(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128382
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】鋼管杭用継手
(51)【国際特許分類】
E02D 5/24 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
E02D5/24 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037327
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】523088914
【氏名又は名称】誠信GLOCAL株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523089069
【氏名又は名称】HS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 陽一
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA19
2D041CA01
2D041CB01
2D041CB06
2D041DB02
2D041DB13
(57)【要約】
【課題】従来よりも鋼管杭の連結に要する工数が増加しにくい鋼管杭用継手を提供すること。
【解決手段】同じ軸線に沿って延びる一組の鋼管杭をそれぞれ対向する端部同士で連結する鋼管杭用継手であって、一方の前記鋼管杭における端部から筒状に延びる部材であり、複数の第1貫通孔が、前記軸線周りに所定の角度間隔で形成された第1連結部材と、他方の前記鋼管杭における端部から筒状に延びる部材であり、複数の第2貫通孔が、前記軸線周りに前記第1貫通孔と同じ角度間隔で形成された第2連結部材と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とがなす連結貫通孔それぞれに嵌め込まれ、該連結貫通孔の一端側から他端側に至る長さを有する複数の柱状体と、前記軸線を前記第1連結部材の内周面側で前記第1貫通孔それぞれを塞ぐ板状の内側閉塞部材と、前記軸線を前記第2連結部材の外周面側で前記第2貫通孔それぞれを塞ぐ板状の外側閉塞部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ軸線に沿って延びる一組の鋼管杭をそれぞれ対向する端部同士で連結する鋼管杭用継手であって、
一方の前記鋼管杭における端部から筒状に延びる部材であり、該部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第1貫通孔が、前記軸線周りに所定の角度間隔で形成された第1連結部材と、
他方の前記鋼管杭における端部から、前記第1連結部材の外径よりも大径をなす内径で筒状に延びる部材であり、該部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第2貫通孔が、前記軸線周りに前記第1貫通孔と同じ角度間隔で形成された第2連結部材と、
前記第2連結部材の内側に前記第1連結部材を収め、これらを前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とがつながって連結貫通孔となる位置関係とした状態において、前記連結貫通孔それぞれに嵌め込まれ、該連結貫通孔の一端側から他端側に至る長さを有する複数の柱状体と、
前記軸線を前記第1連結部材の内周面に沿って包囲するように拡がり、その内周面側で前記第1貫通孔それぞれを塞ぐ板状の内側閉塞部材と、
前記軸線を前記第2連結部材の外周面に沿って包囲するように拡がり、その外周面側で前記第2貫通孔それぞれを塞ぐ板状の外側閉塞部材と、
を備える鋼管杭用継手。
【請求項2】
前記柱状体それぞれには、いずれの前記鋼管杭の厚さよりも大きい直径のものが用いられ、
前記第1連結部材および前記第2連結部材は、それぞれ前記軸線と交差する平面視で、前記第1連結部材と前記第2連結部材の境界をなすように前記軸線周りを包囲する境界領域の長さに対し、全ての前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応する孔領域における前記軸線周りの合計長さが、前記境界領域における前記軸線周りの長さの45%以上65%未満となる数および角度間隔で前記第1貫通孔および前記第2貫通孔が形成されている、
請求項1に記載の鋼管杭用継手。
【請求項3】
前記第2連結部材は、前記第2貫通孔それぞれが形成された前記軸線上の位置に、その外周面に沿って前記軸線を包囲するように延びる溝部が形成されており、
前記外側閉塞部材は、前記溝部に収容可能な幅および長さで延びる板材である、
請求項2に記載の鋼管杭用継手。
【請求項4】
前記外側閉塞部材は、その厚さが、所定のしきい値未満の誤差で前記溝部の深さと一致する板材である、
請求項3に記載の鋼管杭用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一組の鋼管杭を連結する鋼管杭用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一組の鋼管杭をそれぞれ端部同士で連結するために鋼管杭用継手が用いられている。この種の鋼管杭用継手としては、鋼管杭それぞれの端部に設けた筒状の部材につき、その一方を他方に収めたうえで、両者を内外に貫通する複数の貫通孔それぞれにボルトを通してナットで固定する、といったものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この構成では、複数の貫通孔それぞれに通したボルトを個別にナットで固定する必要があり、貫通孔の数に応じて作業工数が増加しやすいなど、鋼管杭の連結に要する工数の削減が難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも鋼管杭の連結に要する工数が増加しにくい鋼管杭用継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため第1局面の鋼管杭用継手は、同じ軸線に沿って延びる一組の鋼管杭をそれぞれ対向する端部同士で連結する鋼管杭用継手であって、一方の前記鋼管杭における端部から筒状に延びる部材であり、該部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第1貫通孔が、前記軸線周りに所定の角度間隔で形成された第1連結部材と、他方の前記鋼管杭における端部から、前記第1連結部材の外径よりも大径をなす内径で筒状に延びる部材であり、該部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第2貫通孔が、前記軸線周りに前記第1貫通孔と同じ角度間隔で形成された第2連結部材と、前記第2連結部材の内側に前記第1連結部材を収め、これらを前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とがつながって連結貫通孔となる位置関係とした状態において、前記連結貫通孔それぞれに嵌め込まれ、該連結貫通孔の一端側から他端側に至る長さを有する複数の柱状体と、前記軸線を前記第1連結部材の内周面に沿って包囲するように拡がり、その内周面側で前記第1貫通孔それぞれを塞ぐ板状の内側閉塞部材と、前記軸線を前記第2連結部材の外周面に沿って包囲するように拡がり、その外周面側で前記第2貫通孔それぞれを塞ぐ板状の外側閉塞部材と、を備える鋼管杭用継手である。
【0007】
この局面の鋼管杭用継手では、一組の鋼管杭をそれぞれ対向する端部同士で連結するにあたり、まず、第1連結部材を第2連結部材の内側に収める。このとき、第1連結部材の内周面に内側閉塞部材を設け、第1貫通孔を閉塞しておくとよい。
【0008】
そして、これら部材を第1貫通孔と第2貫通孔とで連結貫通孔をなす位置関係とし、連結貫通孔それぞれに柱状体を嵌合させた後、第2貫通孔を外側から閉塞するように外側閉塞部材を設けることによって柱状体それぞれが保持される。
【0009】
このように、内側閉塞部材および外側閉塞部材を設けるだけで、連結貫通孔それぞれに嵌合させた柱状体をまとめて保持させることができるため、連結貫通孔の数に拘わらず、柱状体を保持させるための作業工数が大きく増えることはない。
【0010】
よって、本局面の鋼管杭用継手では、鋼管杭の連結に要する工数が従来よりも増加しにくい。そして、連結貫通孔の数が多い構成であるほど、工数の削減効果が高くなる。
【0011】
また、この局面は以下に示す第2局面のようにしてもよい。第2局面の鋼管杭用継手において、前記柱状体それぞれには、いずれの前記鋼管杭の厚さよりも大きい直径のものが用いられ、前記第1連結部材および前記第2連結部材は、それぞれ前記軸線と交差する平面視で、前記第1連結部材と前記第2連結部材の境界をなすように前記軸線周りを包囲する境界領域の長さに対し、全ての前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応する孔領域における前記軸線周りの合計長さが、前記境界領域における前記軸線周りの長さの45%以上65%未満となる数および角度間隔で前記第1貫通孔および前記第2貫通孔が形成されている。
【0012】
この第2局面であれば、鋼管杭による地盤の掘削時にも、継手部分として充分な強度を確保することができる。
【0013】
また、上記各局面は以下に示す第3局面のようにしてもよい。第3局面の鋼管杭用継手において、前記第2連結部材は、前記第2貫通孔それぞれが形成された前記軸線上の位置に、その外周面に沿って前記軸線を包囲するように延びる溝部が形成されており、前記外側閉塞部材は、前記溝部に収容可能な幅および長さで延びる板材である。
【0014】
この局面は、第4局面のようにしてもよい。第4局面の鋼管杭用継手は、において、前記外側閉塞部材は、その厚さが、所定のしきい値未満の誤差で前記溝部の深さと一致する板材である。
【0015】
これら局面の鋼管杭用継手では、外側閉塞部材を第2連結部材の溝部内に収めることができる。そのため、鋼管杭用継手としての外周面の凹凸が小さくなる結果、鋼管杭による地盤の掘削時に外側閉塞部材による凹凸がその妨げとなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
(1)全体構成
【0018】
鋼管杭用継手1は、
図1に示すように、同じ軸線110に沿って延びる一組の鋼管杭120、130をそれぞれ対向する端部同士で連結するものであって、第1連結部材10、第2連結部材20、複数の柱状体30、内側閉塞部材40,外側閉塞部材50を備える。
【0019】
なお、本実施形態では、鋼管杭120、130として、高張力鋼管(HU590)、炭素鋼鋼管(STK400、STK490)などが用いられたものを例示している。
【0020】
第1連結部材10は、一方の鋼管杭120における端部から筒状に延びる部材である。本実施形態において、第1連結部材10は、鋼管杭120の端部に溶接される。
【0021】
この第1連結部材10は、筒状に延びる部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第1貫通孔11が、軸線110周りに所定の角度間隔で形成されている。ここでは、8つ以上の第1貫通孔11が、軸線110周りに等間隔で形成されている。本実施形態では、
図2に示すように、10の第1貫通孔11が36°間隔で形成されている。
【0022】
第2連結部材20は、他方の鋼管杭130における端部から、第1連結部材10の外径よりも大径をなす内径で筒状に延びる部材である。本実施形態において、第2連結部材20は、鋼管杭130の端部に溶接される。
【0023】
この第2連結部材20は、筒状に延びる部材をそれぞれ内外方向に貫通する複数の第2貫通孔21が、軸線110周りに第1貫通孔11と同じ数および角度間隔で形成されている。本実施形態では、
図2に示すように、10の第2貫通孔21が36°間隔で形成されている。
【0024】
また、第2連結部材20は、第2貫通孔21それぞれが形成された軸線110上の位置に、その外周面に沿って軸線110を包囲するように延びる溝部23が形成されている。この溝部23は、第2貫通孔21の直径(具体的な例として30.4mm)よりも広い幅(具体的な例として35mm)、かつ、外側閉塞部材50の厚さと同じ深さ(具体的な例として3mm)でもって、第2連結部材20の外周を全周にわたって包囲している。
【0025】
柱状体30それぞれは、第1連結部材10を第2連結部材20に収めた状態で、両者を内外に貫通する貫通孔それぞれに嵌め込まれる柱状の部材である。本実施形態では、第2連結部材20の内側に第1連結部材10を収め、これらを第1貫通孔11と第2貫通孔21とがつながって一体の連結貫通孔とされるところ、ここに柱状体30がそれぞれ嵌め込まれる。
【0026】
この柱状体30は、第1貫通孔11と第2貫通孔21とをつなげてなる連結貫通孔の一端側から他端側に至る長さを有する。具体的には、第1貫通孔11の長さ(≒第1連結部材10の厚さt1)と第2貫通孔21の長さ(≒第2連結部材20の厚さt2)との合計値に対し、柱状体30それぞれが95~98%の長さを有するように構成されている。本実施形態では、柱状体30が、上記合計値に対して96%(≒柱状体30の長さ55mm/連結貫通孔の長さ57mm)の長さを有している。
【0027】
また、柱状体30は、連結貫通孔(具体的には第1貫通孔11および第2貫通孔21の大きい方)の直径に対して98~99%の直径となる柱状の部材が採用されている。本実施形態では、柱状体30の直径が、連結貫通孔の直径に対して99%(≒柱状体30の直径30mm/連結貫通孔の直径30.4mm)となるように構成されている。
【0028】
また、柱状体30それぞれは、その直径がいずれの鋼管杭120、130の厚さよりも大きい。より具体的には、柱状体30の直径がいずれの鋼管杭120、130の厚さよりも2倍以上大きくなっている。本実施形態では、柱状体30の直径がいずれの鋼管杭120,130の厚さよりも2.5倍(=柱状体30の直径30mm/鋼管杭120、130の厚さ12mm)となっている。
【0029】
また、この柱状体30それぞれは、第1連結部材10および第2連結部材20よりも、所定の機械強度が10%以上高い材料で構成されている。本実施形態では、第1連結部材10および第2連結部材20として、降伏点705N/mm2以上、引っ張り強さ880~1030N/mm2の材料(JISG3221(クロムモリブデン鋼鍛鋼品)に規定するSFCM880R)が用いられているのに対し、柱状体30として、降伏点900N/mm2以上、引っ張り強さ1000~1200N/mm2の材料(JISB1186(摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット)で規定されるF10Tのもの)が用いられている。つまり、機械強度として前者よりも後者の方が10%以上高くなるように材料が選択されている。
【0030】
内側閉塞部材40は、軸線110を第1連結部材10の内周面に沿って包囲するように拡がり、その内周面側で第1貫通孔11それぞれを塞ぐ板状の部材である。
【0031】
この内側閉塞部材40は、端部側それぞれが第1連結部材10の内周面にネジ41により止められ、これにより第1貫通孔11それぞれを内側から塞いでいる。なお、この内側閉塞部材40の第1連結部材10への固定方法はネジ止め以外であってもよい。
【0032】
外側閉塞部材50は、軸線110を第2連結部材20の外周面に沿って包囲するように拡がり、その外周面側で第2貫通孔21それぞれを塞ぐ板状の部材である。
【0033】
この外側閉塞部材50は、端部側それぞれが第2連結部材20の外周面にネジ51により止められ、これにより第2貫通孔21それぞれを外側から塞いでいる。なお、この外側閉塞部材50の第2連結部材20への固定方法はネジ止め以外であってもよい。
【0034】
この外側閉塞部材50は、溝部23に収容可能な幅および長さで延びる板材である。
【0035】
また、本実施形態において、外側閉塞部材50は、その厚さが、所定のしきい値未満の誤差で溝部23の深さと一致する板材となっている。具体的には、外側閉塞部材50として3mmの板材が採用されている。
【0036】
また、本願出願人は、鋼管杭用継手1として、鋼管杭120、130による地盤の掘削時における継手部分として充分な強度を確保するのに好適な構成を見出している。それは、軸線110と交差する平面視で(
図2参照)、第1連結部材10と第2連結部材20の境界をなすように軸線110周りを包囲する境界領域60の長さに対し、全ての第1貫通孔11および第2貫通孔21に対応する孔領域61における軸線110周りの合計長さが、境界領域60における軸線110周りの長さの45%以上65%未満になるようにする、というものである。具体的には、各鋼管杭の厚さよりも2倍以上大きい直径の柱状体30を基準として、孔領域61の合計長さが境界領域60の45%以上65%未満になるように、連結貫通孔の数および角度間隔が規定されている。この構成は、本願出願人が、鋼管杭120、130の直径およびその厚さに応じて各部の寸法が異なる複数種類のものにつき、第1貫通孔11、第2貫通孔21、柱状体30それぞれのサイズに着目して創意工夫を施した結果として、想到したものである。
【0037】
ここで、境界領域60の長さは、第1連結部材10外周の長さLo1と第2連結部材20内周の長さLi2との平均値として算出し、孔領域61の合計長さは、第1貫通孔11における弧長l1の合計値と第2貫通孔21における弧長l2の合計値との平均値として算出している。そして、連結貫通孔の数は、孔領域61の合計長さが境界領域60の45%となる下限値と、同じく65%となる上限値との間から選択され、その数に応じて連結貫通孔の角度間隔(=360度/n)が求められる。
【0038】
この構成に係る鋼管杭用継手1としては、鋼管杭120、130の直径およびその厚さに応じて各部の寸法が異なる複数種類が想定されるところ、その一部を以下の表1に示す(表における部位の表記との対応は
図2、
図3参照)。
【0039】
【0040】
(2)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上記実施形態では、第2連結部材20に形成された溝部23が第2貫通孔21の直径よりも広い幅で形成されたものを例示した。しかし、溝部23は、ここに収めた外側閉塞部材50とともに、柱状体30それぞれの第2貫通孔21からの離脱を阻止できればよく、第2貫通孔21の直径よりも狭い幅で形成されたものであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、内側閉塞部材40が、軸線110を第1連結部材10の内周面に沿って拡がる単一の部材であり、複数の第1貫通孔11をまとめて閉塞する構成を例示した。しかし、この内側閉塞部材40としては、柱状体30それぞれの第1貫通孔11からの離脱を阻止できればよく、複数の部材でもって複数の第1貫通孔11を閉塞して柱状体30の離脱を阻止するように構成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、第2連結部材20の溝部23が、外側閉塞部材50の厚さと同じ深さで形成されているものを例示した。しかし、この溝部23は、外側閉塞部材50の厚さ未満でまたはこの厚さよりも深く形成されていてもよい。
【0044】
(3)作用,効果
上記実施形態の鋼管杭用継手1では、一組の鋼管杭120、130をそれぞれ対向する端部同士で連結するにあたり、まず、第1連結部材10を第2連結部材20の内側に収める。このとき、第1連結部材10の内周面に内側閉塞部材40を設け、第1貫通孔11を閉塞しておくとよい。
【0045】
そして、これら部材を第1貫通孔11と第2貫通孔21とで連結貫通孔をなす位置関係とし、連結貫通孔それぞれに柱状体30を嵌合させた後、第2貫通孔21を外側から閉塞するように外側閉塞部材50を設けることによって柱状体30それぞれが保持される(
図1(b)、
図2参照)。
【0046】
このように、内側閉塞部材40および外側閉塞部材50を設けるだけで、連結貫通孔それぞれに嵌合させた柱状体30をまとめて保持させることができるため、連結貫通孔の数に拘わらず、柱状体30を保持させるための作業工数が大きく増えることはない
【0047】
よって、本実施形態の鋼管杭用継手1では、鋼管杭120、130の連結に要する工数が従来よりも増加しにくい。そして、連結貫通孔の数が多い構成であるほど、工数の削減効果が高くなる。
【0048】
また、上記実施形態では、孔領域61における軸線110周りの合計長さが境界領域60の45%以上65%未満となる数および角度間隔で、第1連結部材10および第2連結部材20それぞれに第1貫通孔11および第2貫通孔21が形成されていることによって、鋼管杭120、130による地盤の掘削時における継手部分として充分な強度を確保するのに好適なものとなっている。
【0049】
また、上記実施形態では、柱状体30の直径がいずれの鋼管杭120、130の厚さよりも大きい。また、柱状体30が、第1連結部材10および第2連結部材20よりも、降伏点および引っ張り強さが10%以上高い材料で構成されている。これにより、上記実施形態の鋼管杭用継手1では、鋼管杭120、130による地盤の掘削時にも、継手部分として充分な強度を確保することができる。
【0050】
また、上記実施形態の鋼管杭用継手1では、外側閉塞部材50を第2連結部材20の溝部23内に収めることができる。そのため、鋼管杭用継手1としての外周面の凹凸が小さくなる結果、鋼管杭120、130による地盤の掘削時に外側閉塞部材50による凹凸がその妨げとなることを抑制できる。
【符号の説明】
【0051】
1…鋼管杭用継手、10…第1連結部材、11…第1貫通孔、20…第2連結部材、21…第2貫通孔、23…溝部、30…柱状体、40…内側閉塞部材、41…ネジ、50…外側閉塞部材、51…ネジ、60…境界領域、61…孔領域、110…軸線、120…鋼管杭、130…鋼管杭。