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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128422
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20240913BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01L23/30 B
H01L25/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037392
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直幸
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109BA03
4M109CA22
4M109DB15
4M109EA02
4M109EB12
(57)【要約】
【課題】 複数の半導体素子などが積層された場合であっても、装置の過度な寸法拡大を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置A10は、第1配線層22と、第1配線層22に導電接合された半導体素子31と、半導体素子31を覆う第1封止樹脂41と、半導体素子31を基準として第1配線層22とは反対側に位置する第2配線層23と、第2配線層23に導電接合された電子素子32と、電子素子32を覆う第2封止樹脂42とを備える。第1方向zに視て、電子素子32は、半導体素子31に重なっている。第1封止樹脂41は、第1方向zにおいて第2封止樹脂42に対向する側を向く第1面411を有する。第2封止樹脂42は、第1面411に接する第2面421と、第1方向zにおいて第2面421とは反対側を向く頂面422とを有する。第1面411および第2面421の各々の表面粗さは、頂面422の表面粗さよりも大きい。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層と、
前記第1配線層に導電接合された半導体素子と、
前記半導体素子を覆う第1封止樹脂と、
第1方向において前記半導体素子を基準として前記第1配線層とは反対側に位置する第2配線層と、
前記第1方向に視て前記半導体素子に重なるとともに、前記第2配線層に導電接合された電子素子と、
前記電子素子を覆う第2封止樹脂と、を備え、
前記第1封止樹脂は、前記第1方向において前記第2封止樹脂に対向する側を向く第1面を有し、
前記第2封止樹脂は、前記第1面に接する第2面と、前記第1方向において前記第2面とは反対側を向く頂面と、を有し、
前記第1面および前記第2面の各々の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1配線層は、前記第1封止樹脂に収容されており、
前記第2配線層は、前記第2封止樹脂に収容されており、かつ前記第1面に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子は、前記第1配線層に対向する電極と、前記第1方向において前記第1面と同じ側を向く上面と、を有し、
前記電極は、前記第1配線層に導電接合されており、
前記上面は、前記第1面から露出している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1封止樹脂には、フィラーが含有されており、
前記第1面において前記フィラーの割裂面が現れている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1方向に視て、前記第2配線層は、前記上面に重なっている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2面は、前記上面に接している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2配線層は、前記上面に接している、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2配線層は、前記上面に導通している、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記上面を覆う絶縁膜をさらに備え、
前記第2面は、前記絶縁膜に接しており、
前記絶縁膜は、前記上面と前記第2配線層との間に位置する部分を含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1封止樹脂を基準として前記第2封止樹脂とは反対側に位置する絶縁層をさらに備え、
前記第1配線層および前記第1封止樹脂の各々は、前記絶縁層に接している、請求項3ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1配線層および前記第2配線層の少なくともいずれかに導通する端子をさらに備え、
前記端子は、前記絶縁層に収容されており、
前記絶縁層は、前記第1方向において前記第1面とは反対側を向く底面を有し、
前記端子は、前記底面から露出している、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記底面の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも大きい、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁層は、前記第1方向において前記底面とは反対側を向く搭載面を有し、
前記端子は、前記第1方向において前記搭載面と同じ側を向く接続面を有し、
前記接続面は、前記第1配線層に接しており、
前記第1方向において、前記接続面は、前記底面と前記搭載面との間に位置する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記端子と前記第2配線層とを導通するピラーをさらに備え、
前記ピラーは、前記第1封止樹脂に収容されている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記絶縁層は、前記第1方向に対して直交する方向を向く第1側面を有し、
前記端子は、前記第1側面から露出している、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記底面および前記第1側面の各々から露出する前記端子の部分を覆う保護層をさらに備え、
前記保護層は、金を含有する導電体である、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1封止樹脂は、前記第1方向に対して直交する方向を向く第2側面を有し、
前記第2側面の表面粗さは、前記第1面の表面粗さよりも小さく、かつ前記頂面の表面粗さよりも大きい、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第2封止樹脂は、前記第2面および前記頂面につながる第3側面を有し、
前記第1方向に視て、前記第3側面は、前記第2側面よりも外方に位置する部分を含む、請求項17に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子と受動素子を備える半導体装置の一例が開示されている。受動素子は、インダクタである。受動素子は、半導体素子の上に積層されている。これにより、装置の小型化が図られている。
【0003】
一方で、従来から半導体装置のさらなる小型化が要請されている。さらに、特許文献1に開示されている半導体装置においては、受動素子が外部に露出している。このため、受動素子を半導体素子に替えると、装置の絶縁耐圧の低下を抑制するなどの理由から、当該半導体素子を封止樹脂で覆うことが望ましい。当該半導体素子を封止樹脂で覆うと、逆に装置の寸法拡大を招くこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/203804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は先述の事情に鑑み、複数の半導体素子などが積層された場合であっても、装置の過度な寸法拡大を抑制することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される半導体装置は、第1配線層と、前記第1配線層に導電接合された半導体素子と、前記半導体素子を覆う第1封止樹脂と、第1方向において前記半導体素子を基準として前記第1配線層とは反対側に位置する第2配線層と、前記第2配線層に導電接合された電子素子と、前記電子素子を覆う第2封止樹脂とを備える。前記第1方向に視て、前記電子素子は、前記半導体素子に重なっている。前記第1封止樹脂は、前記第1方向において前記第2封止樹脂に対向する側を向く第1面を有する。前記第2封止樹脂は、前記第1面に接する第2面と、前記第1方向において前記第2面とは反対側を向く頂面とを有する。前記第1面および前記第2面の各々の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる半導体装置が具備する構成によれば、複数の半導体素子などが積層された場合であっても、当該半導体装置の過度な寸法拡大を抑制することが可能となる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
図2図2は、図1に対応する平面図であり、電子素子および第2封止樹脂を透過している。
図3図3は、図2に対応する平面図であり、電子素子および第1封止樹脂の図示を省略し、かつ2つの半導体素子、および第2封止樹脂を透過している。
図4図4は、図1に示す半導体装置の底面図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図2のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図2のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図5の部分拡大図である。
図9図9は、第1封止樹脂の第1面の部分拡大図である。
図10図10は、図6の部分拡大図である。
図11図11は、図7の部分拡大図である。
図12図12は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図13図13は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図14図14は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図15図15は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図16図16は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図17図17は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図18図18は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図19図19は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図20図20は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図21図21は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図22図22は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図23図23は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図24図24は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図25図25は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図26図26は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図27図27は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図28図28は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、電子素子および第2封止樹脂を透過している。
図29図29は、図28に対応する平面図であり、電子素子および第1封止樹脂の図示を省略し、かつ2つの半導体素子、および第2封止樹脂を透過している。
図30図30は、図28のXXX-XXX線に沿う断面図である。
図31図31は、図28のXXXI-XXXI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1図7に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、絶縁層10、複数の端子21、複数の第1配線層22、複数の第2配線層23、複数のピラー24、複数の内部ピラー25、導電接合層29、2つの半導体素子31、電子素子32、第1封止樹脂41、第2封止樹脂42、および複数の保護層60を備える。半導体装置A10は、配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によるものである。当該樹脂パッケージ形式は、QFN(quad flat non-leaded package)である。ここで、図2は、理解の便宜上、電子素子32および第2封止樹脂42を透過している。図2では、透過した電子素子32および第2封止樹脂42の各々を想像線(二点鎖線)で示している。図3は、理解の便宜上、電子素子32および第1封止樹脂41の図示を省略し、かつ2つの半導体素子31、および第2封止樹脂42を透過している。図3では、透過した2つの半導体素子31、および第2封止樹脂42の各々を想像線で示している。
【0012】
半導体装置A10の説明においては、便宜上、後述する絶縁層10の搭載面11の法線方向を「第1方向z」と呼ぶ。第1方向zに対して直交する方向を「第2方向x」と呼ぶ。第1方向zおよび第2方向xに対して直交する方向を「第3方向y」と呼ぶ。図1に示すように、半導体装置A10は、第1方向zに視て矩形状である。
【0013】
絶縁層10は、図5図7に示すように、複数の第1配線層22、および第1封止樹脂41を搭載している。絶縁層10は、電気絶縁性を有する。絶縁層10の材料の一例として、黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。絶縁層10は、搭載面11、底面12、および複数の第1側面13を有する。搭載面11および底面12は、第1方向zにおいて互いに反対側を向く。搭載面11は、第1方向zにおいて後述する第1封止樹脂41の第1面411と同じ側を向く。搭載面11は、複数の第1配線層22、および第1封止樹脂41に対向している。底面12は、外部に露出している。半導体装置A10を配線基板に実装した際、底面12が当該配線基板に対向する。複数の第1側面13の各々は、第1方向zに対して直交する方向を向く。複数の第1側面13の各々は、搭載面11および底面12につながっている。複数の第1側面13は、第2方向xを向く2つの第1側面13と、第3方向yを向く2つの第1側面13とを含む。
【0014】
第1封止樹脂41は、図5および図7に示すように、2つの半導体素子31を覆っている。第1封止樹脂41は、電気絶縁性を有する。第1封止樹脂41の材料の一例として、黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。第1封止樹脂41は、絶縁層10の搭載面11に接している。図2図5および図6に示すように、第1封止樹脂41は、第1面411、および複数の第2側面412を有する。
【0015】
図5および図6に示すように、第1面411は、第1方向zにおいて第2封止樹脂42に対向する側を向く。複数の第2側面412の各々は、第1方向zに対して直交する方向を向く。複数の第2側面412の各々は、第1面411につながっている。複数の第2側面412は、第2方向xを向く2つの第2側面412と、第3方向yを向く2つの第2側面412とを含む。
【0016】
複数の端子21の各々は、図5図7に示すように、絶縁層10に収容されている。複数の端子21は、複数の第1配線層22、複数の第2配線層23、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25とともに、2つの半導体素子31、および電子素子32と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路を構成している。複数の端子21の各々は、複数の第1配線層22、および複数の第2配線層23の少なくともいずれかに導通している。複数の端子21は、銅(Cu)を含有する。
【0017】
図4図7に示すように、複数の端子21の各々は、実装面211および側面212を有する。実装面211は、第1方向zにおいて絶縁層10の底面12と同じ側を向く。実装面211は、底面12から露出している。側面212は、第1方向zに対して直交する方向を向く。側面212は、絶縁層10の複数の第1側面13のいずれかから露出している。
【0018】
図10に示すように、複数の端子21の各々は、接続面213を有する。接続面213は、第1方向zにおいて絶縁層10の搭載面11と同じ側を向く。接続面213は、複数の第1配線層22のいずれかに接している。第1方向zにおいて、接続面213は、絶縁層10の底面12と搭載面11との間に位置する。
【0019】
複数の第1配線層22は、図5図7に示すように、絶縁層10の搭載面11に配置されている。複数の第1配線層22の各々は、搭載面11に接している。複数の第1配線層22は、銅を含有する。
【0020】
図5図7に示すように、複数の第1配線層22は、第1封止樹脂41に収容されている。図11に示すように、複数の第1配線層22の少なくともいずれかは、第1方向zに対して直交する方向を向く第1端面221を有する。第1端面221は、第1封止樹脂41から露出している。
【0021】
2つの半導体素子31の各々は、図5および図7に示すように、複数の第1配線層22の少なくともいずれかに導電接合されている。2つの半導体素子31は、第2方向xにおいて互いに離れている。2つの半導体素子31は、たとえばLSI(Large Scale Integration)である。
【0022】
図5および図7に示すように、2つの半導体素子31の各々は、複数の電極311を有する。複数の電極311の各々は、複数の第1配線層22のいずれかに対向している。複数の電極311の各々は、導電接合層29を介して複数の第1配線層22のいずれかに導電接合されている。導電接合層29は、ニッケル(Ni)、錫(Sn)および銀(Ag)を含有する。この他、導電接合層29は、ニッケル、錫およびアンチモン(Sb)を含有する場合でもよい。
【0023】
図2図5および図7に示すように、2つの半導体素子31の各々は、第1方向zにおいて第1封止樹脂41の第1面411と同じ側を向く上面31Aを有する。上面31Aは、第1面411から露出している。
【0024】
複数の第2配線層23は、図5図7に示すように、第1方向zにおいて2つの半導体素子31を基準として複数の第1配線層22とは反対側に位置する。複数の第2配線層23は、銅を含有する。
【0025】
図5図7に示すように、複数の第2配線層23は、第2封止樹脂42に収容されている。複数の第2配線層23の各々は、第1封止樹脂41の第1面411に接している。図11に示すように、複数の第2配線層23の少なくともいずれかは、第1方向zに対して直交する方向を向く第2端面231を有する。第2端面231は、第2封止樹脂42から露出している。
【0026】
図2に示すように、第1方向zに視て、複数の第2配線層23のいずれかは、2つの半導体素子31の少なくともいずれかの上面31Aに重なっている。半導体装置A10においては、第1方向zに視て上面31Aに重なる第2配線層23は、上面31Aに接するとともに、上面31Aに導通している。
【0027】
電子素子32は、図5図7に示すように、複数の第2配線層23に導電接合されている。図2に示すように、第1方向zに視て、電子素子32は、2つの半導体素子31の各々に重なっている。電子素子32は、たとえばLSIである。この他、電子素子32は、各種半導体素子でもよい。さらに電子素子32は、インダクタなどの受動素子でもよい。
【0028】
図5図7に示すように、電子素子32は、複数の電極321を有する。複数の電極321の各々は、複数の第2配線層23のいずれかに対向している。複数の電極321の各々は、導電接合層29を介して複数の第2配線層23のいずれかに導電接合されている。半導体装置A10においては、電子素子32は、2つの半導体素子31の各々の上面31Aに導通している。
【0029】
複数のピラー24は、図5図7に示すように、第1方向zにおいて複数の第1配線層22と複数の第2配線層23との間に位置する。複数のピラー24の各々は、複数の第1配線層22のいずれかと、複数の第2配線層23のいずれかとに接している。これにより、複数のピラー24の各々は、複数の端子21のいずれかと、複数の第2配線層23のいずれかとを導通する。複数のピラー24は、銅を含有する。
【0030】
図5図7に示すように、複数のピラー24は、第1封止樹脂41に収容されている。複数のピラー24の各々は、第1方向zに対して直交する方向を向く第1周面241を有する。第1周面241は、第1封止樹脂41から露出している。
【0031】
複数の内部ピラー25は、図2に示すように、第1方向zに視て第1封止樹脂41の複数の第2側面412よりも第2封止樹脂42の内方に位置する。複数の内部ピラー25の各々は、第1方向zにおいて複数の第1配線層22のいずれかと、複数の第2配線層23のいずれかとの間に位置するとともに、これらに接している。これにより、複数の内部ピラー25の各々は、複数の第1配線層22のいずれかと、複数の第2配線層23のいずれかとを導通する。複数の内部ピラー25の各々は、複数の端子21には導通していない。図7に示すように、複数の内部ピラー25の各々は、第1方向zに対して直交する方向を向く第2周面251を有する。第2周面251は、第1封止樹脂41に覆われている。複数の内部ピラー25は、銅を含有する。
【0032】
第2封止樹脂42は、図5図7に示すように、電子素子32を覆っている。第2封止樹脂42は、電気絶縁性を有する。第2封止樹脂42の材料の一例として、黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。図5図7に示すように、第2封止樹脂42は、第2面421、頂面422、および複数の第3側面423を有する。
【0033】
図5図7に示すように、第2面421は、第1方向zにおいて第1封止樹脂41の第1面411に対向する側を向き、かつ第1面411に接している。頂面422は、第1方向zにおいて第2面421とは反対側を向く。複数の第3側面423の各々は、第2面421および頂面422につながっている。複数の第3側面423の各々は、第1領域423Aおよび第2領域423Bを含む。第1領域423Aは、頂面422につながっている。第2領域423Bは、第2面421および第1領域423Aにつながっている。第1方向zに視て、第2領域423Bは、頂面422に重なっている。図2に示すように、第1方向zに視て、複数の第3側面423の各々は、第1封止樹脂41の複数の第2側面412の各々よりも外方に位置する部分を含む。
【0034】
図8に示すように、第1封止樹脂41の第1面411と、第2封止樹脂42の第2面421との各々の表面粗さは、第2封止樹脂42の頂面422の表面粗さよりも大きい。第1封止樹脂41の複数の第2側面412の各々の表面粗さは、第1面411の表面粗さよりも小さく、かつ頂面422の表面粗さよりも大きい。図8および図10に示すように、絶縁層10の搭載面11および底面12の各々の表面粗さは、頂面422の表面粗さよりも大きい。
【0035】
第1封止樹脂41には、フィラーが含有されている。フィラーは、たとえば二酸化ケイ素(SiO2)を含む。図9に示すように、第1封止樹脂41の第1面411においてフィラーの割裂面411Aが現れている。
【0036】
複数の保護層60は、図2図4に示すように、外部に露出している。図4図7に示すように、複数の保護層60の各々は、複数の端子21の各々の実装面211および側面212を個別に覆っている。図11に示すように、複数の保護層60のいずれかは、複数の第1配線層22のいずれかの第1端面221と、複数の第2配線層23のいずれかの第2端面231と、複数のピラー24のいずれかの第1周面241とを覆っている。
【0037】
複数の保護層60は、導電体である。複数の保護層60がハンダを介して配線基板に導電接合されることによって、半導体装置A10が配線基板に実装される。複数の保護層60の各々は、複数の金属層を含む。当該複数の金属層は、複数の端子21のいずれかに近い方から、ニッケル層および金(Au)層の順に積層されたものである。この他、当該複数の金属層は、複数の端子21のいずれかに近い方から、ニッケル層、パラジウム(Pd)層および金層の順に積層されたものでもよい。したがって、複数の保護層60の各々は、金を含む。
【0038】
次に、図12図27に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。ここで、図12図27の断面位置は、図5の断面位置と同一である。
【0039】
最初に、図12に示すように、支持部材81の第1方向zの一方側を覆う中間層82を形成する。支持部材81は、たとえばシリコンウエハである。中間層82は、支持部材81に接し、かつチタンからなる金属薄膜と、当該金属薄膜に積層され、かつ銅からなる金属薄膜とからなる。中間層82は、スパッタリングによりこれらの金属薄膜をそれぞれ成膜することによって形成される。
【0040】
次いで、図13に示すように、中間層82から第1方向zに突出する複数の導電層83を形成する。複数の導電層83の各々の一部が、半導体装置A10が具備する複数の端子21となる。複数の導電層83の形成にあたっては、まず、中間層82に対してリソグラフィパターニングを施す。次いで、中間層82を導電経路とした電解めっきにより、複数の導電層83を析出させる。最後に、リソグラフィパターニングにかかるマスク層を除去する。以上により、複数の導電層83の形成がなされる。
【0041】
次いで、図14に示すように、複数の導電層83を覆う第1樹脂層84を形成する。第1樹脂層84の一部が、半導体装置A10が具備する絶縁層10となる。第1樹脂層84は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。第1樹脂層84は、コンプレッション成形により形成される。この際、第1樹脂層84は、中間層82に接し、かつ複数の導電層83の全体を覆うように形成される。
【0042】
次いで、図15に示すように、複数の導電層83の各々の一部と、第1樹脂層84の一部とを研削により除去する。これらの除去対象となる部分は、第1方向zにおいて中間層82に対向する側とは反対側に位置する部分である。これにより、第1方向zを向く第1樹脂層84の表面から複数の導電層83の各々が露出する。
【0043】
次いで、図16に示すように、第1方向zに視て第1樹脂層84を囲み、かつ第1方向zに凹む周溝811を支持部材81に形成する。
【0044】
次いで、図17に示すように、複数の導電層83、および第1樹脂層84に接する複数の第1配線層22を形成する。あわせて、複数の第1配線層22のいずれかに積層された導電接合層29、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25を形成する。複数の第1配線層22の形成にあたっては、まず、ウェットエッチングにより、第1樹脂層84から外部に露出する複数の導電層83の各々の表面を平滑にする。次いで、複数の導電層83、および第1樹脂層84を覆うシード層(図示略)を形成する。シード層は、中間層82と同一の金属薄膜からなる。シード層は、スパッタリングにより形成される。次いで、シード層に対してリソグラフィパターニングを施す。次いで、シード層を導電経路とした電解めっきにより、複数の第1配線層22を析出させる。最後に、リソグラフィパターニングにかかるマスク層を除去する。以上により、複数の第1配線層22の形成がなされる。
【0045】
導電接合層29、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25の形成にあたっては、先述のシード層、および複数の第1配線層22に対してリソグラフィパターニングを施す。次いで、シード層、および複数の第1配線層22を導電経路とした電解めっきにより、導電接合層29、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25をそれぞれ析出させる。次いで、リソグラフィパターニングにかかるマスク層を除去する。最後に、硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)の混合溶液を用いたウェットエッチングにより、シード層のうち複数の第1配線層22から外部に露出した部分を除去する。以上により、導電接合層29、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25の形成がなされる。
【0046】
次いで、図18に示すように、複数の第1配線層22に2つの半導体素子31の各々の複数の電極311を導電接合する。導電接合は、フリップチップボンディングにより行われる。2つの半導体素子31の各々の導電接合は、複数の電極311の各々を導電接合層29に仮付けした後、リフローにより導電接合層29を溶融・固化することにより行われる。
【0047】
次いで、図19に示すように、複数の第1配線層22、2つの半導体素子31、複数のピラー24、および複数の内部ピラー25を覆う第2樹脂層85を形成する。第2樹脂層85の一部が、半導体装置A10が具備する第1封止樹脂41となる。第1封止樹脂41は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。第2樹脂層85は、コンプレッション成形により形成される。この際、複数のピラー24の各々の全体と、複数の内部ピラー25の各々の全体とが第2樹脂層85に覆われるようにする。第2樹脂層85の形成にかかる金型は、周溝811を規定する支持部材81の表面に接触する。
【0048】
次いで、図20に示すように、複数のピラー24の各々の一部と、複数の内部ピラー25の各々の一部と、第2樹脂層85の一部とを研削により除去する。これらの除去対象となる部分は、第1方向zにおいて中間層82に対向する側とは反対側に位置する部分である。これにより、第1方向zを向く第2樹脂層85の表面から、複数のピラー24の各々と、複数の内部ピラー25の各々とが露出する。本工程においては、2つの半導体素子31の各々の一部も研削により除去される。これにより、第1方向zを向く第2樹脂層85の表面から、2つの半導体素子31の各々の上面31Aが現れる。
【0049】
次いで、図21に示すように、複数のピラー24、複数の内部ピラー25、および第2樹脂層85に接する複数の第2配線層23を形成する。あわせて、複数の第2配線層23のいずれかに積層された導電接合層29を形成する。複数の第2配線層23、および導電接合層29の形成方法は、図17に示す複数の第1配線層22、および導電接合層29の形成方法と同様である。本構成においては、複数の第2配線層23のいずれかが、2つの半導体素子31の少なくともいずれかの上面31Aに接するようにする。
【0050】
次いで、図22に示すように、複数の第2配線層23に電子素子32の複数の電極321を導電接合する。導電接合は、フリップチップボンディングにより行われる。電子素子32の導電接合は、複数の電極321の各々を導電接合層29に仮付けした後、リフローにより導電接合層29を溶融・固化することにより行われる。
【0051】
次いで、図23に示すように、複数の第2配線層23、および電子素子32を覆う第3樹脂層86を形成する。第3樹脂層86の一部が、半導体装置A10が具備する第2封止樹脂42となる。第2封止樹脂42は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。第3樹脂層86は、コンプレッション成形により形成される。第3樹脂層86の形成にかかる金型は、周溝811を規定する支持部材81の表面に接触する。
【0052】
次いで、図24に示すように、支持部材81および中間層82を研削により除去する。この際、複数の導電層83の各々の一部と、第1樹脂層84の一部とが、研削により除去される。本工程を経ることにより、複数の導電層83が、半導体装置A10が具備する複数の端子21となる。
【0053】
次いで、図25に示すように、第3樹脂層86の表面にテープ88を貼り付ける。テープ88は、ダイシングテープである。次いで、幅b1を有する第1ブレード891を用いて、第1樹脂層84、第2樹脂層85および第3樹脂層86の各々の一部を除去することにより、第1方向zに凹む複数の溝87を形成する。複数の溝87は、第2方向xおよび第3方向yの各々に沿った格子状となるように形成される。本工程を経ることにより、第1樹脂層84が、半導体装置A10が具備する絶縁層10となる。あわせて、第2樹脂層85が、半導体装置A10が具備する第1封止樹脂41となる。第1方向zを向き、かつ外部に露出する絶縁層10の表面は、絶縁層10の底面12に相当する。
【0054】
次いで、図26に示すように、絶縁層10から外部に露出する複数の端子21の各々の表面を個別に覆う複数の保護層60を形成する。複数の保護層60の形成にあたっては、まず、ウェットエッチングにより、絶縁層10から外部に露出する複数の端子21の各々の表面を平滑にする。その後、無電解めっきにより複数の保護層60を形成する。
【0055】
最後に、図27に示すように、幅b2を有する第2ブレード892を用いて第3樹脂層86を切断する。幅b2は、第1ブレード891の幅b1よりも小である。第3樹脂層86の切断にあたっては、複数の溝87の各々に第2ブレード892を通過させた上で、第2ブレード892がテープ88に接触するまで第2ブレード892を第1方向zに移動させる。本工程を経ることにより、第3樹脂層86が、半導体装置A10が具備する第2封止樹脂42となる。以上の工程を経ることにより、半導体装置A10が得られる。
【0056】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0057】
半導体装置A10は、第1配線層22と、第1配線層22に導電接合された半導体素子31と、半導体素子31を覆う第1封止樹脂41と、第2配線層23と、第2配線層23に導電接合された電子素子32と、電子素子32を覆う第2封止樹脂42とを備える。第1封止樹脂41は、第1方向zにおいて第2封止樹脂42に対向する第1面411を有する。第2封止樹脂42は、第1面411に接する第2面421と、第1方向zにおいて第2面421とは反対側を向く頂面422とを有する。第1面411および第2面421の各々の表面粗さは、頂面422の表面粗さよりも大きい。本構成は、半導体装置A10の製造工程のうち図20に示す工程によって得られる。すなわち本構成は、第2樹脂層85の一部を研削により除去することによって、第1封止樹脂41の第1方向zの寸法を極力小さく設定したことの現れである。さらに第2面421は、半導体装置A10の製造工程のうち図23に示す工程において形成される第3樹脂層86のうち第2樹脂層85に対向する表面の形状が第2樹脂層85の表面に追随するために現れる。これにより、半導体装置A10の第1方向zの寸法の過度な拡大が抑制される。したがって、本構成によれば、半導体装置A10においては、複数の半導体素子などが積層された場合であっても、半導体装置A10の過度な寸法拡大を抑制することが可能となる。
【0058】
第1面411および第2面421の各々の表面粗さが、頂面422の表面粗さよりも大きいことによって、第2面421には、第1面411に対して投錨効果(アンカー効果)が発現する。これにより、第1封止樹脂41に対する第2封止樹脂42の密着性の向上を図ることができる。
【0059】
半導体素子31は、第1方向zにおいて第1面411と同じ側を向く上面31Aを有する。上面31Aは、第1面411から露出している。本構成をとることにより、第1封止樹脂41の第1方向zの寸法をさらに縮小することができる。
【0060】
第1封止樹脂41には、フィラーが含有されている。第1面411においてフィラーの割裂面411Aが現れている。本構成は、半導体装置A10の製造工程のうち図20に示す工程によって得られる。第2樹脂層85の一部を研削する際、第1封止樹脂41の第1面411に相当する界面においてフィラーの割裂が発生することによって、第1面411において割裂面411Aが現れる。
【0061】
半導体装置A10においては、第2配線層23は、半導体素子31の上面31Aに接するとともに、上面31Aに導通している。本構成をとることにより、第1方向zに視て、半導体装置A10の外方に向けた第2配線層23の過度な拡がりが抑制される。さらに、半導体素子31の第1方向zの両側からの導通を図ることができる。
【0062】
半導体装置A10は、第1封止樹脂41を基準として第2封止樹脂42とは反対側に位置する絶縁層10をさらに備える。第1配線層22および第1封止樹脂41の各々は、絶縁層10に接している。本構成をとることにより、第1配線層22および第1封止樹脂41を絶縁層10に支持させることができる。絶縁層10は、第1方向zにおいて第1面411とは反対側を向く底面12を有する。底面12の表面粗さは、頂面422の表面粗さよりも大きい。本構成は、半導体装置A10の製造工程のうち図24に示す工程によって得られる。すなわち本構成は、第1樹脂層84の一部を研削により除去することによって、絶縁層10の第1方向zの寸法を極力小さく設定したことの現れである。これにより、半導体装置A10の第1方向zの寸法の過度な拡大がより効果的に抑制される。
【0063】
半導体装置A10は、絶縁層10に収容され、かつ第1配線層22および第2配線層23の少なくともいずれかに導通する端子21をさらに備える。端子21は、絶縁層10の底面12から露出している。この場合において、半導体装置A10は、底面12から露出する端子21の部分を覆う保護層60をさらに備える。保護層60は、金を含む導電体である。本構成をとることにより、半導体装置A10を配線基板に実装する際、保護層60に対する溶融したハンダの濡れ性が良好なものとなる。これにより、ハンダに対する保護層60の接合面積の縮小を防止できる。
【0064】
絶縁層10は、第1方向zに対して直交する方向を向く第1側面13を有する。端子21は、第1側面13から露出している。保護層60は、第1側面13から露出する端子21の部分も覆っている。本構成をとることにより、半導体装置A10を配線基板に実装する際、溶融したハンダが保護層60を第1方向zに這い上がりやすくなる。これにより、ハンダフィレットの形成が促進される。したがって、配線基板に対する半導体装置A10の接合強度を向上させることができる。さらに半導体装置A10を配線基板に実装した後、ハンダフィレットが外部に露出するため、配線基板に対する半導体装置A10の実装状態を外観目視により容易に確認することができる。
【0065】
絶縁層10は、第1方向zにおいて底面12と反対側を向く搭載面11を有する。端子21は、第1方向zにおいて搭載面11と同じ側を向く接続面213を有する。接続面213は、複数の第1配線層22のいずれかに接している。第1方向zにおいて、接続面213は、絶縁層10の底面12と搭載面11との間に位置する。本構成は、半導体装置A10の製造工程のうち図17に示す工程によって得られる。複数の導電層83の表面をウェットエッチングにより平滑にすることによって、接続面213が現れる。これにより、第1樹脂層84から露出する複数の導電層83の各々に表面に形成柄された金属バリが除去されるため、第1配線層22の表面がより平滑になる。このことは、第1配線層22の表面粗さに起因したノイズの発生を抑制する効果がある。
【0066】
〔第2実施形態〕
図28図31に基づき、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図28は、理解の便宜上、電子素子32および第2封止樹脂42を透過している。図28では、透過した電子素子32および第2封止樹脂42の各々を想像線で示している。図29は、理解の便宜上、電子素子32および第1封止樹脂41の図示を省略し、かつ2つの半導体素子31、および第2封止樹脂42を透過している。図29では、透過した2つの半導体素子31、および第2封止樹脂42の各々を想像線で示している。
【0067】
半導体装置A20においては、絶縁膜50をさらに備えることが、半導体装置A10の場合と異なる。
【0068】
図28図30および図31に示すように、絶縁膜50は、2つの半導体素子31の各々の上面31Aを個別に覆っている。絶縁膜50は、第1封止樹脂41の第1面411から離れている。これにより、半導体装置A20においても、第2封止樹脂42の第2面421は、第1面411に接する構成をとる。第2封止樹脂42の第2面421は、絶縁膜50に接している。絶縁膜50は、2つの半導体素子31の各々の上面31Aと、複数の第2配線層23との間に位置する部分を含む。これにより、複数の第2配線層23の各々は、2つの半導体素子31の各々の上面31Aとの電気絶縁が図られている。したがって、電子素子32の複数の電極321の各々は、2つの半導体素子31の各々の上面31Aには導通していない。絶縁膜50の材料は、酸化膜(SiO2)および窒化膜(Si34)のいずれかの他、感光性のポリイミドなどを選択することができる。
【0069】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0070】
半導体装置A20は、第1配線層22と、第1配線層22に導電接合された半導体素子31と、半導体素子31を覆う第1封止樹脂41と、第2配線層23と、第2配線層23に導電接合された電子素子32と、電子素子32を覆う第2封止樹脂42とを備える。第1封止樹脂41は、第1方向zにおいて第2封止樹脂42に対向する第1面411を有する。第2封止樹脂42は、第1面411に接する第2面421と、第1方向zにおいて第2面421とは反対側を向く頂面422とを有する。第1面411および第2面421の各々の表面粗さは、頂面422の表面粗さよりも大きい。したがって、本構成によれば、半導体装置A20においても、複数の半導体素子などが積層された場合であっても、半導体装置A20の過度な寸法拡大を抑制することが可能となる。さらに半導体装置A20においては、半導体装置A10と共通する構成を具備することにより、半導体装置A10と同等の作用効果を奏する。
【0071】
半導体装置A20は、半導体素子31の上面31Aを覆う絶縁膜50をさらに備える。第2封止樹脂42の第2面421は、絶縁膜50に接している。絶縁膜50は、上面31Aと第2配線層23との間に位置する部分を含む。本構成をとることにより、上面31Aへの導通を禁止する場合であっても、第1方向zに対して直交する方向における第2配線層23の拡大を抑制することができる。さらに、第1方向zに視て、電子素子32の電極321を上面31Aに重なる位置に設定することができる。これにより、第1方向zに対して直交する方向における電子素子32の寸法の縮小を図ることができる。
【0072】
絶縁膜50は、第1封止樹脂41の第1面411から離れている。これにより、第2封止樹脂42の第2面421が絶縁膜50に接していても、第2面421が第1面411に接する構成をとることができる。これにより、第1封止樹脂41に対する第2封止樹脂42の密着性の低下を抑制できる。
【0073】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0074】
本開示は、以下の付記に記載した実施形態を含む。
[付記1]
第1配線層と、
前記第1配線層に導電接合された半導体素子と、
前記半導体素子を覆う第1封止樹脂と、
第1方向において前記半導体素子を基準として前記第1配線層とは反対側に位置する第2配線層と、
前記第1方向に視て前記半導体素子に重なるとともに、前記第2配線層に導電接合された電子素子と、
前記電子素子を覆う第2封止樹脂と、を備え、
前記第1封止樹脂は、前記第1方向において前記第2封止樹脂に対向する側を向く第1面を有し、
前記第2封止樹脂は、前記第1面に接する第2面と、前記第1方向において前記第2面とは反対側を向く頂面と、を有し、
前記第1面および前記第2面の各々の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも大きい、半導体装置。
[付記2]
前記第1配線層は、前記第1封止樹脂に収容されており、
前記第2配線層は、前記第2封止樹脂に収容されており、かつ前記第1面に接している、付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記半導体素子は、前記第1配線層に対向する電極と、前記第1方向において前記第1面と同じ側を向く上面と、を有し、
前記電極は、前記第1配線層に導電接合されており、
前記上面は、前記第1面から露出している、付記2に記載の半導体装置。
[付記4]
前記第1封止樹脂には、フィラーが含有されており、
前記第1面において前記フィラーの割裂面が現れている、付記3に記載の半導体装置。
[付記5]
前記第1方向に視て、前記第2配線層は、前記上面に重なっている、付記3に記載の半導体装置。
[付記6]
前記第2面は、前記上面に接している、付記5に記載の半導体装置。
[付記7]
前記第2配線層は、前記上面に接している、付記6に記載の半導体装置。
[付記8]
前記第2配線層は、前記上面に導通している、付記7に記載の半導体装置。
[付記9]
前記上面を覆う絶縁膜をさらに備え、
前記第2面は、前記絶縁膜に接しており、
前記絶縁膜は、前記上面と前記第2配線層との間に位置する部分を含む、付記5に記載の半導体装置。
[付記10]
前記第1封止樹脂を基準として前記第2封止樹脂とは反対側に位置する絶縁層をさらに備え、
前記第1配線層および前記第1封止樹脂の各々は、前記絶縁層に接している、付記3ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
[付記11]
前記第1配線層および前記第2配線層の少なくともいずれかに導通する端子をさらに備え、
前記端子は、前記絶縁層に収容されており、
前記絶縁層は、前記第1方向において前記第1面とは反対側を向く底面を有し、
前記端子は、前記底面から露出している、付記10に記載の半導体装置。
[付記12]
前記底面の表面粗さは、前記頂面の表面粗さよりも大きい、付記11に記載の半導体装置。
[付記13]
前記絶縁層は、前記第1方向において前記底面とは反対側を向く搭載面を有し、
前記端子は、前記第1方向において前記搭載面と同じ側を向く接続面を有し、
前記接続面は、前記第1配線層に接しており、
前記第1方向において、前記接続面は、前記底面と前記搭載面との間に位置する、付記12に記載の半導体装置。
[付記14]
前記端子と前記第2配線層とを導通するピラーをさらに備え、
前記ピラーは、前記第1封止樹脂に収容されている、付記12に記載の半導体装置。
[付記15]
前記絶縁層は、前記第1方向に対して直交する方向を向く第1側面を有し、
前記端子は、前記第1側面から露出している、付記14に記載の半導体装置。
[付記16]
前記底面および前記第1側面の各々から露出する前記端子の部分を覆う保護層をさらに備え、
前記保護層は、金を含有する導電体である、付記15に記載の半導体装置。
[付記17]
前記第1封止樹脂は、前記第1方向に対して直交する方向を向く第2側面を有し、
前記第2側面の表面粗さは、前記第1面の表面粗さよりも小さく、かつ前記頂面の表面粗さよりも大きい、付記16に記載の半導体装置。
[付記18]
前記第2封止樹脂は、前記第2面および前記頂面につながる第3側面を有し、
前記第1方向に視て、前記第3側面は、前記第2側面よりも外方に位置する部分を含む、付記17に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0075】
A10,A20:半導体装置
10:絶縁層
11:搭載面
12:底面
13:第1側面
21:端子
211:実装面
212:側面
213:接続面
22:第1配線層
221:第1端面
23:第2配線層
231:第2端面
24:ピラー
241:第1周面
25:内部ピラー
251:第2周面
29:導電接合層
31:半導体素子
31A:上面
311:電極
32:電子素子
321:電極
41:第1封止樹脂
411:第1面
411A:割裂面
412:第2側面
42:第2封止樹脂
421:第2面
422:頂面
423:第3側面
423A:第1領域
423B:第2領域
50:絶縁膜
60:保護層
81:支持部材
82:中間層
83:導電層
84:第1樹脂層
85:第2樹脂層
86:第3樹脂層
87:溝
88:テープ
891:第1ブレード
892:第2ブレード
z:第1方向
x:第2方向
y:第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31