHが形成される。ネジ穴SHは、先端側被測定部34_2を貫通する。先端側被測定部34_2は、ネジ穴SHに挿入されたネジ46によりカバー部材40に固定される。
【0028】
次に、検査治具20の測定方法の一例を説明する。検査治具20の測定方法では、まず、第1計測装置48および第2計測装置50が設置される。第1計測装置48または第2計測装置50は、工作機械10に取り付けられてもよい。第1計測装置48は、検査治具20までのY方向の距離を計測する。第2計測装置50は、検査治具20までのX方向の距離を計測する。第1計測装置48または第2計測装置50として、非接触式(光学式)の変位センサ、接触式の変位センサ等の計測器が挙げられる。
【0029】
次に、検査治具20のコネクタ部26が、主軸18の工具ホルダ18Aに接続される。この段階では、先端側被測定部34_2は、カバー部材40に固定されておらず、軸部28から取り外されている。そのため、第1被測定部30は、軸部28を中心に回転可能である。
【0030】
上述のように、第1被測定部30の重心30Gは、軸部28の軸心28AXと異なっている。したがって、工具ホルダ18Aにコネクタ部26が接続された場合、軸部28の軸心28AXの下側に重心30Gが位置するまで、第1被測定部30は、軸部28を中心に自重により回転する。その結果、第1被測定部30の第1面30F1と第3面30F3とは水平に配置される。一方、第1被測定部30の第2面30F2と第4面30F4とは鉛直に配置される。したがって、工作機械10の機種等によって、コネクタ部26に対する工具ホルダ18Aでの基準の接続位置が、主軸18の軸心18AXの回転方向にずれていても、第1被測定部30を適切な位置に配置することができる。
【0031】
次に、軸部28の先端部が、先端側被測定部34_2の凹部42を介して嵌合部44に嵌合される。次に、先端側被測定部34_2のネジ穴SHにネジ46が挿入され、先端側被測定部34_2がカバー部材40に固定される。
【0032】
その後、第1計測装置48および第2計測装置50の計測が開始される。この場合、第1計測装置48および第2計測装置50は不動である。一方、工作機械10では測定用の走査プログラムが実行されて、検査治具20がZ方向に走査される。
【0033】
これにより、計測点を基準位置に厳密に合わせなくても、第1被測定部30の第1面30F1(または第3面30F3)に対する第1計測装置48の計測結果から、主軸18の芯ずれを検査することができる。同様に、計測点を基準位置に厳密に合わせなくても、第1被測定部30の第2面30F2(または第4面30F4)の計測結果から主軸18の芯ずれを検査することができる。また、主軸18を回転させなくても、主軸18の芯ずれを検査することができる。なお、主軸18の芯ずれには、主軸18が傾いて配置されている場合、軸受36の摩耗等により主軸18が偏芯している場合が含まれる。
【0034】
また、第2被測定部32の外周面に対する第1計測装置48または第2計測装置50の計測結果から、Z方向のバックラッシを簡易的に演算することができる。これに加えて、第2被測定部32の外周面に対する第1計測装置48または第2計測装置50の計測結果から、Z方向への移動量を確認することができる。その結果、機械座標系の原点(機械原点)に対するNCプログラム上の原点(加工原点)の補正を実施することができる。
【0035】
また、主軸18を回転させなくても、第3被測定部34の外周面に対する第1計測装置48または第2計測装置50の計測結果から、当該主軸18の芯ずれを検査することができる。
【0036】
なお、検査治具20をX方向に走査させて、第1被測定部30の第1面30F1(または第3面30F3)が計測されてもよい。この場合、第1計測装置48の計測結果から、X方向のバックラッシを簡易的に演算することができる。また、検査治具20をY方向に走査させて、第1被測定部30の第2面30F2(または第4面30F4)が計測されてもよい。この場合、第2計測装置50の計測結果から、Y方向のバックラッシを簡易的に演算することができる。
【0037】
上記実施形態は、以下のように変形することができる。
【0038】
(変形例1)
軸部28の軸心28AXに直交する検査治具20の断面において(
図3参照)、第1被測定部30の外周の形状は、多角形であれば、正四角形以外でもよい。ただし、正多角形であることが好ましい。
【0039】
(変形例2)
第2被測定部32は、第1被測定部30と軸部28の先端との間の軸部28に配置されてもよい。また、第2被測定部32は、軸部28の先端部に配置されてもよい。この場合、第2被測定部32の外周は、軸部28の軸心28AXを中心とする円錐の外形であってもよい。第2被測定部32の外周が円錐の外形である場合、先端側被測定部34_2には、第2被測定部32が挿通される挿通孔が形成される。挿通孔は、Z方向に貫通する。第2被測定部32は、挿通孔に挿入され、先端側被測定部34_2から突出し、先細る。第2被測定部32において、先端側被測定部34_2から突出する部分の外周は、先端側被測定部34_2から離れるほど、軸部28の軸心28AXの延長線に近づくように傾斜する。
【0040】
(変形例3)
先端側被測定部34_2は、第1被測定部30と軸部28の先端との間に配置されてもよい。例えば、先端側被測定部34_2は、カバー部材40に備えられてもよい。この場合、カバー部材40の少なくとも一部の外周は、軸部28の軸心28AXを中心とする円柱の外形を有する。
【0041】
(変形例4)
第3被測定部34および第2被測定部32の少なくとも一方は、備えられなくてもよい。
【0042】
(変形例5)
検査治具20は、水平配置型主軸が備えられる旋盤機等の工作機械10に用いられてもよい。また、鉛直配置型主軸が備えられるマシニングセンタ等の工作機械10に用いられてもよい。この場合、鉛直配置型主軸である主軸18の工具ホルダ18Aには、アタッチメントが取り付けられる。アタッチメントは、工作機械10の構成要素の一部となる付属品であり、水平配置型主軸を有する。アタッチメントは、主軸18の回転力を水平配置型主軸に伝達して、当該水平配置型主軸を回転させる。水平配置型主軸の端部には工具ホルダ18Aが設けられる。検査治具20は、このアタッチメントにおける水平配置型主軸の工具ホルダ18Aに取り付けられる。
【0043】
以上の記載から把握し得る発明および効果について以下に付記を開示する。
【0044】
(付記1)本開示は、工作機械(10)に備えられた主軸(18)の検査に用いられる検査治具(20)である。検査治具は、前記主軸に取り付けられるコネクタ部(26)と、前記コネクタ部から延びる軸部(28)と、前記軸部が挿通され、軸受(36)を介して前記軸部に支持される管状の第1被測定部(30)と、を備える。前記第1被測定部の外周は、前記軸部の軸心(28AX)と平行な面(30F)を含む。
【0045】
これにより、軸部が延びる方向に検査治具を移動させながら、第1被測定部の面との距離等を計測器で計測することによって、計測器の計測点を基準位置に厳密に合わせなくても、主軸の芯ずれを検査することができる。
【0046】
(付記2)本開示は、上記(付記1)に記載の検査治具であって、前記第1被測定部の外周は、前記軸心と平行な第1面(30F1)と、前記第1面に垂直で前記軸心と平行な第2面(30F2)とを含んでもよい。これにより、計測器から第1面までの距離と、計測器から第2面までの距離との計測結果から、主軸の芯ずれを精度良く捕捉することができる。
【0047】
(付記3)本開示は、上記(付記2)に記載の検査治具であって、前記第1被測定部は、前記軸部の前記軸心と平行な仮想線(VL)を中心とする正四角柱の外形を有してもよい。これにより、主軸の芯ずれを精度良く捕捉することができる。
【0048】
(付記4)本開示は、上記(付記3)に記載の検査治具であって、前記仮想線は、前記軸部の前記軸心から離間してもよい。これにより、軸部が水平方向に沿って配置された場合に、第1被測定部の自重により軸部回りに第1被測定部を回転させることができる。その結果、第1被測定部の外周面を適切な位置に配置することができる。
【0049】
(付記5)本開示は、上記(付記4)に記載の検査治具であって、前記主軸は、水平配置型主軸であり、前記水平配置型主軸の端部に設けられた工具ホルダ(18A)に前記コネクタ部が接続された場合に、前記第1被測定部の重心(30G)は、前記軸部の前記軸心よりも重力方向に位置してもよい。これにより、工作機械の機種等によって、コネクタ部に対する工具ホルダでの基準の接続位置が、主軸の軸心の回転方向にずれていても、第1被測定部を適切な位置に配置することができる。
【0050】
(付記6)本開示は、上記(付記1)に記載の検査治具であって、前記軸部の前記軸心を中心とする円錐台の外形、または、前記軸部の前記軸心を中心とする円錐の外形を有する第2被測定部(32)を備えてもよい。軸部が延びる方向に検査治具を移動させながら、第2被測定部の外周面との距離等を計測器で計測することによって、軸部が延びる方向への移動量を確認することができる。その結果、機械原点に対するNCプログラム上の加工原点の補正を実施することができる。
【0051】
(付記7)本開示は、上記(付記1)に記載の検査治具であって、前記軸部の前記軸心を中心とする円柱の外形を有する第3被測定部(34)を備えてもよい。これにより、主軸を回転させなくても、第3被測定部の外周面に対する計測器の計測結果から、当該主軸の芯ずれの検査が可能となる。
【0052】
(付記8)本開示は、上記(付記1)に記載の検査治具であって、前記軸部は、水平方向に沿って配置されてもよい。これにより、水平配置型主軸の芯ずれを検査することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0054】
10…工作機械 18…主軸
18AX、28AX…軸心 18A…工具ホルダ
20…検査治具 26…コネクタ部
28…軸部 30…第1被測定部
32…第2被測定部 34…第3被測定部
36…軸受 38…締結部品
40…カバー部材