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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128374
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】物流管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037316
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】戸島 浩文
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522CC01
3F522CC08
3F522FF02
3F522FF37
3F522GG32
3F522GG48
3F522HH02
3F522HH03
3F522HH13
3F522HH18
3F522HH19
3F522HH33
3F522JJ01
3F522LL38
3F522LL41
3F522LL55
3F522LL58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】注文情報と異なる物品及び異常物品の処理の実行を検知して、注文情報と異なる物品及び異常物品の流出を防止し、注文情報と異なる物品及び異常物品の発生原因を究明して、その対策を講じることができる物流管理システム及びそのシステムを備える物流施設を提供する。
【解決手段】物品情報管理部と、作業指示器制御部と集品容器搬送制御部とを同期させて集品作業を実行する集品作業管理部と、集品作業を監視する集品作業監視部とから構成される仕分け部を中心として、仕分け部と連携する設備間搬送部及び物品補充部とを備え、集品作業監視部による集品作業の画像情報を用いた判定情報に基づいて、集品容器搬送制御部が集品容器の発送を実行する場合と、集品作業の修正を実行する場合に切換えると共に、集品作業の動画を検索可能に保管される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流施設における倉庫管理システム、倉庫運用システム、及び、倉庫制御システムの下で実行される、仕分け部を中心とした集品作業修正機能を備える物流管理システムであって、
物品情報管理部と、前記物品情報管理部の注文情報に基づいて作業指示器制御部と集品容器の搬送手段を制御する集品容器搬送制御部とを同期させ、注文品を前記集品容器に仕分ける集品作業を実行する集品作業管理部と、前記集品作業管理部の情報に基づいて前記集品作業を監視する集品作業監視部とから構成される仕分け部と、を備え、
前記集品作業監視部は、前記集品作業の実行前後の静止画の撮影と前記集品作業の一連の動画の撮影とを制御し、前記静止画から前記集品作業の正誤の判定情報を生成した後、前記静止画及び前記判定情報を保存すると共に、前記判定情報として、正常ではない集品作業が発信された場合、前記集品作業の修復作業を実行するように作動することを特徴とする物流管理システム。
【請求項2】
前記集品作業監視部は、
前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前後の静止画の撮影と前記集品作業の一連の動画の撮影とを制御するカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、
前記静止画の画像情報に基づいて、前記集品作業の正誤の判定情報を生成する撮影画像解析部と、
前記静止画の画像情報及び前記正誤の判定情報を保存する判定画像記憶部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項3】
前記集品作業監視部は、
前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前後の静止画の撮影と前記集品作業の一連の動画の撮影を制御すると共に、前記静止画の画像情報に基づいた前記集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部を備えるカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、
前記静止画の画像情報及び前記正誤の判定情報を保存する判定画像記憶部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項4】
前記集品作業の修復作業が、前記正常ではない集品作業が実行された前記集品容器の前記搬送手段からの回収及び前記集品作業の再実行であることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項5】
前記集品作業の修復作業が、前記正常ではない集品作業が実行された前記集品容器の前記搬送手段からの乖離、前記正常ではない集品作業が実行された前記集品容器の修正、及び、前記修正が実行された前記集品容器の前記搬送手段への復帰であることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項6】
前記仕分け部と連携する物品補充部及び設備間搬送部と、
前記集品容器搬送制御部で制御される集品容器修正部を備え、
前記集品容器修正部において、前記集品容器搬送制御部、前記物品補充部、及び、前記設備間搬送部が連携して前記集品作業の修復作業が実行されることを特徴とする請求項5に記載の物流管理システム。
【請求項7】
前記カメラ制御部は、前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前後の集品容器を撮影すると共に、前記集品作業の一連の動作を撮影する撮影装置を制御して、前記静止画及び前記動画の画像情報を収集することを特徴とする請求項2に記載の物流管理システム。
【請求項8】
前記カメラ制御部は、前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前後の集品容器を撮影すると共に、前記集品作業の一連の動作を撮影する撮影装置を制御して、前記静止画及び前記動画の画像情報を収集することを特徴とする請求項3に記載の物流管理システム。
【請求項9】
前記カメラ制御部は、前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前の集品容器を撮影する第一静止画撮影装置と、前記集品作業の実行後の集品容器を撮影する第二静止画撮影装置とを制御すると共に、前記集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して、前記集品作業の前記静止画及び前記動画の画像情報を収集することを特徴とする請求項2に記載の物流管理システム。
【請求項10】
前記カメラ制御部は、前記集品作業管理部の情報に基づいて、前記集品作業の実行前の集品容器を撮影する第一静止画撮影装置と、前記集品作業の実行後の集品容器を撮影する第二静止画撮影装置とを制御すると共に、前記集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して、前記集品作業の前記静止画及び前記動画の画像情報を収集することを特徴とする請求項3に記載の物流管理システム。
【請求項11】
前記撮影画像解析部は、前記静止画の画像情報の入力部と、前記静止画の画像情報の特定部と、前記静止画の画像情報の判定部とを備え、
前記集品作業の実行前後の前記静止画の画像情報を前記入力部に入力し、前記特定部で前記集品容器の集品物を特定した後、前記判定部で前記集品作業の前記正誤の判定情報を生成し、
前記静止画の画像情報及び前記判定情報を前記判定画像記憶部に送信することを特徴とする請求項2に記載の物流管理システム。
【請求項12】
前記撮影画像解析部は、前記静止画の画像情報の入力部と、前記静止画の画像情報の特定部と、前記静止画の画像情報の判定部とを備え、
前記集品作業の実行前後の前記静止画の画像情報を前記入力部に入力し、前記特定部で前記集品容器の集品物を特定した後、前記判定部で前記集品作業の前記正誤の判定情報を生成し、
前記静止画の画像情報及び前記判定情報を前記判定画像記憶部に送信することを特徴とする請求項3に記載の物流管理システム。
【請求項13】
前記撮影画像解析部は、前記撮影装置に組み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の物流管理システム。
【請求項14】
前記撮影画像解析部は、前記撮影装置に組み込まれていることを特徴とする請求項8に記載の物流管理システム。
【請求項15】
前記撮影画像解析部は、前記撮影装置に組み込まれていることを特徴とする請求項10に記載の物流管理システム。
【請求項16】
前記撮影画像解析部は、前記撮影装置に組み込まれていることを特徴とする請求項12に記載の物流管理システム。
【請求項17】
前記集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して収集された前記集品作業の前記動画の画像情報を前記倉庫管理システム、倉庫運用システム、及び、倉庫制御システムのメインサーバーに検索可能に保存されることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の物流管理システム。
【請求項18】
前記搬送手段が、コンベヤであることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の物流管理システム。
【請求項19】
前記搬送手段が、AGV(Automatic Guided Vehicle、自動搬送車)又はAMR(Autonomous Mobile Robot、自律走行搬送ロボット)であることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の物流管理システム。
【請求項20】
前記撮影画像解析部の前記画像情報の特定部が、ディープラーニング(Deep Learning、深層学習)による物体認識法及び/又はAI-OCR(Artificial Intelligence - Optical Character Recognition)を備えていることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の物流管理システム。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一項に記載の物流管理システムを備えていることを特徴とする物流施設。
【請求項22】
請求項17に記載の物流管理システムを備えていることを特徴とする物流施設。
【請求項23】
請求項18に記載の物流管理システムを備えていることを特徴とする物流施設。
【請求項24】
請求項19に記載の物流管理システムを備えていることを特徴とする物流施設。
【請求項25】
請求項20に記載の物流管理システムを備えていることを特徴とする物流施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば物流管理システムに係り、特に、配送センター等の物流施設における物流管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来型物流システムは、物を移動させる手段であるコンベヤ、トラック、クレーン等の搬送装置を用い、物を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動させることを主たる目的とした物の運搬及び保管機能に限定されたものであった。しかし、コンピュータ及びインターネット技術の発達による物流革命は、物の運搬及び保管に係る物流システムと物に付随する情報に係る情報システムとが相互に連携され、情報システムによる物流システムの統合的管理が行われるようになってきた(非特許文献1及び2)。
【0003】
より具体的には、入荷、検品、保管、搬送、仕分け、出荷等の物の管理機能と運搬機能を備える倉庫や配送センター等において、物に付随する情報を把握し制御できる、計画処理、統計処理、会計処理、及び、在庫管理等の機能を備えた自動立体倉庫等の保管設備に加え、デジタル化されたソーティングシステム及びピッキングシステム等の仕分け設備、更には、自動化されたコンベヤ、AGV(Automatic Guided Vehicle、自動搬送車)、及び、AMR(Autonomous Mobile Robot、自律走行搬送ロボット)等の搬送設備が導入され、情報システムによる物流システムの統合的管理が行われることができるようになってきたのである。例えば、WMS(Warehouse Management System、倉庫管理システム)、WES(Warehouse Execution System、倉庫運用管理システム)、WCS(Warehouse Control System、倉庫制御システム)等に代表される管理システムが構築されている(非特許文献3)。
【0004】
一方、物流を支援するPOS(Point of Sales)及びPOP(Point of Production)を用いた、物の運搬及び保管に係る動きだけでなく、物の需要及び生産を含めた物の動きを把握及び制御可能な情報システムの開発、及び、EC(Electronic Commerce、電子商取引)に代表される社会経済システムの変化が、消費者の物に対する需要の多種多様化を促進し、それに対応するサービスの提供が求められるようになった。その結果、少品種を大量に生産及び消費する大量生産・大量消費は崩壊し、消費者の要求に合致した物品を適時、適量供給する多品種少量生産・少量消費に移行した。すなわち、自動車等の生産方式に代表されるジャストインタイムのシステムが、一般消費者にも展開され、物流管理システムにもこのシステムが求められるようになってきたのである。
【0005】
しかしながら、物品、作業、及び、設備等の管理及び制御等のデジタル化やIоt化が進められている配送センター等の進歩した物流システムにおいても、例えば、デジタル・ピンキングシステムに代表されるように、今なおオペレータが介在する物品移載工程が一掃されるには至っておらず、注文情報と相違する物品の発送、破損した注文品の発送、及び、未発送等の不慮の事態が生じ、その原因の性質上回避することが困難な問題に日々直面している。特に、発注者である顧客からの指摘によって初めて発覚することが多いため、物流に関わる事業者に対する顧客の信頼が損なわれることがない効果的な対策が強く求められている。
【0006】
このような状況に対し、オペレータの手の位置を検知して誤操作を防止する方法、物品収容棚の間口個々にゲートを備えて誤操作を防止する方法、及び、物品収容棚の間口や仮置台に重量検品装置を設置して、重量検品しながら仕分けする方法等が検討され実施されてきた(非特許文献4、並びに、特許文献1及び2)。
【0007】
しかしながら、これらの方法は、物品を移載するプロセスにおける特定の操作に対処するものであり、多種多様な物品収容棚及び物品への対応が困難である上、そのプロセスの記録が保存されていないため、不慮の事態の調査、その原因の開示及び究明、それらに基づく的確な再発防止等を実施できない課題がある。特に、重量検品は、種別により重量が異なる物品をピッキングする場合には、物品収容棚等から取り出された物品の種別及び個数と集品容器等に投入された物品の種別及び個数とを、ピッキングオーダー情報に従った処理の完了毎に算出できるので、ピッキングオーダー情報が指定する物品の種別及び数量に従ったピッキング作業の正誤を判別できるという利便性を備えているものの、例えば、異なる種別により重量が同じ物品をピッキングする場合(例えば、紙パックやPETボトルに充填された飲料水等)においては、種別が異なる同一重量の物品をピッキングした場合には、ピッキングオーダー情報が指定する物品の種別及び数量に従ったピッキング作業の正誤を判別できないという事態が発生する。
【0008】
そこで、都市、公共施設、金融機関、店舗、住宅、車等の防犯防災対策において既に活用されており、小売業の会計機周辺で発生する誤操作、不正、盗難、紛失等のトラブル対策及び安全管理や、製造工場及び物流施設等の生産管理、品質管理、安全管理においても活躍するようになったカメラによる画像情報が、物流システムの仕分け作業、特に、ピッキング作業の画像の記録、検索、正誤の判定、誤操作の原因究明及びその対策検討、及び、オペレータ教育等に応用する方法が提案されるようになった(特許文献3~5)。
【0009】
このような画像情報のピッキング作業への応用は、基本的には、ピッキング前後の物品やピッキング動作の画像情報とピッキングオーダー情報との対比に基礎を置くものである。しかし、この応用には、広い範囲の画像情報を活用する監視カメラ等とは異なり、ピッキングオーダー情報の指示に従って、オペレータが、特定の注文品を、特定の物品収納棚から特定の集品容器に移載する一連の操作を、画像情報だけで確認することに解決すべき様々な障害がある。
【0010】
例えば、一つの特定された物品収納棚(移載元)から一つの特定された集品容器(移載先)に移載される特定の物品(対象物品)に関する画像情報だけでは、移載すべき移載元とは異なる移載元から移載すべき移動先に対象物品を移載させた場合や、移載すべき移動元から移動すべき移動先とは異なる移動先に対象物品を移載させた場合には、対象物品の移載の正誤を判定することはできない(特許文献3)。この問題を解決するためには、例えば、複数の移載元及び移載先に関する広い範囲の画像情報や移載するオペレータの手元等に関する狭い範囲の正確な画像情報が必要となり、画像情報量及び画像情報内容の増加を招き、ピッキング作業の画像の記録、検索、正誤の判定等に係る画像処理時間が長くなるという弊害が生じる(特許文献5)。特に、オペレータの手元に遮られることなく、集品容器内の対象物品の画像情報の収集には、複雑なシステムが必要である(特許文献6)。また、誤操作の原因究明及びその対策検討やオペレータ教育等において活用できる画像情報の検索においては、ピッキングオーダー情報との照合が複雑になるという問題もある(特許文献4)。
【0011】
更に、このようなピッキング作業の画像情報認識システムだけでは、通常、検品工程を経由して発送されるため、例えば、注文品とは異なる物品が投入された集品容器の物流施設外への流出を未然に防ぐことは困難である。これは、検品が、ピッキング作業同様、オペレータの介在する作業であることに起因している。
【0012】
これに対し、作業指示によりピッキング作業が行われる作業ゾーンからピッキング作業の修正が行われる修正ゾーンまで搬送される作業対象物に対する作業ゾーンでの作業を監視する監視手段と、監視手段により作業指示とは異なる不適切な作業が行われたことが認識されると、その作業対象物を特定する特定手段と、この特定手段により特定された作業対象物が修正ゾーンまで搬送されたことを検出する検出手段と、この検出手段により作業対象物が修正ゾーンまで搬送されたことを報知する報知手段と、特定手段により特定された作業対象物と関連付けて、その作業対象物に対して行われた不適切な作業の内容を示す不適切作業情報を記憶する記憶手段と、不適切な作業を修正するための作業内容を示す不適切修正情報を作成する作成手段と、検出手段により作業対象物が修正ゾーンまで搬送されたことが検出されると、作業対象物と関連付けて記憶されている不適切作業情報及び不適切作業情報で示される不適切な作業を修正するために作成されている不適切修正情報を通知する通知手段とを具備する作業監視システムが提案された(特許文献7)。
【0013】
この作業監視システムによれば、固定されている行動監視カメラが固定されている物品棚を撮影している画像において、物品箱に対して作業を行う作業者の手の位置から、物品棚のどの位置に置かれている物品箱に対して行われた作業であるかを認識すると共に、固定されている行動監視カメラがコンベアを撮影している画像において、集品容器に対して作業を行う作業者の手の位置から、コンベア上のどの容器に対して作業が行われたかを認識することができ、その結果に基づいた作業指示に対する不適切な作業及び不適切な作業を修正するための不適切修正情報が、修正ゾーンの表示デバイスに表示されるので、回収作業者は、修正ゾーンにおいて適切な状態に戻し得るように作業を監視することができ、物流拠点システムにおいて実行されるピッキング作業の流れを止めることなく、ピッキング作業のミスを修正することができると記載されている。
【0014】
しかし、この作業監視システムの行動監視カメラは固定されているため、撮影領域は限定的であり、ピッキング作業が行われる作業ゾーンが狭くなり、数多くの作業ゾーン、すなわち、数多くの作業者が必要となる。また、固定された行動監視カメラは、物品の画像情報ではなく、作業者の手の位置だけから物品の移載の正誤を判定しているため、情報の信頼性が低く、特に、物品の数量及び破損の判定が困難である。更に、修正ゾーンと作業ゾーンのコンベヤラインは、同一ライン上に直列して構成されているため、ピッキング作業の搬送速度は、修正ゾーンの搬送速度が律速となり、ピッキング作業を停止させなくとも、物品の処理速度、すなわち、物流速度が極めて遅くなるという問題が生起することも想定される。
【0015】
このように、仕分け作業の画像情報を、ピッキング作業やアソーティング作業等のオペレータが介在する物品移載工程を含む物流が実行される配送センター等の物流施設に活用して、注文情報と相違する物品の発生を検知し、物流施設から注文情報と相違する物品の発送を未然に防止すると共に、注文情報と一致する物品に修正して発送することを実現する物流管理システムが検討されてきた。しかし、物流の効率を低下させることなく、画像情報を用いた仕分け作業を判定し、その判定に基づいた修正を実行可能な物流管理システムは、未だ開発途上にあると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008-222332号公報
【特許文献2】特開2011-219277号公報
【特許文献3】特開2014-91608号公報
【特許文献4】特開2015-78047号公報
【特許文献5】特開2020-75797号公報
【特許文献6】特表2020-516565号公報
【特許文献7】特開2021-151917号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】谷崎隆士,「工場における搬送業務自動化技術の回顧と展望」,システム/制御/情報,Vol.64,No.5,pp.159-164,2020.
【非特許文献2】株式会社キーエンス,「基礎から学ぶ-物流現場の効率化」,[online],[2022年8月2日検索],インターネット<https://www.keyence.co.jp/ss/products/autoid/logistics/>.
【非特許文献3】株式会社Innovation & Co.,IT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」編集部,「WMS・WES・WCSとは?それぞれの機能をわかりやすく解説!」,[online],[2022年8月2日検索],インターネット<https://it-trend.jp/warehouse_management_system/article/159-0031>.
【非特許文献4】株式会社アイオイ・システム,「デジタルピッキングシステムとは」,[online],[2022年8月2日検索],インターネット<https://www. hello-aioi.com/jp/solution/knowledge/about_picking/>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、物品、作業、及び、設備等の管理及び制御のデジタル的にシステム化されているが、デジタル・ピンキングシステムに代表されるように、ピッキング作業やアソーティング作業等のオペレータが介在する物品移載工程を含む物流が実行される物流システムにおいて、人間の特性である誤操作(ヒューマンエラー)によるものと考えられる、注文情報と相違する物品や破損等の異常物品の発送及び未配送等の防止、並びに、これらの再発防止によって、物流に関わる事業者に対する顧客の信頼を確保するという要望に対し、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができる物流管理システム及びその物流管理システムを備える物流施設を提供することを課題としている。
【0019】
この課題には、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を高速で検知することができる画像情報の採用、物流速度を低下させない注文情報と相違する物品及び異常物品の修正プロセスの構築、及び、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理を実行した画像の記録・検索システムの構築が具体的に含まれており、本発明はこれらの課題の解決を主眼としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、注文品を投入する集品容器の搬送手段として、コンベヤ、並びに、AGV、AMR、及び、本出願人が提案している自律測位移動搬送ロボット(ANR、Autonomous Navigation Robot)を用いたピッキングシステムにおいて、これら搬送手段の移動距離、すなわち、集品容器の位置を、オペレータによる集品作業が行われる場所に備えられる集品作業を指示する表示器の表示と同期させることによって集品作業が実行することをシステムの基礎とすることによって、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を高速で検知することができる画像情報として、集品作業前後の静止画像が好ましいこと、物流速度を低下させない注文情報と相違する物品及び異常物品の修正プロセスを集品プロセスとは乖離して構築できること、及び、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理を実行した動画を記録し、その検索が可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
【0021】
すなわち、本発明は、物流施設における倉庫管理システム、倉庫運用システム、及び、倉庫制御システムの下で実行される、仕分け部を中心とした集品作業修正機能を備える物流管理システムであって、物品情報管理部と、この物品情報管理部の注文情報に基づいて作業指示器制御部と集品容器の搬送手段を制御する集品容器搬送制御部とを同期させ、注文品を集品容器に仕分ける集品作業を実行する集品作業管理部と、この集品作業管理部の情報に基づいて集品作業を監視する集品作業監視部とから構成される仕分け部とを備え、集品作業監視部は、集品作業の実行前後の静止画の撮影と集品作業の一連の動画の撮影とを制御し、集品作業の実行前後の静止画から集品作業の正誤の判定情報を生成した後、静止画及び判定情報を保存すると共に、判定情報として、正常ではない集品作業が発信された場合、集品作業の修復作業を実行するように作動することを特徴とする物流管理システムである。
【0022】
特に、本発明の物流管理システムにおける第一の集品作業監視部は、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業の実行前後の静止画の撮影と集品作業の一連の動画の撮影とを制御するカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、集品領域撮影部で収集された静止画の画像情報に基づいて、集品作業の正誤の判定情報を生成する撮影画像解析部と、静止画の画像情報及び正誤の判定情報を保存する判定画像記憶部とを備えて、集品作業の実行前後の静止画の撮影と集品作業の一連の動画の撮影とが実行され、集品作業の実行前後の静止画から集品作業の正誤の判定情報を生成した後、静止画及び判定情報を保存すると共に、判定情報として、正常ではない集品作業が発信された場合、集品作業の修復作業を実行するように作動することを特徴としている。
【0023】
しかし、このような集品領域撮影部と撮影画像解析部とは、並列した構成である必要はない。本発明の物流管理システムの第二の集品作業監視部は、集品領域撮影部内に撮影画像解析部を組込み、上記集品作業監視部を、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業の実行前後の静止画の撮影と集品作業の一連の動画の撮影を制御すると共に、静止画の画像情報に基づいた集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部を備えるカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、静止画の画像情報及び正誤の判定情報を保存する判定画像記憶部とを備えている構成とすることを特徴としている。この構成は、画像処理時間の短縮化やシステム構成の簡略化において有利である。
【0024】
また、本発明の物流管理システムにおける集品作業の修復作業も、正常ではない集品作業が実行された集品容器の搬送手段からの回収及び集品作業の再実行という第一の作業と、正常ではない集品作業が実行された集品容器の搬送手段からの乖離、正常ではない集品作業が実行された集品容器の修正、及び、修正が実行された集品容器の搬送手段への復帰という第二の作業のいずれかであることが好ましい。
【0025】
第一の修復作業は、集品作業監視部における判定情報に基づいて、正常ではない集品作業が実行された集品容器を、仕分け部を構成し、検査部、出荷部へと集品容器を移動させる搬送手段から取り除いて集品容器を回収して集品容器供給部へ供給し、再度集品作業を実行させる工程を経て行われる。第二の修復作業は、集品作業監視部における判定情報に基づいて、正常ではない集品作業が実行された集品容器を、仕分け部を構成し、検査部、出荷部へと集品容器を移動させる搬送手段の経路と連続する搬送経路で、検査部、出荷部へと集品容器を移動させる搬送手段の搬送経路から乖離させて集品容器修正部へ移動し、その集品容器修正部において正常ではない集品作業が実行された集品容器の注文品を修正した後、修正が実行された集品容器を、仕分け部を構成する検査部、出荷部へと集品容器を移動する搬送手段の搬送経路へ復帰させる工程を経て行われる。いずれの工程においても、仕分け部の物流効率を低下させることなく修復可能であり、正常ではない注文品を物流施設外に流出しないが、正常ではない集品作業の頻度を考慮すれば、第一の修復作業の方が、付帯設備の必要が少ないという点ではより好ましい。
【0026】
第二の修復作業は、集品容器搬送制御部で制御される集品容器修正部を備え、集品容器修正部に集品容器を移動させる搬送手段が必要であり、正常な注文品を集品容器修正部に供給する、仕分け部と連携する物品補充部及び設備間搬送部とを備えることが、本発明の物流管理システムを効率的運営する上でより好ましい。これは、本発明の集品作業修正機能が働かず、検査部において、正常ではない集品作業を検出した場合にも利用できるためである。
【0027】
更に、本発明の物流管理システムにおけるカメラ制御部は、撮影画像解析部が集品領域撮影部のカメラ制御部内外のいずれで制御される場合においても、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業の実行前後の集品容器を撮影すると共に、集品作業の一連の動作を撮影する撮影装置を制御して、静止画及び動画の画像情報を収集することを特徴としている。撮影装置は、一台で、適切な撮影位置に移動し、集品作業の実行前、実行中、及び、実行後の、静止画、動画、及び、静止画を撮影することができるが、集品作業の実行前の集品容器を撮影する第一静止画撮影装置と、集品作業の実行後の集品容器を撮影する第二静止画撮影装置とを制御すると共に、集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して、集品作業の画像情報を収集することも可能である。そして、集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部は、集品領域撮影部のカメラ制御部のこれらの撮影装置に組込むことも可能であり、更なる画像処理時間の短縮化やシステム構成の簡略化において有利である。
【0028】
また、本発明のいずれの構成の物流管理システムにおいても、集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部は、静止画の画像情報の入力部と、静止画の画像情報の特定部と、静止画の画像情報の判定部とを備え、集品作業の実行前と実行後の静止画の画像情報を入力部に入力し、特定部で集品容器の集品物を特定した後、判定部で集品作業の正誤の判定情報を生成し、静止画の画像情報及び判定情報を判定画像記憶部に送信することを特徴としている。
【0029】
一方、本発明の物流管理システムにおいて、集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して収集された集品作業の動画の画像情報は、本発明の物流管理システムの上位にあり、本発明の物流管理システムが備えられている物流施設全体を制御する倉庫管理システム、倉庫運用システム、及び、倉庫制御システムのメインサーバーに検索可能に保存されることを特徴としている。これは、集品作業の正誤の判定に静止画を用い、正誤の集品作業を解析し、誤った集品作業の再発防止対策やオペレータの技能向上プログラムに動画を用い、静止画と動画を目的別に利用することによって、集品作業の正誤の判定に費やされる画像処理時間を短縮することができるためである。
【0030】
さて、このような本発明の物流管理システムの集品容器搬送制御部が制御する搬送装置は、集品容器の搬送量(搬送距離)が計測可能である搬送装置であれば特に限定されないが、コンベヤ、AGV、又は、AMRであることが好ましい。
【0031】
そして、物流管理システムの撮影画像解析部の画像情報の特定部が、ディープラーニング(DL、Deep Learning、深層学習)による物体認識法及び/又はAI-OCR(Artificial Intelligence - Optical Character Recognition)を備え、画像情報のデジタル化及び集品作業の正誤の判定が実行されることが好ましい。
【0032】
このような本発明の物流管理システムは、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができるので、配送センターをはじめ、あらゆる物流施設に適している。
【0033】
このように、本発明の物流管理システムは、物流施設における倉庫管理システム、倉庫運用システム、及び、倉庫制御システムの下で実行される、仕分け部を中心とした集品作業修正機能を備える物流管理システムであって、全体としては、更に、仕分け部以外に、仕分け部と連携する設備間搬送部と物品補充部とを備えることが好ましい構成であり、搬送手段の移動距離、すなわち、集品容器の位置を把握して集品作業が実行されることをシステムの基礎として、集品作業に係る画像情報が収集され、その画像情報の解析によって、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品処理の流出防止を図ることができるものであると要約することができるが、本発明の物流管理システムの構成と機構をより明確にするために、更に詳しく説明する。
【0034】
ここでは、集品作業監視部が、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業が行われる前後の静止画の撮影と集品作業の一連の動画の撮影とを制御するカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、静止画の画像情報に基づいて、集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部が並列に機能する場合を用いて説明するが、カメラ制御部に撮影画像解析部が内蔵されている場合、更に、カメラ制御部の撮影装置に撮影画像解析部が内蔵されている場合においても、基本的に同様の機構で機能的に動作する。また、正常ではない集品作業の修復作業としては、正常ではない集品作業が実行された集品容器の搬送手段からの乖離、正常ではない集品作業が実行された集品容器の修正、及び、修正が実行された集品容器の搬送手段への復帰という修復作業について説明する。これは、正常ではない集品作業が実行された集品容器の搬送手段からの回収及び集品作業の再実行という修復作業は、再度仕分けを行うものであり、新たに付加されるシステムが殆ど必要とされないためである。
【0035】
仕分け部は、本発明の中核となるもので、具体的には、デジタルピッキングシステムであり、物品情報管理部と、物品情報管理部の注文情報に基づいて作業指示器制御部と集品容器搬送制御部とを同期させ注文品の集品作業を実行する集品作業管理部と、集品作業管理部の情報に基づいて集品作業を監視する集品作業監視部とから構成される。
【0036】
本発明の物流管理システムの基礎は、集品作業管理部において、物品情報管理部の注文情報に基づき、作業指示器制御部と集品容器搬送制御部とが同期して制御されることにある。集品容器搬送制御部が、計測される集品容器の搬送量に基づいて集品容器の位置を正確に把握し、作業指示器制御部が、その位置において作業指示器を動作させて正確な集品作業が実行される。ここで、集品容器の搬送量は、回転角や直線変位量を検出するエンコーダーも用いて算出されることが、搬送手段を限定することがなく好ましい。エンコーダーの検出方式は、機械式、光学式、磁気式、及び、電磁誘導式から、搬送手段に応じて選択されることが好ましい。
【0037】
このように集品作業が制御される仕分け部において、集品作業監視部は、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業が行われる前後の静止画撮影と集品作業の一連の動画撮影とを制御するカメラ制御部を備える集品領域撮影部と、この集品領域撮影部で収集された画像情報に基づいて、集品作業の正誤を判定する撮影画像解析部と、画像情報及び正誤の判定情報を保存する判定画像記憶部とを備えており、撮影画像解析部の集品作業の正誤に係る判定情報によって、物流が二つの経路に分かれる。集品作業が正常に実行されたという撮影画像解析部の判定情報の場合には、集品容器搬送制御部が、集品容器の発送を実行するための集品容器を搬出する搬送経路(集品容器搬出ライン)に制御する。一方、集品作業が正常に実行されなかったという撮影画像解析部の判定情報の場合には、集品容器搬送制御部が、集品容器の修正を実行するための集品容器を修正する搬送経路(集品容器修正ライン)に制御して、集品容器の修正に必要な物品を用意して搬送する物品補充部及び設備間搬送部が連携する集品容器修正部に誘導し、修正後の集品容器の発送を実行するための集品容器を搬出する搬送経路に制御する。従って、撮影画像解析部の判定情報は、直ちにかつ同時に、集品容器搬送制御部、物品補充部、及び、設備間搬送部へ送信される。また、集品容器の搬送経路は、通常、集品作業が正常に実行される場合の集品容器の搬送経路であるが、集品容器修正部は、集品作業が正常に実行される場合の集品容器の搬送経路から集品容器を搬送可能に乖離して設けられ、修正による仕分け作業の物流速度の低下を防いでいる。なお、物品補充部は、倉庫運用システム及び倉庫制御システムと連動するが、特別に設ける必要はなく、倉庫管理システムの中の在庫管理部の一つの機能として設定されることが好ましい。しかし、設備間搬送部は、倉庫運用システム及び倉庫制御システムの下で実行されることが好ましく、搬送手段は限定されないが、ドーリー、四輪台車等のようにオペレータによる搬送又は自動搬送車による搬送が好ましい。
【0038】
このように、本発明の物流管理システムも、集品作業の正誤の判定が画像情報に基づいて実行される。しかし、本発明は、画像情報の精度及び画像処理速度を向上させるため、仕分け部を構成する集品作業監視部の集品領域撮影部のカメラ制御部は、集品作業管理部の情報に基づいて、集品作業の実行前の集品容器を撮影する第一静止画撮影装置と、集品作業の実行後の集品容器を撮影する第二静止画撮影装置とを制御すると共に、集品作業の一連の動作を撮影する動画撮影装置を制御して、集品作業の画像情報を収集し、第一静止画撮影装置で撮影される静止画と第二静止画撮影装置で撮影される静止画とから集品作業の正誤の判定が行われ、動画撮影装置で撮影される動画から、時間を費やして集品作業の解析が行われることを特徴としている。この特徴によって、目的に応じた静止画と動画を、正確で容量の少ない画像情報を収集することができるため、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができるという効果を奏するので、画像情報の収集及び解析について詳しく説明する。
【0039】
集品作業の実行前の集品容器の静止画の撮影は、集品作業を行う一人のオペレータが担当する集品領域の先頭付近のように、被写体として、オペレータと集品容器との重なりがない位置で行われ、集品作業の実行後の集品容器の静止画の撮影は、集品作業を行う一人のオペレータが担当する集品領域の後尾付近のように、被写体として、オペレータと集品容器との重なりがない位置で行われることが好ましい。このような撮影の設定は、集品作業管理部が、物品情報管理部の注文情報に基づいて作業指示器制御部と集品容器搬送制御部とを同期させ注文品の集品作業が実行されるので、集品容器の搬送量に基づいた集品容器の位置情報を第一及び第二静止画撮影装置に送信して行うことができる。集品作業の一連の動作の動画の撮影も、静止画撮影装置と同様に動画撮影装置が制御され、集品作業を行う一人のオペレータが担当する集品領域の先頭付近から後尾付近までの撮影を実行するように設定されることができる。このように撮影することによって、より正確な画像情報を収集することができる。
【0040】
そして、第一静止画撮影装置及び第二静止画撮影装置で撮影された静止画は、集品作業の正誤を判定するための判定画像情報として撮影画像解析部に送信される。このような判定画像情報としては、第一静止画撮影装置及び第二静止画撮影装置で撮影された静止画を比較することによって、集品作業の正誤を判定することができるものであれば、特に限定されない。しかし、正確にかつ効率的に集品作業の正誤を判定するため、第一静止画撮影装置は、集品容器の上方開口部からその内部を撮影し、第二静止画撮影装置は、集品容器の上方開口部からその内部を撮影する第一の撮影方法であることが好ましく、第一静止画撮影装置は、集品容器の外部に貼付されている注文情報が記載されているラベルを撮影し、第二静止画撮影装置は、集品容器の上方開口部からその内部を撮影する第二の撮影方法であることがより好ましい。
【0041】
撮影された判定画像情報を受信する撮影画像解析部は、判定画像情報の入力部と、判定画像情報の内容を特定する特定部と、二つの判定画像情報から集品作業の正誤を判定する判定部とを備え、上記撮影方法によって異なる判定方法が適用される。
【0042】
第一の撮影方法の場合、第一静止画撮影装置で撮影される静止画と第二静止画撮影装置で撮影される静止画は、特定部において集品容器の内容物を特定し、集品容器の内容物を比較することによって集品作業の正誤を判定する。特に、特定部における集品容器の内容物の特定には、物品の画像情報がデジタル化され、物体認識アルゴリズムを用いることが好ましい。第二の撮影方法の場合、第一静止画撮影装置で撮影されるラベルの画像情報は、AI-OCRによってデジタル化され、集品すべき注文品が特定され、第二静止画撮影装置で撮影される集品容器の内容物は、第一の撮影方法と同様に特定され、集品すべき注文品の存在を認識することによって集品作業の正誤を判定する。
【0043】
特に、物体認識アルゴリズムは、ディープニューラルネットワーク(DNN、Deep Neural Network)を用いた学習であるDLという要素技術を用いた機械学習(ML、Machine Learning)で、特に、教師ありMLであり、CNN(Convolutional Neural Network、畳込みニューラルネットワーク)を基本構造に備えた、画像認識に実績のある物体分類アルゴリズム及び/又は物体検出アルゴリズムを用いることが好ましい。ここで、物体分類アルゴリズム及び/又は物体検出アルゴリズムとは、画像情報の解析精度を高めるために、二つ以上を直列に組み合わせ用いることができるが、画像情報の解析速度が低下するため、複数のアルゴリズムを用いることがないように、本発明のピッキング管理システムが適用される物流システムに適したアルゴリズムを選択することが望まれる。
【0044】
物体分類アルゴリズムとしては、AlexNet、GPipe(Giant Neural Networks using Pipeline Parallelism)、Inception、SEB(Squeeze-and -Excitation Block)-Inception、Xeption、DenseNet(Densely Connected Convolutional Network)、ResNet(Residual Network)、SEB-ResNet、Inception-ResNet、SEB-Inception-ResNet、ResNeXt、NASNet(Neural Architecture Search Network)、VGG(Visual Geometry Group)、SEB-VGG、MobileNet、MnasNet、AmoebaNet、CSPNet(Cross Stage Partial Network)、CBNet(Composite Backbone Network)、Darknet、EfficientNet、及び、NFNetの中から選択されるいずれか一つ以上を活用することができる。
【0045】
また、物体検出アルゴリズムとしては、二段階法のR-CNN(Region-based Convolutional Neural Network)、Fast R-CNN、Faster R-CNN、Mask R-CNN、及び、R-FCN(Region-based Fully Convolutional Network)、並びに、一段階法のОverfeat、DPM(Deformable Parts Model)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)、DSSD(Deconvolutional Single Shot Detector)、ESSD(Extend the shallow part of Single Shot MultiBox Detector)、RefineDet(Single-Shot Refinement Neural Network for Object Detection)、RetinaNet、M2Det、YOLO、Scaled YOLO、及び、EfficientDetの中から選択されるいずれか一つ以上を活用することができる。
【0046】
このように集品作業の正誤の判定を行うことによって、撮影方法に起因して、正確であり、容量の少ない判定画像情報が収集されるので、画像解析による精度及び効率の高い判定が実行される。
【0047】
一方、動画撮影装置で撮影される動画は、倉庫運用及び倉庫制御システムに検索可能に保存され、時間をかけた集品作業の分析を行って、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生する原因を究明し、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じると共に、オペレータの教育プログラムの教材として利用される。
【0048】
ところで、本発明の物流管理システムでは、集品容器搬送制御部が制御する集品容器を搬送する装置は、集品容器を自動的に搬送でき、搬送量を計測でき装置であれば、特に、限定されるものではないが、物品の正確で安全な搬送及び搬送速度等の機能性を考慮すると、コンベヤ、AGV、又は、AMRのいずれかであることが好ましい。
【0049】
そして、このような本発明の物流管理システムは、配送センター等の物流施設以外にも応用することができるが、ピッキングシステムを重点的に考慮したシステムとなっているので、物流施設に適用することが相応しい。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができる物流管理システム及びその物流管理システムを備える物流施設を提供することが可能となり、物品、作業、及び、設備等の管理及び制御のデジタル的にシステム化されているが、デジタル・ピンキングシステムに代表されるように、ピッキング作業やアソーティング作業等のオペレータが介在する物品移載工程を含む物流が実行される物流システムにおいて、特に、人間の特性であるヒューマンエラーによるものと考えられる、注文情報と相違する物品や破損等の異常物品の発送及び未配送等の防止、並びに、これらの再発防止によって、物流に関わる事業者に対する顧客の信頼を確保するという要望に応えることできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムの下で、ライン型仕分け部(ピッキングシステム)を中心として、仕分け部と物品補充部及び設備間搬送部とが連携するように構成されている、集品作業修正機能を備える物流管理システムの全体概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムを構成する集品作業修正機能を備える物流管理システムにおいて、物品補充部及び設備間搬送部と連携し、集品作業修正機能の中心的役割を果たすライン型仕分け部のシステム構成概要図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムを構成するライン型仕分け部において、作業指示器制御部とコンベヤ制御部とが連携して動作する集品作業管理部のシステム構成概要図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、仕分け部の集品作業管理部における作業表示器制御部のシステム構成概要図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムを構成するライン型仕分け部において、集品領域撮影部及び撮影画像解析部と集品作業管理部のコンベヤ制御部とが連携し、集品作業修正機能を果たす集品作業監視部のシステム構成概要図である。
図6】本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムにおける集品作業の流れの概要図である。
図7】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えているライン型仕分け部が実行されるライン型ピッキング設備の集品作業を中心に示す平面概要模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えているライン型仕分け部が実行されるライン型ピッキング設備の物品格納ラインの正面概要模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えている仕分け部が実行される、集品容器修正ラインを含むライン型ピッキング設備である。
図10】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えているライン型仕分け部が実行されるライン型ピッキング設備の第mピッキングゾーンで行われる集品作業の概要模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムを構成する集品作業修正機能を備える物流管理システムにおいて、物品補充部及び設備間搬送部と連携し、集品作業修正機能の中心的役割を果たすステーション型仕分け部のシステム構成概要図である。
図12】本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムを構成するステーション型仕分け部において、作業指示器制御部とAGV制御部とが連携して動作する集品作業管理部のシステム構成概要図である。
図13】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えているステーション型仕分け部が実行される、集品容器修正部を含むステーション型ピッキング設備の平面概要模式図である。
図14】本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部を備えているステーション型仕分け部が実行されるステーション型ピッキング設備の第qピッキングステーションで行われる集品作業の概要模式図である。
図15】本発明の一実施形態に係る、撮影画像解析部において、集品作業前後の静止画像から物体分類アルゴリズムを用いて集品作業の正誤を判定するシステムの概要図である。
図16】本発明の一実施形態に係る、撮影画像解析部において、集品作業前後の静止画像から物体検出アルゴリズムを用いて集品作業の正誤を判定するシステムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面に示した実施形態を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0053】
図1は、本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムの下で、ライン型仕分け部(ピッキングシステム)を中心として、仕分け部と物品補充部及び設備間搬送部とが連携するように構成されている、集品作業修正機能を備える物流管理システム1の全体概要図である。
【0054】
図2は、本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムを構成する集品作業修正機能を備える物流管理システム1において、物品補充部30及び設備間搬送部40と連携し、集品作業修正機能の中心的役割を果たすライン型仕分け部10のシステム構成概要図である。この場合、集品容器を搬送する装置は、コンベヤである。
【0055】
図2は、ライン型仕分け部10が次のように関連付けられ機能することを示している。集品作業管理部12は、主として、作業指示器制御部12-1とコンベヤ制御部12-2とから構成されるが、作業表示器制御部12-1とコンベヤ制御部12-2とが空間的かつ時間的に同期していることに特徴がある。この同期によって、物品情報管理部11で集約されている注文番号に関連付けられる作業情報に基づいて、コンベヤ制御部12-2で制御されて集品容器がコンベヤ上を移動し、作業表示器制御部12-1の格納棚表示器制御による全体表示器及び格納棚表示器の指示、並びに、ガイド表示器制御によるガイド表示器の指示によって、注文品の集品容器への集品作業が精度よく円滑に行われる。それと共に、この同期によって、集品作業管理部12から集品作業監視部13の集品領域撮影部13-1のカメラ制御部に注文番号と集品容器の位置情報が送信され、集品前後の静止画が注文番号をファイル名として撮影されると共に、集品作業の一連の動画が注文番号をファイル名として撮影される。このようにして撮影された静止画は、撮影画像解析部13-2において集品作業の正誤の判定が実行され、静止画及び判定結果が、判定画像記憶部13-3に所要期間保存された後、消去される。一方、このようにして撮影された動画は、倉庫運用・制御システムのメインサーバーに保存され、正誤の集品作業を解析し、誤った集品作業の再発防止対策やオペレータの技能向上プログラムに利用される。
【0056】
このようにして撮影画像解析部13-2の判定結果に従って、集品容器は二つの経路を経由して発送される。正しい集品作業であると判定されると同時に、撮影画像解析部13-2からコンベヤ制御部12-2に送信される判定結果に基づいて、集品容器搬送制御による集品容器の集品容器搬出ラインへの搬送が実行され、集品容器検査部を経由して発送される。誤った集品作業であると判定されると、撮影画像解析部13-2からコンベヤ制御部12-2に送信される判定結果に基づいて、修正容器搬送制御による修正すべき集品容器の集品容器修正ラインへの搬送が実行され、集品容器検査部を経由して発送される。この修正においては、物品補充部30及び設備間搬送部40にも判定結果が送付されるように連携されており、修正に必要な物品が集品容器修正ラインにある集品容器修正部に搬送される。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムを構成するライン型仕分け部10において、作業指示器制御部12-1とコンベヤ制御部12-2とが連携して動作する集品作業管理部12のシステム構成概要図である。ここでは、物品搬送手段がコンベヤであり、注文品を取り出す物品が格納されている物品格納棚で構成される物品格納ラックの複数が、一人のオペレータが担当するピッキングゾーン毎にコンベヤと対峙して並行に設置されて物品格納ラインを形成し、コンベヤと物品格納ラックとの間で、オペレータによる集品作業が行われるライン型ピッキング設備の場合における集品作業管理部12のシステム構成である。この場合、本発明の集品作業管理部12の特徴である作業指示器制御部12-1とコンベヤ制御部12-2との空間的かつ時間的同期は、次のように実行される。コンベヤ制御部12-2でコンベヤ駆動装置が制御されるコンベヤに、エンコーダーを用いたコンベヤ移動距離検出装置が装着され、この装置によって、コンベヤの移動距離、すなわち、集品容器の移動距離が把握される。そして、この把握された移動距離に基づいて、全体表示器、ベイ表示器、及び、棚表示器を含む格納棚表示器、並びに、ガイド表示器が動作し、集品作業が実行される。
【0058】
ここで、作業指示器制御部12-1は、格納棚表示器制御12-11(1)、(2)、・・・を行い、一人のオペレータが集品作業を行う領域であるピッキングゾーン毎に設置される全体表示器[1]、[2]、・・・と、その領域を分割した複数の物品格納ラックを含むベイ毎に設置されるベイ表示器[1]、[2]、・・・と、物品格納ラックの高さ方向と幅方向に区画された碁盤目状の格納棚の取出し面毎に設置される棚表示器[1]、[2]、・・・とを動作させる。また、作業指示器制御部12-1は、ガイド表示器制御12-12[1]、[2]、・・・も行い、同様に、一人のオペレータが集品作業を行う領域であるピッキングゾーン毎に、オペレータの反対側でベルトコンベヤに沿うように設置されるガイド表示器[1]、[2]、・・・を動作させる。
【0059】
図3に示した作業表示器制御部12-1を更に詳細に示す図4から分かるように、格納棚表示器制御12-11[1]は、第一のピッキングゾーンの棚毎に、注文番号1-О1、1-О2、1-О3、・・・と、数量1-Q1、1-Q2、1-Q3、・・・とが表示されるように行われ、格納棚表示器制御12-11[2]は、第二のピッキングゾーンの棚毎に、注文番号2-О1、2-О2、2-О3、・・・と、数量2-Q1、2-Q2、2-Q3、・・・とが表示されるように行われる。また、格納棚表示器制御12-11[1]は、第一のピッキングゾーンのベイ表示器[1]毎に、ベイ表示1-B1、1-B2、1-B3、・・・が点灯されるように行われ、格納棚表示器制御12-11[2]は、第二のピッキングゾーンのベイ表示器[2]毎に、ベイ表示2-B1、2-B2、2-B3、・・・が点灯されるように行われる。作業表示器制御部12-1では、ガイド表示器制御[1]及び[2]も行われ、それぞれ、第一のピッキングゾーンにガイド表示1-G1、1-G2、1-G3、・・・が点灯され、第二のピッキングゾーンにガイド表示2-G1、2-G2、2-G3、・・・が点灯される。一方、全体表示器[1]、[2]、・・・は、各ピッキングゾーンに入ってくる先頭の集品容器に関し、その集品作業に係る、注文番号、注文数量、作業時間、作業間隔、終了予定時刻等の各種作業進捗情報が表示される。
【0060】
このように、作業表示器制御部12-1とコンベヤ制御部12-2とが空間的かつ時間的に同期されている集品作業管理部12は、集品作業を開始すると、物品情報管理部11で予め設定されている集品作業のプログラミングに基づいて、注文番号が表示されている集品容器を搬送するコンベヤを起動させると共に、コンベヤ移動距離検出装置及び各表示器も起動して、集品作業が開始される。所定のコンベヤ移動距離が認識されると、集品作業を行うピッキングゾーンとその中の位置が把握されるので、集品作業を行うピッキングゾーンのベイ表示、棚表示の指示に従って、物品格納ラックから注文品を取出し、その位置に搬送されてきた、棚表示の注文番号と一致する集品容器に投入される。ガイド表示は、所定の間隔で集品容器が搬送されてくるので、この投入すべき集品容器を誤らないように点滅して指定する。
【0061】
そして、この一連の集品作業の作業指示系統から分かるように、図2に示す集品作業管理部12と接続されている集品作業監視部13において、集品作業の画像情報が収集され、解析及び保管される。このプロセスを、図5に示す集品作業監視部13のシステム構成図を用いて更に詳しく説明する。
【0062】
集品領域撮影部13-1のカメラ制御部において、集品作業管理部12のコンベヤ制御部12-2からの指示に従い、各ピッキングソーンにおける集品作業前後の集品容器の静止画及び集品作業の一連の動画を画像情報として収集し、解析及び保管される。静止画撮影装置は二台を所定の位置に設置する。一台は集品前の各ピッキングゾーンの先頭付近に設置され、第一静止画撮影装置とし、もう一台は集品後の各ピッキングゾーンの後尾付近に設置され、第二静止画撮影装置とする。この二台の静止画撮影装置共に、コンベヤ制御部12-2から集品領域撮影部23-1のカメラ制御部13-12に送信される集品容器の位置情報及び注文番号に基づいた判定画像撮影制御13-121による撮影が実行され、注文番号をファイル名とした第一静止画と第二静止画が、撮影画像解析部13-2に直ちに判定画像情報として送信される。これらの静止画と並行して、各ピッキングゾーンの所定の位置に設置されている動画撮影装置が、静止画同様に、コンベヤ制御部12-2から集品領域撮影部23-1のカメラ制御部13-12に送信される集品容器の位置情報及び注文番号に基づいた集品作業撮影制御13-122による集品作業の一連の撮影が実行され、注文番号をファイル名とした動画が撮影されるが、この動画は、撮影画像解析部13-2に送信されることはなく、倉庫運用・制御システムのメインサーバーに保存され、正誤の集品作業を解析し、誤った集品作業の再発防止対策やオペレータの技能向上プログラムに利用される。本発明の一実施形態、静止画撮影装置二台と動画撮影装置一台を設置したが、撮影装置を一台とし、上記静止画及び動画を撮影可能に移動式とすれば、一台に集約して、集品前、集品中、及び、集品後の静止画、動画、及び静止画を撮影することができる。
【0063】
撮影画像解析部13-2に判定画像情報として送信された第一静止画及び第二静止画は、撮影画像解析部13-2において解析され集品作業の正誤が判定される。この判定結果は、直ちに、集品作業管理部12のコンベヤ制御部12-2(図3参照)、物品補充部30、及び、設備間搬送部40に送信される。集品作業が正常に実行された場合は、集品容器搬送制御12-21による通常の搬送が実行され、(図示していない)集品容器検査部へ搬送される。集品作業が正常に実行されなかった場合は、修正すべき集品容器が、修正集品容器搬送制御12-22による集品容器修正部への搬送が実行されると同時に、正常品が、物品補充部30から設備間搬送部40を経由して集品容器修正部に搬送され、修正された集品容器が(図示していない)集品容器検査部へ搬送される。本発明の一実施形態においては、図3及び図5に示すように、撮影画像解析部13-2は、集品領域撮影部13-1と並列した構成としているが、撮影画像解析部13-2が、集品領域撮影部13-1内で制御されることもできる。更に、カメラ制御部の撮影装置内に内蔵することも可能である。
【0064】
このような本発明の物流管理システム1における集品作業の画像情報による判定に係る集品作業の流れの概要を図6に示す。集品作業が開始されると、コンベヤの移動距離、すなわち、ライン型ピンキングシステムにおける集品容器の位置が常に把握された集品容器の流れに従って、図6に示すように、集品作業が実行され、集品作業の正誤を判定する集品前後の静止画と、集品作業の一連を分析する動画とが並行して撮影され、その間に集品作業が実行される。静止画の判定に従って、集品作業が正常に実行されなかった場合には、修正物品を補充して搬送し、集品容器が修正された後、集品作業が正常に実行された場合と同様に、検査後発送される。動画は、保存され、集品作業の分析、対策立案、及び、オペレータの教育に利用される。なお、検査における判定に伴う処理については、特に説明していないが、本発明の物流管理システム1では、物品補充部30及び設備間搬送部40を備えているので、検査の不良状況に応じて、修正物品を補充して搬送し、集品容器が修正されることが好ましい。
【0065】
以上、本発明の物流管理システム1の一例として、図1図5のシステム概要図、並びに、図6の集品作業の流れの概要図を用い、ライン型ピッキングシステムの場合において、本発明の物流管理システム1が、集品作業の正誤の判定、それに伴う修正作業がどのようにして実行され機能するのかを説明したが、この物流管理システムが稼働するライン型ピッキング設備100の概要を示す図7~10を用いてより具体的に説明する。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部13を備えているライン型仕分け部10が実行されるライン型ピッキング設備100の集品作業を中心に示す平面概要模式図で、集品容器の搬送方向は矢印Dの方向である。ライン型ピッキング設備100は、集品容器115が搬送される集品容器搬送コンベヤ111の集品容器搬送ライン110と並行して物品格納ライン130が配備され、集品容器搬送ライン110の最上流と最下流に、それぞれ、集品容器準備部112と集品容器検査部113が着設されている。
【0067】
集品容器準備部112には、集品容器供給部112-1から集品容器115が供給され、注文番号等の注文情報が記載されているラベル116が集品容器115に貼付され、集品作業が開始されると、集品容器準備部112の集品容器115sが、集品容器搬送ライン110へ出発する。集品容器検査部113には、集品作業が完了した集品容器115fが到着して、検査後、連接される集品容器出荷部113-1へ移動して出荷される。
【0068】
また、集品容器搬送ライン110の集品容器搬送コンベヤ111に沿って、オペレータ300の反対側の上方にガイド表示器114が配備されており、注文品が移載されるべき集品容器115を指示する。
【0069】
ただし、図7には、集品作業の正誤が判定された後、その判定結果に従い、集品作業が正常に実行された場合の搬送経路である集品容器搬出ライン(α)160と、集品作業が正常に実行されなかった場合の搬送経路である集品容器修正ライン(β)170は、図示されていないが、図9において示す。
【0070】
そして、集品容器搬送ライン110と物品格納ライン130には、一人のオペレータ300が集品作業を行う領域であるピッキングゾーン120(Z)が設定され、更に、三つのベイ121~123に分割されている。図7は、ライン型ピッキング設備100の大部分のピッキングゾーン120を省略し、第mピッキングゾーン120m(Zm)と第nピッキングゾーン120n(Zn)とが描かれている。第mピッキングゾーン120mは、オペレータ300mが、物品格納ライン130を分割した第m物品格納ラック130mの集品作業を担う領域であり、更に、第m物品格納ラック130mが、第1ベイ121m(Zm1)、第2ベイ122m(Zm2)、及び、第3ベイ123m(Zm3)に分割されている。又、第nピッキングゾーン120nは、オペレータ300nが、物品格納ライン130を分割した第n物品格納ラック130nの集品作業を担う領域で、更に、第1ベイ121n(Zn1)、第2ベイ122n(Zn2)、及び、第3ベイ123n(Zn3)に分割されている。これらの各ベイに対応して、第mピッキングゾーン120mには、第1ベイ表示器141m、第2ベイ表示器142m、及び、第3ベイ表示器(143m)が配備されており、第nピッキングゾーン120nには、第1ベイ表示器141n、第2ベイ表示器(142n)、及び、第3ベイ143nが配備されている。そして、ラックの高さ方向と幅方向とに区画された碁盤目状の格納棚131m~1327m、131n~1327nの物品取出し面毎に、注文番号と注文数量が表示される格納棚表示器150が配備されている。
【0071】
図7に示すライン型ピッキング設備100は、物品格納棚ライン130における格納棚131m~1327m、131n~1327n、ベイ表示器140、及び、格納棚表示器150の配置が平面的であるため、立体的に理解できるように、図7の物品格納ライン130をオペレータ300側から視た正面概要模式図として図8に示し、第mピッキングゾーン120mを例に挙げて説明する。
【0072】
第mピッキングゾーン120mの第m物品格納ラック130mは、第1ベイ121m~第3ベイ123mに分割され、ベイ毎にベイ表示器140mが配備されている。ベイ表示器140mは、注文品の格納されている格納棚が格納されているベイを表示するものである。更に、第m物品格納ラック130mの格納棚131m~1327m、131n~1327nの物品取出し面毎に、注文番号と注文数量が表示される格納棚表示器150が配備されている。例えば、最上流側最上段の第1格納棚131m、下流側上段の第8格納棚138m、最上流側中段の第10格納棚1310m、及び、最上流側下段の第19格納棚1319mに、それぞれ、第1格納棚表示器151m、第8格納棚表示器158m、第10格納棚表示器1510m、及び、第19格納棚表示器1519mが配備されている。物品格納ライン130の各ピッキングゾーン120では、同様に、格納棚、ベイ表示器140、及び、格納棚表示器150が配備されている。
【0073】
集品作業というオペレータが介在した操作、すなわち、物品格納ライン130の格納棚から集品容器搬送ライン110の集品容器搬送コンベヤ111上を移動する集品容器150に注文品を移載して集品するという作業は、このようにデジタル化されたライン型ピッキング設備100において実行される。すなわち、集品容器150の移動量が計測され、集品容器搬送ライン110上の位置が把握されているので、所定のピッキングゾーン120の所定の位置にある集品容器150に注文品を移載する指示が、ガイド表示器114で実行される。この指示と連携して、物品格納ライン130の所定のピッキングゾーン120の所定のベイの中の所定の格納棚に格納されている注文品を移載する指示が、ベイ表示器140、格納棚表示器150の順で実行される。そのため、集品作業において、人間の特性であるヒューマンエラーが減少し、作業効率も向上してきたが、物流に関わる事業者に対する顧客の信頼を確保するという事業者の要望を未だ十分に満足できる水準には到達していない。
【0074】
そこで、集品作業の撮影を行い、その画像情報を活用して、ヒューマンエラーを中心とした注文情報と相違する物品や破損等の異常物品の発送及び未配送等の防止、並びに、これらの再発防止を具現化する物流管理システムが提案されているが、画像情報の活用に起因する物流効率の低下を招くことが想定される。しかし、本発明者は、新たな画像情報の種類、収集、及び、処理を活用することによって、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができる物流管理システムを見出した。その特徴を備えるライン型ピッキング設備100を図9及び10に示した。
【0075】
図9は、本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部13を備えている仕分け部10が実行される、集品容器修正ライン110を含むライン型ピッキング設備100である。ピッキングゾーン120の下流方向に、集品容器搬出ライン160(α)と集品容器修正ライン170(β)が並列に配備されていることに特徴がある。集品作業の正誤の判定に基づいて、両ラインに振り分けられる。振分けるラインは、特に限定されるものではなく、図9では、集品容器修正ライン170は、集品容器搬出ライン160(α)の直角分岐コンベヤ162と直角合流コンベヤ163によって連接して配備され、集品容器修正ライン170の第一方向変換コンベヤ及び第二方向変換コンベヤと、直線的なコンベヤから構成されているが、各種分岐及び合流コンベヤ、並びに、各種方向変換コンベヤ及びカーブコンベヤ等の組合せによって構成され得る。
【0076】
作業が正常に実行された場合は、正常な物品容器115αが、集品容器搬出ライン160から集品容器検査部113を経由して、集品容器出荷部113-1に移動して発送される。集品作業が正常に実行されなかった場合は、修正すべき集品容器115βが、集品容器修正ライン170の修正前集品容器搬送コンベヤ172から集品容器修正部171に移動し、その中の物品を物品補充部30及び設備間搬送部40から搬送される正常な注文品と入換えられ、修正後集品容器搬送コンベヤ173から集品容器検査部113を経由して、集品容器出荷部113-1に移動して発送される。なお、本発明の物流管理システムでは、集品容器検査部113において異常な物品が検出された場合にも、上記集品容器修正ライン170を利用することが好ましい。このように、集品作業の正誤の判定に基づいた搬送経路が設置されることによって、仕分け部10が、物流効率の低下をきたすことなく実行される。
【0077】
更に重要なことには、集品作業の正誤の判定、特に、画像情報処理が、迅速かつ正確に実行される必要があり、それを実現する、本発明の画像情報処理による集品作業の正誤の判定技術の一例を図10に示す。図10は、本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部13を備えているライン型仕分け部10が実行されるライン型ピッキング設備100の第mピッキングゾーンで行われる集品作業の概要模式図である。
【0078】
画像情報は、静止画と動画を、それぞれ、異なるカメラを用いて撮影する。情報量が少なく、処理速度を高めるために、集品作業の正誤の判定に静止画を用い、情報量が多く、様々な角度から集品作業を視るために、集品作業が正常に行われない原因究明、並びに、対策の立案及びオペレータの技能向上等に集品作業一連の動画を用いる。
【0079】
図10に示すように、第一の静止画は、第mピッキングゾーンの最上流に到着した集品作業前の集品容器115mを、オペレータと重なることがなく撮影できる位置に、一台の注文情報表示ラベル静止画撮影カメラ410mを設けて収集され、第二の静止画は、第mピッキングゾーンの最下流に到着した集品作業後の集品容器115mを、オペレータと重なることがなく撮影できる位置に、一台の集品容器内静止画撮影カメラ420mを設けて収集され、集品作業の正誤の判定に用いられる。動画は、第mピッキングゾーンの中央上部の位置に人感センサーを備える集品作業動画撮影カメラ430mを設けて収集され、第mピッキングゾーンにおける集品作業の一連が解析される。このような位置にカメラが配備され、目的に応じて区別した静止画と動画が撮影されることによって、処理速度を低下させることなく、正確な画像情報を収集することができる。
【0080】
更に、本発明の物流管理システムは、ライン型ピッキング設備100では見えない、集品作業の正誤の判定に係る画像情報処理技術にも特徴を有している。図15及び図16に、撮影画像解析部13-1で実行される画像データ解析プロセスを示した。図15は、物体分類アルゴリズム、例えば、ResNetによる集品作業判定プロセス610であり、図16は、物体検出アルゴリズム、例えば、Faster R-CNNによる集品作業判定プロセス620である。物品の位置情報の有無というアルゴリズムの相違はあるが、両者共に、集品前の集品箱の注文情報表示ラベルのAI-OCRによる集品物の特定611,621と集品後の集品箱の内容物の静止画のMLによる集品物の特定612、622とから集品作業の判定が行われる。ここで示した画像処理プロセスは、一般的なAI-OCR及びMLを利用するものであり、特別なプロセスを含んでいないが、頻繁に行われるバージョンアップしたアルゴリズムを含むものである。
【0081】
このように、静止画のAIを用いた画像解析も、集品作業の正誤の判定時間を削減することができ、画像情報を活用した、ヒューマンエラーを中心とする注文情報と相違する物品や破損等の異常物品の発送及び未配送等の防止、並びに、これらの再発防止を、仕分け部10の物流効率を低下させることなく具現化する一助となっている。ただし、最下流のピッキングゾーン120zを考慮すれば、一つのピッキングライン通過直後に、集品作業の正誤の判定が完了していることが求められる。この点については、物流効率の低下を招くことがない程度に、ピッキングゾーン120zと集品容器修正ライン170との間に、判定時間に対応したコンベヤラインの設計、例えば、アキュムレーションコンベヤ等によって調整することができる。
【0082】
以上、本発明の物流管理システムの一例として、集品作業監視部13を備えているライン型ピッキング仕分け部10及び設備100を取り扱ったが、このピッキングシステム及び設備に限定されるものではなく、AGVやAMR等を、集品容器の集品容器の搬送装置として用いる搬送経路が固定されないピンキングシステム及び設備にも適用することができる。
【0083】
図11には、本発明の一実施形態に係る、物流拠点における倉庫管理・運用・制御システムを構成する集品作業修正機能を備える物流管理システム1において、物品補充部30及び設備間搬送部40と連携し、集品作業修正機能の中心的役割を果たすステーション型仕分け部20のシステム構成概要図を示した。また、図12には、本発明の一実施形態に係る、集品作業修正機能を備える物流管理システムを構成するステーション型仕分け部20において、作業指示器制御部22-1とAGV制御部22-2とが連携して動作する集品作業管理部22のシステム構成概要図を示した。この場合も、撮影画像解析部23-2は、集品領域撮影部23-1と並列した構成としているが、撮影画像解析部23-2が、集品領域撮影部23-1内で制御されることもできる。更に、カメラ制御部の撮影装置内に内蔵することも可能である。
【0084】
集品容器の搬送装置が異なることによって変更すべき点としては、主に、集品容器の搬送量、すなわち、搬送装置の移動距離が、搬送装置の駆動輪をエンコーダーで計測する方法を採用すること、ガイド表示器を用いることができないため、オペレータが注文品を投入すべき集品容器の指示を全体表示器に変更することを挙げることができるが、基本的なシステム構成に大差はなく、特に、集品作業監視部23は、ライン型仕分け部10の集品作業監視部13と同様のシステム構成である。
【0085】
このようなシステム構成の下で実行されるステーション型ピッキング設備200全体と各ピッキングステーション220(S)で行われる集品作業の様子を、それぞれ、図13及び14に示した。図13は、本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部23を備えているステーション型仕分け部20が実行される、集品容器修正部260(β)を含むステーション型ピッキング設備200の平面概要模式図である。図14は、本発明の一実施形態に係る、集品作業監視部23を備えているステーション型仕分け部20が実行されるステーション型ピッキング設備200の第qピッキングステーション220qで行われる集品作業の概要模式図である。
【0086】
図13から分かるように、ステーション型ピッキング設備200は、ライン型ピッキング設備100と比較して、次のような相違点がある。集品容器を搬送する手段がAGV211であることと、AGV211であることによって、物品格納ライン230から取り出した注文品を集品容器に投入するために、少なくとも、AGV211が搬送してきた集品容器215を受け取り、注文品が投入された集品容器をAGV211に受け渡すコンベヤ(破線で囲まれた集品容器搬送コンベヤ250)を必要とすることである。しかし、物品格納部230と集品容器搬送コンベヤ250の間に一人のオペレータ300を要するピッキングステーション220は、ライン型ピッキング設備100のピッキングゾーン120に相当するもので、ピッキングステーション220の配置の自由度を除けば、基本的に異なるものではない。又、ステーション型ピッキング設備200のAGV211は、ライン型ピッキング設備100のベルトコンベヤ111が全てのピッキングゾーン120を通過しなければならないのに対し、必要なピッキングステーション220を通過すればよいが、作業表示器制御部とコンベヤ制御部とが同期して機能するためには、固定された導線内で最短経路の軌道をAGV211が走行する必要があるため、根本的な相違点ではない。従って、基本的には、ライン型ピッキング設備100に適用する仕分け部10をステーション型ピッキング設備200に適用することができる。特に、集品作業監視部23を中心として実行される集品容器修正部260(β)は、ライン型ピッキング設備100の集品作業監視部13を中心として実行される集品容器修正ライン160(α)と全く同様に機能する。
【0087】
第qピッキングステーション220q(Sq)の破線で囲まれた集品容器搬送コンベヤ250qは、一例として、第一集品容器搬入コンベヤ251q-1、第一集品容器待機直角分岐コンベヤ252q-1、第一集品容器待機コンベヤ253q-1、第一物品投入直角分岐コンベヤ254q-1、及び、第一集品容器搬出コンベヤ255q-1が、二組設置されているが、少なくとも、AGV211q-1、211q-2が搬送してきた集品容器を受け取り、注文品が投入された集品容器をAGV211q-1、211q-2に受け渡すコンベヤがあればよい。また、ガイド表示器の代わりに、大型表示器214qを設置し、注文番号及び注文数量が表示されると共に、注文品を投入すべき集品容器215q-1、215q-2を指示することが好ましい。その他、第qピッキングステーション220qの第q物品格納ラック230qの格納棚、第qピッキングステーションの格納棚表示器240qについては、ライン型ピッキング設備100と同様である。
【0088】
第qピッキングステーション220qのカメラの基本的な配置の考え方は、ライン型ピッキング設備100と全く同様で、静止画撮影カメラ410q、420qは、集品容器の注文情報表示ラベル静止画撮影第一、第二カメラ410q-1、410q-2と、集品容器内静止画撮影第一、第二カメラ420q-1、420q-2とが、それぞれの目的を実行できる位置に設けられており、第qピッキングステーション22-qの集品作業動画撮影カメラ430qもその目的を実行できる位置に設けられている。このようにして収集された画像情報は、ライン型ピッキング設備と全く同様に処理されるので、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、物品、作業、及び、設備等の管理及び制御のデジタル的にシステム化されているが、デジタル・ピンキングシステムに代表されるように、ピッキング作業やアソーティング作業等のオペレータが介在する物品移載工程を含む物流が実行される物流システムにおいて、人間の特性であるヒューマンエラーによるものと考えられる、注文情報と相違する物品や破損等の異常物品の発送及び未配送等の防止、並びに、これらの再発防止によって、物流に関わる事業者に対する顧客の信頼を確保するという要望に対し、物流効率を低下させることなく、注文情報と相違する物品及び異常物品の処理の実行を検知するだけでなく、物流施設から注文情報と相違する物品及び異常物品の発送を未然に防止し、注文情報と一致する物品及び正常品に修正して発送すると共に、注文情報と相違する物品及び異常物品が発生した原因を究明して、注文情報と相違する物品及び異常物品の発送再発を防止する対策を講じることができる物流管理システム及びその物流管理システムを備える物流施設を提供するものであり、物流業界において広く利用される。
【0090】
本発明の技術は、物流業界のみならず、各種製造業の製造ラインにおけるヒューマンエラー等による異常の発見や修正等による製造効率化や歩留り向上等に幅広く応用されるのものであり、産業上の利用可能性が極めて高く、産業における極めて重要な技術的意義を有するものである。
【符号の説明】
【0091】
1 管理・運用・制御システムを備える物流管理システム
10 ライン型仕分け部(ピッキングシステム)
11 物品情報管理部
12 集品作業管理部
12-1 作業指示器制御部
12-11 格納棚表示器制御
12-12 ガイド表示器制御
12-2 コンベヤ制御部
12-21 集品容器搬送制御
12-22 修正集品容器搬送制御
13 集品作業監視部
13-1 集品領域撮影部
13-12 カメラ制御部
13-121 判定画像撮影制御
13-122 集品作業撮影制御
13-2 撮影画像解析部
13-3 判定画像記憶部
20 ステーション型仕分け部(ピッキングシステム)
21 物品情報管理部
22 集品作業管理部
22-1 作業指示器制御部
22-21 格納棚表示器制御
22-22 全体表示器制御
22-2 AGV制御部
22-21 集品容器搬送制御
22-22 修正集品容器搬送制御
23 集品作業監視部
23-1 集品領域撮影部
23-2 撮影画像解析部
23-3 判定画像記憶部
30 物品補充部(物品補充システム)
40 設備間搬送部(搬送システム)
100 ライン型ピッキング設備
110 集品容器搬送ライン
111 集品容器搬送コンベヤ
112 集品容器準備部
112-1 集品容器供給部
113 集品容器検査部
113-1 集品容器出荷部
114 ガイド表示器(物品投入指示器)
115 集品容器
115s 集品容器準備部にある集品容器
115m 第mピッキングゾーンを通過中の集品容器
115n 第nピッキングゾーンを通過中の集品容器
115f 集品容器検査部にある集品容器
115α 集品容器搬出ライン(α)を通過中の正常な集品容器
115β 集品容器修正ライン(β)を通過中の修正すべき集品容器
116 注文情報表示ラベル
120 ピッキングゾーン(Z)
120m 第mピッキングゾーン(Zm)
121m 第mピッキングゾーンの第1ベイ(Zm1)
122m 第mピッキングゾーンの第2ベイ(Zm2)
123m 第mピッキングゾーンの第3ベイ(Zm3)
120n 第nピッキングゾーン(Zn)
121n 第nピッキングゾーンの第1ベイ(Zn1)
122n 第nピッキングゾーンの第2ベイ(Zn2)
123n 第nピッキングゾーンの第3ベイ(Zn3)
120z 第zピッキングゾーン(Zz)
121z 第zピッキングゾーンの第1ベイ(Zz1)
122z 第zピッキングゾーンの第2ベイ(Zz2)
123z 第zピッキングゾーンの第3ベイ(Zz3)
130 物品格納ライン
130m 第mピッキングゾーンの第m物品格納ラック
131m 第m物品格納ラックの第1格納棚(上段)
133m 第m物品格納ラックの第3格納棚(上段)
138m 第m物品格納ラックの第8格納棚(上段)
1310m 第m物品格納ラックの第10格納棚(中段)
1319m 第m物品格納ラックの第19格納棚(下段)
130n 第nピッキングゾーンの第n物品格納ラック
132n 第n物品格納ラックの第2格納棚(上段)
134n 第n物品格納ラックの第4格納棚(上段)
139n 第n物品格納ラックの第9格納棚(上段)
1318n 第n物品格納ラックの第18格納棚(中段)
1327n 第n物品格納ラックの第27格納棚(下段)
130z 第zピッキングゾーンの第z物品格納ラック
132z 第z物品格納ラックの第2格納棚(上段)
134z 第z物品格納ラックの第4格納棚(上段)
139z 第z物品格納ラックの第9格納棚(上段)
140 ピッキングゾーンのベイ表示器(物品格納ベイ指示器)
140m 第m物品格納ラックのベイ表示器
141m 第m物品格納ラックの第1ベイ表示器
142m 第m物品格納ラックの第2ベイ表示器
140n 第n物品格納ラックのベイ表示器
141n 第n物品格納ラックの第1ベイ表示器
143n 第n物品格納ラックの第3ベイ表示器
140z 第z物品格納ラックのベイ表示器
141z 第z物品格納ラックの第1ベイ表示器
143z 第z物品格納ラックの第3ベイ表示器
150 ピッキングゾーンの格納棚表示器(物品抽出指示器)
150m 第m物品格納ラックの格納棚表示器
151m 第m物品格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
158m 第m物品格納ラックの第8格納棚表示器(上段)
1510m 第m物品格納ラックの第10格納棚表示器(中段)
1519m 第m物品格納ラックの第19格納棚表示器(下段)
150n 第n物品格納ラックの格納棚表示器
151n 第n物品格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
159n 第n物品格納ラックの第9格納棚表示器(上段)
1518n 第n物品格納ラックの第18格納棚表示器(中段)
1527n 第n物品格納ラックの第27格納棚表示器(下段)
150z 第z物品格納ラックの格納棚表示器
151z 第z物品格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
159z 第z物品格納ラックの第9格納棚表示器(上段)
160 集品容器搬出ライン(α)
161 集品容器搬出コンベヤ
162 直角分岐コンベヤ
163 直角合流コンベヤ
170 集品容器修正ライン(β)
171 集品容器修正部
172 修正前集品容器搬送コンベヤ
173 修正後集品容器搬送コンベヤ
174 第一方向変換コンベヤ
175 第二方向変換コンベヤ
200 ステーション型ピッキング設備
210 AGV(Automatic Guided Vehicle、無人搬送車)搬送フロア
211 AGV
211i 集品開始直後のAGV
211q-1 第qピッキングステーションを通過中の第一AGV
211q-2 第qピッキングステーションを通過中の第二AGV
211o ピッキングステーション間を移動中のAGV
211u 第uピッキングステーションを通過中のAGV
211β 集品容器修正部(β)にあるAGV
211f 集品完了後のAGV
212 集品容器供給・準備部
213 集品容器検査部
214 大型表示器
214p~214u 第p~第uピッキングステーションの大型表示器
215 集品容器
215s 集品容器供給・準備部にある集品容器
215i 集品開始直後の集品容器
215q-1 第qピッキングステーションを通過中の第一集品容器
215q-2 第qピッキングステーションを通過中の第二集品容器
215о ピッキングステーション間を移動中の集品容器
215u 第uピッキングステーションを通過中の集品容器
215β 集品容器修正部(β)にある修正すべき集品容器
215f 集品完了後の集品容器
216 注文情報表示ラベル
220 ピッキングステーション(S)
220p 第pピッキングステーション(Sp)
220q 第qピッキングステーション(Sq)
220r 第rピッキングステーション(Sr)
220s 第sピッキングステーション(Ss)
220t 第tピッキングステーション(St)
220u 第uピッキングステーション(Su)
230 ピッキングステーションの物品格納部
230p 第pピッキングステーションの第p物品格納ラック
231p 第p物品格納ラックの第1格納棚(上段)
230q 第qピッキングステーションの第q物品格納ラック
231q 第q物品格納ラックの第1格納棚(上段)
237q 第q物品格納ラックの第7格納棚(上段)
2311q 第q物品格納ラックの第11格納棚(中段)
2330q 第q物品格納ラックの第30格納棚(下段)
230r 第rピッキングステーションの第r物品格納ラック
2310r 第r物品格納ラックの第10格納棚(上段)
230s 第sピッキングステーションの第s物品格納ラック
231s 第s物品格納ラックの第1格納棚(上段)
230t 第tピッキングステーションの第t物品格納ラック
235t 第t物品格納ラックの第3格納棚(上段)
230u 第uピッキングステーションの第u物品格納ラック
239u 第u格納棚の第9格納棚(上段)
240 格納ラックの格納棚表示器(物品抽出指示器)
240p 第p格納ラックの格納棚表示器
241p 第p格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
240q 第q格納ラックの格納棚表示器
241q 第q格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
247q 第q格納ラックの第7格納棚表示器(上段)
2411q 第q格納ラックの第11格納棚表示器(中段)
2430q 第q格納ラックの第30格納棚表示器(下段)
240r 第r格納ラックの格納棚表示器
2410r 第r格納ラックの第10格納棚表示器(上段)
240s 第s格納ラックの格納棚表示器
241s 第s格納ラックの第1格納棚表示器(上段)
240t 第t格納ラックの格納棚表示器
245t 第t格納ラックの第5格納棚表示器(上段)
240u 第u格納ラックの格納棚表示器
249u 第u格納ラックの第9格納棚表示器(上段)
250 集品容器搬送コンベヤ
250p 第pピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
250q 第qピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
251q-1 第一集品容器搬入コンベヤ
251q-2 第二集品容器搬入コンベヤ
252q-1 第一集品容器待機直角分岐コンベヤ
252q-2 第二集品容器待機直角分岐コンベヤ
253q-1 第一集品容器待機コンベヤ
253q-2 第二集品容器待機コンベヤ
254q-1 第一物品投入直角分岐コンベヤ
254q-2 第二物品投入直角分岐コンベヤ
255q-1 第一集品容器搬出コンベヤ
255q-2 第二集品容器搬出コンベヤ
250r 第rピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
250s 第sピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
250t 第tピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
250u 第uピッキングステーションの集品容器搬送コンベヤ
260 集品容器修正部(β)
300 オペレータ
300s 集品容器準備部のオペレータ
300m、300n 第m及び第nピッキングゾーンのオペレータ
300f 集品容器検査品部のオペレータ
300p~300u 第p~第uピッキングステーションのオペレータ
300β 集品容器修正部のオペレータ
400 カメラ
410m 第mピッキングゾーンの集品容器の注文情報表示ラベル静止画撮影カメラ
420m 第mピッキングゾーンの集品後の集品容器内静止画撮影カメラ
430m 第mピッキングゾーンの集品作業動画撮影カメラ
410q、420q 第qピッキングステーションの静止画撮影カメラ
410q-1 第qピッキングステーションの集品容器の注文情報表示ラベル静止画撮影第一カメラ
410q-2 第qピッキングステーションの集品容器の注文情報表示ラベル静止画撮影第二カメラ
420q-1 第qピッキングステーションの集品後の集品容器内静止画撮影第一カメラ
420q-2 第qピッキングステーションの集品後の集品容器内静止画撮影第二カメラ
430q 第qピッキングステーションの集品作業動画撮影カメラ
500 注文品
510 第mピッキングゾーンの注文品
520 第qピッキングステーションの注文品
600 画像データ解析プロセス
610 物体分類アルゴリズムによる集品作業判定プロセス
611 集品前の集品箱(注文情報表示ラベル)からの集品物の特定
612 集品後の集品箱(内容物の静止画)からの集品物の特定
620 物体検出アルゴリズムによる集品作業判定プロセス
621 集品前の集品箱(注文情報表示ラベル)からの集品物の特定
622 集品後の集品箱(内容物の静止画)からの集品物の特定
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16