(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128413
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】障子ユニットの固定構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20240913BHJP
E06B 1/36 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E06B1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037377
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊野 亘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011DA01
2E011DA10
2E011DB04
(57)【要約】
【課題】施工性の向上を図り得る障子ユニットの固定構造を提供すること。
【解決手段】障子ユニットの固定構造10は、室内空間を第1空間側および第2空間側に仕切る障子ユニット3A,3Bを固定ねじによって方立6に固定する障子ユニットの固定構造10であって、障子ユニット3A,3Bは、横すべり出し窓およびFIX窓と、これらを保持する外側縦框43とを備える。固定ねじ9は、その軸部92の先端の位置がその頭部91の位置よりも第1空間側の位置に配置されるように、障子ユニット3A,3Bの面内方向に対して傾斜する。方立6には、外側縦框43を第1空間側から受止め可能に外側縦框43に向かって突出した受止部68が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を一方空間側および他方空間側に仕切る障子ユニットを固定ねじによって方立に固定する障子ユニットの固定構造であって、
前記障子ユニットは、パネル部と、前記パネル部を保持する縦材とを備え、
前記固定ねじは、前記障子ユニットの面内方向に対して傾斜し、
前記縦材および前記方立のうち一方には、前記縦材および前記方立のうち他方を前記障子ユニットの面外方向に受止め可能に当該他方に向かって突出した受止部が形成される
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の障子ユニットの固定構造において、
前記固定ねじの軸部の先端の位置は、当該固定ねじの頭部の位置よりも前記一方空間側の位置に配置され、
前記方立には、前記縦材を前記一方空間側から受止め可能に当該縦材に向かって突出した前記受止部が形成される
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【請求項3】
請求項1に記載の障子ユニットの固定構造において、
前記受止部は、前記縦材および前記方立のうち一方の見付け面に沿って形成される
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【請求項4】
請求項2に記載の障子ユニットの固定構造において、
前記縦材は、前記固定ねじの前記頭部を受けるねじ受け部を有し、
前記方立は、前記固定ねじの前記軸部が螺合するねじ螺合部を有し、
前記ねじ受け部は、前記一方空間側から前記他方空間側に向かうに連れて前記方立に接近するように前記障子ユニットの面外方向に対して傾斜すると共に前記固定ねじの前記頭部に当接する頭部当接面を有し、
前記ねじ螺合部は、前記固定ねじの前記軸部の軸方向に沿って凹状に形成される
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【請求項5】
請求項1に記載の障子ユニットの固定構造において、
前記縦材には、凹溝部が形成され、
前記凹溝部には、前記固定ねじの頭部を受けるねじ受け部が形成され、
前記凹溝部には、カバ―が装着される
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【請求項6】
請求項1に記載の障子ユニットの固定構造において、
前記障子ユニットとして第一障子ユニットおよび第二障子ユニットを備え、
前記方立は、前記第一障子ユニットの前記縦材が前記固定ねじによって固定される第一固定面部と、前記第一固定面部に対して交差して配置されると共に、前記第二障子ユニットの前記縦材が前記固定ねじによって固定される第二固定面部とを有し、
ことを特徴とする障子ユニットの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方立に固定する障子ユニットの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空間を区画する仕切り壁に配置される室内窓ユニットが知られている(特許文献1参照)。室内窓ユニット(障子ユニット)は、最上段に開閉窓が配置されており、最上段よりも下段にFIX窓(固定窓)が配置されてなる一対の窓ユニットを左右に隣接して備えており、これら左右に隣接する窓ユニットの連結縦枠同士を連結して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の室内窓ユニットは、室内空間を仕切る仕切壁の開口に設置されているが、例えば、室内窓ユニットを設置する場合に室内窓ユニットを方立に取り付ける場合も挙げられる。この場合、施工上、室内窓ユニットを方立に対して固定ねじを面外方向に傾けて斜め打ちすることが考えられるが、固定ねじを斜め打ちするので室内窓ユニットの位置が方立に対して面外方向にズレやすく、このため、施工性の向上を図り難い。また、室内窓ユニットの位置ズレを抑えるべく別部品を装着することが考えられるが、この場合には、部品点数が増加し施工の手間が増すおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、施工性の向上を図り得る障子ユニットの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の障子ユニットの固定構造は、空間を一方空間側および他方空間側に仕切る障子ユニットを固定ねじによって方立に固定する障子ユニットの固定構造であって、前記障子ユニットは、パネル部と、前記パネル部を保持する縦材とを備え、前記固定ねじは、前記障子ユニットの面内方向に対して傾斜し、前記縦材および前記方立のうち一方には、前記縦材および前記方立のうち他方を前記障子ユニットの面外方向に受止め可能に当該他方に向かって突出した受止部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工性の向上を図り得る障子ユニットの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る障子ユニットの固定構造が構成される壁構造物の斜視図。
【
図2】前記実施形態に係る障子ユニットの固定構造を示す横断面図。
【
図3】前記実施形態に係る障子ユニットの固定構造の要部を拡大して示す横断面図。
【
図4】
図1に示す壁構造物における障子ユニットの設置に関する説明図。
【
図5】前記実施形態に係る障子ユニットの固定構造の変形例を拡大して示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2において、本実施形態に係る障子ユニットの固定構造10が構成される壁構造物1は、建物の室内空間(空間)を一方側(一方空間側)の第1空間と他方側(他方空間側)の第2空間とに仕切る室内壁部(壁部)の壁開口部F1に対して、方立6が設置されており、この方立6に障子ユニット3A(第一障子ユニット)および障子ユニット3B(第二障子ユニット)が取り付けられている。本実施形態では、方立6は壁構造物1のコーナー部に配置されており、障子ユニット3A,3Bは方立6を挟んで互いに交差して配置されている。
以下の説明において、障子ユニット3Aの面内方向に沿う第一方向をX軸方向とし、障子ユニット3A,3Bの上下方向をY軸方向とし、障子ユニット3Bの面内方向に沿う第二方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。また、X軸方向において方立6に向かう方向をX1方向とすると共に方立6から離れる方向をX2方向とし、Z軸方向において方立6に向かう方向をZ1方向とすると共に方立6から離れる方向をZ2方向とする。
【0010】
障子ユニット3Aは、一対の障子4が横に並んで互いに連結されてなり、各障子4は、アルミ押出形材製の外側上框41、外側下框42および左右に外側縦框43(縦材)を四周に組んでおり、左右の外側縦框43には中桟44が張り渡されており、中桟44に対して上段側に開閉窓として横すべり出し窓7を構成し且つ下段側にFIX窓(固定窓)8を構成している。一対の障子4は互いに隣接する外側縦框43を連結框として互いに連結している。
図4に示すように、障子ユニット3Aは、壁開口部F1の上面F2に対して、断面コ字状の上枠2や連結部材23を介して取り付けられており、壁開口部F1の下面F3に対してねじ止めされている。
この障子ユニット3Aは、その外側上框41を上枠2に挟み込ませながらけんどん式に壁開口部F1に吊り込みつつ、その外側下框42に形成した凹部31を下面F3に取り付けた位置決めプレート32に嵌め込んで位置決めし、当該外側下框42を下面F3にねじを斜め打ちすることで、壁開口部F1に設置されている。なお、障子4は、上段に横すべり出し窓7を構成しているが、これに代えて、縦すべり出し窓などの他種の開閉窓やFIX窓を構成していてもよく、また、下段にFIX窓8を構成しているが、これに代えて、横すべり出し窓や縦すべり出し窓などの開閉窓を構成してもよい。
【0011】
図2に示すように、障子ユニット3Aの方立6側の外側縦框43は当該方立6に取り付けられており、それぞれ反対側の外側縦框43は壁開口部F1の側面F4に取り付けられている。
図3の(A)に示すように、障子ユニット3Aにおいて方立6に隣接する外側縦框43は、第1空間側の第1見付け面部45と、第2空間側の第2見付け面部46と、外周側の外周見込み面部47と、内周側の内周見込み面部48とを有している。第2見付け面部46は、外周見込み面部47よりもX1方向側に延出している。外周見込み面部47は、第1空間側と第2空間側とに分断されて形成されていると共にX1方向に延出した複数の延出片部471が形成されている。外周見込み面部47および第1見付け面部45の連続部分には、止水ヒレ472が装着されている。内周見込み面部48には、障子4におけるガラスパネル等の四角板状の面材50を保持する保持溝481が形成されており、保持溝481のうち中桟44よりも下側の部分でガスケット等を介してFIX窓8の面材50(下段のパネル部)を保持している。また、内周見込み面部48のうち中桟44よりも上側の部分には横すべり出し窓7(下段のパネル部)が取り付けられている。
また、内周見込み面部48のうち保持溝481よりも第2空間側の部分には、Y軸方向に沿った開口482が形成されており、この開口482は、第2見付け面部46、外周見込み面部47および保持溝481を形成する側部481Aによって形成される凹溝部483に連続している。開口482には、カバー482Aが装着されている。
凹溝部483を形成する外周見込み面部47には、後述する固定ねじ9の頭部91を受けるねじ受け部51が形成されている。
ねじ受け部51は、固定ねじ9を打ち込みやすいように他の部分よりも厚肉に構成されている。また、ねじ受け部51は、第1空間側から第2空間側に向かうに連れて方立6に接近するように、Z軸方向(障子ユニット3Aの面外方向)に対して傾斜した頭部当接面52を有している。頭部当接面52は、ねじ受け部51に打ち込まれる固定ねじ9の頭部91の座面に当接する。
【0012】
なお、障子ユニット3Bは、障子ユニット3Aと概略同様に構成されており、障子ユニット3Aと概略同様に壁開口部F1に設置されているので同符号を適宜付してその説明を省略する。なお、設置状態の障子ユニット3Bは、その面内方向が障子ユニット3Aの面内方向に対して直交する向きに配置される。
【0013】
方立6は、障子ユニット3Aの外側縦框43が固定ねじ9によって固定される第一固定面部61と、第一固定面部61に対して直交して配置されると共に、障子ユニット3Bの外側縦框43が固定ねじ9によって固定される第二固定面部62と、第一固定面部61に連続している第一外面部63と、第二固定面部62に連続している第二外面部64とを有している。第一固定面部61および第二固定面部62は、それぞれの第2空間側のY軸方向に沿った縁部同士が互いに連続している。第一外面部63および第二外面部64は、第1空間側のY軸方向に沿った縁部同士が互いに連続している。
【0014】
第一固定面部61は、第1空間側の段部65と、第2空間側の固定部66とを有している。
段部65は、第一外面部63に連続しているZ軸方向に沿った底部651と、底部651からX2方向に延出した側部652とを有している。
固定部66は、側部652に連続しており、底部651よりもX2方向側に配置されている。この固定部66は、固定ねじ9の軸部92が螺合するねじ螺合部67を有している。ねじ螺合部67は、固定ねじ9の軸部92の軸方向Aに沿って凹状に形成されている。ねじ螺合部67は、一対の側部671と、底部672とを有している。底部672は、頭部当接面52と同方向に傾斜しており、固定ねじ9の軸部92が螺合しやすい向きとされている。
ここで、固定ねじ9は、その軸部92の先端の位置がその頭部91の位置よりも第1空間側の位置に配置されるように、X軸方向に対して斜め向きに傾斜している。この固定ねじ9によって外側縦框43がねじ止めされた固定部66には、外側縦框43の延出片部471が当接している。
【0015】
第二固定面部62は、第一固定面部61と概略同様に構成されているので、第一固定面部61の各構成と同符号を付してその説明を省略する。なお、第二固定面部62において、段部65の底部651は第二外面部64に連続している。
【0016】
第一外面部63は、第一固定面部61の段部65の底部651よりも外側縦框43側に向かってX2方向に延出しており、その先端部分には、障子ユニット3Aの外側縦框43を第1空間側から受止め可能にX2方向に向かって突出した受止部68が形成されている。受止部68は、固定ねじ9に対して第1空間側に配置されている。受止部68は、第一外面部63の見付け面に沿って面一に延びると共に外側縦框43の第1見付け面部45よりも第1空間側に配置される受け部681と、受け部681の基部から第2空間側に向かってZ2方向に延出すると共に外側縦框43のうち第1見付け面部45および外周見込み面部47が連続する連続部分が当接する当接部682とを有している。
【0017】
第二外面部64は、第一外面部63と概略同様に構成されており、その先端部分には、障子ユニット3Bの外側縦框43を第1空間から受止め可能にZ2方向に向かって突出した受止部68が形成されている。この受止部68において、その受け部681は第二外面部64の見付け面に沿って面一に延びており、その当接部682には、前記受け部681の基部から第2空間側に向かってX2方向に延出している。
【0018】
以下、方立6に障子ユニット3A,3Bを取り付ける取付手順について説明する。
まず、壁開口部F1のコーナー部に方立6を配置し、その上下端部を上面F2および下面F3に固定しておく。次に、
図4に示すように障子ユニット3Aを壁開口部F1に吊り込みつつ、
図3の(B)に示す方立6側の外側縦框43を、
図3の(A)に示すように第一固定面部61に当接させ且つ受止部68に押し当てる。この押し当て状態とすることで、障子ユニット3Aの方立6に対する位置決めをし、続いて、固定ねじ9をねじ受け部51およびねじ螺合部67にねじ込む。このねじ込まれる固定ねじ9は、その軸部92が凹状のねじ螺合部67に軸方向Aに向けて案内されながら、その頭部91の座面がねじ受け部51の頭部当接面52に当接する。このように固定ねじ9が受止部68のある第1空間側に向けて軸方向Aに斜め向きにねじ込まれるので、外側縦框43は受止部68に押し当てられた状態のまま方立6に固定される。
このようにして障子ユニット3Aの方立6に対する固定構造10が構成される。なお、障子ユニット3Aにおいて、外側上框41は連結部材23などを介して壁開口部F1の上面F2に固定され、外側下框42は下面F3にねじ止めされ、側面F4側の外側縦框43は当該側面F4にねじ止めされる。
【0019】
一方、障子ユニット3Bは、障子ユニット3Aと概略同様に壁開口部F1に吊り込まれながら、その外側縦框43が方立6の第二固定面部62における受止部68に押し当てられながら固定ねじ9が前述したように斜め向きにねじ受け部51およびねじ螺合部67にねじ込まれる。本実施形態では、障子ユニット3Bの外側縦框43を方立6の第二固定面部62に固定する固定ねじ9の軸方向Aに沿った仮想線と、障子ユニット3Aの外側縦框43を方立6に第一固定面部61に固定する固定ねじ9の軸方向Aに沿った仮想線とが交わる位置は方立6のY軸方向に沿った中心位置である。
このようにして障子ユニット3Bの方立6に対する固定構造10が構成される。なお、障子ユニット3Bにおいて、外側上框41は連結部材23などを介して壁開口部F1の上面F2に固定され、外側下框42は下面F3にねじ止めされ、側面F4側の外側縦框43は当該側面F4にねじ止めされる。
【0020】
[変形例]
前記実施形態では、方立6に受止部68が形成されているが、方立6に限らず、例えば
図5に示すように、外側縦框43(縦材)に受止部70が形成されていてもよい。
図5に示す変形例では、障子ユニット3Aを方立6に固定する固定ねじ9は、その軸部92の先端の位置がその頭部91の位置よりも第2空間側に位置するように、X軸方向に対して傾斜しており、外側縦框43の第1空間側にある第1見付け面部45が方立6を第1空間側から受止め可能に方立6に向けてX1方向に突出した受止部70を構成している。換言すれば、この受止部70は方立6によって第2空間側から受止め可能に構成されている。なお、方立6の第一固定面部61には、受止部70に対してZ軸方向に当接する段部75が形成されている。このため、受止部70を方立6に押し当てつつ固定ねじ9をねじ込むことが容易である。
また、障子ユニット3Bを方立6に固定する固定ねじ9は、その軸部92の先端の位置がその頭部91の位置よりも第2空間側に位置するように、Z軸方向に対して傾斜しており、外側縦框43の第1空間側にある第1見付け面部45が方立6を第1空間側から受止め可能に方立6に向けてZ1方向に突出している。換言すれば、この受止部70は方立6によって第2空間側から受止め可能に構成されている。なお、方立6の第二固定面部62には、受止部70に対してX軸方向に当接する段部75が形成されている。このため、受止部70を方立6に押し当てつつ固定ねじ9をねじ込むことが容易である。
【0021】
前記実施形態では、前述した受止部68は、方立6の見付け面に沿って面一に形成されているが、当該見付け面に対して面外方向に異なる位置に受止部68が形成されていてもよい。また、受止部70が外側縦框43に形成される場合においては、当該外側縦框43の見付け面に沿って面一に受止部70が形成されてもよく、また、当該見付け面から面外方向に異なる位置に受止部70が形成されてもよい。
前記実施形態では、ねじ受け部51は凹溝部483に構成されて外部から固定ねじ9が目立たない構成とされているが、これに限らず、凹溝部483を構成する部分から外れた位置に固定ねじ9を設けてよく、また、凹溝部483自体の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、方立6は、互いに交差して配置される第一固定面部61および第二固定面部62を有しているが、障子ユニット3A,3Bのいずれか一方しか取り付けない場合には、第一固定面部61および第二固定面部62のうちいずれか一方のねじ螺合部67の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、方立6は、壁開口部F1のコーナー部に配置されているが、コーナー部がない場合には、方立6は障子ユニット3A,3Bが左右に配置される位置に設けられてもよい。この場合、方立6の第一固定面部61および第二固定面部62は互いに連続せずに左右に対向して配置され、各固定ねじ9は、それぞれの軸部先端が第1空間側または第2空間側のうち一方側に向いて傾斜して配置される。
前記実施形態では、障子ユニット3A,3Bは、上段に横すべり出し窓7を構成し且つ下段にFIX窓8を構成する一対の障子4を連結して構成されているが、これに限らず、一対の障子4のうちの一方のみを有してもよく、中桟44をなくして一つのパネル部を構成してもよく、また、縦すべり出し窓などの他種の開閉窓やFIX窓をパネル部として備えていてもよい。
前記実施形態では、障子ユニット3A,3Bは、室内空間を仕切る室内窓を構成するものとして利用されているが、このほか、屋内外を仕切る建物壁に設けられる窓として利用されてもよい。
【0022】
[発明のまとめ]
(1)本発明の障子ユニットの固定構造は、空間を一方空間側および他方空間側に仕切る障子ユニットを固定ねじによって方立に固定する障子ユニットの固定構造であって、前記障子ユニットは、パネル部と、前記パネル部を保持する縦材とを備え、前記固定ねじは、前記障子ユニットの面内方向に対して傾斜し、前記縦材および前記方立のうち一方には、前記縦材および前記方立のうち他方を前記障子ユニットの面外方向に受止め可能に当該他方に向かって突出した受止部が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、障子ユニットの面外方向において縦材および前記方立のうち他方を受止部に受け止めさせつつ、固定ねじをねじ打ちすることで、縦材および方立のうち他方を当該一方に対して位置決めしつつ固定ねじをねじ打ちでき、更に、固定ねじを障子ユニットの面内方向に対して傾斜する方向に沿って斜めにねじ打ちすることで、縦材と方立との位置ズレを生じ難い状態のままこれらを固定できる。これにより、障子ユニットを施工する施工性の向上を図り得る。
(2)本発明の障子ユニットの固定構造では、前記固定ねじの軸部の先端の位置は、当該固定ねじの頭部の位置よりも前記一方空間側の位置に配置され、前記方立には、前記縦材を前記一方空間側から受止め可能に当該縦材に向かって突出した前記受止部が形成されてもよい。
このような構成によれば、縦材を一方空間側から受止部に押し当てつつ、固定ねじを一方空間側に向かって傾斜するように縦材および方立に対して斜めにねじ込むことで、縦材を方立に対して面外方向に位置決めした状態を保ちながら固定ねじをねじ込むことでき、これにより、施工性の向上を図り得る。
(3)本発明の障子ユニットの固定構造では、前記受止部は、前記縦材および前記方立のうち一方の見付け面に沿って形成されてもよい。
このような構成によれば、受止部が露呈する構成であっても、受止部も縦材および方立のうち一方の見付け面の一部を構成するものとして外観構成できるので、意匠性を向上し得る。
(4)本発明の障子ユニットの固定構造では、前記縦材は、前記固定ねじの前記頭部を受けるねじ受け部を有し、前記方立は、前記固定ねじの前記軸部が螺合するねじ螺合部を有し、前記ねじ受け部は、前記一方空間側から前記他方空間側に向かうに連れて前記方立に接近するように前記障子ユニットの面外方向に対して傾斜すると共に前記固定ねじの前記頭部に当接する頭部当接面を有し、前記ねじ螺合部は、前記固定ねじの前記軸部の軸方向に沿って凹状に形成されてもよい。
このような構成によれば、方立の凹状のねじ螺合部が固定ねじの軸部を軸方向に案内できて所定の傾斜方向に容易に向けることができ、また、縦材のねじ受け部における頭部当接面が固定ねじの頭部に当接することで、固定ねじの軸方向を所定の傾斜方向に向けたまま当該固定ねじを締付けることができ、このため、固定ねじの向きが所定向きからズレることをなくし得て縦材を方立に対して所定位置に固定できる。
(5)本発明の障子ユニットの固定構造では、前記縦材には、凹溝部が形成され、前記凹溝部には、前記固定ねじの頭部を受けるねじ受け部が形成され、前記凹溝部には、カバ―が装着されてもよい。
このような構成によれば、ねじ受け部が外部から視認されない構成にできるので、意匠性の向上を図り得る。
(6)本発明の障子ユニットの固定構造では、前記障子ユニットとして第一障子ユニットおよび第二障子ユニットを備え、前記方立は、前記第一障子ユニットの前記縦材が前記固定ねじによって固定される第一固定面部と、前記第一固定面部に対して交差して配置されると共に、前記第二障子ユニットの前記縦材が前記固定ねじによって固定される第二固定面部とを有してもよい。
このような構成によれば、第一障子ユニットの縦材を第一固定面部に隣接配置すると共に第二障子ユニットの縦材を第二固定面部に隣接配置し、これらの縦材および方立のうち一方に形成された受止部に当該他方を共通の一方空間側に向けて押し当てつつ、各固定ねじを共通の他方空間側から前記一方空間側に向けて容易にねじ打ちでき、施工性を向上し得る。
【符号の説明】
【0023】
1…壁構造物、10…障子ユニットの固定構造、2…上枠、23…連結部材、31…凹部、32…位置決めプレート、3A,3B…障子ユニット、4…障子、41…外側上框、42…外側下框、43…外側縦框、44…中桟、45…第1見付け面部、46…第2見付け面部、47…外周見込み面部、471…延出片部、472…止水ヒレ、48…内周見込み面部、481…保持溝、481A…側部、482…開口、482A…カバー、483…凹溝部、50…面材、51…ねじ受け部、52…頭部当接面、6…方立、61…第一固定面部、62…第二固定面部、63…第一外面部、64…第二外面部、65,75…段部、651,672…底部、652…側部、66…固定部、67…ねじ螺合部、671…側部、68,70…受止部、681…受け部、682…当接部、7…横すべり出し窓(パネル部)、8…FIX窓(パネル部)、9…固定ねじ、91…頭部、92…軸部、A…軸方向、F1…壁開口部、F2…上面、F3…下面、F4…側面。