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特開2024-128390内燃機関の制御装置および内燃機関の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128390
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置および内燃機関の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20240913BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20240913BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20240913BHJP
   F01N 3/021 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F02D45/00 369
F02D41/04
F02D41/40
F01N3/021
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037338
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薄井 陽
【テーマコード(参考)】
3G190
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G190AA12
3G190CA01
3G190DB02
3G190EA14
3G301HA02
3G301HA24
3G301JA15
3G301LB11
3G301MA11
3G301MA18
3G301NE01
3G301NE06
3G301NE11
3G301NE12
3G301PD14
3G384AA03
3G384AA16
3G384BA01
3G384BA13
3G384BA18
3G384BA34
3G384BA35
3G384DA35
3G384DA43
3G384EB01
3G384EB02
3G384EB03
3G384EB04
3G384FA47
(57)【要約】
【課題】燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮することを可能にする。
【解決手段】運転モード判定部110によって、エンジンの運転が定常状態であると判定されると、酸化指標値算出部140は、DPFの前後差圧ΔPの上昇量ΔPsを算出する。酸化指標値算出部140は、上昇量ΔPsに基づいてPM堆積速度Dsを求め、PM堆積速度Dsから、指標値マップ130を用いて酸化指標値Iを算出する。補正部150は、酸化指標値Iを用いて、エンジンの制御量、たとえば、燃料噴射量を補正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に供給される燃料を貯留する燃料タンクと、前記内燃機関の排気通路に設けられ排気ガスに含まれる粒状物質を捕集するフィルタと、を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記フィルタに捕集される前記粒状物質の堆積速度に基づいて、前記燃料タンク内の前記燃料の酸化指標値を算出する酸化指標値算出部と、
前記酸化指標値を用いて前記内燃機関の制御を補正する補正部と、を備える内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記内燃機関が所定モードで運転されているときの前記堆積速度と前記酸化指標値の関係を表すマップを有し、
前記酸化指標値算出部は、前記内燃機関が前記所定モードで運転されているときに前記堆積速度を算出し、前記マップから前記酸化指標値を算出する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記酸化指標値算出部は、前記フィルタの上流と下流の圧力差である前後差圧が所定値以上であるとき、前記前後差圧に基づいて前記堆積速度を算出する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記酸化指標値算出部は、前記堆積速度に基づく前記酸化指標値の算出が、所定期間以上行われないとき、前記燃料タンク内の燃料の温度に基づいて前記酸化指標値を算出する、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記燃料タンクへ燃料が給油されたことを検知する給油検知部を、さらに備え、
前記酸化指標値算出部は、前記給油がなされたとき、前記給油された燃料量に基づいて、前記酸化指標値を補正する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記酸化指標値を用いて、燃料噴射量または燃料噴射時期の少なくとも一方を補正する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記酸化指標値を用いて、前記内燃機関の運転状態に基づいて算出される前記粒状物質の排出量を補正する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
内燃機関に供給される燃料を貯留する燃料タンクと、前記内燃機関の排気通路に設けられ排気ガスに含まれる粒状物質を捕集するフィルタと、を備えた内燃機関の制御方法であって、
前記フィルタに捕集される前記粒状物質の堆積速度に基づいて、前記燃料タンク内の前記燃料の酸化指標値を算出することと、
前記酸化指標値を用いて前記内燃機関の制御を補正することと、を含む内燃機関の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関の制御装置、および内燃機関の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱炭素社会に向けて、カーボンニュートラルで環境負荷の少ないバイオ燃料や合成燃料(e-fuel)の使用が拡大している。たとえば、菜種油や廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料を軽油に混合した、バイオ燃料混合軽油が圧縮自己着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)の燃料として用いられている。
【0003】
ところで、バイオディーゼル燃料は、軽油に比べて酸化劣化しやすく、組成変化しやすい。組成変化した燃料を用いて内燃機関を運転すると、所望の性能を得ることができない場合がある。このため、たとえば特開2017-145818号公報(特許文献1)では、筒内圧センサで測定した筒内圧の最大値が、運転状態に基づいて定まる筒内圧の最大値より小さい場合、燃料噴射量を増加補正して、燃料の組成変化に起因する内燃機関(エンジン)の性能低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-145818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化劣化した燃料は、酸化劣化前の燃料に比較して、燃料内により多くの酸素(O2)を含むので、酸化劣化した燃料の燃焼は活性化する。このため、燃料が酸化劣化し組成変化した場合、特許文献1に記載された技術を採用すると、内燃機関の出力トルクを維持するために必要な燃料噴射量を過小評価する懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の内燃機関の制御装置は、内燃機関に供給される燃料を貯留する燃料タンクと、内燃機関の排気通路に設けられ排気ガスに含まれる粒状物質を捕集するフィルタと、を備えた内燃機関の制御装置である。制御装置は、フィルタに捕集される粒状物質の堆積速度に基づいて、燃料タンク内の燃料の酸化指標値を算出する酸化指標値算出部と、酸化指標値を用いて内燃機関の制御を補正する補正部と、を備える。
【0008】
酸化劣化した燃料は、酸化劣化前の燃料に比較して、内燃機関から排出される粒状物質(PM:Particulate Matter)の量が多くなる傾向がある。このため、フィルタに捕集されるPMの量を観察することにより、燃料の酸化劣化を推定することが可能になる。
【0009】
この構成によれば、制御装置の酸化指標値算出部は、フィルタに捕集されるPMの堆積速度に基づいて、燃料タンク内の燃料の酸化指標値を算出する。制御装置の補正部は、酸化指標値を用いて内燃機関の制御を補正する。したがって、PMの堆積速度に基づいて酸化指標値を算出し、内燃機関の制御を補正するので、燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮することが可能になる。
【0010】
(2)制御装置は、内燃機関が所定モードで運転されているときの堆積速度と酸化指標値の関係を表すマップを有し、酸化指標値算出部は、内燃機関が所定モードで運転されているときに堆積速度を算出し、マップから酸化指標値を算出するようにしてもよい。
【0011】
内燃機関から排出されるPMの量は、内燃機関の運転状態によって変化する。この構成によれば、制御装置は、内燃機関が所定モードで運転されているときの堆積速度と酸化指標値の関係を表すマップを有する。当該マップは、予め実験やシミュレーション等によって、作成することができる。酸化指標値算出部は、内燃機関が所定モードで運転されているときに、堆積速度を算出する。そして、酸化指標値算出部は、内燃機関が所定モードで運転されているときに算出された堆積速度を用いて、マップから酸化指標値を算出するので、精度よく、酸化指標値を求めることができる。
【0012】
(3)酸化指標値算出部は、フィルタの上流と下流の圧力圧である前後差圧が所定値以上であるとき、前後差圧に基づいて堆積速度を算出するようにしてもよい。
【0013】
PMは、フィルタのウォール部(ウォール層)の細孔部に捕集され堆積する。その後、PMが、ウォール層捕集領域を超えてフィルタの表面に捕集されPMケーキ(Cake)層が形成されると、PMは、PMケーキ層に捕集され堆積する。PMが、PMケーキ層に堆積するとき、前後差圧の上昇量と堆積速度との関係は、ほぼ線形になる。(PMの堆積量と前後差圧の上昇量が、ほぼ線形になる。)
この構成によれば、堆積速度は、フィルタの上流(入口)と下流(出口)の圧力差である前後差圧が所定値以上であるとき、前後差圧に基づいて算出される。前後差圧が所定値以上であり、PMケーキ層にPMが堆積する(捕集される)と想定される領域で堆積速度を算出するので、精度よく、堆積速度および酸化指標値を算出することができる。
【0014】
(4)酸化指標値算出部は、堆積速度に基づく酸化指標値の算出が、所定期間以上行われないとき、燃料タンク内の燃料の温度に基づいて酸化指標値を算出するようにしてもよい。
【0015】
たとえば、内燃機関が所定モードで運転されているときに堆積速度を算出し、酸化指標値を求める場合等においては、内燃機関の運転状態によっては、長期間にわたって酸化指標値を求めることができないことがあり得る。燃料タンクに貯留された燃料は、時間の経過とともに酸化劣化し、また、温度が高いほど酸化劣化が促進される。
【0016】
この構成によれば、堆積速度に基づく酸化指標値の算出が、所定期間以上行われないとき、燃料タンク内の燃料の温度に基づいて酸化指標値を算出するので、内燃機関の運転状態によって、長期間にわたって、堆積速度に基づいて酸化指標値を求めることができない場合であっても、酸化指標値を算出可能になる。
【0017】
(5)制御装置は、燃料タンクへ燃料が給油されたことを検知する給油検知部を、さらに備え、酸化指標値算出部は、給油がなされたとき、給油された燃料量に基づいて、酸化指標値を補正するようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、酸化劣化していない燃料が給油された際、給油された燃料量に基づいて、酸化指標値を補正するので、精度よく、酸化指標値を求めることができる。
【0019】
(6)制御装置の補正部は、酸化指標値を用いて、燃料噴射量または燃料噴射時期の少なくとも一方を補正するようにしてもよい。
【0020】
この構成によれば、燃料噴射量または燃料噴射時期の少なくとも一方が、酸化指標値を用いて補正されるので、燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮できる。
【0021】
(7)制御装置の補正部は、酸化指標値を用いて、内燃機関の運転状態に基づいて算出される粒状物質の排出量を補正するようにしてもよい。
【0022】
フィルタに所定量のPMが堆積したとき、堆積したPMを燃焼除し、フィルタを再生することが望まれる。たとえば、内燃機関の運転状態に基づいて算出されるPMの排出量を積算することにより、フィルタに堆積したPMの量を推定し、推定したPMの量が所定量を超えたとき、フィルタを再生する場合がある。
【0023】
この構成によれば、内燃機関の運転状態に基づいて算出される粒状物質の排出量が、酸化指標値を用いて補正される。燃料が酸化劣化すると、内燃機関から排出されるPMが多くなる傾向を示すが、酸化指標値によって、内燃機関の運転状態に基づいて算出されるPMの排出量を補正するので、フィルタに堆積するPMの量の推定精度を高めることができる。
【0024】
(8)本開示の内燃機関の制御方法は、内燃機関に供給される燃料を貯留する燃料タンクと、内燃機関の排気通路に設けられ排気ガスに含まれる粒状物質を捕集するフィルタと、を備えた内燃機関の制御方法である、制御方法は、フィルタに捕集される粒状物質の堆積速度に基づいて、燃料タンク内の燃料の酸化指標値を算出することと、酸化指標値を用いて内燃機関の制御を補正することと、を含む。
【0025】
この方法によれば、フィルタに捕集されるPMの堆積速度に基づいて、燃料タンク内の燃料の酸化指標値を算出し、酸化指標値を用いて内燃機関の制御を補正するので、燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、燃料が酸化劣化した場合であっても、内燃機関が所望の性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施の形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態において、エンジンECUに構成される機能ブロック図の一例を示す図である。
図3】エンジンECUで実行される、酸化指標値算出処理の一例を示すフローチャートである。
図4】エンジンECUで実行される、酸化指標値算出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0029】
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成図である。エンジン1は、制御装置(エンジンECU(Electronic Control Unit))100を備えた、圧縮自己着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。本実施の形態では、エンジン1は、車両の駆動源として用いられ、車両に搭載されている。また、本実施の形態では、エンジン1の燃料として、軽油が混合されないバイオディーゼル燃料(100%バイオディーゼル燃料)を使用している。エンジン1は、エンジン本体10のシリンダ(気筒)12に形成された燃焼室に、燃料噴射弁(インジェクター)14から燃料を噴射し、圧縮自己着火を行う内燃機関である。エンジン1の吸気通路20には、エアクリーナ22、インタークーラ24、および絞り弁(ディーゼルスロットル弁)26が設けられる。エアクリーナ22で異物が除去された新気(空気)は、ターボ過給機30のコンプレッサ32で過給(圧縮)され、インタークーラ24で冷却されて、吸気マニホールド28に供給され、吸気ポートから各燃焼室に供給される。
【0030】
燃焼室から排出される排気(排気ガス)は、排気マニホールド50に集められ、排気通路52を介して、外気に放出される。また、排気の一部は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)通路60を介して、吸気マニホールド28に還流される。EGR通路60には、EGRクーラ62とEGR弁64が設けられる。
【0031】
排気通路52には、上流側から、ターボ過給機30のタービン34、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)70、DPF(Diesel Particulate Filter)72が設けられている。DPF72は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集し、捕集したPMを適宜燃焼除去することにより浄化するフィルタである。図示しないが、DPF72の下流に、尿素添加弁および選択還元触媒を設けてもよい。なお、尿素添加弁および選択還元触媒に代えて、あるいは、加えて、NOx吸蔵還元触媒(NSR(NOx Storage-Reduction)触媒)を設けてもよい。
【0032】
燃料タンク40には、燃料が貯留されている。燃料タンク40内の燃料は、フィードポンプ41によって高圧燃料ポンプ42に供給され、高圧燃料ポンプ42から吐出された高圧の燃料が燃料通路43を介してコモンレール44に圧送される。コモンレール44に蓄えられた高圧の燃料が、インジェクター14から燃焼室(筒内)に噴射される。
【0033】
酸化触媒70の上流の排気通路52(本実施の形態では、タービン34の上流側の排気通路52)には、燃料添加弁80が設けられている。燃料添加弁80には、燃料タンク40内の燃料がフィードポンプ41により燃料通路45を介して供給されており、燃料添加弁80が開弁すると、排気通路52内へ燃料が添加(噴射)される。
【0034】
制御装置であるエンジンECU100は、CPU101、ROMおよびRAMからなるメモリ102、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)等を含み、メモリ102に記憶された情報、各種センサからの情報に基づいて所定の演算処理を実行し、インジェクター14、絞り弁26、高圧燃料ポンプ42、燃料添加弁80等を制御する。
【0035】
エンジンECU100に入力される各種センサとしては、たとえば、たとえば、エンジン回転速度センサ111、アクセルペダルセンサ112、エアフローメータ113、圧力センサ114、燃料温度センサ115、燃料量計116、車速センサ117、等である。エンジン回転速度センサ111は、エンジン1の回転速度NEを検出する。アクセルペダルセンサ112は、ユーザによるアクセルペダル操作量(以下「アクセル開度」ともいう)APを検出する。エアフローメータ113は、エンジン1の吸気量(吸入空気量)Gaを検出する。
【0036】
圧力センサ114は、DPF72の上流(入口)と下流(出口)の排気通路52内の圧力差(前後差圧)ΔPを検出する。燃料温度センサ115は、燃料タンク40内の燃料の温度である燃料温度Tfを検出する。燃料量計116は、たとえば、フュエールセンダーゲージであり、燃料タンク40内の燃料量FLを検出する。車速センサ117は、エンジン1が搭載される車両の車速SPDを検出する。
【0037】
上記のように構成されたエンジン1では、エンジンECU100によって、燃料噴射量Qf、燃料噴射時期Itが制御される。たとえば、エンジンECU100は、エンジン回転速度NEとアクセル開度APに基づいて、噴射量算出マップから燃料噴射量Qfを算出する。エンジンECU100は、エンジン回転速度NEと燃料噴射量Qf(または、アクセル開度AP)に基づいて、噴射時期マップから燃料噴射時期Itを算出する。そして、エンジンECU100は、エンジン1のクランク角度が燃料噴射時期Itになると、燃料噴射量Qfの燃料を噴射するようインジェクター14を制御する。
【0038】
エンジン1では、エンジン1から排出される排気ガスに含まれるPMをDPF72で捕集する。エンジンECU100は、DPF72に堆積したPM量が所定値以上になったとき、DPF72を昇温して、堆積したPMを燃焼除去することによりDPF72を再生する再生制御を実行する。たとえば、エンジンECU100は、エンジン回転速度NEと燃料噴射量Qf(または、アクセル開度AP)に基づき、PM算出マップを用いてエンジン1から排出されるPM量Gpmを算出し、算出したPM量Gpmを積算し、積算値ΣGpmを求める。そして、積算値ΣGpmが所定値以上になったとき、あるいは、圧力センサ114で検出した前後差圧ΔPが設定値以上になったとき、DPF72の再生制御を実行する。再生制御の実行時、DPF72を昇温するため、絞り弁26の開度を小さくするとともに燃料添加弁80から燃料を添加する。添加した燃料は、酸化触媒70で発熱(燃焼)し、DPF72に流入する排気ガスの温度が上昇する。
【0039】
バイオディーゼル燃料や合成燃料(e-fuel)は、軽油に比較して酸化劣化しやすい。一般的に、給油施設に貯留される燃料の在庫回転率(消費回転率)は高く、給油施設における燃料の酸化劣化は極めて小さい。このため、燃料タンク40に給油される燃料は、ほとんど酸化劣化していない。
【0040】
ユーザの車両(エンジン1)の使用形態によっては、燃料タンク40への給油間隔が、数ヶ月になる場合もある。このため、燃料タンク40内の燃料の酸化劣化が進み、酸化劣化した燃料によってエンジン1が運転される場合もある。酸化劣化した燃料は、酸化劣化前の燃料に比較して、燃料内により多くの酸素(O2)を含む。燃料が酸化劣化し組成変化した場合、エンジン1が所望の性能を発揮するよう、エンジン1の各種制御量を補正することが望ましい。特に、酸化劣化やすい、バイオディーゼル燃料や合成燃料を用いる場合、燃料の酸化劣化の程度に応じてエンジン1の各種制御量を補正することが望まれる。
【0041】
本実施の形態では、DPF72に捕集されるPMの堆積速度に基づいて、燃料の酸化劣化の程度を表す酸化指標値Iを算出し、内燃機関の制御を補正することにより、燃料が酸化劣化した場合であっても、エンジン1が所望の性能を発揮することを可能にする。
【0042】
図2は、本実施の形態において、エンジンECU100に構成される機能ブロック図の一例を示す図である。運転モード判定部110は、エンジン1の運転が定常状態であるか否かを判定する。運転モード判定部110は、たとえば、エンジン回転速度NEが所定の範囲内にあり、かつ、アクセル開度APの変化量ΔAPが所定値以下のとき、定常状態であると判定してよい。また、車速SPDが所定範囲にある定常走行時に、運転モード判定部110は、エンジン1の運転が定常状態であると判定してもよい。
【0043】
給油検知部120は、燃料タンク40への給油と給油量(燃料量)を検出する。給油検知部120は、エンジン1の停止時(イグニッションスイッチのOFF時)、あるいは、エンジン1が搭載されている車両の停車時に、燃料量FLが所定値以上増加したとき、給油されたことを検出する。たとえば、給油検知部120は、エンジン1が停止したときの燃料量FLを、停止時燃料量FL1として検知する。給油検知部120は、エンジン1の停止中に、燃料量FLが増加し、その増加が停止した(増加がなくなった)ときの燃料量FLを燃料量FL2として検知する。給油検知部120は、燃料量FL2から停止時燃料量FL1を減算して、給油燃料量FLrを算出する(FLr=FL2-FL1)。給油検知部120は、給油燃料量FLrが所定値A以上のとき、給油されたことを検知する。所定値Aは、燃料量計116のばらつきや誤差を許容する値であってよい。燃料量FL2は、エンジン1が始動されたときの(イグニッションスイッチがONにされたときの)燃料量FLであってもよい。
【0044】
指標値マップ130は、酸化指標値Iを算出するためのマップである。指標値マップ130は、DPF72におけるPM堆積速度Dsと、燃料の酸化劣化の程度を示す酸化指標値Iとの関係を表すマップである。このマップは、エンジン1が運転モード判定部110で判定される定常状態と同じ状態で運転されたときにおける、PM堆積速度Dsと酸化指標値Iの関係を表すものであり、たとえば、酸化劣化の程度の異なる燃料を用いた実験等によって予め設定され、メモリ102に格納(記憶)されている。PM堆積速度Dsは、単位時間当たりにDPF72に堆積するPM量に相当する。本実施の形態においては、PMがDPF72のウォール層捕集領域を超えて表面に捕集され、PMケーキ層が形成されたあとにおける、PM堆積速度Dsと酸化指標値Iの関係がマップ化されている。なお、PMの堆積量(捕集量)が、DPF72のウォール層捕集領域を超えたときの前後差圧ΔPの値をpaとすると、DPF72の前後差圧ΔPが所定値pa以上であれば、PMケーキ層が形成されていると見做すことができる。酸化指標値Iは、たとえば、0から1の数値であってよく、値が大きいほど、酸化劣化の程度が大きくてよい。
【0045】
酸化指標値算出部140は、指標値マップ130を用いて酸化指標値Iを算出する。まず、酸化指標値算出部140は、DPF72の前後差圧ΔPが所定値pa以上であり、かつ、運転モード判定部110でエンジン1の運転が定常状態であると判定されているときに、単位時間当たりの前後差圧ΔPの上昇量ΔPsを算出する。たとえば、圧力センサ114で検出した前後差圧ΔPが所定値pa以上であるとき、エンジン1の運転が定常状態になったときの前後差圧ΔPの値をΔPiとして検出する。定常状態が所定時間S継続したとき、定常状態になってから所定時間S経過時の前後差圧ΔPの値をΔPoとして検出する。そして、ΔPoからΔPiを減算した値(ΔPo-ΔPi)を、所定時間Sで除算することにより、上昇量ΔPsを算出する(ΔPs=(ΔPo-ΔPi)/S)。
【0046】
酸化指標値算出部140は、上昇量ΔPsを用いてPM堆積速度Dsを求める。PMがPMケーキ層への堆積する場合、上昇量ΔPsとPM堆積速度Dsとの関係は、ほぼ線形になる。実験等によって上昇量ΔPsとPM堆積速度Dsとの関係を予め求め、数式やマップ等を設定し、この数式あるいはマップ等を用いて、上昇量ΔPsからPM堆積速度Dsを算出してよい。
【0047】
酸化指標値算出部140は、算出したPM堆積速度Dsに基づいて、指標値マップ130から酸化指標値Iを算出する。
【0048】
エンジン1(車両)の運転状態によっては、長期間、たとえば1週間、エンジン1の定常状態が所定時間S継続しない場合もある。この場合、PM堆積速度Dsが算出されないので、長期間にわたって酸化指標値Iが更新されない。燃料タンク40に貯留された燃料は、時間の経過とともに酸化劣化し、また、燃料温度が高いほど酸化劣化が促進される。
【0049】
酸化指標値算出部140は、PM堆積速度Dsに基づく酸化指標値Iの算出が、所定期間以上行われないとき、燃料タンク40内の燃料温度Tfに基づいて酸化指標値Iを算出する。たとえば、酸化指標値算出部140は、1週間以上、PM堆積速度Dsに基づく酸化指標値Iの算出が実行されない場合、酸化指標値Iが算出されたときから現時点までの期間(時間)における、燃料温度Tfの平均値Tfavを算出する。酸化指標値算出部140は、酸化指標値Iが算出されたときから現時点までの期間と、平均値Tfavとに基づいて酸化進行係数Rを求める。酸化進行係数Rは、予め実験等によって設定され、PM堆積速度Dsに基づく酸化指標値Iの算出が実行されない期間が長いほど、また、平均値Tfavが高いほど大きな値であり、1より大きな数値として、たとえば、マップとしてメモリ102に記憶されている。そして、酸化指標値算出部140は、現在の酸化指標値Iに酸化進行係数Rを乗算することにより、新たな酸化指標値Iを算出する(I←I×R)。
【0050】
給油施設において給油すると、ほとんど酸化劣化していない燃料が燃料タンク40に給油される。酸化指標値算出部140は、給油検知部120で燃料タンク40へ燃料が給油されたことを検出したとき、酸化指標値Iを補正する。酸化指標値算出部140は、燃料タンク40への給油が検出されると、停止時燃料量FL1と給油燃料量FLrとに基づいて、酸化指標値Iを補正する。たとえば、酸化指標値算出部140は、「FLr/(FL1+FLr)」を補正係数Fとして算出する。そして、酸化指標値算出部140は、補正係数Fを現在の酸化指標値Iに乗算することによって、酸化指標値Iを補正し、新たな酸化指標値Iを求める(I←I×F)。
【0051】
補正部150は、酸化指標値算出部140で算出された酸化指標値Iに基づいて、エンジン1の制御を補正する。たとえば、補正部150は、酸化指標値Iに基づいて、燃料噴射量Qf(燃料噴射量制御)、燃料噴射時期It(燃料噴射時期制御)、PM量Gpm(DPF再生制御)、等の補正係数Kを算出する。補正係数Kは、「a×I+b」(a、bは、各々の制御毎に設定される定数であり、実験等によって設定される)によって算出されてよい。たとえば、燃料噴射量Qfの補正係数Kは、酸化指標値Iが大きいほど、燃料噴射量Qfが減少補正される値であってよく、PM量Gpmの補正係数Kは、酸化指標値Iが大きいほど、PM量Gpmが増大補正される値であってよい。
【0052】
図3および図4は、エンジンECU100で実行される、酸化指標値算出処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1が始動されたとき(イグニッションスイッチがONになったとき)、実行される。
【0053】
イグニッションスイッチがONになり、エンジン1が始動すると、ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10において、給油燃料量FLrを算出する。給油燃料量FLrは、エンジン1の始動時に燃料量計116で検出した燃料量FL2から、エンジン1の停止時に燃料量計116で検出した停止時燃料量FL1(後述するS26参照)を減算することにより、算出する。
【0054】
続くS11では、給油燃料量FLrが、所定値A以上であるか否かを判定する。給油燃料量FLrが所定値A未満(FLr<A)のとき、否定判定されS12へ進み、給油燃料量FLrが所定値A以上(FLr≧A)のとき、肯定判定されS18へ進む。
【0055】
S12では、タイマT1が所定値W以上であるか否かを判定する。タイマT1は、後述するS24(図4)においてリセットされるタイマであり、エンジン1の停止時にも作動する(計時する)タイマである。所定値Wは、たとえば、1週間に相当する値である。タイマT1が所定値W未満である場合、否定判定されS13へ進む。タイマT1が所定値W以上であるとき、肯定判定されS21(図4)へ進む。
【0056】
S13では、DPF72の前後差圧ΔPが所定値pa以上であるか否かを判定する。前後差圧ΔPが所定値pa以上(ΔP≧pa)である場合、肯定判定されS14へ進む。前後差圧ΔPが所定値pa未満(ΔP<pa)のとき、否定判定されS20へ進む。
【0057】
S14では、エンジン1の運転が定常状態であるか否かを判定する。定常状態とは、DPF72のPM堆積量が線形的に増加する運転状態であり、たとえば、エンジン回転速度NEが所定の範囲内にあり、かつ、アクセル開度APの変化量ΔAPが所定値以下のとき、定常状態であると判定する。エンジン1の運転が定常状態であると判定(肯定判定)されるとS15へ進み、エンジン1の運転が定常状態でないと判定(否定判定)されるとS20へ進む。
【0058】
S20では、フラグFcを0に設定したあと、S25(図4)へ進む。S15では、フラグFcが1であるか否かを判定する。フラグFcが1でないとき(Fc=0)、S15において否定判定されS17へ進む。フラグFcが1であるとき(Fc=1)、S15において肯定判定されS16へ進む。
【0059】
S16では、圧力センサ114で検出した前後差圧ΔPをΔPiとして記憶し、フラグFcを1に設定するとともにタイマT2をリセットしたあと、S17へ進む。
【0060】
S17では、タイマT2の値が所定時間S以上であるか否かを判定する。タイマT2の値が所定時間S2未満(T2<S)であるときには、否定判定されS13へ戻る。タイマT2の値が所定時間S以上(T2≧S)の場合、肯定判定されS28(図4)へ進む。
【0061】
図4を参照して、S28では、圧力センサ114で検出した前後差圧ΔPをΔPoとして記憶する。続くS29では、S28で記憶したΔPoから、S16で記憶したΔPiを減算した値を、所定時間Sで除算することにより、前後差圧ΔPの上昇量ΔPsを算出する(ΔPs=(ΔPo-ΔPi)/S)。
【0062】
続くS30では、上昇量ΔPsとPM堆積速度Dsとの関係を示す数式あるいはマップを用いて、上昇量ΔPsに基づいてPM堆積速度Dsを算出したあと、S31へ進む。S31では、PM堆積速度Dsに基づいて、指標値マップ130から酸化指標値Iを算出したあと、S24へ進む。なお、酸化指標値Iの初期値(指標値マップ130から酸化指標値Iが、初めて算出されるまでの値)は、0に設定されている。
【0063】
図3に戻り、S11で肯定判定されS18に進むと、補正係数Fを算出する。たとえば、S10で算出した給油燃料量FLrと、エンジン1の停止時に燃料量計116で検出した停止時燃料量FL1(後述するS26参照)とから、補正係数Fを「F=FLr/(FL1+FLr)」として算出する。なお、エンジン1の始動時に燃料量計116で検出した燃料量FL2を用いて、補正係数Fを「F=FLr/FL1」として算出してもよい。
【0064】
続くS19では、補正係数Fを用いて酸化指標値Iを補正する。現在の酸化指標値Iに補正係数Fを乗算し、新たな酸化指標値Iを求め(I=I×F)、S13へ進む。
【0065】
タイマT1が所定値W以上であり、S13で肯定判定されてS21へ進むと、図4を参照して、燃料温度Tfの平均値Tfavを算出する。平均値Tfavは、後述するS24において、タイマT1がリセットされてからS13で肯定判定されるまでの間、燃料温度センサ115で検出された燃料温度Tfの平均値である。
【0066】
続くS22では、タイマT1が示す時間(期間)と平均値Tfavとに基づいて、マップから、酸化進行係数Rを算出したあと、S23へ進む。S23では、現在の酸化指標値Iに酸化進行係数Rを乗じることにより、新たな酸化指標値Iを算出し(I=I×R)、S24へ進む。
【0067】
S24では、タイマT1をリセットしたあと、S25へ進む。S15では、イグニッションスイッチがOFFされたか否かを判定する。イグニッションスイッチがONである場合には、否定判定されS12へ戻る。イグニッションスイッチがOFFされると、肯定判定されS26へ進む。
【0068】
S26では、燃料量計116で検出される燃料量FLの値を、停止時燃料量FL1として検出したあと、S27へ進む。S27では、現在の酸化指標値Iと停止時燃料量FL1とを、メモリ102に記憶し、今回のルーチンを終了する。
【0069】
本実施の形態によれば、エンジンECU100の酸化指標値算出部140は、DPF72に捕集されるPMのPM堆積速度Dsに基づいて、燃料タンク40内の燃料の酸化指標値Iを算出し、補正部150は、酸化指標値Iを用いてエンジン1の制御を補正する。PM堆積速度Dsに基づいて酸化指標値Iを算出し、エンジン1の制御を補正するので、燃料が酸化劣化した場合であっても、エンジン1が所望の性能を発揮することできる。
【0070】
本実施の形態によれば、酸化指標値算出部140は、エンジン1が定常状態で運転されているとき前後差圧ΔPの上昇量ΔPsに基づいて、PM堆積速度Dsを算出し、指標値マップ130から酸化指標値Iを算出するので、精度よく、酸化指標値Iを求めることができる。なお、上昇量ΔPsを求める運転状態は、DPF72のPM堆積量が線形的に増加する運転状態であれば、定常状態以外の所定の運転モードであってよい。
【0071】
本実施の形態によれば、PM堆積速度Dsは、DPF72の前後差圧ΔPが所定値pa以上であるときに求めた上昇量ΔPsに基づいて算出される。したがって、PMケーキ層にPMが堆積する(捕集される)と想定される領域でPM堆積速度Dsを算出するので、精度よく、PM堆積速度Dsおよび酸化指標値Iを算出することができる。
【0072】
本実施の形態によれば、PM堆積速度Dsに基づく酸化指標値Iの算出が、所定期間(所定時間S)以上行われないとき、当該所定期間における燃料タンク40内の燃料温度Tfの平均値Tfavに基づいて酸化指標値Iを算出するので、エンジン1の運転状態によって、長期間にわたってPM堆積速度Dsに基づいて酸化指標値Iを求めることができない場合であっても、酸化指標値Iを算出可能になる。なお、平均値Tfavに代えて、あるいは、加えて、当該所定期間における燃料タンク40内の燃料の最高温度に基づいて、酸化指標値Iを算出するようにしてもよい。
【0073】
本実施の形態によれば、給油検知部120によって給油が検知されたとき、酸化指標値算出部140は、給油燃料量FLrに基づいて酸化指標値Iを補正するので、精度よく、酸化指標値Iを求めることができる。
【0074】
上記実施の形態では、DPF72の前後差圧ΔPの上昇量ΔPsに基づいて、PM堆積速度Dsを算出し、指標値マップ130から酸化指標値Iを算出していた。しかし、上昇量ΔPsと酸化指標値Iの関係を表すマップを用いて、上昇量ΔPsに基づいて酸化指標値Iを算出するようにしてもよい。この場合においても、上昇量ΔPaとPM堆積速度Dsとは相関しているので、PM堆積速度Dsに基づいて酸化指標値Iを算出することと、実質的に同一である。
【0075】
上記実施の形態では、給油検知部120において、エンジン1の停止時における燃料量FL1等を用いて給油燃料量FLrを算出することにより、給油を検知していた。しかし、燃料タンク40の燃料キャップの開閉、あるいは、車両のフェールリッドの開閉を検出することにより、燃料タンク40へも給油を検知してもよい。この場合、たとえば、燃料キャップを開けたときの燃料量FLと、燃料キャップを閉めたときの燃料量FLから、給油燃料量FLr等を算出してよい。
【0076】
上記実施の形態では、燃料として、100%バイオディーゼル燃料を使用している例を説明した。しかし、使用する燃料は限定されず、たとえば、バイオディーゼル燃料混合軽油であってよく、合成燃料(e-fuel)であってもよい。また、複数種類の燃料に対応可能なエンジン1であってもよい。この場合、使用燃料の性状を検出可能な燃料性状検出手段を設けるとともに、種類の異なる(性状の異なる)燃料に対応する指標値マップ130を複数設定する。そして、燃料性状検出手段で検出した燃料性状(燃料の種類)に対応する指標値マップ130を用いて、酸化指標値Iを算出するようにしてよい。
【0077】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 エンジン、10 エンジン本体、12 シリンダ(気筒)、14 燃料噴射弁(インジェクター)、20 吸気通路、22 エアクリーナ、24 インタークーラ、26 絞り弁(ディーゼルスロットル弁)、28 給気マニホールド、30 ターボ過給機、32 コンプレッサ、34 タービン、40 燃料タンク、41 フィードポンプ、42 高圧燃料ポンプ、43 燃料通路、44 コモンレール、45 燃料通路、50 排気マニホールド、52 排気通路、60 ERG通路、62 EGRクーラ、64 EGR弁、70 酸化触媒、72 DPF、80 燃料添加弁、100 エンジンECU、101 CPU、102 メモリ、110 運転モード判定部、111 エンジン回転速度センサ、112 アクセルペダルセンサ、113 エアフローメータ、114 圧力センサ、115 燃料温度センサ、116 燃料量計、117 車速センサ、120 給油検知部、130 指標値マップ、140 酸化指標値算出部、150 補正部。
図1
図2
図3
図4