(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128372
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】表示装置用マザー基板および表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 77/10 20230101AFI20240913BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240913BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240913BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240913BHJP
H10K 50/824 20230101ALI20240913BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20240913BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20240913BHJP
【FI】
H10K77/10
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
G09F9/30 310
H10K59/122
H10K50/824
H10K71/00
H10K50/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037314
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107DD11
3K107DD37
3K107DD39
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107DD96
3K107EE03
3K107FF15
3K107GG52
3K107GG54
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094FA01
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB15
5C094GB01
5G435AA17
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】アライメントマークの消失や汚損を抑制することが可能な表示装置用マザー基板および表示装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る表示装置用マザー基板は、複数の表示素子が配置された表示領域をそれぞれ含む複数のパネル部と、複数のパネル部の周囲の余白領域と、余白領域に配置されたアライメントマークと、を備えている。パネル部は、有機絶縁層と、有機絶縁層の上方に配置された下電極と、下電極に対向する上電極と、下電極と上電極の間に配置され下電極と上電極の電位差に応じて発光する有機層と、を含む。有機絶縁層は、余白領域にも配置される。アライメントマークの上方には、余白領域に配置された有機絶縁層と、当該有機絶縁層を覆う無機絶縁層とが配置される。
【選択図】
図15B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示素子が配置された表示領域をそれぞれ含む複数のパネル部と、
前記複数のパネル部の周囲の余白領域と、
前記余白領域に配置されたアライメントマークと、
を備え、
前記パネル部は、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上方に配置された下電極と、前記下電極に対向する上電極と、前記下電極と前記上電極の間に配置され前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層と、を含み、
前記有機絶縁層は、前記余白領域にも配置され、
前記アライメントマークの上方には、前記余白領域に配置された有機絶縁層と、当該有機絶縁層を覆う無機絶縁層とが配置される、
表示装置用マザー基板。
【請求項2】
前記パネル部は、前記下電極と重なる画素開口を有するリブをさらに含み、
前記リブおよび前記無機絶縁層は、同じ無機絶縁材料で形成されている、
請求項1に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項3】
前記パネル部は、前記リブの上方に配置された隔壁をさらに含み、
前記隔壁は、前記上電極に接続される、
請求項2に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項4】
前記パネル部は、前記有機絶縁層の下方に配置された回路層をさらに含み、
前記アライメントマークは、前記回路層に含まれる配線と同じ導電材料で形成されている、
請求項1に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項5】
前記アライメントマークは、平面視において、十字形状、格子形状または複数のL字を組み合わせた形状に形成されている、
請求項1に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項6】
前記パネル部は、前記表示領域の周囲の周辺領域をさらに有し、
前記アライメントマークは、前記余白領域および前記周辺領域に配置されている、
請求項1に記載の表示装置用マザー基板。
【請求項7】
複数の表示素子が配置された表示領域と、
前記表示領域の周囲の周辺領域と、
前記周辺領域に配置されたアライメントマークと、
を備え、
前記表示領域には、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上方に配置された下電極と、前記下電極に対向する上電極と、前記下電極と前記上電極の間に配置され前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層と、が設けられ、
前記有機絶縁層は、前記周辺領域にも配置され、
前記アライメントマークの上方には、前記周辺領域に配置された有機絶縁層と、当該有機絶縁層を覆う無機絶縁層とが配置される、
表示装置。
【請求項8】
前記表示領域には、前記下電極と重なる画素開口を有するリブがさらに設けられ、
前記リブおよび前記無機絶縁層は、同じ無機絶縁材料で形成されている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示領域には、前記リブの上方に配置された隔壁がさらに設けられ、
前記隔壁は、前記上電極に接続される、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示領域には、前記有機絶縁層の下方に配置された回路層がさらに設けられ、
前記アライメントマークは、前記回路層に含まれる配線と同じ導電材料で形成されている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
前記アライメントマークは、平面視において、十字形状、格子形状または複数のL字を組み合わせた形状に形成されている、
請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置用マザー基板および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
表示装置の製造にあたっては、多数の表示素子が配置された表示領域を含む複数のパネル部が大型のマザー基板に形成される。この大型のマザー基板から、各パネル部が切り出されることにより、表示装置の主要な要素である表示パネルが製造される。
【0004】
このような製造工程において、マザー基板や各パネル部には、位置合わせのためのアライメントマークが形成される。各パネル部を構成する要素は、このアライメントマークに基づき正確な位置に配置される。しかしながら、アライメントマークは、各パネル部を構成する要素を形成する過程(例えば、パターニングなど)で消失したり、汚損してしまう可能性がある。アライメントマークが消失したり、汚損してしまうと、位置合わせを正確に行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アライメントマークの消失や汚損を抑制することが可能な表示装置用マザー基板および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置用マザー基板は、複数の表示素子が配置された表示領域をそれぞれ含む複数のパネル部と、前記複数のパネル部の周囲の余白領域と、前記余白領域に配置されたアライメントマークと、を備えている。前記パネル部は、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上方に配置された下電極と、前記下電極に対向する上電極と、前記下電極と前記上電極の間に配置され前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層と、を含む。前記有機絶縁層は、前記余白領域にも配置される。前記アライメントマークの上方には、前記余白領域に配置された有機絶縁層と、当該有機絶縁層を覆う無機絶縁層とが配置される。
【0008】
一実施形態に係る表示装置は、複数の表示素子が配置された表示領域と、前記表示領域の周囲の周辺領域と、前記周辺領域に配置されたアライメントマークと、を備えている。前記表示領域には、有機絶縁層と、前記有機絶縁層の上方に配置された下電極と、前記下電極に対向する上電極と、前記下電極と前記上電極の間に配置され前記下電極と前記上電極の電位差に応じて発光する有機層と、が設けられる。前記有機絶縁層は、前記周辺領域にも配置される。前記アライメントマークの上方には、前記周辺領域に配置された有機絶縁層と、当該有機絶縁層を覆う無機絶縁層とが配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るマザー基板の概略的な平面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るアライメントマークの概略的な平面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るアライメントマークの概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るマザー基板および表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、製造途中のマザー基板における表示領域の概略的な断面図である。
【
図8B】
図8Bは、製造途中のマザー基板における余白領域の概略的な断面図である。
【
図16】
図16は、比較例に係るマザー基板の余白領域の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0011】
図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0012】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末、ウェアラブル端末等の各種の電子機器に搭載され得る。
【0013】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10を含む表示パネルPNLを備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。但し、基板10の平面視における形状は長方形に限られず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0015】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、青色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および赤色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0016】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0017】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0018】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限られない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0019】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。
図2の例においては、副画素SP2,SP3がそれぞれ副画素SP1と第1方向Xに並んでいる。さらに、副画素SP2と副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。
【0020】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。
【0021】
表示領域DAには、リブ5が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
図2の例においては、画素開口AP1が画素開口AP2よりも大きく、画素開口AP2が画素開口AP3よりも大きい。
【0022】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。
【0023】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1のうち画素開口AP1と重なる部分は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2のうち画素開口AP2と重なる部分は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3のうち画素開口AP3と重なる部分は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。リブ5は、これら表示素子DE1,DE2,DE3の各々を囲っている。
【0024】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0025】
リブ5の上には、隔壁6が配置されている。隔壁6は、全体的にリブ5と重なっており、リブ5と同様の平面形状を有している。すなわち、隔壁6は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP61,AP62,AP63を有している。他の観点からいうと、リブ5および隔壁6は、表示素子DE1,DE2,DE3の間に配置されており、平面視において格子状である。
【0026】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示パネルPNLの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0027】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3は有機絶縁層12に設けられている。
【0028】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0029】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0030】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。上電極UE1,UE2,UE3は、隔壁6の下部61の側面に接触している。
【0031】
図3の例においては、上電極UE1の上にキャップ層CP1が配置され、上電極UE2の上にキャップ層CP2が配置され、上電極UE3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0032】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む多層体を積層膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む多層体を積層膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む多層体を積層膜FL3と呼ぶ。
【0033】
積層膜FL1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、積層膜FL1のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)と離間している。同様に、積層膜FL2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL2のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)と離間している。さらに、積層膜FL3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は積層膜FL3のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)と離間している。
【0034】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。封止層SE1は、積層膜FL1や副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE2は、積層膜FL2や副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。封止層SE3は、積層膜FL3や副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0035】
図3の例においては、副画素SP1,SP2の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL2および封止層SE2と離間している。また、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の積層膜FL1および封止層SE1が、当該隔壁6上の積層膜FL3および封止層SE3と離間している。
【0036】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13により覆われている。樹脂層13は、封止層14により覆われている。封止層14は、樹脂層15により覆われている。樹脂層13,15および封止層14は、少なくとも表示領域DAの全体に連続的に設けられ、その一部が周辺領域SAにも及んでいる。
【0037】
偏光板、タッチパネル、保護フィルムまたはカバーガラスなどのカバー部材が樹脂層15の上方にさらに配置されてもよい。このようなカバー部材は、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)などの接着層を介して樹脂層15に接着されてもよい。
【0038】
有機絶縁層12は、有機絶縁材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)などの無機絶縁材料で形成されている。一例では、リブ5がシリコン酸窒化物で形成され、封止層14,SE1,SE2,SE3がシリコン窒化物で形成されている。樹脂層13,15は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料(有機絶縁材料)で形成されている。
【0039】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された反射層と、この反射層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0040】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0041】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、複数の発光層を含むいわゆるタンデム構造を有してもよい。
【0042】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば透明な複数の薄膜が重ねられた積層構造を有している。当該複数の薄膜は、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、当該複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。これら薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0043】
隔壁6の下部61は、例えばアルミニウムによって形成されている。下部61は、アルミニウム-ネオジム合金(AlNd)、アルミニウム-イットリウム合金(AlY)およびアルミニウム-シリコン合金(AlSi)などのアルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウム層とアルミニウム合金層の積層構造を有してもよい。さらに、下部61は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の下に、アルミニウムやアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成されたボトム層を有してもよい。このようなボトム層を形成する金属材料としては、例えばモリブデン(Mo)、窒化チタン(TiN)、モリブデン-タングステン合金(MoW)またはモリブデン-ニオブ合金(MoNb)を用いることができる。
【0044】
例えば、隔壁6の上部62は、金属材料で形成された下層と、導電性酸化物で形成された上層との積層構造を有している。下層を形成する金属材料としては、例えばチタン、窒化チタン、モリブデン、タングステン、モリブデン-タングステン合金またはモリブデン-ニオブ合金を用いることができる。上層を形成する導電性酸化物としては、例えばITOまたはIZOを用いることができる。なお、上部62は、金属材料の単層構造を有してもよい。
【0045】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0046】
有機層OR1,OR2,OR3は、電圧の印加に応じて発光する。具体的には、下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が青色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が赤色の波長域の光を放つ。
【0047】
他の例として、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が同一色(例えば白色)の光を放ってもよい。この場合において、表示装置DSPは、発光層が放つ光を副画素SP1,SP2,SP3に対応する色の光に変換するカラーフィルタを備えてもよい。また、表示装置DSPは、発光層が放つ光により励起して副画素SP1,SP2,SP3に応じた色の光を生成する量子ドットを含んだ層を備えてもよい。
【0048】
表示装置DSPの製造時には、それぞれ表示パネルPNLに相当する複数の領域(パネル部)が形成された大型のマザー基板が作製される。このマザー基板に適用し得る構成について以下に説明する。
【0049】
図4は、本実施形態に係るマザー基板MB(表示装置用マザー基板)の概略的な平面図である。マザー基板MBは、例えば図示したように矩形状であるが、円形などの他の形状であってもよい。マザー基板MBは、マトリクス状に配列された複数のパネル部PPと、これらパネル部PPの周囲の余白領域BAとを有している。
【0050】
余白領域BAには、複数の第1アライメントマークAM1が形成されている。第1アライメントマークAM1は、位置合わせのためのマークや、露光用のマークなどを含む。第1アライメントマークAM1は、例えば、回路層11に含まれる信号線SLと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成される。なお、第1アライメントマークAM1は、回路層11に含まれる他の配線や他の回路と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されてもよい。第1アライメントマークAM1は、例えば図示したようにマザー基板MBの四隅に設けられるが、マザー基板MBに設けられる第1アライメントマークAM1の個数や配置は、この例に限られない。
【0051】
各パネル部PPは、上述の表示領域DAおよび周辺領域SAを有している。周辺領域SAには、複数の第2アライメントマークAM2が形成されている。第2アライメントマークAM2は、位置合わせのためのマークや、露光用のマークなどを含む。第2アライメントマークAM2は、例えば、回路層11に含まれる信号線SLと同じ材料で同じ製造プロセスにより形成される。なお、第2アライメントマークAM2は、回路層11に含まれる他の配線や他の回路と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されてもよい。第2アライメントマークAM2は、例えば図示したように周辺領域SAのうち、フレキシブル回路基板などが実装される実装領域(実装辺)に設けられるが、各パネル部PPに設けられる第2アライメントマークAM2の個数や配置は、この例に限られない。
【0052】
なお、
図4においては、第1アライメントマークAM1および第2アライメントマークAM2が共に十字形状に形成されている場合を示したが、アライメントマークAM1,AM2の形状はこの例に限られない。例えば、
図5に示すように、アライメントマークAM1,AM2は格子形状であってもよい。あるいは、
図6に示すように、アライメントマークAM1,AM2は複数のL字を組み合わせた形状であってもよい。なお、第1アライメントマークAM1および第2アライメントマークAM2は、
図4に示すように、互いに同じ形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。
【0053】
続いて、マザー基板MBおよび表示装置DSPの製造方法について説明する。
図7は、マザー基板MBおよび表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8A~
図15Aは、それぞれ製造途中のマザー基板MBにおける表示領域DAの概略的な断面図である。
図8B~
図15Bは、それぞれ製造途中のマザー基板MBにおける余白領域BAの概略的な断面図である。周辺領域SAにも
図8B~
図15Bと同様の製造工程を適用できる。なお、
図8A~
図15Aおよび
図8B~
図15Bにおいては基板10を省略している。
【0054】
表示装置DSPの製造においては、先ず基板10aの上に回路層11、アライメントマークAM1,AM2、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3が形成される(工程PR1)。さらに、リブ5および隔壁6が形成される(工程PR2)。
【0055】
工程PR1において、余白領域BAおよび周辺領域SAには、
図8Bに示すように、回路層11に含まれるいずれかの配線または回路と同じ材料で同じ製造プロセスによりアライメントマークAM1,AM2が形成される。工程PR2においては、
図8Aおよび
図8Bに示すように、リブ5に加工するための無機絶縁層100がマザー基板MBの全体に形成される。つまり、無機絶縁層100は、平面視において、アライメントマークAM1,AM2と重なる位置にも配置される。さらに、下部61に加工するための第1層101が無機絶縁層100の上に形成され、上部62に加工するための第2層102が第1層101の上に形成される。
【0056】
続いて、
図9Aに示すように、第1層101および第2層102がパターニングされる。このパターニングは、第2層102を上部62の形状に加工するエッチングと、第1層101を下部61の形状に加工するエッチングとを含む。これらのエッチングにより、表示領域DAには、下部61および上部62を含む隔壁6が形成される。なお、余白領域BAおよび周辺領域SAも上述のエッチングに晒される。したがって、
図9Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAからは、第1層101および第2層102が除去される。
【0057】
隔壁6の形成の後、
図9Aに示すように、無機絶縁層100に画素開口AP1,AP2,AP3が形成される。これにより、表示領域DAにおいてリブ5が形成される。なお、
図8Aおよび
図9Aにおいては、隔壁6が形成された後に画素開口AP1,AP2,AP3が形成される場合を示したが、他の例として、画素開口AP1,AP2,AP3が形成された後に隔壁6が形成されてもよい。
【0058】
リブ5および隔壁6の形成の後、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程が実施される。本実施形態においては、表示素子DE1が最初に形成され、表示素子DE2が次に形成され、表示素子DE3が最後に形成される場合を想定する。但し、表示素子DE1,DE2,DE3の形成順はこの例に限られない。
【0059】
表示素子DE1の形成にあたっては、まず
図10Aおよび
図10Bに示すように、積層膜FL1および封止層SE1がマザー基板MBの全体に形成される(工程PR3)。積層膜FL1は、
図3に示したように、画素開口AP1を通じて下電極LE1に接触する有機層OR1、有機層OR1を覆う上電極UE1、および、上電極UE1を覆うキャップ層CP1を含む。有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1は、蒸着によって形成される。また、封止層SE1は、CVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。
【0060】
積層膜FL1は、オーバーハング状の隔壁6によって複数の部分に分断される。
図10Aに示すように、表示領域DAにおける積層膜FL1は、画素開口AP1,AP2,AP3を通じて露出した下電極LE1,LE2,LE3、リブ5および隔壁6を覆う。また、
図10Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける積層膜FL1は、無機絶縁層100を覆う。
【0061】
図10Aに示すように、表示領域DAにおける封止層SE1は、積層膜FL1の分断された各部分および隔壁6を連続的に覆う。また、
図10Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける封止層SE1は、積層膜FL1を覆う。
【0062】
工程PR3の後、積層膜FL1および封止層SE1がパターニングされる(工程PR4)。このパターニングにおいては、
図10Aに示すように、封止層SE1の上にレジストR1が配置される。レジストR1は、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。余白領域BAや周辺領域SAにはレジストR1が配置されない。
【0063】
その後、レジストR1をマスクとしたエッチングにより、
図11Aに示すように積層膜FL1および封止層SE1のうちレジストR1から露出した部分が除去される。これにより、副画素SP1に表示素子DE1が形成される。例えば、当該エッチングは、封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1および有機層OR1に対して順に実施されるウェットエッチングやドライエッチングを含む。
【0064】
余白領域BAおよび周辺領域SAも当該エッチングに晒される。したがって、
図11Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL1および封止層SE1が除去される。上述のように、当該エッチングは、封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1および有機層OR1に対して順に実施され、最後に有機層OR1に対して実施されるエッチングは無機絶縁層100に影響しないため、無機絶縁層100は除去されずにそのまま残る。このため、無機絶縁層100の下方に配置される有機絶縁層12およびアライメントマークAM1,AM2もまた除去されずにそのまま残る。当該エッチングの後、レジストR1が除去される。
【0065】
表示素子DE2は、表示素子DE1と同様の手順で形成される。すなわち、表示素子DE2の形成にあたっては、まず
図12Aおよび
図12Bに示すように、積層膜FL2および封止層SE2がマザー基板MBの全体に形成される(工程PR5)。積層膜FL2は、
図3に示したように、画素開口AP2を通じて下電極LE2に接触する有機層OR2、有機層OR2を覆う上電極UE2、および、上電極UE2を覆うキャップ層CP2を含む。有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2は、蒸着によって形成される。また、封止層SE2は、CVDによって形成される。
【0066】
図12Aに示すように、表示領域DAにおける積層膜FL2は、オーバーハング状の隔壁6によって複数の部分に分断され、表示領域DAにおける封止層SE2は、積層膜FL2の分断された各部分および隔壁6を連続的に覆う。一方、
図12Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける積層膜FL2は、無機絶縁層100を覆い、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける封止層SE2は、積層膜FL2を覆う。
【0067】
工程PR5の後、積層膜FL2および封止層SE2がパターニングされる(工程PR6)。このパターニングにおいては、
図12Aに示すように、封止層SE2の上にレジストR2が配置される。レジストR2は、副画素SP2とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。余白領域BAや周辺領域SAにはレジストR2が配置されない。
【0068】
その後、レジストR2をマスクとしたエッチングにより、
図13Aに示すように積層膜FL2および封止層SE2のうちレジストR2から露出した部分が除去される。これにより、副画素SP2に表示素子DE2が形成される。例えば、当該エッチングは、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2および有機層OR2に対して順に実施されるウェットエッチングやドライエッチングを含む。
【0069】
余白領域BAおよび周辺領域SAも当該エッチングに晒される。したがって、
図13Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL2および封止層SE2が除去される。上述のように、当該エッチングは、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2および有機層OR2に対して順に実施され、最後に有機層OR2に対して実施されるエッチングは無機絶縁層100に影響しないため、無機絶縁層100は除去されずにそのまま残る。このため、無機絶縁層100の下方に配置される有機絶縁層12およびアライメントマークAM1,AM2も除去されずにそのまま残る。当該エッチングの後、レジストR2が除去される。
【0070】
表示素子DE3は、表示素子DE1,DE2と同様の手順で形成される。すなわち、表示素子DE3の形成にあたっては、先ず
図14Aおよび
図14Bに示すように、積層膜FL3および封止層SE3がマザー基板MBの全体に形成される(工程PR7)。積層膜FL3は、
図3に示したように、画素開口AP3を通じて下電極LE3に接触する有機層OR3、有機層OR3を覆う上電極UE3、および、上電極UE3を覆うキャップ層CP3を含む。有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3は、蒸着によって形成される。また、封止層SE3は、CVDによって形成される。
【0071】
図14Aに示すように、表示領域DAにおける積層膜FL3は、オーバーハング状の隔壁6によって複数の部分に分断され、表示領域DAにおける封止層SE3は、積層膜FL3の分断された各部分および隔壁6を連続的に覆う。一方、
図14Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける積層膜FL3は、無機絶縁層100を覆い、余白領域BAおよび周辺領域SAにおける封止層SE3は、積層膜FL3を覆う。
【0072】
工程PR7の後、積層膜FL3および封止層SE3がパターニングされる(工程PR8)。このパターニングにおいては、
図14Aに示すように、封止層SE3の上にレジストR3が配置される。レジストR3は、副画素SP3とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。余白領域BAや周辺領域SAにはレジストR3が配置されない。
【0073】
その後、レジストR3をマスクとしたエッチングにより、
図15Aに示すように積層膜FL3および封止層SE3のうちレジストR3から露出した部分が除去される。これにより、副画素SP3に表示素子DE3が形成される。例えば、当該エッチングは、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3および有機層OR3に対して順に実施されるウェットエッチングやドライエッチングを含む。
【0074】
余白領域BAおよび周辺領域SAも当該エッチングに晒される。したがって、
図15Bに示すように、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL3および封止層SE3が除去される。上述のように、当該エッチングは、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3および有機層OR3に対して順に実施され、最後に有機層OR3に対して実施されるエッチングは無機絶縁層100に影響しないため、無機絶縁層100は除去されずにそのまま残る。このため、無機絶縁層100の下方に配置される有機絶縁層12およびアライメントマークAM1,AM2も除去されずにそのまま残る。当該エッチングの後、レジストR3が除去される。
【0075】
表示素子DE1,DE2,DE3が形成された後、各パネル部PPに対し、
図3に示した樹脂層13、封止層14および樹脂層15が順に形成される(工程PR9)。さらに、マザー基板MBから各パネル部PPが切り出される(工程PR10)。切り出されたパネル部PPは、表示パネルPNLに相当する。
【0076】
本実施形態に係る表示装置DSPおよびマザー基板MBによれば、アライメントマークAM1,AM2の消失や汚損を抑制することが可能である。この効果につき、
図16を用いて以下に説明する。
【0077】
図16は、比較例に係るマザー基板MBcの余白領域BA(あるいは周辺領域SA)の概略的な断面図である。マザー基板MBcは、有機絶縁層12が無機絶縁層100によって覆われていない点で本実施形態に係るマザー基板MBと相違する。
【0078】
図16(a)の断面は、
図11Bと同様の工程に相当するものであり、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL1および封止層SE1を除去するために実施されるエッチング(ウェットエッチング、ドライエッチング)により、有機絶縁層12が削られてしまっている。また、
図16(b)の断面は、
図13Bと同様の工程に相当するものであり、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL2および封止層SE2を除去するために実施されるエッチング(ウェットエッチング、ドライエッチング)により、有機絶縁層12がさらに削られ、アライメントマークAM1,AM2の表面が露出してしまっている。さらに、
図16(c)の断面は、
図15Bと同様の工程に相当するものであり、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された積層膜FL3および封止層SE3を除去するために実施されるエッチング(ウェットエッチング、ドライエッチング)により、有機絶縁層12だけでなく、アライメントマークAM1,AM2まで削られ、アライメントマークAM1,AM2の形状が変形してしまっている。
【0079】
図16に示すように、比較例に係るマザー基板MBcにおいては、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程で繰り返し実施されるエッチングにより、余白領域BAおよび周辺領域SAに配置された有機絶縁層12が徐々に削られてしまう。その結果、
図16(b)に示すように、アライメントマークAM1,AM2の表面が、アライメントマークAM1,AM2を保護する有機絶縁層12から露出してしまう可能性がある。アライメントマークAM1,AM2の表面が有機絶縁層12から露出してしまうと、マザー基板MBcが洗浄処理や現像処理に晒された際に、アライメントマークAM1,AM2が汚損してしまう。また、比較例に係るマザー基板MBcにおいては、
図16(c)に示すように、アライメントマークAM1,AM2が有機絶縁層12と共に削られ、その形状が変形してしまう、あるいは、消失してしまう可能性もある。アライメントマークAM1,AM2が消失したり、汚損してしまうと、位置合わせを正確に行うことができない。
【0080】
これに対し、本実施形態に係るマザー基板MBにおいては、リブ5に加工するための無機絶縁層100を表示領域DAだけでなく、余白領域BAおよび周辺領域SAにも配置しているため、表示素子DE1,DE2,DE3を形成するための工程で繰り返し実施されるエッチングから、有機絶縁層12を保護することができる。これによれば、有機絶縁層12の下方に配置されるアライメントマークAM1,AM2も同様に、上述のエッチングから保護することができるため、アライメントマークAM1,AM2の消失や汚損を抑制することができる。
【0081】
以上説明した一実施形態によれば、アライメントマークAM1,AM2の消失や汚損を抑制することが可能なマザー基板MBおよび表示装置DSPを提供することが可能である。
【0082】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
MB…マザー基板、DSP…表示装置、PP…パネル部、BA…余白領域、DA…表示領域、SA…周辺領域、DE1,DE2,DE3…表示素子、AM1,AM2…アライメントマーク、LE1,LE2,LE3…下電極、UE1,UE2,UE3…上電極、OR1,OR2,OR3…有機層、5…リブ、6…隔壁、11…回路層、12…有機絶縁層、100…無機絶縁層。