(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128366
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ロール紙印刷装置、及び、ロール紙印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240913BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20240913BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J29/48 Z
B41J11/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037308
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 僚太
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE04
2C058AF23
2C058AF31
2C058GA00
2C058GB04
2C058GB36
2C058GB47
2C058GE24
2C058GE29
2C061AQ01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS06
3F048AA01
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA05
3F048BB02
3F048BC08
3F048CA06
3F048CC02
3F048DA06
3F048DC14
3F048EB24
(57)【要約】
【課題】コマンドに基づく一時的な制御ができないおそれがある。
【解決手段】ロール紙印刷装置は、紙を搬送するローラーと、紙に付されたマークを検出可能なセンサーと、センサーが検出するマークに基づき、ローラーにより所定の位置へ紙を搬送させる制御を実行可能な制御部と、制御を有効とする設定情報を記憶可能な記憶部と、設定情報を設定可能な設定スイッチと、を備え、制御部は、受信したコマンドに設定情報が含まれていた場合、設定情報を記憶部に記憶し、設定スイッチに優先して記憶部を読み出し、設定情報が記憶されていた場合には、制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を搬送するローラーと、
前記紙に付されたマークを検出可能なセンサーと、
前記センサーが検出する前記マークに基づき、前記ローラーにより所定の位置へ前記紙を搬送させる制御を実行可能な制御部と、
前記制御を有効とする設定情報を記憶可能な記憶部と、
前記設定情報を設定可能な設定スイッチと、を備え、
前記制御部は、
受信したコマンドに前記設定情報が含まれていた場合、前記設定情報を前記記憶部に記憶し、
前記設定スイッチに優先して前記記憶部を読み出し、前記設定情報が記憶されていた場合には、前記制御を実行する、ロール紙印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記記憶部に前記設定情報が記憶されていない場合であって、前記設定スイッチに前記設定情報が設定されていた場合には前記制御を実行し、前記設定スイッチに前記設定情報が設定されていない場合には前記制御を実行しない、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項3】
前記記憶部は揮発性メモリーを有し、前記設定情報を前記揮発性メモリーに記憶する、請求項1に記載のロール紙印刷装置。
【請求項4】
紙を搬送するローラーと、前記紙に付されたマークを検出可能なセンサーと、前記センサーが検出する前記マークに基づき前記ローラーにより所定の位置へ前記紙を搬送させる制御を有効とする設定情報を記憶可能な記憶部と、前記設定情報を設定可能な設定スイッチと、を備えるロール紙印刷装置の制御方法であって、
受信したコマンドに前記設定情報が含まれていた場合、前記設定情報を前記記憶部に記憶し、
前記設定スイッチに優先して前記記憶部を読み出し、前記設定情報が記憶されていた場合には、前記制御を実行する、ロール紙印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙印刷装置、及び、ロール紙印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、揮発性メモリーに記憶されたフラグに基づき、ロール紙の裏面に形成されたブラックマークのカット識別マーク、又は、ニアエンド識別マークのいずれかを検出する際、フラグは、コマンドにより書き換えができ、ディップスイッチにより強制的に書き換えができるプリンタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のプリンタは、コマンドよりもディップスイッチが優先されるおそれがあり、コマンドに基づく一時的な制御ができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロール紙印刷装置は、紙を搬送するローラーと、前記紙に付されたマークを検出可能なセンサーと、前記センサーが検出する前記マークに基づき、前記ローラーにより所定の位置へ前記紙を搬送させる制御を実行可能な制御部と、前記制御を有効とする設定情報を記憶可能な記憶部と、前記設定情報を設定可能な設定スイッチと、を備え、前記制御部は、受信したコマンドに前記設定情報が含まれていた場合、前記設定情報を前記記憶部に記憶し、前記設定スイッチに優先して前記記憶部を読み出し、前記設定情報が記憶されていた場合には、前記制御を実行する。
【0006】
紙を搬送するローラーと、前記紙に付されたマークを検出可能なセンサーと、前記センサーが検出する前記マークに基づき前記ローラーにより所定の位置へ前記紙を搬送させる制御を有効とする設定情報を記憶可能な記憶部と、前記設定情報を設定可能な設定スイッチと、を備えるロール紙印刷装置の制御方法であって、受信したコマンドに前記設定情報が含まれていた場合、前記設定情報を前記記憶部に記憶し、前記設定スイッチに優先して前記記憶部を読み出し、前記設定情報が記憶されていた場合には、前記制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】紙、及び、ロール紙印刷装置の主要部の位置関係を示す模式図。
【
図4】ロール紙印刷装置の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
1-1.ロール紙印刷装置の構成
以下、実施形態に係る印刷装置1について、図面を参照して説明する。なお、
図2及び
図3における方向を、X軸、Y軸及びZ軸が互いに直交する三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上方、又は単に上と称し負方向を下方向、下方、又は単に下と称し、X軸の正方向を左方向、左方、又は単に左と称し負方向を右方向、右方、又は単に右と称し、Y軸の正方向を前方向、前方、又は単に前と称し負方向を後方向、後方、又は単に後と称して説明する。
【0009】
実施形態に係るロール紙印刷装置1は、例えば、POS(Point Of Sale)システムに使用され、レシートなどを発行する。なお、以下では、ロール紙印刷装置1を単に印刷装置1と称する。
図1に示すように、印刷装置1は、制御部10、記憶部11、設定スイッチ12、通信部13、ヘッド20、ローラー30、センサー40を含んで構成される。
【0010】
制御部10は、印刷装置1の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、入出力を管理するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などを含んで構成されている。CPUはプロセッサーともいう。
不図示の電源スイッチがオンとなり印刷装置1に電力が供給されると、制御部10が起動する。より具体的には、制御部10のCPUが起動する。以下では、制御部10が起動することを、印刷装置1が起動するともいう。
【0011】
記憶部11は、書き換え可能な不揮発性メモリーであるフラッシュROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、揮発性メモリーであるRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。
制御部10のCPUは、記憶部11の不揮発性メモリーに記憶されたファームウェアなどのプログラムを読み出し、記憶部11のRAMを作業領域として用いて実行する。
【0012】
設定スイッチ12は、例えば、ディップスイッチ(Dual In-line Package Switch)である。ユーザーは、設定スイッチ12をオン又はオフにすることにより、所定の設定情報を設定することができる。制御部10は、設定スイッチ12の設定情報を読み込み、設定情報により指示された制御をすることができる。
なお、記憶部11にも所定の設定情報を記憶させることができる。制御部10は、記憶部11の設定情報を読み込み、設定情報により指示された制御をすることができる。
【0013】
通信部13は、無線又は有線によりコンピューターや携帯端末などの外部装置2と通信可能な回路を含んで構成される。通信部13は、外部装置2から印刷データやコマンドを受信する。
制御部10は、通信部13により受信した印刷データをヘッド20により印刷し、コマンドに基づき所定の制御を実行する。
【0014】
図2に示すように、紙Pは、例えば長尺状の普通紙である。第1面である表面P1はヘッド20により印刷される印刷面である。第2面である裏面P2には、印刷などにより、黒色で矩形のいわゆるブラックマーク(Black Mark)が付されている。以下では、ブラックマークをマークBMと称する。マークBMは、紙Pの搬送方向Fに沿って、所定間隔で複数付されている。
図2では、紙Pの搬送方向Fの上流から下流に向かって、第1マークBM1、第2マークBM2が付されている。
なお、マークBMは、後述のように、例えば光センサーにより検出される場合、光センサーの検出光が吸収可能な色であればよく、黒色以外の色でもよい。
【0015】
図2に示すように、紙Pが巻かれているロール紙Rは、ケース50内に収納可能である。
カバー51は、ケース50に開閉可能に取り付けられる。ユーザーは、カバー51を上方に向かって開けるとケース50内にアクセス可能となり、上からロール紙Rをケース50内に収納することができる。
【0016】
ケース50には、モーター(不図示)により回転可能な駆動ローラーであるローラー30、位置Bに配置されるヘッド20が備えられる。
カバー51には、従動ローラー31、プラテン21、位置Aに配置されるセンサー40が備えられる。
カバー51が閉じると、ローラー30及び従動ローラー31、ヘッド20及びプラテン21は、それぞれ対向する位置となる。
【0017】
このとき、ローラー30及びヘッド20は、紙Pの表面P1に対向する位置となる。センサー40は、マークBMが付された紙Pの裏面P2に対向する位置となる。
また、ローラー30及び従動ローラー31は、前後から紙Pを挟んで搬送可能となる。ヘッド20及びプラテン21の間には、いわゆるプラテンギャップと称される所定の間隔が設けられる。
【0018】
紙Pの搬送方向Fの上流から下流に向かって、センサー40、ヘッド20及びプラテン21、ローラー30及び従動ローラー31が配置される。後述のように、センサー40及びヘッド20の間は、距離Lの長さ離れている。
カバー51とケース50との境界には、紙Pが排出される、矩形の排出口4が形成される。
【0019】
ローラー30が時計回りに回転すると、従動ローラー31も追従して反時計回りに回転する。ローラー30は、従動ローラー31と共に紙Pを挟み、ロール紙Rから紙Pを引き出して、搬送方向Fへ搬送する。このとき、ロール紙Rは、反時計回りに回転する。
なお、ローラー30は反時計回りに逆回転することもできる。この場合、ローラー30は、搬送方向Fとは反対方向へ紙Pを搬送することができる。
【0020】
ヘッド20とプラテン21との間には、インクリボン(不図示)及び紙Pがある。ヘッド20はドットインパクト方式のヘッドであり、インクリボンを介して紙Pに向かってピンを突出させ、インクリボンのインクを紙Pに転写して印刷をする。なお、ピンはワイヤーとも称される。
ヘッド20は、キャリッジ(不図示)に搭載され、左右に移動しながら、位置Bにおいて紙Pの表面P1に印刷をする。
【0021】
センサー40は、搬送方向Fにおけるヘッド20の上流の位置で、紙Pの裏面P2に付されたマークBMの検出を行うことができる。搬送される紙Pにおいて、センサー40の位置AにマークBMがある場合、センサー40は検出有りとなる。一方、センサー40の位置AにマークBMがない場合、センサー40は検出無しとなる。
センサー40は、例えば、マークBMに吸収される赤外線などの検出光を、発光及び受光可能な素子を有する反射型の光センサーである。なお、センサー40は、紙Pに付されたマークBMを検出するため、マークセンサーともいう。
【0022】
制御部10は、センサー40により紙Pに付されたマークBMを検出し、紙Pの位置を判断することができる。制御部10は、センサー40により紙PのマークBMの検出を行いながら、ローラー30により紙Pを搬送し、紙Pを目標の位置へ搬送することができる。
【0023】
図3に示すように、搬送方向Fの上流から下流に向かって、位置Aにセンサー40、位置Bにヘッド20が配置される。センサー40及びヘッド20の間は、距離Lの長さ離れている。
紙Pの裏面P2には、距離Lより少し長い間隔で、複数のマークBMが付される。ここでは、搬送方向Fの上流から下流に向かって、第1マークBM1、第2マークBM2が付される。
図3は、ローラー30により紙Pが搬送されていき、センサー40の位置Aに第1マークBM1が到達したときを示す。このとき、センサー40は第1マークBM1を検出することができ、検出有りとなる。
【0024】
以下では、制御部10が、センサー40が検出するマークBMに基づき、ローラー30により所定位置へ紙Pを搬送させる制御について説明する。なお、この制御をマーク制御と称する。
所定の位置は、搬送方向Fにおける位置である。なお、以下では、所定の位置を所定位置と称する。所定位置は、例えば、ヘッド20が紙Pに対して印刷をする位置である、印刷位置である。
【0025】
最初に、印刷位置が、紙Pにおいて、第1マークBM1の位置に対し、距離Lだけ、搬送方向Fの下流の位置である第1印刷位置C1である場合について説明する。
センサー40が第1マークBM1を検出したとき、紙Pにおける第1印刷位置C1は、ヘッド20が配置されている位置Bに到達している。なお、既に、第2マークBM2はセンサー40の位置を通過している。
【0026】
すなわち、制御部10は、ローラー30により紙Pを搬送させていき、センサー40により第1マークBM1を検出して検出有りとなったとき、搬送を停止する。このとき、紙Pの第1印刷位置C1は位置Bに到達する。そして、制御部10は、通信部13により受信した印刷データに基づき、ヘッド20を左右に移動させながら、紙Pの表面P1に印刷をする。
この結果、制御部10は、第1マークBM1から搬送方向Fの下流へ向かって距離L離れた第1印刷位置C1において、紙Pに印刷をすることができる。
【0027】
次に、印刷位置が、紙Pにおいて、第1マークBM1の位置に対し、距離(L-M)だけ、搬送方向Fの下流の位置である第2印刷位置C2である場合について説明する。
センサー40が第1マークBM1を検出したとき、紙Pにおける第2印刷位置C2は、ヘッド20が配置されている位置Bに対して、
図3で(-M)として示す位置であり、距離Mだけ搬送方向Fの上流の位置にある。まだ、第2印刷位置C2は位置Bに到達していない。なお、既に、第2マークBM2はセンサー40の位置を通過している。
【0028】
すなわち、制御部10は、ローラー30により紙Pを搬送させていき、センサー40により第1マークBM1を検出して、検出有りとなる。このとき、紙Pの第2印刷位置C2は、まだ、ヘッド20が配置されている位置Bに到達していない。
センサー40により検出有りとなった後、さらに、制御部10は、ローラー30により紙Pを距離Mだけ搬送させて、停止する。このとき、紙Pの第2印刷位置C2は、ヘッド20が配置されている位置Bに到達する。
【0029】
そして、制御部10は、通信部13により受信した印刷データに基づき、ヘッド20により紙Pに印刷をする。
この結果、制御部10は、第1マークBM1から搬送方向Fの下流へ向かって距離(L-M)だけ離れた第2印刷位置C2において、印刷をすることができる。
【0030】
次に、印刷位置が、紙Pにおいて、第1マークBM1から距離(L+M)だけ、搬送方向Fの下流の位置である第3印刷位置C3である場合について説明する。
センサー40が第1マークBM1を検出したとき、紙Pにおける第3印刷位置C3は、ヘッド20が配置されている位置Bに対して、
図3で(+M)として示す位置であり、距離Mだけ搬送方向Fの下流の位置にある。すなわち、既に、第3印刷位置C3は位置Bを越えてしまっている。
【0031】
すなわち、制御部10は、ローラー30により紙Pを搬送させていき、センサー40により第1マークBM1を検出して、検出有りとなる。このとき、紙Pの第3印刷位置C3は、ヘッド20が配置されている位置Bを距離Mだけ越えている。
センサー40により検出有りとなった後、制御部10は、ローラー30を逆転させ、紙Pを距離Mだけ搬送方向Fの逆方向へ搬送させて、停止する。このとき、紙Pの第3印刷位置C3は、ヘッド20が配置されている位置Bに到達する。
そして、制御部10は、通信部13により受信した印刷データに基づき、ヘッド20により紙Pに印刷をする。
この結果、制御部10は、第1マークBM1から搬送方向Fの下流へ向かって距離(L+M)だけ離れた第3印刷位置C3において、印刷をすることができる。
【0032】
なお、制御部10は、紙Pを第3印刷位置C3で印刷する場合、第2マークBM2の位置に基づいて、制御するようにしてもよい。
制御部10は、紙Pを第3印刷位置C3で印刷する前に、センサー40により、第1マークBM1よりも搬送方向Fの下流にある第2マークBM2を検出することができる。制御部10は、第2マークBM2の位置に基づいて、ローラー30により、ヘッド20が配置されている位置Bに、紙Pの第3印刷位置C3を搬送方向Fへ搬送するようにしてもよい。この場合、制御部10は、ローラー30を逆転させなくて済む。
【0033】
1-2.ロール紙印刷装置の制御方法
電源スイッチがオンとなり印刷装置1に電力が供給されると、印刷装置1が起動し、制御部10が制御を開始する。
図4に示すように、制御部10は、通信部13により外部装置2からコマンドを受信したかを判断する(S100)。コマンドには設定情報が含まれる。
設定情報には、「マーク制御有効」又は「マーク制御無効」のいずれの情報が含まれる。マーク制御を有効とする設定情報が「マーク制御有効」の情報であり、上述のマーク制御の実行を指示する情報である。マーク制御を無効とする設定情報が「マーク制御無効」の情報であり、マーク制御を実行しないことを指示する情報である。
【0034】
この例では、コマンドに、設定情報として「マーク制御有効」が含まれているものとする。なお、記憶部11の設定情報の初期値は、「マーク制御無効」となっている。
制御部10は、コマンドを受信したと判断すると(S100:YES)、コマンドに含まれる設定情報を、記憶部11に書き込む(S101)。具体的には、制御部10は、設定情報を、記憶部11のRAMなどの揮発性メモリーに書き込む。
【0035】
一方、制御部10は、コマンドを受信しないと判断すると(S100:NO)、記憶部11から設定情報を読み込む(S102)。この場合、設定情報は、初期値である「マーク制御無効」である。
また、コマンドを受信した場合も、制御部10は、記憶部11から設定情報を読み込む(S102)。この場合、設定情報は、コマンドに含まれていた「マーク制御有効」である。
【0036】
このように、制御部10は、後述の設定スイッチ12から設定情報を読み込むことに優先して、記憶部11から設定情報を読み込む。
そして、制御部10は、記憶部11から読み出した設定情報が、「マーク制御有効」である場合には、設定スイッチ12の設定情報に拘わらず、「マーク制御有効」とする。
【0037】
次に、制御部10は、設定スイッチ12から設定情報を読み込む(S103)。
制御部10は、記憶部11及び設定スイッチ12のいずれも「マーク制御有効」の場合には、「マーク制御有効」とする。
制御部10は、記憶部11から読み出した設定情報が「マーク制御有効」であって、設定スイッチ12から読み出した設定情報が「マーク制御無効」である場合には、「マーク制御有効」とする。
制御部10は、記憶部11から読み出した設定情報が「マーク制御無効」であって、設定スイッチ12から読み出した設定情報が「マーク制御有効」である場合には、「マーク制御有効」とする。
制御部10は、記憶部11及び設定スイッチ12のいずれも「マーク制御無効」の場合には、「マーク制御無効」とする。
制御部10は、コマンドを受信しない場合には、設定情報は初期値である「マーク制御無効」であるので、設定スイッチ12の設定情報に基づき、マーク制御することができる。
【0038】
次に、制御部10は、上述のように、記憶部11及び設定スイッチ12に基づき、「マーク制御有効」としたかを判断する(S104)。
制御部10は、「マーク制御有効」としたと判断すると(S104:YES)、上述のマーク制御を実行する(S105)。そして、制御部10は、一連の処理を終了する。
一方、制御部10は、「マーク制御有効」ではないとしたと判断した場合(S104:NO)、すなわち、「マーク制御無効」としたと判断すると、マーク制御を実行せず、一連の処理を終了する。
【0039】
制御部10は、「マーク制御無効」の場合、センサー40により紙PのマークBMの検出を行いながら、ローラー30により紙Pを搬送し、紙Pを目標の位置へ搬送するマーク制御を実行しない。
このとき、制御部10は、単に、通信部13により受信した印刷データに基づき、ヘッド20により、紙Pに印刷をする。制御部10は、マークBMが付されていない紙Pに印刷をすることができる。
【0040】
なお、制御部10は、マーク制御を実行する前に、印刷位置を指定する情報を含むコマンドを通信部13により受信し、記憶部11に書き込むようにしてもよい。
制御部10は、マーク制御において、記憶部11から指定された印刷位置の情報を読み込み、ローラー30により紙Pを搬送しつつ、センサー40によりマークBMを検出して、コマンドで指定された印刷位置へ到達させることができる。
記憶部11に記憶される印刷位置の情報の初期値は、例えば第1印刷位置C1を指定するものである。
【0041】
一連の処理終了後、ユーザーが、印刷装置1の電源スイッチがオフしたとする。記憶部11の不揮発性メモリーであるRAMに記憶されていた設定情報である「マーク制御有効」は、電源スイッチのオフにより電力が供給されず、消えてしまう。
次に、ユーザーが、印刷装置1の電源スイッチをオンにすると、記憶部11の設定情報は、初期値である「マーク制御無効」となる。
【0042】
なお、記憶部11には、2値である、「0」又は「1」のいずれかが記憶される。制御部10が、起動時にRAMを初期化するとき、一旦、「0」を書き込む。このときの「0」が設定情報の初期値であり、「マーク制御無効」を示す。「1」は「マーク制御有効」を示す。
また、設定情報以外の情報である、センサー40及びヘッド20の間の距離L、印刷位置などは、記憶部11の不揮発性メモリーであるフラッシュROMに記憶されることが好ましい。印刷装置1の電源スイッチがオフになっても、これらの情報が消えることはない。
【0043】
ところで、設定スイッチ12は、外部から容易に設定情報が変更されないように、印刷装置1のケース50の底部などにあり、ネジなどで蓋がされている。そのため、ユーザーが設定スイッチ12を変更する際、手間が掛かる。
一方、ユーザーは、普段、設定スイッチ12の設定情報を「マーク制御無効」として、マークBMが付されていない紙Pに印刷しているとする。しかし、ユーザーは、一時的に、マークBMが付されている紙Pに印刷したい場合がある。上述のように、このとき、ユーザーが設定スイッチ12を「マーク制御有効」に変更するには、手間が掛かる。
【0044】
上述の実施形態によれば、ユーザーは、設定スイッチ12が「マーク制御無効」であっても、外部装置2からのコマンドの送信により、簡単に、印刷装置1を「マーク制御有効」とすることができる。ユーザーは、マークBMが付されている紙Pに印刷することができる。
その後、ユーザーが、印刷装置1の電源スイッチをオフにし、次に電源スイッチをオンにすれば、記憶部11の設定情報は初期値である「マーク制御無効」に戻る。このように、ユーザーは、簡単に、コマンド送信前の普段使用している紙Pに対応する状態に印刷装置1を戻すことができる。
【0045】
すなわち、制御部10は、設定スイッチ12の設定情報に拘わらず、通信部13により「マーク制御有効」を含むコマンドを受信すると、印刷装置1を「マーク制御有効」とすることができ、一時的にマーク制御をすることができる。
換言すると、制御部10は、設定スイッチ12に優先して記憶部11の揮発性メモリーであるRAMを読み出し、マーク制御を有効とする設定情報である「マーク制御有効」が記憶されていた場合には、設定スイッチ12の設定情報に拘わらず、一時的にマーク制御を実行することができる。
【0046】
なお、設定スイッチ12及び記憶部11の設定情報を上述とは逆にし、「マーク制御無効」を「1」、「マーク制御有効」を「0」にしてもよい。
この場合、ユーザーは、上述とは逆に、普段、設定スイッチ12の設定情報を「マーク制御有効」とし、マークBMが付されている紙Pに印刷し、「マーク制御無効」のコマンドを送信して、一時的にマークBMが付されていない紙Pに印刷することができる。
その後、ユーザーが、印刷装置1の電源スイッチをオフにしてからオンにすれば、記憶部11の設定情報は初期値である「マーク制御有効」に戻すことができる。
【0047】
上述の実施形態による印刷装置1によれば、制御部10は、受信したコマンドに、マーク制御を有効とする設定情報である「マーク制御有効」が含まれていた場合、記憶部11の揮発性メモリーであるRAMに記憶する。
制御部10は、設定スイッチ12に優先して記憶部11のRAMを読み出し、「マーク制御有効」が記憶されていた場合には、マーク制御を実行することができる。
【0048】
この結果、印刷装置1は、設定スイッチ12の設定情報に拘わらず、コマンドに基づき、一時的にマーク制御をすることができる。
例えば、ユーザーが、通常はマークBMが付されていない紙Pを使用しているが、通信部13によりファームウェアをバージョンアップした際など、設定スイッチ12を変更することなく、印刷装置1のマーク制御の機能を簡単に検査することができる。また、印刷装置1の製造工程においても、作業員が、マーク制御の機能を簡単に検査することができる。
【0049】
以上、これら実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0050】
ヘッド20は、ドットインパクト方式のヘッドの例で説明したが、印刷方式は問わない。例えば、ヘッド20はインクジェットヘッドでもよい。また、ヘッド20はサーマルヘッドでもよい。この場合、ローラー30は、サーマルヘッドと共に、感熱紙である紙Pを挟んで搬送することができる。
紙Pは、台紙に所定の間隔でラベルが貼付された、いわゆるダイカットラベルであってもよい。
【0051】
センサー40は反射型の光センサーの例で説明したが、透過型の光センサーであってもよい。透過型の光センサーの場合、発光部及び受光部を、それぞれカバー51とケース50とに分けて搭載すればよい。透過型の光センサーの場合、紙Pにおいて、マークBMでは検出光が透過せず、マークBMがない部分では検出光が透過することにより、検出可能となる。
【0052】
また、ローラー30の搬送方向Fの下流であって、排出口6の上流の位置に、紙Pをカット可能なカッターを備えるようにしてもよい。
マーク制御における所定位置は、カッターが紙Pに対してカットをする位置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…ロール紙印刷装置、2…外部装置、10…制御部、11…記憶部、12…設定スイッチ、13…通信部、20…ヘッド、30…ローラー、40…センサー、BM…マーク、BM1…第1マーク、BM2…第2マーク、A,B…位置、C1…第1印刷位置、C2…第2印刷位置、C3…第3印刷位置、L…距離、P…紙、P1…表面、P2…裏面、R…ロール紙。