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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128300
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】推定システム、及び推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240913BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037218
(22)【出願日】2023-03-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】399104844
【氏名又は名称】SCSK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】帯津 勉
(72)【発明者】
【氏名】久保谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】吉原 一揮
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA02
5L096DA01
5L096FA32
5L096GA28
5L096GA51
5L096JA25
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる推定システム、及び推定プログラムを提供すること。
【解決手段】
対象領域の浸水状況を推定するサーバ装置2であって、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得部231と、取得部231が取得した対象領域関連画像と、冠水スコア特定用モデルとに基づいて、対象領域内の浸水状況を推定する推定部232と、を備え、冠水スコア特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、推定部232は、取得部231が取得した対象領域関連画像と、冠水スコア特定用モデルと、対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、対象領域内の浸水状況を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである、
推定システム。
【請求項2】
前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する、
請求項1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、
前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、
前記推定手段は、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、
前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、
前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、
前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である、
請求項2に記載の推定システム。
【請求項4】
前記推定手段は、
前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する、
請求項3に記載の推定システム。
【請求項5】
前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項1から4の何れか一項に記載の推定システム。
【請求項6】
前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである、
請求項5に記載の推定システム。
【請求項7】
前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、
前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項5に記載の推定システム。
【請求項8】
前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する、
請求項7に記載の推定システム。
【請求項9】
対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである、
推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定システム、及び推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等の浸水状況を推定する技術が知られていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-203042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術を含めて、浸水状況を推定する精度を向上させる要望があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる推定システム、及び推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである。
【0007】
請求項2に記載の推定システムは、請求項1に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する。
【0008】
請求項3に記載の推定システムは、請求項2に記載の推定システムにおいて、前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である。
【0009】
請求項4に記載の推定システムは、請求項3に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する。
【0010】
請求項5に記載の推定システムは、請求項1から4の何れか一項に記載の推定システムにおいて、前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【0011】
請求項6に記載の推定システムは、請求項5に記載の推定システムにおいて、前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである。
【0012】
請求項7に記載の推定システムは、請求項5に記載の推定システムにおいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【0013】
請求項8に記載の推定システムは、請求項7に記載の推定システムにおいて、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する。
【0014】
請求項9に記載の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の推定システム、及び請求項9に記載の推定プログラムによれば、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像に基づいて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。また、例えば、対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定する学習済浸水状況特定用モデルを用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の推定システムによれば、対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の推定システムによれば、第1推定処理、第2推定処理、及び第3推定処理を行うので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の推定システムによれば、対象領域内の降水に関する降水関連情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の推定システムによれば、第1判定手段は、撮影装置側画像と学習済画像との相異の度合を特定する学習済相異度特定用モデルに基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段及び第2判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0022】
請求項8に記載の推定システムによれば、第2判定手段は、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態が情報処理システムのブロック図である。
図2】対象領域を例示した図である。
図3】所定装置が送信する画像に関する説明図である。
図4】メッシュ領域及び標高の説明図である。
図5】サーバ装置に格納されている各モデルの説明図である。
図6】冠水スコアの説明図である。
図7】浸水状況推定処理のフローチャートである。
図8】冠水スコア特定処理を示すフローチャートである。
図9】第2除去判定の説明図である。
図10】推定処理を示すフローチャートである。
図11】傾斜指数及び浸水深さの説明図である。
図12】処理例の説明図である。
図13】処理例の説明図である。
図14】処理例の説明図である。
図15】対象領域を例示した図である。
図16】対象領域を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る推定システム、及び推定プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。ここでは、基本的概念、及び用語を説明した後に、具体的な実施の形態について説明する。
【0025】
(基本的概念)
まず、基本的概念について説明する。本発明に係る推定システムは、対象領域の浸水状況を推定するシステムであり、例えば、浸水状況を推定する専用システム、あるいは、汎用的に用いられるシステム(一例としては、汎用コンピュータ、サーバコンピュータ、あるいは、ネットワーク上に分散配置された複数のコンピュータ(つまり、いわゆるクラウドコンピュータ)等)に対して、推定プログラムをインストールして浸水状況を推定する機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。
【0026】
「対象領域」とは、浸水状況が推定される領域であり、例えば、特定の自治体(市町村等)に対応する領域、あるいは、他の任意の領域(一例としては、カーナビゲーションシステムを用いて経路案内を設定する際の出発地から目的地に至るまでの案内ルートを含む領域、又は、予めユーザが定めた任意の領域)等を含む概念である。
【0027】
「浸水状況」とは、水がたまっているありさま等を示す概念であり、例えば、水がたまっているか否か、及び、たまっている水の深さ等を示す概念である。なお、「たまっている水の深さ」としては、「0」の場合は水がたまっていないことを示し、「浸水状況」における水の深さの概念には、この「0」も含まれているものと解釈してもよい。「浸水状況」とは、例えば、降雨等に起因する状況を示す概念であり、バリエーションとしては、ダム又は河川の堤防の決壊等に起因する状況を示す概念であるものと解釈してもよい。
【0028】
そして、本実施の形態では、例えば、「対象領域」が特定の自治体(例えば、A市)である場合を例示して説明する。本実施の形態では、「浸水」という用語及び「冠水」という用語を、「水がたまること」を意味する共通の意味を示す用語として適宜用いて以下説明する。
【0029】
(構成)
まず、本実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。図1は、本発明の実施の形態が情報処理システムのブロック図であり、図2は、対象領域を例示した図である。
【0030】
なお、図1及び図2の車載カメラ装置11、端末装置12、及び監視カメラ装置13は、実際には、対象領域に多数設けられているが、本実施の形態では、各々の構成要素について代表して1個ずつ図示し、この図示されている構成要素に着目して説明する。
【0031】
また、図2において、対象領域である「A市」に対応する領域が、説明の便宜上、1点鎖線矩形で図示されている。すなわち、この図2の矩形の1点鎖線は、A市と他の自治体との境界を示していることとする。
【0032】
図1の情報処理システム100は、推定システムを含むシステムであり、例えば、車載カメラ装置11、端末装置12、監視カメラ装置13、及びサーバ装置2を備える。
【0033】
(構成-車載装置)
図1及び図2の車載カメラ装置11は、対象領域を撮影する撮影手段(つまり、カメラ)を備える所定装置であり、例えば、車両に搭載されている装置である。
【0034】
図3は、所定装置が送信する画像に関する説明図である。この図3においては、「所定装置」の欄に示す各装置が送信する画像が「送信画像」の欄に示されており、当該画像が風景撮影画像であるか否かが「風景撮影画像」の欄に示されている。「風景撮影画像」の欄において、「〇」は風景撮影画像であることを示しており、また、「×」は風景撮影画像ではないことを示しており、また、「△(撮影手段が向けられている方向が路面等を含む風景の場合)」は、各装置の撮影手段が向けられている方向が路面等を含む風景の場合には、風景撮影画像であることを示している。なお、この図3を含めて以下に示す画像に関する説明は例示であり、ここで説明する内容に限定されるものではない。また、図3の「送信画像」の欄に例示されている各画像の名称は、各画像を区別して説明するための、便宜上のものである。
【0035】
図1及び図2の車載カメラ装置11の具体的な構成は任意であり、例えば、車載カメラ装置11の撮影手段で、所定時間間隔(例えば、1秒~2秒間隔等)毎に繰り返し撮影された画像である車載カメラ装置側撮影画像を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能となるように構成されている。
【0036】
なお、車載カメラ装置11の撮影手段は、例えば、車両の周辺の路面等(路面及び道路以外の地面等を含む)を含む風景を撮影するように構成されているので、車載カメラ装置側撮影画像は、基本的には、路面等を含む風景を撮影した画像である風景撮影画像となる。
【0037】
また、「車載カメラ装置側撮影画像を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能」とは、例えば、ネットワーク上の各種サーバ(一例としては、カーナビゲーションシステムに関するサーバ等)又はデータベースを介して間接的に送信可能であること、あるいは、これらの各種サーバ及びデータベースを介さずに直接的に送信可能であること等を含む概念である。
【0038】
(構成-端末装置)
図1及び図2の端末装置12は、対象領域を撮影する撮影手段(つまり、カメラ)を備える所定装置であり、例えば、ユーザによって携帯されている装置であり、一例としては、スマートフォン又はタブレット端末等である。
【0039】
この端末装置12の具体的な構成は任意であり、例えば、端末装置12の撮影手段で撮影された画像である端末装置側撮影画像、又は、端末装置12の撮影手段で撮影された画像以外の画像である端末装置側非撮影画像(例えば、テキスト又はイラスト等を示す画像等)を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能となるように構成されている。
【0040】
なお、端末装置12の撮影手段は、例えば、ユーザの所定操作に応じて当該撮影手段が向けられている方向の撮影対象を撮影するように構成されているので、撮影対象が路面等を含む風景である場合、端末装置側撮影画像は、路面等を含む風景を撮影した画像である風景撮影画像となる。
【0041】
一方で、撮影対象が風景以外の任意の対象(例えば、建物内に設けられている長靴等の雨具、あるいは、料理等)である場合、端末装置側撮影画像は、風景撮影画像以外の画像となる。なお、端末装置側非撮影画像も、風景を撮影した画像ではないので、風景撮影画像以外の画像である。
【0042】
また、「端末装置側撮影画像、又は、端末装置側非撮影画像を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能」とは、例えば、ネットワーク上の各種サーバ(一例としては、SNS:Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)に関するサーバ等)又はデータベースを介して間接的に送信可能であること、あるいは、これらの各種サーバ及びデータベースを介さずに直接的に送信可能であること等を含む概念である。
【0043】
(構成-監視カメラ装置)
図1及び図2の監視カメラ装置13は、対象領域を撮影する撮影手段(つまり、カメラ)を備える所定装置であり、例えば、所定位置に設置されている装置である。
【0044】
この監視カメラ装置13の具体的な構成は任意であり、例えば、監視カメラ装置13の撮影手段で、所定時間間隔(例えば、1秒~2秒間隔等)毎に繰り返し撮影された画像である監視カメラ装置側撮影画像を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能となるように構成されている。
【0045】
なお、監視カメラ装置13の撮影手段は、例えば、撮影手段が向けられている方向の撮影対象を撮影するように構成されているので、撮影対象が路面等を含む風景である場合、監視カメラ装置側撮影画像は、路面等を含む風景を撮影した画像である風景撮影画像となる。
【0046】
一方で、撮影対象が風景以外の任意の対象(例えば、建物内の所定位置(一例としては、廊下等))である場合、監視カメラ装置側撮影画像は、風景撮影画像以外の画像となる。
【0047】
また、「監視カメラ装置側撮影画像を、ネットワークを介してサーバ装置2に送信可能」とは、例えば、ネットワーク上の各種サーバ(一例としては、監視ステムに関するサーバ等)又はデータベースを介して間接的に送信可能であること、あるいは、これらの各種サーバ及びデータベースを介さずに直接的に送信可能であること等を含む概念である。
【0048】
なお、前述の車載カメラ装置11から送信された車載カメラ装置側撮影画像、端末装置12から送信された端末装置側撮影画像、末装置側非撮影画像、及び監視カメラ装置13から送信された監視カメラ装置側撮影画像が、「撮影装置側画像」に対応するものと解釈してもよい。
(構成-サーバ装置)
図1のサーバ装置2は、推定システムであり、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0049】
(構成-サーバ装置-通信部)
図1の通信部21は、外部装置(例えば、車載カメラ装置11、端末装置12、及び監視カメラ装置13)との間で通信するための通信手段である。この通信部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0050】
(構成-サーバ装置-記録部)
図1の記録部22は、サーバ装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、SSD、フラシュメモリ、DVD、又はブルーレイディスク等を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0051】
この記録部22には、図1に示すように例えば、地図情報、冠水スコア特定用モデル、及び除外用モデルが格納されている。
【0052】
(構成-サーバ装置-記録部-地図情報)
図1の地図情報は、対象領域の平面図を示す情報であり、具体的には、対象領域の各位置の標高を示す標高情報も含む情報である。図4は、メッシュ領域及び標高の説明図である。
【0053】
「メッシュ領域」とは、地図情報が示す対象領域の平面図を、所定長さ四方の矩形(例えば、平面視で1辺が地図上の10mに対応する長さの正方形)のメッシュ状の領域に区分けした際の各領域を示す概念である。ここでは、例えば、図1の地図情報に基づいて、対象領域である「A市」の平面図において、図4の(a)に示す各メッシュ領域に区分されていること、及び、図4の(b)に示すように、各メッシュ領域各々の標高を、サーバ装置2が特定可能となるように構成されていることとする。
【0054】
なお、図4の(a)においては、地図情報に基づいて特定可能な図2の対象領域(「A市」)の一部の平面図におけるメッシュ領域が図示されており、また、図4の(b)においては、地図情報に基づいて特定可能な各メッシュ領域に対応する標高が例示されている。
【0055】
対象領域である「A市」のメッシュ領域としては実際には多数存在するが、以下の説明では、説明の便宜上、図4の(b)に示すように、5列×5行の25個のメッシュ領域に着目して説明する。そして、例えば、図4の(b)に示すように、各メッシュ領域に関して、「a」行~「e」行及び「1」列~「5」列という表現を用いて特定して説明する。すなわち、例えば、図4の(b)の符号「M100」が付されているメッシュ領域(つまり、「102」と記載されているメッシュ領域)については、「d-2のメッシュ領域」と称して特定する。
【0056】
また、地図情報によって特定される各メッシュ領域に標高の値については、前述した通り地図情報に基づいて特定可能であるが、図4の(b)に示すように、対応する単位(図4の(b)の場合は「m」)で標高を示す数値を図示して説明する。また、各図においては、説明で主に用いるメッシュの標高の値のみを図示し、他のメッシュに関しては、値の図示を省略する(標高の値以外を示す各数値も同様とする)。
【0057】
そして、図4の(b)においては、対象領域において、「d-2のメッシュ領域」に対応する領域の標高が102mであること、「d-3のメッシュ領域」に対応する領域の標高が101mであること等が示されている。
【0058】
なお、図1の地図情報の格納手法は任意であるが、例えば、所定機関(例えば、国土交通省の国土地理院等)から取得した情報を入力することにより格納してもよいし、あるいは、他の任意の手法で格納してもよい。
【0059】
(構成-サーバ装置-記録部-冠水スコア特定用モデル)
===モデル===
図5は、サーバ装置に格納されている各モデルの説明図である。図1の記録部22に格納されている「冠水スコア特定用モデル」とは、画像(特に、対象領域関連画像)に基づいて浸水の度合いである浸水度を特定する学習済浸水状況特定用モデルである。なお、「度合い」を「度合」とも称する。この「冠水スコア特定用モデル」は、例えば、図5の「モデル」=「冠水スコア特定用モデル」の欄に図示されているように、画像が入力され、当該入力された画像に対応する冠水スコアを出力するモデルである。
【0060】
===冠水スコア===
図6は、冠水スコアの説明図である。図6は、路面又は地面上に設けられた車両(4輪自動車)の一部の側面図が図示されている。「冠水スコア」とは、例えば、浸水の度合いである浸水度を示す情報であり、例えば、浸水深さ(例えば、50cm、60cm等)に対応する数値情報である。
【0061】
「冠水スコア」の定義は任意であるが、本実施の形態では、例えば図6に示すように、路面又は地面(つまり、水がたまった場合の底)と、垂直方向において16インチタイヤの最上部に対応する高さ(例えば、路面又は地面から垂直方向における60cm)の位置(以下、上部位置)とを基準に定まる高さ位置に基づく数値情報を用いることとする。詳細には例えば、図6に示すように、路面又は地面に対応する高さ位置を「冠水スコア」=「0」とし、また、上部位置に対応する高さ位置を「冠水スコア」=「100」として、これらの間の位置を100段階に等分することにより、「冠水スコア」として「0」~「100」の101個の整数値(「0」を含む)を用いる場合について説明する。
【0062】
すなわち、例えば、「冠水スコア」=「0」については、浸水が無く、浸水深さ(浸水した際の水面から底までの深さ)が0cmであることを示しており、また、例えば、「冠水スコア」=「100」については、浸水の度合いが最大であり、浸水深さが60cmであることを示している。そして、「浸水スコア」=「1」~「99」については、100に近づくほど浸水深さが深くなることが示されている。
【0063】
なお、浸水スコアについては、バリエーションとして、「0.1」又は「0.5」単位等で増減する小数値を用いてもよい。また、浸水スコアについては、バリエーションとして、路面又は地面の高さ位置、及び、路面又は地面から垂直方向における60cmの高さ位置以外の、任意の高さ位置を基準に定義してもよい。
【0064】
===格納手法===
そして、図1の冠水スコア特定用モデルの具体的な格納手法は任意であるが、例えば、公知の学習手法で機械学習を行って生成される学習済のモデルである冠水スコア特定用モデルを生成して格納することとする。
【0065】
機械学習について具体的には、例えば、降雨後等に水がたまっている場合、あるいは、水がたまっていない場合等に、路面又は地面を含む風景を撮影した画像である風景撮影画像を教師データとして用いて、いわゆる教師データ有りの機械学習を行うことにより、冠水スコア特定用モデルを生成してもよい。
【0066】
なお、風景撮影画像としては、例えば、真夜中等の暗い環境下で撮影したり、降雨等によりカメラレンズに付着した水滴も写ったりして、不鮮明な画像となる場合も想定されるが、この機械学習で用いる風景撮影画像としては、昼間の明るい環境下で撮影し、且つ、付着した水滴等の意図しない対象が写っておらず、風景が鮮明に写っている画像を用いることとする。また、風景撮影画像としては、例えば、あらゆる広さ又は浸水深さとなっている多数の画像を用いることとする。機械学習で用いる風景撮影画像としては、例えば、15000個~20000個程度の学習データを用いてもよい。
【0067】
なお、この機械学習で用いた風景撮影画像が、「学習済画像」に対応するものと解釈してもよい。
【0068】
(構成-サーバ装置-記録部-除外用モデル)
===モデル===
図1の記録部22に格納されている「除外用モデル」とは、撮影装置側画像と学習済画像との相異の度合いを特定する学習済相異度特定用モデルである。この「除外用モデル」は、例えば、図5の「モデル」=「除外用モデル」の欄に図示されているように、画像が入力され、当該入力された画像に対応する異常スコアを出力するモデルである。
【0069】
===異常スコア===
「異常スコア」とは、例えば、除外用モデルに入力された画像(つまり、例えば、撮影装置側画像)と、学習済画像(つまり、例えば、冠水スコア特定用モデルを生成するための機械学習で用いられた風景撮影画像)との相異の度合いを示す情報である。
【0070】
「異常スコア」の定義は任意であるが、本実施の形態では例えば、前述の各画像相互間の相異の度合いが小さくなる程(つまり、各画像が相互に類似する程)小さな値となり、すなわち、各画像相互間の相異の度合いが大きくなる程(つまり、各画像が相互に異なる程)大きな値となる数値情報を用いる場合について説明する。
【0071】
例えば、前述したように路面又は地面を含む風景が鮮明に写っている風景撮影画像が、冠水スコア特定用モデルを生成するための機械学習で用いられるので、当該風景撮影画像が学習済画像となる。よって、路面又は地面を含む風景が比較的鮮明に写っている画像が除外用モデルに入力された場合、除外用モデルからは、比較的小さな値の数値情報が出力されることが想定される。
【0072】
一方、例えば、比較的不鮮明に風景が写っている画像、あるいは、雨具等の風景とは異なる画像が主に写っている画像等が除外用モデルに入力された場合、除外用モデルからは、比較的大きな値の数値情報が出力されることが想定される。
【0073】
===格納手法===
そして、図1の除外用モデルの具体的な格納手法は任意であるが、例えば、公知の学習手法で機械学習を行って生成される学習済のモデルである除外用モデルを生成して格納することとする。
【0074】
機械学習について具体的には、例えば、冠水スコア特定用モデルを生成するための機械学習で用いられた風景撮影画像(つまり、学習済画像)、あるいは、当該風景撮影画像に類似した画像(例えば、人が類似しているものと判断した画像等)等を用いて、いわゆる教師データ有りの機械学習を行うことにより、除外用モデルを生成してもよい。
【0075】
(構成-サーバ装置-制御部)
図1の制御部23は、サーバ装置2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係るプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してサーバ装置2にインストールされることで、制御部23の各部を実質的に構成する。
【0076】
制御部23は、機能概念的には、図1に示すように例えば、取得部231、推定部232、第1判定部233、及び第2判定部234を備える。
【0077】
===取得部===
取得部231は、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段である。取得部231は、例えば、対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、対象領域関連画像として取得する手段である。取得部231は、例えば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得する手段である。取得部231は、例えば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段及び第2判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得する手段である。
【0078】
===推定部===
推定部232は、取得手段が取得した対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、対象領域内の浸水状況を推定する推定手段である。推定部232は、例えば、取得手段が取得した対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルと、対象領域内の傾斜の度合いを示す傾斜指数情報とに基づいて、対象領域内の浸水状況を推定する手段である。推定部232は、例えば、取得手段が取得した対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、複数の撮影位置各々における浸水度を特定する第1推定処理と、第1推定処理で特定した浸水度の内の最大の浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、第2推定処理で特定した最大浸水度と、複数の領域の内の最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、傾斜指数情報とに基づいて、複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行う手段である。推定部232は、例えば、第3推定処理において、最大浸水度と、最大浸水度所属領域と、傾斜指数情報と、対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、複数の領域各々の浸水状況を推定する手段である。
【0079】
===第1判定部===
第1判定部233は、対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段である。第1判定部233は、例えば、学習済相異度特定用モデルに基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する手段である。
【0080】
===第2判定部===
第2判定部234は、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段である。第2判定部234は、例えば、第1判定手段とは異なる手法で撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する手段である。第2判定部234は、例えば、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する手段である。なお、この制御部23の各手段によって実行される処理については、後述する。
【0081】
(処理)
次に、このように構成される情報処理システム100によって行われる浸水状況推定処理について説明する。図7は、浸水状況推定処理のフローチャートである(以下では、各ステップを「S」と称する)。浸水状況推定処理は、サーバ装置2で行われる処理であり、概略的には、対象領域の浸水状況を推定する処理である。この浸水状況推定処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、サーバ装置2の電源をオンした場合に、繰り返し起動することとし、この浸水状況推定処理が起動したところから説明する。
【0082】
===SA1===
図7のSA1において制御部23は、冠水スコア特定処理を実行する。図8は、冠水スコア特定処理を示すフローチャートである。「冠水スコア特定処理」とは、冠水スコアを特定するための処理である。
【0083】
===SB1===
図8のSB1において取得部231は、撮影装置側画像(つまり、図3の「送信画像」の欄に例示されている画像)を取得する。具体的には任意であるが、例えば、図1の車載カメラ装置11、端末装置12、及び監視カメラ装置13から送信され各画像を、撮影装置側画像として取得する。ここでは、例えば、各画像について、以下の手法で取得する。
【0084】
=車載カメラ装置側撮影画像=
ここでは、例えば、図1の車載カメラ装置11は、対象領域内である「A市」内で、所定時間間隔(例えば、1秒~2秒間隔等)毎に撮影した車載カメラ装置側撮影画像と、撮影日時を示す撮影日時情報とを相互に関連付けた状態で、カーナビゲーションシステムに関するサーバ(不図示)(以下、「カーナビ用サーバ」とも称する)に送信し、カーナビ用サーバの記録部に、これらの送信された情報が蓄積されるように構成されていることとする。
【0085】
そして、サーバ装置2が、カーナビ用サーバに対して情報送信の要求を行った場合、カーナビ用サーバは、各車載カメラ装置11に関して最新の撮影日時が関連付けられている車載カメラ装置側撮影画像をサーバ装置2に送信する。一方、サーバ装置2の取得部231は、この送信された車載カメラ装置側撮影画像を、撮影装置側画像として取得する。
【0086】
=端末装置側撮影画像=
また、例えば、図1の端末装置12は、対象領域内である「A市」内で、ユーザの所定操作に応じて、撮影を行って端末装置側撮影画像を、ソーシャルネットワーキングサービスに関するサーバ(不図示)(以下、「SNS用サーバ」とも称する)に送信したり、ユーザが入力したテキスト又は選択した画像等を示す端末装置側非撮影画像をSNS用サーバに送信したり、SNS用サーバの記録部に、これらの送信された情報が蓄積されるように構成されていることとする。なお、この場合、例えば、SNS用サーバ側に情報が送信された日時を示す送信日時と関連付けられた状態で蓄積されることとする。
【0087】
そして、サーバ装置2が、SNS用サーバに対して情報送信の要求を行った場合、SNS用サーバは、各端末装置12に関して最新の送信日時が関連付けられている端末装置側撮影画像及び端末装置側非撮影画像をサーバ装置2に送信する。一方、サーバ装置2の取得部231は、この送信された端末装置側撮影画像及び端末装置側非撮影画像を、撮影装置側画像として取得する。
【0088】
なお、より詳細には、例えば、端末装置側撮影画像及び端末装置側非撮影画像については、ユーザに投稿された(つまり、端末装置12から送信された)メッセージと共にSNS用サーバの記録部に格納されていることとし、サーバ装置2は、学習済画像(風景撮影画像)に関連するメッセージ(例えば、「道路」、「水またり」等)に関連付けられている各画像の送信を要求して取得することとしてもよい。
【0089】
=監視カメラ装置側撮影画像=
また、例えば、図1の監視カメラ装置13は、対象領域内である「A市」内で、所定時間間隔(例えば、1秒~2秒間隔等)毎に撮影した監視カメラ装置側撮影画像と、撮影日時を示す撮影日時情報とを相互に関連付けた状態で、監視ステムに関するサーバ(不図示)(以下、「監視ステム用サーバ」とも称する)に送信し、監視ステム用サーバの記録部に、これらの送信された情報が蓄積されるように構成されていることとする。
【0090】
そして、サーバ装置2が、監視ステム用サーバに対して情報送信の要求を行った場合、監視ステム用サーバは、各監視カメラ装置13に関して最新の撮影日時が関連付けられている監視カメラ装置側撮影画像をサーバ装置2に送信する。一方、サーバ装置2の取得部231は、この送信された監視カメラ装置側撮影画像を、撮影装置側画像として取得する。
【0091】
なお、このSB1では実際には、例えば、多数(例えば、数千個~数万個等)の撮影装置側画像を取得することになる。
【0092】
===SB2===
図8のSB2において第1判定部233は、SB1で取得した各撮影装置側画像全てに関して第1除去判定を行う。
【0093】
「第1除去判定」とは、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定した上で、当該判定結果に基づいて処理から除去するか否かを判定することを示す概念であり、例えば、図5の除外用モデルを用いて行われる判定である。
【0094】
処理について具体的には任意であるが、例えば、SB1で取得した各撮影装置側画像を、図1の記録部22に記録されている除外用モデルに対して入力し、除外用モデルから出力された異常スコア(数値情報)を取得し、取得した異常スコアと第1除去判定閾値(数値情報)とを比較し、比較結果に基づいて判定する。
【0095】
詳細には、取得した異常スコアが第1除去判定閾値以上である場合、除外用モデルに入力された撮影装置側画像と学習済画像との相互間の相異の度合いが比較的大きいために、撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、処理から除去するものと判定する。
【0096】
一方、取得した異常スコアが第1除去判定閾値未満である場合、除外用モデルに入力された撮影装置側画像と学習済画像との相互間の相異の度合いが比較的小さいために、撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像であるものと判定し、処理に含めるものと判定する(つまり、処理から除去しないものと判定する)。
【0097】
「第1除去判定閾値」とは、除外用モデルに入力された画像(つまり、撮影装置側画像)が学習済画像(つまり、冠水スコア特定用モデルを生成するために行われた機械学習で教師データとして用いられた風景撮影画像)に対応する画像であるか否かを判定するための閾値であり、例えば、実験又はシミュレーション等に基づいて予め定められている数値情報である。なお、「学習済画像に対応する画像」とは、学習済画像と同様に風景が鮮明に写っている画像を示す概念であるものと解釈してもよい。
【0098】
=具体例=
ここでは、例えば、真夜中等の暗い環境下で撮影したり、降雨等によりカメラレンズに付着した水滴も写ったりして、不鮮明な画像となっている撮影装置側画像については、除外用モデルに入力した場合、学習済画像との相違の度合いが比較的大きいために、当該除外用モデルから比較的大きな値の異常スコアが出力されることが想定される。そして、比較的大きな値の異常スコアが出力された場合、学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、処理から除去するものと判定する。
【0099】
また、例えば、昼間の明るい環境下で撮影し、且つ、付着した水滴等の意図しない対象が写っておらず、風景が鮮明に写っている画像となっている撮影装置側画像については、除外用モデルに入力した場合、学習済画像との相違の度合いが比較的小さいために、当該除外用モデルから比較的小さな値の異常スコアが出力されることが想定される。そして、比較的小さな値の異常スコアが出力された場合、撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像であるものと判定し、処理に含めるものと判定することになる。
【0100】
また、例えば、風景を撮影した画像以外の撮影装置側画像(端末装置側非撮影画像)については、除外用モデルに入力した場合、基本的には、学習済画像との相違の度合いが比較的大きいために、当該除外用モデルから比較的大きな値の異常スコアが出力されることが想定される。そして、比較的大きな値の異常スコアが出力された場合、学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、処理から除去するものと判定する。
【0101】
===SB3===
図8のSB3において第2判定部234は、SB1で取得した各撮影装置側画像の内の、SB2で処理の対象とすると判定された各撮影装置側画像(つまり、学習済画像に対応する画像であるものと判定され撮影装置側画像)全てに関して第2除去判定を行う。
【0102】
「第2除去判定」とは、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定した上で、当該判定結果に基づいて処理から除去するか否かを判定することを示す概念であり、例えば、SB2での第1除去判定とは異なる判定手法で行われる判定である。
【0103】
例えば、SB2の第1除去判定では大部分の撮影装置側画像に関して想定通りの判定が行われるものの、ごく一部の撮影装置側画像については、想定に反する判定が行われること(つまり、第1除去判定では正常に判断し難く、すなわち、判断を苦手とするごく一部の撮影装置側画像が存在すること)が、実験又はシミュレーションにより判明したので、この判明したことに基づいて、第1除去判定を補う目的で第2除去判定を行うこととする。
【0104】
判明したことについて詳細には、例えば、端末装置側非撮影画像(例えば、テキスト又はイラスト等を示す画像等)の内のごく一部の画像については、第1除去判定において、処理から除去するものと判定することが想定されているにも関わらず、比較的小さな値の異常スコアの値が除外用モデルから出力されて、学習済画像に対応する画像であるものと判定し、処理に含めるものと判定される場合があることが判明した。
【0105】
=処理(概略)=
処理について概略的には、例えば、端末装置側非撮影画像(例えば、テキスト又はイラスト等を示す画像等)と、それ以外の撮影装置側画像(例えば、車載カメラ装置側撮影画像、端末装置側撮影画像、監視カメラ装置側撮影画像)(以下、「各撮影画像」とも称する)とを相互に分別して判定する手法を用いて第2除去処理を行う。
【0106】
画像の分別については、例えば、端末装置側非撮影画像がテキスト又はイラスト等の実際の風景を撮影した以外の画像であり、例えばテキストについて白色及び黒色の2個の色で表示可能であり、また、イラストについては比較的広い範囲において同じ色が塗られているために、画像内で同じ色となっている画素(つまり、同じ画素値となっている画素)の個数が比較的多く、一方で、各撮影画像は実際の風景を撮影したものであり、例えば、空の青色を示す場合であっても、濃淡を含めて様々な種類の青色で表示されているために、画像内で同じ色となっている画素(つまり、同じ画素値となっている画素)の個数が比較的少ないことに着目して分別する場合について説明する。
【0107】
=処理(詳細)=
図9は、第2除去判定の説明図である。なお、図9の(a)は、撮影装置側画像を示す図であり、説明の便宜上、各画像の画素値に対応する色が示されている。なお、実際の撮影装置側画像は、図9の(a)に画素の総数よりも多い画素を含んでいるが、ここでは、図9(a)の場合を適宜参照して説明する。図9の(a)において最外周の文字が記載されていない各画素については、白色に対応する画素値の画素を示しており、また、「黄」、「緑」、「青」、「赤」と図示されている各画素については、黄色に対応する画素値の画素、緑色に対応する画素値の画素、青色に対応する画素値の画素、赤色に対応する画素値の画素を示していることとする(図9の(b)も同様とする)。
【0108】
なお、各撮影装置側画像については、画像サイズ(つまり、画素の総数)は相互に同一であることとしてもよいし、あるいは、相互に異なることとしてもよい。
【0109】
処理について詳細には、例えば、まず、SB2の第1除去判定で処理の対象とすると判定された撮影装置側画像について、横一列分の画素の画素値を確認して、この確認した画素値の内の登場回数(つまり、出現頻度)が最も多い画素値を特定し、当該特定した画素値の登場回数を特定する(つまり、横一列分の画素において最も多く用いられている色を示す画素値を特定し、当該横一列分の画素において、この特定した画素値となっている画素の個数を特定する)。なお、ここで特定した登場回数を、「最頻色登場回数」とも称する。
【0110】
そして、上述の最頻色登場回数を特定する処理を、撮影装置側画像の全ての行に対して行うことにより、各行の最頻色登場回数を特定し、特定した各行の最頻色登場回数の平均を算出する演算(つまり、「各行の最頻色登場回数の合計値」÷「撮影装置側画像における行の個数を示す数値」の演算)を行い、演算結果を色頻度スコアとして取得する。
【0111】
次に、取得した色頻度スコアと第2除去判定閾値(数値情報)とを比較し、比較結果に基づいて判定する。
【0112】
詳細には、取得した色頻度スコアが第2除去判定閾値以上である場合、撮影装置側画像内で同じ色となっている画素の個数が比較的多いので、撮影装置側画像を、例えばテキスト又はイラスト等を示す画像等(端末装置側非撮影画像)に分別した上で、撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、処理から除去するものと判定する。
【0113】
一方、取得した色頻度スコアが第2除去判定閾値未満である場合、撮影装置側画像内で同じ色となっている画素の個数が比較的少ないので、撮影装置側画像を、風景を撮影した画像(各撮影画像)に分別した上で、撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像であるものと判定し、処理に含めるものと判定する(つまり、処理から除去しないものと判定する)。
【0114】
「第2除去判定閾値」とは、色頻度スコアが演算された画像(つまり、撮影装置側画像)が学習済画像(つまり、冠水スコア特定用モデルを生成するために行われた機械学習で教師データとして用いられた風景撮影画像)に対応する画像であるか否かを判定するための閾値であり、例えば、実験又はシミュレーション等に基づいて予め定められている数値情報である。
【0115】
=具体例=
ここでは、図9の(a)に示す撮影装置側画像については、図9の(b)に示すように、1番目の行(図面の最上段の行)については、全て「白」の画素値となっているので、最頻色登場回数として「10」を特定する。また、図9の(b)の2番目の行(図面の2段目の行)については、「白」の画素値が2回登場し、「黄」の画素値が8回登場しているので、最頻色登場回数として「8」を特定する。図9の(b)の3番目~10番目の行については、同様にして、最頻色登場回数として「6」、「4」、「2」、「2」、「4」、「6」、「8」、「10」を特定する。
【0116】
そして、この取得結果に基づいて、最頻色登場回数の平均を算出する演算として、図9の(c)に示すように、「(10+8+6+4+2+2+4+6+8+10)÷10」(なお、「10」は「撮影装置側画像における行の個数を示す数値」である)の演算を行い、演算結果である「6」を色頻度スコアとして取得する。
【0117】
次に、取得した色頻度スコアである「10」と第2除去判定閾値である「3」(便宜上の値とする)とを比較し、取得した色頻度スコアである「10」が第2除去判定閾値である「3」以上であるので、図9の(a)の撮影装置側画像を、例えばテキスト又はイラスト等を示す画像等(端末装置側非撮影画像)に分別した上で、当該撮影装置側画像については、学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、処理から除去するものと判定する。
【0118】
===SB4===
図8のSB4において制御部23は、SB1~SB3の処理結果に基づいて、冠水スコアを特定する。具体的には任意であるが、例えば、第1ステップ~第3ステップを行う。
【0119】
=第1ステップ=
第1ステップにおいて取得部231は、SB1で取得した各撮影装置側画像の内の、SB2及びSB3の両方で処理の対象とすると判定された各撮影装置側画像(つまり、第1除去判定及び第2除去判定の両方の判定で、学習済画像に対応する画像であるものと判定され撮影装置側画像)を取得する。なお、ここで取得する撮影装置側画像が、「対象領域関連画像」に対応するものと解釈してもよい。
【0120】
ここでは、例えば、多数の撮影装置側画像が、SB2及びSB3の両方で処理の対象とするものと判定された場合、当該多数の撮影装置側画像を取得する。
【0121】
=第2ステップ=
第2ステップにおいて推定部232は、第1ステップで取得部231が取得した各撮影装置側画像の撮影位置を特定する。具体的な特定手法任意であり、例えば、各画像に対して図1の地図情報が示す地図上の位置を撮影位置として示す情報が関連付けられていることとし、この関連付けられている情報に基づいて、地図情報が示す地図上の位置を撮影位置として特定してもよい。例えば、撮影装置側画像の種類(つまり、車載カメラ装置側撮影画像、端末装置側撮影画像、監視カメラ装置側撮影画像)に応じて以下の処理を行うことにより、特定してもよい。
【0122】
<<<車載カメラ装置側撮影画像>>>
車載カメラ装置側撮影画像については、例えば、図1の車載カメラ装置11が、自車(車載カメラ装置11が搭載されている車両)に設けられている自車位置検出手段(例えば、GPS機能を用いて自車の現在位置(つまり、車載カメラ装置11の現在位置)を検出する公知の手段)を用いて、撮影したタイミングの自車の現在位置を検出し、検出した現在位置を示す現在位置情報(図1の地図情報が示す地図上の位置を示す情報であり、例えば、経度及び緯度に対基づく座標情報等)を、車載カメラ装置側撮影画像と関連付けた状態で送信し、カーナビ用サーバの記録部に、当該現在位置情報及び車載カメラ装置側撮影画像が関連付けられた状態で蓄積されていることとする。
【0123】
そして、サーバ装置2が、図8のSB1において、車載カメラ装置側撮影画像を取得する場合に、前述の関連付けられている現在位置情報も併せて取得することとし、SB4において、この取得した現在位置情報が示す位置(図1の地図情報が示す地図上の位置)を撮影位置として特定する。
【0124】
<<<端末装置側撮影画像>>>
端末装置側撮影画像については、例えば、サーバ装置2が、図8のSB1において、端末装置側撮影画像と共にSNS用サーバの記録されている格納されているメッセージの内容(例えば、「A市〇〇駅前の〇〇コーヒーショップ前にて・・・」等の位置を特定可能なメッセージ)が示す位置(図1の地図情報が示す地図上の位置)を撮影位置として特定する。
【0125】
なお、図1の地図情報には、例えば、A市内に設けられている建物、道路、信号機、交差点等の位置を特定する情報も含まれており、例えば、「A市〇〇駅前の〇〇コーヒーショップ」というメッセージに基づいて地図上の位置を特定可能となっていることとする。
【0126】
<<<監視カメラ装置側撮影画像>>>
監視カメラ装置側撮影画像については、例えば、図1の監視カメラ装置13が、自己を一意に識別する監視カメラ識別情報(以下、識別情報を「ID」とも称する)を、監視カメラ装置側撮影画像と関連付けた状態で送信し、監視ステム用サーバの記録部に、当該監視カメラID及び監視カメラ装置側撮影画像が関連付けられた状態で蓄積されていることとする。また、サーバ装置2の記録部22に、監視カメラ装置13の設置位置を示す設置位置情報が格納されていることとする。
【0127】
そして、サーバ装置2が、図8のSB1において、監視カメラ装置側撮影画像を取得する場合に、前述の関連付けられている監視カメラ装置IDも併せて取得することとし、SB4において、この取得した監視カメラ装置IDと記録部22の設置位置情報とに基づいて、監視カメラ装置IDが示す監視カメラ装置13の設置位置(図1の地図情報が示す地図上の位置)を特定し、この特定した設置位置を撮影位置として特定する。
【0128】
<<<バリエーション>>>
例えば、端末装置側撮影画像及び監視カメラ装置側撮影画像も、車載カメラ装置側撮影画像の場合と同様にして、撮影位置を特定するように構成してもよい。また、例えば、図8のSB1で取得した車載カメラ装置側撮影画像に地図上の位置を特定する情報が写っている場合、この写っている情報に基づいて、撮影位置を特定してもよい。
【0129】
=第3ステップ=
第3ステップにおいて推定部232は、当該第1ステップで取得部231が取得した各撮影装置側画像を、図1の記録部22に記録されている冠水スコア特定用モデルに対して入力することにより、前述の第2ステップでの特定結果及び冠水スコア特定用モデルへの入力結果(つまり、当該モデルから出力される情報)に基づいて、各撮影装置側画像の各撮影位置における各冠水スコアを特定する。
【0130】
=具体例=
ここでは、例えば、第1ステップにおいて、複数の車載カメラ装置側撮影画像、複数の端末装置側撮影画像、及び複数の監視カメラ装置側撮影画像を取得し、第2ステップにおいて、1個の車載カメラ装置側撮影画像(「第1車載カメラ装置側撮影画像」とも称する)の撮影位置として、図4の(b)の「c-2のメッシュ領域」内の位置の特定し、また、他の1個の車載カメラ装置側撮影画像(「第2車載カメラ装置側撮影画像」とも称する)の撮影位置として、図4の(b)の「c-3のメッシュ領域」内の位置の特定し、また、更に他の車載カメラ装置側撮影画像(「第3車載カメラ装置側撮影画像」とも称する)の撮影位置として、図4の(b)の「c-5のメッシュ領域」内の位置の特定したこととする。なお、第2ステップでは、「第1車載カメラ装置側撮影画像」~「第3車載カメラ装置側撮影画像」以外の第1ステップで取得した各画像に関しても撮影位置を特定することになるが、詳細の例示は省略する。そして、第3ステップにおいて、「第1車載カメラ装置側撮影画像」~「第3車載カメラ装置側撮影画像」等を、冠水スコア特定用モデルに入力した場合において、当該冠水スコア特定用モデルから「9」、「AA」、「2」、・・・等が出力された場合、前述の撮影位置(つまり、「c-2のメッシュ領域」内の位置、「c-3のメッシュ領域」内の位置、「c-5のメッシュ領域」内の位置等)における冠水スコアとして、「9」、「AA」、「2」、・・・等を取得して特定する。なお、「AA」は便宜上の記載であり、これらの特定した「9」、「AA」、「2」、・・・等の内の最大値に該当する数値を示すものとする。
【0131】
なお、実際には、第2ステップでは、第1ステップで取得した全ての撮影装置側画像に関して撮影位置を特定し、第3ステップにおいては、当該全てについて、撮影位置各々における冠水スコアを特定することになる。そして、冠水スコア特定処理をリターンする。
【0132】
なお、このSB4においては、前述したように、SB2及びSB3の両方で処理の対象とすると判定された各撮影装置側画像のみが用いられるので、冠水スコア特定用モデルに対して適切な画像を入力することができるので、適切に処理することが可能となる。
【0133】
なお、図8のSB4の第2ステップ及び第3ステップが、「第1推定処理」に対応するものと解釈してもよい。
【0134】
===SA2===
図7のSA2において推定部232は、最大冠水スコア所属メッシュ領域を特定する。
【0135】
=最大冠水スコア所属メッシュ領域=
「最大冠水スコア所属メッシュ領域」とは、最大浸水度所属領域であり、例えば、対象領域に含まれる複数のメッシュ領域の内の、最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属するメッシュ領域を示す概念である。
【0136】
「最大浸水度」とは、SA1(詳細には図8のSB4)で取得して特定した冠水スコアの内の最大値となっている冠水スコアを示す概念である。
【0137】
「最大浸水度に対応する撮影位置」とは、最大値となっている冠水スコアが特定された撮影装置側画像の撮影位置を示す概念であり、詳細には、最大値となっている冠水スコアが冠水スコア特定用モデルから出力される際に当該モデルに入力された撮影装置側画像が撮影された位置を示す概念である。
【0138】
=処理=
処理について具体的には任意であるが、例えば、第1ステップ~第2ステップを行う。
【0139】
=第1ステップ=
第1ステップにおいて推定部232は、SA1(詳細には図8のSB4)で特定した冠水スコアの内の最大値となっている冠水スコア(以下、「最大冠水スコア」とも称する)を特定する。
【0140】
ここでは、例えば、図8のSB4で特定した「9」、「AA」、「2」、・・・等の内の最大値である「AA」を、最大冠水スコアとして特定する。
【0141】
なお、SA2の第1ステップが、「第2推定処理」に対応するものと解釈してもよい。
【0142】
=第2ステップ=
第2ステップにおいて推定部232は、図1の記録部22の地図情報を参照して、図8のSB4の処理結果に基づいて、第1ステップで特定した最大冠水スコアに対応する撮影位置を特定し、特定した撮影位置が所属するメッシュ領域を、最大冠水スコア所属メッシュ領域として特定する。
【0143】
ここでは、例えば、図8のSB4の第3ステップにおいて、「c-3のメッシュ領域」内の撮影位置おける冠水スコアとして「AA」(最大冠水スコア)を特定したので、図4の(b)の符号「M101」が付されている「c-3のメッシュ領域」を最大冠水スコア所属メッシュ領域として特定する。
【0144】
===SA3===
図7のSA3において推定部232は、推定処理を実行する。図10は、推定処理を示すフローチャートである。「推定処理」とは、対象領域の浸水状況を推定する処理である。
【0145】
===SC1===
図10のSC1において推定部232は、図1の記録部22の地図情報に基づいて、対象領域の各メッシュ領域における標高を特定する。ここでは、例えば、図4の(b)に示すように、「a-2のメッシュ領域」の標高である「99」、「b-2のメッシュ領域」の標高である「100」等を特定する。
【0146】
===SC2===
図10のSC2において推定部232は、SC1の処理結果に基づいて、対象領域の各メッシュ領域における傾斜指数を特定する。
【0147】
図11は、傾斜指数及び浸水深さの説明図であり、また、図12図14は、処理例の説明図である。なお、図12図14においては、図4の(b)の対象領域におけるメッシュ領域が図示されており、各種数値情報が図示されている。
【0148】
=傾斜指数=
「傾斜指数」とは、対象領域内の傾斜の度合いを示す情報であり、例えば、メッシュ領域単位に基づく傾斜の度合いを示す情報である。「傾斜指数」とは、例えば、傾斜指数によって傾斜の度合いが示されるメッシュ領域(以下、「対象メッシュ領域」とも称する)の標高と、当該メッシュ領域に隣接する周辺の各メッシュ領域(本実施の形態では、8個のメッシュ領域)の標高との差分(つまり、標高差)に基づいて定められる数値情報である。なお、「傾斜指数」を「傾斜指数情報」と称してもよい。
【0149】
「傾斜指数」とは、本実施の形態では例えば、図11の(A)に示すように、「周辺領域のメッシュ領域の標高差の値の総和」÷「周辺のメッシュ領域の個数」の演算結果の絶対値である。なお、当該演算結果の絶対値が「1」よりも大きくなる場合、傾斜指数は「1」になることとする。
【0150】
なお、「周辺領域のメッシュ領域の標高差」とは、対象メッシュ領域の標高と、当該対象メッシュ領域に隣接する周辺の各メッシュ領域の各標高との差分各々を示す概念である。また、「周辺のメッシュ領域の個数」とは、前述のように、本実施の形態では8個であるので、「8」となる。
【0151】
=処理=
処理について具体的には任意であるが、例えば、各メッシュ領域を、順次、対象メッシュ領域として、第1ステップ~第2ステップを行うことにより、各メッシュ領域の傾斜指数を特定する。ここでは、例えば、図4の(b)の「c-3のメッシュ領域」を対象メッシュ領域とする場合の処理を主に例示して説明する。
【0152】
=第1ステップ=
第1ステップにおいて推定部232は、SC1で特定した各メッシュ領域の標高に基づいて、対象メッシュ領域の標高に対する、当該対象メッシュ領域に隣接する周辺の各メッシュ領域の各標高の差分を演算することにより、対象メッシュ領域の標高に対する周辺の各メッシュ領域と標高差各々を特定する。詳細には、例えば、周辺の各メッシュ領域の標高が対象メッシュ領域の標高よりも低い場合、正の数値(つまり、高い場合は負の数値)とし、単位としては「m」を用いる。
【0153】
ここでは、例えば、図4の(b)の「c-3のメッシュ領域」を対象メッシュ領域とする場合、当該「c-3のメッシュ領域」の標高が「100」であり、周囲のメッシュ領域である「d-2のメッシュ領域」の標高が「102」であり、「d-2のメッシュ領域」の標高の方が「c-3のメッシュ領域」の標高よりも、「2」だけ高いことになるので、図12の(a)の「d-2のメッシュ領域」に図示されている通り、「d-2のメッシュ領域」の対象メッシュ領域に対する標高差として「-2」を特定する。周辺の他のメッシュ領域についても同様な処理を行うことにより、図12の(a)に図示されている標高差を特定する。
【0154】
=第2ステップ=
第2ステップにおいて、第1ステップで特定した標高差を用いて、図11の(A)の演算式に示す演算を行い、演算結果の数値を対象メッシュ領域の傾斜指数として特定する。なお、前述した通り、演算結果が「1」よりも大きくなる場合、「1」を対象メッシュ領域の傾斜指数として特定することとする。
【0155】
ここでは、例えば、第1ステップにおいて、図12の(a)に図示されている標高差を特定した場合、図12の(b)の「(演算例)」に示す演算を行い、演算結果が「0.75」(「1」以下)であるので、「c-3のメッシュ領域」の傾斜指数として、「0.75」を特定する。
【0156】
=他の具体例=
また、例えば、「b-3のメッシュ領域」を対象メッシュ領域とする場合の処理する場合、第1ステップには、「b-3のメッシュ領域」に対する「b-3のメッシュ領域」の周辺のメッシュ領域の標高差として、図13の(a)に図示されている標高差を特定し、第2ステップにおいて、図13の(b)の「(演算例)」に示す演算を行い、演算結果が「0.125」(「1」以下)であるので、「b-3のメッシュ領域」の傾斜指数として、「0.125」を特定する。そして、同様な処理を行うことにより、他の全てのメッシュ領域における傾斜指数を特定する。
【0157】
===SC3===
図10のSC3において推定部232は、上記の各処理結果を適宜用いて、少なくとも、最大冠水スコアと、最大冠水スコア所属メッシュ領域と、傾斜指数情報とに基づいて、対象領域の浸水状況を推定する。ここでは、例えば、対象領域の浸水状況として、各メッシュ領域単位での浸水深さ(たまっている水の深さ)を推定する場合について説明する。
【0158】
処理について具体的には任意であるが、例えば、第1ステップ~第3ステップを行う。
【0159】
=第1ステップ=
第1ステップにおいて推定部232は、図7のSA2の処理結果に基づいて、最大冠水スコア所属メッシュ領域における最大冠水スコアに対応する冠水スコア対応浸水深さを特定する。
【0160】
「冠水スコア対応浸水深さ」とは、冠水スコアから求められる浸水深さを示す概念である。冠水スコアは、前述した通り、浸水深さ(浸水した際の水面から底までの深さ)に対応する数値として定められているので、冠水スコアから当該冠水スコアに対応する浸水深さを特定することができ、この特定される浸水深さが「冠水スコア対応浸水深さ」である。
【0161】
冠水スコアから浸水深さ(つまり、「冠水スコア対応浸水深さ」)を特定する特定手法は任意であり、例えば、冠水スコアと当該冠水スコアに対応する浸水深さとを示すテーブル情報、あるいは、冠水スコアから当該冠水スコアに対応する浸水深さを演算して求めるための演算式が、サーバ装置2の記録部22に記録されていることとし、この記録されているテーブル情報又は演算式に基づいて特定する手法を用いてもよい。
【0162】
処理について詳細には例えば、前述の特定手法に基づいて、図7のSA2の第1ステップ特定した最大冠水スコアに対応する冠水スコア対応浸水深さを特定する。
【0163】
ここでは、例えば、図7のSA2の第1ステップ特定した最大冠水スコアが「AA」であるので、前述の特定手法に基づいて特定される「AA」に対応する浸水深さが「10」(単位は「cm」であり以下適宜省略する)である場合、図14の(a)に示すように、最大冠水スコア所属メッシュ領域である「c-3のメッシュ領域」における最大冠水スコアに対応する冠水スコア対応浸水深さとして「10」を特定する。
【0164】
=第2ステップ=
第2ステップにおいて推定部232は、図10のSC1で特定した各メッシュ領域の標高に基づいて、図7のSA2の第1ステップ特定した最大冠水スコア所属メッシュ領域の標高に対する、各メッシュ領域(最大冠水スコア所属メッシュ領域を含む)の各標高の差分を演算することにより、対象メッシュ領域の標高に対する周辺の各メッシュ領域の標高差各々を特定する。詳細には、例えば、各メッシュ領域の標高が最大冠水スコア所属メッシュ領域の標高よりも低い場合、正の数値(つまり、高い場合は負の数値)とし、単位としては「cm」を用いる。
【0165】
ここでは、例えば、図4の(b)の「c-3のメッシュ領域」が最大冠水スコア所属メッシュ領域であり、当該「c-3のメッシュ領域」の標高が「100」(m)であり、「b-3のメッシュ領域」の標高は「99」(m)であるので、「b-3のメッシュ領域」の標高の方が「c-3のメッシュ領域」(最大冠水スコア所属メッシュ領域)の標高よりも「1」(m)(つまり、「100」cm)だけ低いことになるので、図14の(b)の「b-3のメッシュ領域」に図示されている通り、「b-3のメッシュ領域」の最大冠水スコア所属メッシュ領域に対する標高差として「100」を特定する。
【0166】
また、「c-3のメッシュ領域」の標高差は、自己が最大冠水スコア所属メッシュ領域であるために、図14の(b)の「c-3のメッシュ領域」に図示されている通り、「c-3のメッシュ領域」の最大冠水スコア所属メッシュ領域に対する標高差として「0」を特定する。なお、他の全てのメッシュ領域についても同様な処理を行うことにより、各メッシュ領域の最大冠水スコア所属メッシュ領域に対する標高差を特定する(図14では具体的な値は不図示)。
【0167】
=第3ステップ=
第3ステップにおいて推定部232は、第1ステップ及び第2ステップの処理結果、及び、図10のSC2の処理結果に基づいて、各メッシュ領域の浸水深さを推定する。具体的には任意であるが、例えば、図11の(B)に示す演算を行い、演算結果を浸水深さとして特定し、特定した浸水深さを推定した浸水深さとする。
【0168】
処理について詳細には例えば、推定対象の特定のメッシュ領域(以下、「推定対象メッシュ領域」とも称する)の浸水深さを推定する場合、「第1ステップで特定した冠水スコア対応浸水深さ」+「第2ステップで特定した推定対象メッシュ領域の標高差」×「図10のSC2で特定した推定対象メッシュ領域の傾斜指数」の演算を行い、演算結果を、「推定対象メッシュ領域」の浸水深さとして特定して推定する。そして、対象領域に含まれる全てのメッシュ領域について、順次、「推定対象メッシュ領域」として上述の処理を行うことにより、全てのメッシュ領域における浸水深さを推定する。
【0169】
ここでは、例えば、「b-3のメッシュ領域」が推定対象メッシュ領域である場合、第1ステップで特定した冠水スコア対応浸水深さが「10」であり、第2ステップで特定した「b-3のメッシュ領域」の標高差が「100」(図14の(b))であり、図10のSC2で特定した「b-3のメッシュ領域」の傾斜指数が「0.125」(図14の(c)及び図13の(b))であるので図14の(d)の上段の「(演算例)」に示すように、「10+100×0.125」の演算を行い、演算結果である「22.5」(cm)を、「b-3のメッシュ領域」の浸水深さとして推定する。
【0170】
=他の具体例=
また、例えば、「c-3のメッシュ領域が推定対象メッシュ領域である場合、第1ステップで特定した冠水スコア対応浸水深さが「10」であり、第2ステップで特定した「c-3のメッシュ領域」の標高差が「0」(図14の(b))であり、図10のSC2で特定した「c-3のメッシュ領域」の傾斜指数が「0.75」(図14の(c))であるので図14の(d)の下段の「(演算例)」に示すように、「10+0×0.75」の演算を行い、演算結果である「10」(cm)を、「c-3のメッシュ領域」の浸水深さとして推定する。そして、同様な処理を行うことにより、他の全てのメッシュ領域の浸水深さを特定する。そして、図10の推定処理をリターンし、図7の浸水状況推定処理を終了する。
【0171】
なお、図10の推定処理が「第3推定処理」に対応するものと解釈してもよい。
【0172】
また、図7の浸水状況推定処理終了後の処理は任意であるが、例えば、サーバ装置2の制御部23が、図7のSA3(詳細には図10のSC3)で推定した浸水状況を示す情報を、ユーザ(例えば、「A市」の防災担当者)の端末装置(例えば、パソコン等)に送信することにより、浸水状況を表示してもよい。なお、この場合、図1の記録部22の地図情報が示す地図上に、推定した浸水深さを示す画像を重畳した浸水状況表示マップを表示するように構成してもよい。なお、この浸水状況表示マップにおいては、所定の深さ以上の浸水深さが推定されたメッシュ領域を強調表示してもよいし、例えば色の濃淡を用いて、多段階の浸水深さを示ように構成してもよい。
【0173】
(傾斜指数の影響)
図11の(B)に示すように、傾斜指数に基づいて浸水深さが推定されるので、例えば、連続して下方に向かって傾斜している範囲(つまり、上下交互となる起伏がほぼなく、連続して傾斜している範囲)において、降雨の際に、隣接した領域から流れ込む水量と、他の隣接した領域に流れ出る水量とが相互にほぼ同等となる領域が存在し得る。そして、このような領域においては、隣接するメッシュ領域においては標高の差が存在しても、標高差に対応する深さ分だけ水がたまるわけではない実情が想定され、傾斜指数を用いることによりこのような想定を反映して浸水深さを推定できるので、浸水深さの推定精度を向上させることが可能となる。
【0174】
すなわち、例えば、図4の(b)の「b-3のメッシュ領域」については、最大冠水スコア所属メッシュ領域である「c-3のメッシュ領域」よりも「100」(cm)だけ標高が低いが、降雨の際は、標高差による傾斜を考慮すると、例えば、図4の(b)の図面下方側から上方側へ流れて、「b-3のメッシュ領域」から流れ出る水も存在するので、「c-3のメッシュ領域」よりも標高差分の「100」(cm)だけ浸水深さが深くなることは想定難い実情がある。そして、この「b-3のメッシュ領域」の浸水深さの推定の際には、前述したように、標高差に対して傾斜指数である「0.125」が掛け合わされた後に、「c-3のメッシュ領域」の冠水スコア対応深さに加算されることになるので、上述の実情が反映されるために、浸水深さの推定精度を向上させることが可能となる。
【0175】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像に基づいて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。また、例えば、対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度(例えば冠水スコア)を特定する学習済浸水状況特定用モデル(例えば冠水スコア特定用モデル)を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0176】
また、対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報(つまり、傾斜指数)を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0177】
また、第1推定処理、第2推定処理、及び第3推定処理を行うので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0178】
また、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段(例えば第1判定部233)が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0179】
また、第1判定手段(例えば第1判定部233)は、撮影装置側画像と学習済画像との相異の度合を特定する学習済相異度特定用モデル(例えば除外用モデル)に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【0180】
また、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段(例えば第1判定部233)及び第2判定手段(例えば第2判定部234)が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0181】
また、第2判定手段(例えば第2判定部234)は、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【0182】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0183】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0184】
(分散や統合について)
また、上述した各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0185】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0186】
(所定装置について)
また、上記実施の形態では、撮影手段を備える所定装置として、図1及び図2の車載カメラ装置11、端末装置12、及び監視カメラ装置13を例示したが、これらに限らず、他の装置を適用することもできる。
【0187】
(画像について)
また、上記実施の形態で説明した画像(図3の「送信画像」の欄に記載の画像)は例示であり、実際には、多数の種類の画像を用いることが想定される。
【0188】
(メッシュ領域について)
また、上記実施の形態では、メッシュ領域が、1辺が10mの正方形である場合について説明したが、これに限らない。例えば、メッシュ領域の形状として、他の任意の形状(例えば、三角形、長方形等)を採用してもよいし、あるいは、複数のメッシュ領域として、実施の形態のように相互に同一の形状及びサイズのものを採用してもよいし、少なくとも一部が相互に異なる形状及びサイズのものを採用してもよい。
【0189】
(除去判定について)
また、例えば、上記実施の形態の図8のSB2の第1除去判定、又は、SB3の第2除去判定の内の一方の除去判定を省略した上で、省略されていない他方の除去判定で、処理の対象とすると判定された各撮影装置側画像について、図8のSB4の処理を行うように構成してもよい。
【0190】
また、例えば、SB2及びSB3の実行順序を相互に入れ替えてもよい。また、例えば、図8のSB2及びSB3の両方の除去判定を省略した上で、SB1で取得した各撮影装置側画像の全てについて、SB4の処理を行うように構成してもよい。
【0191】
(傾斜指数について)
また、上記実施の形態の図11の傾斜指数の演算式については、任意に変更してもよく、例えば、所定の重みづけを行って演算しもよい。
【0192】
(浸水状況の推定について(その1))
また、上記実施の形態では、図10のSC3において、対象領域の浸水状況として、各メッシュ領域単位での浸水深さ(たまっている水の深さ)を推定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、図10のSC3において、対象領域の浸水状況として、各メッシュ領域単位での浸水深さを特定した上で、対象領域の各領域において水がたまっているか否かを推定するように構成してもよい。
【0193】
具体的には例えば、実施の形態で説明した図10のSC3の処理を行うことより特定(推定)された各メッシュ領域の浸水深さに基づいて、浸水深さが「0」の領域を水がたまっていない領域と推定し、浸水深さが「0」より大きな数値となる領域を水がたまっている領域として推定してもよい。なお、「0」以外の基準(例えば、「2」~「5」等)に基づいて推定するように構成してもよい。
【0194】
(浸水状況の推定について(その2))
また、上記実施の形態では、メッシュ領域及び傾斜指数という概念を採用して、浸水状況の推定する場合について説明しが、これに限らない。例えば、メッシュ領域という概念を採用せず、図8のSB4で特定した各撮影位置における冠水スコアに対応する浸水深さを特定し、特定した浸水深さに基づいて浸水状況を推定するように構成してもよい。なお、この場合、例えば、各撮影位置における浸水深さを特定することが、浸水状況を推定することに対応するものと解釈してもよい。
【0195】
(降水関連情報)
また、降水関連情報も考慮して、対象領域の浸水状況を推定するように構成してもよい。図15図16は、対象領域を例示した図である。
【0196】
「降水関連情報」とは、降水に関連する情報であり、例えば、所定機関(一例としては、気象庁関連の機関等)から提供される高解像度降水ナウキャストに基づく降水分布に対応する情報(以下、「高解像度降水ナウキャスト情報」とも称する)、及び、所定機関(一例としては、気象庁関連の機関等)から提供される表面雨量指数に基づく浸水危険度の高まりを示す分布に対応する情報(以下、「表面雨量指数情報」とも称する)等を含む概念である。
【0197】
(降水関連情報-高解像度降水ナウキャスト情報)
高解像度降水ナウキャスト情報を用いる場合の実装手法は任意であるが、例えば、第1ステップ~第4ステップを行うように構成してもよい。
【0198】
=第1ステップ=
第1ステップにおいて、サーバ装置の推定部232は、図10のSC3と同様な処理を行うことにより、各メッシュ領域単位での浸水深さを特定(推定)することにより、図1の記録部22の地図情報を参考にして、図15に示すように、対象領域において仮浸水推定領域を特定する。
【0199】
「仮浸水推定領域」とは、浸水しているものと仮で推定される領域であり、具体的には、浸水深さが「0」より大きくなっている領域であり、例えば、第1ステップにおいて、浸水深さが「0」よりも大きいものと特定されたメッシュ領域の集合を示す概念である。
【0200】
=第2ステップ=
第2ステップにおいて、サーバ装置の推定部232は、前述の所定機関側のコンピュータから、対象領域における、高解像度降水ナウキャスト情報を取得し、取得した当該高解像度降水ナウキャスト情報に基づいて、図16の(a)に示すように、降雨領域を推定する。
【0201】
「降水領域」とは、高解像度降水ナウキャスト情報に基づいて定まる領域であり、例えば、所定の降水量以上となっている領域を示す概念である。
【0202】
=第3ステップ=
第3ステップにおいて、サーバ装置の推定部232は、第1ステップ及び第2ステップの処理結果に基づいて、図16の(b)の浸水推定領域を特定する。
【0203】
「浸水推定領域」とは、浸水しているものと推定される領域であり、例えば、第1ステップで特定した仮浸水推定領域と、第2ステップで特定した降水領域とが相互に重複している領域(つまり、前述の2種類の領域のAND(論理積)となる領域)を示す概念である。
【0204】
=第4ステップ=
第4ステップにおいて、サーバ装置の推定部232は、図10のSC3と同様な処理を行うことにより特定された各メッシュ領域単位での浸水深さ(第1ステップの前段部分参照)の内の、第3ステップで特定した浸水推定領域の範囲内のメッシュ領域の浸水深さとしては、図10のSC3と同様な処理を行うことにより特定された浸水深さを推定し、一方、第3ステップで特定した浸水推定領域の範囲外のメッシュ領域の浸水深さとしては、「0」(つまり、水がたまっていないこと)を推定する。
【0205】
このように構成することにより、対象領域内の降水に関す降水関連情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0206】
=バリエーション=
また、第4ステップのバリエーションとしては、例えば、第3ステップで特定した浸水推定領域の範囲外のメッシュ領域の浸水深さとしては、図10のSC3と同様な処理を行うことにより特定された浸水深さに対して、所定の重み(0よりも大きく且つ1よりも小さい数値)を掛け合わせた値に対応する浸水深さを推定することにより、最終的に推定される浸水深さの値をより小さな値としてもよい。
【0207】
(降水関連情報-表面雨量指数情報)
表面雨量指数情報を用いる場合の実装手法は任意であるが、例えば、高解像度降水ナウキャスト情報を用いる場合の実装手法と同様な手法を用いてもよい。
【0208】
(降水関連情報-バリエーション)
また、例えば、高解像度降水ナウキャスト情報及び表面雨量指数情報の両方を採用することにより、例えば、仮浸水推定領域(図16の(a))と、降水領域(図16の(a))と、危険領域(不図示であり、表面雨量指数情報に基づいて定まる領域)とが相互に重複している領域(つまり、前述の3種類の領域のAND(論理積)となる領域)を、浸水推定領域として特定して上記の処理を行うように構成してもよい。
【0209】
(組み合わせ)
また、上記実施の形態及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0210】
(付記)
付記1の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである。
【0211】
付記2の推定システムは、付記1に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する。
【0212】
付記3の推定システムは、付記2に記載の推定システムにおいて、前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である。
【0213】
付記4の推定システムは、付記3に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する。
【0214】
付記5の推定システムは、付記1から4の何れか一項に記載の推定システムにおいて、前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【0215】
付記6の推定システムは、付記5に記載の推定システムにおいて、前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである。
【0216】
付記7の推定システムは、付記5に記載の推定システムにおいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【0217】
付記8の推定システムは、付記7に記載の推定システムにおいて、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する。
【0218】
付記9の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルである。
【0219】
(付記の効果)
付記1に記載の推定システム、及び付記9に記載の推定プログラムによれば、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像に基づいて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。また、例えば、対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定する学習済浸水状況特定用モデルを用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0220】
付記2に記載の推定システムによれば、対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0221】
付記3に記載の推定システムによれば、第1推定処理、第2推定処理、及び第3推定処理を行うので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0222】
付記4に記載の推定システムによれば、対象領域内の降水に関する降水関連情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0223】
付記5に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0224】
付記6に記載の推定システムによれば、第1判定手段は、撮影装置側画像と学習済画像との相異の度合を特定する学習済相異度特定用モデルに基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【0225】
付記7に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段及び第2判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【0226】
付記8に記載の推定システムによれば、第2判定手段は、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0227】
2 サーバ装置
11 車載カメラ装置
12 端末装置
13 監視カメラ装置
21 通信部
22 記録部
23 制御部
100 情報処理システム
231 取得部
232 推定部
233 第1判定部
234 第2判定部
M100 符号
M101 符号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定し、
前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、
前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、
前記推定手段は、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、
前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、
前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、
前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である、
推定システム。
【請求項2】
前記推定手段は、
前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項3】
前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項1又は2に記載の推定システム。
【請求項4】
前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである、
請求項に記載の推定システム。
【請求項5】
前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、
前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項6】
前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項7】
対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況であって、少なくとも、たまっている水の深さを示す浸水状況を推定する推定手段と、を備え、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記浸水度は、前記対象領域の路面又は地面と、垂直方向において当該対象領域の路面又は地面よりも所定距離分だけ高い所定位置とを基準にして定まる数値情報である、
推定システム。
【請求項8】
対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記推定システムは、
前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段と、を更に備え、
前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得し、
前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記学習済画像は、前記対象領域の風景が写っている画像である風景撮影画像であり、
前記撮影装置側画像は、前記風景撮影画像と、前記対象領域の風景が写っていない画像である風景非撮影画像と、を含んでおり、
前記風景非撮影画像は、テキストを表示する画像、又は、イラストを表示する画像を含んでいる、
推定システム。
【請求項9】
前記撮影装置側画像は、縦方向に対応する行及び横方向に対応する列において並べられている複数の画素、を有し、
前記第2判定手段は、
前記撮影装置側画像の前記複数の画素に関して各行において横方向に並べられている画素の画素値の内で出現頻度が最も多い画素値を行単位で特定し、当該特定した画素値の出現頻度を行単位で特定し、特定した出現頻度の平均に対応する頻度スコアを演算する演算処理と、
前記演算処理で演算された前記頻度スコアが所定の閾値以上である場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、前記演算処理で演算された前記頻度スコアが前記所定の閾値未満である場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと判定する判定処理と、を行う、
請求項8に記載の推定システム。
【請求項10】
対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定し、
前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、
前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、
前記推定手段は、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、
前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、
前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、
前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である、
推定プログラム。
【請求項11】
対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況であって、少なくとも、たまっている水の深さを示す浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記浸水度は、前記対象領域の路面又は地面と、垂直方向において当該対象領域の路面又は地面よりも所定距離分だけ高い所定位置とを基準にして定まる数値情報である、
推定プログラム。
【請求項12】
対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
前記推定プログラムは、前記コンピュータを、
前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段と、として更に機能させ、
前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得し、
前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記学習済画像は、前記対象領域の風景が写っている画像である風景撮影画像であり、
前記撮影装置側画像は、前記風景撮影画像と、前記対象領域の風景が写っていない画像である風景非撮影画像と、を含んでおり、
前記風景非撮影画像は、テキストを表示する画像、又は、イラストを表示する画像を含んでいる、
推定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定し、前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項2に記載の推定システムは、請求項1に記載の推定システムにおいて、前記推定手段は、前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項3に記載の推定システムは、請求項1又は2に記載の推定システムにおいて、前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項4に記載の推定システムは、請求項3に記載の推定システムにおいて、前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項5に記載の推定システムは、請求項に記載の推定システムにおいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項6に記載の推定システムは、請求項5に記載の推定システムにおいて、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項7に記載の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況であって、少なくとも、たまっている水の深さを示す浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記浸水度は、前記対象領域の路面又は地面と、垂直方向において当該対象領域の路面又は地面よりも所定距離分だけ高い所定位置とを基準にして定まる数値情報である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項8に記載の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記推定システムは、前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段と、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段と、を更に備え、前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得し、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記学習済画像は、前記対象領域の風景が写っている画像である風景撮影画像であり、前記撮影装置側画像は、前記風景撮影画像と、前記対象領域の風景が写っていない画像である風景非撮影画像と、を含んでおり、前記風景非撮影画像は、テキストを表示する画像、又は、イラストを表示する画像を含んでいる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項9に記載の推定システムは、請求項8に記載の推定システムにおいて、前記撮影装置側画像は、縦方向に対応する行及び横方向に対応する列において並べられている複数の画素、を有し、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像の前記複数の画素に関して各行において横方向に並べられている画素の画素値の内で出現頻度が最も多い画素値を行単位で特定し、当該特定した画素値の出現頻度を行単位で特定し、特定した出現頻度の平均に対応する頻度スコアを演算する演算処理と、前記演算処理で演算された前記頻度スコアが所定の閾値以上である場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像ではないものと判定し、前記演算処理で演算された前記頻度スコアが前記所定の閾値未満である場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと判定する判定処理と、を行う。
請求項10に記載の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定し、前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得し、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行い、前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報である。
請求項11に記載の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況であって、少なくとも、たまっている水の深さを示す浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記浸水度は、前記対象領域の路面又は地面と、垂直方向において当該対象領域の路面又は地面よりも所定距離分だけ高い所定位置とを基準にして定まる数値情報である。
請求項12に記載の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記推定プログラムは、前記コンピュータを、前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段と、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段と、として更に機能させ、前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得し、前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、前記学習済画像は、前記対象領域の風景が写っている画像である風景撮影画像であり、前記撮影装置側画像は、前記風景撮影画像と、前記対象領域の風景が写っていない画像である風景非撮影画像と、を含んでおり、前記風景非撮影画像は、テキストを表示する画像、又は、イラストを表示する画像を含んでいる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1に記載の推定システム、及び請求項10に記載の推定プログラムによれば、対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像に基づいて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。また、例えば、対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定する学習済浸水状況特定用モデルを用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
また、対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
また、第1推定処理、第2推定処理、及び第3推定処理を行うので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項2に記載の推定システムによれば、対象領域内の降水に関する降水関連情報を用いて浸水状況を推定するので、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項3に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項4に記載の推定システムによれば、第1判定手段は、撮影装置側画像と学習済画像との相異の度合を特定する学習済相異度特定用モデルに基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項5に記載の推定システムによれば、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段及び第2判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項6に記載の推定システムによれば、第2判定手段は、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項7に記載の推定システム、及び請求項11に記載の推定プログラムによれば、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項8に記載の推定システム、及び請求項12に記載の推定プログラムによれば、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
また、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
また、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるものと第1判定手段及び第2判定手段が判定した場合に、撮影装置側画像を対象領域関連画像として取得することにより、例えば、適切な対象領域関連画像を用いることができるので、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる。
また、第2判定手段は、撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、撮影装置側画像が学習済画像に対応する画像であるか否かを判定することにより、例えば、適切に判定することが可能となる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、
前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得するものであり
前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報であり、
前記推定手段は、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、
前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、
前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行うことにより、前記対象領域内の浸水状況を推定するものである
推定システム。
【請求項2】
前記推定手段は、
前記第3推定処理において、前記最大浸水度と、前記最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報と、前記対象領域内の降水に関する降水関連情報と基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する、
請求項1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記対象領域を撮影する撮影手段を備える所定装置から送信された画像である撮影装置側画像が、前記学習済浸水状況特定用モデルで予め学習された画像である学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第1判定手段、を更に備え、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項1又は2に記載の推定システム。
【請求項4】
前記第1判定手段は、学習済相異度特定用モデルに基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記学習済相異度特定用モデルは、前記撮影装置側画像と前記学習済画像との相異の度合を特定するモデルである、
請求項3に記載の推定システム。
【請求項5】
前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する第2判定手段、を更に備え、
前記第2判定手段は、前記第1判定手段とは異なる手法で前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定し、
前記取得手段は、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるものと前記第1判定手段及び前記第2判定手段が判定した場合に、前記撮影装置側画像を前記対象領域関連画像として取得する、
請求項3に記載の推定システム。
【請求項6】
前記第2判定手段は、前記撮影装置側画像内の各画素値の出現頻度に基づいて、前記撮影装置側画像が前記学習済画像に対応する画像であるか否かを判定する、
請求項5に記載の推定システム。
【請求項7】
対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、
前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、
記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、
前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得するものであり
前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報であり、
前記推定手段は、
前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、
前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、
前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行うことにより、前記対象領域内の浸水状況を推定するものである
推定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の推定システムは、対象領域の浸水状況を推定する推定システムであって、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、を備え、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得するものであり前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報であり、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行うことにより、前記対象領域内の浸水状況を推定するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項7に記載の推定プログラムは、対象領域の浸水状況を推定する推定プログラムであって、コンピュータを、前記対象領域を撮影した画像である対象領域関連画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、学習済浸水状況特定用モデルと、前記対象領域内の傾斜の度合を示す傾斜指数情報とに基づいて、前記対象領域内の浸水状況を推定する推定手段と、として機能させ、前記学習済浸水状況特定用モデルは、前記対象領域関連画像に基づいて浸水の度合である浸水度を特定するモデルであり、前記対象領域は、メッシュ状に複数の領域に区分されており、前記取得手段は、前記対象領域内の複数の撮影位置を撮影した複数の画像を、前記対象領域関連画像として取得するものであり、前記傾斜指数情報は、前記複数の領域各々の標高に基づく傾斜の度合を示す情報であり、前記推定手段は、前記取得手段が取得した前記対象領域関連画像と、前記学習済浸水状況特定用モデルとに基づいて、前記複数の撮影位置各々における前記浸水度を特定する第1推定処理と、前記第1推定処理で特定した前記浸水度の内の最大の前記浸水度である最大浸水度を特定する第2推定処理と、前記第2推定処理で特定した前記最大浸水度と、前記複数の領域の内の前記最大浸水度に対応する撮影位置である最大浸水度対応撮影位置が属する領域である最大浸水度所属領域と、前記傾斜指数情報とに基づいて、前記複数の領域各々の浸水状況を推定する第3推定処理、とを行うことにより、前記対象領域内の浸水状況を推定するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1に記載の推定システム、及び請求項に記載の推定プログラムによれば、例えば、浸水状況の推定精度を向上させることが可能となる
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】