(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128311
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】運動支援装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240913BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G16H20/00
A63B69/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037237
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの運動を支援する仕組みにおいて、ユーザの満足度及びモチベーションを好適に維持できる運動支援装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の運動支援装置10は、所定のエクササイズについて予め用意され、身体の各部の適正な動き又は姿勢が関連付けられた複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する設定情報をユーザに関連付けて登録する登録部11と、エクササイズを実行するユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得する取得部13と、動き情報と設定情報とに基づいて、ユーザがエクササイズを適正に実行しているか否かを評価する評価部14と、評価部14の評価結果に基づいて、ユーザに対するフィードバック内容を示すフィードバック情報を生成する生成部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエクササイズについて予め用意され、身体の各部の適正な動き又は姿勢が関連付けられた複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する設定情報をユーザに関連付けて登録する登録部と、
前記エクササイズを実行する前記ユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得する取得部と、
前記動き情報と前記設定情報とに基づいて、前記ユーザが前記エクササイズを適正に実行しているか否かを評価する評価部と、
前記評価部の評価結果に基づいて、前記ユーザに対するフィードバック内容を示すフィードバック情報を生成する生成部と、
を備える、運動支援装置。
【請求項2】
前記登録部は、前記エクササイズの開始前に所定の動作を指示する指示情報を前記ユーザに通知し、前記指示情報の通知後に前記ユーザにより実行された動作に関する動作情報を取得し、前記動作情報に基づいて前記複数の評価項目の少なくとも一部についての前記設定情報を決定する、
請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記ユーザの身体の複数の部位のうちから評価対象として選択された部位を特定するための情報を含む、
請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記設定情報は、前記ユーザの身体の部位の動きの適正範囲、前記部位の適正な静止時間、複数の前記部位間の適正な位置関係、及び前記ユーザの身体の複数の部位のうち曲がる部分の適正な角度の少なくとも一つを含む複数の評価ポイントのうちから評価対象として選択された評価ポイントを特定するための情報を含む、
請求項1に記載の運動支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、運動支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの運動の様子を撮影し、撮影された映像を解析して利用者が所期の動作を行っているか否かを判定し、利用者の運動達成度を総合的に評価する運動支援システムが開示されている。上記運動支援システムにおいては、例えば、膝の伸展/屈曲を繰り返す運動において、膝が十分に曲がっていなかったり、膝を屈曲した状態で維持する時間が不十分であったりした場合に、運動達成度が低く評価される。また、ユーザが所期の動作を適切に行えていないと判定された場合には、当該ユーザに対して映像又は音声による動作修正のアドバイスが出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エクササイズ(例えば、スクワット等)を実行するユーザの身体の状態は、ユーザ毎に異なり得る。例えば、骨格の問題等によって、どうしても猫背になってしまうユーザも存在する。仮に、上記エクササイズの評価項目として「お尻を下げたときに背中が猫背にならないこと」が含まれている場合、当該ユーザは、猫背になっている点以外について適正な動きでエクササイズを実行できたとしても、上記の猫背に関する評価項目を達成できていないことを理由として運動達成度が低く評価されてしまうことになる。その結果、ユーザの満足度及びモチベーションが低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、ユーザの運動を支援する仕組みにおいて、ユーザの満足度及びモチベーションを好適に維持できる運動支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る運動支援装置は、所定のエクササイズについて予め用意され、身体の各部の適正な動き又は姿勢が関連付けられた複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する設定情報をユーザに関連付けて登録する登録部と、エクササイズを実行するユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得する取得部と、動き情報と設定情報とに基づいて、ユーザがエクササイズを適正に実行しているか否かを評価する評価部と、評価部の評価結果に基づいて、ユーザに対するフィードバック内容を示すフィードバック情報を生成する生成部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る運動支援装置によれば、所定のエクササイズについて予め用意された複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する設定情報を、ユーザに関連付けて個別に登録(設定)できる。このようにユーザに関連付けて登録された設定情報に基づいてユーザのエクササイズを評価することにより、ユーザの状況(例えば、身体の状態、骨格の問題等)に応じて、ユーザのエクササイズを適切に評価することができる。例えば、骨格の問題によってどうしても猫背になってしまうユーザについては、複数の評価項目のうち背中の姿勢に関する評価項目(例えば、「お尻を下げたときに背中が猫背にならないこと」を定めた評価項目)を評価対象に含めないように設定情報を登録することができる。上記構成によれば、当該ユーザについて、猫背になっていることを理由として低い評価がされたり、猫背を修正することを指示するフィードバック情報(すなわち、ユーザに対して当該ユーザが実行不可能なことを実行するように無理強いする不適切な指導情報)が生成されたりすることが防止される。その結果、エクササイズを実行するユーザの満足度及びモチベーションが好適に維持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、ユーザの運動を支援する仕組みにおいて、ユーザの満足度及びモチベーションを好適に維持できる運動支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る運動支援装置を含む情報システムの構成例を示す図である。
【
図2】評価項目及び設定情報の一例を示す図である。
【
図3】エクササイズのレッスンに関する各状態の一例を示す図である。
【
図5】運動支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】運動支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る運動支援装置10を含む情報システム1の構成の一例を示す図である。情報システム1は、運動支援装置10と、複数のユーザ端末20と、を含んでいる。運動支援装置10と各ユーザ端末20とは、有線又は無線の通信ネットワークを介して、互いにデータ通信可能に接続されている。運動支援装置10と各ユーザ端末20との間には、データ通信を中継する一以上の装置が介在してもよい。
【0012】
運動支援装置10は、一例として、複数のユーザ端末20の各々(すなわち、複数のユーザ端末20を利用する複数のユーザ)に対してエクササイズを支援するサービスを提供するサーバ装置である。概略的には、運動支援装置10は、各ユーザによって使用されるユーザ端末20から、エクササイズを実行する各ユーザの動き情報を取得し、ユーザ毎にカスタマイズされた評価項目(後述する「設定情報」)に基づいて、各ユーザのエクササイズを評価する。そして、運動支援装置10は、ユーザ毎の評価結果に基づいてユーザ毎のフィードバック情報を生成し、ユーザ端末20に対して当該フィードバック情報を出力する。
【0013】
ユーザ端末20は、ユーザにより使用されるコンピュータ端末である。ユーザ端末20の種類は限定されない。例えば、ユーザ端末20は、デスクトップPC、ラップトップPC等のパーソナルコンピュータであってもよいし、ユーザの手に保持されるスマートフォン、タブレット端末等の端末装置であってもよいし、ユーザの頭部等の身体の一部に装着されるウェアラブルデバイスであってもよい。ウェアラブルデバイスの例としては、ゴーグル型、グラス型(眼鏡型)、帽子型等のヘットマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0014】
ユーザ端末20は、エクササイズを実行するユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得可能に構成されている。例えば、ユーザ端末20は、エクササイズを実行するユーザの全身を撮影可能なカメラを備えてもよい。この場合、カメラによって撮影されたユーザの全身の動きを示す動画(映像)データが、ユーザの動き及び姿勢を把握するための動き情報として取得され、運動支援装置10に送信されてもよい。或いは、ユーザ端末20は、ユーザの身体の一以上の部分(例えば膝、腰等の特定の関節に対応する部分)に固定された一以上のモーションセンサと通信可能に構成されてもよい。この場合、各モーションセンサによって検出されたユーザの身体の各部の位置又は動き(例えば、3次元の位置の変化、加速度等)を示すモーションデータが、動き情報として取得され、運動支援装置10に送信されてもよい。
【0015】
上述したように、エクササイズを実行するユーザの動き情報は、特定の情報に限定されず、ユーザがエクササイズを適正に実施できているか否かを評価するために必要なユーザの身体の動きを把握可能な情報であればよい。また、ユーザの動き情報は、必ずしもユーザの全身の動きを示す情報である必要はなく、ユーザの身体の一部の動きを示す情報であってもよい。例えば、ユーザにより実行されるエクササイズが全身を使った運動ではなく、身体の一部(例えば上半身)のみを動かす運動である場合には、ユーザ端末20は、当該身体の一部のみの動きを示す動き情報を取得して運動支援装置10に送信してもよい。
【0016】
また、ユーザ端末20は、ユーザに対して所定のエクササイズの見本動作、上述したカメラ等によって撮影されたユーザ自身の映像等をユーザに提示するための表示部(ディスプレイ、モニタ等)を備えてもよい。この場合、ユーザは、ユーザ端末20の表示部に映される見本動作又はユーザ自身の動きを確認しながら、所定のエクササイズを実行することができる。
【0017】
また、ユーザ端末20は、ユーザが楽しんでエクササイズを実行できるように、所定のエクササイズに合わせた音楽等を出力する音声出力部(スピーカ等)を備えてもよい。このような音楽のデータは、後述するエクササイズのレッスン開始に合わせて運動支援装置10からユーザ端末20に配信されてもよいし、予めユーザ端末20に記憶されてもよい。
【0018】
運動支援装置10は、ユーザによる所定のエクササイズの実行を支援する。「所定のエクササイズ」は、予め適正な動作又は姿勢が定められた運動である。所定のエクササイズは、例えば、スクワット、腕立て伏せ、腹筋運動、背筋運動等の、決められた動作を反復的に複数回繰り返す運動である。或いは、所定のエクササイズは、エアロビクス、ダンス、ヨガ等のより複雑高度な動作が要求される運動であってもよい。本実施形態では一例として、所定のエクササイズはスクワットであるものとする。
【0019】
運動支援装置10は、各ユーザ(各ユーザ端末20を利用するユーザ)のエクササイズを評価し、評価結果に基づくフィードバック情報(後述する指導情報、コメント、結果情報等)をユーザに提供することにより、ユーザのエクササイズを支援する。運動支援装置10を利用することにより、フィットネスのコーチングを無人で実行することができる。すなわち、実際の人であるコーチがいなくても、各ユーザに対してエクササイズの適切な実施を指導すると共に、所定時間(或いは所定回数)のエクササイズの実行完了後にエクササイズの評価結果をユーザにフィードバックすること等が可能となる。
【0020】
図1に示されるように、運動支援装置10は、登録部11と、記憶部12と、取得部13と、評価部14と、生成部15と、出力部16と、状態制御部17と、を備える。
【0021】
登録部11は、所定のエクササイズについて予め用意された複数の評価項目の各々についての設定情報をユーザに関連付けて登録する。複数の評価項目の各々には、身体の各部の適正な動き又は姿勢が関連付けられている。設定情報は、各評価項目を評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する情報を含んでいる。本実施形態のように、複数のユーザ(ユーザ端末20)が運動支援装置10を利用する場合には、登録部11は、ユーザ毎に設定情報を個別に登録する。本実施形態では、登録部11は、ユーザ毎の設定情報を記憶部12に記憶させる。記憶部12に記憶される各ユーザの設定情報には、例えばユーザを識別するための識別情報(ユーザID)が関連付けられる。上記構成によれば、後述する評価部14は、ユーザIDをキーとして記憶部12を参照することにより、当該ユーザIDに対応する設定情報を取得できる。
【0022】
図2は、評価項目及び設定情報の一例を示す図である。
図2の例では、各評価項目は、「分類」と「部位」と「評価ポイント」との組み合わせによって表現されている。このような複数の評価項目は、所定のエクササイズの種類毎に予め用意(登録)されている。
図2は、スクワットに関する複数の評価項目の例を示している。「分類」は、評価の主な観点の種類を示す。この例では、「動き」、「バランス」、「角度」の3つが、の「分類」に含まれる要素として登録されている。「部位」は、評価対象となる身体の部位を示す。「評価ポイント」は、具体的な評価の観点の種類を示す。本実施形態では、身体の部位の動きの適正範囲(
図2の例では、分類「動き」に関連付けられる「size」及び「範囲」)、部位の適正な静止時間(
図2の例では、分類「バランス」に関連付けられる「keep」)、複数の部位間の適正な位置関係(
図2の例では、分類「バランス」に関連付けられる「位置関係」)、及び複数の部位のうち曲がる部分(例えば膝等)の適正な角度(
図2の例では、分類「角度」に関連付けられる「size」、「特定値とマッチ」、「範囲」)に関する複数の評価ポイントが予め用意されている。
【0023】
分類「動き」に関連付けられる「size」は、エクササイズ中にユーザが動いてよい範囲をある基準位置からの最小距離(min)と最大距離(max)とで規定した評価ポイントである。例えば、該当する部位の動きの範囲がminとmaxとの間に収まっていれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の動きの範囲がminとmaxとの間に収まっていなければ、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0024】
分類「動き」に関連付けられる「範囲」は、エクササイズ中にユーザが動いてよい範囲を3次元空間である移動可能エリアとして規定した評価ポイントである。例えば、該当する部位の動きの範囲が移動可能エリアからはみ出さずに運動を継続できていれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の動きの範囲が移動可能エリアからはみ出していれば、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0025】
分類「バランス」に関連付けられる「keep」は、エクササイズ中の特定のタイミングにおいて姿勢(位置)を一定時間維持する必要があることを規定した評価ポイントである。上記の特定のタイミングは、例えば、エクササイズの種類に応じて、評価項目毎に予め定められている。例えば、該当する部位の位置が上記特定のタイミングで一定時間以上維持されていれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の位置が上記特定のタイミングで一定時間以上維持されていなければ、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0026】
分類「バランス」に関連付けられる「位置関係」は、エクササイズ中の特定のタイミングにおいて複数の部位間の位置関係を規定した評価ポイントである。上記の特定のタイミングは、例えば、エクササイズの種類に応じて、評価項目毎に予め定められている。例えば、上記特定のタイミングにおける上記部位間の位置関係と予め登録された適正な位置関係とのずれが閾値以下であれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、上記特定のタイミングにおける上記部位間の位置関係と予め登録された適正な位置関係とのずれが閾値より大きければ、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0027】
分類「角度」に関連付けられる「size」は、エクササイズ中に許容される部位の角度(曲げ具合)の範囲をある基準状態からの最小角度(min)と最大角度(max)とで規定した評価ポイントである。例えば、該当する部位の角度の範囲がminとmaxとの間に収まっていれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の角度の範囲がminとmaxとの間に収まっていなければ、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0028】
分類「角度」に関連付けられる「範囲」は、エクササイズ中に許容される部位の角度の範囲を3次元空間である移動可能エリアとして規定した評価ポイントである。例えば、該当する部位の曲げ動作時における動きの範囲が移動可能エリアからはみ出さずに運動を継続できていれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の曲げ動作時における動きの範囲が移動可能エリアからはみ出していれば、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0029】
分類「角度」に関連付けられる「特定値とマッチ」は、上述した「size」よりも厳しい条件である。すなわち、エクササイズ中の曲げ動作時における部位の角度(曲げ具合)の範囲(最小角度と最大角度)が、予め定められた特定値(適正な範囲)と一致する必要があることを規定した評価ポイントである。例えば、該当する部位の曲げ動作時における角度の範囲と上記特定値とのずれが閾値以下であれば、適正な動きである(評価ポイントを満たしている)と評価される。一方、該当する部位の曲げ動作時における角度の範囲と上記特定値とのずれが閾値より大きければ、適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価される。
【0030】
図2の例では、上述したように、「分類」と「部位」と「評価ポイント」との組み合わせによって複数の評価項目が定義されている。また、
図2の例では、設定情報は、複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否かを示す情報である。すなわち、
図2において、複数の評価項目のうち、矢印で接続された組み合わせに対応する評価項目が、有効な評価項目(すなわち、評価対象となる項目)として設定されている。言い換えれば、矢印で接続されていない部位(
図2の例では、「耳」及び「つま先」等)及び評価ポイント(
図2の例では、分類「動き」に対応する「範囲」、分類「バランス」に対応する「位置関係」、分類「角度」に対応する「範囲」等)は、評価対象から除外されている。
【0031】
例えば、スクワットにおいては、膝を曲げきったタイミング(すなわち、肩の位置が最も低い位置となる特定のタイミング)で一定期間キープすることが好ましい。
図2の例において、分類「バランス」と部位「肩」と評価ポイント「keep」との組み合わせは、上述したようなキープ動作が適正になされているかを評価するための評価項目である。
図2の例では、設定情報は、上記評価項目(「バランス」-「肩」-「keep」)を評価対象に含めることを示している。
【0032】
一方、スクワットにおいては、顔は常に真正面を向いた方向に維持されることが好ましい。このような観点の評価項目は、例えば、分類「動き」と部位「耳」と評価ポイント「size」(又は「範囲」)との組み合わせによって定義され得る。しかし、上下の屈伸運動の途中にどうしても首が横に揺れてしまうユーザも存在し得る。
図2の例では、設定情報は、上記評価項目(「動き」-「耳」-「size」)を評価対象に含めないことを示している。このように上記評価項目が評価対象から除外された設定情報を上述したユーザ(首が横に揺れてしまうユーザ)に適用することにより、当該ユーザに対して無理な動作が強いられること(すなわち、顔を真正面に向けることを指示する指導情報が後述する生成部15によって生成されること)が防止される。また、当該ユーザが顔を真正面に維持できないことを理由として、当該ユーザに対して適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)という低い評価がされることも防止される。
【0033】
登録部11は、例えば、ユーザ(或いは当該ユーザの運動を指導する第三者)からの入力操作を受け付けることにより、設定情報の登録を受け付けてもよい。すなわち、
図2の例に示したような複数の評価項目(分類、部位、及び評価ポイントの組み合わせ)のうちどの評価項目を評価対象に含めるかを、ユーザ(又は第三者)に手動で決定させてもよい。
【0034】
或いは、登録部11は、エクササイズ(本実施形態ではスクワット)の開始前に所定の動作を指示する指示情報をユーザに通知し、当該指示情報の通知後にユーザにより実行された動作に関する動作情報を取得し、当該動作情報に基づいて複数の評価項目の少なくとも一部についての設定情報を決定してもよい。例えば、登録部11は、首振り動作、手を挙げる動作、膝を曲げる動作等の動作(例えば、所定のエクササイズの種類に応じて予め設定された動作)をユーザに指示し、それに対してユーザが実行した動作の内容(動作情報)に基づいて、ユーザが指示された動作を適切に実行できたか否か、或いはユーザの各部位の可動範囲等を特定する。そして、登録部11は、上記特定された結果に基づいて、ある評価項目を評価対象に含めるか否かを決定してもよい。例えば、スクワットにおいて、「両手を頭の後ろに当てた状態を維持すること」を求める評価項目が予め用意されている場合について考える。このような状況において、登録部11は、上記動作情報に基づいてユーザが手を挙げる動作をスムーズにできないことを特定した場合には、上記評価項目を評価対象に含めないように、当該ユーザの設定情報を登録してもよい。上記構成によれば、ユーザに所定の動作を実行させた結果(動作情報)に基づいて当該ユーザの設定情報を自動且つ適切に登録できるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0035】
また、評価ポイントを構成する種々のパラメータは、ユーザ毎に調整(キャリブレーション)されてもよい。このようなキャリブレーションは、例えば後述するレッスンの開始時等に実行され得る。例えば、運動支援装置10(例えば評価部14)は、ユーザにある定められた姿勢を取るように指示し、その際のユーザの姿勢データを取得する処理を複数回実行し、複数の姿勢データの平均値(平均姿勢)に基づいて、評価基準データ(例えば、上述した分類「動き」に対応する評価ポイント「size」の基準位置等)を設定してもよい。なお、運動支援装置10(例えば評価部14)は、上記平均値が想定される大凡の数値から大きく乖離している場合には、ユーザが指示された姿勢を取らなかったと判断し、予め設定されているデフォルト値を評価基準データとして設定してもよい。
【0036】
なお、
図2に示される評価項目は、評価項目の定義方法の一例に過ぎず、評価項目は
図2に示される以外の態様で定義されてもよい。例えば、評価項目は、「お尻を下げたときに背中が猫背にならない」、「膝をつま先よりも前に出さない」、「お尻が床と平行になるまで上体を下げる」等の具体的な項目によって定義されてもよい。そして、評価項目毎に、評価ポイントを満たすための条件、当該条件の判定のためにユーザの動き情報から特定すべき部位の位置(又は動き)等の評価ロジックが予め設定されてもよい。この場合、後述する評価部14は、当該評価ロジックに基づいて、ユーザのエクササイズが適正か否かを評価できる。また、上記の場合でも、評価項目単位で評価対象に含めるか否かを設定することによって、ユーザ毎にカスタマイズされた設定情報を登録することができる。
【0037】
取得部13は、エクササイズを実行するユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得する。本実施形態では、取得部13は、各ユーザのユーザ端末20において取得された動き情報を受信することにより、当該動き情報を取得する。例えば、取得部13は、エクササイズの実行中(後述する初期状態からクールダウン状態に遷移するまでの間)、継続的に各ユーザ端末20から各ユーザの動き情報を取得する。取得部13は、例えば、ユーザの動きの映像データを動き情報としてユーザ端末20から取得した場合、当該映像データを解析することにより、ユーザの動き又は姿勢を特定してもよい。このような解析には、公知の種々の手法を用い得る。例えば、取得部13は、上記映像データに映されたユーザの身体の骨格を推定し、推定された骨格の3次元位置に基づいて、ユーザの身体の各部位の動き又は姿勢を特定し、特定されたユーザの動き又は姿勢を示す動き情報を評価部14に受け渡してもよい。
【0038】
評価部14は、各ユーザについて、取得部13により取得された当該ユーザの動き情報と、記憶部12に記憶されている当該ユーザの設定情報と、に基づいて、当該ユーザがエクササイズを適正に実行しているか否かを評価する。より具体的には、評価部14は、当該ユーザの設定情報において評価対象に含めることが指定されている評価項目(本実施形態では、分類、部位、及び評価ポイントの組み合わせ)に基づいて、当該ユーザの動き情報の適正さを評価する。すなわち、評価部14は、当該ユーザの設定情報において評価対象に含めることが指定されている評価項目を、当該ユーザの動き情報を評価する際に利用する。一方、評価部14は、当該ユーザの設定情報において評価対象に含めることが指定されていない評価項目(すなわち、評価対象から除外されている評価項目)については、当該ユーザの動き情報を評価する際に利用しない。
【0039】
評価部14による評価は、例えば、スクワット等のように反復的に同じ動きを繰り返すエクササイズについては、試行(1回のスクワット)単位で行われてもよい。この場合、各試行について個別に評価結果が得られるため、適正な動作(或いは不適正な動作)が連続で試行された回数、エクササイズのトータルの回数に対する適正な動作(或いは不適正な動作)の回数の割合等を把握することが可能となる。
【0040】
生成部15は、評価部14の評価結果に基づいて、ユーザに対するフィードバック内容を示すフィードバック情報を生成する。本実施形態では、生成部15は、ユーザ毎の評価結果に基づいて、ユーザ毎のフィードバック情報を生成する。フィードバック情報の例としては、適正な動きができていないユーザに対する指導内容(アドバイス)を示す指導情報、適正な動きができているユーザに対する賞賛のコメント、エクササイズのレッスン(後述)の全体を通しての総合評価を示す結果情報等が挙げられる。
【0041】
例えば、生成部15は、評価部14によって適正な動きではない(評価ポイントを満たしていない)と評価された評価項目がある場合、当該評価項目に対応する指導情報(フィードバック情報)を生成してもよい。例えば、評価項目毎に評価ポイントを満たさない場合の指導内容が予めテンプレートとして用意されてもよい。この場合、生成部15は、当該テンプレートに基づいて指導情報を生成すればよい。例えば、評価部14が、
図2の例における「バランス」-「肩」-「keep」の組み合わせに対応する評価項目について、評価ポイントを満たしていないと評価した場合について考える。この場合、生成部15は、例えば、上記評価項目に対応するテンプレートとして用意されている「膝を曲げてしゃがんだ状態をX秒以上キープしてください。」という指導内容を示す指導情報を生成してもよい。例えば、指導情報は、ユーザ端末20の表示部に表示させるための表示情報(テキスト、イラスト等)であってもよいし、ユーザ端末20の音声出力部(スピーカ)から出力させるための音声情報であってもよい。
【0042】
また、ユーザによっては、評価部14において「評価ポイントを満たしていない」と評価された評価項目が存在しない場合(すなわち、評価対象とされた全ての評価項目において「評価ポイントを満たしている」と評価されている場合)もあり得る。そこで、生成部15は、このようなユーザについては、指導情報の代わりに、ユーザのエクササイズの調子が良いことを示すコメント(例えば、ユーザに対して「よく動けています。その調子です。」といった賞賛のコメント)を、フィードバック情報として生成してもよい。
【0043】
また、生成部15は、後述するエクササイズのレッスンの終了前(クールダウン状態)においてユーザに提示するための結果情報(レッスン全体に関するフィードバック情報)を、レッスン中の各時点における評価結果に基づいて生成してもよい。
【0044】
出力部16は、生成部15によってユーザ毎に生成されたフィードバック情報を、各ユーザに向けて出力する。本実施形態では、出力部16は、ユーザ毎のフィードバック情報を各ユーザのユーザ端末20に送信する。フィードバック情報を受信したユーザ端末20は、フィードバック情報(テキスト、イラスト等)を表示部に表示させたり、フィードバック情報(音声情報)を音声出力部(スピーカ)から出力させたりすることにより、フィードバック内容をユーザに通知する。
【0045】
状態制御部17は、エクササイズのレッスンに関する各状態の遷移を制御する。エクササイズのレッスンは、例えば、各ユーザのユーザ端末20が運動支援装置10にアクセスした状態で、運動支援装置10側でレッスン開始の所定のトリガ操作が実行されることによって開始され得る。この場合、複数のユーザを対象とする同種のエクササイズのレッスンを同じタイミングで開始させつつ、ユーザ毎に評価基準及びエクササイズの進行(状態遷移のパターン)を異ならせることができる。ただし、上記は一例であり、各ユーザは、それぞれ異なるタイミング(例えば、ユーザの好きなタイミング)で、エクササイズのレッスンを開始してもよい。この場合、レッスン開始のトリガ操作は、ユーザ端末20側で実行されて、当該トリガ操作が実行されたことを示す通知情報が運動支援装置10に送信されてもよい。この場合、状態制御部17は、当該通知情報を受信したことに応じて、後述する状態遷移の制御を実行してもよい。
【0046】
図3は、上記レッスンに関する各状態の一例を示す図である。本実施形態では一例として、初期状態、指導前状態、定常状態、指導中状態、追い込み中状態、クールダウン状態、及び終了状態の7つの状態が定義されている。
【0047】
初期状態は、レッスン開始のトリガ操作が実行された後、ユーザの動きが検知される前の状態である。すなわち、初期状態は、エクササイズを開始可能になってから、ユーザがエクササイズを開始するまでの状態である。
【0048】
指導前状態は、適正な動きか否かにかかわらず、初期状態においてユーザの動きが検知された直後の状態である。また、本実施形態では、指導中状態において、ユーザの動きが一向に適正な動作に修正されず、評価ポイントを満たしていないエクササイズの試行回数が一定回数を超えた場合には、指導中状態がリセットされ、指導前状態に戻される。
【0049】
定常状態は、ユーザが適正にエクササイズを実行している状態である。すなわち、定常状態は、評価対象とされた全ての評価項目について評価部14によって「評価ポイントを満たしている」と評価されている状態である。
【0050】
指導中状態は、ユーザが適正にエクササイズを実行できていない状態である。すなわち、指導中状態は、評価対象とされた少なくとも一部の評価項目について評価部14によって「評価ポイントを満たしていない」と評価されている状態である。
【0051】
追い込み中状態は、予め定められた基準を達した後に、通常(例えば、定常状態)よりも高い負荷の運動がユーザに要求される状態である。一例として、上記基準は、エクササイズの実行回数が予め定められた目標回数に達すると共に、予め設定された閾値回数以上のエクササイズ(スクワット)において全ての評価項目について「評価ポイントを満たしている」と評価されたことである。すなわち、追い込み中状態は、通常の負荷で余裕を持って正しくエクササイズを実行できたユーザに対して、運動効果をさらに高めるために用意されたオプションステージとしての位置付けを有している。
【0052】
クールダウン状態は、ユーザに対してエクササイズの終了を通知すると共に、全体を通したエクササイズの結果情報(例えば、各時点における評価部14による評価結果の集計データ等)がユーザに通知される状態である。
【0053】
終了状態は、エクササイズのレッスンが終了した状態である。
【0054】
図4は、状態制御部17による状態遷移制御の一例を示す図である。状態制御部17は、「遷移前」の状態において、「トリガ」に記載された事象が検知されると、「遷移後」の状態に遷移させる。
【0055】
本実施形態では、指導前状態、定常状態、及び指導中状態において、上述した評価部14によるエクササイズ(動き情報)の評価が実行される。状態制御部17は、その評価結果に応じて、レッスン状態を遷移させる。すなわち、状態制御部17は、全ての評価項目について「評価ポイントを満たしている」との評価結果が得られている場合には、レッスン状態を「定常状態」にし、少なくとも一部の評価項目について「評価ポイントを満たしていない」との評価結果が得られている場合には、レッスン状態を「指導中状態」にする。また、追い込み中状態においても、クールダウン状態に移行するか否かを判断するために、評価部14による評価が実行される。
【0056】
また、指導中状態において、生成部15によってフィードバック情報(例えば、ユーザに対する指摘事項(改善ポイント)を含む指導情報)が生成され、出力部16によって当該指導情報が出力される。また、定常状態において、生成部15によってフィードバック情報(例えば、ユーザに対する賞賛のコメント)が生成され、出力部16によって当該コメントが出力される。また、クールダウン状態において、生成部15によってフィードバック情報(例えば、エクササイズ全体の評価結果を示す結果情報)が生成され、出力部16によって当該結果情報が出力される。
【0057】
次に、
図5を参照して、運動支援装置10の動作の一例(運動支援方法の一例)について説明する。なお、以下のステップS1~S5の処理は、ユーザ毎に実行される。また、ステップS1とステップS2との間に、上述したエクササイズのレッスンが開始されるものとする。また、レッスンの開始後(すなわち、ステップS2以降)において、状態制御部17は、現在の状態を把握しつつ、
図4に示したトリガの発生の有無を監視し、トリガの発生に応じて、状態を遷移させる。
【0058】
ステップS1において、登録部11が、ユーザ毎の設定情報を登録する。例えば、骨格の問題等から背中を真っ直ぐに維持することができないユーザについては、評価項目「お尻を下げたときに背中が猫背にならない」が評価対象から除外されるように、設定情報が登録され得る。一方、身体の柔軟性が高くエクササイズの実施に支障のないユーザについては、全ての評価項目が評価対象に含まれるように、設定情報が登録され得る。
【0059】
ステップS2において、取得部13は、ユーザの動き情報を取得する。本実施形態では、上述した7つの状態(
図3参照)のうちクールダウン状態及び終了状態以外の5つの状態において、取得部13による動き情報の取得処理が継続的に実行される。
【0060】
ステップS3において、評価部14は、ステップS2において取得されたユーザの動き情報と、ステップS1において登録された当該ユーザの設定情報と、に基づいて、ユーザがエクササイズを適正に実行しているか否かを評価する。本実施形態では、指導前状態、定常状態、指導中状態、及び追い込み中状態において、評価部14による評価処理が継続的に実行される。
【0061】
ステップS4において、生成部15は、ステップS3における評価部14の評価結果に基づいて、フィードバック情報を生成する。生成部15は、指導中状態においては指導情報(フィードバック情報)を生成し、定常状態においてはユーザに対する賞賛のコメント(フィードバック情報)を生成し、クールダウン状態においてはエクササイズ全体の評価結果を示す結果情報(フィードバック情報)を生成する。
【0062】
ステップS5において、出力部16は、ステップS4において生成部15によって生成されたフィードバック情報を、該当するユーザのユーザ端末20に送信(出力)する。
【0063】
以上説明した運動支援装置10によれば、所定のエクササイズ(例えば、スクワット)について予め用意された複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否かに関する設定情報を、ユーザに関連付けて個別に登録(設定)できる。このようにユーザに関連付けて登録された設定情報に基づいてユーザのエクササイズを評価することにより、ユーザの状況(例えば、身体の状態、骨格の問題等)に応じて、ユーザのエクササイズを適切に評価することができる。例えば、骨格の問題によってどうしても猫背になってしまうユーザについては、複数の評価項目のうち背中の姿勢に関する評価項目(例えば、「お尻を下げたときに背中が猫背にならないこと」を定めた評価項目)を評価対象に含めないように設定情報を登録することができる。上記構成によれば、当該ユーザについて、猫背になっていることを理由として低い評価がされたり、猫背を修正することを指示するフィードバック情報(すなわち、ユーザに対して当該ユーザが実行不可能なことを実行するように無理強いする不適切な指導情報)が生成されたりすることが防止される。その結果、エクササイズを実行するユーザの満足度及びモチベーションが好適に維持される。
【0064】
なお、上記実施形態では、複数の評価項目の各々について評価対象に含めるか否かを設定情報として登録する例を挙げたが、設定情報は、評価項目の評価の厳しさを設定可能に構成されてもよい。例えば、
図2の例において、分類「角度」に対応する評価ポイント「特定値とマッチ」において、運動負荷に応じた特定値をユーザ毎に異ならせることにより、運動能力の高いユーザについてはエクササイズ時の姿勢に関する条件を厳しく設定し、運動能力の低いユーザについてはエクササイズ時の姿勢に関する条件を緩く設定すること等が可能となる。また、例えば、
図2の例における評価ポイント「keep」の時間は、ユーザ毎に個別に設定可能に構成されてもよい。例えば、運動能力の高いユーザについては、「keep」の時間を長く(厳しく)設定し、運動能力の低いユーザについては、「keep」の時間を短く(緩く)設定すること等が可能となる。
【0065】
また、設定情報は、ユーザの身体の複数の部位のうちから評価対象として選択された部位を特定するための情報を含んでもよい。本実施形態では、
図2における「部位」の項目が、上記の情報に対応する。上記構成によれば、ユーザの身体の部位毎に評価対象に含めるか否か(或いは評価の厳しさ)をカスタマイズすることが可能となる。例えば、首の揺れを止めることができないユーザ(すなわち、どうしても首が横に揺れてしまうユーザ)については、部位「首」に関する評価項目(例えば、部位「首」の動き、角度等を規定する評価項目等)を評価対象から除外することが可能となる。他の例としては、どうしても背中が曲がってしまい猫背になってしまうユーザについては、部位「背中」に関する評価項目(例えば、部位「背中」の姿勢(角度)を規定する評価項目等)を評価対象から除外することが可能となる。このように、上記構成によれば、ユーザの身体の複数の部位のうち、ユーザにとって不自由な部位がある場合に、当該部位に関する評価項目を容易に評価対象から除外することができる。その結果、当該不自由な部位の動き又は姿勢が適正でないことを理由として、低い評価がされたり、不適切な指導情報が生成されたりすることを防ぐことができるため、ユーザの満足度及びモチベーションの低下を適切に防止できる。
【0066】
また、設定情報は、部位の動きの適正範囲、部位の適正な静止時間、複数の部位間の適正な位置関係、及び複数の部位のうち曲がる部分の適正な角度の少なくとも一つを含む複数の評価ポイントのうちから評価対象として選択された評価ポイントを特定するための情報を含んでもよい。本実施形態では、
図2における「評価ポイント」の項目が、上記の情報に対応する。上記構成によれば、ユーザの身体の状況に応じて、具体的な動き又は姿勢のうちからユーザが実施することが困難な評価ポイントを取捨選択して、評価対象から除外すること等が可能となる。すなわち、ユーザ毎の評価対象のカスタマイズをより詳細に行うことが可能となる。
【0067】
なお、上記実施形態では、運動支援装置10はユーザ端末20とは別の装置として構成されたが、運動支援装置10はユーザ端末20と同一であってもよい。
すなわち、上述した運動支援装置10の各機能(
図1参照)は、ユーザ端末20に組み込まれてもよい。言い換えれば、ユーザ端末20が、上述した運動支援装置10として機能してもよい。例えば、家庭内、フィットネス施設内、病院のリハビリ施設内等に設置されたユーザ端末20が、上述した運動支援装置10として機能してもよい。また、ユーザ端末20にログインするユーザ毎に設定情報が登録されてもよい。この場合、上述した実施形態のように、複数のユーザ(ユーザ端末20)に対して同時にエクササイズのレッスンを行うことはできなくなるが、エクササイズの実施時間をユーザ毎にずらすことにより、1台のユーザ端末20を用いて複数のユーザの各々に対して上述した運動支援装置10の機能を提供できる。或いは、上述した運動支援装置10の機能の一部は、ユーザ端末20に組み込まれてもよい。その場合、上述した運動支援装置10及びユーザ端末20を含む情報システム1が、運動支援装置(運動支援システム)として機能する。また、上記実施形態において説明した運動支援装置10の一部の処理は省略されてもよい。例えば、運動支援装置10は、上述したような状態遷移パターン(
図4参照)を有するレッスンをユーザに提供する機能を備えなくてもよく、その場合には、状態制御部17は省略され得る。
【0068】
本開示の運動支援装置は、以下の構成を有する。
【0069】
[1]所定のエクササイズについて予め用意され、身体の各部の適正な動き又は姿勢が関連付けられた複数の評価項目の各々について、評価対象に含めるか否か及び評価の厳しさの少なくとも一方に関する設定情報をユーザに関連付けて登録する登録部と、
前記エクササイズを実行する前記ユーザの動き又は姿勢に関する動き情報を取得する取得部と、
前記動き情報と前記設定情報とに基づいて、前記ユーザが前記エクササイズを適正に実行しているか否かを評価する評価部と、
前記評価部の評価結果に基づいて、前記ユーザに対するフィードバック内容を示すフィードバック情報を生成する生成部と、
を備える、運動支援装置。
【0070】
[2]前記登録部は、前記エクササイズの開始前に所定の動作を指示する指示情報を前記ユーザに通知し、前記指示情報の通知後に前記ユーザにより実行された動作に関する動作情報を取得し、前記動作情報に基づいて前記複数の評価項目の少なくとも一部についての前記設定情報を決定する、
[1]の運動支援装置。
【0071】
[3]前記設定情報は、前記ユーザの身体の複数の部位のうちから評価対象として選択された部位を特定するための情報を含む、
[1]又は[2]の運動支援装置。
【0072】
[4]前記設定情報は、前記ユーザの身体の部位の動きの適正範囲、前記部位の適正な静止時間、複数の前記部位間の適正な位置関係、及び前記ユーザの身体の複数の部位のうち曲がる部分の適正な角度の少なくとも一つを含む複数の評価ポイントのうちから評価対象として選択された評価ポイントを特定するための情報を含む、
[1]~[3]のいずれかの運動支援装置。
【0073】
また、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0074】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0075】
例えば、本開示の一実施の形態における運動支援装置10は、本開示の情報処理方法を行うコンピュータとして機能してもよい。
図6は、本開示の一実施の形態に係る運動支援装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。運動支援装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。なお、ユーザ端末20も運動支援装置10と同様のハードウェア構成を備えてもよい。
【0076】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。運動支援装置10のハードウェア構成は、
図6に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0077】
運動支援装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0078】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0079】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、運動支援装置10の各機能部(例えば、評価部14等)は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0080】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る情報処理方法(運動支援方法)を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0081】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0082】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0083】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0084】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0085】
また、運動支援装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0086】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0087】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0088】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0089】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0090】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0091】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0092】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0093】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0094】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0095】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0096】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0097】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0098】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0099】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0100】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…運動支援装置、11…登録部、12…記憶部、13…取得部、14…評価部、15…生成部、16…出力部、17…状態制御部、20…ユーザ端末。